説明

水処理システムおよびプロセス

水を処理するためのシステムおよび方法が記載される。水は、給水をカーボンフィルタ(10)、微粒子フィルタ(20)および電気化学脱イオン装置(30)に通すことによって浄化される。水は、調理、洗浄および飲料製造に適格となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムおよびプロセス、より詳しくは、人間の消費向けに浄化した水を生成するための水処理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浄化した水は、人間の消費向けと同様に、化学、食品、電子、電力、医療および製薬工業を含む多くの産業において使用されている。一般に、これらの分野のいずれにおいても使用前に、水は汚染物質のレベルを許容レベルまで低減するために処理される。これらの処理技法は、殺菌、蒸留、濾過、イオン交換、逆浸透、光酸化、オゾン化および、それらの組合せを含む。
【0003】
異なる最終用途に応じて各種レベルの純度が要求される。水質は、米国環境保護局(EPA)および食品医薬品局(FDA)を含む種々の政府機関および通商団体によって規制されている。
【0004】
飲料産業は、健康要求条件と同様に環境要求条件を満たさなければならない相当量の水を消費する。飲料が消費に安全であることを保証する規則に加えて、飲料産業は、品質管理に基づいたさらなる基準に直面している。例えば、微生物に関する連邦規則を満たす給水が、製品品質に影響を及ぼし得る風味や臭いといった付加的なパラメータに関する飲料製造者の品質管理基準を満たさないことがあり得る。これらの基準は、硬度(カルシウム、マグネシウムおよびシリカ含有量)、重炭酸塩、pH、全浮遊物質(TSS;total suspended solids)、総溶解固形分(TDS;total dissolved solids)、色、風味および温度を含み得る。
【0005】
これらのパラメータの管理は、飲料産業自体の分散構造によって複雑になっている。例えば、世界規模の飲料の製造者は一般に、世界中至る所に多くの製造地点を有する。これらの地点の各々は、他の工場によって使用されるものとは異なる給水を入手できる。連邦規制は米国における飲料製造において使用される水の健康および安全要求条件を標準化するのを助けているが、これらの基準は他の国のものとは大きく異なる。これらの異なる基準は、風味、臭いおよび外観といった要因に影響を与えることがあり得る。これは、大きな領域全体にわたり単一の商標の下で飲料を市販する製造者にとって重要となる。例えば、ある国のある地域で飲料を消費する顧客は、それを購入する場所に関わらずその飲料に同じ外観および風味を期待するであろう。この種の一貫性を保証するために、飲料製造者は、飲料が製造される場所に関わらず飲料製造において使用される水が同一または類似の基準を満たすことを要求する。この目標を達成する1つの方法は、水処理プロセスの使用によるものである。
【0006】
多くのボトリング工場について水質を保証することは一般に、使用され得る各種種類の給水に関して最小コストで達成され得る測定可能かつ達成可能な水質基準の賦課を必要とする。こうした品質管理問題は、ソーダファウンテン販売店が含まれる場合、履行および管理がよりいっそう難しくなる。ソーダファウンテン販売店は一般に、即時的な現場または近傍での消費用に飲料が製造されるそれらの場所である。一般に、ソーダファウンテン販売店では、水が香味シロップおよび、炭酸飲料の場合には二酸化炭素と混合される。飲料はその後、直接消費者に供せられる。ソーダファウンテン販売店によって提供される利点には、かさばる製品を出荷または保管しないことから得られる節約がある。これらおよび他の利点のために、何百万ものライセンス契約のソーダファウンテン販売店が世界中で営業している。
【0007】
消費者は一般に、各自が店から缶またはビンで購入するか、またはソーダファウンテン販売店からカップで購入する選択を行うかどうかに関わらず、各自の飲料において一貫した品質を期待する。水質が飲料の風味および外観に影響を及ぼし得るので、飲料ライセンサがボトラーに対してと同様にソーダファウンテン販売店に対する水質基準を付与することは重要である。ソーダファウンテン販売店に対する水質基準に影響し得るいくつかの要因が存在し、そのうちの2つは利用可能な水源および水を処理するコストである。
【0008】
ソーダファウンテン販売店は種々の場所に存在し得るので、ソーダファウンテン飲料を製造するために使用される水源もまた異なり得る。これらの水源は、例えば、自治体の給水、地表水、井戸水、降水および淡水化した海水を含み得る。これらの水源の各々は、たとえ1種類の給水、例えば井戸水の範囲内でさえ、異なる品質の水を供給することがあり得るし、供給される水の種類および品質は場所ごとに一貫していない。
【0009】
さらに、ソーダファウンテン販売店は、レストラン、軽食堂、コンビニエンスストアなどで普通に見られ、これらの場所の多くにおいて、水処理の費用は収益性に影響を及ぼし得る。それゆえ、飲料製造者およびライセンサは、一貫した風味および外観に対する消費者の要請を、低コストな給水に対する販売店の必要性と釣り合わせなければならない。加えて、販売店経営者は信頼性を気にかけており、例えば、水処理システムが故障した場合、ソーダファウンテン販売店での飲料製造は停止することになる。システム保守もまた重要であり、一般にその目標はそれほど複雑でない手順で、より少ない頻度での保守のためである。
【0010】
水処理システムの能力もまた、ボトラーによって要求されるものと異なる。一般に、出力要求条件はソーダファウンテン販売店では相当に低いが、それでもやはりシステムはピーク需要時に十分な供給量の高品質な水を生成できなければならず、ソーダファウンテン販売店が不使用の期間を経るかもしれないので、水処理システムは不使用期間後に需要がありしだい高品質な水を供給することができなければならない。
【0011】
異なる井戸水源は、ソーダファウンテン販売店向けの水処理システムの設計者に難題を提示するかもしれない。井戸水は、風味および外観に関与し得る懸濁物質だけでなく、重炭酸塩および溶解した固体といった高濃度の溶解物質を含有し得る。例えば、水は、高濃度のカルシウム、マグネシウムまたはシリカを有する硬水かもしれず、総溶解固形分(TDS)に関与する付加的なイオン物質を含有し得る。さらに、溶存ガスと同様、有機物質が存在するかもしれず、pHおよび緩衝能力は広範に変化するかもしれず、単一の井戸からの水の組成は経時的に、または異なる使用レベルにより変化し得る。
【0012】
飲料製造および他の産業用の高純度の水を生成するための種々の水処理システムおよびプロセスが存在する。これらのシステムの中には、塩素注入機およびオゾン処理装置といった殺菌装置、フィルタ、軟水器、逆浸透システムおよび化学イオン交換装置がある。
【0013】
殺菌装置は一般に、給水中の生存能力のある微生物の濃度を低減するために使用される。これは、例えば塩素、オゾンまたはアンモニアなどの殺菌剤を直接給水に添加し、それにより病原性有機体を死滅させることによって達成され得る。代替として、微生物は加熱または紫外線による処理といったプロセスによって死滅され得るし、または微生物は濾過によって水から物理的に除去され得る。化学殺菌剤を使用する場合、たいてい消費前に水から殺菌剤を除去することが望ましく、これは化学中和および濾過による除去を含む多くの方法によって遂行され得る。
【0014】
濾過は、給水から懸濁物質を除去するために使用されるが、また溶解種またはコロイド種の除去も助成するかもしれない。フィルタは、砂、珪藻土または粒状活性炭(GAC)といった粒子状物質を含む多様な材料から構成され得るか、またはポリマーおよび繊維材料を含む多くの異なる材料から構成され得る膜に基づいてもよい。フィルタは一般に、水を通過させる一方、懸濁物質の通過を防ぐことによって機能する。フィルタを評価する1つの方法は、どれ程の大きさの粒子がフィルタによって保持されるかに関する情報を付与するその「孔径」によるものである。超濾過といった一部の方法は、一部の溶解種を排除するために十分に小さい孔径を有し得る。
【0015】
水は、カルシウムまたはマグネシウムイオンの存在によって悪影響を受ける。「硬度」として知られる、一般に200ppm(CaCO3換算mg/L)超のこれらの高濃度のカチオンは、装置および配管にスケールまたは他の付着物を残す水をもたらす。一般に、カルシウムおよびマグネシウムは、カルシウムおよびマグネシウムイオンを代替カチオン(たいていナトリウム)と交換することによって水から除去(軟化)される。軟水器は一般に樹脂ビーズを収容しており、この樹脂ビーズは2個のナトリウムイオンをすべてのカルシウムまたはマグネシウムイオンと交換し、カルシウムまたはマグネシウムイオンは処理された水から除去される。定期的に、軟水器は、樹脂ビーズに十分な供給量のナトリウムまたは代替カチオンを補給するために再充填される。
【0016】
逆浸透(RO)は、給水からの溶解種の除去をもたらす濾過技法である。一般に、水が高圧でRO膜の一方側に供給され、浄化した水が膜の低圧側から回収される。RO膜は、例えば溶解したイオン種などの他の合成物が高圧側で保持される一方、水が膜を通過し得るように構成されている。しかし、重炭酸塩といった一部の種は保持されない。高濃度のイオン種を含有する「濃縮物」はその後、放出または再循環されるが、一般に低減した濃度のイオン種を含有する浸透液は以後の使用のために回収される。
