説明

気泡排出構造、反転印刷用版および表示装置並びに印刷方法および表示装置の製造方法

【課題】簡便かつ高品質の印刷が可能な気泡排出構造並びにそれを用いた反転印刷用版および表示装置並びに印刷方法および表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】反転印刷用版1は基板10の表面に印刷領域11aおよび非印刷領域11bを有する。印刷領域11aには印刷パターンに応じた凹部11が形成されている。非印刷領域11bには凹部11に連通するよう気泡排出路12が設けられ、この気泡排出路12は基板10の端部に開口を有している。反転印刷用版1のパターンを平板状ブランケットに押し当てる際に、印刷領域11aに閉じ込められた気泡は、気泡排出路12を経て大気中に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの基板の接触時に基板間に内包された気泡を特定の領域から排出する気泡排出構造、この気泡排出構造を備えたオフセット印刷用の反転印刷用版および表示装置、並びにこの気泡排出構造を用いた印刷方法および表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
良好な膜厚精度かつ高精細な印刷が可能であることから、近年、反転オフセット印刷法による成膜技術が注目されている。反転オフセット印刷は、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子、カラーフィルタ、回路配線および薄膜トランジスタ等の成膜に利用される。
【0003】
これまで反転オフセット印刷法について、ロール状のブランケットを使用する方法(第1の方法、例えば、特許文献1)と、平板状のブランケットを使用する方法(第2の方法、例えば、特許文献2)とが主に提案されている。これらの方法では、まずロール状あるいは平板状のブランケットに転写用の膜を設け、これを平板状の版(反転印刷用版)に押圧することによりブランケット上に印刷パターンを形成する。このブランケット上の印刷パターンが被印刷基板に転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−327067号公報
【特許文献2】特開2010−158799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記第1の方法では、ブランケットがロール状であるためブランケットと反転印刷用版との密着は容易であるものの、印刷パターンが形成されたブランケットと被印刷基板の位置合わせ精度が低いという問題があった。これに対して、第2の方法はブランケットと被印刷基板との位置合わせ精度を高くすることが可能であるが、ブランケット、印刷用版および被印刷基板の全てが平板状であるため間に気泡が混入し易く、全面密着が困難であった。このようなことから従来の方法ではいずれも高品質の印刷が困難であるという問題を抱えていた。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高品質の印刷が可能な気泡排出構造、この気泡排出構造を備えた反転印刷用版および表示装置、並びに気泡排出構造を用いた印刷方法および表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の気泡排出構造は、第1領域および第1領域に隣接した第2領域を有し、第1領域に対向基板が接触して第1パターンの膜が設けられる基板と、第1領域と第2領域とを連通し、対向基板の接触時に基板と対向基板との間に内包された気泡を第1領域から第2領域へ排出する気泡排出路とを備えたものである。
【0008】
本発明の反転印刷用版は、上記本発明の気泡排出構造を有するものである。具体的には、印刷領域および印刷領域に隣接した非印刷領域を有し、印刷領域にブランケットが接触して第1パターンの膜が設けられる基板と、基板の印刷領域に設けられた第1パターンと逆の第2パターンの凹部と、非印刷領域に設けられると共に凹部に連通し、ブランケットの接触時に基板とブランケットとの間に内包された気泡を凹部から非印刷領域へ排出する気泡排出路とを備えたものである。
【0009】
本発明者の表示装置は、上記本発明の気泡排出構造を有するものである。具体的には、表示領域および表示領域に隣接した非表示領域を有し、表示領域にブランケットが接触して第1パターンの有機膜が設けられる基板と、基板の表示領域に設けられた第1パターンの画素と、表示領域と非表示領域とを連通し、ブランケットの接触時に基板とブランケットとの間に内包された気泡を表示領域から非表示領域へ排出する気泡排出路とを備えたものである。
【0010】
本発明の印刷方法は、上記本発明の気泡排出構造を利用して平板状ブランケットから基板に所定のパターンを形成するものであり、ブランケット上に転写層を形成する工程と、上記基板を転写層に押し当てて気泡を排出する工程とを含むものである。
【0011】
本発明の表示装置の製造方法は、基板上に表示素子を形成する工程を含み、上記印刷方法を用いて表示素子を形成するものである。
【0012】
本発明の印刷方法および表示装置の製造方法では、基板をブランケット上に形成された転写層に押し当てる工程において、基板とブランケットとの間に閉じ込められた気泡は気泡排出路を通じて第1領域から第2領域に移動する。これにより第1領域では基板とブランケットとが完全に密着し、基板またはブランケットに第1または第2のパターンが精度良く形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の気泡排出構造によれば、第1領域と第2領域との間に気泡排出路を設けるようにしたので、平板状ブランケットを用いた印刷工程において、ブランケットと基板との間に閉じ込められた気泡を第1領域から第2領域に移動させることが可能になる。よって、精確なパターンをブランケットの転写層または基板に形成し、高品質な印刷を行うことができ、有機EL装置などの表示装置の製造に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一連の印刷工程を表す流れ図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図の一部である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図の一部である。
【図5】反転印刷用版の凹部のパターンを説明するための図である。
【図6】図2に示した反転印刷用版を用いた反転オフセット印刷方式による印刷方法の工程を表す断面図である。
【図7】図6に続く工程を表す断面図である。
【図8】比較例に係る反転印刷用版を用いて印刷した場合について説明するための図である。
【図9】図2に示した反転印刷用版を用いて印刷した場合について説明するための平面図である。
【図10】本発明の変形例1に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図11】本発明の変形例2に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図12】本発明の変形例3に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図13】本発明の変形例4に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図14】本発明の変形例5に係る反転印刷用版の構成を表す平面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の構成を表す図である。
【図16】図15に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図17】図15に示した表示装置の構成を表す断面図である。
【図18】(A)は図17に示した基板の構成を表す平面図、(B)は基板の一部の断面図である。
