説明

水の回収、および、懸濁固形分の水性媒体からの分離のための2元系ポリマー

本方法は、任意の順番でまたは同時に、物質の除去のために水性媒体に添加されるアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを使用する。アニオン性キサンタン、続いて、カチオン性キトサンといったこれら2種のバイオポリマーの逐次添加は、高い固形分対液体比を示し得ると共に水性媒体から急速に沈降するきわめて大きい粘着性小繊維凝塊物を急速に形成させる。水性媒体は、重力下での沈降によって、または、地盤用シート布もしくは固体メッシュスクリーンを有する固体封入デバイスを含む、合成もしくは非合成の織布もしくは不織布などの多孔性封入デバイスを通したろ過によって、大きな小繊維凝塊物から容易に分離されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の回収、および、懸濁固形分の水性媒体からの分離のための2元系ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁固形分、混和性および非混和性の液体、可溶性および部分的に可溶性の物質の水からの分離は、広く多様な産業分野にわたって多くの用途がある。水の処理が、汚染水が生成される産業における再利用のために、または、湖沼、河川、または、海洋などの水体への放出の前に必要である可能性がある。懸濁固形分、混和性および非混和性の液体、可溶性および部分的に可溶性の物質の水からの分離は、これらの物質の多くは汚染物および汚濁物であるために水質の向上に有益でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
懸濁固形分、水混和性および非水混和性の液体、水溶性および部分的に水溶性の物質のすべての種類の物質を除去するための水の処理に有用である方法が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、水からの物質の除去のための水処理分野に関する。物質としては、固形分、水混和性および非水混和性の液体、水溶性および部分的に水溶性の物質を挙げることが可能である。
【0005】
一態様においては、懸濁粒子または堆積粒子、水混和性の物質、非水混和性の物質、および、水溶性の物質のいずれかを水中に含有する水性媒体に、キサンタンポリマーなどのアニオン性ポリマーを添加する工程、続いて、キトサンポリマーなどのカチオン性ポリマーを添加する工程を含む方法が開示されている。1種以上のカチオン性ポリマーを水性媒体に添加すると、粘着性の小繊維凝塊物が形成される。水性媒体中の懸濁成分または堆積成分は、アニオン性ポリマーを添加する前に形成されている粒子を含んでいることが可能である。懸濁粒子の形成は、先ず、最初は水溶性である物質の除去を可能とする。開示の方法は、従って、先ず不溶性粒子を形成することにより、懸濁粒子だけではなく、水溶性、水混和性および非水混和性の液体の除去に用いられることが可能である。物質が水中に溶解しているか、混和性であるか、または、さらには非混和性である場合、この物質は、先ず、除去用媒体で処理されて、液体から微粒子がもたらされるか、または、溶解物質がもたらされる。物質が固体であるかまたは水に非混和性の液体である場合、この物質は、粒子を形成する必要性を伴わずに、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理されることが可能である。開示の方法においては、懸濁粒子または非混和性の液体は、大きな凝集小繊維塊に急速に凝集されて、スクリーン、メッシュ等を介したろ過による水性媒体の凝集小繊維塊からの容易な分離が可能とされる。これは、ろ過されるべき水の流量をより大きくさせる。
【0006】
他の態様においては、キサンタンポリマーなどのアニオン性ポリマー、キトサンポリマーなどのカチオン性ポリマー、および、不溶性粒子を含む小繊維凝集生成物が開示されており、ここで、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーは、不溶性生成物が付着している繊維および小繊維を含む小繊維凝塊物を形成する。開示の方法は、高い固体対液体比を示し、および、(部分的にその物理化学的性質のために)急速におよび容易に水性媒体から沈降することが可能である大きな粘着性小繊維凝塊物を形成させる。小繊維凝塊物の
物理的性質は、従来の凝結/凝析により得られる凝結物とは異なっている。顕著な攪拌下でも保持される小繊維凝塊物の物理的性質および凝集物の高い安定性によって、小繊維凝塊物は、現在、従来から公知であるポリマーおよび/または化学凝析剤を懸濁粒子の凝結および/または凝析プロセスにおいて用いることにより生成される凝結物とは区別される。いくつかのタイプの水性媒体に関しては、不溶性粒子は、吸着媒/吸着質系などの、2種の可溶性化合物を組み合わせ、または、1種の可溶性化合物と1種の不溶性化合物とを組み合わせから提供されることとなる。油および/または水−非混和性の炭化水素を主に含有する他のタイプの水性媒体に関して、油および/または水−非混和性の炭化水素は、水性媒体の表面からろ過、沈降および/またはスキミングにより、または、部分的に水性媒体に浸漬されて小繊維凝塊物を水性媒体から持ち上げる傾斜して回転するコンベヤベルトにより小繊維凝塊物を水の表面から引上げることにより除去されることが可能であるような、水性媒体から分離され得る小繊維凝塊物を形成する。他の事例において、水性媒体はまた、クレイおよび細砂などの懸濁された微細堆積物を含有している可能性があり、小繊維凝塊物は、微細堆積物およびクレイ微粉と組み合わされた油および水−非混和性の炭化水素の両方を含有しているであろう。他のタイプの水性媒体は、バクテリア、イースト菌、真菌および微細藻類を含む微生物および/またはウイルスの生体または屍骸の懸濁液を含有している可能性があり、従って、小繊維凝塊物は、生体または微生物を含んでいるであろう。開示の方法により形成された小繊維凝塊物はろ過および/または沈降により分離可能である。
【0007】
第1の実施形態においては、物質を水性媒体から除去する方法が提供されている。この方法は、水性媒体中に存在する物質を処理して、水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程;水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;および、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理する工程であって、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程;および、凝集物を回収して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理した水性媒体から物質を除去する工程を含む。
【0008】
第2の実施形態においては、水性媒体中に凝集物を形成する方法が提供されている。この方法は、水性媒体中に存在する物質を処理して、水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程;水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;および、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程を含む。
【0009】
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、水性媒体中に可溶性であることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、水性媒体中に混和性であることが可能である。
【0010】
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、液体などの水性媒体中に非混和性であることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、サブマイクロメートル(サブミクロン)粒子であることが可能である。
【0011】
第1および第2の実施形態の方法において、アニオン性ポリマーは、キサンタン、または、キサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物であることが可能である。
【0012】
第1および第2の実施形態の方法において、カチオン性ポリマーは、キトサン、または、キトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物であることが可能である。
【0013】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、水溶性物質、非水混和性の液体、水混和性の液体、または、サブマイクロメートル粒子を含んでいることが可能である。
【0014】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は吸着媒である。
【0015】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は炭素である。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は金属酸化物または含水金属酸化物である。
【0016】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子はシアヌル酸およびメラミンを含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素およびポリ塩化ビフェニル化合物を含んでいることが可能である。
【0017】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、砒素および水酸化酸化鉄を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンの少なくとも1種とを含んでいることが可能である。
【0018】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素およびナフテン酸を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含んでいることが可能である。
【0019】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよい。
【0020】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよく、ここで、金属は、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせの1種である。
【0021】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよく、ここで、非金属は砒素またはセレンである。
【0022】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素および炭化水素を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および炭化水素を含んでいることが可能であり、ここで、炭化水素は芳香族炭化水素である。
【0023】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および炭化水素を含んでいることが可能であり、ここで、炭化水素はハロゲン化炭化水素である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子はオルトリン酸およびランタン化合物を含んでいることが可能である。
【0024】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および水銀化合物を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含んでいることが可能である。
【0025】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(Entercoccus)などのバクテリア、または、ウイルスを含んでいることが可能である。
【0026】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(Entercoccus)などのバクテリア、および、ダート(dirt)を含んでいることが可能である。
【0027】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を還元または酸化して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを調節して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
【0028】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μmのサイズの細孔を有する。
【0029】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μm〜2mmのサイズの細孔を有する。
【0030】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μm〜850μmの範囲内のサイズの細孔を有する。
【0031】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ850μm〜2mmの範囲内のサイズの細孔を有する。
【0032】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、凝集物を回収する前に凝集物を沈降させる工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をアニオン性ポリマーで、続いて、カチオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
【0033】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をカチオン性ポリマーで、続いて、アニオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を、カチオン性ポリマーと同時にアニオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
【0034】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理する前に、水性媒体を希釈して物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含んでいてもよい。
【0035】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させるステップ、水性媒体のpHを6以上に調節するステップ、および、物質を還元もしくは酸化するステップから選択される2つ以上のステップを実施して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
【0036】
第1および第2の実施形態の方法において、凝集物は、第5の実施形態に記載の小繊維凝塊物のいずれか1種以上であることが可能である。
第3の態様においては、物質を水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程であって、物質が繊維に付着される工程、ならびに、凝集物を回収して物質を水性媒体から除去する工程を含む。
【0037】
第4の実施形態においては、水性媒体中に小繊維凝塊物を形成する方法が提供されている。方法は、物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、ならびに、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、物質が付着しているアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程を含む。
【0038】
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、サブマイクロメートルサイズであることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、非水溶性または非水混和性であることが可能である。
【0039】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をアニオン性ポリマーで、続いて、カチオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をカチオン性ポリマーで、続いて、アニオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
【0040】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を、カチオン性ポリマーと同時にアニオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、アニオン性ポリマーは、キサンタンであるか、または、キサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物である。
【0041】
第3および第4の実施形態の方法において、カチオン性ポリマーは、キトサンであるか、または、キトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物である。
【0042】
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、油、脂肪、グリース、砂、コール、クレイ、ダート、バクテリア、または、ウイルスの1種である。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を2mmの細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
【0043】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を850μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を100μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
【0044】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水をスクリーン、メッシュ、または、多孔性フィルタに流過させて凝集物を回収する工程をさらに含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、回収する前に凝集物を沈降させる工程をさらに含んでいてもよい。
【0045】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理する前に、水性媒体を希釈して物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含んでいてもよい。
【0046】
第3および第4の実施形態の方法において、小繊維凝塊物は繊維および小繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、小繊維凝塊物は粘着性であることが可能である。
【0047】
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物は、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物は、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0048】
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0049】
第5の実施形態においては、小繊維凝塊物が開示されている。小繊維凝塊物は、アニオン性ポリマー;カチオン性ポリマー;および、不溶性粒子または非混和性の液体を含んでいることが可能であり、ここで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは、不溶性粒子または非混和性の液体が付着している繊維を形成している。本明細書に開示の小繊維凝塊物および以下に開示されているすべての特質は、第1、第2、第3および第4の実施形態の方法から形成されることが可能である。
【0050】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キサンタンポリマーであるアニオン性ポリマーを有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キトサンポリマーであるアニオン性ポリマーを有していることが可能である。
【0051】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キサンタンと、1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/または非イオン性ポリマーとの混合物を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キトサンと、1種以上のカチオン性ポリマーおよび/または非イオン性ポリマーとの混合物を含んでいることが可能である。
【0052】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、サブマイクロメートルの物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能である。
【0053】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は吸着媒である。
【0054】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は炭素である。
【0055】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は金属酸化物または含水金属酸化物である。
【0056】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、メラミンに結合したシアヌル酸を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合したポリ塩化ビフェニル化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0057】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、水酸化酸化鉄に結合した砒素を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合したベンゼン、トルエンまたはキシレンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0058】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素およびナフテン酸を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0059】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0060】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能であり、ここで、金属は、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせの1種である。
【0061】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能であり、ここで、非金属は砒素またはセレンである。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合した炭化水素を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0062】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、オルトリン酸およびランタン化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合した水銀化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0063】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(
Enterococcus)などのバクテリア、または、ウイルスである不溶性粒子を有していることが可能である。
【0064】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物はバクテリアおよびダートを含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、砂、コール、クレイ、ダート、バクテリア、または、ウイルスを含んでいることが可能である。
【0065】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、油、脂肪、または、グリースである非混和性の液体を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、2mmの細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
【0066】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、850μm以上の細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、100μm以上の細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
【0067】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、免疫グロブリンと抗原との複合体を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、分離すると水溶性であり、一緒に結合されると非水溶性である、相互に結合された第1の種および第2の種を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0068】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、非水溶性種に結合された水溶性種を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、相互に結合された水混和性の液体および非水溶性物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0069】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、相互に結合された非水混和性の液体および非水溶性物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0070】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0071】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は小繊維を含んでいることが可能である。
【0072】
第6の実施形態においては、フッ化物イオンを水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、フッ化物イオンを含有する水性媒体を酸化セリウムで処理して粒子をもたらす工程であって、粒子の各々が酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む工程;および、粒子を水性媒体から除去して、フッ化物イオンを水性媒体から除去する工程を含む。
【0073】
第7の実施形態においては、フッ化物イオンを水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、フッ化物イオンを含有する水性媒体を水酸化ジルコニウムで処理して粒子
をもたらす工程であって、粒子の各々が水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む工程;および、粒子を水性媒体から除去して、フッ化物イオンを水性媒体から除去する工程を含む。
【0074】
この課題を解決するための手段は、以下の詳細な説明においてさらに説明されている、一連のコンセプトを簡素化された形態で導入するために提供されている。この課題を解決するための手段は、特許請求された主題の重要な特質を識別することを意図されておらず、また、特許請求された主題の範囲の判定の補助として用いられることは意図されていない。
【0075】
特許または出願ファイルは少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面が付されたこの特許または特許出願公開公報の複製は、請求と共に、所要の費用の支払いによって、事務局により提供されるであろう。
【0076】
本発明の前述の態様および多くの付随する利点は、添付の図面と併せて以下の発明を実施するための形態の参照によってよりよく理解されるに伴い、より容易に評価されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態による方法のフローチャート。
【図2】本発明の一実施形態による方法のフローチャート。
【図3】粉末状の活性炭を含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図4】ロッド状のシアヌル酸とメラミンとの複合体固形分を含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図5】ダートを高濃度で含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図6】セルロース繊維を含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図7】藻類を含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図8】水酸化酸化鉄を含むキサンタン/キトサン小繊維凝塊物の顕微鏡写真。
【図9】顆粒状の活性炭を含む小繊維凝塊物の写真。
【図10】水酸化酸化鉄を含む小繊維凝塊物の写真。
【図11】ダートを含む小繊維凝塊物の写真。
【図12A】粉末状の活性炭凝集物繊維の写真。
【図12B】粉末状の活性炭凝集物繊維の写真。
【図13A】水酸化酸化鉄凝集物繊維の写真。
【図13B】水酸化酸化鉄凝集物繊維の写真。
【図14A】酸化チタン凝集物繊維の写真。
【図14B】酸化チタン凝集物繊維の写真。
【図15A】Arizonaクレイ凝集物繊維の写真。
【図15B】Arizonaクレイ凝集物繊維の写真。
【図15C】Arizonaクレイ凝集物繊維の写真。
【図15D】Arizonaクレイ凝集物繊維の写真。
【図16A】熟成微細尾鉱凝集物繊維の写真。
【図16B】熟成微細尾鉱凝集物繊維の写真。
【図17】藻類凝集物繊維の写真。
【図18】異なる濃度のキサンタンガムおよびキトサンで処理された鉱山尾鉱のサンプルの写真。
【図19】異なるアニオン性バイオポリマーおよびキトサンで処理された鉱山尾鉱のサンプルの写真。
【図20A】キサンタンおよびキトサンで処理された鉱山尾鉱の1Lサンプルの写真。
【図20B】地盤用シート布を通した後の図11Aのサンプルから回収した濾液の写真。
【図21】様々な濃度のキサンタンおよびキトサンで処理された藻類のサンプルの写真。
【図22A】様々な濃度のキサンタンおよびキトサンで処理されたビルジ水のサンプルの写真。
【図22B】様々な濃度のキサンタンおよびキトサンで処理されたビルジ水のサンプルの写真。
【図23】様々なポリマーを単独で、および、これらを併用して処理された脂肪/油/グリースエマルションのサンプルの写真。
【図24A】アニオン性およびカチオン性ポリアクリルアミドポリマーを単独で、および、これらを併用して、高用量で処理された脂肪/油/グリースエマルションのサンプルの写真。
【図24B】アニオン性およびカチオン性ポリアクリルアミドポリマーを単独で、および、これらを併用して、低用量で処理された脂肪/油/グリースエマルションのサンプルの写真。
【図25】対照と比した凝結物の写真。
【図26】1mmのふるいを通過した凝結物の写真。
【図27】1mmのふるいに保持された粘着性凝集物の写真。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本開示は、水性媒体からの物質の除去に関する。物質としては、水性媒体の1種以上のアニオン性ポリマーおよび1種以上のカチオン性ポリマーでの処理による水性媒体に由来する水溶性、非水溶性、水混和性および非水混和性の物質が挙げられる。
【0079】
水には、採掘、掘削、建設、輸送、化学的および生化学的処理などの多様な産業にわたって多くの用途がある。産業における水の使用では、常に水の汚濁もしくは汚染が伴い、再使用、または、湖沼、河川小川、および、海洋への排出に好適ではなくなってしまう。従って、汚染物および汚濁物を除去する処理に対する必要性が存在している。
【0080】
物質を水性媒体(すなわち水)から除去するための方法が開示されている。本明細書においては、「水性媒体」および「水」は同義的に用いられている。処理されるべき水はいずれの供給源または産業に由来していてもよい。供給源としては、汚濁された小川、河川、湖沼、または、海洋を挙げることが可能である。本発明により除去されることが可能である物質は、水溶性の物質、非水溶性の物質もしくは粒子、水混和性の液体または非水混和性の液体であることが可能である。方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを添加する工程を含む。方法のいくつかの実施形態において、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは順次に添加され、一方で、他の実施形態においては、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは同時に添加されてもよい。いくつかの実施形態において、方法は、アニオン性ポリマー、続いて、カチオン性ポリマーを添加する工程を含み、または、反対の添加順であって、すなわち、カチオン性ポリマー、続いて、アニオン性ポリマーを添加する工程を含む。