【0017】
飲料製造システム用に水を浄化するために現在使用されるシステムが、図1に例示されている。給水は、コンジット150を通じて、給水中に浮遊し得るあらゆる粒子状物質を除去するのを助ける微粒子フィルタ110へ通過する。水はその後、コンジット151を通りポンプ140に進む。ポンプ140は水に圧力をかけて、水はコンジット152を通りRO装置120に進む。RO装置120において、浄化した水が膜の低圧側から回収され、コンジット153を通り貯蔵タンク130に進む。十分な供給量の浄化した水が貯蔵タンク130に収容されると、それはコンジット154に接続されたポンプ(図示せず)を通じて飲料製造システムに引き出され得る。
【0018】
脱イオン装置もまた、給水から種々のイオン種を除去するために使用され得る。脱イオン装置は一般に、特定のカチオンおよびアニオンを代替イオンで置換するために化学的または電気的どちらかの脱イオンを使用する。化学脱イオンでは、給水に含まれるイオンを置換するためにイオン交換樹脂が使用される。樹脂上のイオンは、再充填流体を樹脂床内に定期的に通すことによって再充填される。この流体は、カチオン交換樹脂に供給量の水素イオンを補給する酸としてよい。アニオン交換樹脂の場合、樹脂は塩基を樹脂内に通し、あらゆる結合アニオンを水酸基と置換し、付加的なアニオン除去のために樹脂を準備することによって補給され得る。
【0019】
しかし電気脱イオンでは、単数または複数の樹脂は、脱イオン装置への通電の水分解から生成される水素および水酸化物イオンによって補給され得る。連続電気脱イオン(CEDI)では、給水が処理される間にイオンは置換され、従って別個の再充填ステップは必要でない。一般に、給水は最初にRO膜に通されて、給水中に存在するイオン種の全濃度を低減する。これは、CEDI装置への負荷を低減し、スケールおよび付着物が装置の濃縮室において堆積するのを防ぐ。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の1態様において、水を浄化する方法が提供される。この方法は、給水を供給することと、水の硬度をCaCO3換算5〜100ppmの範囲に低減することと、水のアルカリ度をCaCO3換算10〜100ppmの範囲に低減することと、低減したアルカリ度および低減した硬度の水を人間の消費向けに供給することとを含む。
【0021】
別の態様において、水処理システムが提供される。この水処理システムは、給水入口と、給水入口および給水出口に流体連通している電気化学脱イオン装置と、給水出口と流体連通している飲料製造装置とを含む。
【0022】
さらに別の態様において、飲料製造のために水を浄化する方法が提供され、この方法は、浄化した水の流れを生成するために電気化学脱イオン装置に給水を供給するステップと、浄化した水の流れをソーダファウンテン飲料製造装置に供給するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態を添付図面にて例証として説明するが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明は、人間の消費向けに水を効果的に処理するための水処理システムおよびプロセスに向けられている。本発明は、食品および飲料産業の要求条件を満たす一貫した高品質の給水を生成するために多様な給水により使用され得る。種々の実施形態において、浄化した水は例えば、調理、飲用、高温および冷温飲料製造、醸造、洗浄および/または製氷において使用され得る。
【0025】
飲料製造者は、本発明が特に好適となり得る特定の要求条件を有するかもしれない。例えば、ソーダファウンテン飲料製造者は、他の製造者によって使用されるものとは大きく異なる給水を使用するかもしれないが、それでもやはり飲料会社によって要求される生成水の仕様は、ある製造地点と隣の地点とで厳密に一致するか、または少なくとも特定の範囲内にあるとしてよい。それゆえ、自治体の地表水給水を源として使用しているある製造者は塩素のレベルを低減することを必要とするかもしれないし、自己自身の井戸を入手できる別の製造者は重炭酸塩およびカルシウムのレベルを低減する必要があるかもしれない。本発明は、多様な源から一貫した供給量の処理された水を生成するうえでのその汎用性のために、広範囲にわたる製造者に適用可能となり得る。
【0026】
本発明は、飲料製造装置に浄化した水を供給するために使用され得る。飲料製造装置は、人間の消費向けの飲料を製造するために水を使用するあらゆる装置である。飲料製造装置は、炭酸または非炭酸飲料を製造するために使用され得るし、また、浄化した飲用水を提供することもできる。一部の飲料製造装置は、水にシロップ濃縮物を、そして炭酸飲料の場合には二酸化炭素も加えることによって飲料を提供する。ソーダファウンテン飲料製造装置は、保管または出荷のためよりもむしろ、現場または近傍での即時的な消費向けに飲料を製造するものである。ソーダファウンテン飲料は一般に、冷却した水を用いて製造されるが、製造後に冷蔵されない。ソーダファウンテン飲料装置は、レストラン、軽食堂、ガソリンスタンドおよびコンビニエンスストアにおいてたいてい見られる。場合によっては、それらは可搬型であることもあり得る。
【0027】
本発明の別の態様において、電気化学脱イオン装置が浄化した水を生成するために使用され得る。電気化学脱イオン装置は、水サンプルおけるイオン化合物の濃度を低減するために電流または電界を使用するあらゆる装置とすることができる。本発明の一部の電気化学脱イオン装置は、いかなる可動部品も備えないか、かつ/または濾過膜を持たない。電気化学脱イオン装置の例は、電気透析(ED)、極性転換方式電気透析(EDR)、電気脱イオン(EDI)、容量性脱イオン、連続電気脱イオン(CEDI)および極性転換方式連続電気脱イオン(RCEDI)を含む。
【0028】
電気化学脱イオン装置、使用方法および製作方法は、例えば、ギフリーダ(Giuffrida)他による米国特許第4632745号、第4925541号、第4956071号および第5211823号において、ガンジ(Ganzi)による米国特許第5259936号において、ガンジ他による米国特許第5316637号において、オーレン(Oren)他による米国特許第5154809号において、ケデム(Kedem)による米国特許第5240579号において、リアーン(Liang)他による米国特許出願第09/954986号および米国特許第6649037号において、アンデルマン(Andelman)による米国特許第5192432号において、マーティン(Martin)他による米国特許第5415786号において、ファーマー(Farmer)による米国特許第5425858号において記載されている。
【0029】
例えばソーダファウンテン飲料販売店に於けるように飲料製造のために水を浄化する水処理システムは、給水の種類、場所および予想水需要といった要因に基づいて包含または除外され得る多様な装置を用いて伝統的に設計されてきた。例えば、井戸水を使用する現場は化学イオン交換軟水器を含むかもしれないのに対し、自治体給水を使用する現場は逆浸透(RO)装置、貯蔵タンクおよびポンプを使用するかもしれない。1態様において、本発明は、一貫した品質の浄化した水を生成するために1個以上の電気化学脱イオン装置に基づくシステムを提供する。このシステムは、異なる種類の給水を使用する種々の場所に設置され得る。CEDIまたはRCEDIといった電気化学脱イオン装置は、飲料製造のために多すぎずも少なすぎもしない不純物を含有する水を供給するために「調整」され得る。例えば、給水が高レベルの硬度およびTDSを含有する場合、装置のプロセス条件はより大量の不純物を除去するように変更され得る。給水が低レベルの不純物を含有する場合、装置は、過度に純粋な水を生成することを避けるためにより少なく汚染物質を除去するように調整することができる。装置は、生成水の伝導率または需要率といった状態の変化に応じて操作者によって手動で、または自動的に調整され得る。それゆえ、需要率、装置効率または給水品質といったシステムの変化は、調整によって自動的に補償され得る。装置は、効率の多くの変化が、例えば構成要素を交換することではなく調整によって補償され得るので、ほとんど、またはまったく保守を必要としない。調整は操作者にとって容易である。
【0030】
1実施形態において、装置は飲料製造のためだけの水を供給することに専用とすることができ、装置の生成出力は、ソーダファウンテン販売店といった飲料製造システムに専用に配管され得る。そのような場合、電気化学脱イオン装置は、飲料製造装置に専用に流体連通している。他の実施形態において、生成水は、例えば食品の準備、飲用水および食器洗浄といった他の目的に使用される。
【0031】
一般に、ROシステムは相当の貯蔵量を必要とする。なぜなら、ROシステムは給水から一部の溶解物質を除去する点で効率的であるが、これらのシステムは、需要時に必要な流量を十分に供給することができず、むしろ必要な時にそこから引き出すことができる貯蔵装置に処理された水を収集するように機器構成されるからである。それゆえ、本発明は、従来のROに基づくシステムに優る多くの利点を提供し得る。電気化学脱イオンシステムは、1、2、3、5または10ガロン/分を超える一定した、または需要時流量を供給することができる。ソーダファウンテン飲料ディスペンサで使用されるもののような一部の実施形態の場合、電気化学脱イオン装置は、20未満、10未満または5未満ガロン/分の生成能力を有し得る。より小容量のシステムは、レストラン、場内売店、コンビニエンスストアなどでの使用に最も適切な大きさに作ることができる。これらの容量のシステムは、約9平方フィートの占有面積に適合する大きさに作ることができ、水処理システムの設置に付加的な空間の造成を必要とすることなく多くのソーダファウンテン販売店において使用され得る。
