説明

殺虫性3−イミノプロパン酸誘導体

【課題】殺虫効果を示す新規な3−イミノプロパン誘導体を提供すること。
【解決手段】式Iで表される3−イミノプロパン誘導体及び殺虫剤としての利用。


(X、X及びXはO又はSを示し;R及びRはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、芳香族炭化水素基又は複素環式基を示し、RとRは一緒になって環を形成してもよく;Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、芳香族炭化水素基又は複素環式基を示し;Rはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、芳香族炭化水素基又は複素環式基を示す(R〜Rの各基は置換されていてもよい)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な3−イミノプロパン酸誘導体及びその殺虫剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び同2には、イミノプロペン化合物が殺虫活性を有することが記載されている。
【特許文献1】特開 2008−1681
【特許文献2】US 2008−4323−A1
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは、殺虫活性を有する新規化合物を探索した結果、下記式(I)で表わされる3−イミノプロパン酸誘導体を見出した。
【0004】
【化4】

式中、
、X及びXは、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示し、
また、RとRは、−X−C−X−と一緒になって環を形成してもよく、
は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示し、そして
は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示す。
【0005】
本発明の式(I)の化合物は、下記の製法により得ることができる。
【0006】
製法(a):{式(I)中、X及びXがSを示し、且つRとRが同時に同じ定義を示す場合、ここでRをRとする。}
式(II):
【0007】
【化5】

式中、X、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を、ハロゲン化剤と反応させ、次いで、
式(III):
−SH (III)
式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0008】
製法(b):{式(I)中、XがSを示す場合}
式(IV):
【0009】
【化6】

式中、X、X、R、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を、
式(V):
−Y (V)
式中、Rは前記と同義を示し、そしてYはハロゲンを示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0010】
製法(c):{式(I)中、X、X及びXがSを示す場合}
式(VI):
【0011】
【化7】

式中、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を、塩基又はフッ化物と反応させ、次いで
式(VII):
−SH (VII)
式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0012】
製法(d):{式(I)中、XがOを示す場合}
式(VIII):
【0013】
【化8】

式中、X、X、R、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を、メーヤワイン試薬と反応させる方法。
【0014】
製法(e):{式(I)中、X、X及びXがOを示す場合}
式(IX):
【0015】
【化9】

式中、R、R及びRは前記と同義を示し、そしてMはメチル、エチル又はp−トリルを示す、
で表わされる化合物を、
式(X):
−OH (X)
式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされる化合物と反応させる方法。
【0016】
本発明の式(I)の化合物は、強力な殺虫作用を示す。
【0017】
本明細書において、
「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖状又は分枝状のC1−12アルキルを示し、好ましくはC1−6アルキルを示す。
【0018】
「シクロアルキル」は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルのC3−8シクロアルキルを示し、好ましくはC3−6シクロアルキルを示す。
【0019】
「アルケニル」は、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル等のC2−6アルケニルを示し、好ましくはC2−4アルケニルを示す。
【0020】
「シクロアルケニル」は、例えば1−シクロプロペニル、2−シクロプロペニル、1−シクロブテニル、2−シクロブテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、1−シクロヘプテニル、2−シクロヘプテニル、3−シクロペンテニル、4−シクロペンテニル、1−シクロオクテニル等のC3−8シクロアルケニルを示し、好ましくはC5−6シクロアルケニルを示す。
【0021】
「アルキニル」は、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ブタン−1−イニル、4−ペンタン−1−イニル、5−ヘキサン−1−イニル等のC2−6アルキニルを示し、好ましくは、C2−4アルキニルを示す。
【0022】
「芳香族炭化水素基」は、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルに代表される基を示し、好ましくは、フェニルを示す。
【0023】
「複素環式基」は、ヘテロ原子として、O、S又はNを任意に含む、5員又は6員の複素環式基を示し、好ましくは、1〜3ヶのヘテロ原子を含み、ただしOを3ヶを含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示す。複素環式基の具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル等を挙げることができる。
【0024】
「置換されていてもよい」各基において、該置換基は、一般に、有機化学の分野で可能な置換基を包含し、例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、ハロアルキルスルホニル、アルケニル、アルキニル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アルキルカルバモイル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アラルキル、複素環式基置換−アルキル等を示す。
【0025】
式(I)の化合物において、
、X及びXが、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−12アルキル、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、置換されていてもよいC2−6アルケニル、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−6アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S、Nを任意に含む5員又は6員の複素環式基を示し、
また、RとRが一緒になって環を形成してもよく、
は、置換されていてもよいC1−12アルキル、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、置換されていてもよいC2−6アルケニル、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−6アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S、Nを任意に含む5員又は6員の複素環式基を示し、そして
が、置換されてもよいC1−12アルキル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNから選択されるヘテロ原子を任意に含む5員又は6員の複素環式基を示す、
場合の化合物が好適である。
【0026】
中でも、式(I)の化合物において、
、X及びXが、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示し、
また、RとRは、−X−C−X−と一緒になって環を形成してもよく、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示し、そして
が、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示す、
場合の化合物が特に好適である。
【0027】
本発明の式(I)の化合物は、不斉炭素を有する場合があり、従って、該化合物は、光学異性体を包含するものである。
【0028】
前記製法(a)は、原料として例えば、N−(4−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロプ−2−エンアミドとベンゼンチオール
を用いる場合、下記の反応式で表わすことができる。
【0029】
【化10】

