説明

水の浄化方法

【課題】簡易且つ効率的に汚染水を浄化する方法の提供。
【解決手段】汚染物質濃度が1μg/L以上10g/L以下である水に、平均粒径が100nm以上且つ500μm以下の粒径を有する吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質を含む浄化剤を添加すること、水中の汚染物質の少なくとも一部を吸着剤に吸着させること、汚染物質が吸着した吸着剤を鉄系凝集剤によって沈降させること、及び沈降物を水から除去すること、を含む水の浄化方法であって、水1Lに対する前記浄化剤の添加量が0.01g以上20g以下であることを特徴とする、水の浄化方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染水の浄化技術に関し、効率よく水を浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
21世紀は水の時代と呼ばれ、水不足・水汚染・水紛争などが大きな問題として認識されている。2003年3月5日に発表された「世界水発展報告書」は、今世紀半ばには深刻な水不足が発生し、影響を受ける人口は、最悪の場合、60カ国70億人に達すると警告している。
【0003】
水に関する問題は今世紀半ばの問題であるのみならず、現在進行している社会問題でもある。多くの新興国では、必ずしも安全な水が供給されているわけではない。例えば無機化合物であるヒ素の飲料水中における濃度は10ppb以下であることが望ましいことがWHO飲料水ガイドラインに記載されているが(非特許文献1)、バングラディシュ、インド、カンボジア等の井戸水には、この基準値よりもはるかに多くのヒ素が溶解している場合があり、地元住民に深刻な健康被害をもたしていることが報告されている。天然由来のフッ素、工場由来の6価クロム等が井戸水に混入することもまた、地元住民に深刻な健康被害をもたしている。
【0004】
新興国において、井戸水や河川水を汚染している有害物質は、ヒ素等の無機化合物に限定されるわけではない。水中に溶解した殺虫剤・農薬・色素・染料のような有機化合物もまた、環境汚染や健康被害の原因物質であることが知られている。
【0005】
安全な水の供給に関する問題は、新興国に限定されるわけではない。原子力発電所由来の放射性化合物に汚染された水から、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム等の放射性同位体を効率的に除去する技術の構築は、現代の日本においても切望されている。
【0006】
この様に、有害な無機化合物や有機化合物を水中から除去するための技術を開発することは、社会的に極めて大きな課題となっている。この課題を解決するための1つの手段は、逆浸透膜による浄水システムを利用することである。しかし逆浸透膜システムは高価であり、かつ電力を必要とするため、電力利用が容易ではない新興国の農村部などでの使用は困難である。それゆえ、電気が使用できない地域にも適用可能な、安価且つ電気を必要としない、水中の無機物および有機物を除去可能な技術の開発が望まれている。
【0007】
電気を使用しないで水中の有害な物質を除去する方法としては、無機凝集剤と高分子凝集剤を用いた「凝集沈殿法(Coagulation and Flocculation)」が知られている(非特許文献2)。凝集沈殿法に利用される水浄化剤として、いくつかのタイプが提案されており(特許文献1,2)、実際に、発展途上国で使用されている(非特許文献3)。しかし、凝集沈殿法単独では、水溶性有機化合物等の除去に関しては、十分な効果を得ることは困難である。
【0008】
水中の水溶性有機化合物等を除去するためには、活性炭のような吸着剤を使用することが有効であることが知られており、下水処理場等で実用されている(非特許文献4)。吸着剤は通常、粒状あるいは繊維状のものが使用され、吸着操作が終わった後に、吸着剤と水の分離が容易に行われる。一方、これらの吸着剤は、単位体積あたりの表面積が少ないため、短時間かつ高効率の吸着は困難である。吸着剤を微粉末状で用いた場合、単位体積あたりの表面積が大きくなるため、短時間で効率的な吸着が可能となるものの、吸着剤と水の分離が困難になる、という操作上の欠点を有している。
【0009】
凝集剤と吸着剤とを併用する水の浄化方法についても報告されている。特許文献3には、希土類化合物を含む吸着剤とセレンを含有する排水を接触させた後に、更に凝集剤を投入して凝集させることを特徴とする浄水方法が開示されている。しかし本手法では、高価なレアメタルである希土類化合物を比較的大量に使用することが前提となっているため、本手法により安価かつ簡便に飲料水を得ることは困難である。
【0010】
特許文献4には、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸鉄、塩化第二鉄等の酸性薬剤と、消石灰、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、牡蠣殻の粉砕物等のアルカリ性薬剤と、人工ゼオライト、天然ゼオライト、二酸化珪素、活性炭等の多孔質性の吸着剤と、高分子凝集剤、発泡ガラス等の凝集剤で、廃水を処理する構成とした吸着・凝集方式の廃水処理剤が開示されている。しかし本手法は、セメント灰汁やセラミックス工場排液等の高濃度汚染水を、大掛かりな設備を用いて、放流可能な程度まで浄化することを目的としているため、本手法により安価かつ簡便に飲料水を得ることは困難である。
【0011】
特許文献5には、炭素系物質にアルミニウム系凝集剤を、アルミ系凝集剤/炭素系物質の重量比で0.05〜1の範囲に混合被着してなる水処理用凝集剤が開示されている。しかし本手法は、凝集性がそれほど高くなく、しかも、狭いpH範囲でしか沈殿を生成しないアルミニウム系凝集剤を使用しているため、沈殿の除去が容易でなく、また狭いpH範囲でしか適用できないため、安価、簡便、かつ短時間に飲料水を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6827874号明細書
【特許文献2】特許第4490795号公報
【特許文献3】特開2007−326077号公報
【特許文献4】特開2009−248006号公報
【特許文献5】特開平7−328322号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】"Guidelines for Drinking-Water Quality, Volume 1, 3rd ed", World Health Organization (2006).
【非特許文献2】"The NALCO Water Handbook, Second Edition", F. N. Kemmer, ed., McGraw-Hill (1988).