【0081】
本明細書において用いられるところ「アニオン性ポリマー」とは、キサンタンなどのアニオン性多糖類、または、アニオン性ポリアクリルアミド(PAM)、カラギーナン、アルギナート、ペクチン、および、任意のこれらの組み合わせなどのキサンタンとは異なる他のアニオン性ポリマーなどの1種以上のアニオン性ポリマーを指す。「アニオン性ポリマー」という用語の単数形の使用は、2種以上の異なるアニオン性ポリマーの混合物を排除することは意味していない。一実施形態においてアニオン性ポリマーはキサンタンである。他の実施形態において、アニオン性ポリマーはキサンタンと1種以上の別のアニオン
性ポリマーとの混合物である。他の実施形態においては、アニオン性ポリマーの任意の1種以上と、グルコマンナン、非イオン性ポリアクリルアミドなどの非イオン性ポリマーとの混合物が用いられてもよい。アニオン性ポリマーは、キサンタンなどの天然のバイオポリマー、または、無機ポリマーであることが可能である。
【0082】
本明細書において用いられるところ、「カチオン性ポリマー」とは、キトサンなどのカチオン性多糖類、または、カチオン性グアー、カチオン性デンプン、カチオン性PAM、および、任意のこれらの組み合わせなどのキトサンとは異なる他のカチオン性ポリマーなどの1種以上のカチオン性ポリマーを指す。「カチオン性ポリマー」という用語の単数形の使用は、2種以上の異なるカチオン性ポリマーの混合物を排除することは意味していない。一実施形態において、カチオン性ポリマーはキトサンである。他の実施形態において、カチオン性ポリマーは、キトサンおよび1種以上の別のカチオン性ポリマーの混合物である。他の実施形態においては、アニオン性ポリマーの任意の1種以上と、グルコマンナン、非イオン性ポリアクリルアミドなどの非イオン性ポリマーとの混合物が用いられてもよい。カチオン性ポリマーは、キトサンなどの天然のバイオポリマー、または、無機ポリマーであることが可能である。
【0083】
図1を参照すると、淡水、汽水または海水などの任意の水性媒体であって、水から除去することが所望される物質を有するものを処理するための方法が開示されている。この方法は、ブロック100で開始される。ブロック100から、方法はブロック102に進む。ブロック102では、除去が所望される1種以上の物質を有する水性媒体が識別される。
【0084】
水性媒体としては、限定されないが、任意の産業、湖沼、池、河川、小川、タンク、暗渠、海洋等など(特にこれらに限定されない)の任意の供給源に由来する、淡水、汽水、または、海水などのいずれかの水を挙げることが可能である。いくつかの実施形態において、水が、除去されるべき物質として懸濁固形分を高レベルで有している場合、水は、先ず、希釈ステップに供されて、固形分の濃度が、およそ0.1%以下、1%以下、3%以下、5%以下、8%以下、および、10%以下、または、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの処理が可能である任意の濃度に下がるまで水性媒体が希釈され得る。開示の方法、または、この方法を用いることが可能であるプロセスを用いて処理されることが可能である産業由来の水性媒体の例としては、これらに限定されないが:浚渫水/浚渫用途;酸性鉱山尾鉱を含む鉱山尾鉱;採掘処理水;生化学処理水を含む産業処理水;産業用水からの化学的または生物学的生成物の精製;産業処理水からの反応副産物または添加剤の除去;産業排水;都市下水;都市飲用水処理;石炭燃焼発電所を含む発電所からの汚染水の処理;発電所用の冷却水;汚染された地下水、ビルジ水、バラスト水の浄化、産業廃水または処理水からの顔料(例えば、二酸化チタン)の除去;暴風雨水の処理;微生物(例えば、ウイルス、バクテリア、真菌または原生動物と結合する酸化マグネシウムまたは酸化鉄)を除去するための農業用潅漑用水の処理;セレンを除去するための農業用潅漑用水の処理;随伴水、および、油およびガス採掘において生成された、および/または、用いられた逆流水の清浄化;水圧破砕に用いられた天然ガス採掘時の掘削水の清浄化;天然ガス採掘に用いるための水の清浄化;藻類、および、バイオディーゼルの産出において用いられるトリアシルグリセロールなどの藻類により生産される生成物の採取;藻類により生産された分子の採取;藻類により生産された分子、および、藻類の栽培に用いられた分子の採取;発電所の煙道の洗浄によるものなどの藻類の成長に有害であろう物質を除去するための藻類の栽培用の水性媒体の清浄化;ワクチンの開発および生産のための微生物および微生物の構成要素の採取;生化学的診断アッセイにおける使用のため、または、診断アッセイにおける使用のためのこのような物質の精製のためのDNA、RNA、タンパク質、炭水化物、脂質、多糖類、アルブミンなどの生化学的エンティティの単離;トンネル掘削作業、および、化学物質で汚染された、堆積物を含有する水などの水性媒体の処
理;殺虫剤および除草剤を除去するための農業流出水の処理;ムスク油、化学療法剤、トリクロサン、アスピリンなどの薬、アスピリン、Prozac(商標)、イブプロフェンなどの医薬品、経口避妊薬における有効成分を含む内分泌撹乱物質などの微小成分を含む物質を除去するための、住居および/または商業汚水または生活雑排水の処理;スーパーファンド地区および有害廃棄物処理場の浄化;飲用水に用いるための蛇口用装置および/または水道栓用装置のための水の処理;津波、地震、海洋石油流出、台風などの自然現象で発生した暴風雨水、雨水、または、水であり、ここで、飲用とするためには事前の清浄化が必要である水;無毒性の物質、または、砒素およびシアノバクテリア毒素などの有機毒素などの有毒性の物質を含有する、飲用に用いられる井戸水;有毒な重金属を含有する産業用水、または、有毒な重金属を含有する塗料用顔料;飛行機または他の輸送器具の洗浄に用いられる水;観賞魚または食用魚を育てるために用いられる養魚池、エビおよびザリガニを育てるために用いられるエビおよびザリガニ池などの水産養殖において用いられた水の浄化または再生;流出、または、海洋採掘作業などの油採掘作業に由来する石油汚染物を含有する汽水の処理;特にこれらに限定されないが、フッ化物および砒素、有機汚濁物、殺虫剤および除草剤、リン酸塩および硝酸塩、ならびに、亜硝酸塩を含む有毒な金属および非金属などの汚濁物を除去するために浄化および処理が必要である湖沼、河川、海洋、および、池が挙げられる。
【0085】
本明細書に開示されているところ、方法は、物質の水性媒体からの除去のために提供されている。本明細書において用いられるところ、「物質」とは、水性媒体における除去、回収および/または凝集の対象である1種以上の材料を指していることが可能である。水性媒体中にある場合において、物質は、固体相、液体相、または、気相中にあることが可能である。物質は、懸濁または堆積固形分、水混和性および非水混和性の液体、水溶性、非水溶性および部分的に水溶性の物質を含むことが可能である。水および水混和性および非水混和性の液体中に最初から溶解している物質、または、サブマイクロメートル粒子および微小粒子は、任意により、可溶性の物質、混和性の液体、または、非混和性の液体を不溶性粒子に転化するさらなるステップ(ブロック104)に供されることが可能であり、ここで、非水混和性または非水溶性である物質は、ブロック106に進むことにより直接的に処理されることが可能である。しかしながら、非水混和性または非水溶性である物質はまた、これらの非水混和性の物質が液体であるか、または、非水溶性の物質がバクテリアまたはウイルスのように微細である場合には、ブロック104において処理されて、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーとの処理によってより容易に凝集される大きな粒子が形成されることが可能である。
【0086】
ブロック102における水から除去されるべき物質が水溶性、水混和性、または、非水混和性である場合、ブロック104は任意である。ブロック104は、不溶性の粒子を提供するために1つ以上のプロセスが用いられ得、これが、次いで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーとの処理に供される。ブロック102において水から除去されるべき物質が既に大きな不溶性粒子であるか、または、非混和性の液体である場合、方法はブロック106に進むことが可能である。ブロック104は、以下の図2を参照してより詳細に説明する。方法の一実施形態は、他の方法では充分に凝集されないであろう物質からなる不溶性粒子を、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを用いて提供することである。
【0087】
ブロック106は、水性媒体をアニオン性ポリマーで処理するためのものである。一実施形態において、アニオン性ポリマーはカチオン性ポリマーより前に添加されることが可能である。しかしながら、他の実施形態においては、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは同時に添加されてもよく、および、他の実施形態においては、カチオン性ポリマーがアニオン性ポリマーよりも前に添加されてもよい。水性媒体は、複数の方法でアニオン性ポリマーと処理されることが可能である。例えば、アニオン性ポリマーは、粉末
もしくは顆粒として、または、いくつかのこれらの組み合わせとして、または、水性媒体に添加される溶液として分散されることが可能である。あるいは、アニオン性ポリマーは、多孔性バッグなどの封入デバイス中にもたらされることが可能であり、除去が所望される物質を含有する水が、封入デバイスを通して、または、その上を流される。アニオン性ポリマーが添加された後、水は混合または撹拌されて、アニオン性ポリマーが水性媒体中に分散されてもよい。水性媒体から物質を除去するために添加されるアニオン性ポリマーの有効量は、水に対して試験を行い、所望される効果がいつ達成されるかに注目することにより判定されることが可能である。アニオン性ポリマーの有効量はまた、処理される水性媒体中の物質の量または濃度に応じる。アニオン性ポリマーの有効量は、一定量のカチオン性ポリマーと組み合わされた時に、物質または不溶性粒子を取り込み、および、およそ少なくとも100μmのサイズである粘着性小繊維凝塊物をもたらすような量である。ポリマーの各々に対する重量基準で0.01ppm〜重量基準で1000ppmの範囲、および、1:1〜1:1000のアニオン性ポリマー対カチオン性ポリマーの比が、物質および濃度に応じて可能である。カチオン性ポリマーの濃度は、アニオン性ポリマーの濃度とおよそ同一であるか、これより少ないか、または、これより多いことが可能である。
【0088】
本明細書において用いられるところ、「キサンタンガム」または「キサンタン」または「キサンタンポリマー」とは、キサントモナス=カムペストリス(Xanthomonas campestris)バクテリアなどのバクテリアによる好気性発酵によって産生される多糖類を指す。あるいは、インゲン葉焼病菌(Xanthomonas phaseoli)およびキサントモナス=ジュグランディス(Xanthomonas juglandis)が可能である。バクテリアによる発酵の期間の後、多糖類は、アルコールで繁殖している媒体から沈殿可能であり、その後、多糖類は乾燥され、および、易水溶性であってキサンタンガムを形成する粉末に粉砕されることが可能である。キサンタンは、開示の方法において、乾燥粉末として、または、ガムとしての溶液として、アニオン性ポリマーとして用いられることが可能である。この粉末を顆粒に凝塊させ、および、これらを用いることも可能であるはずである。ブロック106から、方法は、ブロック108に進む。
【0089】
ブロック108においては、水性媒体はカチオン性ポリマーで処理される。一実施形態において、アニオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの前に添加されることが可能である。しかしながら、他の実施形態においては、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは同時に添加されてもよく、および、他の実施形態においては、カチオン性ポリマーがアニオン性ポリマーよりも前に添加されてもよい。水性媒体は、複数の方法でカチオン性ポリマーにより処理されることが可能である。例えば、カチオン性ポリマーは、粉末、顆粒、フレークとして、または、水に添加される溶液として分散されることが可能である。あるいは、カチオン性ポリマーは、多孔性バッグなどの封入デバイス中にもたらされることが可能であり、除去が所望される物質を含有する水が、封入デバイスを通して、または、その上を流される。カチオン性ポリマーが添加された後、水が混合または撹拌されてカチオン性ポリマーが水性媒体中に分散されてもよい。水性媒体から物質を除去するために添加されるカチオン性ポリマーの有効量は、水に対して試験を行い、所望される効果がいつ達成されるかに注目することにより判定されることが可能である。カチオン性ポリマーの有効量はまた、処理される水性媒体中の物質の量または濃度に応じる。カチオン性ポリマーの有効量は、一定量のアニオン性ポリマーと組み合わされた時に、物質を取り込み、および、およそ少なくとも100μmのサイズである粘着性小繊維凝塊物をもたらすような量である。ポリマーの各々に対する重量基準で0.01ppm〜重量基準で1000ppmの範囲、および、1:1〜1:1000のアニオン性ポリマー対カチオン性ポリマーの比が、物質および濃度に応じて可能である。アニオン性ポリマーの濃度は、カチオン性ポリマーの濃度とおよそ同一であるか、これより少ないか、または、これより多いことが可能である。
【0090】
本明細書において用いられるところ、キトサンとは、弱酸性の媒体に可溶性であるように充分な比率で、無作為に分散されたβ−(1〜4)−結合N−アセチル−D−グルコサミン(アセチル化ユニット)およびD−グルコサミン(脱アセチル化ユニット)を有する多糖類を指す。キトサンは、自然界に幅広く存在するポリマーであって、多くの節足動物および昆虫類の外骨格の主たる構成成分、ならびに、多くの真菌の細胞壁の主たる構成成分であるキチンから調製され得る。キチンはタンパク質およびカルシウム化合物の混合物中に頻繁に見いだされる。キチンは、基本的には、β−1,4で結合している2−デオキシ−2−アセタミドグルコースモノマーユニットのポリマーであるが、ユニットのごく一部が2−デオキシ−2−アミノグルコースユニットに加水分解されている場合がある。キチンおよびキトサンといった用語は、度々、1つの連続した範囲上にあると考えられている。一方で、キチンとキトサンとの境界を定める脱アセチル化の程度は識別されていない。時々、キトサンは、およそ50%を超える2−デオキシ−2−アミノグルコース単量体ユニットを有すると共に、残りの単量体ユニットが2−デオキシ−2−アセタミドグルコースユニットであるコポリマーに適用される。キトサンは、いくらかの2−デオキシ−2−アセタミドグルコースユニットの2−デオキシ−2−アミノグルコースユニットへの加水分解により、キチンから誘導される。数多く存在する遊離アミノ基により、キトサンは水性酸性溶液として提供され得、このような溶液中に、正電荷を有するプロトン化アミノ基とのポリカチオンとして存在する。本明細書に開示の方法において有用なキトサンは、典型的には、20,000ダルトン〜2,000,000ダルトン、50,000ダルトン〜1,000,000ダルトンなど、または、100,000ダルトン〜900,000ダルトンなどの範囲内の分子量を有する。開示の方法において有用なキトサンは、典型的には、50%〜100%、60%〜95%など、または、70%〜90%などの脱アセチル化割合を有する。カチオン性ポリマーとして開示の方法において用いられるキトサンは、キトサン塩の水溶液、弱酸性水溶液、または、キトサン酢酸塩もしくはキトサン乳酸塩などのC〜C18モノ−またはポリカルボン酸とのキトサンの乾燥した塩として提供され得る。非限定的な例として、本発明の実施に有用な固体乾燥キトサン塩としては:キトサン酢酸塩、キトサン乳酸塩、キトサングルタミン酸塩、キトサン塩酸塩、キトサンコハク酸塩、キトサンフマル酸塩、キトサンアジピン酸塩、キトサングリコール酸塩、キトサン酒石酸塩、キトサンギ酸塩、キトサンリンゴ酸塩、および、キトサンクエン酸塩が挙げられる。ブロック108から、方法はブロック110に進む。
【0091】
ブロック110は、物質を含有する水のアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの処理の生成物が粘着性小繊維凝塊物であることを示す。小繊維凝塊物は、物質を囲みおよび保持しおよび取り込む複数の繊維および小繊維から構成されている。形成された凝集物は、凝集物中に分散された、および、これに付着した非混和性の液体などの、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、および、不溶性粒子(ブロック104において形成されたもの、または、ブロック102における水中に最初から存在していたもの)および/または物質を含む。開示の方法により生成された凝集物は、凝結物とは異なり、かなり粘着性であると共に分散に耐性であり、および、繊維および小繊維と粒子とを一緒に結合するより高い引張強度を有する凝集物である。本発明の一実施形態により形成された凝集物の粘着特性を実証する例が、以下に実施例18として説明されている。図9〜10に示されているとおり、例えば、繊維は、粘着性凝集物を形成しているように見える。これらの繊維は、約0.1mm〜約0.2mmの幅を有していることが分かる。より高倍率では、図3、4および6〜9に示されているとおり、より小さな小繊維が1μm以下のサブマイクロメートル範囲の幅を有していることが分かる。以下にさらに記載されているとおり、繊維は、キサンタンおよびキトサンなどのアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの添加で、複数種の物質および/または除去用媒体から形成されていることが可能である。繊維は、個々の凝集物全体を形成していることが可能であり、または、繊維は、凝集物の一部を形成していることが可能である。前者の場合においては、繊維は、凝集物にお
いて密接にまたは緩く結合されていることが可能である。後者の場合においては、個々の凝集物は、繊維によって一緒に保持されている別個の塊から形成されていることが可能である。繊維の形成は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの用量をより多量とすることにより、または、水性媒体を希釈して固形分濃度を下げることにより促進される可能性があると考えられる。3%未満、または、2%未満、または、1%未満の固形分濃度が、少なくともいくらかの量の繊維を含む凝集物を形成すると考えられているが、より高い固体濃度でもまた、よりアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの用量を多量とすることで繊維形成がなされ得る。より高い濃度では、これらの繊維は短い繊維である傾向にあり、一方で、より低い濃度では、繊維はよりはっきりとしており、良好に形成されており、その幅に比して長い。
【0092】
図3は、粉末状の活性炭と、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成された小繊維を含み、炭素粒子が小繊維に付着している小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
図4は、ロッド状のシアヌル酸とメラミンとの複合体固形分と、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成された小繊維を含み、粒子が小繊維に付着しており、いくつかの場合においては粒子を完全に収納している小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
【0093】
図5は、ダートを高濃度で含んでいる小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。小繊維を明確とするには固形分含有量を下げる必要があり得る。小繊維は、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成され、ダート粒子が小繊維に付着している。
【0094】
図6は、セルロース繊維と、セルロース繊維に付着しているキサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成された小繊維を含む小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
図7は、微細藻類と、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成された小繊維とを含み、藻類が小繊維に付着している小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
【0095】
図8は、水酸化酸化鉄と、キサンタンポリマーおよびキトサンポリマーから形成された小繊維とを含み、水酸化酸化鉄粒子が小繊維に付着している小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
【0096】
図9は、顆粒状の活性炭繊維を含む小繊維凝塊物の写真である。図10は、水酸化酸化鉄繊維を含む小繊維凝塊物の写真である。図11は、ダート繊維を含む小繊維凝塊物の顕微鏡写真である。
【0097】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの粉末状の活性炭を用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図12Aおよび12Bに示されている。繊維は、1.4mmの長さおよび0.04mmの幅、35:1の長さ対幅の比を有している。
【0098】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの(−)120メッシュ水酸化酸化鉄を用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図13Aおよび13Bに示されている。繊維は、2.6mmの長さおよび0.04mmの幅、65:1の長さ対幅の比を有している。
【0099】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの二酸化チタンを用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図14Aおよび14Bに示されている。繊維は、0.65mmの長さおよび0.04mmの幅、16.25:1の長さ対幅の比を有している。
【0100】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の5.8gのArizonaクレイを用い、2
0ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。第1の繊維を単離し、これが、図15Aおよび15Bに示されている。第1の繊維は、4mmの長さおよび0.4mmの幅、10:1の長さ対幅の比を有している。第2の繊維を単離し、これが、図15Cおよび15Dに示されている。第2の繊維は、2mmの長さおよび0.25mmの幅、8:1の長さ対幅の比を有している。
【0101】
小繊維凝集物を、9mlのDI水中の1mlの30%熟成微細尾鉱固形分を用い、300ppmのキサンタンガムおよび175ppmのキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図16Aおよび16Bに示されている。繊維は、5.5mmの長さおよび0.4mmの幅、13.75:1の長さ対幅の比を有している。
【0102】
小繊維凝集物を、450mlの藻類溶液を用い、40ppmキサンタンガムおよび20ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図17に示されている。繊維は、3.4mmの長さおよび0.03mmの幅、113:1の長さ対幅の比を有している。
【0103】
上記の図は、小繊維凝塊物に由来する繊維は、約0.5mm〜約6mm、または、約0.65mm〜約5.5mmの範囲の長さを有していることが可能であることを実証している。幅は、約0.02mm〜約0.5mm、または、約0.03mm〜0.4mmの範囲であることが可能である。長さ対幅の比は、5:1〜200:1、または、8:1〜113:1の範囲であることが可能である。しかしながら、同一の小繊維凝塊物に由来する繊維においても長さおよび幅には多様性が存在している。しかも、小繊維凝塊物は、2mmの細孔を有するふるい、または、850μm以上の細孔を有するふるい、または、100μm以上の細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。従って、小繊維凝塊物のサイズは、100μm超〜2mm超の範囲であることが可能である。
【0104】
小繊維凝塊物の全体的なサイズは、用いられるアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの量に応じているようである。アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの用量が少ない場合、凝集物は、約100μmの範囲からのサイズを有していることが可能であり、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーがさらに用いられることでさらに大きくなり続けることが可能である。より多くの用量では、繊維は密接に結合されて、識別が困難となる可能性がある。繊維は、激しい振盪などの高乱流条件を誘起させることで凝集物から分離可能である。小さい凝集物と、より大きい凝集物の両方において、小繊維構造は大きい繊維および小さい小繊維で生じていると考えられている。
【0105】
ブロック110において形成された小繊維凝塊物は、ブロック112において回収および除去されることが可能である。
ブロック112においては、小繊維凝塊物を水性媒体から回収および/または除去するためのステップが提供されている。小繊維凝塊物は、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、および、実施された場合にはステップ104においてもたらされた不溶性粒子、または、ステップ102において水性媒体中に最初から存在していた不溶性粒子もしくは非混和性の液体もしくは他の物質を含む。凝集物は、処理される水性媒体に応じて、除去の対象であってもなくてもよい追加の構成要素を含んでいてもよい。アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを含む粘着性凝集物を形成することの利点は、金属、プラスチック、合成材料または天然材料製であることが可能である粗目のフィルタまたはスクリーン等を通した水性媒体のろ過が許容されることが可能である。凝集物はスクリーンに捕捉され、および、水性媒体はフィルタまたはスクリーンを通過し、その後、水性媒体は、汚染物/汚濁物物質の含有量が低下されている。開示の方法によって形成される凝集物の大きく、および、高度に粘着性の性質のために、高いろ過流量が達成可能であり、単に除去用媒体の固定床上に水性媒体を流す場合と比して、より高い効率を達成することが可能で
ある。凝集物を含有する水性媒体はまた、地盤用シートチューブなどの可撓性バッグに送られることが可能であり、これにより、凝集物がチューブ中に溜まり、凝集物を含まない水性媒体が可撓性チューブの細孔からチューブの外に流れ出、ここで回収されるか、または、汚染物/汚濁物物質が存在しない環境に放流される。あるいは、凝集物は、回収タンクまたは封入デバイス中で重力による沈降に供されることが可能であり、沈降凝集物を第1の封入デバイスの底に残留させながら、上方の清透な水または水性媒体を他の容器または封入デバイスに移すことが可能である。次いで、沈降凝集物を水または水性媒体から分離させることが可能である。あるいは、凝集物は、遠心分離により分離されることが可能である。開示の方法を用いて形成された大きな凝集物は、合成または非合成多孔性、織または不織メンブランを用いるメンブランろ過により容易に除去される。形成される凝集物の物理化学的性質および大きな凝集物の保水能が、ろ過メンブランの顕著な目詰まり、または、頻繁な逆洗洗浄が必要となる高い背圧の生成を伴うことなく、メンブラン、砂、または、珪藻土ろ過により凝集物を水性媒体から分離させる能力をもたらす。小繊維凝塊物を除去するための複数のデバイスおよびシステムがある。以下の列挙は、例示的であり、および、網羅的ではないことが意図されている。
【0106】
一実施形態においては、懸濁粒子および/または非水混和性の材料を含有する水性媒体が容器またはコンテナの中に入れられ、これに、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの逐次的または他の方法による添加が行われることが可能である。高い固形分対液体比を示すとみられる、形成される大きくて安定な小繊維凝塊物は、水性媒体の傾瀉、または、多孔性スクリーン、砂フィルタ、あるいは、細孔を有する軟質もしくは硬質ろ過デバイスを通したろ過により分離されることが可能である。回収された水性媒体は、処理におけるさらなる使用に再利用されることが可能である。
【0107】
一実施形態においては、形成される大きな凝集物は、メンブランの顕著な目詰まりを伴わずに、織および/または不織合成または非合成多孔性材料を用いるメンブランろ過により水性媒体から除去され得る。これらの利点により、メンブランのクリーニングが低減され、および、その寿命が長くなる。この方法は、脱塩プロセスにおいて用いられるメンブランろ過、ならびに/または、潅漑用水の再生、飲用水、油/ガスフラクシング(fraccing)、産業プロセス、排水排出、建設水の環境への排出、浚渫水排出のための精密ろ過および/もしくは限外ろ過プロセスにおいてもしくは中空繊維メンブランろ過に適用可能である。
【0108】
他の実施形態において、浚渫作業によって発生する微粉から形成される大きな凝集物は、砂ろ過および/もしくは珪藻土ろ過により、または、織または不織合成または天然材料製の多孔性地盤用シートバッグを通したろ過により水性媒体から分離されることが可能であり、これに続き、浄化された水性媒体は、環境的に感受性の高い地域に排出可能である。
【0109】
他の実施形態において、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは、除去されるべき物質、懸濁微粒子、および/または、非水混和性の材料を含有する水性媒体流に添加されてもよい。これらのポリマーは、同様に水性媒体流に連続的に計量されることが可能であるキトサンの添加よりも上流で、水性媒体流に添加されるか、または、連続的に計量される。水性媒体流中に形成される大きな凝集物は、下流の沈降池または洪水調節池で回収されることが可能である。あるいは、凝集物は、地盤用シート材製の多孔性布バッグなどの封入デバイスを介して水性媒体から分離されることが可能である。一例はTenCate Geotube排水システムである。大きく安定な凝集物を含有する水性媒体流をGeotube排水コンテナに導くと、固形分を内部に保持し、一方で、細孔を通じて水性媒体流を流出させることが可能であり、そして、環境中に排出させるか、または、再使用するために回収することが可能である。
【0110】
他の実施形態において、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは、米国特許第6,749,748号明細書および米国特許第6,821,427号明細書(共に、本明細書において、特に参照により援用されている)に記載されている多孔性セグメントデバイスなどの多孔性デバイス中に個別に入れられている。アニオン性ポリマーまたはカチオン性ポリマーのいずれかを含有するデバイスの各々は、プラスチック管または鋼管の内部にそれぞれ位置されて固定されることが可能であり、ここで、アニオン性ポリマーを含有するデバイスは、カチオン性ポリマーを含有するデバイスの上流に配置されるか、または、代わりに、反対に配置される。除去されるべき物質、懸濁固形分、および/または、非水混和性の液体または物質を含有する水性媒体流をこれらの管に導くことが可能であり、ここで、水性媒体流は、先ず、キサンタンを含有するデバイスを通過および流過し;ならびに、アニオン性ポリマーを含有するデバイスを通過および流過した後、次いで、同一の管中の下流に設けられているカチオン性ポリマーを含有するデバイスを通過および流過するか、または、代替的に、反対の順番で通過および流過する。次いで、水性処理済流は、滞水池、尾鉱沈殿池、多孔性もしくは非多孔性収納容器に導かれるか、または、凝集物を分離した後に懸濁固形分および/または非水混和性の材料を含有する元の水性媒体に戻されて再循環されることが可能であり、または、水性媒体は、環境中に直接的に排出可能である。管の内部で形成された凝集物は、尾鉱沈殿池あるいは滞水池あるいは非多孔性収納容器中での沈降により水性媒体から分離されるか、または、多孔性収納容器を通してろ出されるか、または、水性媒体が環境中に排出された後に生物ろ過ゾーンにおいて沈降されることが可能である。
【0111】
他の実施形態において、除去されるべき物質、懸濁微粒子、および/または、非水混和性の材料を含有する水性媒体は、決定された用量計画に従って、計量ポンプでアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが逐次的にまたは他の方法で添加される、水泳用プール、または、親水公園、プール、あるいは、淡水もしくは海水水族館などの娯楽用水体中に含まれている。処理後に形成される凝集物は、ボディーオイル、日焼けローションなどの非水混和性の物質から構成されており、他の懸濁粒状物質は、多孔性スクリーン、砂フィルタ、または、細孔を有する軟質もしくは硬質ろ過デバイスに通される、砂、合成布カートリッジまたは珪藻土ろ過を介するろ過により分離されることが可能である。ろ過された水性媒体は、水泳用プール、親水公園プールまたは水族館に戻される。
【0112】
他の実施形態において、除去されるべき物質、懸濁微粒子、および/または、非水混和性の材料を含有する水性媒体は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが、決定された用量計画に従って、計量ポンプで逐次的にもしくは他の方法で添加されるか、または、計画上の順序で手動により適用される、水を使用した設備もしくは噴水に含まれている。処理後に形成される凝集物は、砂、合成布カートリッジまたは珪藻土ろ過を介したろ過により、または、単に設備の底に沈降させることにより分離されることが可能である。ろ過される場合、ろ過された水性媒体は噴水または水を使用した設備に戻される。
【0113】