【0032】
使いやすさおよび動作の節約は、ソーダファウンテン飲料操作者にとって重要である。一般に、ソーダファウンテン操作者は、水処理に熟達しておらず、絶え間ない監視または操作者からの入力を要さずにそれ自体で動作するシステムを好む。本発明のシステムは、それが自動監視することができ、水質を予備試験する要求条件を伴わずに一日24時間、需要時の水を供給することができるので、この環境に好適となり得る。加えて、保守が必要な場合、手順は単純で決まり切っていることが好ましい。例えば、システムは、事前設定された間隔で、または例えば水質などの特定のパラメータが一定のレベルに達した時に切り替えられ得るGACカートリッジおよび微粒子フィルタカートリッジを使用することができる。
【0033】
電気化学脱イオン装置は、部分的にまたは完全に保守不要である。例えば、RCEDIシステムでは、あらゆるスケールの堆積は、システムの極性を切り替えることによって停止または逆転され得る。樹脂は、区画室内部または膜との界面における現場加水分解によって再充填され得る。効率の一時的または永久的な低下または増大は、自動的に生起し得るプロセス条件の変更によって補償され得る。プロセス条件の変更は、電圧または電流の変化、またはイオン枯渇、イオン濃縮または電極区画室中の流量の変化、またはそれらのいずれかの組合せを含み得る。
【0034】
米国特許第4956071号に記載の通り、極性転換方式連続電気脱イオン(RCEDI)装置は、電極の極性を周期的に逆転するように構成されたCEDI装置である。希釈区画室および濃縮区画室もまた機能を交替させる。一部の実施形態において、本発明で使用されるRCEDI装置は、ほとんど、またはまったく保守を要さずに動作し得る。さらに、RCEDI装置が故障する場合、それは一般に緩徐にそうなるので、依然許容可能な品質の水を生成しながら、装置を修理してもらう機会を操作者に与える。一方、ROシステムが故障する場合、それは瞬時に起こり得るので、それが修理されるまで浄化した水を生成することができない結果となる。RCEDI装置は、例えば、給水または生成水の品質に応答してプロセス条件を調整できる手動または自動コントローラによって動作され得る。
【0035】
1態様において、本発明のシステムは、代替システムよりも低い電力要求条件を有する。例えば、ROおよび化学脱イオンシステムは一般に、適正な動作に必要な圧力を達成するために付加的なポンプを必要とするが、本発明は水道圧で許容可能な品質の水を生成可能であり得て、約20ゲージpsi未満の供給圧で動作可能であり得る。一部の実施形態では、いかなるポンプも使用されず、必要な唯一の圧力は水道圧によって付与される。システムは容易に利用可能な電力供給源を用いて設計され得るので、高額な付加的な配線の必要性をなくす。
【0036】
スペース要求条件もまた、特にソーダファウンテン飲料製造者にとって、重要になる。例えば、ポンプ、貯蔵タンクおよび電源といったようなかさばる構成要素の排除を随意選択的に可能にすることによって、システムは、比較的小さい面積に、すでに適位置にある製造装置の再配置をおそらく必要とすることなく、設置される。加えて、例えば付加的なポンプを削除することによって、システムは、ROまたはイオン交換といった代替システムよりも著しく静かな動作を付与することができ、従って、騒音が懸念される現場において特に適切である。
【0037】
ブラインおよび濃縮物の処分もまた著しく低減され得る。一般に、とりわけ軟水器および化学脱イオン装置は周期的な再充填を必要とし、この再充填によって低pHレベルを有するかまたは高レベルの塩を含有する廃水の著しい発生をもたらす。廃水の処分は、ユーザが満たさなければならない付加的な規制要求条件を誘発する。これは、地域の汚水処理システムまたは他の廃水処分施設へのブラインおよび他の再充填流体の放出を規則により禁止または規制している地域において、より大きな懸念となる。本システムは、そのような装置を電気化学脱イオン装置で置き換えることによって、無駄に放出されるそれらの流体の量を相当に低減し得る。一部の実施形態では、水道水から受けた総溶解固形分への正味増加はまったく存在しない。
【0038】
水の使用は、本発明の1つ以上の態様を具体化することによって最小限にされ得る。本発明のシステムは、その水の使用に関してROといった代替システムよりも効率的である。例えば、本発明のシステムは、給水の約55、60、65、70または75%を超える回収率が達成可能であるように動作する。これは、匹敵する品質の水を生成する2パスROシステムで一般に達成可能である50〜55%回収率より有利である。加えて、本発明は、始動時に、飲料製造に直ちに使用可能な水を生成することができる。代替システムは、供給水が使用されるために十分な品質となるまで初期の水量が放出される必要がある。例えば、再充填後、化学脱イオンシステムは、ある期間にわたり約3のpHの水を生成することがある。このpHの水は飲料製造には適格ではなく、従って、無駄に放出する必要がある。さらに、本システムの出力は、設計出力の約50〜150%の範囲にわたり調整され、なおかつ許容可能な品質の水を生成することができる。これは、給水が、指定された用途に要求されるものより高い純度の水を生成するのに無駄に使用される必要がないことを意味する。反対に、水質を高める必要がある場合、所望の結果を達成するためにプロセス条件への類似の調整が行われ得る。調整はコントローラによって手動または自動的に行われ得る。
【0039】
本発明の1実施形態が図2に図示されている。コンジット11を通じてシステムに進入する前に、給水は最初にいくつかの方式で前処理することができる。「前処理」は、電気化学的装置に進入する前に水質が変えられることを意味する。前処理は、水との間で物質を添加または除去するか、または水質を変えることを含む。例えば、水は化学的または物理的技法を用いて殺菌される。化学殺菌は一般に給水への酸化剤の添加を含む。これらの酸化剤は、塩素、クロラミン、オゾンまたはアンモニアを含む。水が非化学技法によって殺菌されるべきである場合、微生物を死滅または少なくとも部分的に非活性化させるために十分な温度である長さの時間にわたり加熱される。あるいは、水は、紫外線といった放射線により殺菌されるか、または関心のある微生物を濾外することによって殺菌される。
【0040】
エアレーションもまた、前処理ステップとして何らかの利益を付与することができる。エアレーションは、化学反応を促進するか、または水から化合物を物理的に除去するために、給水中に一定量の空気(または他のガス)を泡立たせることを含む。例えば、エアレーションは塩素およびクロラミンといった残留殺菌剤を除去する際に役立ち得る。加えて、エアレーションは、水中に存在するかもしれないトリハロメタン(THM)を含む揮発性および半揮発性有機化合物を除去するうえで助けとなり得る。エアレーションはまた、給水中の硫化水素(H2S)およびラドンの濃度を低減し得るだけでなく、有機物および/または鉄といった金属を酸化するのに役立ち得る。溶液における鉄の酸化は、酸化鉄といった沈殿物の形成をもたらし、それは溶解した鉄よりも給水から分離するのが容易になり得る。比較的高濃度の鉄を含有する給水は、それが飲料の風味および臭いに関与し得るので、溶液から鉄を除去するために前処理されることが好ましい。
【0041】
使用され得る別の前処理技法は凝集剤で処理することである。例えばミョウバンなどの凝集剤の添加は、それらがより容易に給水から分離されるように懸濁微粒子を凝集するうえで助けとなり得る。これは、本発明の微粒子フィルタにおいて濾外される必要がある微粒子の減少をもたらし、それゆえフィルタの寿命を延長させる結果となり得る。凝集剤の使用はエアレーションと組み合わせてもよい。
【0042】
1態様において、本発明は、他の浄化方法によって生成され得る水よりも純粋ではない水を提供する。しばしば、飲料製造者は、純粋ではあるが過度に純粋ではない水を好むことがあり得る。例えば水が、例えば約50ppm未満、約20ppm未満または約10ppm未満などの極めて低いレベルのTDSを含有する場合、この水は飲料の風味に否定的な影響を及ぼす。加えて、腐食性といった他の特性は、過度に純粋な水によって影響を受ける。従って、例えばROなどの一部の浄水技法は、飲料製造装置にとって一般的に望ましいよりもさらに純粋である水を提供することがあり得る。
【0043】
風味要求条件を満たすために十分なTDSおよびアルカリ度を含有する水を供給する1つの方法は、(それ自体で過度に純粋であるはずの)純水を高レベルのアルカリ度およびTDSを含有する給水または他の水と混合することである。適正な混合比率は、適切な風味特性を有する水をもたらし得る。当然、これは、付加的なステップ、バルブ、ポンプ等を伴う。鉱物または他の可溶性種もまた、純水に添加される(または添加して戻される)。一部の実施形態において、飲料品質の水は、浄化した水に物質を加えることなく生成され得る。
【0044】
