説明

毛髪化粧料

【課題】使用感触、安全性(低刺激性)に優れ、透明感の高い毛髪化粧料(洗い流しのヘアコンディショナー・ヘアトリートメント、洗い流さないヘアトリートメント等)を提供する。
【解決手段】(A)特定の長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤を0.1〜10質量%と、(B)1,2−ドデカンジオールおよび/または1,2−デカンジオールを2.5〜30質量%と、(C)水を残部含み、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5以上であり、粘度が500(mPa・s/30℃)以上であり、L値が20以上である毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関し、特に、使用感触、安全性(低刺激性)に優れ、透明感の高い毛髪化粧料に関する。本発明は、洗い流しのヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、洗い流さないヘアトリートメント等として好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
毛髪をシャンプー等で洗髪した後は、一般に艶や指通りが悪くなるため、通常、シャンプー後にヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪処理剤(毛髪化粧料)が用いられている。近年、消費者の嗜好の多様化に伴い、毛髪化粧料では透明感のある製品に対する需要が高まりつつある。
【0003】
従来、このような毛髪化粧料は、カチオン界面活性剤、高級アルコール、水で形成されるラメラ型のゲル(α−ゲル)の系に、油分を添加した乳化系(白濁系)の乳液状〜クリーム状の製剤が用いられていた(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
カチオン界面活性剤として、例えば、長鎖モノアルキルの第4級アンモニウム塩、長鎖モノアルキルジメチルアミン塩等が使用されており、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与する効果があった。また、高級アルコールの配合は、製剤に粘性を付与して使用しやすくするとともに、カチオン界面活性剤による皮膚への刺激を緩和してきた。
【0005】
しかしながら、高級アルコールの配合によるα−ゲルを活用した製剤では、上述したように外観が白濁となってしまい、透明感の高い基剤は得られていなかった。
【0006】
一方、カチオン界面活性剤に、高分子増粘剤、会合性増粘剤を配合して増粘性を高め、かつ透明感を有する毛髪化粧料も知られているが(例えば、特許文献1〜6参照)、該毛髪化粧料では、増粘剤配合により、使用感触の悪さ(ベタツキ、しっとり感)を生じたり、またカチオン界面活性剤による皮膚への刺激を緩和できなかったりする欠点があった。
【0007】
他の従来技術として、例えば、特開2005−272788号公報(特許文献7)に、特定のカチオン界面活性剤と1,2−アルカンジオールを含む組成(ヘアリンス)が実施例7〜10として具体的に示されているが、これらヘアリンスは、本発明者が追試をしたところ、外観が分離若しくは白濁して、透明感のあるものが得られず、また粘度も低いものであった。また、[0057]に1,2−ドデカンジオール、第4級アンモニウム塩、油分(シリコーン等)を含むヘアリンスの処方例が記載されているが、1,2−ドデカンジオールと第4級アンモニウム塩との配合比についての記載・示唆はない。また外観(透明系、白濁系)についての記載はなく、特許文献7に記載の毛髪化粧料(毛髪処理剤)は従来より汎用されている一般的な白濁系のヘアリンスを想定しているものと考えるのが妥当である。
【0008】
特開2003−89623号公報(特許文献8)には、第四アンモニウム化合物(例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド等)と多価アルコール(例えば、1,6−ヘキサンジオール)を併用した毛髪化粧料が示されている([0056]の例3)。しかしながら、この例3の組成物の外観は白濁しており、透明感に欠けるものであった。
【0009】
特表平7−502540号公報(特許文献9)には、1,2−ラウリルジオールと塩化セチルトリメチルアンモニウムを併用した処方例(実施例8)記載されている。しかし、記載された処方量では、透明で粘性ある製剤は得られない。
【0010】
特開2000−17283号公報(特許文献10)には、1,2−ドデカンジオールを含む潤滑油添加剤、潤滑油組成物が示されている。しかし毛髪化粧料の記載はない。
【0011】
国際公開第2004/110366号パンフレット(特許文献11)には、サンスクリーンへの1,2−ラウリルグリコール配合の記載がある。しかし、カチオン活性剤と併用されておらず、使用感触および外観の透明性に劣る。
【0012】
【非特許文献1】光井武夫編「新化粧品学」、南山堂、1993年1月12日(第1版)、p.423
【特許文献1】特表平11−502529号公報(第1表、第3表)
【特許文献2】特開2002−53441号公報(表1、表2)
【特許文献3】特表2004−509860号公報(表1、表2、表3)
【特許文献4】特表2006−504798号公報(表1、表2、表3、表4)
【特許文献5】特表2006−526029号公報(表1、表2、表3、表4)
【特許文献6】特表2007−520567(表1、表2)
【特許文献7】特開2005−272788号公報([0057]、[0066]〜[0070])
【特許文献8】特開2003−89623号公報([0056]の例3)
【特許文献9】特表平7−502540号公報(第4頁右下欄の実施例8)
【特許文献10】特開2000−17283号公報
【特許文献11】国際公開第2004/110366号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用感触、安全性(低刺激性)に優れ、透明感の高い毛髪化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明は、(A)下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を0.1〜10質量%と、(B)1,2−ドデカンジオールおよび/または1,2−デカンジオールを2.5〜30質量%と、(C)水を残部含み、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5以上であり、粘度が500(mPa・s/30℃)以上であり、L値が20以上である毛髪化粧料を提供する。
【0015】

