説明

水圧制御装置および水洗便器用洗浄弁ユニット

【課題】既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置のプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置および水洗便器用洗浄弁ユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係る水圧制御装置は、先端部と基部と、内部に空間部が設けられ、底部に電磁弁が結合され、先端部は、Oリングを備えて出水口連絡流路に嵌合させ、圧力保持連通流路から出水口連絡流路への水流を封止でき、空間部中に流路構成部と電磁弁水封部とで仕切られる制御室が形成され、基部は、側面に本体部に螺合可能なネジ部が設けられ、圧力保持連通流路から制御室に連通する入水路が設けられ、流路構成部には、制御室から出水口連絡流路に連通する出水路が設けられ、出水路先端部はパイロット弁用弁座として形成されて電磁弁アーマチャと同一軸線上でパイロット弁先端面に相対して配設されて、圧力保持連通流路内の水圧を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水圧制御装置および水洗便器用洗浄弁ユニットに関し、さらに詳細には、プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置、および前記水圧制御装置をケーシング内に内包させて構成した水洗便器用洗浄弁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
男性用小便器を洗浄するための装置として、プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させるダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置がある。この装置は、動作時に電力を必要しない構成のため電源のない場所にも設置可能である等の理由によって、広く一般に普及している。しかしながら、便器使用者によるプッシュボタンの押圧動作が必要であるため、ユーザーフレンドリーの観点からも、衛生上の観点からも、そのような押圧動作が不要となるように、当該水洗便器用洗浄弁装置に対する自動水洗化が要望されている。
【0003】
従来のプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置として、図4に示す水洗便器用洗浄弁装置201がある。ここで、210は流入管、212は洗浄弁を内蔵する本体部、214は便器に接続する吐出管である。前記洗浄弁は逃し弁216、逃し弁の支持機構、プッシュボタン217および押し棒218等から成り、プッシュボタン217を押すことによって閉塞されていた流路が開き、所定量の水が吐出管214側に流出するように構成されている。また、219は流入する水量を調節する栓棒で、220はパッキンである。
【0004】
このような、従来のプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置201に関しては、当該装置を簡易に自動水洗化することを可能にする発明として、本発明に係る発明者によって特開平11−210046号公報に記載されたものであって、図5に示す水洗便器用洗浄弁ユニット301が提案されている。
【0005】
水洗便器用洗浄弁ユニット301は、本体部の内壁面と水密にシールして嵌挿される大きさに形成され、かつ、下端側を吐出側流路に臨ませて中央部に上下方向に向けて主流路328が形成され、一端側が流入管310に連通し他端側が前記主流路の上部に設けた連結流路332に連絡する流入側流路330が主流路の側方に形成された流路形成体322を設け、前記連結流路内に配置され、前記主流路の上部に設けた弁座334に当接して主流路と流入側流路との間の水の流通を制御するダイヤフラム336を設け、前記流路形成体の上部に設けたケーシング350内に、前記ダイヤフラムの後部に当接するよう付勢され常時はダイヤフラムを前記弁座に当接させるアーマチャ342及び該アーマチャを付勢力に抗して吸引駆動する電磁コイルを含む電磁石ユニットを収納し、前記ケーシングに便器の使用者を感知するセンサ352及び該センサからの信号に基づいて電磁石ユニットを駆動する制御部を設けるものである。
【0006】
【特許文献1】特開平11−210046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、最近では、従来のプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置201に代えて、図3に示すプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置101が主流となりつつある。ところが、水洗便器用洗浄弁装置101は水洗便器用洗浄弁装置201とは装置内部の構成が相違するため、本発明に係る発明者が発明した水洗便器用洗浄弁ユニット301をそのまま適用して自動水洗化することは不可能である。