【0030】
前記製法(b)は、原料として、例えば3−〔(4−フルオロフェニル)スルファニル〕−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンチオアミドと、ヨウ化イソブチルを用いる場合、下記の反応式で表わされる。
【0031】
【化11】

【0032】
前記製法(c)は、原料として、例えばシクロペンチル N−フェニル−3−(トリメチルシリル)プロプ−2−インイミドチオエートと、シクロペンタンチオールを用いる場合、下記の反応式で表わされる。
【0033】
【化12】

【0034】
前記製法(d)は、原料として、例えば3−〔(4−フルオロフェニル)スルファニル〕−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンアミドと、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウムを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0035】
【化13】

【0036】
前記製法(e)は原料として、例えばメチル−N−(3−メチルフェニル)−3,3−ビス(フェノキシ)プロパンイミドスルホネートとメタノールを用いる場合、下記反応式で表わされる。
【0037】
【化14】

【0038】
前記製法(a)において、式(II)の化合物は、例えば、Chemical and Pharmaceutical Bulletin 48巻、No.12、1854〜1861頁、2000年に記載の方法に従って、容易に合成でき、その代表例として、N−フェニル−3−フェニルスルファニル−アクリルアミドを挙げることができる。
【0039】
同様に、式(III)の化合物は、よく知られた化合物であり、その代表例として、下記化合物を挙げることができる。
ベンゼンチオール、
2−メチルベンゼンチオール、
3−メチルベンゼンチオール、
4−メチルベンゼンチオール、
2−フルオロベンゼンチオール、
3−フルオロベンゼンチオール、
4−フルオロベンゼンチオール、
2−クロロベンゼンチオール、
3−クロロベンゼンチオール、
4−クロロベンゼンチオール。
【0040】
また、ハロゲン化剤として、オキサリルクロリド、チオニルクロライド、五塩化リン、オキシ塩化リン等を挙げることができる。
【0041】
製法(a)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0042】
製法(a)の反応は、塩基の存在下で行なうことが望ましく、斯る塩基として、無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、
有機塩基として、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及び1,8−ジアザビシクロ「5.4.0」ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0043】
製法(a)の反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0044】
製法(a)の反応を実施するにあたっては、例えば、式(II)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばジクロロメタン中、1モル量乃至若干の過剰量の塩基およびハロゲン化剤と反応させた後、1モル量乃至若干の過剰量の式(III)の化合物を反応させることによって目的の式(I)の化合物を得ることができる。
【0045】
製法(b)における、式(IV)の化合物は、下記式(XI):
【0046】
【化15】

式中、X、X、R、R及びYは前記と同義を示す、
で表わされる化合物より調製したグリニャール試薬を、下記式(XII):
−N=C=S (XII)
式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされるイソチオシアネートと反応させることにより得ることができる。
【0047】
上記反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
を挙げることができる。
【0048】
上記反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0049】
上記反応を実施するにあたっては、例えば、式(XI)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばテトラヒドロフラン中、1モル量乃至若干の過剰量のマグネシウムを反応させた後、1モル量乃至若干の過剰量の式(XII)の化合物を反応させることによって式(IV)化合物を得ることができる。
【0050】
式(XI)の化合物は公知化合物であり、多くは市販されている。
【0051】
その具体例として
2−クロロメチル−1,3−ジオキソラン、
2−ブロモメチル−1,3−ジオキソラン
等を挙げることができる。
【0052】
式(XII)の化合物は公知化合物であり、多くは市販されている。
【0053】
その具体例として
フェニルイソチオシアネート、
2−メチルフェニルイソチオシアネート、
3−メチルフェニルイソチオシアネート、
4−メチルフェニルイソチオシアネート
等を挙げることができる。
【0054】
前記製法(b)において、XがSを示す場合の式(IV)の化合物は、下記式(XIII):
【0055】
【化16】

式中、R、R、R及びXは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を例えば、硫化剤と反応させることにより得られる。
【0056】
上記反応は、適当な希釈剤、例えばピリジン中で五硫化リンと約20℃〜約115℃で10分〜24時間反応させることにより行なうことができる。
【0057】
また、上記反応の硫化剤の代わりに、ローソン試薬(Lawesson試薬:2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド)を用いて、約20℃〜約111℃で10分〜24時間反応させることもできる。
【0058】
前記式(XIII)の化合物は、
式(XIV):
【0059】
【化17】

