説明

水中油型乳化組成物

【課題】 アミノ酸を含有し、なめらかな使用感を有し、おかつ経時安定性に優れた水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 (A)D−アミノ酸又はその塩、(B)高級脂肪酸の1種又は2種以、及び(C)亜硫酸塩を含有し、pHが6.5以上である水中油型乳化組成物を提供する。本発明は、D体のアミノ酸を配合することにより経時又は光による変臭・変色を抑制することができ、さらに石鹸系乳液に特有のなめらかな感触を有するとともに乳化安定性にも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸を含有する皮膚外用剤に関する。より詳細には、D−アミノ酸及び/又はその塩を含有し、経時の変色及び変臭を抑制した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸又はその誘導体は、それらが有する保湿効果等を期待して、従来から美容成分として皮膚外用剤に配合されている。
しかしながら、アミノ酸は他の配合成分や外気中の酸素等と反応して変質し、経時的に変色あるいは変臭を生じることが知られており、香料などを添加して変臭をマスキングしたりすることが必要であった。
【0003】
特許文献1には、アミノ酸等とグリセリンなどとが共存する含水化粧料において生ずる変臭・変色を防止するために、炭酸グアニジン、塩酸アミノグアニジン、塩酸セミカルバジド等の含窒素化合物を添加することが記載されている。
特許文献2には、亜硫酸塩等の水溶性還元剤及び/又はエチレンジアミン四酢酸等のキレート剤を添加することにより、アミノ酸等を配合した含水化粧料における変臭・変色の防止方法が記載されている。
【0004】
特許文献3には、特許文献2において添加されているキレート剤とピリドキシルセリンとを併用することにより、比較的高濃度(実施例では12%まで)のアミノ酸又は誘導体を配合した皮膚外用剤における経時での着色や変色を抑制したことが記載されている。
しかしながら、上記の従来技術では、特定のアミノ酸又はその塩酸塩によって生じる変臭を完全に抑制できない場合があり、変臭又は変色の抑制効果が確認されているのはL−アミノ酸を配合した製剤に限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−136810号公報
【特許文献2】特開平8−231335号公報
【特許文献3】特開2005−255634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、アミノ酸による様々な効果を有し、なおかつ変臭や変色を生じない水中油型乳化組成物であって、使用性にも優れた組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、石鹸系乳液にD−アミノ酸及び/又は塩を配合し、更に亜硫酸塩を組み合わせて配合することにより、D−アミノ酸が有する有利な効果を発揮し、なめらかな使用性で、なおかつ経時又は光による変色を抑制し、安定性に優れた乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)D−アミノ酸及び/又はその塩、(B)高級脂肪酸の1種又は2種以、及び(C)亜硫酸塩を含有し、pHが6.5以上である水中油型乳化組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配合したD−アミノ酸に基づく効果(バリア回復、抗酸化、保湿等の効果)を有するのみならず、石鹸系乳液が持つ滑らかな使用性を有し、さらに経時又は光による変色が抑制された安定性に優れる水中油型乳化組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の乳化組成物は、D−アミノ酸又はその塩((A)成分)を必須に含有している。周知のように、アミノ酸には、光学異性体としてL体とD体とが存在し、天然のタンパク質はL−アミノ酸がペプチド結合したものである。細菌の細胞壁などの一部の例外を除き、ヒトを始めとする哺乳類の体内にはL−アミノ酸のみが存在し、生体はL−アミノ酸のみを利用していると考えられてきた。したがって従前は、学術的あるいは産業的に注目され研究されてきたアミノ酸はL−アミノ酸のみであった。
【0010】
例外的にD−アミノ酸が使用されていたケースとしては、(1)細菌に産生させる抗生物質の原料とする場合、(2)アミノ酸を化学合成した際に等量得られるL−アミノ酸とD−アミノ酸混合物(ラセミ体)からL−アミノ酸のみを分取するコストを省くために、そのままDL−アミノ酸混合物として配合した食品添加物に含有される場合などが挙げられる。
【0011】
最近、ヒトにおいても、加齢に伴って眼の水晶体、脳、あるいは皮膚などに本来存在しないはずのD−アスパラギン酸(D−Asp)が増加することが明らかにされ、白内障やアルツハイマー病の発症との関係などが議論されるようになった(木野内忠稔 等、「蛋白質 核酸 酵素」第50巻、第5号(2005年)453−560頁)。皮膚においても、老化や紫外線照射によりD−Aspが蓄積することが見出され、D−Aspを老化や紫外線による皮膚ダメージを知るための分子マーカーとして応用することが提案されている(藤井紀子、コスメトロジー研究報告、第13号(2005年)。しかし、D−アミノ酸を生理活性物質として積極的に使用した例は知られていない。
【0012】
本出願人は、D−アミノ酸の生理活性に関する研究を進めており、これまでに、D−アスパラギン酸による抗酸化効果及びコラーゲン産生促進効果、D−アラニンによるラミニン332産生促進効果及びコラーゲン産生促進効果、D−グルタミン酸によるバリア回復機能、しわ形成軽減効果、及び肌あれ軽減効果、D−ヒドロキシプロリンによるラミニン332産生促進効果及びメラニン生成抑制効果、並びに、D−セリン、D−システイン、D−メチオニン及びD−プロリンによる紫外線障害軽減効果などを確認している。
【0013】
本発明は、前記のような事情により、従来は化粧料、特に皮膚化粧料や皮膚外用剤には配合されてこなかったD−アミノ酸をL−アミノ酸に代えて配合した場合、L−アミノ酸を配合した製剤に見られたような変臭・変色が抑制されることを見出した点に特徴を有している。
【0014】
本発明に用いられるD−アミノ酸((A)成分)としては、D−グルタミン酸、D−リジン又はD−アルギニンから選択するのが好ましい。また、本発明におけるD−アミノ酸は遊離酸の形態でも塩の形態でもよく、塩の種類としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、塩酸塩などが挙げられる。
【0015】
本発明において用いられるD−アミノ酸及びその塩は、合成したものでも市販品でもよい。
D−アミノ酸の製造方法としては、例えば、アシル化アミノ酸に細菌由来のD−アミノアシラーゼを作用させて得る方法等が知られている(特開平11−113592号公報参照)。
本発明のD−アミノ酸又はその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明の乳化組成物は、D−アミノ酸又はその塩に加えて高級脂肪酸((B)成分)を必須成分として含有する。
本発明で使用される高級脂肪酸((B)成分)としては、特に限定されないが、炭素数8〜22の高級脂肪酸、たとえば、牛脂、羊脂などの動物油脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、綿実油等の植物油脂等を常法により高圧分解して得られる脂肪酸混合物やこれらを分離精製して得られるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸等が挙げられる。これらは単独で使用しても、複数種を併用しても良い。
