説明

気泡を利用して粒子を製造する粒子製造装置

【課題】容易に粒子生成が可能な新規の粒子製造装置を提供する。
【解決手段】液体と、液体を保持する容器と、液体に気泡を発生させる手段と、気泡に起因して放出される液体の液滴を凝固する手段を備えた装置によって、液体の界面近傍の気泡に起因して発生する液滴を融点以下に温度を保持することによって凝固させて粒子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の界面近傍の気泡に起因して発生する液滴を融点以下に温度を保持することによって凝固させて製造する粒子の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属または樹脂の粒子は、単体もしくは別の材料に埋め込む形で 航空宇宙、自動車、食品、パッケージング、塗料、触媒、電気製品、スポーツ用品、医薬品など様々な用途に用いられている。
【0003】
前記粒子の既知の製法としては、大きな構造体から機械的な手法などによって物理的に粉砕し細かくしていくブレークダウン法と、化学的に金属原子から粒子成長させるビルドアップ法の2つに大別される。ブレークダウン法では塊状の原料を高速回転ミル、ローラーミル、ボールミルなどの粉砕機によって細分化し、 数μm以上の粒子を多量に生成することができる。ビルドアップ法は、原子・分子・イオンなどから粒子を合成する方法で、 CVD法、蒸発凝縮法、ゾル-ゲル法などによって、数μm以下の粒子を生み出すことができる。また、超音波を利用した方法としては、液体中の気泡に超音波を照射した際に、気泡が膨張・収縮して発生するラジカル種を利用して金属の還元反応を起こし、金属ナノ粒子を生成するキャビテーション法(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221121号公報
【特許文献2】特開2011−50832号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本機械学會論文集.B編,50(450),pp.293−299,1984
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の背景技術において、物理的な粉砕によるブレークダウン法は凝集が少なく、大量・安価に粒子を得ることができるが、 比較的大きな1μm以上の粒子ができやすく、不純物や形状の不均一が生じやすいことが問題である。
【0007】
前記の背景技術における、粒子成長によるビルドアップ法やキャビテーション法は細かい数nm〜数百nmの均一形状・均一粒径の粒子ができるが、 プロセス制御が複雑で大量生産が難しく、また、高価となりやすいことが問題である。
【0008】
本発明は、液体の界面近傍の気泡に起因して発生する液滴を融点以下の温度に保持することによって粒子を製造させることを特徴とする、新規の粒子製造装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、液体と、前記液体を保持する容器と、前記液体に気泡を発生させる手段と、前記液体より前記気泡に起因して放出される前記液体の液滴を凝固する手段を備えることを特徴とする粒子製造装置によって、前記液体に気泡を発生させ、前記気泡に起因して放出される前記液体の液滴を凝固させることで、好適な粒子を好適に生成することができる。
【0010】
また、本発明の他の側面として、前記粒子製造装置において、前記液体に振動を付与する手段をさらに備えること特徴とする。これによって前記液体に振動を付与することで好適な粒子を好適に生成することができる。
【0011】
また、本発明の他の側面として、前記粒子製造装置において、前記液滴が放出される相が前記液滴と混じりあわない液体であることを特徴とする。これによれば好適な粒子を好適に生成することができる。
【0012】
また、本発明の他の側面として、前記粒子製造装置において、前記液滴あるいは前記液滴と混じりあわない液体のうち、少なくとも一方に界面活性剤を含むことを特徴とする。これによれば好適な粒子を好適に生成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る気泡を利用して粒子を製造する粒子製造装置では以下の好適な効果を得ることができる。
(1)最小限必要な工程が気泡発生手段と液滴の凝固手段のみで構成され、容易に粒子を製造できる。
(2)ブレークダウン法では困難な1μm以下の粒子を容易に生み出すことができる。
(3)液滴状態においては表面張力が強く働くため径が小さい程、真球度の高い粒子となりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マイクロジェット生成過程のイメージ図である。
