説明

毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクション及び方法

本発明は、経皮的マイクロプロジェクション送達デバイスのコーティングの変動性を低下させるための、方法及びデバイスを提供する。このデバイスは1つ又は複数の角質層貫通型マイクロプロジェクションを含み、それぞれのマイクロプロジェクションは、コーティング配合物の移動を制限する毛管作用制御特徴部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされたマイクロプロジェクションアレイを使用して、生物活性物質を経皮的に送達するためのデバイス及び方法に関する。より詳細には本発明は、マイクロプロジェクション上にコーティングされる活性物質の量の変動性を低下させ、それによって送達量の一貫性を改善するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性物質(又は薬物)は最も一般的には、経口、又は注射のいずれかによって投与される。残念ながら、多くの活性物質は、経口的に投与すると、吸収されないか、又は血流に入る前に悪影響を受けるので、効果が完全に無くなるか、又は有効性が徹底的に低下し、したがって望ましい活性を有していない。一方、血流中に活性物質を直接注射することは、投与の間に、活性物質が修飾されることはないが、困難で、不便で、痛みを伴う不快な手順であり、患者のコンプライアンスの低下につながることがある。
【0003】
代替として、経皮的送達が、そうしなければ皮下注射、静脈内注入又は経口的に送達することが必要となる生物活性物質を投与する方法をもたらす。経口送達と比較すると経皮的送達は、消化管の厳しい環境を避け、胃腸内の薬物代謝を回避し、初回通過効果を減らし、消化及び肝臓酵素による考えられる失活を避ける。
【0004】
当技術分野でよく知られているように、外科用ナイフによる切開又は皮下注射針による皮膚の貫通などの皮膚の実質的な切開又は貫通を伴わない、皮膚から局所組織又は全身循環系への、活性物質(例えば、核酸又は薬物などの他の治療用物質)の送達を言及するために使用される、語句「経皮的」を使用する。
【0005】
経皮的物質送達は、受動的拡散による送達、並びに電気(例えばイオントフォレシス)及び超音波(例えばフォノフォレシス)を含めた、外部エネルギー源による送達を含む。大部分の物質は角質層と表皮の両方を介して拡散するはずであるが、角質層を介した拡散の割合は律速段階であることが多い。多くの化合物は、治療用量を得るために、単純で受動的な経皮的拡散によって得ることができる割合より、高い送達の割合を必要とする。
【0006】
受動的経皮的な拡散物質の流動を増大させる1つの一般的な方法は、物質、皮膚浸透促進剤を用いた皮膚の予備処置、又は皮膚浸透促進剤との同時送達を含む。浸透促進剤は、物質を送達する身体表面に施すと、そこを介した物質の流動を増大させる。しかしながら、経皮的な物質の流動を増大させるこれらの方法の有効性は、特に大きな分子に関して制限されてきている。
【0007】
最外殻皮膚層を機械的に浸透又は粉砕し、それによって皮膚への経路を作製して経皮送達する物質の量を増大させるために開発された、多くの技法及びシステムも存在している。例示的なのは皮膚乱切用デバイス、即ちスカリファイヤーであり、これは典型的には、施用領域を引っ掻くか又は小さく切断するために皮膚に施される複数のタイン又はニードルを与える。ワクチンなどの物質は、米国特許第5,487,726号で開示されている通り皮膚に局所的に、又は米国特許第4,453,926号、第4,109,655号、及び第3,136,314号で開示されている通りスカリファイヤーのタインに施される湿潤液体として施用される。
【0008】
経皮的な物質の送達を増大させるために小さな貫通型要素又はマイクロプロジェクションを使用する他のデバイスは、いずれもその全容が参照として本明細書に組み込まれる、欧州特許EP0407063A1、Godshall,et alに発行された米国特許第5,879,326号、Ganderton,et alに発行された米国特許第3,814,097号、Gross,et alに発行された米国特許第5,279,544号、Lee,et alに発行された米国特許第5,250,023号、Gerstel,et alに発行された米国特許第3,964,482号、Kravitz,et alに発行された再発行25,637、及びPCT公開番号WO96/37155、WO96/37256、WO96/17648、WO97/03718、WO98/11937、WO98/00193、WO97/48440、WO97/48441、WO97/48442、WO98/00193、WO99/64580、WO98/28037、WO98/29298、及びWO98/29365で開示されている。
【0009】
これらの参照文献中に開示された貫通型要素は一般に、パッド又はシートなどの薄くて平らな部材から垂直に伸びている。これらの貫通型要素は典型的には非常に小さく、幾つかの貫通型要素はわずか約25〜400μmの寸法(即ちマイクロブレード長及び幅)及びわずか約5〜50μmのマイクロブレード厚を有する。
【0010】
開示されたシステムは一般に、活性物質を保持するためのリザーバー、及び中空タイン又はニードルなどによってリザーバーから角質層へ活性物質を移動させるための送達システムを含む。
【0011】
又は、活性物質を含む配合物をマイクロプロジェクションにコーティングすることができる。例示するのは、参照として完全に本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2002/0132054号、同第2002/0193729号、同第2002/0177839号、同第2002/0128599号、及び米国特許出願第10/045,842号で開示されたシステムである。コーティングされたマイクロプロジェクションシステムは、別の物理的リザーバー及びリザーバーに特異的な物質の配合物又は組成物の開発の必要性を排除する。
【0012】
しかしながら、この送達法に関する1つの課題は、コーティングされた物質の再現可能な投与を達成することにある。特に、従来のコーティング手段は、送達デバイスに充填される活性物質の量の相当な変動をもたらす可能性がある。
【0013】
例えばディップコーティングは、流体のリザーバー中にマイクロプロジェクションの先端を置くことを一般に含む、送達デバイスのマイクロプロジェクションに活性物質を施す方法である。毛管作用によって、流体がさまざまな高さまでマイクロプロジェクションの両側に運ばれ、マイクロプロジェクションアレイ上のコーティングされる物質の量及び物質の位置の不一致が生じる。
【0014】