【0016】

【0017】
〔式(I)、(II)中、R1は、下記式(III):
【0018】

【0019】
{式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。}
で示される基を表し;R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、ハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
【0020】
また本発明は、さらに、(D)シリコーンまたはその誘導体を、シリコーン純分として0.01〜5質量%、粒子径100nm以下のO/Wエマルションとして含む、上記毛髪化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の毛髪化粧料は、特定のカチオン活性剤と特定の1,2−アルカンジオールおよび水を特定の配合量・配合比で配合することにより、液晶複合体を形成して、透明性と粘性を付与し、カチオン界面活性剤による皮膚への刺激も和らげることができ、使用感触も良好であり、優れたヘアコンディシショニング効果を発揮する。さらに、特定粒子径以下のシリコーン類をO/Wマイクロエマルションにて配合することで使用感触をより一層向上することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳述する。
【0023】
本発明における(A)成分としてのカチオン活性剤は、下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤である。
【0024】

【0025】

【0026】
上記式(I)、(II)中、各置換基は以下の意味を示す。
1は、下記式(III)で示される基を表す。
【0027】

【0028】
〔上記式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。〕
【0029】
2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表す。
【0030】
-は無機酸、有機酸、ハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、メトサルフェート等が挙げられる。有機酸としては、例えばグルタミン酸、ピロリドンカルボン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、エデト酸、安息香酸等が挙げられる。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
【0031】
(A)成分としては具体的には以下の化合物が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0032】
(1)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウム−グルタミン酸塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム−乳酸塩、塩化ステアロキシプロピレングリコール(以下、「プロピレングリコール」を「PG」とも記す)トリメチルアンモニウム、塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘロキシプロピルトリメチルアンモニウム、
【0033】
(2)ステアラミドプロピルジメチルアミン−グルタミン酸塩〔=ステアリン酸ジメチルアミドプロピルアミン−グルタミン酸塩〕、ステアラミドプロピルジメチルアミン−塩酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン−コハク酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミン−乳酸塩、ステアロキシプロピルジメチルアミン−リンゴ酸塩、セトステアロキシPGジメチルアミン−コハク酸塩、ステアロキシPGジメチルアミン−グルタミン酸塩、ベヘロキシPGジメチルアミン−塩酸塩。
【0034】
上記式(III)中、R5のアルキル鎖、アルキレン鎖の鎖長が短ければ、皮膚への刺激などの安全性が悪化し、一方、鎖長が長ければ毛髪化粧料の透明性および粘性が失われる。本発明ではR5のアルキル鎖、アルキレン鎖は、炭素原子数14〜22であり、好ましくは18〜22であり、中でも直鎖状の炭素原子数18(C18)である場合が最も好ましい。R5がC18のアルキル鎖、アルキレン鎖を示す(A)成分としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアラミドプロピルジメチルアミン−グルタミン酸塩、ステアロキシプロピルジメチルアミン−コハク酸塩、ステアリルPGジメチルアミン−乳酸塩等が好適例として挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0035】
本発明の毛髪化粧料中の(A)成分の配合量は0.1〜10%質量%であり、好ましくは、0.2〜5質量%である。0.1質量%未満では、使用感触が悪化するとともに、液の粘性も下がるため、好ましくない。10質量%を超えると、皮膚への刺激が強くなり好ましくない。
【0036】
本発明の(B)成分としては、1,2−アルカンジオール中、1,2−ドデカンジオールおよび/または1,2−デカンジオールが用いられる。
【0037】
1,2−アルカンジオールは、1,2−アルキレングリコールとも呼ばれ、一般に化粧料に用いられるものでは、アルキル鎖として、炭素原子数3〜22のアルカン(アルキレン)が直鎖、環状、または分岐鎖となっている。これらのうち、炭素原子数8以下のものは浴剤若しくは防腐剤・防腐助剤として、炭素原子数10以上のものは乳化助剤若しくは洗浄剤の増粘剤として配合することが知られている。しかし、炭素原子数8以下のものでは皮膚刺激性が強く、粘性も低くなり、好ましくない。また炭素原子数14以上のものでは、外観が白濁になり好ましくない。本発明では、皮膚低刺激性、外観の透明性等の点から、炭素原子数10(C10)である1,2−デカンジオール、若しくは炭素原子数12(C12)である1,2−ドデカンジオール(ラウリルグリコール)を用いる。
【0038】
本発明の毛髪化粧料中の(B)成分の配合量は2.5〜30質量%であり、好ましくは、3〜20質量%である。2.5質量%未満では、皮膚への刺激性が増すとともに粘性や透明性を付与することができず、一方、30質量%を超す場合には透明性が低下するため、好ましくない。
【0039】
本発明では、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5以上である。上記配合比(質量比)が1.5未満では、粘性を付与することができず、また外観の透明性・均質性にも劣るため、好ましくない。なお上記配合比(質量比)の上限値は特に限定されるものでないが、液晶の分散安定性の点から40以下程度とするのが望ましい。