【非特許文献3】Ivan Amato, Chem. Eng. News, vol.84 (16), pp 39-40 (2006)
【非特許文献4】"Activated Carbon Adsorption for Wastewater Treatment", J. R. Perrich. ed., CRC Press (1981).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記した通り、従来は、電気を使用できない条件下において、種々の汚染物質を含む比較的汚染度の低い水から、安価、簡便、かつ短時間に飲料水を得ることは困難であったため、新たな水の浄化法が望まれていた。
【0015】
即ち、本発明の課題の一つは、電気を使用できない条件下において、比較的低濃度の汚染物質を含む井戸水、河川水、湖沼水等から、安価、簡便、かつ高効率(短時間)で浄化し、飲料水を得る技術を提供することである。
本発明の他の課題は、ヨウ素やセシウムやストロンチウムの放射性同位体を微量に溶解している海水、冷却水、水道水等から、これらの放射性化合物を除去し得る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、微粉末状の吸着剤を水中に分散させ水溶性有害化合物を吸着させた後、鉄系無機凝集剤の作用により吸着剤を凝集沈降させることで、吸着剤単独での有害化合物除去性能、鉄系無機凝集剤単独での有害化合物除去性能、および両者の有害化合物除去性能を単純に足し合わせた場合よりも、効率的かつ短時間に、電力を使用することなく水中の有害化合物を除去可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 汚染物質濃度が1μg/L以上10g/L以下である水に、平均粒径が100nm以上且つ500μm以下の吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質を含む浄化剤を添加すること、
水中の汚染物質の少なくとも一部を吸着剤に吸着させること、
汚染物質が吸着した吸着剤を、鉄系凝集剤及びアルカリ性物質の反応によって生じた水不溶性水酸化鉄の作用によって沈降させること、及び
沈降物を水から除去すること、
を含む水の浄化方法であって、
水1Lに対する前記浄化剤の添加量が0.01g以上20g以下であることを特徴とする、水の浄化方法。
[2] 前記浄化剤の全質量における前記吸着剤の割合が、40質量%以上95質量%以下である、[1]の水の浄化方法。
[3] 前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、水溶性ポリマーを添加する、[1]又は[2]の水の浄化方法。
[4] 沈降物を布あるいは砂で濾過することより、水から除去する、[1]〜[3]のいずれかの水の浄化方法。
[5] 前記吸着剤が、活性炭及びゼオライトのいずれかを少なくとも含み、水中の有機化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[4]のいずれかの水の浄化方法。
[6] 前記吸着剤が、ゼオライト、層状ケイ酸塩、カチオン交換性樹脂、及びキレート樹脂のいずれか少なくとも1種を含み、水中のカチオン性化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[5]のいずれかの水の浄化方法。
[7] 前記吸着剤が、ハイドロタルサイト、シュベルトマナイト、及びアニオン交換性樹脂のいずれか少なくとも1種を含み、水中のアニオン性化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[6]のいずれかの水の浄化方法。
[8] 前記吸着剤が、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、及びジルコニアのいずれか少なくも1種を含み、水中のフッ素が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[7]のいずれかの水の浄化方法。
[9] 前記吸着剤が、活性炭、アルミナ、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中のヒ素が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[8]のいずれかの水の浄化方法。
[10] 前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、水酸化鉄、ハイドロタルサイト、及びベントナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中の6価クロムが少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[9]のいずれか水の浄化方法。
[11] 前記吸着剤が、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ベーマイト、アパタイト、及びシクロデキストリン含有ポリマー架橋体のいずれか少なくも1種を含み、水中のヨウ素が少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[10]のいずれかの水の浄化方法。
[12] 前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、モルデナイト、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及び酸化マンガンのいずれか少なくも1種を含み、水中のセシウムが少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[11]のいずれかの水の浄化方法。
[13] 前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、ポリアンチモン酸、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及びモンモリロナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中のストロンチウムが少なくとも吸着する吸着剤である、[1]〜[12]のいずれかの水の浄化方法。
[14] 2種類以上の吸着剤を併用することを特徴とする、[1]〜[13]のいずれかの水の浄化方法。
[15] 前記鉄系凝集剤が、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、及び硫酸第一鉄のいずれか少なくとも1種を含有する、[1]〜[14]のいずれかの水の浄化方法。
[16] 前記鉄系凝集剤及び前記アルカリ性物質がそれぞれ、平均粒径が100nm以上かつ500μm以下の粉末である、[1]〜[15]のいずれかの水の浄化方法。
[17] 前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、酸化剤を添加する、[1]〜[16]のいずれかの水の浄化方法。
[18] 前記沈降物を除去した後、水のpHを5.0以上9.0以下に調整することを含む、[1]〜[17]のいずれかの水の浄化方法。
[19] 浄化された水を飲料水として用いる、[1〜[18]のいずれかの水の浄化方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易且つ効率的に汚染水を浄化する方法を提供することができる。本発明の方法は、後進国において、汚染水を浄化し、生活水や飲料水を得るための方法として有用であるのみならず、工場や発電所からの排水処理の方法としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、汚染物質濃度が1μg/L以上10g/L以下である水に、平均粒径が100nm以上且つ500μm以下の吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質を含む浄化剤を添加すること、
