説明

水性シリコーン分散体、これを含有する処方物、特に塗料処方物及びそれらの製造方法

本発明は、重縮合によって架橋できる又は重縮合によって架橋されるポリオルガノシロキサン(POS)を含有する水性シリコーン分散体に関する。本発明の目的は、知られている欠陥を修正し、且つ、効果的な耐水性、即ち、濡れ−擦り抵抗性(WAR)の増大及び防水性を有する最終適用物(例えば、塗料)を与えるエラストマーに正確且つ十分に架橋することができる、このタイプの分散体を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な塗料組成物、特に屋外用及び屋内用の塗料組成物に関する。これらの組成物は、水性塗料、鋳造用製品、ラズュール塗料、含浸、やや厚めの被膜(STC)又は外観用の塗料のような様々な用途で使用できる。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、例えば塗料の形態で最終的に塗布し、濡れ−擦り抵抗性(WSR)を増大させ、十分なビーディング効果及び水不浸透性を与える、縮合によって正確且つ適切にエラストマー又は架橋生成物に架橋することができるいかなる塗料組成物も示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の主な目的の一つは、最終適用物に、効果的な防水性、即ち、濡れ−擦り抵抗性(WSR)の増大、水不浸透性、十分な水蒸気透過性及びビーディング効果を与える新規な水性シリコーン塗料分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
具体的に言うと、本発明は、周囲温度で好都合に生じる重縮合反応に従って架橋する又は水若しくはアルコールの脱落によって架橋した1種以上のポリオルガノシロキサン(POS)を含有する水性シリコーン分散体に関する。
【0005】
また、本発明は、とりわけ、本発明に従うタイプの水性シリコーンエマルジョン及び分散体の一製造方法に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
非毒性であるか又は毒性が低く(特に揮発性有機溶媒を含まない)且つ使用するのが便利で容易(例えば、道具の洗浄が容易)な、環境に優しい製品としての上記のタイプの処方物に対する需要は、生産者が有機重合体結合剤及び/又はシリコーンの溶媒又揮発性有機化合物(VOC)溶液・分散液を有利に置き換えることができる水性分散体/エマルジョンを開発する動機付けとなってきた。
【0007】
こうして、塗料、STC又はマスチックの製造用原料として使用することを目的とした、縮合によってエラストマーに架橋できる1種以上のシリコーンオイルを含有する水性シリコーンエマルジョンが登場した。このようなエマルジョンの目的は、今まで特に塗料に慣用的に使用されてきた有機重合体結合剤を完全に又部分的に置き換えることにある。
【0008】
これらの水性シリコーンエマルジョンの製造時に直面する技術的な問題は、非常に多数ある。これらの問題は、目的とする最終用途の全てに共通する第1のカテゴリーと、塗料及びSTCに特有の第2のカテゴリーとに分けることが可能である。
【0009】
第1のカテゴリーに関しては、まず、これらの水中油型(O/W)エマルジョンの強い安定性が挙げられる。水性シリコーンエマルジョンの望ましくない相変化は、これらの用途では完全に許容できないことは明らかである。
【0010】
また、安全性及び毒性の問題に大いに注意を払うことも必要である。これは、これらの問題が分散体の媒体として水を使用するため比較的軽微なものであるにしても、有害な物質(VOC)が加水分解によってその場で生成する可能性があるという事実が依然として存在するためである。
【0011】
さらに、エマルジョンのシリコーンの硬化時間は、塗布後に長すぎてはならない。さらに、形成する架橋生成物又はエラストマーは、対象の用途に適合する好適な機械的性質(硬度、弾性、耐摩耗性)を有しなければならない。
【0012】
水性シリコーンエマルジョン又はこれから製造された製品は使用するのが容易でなければならないことはもちろんのことである。
【0013】
最後に、使用目的にかかわらず、塗布後に得られるもの(薄膜、被膜、シール、充填物)が、塗布される基材に完全に付着することが重要である。
【0014】
塗料及びSTCに特有の第2の問題のカテゴリーに関しては、塗料エマルジョンの安定がさらに重大であることを強調しなければならない。
【0015】
さらに、塗料は、ブラシ、ローラー、吹きつけ、浸漬などの既知の方法によって薄膜の形態で塗布するのが容易でなければならない。
【0016】
さらに、特にシリコーンを含有する塗料及び重合体結合剤は、硬質エラストマー被膜を生じさせるように正確に架橋することが不可欠である。言い換えれば、この薄膜は、これにダストが付着しないように、粘着性であってはならない。また、塗料被膜の硬化が不完全であると、その耐久性及び外部環境又は生物による攻撃に対する抵抗性を低減させるという有害な影響も生じる。
【0017】
また、塗料が屋外からもたらされる水に対して不浸透性であること及び内部起源の水蒸気に対して透過性であることに対する要望もある。
【0018】
要約すると、水性シリコーンエマルジョンをベースとする塗料について要望される規格は、
・環境に優しい性質(安全性、非毒性);
・高い結合力及び強力な付着性(高いWSR);
・耐久性と同義の硬度及び清浄で且つ非粘着性の外観;
・水蒸気透過性;
・撥水性、液体水の吸収性が低いこと;及び
・ビーディング効果
である。
【0019】
より具体的には、特に塗料を処方する際に使用でき、展開でき、しかも本発明の主題である新規な水性シリコーン分散体は、主として、
(a)少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A);
(b)少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B);
(c)一般式(I)の単量体形態及び/又は縮合オリゴマー型の形態で存在する少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C):
【化1】