式中、R、R及びXは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を縮合剤の存在下、
式(XV):
−NH (XV)
式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされる化合物と反応させることにより得られる。
【0060】
上記反応において、縮合剤としては例えば、向山試薬(2−クロロ−N−メチルピリジニウム アイオダイド)、DCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド塩酸塩)、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、CDI(カルボニルジイミダゾール)、ジメチルプロピニルスルホニウム ブロマイド、プロパルギルトリフェニルホスホニウム ブロマイド、DEPC(シアノ燐酸ジエチル)等を
挙げることができる。
【0061】
上記反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;
アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等
を挙げることができる。
【0062】
上記反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0063】
上記反応を実施するにあたっては、例えば、式(XIV)の化合物1モルに対し、1モル量乃至若干の過剰量の式(XV)の化合物および1モル量乃至若干の過剰量の縮合剤とを、希釈剤例えばジクロロメタン中で反応させることによって式(XIII)の化合物を得ることができる。
【0064】
前記式(XIII)の化合物は、別法として、
式(XVI):
【0065】
【化18】

式中、R、R及びXは前記と同義を示し、Halは、ハロゲンを示す、
で表わされる化合物を塩基の存在下で、
前記式(XV)の化合物と反応させることにより得ることもできる。
【0066】
上記式(XVI)の化合物は、前記式(XIV)の化合物をハロゲン化剤と反応させることにより得ることができる。
【0067】
ここで、ハロゲン化剤としては、例えば、オキサリルクロライド、チオニルクロライド、チオニルブロマイド等を挙げることができる。
【0068】
上記した式(XIII)の化合物を得る別法は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0069】
塩基としては、無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等:
有機塩基として、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0070】
上記別法は、相間移動触媒を用いる方法によっても実施することができる、その際に使用される希釈剤の例としては、
水;
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等;
エーテル類例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル等;
挙げることができる
相間移動触媒の例としては、4級イオン類、例えば、テトラメチルアンモニウム ブロマイド、テトラプロピルアンモニウム ブロマイド、テトラブチルアンモニウム ブロマイド、テトラブチルアンモニウム ビススルフェイト、テトラブチルアンモニウム ヨーダイド、トリオクチルメチルアンモニウム クロライド、ベンジルトリエチルアンモニウム ブロマイド、ブチルピリジニウム ブロマイド、ヘプチルピリジニウム ブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウム クロライド等;
クラウンエーテル類、例えば、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、18−クラウン−6等;
クリプタンド類、例えば、〔2.2.2〕−クリプテート、〔2.1.1〕−クリプテート、〔2.2.1〕−クリプテート、〔2.2.B〕−クリプテート、〔2O2O2S〕−クリプテート、〔3.2.2〕−クリプテート等をあげることができる。
【0071】
上記別法は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約200℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0072】
上記別法を実施するに当たっては、例えば、式(XIV)の化合物1モルに、常法に従い、オキサリルクロライドを用いてクロル化し、式(XVI)の化合物を得、続けて、式(XV)の化合物の1モル乃至若干の過剰量をピリジン中で反応させることにより、式(XIII)の化合物を得ることができる。
【0073】
前記式(XIV)の化合物は、下記式(XVII):
【0074】
【化19】