【図19】図17に示した赤色発光層の印刷工程を表す図である。
【図20】気泡排出路の無い場合の赤色発光層の印刷工程を表す図である。
【図21】図18に示した基板の変形例(変形例6)の構成を表す平面図である。
【図22】上記実施の形態の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図23】上記実施の形態の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図24】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側からみた外観を表す斜視図である。
【図25】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図26】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図27】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明
は以下の順序で行う。
1.基本概念
2.第1の実施の形態
溝状の気泡排出路を有する反転印刷用版
3.変形例1
気泡排出路を複数有する反転印刷用版
4.変形例2〜4
印刷領域を複数有する反転印刷用版
5.変形例5
孔状の気泡排出路を有する反転印刷用版
6.第2の実施の形態
基板に溝状の気泡排出路を有する表示装置
【0016】
<基本概念>
本発明の基本概念は、一連の印刷工程の中で、基板と対向基板とを接触させて転写を行う際に、この2枚の基板間に閉じ込められた気泡を基板に設けた気泡排出路を通じ、精確なパターンが形成されるべき領域からそれ以外の領域へと排出するものである。印刷は図1に示した工程を経て行われる。なお、以下の説明では、ブランケットAが上記対向基板、反転印刷用版B(ステップS2)または被印刷基板C(ステップS3)が上記基板にそれぞれ相当する。
【0017】
まず、ブランケットAの全面に転写用の膜を形成しておく(ステップS1)。次いで、このブランケットAに反転印刷用版Bを接触させる(ステップS2)。反転印刷用版Bのうち、ブランケットAとの対向面の中央部は印刷領域(第1領域)であり、印刷領域と隣接する周囲は非印刷領域(第2領域)である。印刷領域にはストライプ状のパターン(第2パターン)の凹部が設けられている。この反転印刷用版BとブランケットAとの接触により、反転印刷用版Bには凹部とは逆の凸部のパターン(第1パターン)の膜が形成され、ブランケットAには凹部に対応したパターンの膜が形成される。このとき、反転印刷用版Bの印刷領域と非印刷領域との間に気泡排出路を設けておくことにより、ブランケットAに精確なパターンを形成することができる。
【0018】
ブランケットAに反転印刷用版Bを接触させた後、このブランケットAを被印刷基板Cに接触させる(ステップS3)。例えば、被印刷基板Cの中央部は、マトリクス状のパターン(第1パターン)の画素が形成される表示領域(第1領域)であり、表示領域と隣接する周囲が非表示領域(第2領域)である。このブランケットAと被印刷基板Cとの接触により、ステップS2でブランケットAに形成された所定パターンの膜が被印刷基板Cに転写される。このときにも、被印刷基板Cの表示領域と非表示領域との間に気泡排出路を設けておくことにより、被印刷基板Cに精確なパターンを形成することができる。
【0019】
以下、上記ステップS2の工程を第1の実施の形態、ステップS3の工程を第2の実施の形態として具体的に説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
[反転印刷用版1の構成]
本実施の形態の反転印刷用版(反転印刷用版1)は、平板状のブランケットを用いたオフセット反転印刷方式に適用されるものであり、図2,図3および図4を用いて、その構成を説明する。
【0021】
図2は、反転印刷用版1の平面構成を表したものである。この反転印刷用版1は、基板10の表面の例えば中央部に印刷領域11a(第1領域)を有しており、この印刷領域11aに隣接した印刷領域11a以外の領域は非印刷領域11b(第2領域)となっている。非印刷領域11bは印刷領域11aを囲むように配置されている。印刷領域11aには平板状のブランケット(対向基板、例えば、後述の図6におけるブランケット31)に所定パターン(第2パターン)の転写層(後述の図6における転写層32C)を形成するための所定パターン(第2パターン)の凹部11が設けられている。
【0022】
一方、非印刷領域11bには溝状の気泡排出路12が設けられている。この気泡排出路12は基板10の端部まで延びて基板10の一辺に開口を有している。凹部11の一端は非印刷領域11bまで延在し、気泡排出路12に連通している。即ち、印刷領域11aの凹部11は気泡排出路12を通じて大気に開放されている。
【0023】
基板10はガラスやシリコンなどの無機材料やステンレス、銅、ニッケルなどの金属により構成されている。凹部11は例えば基板10への機械加工、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザ加工などにより形成される。
【0024】
凹部11の形状は被印刷基板に印刷されるパターンに相当するものであり、ここでは例えば後述のTFT基板34(図7)の印刷パターンに対応して複数のストライプ状のパターンを形成している。例えば、図5に示した表示装置2では、赤色画素20R、緑色画素20Gおよび青色画素20Bが一方向に順次配列されているが、赤色発光層を印刷する場合には、ストライプ状の赤色パターン21Rと凹部11のパターンとが対応するものとなる。印刷領域11aは、被印刷基板に印刷される領域、例えば図5の画素が形成された領域(表示領域)に相当するものである。
【0025】
非印刷領域11bに設けた気泡排出路12は、例えば全ての凹部11の一端に連通するように一方向に延在する凹部11に直交する方向に延在している。これにより本実施の形態では、当該反転印刷用版1を平板状のブランケットに押し当てた際に、印刷領域11aに閉じ込められた気泡が凹部11を通じて非印刷領域11bに移動し、更に気泡排出路12を通じて基板10の端部から大気中に放出されるようになっている。この大気中に放出された気泡は再び印刷領域に戻ることはない。気泡排出路12は、凹部11と同様に例えば基板10へのウェットエッチングあるいはドライエッチッグ等のエッチング処理、ダイシング加工またはレーザ加工により形成することができる。なお、気泡排出路12は図2に示した形状に限らず、例えば凹部11を非印刷領域11bに十分延在させ、あるいは凹部11を基板10の端部まで延在させて大気と連通するようにして、気泡排出路としてもよい。
【0026】
図3および図4は、図2のIII−III線,IV−IV線に沿った断面構成の一部で
あり、凹部11の断面,気泡排出路12の断面をそれぞれ表す。凹部11および気泡排出路12の断面形状は図3(A),図4(A)のように略矩形状であってもよく、図3(B),図4(B)のように略半円状であってもよい。凹部11の深さD1と気泡排出路12の深さD2とは同じであっても、異なっていてもよい。例えば、深さD1は3〜10μm、深さD2も3〜10μmである。上述のように、エッチング処理により凹部11および気泡排出路12を形成する場合、深さD1および深さD2が同じであることが好ましい。凹部11と共通の工程で気泡排出路12を設けることができるからである。
【0027】
凹部11の幅W1と気泡排出路12の幅W2とについても同じであっても異なっていてもよい。通常、幅W1は印刷時の位置合わせ精度も考慮して例えば赤色画素20Rの幅よりも大きめの寸法とする。幅W2は特に制約条件はないが、気泡排出路12に容易に気泡が排出されるよう、幅W2は幅W1よりも大きいことが好ましい。気泡排出路12の幅については均一でなくても、基板10の端部に向けて広がるような形状であってもよい。
【0028】
[反転印刷用版1の1の作用・効果]
