説明

気中塩分測定方法及びシステム

【課題】1〜2ヶ月或いはそれ以上の長期間に亘る継続的な気中塩分測定を行う。
【解決手段】一定量の純水2を封入した密閉容器1に、外気導入管3の先端に備えられたノズル3aから射出される外気と純水吸引管4により吸い上げられた容器内の純水とにより容器内で霧10を発生させる霧吹装置5を備え、容器を負圧として外気導入管から被測定外気を容器内に導入すると共に純水吸引管により容器内の純水を吸い上げ、ノズルの前方の壁7に衝突するように霧吹装置から霧を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器内の純水に溶解させ、容器内の純水中の電気伝導度の測定値から被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定システムにおいて、容器内の純水の量を監視するセンサ11と、外気導入管を介して容器内に純水を補給する純水補給手段8と、センサからの信号に応じて純水補給手段を作動させる制御装置9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気中塩分測定方法及びシステムに関する。さらに詳述すると、本発明は、大気中の塩分を純水に溶解させ、この純水の電気伝導度の測定値から大気中の塩分を測定する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大気中の塩分を測定する従来技術として、特許文献1記載の気中塩分測定方法が知られている。この気中塩分測定方法は、図3に示す気中塩分計を用いて実施される。具体的には、一定量の純水102を封入した密閉容器101に、外気を容器101内に導入するための外気導入管103と容器101内の純水102を吸い上げるための純水吸引管104とを有し且つ外気導入管103の先端に備えられたノズル103aから射出される外気と純水吸引管104により吸い上げられた容器101内の純水102とにより容器101内で霧110を発生させる霧吹装置105を備えておく。そして、容器101に設けた排気口106から排気ポンプによって容器101内の空気を排除することで容器101を負圧とし、外気導入管103から被測定外気を容器101内に導入すると共に純水吸引管104により容器内の純水102を吸い上げ、容器101の内壁に衝突するように霧吹装置105から霧110を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器101内の純水102に溶解させ、容器101内の純水102中の電気伝導度の測定値(電極112により測定)から被測定外気の塩分を測定するものである。また、図3に示す気中塩分計には、一定時間毎に容器101内の純水102を交換するための機構として、純水タンク107、吸水電磁弁108、排水電磁弁109及び純水を一定量に定めるための水位センサ111が備えられている。
【0003】
【特許文献1】特公平5−8982号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の気中塩分測定方法は、一定時間毎に容器101内の純水102の交換を行って測定毎に容器101内の純水を全量入れ替えることを前提とするものである。近年、1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間に亘って継続的に気中塩分測定を行うことが要求されており、このような長期間に亘って継続的に塩分測定を行うことのできる手法の確立が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間に亘って継続的に塩分測定を行うことのできる気中塩分測定方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本願発明者等は、特許文献1記載の気中塩分測定方法によって、1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間に亘って継続的に塩分測定を行うことができないか検討を行ったところ、一定時間毎、例えば5〜6時間毎に容器101内の純水102の交換を行って測定毎に容器101内の純水102を全量入れ替えることを前提としていた場合には生じ得なかった問題が明らかとなった。即ち、測定期間が一日を超えると、容器101内の純水102が蒸発することによりその量が大幅に低下し、霧110を発生させることができなくなることが判明した。
【0007】
そこで、本願発明者等は、一定時間毎に容器101内の純水102を交換するための機構である純水タンク107、吸水電磁弁108及び純水を一定量に定めるための水位センサ111を利用することによって、容器101内の純水102の量が低下したことを水位センサ111で検知させ、吸水電磁弁108を作動させて純水タンク107から純水102を補給することで、長期間に亘る継続的な塩分計測を実施できるのではないかと考え、実験を行った。ところが、この場合にも霧110の発生に問題が生じることが明らかとなった。即ち、外気導入管103のノズル103aに土埃や塩分の結晶による詰まりが生じ、ノズル103aからの外気の射出が阻害されて、霧110を発生させ難くなることが判明した。