(式中、
・R1は、1〜6個の炭素原子を有するアミノアルキル基又は一般式:H2N−(CH2x2−(CH2z−(ここで、R2は、O、S、−NH−又はNH−CH2−CH2−NH−を表し、x≧2、z≧2である。)の基である。);
(d)少なくとも1種の界面活性剤(S);
(e)随意に少なくとも1種の殺生物剤(D);
(f)水;及び
(g)随意に有効量の重縮合触媒;
から構成され、
ここで、該水性シリコーン分散体は、アルコキシ−OR型(ここで、Rは、C1〜C20脂肪族炭化水素基である。)の加水分解性官能基を有するシランを含まない。
【0020】
好ましくは、該触媒は、好ましくは、水性エマルジョンの状態で導入される触媒錫化合物、一般に有機錫塩である。使用できる有機錫塩は、特に、Nollによる文献「Chemistry and Technology of Silicones」,アカデミックプレス(1968),337頁に記載されている。
【0021】
また、触媒錫化合物として、ジスタノキサン若しくはポリオルガノスタノキサンか、又は米国特許第3862919号に記載されるような、錫塩、特にジカルボン酸錫とエチルポリシリケートとの反応生成物のいずれかを使用することも可能である。
【0022】
また、ベルギー国特許第842305号に記載されるような、珪酸アルキル又はアルキルトリアルコキシシランとジブチル錫ジアセテートとの反応生成物も好適であると考えられる。
【0023】
別の可能性によれば、SnCl2又はオクタン酸第一錫のような錫(II)塩が使用できる。
【0024】
好ましい錫塩は、錫ビスキレート(欧州特許第147323号及び欧州特許第235049号)、ジ有機錫ジカルボキシレート、特に、ジブチル錫ベルサテート若しくはジオクチル錫ジベルサテート(英国特許第1289900号)、ジブチル錫ジアセテート若しくはジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート若しくはジオクチル錫ジラウレート又は上記種の加水分解生成物(例えば、ジオルガノスタノキサン及びポリスタノキサン)である。
【0025】
特に有利な一形態によれば、本発明に従う水性シリコーン分散体は、重縮合触媒を有さず、且つ、主として
(a)少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A);
(b)少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B);
(c)一般式(I)の単量体形態及び/又は縮合オリゴマー型の形態で存在する少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C):
【化2】

