説明

殺生性被膜を有する基材

本発明は、(i)基材の表面を酸化するステップ、(ii)基材の酸化表面上に、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物を塗布するステップ、及び(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成するステップを含む、基材の表面を被覆する方法と、後の方法によって得ることが可能な基材とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面に殺生性被膜層を被覆する方法と、後の方法によって得ることが可能な殺生性表面を有する基材とに関する。
【0002】
基材を生物学的な侵襲及び増殖から保護するために、殺生剤で基材を処理することができる。基材の表面上の生物学的材料(例えば植物、藻又は微生物)の望ましくない蓄積は、通常、生物学的汚損と呼ばれる。一般的な防汚剤としては、テトラブチルスズ(TBT)や酢酸フェニル水銀がある。防汚剤は、環境中に漏出すると、環境を汚染する。これらの殺生剤の漏出は、標的生物の中に耐性を引き起こす可能性があり、防汚剤は、通常、ヒトや他の哺乳類等の非標的生物に対しても非常に毒性が高いことから、これらの生物体に対する望ましくない害を除外することはできない。
【0003】
故に、殺生剤が、基材の表面に共有結合し、従って環境中に漏出しない殺生性被膜を開発するため、従来、幾つかの試みがなされてきた。
【0004】
DE10211562A1には、少なくとも1種の四級アンモニウム基と、基材に共有結合を形成し得る少なくとも1個の基、好ましくは1級アミノ基又は2級アミノ基とを有する抗菌性ポリマー又は抗菌性コポリマーで基材の表面を処理することによって製造される、抗菌性表面を有する基材が記載されている。
【0005】
US2006/0008490A1及びWO2005/084159には、開始剤を基材に固定し、固定された開始剤上に、殺生的活性基に転化され得る基を有するモノマーを重合させ、重合後、これらの基を殺生的活性基に転化することによって製造される殺生性表面を有する基材が記載されている。
【0006】
DE10211562A1、US2006/0008490A1及びWO2005/084159に記載の殺生性被膜の短所は、大量連続方法において既存のプリント装置でそれらの殺生性被膜を容易に製造することが可能ではないということである。
【0007】
従って、本発明の目的は、基材を殺生性被膜層で被覆する方法を提供することであって、その方法は、既存のプリント装置で、大量に、且つ、連続的な様式で技術的に可能となるものであり、その方法によって、殺生剤が環境中へ漏出しない殺生性被膜が作製される。更に、殺生性層は、高耐久性を示すことが望ましく、その高耐久性は、殺生性被膜層の殺生的活性が、種々の環境条件への殺生性層の曝露、例えば水への殺生性層の長期曝露の際に著しい影響を受けないということを意味する。
【0008】
この目的は、請求項1の方法、請求項10の基材、及び請求項11の混合物により解決される。
【0009】
本発明の基材の表面を被覆する方法は、以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップ
(ii)基材の酸化表面に1種以上のエチレン性不飽和化合物を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物を塗布するステップ、及び
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成するステップ、を含む。
【0010】
基材は、シートやフィルム等の二次元的な対象物、又はいかなる三次元的な対象物であってよく、それは、透明又は不透明であり得る。基材は、紙、厚紙、木、革、金属、織物、ガラス、セラミック、石及び/又はポリマーから作製され得る。
【0011】
金属の例としては、鉄、ニッケル、パラジウム白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウムや、合金(例えば鋼、黄銅、青銅、ジュラルミン)がある。
【0012】
織物は、動物や植物由来の繊維等の天然繊維、又は合成繊維から作製され得る。動物由来の天然繊維の例としては、羊毛や絹がある。植物起源の天然繊維の例としては、綿、亜麻、ジュートがある。合成織物の例としては、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリオレフィン(例えばポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド(例えばナイロンやライクラ)がある。
【0013】
セラミックの例としては、粘土から主に作製される製品(例えばレンガ、タイル、磁器)や、技術的なセラミックがある。技術的セラミックは、酸化物(例えば酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム)、炭化物(例えば炭化ナトリウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素)、ホウ化物(例えばホウ化チタン)、窒化物(例えば窒化チタンや窒化ホウ素)及びケイ化物(例えばケイ化ナトリウムやケイ化チタン)であり得る。
【0014】
石の例としては、石灰岩、花崗岩、片麻岩、大理石、粘板岩、砂岩がある。
【0015】
ポリマーの例としては、アクリルポリマー、スチレンポリマー及びその水素化物、ビニルポリマー及びその誘導体、ポリオレフィン及びその水素化物又はエポキシド化物、アルデヒドポリマー、エポキシドポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、スルホン系ポリマー並びにその天然ポリマー及び誘導体がある。
【0016】
アクリルポリマーは、少なくとも1種のアクリルモノマー或いは又は少なくとも1種アクリルモノマー及び少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマー(例えばスチレンモノマー、ビニルモノマー、オレフィンモノマー、マレイン酸モノマー)から形成されるポリマーであり得る。
【0017】
アクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートがある。スチレンモノマーの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ビニルビフェニルがある。ビニルモノマーの例としては、ビニルアルコール、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルイソブチルエーテル、ビニルアセテートがある。オレフィンモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、それらの塩素化誘導体やフッ素化誘導体(例えばテトラフルオロエチレン)がある。マレイン酸モノマーの例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイミドがある。
【0018】
アクリルポリマーの例としては、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸、スチレン/2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー、スチレン/アクリル酸コポリマー。
【0019】
スチレンポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマー或いは少なくとも1種のスチレンモノマー及び少なくとも1種のビニルモノマー、オレフィンモノマー及び/又はマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。スチレンポリマーの例としては、ポリスチレン(PS)、スチレンブタジエンスチレンブロックポリマー、スチレンエチレンブタジエンブロックポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマーがある。
【0020】
ビニルポリマーは、少なくとも1種のビニルモノマー或いは少なくとも1種のビニルモノマー及び少なくとも1種のオレフィンモノマー又はマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。ビニルポリマーの例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、部分的加水分解ポリビニルアセテート、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーがある。それらの誘導体の例としては、カルボキシ修飾ポリビニルアルコール、アセトアセチル修飾ポリビニルアルコール、ジアセトン修飾ポリビニルアルコール、ケイ素修飾ポリビニルアルコールがある。
【0021】
ポリオレフィンは、少なくとも1種のオレフィンモノマー或いは少なくとも1種のオレフィンモノマー及びマレイン酸モノマーから形成されるポリマーであり得る。ポリオレフィンの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリブタジエン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon−PTFE)、塩素化ポリエチレン、イソプロピレン−無水マレイン酸コポリマーがある。
【0022】
アルデヒドポリマーは、少なくとも1種のアルデヒドモノマー又はアルデヒドポリマーと、少なくとも1種のアルコールモノマー又はアルコールポリマー、アミンモノマー又はアミンポリマー及び/又は尿素モノマー又は尿素ポリマーとから形成されるポリマーであり得る。アルデヒドモノマーの例としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、ブチラールがある。アルコールモノマーの例としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノールがある。ポリアルコールの例としては、ポリビニルアルコールがある。アミンモノマーの例としては、アニリンやメラミンがある。尿素モノマーの例としては、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミドがある。アルデヒドポリマーの例としては、ブチラールから形成されるポリビニルブチラールや、ポリビニルアルコールがある。
