説明

殺寄生虫薬の新規な組み合せ

【課題】小型哺乳動物、特に犬猫の寄生虫、特に外寄生生物(好ましくはさらに内寄生生物)の駆除方法および組成物。
【解決手段】特定のN−(2−置換ピリジル)置換ピラゾールまたはN−置換フェニル−置換ピラゾール例えばフィプロニル(A)と大環状ラクトン型のエンデクトシダル殺寄生虫薬から成る化合物(例えばイヴェルメクチン)(B)とを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物寄生虫すなわち小型哺乳動物および鳥の寄生虫、特に外部寄生昆虫および内部寄生虫、特にフィラリアおよび蠕虫類の駆除方法の改良に関するものである。
本発明はさらに、公知の殺寄生虫薬を組み合せたものをベースにした上記用途のための相乗効果を有する新しい組成物に関するものである。
本発明はさらに、上記寄生虫の駆除用組成物の製造での公知の殺寄生虫薬の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記文献には1−N−フェニルピラゾールをベースとする新規な殺虫剤が記載されている。
【特許文献1】欧州特許第 295,217号公報
【特許文献2】欧州特許第 352,944号公報
【0003】
この特許に記載の化合物は活性度が高い。その1つである1−[2,6−Cl2−4−CF3フェニル]−3−CN−4−[SO−CF3]−5−NH2ピラゾール(一般名称はフィプロニル、fipronil)は穀物の寄生虫だけでなく、哺乳動物の外部寄生虫、特にノミ、ダニ(これらに限定されるものではない)にも有効であることが証明されている。
【0004】
外部寄生虫に対する活性度を示すアベルメクチン(avermetin)とその誘導体およびイベルメクチン(ivermectin)のようなこの関連化合物からなるエンデクトシダル(endectocidal)化合物も知られている。これらの物質は例えば下記文献に記載されている。
【特許文献3】米国特許第3,950,360号明細書
【特許文献4】米国特許第4,199,569号明細書
【0005】
抗寄生虫スペクトルを拡大するために殺寄生虫薬を組み合わせることは頻繁に提案されており、1−N−フェニルピラゾールの上記誘導体とアヴェルメクチン、イヴェルメクチンおよびミルベマイシンとの組み合わせも記載はされているが、複雑な宿主−寄生虫の多くの相互作用を考えると、この組み合わせが有する特定の利点は分かっていない。
下記文献には極めて多数の種類のフィプロニルを含む殺虫剤または殺寄生虫剤の中にこのタイプの置換1−N−フェニル誘導体と、アヴェルメクチン、イヴェルメクチンまたはモキシデクチン(moxidectin)との組み合わせが記載されているが、この組み合せから成る組成物に関する情報は無く、可能性のある無数の寄生虫の中で特定の組み合わせで達成される標的が特定されていない。
【特許文献5】オーストラリア国特許第16 427/95号公報
【0006】
すなわち、公知文献は極めて一般的な教示しかしておらず、特定のケースに特定の組み合わせがとの動物と寄生虫に有効かは分からず、また、この組み合わせを含む組成物の形態の分かっていない。
また、公知文献には作用部位、作用法、作用期間および標的が互いに大きく異なる殺寄生虫剤の組み合わせ物の形状、投与量、薬量学および投与経路に関する記載はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に小型哺乳動物、特に犬猫が一般に遭遇する全ての寄生虫を除去するための駆除方法の改良にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は特に、猫および犬のノミおよびダニ、さらには痒みダニやシラミなどの外部寄生虫と、フィラリア、特にイヌ糸状虫や消化管回虫等の内部寄生虫とに対して有効で、効果が持続する駆除法を提供する。
【0009】
回虫および線虫の中では特に回虫類(ascarids)(特に、イヌ回虫:Toxocara canis)、鉤虫種(ancylostoma species)、特に、イヌ鉤虫:Ancylostoma caninum)およびエキノコックス(Echinococcus)および鞭虫種(Trichuris species)、特にキツネ鞭虫(Trichuris vulpis)が挙げられる。
【0010】
本発明の対象は、ノミ(必要な場合にはさらにダニ)に対して極めて活性のある組成物を製造するための公知殺寄生虫薬の使用にある。
本発明の他の対象は、特定の内部寄生虫、特にフィラリアや回虫を効果的に駆除できる組成物を製造することにある。
本発明の方法および組成物の非常に高い効果は即効性が高く、しかも、動物に処置した後の有効期間が非常に長い。
【0011】
ノミとはネコやイヌにおける特にイヌノミ(Ctenocephalides species)を意味する。
フィラリアは特にイヌ糸状虫immitisを意味する。
他の線虫類とは特にイヌ回虫、イヌ鉤虫およびキツネ鞭虫を意味する。
【0012】
本発明の対象は、下記式(I)に属する少なくとも1種の化合物(A)と、大環状ラクトン型のエンデクトシダル殺寄生虫薬から成る少なくとも1種の化合物(B)とを殺寄生虫剤として有効な量および比で投与することを特徴とする、予防または治療処置としての、小型哺乳動物、特に犬猫の寄生虫、特に外部寄生虫(好ましくはさらに内部寄生虫)の駆除方法にある:
【0013】
【化5】

【0014】
(ここで、
1はハロゲン原子、CNまたはメチルであり、
2はS(O)n3または4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルまたはハロアルキルであり、
3はアルキルまたはハロアルキルであり、