次に、図6および図7を用いて上記反転印刷用版1を用いた印刷方法について説明し、併せて反転印刷用版1の作用・効果について説明する。
【0029】
まず、図6(A)に示したように、ステージ30上に平板状のブランケット31を固定し、このブランケット31にスリットコートヘッド33を用いてインク32を塗布することによりブランケット31に転写層32Aを形成する。この転写層32Aはスリットコート方式に代えてスピンコート方式により形成するようにしてもよい。ブランケット31は、被印刷基板(後述するTFT基板34)との間で良好な接触を得るため、柔軟性に富み変形可能な材料により構成されるものである。具体的には例えば、樹脂フィルム、ガラスまたは金属等からなる基材上にシリコンゴムまたはフッ素樹脂をスピンコート方式あるいはスリットコート方式で成膜し、焼成したものを使用する。インク32は、例えば、カラーフィルタの材料や有機EL表示装置における発光層の材料となる樹脂、金属粉末あるいは酸化物に0.1〜90w%程度の低極性溶媒を混合して構成する。例えば、有機EL表示装置における発光層として、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシロキシ)1,4−フェニレンビニレン)を用いることができ、低極性溶媒としては、例えば、直鎖状アルカン類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化アルキル類、エステル化合物、環状エーテル化合物またはこれらの混合物を用いることができる。
【0030】
次に図6(B)に示したように、反転印刷用版1とブランケット31との位置合わせを行った後、図6(C)に示したように反転印刷用版1の印刷領域11aに、転写層32Aを押し当てる。この反転印刷用版1と転写層32A(ブランケット31)とを接触させる工程は加圧圧縮、即ちブランケット31の背面側から圧縮気体を噴出させて押し出し、中央部(印刷領域11a)から端部(非印刷領域11b)へと順次密着させることにより行う(圧縮気体加圧法)。
【0031】
その後、図7(A)に示したようにブランケット31を反転印刷用版1から離すと、反転印刷用版1には、凹部11のパターンとは逆、即ち凸部に対応したパターン(第1パターン)の非印刷部32Bが転写され、同時にブランケット31には反転印刷用版1の凹部11に対応したパターン(第2パターン)を有する転写層32Cが形成される。
【0032】
次に図7(B)に示したように、このブランケット31をその転写層32CがTFT基板34(被印刷基板)の電極35と向かい合うよう位置合わせを行った後、図7(C)に示したように両者を接触させる。このブランケット31とTFT基板34との接触は上述の加圧圧縮により行う。
【0033】
最後に、図7(D)に示したようにブランケット31をTFT基板34から離すと、TFT基板34に転写層32Cが印刷される。
【0034】
ここで本実施の形態における反転印刷用版を用いた印刷方法の特徴部分について比較例を参照しつつ詳細に説明する。図8に比較例として、気泡排出路12が設けられていない反転印刷用版101と転写層32Aが成膜された平板状のブランケット31とを密着させた場合を示す。図8(A)は、反転印刷用版101とブランケット31との接触時の断面図(図6(C)に対応)、図8(B)は、接触後(図7(A)に対応)にブランケット31に形成された転写層32Bを表している。図8(A)に示したように、双方が平板状である反転印刷用版101とブランケット31との間には気泡102が高い頻度で内包される。気泡102が存在する領域は、ブランケット31上の転写層32Aが反転印刷用版101に転写されないため、図8(B)に示したように転写層32Bには気泡102の形状の気泡内包領域32C−1が存在する。すなわち、ストライプ状のパターン以外の部分である非転写部32C−2がブランケット31に残り、この非転写部32C−2が被印刷基板に印刷されてしまうため、精確なパターンの印刷が困難となる。
【0035】
上記のような比較例に対し、本実施の形態の反転印刷用版1は非印刷領域11bに気泡排出路12を有し、印刷領域11aに閉じ込められた気泡はこの気泡排出路12を通じて非印刷領域11bから大気に放出される。
【0036】
図9(A)は転写層32Aが成膜されたブランケット31の平面構成、図9(B)は、図9(A)のブランケット31に本実施の形態に係る反転印刷用版1を密着させた際(図6(C)に対応)の平面構成を表すものである。反転印刷用版1では、所定パターンの凹部11が、非印刷領域11bに延在し、気泡排出路12に連通している。これにより、ブランケット31と反転印刷用版1とを密着させた際に気泡が内包されても、この気泡は押圧力により、凹部11および気泡排出路12を通じて非印刷領域11bに移動し、更に基板10の端部から大気に放出される。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、反転印刷用版1の非印刷領域11bに気泡排出路12を設けるようにしたので、この反転印刷用版1をブランケット31に押し当てる際に、ブランケット31と反転印刷用版1との間に内包された気泡は自動的に印刷領域11aから非印刷領域11bに移動し、更に、大気中に放出される。よって、複雑な機構を要することなく、精確なパターンをブランケット31に形成することができる。
【0038】
また、ブランケットおよび反転印刷用版は平滑性の高い材料により構成される場合がほとんどであるため、これらは真空に近い状態で強力に密着し合う。このため、互いを引き離す工程(図7(A)に対応)では、端部から徐々に空気を導入しつつ順次引き剥がすこととなるが、強力に密着しているため過剰な負荷により反転印刷用版およびブランケットの基体に変形や割れを生じる場合がある。これに対し、反転印刷用版1に設けられた気泡排出路12は、基板10の端部に開口を有しているため、ブランケット31との間に空気を容易に導入することができる。よって、引き離しに要する力を減らし、反転印刷用版およびブランケットの破損を防止することができる。
【0039】
更に、上記実施の形態では、加圧圧縮により反転印刷用版1を平板状のブランケット31に接触させるようにしているが、反転印刷用版1ではブランケット31との間の内包された気泡は気泡排出路12により容易に非印刷領域11bに排出される。よって、加圧圧縮に代え、例えばスポンジ等の弾性体のみを使用してブランケット31と反転印刷用版1とを圧接させることも可能である。すなわち、簡便な機構によりブランケット31と反転印刷用版1とを密着させることができ、印刷に要する装置コストを抑えることが可能となる。
【0040】
以下、上記実施の形態の変形例および他の実施の形態について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0041】
<変形例1>
図10は変形例1に係る反転印刷用版(反転印刷用版1A)の平面図を表したものである。この反転印刷用版1Aでは複数(図10では2つ)の気泡排出路12が設けられている。その点を除き、反転印刷用版1Aは上記実施の形態の反転印刷用版1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0042】
この反転印刷用版1Aでは、例えばストライプ状のパターンの凹部11の両端にそれぞれ気泡排出路12が連通するように構成されている。このように複数の気泡排出路12を設けることにより、ブランケット31と密着させた際に閉じ込められた気泡がより容易に非印刷領域11bへと移動し、また、ブランケット31と引き離す際には、ブランケット31との間により空気が導入され易くなる。なお、図10では2つの気泡排出路12が凹部11に直交する方向に設けられているが、気泡排出路12は3つ以上であってもよく、凹部11に対して、同方向であっても、斜め方向であってもよい。
【0043】
<変形例2>