当業者によって理解されるように、流体がマイクロプロジェクションを上昇する距離は、先端が流体中に浸される深さ、流体の粘度、液体とマイクロプロジェクション材料の接触角、及び先端が流体中に浸される時間の関数である。さらに、アレイ中のマイクロプロジェクションが互いに隣接していることによって、アレイの周辺よりもアレイの中心において流体が高く移動する環境が生じる。
【0015】
記した影響によって、マイクロプロジェクション送達デバイス上に添加される活性物質の量の相当な変動性が存在し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、マイクロプロジェクションデバイスを使用して生物活性物質の経皮的送達を増大させるための方法及び組成物を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、マイクロプロジェクション上にコーティングされる活性物質の量の変動性を低下させるデバイス及び方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、コーティングマイクロプロジェクションデバイスを使用して、より一貫した量の生物活性物質を送達するためのデバイス及び方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、活性物質配合物をマイクロプロジェクション送達デバイスに施したときに毛管作用を制限する、デバイス及び方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、マイクロプロジェクションにおけるコーティング厚さをより正確に制御するための、デバイス及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の目的、及び以下に言及し明らかになるはずである目的によれば、本発明の一態様は、毛管作用制御特徴部を有する少なくとも1つの角質層貫通型マイクロプロジェクションを有するマイクロプロジェクション部材を含む経皮的送達デバイスであって、マイクロプロジェクションが遠位端から近位端に広がる長さ及び厚さを有し、毛管作用制御特徴部が遠位端と前記近位端の間に位置し、マイクロプロジェクションが毛管作用制御特徴部の位置に第一の幅を有するデバイスを含む。毛管作用制御特徴部は、好ましくはマイクロプロジェクションの遠位端から約25μm〜200μmの範囲に位置する。
【0022】
本発明の一実施形態では、毛管作用制御特徴部は、マイクロプロジェクションの長さと直角をなす罫書き線(scribe line)を含む。罫書き線は、好ましくはマイクロプロジェクションの各側上の第一の幅の少なくとも50%伸びている。罫書き線は隆起部分又は谷部分として形成することができる。さらに好ましくは、罫書き線は約5μmからマイクロプロジェクションの厚さの25%の範囲の厚さを有する。
【0023】
本発明の他の実施形態では、毛管作用制御特徴部は1つの空隙を含む。好ましくは、空隙は、毛管作用制御特徴部の位置において、マイクロプロジェクションの幅の約半分までの水平寸法を有する。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態では、毛管作用制御特徴部は毛管作用制御特徴部の位置に最大幅から最小幅への移行を含む。好ましくは、マイクロプロジェクションは最大幅の約25%〜100%の範囲の最小幅を有しており、さらに好ましくは、最大幅の約35%〜70%の範囲の最小幅を有する。より好ましくは、最小幅は最大幅の約50%である。或いはマイクロプロジェクションは、前記最大幅より約10μm〜120μm短い範囲にある最小幅を有する。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態では、毛管作用制御特徴部は疎水性コーティングを含む。現在好ましい疎水性コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン、パリレン及びシリコンを含む群から選択される。
【0026】
本発明の送達デバイスは、好ましくは、遠位端から毛管作用制御特徴部までマイクロプロジェクションに施された生物活性物質のコーティングをさらに含む。
【0027】
本発明の他の態様では、コーティングを20度を超える静止時接触角、及びより好ましくは30度と60度の間の静止時接触角でマイクロプロジェクションに施す。
【0028】
本発明の一実施形態では、コーティングは成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インシュリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞刺激ホルモン、aANF、成長因子、例えば成長因子放出因子(GFRF)、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、じゅう毛性ゴナドトロピン、エリスロポイエチン、エポプレステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)など、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)など)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレシン、脱アミノ[Va14、D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)などのACTH類似体、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制剤、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1〜34)などのPTH類似体、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニン阻害剤、チモシンα−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、α−1抗トリプシン(組換え体)、及びTGF−βを含む群から選択される生物活性物質を有する配合物を含む。
【0029】