【図2】本発明の最適な構成を示した図である。
【図3】実施例1から実施例5の気泡径分布を示した図である。
【図4】作成した粒子の電子顕微鏡画像である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
炭酸飲料をコップに注ぎ水面に着目すると、液体中に気泡が浮上してはじける際に空気中に液滴が放出される現象が容易に観察される。また、気泡に起因して界面から液滴が放出される現象は、気−液界面だけでなく混じりあわない二つの液体同士の液−液界面においても発生し、気泡の浮上に伴う気泡周りの流れによって界面下部の液体の一部が界面上部液体へ移送されることで液滴が形成する。さらに、非特許文献1に示されるように、界面近傍の気泡は圧力変化に応じて非対称の振動をし、 特に強い圧力振動下では界面に向けて図1に示すようなマイクロジェットと呼ばれる局所的な噴流が発生し、界面が気−液あるいは液−液の場合は、局所的な噴流により液滴が形成することもある。発明者は前述の気泡に起因する液滴生成現象に着目し、液体中の気泡に起因して界面から放出される液体の液滴を凝固させることによって粒子を生成する技術の着想に至った。以下、本発明を実施するための最良の形態について図面2を参照して説明する。
【0016】
本発明を実施するための最良の形態では、容器1に材料2をいれ加熱手段3で融点以上に保持することによって液体状態とした液体4中に、気泡発生手段5を用いて気泡6を発生させる。 液体4中の気泡6は、振動発生手段7によって液体4中で振動し、液体4と上部の流体8との界面近傍の気泡6が振動することによって流体8中に液体4の液滴9が生成する。 攪拌手段10によって攪拌された流体8中の液滴9は、流体移送手段11による容器1から移送と冷却手段12による冷却によって液滴9が融点以下に冷却され材料2の粒子13が生成する。
【0017】
前記容器1については、材料2の融点以上で安定に形状を保持できるものであれば特に限定されるものではないが、 アルミナ、石英、フッ素樹脂、ニッケル、ステンレス製のるつぼ又はビーカーなどが例示される。
【0018】
前記材料2の種類については、常温下で液体、あるいは加熱手段によって溶融して液体状態に相変化する材料であれば特に限定されるものではないが、 気泡の発生および振動印加による気泡の励振を容易に行うために、融点300℃以下の材料が好ましく、ビスマス、鉛、スズ、亜鉛などの金属単体やSnSbCu合金、SnPb合金、SnPbCd合金、SnBiCd合金、SnBi合金、より具体的には、ホワイトメタル(SnSbCu合金)やUアロイ(SnBi合金)などの合金、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、 ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PE)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)などの樹脂材料が例示される。
【0019】
前記加熱手段3については、加熱によって前記材料2を液体の状態に保つことができれば特に限定されず、 好ましくは金属または樹脂の溶融に用いられる電気加熱炉、オイルバス、ホットプレートなどに例示される公知の加熱手段の中から適宜選択して行うことができる。また、常温下において液体の場合には、前記加熱手段3は必須ではない。
【0020】
前記気泡発生手段5は、前記液体4中に気泡を発生させる方法であれば特に制限はなく、微細管または多孔質体を通して任意の気体を液体中に噴出させる方法、 噴流や旋回流中で生じるせん断力を利用したノズルを用いて任意の気体を液相に巻き込む方法、減圧することによって予め液相に溶存させた気体を発泡させる方法などに例示される公知の気泡発生手段の中から適宜選択して行うことができる。
【0021】
前記振動発生手段7については、前記液体4中に振動を印加することができれば公知の振動発生手段の中から適宜選択して行うことができるが、連続的な生成には周期的な超音波印加が好ましく、超音波印加手段としては超音波洗浄槽、投込型超音波振動子、超音波ホモジナイザーなどが例示される。また、一般的に気泡によって振動は吸収および減衰されるため、前記気泡発生手段5と振動発生手段7は、近接して設置させることが好ましく、両手段を一体化させた特に好ましい例として、100μm以下の気泡の発生と超音波の印加が同時に行われ、発生した気泡に強力な超音波を印加することができる、 中空超音波ホーンを用いた微小気泡生成法(特許文献2)が挙げられる。
【0022】