図11は変形例2に係る反転印刷用版(反転印刷用版1B)の平面図を表したものである。この反転印刷用版1Bには複数の印刷領域11a(図11では4つ)が設けられている、所謂多面取りの反転印刷用版である。その点を除き、反転印刷用版1Bは反転印刷用版1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0044】
反転印刷用版1Bでは、例えば4つの印刷領域11aが平板状の基板10の向かい合う2つの辺のそれぞれに沿って2つずつ設けられている。全ての印刷領域11a内の凹部11は同一方向に形成されており、気泡排出路12は、例えば凹部11の両端にそれぞれ連通されている。気泡排出路12は凹部11に対して直交する方向に設けられ、この気泡排出路12の延在方向において隣接する印刷領域11a同士では、互いの凹部11が気泡排出路12により連通している。すなわち、多面取りの反転印刷用版であっても、印刷領域11a内の凹部11同士を連通させて、共通の気泡排出路12を設けることが可能である。更に、反転印刷用版1Bでは、気泡排出路12のうち、外側(基板10の端部側)に位置する2つの気泡排出路12は例えば直交する方向に枝分かれして、基板10の端部に達する。よって、枝分かれしていない場合に比べ、大気と連通する箇所が増え、気泡排出および空気導入の効果がより高まる。
【0045】
<変形例3>
図12は変形例3に係る反転印刷用版(反転印刷用版1C)の平面図を表したものである。この反転印刷用版1Cには、気泡排出路12に加えて、基板10の端部に溝状の空気導入路13が複数設けられている。また、反転印刷用版1Bと同様に多面取りの反転印刷用版である。その点を除き、反転印刷用版1Cは反転印刷用版1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0046】
溝状の空気導入路13は基板10の端部に開口を有して大気と連通するものであれば、凹部11と連通されていなくてもよい。このような空気導入路13が設けられていることにより、この反転印刷用版1Cを転写層32Aが成膜されたブランケット31と接触させた後、これらを互いに引き離す際にブランケット31との間により空気が導入されやすくなる。この空気導入路13は印刷領域11aに影響しない範囲でより多く設けられていることが好ましい。
【0047】
<変形例4>
図13は変形例4に係る反転印刷用版(反転印刷用版1D)の平面図を表したものである。この反転印刷用版1Dには、凹部11の延在方向と同方向の空気導入路13aが複数設けられている。また、反転印刷用版1Bと同様に多面取りの反転印刷用版である。その点を除き、反転印刷用版1Dは反転印刷用版1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0048】
溝状の空気導入路13aは例えば基板10の端部に開口を有して大気と連通するものであれば凹部11と連通されていなくてもよい。空気導入路13aは例えば、基板10の一辺に亘って形成され、基板10の対向する辺にそれぞれ開口を有するものである。ブランケット31と反転印刷用版1Dとを接触させた後に、互いを引き離していく方向に空気導入路13aが形成されていることが好ましい。特に、複数の印刷領域11aにおける凹部11が同方向に形成されている場合には、凹部11の方向に沿って離していくことが好ましいため、凹部11の延在方向と空気導入路13aの延在方向とが同一であることが好ましい。これにより、ブランケット31との間により空気が導入され易くなる。
【0049】
<変形例5>
図14は、本発明の変形例5に係る反転印刷用版(反転印刷用版1E)の平面図である。この反転印刷用版3は、例えば凹部11の一端に連通するように溝状の凹部連通路14を有すると共に、この凹部連通路14内に基板10の厚み方向に貫通する孔状の気泡排出路15を有するものである。すなわち、反転印刷用版1における溝状の気泡排出路12に代えて孔状の気泡排出路15が設けられている。その点を除き、反転印刷用版1Eは反転印刷用版1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0050】
凹部連通路14は、例えば全ての凹部11の一端に連通するように凹部11に対して直交する方向に延在する。孔状の気泡排出路15は、凹部連通路14の内壁に設けられ、基板10の厚み方向に貫通して大気と連通する。すなわち、凹部11は凹部連通路14および気泡排出路15を通じて、大気と連通している。これにより、ブランケット31と反転印刷用版1Eとを密着させた際に、内包された気泡は凹部連通路14および気泡排出路15により大気中に放出される。なお、気泡排出路15は機械加工、ウェットエッチングまたはドライエッチッグ等のエッチング処理あるいはレーザ加工により形成することができる。図14では、凹部連通路14を設け、その中に一つの気泡排出路15を形成したが、気泡排出路15は複数であってもよく、また凹部連通路14を設けずに印刷領域11aの外側に延在させた凹部11各々に直接気泡排出路15を設けてもよい。
【0051】
<第2の実施の形態>
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置(表示装置3)の構成を表すものである。この表示装置3は、有機EL(Electroluminescence)表示装置であり、例えば、基板41上の中央部の表示領域110a(第1領域)には、複数の赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bがマトリクス状に所定のパターン(第1パターン)で配置されている。表示領域110aに隣接し、表示領域110a以外の領域である非表示領域110b(第2領域)には、映像表示用のドライバ信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。
【0052】
[表示装置3の構成]
(全体構成)
表示領域110a内には画素駆動回路140が設けられている。画素駆動回路14
0は、図16に示したように駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタT
r2を有し、トランジスタTr1,Tr2の間の領域にはキャパシタCsが設けられ
ている。第1の電源ライン(Vcc)と第2の電源ライン(GND)との間において、
赤色画素40R(または緑色画素40G,青色画素40B)がトランジスタTr1に
直列に接続されている。信号線駆動回路120は、列方向に配置された複数の信号線
120Aを通じてトランジスタTr2のソース電極に画像信号を供給する。走査線駆
動回路130は、行方向に配置された複数の走査線130Aを通じてトランジスタT
r2のゲート電極に走査信号を順次供給する。トランジスタTr1,Tr2は、一般
的な薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により構成され、その構
成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップ
ゲート型)でもよく特に限定されない。
【0053】
(画素)
図17は図15に示した表示領域110aの断面構成を表したものである。赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bは、それぞれ基板41の側から陽極としての下部電極43、正孔注入層44、正孔輸送層45、青色発光層46B、電子輸送層47、電子注入層48および陰極としての上部電極49がこの順に積層された構造を有している。赤色画素40Rおよび緑色画素40Gには、それぞれ正孔輸送層45と青色発光層46Bとの間に赤色発光層46R(有機膜),緑色発光層46G(有機膜)が設けられている。
【0054】
このような赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bは、保護層50により被覆され、更にこの保護層50上に熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂などの接着層(図示せず)を間にしてガラスなどよりなる封止用基板51が全面にわたって張り合わされている。