【0023】
エポキシドポリマーは、少なくとも1種のエポキシドモノマーと、少なくとも1種のアルコールモノマー及び/又はアミンモノマーとから形成されるポリマーであり得る。エポキシドモノマーの例としては、エピクロロヒドリンやグリシドールがある。アルコールモノマーの例としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノールA、グリコールがある。エポキシドポリマーの例としては、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとから形成されるフェノキシ樹脂がある。
【0024】
ポリアミドは、アミド基又はアミノ基並びにカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、或いは2個のアミノ基を有する少なくとも1種のモノマー及び2個のカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されるポリマーであり得る。アミド基を有するモノマーの例としては、カプロラクタムがある。ジアミンの例としては、1,6−ジアミノヘキサンがある。ジカルボン酸の例としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸がある。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンアジパミドやポリカプロラクタムがある。
【0025】
ポリエステルは、ヒドロキシ基並びにカルボキシ基を有する少なくとも1種のモノマーから、或いは2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1種のモノマーと、2個のカルボキシ基又は1個のラクトン基を有する少なくとも1種のモノマーとから形成されるポリマーであり得る。ヒドロキシ基並びにカルボキシ基を有するモノマーの例としては、アジピン酸がある。ジオールの例としては、エチレングリコールがある。ラクトン基を有するモノマーの例としては、カプロラクトンがある。ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸がある。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)がある。いわゆるアルキド樹脂もまた、ポリエステルポリマーに属すると考えられる。
【0026】
ポリウレタンは、少なくとも1種のジイソシアネートモノマーと、少なくとも1種のポリオールモノマー及び/又はポリアミンモノマーとから形成されるポリマーであり得る。ジイソシアネートモノマーの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアナートがある。
【0027】
ポリカーボネートの例としては、ポリ(芳香族カーボネート)やポリ(脂肪族カーボネート)がある。ポリ(脂肪族カーボネート)は、二酸化炭素及び少なくとも1種のエポキシドから形成され得る。
【0028】
スルホン系ポリマーの例としては、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリスルホン(PSF)がある。ポリスルホン(PSF)は、4,4−ジクロロジフェニルスルホン及びビスフェノールAから形成されるポリマーである。
【0029】
天然ポリマーの例としては、デンプン、セルロース、ゼラチン、カゼイン、天然ゴムがある。誘導体の例としては、酸化デンプン、デンプン−ビニルアセテートグラフトコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトリルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースがある。
【0030】
基材は、例えば、創傷包帯、カテーテル、インプラント、人工臓器、人工関節、人工血管、医療機器(例えば、聴診器、チューブ、注射器、針)等の医療分野で使用する基材であってよい。
【0031】
基材は、水ライナ又は包装、例えば食品包装であってよい。基材は、膜である可能性もあった。
【0032】
基材は、殺生剤を含有することができる。
【0033】
好ましくは、基材はポリマーから作製される。より好ましくは、基材は、スチレンポリマー、ビニルポリマー及びその誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル及びスルホン系ポリマーから成る群から選択されるポリマーから作製される。更により好ましくは、基材は、ポリオレフィンから作製される。最も好ましくは、基材は、ポリプロピレン(PP)又は二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)から作製される。
【0034】
好ましくは、ポリマーから作製される基材はフィルムである。
【0035】
基材の表面の酸化は、例えば、コロナ放電、プラズマ、火炎、オゾン、電子ビーム、X線又は紫外線放射による処理によって行うことが可能である。
【0036】
コロナ放電は、コロナを特徴とする、気体中の2つの電極の内の1つが、電極間よりも著しく大きいその表面での電界を引き起こす形状を有する場合に発生する放電であり得る。気体としては、通常、空気が用いられる。基材は、例えば2つの電極間に基材としてのフィルムを通すことによって、通常、2つの電極間の放電場における周囲圧力で位置する。
【0037】
プラズマは、電子及びイオンが存在する気体であり得る。プラズマは、高温又は高電場で気体を処理することにより作製することが可能である。プラズマ処理は、通常、真空室において、不活性ガス又は反応性ガス、例えば酸素から成るガス雰囲気中で非熱的プラズマにより10〜100Paで行われる。
【0038】
火炎は、可燃性ガスと、酸素含有ガス、例えば大気とが混合して燃焼する際に形成される火炎であり得る。可燃性ガスの例としては、プロパン、ブタン、都市ガスがある。火炎処理は、通常、周囲圧力で行われる。
【0039】
オゾンは、コロナ放電において、又は、紫外線放射によって、大気酸素から生成させることができる。
【0040】
電子ビームは、電子ビーム加速器によって、例えば陰極線管によって生成させることができる。
【0041】
X線は、X線発生装置によって、例えばX線管によって生成させることができる。
【0042】
好ましくは、表面の酸化は、コロナ放電、プラズマ又は火炎による処理によって行われる。より好ましくは、それは、コロナ放電処理によって行われる。
【0043】
重合可能な1種以上のエチレン性不飽和基を有する任意の四級アンモニウム化合物が、使用され得る。好ましくは、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物は、式
【化1】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル、アリールであり、或いは、R4及びR5は、アンモニウム基のNと共に4〜8員環を形成し、ここで、前記環の1個のCH2基は、NH又はOで置換してよく、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-15アルキレンであり、
Mは架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はアニオンであり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル又はC1-15アルキレンは、非置換又は1つ以上のアリール、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでアリールは、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでR7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-15アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]のものである。
【0044】
1-6アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はヘキシルであってよい。
【0045】
1-30アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。C1-30アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチルがある。
【0046】
3-8シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルがある。
【0047】
2-30アルケニル及びC1-6アルケニルの例としては、ビニルやアリルがある。
【0048】
アリールは、フェニル又はナフチル又はヘテロアリール(例えばイミダゾリル、ピリル、イソシアヌリル)であってよい。好ましくは、アリールはフェニルである。
【0049】
1-15アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン、ブチレンがある。
【0050】
架橋基Mの例としては、C3-8シクロアルキレン、アリーレン、ポリマー、OC(O)、C(O)O、NH(CO)、C(O)NHがある。アリーレンは、フェニレンであってよい。ポリマーの例としては、ポリエチレンイミンがある。
【0051】
-は、任意のアニオン、例えばサルフェート、サルファイト、カーボネート、ホスフェート又はハロゲン化物であってよい。ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物であってよい。
【0052】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物の例としては、トリメチルアミノエチルアクリレートクロライド、トリメチルアミノエチルメタクリレートクロライド、トリメチルアミノテトラデシルアクリレートクロライド、トリメチルアミノヘキサデシルアクリレートクロライド、トリメチルアミノオクタデシルアクリレートクロライド及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド、並びに式
【化2】