(式中、
・R1は、1〜6個の炭素原子を有するアミノアルキル基又は一般式:H2N−(CH2x2−(CH2z−(ここで、R2はO、S、−NH−又はNH−CH2−CH2−NH−を表し、x≧2、z≧2である。)の基である。);
(d)少なくとも1種の界面活性剤(S);
(e)随意に少なくとも1種の殺生物剤(D);及び
(f)水;
から構成されるが、ここで、該水性シリコーン分散体は、アルコキシ−OR型(ここで、Rは、C1〜C20脂肪族炭化水素基である。)の加水分解性官能基を有するシランを含まない。
【0026】
本発明の好ましい一形態によれば、水性分散体は水中油型エマルジョンの形態にある。
【0027】
このタイプのエマルジョンを含有する塗料の機械的特性及び流動学的特性を改善させるという課題は、有機アルキル基によってアルコキシル化された官能基を有しないヒドロキシル化された水溶性のアミノシランを、ヒドロキシル官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂及びエポキシ官能化ポリオルガノシロキサンと共に選択することが解決策になることをよく理解した本発明者によって解決された。
【0028】
全ての予想に反して、この分散体は、耐久的に安定であり、しかもこの分散体を基材とする塗料のWSRの改善、製造及び使用の容易さ、液体状又は蒸気状の水の交換に対する選択的障壁、安全性/非毒性及びビーディング効果の改善という本発明の目的を満足するように思われる。
【0029】
さらに、特に驚くべきことは、硬化/架橋後に、該分散体は、なお皮膜形成性であることである。実際に、それらの架橋状態及びそれらの分子量の増加に逆らわなければ、薄膜が形成され、樹脂(A)の液滴が合体し、そして分散体が乾燥することが観察される。
【0030】
本発明の特徴部分であるエマルジョンの架橋は、樹脂(A)の平均分子量及びその粘度をその場で増大させることを可能にする。その架橋前に、該ヒドロキシル化樹脂(A)は、十分に低い重量平均分子量Mwを有するため、実際に、乳化できるほどの十分に低い粘度を有する。慣用手順に従ってこの樹脂を乳化できるようにするために、最初に該樹脂を溶媒に希釈する必要はない。
【0031】
そのため、本発明に従うこの分散体は、毒性で且つ危険な溶媒を使用することなく、架橋後に、機械的性質(特に耐摩耗性)が改善したシリコーン架橋生成物又はエラストマーを含む。
【0032】
該分散体の成分(A)、(B)、(C)、(S)及び(D)は、本明細書において、それらの初期化学構造、即ち乳化前にこれらを特徴付ける構造により定義される。その理由は、これらが水性媒体中に存在した瞬間から加水分解/縮合によって変換され、そしてそのときにそれらの構造を定義するのが難しくなるからである。
【0033】
重量をベースとしたときの該分散体の主成分は、ポリオルガノシロキサン樹脂(A)である。この樹脂のヒドロキシル基は、T単位によって選択的に保持されるが、M及び/又はD及び/又は随意にQ単位のヒドロキシル置換も除外されない。ヒドロキシル化のレベルは重量%で表される。この表現方法によれば、最小のヒドロキシル化は、好ましくは、0.05%に等しい。実際には、これは0.3%以上、より好ましくはさらに0.5%〜3%である。
【0034】
いずれにせよ、このヒドロキシル化レベルは、期待されるレベルに合致する正確な架橋を保証するのに十分なものであることが望ましい。
【0035】
シリコーン化学の用語においては、シロキサン単位M、D、T及びQは、次の通りに定義されることが想起される。
【化3】