【0055】
基板41は、基体41aおよび絶縁膜41bからなり、基体41aと絶縁膜41bとの間に画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1(図示せず)が設けられている。基体41aは、赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bが配列形成される支持体であり、例えば石英、ガラス、金属箔、もしくは樹脂製のフィルムやシートなどの公知のものにより構成すればよい。中でも、石英やガラスを用いることが好ましい。樹脂製のものを使用する場合には、その材質としてポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル樹脂類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル類、もしくはポリカーボネート樹脂などを用いることが可能であるが、この場合には透水性や透ガス性を抑えるため、積層構造とし、表面処理を行うことが好ましい。
【0056】
絶縁膜41bは、基体41a側から絶縁膜41b−1、絶縁膜41b−2の順に積層されている。絶縁膜41b−1は、画素駆動回路140が形成された基体41aの表面を平坦化するためのものである。絶縁膜41b−1は駆動トランジスタTr1と下部電極43とを接続するための微細な接続孔(図示せず)が形成されるためパターン精度が良い材料により構成されていることが好ましい。絶縁膜41b−1の構成材料としては、例えば、ポリイミド等の有機材料、あるいは酸化シリコン(SiO2)などの無機材料が挙げられる。酸化シリコン等の無機絶縁材料の上に、ポジ型感光性ポリベンゾオキサゾールまたはポジ型感光性ポリイミド等の感光性樹脂を積層させてもよい。
【0057】
絶縁膜41b−2は、下部電極43と上部電極49との間に設けられ、これらの電極間の絶縁性を確保する。更に、絶縁膜41b−2には赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bに対応して開口部が設けられており、絶縁膜41b−2の開口により発光領域を所望の形状に成形することができる。絶縁膜41b−2の上層、すなわち、正孔注入層44ないし上部電極49は、開口部だけでなく絶縁膜41b−2の上に設けられていてもよいが、発光が生じるのは開口部のみである。
【0058】
本実施の形態の絶縁膜41b(絶縁膜41b−2)は、上記の赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bが形成される開口と開口との間に溝状の気泡排出路42を有する。図18(A)に示したように気泡排出路42は、非表示領域110bまで延び基板41の端部まで連通している。気泡排出路42は走査線方向(行方向)および信号線方向(列方向)に設けられている。詳細は後述するが、この気泡排出路42により、オフセット反転印刷法で青色発光層46B,赤色発光層46Rを形成する際にブランケット31と基板41との間に気泡102が入り込むことがなくなり、精確なパターンの赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gを基板41上に形成することができる。なお、気泡排出路42は走査線方向のみ、あるいは信号線方向のみに設けられていてもよく、大気と連通していなくても、非表示領域110bに延在していればよい。
【0059】
図18(B)に示したように、気泡排出路42の深さD3と赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bが形成される開口の深さD4とは略同じであることが好ましい。開口と同時に気泡排出路42を形成し、製造工程を簡略化することができるためである。D3およびD4は例えば1μmであり、気泡排出路42の幅W3は例えば5μmである。
【0060】
下部電極43R,43G,43Bは、絶縁膜41b上にそれぞれ赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bごとに設けられ、例えばクロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金からなる。あるいは、上述の金属膜と透明導電膜との積層構造としてもよい。透明導電膜としては、例えば、インジウムとスズの酸化物(ITO)、酸化インジウム亜鉛(InZnO)、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金などが挙げられる。下部電極43が陽極として用いられる場合には、正孔注入性の高い材料により構成されていることが好ましいが、アルミニウム合金のような仕事関数の大きさが十分でない材料であっても、適切な正孔注入層44を設けることにより、陽極として機能させることが可能である。
【0061】
正孔注入層44は、赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bに共通して設けられており、正孔注入効率を高めると共に、リークを防止するバッファ層としての機能を有する。この正孔注入層44は、例えば、5nm〜100nmの厚みで形成されていることが好ましく、8nm〜50nmであることがより好ましい。
【0062】
正孔注入層44の構成材料は、例えば、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)またはカーボン等が挙げられるが、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよい。
【0063】
正孔輸送層45は、赤色発光層46R、緑色発光層46Gおよび青色発光層46Bへの正孔輸送効率を高めるためのものであり、正孔注入層44の上に赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bに共通して設けられている。
【0064】
正孔輸送層45の厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば、10nm〜200nmであることが好ましく、15nm〜150nmであることがより好ましい。正孔輸送層45を構成する高分子材料としては、有機溶媒に可溶な発光材料、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体あるいはポリピロール等が使用できる。
【0065】
赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものであり、それぞれ赤色画素40R,緑色画素40G毎に設けられている。赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gの厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば、10nm〜200nmであることが好ましく、15nm〜150nmであることがより好ましい。赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gを構成する高分子材料としては、例えばポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素あるいは上記高分子に有機EL材料をドープして用いることができる。具体的には、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッドあるいはクマリン6等をドープすることにより用いることができる。
【0066】
