説明

毛髪洗浄剤組成物

【課題】添加した感触付与のための成分が洗い流されるのを抑制できる毛髪洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】成分(A)〜(C)を含有する毛髪洗浄剤組成物。
(A)一般式(I)
1−O−(R2O)m−(G)n (I)
〔式中、R1は炭素原子数8ないし18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基
またはアルキルフェニル基を示し、R2は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を示し、
Gは炭素原子数5ないし6の還元糖を示し、mは0ないし10の数を示し、nは1ないし10の数を示す。〕で表わされるアルキルサッカライド系界面活性剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤組成物に係り、特に、界面活性剤として非イオン性界面活性剤を使用する毛髪洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非イオン性界面活性剤は低刺激性であるため、従来より、皮膚や毛髪を洗浄する組成物に使用されている。しかし、非イオン性界面活性剤は他の界面活性剤に比べ起泡性に劣るため、シャンプーや身体洗浄剤の様な起泡性が要求される洗浄組成物には多く量を配合されていないのが現状である。また、界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用いた場合には、起泡性の問題だけでなく、皮膚、毛髪等において、きしみ感が他の界面活性剤を用いた場合に比べ強くでやすい等の問題点も有している。
【0003】
上記きしみ感の問題を解決するために、非イオン性界面活性剤を用いる洗浄剤に感触付与剤としてカチオン性ポリマーを配合することが提案されており(例えば、特許文献1参照。)、また、非イオン性界面活性剤を用いる洗浄剤に感触付与剤として各種シリコーンを配合することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、上記の毛髪洗浄剤組成物を用いた場合、何れの場合も感触付与剤として添加したカチオン性ポリマーや各種シリコーン等の多くが洗髪中に髪から洗い流されてしまうという問題があり、結果として、毛髪に十分な平滑性を付与できず、そのため十分満足を得る仕上がりに至らないなどの問題を生じている。
【特許文献1】特公平6−23085号公報
【特許文献2】特公平7−68115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決し得る、即ち、添加した感触付与のための成分が洗髪中に髪から洗い流されるのを抑制できる毛髪洗浄剤組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、その結果、非イオン性界面活性剤として特定の構造を有するアルキルサッカライド系界面活性剤を使用し、これに、特定の構造を有するシリコーン油及びカチオン性高分子を組み合わせて毛髪洗浄剤組成物に添加すると、毛髪における感触付与のための成分(シリコーン油及びカチオン性高分子等)が洗髪中に洗い流されることが抑制され、その成分がより多くの量毛髪表面に保持されることを見出し、この保持効果の結果として“くし通り力”に優れ、毛髪に十分な平滑性を付与して十分満足を得る仕上がりが得られることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は、
1)成分(A)〜(C)を含有する毛髪洗浄剤組成物、
(A)一般式(I)
1−O−(R2O)m−(G)n (I)
〔式中、R1は炭素原子数8ないし18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基
またはアルキルフェニル基を示し、R2は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を示し、
Gは炭素原子数5ないし6の還元糖を示し、mは0ないし10の数を示し、nは1ないし10の数を示す。〕で表わされるアルキルサッカライド系界面活性剤
(B)一般式(II)
R'(CH32SiO−[(CH32SiO]m−Si(CH32R' (II)
〔式中、R'はメチル基又はヒドロキシ基を示し、mは50ないし20000の数を示す
。〕で表わされるシリコーン油
(C)カチオン性高分子
2)更に(D)植物油脂類及びそれらのエステル化合物を含有する前記1)記載の毛髪洗浄剤組成物、
3)(D)植物油脂類及びそれらのエステル化合物がオリーブ油および/またはホホバ油である前記2)記載の毛髪洗浄剤組成物、
4)更に(E)海藻抽出エキスを含有する前記2)又は3)記載の毛髪洗浄剤組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の非イオン性界面活性剤を使用する毛髪洗浄剤組成物は、添加した感触付与のための成分が洗髪中に髪から洗い流されるのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、特定の構造を有するアルキルサッカライド系界面活性剤である(A)成分、特定の構造を有するシリコーン油である(B)成分及びカチオン性高分子である(C)成分を含有する。
本発明の毛髪洗浄剤組成物において、非イオン性界面活性剤として使用する(A)成分であるアルキルサッカライド系界面活性剤は一般式(I)
1−O−(R2O)m−(G)n (I)
で示されるものである。ここで式中、R1は炭素原子数8ないし18の直鎖または分岐鎖
のアルキル基、同アルケニル基または同アルキルフェニル基であるが、特に炭素原子数10ないし14の直鎖または分岐鎖のアルキル基(デシル基、ラウリル基、ミリスチル基等)であることが好ましい。
式(I)中のR2は炭素原子数2ないし4のアルキレン基であり、mは、0ないし10
の数を示すが、0ないし3が好ましく、0が特に好ましい。
【0009】