の化合物がある。
【0053】
より好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、式
【化3】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキル又はC2-30アルケニルであり、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-15アルキレンであり、
Mは、アリーレン、ポリマー、OC(O)及びC(O)Oから成る群から選択される架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はハロゲン化物であり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル又はC1-15アルキレンは、非置換又は1つ以上のOC2-6アルケニル、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでR7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-15アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]のものである。
【0054】
最も好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、式
【化4】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキルであり、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-6アルキレンであり、
Mは、ポリマー及びOC(O)から成る群から選択される架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はハロゲン化物であり、
ここでC1-30アルキル又はC1-6アルキレンは、非置換又は1つ以上のOR10で置換されてもよく、ここでR10は、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-6アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2で置換してよい]のものである。
【0055】
1-6アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン、ブチレンがある。
【0056】
化合物1Aは、特に好ましい、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物である。
【0057】
式1の化合物は、例えば、式
【化5】

のアミンを、式
J−R4 (3)
の化合物と反応させることによって製造することが可能である。
【0058】
例えば、化合物1Aは、S.M.Hamid and D.C.Sherrington、Polymer1987,28,325−331に記載のようにドデシルブロミドとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを反応させることによって製造することが可能である。
【0059】
また、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物は、重合可能な任意のエチレン性不飽和化合物であってよい更なる1種以上のエチレン性不飽和化合物も含むことができる。
【0060】
前記更なるエチレン性不飽和化合物は、少なくとも5個のモノマー単位を有するポリマーを形成し得るマクロモノマーであってもよく、そのマクロモノマーは、1’000〜1’000’000’000g/モルの範囲の分子量を有し、且つ、エチレン性不飽和基を有する。好ましいマクロモノマーは、エチレン性不飽和基が(メタ)アクリロイル部分であるものである。この種のマクロモノマーの例としては、(メタ)アクリロイル修飾ポリエステル、(メタ)アクリロイル修飾ポリビニルアルコール、(メタ)アクリロイル修飾部分加水分解ポリビニルアセテート、(メタ)アクリロイル修飾メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリロイル修飾メチルイソプロピレン−無水マレイン酸コポリマー、(メタ)アクリロイル修飾ポリウレタン、(メタ)アクリロイル修飾セルロースがある。
【0061】
特に好ましいマクロモノマーは、(メタ)アクリロイル部分である少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するものである。
【0062】
少なくとも2個のアクリロイル部分を有するマクロモノマーの例としては、アクリレートの多官能性を有する分岐鎖ポリエステルアクリレートオリゴマーであるSartomer Companyにより販売されているSartomer CN2301がある。
【0063】
また、更なるエチレン性不飽和化合物は、式
【化6】