【0017】
即ち、本発明の水中油型乳化組成物は、高級脂肪酸を配合した石鹸系乳化物であり、なめらかさ、しっとり感、使用後の肌のやわらかさといった使用感を有しているが、経時安定性を良好にするためにpHを高めにしている。具体的には、本発明の乳化組成物のpHは、6.5以上である。pHの上限は特に限られないが、通常は9.5以下とする。
【0018】
本発明の乳化組成物は、亜硫酸塩((C)成分)を必須成分として含有する。
本発明者等が検討したところ、L−アミノ酸に代えてD−アミノ酸を配合することによって変色や変臭は抑制されるが、配合される基剤のpHが高い場合には光安定性が低下して変色の問題を生じることが見出されていた。しかし、そのような組成物に亜硫酸塩を添加することにより光安定性が向上し変色などを抑制することができる。
【0019】
本発明で使用される亜硫酸塩((C)成分)としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸カルシウムから選択される1種又は2種以上であり、ピロ亜硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0020】
本発明の乳化組成物におけるD−アミノ酸又はその塩の配合量は、通常は0.001〜30質量%、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%である。配合量が0.001質量%未満であると本発明の効果が十分でなく、30質量%を越えて配合しても効果の更なる向上は見られない。
【0021】
本発明の乳化組成物における高級脂肪酸剤の配合量は、通常は0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。配合量が0.01質量%未満であると乳化安定性が低下し、10質量%を越えて配合すると、べたつきといった使用性の面で悪影響がでる場合がある。
【0022】
本発明の乳化組成物における亜硫酸塩の配合量は、通常は0.001〜0.1質量%、好ましくは0.001〜0.01質量%である。配合量が0.001〜0.1質量%の範囲外となると、変色の防止が十分でなくなる場合がある。
【0023】
本発明に係る乳化組成物には、皮膚外用剤等に通常用いられる任意成分、例えば液状油分、界面活性剤、粉末、色材、水、アルコール類、増粘剤、シリコーン類、酸化防止剤(抗酸化剤)、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、各種薬効成分、防腐剤、中和剤、pH調整剤等を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて適宜配合することができる。
【0024】
上記任意成分のうち、液状油分の具体的な例としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、月見草油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固型油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナバロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアレン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル等のエステル油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の直鎖、分岐高級アルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、パーフルオロヘキサン、トリパーフルオロ−n−ブチルアミン等のパーフルオロカーボンないしパーフルオロポリエーテル等を挙げることができる。
【0025】
界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム等のカチオン系界面活性剤;2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキシド−1−カルボキシエチロキシ二ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸塩等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POE・メチルポリシロキサン共重合体等の親油性非イオン性界面活性剤;POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリンジステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEコレスタノールエステル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという。)モノブチルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POE脂肪酸アミド、POEアルキルアミン、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド等の親水性非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0026】
粉末としては、例えば、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト(絹雲母)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン(酸化チタンコーテッドマイカ)、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、赤色228号、赤色226号、青色404号、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、セルロース粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等を挙げることができる。
【0027】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;コレステロール、シトステロール、ラノステロール等を挙げることができる。
【0028】
増粘剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガントカム、ガラクタン、キャロプガム、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン(トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、コメ)等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、POE系高分子、POEポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等の水溶性高分子等を挙げることができる。
