説明

気液混合流噴射装置

【目的】 気液混合して噴射する場合、使用目的に応じ、都度、最適な状態に混合させる気液混合流噴射装置を提供する。
【構成】 種類の異なる複数の小流量の液体をポンプ16で圧送し、それに大流量の圧縮空気を混合してノズル20より噴射させる気液混合流噴射装置であって、前記ノズル20近傍に液体の流量を調整するための流量調整バルブ19を設け、前記ノズル20と流量調整バルブ19の間に大流量の圧縮空気搬送するための空気管路24を設けた気液混合流噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水・ケミカル類等のそれぞれ異なる2種類以上の小流量液体をポンプで圧送し、大流量圧縮空気と混合してノズルにより噴射させる方式の気液混合流噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、水・ケミカル類等のそれぞれ異なる2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、大流量圧縮空気と混合してノズルにより噴射させる方式の気液混合流噴射装置が下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−093904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の装置では、各液体の流量調整をポンプの上流側、つまり装置本体内に設けられた各液体毎の流量調整弁にて流量を調整するようになっており、これでは液体を載せ替える度に各液体を順次ノズルより噴射させ、本体内の各流量調整弁にて流量を調整しながら最適な流量にしなければならず、面倒であり、時間もかかるものであった。
【0004】
また、特許文献1の装置では、圧縮空気と液体との混合部がノズルよりかなり手前側に設けてあるため、ノズルから噴射される液体は全て脈動状態で噴射されるようになり、例えば消臭剤や殺菌剤のように霧状に噴霧させたい液体には不向きなものであった。
【0005】
さらに、特許文献1の装置で、発泡洗剤を噴射する場合、やはり圧縮空気と液体との混合部がノズルよりかなり手前側に設けてあるため、一旦発泡した洗剤がノズルから噴射されるまでに管路抵抗により潰されることとなり、ノズルからは十分に発泡させた発泡洗剤を噴射させることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明は、2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、圧縮空気供給源から送出される大流量圧縮空気と混合してノズルより噴射させる方式の気液混合流噴射装置において、前記ノズル近傍に、噴射する液体の流量を調節する流量調整バルブを介設し、さらに、圧縮空気供給源から送出される圧縮空気を、空気開閉弁を介した空気管路にて前記ノズルと流量調節バルブとの間に圧送するようにした気液混合流噴射装置を提供することを要旨とするものである。
【0007】
また、前記ポンプ下流側と、前記空気開閉弁下流側とを連通するバイパス管路を設けると共に、該バイパス管路途中にバイパス開閉弁を設け、水以外の異なる液体を切り換えて噴射する場合、該液体を切り換える前に、前記空気開閉弁を閉じると共に前記バイパス開閉弁を開き、一定時間水を噴射させる制御手段を設けた装置とすることにより、より好ましい実施態様となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の装置は以上のように構成されるので、様々な液体を圧縮空気と混合し、ノズルより噴射させる場合、液体毎の流量調整を手元で行えるようにしたので、ノズルから出る液体の状態を都度目で確認しながら最適にできるので、非常に効率的である。
【0009】
また、液体と圧縮空気との混合部をノズル近傍としたので、噴射させる液体を脈動させることなく均一に噴射でき、洗浄及や噴霧の様々な噴射に対応可能となる。
【実施例】
【0010】
以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の全体構成図である。図において、1は装置本体で、本体内上部には噴射する液体の切替や装置の駆動・停止を行うためのスイッチ類等で構成される操作部2が設けてあり、底部には給水源3と接続されフロート給水弁4により常時水位が一定に保たれるようになっている水タンク5とケミカル入りタンク6〜9が設けてある。