[式中、
22、R23及びR24は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであってよく、
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)R25、C(O)OR26、OR27、OC(O)R28、NR29C(O)R30又はC(O)NR3132であってよく、ここでアリールは、以下で概説されるように、非置換又は置換されていてもよく、
ここで、
25、R26、R27、R28、R31及びR32は、同一又は異なってよく、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく、及びR29及びR30は、同一又は異なってよく、R26と同じ意味を有してよく、更に、NC(O)と共に4〜7員環を形成してよく、ここで、
1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2は、非置換1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく;
2-30アルケニル基は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、
アリール基又はアリール−C1-30アルキレン−アリール基は、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、ここで
33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、及び、ここで
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]のものであってもよい。
【0064】
1-100アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。C1-100アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、エイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチルがある。
【0065】
1-6アルキレン−アリール−(C1-6−アルキル)2の例としては、トリエチルイソシアヌレートがある。C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキルの例としては、ジメチルトリシクロデカンがある。
【0066】
アリール−C1-30アルキレン−アリールの例としては、フェニル−エチレン−フェニルやフェニル−プロピレン−フェニルがある。
【0067】
式4のエチレン性不飽和化合物の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリル酸、メタクリルアミド、ビニルアセテート、イソブチルビニルエーテル、スチレン、N−ビニルピロリジノン、ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、グリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート及びネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール−モノ−メタクリレートがある。
【0068】
好ましくは、R22、R23及びR24は、同一又は異なって、水素又はC1-6アルキルである。
【0069】
好ましくは、Aは、C(O)OR26又はC(O)NR3132であってよく、ここでR26、R31及びR32は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C2-30アルケニル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく;ここでC1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキルは、1つ以上のOC(O)C(R42)=C(R43)R44又はNHC(O)C(R39)=C(R40)R41で置換され、更に、1つ以上のC3-8シクロアルキル、O−C2-30アルケニル、OR36、NR3738又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換してよく、及びアリールは、1つ以上のC(O)C(R42)=C(R43)R44で置換され;R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、及びC1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい。
【0070】
より好ましくは、Aは、C(O)OR26であり、ここでR26はC1-100アルキルであり、ここでC1-100アルキルは、1つ以上のOC(O)C(R42)=C(R43)R44で置換され;R42、R43及びR44は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、及びC1-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよい。
【0071】
最も好ましくは、Aは、C(O)OR26であり、ここでR26はC1-100アルキルであり、ここでC1-100アルキルは、1つ以上のOC(O)C(R42)=C(R43)R44で置換され;R42、R43及びR44は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、及びC1-100アルキルの1個以上のCH2基は、−O−で置換してよい。
【0072】
式4の最も好ましいエチレン性不飽和化合物の例としては、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートがある。
【0073】
上記の化合物は、市販されている。例えば、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート及びポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートは、Sartomer Companyから入手可能である。或いは、これらの化合物は、それぞれメチルアクリレート及びメチルメタクリレートと対応するアルコールを反応させることによって製造することが可能である。例えば、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート及びポリエチレングリコール(600)ジメタクリレートは、それぞれメチルアクリレート及びメチルメタクリレートとポリエチレングリコール(600)を反応させることによって製造することが可能である。
【0074】
更なるエチレン性不飽和化合物は、アリール基、例えばジアリルフタレート、トリアリルホスフェート及びトリアリルイソシアヌレートであってよい。
【0075】
好ましくは、前記溶媒は、水或いは水及び有機溶媒の混合物である。
【0076】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む前記組成物はまた、1種以上のラジカル開始剤を含むこともできる。
【0077】
前記1種以上のラジカル開始剤は、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の熱開始剤や光重合開始剤であってよい。好ましくは、前記1種以上のラジカル開始剤は光重合開始剤である。
【0078】
前記光重合開始剤は、式
【化7】

[式中、
Lは、水素又は
【化8】

[式中、C1-6アルキレンは非置換又はヒドロキシルで置換されてもよい]であってよく、及び
48、R49及びR50は、同一又は異なってよく、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1-6アルキル、アリール、O−C1-6アルキル、O−アリール、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR5152であってよく、ここでR51及びR52は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル、O−C1-6アルキル及びS−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル、OC(O)C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化9】

であってよく、ここでE及びGは、−O−、−S−又はNR61であってよく、ここでR61は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR61、R53、R56はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R62)C=C(R63)R64及び/又は
【化10】

で置換してよく;
53、R56及びR60は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R65であってよく、
57、R58及びR59は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル、S−C1-100アルキル、NR661-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R65であってよく、ここでR66はR53と同じ意味を有してよく、R65はR57と同じ意味を有してよく、
54及びR55は、R57と同じ意味を有してよく、更に、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成してよく、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R67、C(O)OR68、C(O)NR6970、OR71、OC(O)R72、OC(O)C(R73)=C(R74)R75、C(O)OC(R76)=C(R77)R78
【化11】

で置換されていてもよく、
ここでR62、R63、R64、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77及びR78は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシル、CN、COOH、C(O)R67、C(O)OR68、C(O)NR6970、OR71、OC(O)R72、OC(O)C(R73)=C(R74)R75又はC(O)OC(R76)=C(R77)R78で置換されていてもよく;
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NR61−及び/又はフェニレンで置換してよく、及びC3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]のものであってよい。
【0079】
1-6アルキレンの例としては、メチレン、プロピレン及びブチレンがある。
【0080】
1-100アルキルは、分岐鎖又は非分岐鎖であってもよい。C1-100アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチルがある。
【0081】
式5の光重合開始剤の例としては、ベンゾインエーテル(例えばベンゾインエチルエーテル)、ベンジルモノケタール(例えば2,2−ジエトキシ−1−フェニルエタノンや2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタノン)、α置換アセトフェノン誘導体(例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名Ciba(登録商標)Darocure(登録商標)1173で、Ciba Specialty Chemicalsにより販売)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン)、アシルホスフィン酸化物(例えばジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物(商品名Lucirin(登録商標)TPOでBASFにより販売)やフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物(商品名Ciba(登録商標)Irgacure 819でCiba Specialty Chemicalsにより販売))、α−アシルオキシムエステル(例えば1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)オクタン−1,2−ジオン)、フェニルグリオキサル酸エステル(例えばジエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、トリエチレングリコールジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(150)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(300)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(400)ジ(フェニルグリオキシレート)、ポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート))がある。
【0082】
式5の好ましい化合物において、R48、R49及びR50は、同一又は異なってよく、水素、ヒドロキシル、C1-6アルキル、O−C1-6アルキル、S−C1-6アルキル、S−アリール又はNR5152であってよく、ここでR51及びR52は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、或いは、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は−O−で置換してよく、及びC1-6アルキル及びO−C1-6アルキルは、非置換又は1つ以上のヒドロキシル、C2-30アルケニル又はアリールで置換してもよく、及び
Xは、
【化12】

であり、ここでE及びGは、−O−又はNR61であってよく、ここでR61は水素又はC1-6アルキルであってよく、或いはR61、R53、R56はそれぞれ、窒素と共に5〜7員環を形成してよく、ここで前記環のCH2基は、−O−、NH、NC(O)C(R41)C=C(R42)R43及び/又は
【化13】