4は水素またはハロゲン原子であるか、NR56、S(O)m7、C(O)R7またはC(O)OR7、アルキル、ハロアルキルまたはOR8基または−N=C(R9)(R10)基を表し、
5とR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキルまたはS(O)rCF3基またはアルコキシカルボニル基を表し、R5とR6は一緒になって1つまたは2つの酸素や硫黄のような二価ヘテロ原子を含むことのできる二価アルキレン基を形成することができ、
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
8はアルキルまたはハロアルキル基または水素原子を表し、
9はアルキル基または水素原子を表し、
10はフェニルまたはヘテロアリール基を表し、必要に応じてOH,−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキルのような一つまたは複数の基で置換されていてもよく、
11とR12は互いに独立して水素またはハロゲン原子を表し、必要に応じてCNまたはNO2を表すが、Hまたはハロゲンが好ましく、
13はハロゲン原子またはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)qCF3またはSF5基を表し、
m、n、qおよびrはそれぞれ独立に0、1または2に等しい整数を表し、
Xは三価の窒素原子またはC−R12基を表し、炭素原子の他の3つの原子価は芳香環の一部を成し、
ただし、R1がメチルの時は、R3がハロアルキル、R4がNH2、R11がCl、R13がCF3で、XがNであるか、R2が4,5−ジシアノイミダゾル−2−yl、R4がCl、R11がCl、R13がCF3で、Xが=C−Clである)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
殺寄生虫薬(B)はアヴェルメクチン、イヴェルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシンおよびこれら化合物の誘導体から成る群の中から選択するのが好ましい。
【0016】
タイプ(B)の化合物の構造、特性および製造方法は当業者に周知で、各種文献を広く参照することができる。アヴェルメクチン、イヴェルメクチン、アバメクチンについては例えば下記文献1または2を参照できる。
【非特許文献1】Ivermectin and Abamectin,1989, by M. H. Fischer and H. Mrozik, William C. Campbell, Springer Verlag 出版
【非特許文献2】Albers-Schonberg 達のAvermectins Structure Determination, J. Am. Chem. Soc., 103, 4216-4221 (1981)
【0017】
ドラメクチンについては下記文献を参照できる。
【非特許文献3】Veterinary Parasitology, vol. 49, No. 1, July 1993, 5-15
【0018】
ミルベマイシンについては下記文献を参照できる。
【非特許文献4】Davies H. G. 達, 1986の Avermectin and Milbemycins, Nat. Prod. Rep., 3, 87-121
【非特許文献5】Mrozik H. 達, 1983の Synthesis of Milbemycins from Avermectins, Tetrahdron Lett., 24, 5333-5336
【特許文献6】米国特許第4,134, 973号明細書
【0019】
化学式(I)の化合物(A)のアルキル基は一般に1〜6の炭素原子を含む。R5とR6で表される二価のアルキレン基とR5およびR6が付いた窒素原子とで形成される環は一般に5,6または7員環である。
【0020】
化学式(I)の好ましい化合物(A)にはR1がCNで、R3がハロアルキル、R4がNH2で、R11とR12がそれぞれ独立してハロゲン原子で、R13がハロアルキルである化合物が含まれる。さらにXがC−R12であるのも好ましい。
【0021】
本発明で特に好ましい化学式(I)の化合物(A)は1−[2,6−Cl2−4−CF3フェニル]−3−CN−4−[SO−CF3]−5−NH2ピラゾールである。以下、この化合物を化合物Aとよぶが、その一般名称はフィプロニル(fipronil) である。
【0022】
化学式(I)の化合物(A)は下記特許文献7〜8に記載の方法か、化学合成技術者に通常の方法で製造することができる。
【特許文献7】国際特許出願WO87/3781号公報
【特許文献8】国際特許出願WO93/6089号公報
【特許文献8】国際特許出願WO94/21606号公報
【特許文献9】欧州特許第295117号公報
【0023】
本発明化合物の製造に当たっては「ケミカルアブストラクト」の内容とその引用文献は自在に使用できるということが前提である。
2つのタイプの化合物は前後して、好ましくは1つの組成物として同時に投与することができる。
投与は断続的でよい。この場合、本発明の処置を犬猫に対して毎月実施するのが好ましい。毎月よりも少ない頻度、例えば2月毎または4半月毎あるいはそれ以下の頻度で投与することもできる。換言すれば、動物が強力な寄生虫の被害に曝される環境で毎日の投与よりはるかに少ない回数の投与で永久に寄生虫を駆除する方法である。
【0024】
化合物の遊離または放出を遅くするそれ自体は周知の手段を用いて投与を継続的にすることもできる。特に、ポリ乳酸ポリマーまたはポリラクト−グリコール酸コポリマーをベースとした微粒子を挙げることができる。この場合は、化合物(A)および化合物(B)を含む2つの徐放処方の組み合わせを全身によく拡散する経路で動物に投与するのが好ましい。