【0011】
それぞれのタンク内には吸込管路10が分岐され電磁弁11〜15を介して挿入されており、吸込管路10の他方はポンプ16の吸込側に接続されている。そして、ポンプ16の吐出側には吐出管路17が接続されており、逆止弁18を介し、流量調整バルブ19を備えたノズル20が接続されている。
【0012】
また、ポンプ16の吐出側と吸込側とにはそれぞれを連通する帰還管路21が設けてあり、途中に流量調整可能なアンローダーバルブ22を介して、流量調整バルブ19が閉じられた時に余水を流してポンプ16にかかる負荷を軽減させるようになっている。
【0013】
ノズル20には、圧縮空気供給源23から圧縮空気が送り込まれるように、空気管路24が、空気開閉弁25、逆止弁26を介して、ノズル20と流量調整バルブ19との間に接続されており、ポンプ16から圧送される液体と混合されノズル20より噴射されるようになっている。
【0014】
さらに、吐出管路17と空気管路24とには、それぞれの逆止弁18,26の下流側で、バイパス開閉弁27を介して、バイパス管路28が接続されており、必要に応じ、吐出管路17と空気管路24とが連通・遮断できるようになっている。
【0015】
29はリレーやマイコンからなる制御手段であり、操作部2からの信号を受け、ポンプ16や各電磁弁を制御できるようになっている。
【0016】
図2はノズル20の要部断面図で、噴射口30には、それを覆うように所定長さの可撓性チューブ31が密着固定され、また噴射口根元部にはラッパ状をなすガイド管32が螺着されており、流体が噴射口30より噴射されると、チューブ31がガイド管32内壁に沿って高速で旋回するようになっている。このように構成されたノズルを使用することにより、洗浄に使用すると、強力な洗浄力を得ることができ、またケミカルの噴霧に使用すると、噴霧される流体が微粒子となり、良好な噴霧効果を得ることができるようになる。しかしながら、ノズルはこれに限定されるものではなく、ワンタッチカプラ33により種々のノズルに変更可能となっている。
【0017】
次に本装置を車両の洗浄に使用する場合の動作を説明する。この場合、ケミカルタンク6,7,8にはそれぞれ泡洗剤、消泡剤、ワックスが入っているものとする。
【0018】
まず、作業者は操作部2の洗浄液切替スイッチにて水を選択し、続けてスタートスイッチを押下する。その信号を受けた制御手段29は電磁弁11,空気開閉弁25を開放し、ポンプ16を駆動させる。するとノズル20からは、大流量の圧縮空気と小流量の水とが混合された状態で噴射されるので、作業者は、流量調整バルブ19にて最適な水の量に調整し、車両に向け噴射し、表層の砂埃等を洗い落とす予備洗浄を行う。
【0019】
次に、操作部2にて泡洗剤を選択すると、電磁弁12が開放され、泡洗剤がポンプにより圧送されるので、作業者は流量調整バルブ19にて泡洗剤の量を最適な量に調整し、十分に発泡させて車両に向け噴射する。この後、一旦操作部2の一時停止スイッチを押下し、スポンジ等で手洗いを行う。一時停止スイッチが押下されると、その信号を受けた制御手段29は空気開閉弁25を閉塞すると共に、ポンプ16を停止させる。
【0020】
手洗いが終了したら、泡洗剤を洗い流すため、操作部2の洗浄液切替スイッチにて消泡剤を選択し、再びスタートスイッチを押下する。すると制御手段29は前回噴射した液体が泡洗剤であり、水以外の液体であると記憶しているので、ここで一旦吸込管路10、吐出管路17及び帰還管路21内の泡洗剤を洗い流す管路洗浄を行うため、水を圧送してノズル20より噴射させるようにする。しかしながら、吐出管路17には流量調整バルブ19が設けられているため、管路洗浄を行うための水の流量が余り期待できない。その結果、管路洗浄に時間がかかり、車両洗浄作業そのものにかかる時間が長くなる。よって管路洗浄時間を短縮するため、水を空気管路24にも同時に流して、流量を稼ぎ、ノズル20から噴出される水の量を増大させることが考えられる。これを実行するため、洗浄液切替スイッチで消泡剤が選択され、スタートスイッチが押下された時点で一旦、制御手段29は電磁弁11,バイパス開閉弁27を開放すると共にポンプ16を駆動させる。すると吸込管路10、吐出管路17及び帰還管路21には水が流れ、その水が、吐出管路17と、バイパス管路28を経由して空気管路24とからノズルに流入し噴射される。