本発明の他の実施形態では、生物活性物質はタンパク質、多糖複合体、オリゴ糖、リポタンパク質、サブユニットワクチン、百日咳菌(組換えPTワクチン、無細胞性)、破傷風菌(精製、組換え体)、コリネバクテリウム属ジフテリア菌(精製、組換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、毒素サブユニット担体と結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換え体PreS1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現表面タンパク質及びエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(カプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2及びE7[HPV−6由来]、HPV−11由来のMEDI−501組換え体VLPL1、四価組換え体BLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16、及びHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラニューモフィラ(精製した細菌表面タンパク質)、髄膜炎菌(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(B型髄膜炎菌OMPと結合した複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197と結合した複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970と結合した複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F])、トレポネーマパリダム(表面リポタンパク質)、帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、ビブリオコレラ(リポ多糖と結合)、完全ウイルス、細菌、弱毒又は死菌ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、帯状疱疹、弱毒又は死菌、百日咳菌、破傷風菌、コリネバクテリウム属ジフテリア菌、A群連鎖球菌、レジオネラニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、トレポネーマパリダム、ビブリオコレラ、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水疱瘡ワクチン、疱瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸、一本鎖及び二本鎖核酸、スーパーコイルドプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母菌人工染色体(YAC)、哺乳動物人工染色体、及びRNA分子を含む群から選択される免疫活性物質を含む。
【0030】
本発明は、経皮的送達デバイスに生物活性物質のコーティングを施す方法であって、毛管作用制御特徴部を有する少なくとも1つの角質層貫通型マイクロプロジェクションを有するマイクロプロジェクション部材を提供するステップであって、マイクロプロジェクションが遠位端から近位端に広がる長さ、厚さを有し、毛管作用制御特徴部が遠位端と近位端の間に位置し、マイクロプロジェクションが毛管作用制御特徴部の位置に第一の幅を有するステップ;生物活性物質の配合物を、配合物が毛管作用制御特徴部に移動するようにマイクロプロジェクションの遠位端に隣接する位置に施すステップ;及び配合物を乾燥させてコーティングを形成するステップを一般に含む方法も含む。配合物を施すステップは、好ましくは、ディップコーティングを含む。
【0031】
他の特徴及び利点が、添付の図面で例示する通り、本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な記載から明らかになり、同じ参照符号は図中の同じ部分又は要素を一般に指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、詳細に例示した物質、方法又は構造に限られず、したがって当然ながら変わる可能性があることを理解されたい。したがって、本明細書に記載したものと類似する又は均等な幾つかの物質及び方法を、本発明を実施する際に使用することができるが、好ましい物質及び方法を本明細書に記載する。
【0033】
本明細書で使用する用語は、単に本発明の個々の実施形態を記載する目的のものにすぎず、制限するものではないことも理解されたい。
【0034】
他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0035】
さらに、本明細書に引用する全ての刊行物、特許及び特許出願は、上記又は下記のいずれも、その全容が参照として本明細書に組み込まれる。
【0036】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、内容が他のことを明らかに示さない限り複数形を含む。したがって、例えば、「1つの活性物質」への言及は2つ以上のこのような物質を含み;「1つのマイクロプロジェクション」への言及は2つ以上のこのようなマイクロプロジェクションなどを含む。
【0037】
定義
本明細書で使用する用語「経皮的」は、局所又は全身療法用の皮膚中への且つ/又は皮膚を介した物質の送達を意味する。
【0038】
本明細書で使用する用語「生物活性物質」は、治療有効量投与すると薬理学的に有効である、活性物質又は薬物を含む物質又は混合物の組成物を指す。
【0039】
2つ以上の生物活性物質を本発明の物質供給源及び/又はコーティングに取り込ませることができ、用語「活性物質」の使用は、2つ以上のこのような活性物質又は薬物の使用を決して除外するわけではないことは理解されよう。
【0040】
本明細書で使用する用語「マイクロプロジェクションアレイ」、「マイクロプロジェクション部材」などはいずれも、活性物質をコーティングすることができる複数のマイクロプロジェクションを含む、皮膚中へ又は皮膚を介して活性物質を送達するためのデバイスを指す。用語「マイクロプロジェクション」は、生きている動物、特にヒトの皮膚の角質層から根底表皮層、又は表皮及び真皮層に貫通又は横断するよう適合させた貫通型要素を指す。
【0041】
典型的には、マイクロプロジェクションは1000μm未満、及び好ましくは500μm未満のブレード長を有する。一実施形態においてマイクロプロジェクションは、50μm〜145μmの範囲の長さを有する。マイクロプロジェクションは典型的には、約75μm〜500μmの幅、及び約5μm〜50μmの厚さを有する。
【0042】
例えば薄いシートから複数のマイクロプロジェクションをエッチング又はパンチングし、及びシートの平面からマイクロプロジェクションをホールディング又はベンディングして、図1中に示す形状などの形状を形成することによって、異なる形状のマイクロプロジェクションを形成することができる。マイクロプロジェクション部材は、ストリップの各端に沿ってマイクロプロジェクションを有する1つ又は複数のストリップを形成することなどによって、他の知られている方法で形成することもできる。
【0043】