また、親水基であるサッカライド部分(式(I)中のG部分)は炭素原子数5ないし6の還元糖を基本単位とする。この還元糖としては、グルコース、ガラクトース、フラクトースが好ましい。さらに、サッカライドの重合度S(式(I)中のn)は1ないし10の
数を示すが、S=1ないし4(即ち、n=1ないし4)であるものが80%以上である事
が好ましい。さらに、重合度Sが低いもの、特に1ないし1.4(即ち、n=1ないし1.4)のものが好ましい。また重合度Sと基R1の両者が化合物(I)に与える影響を考慮すれば、R1の炭素原子数が8ないし11であるときは重合度Sが1ないし1.4であることが、
またR1の炭素原子数が12ないし14のときは重合度Sが1.5ないし4.0であることが好ましい。なお、重合度Sの平均値はプロトンNMR法により測定できる。
【0010】
上述のアルキルサッカライド系界面活性剤としては、既知のKoenigs-Knorr法によって
合成されるオクチルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルマルトシド、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、ポリオキシエチレン(2E.O.)ドデシルグルコシド等のβ−
アルキルサッカライドや、グルコース、ガラクトース、マルトース等の還元糖、高級アルコール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルアルコールより合成されるもの(米国特許第3,219,656号明細書、同第3,839,318号明細書、同第4,223,129号明細書)が挙げられ
る。
【0011】
(A)成分は本発明の毛髪洗浄剤組成物中に1〜60質量%(以下単に「%」で示す)、さらに2〜30%配合されることが好ましい。
【0012】
本発明の毛髪洗浄剤組成物に使用する成分(B)である一般式(II)
R'(CH32SiO−[(CH32SiO]m−Si(CH32R' (II)
で表されるシリコーン油は、R'がメチル基又はヒドロキシ基であり、実質的には水不溶
性、不揮発性である。特に、乳化重合により得られた水不溶性高重合ジメチルポリシロキサンエマルションが好ましい。成分(B)のシリコーンの分散粒子の平均粒径は好ましくは4μm以下、特に、3μm以下、更に2μm以下であることが好ましい。また、平均粒径
は、0.1μm以上であることが使用感やコンディショニング効果の点で好ましい。このよ
うなシリコーン油としては、例えば、(II)式中におけるmが300ないし6500の数を示
すジメチルポリシロキサン油を60質量%含み、平均粒径が0.5μmである東レ・ダウコー
ニング社から「シリコーンCF2450」として市販されているシリコーンエマルションを使用することができる。
【0013】
成分(B)のシリコーン油は、洗髪時の泡感触、乾燥後の感触やツヤの向上の点から、本発明の毛髪洗浄剤組成物中の0.01〜10質量%とされるが、0.05〜6質量%が好ましく、特に0.5〜3質量%、とりわけ1〜2質量%が好ましい。
【0014】
本発明の毛髪洗浄剤組成物に使用する(C)成分はカチオン性高分子化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。カチオン性高分子化合物としては、官能基がジメチルジアリルアンモニウムハライドである塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸3元共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体、カチオン化グアーガム、デキストラン塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムエーテル等のカチオン化デキストラン、カチオン化プルラン、四級化ビニルピロリドン−アミノエチルメタクリレート共重合体、ポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン縮合物、アジピン酸ジメチル−アミノヒドロキシプロピルジエチルトリアミン共重合体、第四級窒素含有スターチ等が挙げられる。また、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解コラーゲン、加水分解小麦、カチオン化加水分解ケラチン、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、カチオン化加水分解小麦、シリコーン化加水分解コラーゲン、シリコーン化加水分解シルクのタンパク加水分解にカチオン基を導入したもの等が挙げられる。この中でも、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガムが好ましい。
【0015】
(C)成分のカチオン性高分子化合物の平均分子量は、通常1万〜1000万であり、これは、温度25℃で粘度を測定し、A.J.Barryの式(J.Appl.Physics.17.1020(1946))から算出した値である。
(C)成分のカチオン性高分子化合物の含有量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜7質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。この範囲で配合することにより、特に泡立ちに優れ、きめ細かい泡質となり、すすぎ性も向上する。カチオン性高分子化合物の含有量が少なすぎても多すぎても、泡立ち、すすぎ性が良くならない場合がある。
【0016】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には濯ぎの指通り性向上および乾燥後のしなやかさを向上させる目的のために、更に(D)成分として植物油脂類及びそれらのエステル化合物を配合することができる。植物油脂類及びそれらのエステル化合物としては、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、硬化パーム油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等およびそれらのエステル化合物が挙げられる。これらの中でもオリーブ油お