水中の汚染物質の少なくとも一部を吸着剤に吸着させること、
汚染物質が吸着した吸着剤を、鉄系凝集剤及びアルカリ性物質の反応によって生じた水不溶性水酸化鉄の作用によって沈降させること、及び
沈降物を水から除去すること、
を含む水の浄化方法であって、
水1Lに対する前記浄化剤の添加量が0.01g以上20g以下であることを特徴とする、
水の浄化方法に関する。
【0020】
小粒径の吸着剤を用いることにより、吸着性能を向上させることができ、水からの汚染物質の吸着効率を改善することができるが、一方で、微粒子状の吸着剤自体を水から除去するのが困難になる。本発明では、平均粒径が所定の範囲の微粒子状の吸着剤を用いることにより、汚染物質の吸着効率を高めるとともに、鉄系凝集剤とアルカリ性物質とを共存させることにより、それらの反応から生じる水不溶性の水酸化鉄の作用によって、汚染物質が吸着した吸着剤を凝集・沈降させることができる。吸着剤が凝集した沈降物は、ろ過等の通常の作業により容易に除去することができる。従って、本発明によれば、種々の汚染物質を含む汚染水を、安価、簡便、かつ短時間(高効率)に浄化し、飲料水として使用可能な程度まで汚染濃度が低減された水を得ることができる。また、本発明によれば、種々の汚染物質を含む工場等の汚染水を浄化して、排水可能な程度まで汚染濃度が低減された状態にすることができる。
【0021】
本発明の方法の対象になる汚染水は、処理前の水1L中における汚染物質の重量は1μg以上10g以下であることが好ましく、10g未満であることがより好ましく、5μg以上1g以下であることがより好ましく、10μg以上0.1g以下であることが更に好ましい。この濃度範囲を超える汚染物質を含む水は、電気を使用せず、安価、簡便、かつ短時間に飲料に適した水へと浄化することが困難である。一方、この濃度範囲内の汚染物質を含む水であれば、本発明の浄化方法により、更なる浄化処理を行わずに、生活用水や飲料水として使用する程度まで、汚染物質を除去可能である。
【0022】
汚染物質の濃度が前記範囲の水としては、例えば、低濃度の汚染物質を含む井戸水、河川水、湖沼水等が挙げられ、本発明の方法は、これらを対象とする浄化方法として適する。勿論、より高濃度の汚染物質を含む汚染水、例えば、畜舎からの廃液、し尿、浄化槽汚泥、ゴミ埋め立て滲出汚水、めっき排液、鉱山排液、油濁水、パルプ工場排水、セメント排水、半導体製造工場からのフッ酸含有洗浄液等の浄化に、本発明を利用してもよい。その場合は、本発明の浄化方法を実施する前に、他の方法、例えば、より大きな粒径の吸着剤を用いた浄化作業等を1回以上行い、汚染物質濃度を上記範囲にした後に、本発明の浄化方法を実施するのが好ましい。
【0023】
本発明では、平均粒径が所定の範囲の吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質を含む浄化剤を使用する。汚染水に対する浄化剤の添加量が少ない場合、汚染物質の効果的な除去が困難である。一方、浄化剤の添加量が多い場合、汚染物質の効果的な除去が可能となるが、汚染物質を含有した沈降物(以下、「スラッジ」という場合がある)が大量に生成してしまうという問題点がある。それゆえ本発明において汚染物質を含む水1Lに対する浄化剤の添加量は0.01g以上20g以下であることが好ましく、20g未満であることがより好ましく、0.05g以上5g以下であることがより好ましく、0.1g以上1g以下であることが更に好ましい。
【0024】
本発明の特徴の一つは、平均粒径が所定の範囲の微粒子状の吸着剤を用いることにある。平均粒径が小さい微粒子状の吸着剤を用いると、吸着性能は改善するが、一方で吸着剤自体を水から除去するのが困難になる。本発明では、鉄系凝集剤とアルカリ性物質とを共存させることで、これらの反応により生じる水不溶性の水酸化鉄によって、汚染物質が吸着した吸着剤を凝集させ、その自重の作用により沈降させている。凝集剤によって取り囲まれ、大粒径化した沈降物は、通常のろ過作業等により、容易に水から除去される。吸着剤に対する鉄系凝集剤の割合が少ないと効果的な凝集が起こらず、浄化された水の回収が困難となる。一方、吸着剤に対する鉄系凝集剤の割合が多い場合は、吸着剤の効果的な沈降除去が可能となるものの、汚染物質を含有したスラッジが大量に生成してしまうという欠点がある。それゆえ、本発明に係わる浄化剤、即ち、吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性からなる浄水剤、の合計質量に対する吸着剤の割合は、40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上92.5質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。
【0025】
なお、本発明において、汚染水中の汚染物質は、吸着剤に吸着された状態で除去されるが、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、水中の汚染物質がそのまま、鉄系凝集剤とアルカリ性物質との反応により生じる水不溶性の水酸化鉄に取り囲まれて沈降し、吸着剤を含まない沈降物として水から除去されてもよい。また、汚染物質を吸着した吸着剤についても、本発明の効果を損なわない範囲で、その一部は沈降せず、その後の、ろ過等の処理によって、沈降物とともに除去されてもよい。
【0026】
本発明に使用可能な吸着剤の例には、無機化合物、有機化合物、及び金属錯体のいずれも含まれる。本発明において吸着剤として使用可能な無機化合物の例には、活性炭、ゼオライト、アルミナ、ジルコニア、酸化マンガン、アルミン酸マグネシウム、ポリアンチモン酸、層状ケイ酸塩、ベーマイト、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイト等が含まれる。本発明において吸着剤として使用可能な有機化合物の例には、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、及びキレート交換樹脂等が含まれる。本発明において吸着剤として使用可能な金属錯体の例には、フェロシアン化鉄、硫酸マグネシウムマンガン、ポルフィリン金属錯体、フタロシアニン金属錯体、シッフ(Schiff)塩基金属錯体、イミノジ酢酸金属錯体、及び多孔性金属錯体等が含まれる。本発明において吸着剤は、一種を単独で用いてもよく、また、複数種を併用してもよい。
【0027】
本発明において吸着剤の粒径は、10nm以上かつ500μm以下であることが好ましく、500μm未満であることがより好ましく、50nm以上100μm以下であることがさらに好ましく、75nm以上かつ50μm以下であることがよりさらに好ましく、100nm以上かつ15μm以下であることが特に好ましい。吸着剤の粒子径がこの範囲よりも小さい場合、吸着剤粒子を、前記凝集剤の作用により凝集沈降させることが困難であり、吸着剤の粒子径がこの範囲以上である場合、吸着剤を水全体へと分散させることが困難になるため、被吸着物質を短時間かつ効果的に吸着することが困難となる。
【0028】
吸着剤は、表面に細孔を有する多孔質体であるのが好ましい。細孔のサイズは、直径2nm以下のマイクロ孔、直径2〜50nmのメソ孔、直径50nm以上マクロ孔に分類されることがIUPACにより定義されている。本発明において吸着剤は、マイクロ孔を有することが好ましい。多様なサイズの被吸着物質除去の観点から、本発明においては、マイクロ孔を有する吸着剤とメソ孔を有する吸着剤を併用することが好ましく、マイクロ孔を有する吸着剤とメソ孔を有する吸着剤とマクロ孔を有する吸着剤とを併用することがより好ましい。
【0029】