液体4の液滴9が放出される前記流体8については、 液滴9が液滴状態を維持可能な混ざりあわない異種の流体であれば液体に限定されず気体でも良いが、 放出された液滴9の回収および分離が容易な水・油などに例示される液体が好ましい。 特に好ましい例としては、放出された液滴9の合体抑止や分散安定性向上のために ポリビニルアルコール、デオキシコール酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、Triton−X、Tweenなど公知の界面活性剤を溶解させた水溶液が挙げられる。
【0023】
前記攪拌手段10については必須ではないが、液滴9の沈降による液体4への再融合を抑制するため、攪拌機、マグネチックスターラ、ホモジナイザなどに例示される公知の攪拌手段によって、液滴9の温度が融点以下に下がるまで流体8中に分散させることが望ましい。
【0024】
前記流体移送手段11については、前記容器1での液滴9同士の合体や沈降による液体4へ再融合を抑制するために液滴9を含む流体8を容器1より液体4の融点より低い温度環境下へ移送することができれば特に制限は無く、送気ファン、 ダイアフラムポンプ、ギアポンプ、ロータリーポンプ、チューブポンプ等のポンプ、液面の高低差を利用したオーバーフローによる移送などに例示される公知の流体移送手段から適宜選択して行うことができる。
【0025】
前記冷却手段12については、液滴9の温度を融点以下に下げることができれば公知の冷却手段の中から適宜選択して行うことができる。好ましくは低温の気体による冷却、ウォーターバスによる冷却、低温恒温器による冷却、クールスターラによる冷却などが例示される。
【0026】
以下、本発明を実施例1〜7に基づき更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1〜5に示す平均径や収量の算出は、各実施例によって製造した粒子を含む分散液を1日静置した後の非沈殿部の分散液を用いて算出した。
【実施例1】
【0027】
融点が70度のUアロイ133gと水15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、水−溶融金属の液液二相状態を形成させる。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 溶融金属相中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、溶融金属相中に微小な気泡を発生させる。微小な気泡の発生と同時に、溶融金属相と水相の界面近傍で溶融金属相から水相に溶融金属液滴の飛び出しが発生する。2分間気泡を発生させ溶融金属の微小液滴が分散したエマルションが形成された後、加熱を止めて容器中の溶融金属相および分散相の温度が室温環境下で溶融金属相の融点以下に下がると、 エマルション中の溶融金属が固化し、粒子が生成する。実施例1では、図3に示す0.30μmから8.5μmの分布範囲で平均0.64μmの金属粒子が、0.5mg生成した。
【実施例2】
【0028】
実施例1における工程において、水中に発生した粒子の再融合・合体を抑制するため、 オーバーフローによるエマルションの移送機構を設けた例を実施例2に示す。融点が70度のUアロイ133gと水15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、水−溶融金属の液液二相状態を形成させる。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 溶融金属相中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、溶融金属相中に微小な気泡を発生させる。微小な気泡の発生と同時に、溶融金属相と水相の界面近傍で溶融金属相から水相に溶融金属液滴の飛び出しが発生する。2分間気泡を発生させている間、容器中に水を25mL/minの割合で供給し、 オーバーフローしたエマルションをガラスビーカーで回収する。室温のガラスビーカーに回収されたエマルション中の溶融金属の微小液滴が室温において固化し、粒子が生成する。実施例2では、図3に示す0.17μmから4.2μmの分布範囲で平均0.37μmの金属粒子が、0.5mg生成した。
【実施例3】
【0029】