【0029】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸オクチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等の紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸等を挙げることができる。
【0030】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEGという。)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキストリン等を挙げることができる。
【0031】
薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;アズレン、グリチルリチン等の抗炎症剤;アルブチン、4−メトキシサリチル酸、トラネキサム酸、エチルビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等の美白剤、エストラジオール等のホルモン類;酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤;その他塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、イオウ等を配合することができる。さらに多様な薬効を示す各種抽出物を配合することができる。すなわちドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、チョウジエキス、マロニエエキス、ヤグルマギクエキス、海藻エキス、タイムエキス等を挙げることができる。
【0032】
防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等)、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノール等を挙げることができる。
【0033】
上記の他に、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、水酸化カリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等の中和剤;乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤;アスコルビン酸、α−トコフェロール、カロチノイド等の抗酸化剤を配合することができる。
なお、上記成分は例示であり、これらに限定されるものではない。またこれら成分は、所望する形態に応じた処方に従い、適宜組み合わせて配合することが可能である。
【0034】
本発明の皮膚外用剤は、乳液、クリーム、化粧水といった化粧料として提供することができる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。なお配合量は特記しない限りすべて質量%である。
まず、本発明に用いた評価方法について説明する。
【0036】
<変色>
(評価方法)
下記表1に掲げた組成の皮膚外用剤を調製し、光照射後に、女性専門パネル(20名)によって変色の有無に関する官能試験を行い、下記評価規準により評価した。評価結果を表1に併記する。
(評価基準)
○:変色を感じた人数が20名中1名以下
○△:変色を感じた人数が20名中2名以上5名以下
△:変色を感じた人数が20名中5名以上10名以下
×:変色を感じた人数が20名中11名以上15名以下
××:変色を感じた人数が20名中16名以上
【0037】
<乳化安定性>
試料を50℃で1ヶ月間放置した後の外観を目視・顕微鏡にて観察し、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:ブツ(結晶析出物)が見られなかった
×:ブツ(結晶析出物)が確認された
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示した結果から明らかなように、アミノ酸を配合しない比較例1は乳化安定性に優れ、変色も生じない。一方、L−アミノ酸を配合したことによる変色をD−アミノ酸に代えることにより改善することはできたが(比較例2と3)、さらに亜硫酸塩を配合することにより顕著な変色抑制効果が得られた(実施例1)。また、D−アミノ酸、高級脂肪酸及び亜硫酸塩を含有していても、pHが6.5未満である場合には安定性が低下した。
【0040】
以下、さらに本発明の他の実施例を示す。
なお、以下の実施例についても前記と同様の特性評価を行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
【0041】
実施例2:乳液
成分 配合量(質量%)
精製水 残余
エチルアルコール 3
グリセリン 5
ブチレングリコール 5
ジプロピレングリコール 5
ステアリン酸 0.3
ベヘニン酸 0.3
イソステアリン酸 0.3
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
ベヘニルアルコール 1
カルボキシビニルポリマー 0.15
アミノヒドロキシメチルプロパンジオール 0.15
硬化油 1
スクワラン 4
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
メチルポリシロキサン 2
トラネキサム酸 2
D−グルタミン酸ナトリウム 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
【0042】
製造方法:
油溶性成分を油分に溶解後、70℃に加温した(油相)。他方、水溶性成分を精製水に溶解し、70℃に加温した(水相)。この水相に前述の油相を添加攪拌混合した後、室温まで冷却し、乳液を得た。
【0043】
実施例2:乳液
成分 配合量(質量%)
精製水 残余
グリセリン 10
ブチレングリコール 4
ジプロピレングリコール 4
ステアリン酸 0.4
ベヘニン酸 0.4
イソステアリン酸 0.4
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
ベヘニルアルコール 3
水酸化カリウム 0.1
硬化油 2
スクワラン 6
ワセリン 3
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4
メチルポリシロキサン 1
4−メトキシサリチル酸カリウム 1
D−リジン 0.2
パラベン 適量
香料 適量
【0044】
製造方法:
油溶性成分を油分に溶解後、70℃に加温した(油相)。他方、水溶性成分を精製水に溶解し、70℃に加温した(水相)。この水相に前述の油相を添加攪拌混合した後、室温まで冷却し、クリームを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)D−アミノ酸又はその塩、(B)高級脂肪酸の1種又は2種以、及び(C)亜硫酸塩を含有し、pHが6.5以上である水中油型乳化組成物。
【請求項2】
D−アミノ酸が、D−グルタミン酸、D−リジン及びD−アルギニンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
亜硫酸塩がピロ亜硫酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−36118(P2012−36118A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176612(P2010−176612)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】