【0008】
そこで、本願発明者等は、これらの問題点を解決すべく鋭意検討し、容器101内の純水102の量が低下したときに、外気導入管103を介して容器101内に純水102を補給することで、容器101内への純水102の補給と同時に、外気導入管103のノズル103aの詰まりを解消することができることを知見し、本願発明に至った。
【0009】
かかる知見に基づく本発明の気中塩分測定方法は、一定量の純水を封入した密閉容器に、外気を容器内に導入するための外気導入管と容器内の純水を吸い上げるための純水吸引管とを有し且つ外気導入管の先端に備えられたノズルから射出される外気と純水吸引管により吸い上げられた容器内の純水とにより容器内で霧を発生させる霧吹装置を備え、容器内を負圧として外気導入管から被測定外気を容器内に導入すると共に純水吸引管により容器内の純水を吸い上げ、外気導入管のノズルの前方の壁に衝突するように霧吹装置から霧を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器内の純水に溶解させ、容器内の純水の電気伝導度の測定値から被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定方法において、容器内の純水の量が低下したときに、外気導入管を介して容器内に純水を補給するようにしている。
【0010】
また、かかる知見に基づく本発明の気中塩分測定システムは、一定量の純水を封入した密閉容器に、外気を容器内に導入するための外気導入管と容器内の純水を吸い上げるための純水吸引管とを有し且つ外気導入管の先端に備えられたノズルから射出される外気と純水吸引管により吸い上げられた容器内の純水とにより容器内で霧を発生させる霧吹装置を備え、容器内を負圧として外気導入管から被測定外気を容器内に導入すると共に純水吸引管により容器内の純水を吸い上げ、外気導入管のノズルの前方の壁に衝突するように霧吹装置から霧を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器内の純水に溶解させ、容器内の純水中の電気伝導度の測定値から被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定システムにおいて、容器内の純水の量を監視するセンサと、外気導入管を介して容器内に純水を補給する純水補給手段と、センサからの信号に応じて純水補給手段の作動を制御する制御装置とを備えるものである。
【0011】
したがって、本発明の気中塩分測定方法及びシステムによると、容器内の純水の量が低下したときに、外気導入管を介して容器内に純水を補給するようにしているので、容器内の純水の量が一定量に維持されると共に、外気導入管のノズルの詰まりの原因となる土埃や塩分の結晶が除去される。さらには、外気導入管の内面に付着している水分を洗い流すこともできる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明の気中塩分測定方法及びシステムによれば、容器内の純水の量が低下したときに、外気導入管を介して容器内に純水を補給するようにしているので、容器内の純水の量を一定量に維持することができると共に、外気導入管のノズルの詰まりの原因となる土埃や塩分の結晶を除去することができる。したがって、近年要求されている1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間にわたる継続的な塩分測定を行うことが可能となる。しかも、外気導入管を介して容器内に純水を補給することによって、外気導入管の内面に付着した塩分を洗い流すこともできるので、導入された外気に含まれている塩分の全量を容器内の純水に溶け込ませて、高精度に気中塩分測定を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に本発明の気中塩分測定システムの実施の一形態を示す。この気中塩分測定システムは、一定量の純水2を封入した密閉容器1に、外気を容器1内に導入するための外気導入管3と容器1内の純水2を吸い上げるための純水吸引管4とを有し且つ外気導入管3の先端に備えられたノズル3aから射出される外気と純水吸引管4により吸い上げられた容器1内の純水2とにより容器1内で霧10を発生させる霧吹装置5を備え、容器1内を負圧として外気導入管3から被測定外気を容器1内に導入すると共に純水吸引管4により容器1内の純水2を吸い上げ、外気導入管3のノズル3aの前方の壁7に衝突するように霧吹装置5から霧10を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器1内の純水2に溶解させ、容器1内の純水2中の電気伝導度の測定値から被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定システムにおいて、容器1内の純水2の量を監視するセンサ11と、外気導入管3を介して容器1内に純水2を補給する純水補給手段8と、センサ11からの信号に応じて純水補給手段8の作動を制御する制御装置9とを備えるものである。尚、容器1内の純水2中の電気伝導度の測定値は、純水2中に電極12を浸漬して電気伝導度を測定する電気伝導度測定装置13により得られる。