実施例2における工程において、微小液滴の分散安定性向上のため、水15mLに替えて、2%ポリビニルアルコール水溶液15mLを用いた例を実施例3に示す。融点が70度のUアロイ133gとポリビニルアルコール水溶液15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、ポリビニルアルコール水溶液−溶融金属の液液二相状態を形成させる。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 溶融金属相中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、溶融金属相中に微小な気泡を発生させる。微小な気泡の発生と同時に、溶融金属相とポリビニルアルコール水溶液の界面近傍で溶融金属相からポリビニルアルコール水溶液に溶融金属液滴の飛び出しが発生する。2分間気泡を発生させている間、容器中にポリビニルアルコール水溶液を25mL/minの割合で供給し、 オーバーフローしたエマルションをガラスビーカーで回収する。室温のガラスビーカーに回収されたエマルション中の溶融金属の微小液滴が室温において固化し、粒子が生成する。実施例3では、図3に示す0.11μmから2.1μmの分布範囲で平均0.21μmの金属粒子が、2.3mg生成した。
【実施例4】
【0030】
実施例3における工程において、ビーカー内を緩やかに攪拌してポリビニルアルコール水溶液中の粒子の再融合・合体を更に抑制し、粒子の移送を容易にさせた例を実施例4に示す。融点が70度のUアロイ133gとポリビニルアルコール水溶液15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、ポリビニルアルコール水溶液−溶融金属の液液二相状態を形成させる。溶融後、攪拌子を入れ、300rpmでゆるやかに攪拌を行う。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 溶融金属相中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、溶融金属相中に微小な気泡を発生させる。微小な気泡の発生と同時に、溶融金属相とポリビニルアルコール水溶液の界面近傍で溶融金属相からポリビニルアルコール水溶液に溶融金属粒子の飛び出しが発生する。2分間気泡を発生させている間、容器中にポリビニルアルコール水溶液を25mL/minの割合で供給し、 オーバーフローしたエマルションをガラスビーカーで回収する。室温のガラスビーカーに回収されたエマルション中の溶融金属の微小液滴が室温において固化し、粒子が生成する。実施例4では、図3に示す0.11μmから1.89μmの分布範囲で平均0.19μmの金属粒子が、2.3mg生成した。
【実施例5】
【0031】
実施例4における工程において、ガラスビーカーに回収されたエマルション中の溶融金属液滴が、 余熱によって溶融状態を長く保ち合体が起きてしまうことを防ぐため、 ガラスビーカーを冷却して溶融金属液滴の固化を促進させた例を実施例5に示す。融点が70度のUアロイ133gとポリビニルアルコール水溶液15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、ポリビニルアルコール水溶液−溶融金属の液液二相状態を形成させる。溶融後、攪拌子を入れ、300rpmでゆるやかに攪拌を行う。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 溶融金属相中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、溶融金属相中に微小な気泡を発生させる。微小な気泡の発生と同時に、溶融金属相とポリビニルアルコール水溶液の界面近傍で溶融金属相からポリビニルアルコール水溶液に溶融金属液滴の飛び出しが発生する。2分間気泡を発生させている間、容器中にポリビニルアルコール水溶液を25mL/minの割合で供給し、 オーバーフローしたエマルションをガラスビーカーで回収する。クールスターラによって15℃に保たれたガラスビーカーに回収されたエマルション中の溶融金属の微小液滴が急速に冷却されて固化し、粒子が生成する。実施例5では、図3に示す0.11μmから1.69μmの分布範囲で平均0.18μmの金属粒子が、2.3mg生成した。
【実施例6】
【0032】
気泡を工程に用いない比較例として、溶融金属中で気泡を供給せずに超音波を印加した例を実施例6に示す。融点が70度のUアロイ133gとポリビニルアルコール水溶液15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、ポリビニルアルコール水溶液−溶融金属の液液二相状態を形成させる。溶融金属相中の中空超音波ホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させる。2分間超音波印加しても、ポリビニルアルコール水溶液は濁らず、金属粒子の生成はほとんど確認できなかった。
【実施例7】
【0033】