本発明では、吸着剤として活性炭を使用してもよい。活性炭としては、植物質(木材、セルロース、のこくず、木炭、椰子殻炭、素灰等)、石炭質(泥炭、亜炭、褐炭炭、瀝青炭、無煙炭、タール等)、石油質(石油残査、硫酸スラッジ、オイルカーボン等)、パルプ廃液、合成樹脂などを炭化し、必要に応じてガス賦活(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、リン酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)したものを使用することが可能である。
【0030】
本発明では、吸着剤として、層状ケイ酸塩を使用してもよい。層状ケイ酸塩としては、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、マーガライト、タルク、金雲母、クリソタイル、緑泥石、バーミキュライト、カオリナイト、白雲母、ザンソフィライト、ディッカイト、ナクライト、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、アンチゴライト、ハロイサイト等を使用することが可能である。本発明において使用可能な層状ケイ酸塩の市販品としては、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製の合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製の合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製の合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製のサポナイト類似物質)、ベンゲル((株)豊順洋行販売の天然モンモリロナイト)、クニピアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(ME−100、コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)等を挙げることが可能である。
【0031】
本発明では、吸着剤として、ゼオライトを使用してもよい。ゼオライトとしては、天然および合成品のゼオライトを使用することが可能である。本発明において天然のゼオライトとしては、アナルシン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイト、フォジャサイト、モルデナイト、フィリップサイト等を用いることが可能である。本発明において合成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト等を用いることが可能である。
【0032】
本発明では、吸着剤として、陽イオン交換樹脂を使用してもよい。陽イオン交換樹脂としては、ジビニルベンゼンで架橋したアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのポリマーを加水分解して得られる弱酸性陽イオン交換樹脂、スチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーをスルホン化した強酸性陽イオン交換樹脂、等を使用することが可能である。
【0033】
本発明では、吸着剤として、陰イオン交換樹脂を使用してもよい。陰イオン交換樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーの芳香環に、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウムのいずれか結合した陰イオン交換樹脂等を使用することが可能である。陰イオン交換樹脂に結合しているアミノ基が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩となるのに伴い、陰イオン交換樹脂の塩基性は強くなる。
【0034】
本発明では、吸着剤として、キレート樹脂を使用してもよい。キレート樹脂としては、イミノジ酢酸、イミノジプロピオン酸、ポリアミン、アミノリン酸、イソチオウロニウム、ジチオカルバミン酸、グルカミン等の官能基が導入されたもの等を使用することが可能である。本発明において使用可能な市販のキレート樹脂としては、ダイヤイオン(三菱化学(株))CR10、CR11、CR20等、アンバーライト(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株))IRC718等、ダウエックス(ダウ・ケミカル日本(株))、デュオライト(住友化学(株))CS−346、ES−467等を挙げることが可能である。
【0035】
本発明では、上記した通り、吸着剤として多孔性が互いに異なる2以上の微粒子を用いることにより吸着効率を改善することができる。当該併用とともに、又はそれに代えて、互いに異なる物質に対する吸着性に優れる吸着剤を2種以上併用してもよい。1種のみの吸着剤では、汚染水中の全ての被吸着物質に万能と言うわけではないが、複数種を併用することで、汚染水中のより多くの種類の被吸着物質を除去可能となる。
【0036】
吸着剤は、種類によってそれぞれ、吸着特異性が異なる。
例えば、被吸着物質が有機化合物である場合、活性炭及びゼオライトのいずれか少なくも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは活性炭を選択することが有効である。
【0037】
また、被吸着物質がカチオン性化合物である場合、ゼオライト、層状ケイ酸塩、カチオン交換性樹脂、及びキレート樹脂のいずれか少なくも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくはゼオライト、及び層状ケイ酸塩の少なくとも1種を選択することが有効である。
【0038】
また、被吸着物質がアニオン性化合物である場合、ハイドロタルサイト、シュベルトマナイト、及びアニオン交換性樹脂のいずれか少なくも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイトの少なくとも1種を選択することが有効である。
【0039】
また、被吸着物質がフッ素である場合、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、及びジルコニアのいずれか少なくも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、アルミナを選択することが有効である。
【0040】
また、被吸着物質がヒ素である場合、活性炭、アルミナ、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイトのいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイトのいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効である。
【0041】
また、被吸着物質が6価クロムである場合、活性炭、ゼオライト、水酸化鉄、ハイドロタルサイト、及びベントナイトのいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、水酸化鉄、及びハイドロタルサイトのいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効である。
【0042】
また、被吸着物質がヨウ素である場合、活性炭、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ベーマイト、アパタイト、及びシクロデキストリン含有ポリマー架橋体のいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、ゼオライトを吸着剤として選択することが有効である。
【0043】
また、被吸着物質がセシウムである場合、活性炭、ゼオライト、モルデナイト、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及び酸化マンガンのいずれか少なくも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、ゼオライト、モルデナイト、及びフェロシアン化鉄のいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効である。
