説明

気体加熱器並びにこれを用いた温風発生機及び過熱蒸気発生装置

【課題】カーボンヒータの特長を生かした気体加熱器及びこれを用いた温風発生機、過熱蒸気発生装置を提供することである。
【解決手段】炭素質の発熱素子3を保護管4に封入してなる棒状のヒータ1と、熱交換器2の組み合わせからなる気体加熱器において、前記ヒータ1としてその発熱素子3が帯状の炭素質発熱体が使用され、該ヒータ1の全体を収納したヒータパイプ6に前記発熱素子3の扁平な面を挟んだ一対の対向面7、7が設けられ、前記各対向面7の外側面にそれぞれ熱交換器2が一体化され、該熱交換器2は前記対向面7に固定され気体通路を構成するフレーム12とそのフレーム12の内部に設けられたコルゲートフィン13とにより構成され、前記熱交換器2の長さ方向の一端が気体供給部、他端が加熱気体排出部である構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体加熱器、その気体加熱器を用いた温風発生機、及び前記気体加熱器を用いた過熱蒸気発生装置に関するものである。前記温風発生機は塗装面等の乾燥に用いられ、また過熱蒸気発生装置は食品の加熱調理等に用いられる。
【背景技術】
【0002】
塗装面等の乾燥に用いられる照射乾燥機として、凹面形状の反射板の前面に棒状のヒータを配置するとともに、そのヒータの上部に空気噴出筒又は送風機を備えたものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
前記の照射乾燥機は、ヒータから発生される熱と送風機等からの風とによる温風を乾燥対象物(塗装面)に照射することにより、温風によって乾燥を促進させるようにしている。
【0004】
前記のヒータとしては、通常、ニクロム線ヒータ、シーズヒータ、ハロゲンランプヒータ、赤外線ヒータ等が用いられるが、近年、遠赤外線を放射するいわゆるカーボンヒータが有効視されている(特許文献3)。
【0005】
カーボンヒータは、長尺な帯状の炭素質発熱素子を棒状のガラス製保護管に封入したものであり、放射効率が高く、スイッチ投入後瞬時に大きな発熱量が得られる特性があることに加え、負性抵抗特性をもっていることからスイッチの投入時における突入電流の発生がないという優れた特長を有する。
【0006】
一方、近年、過熱蒸気によって食品の加熱調理を行う技術が開発され、そのための過熱蒸気発生装置や過熱蒸気発生機能を内蔵した加熱調理装置が実用化されている(特許文献4、同5)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−114329号公報
【特許文献2】特開平8−278080号公報
【特許文献3】特開2006−286372号公報
【特許文献4】特開2007−303735号公報
【特許文献5】特開平9−4849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のカーボンヒータを前記特許文献1又は2に開示された照射乾燥機のヒータとして使用した場合、空気噴出筒又は送風機を付設して風を送ったとしても、塗装面に向けて照射される温風の温度分布が不均一である問題がある。これは、反射板表面の均一性が保ち難いこと、送風量が不均一であること、塗装面に凹凸があること等に起因するものである。さらに、照射される温風がカーボンヒータの長さ方向に分散されるので、単位面積に当たる温風量が少なく乾燥効率が低い等の問題もある。
【0009】
そこで、この発明は、前記のカーボンヒータの有利な特長を利用し、これを用いた気体加熱器、その気体加熱器を用い、一般的な温風乾燥のみならず、塗装面、特に水性塗料の塗装面の乾燥に適した温風発生機を提供することを第一の課題とする。
【0010】
一方、前記の過熱蒸気発生装置及びこの装置を内蔵した加熱調理装置においては、一次加熱として飽和蒸気を発生させる加熱が行われ、その後二次加熱として前記の飽和蒸気を100℃以上に加熱し過熱蒸気を発生させるようにしている。この場合の二次加熱工程における過熱蒸気発生器の発熱手段は、IH(高周波誘導加熱)によるもの、シーズヒータによるものが一般的である。
【0011】
しかし、IHの場合は、電磁波の漏洩防止対策が必要であることから装置のコスト高をもたらす要因となる。また、シーズヒータの場合は、発熱量が相対的に低い問題がある。
【0012】