【0040】
(C)成分としての水は、本発明化粧料中に残部配合される。
【0041】
本発明毛髪化粧料は、粘度が500(mPa・s/30℃。B型粘度計)以上のゲル状をなす。粘度の上限値は特に限定されるものでないが、手にとったときの使いやすさ等の点から500,000(mPa・s/30℃)以下程度とするのが好ましい。
【0042】
本発明毛髪化粧料は、透明性の指標であるL値が20以上であり、好ましくは40以上、特に好ましくは60以上である。なお本発明で「L値」とは、毛髪化粧料を光路長10mmの石英セルに所定量入れて、透過型色差測定計を用いて波長380〜770nmの白色光を透過させて測定した値をいう。
【0043】
本発明化粧料は上記(A)〜(C)成分の他に、使用感向上の点から、所望によりさらに(D)成分としてシリコーンまたはシリコーン誘導体を配合してもよい。
【0044】
(D)成分としてのシリコーンまたはシリコーン誘導体は、具体的には、トリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサン等のシクロメチコン、カプリリルメチコンなどの揮発性シリコーンオイル、ジメチコン、ジメチコノール、側鎖変性タイプ・直鎖ABNタイプ等のポリエーテル変性シリコーン、アモジメチコン、アミノプロピルメチコン、フェニル変性シリコーン、プロピルシルセスキオキサン、アルキル変性シリコーン、シリコーンレジン、メチルハイドロジェンシリコーンなどの変性シリコーン、アルキル変性、アルコキシ変性、ポリアミド変性、ポリエーテル変性などによるシリコーンレジン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー等が挙げられるが、特にジメチコン、アミノプロピルメチコンが好ましく用いられる。
【0045】
上記に挙げたシリコーンまたはシリコーン誘導体のうち、揮発性シリコーンを除いて、重合度や変性率に特に制限はない。
【0046】
(D)成分は、粒子径100nm以下のO/Wエマルションとして配合することが好ましい。粒子径100nm以下でないと、特に(D)成分の配合量が0.5質量%を超える場合、外観の透明性が著しく損なわれる。またO/Wエマルションとして配合することで透明性をより効果的に高めることができる。粒子径100nm以下の(D)成分を含むO/Wエマルションは商業的に入手することができ、例えば、「BY22−080」〔東レ・ダウコーニング(株)製。200csのジメチコンを20質量%含有する透明タイプ(粒子径約60nm)のO/Wエマルション〕、「BY22−079」〔東レ・ダウコーニング(株)製。アモジメチコンを14質量%含有する透明タイプ(粒子径約50nm)のO/Wエマルション〕、「FZ−4671」〔東レ・ダウコーニング(株)製。(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマーを32質量%含有する透明タイプ(粒子径約50nm)のO/Wエマルション〕、「XS65−B8124」〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマーを20質量%含有する透明タイプ(粒子径約50nm)のO/Wエマルション〕、「SME253」〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、アモジメチコンを20質量%含有する透明タイプ(粒子径約60nm)のO/Wエマルション〕等として市販され、これらを好適に用いることができる。
【0047】
(D)成分を配合する場合、配合量は化粧料全量中にシリコーン純分として0.01〜5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.05〜3質量%である。配合量が少なすぎると、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさに欠ける傾向があり、配合量が多すぎると、透明性および粘性を低下させ、すすぎ時のなめらかさに欠ける傾向がある。
【0048】
本発明の毛髪化粧料には上記の成分の他にさらに、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で、その他の成分を任意に配合することができる。このような成分として、例えば以下の成分が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0049】
芳香族アルコールとして、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p−クロロフェノール、p−クロロ−m−キシレノール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、p−tert−ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、フェノール等が挙げられる。
【0050】
保湿剤として、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、グルコース、マルトース、ショ糖、フラクトース、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン、分解糖還元アルコール等の単糖、2糖若しくはオリゴ糖およびそれらの誘導体、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、イソプレングリコール、ポリグルタミン酸ナトリウム、アルキレンオキシド誘導体〔例えばPOE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(25)POP(40)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(45)POP(34)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等〕などが挙げられる。なお、POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略である。
【0051】
また、レシチン、加水分解タンパク質とその誘導体、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、トリメチルグリシン等のアミノ酸、ビタミン類、セレシン、フィトステロール誘導体、ヒドロキシエチル尿素等の毛髪補修成分を配合することにより、さらに毛髪の修復・保護効果に優れ、且つその効果が長時間持続する毛髪化粧料が得られる。
【0052】