式中、Rは前記と同義を示す、
で表わされる化合物をハロゲン化剤と反応させ、次いで、ルイス酸の存在下に下記式(XVIII):
−X−H (XVIII)
式中、RおよびXは前記と同義を示す、
で表わされる化合物と反応させることにより得ることができる。
【0075】
上記反応において、ハロゲン化剤として、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、スルフリルクロライドなどを用いることができる。
【0076】
ルイス酸として、塩化亜鉛、塩化チタン等を挙げることができる。
【0077】
上記反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0078】
アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等
を挙げることができる。
【0079】
上記反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0080】
上記反応を実施するにあたっては、例えば、式(XVII)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばジクロロエタン中、1モル量乃至若干の過剰量のハロゲン化剤と反応させた後、ルイス酸1モル量乃至5モル量および1モル量乃至若干の過剰量の式(XVIII)の化合物を反応させることによって目的化合物を得ることができる。
【0081】
原料である式(XVII)の化合物は公知化合物であり、多くは市販されている。
その具体例として
3−フェニルスルファニル−プロピオン酸
等を挙げることができる。
【0082】
原料である式(XVIII)の化合物は公知化合物であり、多くは市販されている、
その具体例として
フェノール、
2−メチルフェノール、
3−メチルフェノール、
4−メチルフェノール、
2−フルオロフェノール、
3−フルオロフェノール、
4−フルオロフェノール、
2−クロロフェノール、
3−クロロフェノール、
4−クロロフェノール、
ベンゼンチオール、
2−メチルベンゼンチオール、
3−メチルベンゼンチオール、
4−メチルベンゼンチオール、
2−フルオロベンゼンチオール、
3−フルオロベンゼンチオール、
4−フルオロベンゼンチオール、
2−クロロベンゼンチオール、
3−クロロベンゼンチオール、
4−クロロベンゼンチオール
等を挙げることができる。
【0083】
前記製法(b)において、式(V)の化合物は公知化合物であり、代表例としては、メチルクロライド、メチルブロマイド、メチルヨーダイド、エチルクロライド、エチルブロマイド、エチルヨーダイド等を挙げることができる。
【0084】
製法(b)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;
アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等
を挙げることができる。
【0085】
製法(b)の反応は、塩基の存在下で行なうことが望ましくは、斯る塩基としては、
塩基として、無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等:
有機塩基として、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0086】
製法(b)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0087】
製法(b)を実施するにあたっては、例えば、式(IV)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばN,N−ジメチルホルムアミド中、1モル量乃至若干の過剰量の塩基および式(V)の化合物と反応させることによって目的の式(I)の化合物を得ることができる。
【0088】
製法(c)において、式(VI)の化合物は、WO2007/063702公報に記載の公知方法に従って、合成することができ、例えば、シクロペンチル N−フェニル−3−(トリメチルシリル)プロプ−2−インイミドチオエートを挙げることができる。
【0089】
また、式(VII)の化合物は、チオール類としてよく知られた化合物であり、例えば、メタンチオール、エタンチオール、ベンゼンチオール等を挙げることができる。
【0090】
上記製法(c)において、塩基として、無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
【0091】
フッ化物として、フッ化アルカリ金属あるいはフッ化4級アンモニウム塩、例えば、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウムなどを挙げることができる。
【0092】
製法(c)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;
アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等
を挙げることができる。
【0093】
製法(c)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもでき
製法(c)を実施するにあたっては、例えば、式(VI)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばメタノール中、0.05モル量乃至1モルの塩基と反応させた後、1モルの式(VII)の化合物とを反応させることによって目的の式(I)の化合物を得ることができる。
【0094】
前記製法(d)において、式(VIII)の化合物は、Synthesis(1982年)、137−138頁に記載の方法に従って、合成することができ、例えば、3,3−ジメトキシ−N−フェニルプロパンアミドを挙げることができる。
【0095】
また、メーヤワイン試薬としては、よく知られた、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウムを挙げることができる。
【0096】
製法(d)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等;
を挙げることができる。
【0097】
製法(d)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもでき
製法(d)を実施するにあたっては、例えば、式(VIII)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばジクロロメタン中、1モル量乃至若干の過剰量のメーヤワイン試薬を反応させることによって目的の式(I)化合物を得ることができる。
【0098】
前記製法(e)における式(IX)の化合物は、
下記式(XIX):
【0099】
【化20】

式中、R、R、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物を、酸化剤と反応させることにより、得ることができる。
【0100】
上記式(XIX)の化合物は、本発明の式(I)に包含される化合物である。
【0101】
酸化剤としては、例えば、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、メタ過ヨウ素酸カリウム、過硫酸水素カリウム、過酸化水素等;
を挙げることができる。
【0102】
上記反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等;
酸類、例えば、ギ酸、酢酸等;
を挙げることができる。
【0103】
上記反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0104】
上記反応を実施するにあたっては、例えば、式(XIX)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばテトラヒドロフラン中、1モル〜5モル量の酸化剤を反応させることによって目的の式(IX)の化合物を得ることができる。
【0105】
上記反応は、例えば、実験科学講座 日本化学会編 第4版 第24巻 365頁、1992年 丸善発行に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0106】
製法(e)の反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、
脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;
エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;
ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;
アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等;
アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。
【0107】
製法(e)の反応は、塩基の存在下で行なうことが望ましくは、斯る塩基として、無機塩基としてアルカリ金属の、水素化物、アルコキシド、水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、
有機塩基として、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類及びピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)等を挙げることができる。
【0108】
製法(e)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約−20〜約110℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0109】
製法(e)を実施するにあたっては、例えば、式(IX)の化合物1モルに対し、希釈剤例えばN,N−ジメチルホルムアミド中、1モル量乃至若干の過剰量の塩基および1モル量乃至若干の過剰量の式(X)の化合物を反応させることによって目的の式(I)の化合物を得ることができる。
上記した本発明の式(I)の化合物の製法において、それの原料(出発物質、中間体)となる化合物には、新規化合物が含まれ、これらの化合物は、下記式(XX)又は式(XIV)で表わすことができる。
【0110】
式(XX):
【0111】
【化21】