【0044】
また、被吸着物質がストロンチウムである場合、活性炭、ゼオライト、ポリアンチモン酸、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及びモンモリロナイトのいずれか少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効であり、好ましくは、ゼオライト、及びフェロシアン化鉄の少なくとも1種を吸着剤として選択することが有効である。
【0045】
本発明の方法を、低濃度の汚染物質を含む井戸水、河川水、湖沼水等から、安価、簡便、かつ短時間に飲料水を得るために利用する態様では、これらの水中には複数の汚染物質が溶解している可能性が高いため、1回の操作でより多くの汚染物質を取り除くため、吸着剤として、有機化合物、カチオン性化合物、アニオン性化合物、フッ素、ヒ素、6価クロムのいずれかに対する吸着剤を2種類組み合わせて使用することが好ましく、吸着剤3種類を組み合わせて使用することがより好ましく、吸着剤4種類を組み合わせて使用することが更に好ましい。
【0046】
本発明の方法を、ヨウ素やセシウムやストロンチウムの放射性同位体を微量に溶解している海水、冷却水、水道水等から、これらの放射性化合物を除去するために利用する態様では、吸着剤としては、ヨウ素の吸着剤とセシウムの吸着剤の2種類を併用することが好ましく、ヨウ素の吸着剤とセシウムの吸着剤とストロンチウムの吸着剤の3種類を併用することが更に好ましい。
【0047】
本発明に使用可能な鉄系凝集剤としては、特に制限はなく、アルカリ性物質との反応によって不溶性の水酸化鉄を生成し得る鉄系凝集剤をいずれも使用することができる。好ましい鉄系凝集剤の例には、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、及び硫酸第一鉄が含まれる。硫酸第二鉄、及び塩化第二鉄のいずれかを用いることが更に好ましい。2種以上を併用してもよい。
【0048】
鉄系凝集剤を用いることで、浄水用の凝集剤として一般的に用いられるアルミニウム系凝集剤を使用する場合と比較して、より高密度で凝集性に優れた沈殿を得ることが可能であり、且つアルミニウム系凝集剤を使用する場合と比較して、より広いpH範囲で沈殿を生成させることが可能となる。
【0049】
本発明において、前記鉄系凝集剤と反応して、不溶性の水酸化鉄を生成するアルカリ性物質についても特に制限はない。本発明に使用可能なアルカリ性物質の例には、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が含まれる。2種以上を併用してもよい。消石灰(水酸化カルシウム)等のカルシウムイオンを含むアルカリ性物質を用いることもできるが、浄化された水中に大量のカルシウムイオンが残存してしまう。このような水は飲料水としては必ずしも適していないため、本発明においては、ナトリウムイオンを含むアルカリ性物質を用いることが好ましい。水酸化カルシウムは、水に対する溶解度が低く溶解に時間がかかる、という観点からも、短時間で水を浄化することを目的とする本発明への適用には好ましくない。
【0050】
前記浄化剤は、前記鉄系凝集剤及び前記アルカリ性物質を、質量比で3:1〜1:3の範囲で含有しているのが好ましく、2:1〜1:2の範囲で含有しているのがより好ましい。但し、使用する材料によって好ましい範囲も変動するので、前記範囲に限定されるものではない。
【0051】
また、前記鉄系凝集剤及び前記アルカリ性物質の形態については特に制限はない。後述する添加方法に応じて、粉末状又は液体状で用いることができる。
【0052】
本発明では、前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、水溶性ポリマーを汚染水に添加してもよい。水溶性ポリマーが高分子凝集剤として機能し、水酸化鉄の微細沈殿が架橋され、金属水酸化物の凝集体サイズが大きくなり(Flocculation)、沈殿生成時間の短縮、ろ過性の向上が達成される。
【0053】
水溶性ポリマーとしては、ノニオン性水溶性ポリマー、カチオン性水溶性ポリマー、アニオン性水溶性ポリマーのいずれも用いることが可能である。これらの水溶性ポリマーは、単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
【0054】
本発明において、ノニオン性水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコール又はその誘導体、澱粉またはその誘導体、ポリビニルピロリドン又はその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリルアミド又はその誘導体、ポリメタクリルアミド又はその誘導体、ゼラチン、カゼイン等を使用することが可能である。
【0055】
本発明において、カチオン性水溶性ポリマーとして、キトサン、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化ポリメタクリルアミド、ポリアミドポリウレア、ポリエチレンイミン、アリルアミン又はその塩の共重合体、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合体、ジアリルアルキルアミン又はその塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウ共重合体、ジリルジアルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とジアリルアミン又はその塩もしくは誘導体との共重合体、ジアルキルアミノエチルアクリレート4級塩の重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート4級塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、アミン−カルボン酸共重合体、等を使用することが可能である。
【0056】
本発明において、アニオン性水溶性ポリマーとして、ポリスチレンスルホン酸、ポリアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、マレイン酸共重合物、リグニンスルホン酸及びその誘導体、オキシ有機酸、アルキルアリルスルホン酸、ゼラチン・ニカワ等の水溶性タンパク質及び誘導体、等を使用することが可能である。これらのアニオン性水溶性ポリマーは、対応する金属塩として使用することも可能である。
【0057】
前記水溶性ポリマーの好ましい例には、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリアクリル酸が好ましく、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物が含まれる。
【0058】
前記水溶性ポリマーの分子量は5万以上であることが好ましく、10万以上であることがより好ましく、100万以上であることが更に好ましく、1000万以上であることがよりさらに好ましい。
【0059】
前記水溶性ポリマーとして合成ポリマーを使用する場合、未反応のモノマーの残存量が少ないことが好ましい。すなわち、本発明において合成ポリマーを用いた場合、本発明に基づく処理を行った後の水中における残存モノマー量は、5.0μg/L以下であることが好ましく、1.0μg/L以下であることがより好ましく、0.5μg/L以下であることが更に好ましい。
【0060】
なお、本発明において、水溶性ポリマーは、粉末として水に添加してもよく、また、水溶液として水に添加してもよい。粉末として添加する態様では、あらかじめ浄化剤と混合して添加してもよい。
【0061】