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、プッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置101を簡易に自動水洗化することを課題としつつ、その過程で必要とされる、プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置を提供するとともに、前記水圧制御装置が内包されるように、人体センサ、電磁弁、駆動用電池および制御部を収納したケーシングが設けられる水洗便器用洗浄弁ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る水圧制御装置は、プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置において、連続する先端部と基部とを備え、その内部には空間部が設けられ、基部底部には電磁弁が結合され、前記先端部は、Oリングを備えて、前記本体部内の出水口連絡流路に嵌合させて、前記本体部内の圧力保持連通流路から出水口連絡流路への水流を封止可能に形成され、前記空間部には、その中に設けられる流路構成部と、前記電磁弁の水封部とによって仕切られる制御室が形成され、前記基部は、基部側面に前記本体部の手動弁装着用ネジ部に螺合可能なように着脱用ネジ部が設けられるとともに、前記圧力保持連通流路から前記制御室に連通する入水路が設けられ、前記流路構成部には、前記制御室から前記出水口連絡流路に連通する出水路が設けられ、その出水路の制御室側先端部はパイロット弁用弁座として形成されて前記電磁弁のアーマチャと同一軸線上においてアーマチャ先端に設けられたパイロット弁の先端面に相対するように配設され、常時は、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座に当接させ、必要時には、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座から離隔させることによって、前記圧力保持連通流路内の水圧を制御することを特徴とする。
【0011】
また、前記電磁弁が、自己保持式であり且つ駆動電源が電池であることを特徴とする。
【0012】
また、前記着脱用ネジ部が、着脱方向におけるネジ部全長に渡って、ネジ山切欠部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る水洗便器用洗浄弁ユニットは、プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水洗便器用洗浄弁ユニットにおいて、請求項2記載の水圧制御装置が、前記本体部のプッシュボタン式手動弁が取り外された部分に螺合されて設けられ、便器の使用者を感知する人体センサ、電磁弁駆動用電池および前記人体センサからの信号に応じて前記電磁弁の駆動を制御する制御部を収納したケーシングが、前記水圧制御装置が内包されるように、前記水圧制御装置および前記本体部のいずれか一方もしくは双方に支持されて設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1によれば、圧力保持連通流路から入水路、制御室および出水路を経て出水口連絡流路に至る水路が形成される。パイロット弁の動作により、当該水路中に水流を生じさせて、圧力保持連通流路内の水圧を減圧させることができ、また、当該水路中の水流を停止させて、圧力保持連通流路内の水圧を一定に保持させることができる。このようにして、水圧制御装置による圧力保持連通流路内の水圧制御が可能となる。
【0015】
請求項2によれば、自己保持式であって電力消費の少ない電磁弁の採用が可能となる。その結果、小型電池による電磁弁の駆動が可能となる。また、電池の消費量が少ないため、複数年間にわたり電池交換が不要となる。加えて、小型電池による電磁弁の駆動を実現したことで、家庭用交流電源の配線を不要とすることが可能となる。その結果、電源がない場所であっても本発明に係る水圧制御装置を使用することが可能となるとともに、水洗便器用洗浄弁装置全体の外観面での美観を向上させることが可能となる。
【0016】
請求項3によれば、着脱用ネジ部に設けられるネジ山切欠部が主たる水路として作用するため、当該ネジ山切欠部の形状を適宜設定することで、通過する水流量の調整を図ることが可能となる。
【0017】
請求項4によれば、プッシュボタン式手動弁が装着された既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置であっても、その本体部からプッシュボタン式手動弁を取り外し、その部位を水洗便器用洗浄弁ユニットに置き換えるだけで、手動洗浄方式の水洗便器用洗浄弁装置を自動洗浄方式の水洗便器用洗浄弁装置に極めて簡易に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る水圧制御装置1の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る水洗便器用洗浄弁ユニット50の一例を示す概略図である。図3は、既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置101の構成を示す概略図である。