別の態様において、人間の消費向けの浄化した水は、例えば、鉱物、塩、硬度、アルカリ度、CO2またはTDSなどといった所望の範囲の溶解種を得るために浄化した水をより純粋でない水と混合することなく生成することができる。一部の実施形態において、給水中の1つ以上の不純物は、高低の不純物濃度の水を混合することなく所望のレベルに低減され得る。例えば硬度、TDSおよびアルカリ度といった不純物のレベルは、電気化学脱イオン装置といった単一の装置を用いて単一のステップにおいて所望のレベルに低減され得る。水は最初に所望の範囲以下のレベルまで浄化される必要はなく、例えば一部のROシステムでなされ得るように、より高い範囲で不純物を含有する水と混合される必要はない。このシステムは、1つ以上の不純物についての目標レベル以下に水を浄化することなく操作され得る。電気化学脱イオンを用いて、目標範囲は、電気化学脱イオン装置の動作条件を調整することによって直接達成することができる。
【0045】
一部の実施形態において、電気化学脱イオン装置は、水質に関して制御および調整され得る。生成水の品質を管理および調整するオプションは、飲料製造に適格となり得る一貫した所定の品質の浄化した水を製造するために使用できる給水の種類および品質を拡大することができる。電圧、アンペア数、流量および逆転サイクルタイミングといったプロセス条件は、手動または自動的に変更され得て、例えば、浄化した水の品質、濃縮水の品質または給水の品質に応答して行われ得る。プロセス条件はまた、温度および需要率といった水質とは無関係な要因の変化に起因して調整される。プロセス条件の変更は、装置の除去効率の変更を含み得る。例えば、過度に低いTDSレベルが検出された場合、装置の効率は、より少ない不純物が水から除去されるように低下され得る。これは例えば、CEDIまたはRCEDI装置への電流を低減することによって行うことができる。同様に、TDSレベルが所望の範囲を超えている場合、装置の効率は、電流を増大させるかまたは流れを低減することによって高めることができる。他の実施形態において、効率は、電気化学脱イオン装置への給電を種々の間隔でオン/オフする(サイクルさせる)ことによって変更することができる。例えば、装置内での一定の流体流れを維持しながら、電流をサイクル時間の90%オンし、サイクル時間の10%の間オフにすることができる。これは、装置がサイクル時間の100%オンされた電流で動作された時に生成される水に比べて約90%の不純物が除去されている浄化した水をもたらし得る。何らかのサイクリングが、電流が通電されない期間に生じる生成水の品質で起こり得るばらつきを回避するために短時間にわたり行い得る。例えば、サイクリングは、毎分未満に、または毎10秒未満に生起する。
【0046】
電気化学脱イオン装置は加熱殺菌が可能である。電気化学脱イオン装置が加熱殺菌可能である場合、処理の間に通常水と接触している装置の表面は、病原性微生物を死滅させるかまたはそれらの繁殖を防止するために十分な温度まである長さの時間にわたり高められ得る。例えば、温度は、50、60、70、80、85または90℃超まで高められる。装置は、10分、30分または1時間を超える期間にわたり高温にさらされる。加熱殺菌可能である電気化学脱イオン装置の例およびそれらの使用方法は、アルバ(Arba)他、「電気脱イオン装置および使用方法」、米国特許出願第09/954986号、公報第20020144954号において提示されている。
【0047】
1実施形態において、CEDIまたはRCEDI装置を通る電流は、給水から除去されるイオン物質の量を増減するために調整され得る。多くの場合、混合はまったく必要ない。別の実施形態では、浄化した水の品質レベルが設定されている場合、1つ以上のプロセス条件が、給水品質の変化または、システムの効率または性能の変化に応答して調整され得る。この種の調整はまた、種々の給水を有する異なる施設において類似の設計が使用されている時にも使用される。例えば、電気化学脱イオン装置は、軟水または硬水いずれかの給水を有する自治体の源または井戸源からの給水を供給している場所で使用されるために十分に汎用的である。電気化学脱イオン装置の動作を調整するPLCといったコントローラがシステムに含まれ、生成水の品質、水流、給水温度、生成水温度、給水品質および操作者入力といった多くの要因に反応することができる。それゆえ、フィードバック制御システムが、例えば、所望の浄化した水の品質、給水品質、温度、使用率および、装置および関連機器の状態の変化に応じて一貫した品質の浄化した水を供給するために具体化され得る。伝導率、硬度、アルカリ度およびTDSといった特性に関する許容範囲は、例えば需要、給水品質、温度および装置効率の変化とは独立に単一の装置により維持され得る。
【0048】
一部の飲料用途では、水の貯蔵を低減することが好ましいことがあり得る。RO装置に基づくシステムは一般に、RO装置の一般に低速な生成速度に部分的に起因して、需要を満たすために下流での貯蔵を必要とする。あらゆる貯蔵された水は微生物が成育する環境を付与するかもしれず、付加的な殺菌および監視を要求するよりもむしろ、場合によっては完全に貯蔵を回避するほうがより効率的である。それゆえ、本発明の1実施形態において提供されるような「オンデマンド」型システムは、ソーダファウンテン飲料製造装置または、例えば飲料(水を含む)販売機、コーヒーメーカー、食器洗浄機および自動車洗車施設の流し水などの水の貯蔵の低減から利益を得るあらゆる用途での使用に理想的である。オンデマンド型システムは、例えば浄化された後1分未満に使用されるなど、即時的使用のために水を浄化できるものである。オンデマンド型システムは一般に、浄水装置と、例えばソーダファウンテン飲料装置などの使用地点との間にいかなる貯蔵タンクも持たない。何らかのパイプまたはチューブが浄水装置と使用ポイントとの間に存在するが、このパイプまたはチューブの全容積は一般に約1リットル未満である。一部の実施形態では、浄水装置の下流にポンプが存在する必要はない。オンデマンド型システムはまた、例えば終夜期間などの不使用期間の直後に飲料製造に適格な水を供給することができる。このシステムは水を使用する前に水洗する必要はない。
【0049】
図2に図示の通り、本発明のシステムは、カーボンフィルタ10といった多くのオプション構成要素を含み得る。カーボンフィルタは一連の処理装置における最初のものである。カーボンフィルタ10に供給される給水の圧力は、圧力計76によって監視され得る。カーボンフィルタ10は、有機化合物ばかりでなく、塩素およびクロラミンといった残留殺菌剤を含む、任意の数の汚染物質の除去を助成することができる。カートリッジはその除去効率が低下した時に迅速かつ容易に交換できるので飲料製造場所において好適とされ得るカートリッジ形式を含む、あらゆる形式のカーボンフィルタが使用され得る。あるいは、カートリッジは単に使用時間または全容積スループットに基づいて交換してもよい。一般に、飲料製造現場は、カーボンを再生するための装備がないので、交換式カートリッジをよりいっそう魅力的にさせる。使用され得る他の形式のカーボンフィルタは、カーボンブロックフィルタおよび粒状活性炭(GAC)を含む。異なる形式の複数のカーボンフィルタを平列または直列で使用してもよい。例えば、カーボンブロックフィルタを、GACを収容するフィルタと直列に使用してもよい。好ましくは、カーボンフィルタ10は、給水から風味および臭気合成物を除去するその能力のために、飲料産業における使用に特に適格となり得るGACを含む。カーボンフィルタ10は、それらの属性をコストおよびサイズの考慮事項とバランスを保ちながら、フィルタ全体の圧力低下および流れ制限を最小限にし、交換しなければならない頻度を低減する大きさに作ることが好ましい。より好ましくは、フィルタは、カーボン単独では効率的に除去され得ないいずれかの重金属または他の汚染物質の除去を助成するためにゼオライトといった添加物を含有することができる。
【0050】
給水がカーボンフィルタを通過した後、それは微粒子フィルタ20といった別の前処理装置に供給することができる。微粒子フィルタ20は、給水から粒子状物質を除去することができる任意のフィルタとしてよい。そのようなフィルタは、例えば、デプスフィルタ、スクリーンフィルタ、表面フィルタ、および多孔質フィルタを含む。使用される濾過材は、緑砂または珪藻土の床または、綿、ポリプロピレンまたは他のポリマーのストリング巻きカートリッジといったデプス形フィルタとしてよい。あるいは、微粒子フィルタ20は、例えば精密濾過膜または限外濾過膜とすることができる。膜は、疎水性または親水性であってよく、例えばPVDF、PTFE、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホンまたはポリエチレンから構成され得る。選択される微粒子フィルタは、設置場所における給水の種類に基づいて選定される。例えば、給水が一般に大量の懸濁物質を含有する場合、高装填能力を備えるデプスフィルタが使用され得る。水が微生物を死滅させるために処理されなかった源からのものである場合、限外濾過装置といった関心のある微生物を除去する能力があるフィルタが選択され得る。
【0051】