また、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン誘導体、各種エステル油、各種エーテル油、アボガド油、ツバキ油、パーム油、牛脂、ホホバ油、ポリアルキレングリコールポリエーテルおよびそのカルボン酸オリゴエステル化合物、テルペン系炭化水素油等の油分、水溶性または油溶性の紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤、カオリン、タルク、シリカ、PMMA、ジンクピリチオン等の水不溶性粉末、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン等の樹脂類、大豆タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、絹フィブロイン、エラスチン等のタンパク質またはタンパク質分解物、動植物からの抽出液、エチルパラベン、ブチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン等の防腐剤、ビオチン、パントテン酸誘導体等の賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ビタミンE誘導体、ニコチン酸誘導体、メントール等の血行促進剤、硫黄、チアントール等の抗脂漏剤、エタノール、イソプロパノール、テトラクロロジフルオロエタン等の希釈剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアガム、ローカストビーンガム、PEG−90M等のノニオン性高分子、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性高分子、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ポリクオタニウム−7等のカチオン性高分子、ポリクオタニウム−39等の両性高分子、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等の会合性増粘剤、薬剤、香料、色剤、界面活性剤等を必要に応じて敵宜配合してもよい。
【0053】
本発明毛髪化粧料の剤型及び使用方法は本発明の効果が損なわれない限り特に制限されない。また、製造方法は、特に限定されるものでなく、例えば、60〜80℃程度に加温した水に、他配合成分を順次添加しながら撹拌混合し、常温まで冷却する等、常法により得ることができるが、これら例示の製法に限定されるものでない。
【0054】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等と呼ばれている毛髪処理剤、毛髪化粧料に適用可能である。また、その使用形態は、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限りすべて質量%(実分)である。
【0056】
下記表1〜4に示す組成のヘアトリートメント(試料)を常法により調製し、これら試料を用いて、下記に示す方法により、粘度、外観(透明性および分離の有無)、使用感触(すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ)を評価した。なお、使用感触(すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ)、皮膚刺激性の評価に際しては、下記コントロール(対照試料)を比較基準とした。
【0057】
〈コントロール(対照試料)〉
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0質量%
ステアリルアルコール 3.5質量%
グルタミン酸 0.01質量%
イオン交換水 残 余
(調製方法)
75℃に温めた水を撹拌しながら、水以外の組成物を添加・混合した後、常温まで冷却した。
【0058】
[粘度]
試料を調製して翌日、30℃に保温した後に、B型若しくはBL型回転粘度計(芝浦システム(株)製)にて、1分間回転した後の粘度値(mPa・s)を記録した。回転数は、B型の場合12rpm、BL型の場合6rpmとした。
【0059】
[外観]
被験試料を透明ガラス容器にて35℃で1ヶ月保存した後、視感判定にて層分離の有無を判別するとともに、透明性をL値により判断した。
層分離の有無は、外観の透明性の均一さおよび全体の粘性の均一さにより判断した。
L値は、上記1ヶ月保存後の試料を、光路長10mmの石英セルに所定量入れて、透過型色差測定計(「分光式色差計SE−2000」;日本電色工業(株)製。波長380〜770nmの光を透過)で測色することにより求めた。判定基準は以下の通りである。
(評価)
◎: 外観が1層であり、L値が60以上である
○: 外観が1層であり、L値が40以上60未満である
○△: 外観が1層であり、L値が20以上40未満である
×: 外観が2層以上に分離している、若しくはL値が20未満である
【0060】
[使用感触(すすぎ時のなめらかさ)]
シャンプー(洗浄剤)で洗髪後、被験試料の実使用(=アフターシャンプー)テストにて、専門パネル(10名)がすすぎ時の髪のなめらかさを、コントロール(対照試料)との比較により評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定)
◎: 10名中8名以上が、被検試料の方がなめらかと回答した。
○: 10名中5〜7名が、被検試料の方がなめらかと回答した。
△: 10名中3〜6名が、被検試料の方がなめらかと回答した。
×: 10名中2名以下が、被検試料の方がなめらかと回答した。
【0061】
[使用感触(乾燥後のなめらか)]
シャンプー(洗浄剤)で洗髪後、被験試料の実使用(=アフターシャンプー)テストにて、専門パネル(10名)が乾燥後の髪のなめらかさを、コントロール(対照試料)との比較により評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定)
◎: 10名中8名以上が、被検試料の方がなめらかと回答した。
○: 10名中5〜7名が、被検試料の方がなめらかと回答した。
△: 10名中3〜6名が、被検試料の方がなめらかと回答した。
×: 10名中2名以下が、被検試料の方がなめらかと回答した。
【0062】
[皮膚への刺激]
被験試料を前腕部に塗布した後、塗布部位を閉塞した。24時間後に閉塞を解除して、2時間後に皮膚の状態に問題(赤み、ひりつき、肌荒れ)が生じていなかったかどうかを、専門パネル(10名)がコントロール(対照試料)との比較により評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定)
◎: 10名中9名以上が、被検試料の方が皮膚の状態が良好であったと回答した。
○: 10名中7〜8名が、被検試料の方が皮膚の状態が良好であったと回答した。
△: 10名中5〜6名が、被検試料の方が皮膚の状態が良好であったと回答した。
×: 10名中2名以下が、被検試料の方が皮膚の状態が良好であったと回答した。
【0063】
(実施例1〜4、比較例1〜3)
【0064】
【表1】