金属製マイクロプロジェクションを形成する代表的な方法は、Trautman et al、米国特許第6,083,196号、Zuck、米国特許第6,050,988号、及びDaddona et al、米国特許第6,091,975号中に開示されており、これらの開示はその全容が参照として本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明と共に使用することができる他のマイクロプロジェクション部材は、シリコンチップエッチング技法を使用してシリコンをエッチングすることによって、又はエッチングしたマイクロモールド(micro−molds)を使用してプラスチックを成形することによって形成される。シリコン製及びプラスチック製マイクロプロジェクション部材は、Godshall et al、米国特許第5,879,326号中に開示されており、その開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0045】
本明細書で使用する用語「送達する」、「送達」、及びその全ての変形は、活性物質を皮膚中へ又は皮膚を介して投与することができる任意の手段を指し、及び含む。
【0046】
本明細書で使用する用語「厚さ」は、コーティングに関する限り、コーティングで覆われた支持体の実質的に全ての部分で測定したコーティングの平均の厚さを指す。
【0047】
ここで図1を参照すると、本発明と共に使用するための、角質層貫通型マイクロプロジェクション部材10の一実施形態が示される。図1中に示すように、部材10は、その上に配置されたコーティング14を有する複数のマイクロプロジェクション12を含む。コーティング14は、1つ又は複数の生物活性物質を有する乾燥配合物を含む。示した実施形態では、マイクロプロジェクション12は、開口部18を有するシート16などの支持体から、ほぼ90°の角度で伸びている。
【0048】
マイクロプロジェクション12は、好ましくは、薄い金属シート16からの複数のマイクロプロジェクション12のエッチング又はパンチング、及びシートの平面からのマイクロプロジェクション12の折り曲げによって形成される。ステンレス鋼、チタン及びニッケルチタン合金などの金属が好ましい。
【0049】
本発明によれば、コーティング14は、好ましくは毛管作用制御特徴部20から遠位端22までマイクロプロジェクション12を覆っている。本発明によれば、さまざまな知られている方法によって、コーティング14をマイクロプロジェクション12上で形成することができる。一般に、液体配合物をマイクロプロジェクション12に施し、次いで乾燥させてコーティング14を形成する。好ましくは毛管作用制御特徴部20は、望ましいコーティング厚さをもたらすために選択した位置において、コーティング配合物の示した上昇高内に位置する。したがって、毛管作用制御特徴部20が移動を制限するまで、施した液体配合物はマイクロプロジェクション12に沿って運ばれる。
【0050】
本発明の手段のマイクロプロジェクションに配合物を施す現在好ましい手段は、ディップコーティングである。この方法は一般に、マイクロプロジェクション12をコーティング配合物中に浸すことを含む。コーティング配合物の性質及び望ましい充填量に応じて、マイクロプロジェクションを任意の深さに、毛管作用制御特徴部20まで配合物中に下げることができる。幾つかの実施形態では、マイクロプロジェクション先端の遠位部分のみを配合物中に浸すことが望ましくてもよい。
【0051】
本発明の毛管作用制御特徴部は、施す配合物が流体であるか或いは移動しやすい限り、コーティングを施す他の手段に適用可能である。当業者によって理解されるように、本発明の毛管作用制御特徴部の使用はこのような移動を最小にし、コーティング厚さを制限する。
【0052】
1つの他のコーティング法は、マイクロプロジェクション12の先端へのコーティング14を同様に制限するローラーコーティング機構を利用するローラーコーティングである。ローラーコーティング法は、その全容が参照として本明細書に組み込まれる、米国出願第10/099,604号(公開番号2002/0132054)中に開示されている。記した出願中で詳細に論じられたように、この開示されたローラーコーティング法は、皮膚貫通中にマイクロプロジェクション12から容易に除去されない平滑なコーティングを提供する。
【0053】
本発明の範囲内で利用することができる他のコーティング法は、噴霧コーティングを含む。本発明によれば、噴霧コーティングはコーティング組成物のエアロゾル懸濁液の形成を含むことができる。一実施形態では、約10〜200ピコリットルの滴径を有するエアロゾル懸濁液を、マイクロプロジェクション10に噴霧し、次いで乾燥させる。
【0054】
パターンコーティングを利用して、マイクロプロジェクション12をコーティングすることもできる。分配する液体をマイクロプロジェクション表面上に配置するための分配システムを使用して、パターンコーティングを施すことができる。分配する液体の量は、好ましくは0.1〜20nl/マイクロプロジェクションの範囲である。適切な正確な目盛り付きの液体ディスペンサーの例は、参照として本明細書に完全に組み込まれる米国特許第5,916,524号、5,743,960号、5,741,554号、及び5,738,728号中に開示されている。
【0055】
マイクロプロジェクションコーティング配合物又は溶液を、電場の使用によって一般に制御される、知られているソレノイドバルブ付きディスペンサー、任意選択の流体動力手段、及び配置手段を使用するインクジェット技術を使用して施すこともできる。印刷産業からの他の液体分配技術、又は当技術分野で知られている類似の液体分配技術を、本発明のパターンコーティングを施すために使用することができる。
【0056】
本発明は、低いコーティング変動性を有するマイクロプロジェクションの設計及び方法を対象とする。最小のコーティング変動性を得るために、マイクロプロジェクションは、毛管作用が所望のコーティング厚さで害されるか或いは最小になるように位置する毛管作用制御特徴部を有する。
【0057】
図2中に示す第一の実施形態では、本発明は、罫書き線32を含む毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクション30を含む。罫書き線32は一般に、マイクロプロジェクションの長さと直角をなす谷部分又は隆起部分である。好ましくは、罫書き線32は、マイクロプロジェクションの両側において端から端まで連続的に広がる。或いは罫書き線32は、その距離の少なくとも半分中に断続的に広がってよい。罫書き線32の厚さは谷部分の深さ又は隆起部分の高さを指し、マイクロプロジェクションの平面からの差として測定する。好ましくは、罫書き線32の厚さはその幅とほぼ等しい。より好ましくは、その厚さは、約5μmからマイクロプロジェクションの厚さの25%の範囲にある。
【0058】