【0015】
この気中塩分測定システムにおいて、一定量の純水2を封入した密閉容器1に、外気を容器1内に導入するための外気導入管3と容器1内の純水2を吸い上げるための純水吸引管4とを有し且つ外気導入管3の先端に備えられたノズル3aから射出される外気と純水吸引管4により吸い上げられた容器1内の純水2とにより容器1内で霧10を発生させる霧吹装置5を備え、容器1内を負圧として外気導入管3から被測定外気を容器1内に導入すると共に純水吸引管4により容器1内の純水2を吸い上げ、外気導入管3のノズル3aの壁7に衝突するように霧吹装置5から霧10を発生させて被測定外気に含まれる塩分を容器1内の純水2に溶解させ、容器1内の純水2中の電気伝導度の測定値から被測定外気の塩分を測定する構成については、特公平5−8982号に記載されている気中塩分計と共通している。この構成について以下に簡単に説明する。
【0016】
密閉容器1は例えばガラス製の容器であり、被測定外気の塩分を溶解させるための純水2が一定量封入されている。尚、純水2は、塩分の測定に影響を与える量の金属イオン等を実質的に含まない水であり、例えば蒸留水等である。
【0017】
容器1に備えられている霧吹装置5は、容器1内に導入した外気と容器1内の純水2とによって霧を発生させる装置である。容器1内の排気口6から例えば排気ポンプ6aにより容器1内の空気を排除すると、霧吹装置5の外気導入管3から被測定外気が取り込まれると共に外気導入管3の先端のノズル3aから被測定外気が射出される。尚、図1中の符号6bは流量計であり、排気ポンプ6aにより排気される容器1内の空気の流量を測定可能としている。また、霧吹装置5の純水吸引管4により容器1内の純水2が吸い上げられる。そして、外気導入管3の先端のノズル3aから射出された被測定外気と、純水吸引管4により吸い上げられた容器1内の純水2とによって霧10が発生する。この霧10は、外気導入管3のノズル3aの前方の壁7に衝突させるようにする。
【0018】
ここで、外気導入管3のノズル3aの前方の壁7は、例えば図1に示すように外気導入管3の先端付近に部材を接続して設けるようにしてもよいし、あるいは容器1の内壁近傍で霧10を発生させ、壁7を容器1の内壁として、霧10を衝突させるようにしてもよい。
【0019】
霧10は壁7に高速で衝突する。例えば、外気導入管3のノズル3aの出口の直径を2mmとし、容器1内からの空気の排気速度を10L/minとした場合、霧10の吹き出し速度は50m/sとなる。したがって、被測定外気中の塩分は、壁7に付着すると同時に霧10で洗い流されて容器1内の純水2に溶解する。
【0020】
容器1内の純水2の電気伝導度は、純水2に浸漬された電極12を介して電気伝導度測定装置13(例えば、東亜DKK株式会社社製の電気導電率計)により測定され、データロガー13aにより測定値が記録される。そして、電気伝導度の測定値から、純水2に溶解している塩分量と電気伝導度について予め求められた関係に基づいて、純水2の溶解塩分量、即ち被測定外気に含まれていた塩分量を求めることができる。
【0021】
本発明の気中塩分測定システムでは、上記構成に加えて、容器1内の純水2の量を監視するセンサ11と、外気導入管3を介して容器1内に純水2を補給する純水補給手段8と、センサ11からの信号に応じて純水補給手段8の作動を制御する制御装置9とを備えるものとしている点に特徴がある。これらを備えることによって、容器1内の純水2の量を一定量以上に維持することができると共に、外気導入管3のノズル3aに土埃や塩分の結晶が付着して詰まりが起こるのを防止することができる。したがって、近年要求されている1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間にわたる継続的な塩分測定を行うことが可能となる。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、センサ11としてレーザーを利用した液面センサ(例えば、株式会社旭製作所社製の液面コントローラー)を容器1内に備え、純水2の液面の位置を制御するようにしている。この液面センサは、先端部が空気に晒されているときには、先端部の素材と空気との屈折率の差が大きいため、光源からの光が全反射して受光部に戻り、先端部が液体に接触しているときには、先端部の素材と液体との屈折率の差が小さくなって、光源からの光が液体中に放射され受光部に戻らなくなることを利用したものである。つまり、先端部で液体の存在の有無を検出することができるセンサである。尚、本実施形態では、液面センサ11を容器1内に二つ備え、液面センサ11aによって純水2の液面の位置を制御し、液面センサ11bで液面センサ11aに故障等が生じて給水が止まらなくなった場合、純水2の液面の高さが液面センサ11bの先端部まで達したときに給水ポンプを強制的に止めるためのものである。つまり、液面センサ11bは言わば装置の安全性を保つためのセンサであり、純水2の液面の位置を制御するという意味では、必須の構成要素ではない。