式中、X、X、X、R、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物。
【0112】
式(XIV):
【0113】
【化22】

式中、X、R及びRは前記と同義を示す、
で表わされる化合物。
【0114】
本発明の式(I)の化合物は強力な殺虫作用を現す。従って、本発明の式(I)の化合物は殺虫剤として使用することができる。そして、本発明の式(I)の活性化合物は、栽培植物に対し薬害を与えることなく、有害昆虫に対し的確な防除効果を発揮する。また、本発明の化合物は、広範な種々の害虫、例えば、有害な吸汁性昆虫、咀しゃく性昆虫およびその他の植物寄生害虫、貯蔵害虫、衛生害虫等の防除のために使用することができ、それらの駆除撲滅のために適用することができる。
【0115】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0116】
昆虫類として、
甲虫目害虫、例えば、
アズキゾウムシ(Callosobruchus Chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、オオニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes ogurae fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemlineata)、コーンルートワーム類(Diabrotica spp.)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus endai)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis);
チョウ目害虫、例えば、
マイマイガ(Lymantria dispar)、オビカレハ(Malacosoma neustria)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes honmai)、コドリンガ(Cydia pomonella)、カブラヤガ(Agrotis segetum)、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)、コナガ(Plutella xylostella)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella);
カメムシ目害虫、例えば、
ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicas)、ヨーロッパリンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis erysimi)、ナシグンバイ(Stephanitis nashi)、アオカメムシ類(Nezara spp.)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、キジラミ類(Psylla spp.);
アザミウマ目害虫、例えば、
ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Franklinella occidentalis);
バッタ目害虫、例えば、
アフリカケラ(Gryllotalpa africana)、トノサマバッタ(Locusta migratoria);
ゴキブリ目害虫、例えば、
チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
ハエ目害虫、例えば、
イエバエ(Musca domestica)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、タネバエ(Delia platura)、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)
等を挙げることができる。また、
ダニ類として、例えば、
ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、ホコリダニ類(Tarsonemus spp.)
等を挙げることができる。さらに、
センチュウ類として、例えば、
サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoies besseyi)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus spp.)
等を挙げることができる。
【0117】
更に、獣医学の分野において、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生虫(内部および外部寄生虫)、例えば、昆虫類およびぜん虫に対して有効に使用することができる。そのような動物寄生虫の例としては、以下の如き害虫を例示することができる。
【0118】
昆虫類としては、例えば、
ウマバエ類(Gasterophilus spp.)、サシバエ類(Stomoxys spp.)、ハジラミ類(Trichodectes spp.)、サシガメ類(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、トコジラミ(Cimx lectularius)
等を挙げることができる。
【0119】
ダニ類としては、例えば、
カズキダニ類(Ornithodoros spp.)、マダニ類(Ixodes spp.)、オウシマダニ類(Boophilus spp.)
等を挙げることができる。
【0120】
本発明ではこれらすべてを包含する害虫類に対する殺虫作用を有する物質を殺虫剤と呼ぶことがある。
【0121】
本発明の活性化合物は、殺虫剤として使用する場合、通常の製剤形態にすることができる。製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、粒状水和剤、懸濁剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、錠剤、粒剤、エアゾール、活性化合物浸潤−天然及び合成物、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燃焼装置を備えた製剤(例えば、燃焼装置としては、くん蒸及び煙霧カートリッジ、かん、コイルなど)、ULV[コールドミスト(cold mist)、ウォームミスト(warm mist)]等を挙げることができる。
【0122】
これらの製剤はそれ自体既知の方法で製造することができる。例えば、活性化合物を、展開剤、即ち、液体の希釈剤又は担体;液体ガス希釈剤又は担体;固体の希釈剤又は担体と、そして場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡沫形成剤等と共に混合することによって製造することができる。
【0123】
展開剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒をまた補助溶媒として使用することができる。
【0124】
液体希釈剤又は担体としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン類)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分類))、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール及びそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、水などを挙げることができる。
【0125】
液化ガス希釈剤又は担体は、常温常圧ではガスであるもの、例えば、ブラン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素類のようなエアゾール噴射剤を挙げることができる。
【0126】
固体希釈剤としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト又は珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。
【0127】
粒剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機又は有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体などを挙げることができる。
【0128】
乳化剤及び/又は泡沫剤としては、例えば、非イオン及び陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩等]、アルブミン加水分解生成物などを挙げることができる。
【0129】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液、メチルセルロースが包含される。
【0130】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然又は合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコールそしてポリビニルアセテート等)などを挙げることができる。
【0131】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料、そしてさらに、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0132】
該製剤は、一般には、前記活性成分を0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内の量で含有することができる。
【0133】
本発明の式(I)活性化合物は、それらの商業上有用な製剤形態で及びそれらの製剤から調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調整剤、除草剤などとの混合剤として存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、アリールピラゾール剤、ネオニコチノイド剤、微生物より生産される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0134】
さらに、本発明の式(I)の活性化合物は、協力剤との混合剤としても存在することができ、かかる製剤及び使用形態は商業上有用なものを挙げることができる。該協力剤はそれ自体活性である必要はなく、活性化合物の作用を増強する化合物である。
【0135】
本発明の式(I)の活性化合物の商業上有用な使用形態における含有量は広い範囲内で変えることができる。
【0136】
本発明の式(I)の活性化合物の実際の使用上の濃度は、例えば、0.0000001〜100重量%、好ましくは、0.00001〜1重量%の範囲内とすることができる。
【0137】
本発明の式(I)の化合物は使用形態に適合した通常の方法で使用することができる。
【0138】
本発明の活性化合物は、衛生害虫、貯蔵物に対する害虫に使用するに際して、石灰物質上のアルカリに対する有効な安定性を有しており、しかも木材及び土壌における優れた残効性を示す。
【0139】
また、本発明の活性化合物は温血動物に低毒性であり、安全に使用することもできる。
【実施例】
【0140】
次に、実際例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【0141】
合成例1
フェニル−N−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(フェニルスルファニル)プロパンイミドチオエートの合成
【0142】
【化23】