青色発光層46Bは、電界をかけることにより、電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものであり、赤色発光層46R,緑色発光層46Gおよび青色画素40Bにおける正孔輸送層45の上層に共通層として設けられている。即ち、青色発光層46Bは赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bに共通して設けられている。青色発光層46Bは、例えばホスト材料としてのアントラセン化合物に、ゲスト材料として青色もしくは緑色の低分子蛍光性色素,りん光色素あるいは金属錯体等の有機発光材料をドーピングしたものであり、青色もしくは緑色の光を発する。
【0067】
電子輸送層47は、赤色発光層46R,緑色発光層46Gおよび青色発光層46Bへの電子輸送効率を高めるためのものであり、青色発光層46Bの全面に共通層として設けられている。電子輸送層47の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、フェナントレン、ピレン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、フラーレン、オキサジアゾール、フルオレノン、アントラセン、ナフタレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベンまたはこれらの誘導体や金属錯体、例えばトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)を用いることができる。
【0068】
電子注入層48は、電子注入効率を高めるためのものであり、電子輸送層47の全面に共通層として設けられている。電子注入層48の材料としては、例えば、リチウム(Li)の酸化物である酸化リチウム(Li2O)やセシウムの複合酸化物である炭酸セシウム(Cs2Co3)あるいはこれらの混合物を用いることができる。また、カルシウム(Ca),バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、リチウム,セシウム等のアルカリ金属,インジウム(In)あるいはマグネシウム等の仕事関数の小さい金属を単体あるいは合金で用いてもよく、または、これらの金属の酸化物,複合酸化物,フッ化物の単体あるいは混合物を用いてもよい。
【0069】
上部電極49は、下部電極43と絶縁された状態で電子注入層48の上に全面に亘り設けられている。すなわち、赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bの共通電極となっている。上部電極49は、例えば、3nm以上8nm以下の厚さの金属導電膜よりなり、具体的には、例えばアルミニウム(Al),マグネシウム,カルシウムまたはナトリウム(Na)を含む合金からなる。特に、マグネシウムと銀との合金(Mg−Ag合金)は、光透過性および導電性が良好であるため好ましい。マグネシウムと銀との比率は特に限定されないが、膜厚比でMg:Ag=20:1〜1:1の範囲であることが好ましい。また、上部電極49に、アルミニウムとリチウムとの合金(Al−Li合金)を用いてもよい。
【0070】
上部電極49は、アルミキノリン錯体、スチリルアミン誘導体あるいはフタロシアニン誘導体等の有機発光材料を含有した混合層から形成されていてもよい。この場合には、更に第3層としてMg−Ag合金のような光透過性を有する層を別途備えていてもよい。
【0071】
(保護層および封止用基板)
保護層50は、絶縁性材料,導電性材料のいずれにより構成されていてもよく、例えば2μm〜3μmの厚みで形成されている。例えば、アモルファスシリコン(α−シリコン),アモルファス炭化シリコン(α−SiC),アモルファス窒化シリコン(α−Si1-Xx)あるいはアモルファスカーボン(α−C)等の無機アモルファス性の絶縁性材料を用いることができる。このような材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。
【0072】
封止用基板51は、赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bの上部電極49の側に位置し、接着層(図示せず)と共に赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bを封止するものである。封止用基板51は、ガラス等により構成されている。
【0073】
封止用基板51には、例えば、カラーフィルタおよびブラックマトリクスとしての遮光膜(いずれも図示せず)が設けられている。これにより赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bで発生した光が取り出されると共に、赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40B並びにその間の配線において反射された外光が吸収され、良好なコントラストが得られる。
【0074】
[表示装置3の製造方法]
このような表示装置3は、例えば以下のように製造する。
【0075】
まず、上述した材料よりなる基体41aの上に駆動トランジスタTr1を含む画素駆動回路140を形成し、例えば感光性ポリイミドよりなる絶縁膜41b−1を設ける。次いで、基板41の全面に例えばITOよりなる透明導電膜を成膜し、この導電膜をパターニングして下部電極43R,43G,43Bを形成する。また、下部電極43R,43G,43Bは絶縁膜41b−1のコンタクトホール(図示せず)を介して駆動トランジスタTr1のドレイン電極と導通させておく。次いで、絶縁膜41b−2を下部電極43R,43G,43B上および絶縁膜41b−1上に成膜する。この後フォトリソグラフィー法により、絶縁膜41b−2に赤色画素40R(下部電極43R),緑色画素40G(下部電極43G)および青色画素40B(下部電極43B)に対応する開口を形成するのと同時に、気泡排出路42を形成する。
【0076】
絶縁膜41bを形成した後、基板41の表面を酸素プラズマ処理し、表面に付着した有機物等の汚染物を除去して濡れ性を向上させる。具体的には、基板41を所定温度、例えば70℃〜80℃程度に加熱し、続いて大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。
【0077】
プラズマ処理を行った後、上述した材料よりなる正孔注入層44および正孔輸送層45を赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bに共通して形成する。例えば、スリットコート法あるいはスピンコート法により上述の材料よりなる正孔注入層44および正孔輸送層45をこの順に下部電極43R,43G,43B上および絶縁膜41b上に成膜する。
【0078】
正孔輸送層45を形成した後、赤色画素40Rおよび緑色画素10Gの正孔輸送層45上にそれぞれ赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gを形成する。本実施の形態の表示装置3では、基板41に気泡排出路42が設けられていることにより、特にこの工程に特徴を有している。以下、これについて詳細に説明する。
【0079】
赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gは、図19に示したように平板状のブランケットを用いた印刷法、例えばオフセット反転印刷方式により形成する。図19(A)は赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gの形成時の表示領域110aの断面構成、図19(B)は平面構成を表す。なお、図19(A)では正孔注入層44および正孔輸送層45を省略している。図19(A)に示したように、まず、ブランケット31上に、上述の赤色発光層46Rを構成する材料の転写層32Dを形成しておく。この転写層32Dは、版(例えば、反転印刷用版1)を用い、例えば図6(A)乃至図7(A)に示した工程のように、赤色画素40Rに対応したパターンでブランケット31に形成しておく。次いでブランケット31と正孔輸送層45までが形成された基板41とを中央部の表示領域110aから非表示領域110bへと順次加圧圧縮により接触させる。これにより図17に示したように赤色画素40Rの領域に赤色発光層46Rが印刷される。緑色発光層46Gについても同様である。