他の実施形態において、水性媒体は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが、決定された用量計画に従って、計量ポンプで逐次的にもしくは他の方法で添加されるか、または、藻類採取用途の一部として計画上の順序で適用される、懸濁粒子として微細藻類を含有していることが可能である。処理後すぐに形成される微細藻類の大きな凝集された塊は、ろ過、水性媒体からのスキミング、細かな編み目の網によるすくい上げ、および/または、回転スクリーナによるスクリーンによって分離されることが可能である。水性媒体は、元のコンテナに戻されて再利用されるか、または、他の方法で処理されるか、または、環境中に排出されることが可能である。採取された藻類は、バイオディーゼルに用いられる脂質の抽出のためにさらに処理されるか、または、動物もしくは魚の餌に用いられる栄養分の単離のために抽出されることが可能である。採取された藻類はまた、エネル
ギー生産またはエタノール生産のためのバイオマスとしても用いられることが可能である。
【0114】
図2を参照すると、特にこれらに限定されないが、水溶性物質、水混和性の液体、非水混和性の液体、および、不溶性もしくは部分的に可溶性の物質を含む除去および/または回収されるべき物質から不溶性粒子を提供するための方法が例示されている。上述のとおり、開示の方法は、水性媒体に最初から溶解していた物質を、可溶性の物質を先ず処理して不溶性粒子をもたらすことにより除去し得る。開示の方法はまた、サブマイクロメートル粒子を他の粒子と組み合わせてより大きな除去の対象を形成する工程など、先ず、可溶性の物質を処理して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでより凝集されやすい不溶性粒子を提供することにより、水性媒体に最初から存在していた不溶性の物質を除去し得る。開示の方法は、先ず、液体を処理して不溶性粒子を形成することにより、水性媒体中の混和性および非混和性の液体などの物質を除去し得る。アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの処理に先立つ物質を処理する方法はブロック200に開始される。ブロック200から、方法はブロック202に進む。ブロック202の目的は、1種以上の物質を、除去が所望される可溶性、不溶性、混和性、非混和性、または、小さい物質と識別することである。一旦物質が識別されると、その物質と結合することが可能である材料またはその物質に実施されるプロセスで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーによってより容易に凝集される不溶性粒子がもたらされる。ブロック202から、方法は3種のステップ204,206,208の1つに進むことが可能である。ブロック204,206,208のステップの各々は、不溶性粒子を形成するかもたらすために用いられることが可能であるプロセスを開示している。しかしながら、不溶性粒子をもたらす他のプロセスもまた用いられ得る。除去が所望される物質に応じて、ブロック204,206,208から選択される異なるステップに進み得る。また、2つ以上のプロセスが用いられてもよい。例えば、物質は酸化または還元されても可溶性の物質がなお残留していてもよく、および、酸化または還元に続く結合工程で不溶性粒子がもたらされることが可能である。不溶性粒子をもたらすために物質に対して実施され得るプロセス数に制限はない。
【0115】
ブロック204を参照すると、物質から不溶性粒子をもたらすプロセスは除去用媒体への結合を介するものである。結合工程は、特に限定されないが、吸着、イオン結合、水素結合、共有結合等を含む。可溶性もしくは不溶性の物質、混和性のもしくは非混和性の液体、または、小粒子は、単独ではアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーとの処理で適切に凝集されない場合があるが、可溶性もしくは不溶性の物質、混和性もしくは非混和性の液体、または、小粒子は、先ず除去用媒体と結合されると水性媒体から容易に除去されることが可能であり、除去用媒体と組み合わされる可溶性もしくは不溶性、混和性もしくは非混和性、または、小さい物質の組み合わせは、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーによって凝集されることが可能である。本明細書において用いられるところ、除去媒体とは、物質が結合する任意の化合物または材料を指す。除去媒体は不溶性または可溶性化合物を含み得るが、ただし、可溶性の物質、混和性もしくは非混和性の液体と組み合わされた可溶性除去用媒体化合物は不溶性粒子をもたらす。
【0116】
除去媒体としては、これらに限定されないが、吸着媒、炭素、粉末状の活性炭、顆粒状の活性炭、硫黄もしくはヨウ素が含浸された活性炭、硫化炭素、チャコール、メラミン、籾殻灰、骨灰、骨粉、骨炭、木材、おがくず、褐炭、ピート、ココナツの殻、金属酸化物(水酸化酸化鉄および水酸化第二鉄など)、カルボニル鉄粉末、セルロース、イオン交換樹脂、炭酸ランタン、塩化ランタン、炭酸ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、炭酸セリウム、硫酸ランタン、硫酸ジルコニウム、ゼオライト、ゼロ価鉄ゼオライト、界面活性剤変性ゼオライト、破砕したゼオライトと石灰岩との組み合わせ、珪藻土、バーミキュライトなどのフィロケイ酸塩、パーライトなどのアモルファス火
山ガラス等が挙げられる。可溶性もしくは不溶性の物質、混和性もしくは非混和性の液体、または、小粒子のブロック202の処理は、1種の除去用媒体または2種以上の除去用媒体で行われてブロック104の不溶性粒子が提供される。また、2種以上の可溶性もしくは不溶性の物質、混和性もしくは非混和性の液体、または、小粒子は、1種以上の除去用媒体で処理可能である。微細な粒径(微孔性およびマクロ孔質材料の両方を含む大表面積)を示す粉末化炭素質材料または金属酸化物などの上記の除去媒体は、可溶性もしくは不溶性物質、混和性もしくは非混和性の液体(汚染物または汚濁物とみなすことが可能である)、または、小粒子を含有する水性媒体に添加することが可能である。汚染物/汚濁物は、粉末化された微小な懸濁除去用媒体に吸着するか、または、そうでなければこれに結合し、次いで、結合された汚染物質/汚濁物質を含有する除去用媒体がアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを用いることによって凝集されることが可能である。
【0117】
1種以上の除去用媒体に吸着または結合する候補である代表的な物質としては、これらに限定されないが、油などの炭化水素、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、および、キシレン化合物)芳香族炭化水素、フェノール、ハロゲン化物質、フッ化物、揮発性有機化合物(特にこれらに限定されないが、以下を含む:アセトン、ブロモホルム、メチルエチルケトン、四塩化炭素、クロロホルム、四塩化炭素、ジブロモメタン、2−ヘキサノン、ブロモメタン、塩化メチル、1,1,1,2−テトラクロロエタン、パークロロエチレン、塩化ビニル、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、有機塩素系炭化水素、殺生剤、グルタルアルデヒド、N,n−ジメチルホルムアミド、ホウ酸塩、ポリアクリルアミド、鉱油、ヒドロキシエチルセルロース、重硫酸アンモニウム、エチレングリコール、2,4−D、2,4,5−Tを含む殺虫剤、揮発性塩素化有機物(PCE、TCE、シス−DCEおよびVC)、水銀(水銀II、メチル水銀を含む種々の形態)、および、臭素酸塩などの非揮発性の化合物が挙げられる。
【0118】
特にこれらに限定されないが、油、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、および、キシレン化合物)芳香族炭化水素、フェノール、ハロゲン化物質などの物質を吸着するために、除去用媒体としての顆粒状の、または、粉末状の活性炭が水に添加され得る。特にこれらに限定されないが、ベンゼン、ベンゼン誘導体、塩素化ベンゼン誘導体、エチレン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、ディーゼルの範囲の有機物およびガソリンの範囲の有機物、ナフテン酸、染料等を含む石油生成物が、炭素質材料と結合することが可能である。砒素、セレン、クロム、カドミウム、鉛、フッ化物等などの一定の可溶性および不溶性金属もまた、炭素質材料および金属酸化物と結合可能である。水酸化第二鉄(Fe(OH))、および/または、水酸化鉄(FeO(OH))は、例えば砒素を吸着するために用いられ得る。吸着により除去されることが可能である他の物質としては、内分泌撹乱性化学物質(EDC)、ビスフェノールA、ノニルフェノール、および、シアノバクテリア毒素が挙げられる。
【0119】
金属酸化物および含水金属酸化物が、フッ化物(F−)、リン酸(PO3−)、および、砒素(ヒ酸塩および亜ヒ酸)などの一般的なアニオンのほとんどを水から除去するための水処理において用いられるべき種々の吸着媒として開発されてきている。金属酸化物および/または含水金属酸化物粒子を用いる除去媒体は:遷移金属酸化物および/または含水遷移金属酸化物(Fe、Ti、Mn等);活性アルミナなどの酸化アルミニウム;酸化マグネシウム(MgO);ならびに/または、希土類金属種酸化物および/または含水酸化物(Ce、La等を含む)から選択される。上記の金属酸化化合物のいくつかの例としては、これらに限定されないが顆粒状のアモルファス酸化第一鉄;酸化第二鉄(Fe2O3)、Fe3O4;酸化マグネシウム;活性アルミナなどの酸化アルミニウム;酸化ランタン(La2O3);酸化セリウム(IV)(CeO2);二酸化チタン(TiO2);酸化ジルコニウム(ZrO)が挙げられる。上記の水和金属酸化化合物のいくつかの例としては、これらに限定されないが、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫、酸
化セリウム(IV)(CeO)の水和物が挙げられる。ここで、「水和酸化鉄」という用語は、FeO、Fe、および、Feなどの酸化鉄の水和物(一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等)を示す。水和フェライト対水和酸化鉄の比は、水和フェライトが約24〜100重量%を占め得る。本明細書において用いられるところ、「水和酸化チタン」という用語は、TiO・nHO(式中、nは0.5〜2.0の正の数である)の一般式により表される化合物を示す。特に、例えば、TiO・HO[TiO(OH)]、TiO・2HO[Ti(OH)]、TiO・nHO(n=1.5〜2.0)等が挙げられ得る。「水和酸化ジルコニウム」という用語は、ZrO・nHO(式中、nは、0.5〜2.0の正の数である)の一般式によって表される化合物を示す。特に、ZrO・HO[ZrO(OH)]、ZrO2HO[Zr(OH)]、ZrO・nHO(n=1.5〜2.0)等が挙げられ得る。「水和酸化錫」という表記は、SnO・nHO(式中、nは、0.5〜2.0の正の数である)の一般式によって表される化合物を意味する。特に、SnO・HO[SnO(OH)]、SnO・2HO[Sn(OH)]、SnO・nHO(n=1.5〜2.0)等が挙げられ得る。上記の金属酸化物および/または水和金属酸化化合物は、図2のブロック204において物質から不溶性粒子をもたらし;続いて、キサンタンおよびキトサンなどのアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを用いる処理により不溶性粒子を除去する本明細書に開示の方法において、個々の化合物の各々とは別に単独で除去用媒体として、および/または、これらからの任意の複合体として用いられることが可能である。上記の金属酸化物および/または水和金属酸化化合物は、水処理システムにおいて、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーと一緒に良好に作用して、種々の水源に由来する一般的なアニオンを除去するであろう。種々の水源に由来する一般的なアニオンの例としては、これらに限定されないが、フッ化物(F−);リン酸(PO3−);および砒素(ヒ酸塩および亜ヒ酸);硝酸塩等が挙げられる。
【0120】
開示の方法の特定の一用途は、プール水からのシアヌル酸の除去に関する。水泳用プールの水および温泉を殺菌するために塩素および臭素化合物などのハロゲンを用いることが公知である。しかしながら、ハロゲン化合物は紫外線により分解され易い。シアヌル酸が、塩素化合物を安定化させるために度々用いられる。ジクロロイソシアヌル酸またはトリクロロイソシアヌル酸は、通例、酸化性塩素を供するために、および、塩素を安定化させるために娯楽施設用の水において用いられる。シアヌル酸またはジクロロイソシアヌル酸またはトリクロロイソシアヌル酸の反復的な使用により、シアヌル酸の除去が必要とされるまでシアヌル酸のレベルが高くなってしまう。従来においては、水を単にプールから排水することによりシアヌル酸の濃度を低減させている。メラミンは、シアヌル酸と水素結合を介して結合して、水中にて沈殿するか、または、懸濁される錯体を形成する。本発明の一実施形態によれば、メラミン:シアヌル酸錯体固形分は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの逐次的なまたはその他の方法による添加により水から除去することが可能である。メラミン:シアヌル酸錯体のアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの処理によりもたらされる生成物は、メラミン:シアヌル酸錯体固形分が内部に分散された小繊維凝塊物である。これらの小繊維凝塊物は、大きくて粘着性であり、従って、水性媒体を、例えばスクリーンまたはメッシュ等を通過させることにより除去されることが可能である。
【0121】
水からの除去が所望される可溶性の物質から不溶性粒子を形成する結合工程は、水泳用プールの水からのリン酸(オルトリン酸)の除去に用いられ得る。藻類の成長の抑制は、水からリン酸塩を除去することにより達成され得ることが知られている。リン酸塩は、塩化ランタンなどのランタン化合物の使用により除去されることが可能である。可溶性のリン酸塩を含有する水への塩化ランタンの添加によりランタンリン酸沈殿物がもたらされる。しかしながら、ランタンリン酸沈殿物は、従来の砂フィルタを用いても除去が遅い微小な粒子から組成されている。本発明の一実施形態によれば、ランタンリン酸沈殿物および
水をアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーと混合することで、ランタンリン酸固形分が内部に分散された小繊維凝塊物がもたらされる。小繊維凝塊物は、ランタンリン酸沈殿物単独よりも急速、かつ、容易に水から除去される。これらの小繊維凝塊物は、大きくて粘着性であり、従って、水性媒体を、例えばスクリーンまたはメッシュ等を通過させることにより除去されることが可能である。
【0122】
不溶性粒子を形成する結合工程の他の例は、水酸化酸化鉄への結合、これに続く、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの使用により誘起される小繊維凝集を介した水性媒体からの砒素またはセレンの除去である。他の例は、水性媒体からの水銀化合物の除去であって、このような水銀形態の活性炭への結合、これに続く、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの使用により誘起される小繊維凝塊物の形成によるものである。他の例は、酸化セリウムまたは酸化ランタンまたは水酸化ジルコニウムへの結合、続いて、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの使用により誘起される小繊維凝塊物の形成による水性媒体からのフッ化物イオンの除去である。
【0123】
不溶性粒子を形成するための手段としての結合を採用することの代替として、一定の物質がブロック206におけるpH調節に供されることにより不溶性粒子を形成し得る。
汚染/汚濁金属または非金属(砒素、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、ホウ素、アルミニウム、亜鉛、セレン、マンガン、亜鉛、クロム、コバルトなど)を含有する水性媒体は、懸濁粒子を形成するためにpH6.0超にpHを調節し、続いて、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを添加してこのような粒子を除去し、これにより金属/非金属を除去することにより除去することが可能である。先ず、金属/非金属を種々の形態で含有する水性媒体が6〜7のpHに調節される。これに続いて、水性媒体へのアニオン性ポリマーが添加および混合される。次いで、カチオン性ポリマーが水性媒体に添加および混合されて、小繊維凝塊物が形成される。次いで、この小繊維凝塊物は、多孔性スクリーン、可撓性フィルタ、固定床フィルタ、地盤用シートバッグ等を通したろ過により除去される。金属/非金属および/またはこれらの種々の形態は小繊維凝塊物の中に内包され、濾液中の金属および/またはこれらの種々の形態の濃度は顕著に低減されている。この方法は、酸鉱山尾鉱(除去、または、濃度を顕著に低減させる必要がある金属を含有する)などの鉱山尾鉱、水を下水に排出可能とするために除去される必要がある金属を水が含有する、金属酸洗い作業またはコンピュータチップ基板製造などにおける産業排水に適用可能である。
【0124】
ブロック204の結合プロセスおよびブロック206のpH調節プロセスの代替として、いく種かの物質は、ブロック208において化学的に、または、酵素的に実施されることが可能である酸化または還元反応によって不溶性粒子をもたらすことが可能である。例えば、硫化水素(HS)などの有害物または有毒物が溶解したガスは、これらの化合物の除去が可能であるような特性を示す他の非有害性の化合物に変化されることが可能であるよう、化学的に、または、酵素的に処理されることが可能である。例えば、硫化水素は、水中で酸化されて硫酸塩に転化されることが可能であり、この硫酸塩は、カルシウムイオンとの不溶性リン酸カルシウムが形成される沈殿により水から除去されることが可能であり、これが、次いで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの小繊維凝集、ならびに、ろ過によって除去されることが可能である。あるいは、可溶性の負に荷電された硫酸塩イオンは、水に添加された不溶性粒子に吸着され、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを用いて小繊維凝塊物に形成されることが可能である。硫化水素はまた、金属イオンと反応して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーとの処理により除去されることが可能である不溶性の金属硫化物を形成する。硫化水素はまた、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーとの処理により除去されることが可能である不溶性元素硫黄に転化されることが可能である。二酸化硫黄との反応による水溶性の塩化銅(II)の不溶性の塩化銅(I)への不溶化が、不溶性粒子をもたらすために用いられること
が可能である。他の例は、第一鉄(Fe+2)イオンから第二鉄(Fe+3)イオンへの次亜塩素酸ナトリウムによる酸化、これに続く、第二鉄(Fe+3)イオンの水酸化物との不溶性の水酸化第二鉄(Fe(OH)を形成する反応である。
【0125】
他の実施形態において、ブロック204,206,208のプロセスの2つ以上を組み合わせて用いて不溶性粒子をもたらすことが可能である。例えば、塩化物は可溶性であり、酸化はなお可溶性である次亜塩素酸をもたらす。しかしながら、次亜塩素酸は、不溶性の活性炭、これに続く小繊維凝集によって除去されることが可能である。
【0126】
不溶性生成物の形成が必要とされる他の用途は、物質がサブマイクロメートルサイズ(1μm未満)であるなど、物質が小さい場合である。サブマイクロメートルの物質を含むより大きな不溶性粒子の形成は、サブマイクロメートルの物質をアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーによって凝集させる工程において、サブマイクロメートル粒子が結合されて大きな不溶性粒子となる場合に生じることが可能であると共に、補助されるであろう。
【0127】
ブロック204,206,208における不溶性粒子の形成の後、次いで、方法は上記のブロック106,108に続く。
第1の実施形態においては、物質を水性媒体から除去する方法が提供されている。この方法は、水性媒体中に存在する物質を処理して、水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程、水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、ならびに、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理する工程であって、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程、ならびに、凝集物を回収して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理した水性媒体から物質を除去する工程を含む。
【0128】
第2の実施形態においては、水性媒体中に凝集物を形成する方法が提供されている。方法は、水性媒体中に存在する物質を処理して、水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程、水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、および、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程を含む。
【0129】
第1および第2の実施形態の方法において、物質は水性媒体中に可溶性であることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、水性媒体中に混和性であることが可能である。
【0130】
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、液体などの水性媒体中に非混和性であることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、物質は、サブマイクロメートル粒子であることが可能である。
【0131】
第1および第2の実施形態の方法において、アニオン性ポリマーは、キサンタン、または、キサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物であることが可能である。
【0132】
第1および第2の実施形態の方法において、カチオン性ポリマーは、キトサン、または、キトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物であることが可能である。
【0133】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、水溶性物質、非水混和性の液体、水混和性の液体、または、サブマイクロメートル粒子を含んでいることが可能であ
る。
【0134】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は吸着媒である。
【0135】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は炭素である。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含んでいてもよく、ここで、除去用媒体は金属酸化物または含水金属酸化物である。
【0136】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子はシアヌル酸およびメラミンを含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素およびポリ塩化ビフェニル化合物を含んでいることが可能である。
【0137】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、砒素および水酸化酸化鉄を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンの少なくとも1種とを含んでいることが可能である。
【0138】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素およびナフテン酸を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含んでいることが可能である。
【0139】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよい。
【0140】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよく、ここで、金属は、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせの1種である。
【0141】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、不溶性粒子が金属または非金属をさらに含んでいてもよく、ここで、非金属は砒素またはセレンである。
【0142】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、炭素および炭化水素を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および炭化水素を含んでいることが可能であり、ここで、炭化水素は芳香族炭化水素である。
【0143】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および炭化水素を含んでいることが可能であり、ここで、炭化水素はハロゲン化炭化水素である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子はオルトリン酸およびランタン化合物を含んでいることが可能である。
【0144】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は炭素および水銀化合物を含んでいることが可能である。
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含んでいることが可能である。
【0145】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(Entercoccus)などのバクテリア、または、ウイルスを含んでいることが可能である。
【0146】
第1および第2の実施形態の方法において、不溶性粒子は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(Entercoccus)などのバクテリア、および、ダートを含んでいることが可能である。
【0147】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を還元または酸化して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体のpHを調節して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
【0148】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μmのサイズの細孔を有する。
【0149】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μm〜2mmのサイズの細孔を有する。
【0150】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ100μm〜850μmの範囲内のサイズの細孔を有する。
【0151】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を多孔性材料に流過させて凝集物を材料に回収する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、多孔性材料はおよそ850μm〜2mmの範囲内のサイズの細孔を有する。
【0152】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、凝集物を回収する前に凝集物を沈降させる工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をアニオン性ポリマーで、続いて、カチオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
【0153】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をカチオン性ポリマーで、続いて、アニオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を、カチオン性ポリマーと同時にアニオン性ポリマーで処理する工程をさらに含んでいてもよい。
【0154】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオ
ン性ポリマーで処理する前に、水性媒体を希釈して物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含んでいてもよい。
【0155】
第1および第2の実施形態の方法において、方法は、物質を除去用媒体に結合させるステップ、水性媒体のpHを6以上に調節するステップ、および、物質を還元もしくは酸化するステップから選択される2つ以上のステップを実施して不溶性粒子をもたらす工程をさらに含んでいてもよい。
【0156】
第1および第2の実施形態の方法において、凝集物は、第5の実施形態に記載の小繊維凝塊物のいずれか1種以上であることが可能である。
第3の態様においては、物質を水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程であって、物質が繊維に付着される工程、ならびに、凝集物を回収して物質を水性媒体から除去する工程を含む。
【0157】
第4の実施形態においては、水性媒体中に小繊維凝塊物を形成する方法が提供されている。方法は、物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程、ならびに、水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、物質が付着しているアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程を含む。
【0158】
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、サブマイクロメートルサイズであることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、非水溶性または非水混和性であることが可能である。
【0159】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をアニオン性ポリマーで、続いて、カチオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体をカチオン性ポリマーで、続いて、アニオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
【0160】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水性媒体を、カチオン性ポリマーと同時にアニオン性ポリマーで処理する工程を含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、アニオン性ポリマーは、キサンタンであるか、または、キサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物である。
【0161】
第3および第4の実施形態の方法において、カチオン性ポリマーは、キトサンであるか、または、キトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび/もしくは非イオン性ポリマーとの混合物である。
【0162】
第3および第4の実施形態の方法において、物質は、油、脂肪、グリース、砂、コール、クレイ、ダート、バクテリア、または、ウイルスの1種である。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を2mmの細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
【0163】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を850μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、凝集物を100μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含んでいてもよい。
【0164】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、水をスクリーン、メッシュ、または、多孔性フィルタに流過させて凝集物を回収する工程をさらに含んでいてもよい。
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、回収する前に凝集物を沈降させる工程をさらに含んでいてもよい。
【0165】
第3および第4の実施形態の方法において、方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理する前に、水性媒体を希釈して物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含んでいてもよい。
【0166】
第3および第4の実施形態の方法において、小繊維凝塊物は繊維および小繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、小繊維凝塊物は粘着性であることが可能である。
【0167】
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物は、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物は、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0168】