そこで、この発明の第二の課題は、二次加熱の加熱手段として前記第一の課題を解決することによって得られた気体加熱器を用い、これによって効率的かつ低コストの過熱蒸気発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の第一の課題を解決するための気体加熱器Aに関する発明は、図1から図3に示したように、炭素質の発熱素子3(図3(b)参照)を保護管4に封入してなる棒状のヒータ1と、熱交換器2の組み合わせからなる気体加熱器において、前記ヒータ1の発熱素子3として帯状の炭素質発熱体が使用され、該ヒータ1の全体を収納したヒータパイプ6に前記発熱素子3の扁平な面を挟んだ一対の対向面7、7が設けられ(図3参照)、前記各対向面7の外側面にそれぞれ前記の熱交換器2が一体化され、該熱交換器2は前記対向面7に固定され気体通路を構成するフレーム12とそのフレーム12の内部に設けられたコルゲートフィン13とにより構成され、前記熱交換器2の長さ方向の一端に気体供給部、他端に加熱気体排出部がそれぞれ設けられた構成としたものである。
【0014】
前記構成の気体加熱器Aは、ヒータ1に通電してこれを発熱させるとともにその熱によって熱交換器2のコルゲートフィン13を加熱し、その熱交換器2に気体供給部から気体を供給し、熱交換された加熱気体を加熱気体排出部から排出させる。
【0015】
前記ヒータパイプ6に前記熱交換器2を通過する気体と別系統の加圧気体の給排気口9、11が設けられた構成をとることにより、ヒータパイプ6の内圧を高めた状態で使用することができ、揮発成分を含んだ気体がヒータ1に接触するおそれを無くすることができる。
【0016】
前記熱交換器2の気体供給部に供給部ヘッダ15、加熱気体排出部に排出部ヘッダ16がそれぞれ設けられた構成をとり、その排出部ヘッダ16の排気口18に負圧吸引機能を備えた温風噴出ノズル28(図7参照)を接続した構成をとることにより、大量の温風を対象物に対し噴出させることができる温風発生機Bを構成することができる。
【0017】
また、前記の気体加熱器Aを使用した過熱蒸気発生装置Cは、図9に示したように、水蒸気発生器46と、その水蒸気発生器46から得られる飽和蒸気を100℃以上の温度に加熱する過熱器として前記の気体加熱器Aを用いたものである。
【発明の効果】
【0018】
(1)この発明に係る気体加熱器は、以下に示す効果がある。
(a)炭素質発熱素子を用いたヒータ1(いわゆるカーボンヒータ)として帯状の発熱素子3を封入したものを用い、そのヒータ1を収納したヒータパイプ6に前記発熱素子3の扁平な面を挟んだ一対の対向面7、7を設け、前記各対向面7の外側面にそれぞれ熱交換器2を一体に設けた構成を採用したので、発熱素子3の扁平な面の両面に対向して一対の熱交換器2が一体化される。これにより、発熱素子3の熱を効率よく熱交換器2に伝導させることができる。また、突入電流の発生がなく、高温が得られるというカーボンヒータの特長を発揮させることができる。
(b)熱交換器2は、ヒータ1の長さ方向に沿うとともに、その長さ方向の一端部が気体供給部、他端部が加熱気体排出部となっているので、その熱交換器2中を移動する気体は熱交換器2の全長にわたり熱交換作用を受ける。このため、十分に高く、かつ温度の均一な温風を得ることができる。
【0019】
(2)この発明に係る温風発生機Bは、以下に示す効果がある。
(a)ヒータ1から発生した熱をそのまま対象物に噴射させるのではなく、前記の気体加熱器Aを用い、これによって温風に変換しその温風を対称物に噴射させるようにしているので、対象物の凹凸形状の影響を受けることなく、均一温度の温風による仕上がり良好な乾燥を行うことができる。
(b)前記気体加熱器Aとして、そのヒータパイプ6に熱交換器2を通過する気体と別系統の加圧気体を供給する防爆型のものを用いることにより、塗装面の乾燥作業等において揮発成分の存在する雰囲気中で使用する場合にも安全である。
【0020】
(3)この発明に係る過熱蒸気発生装置Cは、IHやシーズヒータによることなく、前記のカーボンヒータと熱交換器との組み合わせからなる前記の気体加熱器Aを用い、これによって、飽和蒸気を過熱するようにしている。そのため、漏洩電磁波対策に煩わされることがなく、したがって、低コストかつ安全である。またシーズヒータを用いた場合に比べ発熱効率が高いので、効率よく過熱蒸気を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1から図3に示したように、実施例1の気体加熱器Aは、加熱対象となる気体が空気の場合であり、炭素質の帯状の発熱素子3(図3参照)を保護管4に封入してなる棒状のヒータ1(いわゆるカーボンヒータ)と熱交換器2との組み合わせからなるものである。