【0080】
図20に示したように、従来の基板141には気泡排出路42が設けられていないので、赤色発光層46R(または緑色発光層46G)の印刷時にブランケット31と基板141との間に気泡102が入り込んだ場合、表示領域110aに残る虞がある。この気泡102により、基板141に赤色発光層46R(または緑色発光層46G)が印刷されない領域が生じるため、従来の基板141では精確なパターンの赤色発光層46R(または緑色発光層46G)を形成することが困難であった。
【0081】
これに対し、本実施の形態の基板41は、気泡排出路42を有しているので、図19(A)に示したようにブランケット31と基板41との間に気泡102が入り込んでも、この気泡102は気泡排出路42を通じ、非表示領域110bを経て、基板41の端部から大気に放出されることとなる。つまり、ブランケット31と基板41とを当接した際にこれらの間に気泡102が閉じ込められることがないため、ブランケット31と基板41の密着が妨げられることがない。よって、複雑な機構を要することなく、つまり、低コスト、かつ良好な歩留りで精確なパターンの赤色発光層46R(または緑色発光層46G)を基板41に形成することができる。なお、気泡排出路42は大気に連通するものではなくても、少なくとも非表示領域110bまで延びていればよい。表示領域110aへの押圧力により気泡102を非表示領域110bに移動させることができるため、表示領域110aにおいてはブランケット31と基板41とを密着させることができるためである。
【0082】
赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gを形成した後、例えば蒸着法により赤色発光層46R,緑色発光層46Gおよび青色画素40Bにおける正孔輸送層47の全面に、上述した材料よりなる青色発光層46Bを共通層として形成する。
【0083】
青色発光層46Bを形成した後、この青色発光層46Bの全面に、例えば蒸着法により、上述した材料よりなる電子輸送層47,電子注入層48および上部電極49を形成する。
【0084】
上部電極49を形成した後、例えば蒸着法やCVD法により、保護層50を形成する。この際、赤色発光層46R,緑色発光層46Gおよび青色発光層46B等の劣化に伴う輝度の低下を防止するため、成膜温度を常温に設定し、加えて保護層50の剥がれを防止するため、膜のストレスが最小となる条件で成膜を行うことが好ましい。
【0085】
青色発光層46B,電子輸送層47,電子注入層48,上部電極49および保護層50は、マスクを用いることなく、全面に形成される。所謂ベタ膜である。また、青色発光層46B,電子輸送層47,電子注入層48,上部電極49および保護層50は、大気に曝露されることなく同一の成膜装置内で連続して形成されることが好ましい。大気中の水分による劣化が防止されるためである。
【0086】
保護層50を形成した後、接着層(図示せず)を間にして保護層50の上に封止用基板51を貼り合わせる。なお、封止用基板51にはあらかじめ、上述した材料よりなる遮光膜およびカラーフィルタを形成しておく。以上により、図15乃至図17に示した表示装置3が完成する。
【0087】
[表示装置3の作用・効果]
この表示装置3では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。すなわち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、赤色画素40R,緑色画素40Gおよび青色画素40Bに駆動電流Idが注入され、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、下面発光(ボトムエミッション)の場合には、下部電極43R,43G,43Bおよび基板41を透過して、上面発光(トップエミッション)の場合には上部電極49,カラーフィルタ(図示せず)および封止用基板51を透過して取り出される。
【0088】
その際、赤色画素40Rには、赤色発光層46Rと青色発光層46Bとが設けられているが、最もエネルギー準位の低い赤色にエネルギー移動が起こり、赤色発光(波長620nm〜750nm)が支配的となる。緑色画素40Gには、緑色発光層46Gと青色発光層46Bとが設けられているが、よりエネルギー準位の低い緑色にエネルギー移動が起こり、緑色発光(波長495nm〜570nm)が支配的となる。青色画素40Bは、青色発光層46Bのみを有するので、青色発光(波長450nm〜495nm)が生じる。ここでは、基板41に気泡排出路42が形成されているため、赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gの形成工程においてブランケット31と基板41との間に閉じ込められた気泡102は気泡排出路42を通じて非表示領域110bへと移動する。これにより、基板41に精確なパターンの赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gが形成される。
【0089】
以上のように、本実施の形態では、基板41に気泡排出路42を設けるようにしたので、複雑な機構を要することなく、精確なパターンの赤色発光層46Rおよび緑色発光層46Gを基板41に形成することができる。よって、低コスト、かつ良好な歩留りで表示装置3を製造することができる。
【0090】
<変形例6>
図21は変形例6に係る基板41Aの平面図を表したものである。この基板41Aには、複数の表示領域110aが設けられている。即ち、基板41Aは所謂多面取りの基板である。その点を除き、基板41Aは上記実施の形態の基板41と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0091】
基板41Aでは、例えば4つの表示領域110aが平板状の基板41Aの向かい合う2つの辺のそれぞれに沿って2つずつ配置されており、気泡排出路42は隣接する表示領域110a同士を連通するように設けられている。すなわち、多面取りの基板であっても、表示領域110a同士を連通させて、共通の気泡排出路42を設けることが可能である。
【0092】
(モジュールおよび適用例)
以下、上記第2の実施の形態で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0093】
(モジュール)
上記実施の形態の表示装置は、例えば、図22に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板41の一辺に、保護層50および封止用基板51から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0094】
(適用例1)
図23は、上記実施の形態の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0095】
(適用例2)
図24は、上記実施の形態の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0096】
(適用例3)
図25は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態に係る表示装置により構成されている。
【0097】
(適用例4)
図26は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0098】
(適用例5)
図27は、上記実施の形態等の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0099】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の