本発明では、前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、酸化剤を汚染水に添加してもよい。酸化剤を使用することで、水中の微生物の殺菌や水溶性有機化合物の酸化分解が可能となる。本発明において使用可能な酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩素、二酸化塩素、次亜塩素ナトリウム、次亜塩素カルシウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、オゾン、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、等が挙げられる。前記酸化剤は、好ましくは、過マンガン酸カリウム、次亜塩素ナトリウム、次亜塩素カルシウム、過炭酸ナトリウムのいずれかである。これらの酸化剤は、単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
【0062】
前記酸化剤の形態については特に制限はない。粉末として、水溶液として、又は気体として、水に添加することができる。粉末として添加する態様では、あらかじめ浄化剤と混合して添加してもよい。酸化剤を粉末として使用する場合、過塩素酸カルシウム、過炭酸ナトリウムのいずれかを用いることが好ましく、過塩素酸カルシウムを用いることがより好ましい。室温で気体であるオゾンや塩素は、気体として水に添加することが好ましい。
【0063】
本発明において、前記浄化剤を構成する3成分をあらかじめ混合して添加してもよいし、それぞれ別々に添加してもよい。以下に、可能な添加の態様を列挙する。
添加方法1:吸着剤、粉末状態の鉄系凝集剤、及び粉末状態のアルカリ性物質を、同時に添加する。
添加方法2:吸着剤を添加し、水全体に分散させた後、粉末状態の鉄系凝集剤、及び粉末状態のアルカリ性物質を添加する。
添加方法3:吸着剤を添加し、水全体に分散させた後、液体状態の鉄系凝集剤、及び液体状態のアルカリ性物質を添加する。
添加方法4:吸着剤を添加し、水全体に分散させた後、液体状態の鉄系凝集剤、及び粉末状態のアルカリ性物質を添加する。
【0064】
吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質の全てを一袋に包装することができ、且つ添加操作が単純であるという観点からは、添加方法1が好ましい。一方、少ない吸着剤使用量で効果的な吸着を行うという観点からは、第1ステップとして吸着剤を添加し、被吸着物質を十分に吸着させた後、第2ステップとして鉄系凝集剤とアルカリを添加する、添加方法2〜添加方法4が好ましい。
【0065】
添加方法1により水の浄化を行う場合、吸着剤、鉄系凝集剤、アルカリ性物質の粒径がほぼ等しい場合に、粉末状態における効果的な均一混合が達成される。粉末状態で均一混合された吸着剤、鉄系凝集剤、アルカリ性物質を同時に水に添加することで、各成分の局所的な濃度分布を生じさせない状態での混合が可能となる。このことにより、系全体での均一な沈殿生成が達成され、被吸着物質の効率的な除去が可能となる。それゆえ本態様では、鉄系凝集剤、およびアルカリ性物質の粒径は、吸着剤と同様の粒径である、10nm以上かつ500μm以下であることが好ましく、500μm未満であるのがより好ましく、50nm以上100μm以下であることがより好ましく、75nm以上かつ50μm以下であることがさらに好ましく、100nm以上かつ15μm以下であることがよりさらに好ましい。
【0066】
本発明において、少ない吸着剤使用量で効果的な水の浄化を行う場合、上記した通り、第1ステップとして吸着剤を添加し、被吸着物質を十分に吸着させた後、第2ステップとして鉄系凝集剤とアルカリを添加することが好ましい。発明者は種々の検討の結果、水溶性ポリマー存在下で吸着剤を分散させることが、吸着剤の短時間での均一分散にとって有効であることを見出した。それゆえ本発明において水溶性ポリマーを使用する場合、第1ステップとして水溶性ポリマーを添加し、第2ステップとして吸着剤を添加し、被吸着物質を十分に吸着させた後、第3ステップとして鉄系凝集剤とアルカリを添加することが好ましい。
【0067】
汚染水に、吸着剤が添加されると、汚染水中の汚染物質が吸着剤に吸着するとともに、鉄系凝集剤とアルカリ性物質との反応によって生成した不溶性の水酸化鉄が、吸着剤の周りを取り囲み、凝集体を形成する。該凝集体の大きさは、平均粒径0.5mm〜5mm程度になる。凝集体の大きさが大きいほうが、水からの除去が容易になり、また沈降効率も向上する。大きな凝集体を形成させるためには、上記浄化剤を添加した後、水を攪拌することが望ましい。本発明において水の攪拌時間は、好ましくは2分間以上であり、より好ましくは2分30秒間以上であり、さらに好ましくは5分間以上であり、よりさらに好ましくは10分間以上である。攪拌時間により生じた凝集体の大きさが異なり、10分間以上の攪拌により最も大きな凝集体を形成することが可能となり、ろ過が容易となる。
【0068】
水中の凝集体は、自重により沈降し、汚染物質を含有したスラッジとなって、容器の下部に沈殿する。上澄みの水とスラッジとは、特別な装置を使用することなく、安価且つ簡便に分離可能である。例えば、スラッジは、布あるいは砂を用いて濾別されることが好ましく、布を用いて濾別されることがより好ましい。
【0069】
スラッジを除去し、浄化された水に、さらに処理を施してもよい。
処理後の水に、UV照射することも可能である。この操作により、水中に存在する微生物の殺菌が可能となる。
【0070】
また、処理後の水を、用途に応じて、pHを調整してもよい。例えば、飲料水として好ましいpHは、5.0以上9.0以下であるので、処理後の水のpHを前記範囲にすることで、飲料水として利用可能な水を得ることができる。飲料水として利用するためには、pHを5.8以上8.6以下に調整することがより好ましく、6.5以上7.5以下にすることが更に好ましい。
【0071】
本発明の方法は、飲料水の製造に利用可能である。本発明の方法によれば、電気を使用することなく、飲料水として利用可能な程度まで汚染物質を除去可能であるので、電気の使用が困難な新興国において飲料水を得るのに特に有用である。さらに、新興国においてのみならず、地震等の災害時に上水道システムが破壊された場合、又は登山やキャンプ等の上水道が完備されていない地域において、飲料水を得るためにも特に有用である。
【0072】
また、本発明の方法は、ヨウ素やセシウムやストロンチウムの放射性同位体を微量に溶解している海水、冷却水、水道水等から、これらの放射性化合物を除去することにも利用可能なである。ヨウ素やセシウムやストロンチウムの放射性同位体を微量に溶解している海水を浄化する場合、海水自身に元々溶解している塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウム等を除去することは必ずしも必要ではなく、放射性同位体を含むヨウ素、セシウム、ストロンチウム等を選択的に除去することが好ましい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0074】
1.実施例1
(1)混合凝集剤00〜03の準備
下記表に記載の組成の混合凝集剤00〜03をそれぞれ準備した。
【0075】
【表1】

【0076】
(2)吸着剤の準備
下記表に記載の平均粒径を有する活性炭A〜Dをそれぞれ準備し、吸着剤として使用した。なお、平均粒径は、光学顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡によりその形態を観察し、球相当径の平均値から求めた
【0077】
【表2】

【0078】
(3)メチレンブルー(MB)に対する除去性能評価
水溶性化合物としてメチレンブルー(MB)を選択し、下記表に記載の組み合わせで、上記混合凝集剤01と、活性炭A〜D(吸着剤)のいずれかとを組み合わせて使用し、水溶液からのメチレンブルーの除去性能をそれぞれ検討した。
【0079】