よび/またはホホバ油が好ましい。
(D)成分の植物油脂類及びそれらのエステル化合物の含有量は特に限定されないが、毛髪洗浄剤組成物中0.005〜5.0%が好ましく、更に好ましくは0.01〜2.0%である。
【0017】
本発明の毛髪洗浄剤組成物には毛髪のまとまり性を向上させる目的のために、更に(E)成分として海藻抽出物を配合することができる。本発明に用いられる海藻抽出物は、褐藻類、紅藻類、緑藻類から1種または2種以上選ばれる。これらの抽出物は適当な溶媒により抽出又は直接圧搾することにより得ることができ、圧搾と抽出を組合わせて行なってもよい。
【0018】
抽出溶媒としては、エタノール、メタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、冷水、熱水等の水、スクワラン、ヒマワリ油、パラフィン油、エステル油等の油類、アセトン、酢酸エチル等から選ばれる1種又は2種以上の混液が使用可能であり、これらの中では、水やアルコール類等の極性溶媒から選ばれる1種又は2種以上の混液が望ましい。また、別の方法として、上記抽出液をシリカゲルクロマトのグラフィー等吸着系クロマトグラフィーを用いて分画して得られる抽出物を用いることもできる。また、抽出液中の溶媒を蒸留後さらに適当な溶媒に溶解したり、上記抽出液の濃縮物あるいは乾燥粉末を、本発明に使用することもできる。
【0019】
本発明における海藻抽出物の配合量としては、毛髪洗浄剤組成物の組成物全量に対して0.001〜1.0%が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.3%である。
【0020】
尚、本発明の毛髪洗浄剤組成物には、上記必須成分の他に、洗浄剤として通常用いられる成分を、発明の効果を損なわない範囲において任意に併用することもできる。例えば、スルホン酸系、サルフェート系、カルボン酸、およびリン酸系のアニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、アルキルサッカライド系を除く非イオン活性剤等の洗浄剤組成物に配合し得る界面活性剤、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、 ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール(200、300、400、600、1000、1500)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール、硬化ヒマシ油(30E.O.)、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン及びソルビトール等の保湿剤、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、硅酸アルミニウム、マルメロ種子抽出物、トラガントガム、デンプン等の天然高分子、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン等の半合成高分子、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体等の合成高分子化合物、ポリオキシエチレングリコールジステアレート等の増粘剤、ミンク油、卵黄油等の動物油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、水添ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸類、グリセロールトリ−2−エチルヘキサン酸エステル、2−エチルヘキシルステアレート、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等の油性成分、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール類、エチレングリコールモノステアリルエステル、エチレングリコールジステアリルエステル、ジエチレングリコールモノステアリ
ルエステル、ジエチレングリコールジステアリルエステル、トリエチレングリコールモノステアリルエステル、トリエチレングリコールジステアリルエステル、エチレングリコールモノベヘニルエステル、エチレングリコールジベヘニルエステル等のパール化剤、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸及びその誘導体等のビタミン類、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン及びその誘導体等のアミノ酸類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等の紫外線吸収剤・散乱剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、グルコン酸等のキレート剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、クエン酸、コハク酸、トリエタノールアミン、アンモニア水、トリイソプロパノールアミン、リン酸、グリコール酸等のpH調整剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、グリチルリチン酸カリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤、安息香酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4′−トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液(商品名ケーソンCG;ローム・アンド・ハース・ジャパン社製)、サリチル酸、ペンタンジオール、フェノキシエタノール、エタノール等の防腐剤、香料、色素、などを目的に応じ配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の毛髪洗浄剤組成物に添加される任意成分は、前述のものに限定されるものではない。