形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、気泡排出路12,15,42は上記実施の形態の形状に限らず、他のパターン形状としてもよい。
【0100】
また、上記第2の実施の形態では赤色画素40R,緑色画素40G,青色画素40Bがマトリクス状に配置された表示装置を例示したが、他のパターンで配置されていてもよい。
【0101】
更に、図5,図15および図17では赤色画素(R)、緑色画素(G)および青色画素(B)が配置された有機EL表示装置を例示したが、黄色画素(Y)を有するRGBY,白色画素(W)を有するRGBWあるいはYB等の画素配列の表示装置の発光層を印刷する場合においても適用することができる。更に、発光層に限らず、正孔注入層(Hole Injectiom Layer:HIL)または正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)等の層を印刷することもできる。特に、正孔注入層をパターニングして形成することにより、リーク電流を抑えることができる。反転印刷用版は、有機EL表示装置に限らず、カラーフィルタの形成にも適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
A…ブランケット、B…反転印刷用版、C…被印刷基板、1,1A,1B,1C,1D,1E…反転印刷用版、2,3…表示装置、10,41…基板、11…凹部、11a…印刷領域、11b…非印刷領域、12,15,42…気泡排出路、13…空気導入路、14…凹部連通路、30…ステージ、31…ブランケット、32…インク、32A,32C,32D…転写層、33…スリットコートヘッド、34…TFT基板、35…電極、40R…赤色画素、40G…緑色画素、40B…青色画素、41…基板、43…下部電極、44…正孔注入層、45…正孔輸送層、46R…赤色発光層、46G…緑色発光層、46B…青色発光層、47…電子輸送層、48…電子注入層、49…上部電極、50…保護層、51…封止用基板、110a…表示領域、110b…非表示領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域および前記第1領域に隣接した第2領域を有し、前記第1領域に対向基板が接触して第1パターンの膜が設けられる基板と、
前記第1領域と前記第2領域とを連通し、前記対向基板の接触時に前記基板と前記対向基板との間に内包された気泡を前記第1領域から前記第2領域へ排出する気泡排出路と
を備えた気泡排出構造。
【請求項2】
前記第1領域は、前記第1パターンと逆の第2パターンの凹部が設けられた印刷領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面の全面に膜が設けられ、前記基板との接触後に前記第2パターンの膜が形成されるブランケットである
請求項1に記載の気泡排出構造。
【請求項3】
前記第1領域は、前記第1パターンの画素が設けられる表示領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面に画素を形成するための前記第1パターンの有機膜が設けられたブランケットである
請求項1に記載の気泡排出構造。
【請求項4】
印刷領域および前記印刷領域に隣接した非印刷領域を有し、前記印刷領域にブランケットが接触して第1パターンの膜が設けられる基板と、
前記基板の印刷領域に設けられた前記第1パターンと逆の第2パターンの凹部と、
前記非印刷領域に設けられると共に前記凹部に連通し、前記ブランケットの接触時に前記基板と前記ブランケットとの間に内包された気泡を前記凹部から前記非印刷領域へ排出する気泡排出路と
を備えた反転印刷用版。
【請求項5】
前記非印刷領域は、前記印刷領域を囲む領域の少なくとも一部であり、
前記凹部は前記非印刷領域に延在し、
前記気泡排出路は大気と連通している
請求項4に記載の反転印刷用版。
【請求項6】
前記気泡排出路は、前記基板の端部に開口を有する溝である
請求項4または請求項5に記載の反転印刷用版。
【請求項7】
前記印刷領域を複数備えた
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の反転印刷用版。
【請求項8】
前記非印刷領域に、前記基板の端部に開口を有する溝状の空気導入路を備えた
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の反転印刷用版。
【請求項9】
前記凹部の延在方向と前記空気導入路の延在方向とが同一である
請求項8に記載の反転印刷用版。
【請求項10】
前記気泡排出路は、前記基板の厚み方向の貫通孔である
請求項5に記載の反転印刷用版。
【請求項11】
表示領域および前記表示領域に隣接した非表示領域を有し、前記表示領域にブランケットが接触して第1パターンの有機膜が設けられる基板と、
前記基板の表示領域に設けられた前記第1パターンの画素と、
前記表示領域と前記非表示領域とを連通し、前記ブランケットの接触時に前記基板と前記ブランケットとの間に内包された気泡を前記表示領域から前記非表示領域へ排出する気泡排出路と
を備えた表示装置。
【請求項12】
前記気泡排出路は、前記基板のうち前記ブランケットとの接触面の絶縁膜に設けられた
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
対向基板に転写層を形成する工程と、
第1領域および前記第1領域に隣接した第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域とを連通する気泡排出路が設けられた基板の前記第1領域に前記転写層を押し当てて第1パターンの膜を前記第1領域に形成すると共に、前記気泡排出路を介して前記第1領域から前記第2領域へ気泡を排出する工程と
を含む印刷方法。
【請求項14】
前記第1領域は、前記第1パターンと逆の第2パターンの凹部が設けられた印刷領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面の全面に前記転写層が形成されるブランケットである
請求項13に記載の印刷方法。
【請求項15】
前記第1領域は、前記第1パターンの画素が設けられる表示領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面に前記第1パターンの有機膜からなる前記転写層が形成されるブランケットである
請求項13に記載の印刷方法。
【請求項16】
基板上に表示素子を形成する工程を含み、
前記表示素子を形成する工程は、
対向基板に転写層を形成する工程と、
第1領域および前記第1領域に隣接した第2領域を有し、前記第1領域と前記第2領域とを連通する気泡排出路が設けられた基板の前記第1領域に前記転写層を押し当てて第1パターンの膜を前記第1領域に形成すると共に、前記気泡排出路を介して前記第1領域から前記第2領域へ気泡を排出する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1領域は、前記第1パターンと逆の第2パターンの凹部が設けられた印刷領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面の全面に前記転写層が形成されるブランケットである
請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1領域は、前記第1パターンの画素が設けられる表示領域であり、
前記対向基板は、前記基板との接触面に前記第1パターンの有機膜からなる前記転写層が形成されるブランケットである
請求項16に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−201007(P2012−201007A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68152(P2011−68152)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】