【0023】
ヒータ1の発熱素子(フィラメント)3は、図3(b)に示したように、石英ガラス製の保護管4の内径に合致する幅をもち、保護管4のほぼ全長にわたる長さをもった扁平帯状(リボン状)のものである。発熱素子3の両端部に接続されたリード線5、5’が保護管4の外部に引き出される(図2(b)参照)。
【0024】
前記のヒータ1に通電する電源は、三相交流を使用することとし、一相当たり1本のヒータ1が用いられ、各一端のリード線5’を結線部10において結合しスター結線としている(図4参照)。前記3本のヒータ1は、その発熱素子3の扁平な面が共通の水平面に存在する向きに定め、3本が平行に配列される。その配列状態で扁平角型のヒータパイプ6に収納される。
【0025】
ヒータパイプ6は、その上下方向の対向面7、7の間隔が前記ヒータ1の外径と一致し、保護管4が対向内面に接している(図3(b)参照)。発熱素子3の扁平面は各対向面7、7に平行である。ヒータパイプ6の内面には、耐熱性の赤外線吸収塗料が塗布される。ヒータパイプ6の一端部は閉塞端20となっており、他端の開放端にキャップ8が嵌着される。前記ヒータ1は結線されたリード線5’側が閉塞端20側になる向きに収納され、他方のリード線5は、前記キャップ8に設けた穴から外部に引き出される(図1参照)。前記キャップ8には、加圧空気の給気口9と排気口11が設けられる。
【0026】
前記給気口9から供給される加圧空気は、後述する熱交換器2、2を通過する空気(外気)とは別系統であり、外気より若干加圧されたものである。この加圧空気によって、ヒータパイプ6の内部に揮発成分の混じった外気が侵入することを防止している。これにより、いわゆる防爆型構造となっている。
【0027】
前記の各熱交換器2は、空気通路を構成する断面コの字形のチャンネル状のフレーム12と、その内部に接合されたコルゲートフィン13とからなる(図5参照)。フレーム12は、前記ヒータパイプ6の前記対向面7の横幅に合致し、その対向面の両側外側面に嵌合される。また、コルゲートフィン13は、その山部又は谷部がフレーム12の長さ方向に沿うように配置され、フレーム12の内面に接合される。
【0028】
コルゲートフィン13の高さは、フレーム12の両側面の高さより若干短く形成され、上部のフレーム12の下端部に、また下部のフレーム12の上端部に、それぞれヒータパイプ6に対する嵌合部14が形成される。この嵌合部14をヒータパイプ6の両側面に嵌合させるとともに対向面7の外側面にコルゲートフィン13を接触させる。前記嵌合部14をヒータパイプ6に接合させ、またコルゲートフィン13の前記接触部を対向面7に接合させる。これにより、ヒータパイプ6の各対向面7、7に上下一対の熱交換器2、2が一体化される。
【0029】
熱交換器2を構成する前記のフレーム12の長さは、図2(b)に示したように、ヒータ1の発熱素子3の長さと実質的に等しい長さをもつように形成されているので、該ヒータ1よりさらに長く形成されるヒータパイプ6の両端部は熱交換器2の両端部から外部に突き出す大きさ関係にある(図6参照)。
【0030】
上下一対の熱交換器2、2の同じ側の一端部は空気供給部となり、他端が加熱気体排出部となる。その空気供給部側の端部に、その部分から外部に突き出したヒータパイプ6の一端部をカバーする供給部ヘッダ15が嵌合される。また加熱気体排出部側の端部に、その部分から突き出したヒータパイプ6の他端部をカバーする排出部ヘッダ16が嵌合される。供給部ヘッダ15及び排出部ヘッダ16には、それぞれ熱交換器2の長さ方向と直交する方向に突き出した給気口17と温風の排気口18が突設される。
【0031】
前記の供給部ヘッダ15の側面には、矩形穴37(図6参照)が設けられ、ヒータパイプ6の一端部が気密を保持してこの矩形穴37に貫通される。その矩形穴37から外部に露出したヒータパイプ6の端部に前記のキャップ8が嵌合される(図1、図2(a)参照)。
【0032】
前記の供給部ヘッダ15の内部には、図3(a)に示したように、給気口17から入った空気が両方の熱交換器2、2の端部に向けて分かれるような二股部19が設けられる。その二股部19の内側において、三角柱形の整流部材21(図6参照)がヒータパイプ6の側面に設けられ、給気口17から流入した空気が図3(a)の矢印で示したように、円滑に別れて流れるようになっている。排出部ヘッダ16においても同様に二股部22が設けられ、その内部に同様の整流部材23が設けられる(図3(c)参照)。