【0143】
N−(4−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロプ−2−エンアミド (1.0g)のジクロロメタン溶液にピリジン(0.32g)を0℃で加え、続いて塩化オキサリル(0.52g)のジクロロメタン溶液を滴下した。30分攪拌後、ベンゼンチオール(0.41g)を加え、室温で13時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、フェニル−N−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(フェニルスルファニル)プロパンイミドチオエート(0.2g)を得た。
【0144】
合成例2
2−メチルプロピル (1)−3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンイミドチオエートの合成
【0145】
【化24】

【0146】
合成例2−1
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−3−(フェニルスルファニル)プロパン酸の合成
【0147】
【化25】

【0148】
3−(フェニルスルファニル)プロパン酸(2.0g)の1,2−ジクロロエタン(30ml)溶液にN−クロロスクシンイミド(1.5g)を氷冷下少しずつ加えた後、室温で3時間攪拌した。攪拌終了後、テトラヒドロフラン(30ml)、塩化亜鉛(2.0g)を加え、4−フルオロチオフェノール(1.2g)を氷冷下滴下して加えた。室温で10時間攪拌した後、反応液を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]− 3−(フェニルスルファニル)プロパン酸(2.2g)を得た。
【0149】
合成例2−2
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)− 3−(フェニルスルファニル)プロパンアミドの合成
【0150】
【化26】

【0151】
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−3−(フェニルスルファニル)プロパン酸(2.2g)のジクロロメタン(50ml)溶液に3−メチルアニリン(1.0g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.0g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.1g)を加えた。室温で1時間攪拌した後、反応液を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウム乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンアミド(1.7g)を得た。
【0152】
合成例2−3
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)− 3−(フェニルスルファニル)プロパンチオアミドの合成
【0153】
【化27】

【0154】
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンアミド(1.0g)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液にローソン試薬(1.2g)を加えた。60℃で10時間攪拌した後、溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)− 3−(フェニルスルファニル)プロパンチオアミド(1.0g)を得た。
【0155】
合成例2−4
2−メチルプロピル (1)−3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンイミドチオエートの合成
【0156】
【化28】

【0157】
3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンチオアミド(0.4g)のN,N−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液にヨウ化イソブチル(0.3g)を加えた。氷冷下炭酸カリウム(0.2g)を加え、10℃〜15℃で2時間攪拌した。反応液を氷にあけてヘキサンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウム乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し2−メチルプロピル (1)−3−[(4−フルオロフェニル)スルファニル]−N−(3−メチルフェニル)−3−(フェニルスルファニル)プロパンイミドチオエート(0.2g)を得た。
【0158】
合成例3
シクロペンチル3,3−ビス(シクロペンチルスルファニル)−N−フェニル プロパンイミドチオエートの合成
【0159】
【化29】

【0160】
シクロペンチルN−フェニル−3−(トリメチルシリル)プロプ−2−インイミドチオエート(0.91g)のメタノール溶液に炭酸カリウム(0.02g)を0℃で加え、1時間攪拌した。その後、シクロペンタンチオール(0.37g)のメタノール溶液を0℃で加え、15時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しシクロペンチル3,3−ビス(シクロペンチルスルファニル)−N−フェニル プロパンイミドチオエート(0.15g)を得た。
【0161】
合成例4
2−メチルプロピル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンイミドチオエートの合成
【0162】
【化30】

【0163】
合成例4−1
2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンチオアミドの合成
【0164】
【化31】