好ましくは、微粒子フィルタ20はデプスフィルタである。より好ましくは、微粒子フィルタ20はカートリッジフィルタであり、最も好ましくは、水と接触する全部の部分が食品等級材料であることを伴い、綿またはポリプロピレンといった繊維材料から構成された濾過材を有するカートリッジフィルタである。カートリッジフィルタは訓練されていない人員によっても実行できる容易な交換をもたらし、それゆえ施設での修理呼び出しの必要性を最小限にする。加えて、多様な異なるカートリッジ形式が単一のカートリッジハウジング装置で使用され得るので、それゆえ水処理システムに異なるハウジング形式を提供する必要性を最小限にする。
【0052】
給水が微粒子フィルタ20を通過した後、それはRCEDI装置30といった電気化学脱イオン装置に供給され得る。RCEDIは、電極の極性を逆転させ、おおよそ極性逆転が生起する時に濃縮区画室および減少区画室を交替させるように機器構成された連続電気脱イオン装置である。そのような装置の動作は、ギフリーダ(Giuffrida)他の米国特許第4956071号に記載されている。そのような装置は、アニオン透過膜またはカチオン透過膜のどちらかによって一般に仕切られた一連の減少区画室および濃縮区画室を含み得る。各形式の区画室はイオン交換樹脂、一般にアニオンおよびカチオン交換樹脂の両方を有する混床樹脂を含む。イオン交換樹脂はまた、均質か、またはドープされていてもよく、層になっていてもよい。減少区画室に収容されたイオン交換樹脂に絶えず補給する水素イオンと水酸化物イオンとに水分子を分解する電流を供給する、少なくとも1個の陰極および少なくとも1個の陽極が設けられている。水が減少区画室を通過する際、カチオンは水素イオンと交換され、カチオンは適用電界の影響を受けてカチオン透過膜を通じて濃縮区画室に引き込まれる。同様に、アニオンは水酸化物イオンと交換され、アニオン透過膜を経て濃縮区画室に通過する。脱イオンされた水はその後、減少区画室を出て、さらなる浄化のために別の減少区画室に供給されるかまたは、使用または別の処理のために放出され得る。濃縮区画室を出た水は、さらに濃縮されるために付加的な濃縮区画室を通過するかまたは、廃棄または別の使用のために放出され得る。
【0053】
既定であるか、または後に例えば操作者またはコントローラによって決定されるかのどちらかの時点に、RCEDIシステム30の極性は、陰極(単数または複数)が陽極(単数または複数)になるように、そしてその逆も同様に、逆転され得る。例えば、極性は10分間隔で切り替えることができる。この時、またはほぼこの時に、濃縮区画室は減少区画室になり、そして減少区画室は濃縮区画室になる。間もなく、新しい減少区画室を出る水は、新しい濃縮区画室を出るものよりも純粋となり得る。このように区画室を交替させることによって、スケールおよび付着物の堆積は、いずれの区画室も延長した時間長にわたり濃縮区画室として使用されないので、最小限にされ得る。それゆえ、樹脂、区画室、膜、バルブおよびパイプは、極性逆転を使用しないシステムにおいて生じ得る固体堆積のレベルにさらされ得ない。加えて、樹脂の寿命は増大するかもしれず、生成水の品質は改善され得る。
【0054】
電気化学脱イオン装置において使用される陰極および陽極は、同じ材料のものとすることができる。これらの電極は、例えばチタン、ニオブまたはタンタルのベースに、プラチナ、ルテニウム、イリジウムまたは他の寸法安定性陽極材料のコーティングを有する。コーティングは、使用時に、約150〜約200μインチの厚さを有することが好ましい。このコーティング厚は、場合によっては、約25グラム/平方メートルに相当する。
【0055】
一部の実施形態において、冷却装置が電気化学脱イオン装置と直列に配置されてもよい。冷却装置は、電気化学脱イオン装置の上流または下流に設けられ、ソーダファウンテン飲料製造装置の上流に設けてもよい。冷却装置が電気化学脱イオン装置の上流に配置される場合、スケール堆積の低減が実現されることがあり得る。
【0056】
図2に図式的に示された実施形態において、給水が微粒子フィルタ20を通過した後、それはコンジット31および32だけでなくコンジット33にも進入する。給水の流れおよび圧力が流量計70および圧力計71で測定され得る。コンジット31および32は、RCEDIスタックの濃縮区画室および減少区画室(図示せず)に水を供給することができる。コンジット31が減少区画室に給水を供給している時、コンジット32は濃縮区画室に給水を供給している。極性が逆転されると、コンジット31は濃縮区画室に供給し、コンジット32は減少区画室に供給する。減少区画室(または極性逆転直後には濃縮区画室)を出た水である浄化した水は、どちらの区画室の集合が現在、減少区画室の働きをしているかに応じて、コンジット37またはコンジット38のどちらか一方に供給される。濃縮区画室から水を搬送している交替コンジット(37または38のどちらか)は、廃水管路60に連接されるか、または再循環される。コンジット37および38の各々の経路は、バルブ80またはバルブ81のどちらか一方によって制御される。これらのバルブは、コンジット37または38のうちの一方だけが製造コンジット39に水を供給することが可能となるように機器構成され得る。それゆえ、コンジット37が製造コンジット39に供給している場合、コンジット38は廃水管路60に向けられることになる。生成水の圧力および流れは、圧力計72および流量計73により監視され得る。水質もまた、光学的、化学的および電気的測定装置を含む多くの方法によって測定され得る。一部の実施形態では、水のイオン含有量を監視する信頼できる方法であることから、導電率計74を使用することができる。
【0057】
コンジット33は直列に陽極区画室および陰極区画室(図示せず)に水を供給することができ、極性が切り替えられると、バルブ34はこれらの区画室内の水流が逆転されるように作動され得る。陰極区画室および陽極区画室を出る水は、放出コンジット35または放出コンジット36のどちらか一方を通過し、それらの両方は廃水管路60に至るかまたは再循環されるコンジット40を形成するために結合する。放出コンジット内の流れは、流量計75によって測定され得る。
【0058】
給水からカルシウム、マグネシウムおよびシリカを除去するために化学イオン交換を使用する従来の軟水化技法とは異なり、本発明のシステムは、これらのイオンの除去を、除去されるカチオンの代わりにナトリウム、カリウムまたは他のカチオンを置換することなく可能にし得る。カルシウム、マグネシウムおよび/またはシリカは、水素イオンによって置換されるか、またはそれと交換され得る。硬度は、風味が顕著に影響を受けるほどまで軟化していない水を供給するレベルまで除去され得る。
【0059】
一部の軟水化および浄水技法は、それが腐食性となり得るか、低下または上昇したpHとなり得るか、または風味成分を付与する溶解種が不足し得るほど純粋な水をもたらす結果となることがあり得る。飲料販売業者およびライセンサは、ある商標の下で販売され得る、従って慎重に品質管理されなければならない、飲料を製造するために使用されるあらゆる水の風味に特に関心がある。これは、使用され得る給水のばらつきと同様に、販売店の数の多さのために、ソーダファウンテン販売店において特に重要である。例えば、ある販売店でソーダファウンテン飲料に許容できる給水を供給するROシステムが、別の販売店に設置された時には過度に高い純度の水を供給するかもしれない。さらに、RO膜の動作の性質のために、生産物の純度は変更できない。電気化学脱イオン装置のプロセス制御能力を活用する本発明の実施形態は、水の出力が、過度に大きすぎずも小さすぎずもないTDS、硬度、アルカリ度および他の構成要素を含む比較的狭い範囲にわたって制御されることを可能にする。例えば、硬度は、炭酸カルシウムとして測定して、5ないし100ppm(mg/L)、10ないし100ppm、20ないし80ppm、および30ないし70ppmの範囲に制御され得る。同様に、アルカリ度は、炭酸カルシウムとして測定して、10ないし100ppm、20ないし80ppm、30ないし60ppmの範囲にあるように制御され得る。加えて、RCEDIといった電気化学脱イオン装置は、純水品質レベルを±10ppm、±20ppmまたは±30ppmの範囲内に維持するように制御され得る。加えて、これらの範囲は、自治体の水および井戸水を含む給水の範囲について維持され得る。一部の実施形態において、ソーダファウンテン販売店からの水の品質は、ソーダファウンテンが香味づけした飲料ばかりでなく商標を持つ水としても同様に売れることを可能にする範囲内に管理される。これは、場合によっては、浄化した水に鉱物または他の種を添加することなく行える。これは他のシステムでは可能ではない。なぜなら、水の風味のわずかな変動を隠すのを助けるために香味づけおよび炭酸飽和をしなければ、ソーダファウンテン販売店で入手可能な水が商標の下で販売される一貫して十分な品質のものではないことがあり得るからである。
【0060】
重炭酸塩は、飲料を調製するために使用される水の重要な成分であり得る。例えば、溶液中の過度に多くの重炭酸塩は、添加された二酸化炭素を消費して気の抜けた炭酸飲料をもたらし得る。過度に少ない重炭酸塩が溶液中にある場合、pHといった他の特性が影響を受ける。例えば、重炭酸塩レベルが過度に低い場合、水の緩衝能力は低減し、小量の酸の添加が極めて低いpHをもたらす。1実施形態において、添加されたCO2を消費することなく十分な緩衝能力を付与するために十分な濃度である範囲で重炭酸塩を含有する浄化した水が生成され得る。水サンプルにおける重炭酸塩濃度は、アルカリ度測定値に反映される。
【0061】