【0019】
図1に示す1は水圧制御装置である。水圧制御装置1は図2に示すように、既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置(図3)の本体部90に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁91に置き換えて取り付けられる。本体部からプッシュボタン式手動弁91のみを取り外すことで、水圧制御装置1の装着が可能となる。したがって、当該装着作業は極めて容易である。
【0020】
ここで、図2により本体部90内の水圧状態を説明する。本体部90の入水口54は水道管(図示しない)に接続されて水圧がかかっている。止水栓93が開栓された状態では、水道管内と同圧の水圧が流入側流路51内に生じる。さらに、ダイヤフラム弁61内部の通水孔(図示しない)を通じて水道管内と同圧の水圧が圧力保持連通流路56内にも生じる。ここで、流入側流路51内と圧力保持連通流路56内とが同圧となっている場合には、ダイヤフラム弁61はダイヤフラム弁用弁座62に当接されて保持される。それによって、流入側流路51から主流路52への水流が遮断されている。この状態が常時の状態である。
【0021】
図1に示すように、水圧制御装置1は、先端部2と基部3とを連続させて形成される。その内部には空間部5が設けられる。基部底部4には電磁弁20が結合される。
【0022】
電磁弁20は、一例として自己保持式であり且つ駆動電源が電池である電磁弁である。電磁弁20にはアーマチャ22及びアーマチャ22を付勢力に抗して吸引駆動する電磁コイルを含む電磁石ユニット26が収納される。アーマチャ22は一方が開口するガイド筒内に収納されて、常時は付勢部材25によって開口部側に位置するように付勢されている。
【0023】
先端部2は、Oリング7を備えて、本体部90内の出水口連絡流路53に嵌合される。これにより、本体部90内の圧力保持連通流路56から出水口連絡流路53への水流を封止する作用が生じる。その効果として、当該水流を生じさせないことにより圧力保持連通流路56内の水圧を一定に保持することができる。
【0024】
空間部5は、水圧制御装置1の先端部2から基部底部4に至る全長にわたり形成される。空間部5の中に流路構成部10が設けられる。流路構成部10の外径は空間部5の内径と同一である。ここで流路構成部10は、先端部2もしくは基部3と一体であっても別体であっても構わないが、別体に形成される場合には、その外周にOリング(図示しない)等を備える構成として空間部5の壁面との間に水流が生じないように封止する必要がある。一方、基部底部4には電磁弁20が結合されて、空間部5の基部底部4側開口部は、電磁弁20の水封部21によって封じられる。これらの作用として、空間部5はその一部が流路構成部10と電磁弁20の水封部21とにより仕切られることによって、密閉室状の制御室6が形成される。
【0025】
基部3は、基部側面16に着脱用ネジ部11が設けられる。着脱用ネジ部11は、本体部90の手動弁装着用ネジ部92に螺合可能に形成される。すなわち、着脱用ネジ部11の外径およびネジピッチは、プッシュボタン式手動弁91におけるそれらと同一の寸法である。これにより、本体部90においてプッシュボタン式手動弁91を取り外した部位に水圧制御装置1を装着することが可能となる。
【0026】
本体部90に水圧制御装置1を装着すると、図2に示すように、着脱用ネジ部11の少なくとも先端部2側の先端が圧力保持連通流路56に面する構成となる。(なお、水圧制御装置1をさらに本体部90の奥まで挿入すると着脱用ネジ部11の側面も圧力保持連通流路56に面する構成となる場合もある。)ここで、着脱用ネジ部11のネジ山(雄)と本体部90の手動弁装着用ネジ部92のネジ山(雌)との螺合部に生じる空隙部分が水路として作用する。その結果、圧力保持連通流路56から基部側面16への入水が生じる。そこで、基部側面16から制御室6に連通する入水路13が設けられることによって、圧力保持連通流路56から制御室6に至る水路が形成される。なお、圧力保持連通流路56から直接、制御室6に連通するように入水路13を形成してもよい。
【0027】
また、着脱用ネジ部11において、着脱方向におけるネジ部全長に渡って、ネジ山切欠部12を設ける構成としてもよい。ネジ山切欠部12は、例えば、キー溝のような溝形状、あるいはネジ山を削除した形状が考えられる。ネジ山切欠部12は主たる水路として作用する。ネジ山切欠部12の形状を適宜設定することで、通過する水流量の調整を図ることができる効果が生じる。
【0028】
流路構成部10には、制御室6から出水口連絡流路53に連通する出水路14が設けられる。その作用として、制御室6から出水口連絡流路53に至る水路が形成される。また、出水路14の制御室側先端部はパイロット弁用弁座15として形成される。より詳細には、パイロット弁用弁座15(出水路14の先端部)は、電磁弁のアーマチャ22と同一軸線上においてアーマチャ先端に設けられたパイロット弁23の先端面24に相対するように配設される。
【0029】