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第3および第4の実施形態の方法において、少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0169】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物が開示されている。小繊維凝塊物は、アニオン性ポリマー;カチオン性ポリマー;および、不溶性粒子または非混和性の液体を含んでいることが可能であり、ここで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは、不溶性粒子または非混和性の液体が付着している繊維を形成している。本明細書に開示の小繊維凝塊物および以下に開示されているすべての特質は、第1、第2、第3および第4の実施形態の方法から形成されることが可能である。
【0170】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キサンタンポリマーであるアニオン性ポリマーを有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キトサンポリマーであるアニオン性ポリマーを有していることが可能である。
【0171】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キサンタンと、1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび/または非イオン性ポリマーとの混合物を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、キトサンと、1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび/または非イオン性ポリマーとの混合物を含んでいることが可能である。
【0172】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、サブマイクロメートルの物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能である。
【0173】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は吸着媒
である。
【0174】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は炭素である。
【0175】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、除去用媒体と除去用媒体に結合している物質から形成された不溶性粒子とを有することが可能であり、ここで、除去用媒体は金属酸化物または含水金属酸化物である。
【0176】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、メラミンに結合したシアヌル酸を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合したポリ塩化ビフェニル化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0177】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、水酸化酸化鉄に結合した砒素を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合したベンゼン、トルエンまたはキシレンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0178】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素およびナフテン酸を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0179】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0180】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能であり、ここで、金属は、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせの1種である。
【0181】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、金属または非金属を含む不溶性粒子を有していることが可能であり、ここで、非金属は砒素またはセレンである。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合した炭化水素を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0182】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、オルトリン酸およびランタン化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、炭素に結合した水銀化合物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0183】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、大腸菌(E.coli)もしくは腸球菌(Enterococcus)などのバクテリア、または、ウイルスである不溶性粒子を有していることが可能である。
【0184】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物はバクテリアおよびダートを含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、砂、コール、クレイ、ダート、バクテリア、または、ウイルスを含んでいることが可能である。
【0185】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、油、脂肪、または、グリースである非混和性の液体を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、2mmの細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
【0186】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、850μm以上の細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、100μm以上の細孔を有するふるいに保持されるサイズを有していることが可能である。
【0187】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、免疫グロブリンと抗原との複合体を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、分離すると水溶性であり、一緒に結合されると非水溶性である、相互に結合された第1の種および第2の種を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0188】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、非水溶性種に結合された水溶性種を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、相互に結合された水混和性の液体および非水溶性物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
【0189】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、相互に結合された非水混和性の液体および非水溶性物質を含む不溶性粒子を有していることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0190】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
【0191】
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいることが可能である。
第5の実施形態において、小繊維凝塊物は小繊維を含んでいることが可能である。
【0192】
第6の実施形態においては、フッ化物イオンを水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、フッ化物イオンを含有する水性媒体を酸化セリウムで処理して粒子をもたらす工程であって、粒子の各々が酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む工程、および、粒子を水性媒体から除去して、フッ化物イオンを水性媒体から除去する工程を含む。
【0193】
第7の実施形態においては、フッ化物イオンを水性媒体から除去する方法が提供されている。方法は、フッ化物イオンを含有する水性媒体を水酸化ジルコニウムで処理して粒子をもたらす工程であって、粒子の各々が水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む工程;および、粒子を水性媒体から除去して、フッ化物イオンを水性媒体から除去する工
程を含む。
【0194】
油砂尾鉱
例えばNorthern Alberta,Canadaのタールサンドに富む石油のタール状形態であるビチューメンが、合成原油の生産に用いられている。露天採掘により採取される油砂ビチューメンは、ビチューメン抽出プロセスの副生物である油砂尾鉱を生成する。油砂尾鉱は、水、クレイ、砂、シルト、および、残分のビチューメンから組成されている。抽出プロセスでは多量の熱水がビチューメンの抽出に利用され、熟成微細尾鉱(MFT)として知られる水性富クレイ微粉懸濁液が大量に生成され、これが大きな沈降池に排出および回収される。沈降池中に含まれる固形分を沈降させ、ビチューメン抽出プロセスで再使用するために水を回収することが所望される。熟成微細尾鉱に含有されている固体微粉の堆積および圧密速度は遅く、これが、固形分の沈下を介した低固形分含有水の回収および開墾に対する重要な課題を呈している。熟成微細尾鉱における水の回収および固形分沈下速度を促進させる従来のプロセスは、複合尾鉱または圧密尾鉱(CT)プロセスである。CTプロセスは、遠心式分離器のアンダーフローからの粗尾鉱(熟成微細尾鉱と比して微細な微粒子を低い割合で含有する)を、熟成微細尾鉱(粗尾鉱と比して微小な微粒子の割合が高い)と、CTプロセスに必要である石膏(硫酸カルシウム、CaSO×2HO)などの無機凝析助剤と混合するものである。得られる混合物は圧密または複合尾鉱と呼ばれ、固形分は数時間の間に沈降して、「初期は軟質」であると言われている。しかしながら、回収された水および沈降した固形分の細孔中に含まれている水の両方は高濃度の硫酸塩を示し、これは、将来的な開墾管理に対して不利益である可能性がある。さらに、無機凝析剤を使用することにより回収された水および再利用される水中のイオン濃度が高くなってしまい、これは、固形分の沈降および沈降した固形分の安定性に負の影響を与える可能性がある。有機凝結剤はイオン濃度を上昇させることはないが、複合または固結尾鉱の性能は許容可能ではなかったことが報告されている。
【0195】
アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを添加することにより、水から熟成微細尾鉱を除去する方法が開示されている。一実施形態においては、方法は、固形分濃度をおよそ0.1%以下、1%以下、3%以下、5%以下、8%以下、または、10%以下に低減させる工程を含む。希釈は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの粘着性である小繊維凝塊物を形成する能力に影響する可能性があり、それ故、除去が容易となる。方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ40ppm以上に高めるのに充分な量である。しかしながら、カチオン性ポリマー濃度は、少なくとも2ppmであることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、熟成微細尾鉱に由来する固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0196】
開示の方法は、イオン負荷またはイオン濃度を高めることなく、熟成微細尾鉱中に含有されている微小な固形分を水から迅速に分離することが可能である。開示の方法は、高密度で、安定であり、および、粘着性の大きな、熟成微細尾鉱中に含有されている微粉の小繊維凝塊物を迅速に形成し、これにより、水が最大限回収可能となり、および、水質が向上される。開示の方法は、生産コストの削減、および、開墾手間の改善に有益である。
【0197】
採掘および鉱物スラリー清澄化
水が、コールおよび鉱石の採掘に広範に用いられている。採収プロセスにおいて、水は鉱石をその環境から取り出すために用いられ、また、鉱石の処理にも用いられている。コ
ールの事例において、水はコールの洗浄および大きさの仕分けに用いられる。コールは、さらに水と一緒にスラリー化され、スクリーンおよび沈降によって大きさが仕分けされる。排出水スラリーは、微小な微粒子を高濃度で含有しており、これは洗浄作業の最中の回収は困難であり、ならびに、コール微粉、砂およびクレイ微粉などの採掘された固形分を含有する。コール処理用の水を再利用するために、固形分の液体(脱水)からの効率的な分離が所望される。排出スラリーは、典型的には尾鉱沈殿池に排出されており、ここで、固形分が重力下で沈降される。固体微粒子の沈降は難題であるため、清澄化助剤としてポリマーが採掘池に添加され、これらは、採掘された固形分の沈降を、凝結を介して補助する。採掘池中の液体スラリーからの固形分の分離もまた、水の再使用または環境への排出のために所望される。採掘池の清澄化に従来有用であったポリマーとしては、ポリ−ジアリルジメチル塩化アンモニウム(DADMAC)、ポリ塩化アルミニウム/塩化カルシウム(PAC/CaCl)、エピクロロヒドリンジメチルアクリレート(EPI/DMA)、アニオン性シリカ系コロイド、ならびに、カチオン性有機ポリマーが挙げられる。
【0198】
アニオン性ポリマー、続いて、カチオン性ポリマーを添加することにより、採掘に由来するものなどの固形分を水から分離する方法が開示されている。一実施形態において、方法は、固形分濃度をおよそ0.1%以下、1%以下、3%以下、5%以下、8%以下、または、10%以下に低減させる工程を含む。方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0199】
開示の方法は、高密度で、安定であり、および、粘着性の大きな、採掘池尾鉱およびプロセススラリーに含有される微粉の小繊維凝塊物を形成する。開示の方法は、水の回収を促進させ、かつ、改善させる。
【0200】
建設時の流出水の清澄化
陸上を流れる水による土壌、堆積物およびクレイの侵食が集水池の高い濁度の重要な原因である。高い微細堆積物濃度による集水池の高い濁度が、特に水生生物形態での環境に対する多様な負の影響の原因である。建設活動などの土地の撹乱は、侵食を劇的に増加させ、そして、集水池への排出に先立って水が処理されなければ、降雨の最中に対応する集水池の濁度を劇的に増加させる。高濁度水からの微小な懸濁堆積物の低減が、集水池の水質を制御する、および、環境に対する負の影響を最低限とする手段である。藁による障壁、砂嚢、生物フィルタバッグ、シルトフェンス、堆積物トラップ等を含む、建設時の流出における懸濁堆積物の捕獲が意図された堆積物制御が、度々、最良の管理法として実施されているが、しかしながら、これらは有効性の点で限定的である。混濁した流出水または洪水調節池で回収された混濁水へのポリマー投与が、微細堆積物を凝結および凝析させる手段としてますます用いられており、これらはろ過または重力沈降により除去によって除去されることが可能である。多様な合成ポリマーが様々な成功度で用いられている。これらの有効性は、度々、特定の地理的領域に固有の懸濁した微小な粒状物質の物理化学的特性、および、特定の用途において用いられた合成ポリマーの化学的特性によって決定される。用いられる合成ポリマーの例は、ポリアクリルアミド(天然およびイオン性)、ポリジアリルジメチル塩化アンモニウム、ポリアミン、および、ポリ塩化アルミニウムポリマーである。
【0201】
キサンタンガム、続いて、キトサンを添加することにより、建設時の流出水に由来する
ものなどの固形分を除去する方法が開示されている。一実施形態において、方法は、固形分濃度をおよそ0.1%以下、1%以下、3%以下、5%以下、8%以下、または、10%以下に低減させる工程を含む。方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0202】
ビルジ水などの水からの油の分離
油を水から分離する単純な手段は、石油掘削(破砕水および随伴水からの油の分離および採収)、オイルフェンス、ならびに、湖沼、小川、池、および、海洋などの自然の水体の汚染の防止を含む、多数の用途において多くの利点を有していることが可能である。船のビルジは、度々、ビルジ区画室に滲出する油および廃棄物を含有している。先ず懸濁微粒子および油などの非水混和性の物質を分離しなければ、このような廃棄物を含有するビルジ水の排出は望ましくない。水からの油の分離は経済的に訴求力がある可能性があり、多様な付加価値のある物質および材料へのさらなる加工のために分離した油を販売する機会を提供する。
【0203】
水体中に含有されている油および/または他の非水混和性の物質を、粒子、凝塊物、および、捕捉された固形分に迅速に凝集する方法が開示されている。方法は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、油および他の非混和性の物質を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0204】
抗井、随伴水、破砕水
油および天然ガス掘削佐合は、プロセスの最中に著しく多量の水を用いる。この水は、油性の流体、石油、油、有機エステル、ディーゼル、不飽和オレフィン、ドリルカッティング、砂、堆積物およびクレイ、過硫酸アンモニウム、グアーガム、鉱油、ヒドロキシエチルセルロース、亜硫酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、エチレングリコール、イソプロパノール、溶解固形分、塩、ホルムアルデヒド、殺藻剤、金属、ベンゼン、グリコールエーテル、トルエン、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、ノニルフェノール、硫酸塩、硫化水素、バクテリア、真菌、懸濁固形分、塩化ナトリウム、ならびに、他の有機および非有機物質を含む多様な物質を含んでいることが可能である。懸濁固形分、油、および/または、非水混和性の物質の除去が、再使用および/または環境への廃棄に許容可能な水を回収するために所望される。
【0205】
水中に含有されている油、油性の流体、炭化水素、および/または、他の非水混和性の物質および固形分を粒子、凝塊物、および、捕捉された固形分を迅速に凝集させる方法が開示されている。方法は、水にアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充
分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、油および他の非混和性の物質、ならびに、固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0206】
排水
都市下水処理施設および食品加工施設からの排水は、典型的には、懸濁粒状物質を高濃度で含有している。食品加工廃棄物流中に含有されている成分は、タンパク質、炭水化物、脂肪、油、および、リン酸含有有機物であることが可能である。排水流中の懸濁成分の除去は、度々、化学凝析剤および凝結剤の使用を介して達成される。懸濁成分は凝結物を形成し、これは、沈降、または、沈降とろ過との組み合わせによって除去される。固形分の分離の向上が所望されている。ポリマーおよび/または凝析剤の使用によって形成される懸濁成分の小さい凝結物は、サイズ、密度、および、安定性の点から分離が困難である可能性がある。
【0207】
都市下水処理施設および食品加工施設からの排水中に含有されている物質および固形分を粘着性小繊維凝塊物へと迅速に凝集させる方法が開示されている。方法は、水にアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、物質および固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0208】
農業用排水
集中型の動物および魚類の水産養殖の給餌作業は、著しい量の微粒子懸濁成分を水および排水流中に生成してしまう。この材料の分離および除去が濁度の低減を助け、および、集水池および/またはその中に収容されている魚の水環境の品質を改善させる。ろ過または沈降により凝集された塊から水性媒体を容易に分離することが可能であるよう、懸濁固形分を大きな凝集された塊に迅速に凝集させることにより、この水性媒体からの懸濁固形分の分離の有効性を改善させる必要性が存在する。
【0209】
農業用および水産養殖用の水の中に含有されている物質および固形分を粘着性小繊維凝塊物へと迅速に凝集させる方法が開示されている。方法は、水にアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、物質および固形分を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0210】
脂肪/油/グリース
多様な廃棄物流は、度々他のタイプの汚染物を含有していてもよいエマルションとして存在する種々のタイプの油を異なる濃度で含有していることが可能である。これらの追加の汚染物は、タンパク質、脂肪、グリース、炭水化物、金属粒子、潤滑剤、界面活性剤、
切削剤、クリーナ、溶剤、タール、原油、ディーゼル燃料、軽質炭化水素、ガソリン、ジェット燃料、塩素化炭化水素(PCB他)、石鹸、リン脂質、ステロール、スタノール、溶解有機固形分、溶解金属塩、溶解無機物、および、他の汚染物のホストであり得る。これらの廃棄物流は、産業、食品、または、下水処理プロセス流から生成される可能性がある。水中油型エマルションは分解が困難であり、一方の相が他方の相中に分散されている場合に存在可能である。油が水中に乳化されていること可能であり(O/Wエマルション)、または、度々、水が油中に乳化されていることが可能である(W/Oエマルション)。水性相からの油性相の分離、または、油性相からの水性相の分離は難題である。化学的凝結/凝析と並んで、起泡分離がこれらのプロセスにおいて度々用いられるが、分離効率は限定的である。
【0211】
産業、食品、または、下水処理プロセス流から生成された廃棄物流中に含有される物質および固形分を粘着性小繊維凝塊物に迅速に凝集させる方法が開示されている。方法は、水にアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを任意の順番で、または、同時に添加する工程を含む。混合は、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーの各々の添加の後に実施されることが可能である。一実施形態において、添加されるアニオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。一実施形態において、カチオン性ポリマーの量は、濃度を重量基準でおよそ2ppm以上に高めるのに充分な量である。粘着性小繊維凝塊物は、脂肪、油、および、グリース物質を含んで形成されていることが可能である。粘着性小繊維凝塊物は、スクリーン、メッシュ等に通されることにより水から分離されることが可能である。
【0212】
タンパク質/免疫グロブリンと抗原との複合体
アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーでの処理はまた、小繊維凝塊物を形成することにより他のタンパク質、抗原、脂質、または、炭水化物に結合する場合、免疫グロブリンなどのタンパク質の回収および/または除去に用いられることが可能である。
【0213】
可溶性タンパク質は、度々、水性媒体中の多様な化学的種類の他の溶質と相互的に作用して、複合体を形成する。相互に作用する構成要素比率に応じて、これらの複合体は、懸濁液中に無期限に存在するか、または、自然な堆積が生じるサイズに達し得る。多くの事例において、これらの複合体の形成が、臨床検査室および研究用実験室における、生物学的サンプルに対する診断上の分析的手法に重要な点である。分離のための複合体のろ過が所望されるが、形成される複合体のサイズ、密度、および、安定性に応じて常に可能であるわけではない。
【0214】
複合体の形成に関与した対象となる分析物の量の計測が可能であるよう、複合体の分離が分析手法に所望される。これは、放射性同位体、蛍光標識、または、酵素結合標識などの対象となる分析物の標準溶液に関連した識別可能なマーカを有していることにより達成され得る。これらのマーカは対象となる分析物の既知の量の標準調製物で存在し得;血液、尿、唾液などの生物液中の対象となる未知の量の分析物の定量化は、検量線との干渉により判定される。多くの例が存在しているが、いくつかの最も一般的なものは、様々な程度の親和性でリガンドへの結合を可能とする結合部位(いわゆるエピトープ)を有する免疫グロブリン(大型の水溶性糖タンパク質)であろう。免疫グロブリン(例えば、漿液抗体)と、対象(「抗原」、例えば、インフルエンザウイルスなどの病因物質の固有の構成成分)との間の適合は高度に特異的であり得るが、複合体が分離可能であるかどうかは多くのさらなる要因に応じる。複合体を凝集物として迅速に分離可能であることは、良好な定量化に要求される標識化した検体の捕獲に価値がある可能性がある。これは、シアヌル酸/メラミン複合体と同様に、組み合わされた部分が、常に、容易に分離可能な沈殿物をもたらすであろう割合で存在していない状況において特に当てはまるであろう。むしろ、これらは、懸濁液中に残留する傾向が強いか、または、長期間かけて自然にしか堆積しな
いか、もしくは、実用的な方法では容易にろ過可能ではない複合体を形成し、中サイズのろ過細孔を目詰まりさせる傾向にある。
【0215】
他の可溶性タンパク質のこの類の相互作用(可溶性抗原との免疫グロブリン抗体複合体に追加して(他のタンパク質、炭水化物、脂質、または、小さい分子でさえあり得る))は診断上の設定および生物医学的設定において有用であり、および、これらはまた分離の問題をも呈する。例えば、ブドウ球菌(Staphylococcus)の構成要素であるプロテインAは、ヒトおよび動物の漿液中の一定の免疫グロブリンに対してきわめて高い親和性を有する。この相互作用は、抗体が組み込まれる複合体の形成に用いられることが可能であり、および、種々のサイズの不溶性複合体の形成に寄与することが可能である。この試薬(プロテインA)は、一般的に、診断薬アレイの構成成分として用いられているが、巨大分子複合体を良好に分離させる難題が再度生じる。ろ過メンブランまたは高速遠心分離法の代わりに粗ろ過手法を用いて容易な分離を可能とするよう、これらをキサンタン/キトサンまたは他のアニオン性/カチオン性ポリマー凝集物に迅速に結びつけることが可能であれば有利であろう。
【0216】
同様に、レクチンとして知られる可溶性タンパク質のファミリーは、一定の炭水化物構造と安定な複合体を形成する高い特異的な相互作用を示す。この現象はまた、定量的手法、時には診断法の基礎となることが可能である。これらの反応は、生物学的に重要な混合物中の炭水化物構成成分に対する既知の特異性を有する純粋なレクチンの利用可能性を利用している(例えば、癌細胞の細胞膜中、または、例えば、マーカを有さない集団中の他のものからの分離の対象となる幹細胞中の炭水化物マーカ)。これらの事例のすべてにおいて、速く簡便な分離に対して問題となる複合体がもたらされ得る。これらを、より大きなキサンタン/キトサンまたは他のアニオン性/カチオン性ポリマー誘起小繊維凝塊物に組み込むことが可能であることが有利であり、かつ、実用上価値があるであろう。
【0217】
従って、免疫グロブリンと抗原との複合体、タンパク質と炭水化物との複合体等などのタンパク質複合体の凝集のための方法が開示されている。方法は、このような複合体を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理する工程を含み、ここで、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーは、複合体が付着する小繊維を含む小繊維凝塊物を形成する。
【0218】
実施例1
(メラミンとの結合、これに続くキサンタンおよびキトサン処理を介したシアヌル酸の除去)
シアヌル酸が、塩素を安定化させるために娯楽施設用の水に添加される。シアヌル酸は有毒である可能性があり、商業用プールにおける濃度は規制されている。シアヌル酸はまた、娯楽施設用の水において用いられるジクロロイソシアヌル酸またはトリクロロイソシアヌル酸の副生物である。シアヌル酸は水溶性であり、可溶性メラミンが水に添加されると、不溶性のシアヌル酸とメラミンとの複合体が形成されて水を濁らす。不溶性のシアヌル酸とメラミンとの複合体を含有する水は、不溶性複合体の濃度に応じて脱脂乳のように見える。微小な不溶性複合体は、標準的なプールフィルタでは除去が困難である。キサンタンなどのアニオン性ポリマーおよびキトサンなどのカチオン性ポリマーの水への添加により、粗いフィルタ、スクリーン、砂、珪藻土、紙等などを通したろ過により容易に除去されることが可能である小繊維凝塊物が形成される。あるいは、小繊維凝塊物は、プールの底に沈降させて、プール吸引システムにより吸引させることが可能である。
【0219】
手法および結果:
メラミン溶液を、メラミンを200ppmの濃度でDI水中に溶解することにより形成した。シアヌル酸溶液を、シアヌル酸を200ppmの濃度でDI水に溶解することによ
り形成した。
【0220】
メラミン溶液をシアヌル酸溶液に異なる化学量論比で添加し、市販のRAINBOW LIFEGARD(登録商標)79番シアヌル酸濁度テストキットを用い、提供されているGeneral Informationカードの「DIRECTIONS FOR USE:」に見いだされる手順に従ってシアヌル酸を濃縮した。
【0221】
結果:
テスト−1 200ppmシアヌル酸水溶液と200ppmメラミン水溶液との1:1混合物を組み合わせて、100ppmシアヌル酸とメラミンとの複合体を形成した。しばらく混合した後、濁った溶液(希釈した脱脂乳に似ている)を観察し、初期のシアヌル酸濁度を計測し、および、テーブル1に記録した。濁度テストキットにより判定したシアヌル酸濃度は100ppmの初期濁度に相当しており、算出したシアヌル酸濃度と一致した。
【0222】
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。1滴の1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液をシアヌル酸とメラミンとの複合体を含有する混濁した溶液に添加し、混合し、続いて、1滴の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液を添加し、混合した。顕著な量の白色小繊維凝塊物が、1%キトサン酢酸塩での処理後すぐに形成された。小繊維凝塊物構造の描写を示す図4を参照のこと。小繊維凝塊物を含有する水を20メッシュ(850マイクロメートル)ふるいに通して小繊維凝塊物を除去した。濾液中のシアヌル酸の濃度をRAINBOW LIFEGARD(登録商標)79番シアヌル酸濁度テストキットを用いて計測したところ、以下のテーブル1に記録されている通り20ppm未満であると見いだされた。
【0223】
キサンタン/キトサン処理がすべてのシアヌル酸を除去したかを判定するために、残りの濾液を200ppmメラミン溶液でもう一度処理した。視認可能な程度の濁度は検出されず、テストキットは、濁度は20ppm未満のままであることを示した。これは、メラミンとの複合化、これに続く、キサンタンおよびキトサン処理を用いた小繊維凝集およびろ過によりほとんどすべてのシアヌル酸が除去されたことを示していた。
【0224】
テスト−2 200ppmシアヌル酸溶液、DI水、および、200ppmメラミン溶液の0.5:0.5:1混合物を組み合わせて、100ppmメラミン中の50ppmシアヌル酸錯体を形成した。混合した後、初期のシアヌル酸濁度を計測し、および、テーブル1に記録した。この溶液を上記テスト1に記載されているとおりキサンタンおよびキトサンで処理し、最終シアヌル酸濁度を計測し、ならびに、テーブル1に記録した。
【0225】
再度、顕著な量の白色小繊維凝塊物が、水中の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩の添加および混合の直後に形成された。形成された小繊維凝塊物の量はテスト1において生成された量と同様であった。小繊維凝塊物を20メッシュ(850マイクロメートル)ワイヤメッシュふるいを通して濾し、および、最終シアヌル酸濃度を形成して、テーブル1に記録した。濾液中に計測可能なシアヌル酸は存在していなかった。
【0226】
残りの濾液を200ppmメラミン溶液で処理した。視認可能な程度の濁度は見ることができず、テストキットは、濁度が20ppm未満のままであったことを示した。これは、キサンタン/キトサン処理を用いて形成された小繊維凝塊物のろ過によって、テスト−1において用いた濃度の半分で開始した後に、ほとんどすべてのシアヌル酸が除去されたことを実証した。
【0227】
テスト−3 200ppmシアヌル酸水溶液、DI水、および、200ppmメラミン水溶液の0.25:0.75:1混合物を組み合わせて、100ppmメラミン中の25ppmシアヌル酸錯体を形成した。混合した後、初期のシアヌル酸濁度を計測し、テーブル1に記録した。最終シアヌル酸濁度を形成し、テーブル1に記録した。
【0228】
水溶液中の1%(wt./wt.)キサンタンを、テスト1および2について記載したとおりに添加した。水溶液中の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩を次いで添加したところ、直後に顕著な量の白色小繊維凝塊物が形成された。形成された小繊維凝塊物の量はテスト−1および2において生成された量と同様であった。小繊維凝塊物をテスト1および2に記載のとおりワイヤメッシュふるいを通して濾し、および、濾液の最終シアヌル酸濁度を形成し、テーブル1に記録した。ろ過の後に計測可能な濁度は存在していなかった。
【0229】
200ppmメラミン溶液で残りの濾液を処理した。視認可能な程度の濁度はシアヌル酸テストキットを用いても見ることはできず、シアヌル酸濃度は20ppm未満であったことが明らかであった。これは、テスト−2において用いたシアヌル酸濃度の半分、および、テスト−1において用いたシアヌル酸濃度の1/4で開始した後、メラミンとの複合化、これに続く、キサンタン/キトサン処理を用いた小繊維凝集およびろ過により、ほとんどすべてのシアヌル酸が除去されたことを示していた。
【0230】
【表1】