【0065】
表1に示す結果から明らかなように、1,2−ドデカンジオールに、長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤を組み合せた実施例1〜4は、本願発明効果が得られたのに対し、1,2−ドデカンジオールに他の界面活性剤等を組み合せた比較例1〜3では、本願発明効果が得られなかった。
【0066】
(実施例5、1、比較例4〜14)
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示す結果から明らかなように、長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤に、1,2−アルカン(C10、C12)ジオールを組み合せた実施例5、1は、本願発明効果が得られたのに対し、上記以外の他の1,2−アルカンジオールや従来の高級アルコール、その類似化合物等を組み合わせた比較例4〜14では、本願発明効果が得られなかった。
【0069】
(実施例6〜8、比較例15〜20)
【0070】
【表3】

【0071】
表3に示す結果から明らかなように、本願発明の(A)成分、(B)成分を本願発明範囲内の特定の配合量、配合比で配合した実施例6〜8では、本願発明効果が得られたのに対し、上記範囲を外れた配合量、配合比で配合した比較例15〜20では、本願発明効果が得られなかった。
【0072】
(試験例1〜6)
【0073】
【表4】

【0074】
表4に示す結果から明らかなように、(A)〜(C)成分の系にシリコーン(誘導体)を配合する場合、粒子径100nm以下のO/Wエマルションとして0.01〜5.0質量%の範囲で含む試験例1〜3では極めて優れた本願発明効果が得られたのに対し、粒子径が100nm超のシリコーン(誘導体)を0.5質量%を超えて配合した試験例6は外観(透明性)に劣るものであった。
【0075】
以下に本発明の毛髪化粧料の他の処方例を示す。いずれの毛髪化粧料も透明性が高く、500(mPa・s)以上の粘性があり、皮膚への刺激も弱く、塗布した時は毛髪へのなじみがよく、すすぎ時のなめらかさ(洗い流すタイプの毛髪化粧料について評価)、乾燥後のなめらかさに優れるものであった。
【0076】
(実施例9:洗い流さないヘアトリートメント)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.4
1,2−ドデカンジオール 5.0
エタノール 2.0
グリセリン 3.0
ジプロピレングリコール 2.0
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖 0.05
POE(20)グリセリルエーテル 0.15
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/IIDI)コポリマー 0.2
ジメチコン(「BY22-080」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.2(シリコーン純分)
クエン酸 0.01
カラス麦抽出液 0.1
大豆レシチン 0.1
タウリン 0.2
フェノキシエタノール 0.5
香料 0.1
水 残 余
(製造方法)
75℃の水を撹拌混合しながら、順次添加する。さらに、常温まで冷却する。
【0077】
(実施例10:ヘアコンディショナー)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
1,2−ドデカンジオール 10.0
ジグリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1.0
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
POE(60)硬化ヒマシ油 0.3
グルタミン酸 0.05
グリシン 0.1
アモジメチコン(「BY22-079」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.21(シリコーン純分)
(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー 1.0
(「FZ-4671」;(東レ・ダウシリコーン(株)製)
ベンジルアルコール 0.2
バラ抽出液 0.2
トウツバキ種子油 0.1
ポリクオタニウム−61 0.05
香料 0.4
水 残 余
(製造方法)
75℃の水を撹拌混合しながら、順次添加する。さらに、常温まで冷却する。
【0078】
(実施例11:洗い流すヘアトリートメント)
(配 合 成 分) (質量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