で置換してよく、
53、R56及びR60は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、C2-30アルケニル、アリール又はC(O)R65であってよく;R57、R58及びR59は、同一又は異なってよく、及び、水素、C1-100アルキル、O−C1-100アルキル、アリール又はC(O)R65であってよく;R54及びR55は、R57と同じ意味を有してよく、更に、結合炭素原子と共に5〜7員環を形成してよく、R65はR57と同じ意味を有してよく、
1-100アルキル及びC2-30アルケニルは、非置換又は1つ以上のアリール、アミノ、ヒドロキシル、OC(O)C(R73)=C(R74)R75、C(O)OC(R76)=C(R77)R78
【化14】

で置換されていてもよく、
ここでR62、R63、R64、R73、R74、R75、R76、R77及びR78は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであってよく、
アリールは、非置換又は1つ以上のC1-4アルキルで置換されていてもよく、及び
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−及び/又は−NR61−で置換してよい。
【0083】
また、前記光重合開始剤は、チタノセン、或いは共開始剤(例えば三級アミン)とのそれぞれベンゾフェノン及びチオキサントン誘導体の組み合わせであってもよい。しかし、好ましくは、前記光重合開始剤は式5の化合物である。
【0084】
また、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物は、溶媒を含むこともできる。
【0085】
前記溶媒は、水、有機溶媒又はそれらの混合物であってよい。
【0086】
有機溶媒の例としては、C1-4アルカノール、C2-4ポリオール、C3-6ケトン、C4-6エーテル、C2-3ニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホランがあり、それによってC1-4アルカノール及びC2-4ポリオールはC1-4アルコキシで置換してよい。C1-4アルカノールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールがある。そのC1-4アルコキシ誘導体の例としては、2−エトキシエタノールや1−メトキシ−2−プロパノールがある。C2-4ポリオールの例としては、グリコールやグリセロールがある。C3-6ケトンの例としては、アセトンやメチルエチルケトンがある。C4-6エーテルの例としては、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランがある。C2-3ニトリルの例としては、アセトニトリルがある。好ましくは、有機溶媒は、C1-4アルカノール、C2-4ポリオール、C3-6ケトン、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドから成る群から選択され、それによってC1-4アルカノール及びC2-4ポリオールはC1-4アルコキシで置換してよい。より好ましくは、有機溶媒はC1-4アルカノールである。
【0087】
好ましくは、前記溶媒は、水或いは水及び有機溶媒の混合物である。
【0088】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物はまた、更なる成分(例えば殺生剤、界面活性剤、消泡剤)を含むこともできる。
【0089】
殺生剤の例としては、例えば商品名Ciba(登録商標)Irgasan(登録商標)DP300で販売されている5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、商品名Ciba(登録商標)Irgarol(登録商標)1051で販売されているN’−tert−ブチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、商品名Ciba(登録商標)Irgaguard(登録商標)F3000で販売されている2−チアゾール−4−イル−1H−ベンゾイミダゾール、クロルヘキシジン、没食子酸、ムコブロム酸、イタコン酸、商品名Maguard(商標)l−100で販売されている3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートがある。
【0090】
界面活性剤の例としては、アニオン界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウム)、カチオン界面活性剤(例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムや塩化セチルピリジニウム)、両性界面活性剤(例えばドデシルベタイン)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリ(エチレンオキシド)やポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー)がある。
【0091】
消泡剤の例としては、商品名Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)2526で販売されている消泡剤等の鉱油製造品や、商品名Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)2550で販売されている消泡剤等のポリエーテル官能性ポリシロキサンがある。
【0092】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0.001〜100質量%の、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含むことができる。好ましくは、それは、0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、最も好ましくは0.1〜30質量%の1種以上の四級アンモニウム化合物を含む。
【0093】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜99質量%の1種以上の更なるエチレン性不飽和化合物を含むことができる。好ましくは、それは、0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜70質量%の1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む。
【0094】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜50質量%の1種以上のラジカル開始剤を含むことができる。好ましくは、それは、0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の1種以上のラジカル開始剤を含む。
【0095】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜99.999質量%の溶媒を含むことができる。好ましくは、それは10〜99.9質量%、より好ましくは20〜99.5質量%の溶媒を含む。
【0096】
前記組成物は、前記組成物の質量に対して0〜50質量%の更なる成分を含むことができる。好ましくは、それは、0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の更なる成分を含む。
【0097】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物は、溶液、乳濁液又は分散液であってよい。好ましくは、前記組成物は溶液である。前記組成物は、例えば、ワイヤバーを用いて、或いは、浸漬又はスプレーによって塗布することが可能である。
【0098】
組成物の硬化は、1種以上のエチレン性不飽和化合物を有する1種以上の四級アンモニウム化合物と、重合可能で、且つ、必要に応じて前記組成物中に存在する他の成分、例えば更なるエチレン性不飽和化合物との重合によって達成され得る。
【0099】
十分なラジカルが基材の酸化表面に存在する場合、1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物は、いずれの更なる処理を行うことなく塗布後に重合することが可能である。しかし、通常、重合は、熱、電子ビーム又は電磁放射による処理によって開始される。電磁放射の例としては、X線、ガンマ線、紫外線放射、赤外線放射、可視光、マイクロ波がある。好ましくは、重合は、電磁放射による処理によって、より好ましくは紫外線放射による処理によって開始される。通常、紫外線放射は、60〜300ワット/cm及びベルト速度1〜1000m/分、好ましくは10〜200m/分で行われる。
【0100】
好ましくは、重合は、ほんの極微量の酸素を含有する不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ヘリウムがある。好ましくは、不活性ガス雰囲気中に存在する酸素の量は、1000体積ppm未満、より好ましくは、それは500体積ppm未満、最も好ましくは、それは150体積ppm未満である。
【0101】
硬化被膜層は、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの厚みを有することができる。
【0102】
また、殺生剤は、例えば表面の酸化前(ステップ(i)の前)、表面の酸化後、且つ、組成物の塗布前(ステップ(i)の後、且つ、ステップ(ii)の前)、前記組成物の塗布後、且つ、硬化前(ステップ(ii)の後で、ステップ(iii)の前)、又は前記組成物の硬化後(ステップ(iii)の後)に、基材の表面に塗布することが可能である。
【0103】
基材は、本発明の方法により形成された被膜層の前又は後に基材に塗布することができる更なる被膜層で被覆してよい。
【0104】
好ましくは、本発明の方法において使用する基材は、1種以上の予備被膜層であらかじめ被覆される。
【0105】
好ましくは、予備被膜層は、以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップ、
(ii)基材の酸化表面上に、1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む組成物を塗布するステップ、及び
(iii)予備前記組成物を硬化させて、被膜層を形成するステップ、を含む方法によって形成される。
【0106】
また、予備被膜層を形成するために使用される組成物は、1種以上のラジカル開始剤、溶媒及び更なる成分も含んでよい。
【0107】
また、予備被膜層を形成するために使用される組成物は、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物も含んでよいが、これは好ましくはない。
【0108】
エチレン性不飽和化合物、ラジカル開始剤、溶媒、更なる成分及び1種以上のエチレン性不飽和基を有する四級アンモニウム化合物の定義は、上記と同じである。表面の酸化、組成物の塗布、及び組成物を硬化もまた、上記に記載したものと同じである。
【0109】
また、本発明の一部は、後の方法によって得ることが可能な基材である。
【0110】
また、本発明の一部は、式
【化15】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル、アリールであり、或いは、R4及びR5は、アンモニウム基のNと共に4〜8員環を形成し、ここで、前記環の1個のCH2基は、NH又はOで置換してよく、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-6アルキレンであり、
Mは架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はアニオンであり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル又はC1-6アルキレンは、非置換又は1つ以上のアリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでアリールは、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでR7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-6アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物と、式
【化16】