具体的には、600ppmのメチレンブルーを含む水溶液500mLに対し、混合凝集剤 207mg、及び吸着剤 250mgを同時に添加し、10分間攪拌した。活性炭を含む水酸化鉄の沈殿が生じた。各サンプルについて、攪拌終了から5分後、60分後、及び24時間後に、上澄み液を採取し、その吸光度から、メチレンブルーの濃度を算出した。得られた結果を下記表に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
本発明である、平均粒子径が100μm以下の活性炭A又はBを吸着剤として使用しているサンプル03およびサンプル04は、平均粒子径が100μm以上の活性炭C又はDを吸着剤として使用しているサンプル05およびサンプル06と比較して、極めて短時間にメチレンブルーの除去が行われることが確認され、本発明の効果が証明された。
【0082】
なお、107mgの混合凝集剤00を脱イオン水500mLに入れ、10分間混合したが、沈殿は生成しなかった。一方、207mgの混合凝集剤01を脱イオン水500mLに入れ、5分間攪拌した結果、茶褐色の沈殿と無色透明の上澄みが得られた。凝集剤としての主成分である水酸化鉄の沈殿を得るためには、アルカリ性物質の添加が必須であることが証明された。
【0083】
2.実施例2:無機凝集剤の効果
下記表に記載の組み合わせで、上記混合凝集剤01〜03のいずれかと、活性炭A〜D(吸着剤)のいずれかとを組み合わせて使用し、水溶液からのメチレンブルーの除去性能をそれぞれ検討した。対象水溶液として、600ppmのメチレンブルーを含むpH6.9およびpH8.5の水溶液500mLをそれぞれ準備した。いずれのサンプルについても吸着剤の添加量は250mgとし、混合凝集剤については、サンプル08及びサンプル11では、凝集剤01を206.3mg;サンプル09及びサンプル12では、凝集剤02を206.3mg;サンプル10及びサンプル13では、凝集剤03を172.5mg;それぞれ添加した。
【0084】
各対象水溶液に対して、吸着剤と各混合凝集剤とを同時に添加した後、10分間攪拌した。活性炭を含む水酸化鉄(サンプル9、サンプル10、サンプル11、サンプル12)、あるいは、活性炭を含む水酸化アルミニウム(サンプル10、サンプル14)の沈殿が生じた。各サンプルについて、60分後に、木綿布を用いて沈殿を濾別し、得られた濾液の吸光度から、メチレンブルーの濃度を算出した。得られた結果を下記表に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
平均粒径10μmである活性炭Aのみを含み、凝集剤を全く含まないサンプル07およびサンプル11は、添加後60分では活性炭Aが系全体に分散しており、木綿布を用いた濾過によっても、濾液中に活性炭が分散しており、メチレンブルーの濃度測定は不可能であった。これに対し、本発明の実施例である、塩化第二鉄を含む混合凝集剤01と活性炭Aとを組み合わせたサンプル08及びサンプル12、硫酸第二鉄を含む混合凝集剤02と活性炭Aとを組み合わせたサンプル09及びサンプル13はいずれも、処理の60分後にはメチレンブルーが活性炭に完全に吸着された後に沈殿し、生じた沈殿が木綿布によって完全に濾別され、メチレンブルーは濾液中に全く存在しないことが確認された。即ち、本発明の効果が証明された。
【0087】
一方、硫酸アルミニウムを含む混合凝集剤03と活性炭Aとを組み合わせた比較例では、pHが6.9の場合はメチレンブルーの完全な除去が達成されるものの、pHが8.5の場合には水酸化アルミニウムによる凝集沈降が不十分であり、一部の活性炭が分散した状態で残ってしまった。それゆえ木綿布を用いて濾過を行った場合、分散した活性炭が濾液中に残存してしまうことが証明された。
【0088】
3.実施例3:ヒ素の除去性能
水溶性化合物としてヒ素(3価)を選択し、下記表に記載の組み合わせで、上記混合凝集剤01と、活性炭Aとを組み合わせて使用し、水溶液からのヒ素の除去性能をそれぞれ検討した。
【0089】
具体的には、250ppbのヒ素を含む水溶液500mLに対し、混合凝集剤01 207mg、及び活性体A(吸着剤) 250mgを同時に添加し、10分間攪拌した。吸着剤を含む水酸化鉄の沈殿が生じた。各サンプルについて、攪拌終了から10分後に、上澄み液を採取し、その原子吸光分析から、ヒ素濃度を算出した。得られた結果を下記表に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
混合凝集剤01のみを添加したサンプル17でも、優れたヒ素除去性能を示したが、本発明の実施例である、混合凝集剤01と活性炭Aとを含むサンプル18を添加することにより、ヒ素の完璧な除去が可能であることが確認され、本発明の効果が証明された。
【0092】
4.実施例4:攪拌時間と沈降性の関係
上記混合凝集剤01と、活性炭Aとを組み合わせて使用し、攪拌時間と、水溶液からのメチレンブルーの沈降性との関係をそれぞれ検討した。対象水溶液として、500ppmのメチレンブルーを含む、pH6.9である500mLの水を準備した。この水溶液に対して、混合凝集剤01の207mgと、吸着剤(活性炭A)の250mgとを同時に添加した後、下記表に記載の攪拌時間でそれぞれ攪拌して、サンプルを調製した。
【0093】
各サンプルについて、攪拌停止から5分後、60分後、24時間後に、吸着剤の分散の程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:上澄みは完全に無色透明。
○:大部分の活性炭は沈降しているが、一部分の活性炭は分散している。
△:大部分の活性炭は分散しているが、一部分の活性炭が沈降している。
×:活性炭が完全に分散している。
結果を、下記表に示す。
【0094】
【表6】

【0095】
吸着剤を効果的に沈降させるためには、攪拌時間を長くすることが効果的であることが証明された。攪拌を2分間以上行えば、沈降速度を顕著に高めることができ、2分30秒間以上行えば、沈降速度はほぼ上限値に達することが理解できる。
【0096】
5.実施例5:無機凝集剤の効果
500ppmのメチレンブルーを含む、pH6.9である水溶液500mLに対し、250mgの活性炭Aを添加した後、下記表に記載の所定の量の混合凝集剤02となる様に、硫酸第二鉄、炭酸ナトリウム、及びポリアクリルアミドBの水溶液を、別々に添加し、その後、10分間攪拌した。攪拌停止から60分後における活性炭の分散の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:上澄みは完全に無色透明。
○:大部分の活性炭は沈降しているが、一部分の活性炭は分散している。
△:大部分の活性炭は分散しているが、一部分の活性炭が沈降している。
×:活性炭が完全に分散している。
得られた結果を、下記表に示す。
【0097】
【表7】

【0098】
活性炭Aの質量比が40%以下であるサンプル26は、メチレンブルーが完全に除去された無色透明の上澄みが得られているが、大量のスラッジが生成している。一方、活性炭Aの質量比が95%以上であるサンプル31〜33は、活性炭Aが完全に水に分散しており、除去することが困難である。これに対し、活性炭Aの質量比が40%以上95%以下であるサンプル27〜30は、ほぼすべての活性炭が沈降凝集していることが確認され、特に活性炭Aの質量比が60%以上90%以下であるサンプル28及びサンプル29では、メチレンブルーが完全に除去された無色透明の上澄みが得られ、且つスラッジの生成量もそれほど多くないことが確認され、本発明の効果が証明された。
【0099】
6.実施例6:水中からのヨウ素の除去性能
水溶性化合物としてヨウ素を選択し、凝集剤と吸着剤とを組み合わせた場合の、水溶液からのヨウ素の除去性能に関して検討した。
0.05molのヨウ素溶液1000μLを含む水500mLに対し、混合凝集剤02 207mg、吸着剤 250mgを同時に添加し、10分間攪拌した。活性炭を含む水酸化鉄の沈殿が生じた。上澄み中のヨウ素濃度を、希釈溶液の濃度の吸光度から算出した。得られた結果を下記表に示す。