1,2−ドデカンジオール 10.0
ソルビトール 5.0
イソペンチルジオール 3.0
ステアレス−4 0.2
イソステアリン酸イソセチル 0.03
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
モノオレイン酸グリセリン 0.1
メントール 0.3
トウガラシチンキ 0.05
バニリルブチルエーテル 0.02
乳酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシエチル尿素 0.1
コハク酸 0.02
L−アルギニン塩酸塩 0.01
アモジメチコン(「BY22-079」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.21(シリコーン純分)
(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー 1.0
(「FZ-4671」;(東レ・ダウシリコーン(株)製)
メチルパラベン 0.3
安息香酸ナトリウム 0.2
バラ抽出液 0.2
香料 0.4
水 残 余
(製造方法)
75℃の水を撹拌混合しながら、順次添加する。さらに、常温まで冷却する。
【0079】
(実施例12:ヘアコンディショナー)
(配 合 成 分) (質量%)
ステアラミドプロピルジメチルアミン−コハク酸塩 2.0
1,2−ドデカンジオール 10.0
ソルビトール 10.0
イソプレングリコール 4.0
POE(35)POP(40)ジメチルエーテル(ブロック共重合体) 1.5
高重合ポリエチレングリコール(Mw200万) 0.1
(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー 0.2
エリスリトール 2.5
ジメチコン(「BY22-080」;東レ・ダウシリコーン(株)製) 0.2(シリコーン純分)
ジメチコン(20cs) 0.02
ピロリドンカルボン酸 0.4
酒石酸 0.02
トリメチルグリシン 0.1
POE(5)イソステアリルグリセリルエーテル 0.2
カチオン化デンプン 0.02
カチオン化セルロース 0.02
N-ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル) 0.1
ビワ抽出液 0.2
加水分解小麦タンパク質 0.1
加水分解小麦タンパク質・加水分解小麦デンプン 0.02
エデト酸2ナトリウム 0.05
香料 0.4
水 残 余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(I)または(II)で示される長鎖モノアルキル型カチオン界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を0.1〜10質量%と、(B)1,2−ドデカンジオールおよび/または1,2−デカンジオールを2.5〜30質量%と、(C)水を残部含み、(B)成分/(A)成分(質量比)が1.5以上であり、粘度が500(mPa・s/30℃)以上であり、L値が20以上である毛髪化粧料。



〔式(I)、(II)中、R1は、下記式(III):

{式(III)中、R5は炭素原子数14〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルキレン基であり、Aは−CONH−または−O−であり、aは0または1の数であり、Bは−CH2CH(OH)CH2−または−CH2CH2CH2−であり、bは0または1の数であり、Cは炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドであり、cは0〜2の数である。}
で示される基を表し;R2、R3、R4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し;X-は無機酸、有機酸、ハロゲン原子の中から選ばれる1種または2種以上のアニオンを表す。〕
【請求項2】
さらに、(D)シリコーンまたはその誘導体を、シリコーン純分として0.01〜5質量%、粒子径100nm以下のO/Wエマルションとして含む、請求項1記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2009−78992(P2009−78992A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248219(P2007−248219)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】