【0025】
処置用化合物は全身経路、例えば経口または非経口で投与するのが好ましい。
局所的投与の場合は、化合物(A)および(B)を実質的に液体の媒体中に、1回または少ない回数塗布できる形で含む単一の組成物を動物の非常に局限された部位、好ましくは両肩の間に投与するのが好ましい(点状塗布処方)。このような処方でペット動物における標的の外部寄生虫と標的の内部寄生虫に対する高い効果が得られることがはっきりと分かった。
【0026】
0.001〜100mg/kgの誘導体(A)と0.1〜1000mg/kgのタイプ(B)の化合物とを用量を好ましくは1回で動物ヘ投与するのが好ましい(特に直接的局所投与の場合)。
小型の動物に対する化合物(A)の量は動物の体重kg当たり好ましくは0.01mg以上、特に好ましいのは1〜50mgである。
経口または非経口投与の場合には、上記と同じ量で化合物(A)および(B)を含むことができる。
【0027】
本発明化合物を例えば全身拡散放出手段で連続投与する場合の放出率は化合物(A)を一日0.001〜0.5mg、好ましくは0.05〜0.1mg/kg、化合物(B)を一日0.1〜200μg/kgにするのが好ましい。
経口または非経口の全身投与の場合には、化合物の血中濃度を1ng以上、例えば1〜50ng/mlにするのが好ましい。
【0028】
そのためには徐放処方を用いるのが好ましいが、フィプロニルおよびタイプ(B)の誘導体は活性が持続的であるので、通常の媒体を用いて全身投与する方が簡潔性からも好ましい。
【0029】
本発明方法は処置目的でない動物の外皮や皮膚の清浄化方法でもある。すなわち、動物の寄生虫やその廃棄物、排泄物を除去することによって動物の外皮の外見、手触を良くすることにある。
【0030】
本発明の対象は病気を引き起こす寄生虫病の処置および防御を目的とする治療方法にある。
本発明の他の対象は、少なくとも1種の式(I)の化合物(A)と少なくとも1種の式(I)の化合物(B)とをノミや蠕虫類に対する殺寄生虫効果のある量および比率で動物に許容される媒体中に含むことを特徴とする小型哺乳動物、特に犬猫のノミの駆除用組成物にある。
【0031】
式(I)の化合物の好ましい例は上記のものであり、本発明で特に好ましい式(I)の化合物は1−[2,6−Cl2−4−CF3フェニル]−3−CN−4−[SO−CF3]−5−NH2ピラゾールである。
【0032】
小動物用にはタイプ(B)の化合物をイヴェルメクチンおよびミルベマイシンから成る群から選択するのが好ましい。
【0033】
1回の用量における化合物(A)の有効量は、動物の体重1kg当たり0.001、好ましくは0.1〜100mg、特に好ましいのは1〜50mgであり、動物の体内または体外での徐放が非常に長い場合には投与量も増加する。
1回の用量における化合物(B)の有効量は動物の体重1kg当たり0.1μg、好ましくは1μg〜200μg、特に好ましいのは5〜200μgである。
化学式(I)の殺寄生虫薬と化合物(B)との重量比率は5/1〜10000/1であるのが好ましい。
【0034】
媒体は単純媒体でも複雑媒体でもよく、選択した投与経路および方法に適したものとする。
本発明組成物は局所投与の形、特に液体、懸濁液、微小乳剤や乳剤を動物に注ぐまたは塗る形態(洗浄型溶液)や、断続塗布用の濃縮液体、懸濁液、微小乳剤を一般には動物の両肩の間に点状塗布する形態(点状塗布型溶液)または油脂、クリーム、軟膏または局所投与用の他の任意の液体処方の形で提供することができる。
【0035】
特に犬猫および小型哺乳動物に対して驚くべき効果を示す処方は断続塗布用の濃縮懸濁液または液体(いわゆる点状塗布型溶液)である。
特に好ましい製剤は有機溶剤、好ましくは有機補助溶剤および/または結晶化抑制剤を含む皮膚塗布用媒体中に化合物(A)および(B)を含む。
式(I)の化合物(A)はこの処方の1〜20%、好ましくは5〜15%の比率で存在するのが好ましい(容積に対する重量の比=W/V)。
【0036】
結晶化抑制剤は1〜20%、好ましくは5〜15%の比率(W/V)で存在することができ、この抑制剤は以下のテストに対応するのが好ましい。すなわち、下記c)に記載の溶媒中に式(I)の化合物を10%(W/V)、抑制剤を10%含む0.3mlの溶液をガラススライド上に20℃で24時間放置した後、ガラススライドに結晶がほとんど無いか全く無く、特に10個以下、好ましくは0個の結晶しか見られないことが肉眼で確認する。
【0037】
有機溶剤の比誘電率は10〜35、好ましくは20〜30であるのが好ましく、組成物全体中のこの溶剤の含有率は組成物を100%にする量であるのが好ましい。
有機補助溶剤は沸点が100℃以下、好ましくは80℃以下で、比誘電率が10〜40、好ましくは20〜30であり、組成物における溶剤の重量/重量(W/W)比が1/15〜1/2であるのが好ましく、補助溶剤は揮発性で乾燥を促進させる作用をし、水および/または溶剤と混和性である。
好ましくはないが、組成物は必要に応じて0〜30%(容量対容量、V/V)、特に0〜5%の比率で水を含んでもよい。
【0038】
本発明組成物はまた空気酸化を抑制するための酸化防止剤を含むことができる。この酸化防止剤は0.005〜1%(W/V)、特に0.01〜0.05%の比率で存在する。
【0039】
有機溶剤としては以下のものを使用することができる;アセトン、エチルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)。これらの溶剤には所望する相の種類に応じて各種賦形剤C8−C10カプリル/カプリルトリグリセリド(EstasanまたはMiglyol 812)、オレイン酸またはプロピレングリコール等を追加することができる。