気泡を溶融金属相ではなく、水溶液相に発生させた比較例を実施例7に示す。融点が70度のUアロイ133gとポリビニルアルコール水溶液15mLを 50mLフッ素樹脂ビーカーに入れる。ホットプレートスターラーによって加熱し、Uアロイを75度の溶融状態にして、ポリビニルアルコール水溶液−溶融金属の液液二相状態を形成させる。空気を160mL/minで中空超音波ホーンに供給し、 界面近傍のポリビニルアルコール水溶液中のホーン先端(気体出口径2.6mm)を振幅20μmで振動させ、ポリビニルアルコール水溶液中に微小な気泡を発生させる。2分間ポリビニルアルコール水溶液中に超音波で気泡を発生させても、ポリビニルアルコール水溶液は濁らず、金属粒子の生成はほとんど確認できなかった。
【0034】
表1に実施例1から実施例7の条件と得られた粒子の平均径および収量について示す。表1の実施例1〜5と実施例6〜7との比較より、粒子の材料となる液体中に気泡が存在し、更に圧力振動の印加がある場合には図4に示すような真球で数百nmオーダーの粒子が発生し、粒子の材料となる液体中で気泡を発生させない場合には粒子が生成せず、気泡発生手段を備えることが本発明の必須要件であることが示されている。
【表1】

【0035】
なお、以上の説明は、例示したものであり、本発明は前記実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の最適な形態にて得られる粒子は従来のブレークダウン法で生成困難なオーダであったサブミクロンレベルの粒子を多量に生成することが可能であり、粒子としての用途だけでなく、構造部材に異質の材料を混入して特性を変えるコンポジット材料への応用など幅広い用途への適用が期待される。構造部材に異質の材料を混入して特性を変えるコンポジット材料は、工業製品の素材として使われるほか、 情報通信・医療・環境・エネルギー分野幅広い用途に用いられている。これらのニーズに対して、本手法で作成した粒子を応用し、粒子由来の特性の基づく電気的・磁気的・熱的な特性を低コストで付与できることが可能になれば、 本発明で作られる粒子は幅広い用途・分野の商品を生み出すことができると考えられる。
【符号の説明】
【0037】
1 容器
2 材料
3 加熱手段
4 液体(溶融体)
5 気泡発生手段
6 気泡
7 振動発生手段
8 流体
9 液滴
10 攪拌手段
11 流体移送手段
12 冷却手段
13 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を利用して粒子を製造する粒子製造装置において、液体と、前記液体を保持する容器と、前記液体に気泡を発生させる手段と、前記気泡に起因して放出される前記液体の液滴を凝固する手段を備えることを特徴とする粒子の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体を保持する容器は、前記液体を融点以上で液体状態に保つ加熱手段を有することを特徴とする請求項1に記載の粒子製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液滴を凝固する手段は、前記液滴を融点以下の温度に保つ冷却手段を有することを特徴とする請求項1から請求項2に記載の粒子製造装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液滴を凝固する手段は、前記液滴を融点以下の温度環境へ移送する手段を備えること特徴とする請求項1から請求項3に記載の粒子製造装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4に記載の粒子の製造装置において、前記液体に振動を付与する手段をさらに備えること特徴とする請求項1から請求項4に記載の粒子製造装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載の粒子の製造装置において、前記液滴が放出される相が前記液滴と混じりあわない液体であることを特徴とする請求項1から請求項5に記載の粒子製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液滴あるいは前記液滴と混じりあわない液体のうち、少なくとも一方に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の粒子製造装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の粒子製造装置で製造した粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−52345(P2013−52345A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192159(P2011−192159)
【出願日】平成23年9月3日(2011.9.3)
【出願人】(708005493)
【Fターム(参考)】