【0100】
【表8】

【0101】
本発明である、平均粒子径が100μm以下の吸着剤(活性炭A)を使用しているサンプル35のみ、極めて効果的なヨウ素の除去が行われることが確認され、本発明の効果が証明された。
【0102】
7.実施例7:3.5%NaCl水溶液からのヨウ素の除去性能
水の代わりに3.5%NaCl水溶液を用いた以外は、実施例6と同様の実験を行い、処理前後のヨウ素濃度を確認した。得られた結果を下記表に示す。
【0103】
【表9】

【0104】
海水と同程度の塩濃度である、3.5%NaCl水溶液中に溶解しているヨウ素溶液を用いた場合にも、本発明である平均粒子径が100μm以下の吸着剤を使用しているサンプル38のみ、極めて効果的なヨウ素の除去が可能であることが確認され、本発明の効果が証明された
【0105】
8.実施例8:水中からのセシウムの除去性能
水溶性化合物としてセシウムを選択し、混合凝集剤と吸着剤とを組み合わせた場合の、水溶液からのヨウ素の除去性能に関して検討した。
炭酸セシウムを含む水溶液500mLに対し、混合凝集剤02 207mg、及び粒径2μmのモルデナイト 250mgを同時に添加し、10分間攪拌した。モルデナイトを含む水酸化鉄の沈殿が生じた。上澄み中のセシウム濃度を、1万倍希釈したサンプルのICP−MSによる分析により測定した。得られた結果を下記表に示す。
【0106】
【表10】

【0107】
本発明である、平均粒子径が100μm以下の吸着剤を使用しているサンプル41は、効果的なセシウムの除去が行われることが確認され、本発明の効果が証明された。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明によれば、簡易且つ効率的に汚染水を浄化する方法を提供することができる。本発明の方法は、後進国において、汚染水を浄化し、生活水や飲料水を得るための方法として有用であるのみならず、工場や発電所からの排水処理の方法としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質濃度が1μg/L以上10g/L以下である水に、平均粒径が100nm以上且つ500μm以下の吸着剤、鉄系凝集剤、及びアルカリ性物質を含む浄化剤を添加すること、
水中の汚染物質の少なくとも一部を吸着剤に吸着させること、
汚染物質が吸着した吸着剤を、鉄系凝集剤及びアルカリ性物質の反応によって生じた水不溶性水酸化鉄の作用によって沈降させること、及び
沈降物を水から除去すること、
を含む水の浄化方法であって、
水1Lに対する前記浄化剤の添加量が0.01g以上20g以下であることを特徴とする、水の浄化方法。
【請求項2】
前記浄化剤の全質量における前記吸着剤の割合が、40質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の水の浄化方法。
【請求項3】
前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、水溶性ポリマーを添加する、請求項1又は2に記載の水の浄化方法。
【請求項4】
沈降物を布あるいは砂で濾過することより、水から除去する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項5】
前記吸着剤が、活性炭及びゼオライトのいずれかを少なくとも含み、水中の有機化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項6】
前記吸着剤が、ゼオライト、層状ケイ酸塩、カチオン交換性樹脂、及びキレート樹脂のいずれか少なくとも1種を含み、水中のカチオン性化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項7】
前記吸着剤が、ハイドロタルサイト、シュベルトマナイト、及びアニオン交換性樹脂のいずれか少なくとも1種を含み、水中のアニオン性化合物が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項8】
前記吸着剤が、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、及びジルコニアのいずれか少なくも1種を含み、水中のフッ素が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項9】
前記吸着剤が、活性炭、アルミナ、ハイドロタルサイト、及びシュベルトマナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中のヒ素が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項10】
前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、水酸化鉄、ハイドロタルサイト、及びベントナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中の6価クロムが少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項11】
前記吸着剤が、ゼオライト、ハイドロタルサイト、ベーマイト、アパタイト、及びシクロデキストリン含有ポリマー架橋体のいずれか少なくも1種を含み、水中のヨウ素が少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項12】
前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、モルデナイト、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及び酸化マンガンのいずれか少なくも1種を含み、水中のセシウムが少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項13】
前記吸着剤が、活性炭、ゼオライト、ポリアンチモン酸、バーミキュライト、フェロシアン化鉄、及びモンモリロナイトのいずれか少なくも1種を含み、水中のストロンチウムが少なくとも吸着する吸着剤である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項14】
2種類以上の吸着剤を併用することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項15】
前記鉄系凝集剤が、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、及び硫酸第一鉄のいずれか少なくとも1種を含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項16】
前記鉄系凝集剤及び前記アルカリ性物質がそれぞれ、平均粒径が100nm以上かつ500μm以下の粉末である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項17】
前記浄化剤とともに、又は前記浄化剤とは別に、酸化剤を添加する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項18】
前記沈降物を除去した後、水のpHを5.0以上9.0以下に調整することを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の水の浄化方法。
【請求項19】
浄化された水を飲料水として用いる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の水の浄化方法。

【公開番号】特開2013−696(P2013−696A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136206(P2011−136206)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】