【0040】
本発明で使用可能な結晶化抑制剤としては下記のものを挙げることができる:
a)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトールまたはポリオキシエチレン化ソルビタンエステル;レシチンまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはメタクリル酸塩等のアクリル誘導体、
b)アニオン界面活性剤、例えばアリカリ性ステアレート、特にステアリン酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム;ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸トリエタノールアミン;アビエチン酸ナトリウム;硫酸アルキル、特に硫酸ナトリウムラウリルおよび硫酸ナトリウムセチル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム;脂肪酸、特にヤシ油から得られた脂肪酸、
【0041】
c)カチオン界面活性剤、例えば、式:N+R'R''R'''R''''Y-(ここで、基Rは必要に応じてヒドロキシル化した炭化水素基であり、Y-はハロゲン化物、硫酸塩およびスルホン酸塩アニオン等の強酸のアニオンである)で表される水溶性第4アンモニウム塩;臭化セチルトリメチルアンモニウムは使用可能なカチオン界面活性剤に含まれる。
d)式:N+R'R''R'''(ここで、基Rは炭化水素基で、必要に応じてヒドロキシル化されていてもよい)で表されるアミン。オクタデシルアミン塩酸は使用可能なアニオン界面活性剤に含まれる。
【0042】
e)非イオン性界面活性剤、例えばソルビタンエステル(必要に応じてポリオキシエチレン化されていてもよい)、特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、キャスターオイルのポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、酸化エチレンおよび酸化プロピレンのコポリマー。
f)ベタインの置換ラウリル化合物等の両性界面活性剤
e)これら結晶化抑制剤の少なくとも2つの混合物。
【0043】
一対の結晶化抑制剤すなわちポリマータイプの被膜形成剤と界面活性剤とを組み合わせを用いるのが好ましい。これらの薬剤は結晶化抑制剤として挙げた上記化合物から選択することができる。
【0044】
ポリマータイプの被膜形成剤の中では下記のものが特に好ましい:
1)各種ポリビニルピロリドン、
2)ポリビニルアルコール、
3)酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマー。
【0045】
界面活性剤としては非イオン界面活性剤、好ましくはポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、特に各種のポリソルベート、例えばポリソルベート80を挙げることができる。
これらの被膜形成剤と界面活性剤は結晶化抑制剤の全体量の範囲内または同一量で均質混合することができる。
【0046】
上記の組み合わせによって外皮が結晶化せず、毛の外観が非常に好ましなり、活性材料を高濃度にしても外観が粘着性または粘着質になる傾向がない。
【0047】
乾燥を促進する補助溶剤としては無水エタノール、イソプロパノール(2−プロパノール)またはメタノールを挙げることができる。
【0048】
酸化防止剤としては通常の薬剤、特にブチル化ヒドロキシアニゾール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、プロピル没食子酸塩およびチオ硫酸ナトリウムまたはこれらの薬剤の2つ以上の混合物を用いることができる。
【0049】
濃縮組成物は一般に上記定義の構成要素を単純に混合するだけで製造できるが、最初に活性材料を主溶剤中に混合した後に他の成分または補助剤を添加するのが有利である。
【0050】
使用量は動物の体重に応じて0.3〜1ml、特に猫については約0.5ml、犬については約0.3〜3mlが好ましい。
【0051】
微小乳剤(ミクロエマルジョン)は断続的な局所塗布に適している。
微小乳剤は水性相、油性相、界面活性剤および補助界面活性剤から成る四成分形で、透明な等方性液体である。この微小乳剤は、油性相中の微小粒滴水相の安定な分散物または逆に水性相中の微小粒滴油相の安定な分散物から成る。微小粒滴の寸法は200nm以下である(乳剤では1000〜100000nm)。界面被膜は界面活性(SA)分子と補助界面活性(Co−SA)分子とが交互に形成されたものから成り、界面張力を下げることで微小乳剤が自然に形成される。
油性相は鉱油または植物油、不飽和ポリグリコシ化グリセリドまたはトリグリセリドあるいはこれら化合物の組み合わせで形成される。トリグリセリド、特に平均的鎖のトリグリセリド、例えばC8−C10カプリル/カプリルトリグリセリドが好ましい。油性相は特に微小乳剤のV/Vの2〜15%、さらに7〜10%、好ましくは8〜9%で存在する。
【0052】
水性相は水、一般のグリコール誘導体、プロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリエチレングリコールまたはグリセロール等から選択することができる。ピロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノエチルエーテルも好ましい。
水性相は特に微小乳剤中に1〜4%V/Vの比率となる。
【0053】
界面活性剤はジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコール化C8−C10グリセリドまたはポリグリセリル−6ジオレートから選択するのが好ましい。