毛管作用の制御における効果を最大にするために、罫書き線の端は、好ましくは、鋭利な形状を有する。罫書き線32は、流体をコーティングするマイクロプロジェクションの先端34からの距離で位置する。罫書き線32は、好ましくは、マイクロプロジェクション30の遠位端34から約25μm〜200μmの範囲内に位置する。
【0059】
図3中に示す本発明の他の実施形態では、マイクロプロジェクション40は、少なくとも1つの空隙42を含む毛管作用制御特徴部を有する。1つの穴を有する実施形態では、空隙42の各側におけるマイクロプロジェクションの幅は、好ましくは、約25μmからマイクロプロジェクションの幅の半分の範囲内にある。(マイクロプロジェクションの先端に最も近い)空隙の遠位部分が所望のコーティング厚さに対応するように、さらに好ましくは空隙42が位置する。例えば、空隙42の遠位部分は、好ましくは、マイクロプロジェクション40の遠位端44から約25μm〜200μmの範囲内に位置する。
【0060】
本発明の他の実施形態では、所望の領域を越えて流体を運ぶ毛管作用の影響を最小にするために、マイクロプロジェクションを形成する。図4中に示すように、マイクロプロジェクション50は、遠位端52から最大幅の位置54まで増大する幅を有する。マイクロプロジェクション50の幅は、最小幅の位置56まで次いで減少する。毛管作用制御特徴部は、位置56における幅の縮小である。好ましくは、位置56は所望のコーティング厚さに相当する。図4中に示すように、コーティング58の運搬作用は、位置56における最小幅の移動のみを引き起こす。さらにマイクロプロジェクション50は、最小幅56の下に充分な表面積を示して所望量のコーティングを可能にする。当業者が理解することができるように、マイクロプロジェクションの幅が減少することによってコーティング高の変動性が低下するが、充分な構造の完全性を保持する必要性に対してバランスをとらなければならない。
【0061】
位置54における最大幅は、好ましくは、位置56における最小幅より約10μm〜120μm広い範囲である。或いは、マイクロプロジェクションの位置56における最小幅は、位置54における最大幅の好ましくは約25%〜100%、及びより好ましくは約35%〜70%の範囲である。1つの現在好ましい実施形態では、位置56における最小幅は位置54における最大幅の約50%である。最小幅の減少は所望のコーティング厚さ、マイクロプロジェクションの遠位端から約25μm〜200μmの範囲などに存在する。
【0062】
本発明の他の実施形態では、毛管作用制御特徴部は疎水性コーティングを含む。図5中に示すように、マイクロプロジェクション60は、所望のコーティング厚さに対応する位置64の近隣境界に位置する疎水性コーティング62を有する。疎水性コーティングは、好ましくは、マイクロプロジェクションの遠位端66から約25μm〜200μmの範囲内に位置する。疎水性コーティングは、さらに好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン、パリレン及びシリコンを含む群から選択される。
【0063】
本発明のマイクロプロジェクション部材の現在好ましい特性には、1cm当たり約10〜2000の範囲のマイクロプロジェクション密度、約50〜500μmの範囲のマイクロプロジェクション長、約20〜300μmの範囲のマイクロプロジェクション最大幅、及び約10〜50μmの範囲のマイクロプロジェクション厚がある。
【0064】
本発明の毛管作用制御特徴部は、図6及び7中に示すグラフ図によって実証されるように、従来技術のマイクロプロジェクション設計と比較してコーティング厚さの変動を最小にする。これらのグラフは、それぞれが同じ境界状態及び先端形状を有する、5つの先端マイクロプロジェクション部材に関して測定した毛管上昇を示し、図6は従来技術の設計を示し、図7は毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションを示す。
【0065】
図6において見ることができるように、上昇高は相当量の変動、15μm以上を示す。このグラフはさらに、隣接するマイクロプロジェクションは毛管の上昇高に影響を与え、マイクロプロジェクションアレイの異なる位置において異なる充填量をもたらすことを示す。
【0066】
対照的に図7は、毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションは一貫した毛管の上昇高を与え、最小の変動性を示すことを示す。さらに、アレイ内のマイクロプロジェクションの位置は、毛管作用制御特徴部を取り込んだ設計に関するコーティング厚さに対して有意な影響はない。
【0067】
本発明の毛管作用制御特徴部はさらに、可能な充填量を有意に増大させる。図8及び9は、それぞれ400μmの深さに浸したときの、従来のマイクロプロジェクション先端に関するメニスカス体積と、毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクション先端を比較するグラフ図である。図8中に示す先端上の流体充填量は、図9の毛管作用制御マイクロプロジェクションに関する36.2×10−12と比較して6.3×10−12であると計算される。したがって、毛管作用制御特徴部を使用することによって、約6倍の充填量の増大をもたらすことができる。
【0068】
さらに、毛管作用制御特徴部なしでは、メニスカスの接触角はマイクロプロジェクション上のコーティングの体積を制限する。例えばチタンから形成されたマイクロプロジェクションは、図8中に示すように約65°の接触角を示し、ステンレス鋼から形成されたマイクロプロジェクションはさらに小さな接触角を有する。対照的に、毛管作用制御特徴部を使用することによって接触角を90°に近づけることができ、制限因子としての接触角を効率よく除去することができる。図9中に示すように、毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションに関する接触角は約88°である。したがって、毛管作用制御特徴部を使用することによって、このような特徴部なしで可能であり得る接触角より大きい接触角で、マイクロプロジェクションにコーティングを施すことができる。
【0069】
例えば、本発明の毛管作用制御特徴部を使用することによって、約25度より大きい接触角でコーティング配合物を施すことができる。より好ましくは、約30度と60度の間の接触角でコーティング配合物を施すことができる。
【0070】