【0036】
さらに具体的に選択される樹脂は、T(OH)、DT(OH)、DQ(OH)、DT(OH)、MQ(OH)、MDT(OH)、MDQ(OH)のタイプ又はそれらの混合物である。これらの樹脂において、それぞれのOH基は、D、T又はQ単位に属する珪素原子によって保持される。
【0037】
これらの樹脂は、好ましくはヒドロキシル型の縮合性基を有する単量体、オリゴマー又はPOS重合体の縮合(モノ縮合又は重縮合、ヘテロ縮合又はホモ縮合)生成物である。
【0038】
好ましくは、該ポリオルガノシロキサン樹脂(A)は、乳化前に、
・少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基;及び
・D、T並びに随意にM及び/又はQのシロキシル単位
を含み、ここで、Tシロキシル単位は、50〜85%、好ましくは55〜80%のモル%で存在するものとする。
【0039】
特に有利な一実施形態によれば、該ポリオルガノシロキサン樹脂(A)は、T(OH)、DT(OH)、DQ(OH)、DT(OH)、MQ(OH)、MDT(OH)、MDQ(OH)型又はそれらの混合物、好ましくは、MDT(OH)、DT(OH)又はそれらの混合物の液体ポリオルガノシロキサン樹脂である。
【0040】
本明細書において、対象の粘度の全ては、「ニュートン」と呼ばれる25℃での動的粘度のオーダーに相当する。即ち、この動的粘度は、測定される粘度が剪断速度とは無関係であるほどに十分に低い剪断速度で、それ自体周知の態様で測定される。
【0041】
本発明の好ましい一変形例によれば、水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)は、アミノプロピルトリヒドロキシシランである。
【0042】
本発明の好ましい一形態によれば、該水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)は、分散体の総重量に対して、15重量%まで、好ましくは10%、さらに好ましくは0.5〜7重量%で存在する。
【0043】
本発明に従う水性シリコーン分散体のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)は、2〜20個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは酸素を含有してよい2価基を介して珪素に結合した、少なくとも1個のエポキシ単位を保有する少なくとも1個のエポキシ官能化基Yを有し、ここで、Yは、好ましくは、次の基:
【化4】

から選択される。
【0044】
本発明の好ましい一形態によれば、該エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)は、以下に示される式(V)の単位から構成され且つ式(VI)の単位で終結し、及び/又は式(V)の単位から構成される:
【化5】

(式中、
−記号R1は同一であり又は異なり、次のもの:
・1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐アルキル基、ここで、該アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル及びオクチルであり;
・5〜8個の環形成炭素原子を含有する、置換されていてよいシクロアルキル基;
・6〜12個の炭素原子を含有する、置換されていてよいアリール基、好ましくは、フェニル又はジクロルフェニル基;
・5〜14個の炭素原子を含有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を含有するアリール部分とを有するアリールアルキル部分であって、該アリール部分上でハロゲン、1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基及び/又はアルコキシ基によって置換されていてよいもの;
を表し、
−記号Y’は、同一であり又は異なり、そして次のもの:
・基R1;及び/又は
・2〜20個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは酸素を含有することができる2価基を介してポリオルガノシロキサンの珪素に結合したエポキシ官能基;及び
・エポキシ官能基を示す記号Y’のうちの少なくとも一つ
を表す。)。
【0045】
本発明の好ましい一形態によれば、エポキシ型の有機官能基Y’は、
【化6】