【0054】
補助界面活性剤はエタノールおよびプロパノール等の短鎖アルコールから選択するのが好ましい。界面活性剤として挙げた化合物の一つでもよい。
【0055】
化合物のいくつかは3つの成分:水性相、界面活性剤および補助界面活性剤に共通しているが、同じ処方の各成分に異なる化合物を用いるように構成する。
界面活性剤に対する補助界面活性剤の比率は1/7〜1/2であるのが好ましい。微小乳剤中に25〜75%V/Vの界面活性剤と10〜55%V/Vの補助界面活性剤とがあるのが好ましい。
【0056】
上記定義の一種または複数の結晶化抑制剤を微小乳剤に添加するのが有利である。一対の結晶化抑制剤はポリソルベート80とポリビドン(ポリビニルピロリドン)、例えばドイツBASF社製のKollidon 17 PF等であるのが好ましい。用量は皮膚への点状塗布溶液で例えば結晶化抑制剤の各化合物が約5%N/Vである。
【0057】
活性化合物(A)および(B)は点状塗布型の皮膚用溶液として示した比率で存在することができる。
【0058】
経口投与には一般処方、例えば、溶液、微小乳剤、乳剤または懸濁液等を餌に混ぜるか、ペレット、錠剤、粉末、固形ゼラチンカプセル、その他の所望処方を使用することができる。
経口摂取の場合、化合物(A)は式(II)の誘導体であるのが好ましい:
【0059】

【0060】
非経口投与には皮下経路で注射可能な溶液状処方、例えば油性賦形剤を用いた有機溶剤および植物油の混合物等が好ましい。
非経口投与の組成物は特殊な形、粒子、特にナノ粒子、ナノカプセル、微小粒子、微小カプセルまたはリポゾームにすることができ、あるいは移植片の形に製造することもできる。これらの粒子は例えば水や植物油または平均的鎖を有するトリグリセリド中にポリラクト酸のポリマーまたはポリラクト−グリコール酸ポリマーから製造することができる。
【0061】
本発明組成物は哺乳動物、特に犬猫のような小型哺乳動物のノミに対して非常に長く持続する処置として極めて有効であることが証明されている。
【0062】
上記組成物は、他の寄生虫、特にダニおよびハエに対する効果も発揮し、本発明組成物は真の効用を持つことが実際に証明されている外部寄生虫の他に、主要な内部寄生虫、中でもイヌ糸状虫系寄生虫及び/または線形動物にする処置にまで拡大することができるということが分かっている。例えば、フィプロニルとミルベマイシンをベースとした組成物も糸状虫および線形動物に対して使用することができる。
【0063】
本発明の他の対象は少なくとも一種の式(I)の化合物と少なくとも一種のタイプ(B)の化合物との上記組成物製造での使用にある。
【実施例】
【0064】
本発明の上記以外の利点および特性は下記実施例の説明から明らかになるであろう。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0065】
実施例1
犬の経口摂取用製剤の製造
フィプロニルとイヴェルメクチンとの混合物を製造し、通常の固形ゼラチンカプセルに詰めた。200mgのフィプロニルおよび2.5mgのイヴェルメクチンを含む固形ゼラチンカプセル1つで10kgの体重の犬を一匹処置するようになっている。
犬は経口で処置し、処置後42日までは1日目(D−1)、7日目(D7)、それ以降は1週間毎にノミ100匹とダニ50匹を実験的に感染させた。結果はこの処置の有効性を示した。
固形ゼラチンカプセル中のイヴェルメクチンは他のエンデクトサイド(B)、例えば動物の体重1kg当たり500μgのミルベマイシンと交換できる。
同様に、フィプロニルは好ましくは同容量のヴァニリプロルと交換できる。
【0066】
実施例2
断続的塗布(点状塗布)用濃縮溶液の製造
皮膚ヘの塗布用の濃縮溶液は、溶液容量に対する重量で10%のフィプロニルと0.25%のイヴェルメクチンとを含むように製造する。投与量は動物の体重10kgにつき1mlである。その組成は重量/容量で下記の通りである:
フィプロニル 10%
イヴェルメクチン 0.25%
ポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF) 5%
ポリソルベート 80(Tween 80) 5%
エタノール 10%
トランスキュートル(Transcutol)q. s 100%
【0067】
実施例3
断続的塗布(点状塗布)用濃縮微小乳剤の製造
下記成分を使用する:
油相:C8−C10カプリル/カプリルトリグリセリド(Estasan)
水相:プロピレングリコール
界面活性剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)
補助界面活性剤:エタノールまたは2−プロパノール
一対の結晶化抑制剤:ポリソルベート80(Tween 80)とポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF)
本実施例の組成物は下記の通り:
フィプロニル 10g
イヴェルメクチン 0.5g
Estasan 8.5ml
Transcutol 60ml
エタノール 15ml
Kollidon 17 PF 5g
Tween 80 5g
プロピレングリコール q.s 100ml
上記製剤では、Transcutolが界面活性剤(SA)として作用し、エタノールまたは2−プロパノルが補助界面活性剤(Co−SA)として作用する。プロピレングリコールと不溶な平均的な鎖を有するトリグリセリド(Estasan)との混合物から等方性の透明な微小乳剤を得ることができる。微小乳剤が形成されたら、一対の結晶化抑制剤を添加する。
【0068】
実施例4