【0023】
具体的には、図1に示すように、純水2の液面の位置を、容器1内の一定の位置、好ましくは純水供給管4の上端から下端までの位置に制御可能に液面センサ11aを設置する。つまり、液面センサ11aの先端部が純水供給管4の上端から下端までの位置に配置されるように液面センサ11aを設置する。これにより、容器1内が負圧となったときに、純水供給管4からの純水2の吸い上げを常に生じさせて、霧10の発生状態を常に良好なものとすることができる。
【0024】
純水2の液面の位置が低下して液面センサ11aの先端部が純水2の液面と接触しなくなると、液面センサ11aから制御装置9に信号が送られ、この信号を受けた制御装置9が純水補給手段8を作動させて、容器1内に外気導入管3を介して純水2を補給する。そして、液面センサ11aの先端部が純水2の液面と接触すると、液面センサ11aから制御装置9に信号が送られ、この信号を受けた制御装置9が純水供給手段8の作動を停止させて、容器1内への純水2の補給を停止する。これにより、容器1内の純水2の液面は常に、液面センサ11aの先端部の位置付近に制御される。
【0025】
本実施形態において、純水補給手段8は、純水貯留タンク8aと、送液ポンプ8bとを備え、純水貯留タンク8aに貯留されている純水2は、送液ポンプ8bにより外気導入管3に送液される。送液ポンプ8bの作動は制御装置9により制御される。即ち、制御装置9が純水2の液面の位置が低下して液面センサ11aの先端部が純水2の液面と接触しなくなったときの液面センサ11aからの信号を受信すると制御装置9は送液ポンプ8bを作動させ、純水2が容器1内に補給される。そして、制御装置9が液面センサ11aの先端部が純水2の液面と接触したときの液面センサ11aからの信号を受信すると制御装置9は送液ポンプ8bの作動を停止させ、純水2が容器1内に補給されるのを停止する。制御装置9は例えば、CPUまたはMPUにより構成される。尚、図1では、外気導入管3の途中に分岐を設けて、当該分岐部に純水2を送液して純水2を外気導入管3に送液するようにしているが、外気導入管3の外気導入口3bに純水2を送液するようにしてもよい。
【0026】
外気導入管3への純水2の送液量については、被測定外気の容器1内への継続的な導入を妨害しない量とすることが好ましい。即ち、外気導入管3の管内を純水2が流通するときに、同時に被測定外気も流通可能な程度の送液量とすることが好ましい。
【0027】
ここで、本実施形態における容器1内への純水2の補給手順について、図2に示すフロー図を用いて説明する。容器1内の排気を開始(S1)すると、容器1内は負圧となる。これにより容器1内で霧10が発生して導入された被測定外気の塩分が純水2に溶け込む。容器1内の純水2は蒸発して徐々にその液量が低下する。そして液面センサ11aが純水2の液面を検知しなくなると(S2)、液面センサ11aから制御装置9に信号が送信され(S3)、制御装置9が純水補給手段8を作動させる(S4)。これにより、容器1内への外気導入管3を介した純水2の補給が開始され、容器1内の純水2の液量が徐々に増加する。そして液面センサ11aが純水2の液面を検知すると(S5)、液面センサ11aから制御装置9に信号が送信され(S6)、制御装置9が純水補給手段8の作動を停止させる(S7)。制御装置9が純水補給手段8の作動を停止させると、容器1内の純水2は蒸発して徐々にその液量が低下するので、液面センサ11aが純水2の液面を検知しなくなったときに再度純水補給手段8を作動させて純水2を補給し、容器内の純水2の量を維持する(S2〜S7)。即ち、気中塩分を測定している間は、S2〜S7の工程を繰り返して容器2内の純水2の量を一定量以上に維持する。この一連の流れによって、気中塩分測定中の容器1内の純水2の液面は、容器1内の一定の位置、好適には純水供給管4の上端から下端までの位置に制御される。尚、液面センサ11bの設置位置は、その先端部が液面センサ11aの先端部よりも高い位置で、且つ純水供給管4の上端よりも低い位置とすることが好適である。この場合には、液面センサ11aに故障等が生じて液面センサ11aの先端部よりも液面の位置が上昇しても、液面センサ11bが液面を検知したときに純水ポンプの作動を止めて、気中塩分測定を継続することができる。
【0028】