【0165】
マグネシウム(0.15g)のテトラヒドロフラン(THF)懸濁液にヨウ素(0.06g)を加え、2−ブロモメチル−1,3−ジオキソラン(1.0g)のTHF溶液を加熱しながらゆっくり滴下した。2時間加熱還流した後、0℃に冷却し、4−メチルフェニル イソチオシアネート(0.89g)のTHF溶液を滴下し、5時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却した後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンチオアミド(0.25g)を得た。
【0166】
合成例4−2
2−メチルプロピル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンイミドチオエートの合成
【0167】
【化32】

【0168】
2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンチオアミド(0.25g)、ヨウ化イソブチル(0.29g)及び炭酸カリウム(0.22g)のアセトニトリル溶液を3時間加熱還流した。室温に冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2−メチルプロピル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(4−メチルフェニル)エタンイミドチオエート(0.25g)を得た。
【0169】
上記合成例と同様の方法により得られる本発明の式(I)の化合物を第1表〜第4表に示す。代表化合物の物性値を第5表に示す。尚、上記合成例の化合物も表に示す。
【0170】
表中の表示は下記のものを示す。
Ph:フェニル、i−Bu:イソブチル、
c−Pen:シクロペンチル、Et:エチル、n−Pr:n−プロピル、
i−Pr:イソプロピル、n−Bu:n−ブチル、
i−Bu:イソブチル、s−Bu:sec−ブチル、
c−Hex:シクロヘキシル
【0171】
【表1】





