実施例2または3の組成物1mlすなわち100mgのフィプロニルと2.5mgのイヴェルメクチンとを体重12kgの5匹の犬の両肩の間の局部的皮膚へ塗布した。動物の血漿の測定から、イヴェルメクチンのピークが1000から1500から2000pg/mlとなることが示される。
1カ月毎または2カ月毎に犬を処置することで、ノミやダニ、イヌ糸状寄生虫を完全に制御することができる。
【0069】
実施例5
注射可能な組成物の製造
有機溶剤と植物油または平均的鎖を有するトリグリセリドとの混合物中に3.3%M/Vのフィプロニルと0.08%のイヴェルメクチンとを含む溶液を1群の犬の皮下に処置した。
フィプロニル 3.3g
イヴェルメクチン 0.08g
Estasan 15ml
Transcutol q. s. 100ml
ノミおよびダニに対する最小有効血漿濃度が少なくとも3カ月の間得られ、イヌ糸状症の周期は中断される。
【0070】
実施例6
3.3%M/Vのフィプロニルと0.08%M/Vのイヴェルメクチンとを含む分子重量が約100,000のポリラクト酸ポリマーまたはポリラクト−グリコール酸コポリマーPLA 100 D. L. の微粒子を水、植物油または平均的鎖を有するトリグリセリド中に15%M/V含むものを犬の皮下に0.3ml/kgの比率で処置した。
ノミやダニに対するフィプロニルの有効血漿濃度が少なくとも6〜7カ月の間得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される少なくとも1種の化合物(A)と、大環状ラクトン型のエンデクトシダル殺寄生虫薬から成る少なくとも1種の化合物(B)とを、ノミおよび蠕虫類に対する殺寄生虫効果のある量と比率で、動物に許容される媒体中に含むことを特徴とする、小型哺乳動物特に犬猫の寄生虫、特に外部寄生虫、好ましくはさらに内部寄生虫を駆除する組成物:
【化1】

(ここで、
1はハロゲン原子、CNまたはメチルであり、
2はS(O)n3または4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルまたはハロアルキルであり、
3はアルキルまたはハロアルキルであり、
4は水素またはハロゲン原子であるか、NR56、S(O)m7、C(O)R7またはC(O)OR7、アルキル、ハロアルキルまたはOR8基または−N=C(R9)(R10)基を表し、
5とR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキルまたはS(O)rCF3基またはアルコキシカルボニル基を表し、R5とR6は一緒になって1つまたは2つの酸素や硫黄のような二価ヘテロ原子を含むことのできる二価アルキレン基を形成することができ、
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
8はアルキルまたはハロアルキル基または水素原子を表し、
9はアルキル基または水素原子を表し、
10はフェニルまたはヘテロアリール基を表し、必要に応じてOH,−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキルのような一つまたは複数の基で置換されていてもよく、
11とR12は互いに独立して水素またはハロゲン原子を表し、必要に応じてCNまたはNO2を表すが、Hまたはハロゲンが好ましく、
13はハロゲン原子またはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)qCF3またはSF5基を表し、
m、n、qおよびrはそれぞれ独立に0、1または2に等しい整数を表し、
Xは三価の窒素原子またはC−R12基を表し、炭素原子の他の3つの原子価は芳香環の一部を成し、
ただし、R1がメチルの時は、R3がハロアルキル、R4がNH2、R11がCl、R13がCF3で、XがNであるか、R2が4,5−ジシアノイミダゾル−2−yl、R4がCl、R11がCl、R13がCF3で、Xが=C−Clである)。
【請求項2】
化合物(B)がアヴェルメクチン、イヴェルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシンおよびこれらの誘導体から成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アルキル基が1〜6の炭素原子を含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
5とR6で表される二価のアルキレン基と、R5およびR6が付いた窒素原子で形成される環が5、6または7員環を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物(A)のR1がCNで、R3がハロアルキル、R4がNH2で、R11とR12がそれぞれ独立してハロゲン原子、R13がハロアルキルである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
化合物(A)が1−[2,6−Cl2−4−CF3フェニル]−3−CN−4−[SO−CF3]−5−NH2ピラゾールである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
化合物タイプ(B)がイヴェルメクチンおよびミルベマイシンから選択する請求項1〜6いずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1回の用量の有効量が化合物(A)では動物の体重1kg当たり0.001、好ましくは0.1〜100mg、化合物(B)では動物の体重1kg当たり0.1μg、好ましくは1μg〜1mg/kgである請求項1〜7いずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