実施例2
(炭素への吸着を伴う・伴わない、キサンタンおよびキトサン処理が続くPCBの除去)
1.PCB
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。水サンプルに、PCB標準、イソオクタン中のAroclor1248(総体積4Lの水中に100μg/L。PCBの濃度は、100μg/L=100ppbである)をスパイクとして添加した。1LのPCB−スパイク水に、40滴の1%(wt./wt.)キサンタンストック溶液が添加され、および、混合される。これに続けて、20滴の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック溶液を添加し、および、混合した。水サンプルを、DPS(キサンタンおよびキトサン溶液)と共に、または、これを伴わずに処理した。キサンタンの1%(wt./wt.)水溶液およびキトサン酢酸塩の1%(wt./wt.)水溶液のサンプルの処理後に小繊維凝塊物が形成され、次いで、これを20メッシュの金属スクリーンを通してろ過した。いくつかの水サンプルはダートおよび/または粉末状の活性炭(PAC)を含有していた。水サンプルを粗い金属スクリーン(1mm孔径の台所用ふるい)を通してろ過し、濾液を、Aroclor1248中のPCBの濃度の定量的測
定のために分析した。
【0231】
【表2】

本実施例におけるテーブル2からの結果は、キサンタンおよびキトサンは単独でPCBを水から除去することが可能であることを示す(C206p9とT206p9とを比較のこと)。粉末状の活性炭(PAC)およびキサンタンおよびキトサンの使用は、粉末状の活性炭単独の場合と比してかなり良好である(C206p8とT206p8とを比較のこと)。ダート、PACおよびDPSの組み合わせはPCBの低減にきわめて有効である(C206p7とT206p7とを比較のこと)。
【0232】
実施例3
(水酸化酸化鉄との結合、これに続くキサンタンおよびキトサン処理を介した砒素の除去)
1.砒素
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。水サンプルに、ヒ酸Naおよび亜ヒ酸Naの両方を含有する砒素標準をスパイクとして添加した。7.1mgのヒ酸ナトリウムおよび5.4mgの亜ヒ酸ナトリウムを10mlの水に添加してスパイク溶液を形成した。1mlのこのスパイク溶液を1Lの水に添加して、約480μgの砒素種/1Lの水の濃度とした。この1Lの水を、数滴のキサンタンおよびキトサンストック溶液の添加に用いた。水サンプルを、DPS(キサンタンおよびキトサンの2元系ポリマー)と共に、または、これを伴わずに処理し、次いで、1mm孔径の台所用ふるいを通してろ過した。いくつかの水サンプルが、添加した粉末化した水酸化酸化鉄PURA Phoslock(1L中に0.5g=500mg/L=500ppm)を含有していた。他のサンプルは、添加した水酸化鉄のスラリーを含有していた(Noah水酸化鉄(1L中に0.5g=500mg/L=500ppm)。小繊維凝塊物が、サンプルの1%(wt./wt.)キサンタンの水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩の水溶液での処理後に形成した。水サンプルを粗い金属スクリーンを通してろ過し(1mm孔径の台所用ふるい)、および、濾液の金属濃度を分析した。
【0233】
【表3】

結果は、水酸化酸化鉄(PuraPhoslock)500ppm溶液とキサンタン/キトサン処理との組み合わせは、砒素を検出限界レベル未満に低減させ、水酸化酸化鉄単独よりも効果的であることを実証する。
【0234】
実施例4
(吸着、これに続く、キサンタンおよびキトサン処理を介するベンゼンおよびキシレンの除去)
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。水サンプルに、ベンゼンおよびm,p−キシレンを含有する標準混合物(125mlの体積中に約400ppb)をスパイクとして添加した。いくつかの水サンプルには添加したダート(12.9mgダート/ml水)および粉末状の活性炭(PAC)(560μg/ml)が入っており、および、これらを、DPS(キサンタンおよびキトサン溶液)と共に、または、これを伴わずに処理した。5滴のキサンタンストック溶液および3滴のキトサン溶液を125mlのスパイク水に添加した。他の水サンプルには粉末状の活性炭のみが入っておりダートは入っておらず、および、粉末状の活性炭と共に、または、これを伴わずに処理した。サンプルのキサンタンの1%(wt./wt.)水溶液およびキトサン酢酸塩の1%(wt./wt.)水溶液での処理後に小繊維凝塊物が形成された。水サンプルを粗い金属スクリーンを通してろ過し(1mm孔径の台所用ふるい)、および、濾液の金属濃度を分析した。
【0235】
【表4】

結果は、キサンタンおよびキトサンのPACと併用は、PAC単独と比して、水中のベンゼンおよびキシレンの濃度の顕著な低減に効果的であったことを示す。PACおよびダートの組み合わせもまた、キサンタンおよびキトサンポリマーの2元系ポリマーシステム(DPS)を用いたベンゼンおよびキシレンの濃度の低減に効果的であった。
【0236】
実施例5
(pHの調節、これに続くキサンタンおよびキトサン処理を用いた水からの金属/非金属の除去)
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。水サンプル(190ml)に、Flukaから入手した金属標準溶液をスパイクとして添加した。酸性溶液のpHを希釈50%NaOHでpH6〜7に調節した。いくつかの水サンプルを、DPS(キサンタンポリマーおよびキトサンポリマー)と共に、または、これを伴わずに処理した。いくつかのサンプルを、ダートおよびDPS、または、ダートおよび粉末状の活性炭(PAC)およびDPSの組み合わせ、またはPACおよびDPSで処理したが、ここで、ダートは13.5mg/mlであり、PACは579μg/mlであった。小繊維凝塊物が、サンプルの1%(wt./wt.)キサンタンの水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩の水溶液での処理後に形成された。10滴のキサンタン溶液および5滴のキトサン溶液を添加した。水サンプルを粗い金属スクリーンを通してろ過したところ、キサンタン/キトサンにより形成された小繊維凝塊物を捕獲し、濾液の金属濃度を分析した。
【0237】
【表5】