【0021】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の剤型は特に限定されず、シャンプー、リンスインシャンプー(コンディショニングシャンプー)等に調製される。また、一般の毛髪洗浄剤組成物に限定されるものではなく、医薬部外品などにも包含されるものである。また、ヒトの毛髪の他、ペット等の動物の毛などにも使用することができる。
【0022】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、特に制限されることなく、各種剤型の常法に従って製造することができる。毛髪洗浄剤組成物の容器としては、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブ等のチューブの他、機械的又は差圧によるディスペンサー容器及びスクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、スティック容器、ボトル容器等に充填することができる。ラミネートフィルムは、通常2層以上の多層を有し、その材質はポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、紙、アルミ蒸着プラスチック等によって構成される。強度、柔軟性、耐候性等を考慮し、一般的には2〜5層のものを用いる。ボトルの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等及びガラス等を単層ないし2層以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、洗髪中に感触付与のための成分、例えば、シリコーン油及びカチオン性高分子等が洗い流されることが抑制されて、毛髪表面に維持される感触付与のための成分が多くなり、結果として“くし通り力”に優れるという効果、即ち、毛髪における成分の保持効果(洗髪中に洗い流される成分の抑制効果)を奏する。そして、こ
の作用効果に関連して、更に、以下の効果を得ることができる。
1)洗髪中に成分が洗い流されるのを抑制できることによって(即ち、界面活性剤中に取り込まれる有機成分が少なくなることによって)界面活性剤による洗髪時の起泡性がより向上し得る。
2)洗髪中に成分が洗い流されるのを抑制できることによって(即ち、毛髪表面に維持される成分が多くなって)洗髪乾燥後の髪の平滑性及び柔軟性がより向上し得る。
尚、毛髪洗浄剤組成物において、毛髪表面における成分の保持効果(洗髪中に洗い流される成分の抑制効果)の指標となるところの“くし通り力”は、以下のような方法により得られる。
健常な日本人女性の毛髪20g(15cm)に毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)1gを塗布し、1分間泡立て、水で濯ぎ、タオルドライ後の毛髪束(約0.7g/g毛髪の水分を含む)をそのまま、或いはドライヤーで約5分間乾燥した後(約0.1g/g毛髪の水分を含む)、ストレンゲージでくし通り荷重を測定した。測定は温度20℃、湿度65%の恒温室で20回繰り返し、その平均値(g)をくし通り力とした。
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、更に、低刺激性である非イオン性界面活性剤を使用するため、皮膚・毛髪に対して優しく且つ安全性が高い毛髪洗浄剤組成物となり得る。
また、本発明の毛髪洗浄剤組成物により、ポリマーによって生じるごわつき感も低減することができる。
【0024】
更に(D)成分として植物油脂類及びそれらのエステル化合物が配合された本発明の毛髪洗浄剤組成物は、更に“くし通り力”を向上させることができ、また、濯ぎ時の指通り性および乾燥後のしなやかさを向上させることができる。
上記の効果は、(D)成分の植物油脂類及びそれらのエステル化合物がオリーブ油および/またはホホバ油である場合に優れるものである。
(D)成分の植物油脂類及びそれらのエステル化合物に加えて、更に、(E)成分として海藻抽出物が配合された本発明の毛髪洗浄剤組成物は、上記の効果に加えて、毛髪のまとまり性を向上させることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す組成からなる本発明品1ないし6及び比較品1ないし3のシャンプーを調製し、くし通り力及び起泡性を評価した。
尚、起泡性については反転攪拌法により評価し、くし通り力については、健常な日本人女性の毛髪20g(15cm)に毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)1gを塗布し、1分間泡立て、水で濯ぎ、タオルドライ後の毛髪束(約0.7g/g毛髪の水分を含む)をそのまま、或いはドライヤーで約5分間乾燥した後(約0.1g/g毛髪の水分を含む)、ストレンゲージでくし通り荷重を測定した。測定は温度20℃、湿度65%の恒温室で20回繰り返し、その平均値(g)を算出した。結果を表1に示す。
<評価基準>
起泡性;
A:極めて良好な泡立ちを示す
B:良好な泡立ちを示す
C:泡立つが不足と感じる
【表1】

*1 塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース
*2 N,N−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウムクロライドとアクリルアミドとの共重合物(マーコート550,メルク社製)
本発明品1ないし6のシャンプーは、比較品1ないし3のシャンプーに比して、くし通り力、特に乾燥後のくし通り力において優れていた(数値が小さいほどくし通り力に優れる。)。更に、本発明品1ないし6のシャンプーは、比較品1ないし3のシャンプーに比して起泡性においても優れていた。
【0026】
(実施例2)
表2に示す組成からなる本発明品7〜15を調製し、実施例1の評価基準により、その性能を評価した。結果を表2に示す。