1実施形態において、6ないし9および、好ましくは6.5ないし8.5のpHを有する浄化した水が生成され得る。これらの範囲は、電気化学脱イオン装置により水を浄化することによって得ることができる。この水はまた、アルカリ度の形で多少の緩衝能力を含む。この水は、異なるpHの2つ以上の水を混合することなく生成され、飲料製造に使用され得る。
【0062】
1実施形態において、水は軟水にされ、すなわち、カルシウム、マグネシウムおよび/またはシリカの濃度が低減され得て、このプロセスはイオン含有量の正味低減をもたらし得る。化学イオン交換軟水化技法とは異なり、電気化学脱イオン技法は、ナトリウムまたはカリウムといった他のカチオンと交換することなくカルシウムおよびマグネシウムといったカチオンを除去することができる。このようにして、水は、水の総イオン濃度を低減すると同時に、軟化され得る。
【0063】
別の実施形態において、電気化学脱イオン装置は、給水中の生存能力のある微生物の量を排除および/または低減することができる。例えば、CEDIまたはRCEDI装置の減少区画室に水を通すことによって、水に含まれ得るいずれかの微生物の大部分は、装置の動作によって成育不能にさせられ得る。
【0064】
システムで使用されるコンジットは、水を搬送することができるあらゆる材料のものとしてよい。コンジットは食品等級ポリマーの管であることが好ましい。管は、小径のものとしてよく、ピーク流れおよび圧力要求条件が得られれば、不使用期間中に管に「貯蔵」される水量を最小限にするために、実用に適した程度に短くてよい。貯蔵が望ましいかもしれない実施形態では、貯蔵タンクが使用され得る。貯蔵タンクは、電気化学脱イオン装置と流体連通していてよく、電気化学脱イオン装置の上流または下流に配置され得る。貯蔵タンクは、1リットル超、5リットル超または10リットル超の容積を有し得る。貯蔵タンクは、例えばガラス、ポリマー材料およびステンレス鋼といった水を貯蔵するために適切なあらゆる材料で製作され得る。適切な実施形態において、貯蔵タンクは食品等級材料のものとすることができる。
【0065】
コントローラは、例えば、プロセス論理コントローラ(PLC))といったマイクロプロセッサまたはコンピュータとすることができる。コントローラは、処理装置(すなわちプロセッサ)、記憶システム、入出力装置およびインタフェース(例えば相互接続機構)のほか、トランスポート回路(例えば1つ以上のバス)、ビデオおよび音声データ入出力(I/O)サブシステム、専用ハードウェアといった他の構成要素を含むいくつかの既知の構成要素および回路ばかりでなく、以下でさらに詳述する通り、他の構成要素および回路を含むとしてよい。さらに、コントローラは、マルチプロセッサコンピュータシステムであっても、コンピュータネットワークによって接続された複数のコンピュータであってもよい。
【0066】
コントローラは、プロセッサ、例えば、インテル(Intel)(登録商標)社から入手可能なシリーズx86、セレロン(Celeron)(登録商標)およびペンティアム(Pentium)(登録商標)プロセッサ、AMDおよびサイリクス(Cyrix)(登録商標)の類似の装置、モトローラ(Motorola)社から入手可能な680x0シリーズマイクロプロセッサおよび、IBM社のパワーピーシー(PowerPC)マイクロプロセッサのうちの1つといった市販のプロセッサを含む。多くの他のプロセッサが利用可能であり、コンピュータシステムは特定のプロセッサに限定されない。
【0067】
プロセッサは一般にオペレーティングシステムと呼ばれるプログラムを実行し、それらのうち、WindowsNT、Windows95または98、UNIX、Linux、DOS、VMS、MacOSおよびOS8が実例であり、そしてそれは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッギング、入出力制御、アカウンティング、コンパイル、記憶割当て、データ管理およびメモリ管理、通信制御および関連サービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは一緒になって、高水準プログラミング言語でそのアプリケーションプログラムが記述されるコンピュータプラットフォームを規定する。ここで使用されるコントローラは、特定のコンピュータプラットフォームに限定されない。
【0068】
コントローラは記憶システムを含むものとしてよく、それは一般にコンピュータ読取り可能書込み可能不揮発性記録媒体を含み、それらのうち、磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリおよびテープが実例である。そのような記録媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、リード/ライトCDまたはメモリスティックなどのように取外し可能であるか、または例えばハードディスクなどのように永久的であってもよい。
【0069】
そのような記録媒体は、一般にバイナリ形態(すなわち1および0の並びとして解釈される形態)で信号を保存する。ディスク(例えば磁気または光学)は多数のトラックを有しており、そこにそうした信号が、一般にバイナリ形態で、すなわち1および0の並びとして解釈される形態で保存され得る。そのような信号は、例えばマイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアプログラムまたは、アプリケーションプログラムによって処理されるまたは情報を定義してよい。
【0070】
コントローラの記憶システムはまた、集積回路記憶素子を含むものとしてよく、それは一般に、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)といった揮発性ランダムアクセスメモリである。一般に、動作中、プロセッサはプログラムおよびデータが不揮発性記録媒体から集積回路記憶素子に読み込まれるようにさせ、後者は一般に不揮発性記録媒体よりも高速なプロセッサによるプログラム命令およびデータへのアクセスを可能にする。
【0071】
プロセッサは一般に、プログラム命令に従って集積回路記憶素子内部のデータを操作し、処理が完了した後、操作されたデータを不揮発性記録媒体へ複写する。不揮発性記録媒体と集積回路記憶素子との間のデータ移動を管理するための多様な機構が知られており、ここに記載された方法、ステップ、システムおよびシステム要素を具体化するコントローラはそれらに限定されない。コントローラは特定の記憶システムに限定されない。
【0072】
上述したような記憶システムの少なくとも一部は、1つ以上のデータ構造(例えばルックアップテーブル)または式を記憶するために使用され得る。例えば、不揮発性記録媒体の少なくとも一部は、そのようなデータ構造のうちの1つ以上を含むデータベースの少なくとも一部を保存することができる。そのようなデータベースは、多様な形式のデータベースのいずれか、例えばデータがデリミタによって区切られたデータ単位に編成されている1つ以上のフラットファイルデータ構造を含むファイルシステム、データがテーブルに格納されたデータ単位に編成されているリレーショナルデータベース、データがオブジェクトとして格納されたデータ単位に編成されているオブジェクト指向データベース、別の形式のデータベースまたは、それらのいずれかの組合せであってよい。
【0073】
コントローラは、ビデオおよび音声データI/Oサブシステムを含むものとしてよい。サブシステムの音声部分は、アナログ音声情報を受け取りそれをディジタル情報に変換する、アナログ−ディジタル(A/D)変換器を含み得る。ディジタル情報は、別の時間における使用のためにハードディスクでの記憶のために既知の圧縮システムを用いて圧縮されることができる。I/Oサブシステムの典型的なビデオ部分は、その多くが当業において知られているビデオ画像圧縮器/伸張器を含み得る。そのような圧縮器/伸張器は、アナログビデオ情報を圧縮ディジタル情報に変換し、そしてその逆も同様である。圧縮ディジタル情報は、後刻の使用のためにハードディスクに記憶される。
【0074】
コントローラは、1つ以上の出力装置を含むものとしてよい。例示的な出力装置は、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーンディスプレイおよび他のビデオ出力装置、プリンタ、モデムまたはネットワークインタフェースといった通信装置、ディスクまたはテープといった記憶装置、およびスピーカといった音響出力装置を含む。
【0075】
コントローラはまた、1つ以上の入力装置を含むものとしてよい。例示的な入力装置は、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペン・タブレット、タッチスクリーン、上述のような通信装置および、音声・ビデオキャプチャ装置およびセンサといったデータ入力装置を含む。コントローラは、ここに記載された特定の入力または出力装置に限定されない。
【0076】
コントローラは、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)などの特殊にプログラムされた専用ハードウェアを含むものとしてよい。そのような専用ハードウェアは、上述の方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素の1つ以上を具体化するために機器構成され得る。
【0077】