対照−190mlの水および10mlのFluka金属標準
テスト1−190mlの水および10mlのFluka金属標準+DPS
テスト2−190mlの水および10mlのFluka金属標準+2.57gのArizonaダート+DPS
テスト3−190mlの水および10mlのFluka金属標準+0.11gの粉末状の活性炭+DPS
テスト4−190mlの水および10mlのFluka金属標準+2.57g Arizonaダート+0.11g粉末状の活性炭+DPS
結果は、キサンタン/キトサンと粉末状の活性炭およびダートとの併用は、多様な金属の濃度の低減に効果的であったことを示した。キサンタン/キトサンは単独でも多様な金属の濃度の低減に効果的であったこともまた実証された。キサンタン/キトサンと、粉末状の活性炭との併用、および、ダートが不使用でも、多様な金属の濃度の低減に効果的であったこともまた実証された。
【0238】
実施例6
(キサンタンおよびキトサンとの処理による鉱山尾鉱からの微粉の除去)
熟成微細尾鉱のサンプルをAlberta,Canadaに位置するタールサンドオペレーションから得た。熟成微細尾鉱サンプルの濁度を約181,000NTUと推定した。サンプルのpHはpH紙で計測したところ約7であった。サンプルを過度に高濃度であったため(固形分計測値は30%であった)、3%の固形分含有量になるよう同一の供給源から得た随伴水を用いて10倍に希釈した。用いた随伴水または補給水は32〜172NTUの濁度を示していた。10倍に希釈した熟成微細尾鉱はおよそ18,000NTUの濁度を示していた。この希釈サンプルのpHは、pHプローブによる計測で6.5〜7.2であった。使用していない時は、サンプルを4℃で保管した。
【0239】
方法1:1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。充分に混合した10倍希釈サンプルの小規模凝結テストを実施した。20mlの充分に混合したテストサンプルをテストバイアルに加えた。これに続いて、少量の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩水溶液をバイアルに添加し、および、混合した。5分間の間に穏やかな混合を約2回実施して、凝結塊を生じさせた。次いで、バイアルを一定の間静置させて凝結の効力を判定した。凝結塊が形成されなかった場合には、次いで、追加のキトサン溶液を凝結塊が生じるまで添加した。
【0240】
5000ppmのStormKlear Liquifloc(50ppm可溶性キトサン)で小さい凝結物が観察された。追加のStormKlear Liquifloc(可溶性キトサン)を添加するに伴って(15,000ppmまで)、より安定な凝結塊が生じたが、サイズはさほど大きくならなかった。
【0241】
方法2:1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩水溶液と併せて、アニオン性バイオポリマーであるキサンタンガムの添加を含む実験を実施した。20mlバイアルを前出と同様に10倍希釈サンプルで満たした。1%(wt./wt.)キサンタン水溶液を先ず添加し、続いて、StormKlear Liquifloc(可溶性キトサン)を添加した。サンプルを混合し、次いで、小繊維凝塊物の形成を観察した。
【0242】
以下のテーブル6、および、図18は、異なる濃度のキサンタンガムおよびキトサンに対する結果を示す。可溶性キトサンを10ppmインクリメントで滴下し、続いて、キサンタンガムを添加した。初めの低濃度の時点では、生じた凝結塊は大きく顆粒の側部を縁取っていた。次いで、キサンタンガムをさらに添加するに伴って、凝結塊は「カード(curd)」様になり、きわめて大量であった。
【0243】
【表6】

より多量のキサンタンガムが最良に作用するよう見られたため、より高濃度のキサンタンガムを用いて追加のテストを実施した。50ppmの濃度のキサンタンガムをテストした。キトサンを10ppmインクリメントで段階的に添加したところ、50ppmキトサンで、カード状で、サイズがきわめて大きく(10mm)、および、強固でせん断に耐性の凝結塊が生成された。
【0244】
カラギーナン、アルギナート、ペクチン、および、ポリガラクツロン酸などの他のアニオン性バイオポリマーもまた、凝結性能特性について、希釈した熟成微細尾鉱サンプルを用いて、可溶性キトサンとの逐次的添加によりテストした。添加の順番は、最初がアニオン性バイオポリマー、続いて、二番目に可溶性キトサンの添加であった。可溶性キトサンを10ppmインクリメントで段階的に添加した。結果についてはテーブル7および図19を参照のこと。
【0245】
【表7】

可溶性キトサンとの組み合わせでテストしたアニオン性バイオポリマーは、きわめて異なるタイプの凝結物を示した。凝結物のサイズおよび凝結物の体積が最も明らかであった。例えば、カラギーナン−可溶性キトサンの組み合わせ(Car5&Car25)は、アルギナート−可溶性キトサンの組み合わせ(A15&A150)によって形成された凝結物と比較して、顕著に大きな体積および平均サイズを示す小型から中型のカード状凝結物を形成させた。ペクチン−可溶性キトサンの組み合わせ(P50)により生成された凝結物は、ポリガラクツロン酸−可溶性キトサンの組み合わせ(PG50)により生成された凝結物と体積およびサイズの両方が類似していた。アルギナート−可溶性キトサンの組み合わせ(A15&A150)により生成された凝結物の占める体積は小さく、ペクチン−可溶性キトサンの組み合わせ(P50)およびポリガラクツロン酸−可溶性キトサンの組み合わせ(PG50)の両方により生成された凝結物と比較してサイズが大きかった。大きな体積の凝結物は、より小さい体積の凝結物と比較してより低い固体対液体比を表すと予期することが可能である。キサンタンガム−可溶性キトサンの組み合わせは、驚くべきことに、凝結物を示さなかったが、凝結物(X50)としては説明することはできない岩状の固形分のきわめて大きい安定な凝集塊を示した。凝結物のサイズおよび安定性、ならびに、固体対液体比がろ過効率、沈降体積、および、その後の水回収効率に影響するため、小繊維凝塊物を含み、キサンタンガム−可溶性キトサンの組み合わせにより生成された岩状の固形分のきわめて大きく安定な凝集塊は、水性媒体からの分離がより容易、かつ、より効率的であろうことを予期することが可能である。より速い流量およびより容易な排水により、小さい逆圧および水性媒体の高い回収率を予期することが可能である。
【0246】
おそらくは、小繊維凝塊物を形成する他のポリマーの性能の効力および程度は、同一の使用濃度ではキサンタンと同様に劇的ではあり得ないと考えられる。しかしながら、より良好な性能が、より高濃度および/または高分子量の他のポリマーで見られる可能性もある。他のポリマーとの組み合わせもまた可能であり、これらの組み合わせは、キサンタンと同等にまで効力および性能を高める可能性がある。
【0247】
方法3.希釈熟成微細尾鉱のろ過効率を、キサンタンガム−可溶性キトサンの組み合わせを用いて試験した。1リットルの10倍希釈熟成微細尾鉱サンプルを50ppmのキサンタンガム(1%(wt./wt.)キサンタン水溶液から)で処理し、続いて、60ppmのキトサン(1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩水溶液から)を混合しながら、10ppmインクリメントで滴下した。次いで、沈降固形分を含有する1Lの処理済みサンプルをTencate Geotube生地バッグから入手した地盤用シート布を通してろ過し、ビーカ中に回収した。約900mlの濾液を回収し、濁度は100NTU未満であった。図20Aは、沈降固形分を含有する処理済みの希釈熟成微細尾鉱を示す。図20Bは、回収ビーカの上部の地盤用シートホルダを示す。希釈した処理済みの熟成微細尾鉱からの濾液を地盤用シートに通過させ、ビーカ中に示されている。ここに示すように、固形分の水性媒体からの分離は高度に効率的であり、水回収率が高く、および、濁度が低かった。
【0248】
考察:上記の結果から、熟成微細尾鉱に単独で添加されたキトサンは凝結物を形成させることが可能である。しかしながら、これは、水性媒体からの分離が容易であって、高い水性媒体回収率および優れた排水プロセスをもたらす、岩状の固形分のきわめて大きく安定な凝集塊を形成させるキサンタンガム、これに続く、可溶性キトサンの逐次的組み合わせと対照的である。固形分は、一緒に圧縮された小繊維凝塊物の高度の粘着性の塊である傾向にある。小繊維凝集物はより低い固形分濃度および同一の容量で形成される。観察された小繊維凝塊物は、20メッシュ(850μmスクリーン)で回収可能であり、指でつまみ上げることが可能である。凝集物の「ボール」はきわめて粘着性であり、および、ガム状である。キトサンは単独で希釈タールサンド処理水を凝結させることが可能であるが、キサンタン/キトサン処理は、凝結および水の処理においてはるかに良好に作用する。用量、ポリマー鎖に沿ったM.W.電荷分布、および、テスト濃度で、可溶性キトサンとの逐次的組み合わせで用いられたアニオン性バイオポリマーのすべてが、岩状の固形分のきわめて大きく安定な凝集塊を形成させる同一の能力を示したわけではない。これはペクチンには当てはまるが、アルギナートおよびカラギーナンはカード状凝集物を生成し、これは、微小な小繊維の形成が同一のキサンタンおよびキトサン濃度および比率下の低い堆積物濃度(約1%)で観察されるため、特に小繊維凝塊物形成を示し得る。
【0249】
実施例7
(キサンタンおよびキトサンでの土壌の懸濁粒子の除去)
キサンタンガム−可溶性キトサン逐次添加法(2元系ポリマー)を、North Carolina State Universityから入手した懸濁堆積物サンプルを含有する水サンプルでテストした。この特定の堆積物サンプルは、可溶性キトサンを単独で用いた場合には凝結による分離が困難であった。土壌サンプルは凝結可能であったが、凝結物は、Tencate地盤用シート布を通したろ過の最中に良好に保持されなかった。最初に添加した0.8ppmのキサンタンガム、これに続く、0.4ppmの可溶性キトサンを含むキサンタン/キトサン処理をNorth Carolina State University堆積物サンプル(100mlの水中に8グラムの土壌堆積物)を用いて形成した懸濁液中において用いたところ、堆積物の岩状の小繊維凝塊物を含有する処理済みの懸濁液を、地盤用シートを通してろ過可能であった。得られた水は0.55NTUの透明度値を示した。
【0250】
実施例8
(キサンタンおよびキトサンを用いた藻類の除去)
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。キトサンを単独で用いても凝結が困難であった藻類を含有する水サンプルをキサンタンガム−可溶性キトサン逐次添加法を用いてテストした。25ppmのキサンタンガムおよび100ppmのキトサンを用いることで、きわめて強固に集塊をなし、ストランドを形成する凝結塊(小繊維凝塊物)が生成された。これは、通常凝結物の形成に単独で用いられる可溶性キトサンの量の33%の低減を表し、ストランド状微細藻類集塊物はより安定であった。微細藻類凝集物が用量およびキサンタン対可溶性キトサン比によって影響される可能性があるのかを判定するために実験を行った。アニオン性ポリマー、キサンタンガムを、微細藻類の等しい懸濁液を含有する水のバイアルに25ppm〜100ppmの異なる濃度で添加した。「C」とラベルを付した微細藻類を含有する対照バイアルにはキサンタンガムを入れなかった。次いで、可溶性キトサンを、100ppmの最終濃度まで、段階的な添加で各バイアルに添加した。図21に示されているとおり、アニオン性ポリマーであるキサンタンガムを含有する微細藻類混合物にキトサンを添加したところ、微細藻類の強固で、大きな集塊凝集物が形成された。これは、キサンタンガムを含有していなかった対照混合物と対照的であった。微細藻類の大きな凝集物の性質は、回収および採取が容易であろうことを示唆している。
【0251】
この実施例は、キサンタンガムなどのアニオン性ポリマーおよびキトサンなどのカチオン性ポリマーを用い、アニオン性ポリマーを藻類懸濁液に最初に添加し、続いて可溶性キトサンなどのカチオン性ポリマーを2番目に添加して逐次に添加することにより、優れたストランド状集塊物状の凝集を達成することが可能であることを実証している。観察された微細藻類の凝集は、凝結について典型的に観察されるものとは異なって見えた。キサンタンガム−可溶性キトサン逐次添加法(2元系ポリマー)での観察は、懸濁成分の凝結懸濁液において観察される典型的な凝結物とは異なり、分裂に対してきわめて安定であろう相互に接続された/絡み合った構造を形成する集塊物状で糸状の塊を示している。
【0252】
実施例9
(キサンタンおよびキトサンを用いたビルジ水の浄化)
ビルジ水を、キサンタンガム−可溶性キトサン逐次添加処理を用いてテストした。船のビルジからの水は、油および多様な他の未知の物質を含有していた。25、50、または、100ppmのキサンタンガムを含有する3つの20mlサンプルをテストした。可溶性キトサンを段階的なインクリメントで添加した。
【0253】
図22Aは、左から右に0〜250ppmの範囲の濃度でキサンタンガムを添加し、続いて、10,000ppmの1%100ppm可溶性キトサンを添加した結果を示す。各バイアルの上部の数値は、各バイアル中のキサンタンガムの量を示す(すなわちX1=1ppm、X5=5ppm等)。
【0254】
図22Bは、種々の濃度のキサンタンと、200ppmのキトサンとでの処理の結果を示す。
200ppmの可溶性キトサン、続いて、種々の濃度のキサンタンガムの添加を用いた場合に、100ppm可溶性キトサンと比して懸濁材料の促進された凝集が観察された。驚くべきことに、150ppmキサンタンガム、続いて200ppmの可溶性キトサン(X150)の場合、懸濁油微粒子またはエマルションが、微細藻類と同様に、大きなストランド状集塊物(小繊維凝塊物)に凝集した。この油材料は、容易にろ過すること、および/または、ビルジ水の表面からすくい取ることが可能である。この水の透明度は、テス
トしたすべての他の用量の組み合わせを超えてかなり向上している。
【0255】
実施例10
(キサンタンおよびキトサン処理での脂肪/油/グリースの除去)
実験の手法
脂肪/油/グリースストックの調製
1.3ポンドのビーフシチューの肉を、大さじ2〜3杯のカノーラ油と1個の大きな刻んだタマネギと一緒に炒めた。肉およびタマネギをソテーにした後、2.5カップの水を加えた。混合物を沸騰させ、およそ2カップの皮をむいたベビーキャロットを加え、および、火力を弱めた。溶液に蓋をし、およそ15分間煮込んだ。煮込んだ後、以下の原料:コムギ粉、食用油(ヤシ油、大豆油、カノーラ油)、塩、糖質、カレー粉末、スパイス、カラメル色素、グルタミン酸ナトリウム、リンゴ酸、グアニル酸二ナトリウム、イノシン酸二ナトリウムを含有するGolden Curry Sauce Mix(S&B−中辛)100グラムを砕いて、煮込んでいる混合物に入れ、常に撹拌しながら弱火でカレーソースを混合物中におよそ10分間かけて溶かし込んだ。次いで、肉、タマネギ、および、ニンジンを台所用こし器を使って濾した。これは、油/脂肪/グリースストックから構成されていた。
【0256】
脂肪/油/グリース水エマルションの調製
10グラムの油/脂肪/グリースストックに900mlの水を添加する。10秒間激しく振盪し、次いで、20分間撹拌する。50マイクロメートルナイロンモノフィラメントメッシュバッグを通してろ過する。
【0257】
脂肪/油/グリースエマルションの分離または破壊に対するキサンタン/キトサン処理と従来の凝結剤との比較
キサンタン/キトサン手法
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。20mlアリコートの脂肪/油/グリース水エマルション(FOG)をガラスバイアル中に分取した。キサンタンバイオポリマー水性ストック溶液を先ずFOGに添加し、内容物を振盪して、キサンタンポリマーをFOG構成要素と反応させた。可溶性キトサンを含む第2のバイオポリマー溶液をバイアルに加え、内容物を再度振盪した。対照は水のみを含む。振盪した後、バイアルを見て、各溶液の濁度を、バイアル中に含まれる溶液の表面からおよそ半分の位置で濁度メータを用いて計測した。
【0258】
アラム手法
20mlアリコートの脂肪/油/グリース水エマルション(FOG)をガラスバイアルに分取した。アラム(硫酸アルミニウム)の水溶液をバイアルに添加し、バイアルの内容物を振盪して、アラムをFOG構成要素と反応させた。対照は水のみを含んでいる。振盪した後、バイアルを見て、各溶液の濁度を、バイアル中に含まれる溶液の表面からおよそ半分の位置で濁度メータを用いて計測した。
【0259】
アニオン性ポリアクリルアミド手法
20mlアリコートの脂肪/油/グリース水エマルション(FOG)をガラスバイアルに分取した。アニオン性ポリアクリルアミドA150溶液をバイアルに添加し、バイアルの内容物を振盪して、アニオン性ポリアクリルアミドポリマーをFOG構成要素と反応させた。対照は水のみを含んでいる。振盪した後、バイアルを見て、各溶液の濁度を、バイアル中に含まれる溶液の表面からおよそ半分の位置で濁度メータを用いて計測した。
【0260】
カチオン性ポリアクリルアミド手法
20mlアリコートの脂肪/油/グリース水エマルション(FOG)をガラスバイアルに分取した。カチオン性ポリアクリルアミド9909溶液をバイアルに添加し、バイアルの内容物を振盪して、カチオン性ポリアクリルアミドポリマーをFOG構成要素と反応させた。対照は水のみを含んでいる。振盪した後、バイアルを見て、各溶液の濁度を、バイアル中に含まれる溶液の表面からおよそ半分の位置で濁度メータを用いて計測した。
【0261】
アニオン性ポリアクリルアミド、続いてカチオン性ポリアクリルアミドの逐次的組み合わせ手法
20mlアリコートの脂肪/油/グリース水エマルション(FOG)をガラスバイアルに分取した。アニオン性ポリアクリルアミドA150溶液を先ずFOGに添加し、内容物を振盪して、アニオン性ポリアクリルアミドA150ポリマーをFOG構成要素と反応させた。カチオン性ポリアクリルアミド9909を含有する第2の溶液をバイアルに添加し、内容物を再度振盪した。対照は水のみを含んでいる。振盪した後、バイアルを見て、各溶液の濁度を、バイアル中に含まれる溶液の表面からおよそ半分の位置で濁度メータを用いて計測した。
【0262】
結果および考察
図23のバイアル1番に示されているとおり、キサンタンバイオポリマー、続いて、可溶性キトサンバイオポリマーの逐次添加は、水性相の表面でのFOG構成要素の凝集性の集塊物(小繊維凝塊物)への凝集、および、水性相の清浄化をもたらした。水性相からのFOG構成要素の分離能を示さなかった、硫酸アルミニウム単独、カチオン性ポリアクリルアミド単独、アニオン性ポリアクリルアミド単独、または、アニオン性ポリアクリルアミド、続いて、カチオン性ポリアクリルアミドと対照的であった。溶液は、水性相の表面でFOG構成要素の視認可能な凝集を伴わずに混濁したままであった。
【0263】
C−対照、バイオポリマーまたはポリマーまたはアラムの添加無し
1−最初にキサンタンバイオポリマーを添加(25〜50ppm)、続いて、キトサン(25〜50ppm)
2−硫酸アルミニウムを単独で添加(25〜50ppm)
3−カチオン性ポリアクリルアミド9909を単独で添加(25〜50ppm)
4−アニオン性ポリアクリルアミドA150を単独で添加(25〜50ppm)
5−アニオン性ポリアクリルアミドをアニオン性で添加(25〜50ppm)、続いて、カチオン性ポリアクリルアミド(25〜50ppm)
アラム、カチオン性ポリアクリルアミドおよびアニオン性ポリアクリルアミドがFOGを水性相から分離不能であることが濃度によるためであるかを判定するために、各化学物質をより高濃度およびより低濃度で用いて実験を反復した。125〜250ppmを用いる代表的な結果が図24Aに示されており、および、5〜10ppmを用いる代表的な結果が図24Bに示されている。
【0264】
A−アニオン性ポリアクリルアミドA150を単独で添加(125〜250ppm)
B−カチオン性ポリアクリルアミド9909を単独で添加(125〜250ppm)
C−アニオン性ポリアクリルアミドを最初に添加(125〜250ppm)、続いて、カチオン性ポリアクリルアミド(125〜250ppm)
A’−アニオン性ポリアクリルアミドA150を単独で添加(5〜10ppm)
B’−カチオン性ポリアクリルアミド9909を単独で添加(5〜10ppm)
C’−アニオン性ポリアクリルアミドを最初に添加(5〜10ppm)、続いて、カチオン性ポリアクリルアミド(5〜10ppm)
上記からの処理した溶液の濁度を、Fort Myers,FLのHF Scientific製のDRT−15CE Turbidimeterを用いて計測した。読み取り値は、各バイアル中に含有されている溶液の表面から半分の位置で取得した。結果が以下
のテーブル8に示されている。
【0265】
【表8】