本発明の一態様では、生物活性物質は、抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染薬;ブプレノルフィンを含めた鎮痛薬、及び鎮痛薬の組合せ;麻酔薬;食欲抑制薬;抗関節炎薬;テルブタリンなどの抗喘息薬;痙攣抑制薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;下痢止め薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;抗片頭痛薬調製物;抗嘔気剤調製物、スコポラピン及びオンダンセトロンなど;抗悪心薬;抗腫瘍薬;抗パーキンソン薬;抗掻痒薬;抗精神薬;抗発熱薬;胃腸及び尿管を含めた抗痙攣薬;抗コリン作用性薬;交感神経興奮剤;キサンチン誘導体;ニフェジピンなどのカルシウムチャンネル遮断剤を含めた心臓血管関係調製物;β遮断剤;ドブタミン及びリトドリンなどのβアゴニスト;抗不整脈薬;アテノールなどの抗高血圧薬;ラニチジンなどのACE阻害剤;利尿薬;全身、冠状動脈、末梢、及び大脳を含めた血管拡張神経薬;中枢神経刺激薬;咳及び風邪用調製物;充血除去剤;診断薬;副甲状腺ホルモンなどのホルモン;睡眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経興奮剤;副交感神経作用薬;プロスタグランジン;タンパク質;ペプチド;精神刺激薬;鎮静剤;及び精神安定薬だけには限られないが、これらを含めた全ての主要な治療分野の治療用物質を含む。他の適切な物質には血管収縮神経薬、抗治癒薬及び経路開通調節物質がある。1つ又は複数の生物活性物質を、望むように組み合わせることもできる。
【0071】
好ましい実施形態では、生物活性物質は成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インシュリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞刺激ホルモン、aANF、成長因子、例えば成長因子放出因子(GFRF)、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、じゅう毛性ゴナドトロピン、エリスロポイエチン、エポプレステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)など、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)など)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレシン、脱アミノ[Va14、D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)などのACTH類似体、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制剤、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1〜34)などのPTH類似体、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニン阻害剤、チモシンα−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、α−1抗トリプシン(組換え体)、及びTGF−βを含む群から選択される。
【0072】
他の適切な生物活性物質には、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖、及びリポタンパク質の形であるワクチン及び抗原などの免疫活性物質がある。特異的サブユニットワクチンは、百日咳菌(組換えPTワクチン、無細胞性)、破傷風菌(精製、組換え体)、コリネバクテリウム属ジフテリア菌(精製、組換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、毒素サブユニット担体と結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換え体PreS1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現表面タンパク質及びエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(カプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2及びE7[HPV−6由来]、HPV−11由来のMEDI−501組換え体VLPLI1、四価組換え体BLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16、及びHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラニューモフィラ(精製した細菌表面タンパク質)、髄膜炎菌(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(B型髄膜炎菌OMPと結合した複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197と結合した複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970と結合した複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F])、トレポネーマパリダム(表面リポタンパク質)、帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、及びビブリオコレラ(リポ多糖と結合)を非制限的に含む。
【0073】
適切な免疫活性物質は、一本鎖及び二本鎖核酸などの核酸、スーパーコイルドプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母菌人工染色体(YAC)、哺乳動物人工染色体、及びRNA分子も含む。
【0074】
(本発明の一実施形態に従い)保存及び施用するために、その全容が参照として本明細書に組み込まれる同時係属米国出願第09/976,762号(公開第2002/0091357号)に詳細に記載されている通り、マイクロプロジェクション部材10は、好ましくは、接着タブによってリテーナリング中で吊り下げられている。
【0075】
マイクロプロジェクション部材10をリテーナリング中に置いた後に、マイクロプロジェクション部材10を患者の皮膚に施す。その全容が参照として本明細書に組み込まれる同時係属米国出願第09/976,798号で開示されているインパクトアプリケータを使用して、マイクロプロジェクション部材10を皮膚に施すことが好ましい。
【0076】
前述の記載事項から、本発明は特に、患者の角質層中又は角質層を介した生物活性物質の経皮的流動を増大させるのに効果的且つ効率的手段を提供することを、当業者は容易に確認することができる。
【0077】