[式中、
22、R23及びR24は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであってよく、
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)R25、C(O)OR26、OR27、OC(O)R28、NR29C(O)R30又はC(O)NR3132であってよく、ここでアリールは、以下で概説されるように、非置換又は置換されていてもよく、
ここで、
25、R26、R27、R28、R31及びR32は、同一又は異なってよく、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく、及びR29及びR30は、同一又は異なってよく、R26と同じ意味を有してよく、更に、NC(O)と共に4〜7員環を形成してよく、ここで、
1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく;
2-30アルケニル基は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、
アリール基又はアリール−C1-30アルキレン−アリール基は、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、
ここで
33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、及び、ここで
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物との混合物である。
【0111】
式1〜4の化合物に対する上記の好ましさは、これらの化合物の混合物にも当てはまる。
【0112】
また、本発明の一部は、基材の表面に殺生的活性を付与するための本発明の方法の使用である。
【0113】
特に、本発明の一部は、医療分野で使用される基材の表面に殺生的活性を付与するための本発明の方法の使用である。かかる基材の例としては、インプラント、人工臓器、人工関節、人工血管、医療機器(例えば創傷ケア包帯、カテーテル、聴診器、チューブ、注射器、針)等のin−vivoで使用される基材がある。
【0114】
本発明の方法の利点は、大量連続方法において既存のプリント装置で基材に殺生性被膜を容易に被覆することが可能であるということである。更に、1つ以上の予備被膜層が存在する場合、これらの予備被膜層は、本発明の方法により形成された殺生性被膜層の付着の効率性及び耐久性が基材に依存しないという利点を有する。
【0115】
得られた殺生性被膜において、殺生剤は、基材に共有結合し、従って環境中に漏出し得ない。従って、基材の表面に直接接触していない生物は、基材の表面の殺生的活性の影響を受けない。非標的生物に対して被害をもたらすことがない他に、微生物(例えば細菌)における殺生剤への耐性の形成も起こらない。
【0116】
少なくとも5個のマクロモノマー単位を有するポリマーを形成し得るマクロモノマーであって、1’000〜1’000’000’000g/モルの範囲の分子量を有し、且つ、(メタ)アクリロイル部分である少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有するマクロモノマーを含む組成物から、殺生性被膜層が形成される場合、或いは、式4の好ましい化合物を含む組成物から殺生性被膜層が形成される場合、殺生性被膜層は非常に高い耐久性も示すが、それは、殺生性被膜層の殺生的活性が、種々の環境条件への殺生性層の曝露、例えば水への殺生性層の長期曝露の際に著しい影響を受けないということを意味する。
【0117】
実施例
実施例1
化合物1Aの製造
【化17】

【0118】
1000mLの丸底フラスコに、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(28.4g、0.18モル)、アセトニトリル(210g)及びドデシルブロミド(48.2g、0.19モル)を加える。氷水浴中で反応混合物を冷却し、沈殿物が形成されるまでジエチルエーテルを添加する。沈殿物を濾過し、乾燥して、白色固体を得る(54.5g、70.8%の収率)。
【0119】