テーブル8中の結果が示すように、アラムおよびポリアクリルアミドとは対照的に、キサンタンバイオポリマー、これに続くキトサンの逐次的使用は濁度の顕著な低減および水性相の清浄化をもたらした。アニオン性ポリアクリルアミド、これに続く、低濃度および高濃度でのカチオン性ポリアクリルアミドの逐次的使用は、アニオン性バイオポリマーキサンタン、これに続く、カチオン性バイオポリマーキトサンの逐次的使用と比して、濁度
の低減および脂肪/油/グリースエマルションの水性相からの分離では効果的ではなかった。データは、他のポリマーは、このタイプの懸濁についてはさほど効果的ではないことを示す。
【0266】
キサンタンバイオポリマー、これに続くキトサンの逐次的使用は、油エマルションの破壊により従来の凝結剤を超える顕著な利点を有するであろう。他のアニオン性バイオポリマー多糖類(カラギーナン、低メトキシペクチン、アルギナート、寒天)をキトサンと組み合わせて用いることが可能であり得る。キサンタン、アルギナート、カラギーナン、低メトキシペクチン、および、寒天などのアニオン性バイオポリマー、これに続いてカチオン性ポリアクリルアミドを順番で用いることもまた可能であり得る。アニオン性ポリアクリルアミド、これに続いて、キトサンを順番で用いることが可能であり得る。
【0267】
また、キトサンが最初に添加され、続いて、キサンタンが2番目に添加される添加順は、キサンタンが最初に添加され、キトサンが二番目に添加される添加順と比較して同じ結果をもたらした。両方の添加順が小繊維凝塊物を形成し、エマルションを破壊してFOGが上部に浮いている清透な溶液をもたらした。キサンタンおよびキトサンの同時添加では同一の結果が見られた。
【0268】
実施例11
(除去媒体への結合、これに続く、キサンタンおよびキトサンでの処理によるフッ化物の除去)
標準的な調製:
37ppmフッ化物標準を、0.0252gのNaFを250ml目盛り付きボールフラスコに添加し、このフラスコにDI水をマークまで満たすことにより形成した。
【0269】
テスト法:
1%(wt./wt.)キサンタンストック水溶液および1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩ストック水溶液(1%キトサン、1%氷酢酸、98%水)を調製した。フッ化物を、SPADNS2試薬を用いてHACH法10225に従って計測した。10mlのフッ化物標準を特定の質量の媒体と共にシンチレーションバイアルに入れた。2滴の1%(wt./wt.)キサンタン水溶液を添加し、バイアルを激しく振盪し、次いで、2滴の1%(wt./wt.)キトサン酢酸塩水溶液を添加し、バイアルを再度振盪した。200μlを上澄から採取し、9.8mlのDI水に添加した。2mlのSPADNS2試薬を1:50希釈物に添加し、サンプルをDR/4000 HACH分析器にて読み取った。結果が以下のテーブル9に示されている。
【0270】
【表9】

酸化ランタンおよび酸化セリウムは、フッ化物イオンの水からの除去の用途においては有望そうである。
【0271】
実施例13
(小繊維凝集物の形成)
ポリマーは小繊維粘着性凝集を実証している。割合は重量パーセントである。「Liquifloc1%」は、キトサン酢酸塩溶液(98%水中の1%氷酢酸中の1%キトサン)である。
【0272】
【表10】

約5.8gのArizonaダート(20メッシュスクリーンでふるいにかけた)を450mlの水に添加した。20滴のステージ1ポリマーを添加し、サンプル溶液を振盪した。これに続いて、10滴のステージ2ポリマーを添加し、ダートサンプル溶液を再度振盪した。一の事例においては、ステージ1およびステージ2ポリマーの両方をダート溶液に同時に添加した。次いで、処理したダートサンプル溶液を上から下に向かうにつれてメッシュサイズ[10番メッシュ(2mm)、14番メッシュ(1.4mm)、20番メッシュ(0.850mm)が小さくなるよう回収タンクの上に積み重ねた規定のメッシュサイズを有する金属スクリーンフィルタスタック(U.S.A.Standard Testing Sieve,A.S.T.M.E.−11規格)を通し、これにより、溶液がスタックに注がれると、最大の小繊維粘着性凝集物が一番上の金属スクリーン(10番メッシュ)に捕捉され、次の金属スクリーン(14番)が続き、次の金属スクリーン(20
番)が続き、最小径の粒子が下にある回収タンクに落下する。金属スクリーンを55℃のオーブン中に置くことにより各フィルタに含まれる小繊維粘着性凝集ダート堆積物を乾燥させ、乾燥した材料を計量した。回収タンク中の濾液を乾燥するまで蒸発させ、回収タンク中のいずれかの残留物質の重量もまた得た。存在している場合、各スクリーン上の乾燥した物質を、すべてのスクリーン上および回収タンク中の総回収重量の割合として表記した。データが以下の表に表されている。
【0273】
【表11】





5.8グラムのArizonaダート(−60メッシュ)を、10ppmキトサン、続いて、20ppmキサンタンで凝集させた。凝集物を積み重ねた20メッシュおよび80メッシュスクリーンに注いで、80メッシュスクリーンが小繊維粘着性凝集物を充分に除去して、逆添加で濁度の妥当な低減を達成することが可能であるかを判定した。濁度値が以下に表記されている。
【0274】
【表12】

実施例13
(キサンタンおよびキトサンを用いるMS2および大腸菌(E.coli)の水からの除去)
方法の概説:2種のフィルタサイズ(1mmのふるいおよび100μmのフィルタ)を、同一のGTW1サンプル水を用いて順々にテストした。キサンタンおよびキトサンの組み合わせを用いた小繊維粘着性凝集物の形成およびろ過または沈降によるバクテリアの除去を、MS2および大腸菌(E.coli)のGTW1水中の3/3−log懸濁液を用いてテストした。ポリマー(キサンタンおよびキトサン)をGTW1水中に含有されている細菌懸濁液(大腸菌(E.coli))およびウイルス性懸濁液(MS2)に添加し、混合した。形成された小繊維粘着性凝集物をろ過により除去し、濾液をMS2および大腸菌(E.coli)除去効力について試験した。
【0275】
試薬および器具:
・3−logMS2
・3−log大腸菌(E.coli)
・GTW1水(USEPA General Test Water−脱塩素化水道水)
・キサンタンポリマー水溶液(1%(wt./wt.))
・キトサン酢酸塩ポリマー溶液(1%(wt./wt.)、1%(wt./wt.)氷酢酸、98%(wt./wt.)水)
・1mm孔径ステンレス鋼台所用ふるい
・100μmメッシュナイロンモノフィラメントフィルタ
・0.22μmのフィルタ
手法:テスト1番
1.テスト日の前日に、大腸菌(E.coli)#11229の10ml TSB一夜培養を開始し、37℃で一晩インキュベートする。
【0276】
2.朝に、バクテリアを3,000rpmで20分間ペレット化する。ペレットを1回10mlのDPBS中で洗浄する。
3.洗浄したペレットを5mlのDPBS中に懸濁させる。
【0277】
4.9ml DPBS中の1mlのストック溶液を用い、しかるべく希釈することにより、MS2および大腸菌(E.coli)の1:1000希釈物を形成する。
5.サンプルろ過の準備。
【0278】
6.1Lボトルにラベルを付す:
i.キサンタンおよびキトサン
7.3/3log/1ミリリットルのMS2および大腸菌(E.coli)をボトルに仕込む。
【0279】
a)MS2バクテリオファージをDPBS中に1:1000に希釈し、および、大腸菌(E.coli)をDPBS中に1:100に希釈し、ならびに
b)250μLの1:1000および1:100希釈物のそれぞれを足して500mlにしてMS2および大腸菌(E.coli)の3/3−log濃度を達成する。
【0280】
c)500mlフラスコの1つから10ml試験体サンプルを得る。
8.10ml試験体サンプルを採り、下層寒天および遠藤寒天−0から−2に平板培養する。
【0281】
9.20滴のキサンタンポリマー溶液を添加し、激しく振盪する。
10.10滴のキトサン酢酸塩溶液を添加し、激しく振盪する。
11.ステップ6〜8に続いて、平板培養のために10mlを採る前に、サンプルを少なくとも10分間沈降させる。
【0282】
12.10分後、沈降凝集物を含有するサンプルを1mmのふるいを通してろ過する。
13.10mlサンプルを採り、下層寒天および遠藤寒天−0から−2で平板培養する。
【0283】
平板を37℃で一晩インキュベートする。
14.1mmのふるいを通してサンプルをろ過した後、100μmのフィルタを通した流れおよびフィルタを回収する。
【0284】
15.10mlサンプルを採り、希釈物を下層寒天および遠藤寒天−0から−2に平板培養する。平板を、37℃で一晩インキュベートする。
16.1mmのふるいを通してサンプルをろ過した後、0.22μmのフィルタを通した流れおよびフィルタを回収する。10mlサンプルを回収し、希釈物を下層寒天および遠藤寒天−0から−2に平板培養する。平板を、37℃で一晩インキュベートする。
【0285】
【表13】

結論:
細菌懸濁液およびウイルス懸濁液へのキサンタンポリマーおよびキトサンポリマーの添加、これに続く、沈降および/またはろ過により、バクテリアおよびウイルスの数を低減させることが可能であることが実証されている。0.74の平均LRV(対数減少値)が、沈降のみでろ過を伴わないものを含む、または、1mmのふるいもしくは100μmのフィルタを通したろ過を含むサンプル方法に共通して大腸菌(E.coli)について観察された。MS2ウイルスの除去もまた実施した。3log MS2試験体を用いて、2.53の平均LRVが、沈降のみでろ過を伴わないものを含む、または、1mmのふるいおよび100μmのフィルタおよび0.22μmのフィルタを通したろ過を含むサンプル方法に共通して観察された。
【0286】
実施例14
(キサンタンおよびキトサンポリマーを用いたダートの存在下での大腸菌(E.coli)およびMS2の低減)
概説:1種のフィルタサイズ、1mm孔径ふるい、GTW1サンプル水を用いてテストする。バクテリアおよびウイルスの除去を、大腸菌(E.coli)バクテリアおよびMS2ウイルスの水性ダート懸濁液をキサンタンポリマーおよびキトサンポリマーの組み合わせで処理し、続いて、小繊維粘着性凝集物の沈降またはろ過することによりテストした。ダートを含有するGTW1水中のMS2および大腸菌(E.coli)の3/3−log懸濁液を調製した。可溶性キサンタンポリマーを懸濁液に添加し、続いて、可溶性キトサンポリマーを混合した後に添加した。ダートおよび両方のポリマーを含有する微生物性懸濁液を混合し、形成された小繊維粘着性凝集物を沈降させた。沈降凝集物から離れた最上部の水層をサンプルとして採り、細菌定量化およびウイルス定量化の両方について平板培養した。最近およびダートのポリマーで処理した懸濁液はまた1mm孔径ふるいを通してろ過し、および、濾液をMS2および大腸菌(E.coli)除去効力について評価した。
【0287】
試薬および器具:
・3−log MS2
・3−log大腸菌(E.coli)
・GTW1水
・ポリマーB(バイオポリマーLBP2101)
・ポリマーC(StormKlear Natural Clarifier)
・1mm台所用ふるい
・100μmメッシュフィルタ
・5.8gの−60メッシュスクリーンBellevueダート
手法:テスト1番
17.テスト日の前日に、大腸菌(E.coli)#11229の10ml TSB一夜培養を開始し、37℃で一晩インキュベートする。
【0288】
18.朝に、バクテリアを3,000rpmで20分間ペレット化する。ペレットを1回10mlのDPBS中で洗浄する。
19.洗浄したペレットを5mlのDPBS中に懸濁させる。
【0289】
20.9ml DPBS中の1mlのストック溶液を用い、しかるべく希釈することにより、MS2および大腸菌(E.coli)の1:1000希釈物を形成する。
21.サンプルろ過の準備。
【0290】
22.2×1Lボトルにラベルを付す:
ii.ポリマーB(キサンタン添加)およびポリマーC(キトサン添加)
iii.対照
23.各ボトルにMS2および大腸菌(E.coli)を投与し、以下に定義されているとおり3/3log/mLの最終濃度とした:
d)MS2バクテリオファージをDPBS中に1:1000に希釈し、および、大腸菌(E.coli)をDPBS中に1:100に希釈し、ならびに
e)250μLの1:1000および1:100希釈物のそれぞれを足して500mlにしてMS2および大腸菌(E.coli)の3/3−log濃度を達成する。
【0291】
f)500mlフラスコの1つから10ml試験体サンプルを得る。
24.10ml試験体サンプルを採り、下層寒天および遠藤寒天−0から−2に平板培養する。
【0292】
25.各1Lボトルに5.8gのBellevueダートを添加した。
26.35滴のキサンタン溶液をポリマーB&ポリマーCとラベルを付したボトルに添加し、続いて激しく振盪した。
【0293】
27.これに続いて、10滴のポリマーCを添加し、ボトルを再度激しく振盪した。
28.ステップ6〜8に続いて、10mLをコニカルバイアルに採取する前に、サンプルを少なくとも10分間沈降させた。
【0294】
29.10分後、サンプルを1mmのふるいを通してろ過した。
30.10mlのサンプルをコニカルバイアルに採取し、下層寒天および遠藤寒天−0から−2に平板培養した。平板を37℃で一晩インキュベートした。
【0295】
【表14】

結論:
キサンタン溶液、続いて、キトサン溶液の、大腸菌(E.coli)およびMS2ウイルスのダート懸濁液への添加は、ボトルの底に沈降し、および、20メッシュふるいへの重力ろ過によって除去が可能であった小繊維粘着性凝集物を形成した。濾液およびろ過指定内水性上部層(沈降後に得た「上澄」)の細菌およびウイルスカウントは、未ポリマー処理対照と比して微生物カウントの低減を示した。
【0296】
実施例15
(キサンタンおよびキトサンを、1mmのふるいを通したろ過と共に用いたダート懸濁液中の腸球菌(Enterococcus)の低減)
概説:キサンタン溶液およびキトサン溶液の逐次的組み合わせを用いた小繊維粘着性凝集によるダートの懸濁液中に含有された腸球菌(Enterococcus)の除去を、GTW1水中の腸球菌(Enterococcus)の3/3−log懸濁液を用いてテストした。キサンタンおよびキトサンを、腸球菌(Enterococcus)を含有するダート懸濁液に逐次的に添加し、混合して重力ろ過によって粗い20メッシュスクリーンで除去可能である凝集物を形成した。濾液を腸球菌(Enterococcus)について試験して、このシステムを用いた除去効力を判定した。
【0297】
試薬および器具:
・3−logエンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)、
・GTW1水
・ポリマーB(水中のキサンタン1%(wt./wt.))
・ポリマーC(98%(wt./wt.)水中の1%(wt./wt.)氷酢酸中のキトサン1%(wt./wt.))
・1mm台所用ふるい
・5.8g−60メッシュでふるいにかけたBellevue,WAダート
・BHIアガー
手法:テスト1番
31.テスト日の前日に、エンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)の10ml BHI一夜培養液を37℃で一晩インキュベートした。
【0298】
32.朝に、バクテリアを3,000rpmで20分間ペレット化した。ペレットを1回10mlのDPBS中で洗浄した。
33.次いで、洗浄したペレットを10mlのDPBS中に懸濁させた。
【0299】
34.9ml DPBS中の1mlのストック溶液を用い、しかるべく希釈することにより、腸球菌(Enterococcus)の1:100希釈物を調製した。
35.サンプルろ過の準備。
【0300】
36.2×1Lボトルに以下に記載のとおりラベルを付し、500mlのGTW1水を各ボトルに添加した:
iv.ポリマーBおよびポリマーC
v.対照
37.各1Lボトルに腸球菌(Enterococcus)を仕込んで、以下のとおり約3log/1ミリリットルの腸球菌(Enterococcus)の溶液をもたらした:
g)腸球菌(Enterococcus)をDPBS中に1:100に希釈し、および
h)250μLの1:100希釈物を各1Lボトルに添加して、最終的に3−log/ml濃度の腸球菌(Enterococcus)を得た。
【0301】
i)500mlボトルの1つからの10mlの試験体サンプルをコニカルバイアルに採り、BHI寒天−0から−2に平板培養する前にボルテックス混合して、試験体カウントを判定した。
【0302】
38.5.8g Bellevueダートを各1Lボトルに添加し、内容物を振盪した。
39.これに続いて、35滴のキサンタン溶液をポリマーB&ポリマーCとラベルを付したボトルに添加し、その後、ボトルを激しく振盪した。
【0303】
40.次いで、10滴のキトサン溶液を添加し、ボトルを激しく振盪した。
41.ステップ6〜10に続いて、ボトル中のサンプルを少なくとも10分間沈降させた。
【0304】
42.10分後、10mlサンプルを各ボトルから15mlコニカルバイアルに回収し、BHI寒天−0から−2に平板培養する前にボルテックス混合した。各ボトル中の残りのサンプル溶液を1mmのふるいを通してろ過した。
【0305】
43.対照ボトルおよびポリマー処理ボトルからの濾液を回収し、10mlサンプルを15mlコニカルバイアルに入れ、ボルテックス混合し、および、BHI寒天−0から−2に平板培養した。
【0306】
44.寒天平板を37℃で48時間インキュベートした。
【0307】
【表15】

結論:
腸球菌(Enterococcus)を含有するダート溶液のキサンタン溶液およびキトサン溶液での逐次処理、これに続く、1mmのふるいでのろ過は、対照未ポリマー処理と比して2.27LRVの腸球菌(Enterococcus)をもたらした。
【0308】
実施例16
(キサンタンおよびキトサンポリマー、ならびに、ろ過を用いた粉末化活性炭素および/またはダート/クレイを含有する水性媒体からのナフテン酸除去)
概要:水道水に、ナフテン酸を単独で、または、ナフテン酸を以下の:Arizonaダート;粉末状の活性炭;Arizonaダート+粉末状の活性炭;カオリンクレイと組み合わせてスパイクとして添加した。キサンタンポリマーの可溶性溶液のアリコートを添加し、混合物を激しく混合し、続いて、可溶性キトサン溶液のアリコートを添加し、続いて、再度、さらに激しく混合した。次いで、溶液を20メッシュふるい(850μm孔径)を通してろ過し、種々の処理からの濾液を、方法UOP565を用いてTexas Oil Techによりナフテン酸についてテストした。
【0309】
【表16】