【0033】
なお、前記熱交換器2の長さ方向の中間部に温度センサー24が挿入され(図2(a)参照)、その検出信号が熱交換器2から排出される温風の温度を制御する制御ボックス(図示省略)に入力される。
【0034】
実施例1の気体加熱器Aは以上のようなものであり、これを水性塗料による塗装面25の乾燥に用いる温風発生機Bとして使用した例を実施例2として図7に示す。
【実施例2】
【0035】
図7に示した温風発生機Bは、前記気体加熱器Aの排出部ヘッダ16の排気口18に耐熱性のダクト27を介してハンドル付きの負圧発生型の温風噴出ノズル28が接続され、その温風噴出ノズル28から塗装面25に温風を噴出するようにしたものである。
【0036】
前記の気体加熱器Aは、台車29上にエアコンプレッサ30とともに搭載され、そのエアコンプレッサ30から出たホース31が前記の温風噴出ノズル28に供給され、その内部において負圧を発生させる。エアコンプレッサ30によって発生される圧力が3〜7kg/cmの場合に、その加圧空気の量の50〜70倍の温風を気体加熱器A側から吸引し、塗装面25に噴出させることができる。
【0037】
なお、気体加熱器Aの供給部ヘッダ15の給気口17にエアフィルタ34が接続され、また、前記エアコンプレッサ30から出た他のホース33がヒータパイプ6の給気口9に接続され、該パイプ6の内部を若干加圧する。
【0038】
気体加熱器Aに通電するとともに、エアコンプレッサ30を駆動すると、エアフィルタ34から吸い込まれた外気が気体加熱器Aの熱交換器2の内部を通過し、その通過の際に熱交換される。一方、温風噴出ノズル28において発生される負圧によって、熱交換された温風が吸引され、該温風噴出ノズル28の先端に設けられた微細なスリットから塗装面25に向けて噴出される。
【0039】
熱交換器2の内部温度は180〜200℃に制御され、塗装面25に噴射される温風の温度は約150℃である。この温風の熱によって塗装面25の水分が気化され、また気化された蒸気が周辺に飛散されることにより乾燥が促進される。
【0040】
水性塗料であっても、若干の揮発成分が混入されているので、塗装面25近傍の大気には揮発成分が飛散しているが、ヒータパイプ6は内圧が加圧された防爆型となっているので、ヒータ1に揮発成分が接触する危険はない。
【実施例3】
【0041】
次に、図8に示した実施例3の温風発生機Bは、高速ターボファンを備えたブロア35を設け、ホース36によってその加圧空気を供給部ヘッダ15の給気口17に供給するようにしている。排出部ヘッダ16に、ダクト27を介してハンドル付きの温風噴出ノズル32を接続している。この場合の温風噴出ノズル32は負圧発生機能を具備せず、単に微細ノズルを有するものである。その他の構成は図7の場合と同様である。
【0042】
図8のように、ブロア35を用いる場合は、台車29上にエアコンプレッサ30のほかにブロア35を搭載しなければならない不便があるとともに、温風噴出ノズル32から噴出される温風の量は図7の場合より劣るが、塗装面25の乾燥は同様に行うことができる。
【0043】
図8に示した前記の実施例3は、気体加熱器Aを台車29上に搭載するようにした構造であるが、台車29に代えて、固定スタンドに気体加熱器Aを支持させるようにしてもよい。図7の実施例2の場合も同様に固定スタンドに支持させることができる。また、図7、図8においては、温風噴出ノズル28、32を手動で操作する例を示したが、これも固定スタンドに保持させ、自動的にノズルの向きを変え得るようにしたものであってもよい。
【0044】
さらに、乾燥対象物によっては、電源として単相交流を用い、ヒータ1の数を1〜2本にしたものでもよい。また、排出部ヘッダ16に設けられた排気口18を、熱交換器2の長さ方向に突き出すように設けてもよい。
【実施例4】
【0045】
次に、前記実施例1の気体加熱器Aを過熱器として用いた過熱蒸気発生装置Cを実施例4として図9及び図10に示す。この過熱蒸気発生装置Cは、水補給器41、水蒸気発生器46及び気体加熱器A(過熱器)の組み合わせにより構成される。水蒸気発生器46の上部に気体加熱器Aが設置される。
【0046】
前記の水補給器41は、水タンク42、水受け皿43及び給水管44により構成されたものである。水タンク42が水受け皿43に逆転状態に着脱可能に設置され、水受け皿43の底部に逆止弁45を介して前記の給水管44が連通される。水受け皿43から逆止弁45を経て一定量の水が給水管44を通じて水蒸気発生器46に補給される。