純水2を外気導入管3を介して補給することによって、外気導入管3のノズル3aを純水2が通過し、その際にノズル3aに付着している土埃や塩分の結晶が除去されて、ノズル3aからの外気の射出状態を常に良好なものとすることができる。したがって、容器1内を負圧にしたときに常に霧10を発生させることができ、1〜2ヶ月あるいはそれ以上の長期間に亘る継続的な気中塩分測定が可能となる。また、純水2を外気導入管3を介して補給することによって、外気導入管3の内面に付着した塩分を洗い流すこともできるので、導入された外気に含まれている塩分の全量を測定し、高精度に気中塩分測定を行うことが可能となる。
【0029】
上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、液面センサとしてレーザーを利用したものを用いるようにしていたが、本発明において使用できる液面センサはこれに限定されるものではなく、液面の検知が可能なセンサを各種用いることも可能である。
【0030】
また、上述の実施形態では、容器1内の純水2の量が低下したときに、外気導入管3を介して純水2を供給するようにしていたが、純水2の供給タイミングはこれに限定されるものではない。即ち、外気導入管3のノズル3aに土埃や塩分の結晶等による詰まりが発生したときに、あるいは発生する直前に、純水供給手段8より外気導入管3を介して純水2を供給して、土埃や塩分の結晶等によるノズル3aの詰まりを解消しあるいは防止するようにしてもよい。または、純水供給手段8より外気導入管3を介して純水2を定期的に供給することにより、土埃や塩分の結晶等によるノズル3aの詰まりを定期的に解消しあるいは防止するようにしてもよい。要するに、純水供給手段8より外気導入管3を介して純水2を供給するタイミングは、容器1内の純水2の量の低下に応じて決定するのではなく、土埃や塩分の結晶等によるノズル3aの詰まりの発生に応じて決定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の気中塩分測定システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】容器内への純水補給手順を示すフロー図である。
【図3】従来の気中塩分測定システムを示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 容器
2 純水
3 外気導入管
3a ノズル
4 純水吸引管
5 霧吹装置
7 壁
8 純水補給手段
9 制御装置
10 霧
11 センサ
12 電極
13 電気伝導度測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定量の純水を封入した密閉容器に、外気を前記容器内に導入するための外気導入管と前記容器内の純水を吸い上げるための純水吸引管とを有し且つ前記外気導入管の先端に備えられたノズルから射出される前記外気と前記純水吸引管により吸い上げられた前記容器内の純水とにより前記容器内で霧を発生させる霧吹装置を備え、前記容器内を負圧として前記外気導入管から被測定外気を前記容器内に導入すると共に前記純水吸引管により前記容器内の純水を吸い上げ、前記ノズルの前方の壁に衝突するように前記霧吹装置から霧を発生させて前記被測定外気に含まれる塩分を前記容器内の純水に溶解させ、前記容器内の純水の電気伝導度の測定値から前記被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定方法において、前記容器内の純水の量が低下したときに、前記外気導入管を介して前記容器内に純水を補給することを特徴とする気中塩分測定方法。
【請求項2】
一定量の純水を封入した密閉容器に、外気を前記容器内に導入するための外気導入管と前記容器内の純水を吸い上げるための純水吸引管とを有し且つ前記外気導入管の先端に備えられたノズルから射出される前記外気と前記純水吸引管により吸い上げられた前記容器内の純水とにより前記容器内で霧を発生させる霧吹装置を備え、前記容器内を負圧として前記外気導入管から被測定外気を前記容器内に導入すると共に前記純水吸引管により前記容器内の純水を吸い上げ、前記ノズルの前方の壁に衝突するように前記霧吹装置から霧を発生させて前記被測定外気に含まれる塩分を前記容器内の純水に溶解させ、前記容器内の純水中の電気伝導度の測定値から前記被測定外気の塩分を測定する気中塩分測定システムにおいて、前記容器内の純水の量を監視するセンサと、前記外気導入管を介して前記容器内に純水を補給する純水補給手段と、前記センサからの信号に応じて前記純水補給手段の作動を制御する制御装置とを備えることを特徴とする気中塩分測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−112722(P2010−112722A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282909(P2008−282909)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(598023425)株式会社電力テクノシステムズ (7)
【Fターム(参考)】