から選択される。
【0046】
該エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)は、直鎖状又は環状のいずれかであることができる。
【0047】
これらが環状ポリオルガノシロキサンである場合には、これらは、例えば、ジアルキルシロキシ型又はアルキルアリールシロキシ型であることができる単位(II)から構成される。これらの環状ポリオルガノシロキサンは、およそ1〜5000mPa.sの粘度を有する。
【0048】
このような官能化ポリオルガノシロキサンの製造は、シリコーン化学の当業者が実施できる範囲内にある。
【0049】
界面活性剤(S)を本発明に従う分散体で使用するときに、これは、好ましくは、非イオン性界面活性剤である。
【0050】
本発明において、陰イオン性界面活性剤を随意に使用できる。例えば、芳香族炭化水素系のスルホン酸又はアルキル硫酸のアルカリ金属塩が挙げられ、好ましい非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレン化アルキルフェノール又はポリオキシエチレン化脂肪アルコールである。
【0051】
使用できる界面活性剤の量は、特に、米国特許第2891920号に記載されるような、乳化のために一般的に使用される量である。
【0052】
非イオン性(好ましくは)、イオン性又は両性界面活性剤を単独で又は互いに混合して使用できる。
【0053】
実際には、本発明に従う分散体は、70〜10重量%、好ましくは70〜40重量%の非水性相当たり、30重量%〜90重量%、好ましくは30〜60重量%の水を含む。
【0054】
本発明の第2の主題は、塗料の処方に特に使用できる水性シリコーン分散体の製造方法であって、次の必須の連続又は非連続工程:
(a)次のものの製造工程:
・上で定義した少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A)を含む予備混合物Iと、上で定義した少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)を含む予備混合物II;又は
・上で定義した少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A)及び上で定義した少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)を含む予備混合物III;
(b)少なくとも1種の界面活性剤(S)の存在下での、水と、工程(a)で得られたそれぞれの予備混合物I及びII又は予備混合物IIIとの乳化工程;及び
(c)該工程(b)で得られた、該予備混合物I及びIIから生じたエマルジョンと、上で定義した少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)との混合工程;又は該工程(b)で得られた、該予備混合物IIIから生じたエマルジョンと、上で定義した少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)との混合工程;及び
(d)該樹脂のエマルジョンにおける縮合による架橋を該分散シリコーン相の液滴内で生じさせて最終的に分散体を得るような、該工程(C)から生じた分散体の随意の硬化工程
を含むことを特徴とする、前記製造方法に関する。
【0055】
本発明の第3の主題は、塗料の処方に特に使用できる水性処方物であって、
・有機分散体(結合剤)の1種又は数種の総重量に対して150重量%まで、さらに好ましくは40〜100重量%で存在する、上で定義した又は上で定義した製造方法によって得られた水性シリコーン分散体;
・次の物質:沈降シリカ又は非沈降シリカ、コロイドシリカ又は粉末シリカ、カーボネート、タルク、TiO2及びそれらの混合物から選択されるシリカ質又は非シリカ質充填剤;並びに
以下に列挙した化合物のうち少なくとも1種:
・好ましくはスチレン及び/又は(メタ)アクリル酸の(共)重合体よりなるものから選択される1種以上の有機分散体(結合剤);
・好ましくはアクリルセルロース増粘剤、ポリウレタン、天然ガム及びそれらの混合物から選択される1種以上の増粘剤;
・好ましくは有機溶媒、より好ましくはグリコール及び/又は脂肪族石油留分から選択される1種以上の合体剤;
・好ましくはホスフェート及び/又はポリアクリルから選択される1種以上の湿潤剤又は分散剤;
・1種以上の張力剤;
・1種以上の中和剤;
・1種以上の殺生物剤;
・1種以上の希釈剤;
・好ましくは非反応性シリコーンオイルから選択される1種以上の可塑剤;
・1種以上の消泡剤;及び
・1種以上の顔料又は染料(これらは有機又は無機である)
を含む水性処方物に関するものである。
【0056】
本発明の最後の主題は、塗料であって、
・本発明に従う水性シリコーン分散体;
・本発明に従う方法を実施することによって得られた水性シリコーン分散体;又は
・本発明に従う水性処方物
を含むことを特徴とする塗料に関する。
【0057】
本発明に従う塗料は、例えば、通常の技術に従って表面に塗布できる。例えば、これは、ブラシ塗り、吹きつけなどのようなあらゆる好適な手段によって表面に塗布できる。本発明に従う塗料組成物が塗布できる表面は、多様な特徴のものである:例えば、接着用下塗り液で前もって被覆した又は被覆していない、アルミニウムのような金属、木材、セメント、レンガ。
【0058】
次の実施例及び試験を例示の目的で与える。これらは、特に、本発明をよく理解し、その利点の全てを強調し、そして実施形態のいくつかの変形例の予想を可能にする。
【実施例】
【0059】
(A)使用した原料
・ポリオルガノシロキサン樹脂(A):0.7重量%のヒドロキシルレベルを有するヒドロキシル化メチルシリコーン樹脂MDTOH;
・エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(POS)(B):
【化7】