【0047】
水蒸気発生器46は、ケーシング47の内底部に熱交換器48を収納したものである。ケーシング47の底面に前記の給水管44が接続され、そのケーシング47の内部に前記水受け皿43のレベルまで常時水が満たされる。熱交換器48は、その水位の下方に没入するように設置される。
【0048】
熱交換器48は、3本のヒータ49をそれぞれ独立したヒータパイプ51に収納し、そのヒータパイプ51の外径面に多数のフィン52を取付けたものである(図10参照)。ヒータパイプ51の両端部がケーシング47から水密を保持して外部に突き出され、突き出された両端部にターミナルヘッド53、54が取り付けられる。各ヒータ49のリード線が、ターミナルヘッド53、54の外部において3相電源に対応できるようにスター結線される。
【0049】
前記のヒータパイプ51は、図10(b)に示したように、上下方向に長径を持った金属製の楕円パイプによって形成される。その内部に収納されたヒータ49は、扁平帯状(リボン状)のカーボンからなる発熱素子55を封入した、いわゆるカーボンヒータである(図10(c)参照)。発熱素子55の平面がヒータパイプ51の長径方向、即ち、ケーシング47の垂直方向を向く。
【0050】
ヒータパイプ51の外径面に設けられた前記のフィン52も同じ方向に長径をもった楕円形に形成される。3本のヒータパイプ51のフィン52が相互に接触しない程度に接近した間隔を保ってケーシング47の内底面に配置される。
【0051】
ヒータ49の発熱素子55は、その左右の面の方向に熱線を放出し、その左右の面に沿ったヒータパイプ51及びこれと一体のフィン52の長径方向の面を加熱する。ケーシング47内部の水の対流は、これらの周りにおいて上下方向に行われるので、ヒータパイプ51が円形断面及びフィン52が円板形の場合に比べ効率よく熱交換が行われる。
【0052】
前記ケーシング47の側面上部において飽和蒸気の排気口56が設けられる。その排気口56と気体加熱器Aの給気口17の間が蒸気チューブ57によって接続される。
【0053】
前記の水蒸気発生器46においては、熱交換器48に通電して水を加熱沸騰させることにより、ケーシング47の内部において飽和蒸気を発生させる。飽和蒸気のうち、水面とケーシング47上面との間に存在する湿り飽和蒸気から水分が分離された乾き飽和蒸気が、ケーシング47の蒸気圧によって前記の排気口56から蒸気チューブ57を経て気体加熱器Aに押し出される。
【0054】
気体加熱器Aにおいては、実施例1の場合と同様に、ヒータ1(図1等参照)に通電され、ヒータパイプ6に接触した熱交換器2のコルゲートフィン13が加熱される。気体加熱器Aの給気口17から入った乾き飽和蒸気は、前記の蒸気圧に押されて熱交換器2を通過する。熱交換器2を通過する間に100℃以上に過熱され、過熱蒸気となって排気口18から外部に排出される。
【0055】
排気口18には、用途に応じて種々のものが接続されるが、図示の場合は、蒸気チューブ58を経て過熱蒸気ノズル59に接続したものを示している。その他の例として、蒸気チューブ58の先を調理器のオーブンに接続してもよい。いずれの場合も、過熱蒸気を調理材料に当てることにより、過熱蒸気特有の焼き調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1の一部省略斜視図
【図2】(a)は図1の横断平面図、(b)は(a)のX−X線の断面図
【図3】(a)は図2(a)のX−X線の断面図、(b)は同じくX−X線の断面図、(c)は同じくX−X線の断面図
【図4】実施例1のヒータパイプ部分の横断平面図
【図5】(a)は実施例1の一部分解斜視図、(b)は同じく組み立て状態の一部断面図
【図6】実施例1の分解斜視図
【図7】実施例2の断面図
【図8】実施例3の断面図
【図9】実施例4の断面図
【図10】(a)は実施例4の加熱器の断面図、(b)は(a)のX−X線の断面図、(c)は実施例4のヒータの拡大断面図
【符号の説明】
【0057】
A 気体加熱器
B 温風発生機
C 過熱蒸気発生装置
1 ヒータ
2 熱交換器
3 発熱素子
4 保護管
5、5’ リード線
6 ヒータパイプ
7 対向面
8 キャップ
9 給気口
10 結線部
11 排気口
12 フレーム
13 コルゲートフィン
14 嵌合部
15 供給部ヘッダ
16 排出部ヘッダ
17 給気口
18 排気口
19 二股部
20 閉塞端