【0120】
実施例2
化合物1Aを含む第1の組成物を用いた、基材の表面上への被膜層の形成
「AmTopp−CI50」(AmToppによって供給されている二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム)の片面に対して、42mmの幅を有する電極を用いて、50m/分のベルト速度で680Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、メタノールにおける33/65/2(質量/質量/質量)1A/ブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022の混合物の75質量%溶液を、40μmワイヤバーを用いてBOPPフィルムの片面に塗布する。メタノールが蒸発するまで、処理BOPPフィルムを保存する。12m/分のベルト速度で120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサと集束楕円反射器とを使用して、約500ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で乾燥処理BOPPフィルムに照射を行う。
【0121】
Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022は、Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)819の17/5/78(質量/質量/質量)の混合物(Ciba Specialty Chemicalsにより販売されるフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物/Lucirin(登録商標)TPO、BASFにより販売されるジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物/Ciba(登録商標)Darocur(登録商標)1173、Ciba Specialty Chemicalsにより販売される2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)である。
【0122】
実施例3
化合物1Aを含む第2の組成物を用いた、基材の表面上への被膜層の形成
メタノールにおける33/65/2(質量/質量/質量)の1A/ブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022の混合物の75質量%溶液の代わりに、メタノールにおける16.4/32.8/1.6/49.2(質量/質量/質量/質量)の1A/ブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022/Sartomer CN2301の混合物の75質量%溶液を、40μmワイヤバーを用いてBOPPフィルムの片面に塗布すること以外は、実施例2の方法を繰り返す。
【0123】
Sartomer CN2301は、アクリレートの多官能性を有する分岐鎖ポリエステルアクリレートオリゴマーであり、Sartomer Companyにより販売されている。
【0124】
実施例4
化合物1Aを含む第2の組成物を用いた、基材の表面上への被膜層の形成
40μmワイヤバーの代わりに、4μmワイヤバーを用いること以外は、実施例3の方法を繰り返す。
【0125】
比較例1
化合物1Aなしで第2の組成物を用いた、基材の表面上への被膜層の形成
メタノールにおける16.4/32.8/1.6/49.2(質量/質量/質量/質量)の1A/ブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022/Sartomer CN2301の混合物の75質量%溶液の代わりに、メタノールにおける49.0/2.0/49.0(質量/質量/質量)のブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022/Sartomer CN2301の混合物の75質量%溶液を用いたこと以外は、実施例4の方法を繰り返す。
【0126】
比較例2
基材の表面上への予備被膜層の形成
「AmTopp−CI50」(AmToppによって供給されている二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム)の表面の片面に対して、42mmの幅を有する電極を用いて、50m/分のベルト速度で680Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、次いで、イソプロパノールにおける31.9/13.7/9.1/22.7/22.7(質量/質量/質量/質量)の
【化18】

/トリプロピレングリコールジアクリレート/Ciba Specialty Chemicalsにより販売され、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィン酸化物であるCiba(登録商標)Irgacure(登録商標)819/トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer CompanyによりSR833Sとして販売されている)/2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート(Sartomer CompanyによりSR368として販売されている)の混合物の2.2質量%溶液を、50m/分のプレス速度の800LPI2.2BCMアニロックスロールとゴムスリーブとを用いるフレキソ印刷部により、1g(湿質量)/m2の割合で塗布する。湿潤ウェブを乾燥させ、500W/インチ(=約200W/cm)の率で、且つ、70%の出力で稼動する中圧水銀ランプを用いてUV照射によって硬化させる。
【0127】
実施例5
1Aを含む第2の組成物を用いた、あらかじめ予備被膜層を有する基材の表面上への被膜層の形成
比較例2において得られたBOPPフィルムを用いること以外は、実施例3の方法を繰り返す。
【0128】
実施例6
1Aを含む第2の組成物を用いた、あらかじめ予備被膜層を有する基材の表面上への被膜層の形成
比較例2において得られたBOPPフィルムを用いること以外は、実施例4の方法を繰り返す。
【0129】
比較例3
化合物1Aなしで第2の組成物を用いた、あらかじめ予備被膜層を有する基材の表面上への被膜層の形成
メタノールにおける16.4/32.8/1.6/49.2(質量/質量/質量/質量)の1A/ブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022/Sartomer CN2301の混合物の75質量%溶液の代わりに、メタノールにおける49.0/2.0/49.0(質量/質量/質量)のブチルアクリレート/Ciba(登録商標)Irgacure(登録商標)2022/Sartomer CN2301の混合物の75質量%溶液を用いたこと以外は、実施例6の方法を繰り返す。
【0130】
実施例2〜6の処理BOPPフィルムの殺菌活性の決定
実施例2〜6で得られた処理BOPPフィルムを、無菌の脱イオン水に1分間浸漬することによって洗浄し、次いで層流下で乾燥する。0.5質量%のトリプシンソイブロスを含有する0.85質量%のNaCl水溶液で、細菌株の一晩の培養物(それぞれ、大腸菌ATCC10536、黄色ブドウ球菌ATCC6538)を1:1000に希釈する。処理BOPPフィルムの試料(2×2cm)に、0.1mLの細菌懸濁液を接種し、生菌の終濃度を約105コロニー形成単位(CFU)とする。試料を、37℃で24時間インキュベートする。インキュベーション後、まず、不活化剤として1質量%のTween80及び0.3質量%のレシチンを含有するリン酸緩衝液(0.07M、pH7.4)を用いて処理BOPPフィルムの表面から細菌細胞を溶離し、ステップにおいて1:10ずつで溶離液を希釈し、各希釈ステップからのアリコートをカゼインソイミールペプトン寒天で平板培養し、プレートを24〜48時間インキュベートし、コロニー数を計数し、処理BOPPフィルムの表面の生菌数を再計数することによって、生菌の濃度[CFU]を決定する。
【0131】
同じ手順を、未処理BOPPフィルム(比較例4)、コロナ前処理BOPPフィルム(比較例5)、及び比較例1〜3の処理BOPPフィルムによっても繰り返す。37℃で24時間のインキュベーションの後の生菌の濃度[CFU]を決定する。下記の第1表及び第2表に結果をまとめる。
【0132】
【表1】

【0133】
第1表及び第2表によれば、四級アンモニウム化合物1Aを含む被膜層は、黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対して優れた表面殺菌活性を示す。
【0134】
実施例7
化合物1Bの製造
【化19】

【0135】
エタノール(60g)におけるN−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−N−ラウリル−ジメチルアンモニウムクロリド(10.35g)及び水酸化カリウム(1.71g)を、ポリエチレンイミン(分子量=、800g/モル、BASFによってLupasol(登録商標)FGとして販売されている)(5g)の溶液に添加し、混合物を、窒素下で、80℃で29時間加熱する。臭化アリル(5.63g)及び水酸化カリウム(2.6g)を添加し、混合物を還流下で6時間撹拌する。反応混合物を冷却し、濾過し、濃縮して、不透明な淡黄色のシロップを得る。22時間にわたる真空乾燥の後、8.6gの化合物1Bを得る。ポリアミン部分、ドデシル部分及びアリル部分は、NMRにより同定する。各ドデシル部分につき約1個のアリル部分が存在し、存在する各9個のエチレンアミノ部分につき、約1個のドデシル部分及び1個のアリル部分が存在する。
【0136】
実施例8
1Bを含む第3の組成物を用いた、基材の表面への被膜層の形成
ExxonMobil Chemical Companyによって供給された50μm幅の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムの両面に対して、BOPPフィルムまで0.8mm離れた1個のセラミック電極を用いて、3m/分のベルト速度で1×600Wのコロナ放電でコロナ前処理を行う。次いで、イソプロパノールにおける、式
【化20】