(ここで、a=70、b=7である。);
・水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C):20%の活性物質を有するλ−アミノプロピルトリエトキシシランの水性水酸化物で、それからそのアルコールがストリッピングによって除去されたもの(VS142型OSI社製品);
・アルコキシ基を有するシラン:OTES=オクチルトリエトキシシラン;
・商品名ROX(商標)の下にロディアシミ社により販売される界面活性剤(S):エトキシル化(8個のエトキシ単位)脂肪アルコール(13個の炭素の鎖);
・触媒エマルジョン(Cat):ポリビニルアルコール型界面活性剤(この場合には商品名RHODOVIOL(商標)の下で販売されているもの)で製造された、35%の活性錫物質を有するジオクチル錫ジラウレートのエマルジョン;及び
・OTES=オクチルトリエトキシシラン。
【0060】
(B)エマルジョンの製造方法
分散体を製造するためのいくつかのプロトコールが想起できる。これを限定するものではないが、この例で使用したプロトコールは、
・1.水と界面活性剤(S)とを混合させ;
・2.ポリオルガノシロキサン樹脂(A)及びエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)をこの水混合物に導入し、ここで、この導入を、油中水型エマルジョンを得るように撹拌しながら実施し;
・3.工程2で得られた油中水型(W/O)エマルジョンの逆転をブレンド(MORITZブレンダー)によって実施して最終的に水中油型(O/W)エマルジョンを得;及び
・4.シランを混合させることによってその後の添加を行うこと
からなる。
【0061】
一変形例は、工程2で2種のエマルジョン、即ち一方がポリオルガノシロキサン樹脂(A)を含有し、他方がエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)を含有するものを混合することからなる。比較試験のために、使用する成分を場合に応じて変更する。
【0062】
(C)濡れ−擦り抵抗性(WSR)の試験
内部又は外部に塗布された塗料は、分解することなく容易に清浄化できなければならない。このタイプの製品については、重合体の結合力、即ち、該集合体の凝集力を保証することができる能力が決め手となる。
この特性を定量する手段は、塗料の濡れ−擦り抵抗性を評価することからなる。
【0063】
濡れ擦り抵抗性の定義
基準法ISO11998=所定の擦りサイクル後の塗料被膜の厚さの減少に従い、標準的な装置を使用して実施した。
【0064】
原理
規定の厚さの塗料被膜が、ブラシ又は水性媒体中での研磨パッドの前後運動によって加えられた摩耗作用に抵抗することができるかについての評価である。
【0065】
結果の表示
基準法ISO 11998について
・それぞれの試験片について、次式:Δm×106/(39×387×ds
(ここで、
Δmは、試験前後の試験片の重量差であり;及び
sは、塗料の乾燥密度である。)
を適用する。
・それぞれの塗料について、平均偏差及び標準偏差を算出する;
・結果をμmで表す。ここで、これは、塗料被膜の厚さの減少に相当する。厚さの減少及び擦りサイクル数の関数として塗料を分類する:
クラス1:結合剤の割合が高い塗料については、200サイクル後に<5μm。
クラス2:200サイクル後に≧5μm及び<20μm、該塗料は清浄化可能。
クラス3:200サイクル後に≧20μm及び<70μm、該塗料は洗浄可能。
クラス4:40サイクル後に<70μm。
クラス5:40サイクル後に≧70μm。
【0066】
(D)透水性(W24):液体水吸収についての標準化試験
この手順(基準法NFEN1062−3,1999年2月)は、屋外の石造建造物及びコンクリートに塗布された塗料製品及び同様の製品の液体水透過性を決定するための方法を特定する。この方法は、例えば、レンガ、コンクリート及び下塗りのような多孔性支持材用の塗料製品及び塗装系に適用できる。