【0021】
その後、所定時間が経過すると、泡洗剤が吐出管路17から完全に洗い流されたとして、制御手段29では、先程開放した電磁弁11,バイパス開閉弁27を閉塞すると共に、本来噴出されるべき消泡剤を噴射させるため、電磁弁13を開放する。するとノズル20からは消泡剤が噴射されるので、作業者は流量調整バルブ19にて消泡剤の量を最適な量に調整し、車両及び必要であれば洗車エリアに付着している泡洗剤を洗い流す。
【0022】
さらに、ワックスを噴射するため、操作部2の洗浄液切替スイッチでワックスを選択すると、本来であればワックスが噴射されるのであるが、ここでも先程述べたように管路洗浄を行うため、制御手段29は、前記と同様の制御を行い、一旦所定時間水を流す動作を実行した後、電磁弁14を開放し、ワックスが噴射されるようになっているので、作業者は流量調整バルブ19にてワックスの量を最適な量に調整し、車両に噴霧する。
【0023】
そして、洗車作業が全て終了したら、ワックスを吸込管路10、吐出管路17及び帰還管路21から洗い流すため、作業者は操作部2のストップスイッチを押下すると、制御手段29はその信号を受け、やはり前記と同様の制御を行い、所定時間水を流す動作を実行して終了となる。
【0024】
以上のように、水以外の異なる液体が連続して使用される場合や、最後に使用する液体が水以外であった場合などに、所定時間水を流して管路洗浄を行うのは、それぞれ異なる液体同士が化学反応し、固形化したり、その他、何らかの悪影響がでないようにするためである。
【0025】
ところで、前記洗車作業では直接使用しないが、例えば水と空気の混合流体のみでホイルやブレーキディスク等の部分洗浄を行った場合、付着した水分を吹き飛ばすために空気開閉弁25のみを開放させ、圧縮空気のみをノズルから噴射させて所謂ブロー作業を実行させることも本装置では可能である。
【0026】
尚、本実施例では、洗浄液切替スイッチにて都度洗浄液を選択切替できる装置としたが、洗浄液の噴出時間及び順序が予めプログラミングされた装置としても、本発明を同様に実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例である装置の全体構成図である。
【図2】同装置に使用されるノズルの要部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 気液混合流噴射装置
5 水タンク
6〜 9 ケミカルタンク
11〜15 電磁弁
16 ポンプ
19 流量調整バルブ
20 ノズル
23 圧縮空気供給源
24 空気管路
25 空気開閉弁
27 バイパス開閉弁
28 バイパス管路
29 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の小流量液体を切り換えてポンプで圧送し、圧縮空気供給源から送出される大流量圧縮空気と混合してノズルより噴射させる方式の気液混合流噴射装置において、
前記ノズル近傍に、噴射する液体の流量を調節する流量調整バルブを介設し、さらに、圧縮空気供給源から送出される圧縮空気を、空気開閉弁を介した空気管路にて前記ノズルと流量調節バルブとの間に圧送するようにしたことを特徴とする気液混合流噴射装置。
【請求項2】
前記ポンプ下流側と、前記空気開閉弁下流側とを連通するバイパス管路を設けると共に、該バイパス管路途中にバイパス開閉弁を設け、水以外の異なる液体を切り換えて噴射する場合、該液体を切り換える前に、前記空気開閉弁を閉じると共に前記バイパス開閉弁を開き、一定時間水を噴射させる制御手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の気液混合流噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−26615(P2006−26615A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213605(P2004−213605)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】