対照 水サンプルに、ナフテン酸溶液の市販の供給源(Aldrich Chemical,カタログ番号70340−250)を、2.5mlのナフテン酸溶液を250mlの水道水に添加しておよそ1%溶液を調製することによりスパイクとして添加した。
【0310】
Arizonaダートサンプル:495mlの水道水に、5mlのナフテン酸の1%溶液および5.8gのArizonaダート(−60メッシュでふるいにかけた)をスパイクとして添加した。溶液を激しく振盪し、250mlの分量に注いだ。1分量を対照とした(これは分析しなかった。以下を参照のこと)。他の分量を、可溶性キサンタン溶液で逐次的に処理して、20ppmの最終キサンタン濃度とし、激しく混合した。これに続いて、可溶性キトサン溶液を添加して10ppmの最終キトサン濃度とした。溶液を再度激しく混合し、次いで、サンプルボトルへの重力流により20メッシュ(850μm)ふるいを通して注いだ。小繊維粘着性凝集物をスクリーン上で単離し、および、凝集物を含有しない濾液をナフテン酸について分析した。
【0311】
活性炭素:495mlの水道水に、ナフテン酸の5mlの1%溶液および275μgの粉末状の活性炭(Calgon)をスパイクとして添加した。溶液を激しく混合し、250mlの分量に注いだ。1分量を対照とした(これは分析しなかった。以下を参照のこと)。他の分量を可溶性キサンタン溶液で逐次的に処理して、40ppmの最終キサンタン濃度とし、激しく混合した。これに続いて、可溶性キトサン溶液を添加して20ppmの最終キトサン濃度とした。溶液を再度激しく混合し、次いで、サンプルボトルへの重力流により20メッシュ(850μm)ふるいを通して注いだ。「油状凝集物中の炭素粉末微粒子」をスクリーン上で単離し、および、「油状凝集物中の炭素粉末微粒子」を含有しない濾液をナフテン酸について分析した。
【0312】
Arizonaダート+粉末化活性炭素:495mlの水道水に、5mlのナフテン酸の1%溶液、6.4gのArizonaダート、および、275μgの活性炭をスパイクとして添加した。溶液を激しく混合し、250mlの分量に注いだ。1分量が対照であった(これは分析しなかった。以下を参照のこと)。他の分量を可溶性キサンタン溶液で逐次的に処理して、20ppmの最終キサンタン濃度とし、激しく混合した。これに続いて、可溶性キトサン溶液を添加して10ppmの最終キトサン濃度とした。溶液を再度激しく混合し、次いで、サンプルボトルへの重力流により20メッシュ(850μm)ふるいを通して注いだ。ダートおよび「軽質」炭素粉末小繊維粘着性凝集物および「油状凝集物中の炭素粉末微粒子」が形成され、および、両方の複合体をスクリーン上で単離し、濾液
をナフテン酸について分析した。
【0313】
DPS:250mlの水道水に、2.5mlのナフテン酸の1%溶液をスパイクとして添加した。溶液を激しく混合し、250mlの分量に注いだ。1分量が対照であった(これは分析しなかった。以下を参照のこと)。他の分量を可溶性キサンタン溶液で逐次的に処理して、40ppmの最終キサンタン濃度とし、激しく混合した。これに続いて、可溶性キトサン溶液を添加して20ppmの最終キトサン濃度とした。溶液を再度激しく混合し、次いで、サンプルボトルへの重力流により20メッシュ(850μm)ふるいを通して注いだ。水の表面で油状の光沢が観察され、スクリーンに単離することはできなかった。濾液をナフテン酸について分析した。
【0314】
カオリンクレイ:250mLの水道水に、2.5mlのナフテン酸の1%溶液および3.2gのカオリンクレイ粉末をスパイクとして添加した。溶液を激しく振盪し、250mlの分量に注いだ。1分量を対照とした(これは分析しなかった。以下を参照のこと)。他の分量を可溶性キサンタン溶液で逐次的に処理して、70ppmの最終キサンタン濃度とし、激しく混合した。これに続いて、可溶性キトサン溶液を添加して34ppmの最終キトサン濃度とした。溶液を再度激しく混合し、次いで、サンプルボトルへの重力流により20メッシュ(850μm)ふるいを通して注いだ。小繊維粘着性凝集物をスクリーン上で単離し、および、濾液をナフテン酸について分析した。
【0315】
Arizonaダート、活性炭、および、Arizonaダート+活性炭サンプルの各々は形成した対照分量を有していたが、分析はしなかった。
結論
結果は、キサンタン溶液およびキトサン溶液の逐次添加、これに続く、850μm細孔スクリーンを通したろ過と組み合わせた粉末状の活性炭は、ろ過した水中のナフテン酸の濃度を効果的に低減させることが可能であることを実証する。ArizonaダートまたはArizonaダート+粉末状の活性炭もまた、キサンタン溶液およびキトサン溶液での逐次的処理、これに続く20メッシュ(850μm)ふるいを通したろ過の後にナフテン酸濃度を低減させた。ArizonaダートまたはArizonaダート粉末状の活性炭の組み合わせは粉末状の活性炭のようには効果的ではなかった。
【0316】
実施例17
(小繊維寸法の計測)
小繊維凝塊物の溶液を、フィルタ紙を備えたMillipore Milliflexろ過漏斗に注いだ。漏斗において用いたフィルタ紙は22μmであり、3mmの正方形を表すドット状のグリッドがフィルタ紙に印刷されている。
【0317】
小繊維成分をフィルタ紙上に回収したら、これをフィルタ漏斗ユニットから取り外し、Bausch and Lomb解剖顕微鏡で見た。0.01mmの目盛りを有する2mm American Optical Companyマイクロルーラを用いて、小繊維ストランドまたは「繊維」の長さおよび幅を計測した。
【0318】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの粉末状の活性炭を用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図12Aおよび12Bに示されている。繊維は、1.4mmの長さおよび0.04mmの幅、35:1の長さ対幅の比を有している。
【0319】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの(−)120メッシュ水酸化酸化鉄を用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図13Aおよび13Bに示されている。繊維は、2.6mmの長さ
および0.04mmの幅、65:1の長さ対幅の比を有している。
【0320】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の0.1gの二酸化チタンを用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図14Aおよび14Bに示されている。繊維は、0.65mmの長さおよび0.04mmの幅、16.25:1の長さ対幅の比を有している。
【0321】
小繊維凝集物を、450mlのDI水中の5.8gのArizonaクレイを用い、20ppmキサンタンガムおよび10ppmキトサンを添加して調製した。第1の繊維を単離し、これが、図15Aおよび15Bに示されている。第1の繊維は、4mmの長さおよび0.4mmの幅、10:1の長さ対幅の比を有している。第2の繊維を単離し、これが、図15Cおよび15Dに示されている。第2の繊維は、2mmの長さおよび0.25mmの幅、8:1の長さ対幅の比を有している。
【0322】
小繊維凝集物を、9mlのDI水中の1mlの30%熟成微細尾鉱固形分を用い、300ppmのキサンタンガムおよび175ppmのキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図16Aおよび16Bに示されている。繊維は、5.5mmの長さおよび0.4mmの幅、13.75:1の長さ対幅の比を有している。
【0323】
小繊維凝集物を、450mlの藻類溶液を用い、40ppmキサンタンガムおよび20ppmキトサンを添加して調製した。繊維を単離し、これが、図17に示されている。繊維は、3.4mmの長さおよび0.03mmの幅を、113:1の長さ対幅の比で有している。
【0324】
実施例18
(粘着性凝集物および凝結物の比較)
アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーによって「凝集」により形成された「粘着性凝集物」と、「凝析および凝結」として知られる従来のプロセスによって形成される凝結物との差異を実証するためにデータを収集した。
【0325】
ダート(Bellevue)の懸濁液は、可溶性キトサン酢酸塩のアリコートが添加されると凝結することとなる。凝結物は、重力下で沈降して、清透(濁度の低い)上澄をもたらすこととなる。この凝結懸濁液が台所用ふるいまたはこし器(1mm孔径の開口)に注がれると、凝結物は分解して濾液までスクリーンを通過する傾向にあり、清透ではない濾液水がもたらされる。これは、おそらく、凝結物を一緒に保持する粘着力が弱いためである。
【0326】
対照的に、本明細書に開示の方法に従ってキサンタンポリマーおよびキトサンポリマーなどのアニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーがダート懸濁液に用いられる場合、小繊維の小繊維粘着性の絡み合った凝集物(ほぼガム状)が迅速に形成され、より典型的な凝結物と比して顕著に異なって見える。この絡み合った凝集物は、多量のキサンタンおよびキトサンが用いられると、小繊維がより堅固なボールに圧潰するかのように、絡み合った凝集物がより強固でより堅固な集結物を形成しているかのように岩状に見える可能性がある。これは、添加順が逆になっても観察される。
【0327】
各々が40gのBellevueダート(60メッシュスクリーンでふるいにかけた)および475mlのDI水を含有する2つのプラスチックボトルを調製し、激しく混合して堆積物を均質に懸濁させた。5滴のLiquifloc1%(キトサン酢酸塩溶液)を1つのボトルに加え、次いで、これを激しく振盪した。対照とした第2の容器には何も添加しなかった。サンプルを5分間静置させて堆積物を沈降させた。
【0328】
5分間の後、キトサン処理懸濁液は重力下で沈降する凝結物を形成させて、清透な溶液を上部にもたらした(図25の右側のボトルを参照のこと)。これは、懸濁堆積物および高度に混濁した懸濁液を示した対照(図25の左側のボトルを参照のこと)と対照的であった。濁度は、各容器の上部から3分の1を10mlの溶液から採って読み取った。対照は、濁度が過度に高かったため、濁度の読み取りを行う前に水で15倍に希釈しなければならなかった。表を参照のこと。
【0329】
【表17】

凝結物を5分間沈降させた後、Liquifloc1%−処理済み溶液を1mm孔径の台所用ふるいに注ぎ、濾液の濁度をすぐに測定した。スクリーン上に凝結物が存在していないことがわかる図26を参照のこと。沈降凝結物はスクリーンを濾液にまで通過し、保持することができなかった。
【0330】
【表18】

キサンタンおよびキトサン
新しいボトルのダート懸濁液を調製し(5.8gのBellevueダートおよび475mlのDI)、激しく振盪してダート/堆積物を懸濁させた。20滴(最終で20ppm)の1%キサンタンガム溶液を溶液に添加し、容器を激しく振盪した。これに続いて、次いで、10滴(10ppm)のLiquifloc1%(キトサン酢酸塩)を添加し、容器を再度激しく振盪した。直後に、大きな小繊維粘着性凝集物が形成され、プラスチックボトルの底に迅速に沈降した。次いで、溶液の内容物を台所用ふるい(1mm細孔の開口)に注ぎ、濾液の濁度を測定した。図27を参照のこと。図27に見ることが可能であるとおり、凝集物の大きな小繊維粘着性の塊をスクリーン上で回収したが、これは、既出の実験においてLiquifloc1%のみを用いた場合には観察されなかった。濾液の濁度は、Liquifloc1%のみを用いた場合と比して顕著に向上した。これは、小繊維粘着性凝集塊に形成された場合に粗い開口が1mmのメッシュのふるいに保持されることが可能である懸濁堆積物のより効果的な除去によるものであった。凝集物のサイズから判定すると、顕著な割合がより多きな開口サイズの細孔ふるいで保持可能である可能性が高い。
【0331】
【表19】

この実験は、凝結と小繊維粘着性凝集との差を実証するものである。
【0332】
例示的な実施形態および実施例を例示および説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくこれらにおいて種々の変形をなすことが可能であることが認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に存在する物質を処理して、前記水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程;
前記水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;
前記水性媒体をカチオン性ポリマーで処理する工程であって、前記アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが前記不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程;ならびに
前記凝集物を回収して、前記アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーで処理した前記水性媒体から前記物質を除去する工程
を含む物質を水性媒体から除去する方法。
【請求項2】
前記物質が前記水性媒体中に可溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質が前記水性媒体中に混和性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物質が前記水性媒体中に非混和性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記物質がサブマイクロメートル粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アニオン性ポリマーが、キサンタンであるか、またはキサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カチオン性ポリマーが、キトサンであるか、またはキトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記不溶性粒子が、水溶性物質、非水混和性の液体、水混和性の液体、または、サブマイクロメートル粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記物質を除去用媒体に結合させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記除去用媒体が吸着媒である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記除去用媒体が炭素である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記除去用媒体が金属酸化物または含水金属酸化物である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記不溶性粒子がシアヌル酸およびメラミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記不溶性粒子が炭素およびポリ塩化ビフェニル化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記不溶性粒子が砒素および水酸化酸化鉄を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記不溶性粒子が、炭素と、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのうちの少なくとも1種とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記不溶性粒子が炭素およびナフテン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記不溶性粒子が酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記不溶性粒子が水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記水性媒体のpHを6以上に調節する工程をさらに含むと共に、前記不溶性粒子が金属または非金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記金属が、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせのうちの1種である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記非金属が砒素またはセレンである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記不溶性粒子が炭素および炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記炭化水素が芳香族炭化水素である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記炭化水素がハロゲン化炭化水素である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記不溶性粒子がオルトリン酸およびランタン化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記不溶性粒子が炭素および水銀化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記不溶性粒子が、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記不溶性粒子がバクテリアまたはウイルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記不溶性粒子がバクテリアおよびダートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記物質を還元または酸化して前記不溶性粒子をもたらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記水性媒体のpHを調節して前記不溶性粒子をもたらす工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記水性媒体を多孔性材料に流過させて前記凝集物を前記材料に回収する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記多孔性材料が、およそ100μm以上のサイズの細孔を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記多孔性材料が、およそ100μm〜2mmのサイズの細孔を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記多孔性材料が、およそ100μm〜850μmの範囲内のサイズの細孔を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記多孔性材料が、およそ850μm〜2mmの範囲内のサイズの細孔を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記凝集物を回収する前に前記凝集物を沈降させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記水性媒体を前記アニオン性ポリマーで、続いて前記カチオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記水性媒体を前記カチオン性ポリマーで、続いて前記アニオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記水性媒体を、前記カチオン性ポリマーと同時に前記アニオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記アニオン性ポリマーおよび前記カチオン性ポリマーで処理する前に、前記水性媒体を希釈して前記物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記物質を除去用媒体に結合させるステップ、前記水性媒体のpHを6以上に調節するステップ、および、前記物質を還元もしくは酸化させるステップから選択される2つ以上のステップを実施して前記不溶性粒子をもたらす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;
前記水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、前記アニオン性ポリマーおよび前記カチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程であって、前記物質が前記繊維に付着される工程;ならびに
前記凝集物を回収して前記物質を前記水性媒体から除去する工程
を含む物質を水性媒体から除去する方法。
【請求項45】
前記物質がサブマイクロメートルサイズである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記物質が非水溶性または非水混和性である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記水性媒体を前記アニオン性ポリマーで、続いて前記カチオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記水性媒体を前記カチオン性ポリマーで、続いて前記アニオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記水性媒体を、前記カチオン性ポリマーと同時に前記アニオン性ポリマーで処理する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記アニオン性ポリマーが、キサンタンであるか、またはキサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記カチオン性ポリマーが、キトサンであるか、またはキトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物である、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記物質が、油、脂肪、グリース、砂、コール、クレイ、ダート、バクテリア、または
ウイルスのうちの1種である、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記凝集物を2mmの細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記凝集物を850μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記凝集物を100μm以上の細孔を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
水をスクリーン、メッシュ、または、多孔性フィルタに流過させて前記凝集物を回収する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
回収する前に前記凝集物を沈降させる工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記アニオン性ポリマーおよび前記カチオン性ポリマーで処理する前に、前記水性媒体を希釈して前記物質の濃度を10重量%未満に下げる工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項59】
前記小繊維凝塊物が繊維および小繊維を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項60】
前記小繊維凝塊物が粘着性である、請求項44に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項44に記載の方法。
【請求項65】
アニオン性ポリマー;
カチオン性ポリマー;および
不溶性粒子または非混和性の液体を含み、前記アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが、前記不溶性粒子または非混和性の液体が付着している繊維を形成している小繊維凝塊物。
【請求項66】
前記アニオン性ポリマーがキサンタンポリマーである、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項67】
前記カチオン性ポリマーがキトサンポリマーである、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項68】
キサンタンと、1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物をさらに含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項69】
キトサンと、1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方との混合物をさらに含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項70】
前記不溶性粒子がサブマイクロメートルの物質を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項71】
前記不溶性粒子が、除去用媒体と前記除去用媒体に結合している物質とから形成されている、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項72】
前記除去用媒体が吸着媒である、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項73】
前記除去用媒体が炭素である、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項74】
前記除去用媒体が金属酸化物または含水金属酸化物である、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項75】
前記不溶性粒子がメラミンに結合したシアヌル酸を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項76】
前記不溶性粒子が炭素に結合したポリ塩化ビフェニル化合物を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項77】
前記不溶性粒子が水酸化酸化鉄に結合した砒素を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項78】
前記不溶性粒子が、炭素に結合したベンゼン、トルエンまたはキシレンを含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項79】
前記不溶性粒子が炭素およびナフテン酸を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項80】
前記不溶性粒子が酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項81】
前記不溶性粒子が水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項82】
前記不溶性粒子が金属または非金属を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項83】
前記金属が、鉛、カドミウム、ベリリウム、バリウム、タリウム、鉄、ニッケル、バナジウム、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、クロム、コバルト、または、これらの組み合わせの1種である、請求項82に記載の小繊維凝塊物。
【請求項84】
前記非金属が砒素またはセレンである、請求項82に記載の小繊維凝塊物。
【請求項85】
前記不溶性粒子が炭素に結合した炭化水素を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項86】
前記不溶性粒子がオルトリン酸およびランタン化合物を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項87】
前記不溶性粒子が炭素に結合した水銀化合物を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項88】
前記不溶性粒子が、タンパク質、免疫グロブリン、抗原、脂質、または、炭水化物を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項89】
前記不溶性粒子がバクテリアまたはウイルスである、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項90】
バクテリアおよびダートを含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項91】
砂、コール、クレイ、ダート、バクテリアまたはウイルスを含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項92】
前記非混和性の液体が油、脂肪またはグリースである、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項93】
2mmの細孔を有するふるいに保持されるサイズを有する、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項94】
850μmの細孔を有するふるいに保持されるサイズを有する、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項95】
100μmの細孔を有するふるいに保持されるサイズを有する、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項96】
前記不溶性粒子が免疫グロブリンと抗原との複合体である、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項97】
前記不溶性粒子が、分離すると水溶性であり、一緒に結合されると非水溶性である、相互に結合された第1の種および第2の種を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項98】
前記不溶性粒子が非水溶性種に結合された水溶性種を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項99】
前記不溶性粒子が相互に結合された水混和性の液体および非水溶性物質を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項100】
前記不溶性粒子が相互に結合された非水混和性の液体および非水溶性物質を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項101】
0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項102】
0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項103】
0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項104】
0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項105】
小繊維を含む、請求項65に記載の小繊維凝塊物。
【請求項106】
水性媒体中に存在する物質を処理して、前記水性媒体中に不溶性粒子をもたらす工程;
前記水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;および
前記水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して前記不溶性粒子を含む凝集物を形成する工程
を含む水性媒体中に凝集物を形成する方法。
【請求項107】
前記アニオン性ポリマーが、キサンタンであるか、またはキサンタンと1種以上の別のアニオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方とである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記カチオン性ポリマーが、キトサンであるか、またはキトサンと1種以上の別のカチオン性ポリマーおよび非イオン性ポリマーのうちの一方または両方とである、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記物質を除去用媒体に結合して前記不溶性粒子をもたらす工程をさらに含む、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
物質を含有する水性媒体をアニオン性ポリマーで処理する工程;および
前記水性媒体をカチオン性ポリマーで処理して、前記物質が付着している前記アニオン性ポリマーおよび前記カチオン性ポリマーから形成された繊維を含む小繊維凝塊物を形成する工程
を含む水性媒体中に小繊維凝塊物を形成する方法。
【請求項111】
前記アニオン性ポリマーが、キサンタンであるか、またはキサンタンおよび1種以上の別のポリマーである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記カチオン性ポリマーが、キトサンであるか、またはキトサンおよび1種以上の別のポリマーである、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記凝集物を2mmの孔径を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項114】
前記凝集物を850μm以上の孔径を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項115】
前記凝集物を100μm以上の孔径を有するふるいに保持する工程をさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項116】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.02mm〜0.5mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項110に記載の方法。
【請求項117】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.03mm〜0.4mmの幅を有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項110に記載の方法。
【請求項118】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.5mm〜6mmの長さを有する少なくとも1つ
の繊維を含んでいる、請求項110に記載の方法。
【請求項119】
少なくとも1つの小繊維凝塊物が、0.65mm〜5.5mmの長さを有する少なくとも1つの繊維を含んでいる、請求項110に記載の方法。
【請求項120】
フッ化物イオンを含有する水性媒体を酸化セリウムで処理して粒子をもたらす工程であって、粒子の各々が酸化セリウムおよびフッ化物イオンを含む工程;および
前記粒子を前記水性媒体から除去して、フッ化物イオンを前記水性媒体から除去する工程
を含むフッ化物イオンを水性媒体から除去する方法。
【請求項121】
フッ化物イオンを含有する水性媒体を水酸化ジルコニウムで処理して粒子をもたらす工程であって、粒子の各々が水酸化ジルコニウムおよびフッ化物イオンを含む工程;および
前記粒子を前記水性媒体から除去して、フッ化物イオンを前記水性媒体から除去する工程
を含むフッ化物イオンを水性媒体から除去する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2012−532020(P2012−532020A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519683(P2012−519683)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/041107
【国際公開番号】WO2011/005794
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512004741)ハロソース インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HALOSOURCE,INC.
【Fターム(参考)】