のSartomer CompanyによりSR−610として販売されているポリエチレングリコール(600)ジアクリレートと、式
【化21】

のポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)との90質量%の等モル混合物(4A、5A及び1Bの全質量に対する)及び10質量%の四級アンモニウム化合物1B(4A、5A及び1Bの全質量に対する)の1質量%溶液を、4μmワイヤバーを用いてBOPPフィルムの両面に塗布する。イソプロパノールが蒸発するまで、処理BOPPフィルムを保存する。50m/分のベルト速度で120W/cmの出力を有する中圧水銀ランプを有するUVプロセッサと二色性反射器とを使用して、約500ppmの酸素を含有する窒素雰囲気下で乾燥処理BOPPフィルムに照射を行う。WO06/067061の実施例3に記載のように、ポリエチレングリコール(600)ジ(フェニルグリオキシレート)(5A)を製造する。
【0137】
実施例9
基材の表面への、1Aを含む第3の組成物を用いた被膜層の形成
10質量%の1B(4A、5A及び1Bの全質量に対する)の代わりに、イソプロパノールにおける10質量%の1A(4A、5A及び1Aの全質量に対する)を用いること以外は、実施例8の方法を繰り返す。
【0138】
実施例10
化合物1Cの製造
【化22】

【0139】
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの代わりに、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートを用いること以外は、実施例1と同様にして化合物1Cを製造する。
【0140】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面を被覆する方法であって、以下のステップ
(i)基材の表面を酸化するステップと、
(ii)基材の酸化表面上に、1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物を含む組成物を塗布するステップと、
(iii)前記組成物を硬化させて、被膜層を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物が、式
【化1】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル、アリールであり、或いは、R4及びR5は、アンモニウム基のNと共に4〜8員環を形成し、ここで、前記環の1個のCH2基は、NH又はOで置換してよく、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-15アルキレンであり、
Mは架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はアニオンであり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル又はC1-15アルキレンは、非置換又は1つ以上のアリール、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでアリールは、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、OC2-6アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでR7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-15アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が1種以上の更なるエチレン性不飽和化合物も含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が1種以上のラジカル開始剤も含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が1種以上のラジカル開始剤を含まない、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が溶媒も含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が更なる成分も含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
1種以上の殺生剤が、ステップ(i)の前、ステップ(i)の後、且つ、ステップ(ii)の前、ステップ(ii)の後、且つ、ステップ(iii)の前、又はステップ(iii)の後に、前記基材の表面に塗布される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材があらかじめ1種以上の予備被膜層で予備被覆される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られる基材。
【請求項11】

【化2】

[式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであり、
4、R5及びR6は、同一又は異なってよく、C1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル、アリールであり、或いは、R4及びR5は、アンモニウム基のNと共に4〜8員環を形成し、ここで、前記環の1個のCH2基は、NH又はOで置換してよく、
Q及びYは、同一又は異なってよく、及び、C1-6アルキレンであり、
Mは架橋基であり、
n及びmは、同一又は異なってよく、及び、0又は1であり、
-はアニオンであり、
ここでC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C3-8シクロアルキル又はC1-6アルキレンは、非置換又は1つ以上のアリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでアリールは、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR7、C(O)NR89、OR10、NR1112、NHC(O)C(R13)=C(R14)R15、OC(O)C(R16)=C(R17)R18又はC(O)OC(R19)=C(R20)R21で置換されてもよく;
ここでR7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、同一又は異なってよく、及び、水素又はC1-6アルキルであり、
及びC1-6アルキレンの1個以上のCH2基は、N−CH2−CH=CH2、CH−CH=CH2、NH及び/又はOで置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和基を有する1種以上の四級アンモニウム化合物と、式
【化3】

[式中、
22、R23及びR24は、同一又は異なってよく、及び、水素、ハロゲン又はC1-6アルキルであってよく、
Aは、アリール、ハロゲン、CN、C(O)R25、C(O)OR26、OR27、OC(O)R28、NR29C(O)R30又はC(O)NR3132であり、
ここで、
25、R26、R27、R28、R31及びR32は、同一又は異なってよく、水素、C1-100アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、アリール、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2又はアリール−C1-30アルキレン−アリールであってよく、及びR29及びR30は、同一又は異なってよく、R26と同じ意味を有し、或いは、NC(O)と共に4〜7員環を形成し、ここで、
1-100アルキル、C1-6アルキレン−アリール−C1-6アルキル、C1-6アルキレン−アリール−(C1-6アルキル)2、C1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−C1-6アルキル及びC1-6アルキレン−C1-12シクロアルキル−(C1-6アルキル)2は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、OC2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく;
2-30アルケニル基は、非置換又は1つ以上のC3-8シクロアルキル、アリール、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、
アリール基又はアリール−C1-30アルキレン−アリール基は、非置換又は1つ以上のC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C2-30アルケニル、ハロゲン、CN、C(O)OR33、C(O)NR3435、OR36、NR3738、NHC(O)C(R39)=C(R40)R41、OC(O)C(R42)=C(R43)R44又はC(O)OC(R45)=C(R46)R47で置換されていてもよく、
ここで
33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、同一又は異なってよく、水素又はC1-6アルキルであってよく、及び、ここで
1-100アルキル又はC2-30アルケニルの1個以上のCH2基は、−O−、−NH−及び/又はフェニレンで置換してよく、C3-8シクロアルキルの1個のCH2基は、−O−で置換してよい]の1種以上のエチレン性不飽和化合物との混合物。
【請求項12】
基材の表面に殺生的活性を付与するための請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項13】
前記基材が医療分野で使用される基材である、請求項12に記載の使用。

【公表番号】特表2010−531156(P2010−531156A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504622(P2010−504622)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054519
【国際公開番号】WO2008/132045
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】