【0067】
原理
屋外の石造建造物及びコンクリート用の被膜は、流去水が多孔性無機支持材に浸透するのを防ぐ際に重要な役割を果たす。この基準は、面のうち一方が塗料又は塗装系で被覆された高多孔性無機ブロックの手段によって評価される。この試験片を、設定条件下で水に浸漬させ、そしてこれらの試験片を一定の時間間隔で秤量する。この液体水の透過性を、質量変化が該時間間隔の平方根に正比例するときの質量変化によって決定する。
【0068】
結果の表示
該時間の平方根の関数としての水重量増加を決定する。この曲線の直線部分の傾きは、液体水透過係数W(kg/m2.時間t1/2)である。該係数Wを得るためには、重量増加を表面積(m2)で割るか、又は傾きを表面積で割ることが必要である。表面積は、パラフィンで覆われていない表面積である。
通常、Wは、24時間にわたって算出される。曲線のこの部分が24時間前に得られる場合には、時間数は、Wの指数として示さなければならない(例えばW6)。
PVC=顔料容積容量。
【0069】
(2)加速吸水試験
手順
吸水率は、揮発性で水に可溶の化合物に影響を受ける。実際には、これらの化合物は、外部へのその暴露中に被膜から蒸発し得るか、又は雨によって洗い流され得るため、該被膜は、その液体水の吸収を決定する前に「加速」老化を受けなければならない(従来の手順において予期される3回の洗浄の代わりに2回の洗浄)。
【0070】
試験片の調製
・塗料の300μmの薄膜(一つの同一の塗料について2種の試験片)を砂岩タイルに適用する。
・空調管理室内で日中乾燥させた状態にしておく。
・該試験片を、夕方に、30℃のオーブン内に置き、そして一晩放置する明朝に、該オーブンを40℃にセットし、そして該試験片を48時間にわたって放置する(2日)。
・該試験片を朝から空調管理室内に置く。
・午後に、被膜上におかれたLenetaチャートを使用して該試験片をパラフィン包埋する。
・最低1日にわたって空調管理室内で状態調整する。
【0071】
加速老化
・スポンジをタンク内に置く。これらのスポンジを脱イオン水中に該スポンジの高さよりも下の0.5cmまで浸漬させる。試験片を、水を染みこませたフィルター上に置く。この状態でこの系を24時間放置する。
・該試験片を吸収紙で乾燥させ、次いで50℃オーブン内に24時間にわたり置く。
・該試験片を、フィルター/スポンジの手段によって再度24時間接触させる。
・該試験片を吸収紙で乾燥させ、次いで50℃のオーブン内に24時間にわたって置く。
・該試験片を空調管理室内で2〜3日間保管する。
【0072】
液体水吸収の決定
・空調管理室内で状態調整した後に、被覆され且つ老化した試験片を秤量した。これを、フィルターを用いて湿らせたスポンジ上に置く。
・1時間、2時間、3時間、6時間及び24時間後に、試験片を秤量するが、まず、その表面を吸収紙で乾燥させる(該試験片をそれぞれの秤量の間にスポンジ上に再度置く。)。
【0073】
結果の表示
水の重量の増加は、時間の平方根の関数である(Δ重量=f√t))。
その曲線の直線部分の傾きは、W、即ち、kg/(m2.t1/2)で表される液体水透過係数である。該係数Wを得るためには、重量増加を被膜の表面積(m2)で割るか、又は傾きを表面積で割ることが必要である。
通常、Wは、24時間にわたって算出される。この曲線の直線部分が24時間前に得られる場合には、時間数は、Wの指数として示さなければならない(例えばW6)。kg/m2で表される水吸収曲線を√時間の関数としてプロットする。直線が得られる。その傾きは、透過係数Wに等しい。検討したそれぞれの被膜について、W24の平均偏差及び標準偏差を算出し、そして提示する。
【0074】
例1:エマルジョンの製造:
【表1】