コントローラおよびその構成要素は、多様な1つ以上の適格なコンピュータプログラミング言語のいずれかを用いてプログラム可能である。そのような言語は、例えば、C、Pascal、FortranおよびBASICといった手続き型プログラミング言語、例えばC++、JavaおよびEiffelなどのオブジェクト指向言語、さらにスクリプト言語またはアセンブリ言語といった他の言語さえも含み得る。
【0078】
方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、当該コンピュータシステムによって実行され得る、手続き型プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、他の言語およびそれらの組合せを含む、多様な適格なプログラミング言語のいずれかを用いて具体化されるものとしてよい。そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、コンピュータプログラムの別個のモジュールとして具体化することができ、または別個のコンピュータプログラムとして個別に具体化することもできる。そのようなモジュールおよびプログラムは、別個のコンピュータ上で実行することができる。
【0079】
上述の方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアにおいて、またはそれら3つのいずれかの組合せにおいて、上述したコントローラの一部として、または独立の構成要素として具体化され得る。
【0080】
そのような方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムおよびシステム要素は、個別にまたは組合せにおいて、例えば不揮発性記録媒体、集積回路記憶素子またはそれらの組合せなどのコンピュータ可読媒体でコンピュータ可読信号として具体的に実施されたコンピュータプログラム製品として具体化され得る。各々の当該の方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムまたはシステム要素について、当該コンピュータプログラム製品は、コンピュータによる実行の結果としてその方法、ステップ、シミュレーション、アルゴリズム、システムまたはシステム要素をコンピュータに実行するように命令する例えば1つ以上のプログラムの一部として命令を定義する、コンピュータ可読媒体で具体的に実施されたコンピュータ可読信号を含み得る。
【0081】
電気化学脱イオンシステムの動作は、手動または自動のどちらかで制御されるものとしてよい。好ましくは、動作はPLCといったコントローラによって自動的に制御される。PLC(図示せず)は、システムの機能の一部または全部を制御するようにプログラムされ得る。例えば、PLCはRCEDIスタックの極性が逆転されるべき時点を制御することができ、同時に上で概説した通り水の流れを方向づけるために適切なバルブを操作することができる。これは、例えば時間または総出力に基づき事前にプログラムされた条件によってトリガされ得るか、またはPLCと通信するシステム全体の種々の計器を用いて測定または検出され得る水質、流量または圧力差といった変数によって制御される、より能動的なシステムであってもよい。例えば、コンジット39において水質の低下が検出された場合、これは極性を逆転させ、減少区画室および濃縮区画室を切り替えるためにバルブ80および81を作動させるようにPLCに信号を送ることができる。PLCはまた、例えばカーボンまたは微粒子フィルタカートリッジを交換する必要がある時、または水の圧力または品質の一貫した低下が検出された場合、スタックの保守の必要性といった、特定の状態をシステムの操作者に指示することができる。オフサイト設備または人員もまた、例えば電話、インターネットまたは無線によって通知される。PLCはまた、スタックへの電力を調整するために使用され得る。これは、給水品質、水出力の需要の変化に応答して、または電極の効率の低下が存在する場合、特に有用である。例えば、システムが3ガロン/分のピーク出力で動作しており、需要が突然4ガロン/分に増大した場合、スタックへの電力の増加が、増大した量の除去要求条件を満たすために要求されるすべてであり得る。
【0082】
一部の実施形態において、浄化した水は後処理されることがあり得る。例えば、浄化後、水は化学薬品、濾過、放射または、これらのいずれかの組合せにより殺菌または保存加工される。後処理は例えば、オゾン、塩素、クロラミンまたはアンモニアによるなどの化学殺菌、例えば浄化した水を50、70または85℃超まで加熱することによる加熱殺菌、紫外線で照射するなどによる放射殺菌および、浄化した水から微生物を物理的に除去するために使用され得るミクロフィルタ、サンドフィルタおよび/または遠心サンドフィルタの使用によるなどの濾過を含むものとしてよい。後処理は、水が貯蔵されるべきである場合に好ましい。
【0083】
本発明は以下の実施例によってさらに例証されるが、それは本質的に例示的であるように意図されており、本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【実施例】
【0084】
本システムの有効性を実証するために、RCEDI装置を組み立て、合成物を含有する井戸水サンプルを供給し、ソーダファウンテン飲料製造施設にとって関心となる特性を呈示した。14の異なる井戸水サンプルを初めに硬度、アルカリ度、pHおよびTDSについて分析した。初期の前処理分析の結果を以下の表1に要約する。
【0085】
【表1】

【0086】
水サンプルの各々は、以下の特徴を有するRCEDI装置に水を供給することによって処理された。
装置形式:20セル対CEDIシステム
極性逆転の頻度:10分
電力供給:200ワット
流量計:希釈流、濃縮流および電極流を測定するための3個の流量計
圧力計:給水、生成、濃縮流、電極流および、カーボンおよび微粒子処理前の給水を監視する5個の圧力計
PLC:4個の二極双投リレーを備えるアレン−ブラッドリー製MicroLogix 1000 PLC
電極:約30μインチのプラチナコーティングを備えるチタンプレート電極。
【0087】
装置はソーダファウンテン飲料設備に実際的であるような条件下で動作させた。これらのパラメータを以下の表2に示す。
【0088】
システムによって生成された水の特性は、処理される各サンプルについて数回測定した。これらの結果は、典型的な飲料水要求条件とともに以下の表3に要約される。
【0089】
濃縮区画室および電極区画室からの廃水流もまた、処理中に周期的に分析した。結果は以下の表4に示す。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
飲料水仕様と比較して給水および生成水において測定された結果の比較は、システムが典型的な給水を飲料水要求条件に適合させるための効果的な方法を提供することを示している。硬度、アルカリ度およびTDSについてのメジアン結果は、給水がこれらのパラメータの各々に適合していなかったにもかかわらず、RCEDIプロセスが水質を所要のレベルまで改善する点で効果的であったことを示している。水のpHが許容レベルに維持されたこともまた注目に値する。
【0094】
ここに開示された本発明のさらなる修正および等価物は、せいぜい決まり切った実験を用いて当業者には想起されるであろうし、全部のそのような修正および等価物は以下の請求項によって規定される本発明の精神および範囲内にあるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】従来技術の水処理システムの概略図である。
【図2】本発明の装置の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0096】
110 微粒子フィルタ
120 RO装置
130 貯蔵タンク
140 ポンプ
150〜154 コンジット
10 カーボンフィルタ
11 コンジット
20 微粒子フィルタ
30 RCEDI装置
31、32、33 コンジット
34 バルブ
35、36 放出コンジット
37、38 コンジット
39 製造コンジット
40 コンジット
60 廃水管路
70 流量計
71、72 圧力計
73 流量計
74 導電率計
75 流量計
76 圧力計
80、81 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浄化する方法であって、
給水を供給することと、
水の硬度をCaCO3換算5〜100ppmの範囲に低減することと、
水のアルカリ度をCaCO3換算10〜100ppmの範囲に低減することと、
低減したアルカリ度および低減した硬度の水を人間の消費向けに浄化した水として供給することとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
硬度およびアルカリ度の範囲は、5ppm未満の硬度を有する浄化した水または10ppm未満のアルカリ度を有する浄化した水を混合することなく得られることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
浄化した水のいずれの部分も決して5ppm未満の硬度または10ppm未満のアルカリ度を持たないことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