尚、本発明品7,8は、植物油脂類及びそれらのエステル化合物((D)成分)として、オリーブ油又はホホバ油を配合したものであり、本発明品9ないし15は、植物油脂類及びそれらのエステル化合物((D)成分)に加えて、更に、海藻抽出物((E)成分)として渇藻エキス混合物を配合したものである。
【表2】

*3 ファルコレックス ケルプ(一丸ファルコス(株))
植物油脂類及びそれらのエステル化合物((D)成分)として、オリーブ油又はホホバ油を配合した本発明品7,8及び植物油脂類及びそれらのエステル化合物((D)成分)に加えて、更に、海藻抽出物((E)成分)として渇藻エキス混合物を配合した本発明品9ないし15は、本発明品1ないし6よりも更に優れるくし通り力を示した。
また、本発明品7,8は、官能評価において、本発明品1ないし6よりも濯ぎ時の指通り性に優れていた。
尚、濯ぎ時の指通り性は、健常な日本人女性の毛髪20g(15cm)に毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)1gを塗布し、1分間泡立て、水で濯ぐ操作を専門パネラー5名で行うことにより評価した。
また、発明品9ないし15は、官能評価において、本発明品1ないし8よりも乾燥後のまとまり性に優れていた。
尚、乾燥後のまとまり性は、健常な日本人女性の毛髪20g(15cm)に毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)1gを塗布し、1分間泡立て、水で濯ぎ、タオルドライ後、ドライヤーで乾燥する操作を専門パネラー5名で行うことにより評価した。
また、本発明1ないし15は何れも、官能評価において、比較品1ないし3よりも乾燥後の平滑性及び乾燥後の柔軟性に優れるものであり、また、比較品3よりも皮膚刺激性に優れるものであった。
尚、乾燥後の平滑性、乾燥後の柔軟性及び皮膚刺激性は、健常な日本人女性の毛髪20g(15cm)に毛髪洗浄剤組成物(シャンプー)1gを塗布し、1分間泡立て、水で濯ぎ、タオルドライ後、ドライヤーで乾燥する操作を専門パネラー5名で行うことにより評価した。
【0027】
(実施例3)
次に掲げる組成のシャンプーを調製した。このものは皮膚に対して極めて温和で、優れた起泡性を持ち、髪に優れた感触を与えるものであった。
コンディショニングシャンプー
(質量%)
(1)ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10
(2)デシルグルコシド(p平均=1.2) 10
(3)ラウリン酸ジエタノールアミド 2
(4)ラウリン酸ジメチルアミンオキサイド 0.5
(5)ジステアリン酸エチレングリコール 2
(6)ジメチルポリシロキサン乳化液*4
(7)ポリマーJR−400 0.3
(8)オリーブ油 0.01
(9)渇藻エキス混合物(実施例2と同じもの) 0.05
(10)香料 0.5
(11)色素 微量
(12)精製水 バランス

*4 以下に示す組成物 (質量%)
ジメチルポリシロキサン 40
(信越化学工業製, 粘度1000万cSt/25℃)
POE(1)ラウリルエーテル 2
(POE=ポリオキシエチレン)
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2
精製水 バランス
【0028】
(実施例4)
次に掲げる組成のふけ防止シャンプーを調製した。この、ふけ防止シャンプーは、皮膚に対して極めて温和で、ふけ防止及び本発明の効果に優れるものであった。
(質量%)
(1)ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム 18
(2)ラウリルグルコシド(p平均=2) 2
(3)ラウリン酸ジエタノールアミド 1
(4)ジステアリン酸エチレングリコール 3
(5)ピラクトンオーラミン(Octopyrox) 1
(6)ジメチルポリシロキサン乳化液(粒径1.0μm ) 2
(実施例3(6)と同じもの)
(8)マーコート550*3
(9)オリーブ油 0.01
(10)渇藻エキス混合物(実施例2と同じもの) 0.05
(11)香料 0.2
(12)色素 微量
(13)精製水 バランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)〜(C)を含有する毛髪洗浄剤組成物。
(A)一般式(I)
1−O−(R2O)m−(G)n (I)
〔式中、R1は炭素原子数8ないし18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基
またはアルキルフェニル基を示し、R2は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を示し、
Gは炭素原子数5ないし6の還元糖を示し、mは0ないし10の数を示し、nは1ないし10の数を示す。〕で表わされるアルキルサッカライド系界面活性剤
(B)一般式(II)
R'(CH32SiO−[(CH32SiO]m−Si(CH32R' (II)
〔式中、R'はメチル基又はヒドロキシ基を示し、mは50ないし20000の数を示す
。〕で表わされるシリコーン油
(C)カチオン性高分子
【請求項2】
更に(D)植物油脂類及びそれらのエステル化合物を含有する請求項1記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
(D)植物油脂類及びそれらのエステル化合物がオリーブ油および/またはホホバ油である請求項2記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に(E)海藻抽出エキスを含有する請求項2又は3記載の毛髪洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−273904(P2008−273904A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121923(P2007−121923)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(599098518)株式会社ディーエイチシー (31)
【Fターム(参考)】