【0172】
【表2】




【0173】
【表3】



【0174】
【表4】



【0175】
【表5】

【0176】
生物試験例1:ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)幼虫に対する試験
供試薬液の調製
溶剤:ジメチルホルムアミド 3重量部
乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 1重量部
適当な活性化合物の調合物を作るために、活性化合物1重量部を上記量の乳化剤を含有する上記量の溶剤と混合し、その混合物を水で所定濃度まで希釈した。
【0177】
試験方法
サツマイモの葉を所定濃度の水希釈した供試薬液に浸漬し、薬液の風乾後、直径9cmのシャーレに入れ、ハスモンヨトウ3令幼虫を10頭放ち、25℃の定温室に置き、2日及び4日後にサツマイモの葉を追加し、6日後に死虫数を調べ殺虫率を算出した。
【0178】
本試験では1区2シャーレの結果を平均した。
【0179】
上記試験の結果、有効成分濃度500ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0180】
1−4、1−358、1−397、1−435、1−448、1−572、1−578、1−659、1−672、1−745
【0181】
生物試験例2:ナミハダニ(Tetranychus urticae)に対する試験(散布試験)
試験方法
直径6cmのポットに栽培した本葉2枚展開期のインゲンの葉に、ナミハダニの成虫を50〜100頭接種し、1日後に上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液を、スプレーガンを用いて充分量散布した。散布後温室内に置いて6日後に殺ダニ率を算出した。
【0182】
上記試験の結果、有効成分濃度500ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が90%以上の殺虫率を示した。
【0183】
1−358、1−397、1−572、1−578、1−639、1−745
【0184】
生物試験例3:ウリハムシ(Aulacophora femoralis)に対する試験(散布試験)
試験方法
キュウリ葉を上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液に浸漬し、薬液の風乾後、滅菌消毒した黒土土壌を入れたプラスチックカップに入れ、ウリハムシ2令幼虫を5頭放虫した。6日後に死虫数を調べ、殺虫率を算出した。
【0185】
上記試験の結果、有効成分濃度500ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0186】
1−4、1−358、1−397、1−435、1−448、1−572、1−578、1−659、1−672、1−792
【0187】
生物試験例4:有機リン剤、及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシ(Myzus persicae)に対する試験
試験方法
直径6cmのポットに栽培した本葉2枚展開のナスの葉に飼育した有機リン剤、及びカーバメート剤抵抗性モモアカアブラムシを1苗当り約30〜50頭接種し、接種1日後に、上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液をスプレーガンを用いて、充分量散布した。散布後、温室内に放置し、散布7日後に殺虫率を算出した。尚、試験は2回反復で行った。
【0188】
上記試験の結果、有効成分濃度500ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が90%以上の殺虫率を示した。
【0189】
1−4、1−358、1−397、1−435、1−572、1−578、1−659、1−672
【0190】
生物試験例5:オウシマダニ(Boophilus microplus)に対する注射試験
供試薬液の調製
溶剤:ジメチルスルホキシド
適当な活性化合物の調合物を作るために、活性化合物10mgを上記溶剤0.5mlに溶解し、その混合物を水で所定濃度まで希釈した。
【0191】
試験方法
5頭のオウシマダニ飽血雌成虫の腹部へ、上記で調製された化合物溶液を注射した。オウシマダニをシャーレに移し、一定期間、飼育器の中で飼育した。
【0192】
一定期間経過後、オウシマダニの致死率を求めた。その際、100%は、産卵した卵がすべて孵化しなかったことを意味し、0%はすべての卵が孵化したことを意味する。
【0193】
上記試験の結果、有効成分濃度20μg/頭で、例えば、下記化合物No.の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0194】
1−4、1−358、1−397、1−448、1−572、1−578、1−659、1−672
【0195】
生物試験例6:ヒツジキンバエ(Lucillia cuprina)に対する試験
試験方法
1立方センチメートルの馬ひき肉と上記試験例5と同様に調製された化合物水溶液0.5mlの入っている試験管へ、約20から30頭のヒツジキンバエの幼虫を入れた。
【0196】
一定期間経過後、ヒツジキンバエの致死率の割合を測定した。その際、100%は、すべてのヒツジキンバエが死んだことを意味し、0%はすべて生存していることを意味する。
【0197】
上記試験の結果、有効成分濃度100ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0198】
1−4、1−358、1−397、1−435、1−448、1−572、1−578、1−659、1−672
【0199】
生物試験例7:イエバエ(Musca domestica)に対する試験
試験方法
試験の準備段階として、一定の大きさのスポンジに砂糖と上記試験例5と同様に調製された化合物水溶液の混合物を染み込ませて、試験容器中に置いた。10頭のイエバエの成虫を容器へ入れて、通気用の穴をあけた蓋をした。
【0200】
一定期間経過後、イエバエの致死率の割合を測定した。その際、100%は、すべてのイエバエが死んだことを意味して、0%はすべて生存していることを意味する。
【0201】
上記試験の結果、有効成分濃度100ppmで、例えば、下記化合物No.の化合物が100%の殺虫率を示した。
【0202】
1−4、1−435、1−448
【0203】
製剤例1(粒剤)
本発明化合物(No.1−4)10部、ベントナイト(モンモリロナイト)30部、タルク(滑石)58部及びリグニンスルホン酸塩2部の混合物に、水25部を加え、良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0204】
製剤例2(粒剤)
0.2〜2mmの範囲内の粒径分布を有する粘土鉱物粒95部を回転混合機に入れ、回転下、液体希釈剤とともに本発明化合物(No.1−358)5部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0205】
製剤例3(乳剤)
本発明化合物(No.1−397)30部、キシレン55部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル8部及びアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム7部を混合攪拌して乳剤とする。
【0206】
製剤例4(水和剤)
本発明化合物(No.1−435)15部、ホワイトカーボン(含水無晶形酸化ケイ素微粉末)と粉末クレーとの混合物(1:5)80部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部及びアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物3部を粉砕混合し、水和剤とする。
【0207】
製剤例5(水和顆粒)
本発明化合物(No.1−572)20部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩30部及びベントナイト15部、焼成ケイソウ土粉末35部を充分に混合し、水を加え、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、水和顆粒とする。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明の新規な3−イミノプロパン酸誘導体は前記の実施例に示したとおり、殺虫剤として優れた殺虫作用を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、
、X及びXは、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示し、
また、RとRは、−X−C−X−と一緒になって環を形成してもよく、
は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示し、そして
は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいシクロアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は置換されていてもよい複素環式基を示す、
で表される3−イミノプロパン酸誘導体。
【請求項2】
、X及びXが、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−12アルキル、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、置換されていてもよいC2−6アルケニル、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−6アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S、Nを任意に含む5員又は6員の複素環式基を示し、
また、RとRが一緒になって環を形成してもよく、
は、置換されていてもよいC1−12アルキル、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、置換されていてもよいC2−6アルケニル、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−6アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S、Nを任意に含む5員又は6員の複素環式基を示し、そして
が、置換されてもよいC1−12アルキル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNから選択されるヘテロ原子を任意に含む5員又は6員の複素環式基を示す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、X及びXが、それぞれ独立して、O又はSを示し、
及びRが、それぞれ独立して、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示し、
また、RとRは、−X−C−X−と一緒になって環を形成してもよく、
が、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示し、そして
が、置換されていてもよいC1−6アルキル、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、置換されていてもよいC2−4アルケニル、置換されていてもよいC5−6シクロアルケニル、置換されていてもよいC2−4アルキニル、置換されていてもよいフェニル、又は置換されていてもよいO、S及びNより選ばれるヘテロ原子1〜3ヶを含む、ただしOを3ヶ含むことはない、5員又は6員の複素環式基を示す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する殺虫剤。
【請求項5】
式(XX):
【化2】

式中、X、X、X、R、R及びRは請求項1の記載と同義を示す、
で表わされる化合物。
【請求項6】
式(XIV):
【化3】

式中、X、R及びRは請求項1の記載と同義を示す、
で表わされる化合物。

【公開番号】特開2010−132583(P2010−132583A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308145(P2008−308145)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】