浄化した水は6.5〜8.5のpHを有することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
浄化した水は10〜200ppmのTDSレベルを有することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】
硬度は10〜100ppmCaCO3の範囲に低減されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
アルカリ度は30〜80ppmCaCO3に低減されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項8】
アルカリ度は30〜50ppmCaCO3に低減されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項9】
硬度要素は化学イオン交換を用いずに給水から除去されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
給水を前処理することをさらに含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
前記前処理は、微粒子濾過、化学濾過、凝集、エアレーションことを特徴とする殺菌および化学処理から選定されることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項12】
硬度の低減およびアルカリ度の低減は同一装置によって実行されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項13】
前記装置は電気化学脱イオン装置であることを特徴とする請求項12の方法。
【請求項14】
硬度を低減した水をソーダファウンテン飲料装置に供給することをさらに含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項15】
浄化した水の硬度は±20ppmの範囲に維持されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項16】
浄化した水のアルカリ度は±20ppmの範囲に維持されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項17】
コントローラが浄化した水の品質に応答して電気化学脱イオン装置のプロセス条件を変えることを特徴とする請求項13の方法。
【請求項18】
浄化した水は約20μS/cm超の伝導率を有することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項19】
水はRO装置を伴わずに浄化されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項20】
浄化した水を殺菌によって後処理することをさらに含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項21】
浄化した水を紫外線で殺菌することをさらに含むことを特徴とする請求項20の方法。
【請求項22】
浄化した水を精密濾過で除菌することをさらに含むことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項23】
水処理システムであって、
給水入口と、
給水入口および給水出口に流体連通している電気化学脱イオン装置と、
給水出口に流体連通している飲料製造装置とを備えることを特徴とする水処理システム。
【請求項24】
電気化学脱イオン装置の上流にカーボンフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項25】
飲料製造装置はソーダファウンテン飲料製造装置であることを特徴とする請求項24の水処理システム。
【請求項26】
電気化学脱イオン装置の上流に微粒子フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項27】
給水入口は水道水の供給源と連通していることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項28】
給水はカーボンフィルタに直接供給されることを特徴とする請求項27の水処理システム。
【請求項29】
給水は塩素処理されることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項30】
電気化学脱イオン装置は、1リットル未満の容積を有するコンジットを通じて浄化した水の出口と流体連通していることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項31】
前記システムは加熱殺菌可能であることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項32】
電気化学脱イオン装置は加熱殺菌可能であることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項33】
電気化学脱イオン装置はコントローラと通信していることを特徴とする請求項23の水処理システム。
【請求項34】
コントローラは、浄化した水の品質に応答して電気化学脱イオン装置の1つ以上のプロセス条件を調整するように構成配置されていることを特徴とする請求項33の水処理システム。
【請求項35】
前記プロセス条件は、電圧、アンペア数、流量および逆転サイクルから構成される群から選定されることを特徴とする請求項34の水処理システム。
【請求項36】
コントローラは伝導率検出器と通信していることを特徴とする請求項34の水処理システム。
【請求項37】
飲料製造のために水を浄化するための方法であって、
浄化した水の流れを生成するために電気化学脱イオン装置に給水を供給するステップと、
浄化した水の流れを飲料製造装置に供給するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
浄化した水の流れはソーダファウンテン飲料を製造するために直ちに使用されることを特徴とする請求項37の方法。
【請求項39】
給水は水道水であることを特徴とする請求項37の方法。
【請求項40】
給水をカーボンフィルタに通すことをさらに含む、請求項37の方法。
【請求項41】
給水を微粒子フィルタに通すことをさらに含むことを特徴とする請求項37の方法。
【請求項42】
給水は約500ppm超の総溶解固形分を含有し、浄化した流れは約200ppm未満の総溶解固形分を含有することを特徴とする請求項37の方法。
【請求項43】
給水は約300ppm超の硬度を含有し、浄化した流れは約100ppm未満の硬度かつ約10ppm超の硬度を含有することを特徴とする請求項37の方法。
【請求項44】
給水は約200ppm超のアルカリ度を含有し、浄化した流れは約100ppm未満のアルカリ度かつ約10ppm超のアルカリ度を含有することを特徴とする請求項37の方法。
【請求項45】
浄化した水の流れの品質を監視することをさらに含むことを特徴とする請求項37の方法。
【請求項46】
監視される品質は伝導率であることを特徴とする請求項45の方法。
【請求項47】
浄化した水の流れの品質に応答して電気化学脱イオン装置の1つ以上のプロセス条件を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項45の方法。
【請求項48】
1つ以上のプロセス条件は、電圧、アンペア数、流量および逆転サイクルから構成される群から選定されることを特徴とする請求項47の方法。
【請求項49】
飲料製造装置はソーダファウンテン飲料製造装置であることを特徴とする請求項37の方法。
【請求項50】
浄化した水の流れを飲料製造装置に供給する前に浄化した水を1分超にわたり貯蔵することをさらに含むことを特徴とする請求項37の方法。
【請求項51】
浄化した水の流れは、浄化した水の流れを生成した後1分未満のうちに飲料製造装置に供給されることを特徴とする請求項37の方法。
【請求項52】
浄化した水の流れは100mg/L未満かつ10mg/L超の総溶解固形分を含むことを特徴とする請求項37の方法。
【請求項53】
1つ以上のプロセス条件が浄化した水の流れの純度を低減するために調整されることを特徴とする請求項47の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−500170(P2008−500170A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515428(P2007−515428)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018868
【国際公開番号】WO2005/118484
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.UNIX
3.Linux
4.JAVA
【出願人】(505146180)シ−メンス ウォーター テクノロジーズ ホールディング コープ (11)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Water Technologies Holding Corp
【Fターム(参考)】