本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、当業者は本発明に対するさまざまな変形及び変更形態を作製して、さまざまな使用及び条件にそれを適合させることができる。このように、これらの変形及び変更形態は、正確に、公平に、以下の特許請求の範囲の均等物の全範囲内に存在すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明による、マイクロプロジェクション上に配置されたコーティングを有するマイクロプロジェクション部材の斜視図である。
【図2】本発明による、罫書き線入り毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションの一実施形態の詳細図である。
【図3】本発明による、空隙を含む毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションの他の実施形態の詳細図である。
【図4】本発明による、減少した幅形状を含む毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションの他の実施形態の詳細図である。
【図5】本発明による、疎水性コーティングを含む毛管作用制御特徴部を有するマイクロプロジェクションのさらに他の実施形態の詳細図である。
【図6】本発明の特徴を有するマイクロプロジェクションに関する毛管上昇高と、従来技術のマイクロプロジェクションを比較するグラフ図である。
【図7】本発明の特徴を有するマイクロプロジェクションに関する毛管上昇高と、従来技術のマイクロプロジェクションを比較するグラフ図である。
【図8】本発明の特徴を有するマイクロプロジェクションに関するメニスカス体積と、従来技術のマイクロプロジェクションを比較するグラフ図である。
【図9】本発明の特徴を有するマイクロプロジェクションに関するメニスカス体積と、従来技術のマイクロプロジェクションを比較するグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛管作用制御特徴部を有する少なくとも1つの角質層貫通型マイクロプロジェクションを有するマイクロプロジェクション部材を含む経皮的送達デバイスであって、前記マイクロプロジェクションが遠位端から近位端に広がる長さ及び厚さを有し、前記毛管作用制御特徴部が前記遠位端と前記近位端の間に位置し、前記マイクロプロジェクションが前記毛管作用制御特徴部の位置に第一の幅を有するデバイス。
【請求項2】
前記毛管作用制御特徴部が前記マイクロプロジェクションの前記遠位端から約25μm〜200μmの範囲に位置する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記毛管作用制御特徴部が前記マイクロプロジェクションの長さと直角をなす罫書き線を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記罫書き線が前記マイクロプロジェクションの各側上の前記第一の幅の少なくとも50%伸びている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記罫書き線が隆起部分を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記罫書き線が谷部分を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記罫書き線が約5μmから前記マイクロプロジェクションの前記厚さの25%の範囲の厚さを有する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記毛管作用制御特徴部が少なくとも1つの空隙を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記空隙が前記第一の幅の約半分までの水平寸法を有する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記毛管作用制御特徴部が前記毛管作用制御特徴部の位置に最大幅から前記第一の幅への移行を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記最大幅が前記第一の幅より約10μm〜120μm広い範囲にある、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第一の幅が前記最大幅の約25%〜100%の範囲にある、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第一の幅が前記最大幅の約35%〜70%の範囲にある、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第一の幅が前記最大幅の約50%である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第一の幅が前記最大幅より約10μm〜120μm狭い範囲にある、請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
前記毛管作用制御特徴部が疎水性コーティングを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記遠位端から前記毛管作用制御特徴部まで前記マイクロプロジェクションに施された生物活性物質のコーティングをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記毛管作用制御特徴部において約25度を超える接触角で前記配合物に前記コーティングを施す、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記毛管作用制御特徴部において約30度と60度の間の接触角で前記配合物に前記コーティングを施す、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記生物活性物質が成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インシュリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えばHGH、HMG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞刺激ホルモン、aANF、成長因子、例えば成長因子放出因子(GFRF)、bMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、じゅう毛性ゴナドトロピン、エリスロポイエチン、エポプレステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)など、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、及びナプファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