21 整流部材
22 二股部
23 整流部材
24 温度センサー
25 塗装面
27 ダクト
28 温風噴出ノズル
29 台車
30 エアコンプレッサ
31 ホース
32 温風噴出ノズル
33 ホース
34 エアフィルタ
35 ブロア
36 ホース
37 矩形穴
41 水補給器
42 水タンク
43 水受け皿
44 給水管
45 逆止弁
46 水蒸気発生器
47 ケーシング
48 熱交換器
49 ヒータ
51 ヒータパイプ
52 フィン
53、54 ターミナルヘッド
55 発熱素子
56 排気口
57 蒸気チューブ
58 蒸気チューブ
59 過熱蒸気ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質の発熱素子(3)を保護管(4)に封入してなる棒状のヒータ(1)と、熱交換器(2)の組み合わせからなる気体加熱器において、
前記ヒータ(1)の発熱素子(3)として帯状の炭素質発熱体が使用され、該ヒータ(1)の全体を収納したヒータパイプ(6)に前記発熱素子(3)の扁平な面を挟んだ一対の対向面(7)、(7)が設けられ、前記各対向面(7)の外側面にそれぞれ前記の熱交換器(2)が一体化され、該熱交換器(2)は前記対向面(7)に固定され気体通路を構成するフレーム(12)とそのフレーム(12)の内部に設けられたコルゲートフィン(13)とにより構成され、前記熱交換器(2)の長さ方向の一端に気体供給部、他端に加熱気体排出部がそれぞれ設けられたことを特徴とする気体加熱器。
【請求項2】
前記ヒータパイプ(6)に前記熱交換器(2)を通過する気体と別系統の加圧気体の給排気口(9)、(11)が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の気体加熱器。
【請求項3】
前記ヒータ(1)に通電する電源が三相交流であり、各相ごとに1本、合計3本のヒータ(1)がスター結線され、その結線部(10)が前記ヒータパイプ(6)の閉塞端(20)に配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体加熱器。
【請求項4】
前記熱交換器(2)の気体供給部に供給部ヘッダ(15)、加熱気体排出部に排出部ヘッダ(16)がそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の気体加熱器。
【請求項5】
前記排出部ヘッダ(16)の排気口(18)に負圧吸引機能を備えた温風噴出ノズル(28)を接続した請求項4に記載の気体加熱器(A)を用いた温風発生機。
【請求項6】
前記供給部ヘッダ(15)の給気口(17)にブロア(35)を接続した請求項4に記載の気体加熱器(A)を用いた温風発生機。
【請求項7】
水蒸気発生器(46)と、その水蒸気発生器(46)から得られる飽和蒸気を100℃以上の温度に加熱する過熱器とからなる過熱蒸気発生装置において、前記過熱器として請求項1から4のいずれかに記載の気体加熱器(A)を用いたことを特徴とする過熱蒸気発生装置。
【請求項8】
前記の水蒸気発生器(46)に乾き飽和水蒸気の排気口(56)が設けられ、その乾き飽和水蒸気を前記気体加熱器(A)に供給することを特徴とする請求項7に記載の過熱蒸気発生装置。
【請求項9】
前記水蒸気発生器(46)の熱交換器(48)を構成するヒータ(49)の発熱素子(55)として帯状の炭素質発熱体が用いられ、そのヒータ(49)を収納したヒータパイプ(51)の断面形状が前記発熱素子(55)の平面の方向に長径をもった楕円形に形成され、該ヒータパイプ(51)のフィン(52)も同方向に長径をもった楕円形に形成され、前記ヒータパイプ(51)が水平状態、かつその長径の方向がケーシング(47)の上下方向を向くように設置されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の過熱蒸気発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−2640(P2009−2640A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132076(P2008−132076)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(595127610)イサオ電機株式会社 (5)
【出願人】(593115518)
【出願人】(507165132)
【Fターム(参考)】