本発明に係る上記の水路構成は、一見すると、入水路と出水路とを二つ設けて、しかも最短経路を通過させずにそれらを出水口55から遠方となる位置に迂回させているため、通常の設計思想に基づけば、あえてそのような構成を採るべきものとは考えられない。つまり、標準的な設計をするならば、例えば、圧力保持連通流路56直下に前述の入水路と出水路を兼ねた水路穴を一箇所のみ設けて、パイロット弁23をスライドさせて、パイロット弁23の側面で水路穴を開閉する構成を採用することが考えられる。
【0030】
しかしながら、そのような標準的な構成を採用してしまうと、パイロット弁を空間部5の壁面に接した状態で横方向にスライドさせなければならず、摩擦力が大きすぎるため一般的な自己保持式電磁弁では作動力が不足して使用が不可能となる。また、水路穴の外径以上の長さにわたるスライド量が必要となり、瞬時の開閉動作も不可能となる。さらに、アーマチャ22の軸方向に対して垂直方向の圧力が作用するため、水圧を保持することが難しく、加えて、アーマチャ22の動作不良、偏摩耗を生じ兼ねない。そのような技術的な課題を解決するために、本願発明においては、電磁弁20のアーマチャ22と同一軸線上においてアーマチャ先端に設けられたパイロット弁23の先端面24に相対するようにパイロット弁用弁座15(出水路14の先端部)を配設することによって、パイロット弁23が動作する際にパイロット弁用弁座15に当接することを除いては他の構成部材と接触させない構成とした。これにより、接触に起因する摩擦抵抗を排除でき、電磁弁20に動作力が強くない自己保持式のものを使用することを可能とした。また、出水路14の管路方向にパイロット弁23を動作させて、出水路14の先端部を開閉することによって、少ないスライド量で瞬時の開閉動作を可能とした。さらに、アーマチャ22の軸方向に圧力が作用するため、水圧に抗して出水路14を開路する動作が容易となり、加えて、アーマチャ22の動作不良や偏摩耗の恐れを低減することができる。
【0031】
さらに、パイロット弁用弁座15として形成される出水路14の制御室側先端部は、先端に近づくにつれて断面積を減じる構造とし、パイロット弁23との接触面積を可能な限り小さく構成することが好適である。その作用として、パイロット弁23とパイロット弁用弁座15との接触領域の圧力を高めることが可能となる。その結果、パイロット弁23をパイロット弁用弁座15に押し付ける力が弱くても、制御室6内の水が出水路14内に流れ込もうとすることを抑止することができるため、低電力消費であるがゆえに内部に組み込まれる付勢部材25の押し付け力が強くない自己保持式電磁弁を出水路14の開閉用として使用することが可能となる。
【0032】
続いて、パイロット弁23の動作について説明する。常時は、パイロット弁23を、パイロット弁用弁座15に当接させる。より詳しくは、パイロット弁23を電磁弁20の内方から外方へ押し出す方向にアーマチャ22が内部の付勢部材25によって付勢されることでパイロット弁用弁座15に当接させる。なお、そのように当接したままの状態では、駆動電源の電池から電流は流れないため電池の消耗を抑えることが可能となる。パイロット弁23をパイロット弁用弁座15に当接させる作用として、圧力保持連通流路56から入水路13および出水路14を経て出水口連絡流路53へ向かう水流を停止させる。これにより圧力保持連通流路56内の水圧を一定に保持する効果が生じる。
【0033】
一方、必要時には、パイロット弁23を、パイロット弁用弁座15から離隔させる。より詳しくは、電磁石ユニット26を駆動させて、付勢部材25の付勢力に抗して電磁弁20の外方から内方へ引き込む方向にアーマチャ22を動作させて、パイロット弁23をパイロット弁用弁座15から離隔させる。なお、アーマチャ22を動作させる瞬間のみ駆動電源の電池から電流が流れ、動作完了後、そのような離隔したままの状態では、アーマチャ22は動作後の位置に自己保持されて電流は消費しない。パイロット弁23をパイロット弁用弁座15に離隔させる作用として、圧力保持連通流路56から入水路13および出水路14を経て出水口連絡流路53へ向かう水流を生じさせる。これにより圧力保持連通流路56内の水圧を減圧させる効果が生じる。
【0034】
上記水圧の減圧が不要となった場合には、パイロット弁23を、パイロット弁用弁座15に当接させる。より詳しくは、アーマチャ22が付勢部材25の付勢力によってパイロット弁23を電磁弁20の内方から外方へ押し出す方向に動作するように電磁石ユニット26を駆動させて、パイロット弁23をパイロット弁用弁座15に当接させる。なお、アーマチャ22を動作させる瞬間のみ駆動電源の電池から電流が流れるが、前述の通り、動作完了後の当接したままの状態では、アーマチャ22が動作後の位置に自己保持されて電流は消費しない。その作用として、前記水圧の減圧後にパイロット弁23をパイロット弁用弁座15に当接させると、出水路14が封鎖されるため、圧力保持連通流路56から入水路13および出水路14を経て出水口連絡流路53へ向かう水流が停止される。これにより流入側流路51からダイヤフラム弁61内部の通水孔(図示しない)を経て圧力保持連通流路56内へ流れ込む水流によって、圧力保持連通流路56内を徐々に水で満たすことができる。その結果、圧力保持連通流路56内の水圧を漸増させる効果が生じ、最終的に圧力保持連通流路56内の水圧を流入側流路51内の水圧と同圧となるように制御することが可能となる。