)など)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレシン、脱アミノ[Va14、D−Arg8]アルギニンバソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1〜24)などのACTH類似体、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキンアンタゴニスト、セレダーゼ、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制剤、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及びアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1〜34)などのPTH類似体、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、タンパク質C、タンパク質S、レニン阻害剤、チモシンα−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、α−1抗トリプシン(組換え体)、及びTGF−βを含む群から選択される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項21】
前記生物活性物質が、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖、リポタンパク質、サブユニットワクチン、百日咳菌(組換えPTワクチン、無細胞性)、破傷風菌(精製、組換え体)、コリネバクテリウム属ジフテリア菌(精製、組換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、毒素サブユニット担体と結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換え体PreS1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現表面タンパク質及びエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(カプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2及びE7[HPV−6由来]、HPV−11由来のMEDI−501組換え体VLPL1、四価組換え体BLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16、及びHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラニューモフィラ(精製した細菌表面タンパク質)、髄膜炎菌(破傷風トキソイドとの複合糖質)、緑膿菌(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(B型髄膜炎菌OMPと結合した複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197と結合した複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970と結合した複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F])、トレポネーマパリダム(表面リポタンパク質)、帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、ビブリオコレラ(リポ多糖と結合)、完全ウイルス、細菌、弱毒又は死菌ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、帯状疱疹、弱毒又は死菌、百日咳菌、破傷風菌、コリネバクテリウム属ジフテリア菌、A群連鎖球菌、レジオネラニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、トレポネーマパリダム、ビブリオコレラ、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水疱瘡ワクチン、疱瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸、一本鎖及び二本鎖核酸、スーパーコイルドプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母菌人工染色体(YAC)、哺乳動物人工染色体、及びRNA分子からなる群から選択される免疫活性物質を含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項22】
経皮的送達デバイスに生物活性物質のコーティングを施す方法であって、毛管作用制御特徴部を有する少なくとも1つの角質層貫通型マイクロプロジェクションを有するマイクロプロジェクション部材を提供するステップであって、前記マイクロプロジェクションが遠位端から近位端に広がる長さ、厚さを有し、前記毛管作用制御特徴部が前記遠位端と前記近位端の間に位置し、前記マイクロプロジェクションが前記毛管作用制御特徴部の位置に第一の幅を有するステップ;前記生物活性物質の配合物を、前記配合物が前記毛管作用制御特徴部に移動するように前記マイクロプロジェクションの前記遠位端に隣接する位置に施すステップ;及び前記配合物を乾燥させてコーティングを形成するステップを含む方法。
【請求項23】
前記配合物を施すステップがディップコーティングを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
配合物を施すステップが、前記毛管作用制御特徴部において約25度を超える接触角で配合物を施すことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
配合物を施すステップが、前記毛管作用制御特徴部において約30度と60度の間の接触角で配合物を施すことを含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−534151(P2008−534151A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504327(P2008−504327)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/011530
【国際公開番号】WO2006/105233
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506353677)アルザ コーポレイション (23)
【Fターム(参考)】