1回の用量での化合物(A)の量が動物の体重1kg当たり1〜50mgである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
1回の用量での化合物(B)の量が動物の体重1kg当たり5〜200μgである請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
化学式(I)の殺寄生虫薬と、化合物(B)との重量比が5/1〜10000/1である請求項1〜10いずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
断続塗布用に濃縮した溶液、懸濁液、微小乳剤または乳剤の形をしている請求項1〜11いずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
有機溶剤(必要な場合にはさらに有機補助溶剤)および/または結晶化抑制剤、好ましくは2つの結晶化抑制剤を含む皮膚塗布用の媒体中に化合物(A)および(B)を有する請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
餌に混ぜる溶液、微小乳剤、乳剤または懸濁液か、ペレット、錠剤、粉末または固形ゼラチンカプセル等の所望形状をした、経口投与用の請求項1〜11いずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
化合物(A)が下記式〔II〕の誘導体である請求項14に記載の組成物:
【化2】

【請求項16】
注射用溶液の形をした請求項1〜11いずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
油性賦形剤を含む請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
徐放用粒子、特にナノ粒子、ナノカプセル、微小粒子、微小カプセル、リポゾームの形をしている請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
下記式(I)に属する少なくとも1種の化合物(A)と、大環状ラクトン型のエンデクトシダル殺寄生虫薬から成る少なくとも1種の化合物(B)との、小型哺乳動物、特に犬猫の寄生虫、特に外部寄生虫(好ましくはさらに内部寄生虫)を駆除する組成物の製造での使用:
【化3】

(ここで、
1はハロゲン原子、CNまたはメチルであり、
2はS(O)n3または4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルまたはハロアルキルであり、
3はアルキルまたはハロアルキルであり、
4は水素またはハロゲン原子であるか、NR56、S(O)m7、C(O)R7またはC(O)OR7、アルキル、ハロアルキルまたはOR8基または−N=C(R9)(R10)基を表し、
5とR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキルまたはS(O)rCF3基を表し、R5とR6は一緒になって1つまたは2つの酸素や硫黄のような二価ヘテロ原子を含むことのできる二価アルキレン基を形成することができ、
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
8はアルキルまたはハロアルキル基または水素原子を表し、
9はアルキル基または水素原子を表し、
10はフェニルまたはヘテロアリール基を表し、必要に応じてOH,−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキルのような一つまたは複数の基で置換されていてもよく、
11とR12は互いに独立して水素またはハロゲン原子を表し、必要に応じてCNまたはNO2を表すが、Hまたはハロゲンが好ましく、
13はハロゲン原子またはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)qCF3またはSF5基を表し、
m、n、qおよびrはそれぞれ独立に0、1または2に等しい整数を表し、
Xは三価の窒素原子またはC−R12基を表し、炭素原子の他の3つの原子価は芳香環の一部を成し、
ただし、R1がメチルの時は、R3がハロアルキル、R4がNH2、R11がCl、R13がCF3で、XがNであるか、R2が4,5−ジシアノイミダゾル−2−yl、R4がCl、R11がCl、R13がCF3で、Xが=C−Clである)。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物の製造での請求項19に記載の使用。
【請求項21】
下記式(I)に属する少なくとも1種の化合物(A)と、大環状ラクトン型のエンデクトシダル殺寄生虫薬から成る少なくとも1種の化合物(B)とを殺寄生虫剤として有効な量および比率で投与することを特徴とする、予防または治療処置としての、小型哺乳動物、特に犬猫の寄生虫、特に外部寄生虫(好ましくはさらに内部寄生虫)を駆除する方法:
【化4】

(ここで、
1はハロゲン原子、CNまたはメチルであり、
2はS(O)n3または4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルまたはハロアルキルであり、
3はアルキルまたはハロアルキルであり、
4は水素またはハロゲン原子であるか、NR56、S(O)m7、C(O)R7またはC(O)OR7、アルキル、ハロアルキルまたはOR8基または−N=C(R9)(R10)基を表し、
5とR6はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキルまたはS(O)rCF3基またはアルコキシカルボニル基を表し、R5とR6は一緒になって1つまたは2つの酸素や硫黄のような二価ヘテロ原子を含むことのできる二価アルキレン基を形成することができ、