【0035】
続いて、本発明に係る水洗便器用洗浄弁ユニットについて説明する。水洗便器用洗浄弁ユニット50は図2に示すように、既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置(図3)の本体部90に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁91に置き換えて、水圧制御装置1が螺合されて設けられ、さらに、人体センサ74、電磁弁駆動用電池72および制御部73を収納したケーシング71が、水圧制御装置1が内包されるように、支持部材75によって本体部90に支持されて設けられる。なお、支持部材75は、水圧制御装置1に支持されてもよい。
【0036】
人体センサ74は、便器95に接近する人体を感知するセンサであって、ケーシング71の正面に設けられる。作用として、便器95の使用者を感知して、制御部73に対して便器95の使用開始、使用終了等の信号を送信する。
【0037】
制御部73は、人体センサ74から送信された信号の内容に応じて、電磁弁20に対して制御信号を送信する。
【0038】
続いて、上記実施例の作用について説明する。便器95の使用に際して、必要時には、アーマチャ22先端のパイロット弁23をパイロット弁用弁座15から離隔させるように、電磁弁20を制御する。これにより、圧力保持連通流路56から出水口連絡流路53へ向かう水流を生じさせて圧力保持連通流路56内の水圧を減圧して、ダイヤフラム弁61をダイヤフラム弁用弁座62から離隔させる作用が生じる。その結果、流入側流路51から主流路52へ水流出を発生させて、便器95に通水することができる。
【0039】
一方、水流出を所定時間行った後は、制御部73は、アーマチャ22先端のパイロット弁23をパイロット弁用弁座15に当接させるように、電磁弁20を制御する。これにより、出水路14が封鎖されるため、圧力保持連通流路56から入水路13および出水路14を経て出水口連絡流路53へ向かう水流が停止される。これにより流入側流路51からダイヤフラム弁61内部の通水孔(図示しない)を経て圧力保持連通流路56内へ流れ込む水流によって、圧力保持連通流路56内を徐々に水で満たすことができ、圧力保持連通流路56内の水圧が漸増して、最終的に圧力保持連通流路56内の水圧を流入側流路51内の水圧と等しくさせる作用が生じる。その結果、ダイヤフラム弁61がダイヤフラム弁用弁座62に当接するため、流入側流路51から主流路52への水流出を停止させることができ、便器95への通水が停止される。
【0040】
本発明によれば、プッシュボタン式手動弁91が装着された既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置101であっても、その本体部からプッシュボタン式手動弁91を取り外し、その部位を水洗便器用洗浄弁ユニット50に置き換えるだけで、手動洗浄方式の水洗便器用洗浄弁装置を自動洗浄方式の水洗便器用洗浄弁装置に極めて簡易に変更することが可能となる。
【0041】
また本発明によれば、水圧制御装置1の構成を工夫することによって、自己保持式であって電力消費の少ない電磁弁の採用を可能とした。そのため、小型の電池による駆動を可能とした。また、電池の消費量が少ないため、複数年間にわたり電池交換が不要となる。
【0042】
また本発明によれば、小型の電池による駆動を実現したことで、家庭用交流電源の配線を不要とすることが可能となった。その結果、電源がない場所にも使用することが可能となるとともに、洗便器用洗浄弁ユニット50の外観面での美観を向上させることが可能となった。
【0043】
なお、本発明に係る水圧制御装置1および水洗便器用洗浄弁ユニット50は、プッシュボタン式手動弁のみならず、ハンドル式手動弁が装着された既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置にも同様に適用することができる。
【0044】
また、本発明に係る水圧制御装置1および水洗便器用洗浄弁ユニット50は、ダイヤフラム弁方式のみならず、ピストン弁方式の既設の水洗便器用洗浄弁装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る水圧制御装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る水洗便器用洗浄弁ユニットの一例を示す概略図である。
【図3】既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の構成を示す概略図である。
【図4】従来のプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置の一例を示す概略図である。
【図5】従来のプッシュボタン式水洗便器用洗浄弁装置を自動水洗化する水洗便器用洗浄弁ユニットの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 水圧制御装置
2 先端部
3 基部
4 基部底部
5 空間部
6 制御室
7 Oリング
8 Oリング
9 Oリング
10 流路構成部
11 着脱用ネジ部
12 ネジ山切欠部
13 入水路
14 出水路
15 パイロット弁用弁座
16 基部側面
17 基部上壁面
20 電磁弁
21 水封部
22 アーマチャ
23 パイロット弁
24 パイロット弁の先端面
25 付勢部材
26 電磁石ユニット
50 水洗便器用洗浄弁ユニット
51 流入側流路
52 主流路
53 出水口連絡流路
54 入水口
55 出水口
56 圧力保持連通流路
61 ダイヤフラム弁
62 ダイヤフラム弁用弁座
71 ケーシング
72 電磁弁駆動用電池
73 制御部
74 人体センサ
75 ケーシング支持部材
90 本体部
91 プッシュボタン式手動弁
92 手動弁装着用ネジ部
93 止水栓
95 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置において、
連続する先端部と基部とを備え、その内部には空間部が設けられ、基部底部には電磁弁が結合され、
前記先端部は、Oリングを備えて、前記本体部内の出水口連絡流路に嵌合させて、本体部内の圧力保持連通流路から出水口連絡流路への水流を封止可能に形成され、
前記空間部には、その中に設けられる流路構成部と、前記電磁弁の水封部とによって仕切られる制御室が形成され、
前記基部は、基部側面に前記本体部の手動弁装着用ネジ部に螺合可能なように着脱用ネジ部が設けられるとともに、前記圧力保持連通流路から前記制御室に連通する入水路が設けられ、
前記流路構成部には、前記制御室から前記出水口連絡流路に連通する出水路が設けられ、その出水路の制御室側先端部はパイロット弁用弁座として形成されて前記電磁弁のアーマチャと同一軸線上においてアーマチャ先端に設けられたパイロット弁の先端面に相対するように配設され、
常時は、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座に当接させ、必要時には、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座から離隔させることによって、前記圧力保持連通流路内の水圧を制御すること
を特徴とする水圧制御装置。
【請求項2】
プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水圧制御装置において、
連続する先端部と基部とを備え、その内部には空間部が設けられ、基部底部には自己保持式であり且つ駆動電源が電池である電磁弁が結合され、
前記先端部は、Oリングを備えて、前記本体部内の出水口連絡流路に嵌合させて、前記本体部内の圧力保持連通流路から出水口連絡流路への水流を封止可能に形成され、
前記空間部には、その中に設けられる流路構成部と、前記電磁弁の水封部とによって仕切られる制御室が形成され、
前記基部は、基部側面に前記本体部の手動弁装着用ネジ部に螺合可能なように着脱用ネジ部が設けられるとともに、前記圧力保持連通流路から前記制御室に連通する入水路が設けられ、
前記流路構成部には、前記制御室から前記出水口連絡流路に連通する出水路が設けられ、その出水路の制御室側先端部はパイロット弁用弁座として形成されて前記電磁弁のアーマチャと同一軸線上においてアーマチャ先端に設けられたパイロット弁の先端面に相対するように配設され、
常時は、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座に当接させることによって、前記圧力保持連通流路内の水圧を一定に保持し、必要時には、前記パイロット弁を、前記パイロット弁用弁座から離隔させることによって、前記圧力保持連通流路から前記出水口連絡流路へ向かう水流を生じさせて前記圧力保持連通流路内の水圧を減圧すること
を特徴とする水圧制御装置。
【請求項3】
前記着脱用ネジ部が、着脱方向におけるネジ部全長に渡って、ネジ山切欠部を備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の水圧制御装置。
【請求項4】
プッシュボタンの手動操作により本体部の流入側流路と主流路との間を開閉させて、必要時に流水させる既設のダイヤフラム弁方式による水洗便器用洗浄弁装置の本体部に着脱可能に装着されたプッシュボタン式手動弁に置き換えて取り付ける水洗便器用洗浄弁ユニットにおいて、
請求項2記載の水圧制御装置が、前記本体部のプッシュボタン式手動弁が取り外された部分に螺合されて設けられ、
便器の使用者を感知する人体センサ、電磁弁駆動用電池および前記人体センサからの信号に応じて前記電磁弁の駆動を制御する制御部を収納したケーシングが、前記水圧制御装置が内包されるように、前記水圧制御装置および前記本体部のいずれか一方もしくは双方に支持されて設けられること
を特徴とする水洗便器用洗浄弁ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−31784(P2008−31784A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208391(P2006−208391)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(396017796)株式会社ミナミサワ (2)
【Fターム(参考)】