7はアルキルまたはハロアルキル基を表し、
8はアルキルまたはハロアルキル基または水素原子を表し、
9はアルキル基または水素原子を表し、
10はフェニルまたはヘテロアリール基を表し、必要に応じてOH,−O−アルキル、−S−アルキル、シアノまたはアルキルのような一つまたは複数の基で置換されていてもよく、
11とR12は互いに独立して水素またはハロゲン原子を表し、必要に応じてCNまたはNO2を表すが、Hまたはハロゲンが好ましく、
13はハロゲン原子またはハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)qCF3またはSF5基を表し、
m、n、qおよびrはそれぞれ独立に0、1または2に等しい整数を表し、
Xは三価の窒素原子またはC−R12基を表し、炭素原子の他の3つの原子価は芳香環の一部を成し、
ただし、R1がメチルの時は、R3がハロアルキル、R4がNH2、R11がCl、R13がCF3で、XがNであるか、R2が4,5−ジシアノイミダゾル−2−yl、R4がCl、R11がCl、R13がCF3で、Xが=C−Clである)。
【請求項22】
殺寄生虫剤(B)がアヴェルメクチン、イヴェルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシンおよびこれらの誘導体から成る群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物を投与して動物を処置する請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
動物を毎日の投与よりも少ない頻度の投与、特に2カ月毎または4半月の投与、好ましくは毎月の投与で動物を処置する請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
化合物(A)および(B)を遊離または放出が遅い状態で投与する請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
化合物(A)と化合物(B)とを含む2つの徐放処方の組み合わせを全身に拡散可能な投与経路で動物を処置する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
動物を全身経路、例えば経口または非経口で処置する21〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
動物に局所投与、特に点状塗布処方を用いて処置する請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺寄生虫剤として有効な量のアヴェルメクチン、アバメクチンおよびドラメクチンから成る群から選択される大環状ラクトン型の内部寄生虫駆除薬と、吸収されて殺寄生虫濃度の血漿レベルとなる経皮経路で局所的に動物に塗布するための賦形剤とからなり、この賦形剤がジプロピレングリコールモノメチルエーテルとイソプロパノールとを含み、必要に応じて酸化防止剤をさらに含むことを特徴とする動物の寄生虫を駆除するためのスポットオン組成物
【請求項2】
酸化防止剤を含み、この酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンである請求項2に記載のスポットオン組成物
【請求項3】
大環状ラクトン型の内部寄生虫駆除薬がアヴェルメクチンである請求項1または2に記載のスポットオン組成物
【請求項4】
大環状ラクトン型の内部寄生虫駆除薬がドラメクチンである請求項1または2に記載のスポットオン組成物
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスポットオン組成物を殺寄生虫剤として有効な量で哺乳動物に局所的に塗布することを特徴とする、哺乳動物の大環状ラクトン型内部寄生虫駆除薬の血漿レベルを検出可能な濃度にすることを特徴とする方法。
【請求項6】
哺乳動物がイヌ、ネコ、ウマ、ウシまたはヒツジである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のスポットオン組成物を殺寄生虫剤として有効な量で哺乳動物に局所的に塗布することを特徴とする、哺乳動物の寄生虫を駆除する方法。
【請求項8】
哺乳動物がイヌまたはネコで、寄生虫がダニまたはノミである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物がウシで、寄生虫がウシマダニである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
哺乳動物がヒツジで、寄生虫がシラミおよびハエである請求項7に記載の方法。
【請求項11】
2か月に一回塗布する請求項7〜10のいづれか一項に記載の方法。
【請求項12】
4か月に一回塗布する請求項7〜10のいづれか一項に記載の方法。
【請求項13】
月に一回塗布する請求項7〜10のいづれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2006−56897(P2006−56897A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273962(P2005−273962)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【分割の表示】特願平10−514334の分割
【原出願日】平成9年9月15日(1997.9.15)
【出願人】(503365659)
【Fターム(参考)】