【0075】
表1の値は、エマルジョンの総重量に対する重量%として表している。平均直径は、Malvernマスターサイザー2000/Hydro2000G粒度分析器を使用して測定した。
【0076】
例2:塗料の製造
【表2】

【0077】
塗料の評価
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
これらの結果は、本発明に従う分散体が触媒及びアルコキシル化シラン(塗料用の水性シリコーン処方物に一般的に使用される)の使用を避けることを可能にすることを示す。従って、これは処方物及び製造方法を単純するが、これは製造コスト面からみて特に有益である。本発明に従う分散体は、これらを液体水透過性が低い塗料と分類することができるW24値を得ることを可能にする。
【0080】
さらに、本発明に従う塗料は、塗布及び乾燥後に、所望の用途について許容できるビーディング効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料の処方に特に使用できる水性シリコーン分散体であって、主として、
(a)少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A);
(b)少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B);
(c)一般式(I)の単量体形態及び/又は縮合オリゴマー型の形態で存在する少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C):
【化1】

(式中、
・R1は、1〜6個の炭素原子を有するアミノアルキル基又は一般式:H2N−(CH2x2−(CH2z−(ここで、R2は、O、S、−NH−又はNH−CH2−CH2−NH−を表し、x≧2、z≧2である。)の基である。);
(d)少なくとも1種の界面活性剤(S);
(e)随意に少なくとも1種の殺生物剤(D);
(f)水;及び
(g)随意に有効量の重縮合触媒;
から構成され、
ここで、該水性シリコーン分散体は、アルコキシ−OR型(ここで、Rは、C1〜C20脂肪族炭化水素基である。)の加水分解性官能基を有するシランを含まない、前記水性シリコーン分散体。
【請求項2】
主として、
(a)少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A);
(b)少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B);
(c)一般式(I)の単量体形態及び/又は縮合オリゴマー型の形態で存在する少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C):
【化2】

(式中、
・R1は、1〜6個の炭素原子を有するアミノアルキル基又は一般式:H2N−(CH2x2−(CH2z−(ここで、R2はO、S、−NH−又はNH−CH2−CH2−NH−を表し、x≧2、z≧2である。)の基である。);
(d)少なくとも1種の界面活性剤(S);
(e)随意に少なくとも1種の殺生物剤(D);及び
(f)水;
から構成される、塗料の処方に特に使用できる水性シリコーン分散体であって、該水性シリコーン分散体が、アルコキシ−OR型(ここで、Rは、C1〜C20脂肪族炭化水素基である。)の加水分解性官能基を有するシランを含まない、請求項1に記載の水性シリコーン分散体。
【請求項3】
水性分散体が水中油型エマルジョンの形態にある、請求項1又は2に記載の水性シリコーン分散体。
【請求項4】
前記水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)が、前記分散体の総重量に対して、15重量%まで、好ましくは10%、さらに好ましくは0.5〜7重量%で存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の水性シリコーン分散体。
【請求項5】
前記エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)が、2〜20個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは酸素を含有してよい2価基を介して珪素に結合した、少なくとも1個のエポキシ単位を保有する少なくとも1個のエポキシ官能化基Yを有し、ここで、Yは、好ましくは、次の基:
【化3】

から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の水性シリコーン分散体。
【請求項6】
前記エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)が、以下に示す式(V)の単位から構成され且つ式(VI)の単位で終結した、及び/又は式(V)の単位から構成された、請求項1〜5のいずれかに記載の水性シリコーン分散体:
【化4】

(式中、
−記号R1は同一であり又は異なり、次のもの:
・1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐アルキル基、ここで、該アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル及びオクチルであり;
・5〜8個の環形成炭素原子を含有する、置換されていてよいシクロアルキル基;
・6〜12個の炭素原子を含有する、置換されていてよいアリール基、好ましくは、フェニル又はジクロルフェニル基;
・5〜14個の炭素原子を含有するアルキル部分と6〜12個の炭素原子を含有するアリール部分とを有するアリールアルキル部分であって、該アリール部分上でハロゲン、1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基及び/又はアルコキシ基によって置換されていてよいもの;
を表し、
−記号Y’は、同一のもの又は異なるものであり、そして次のもの:
・基R1;及び/又は
・2〜20個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは酸素を含有することができる2価基を介してポリオルガノシロキサンの珪素に結合したエポキシ官能基;及び
・エポキシ官能基を示す記号Y’のうちの少なくとも一つ
を表す。)。
【請求項7】
前記エポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)のエポキシ官能基が次の基:
【化5】

から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の水性シリコーン分散体。
【請求項8】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、乳化前に、
・少なくとも0.05重量%の量で存在する縮合性ヒドロキシル置換基;及び
・D、T並びに随意にM及び/又はQのシロキシル単位
を含み、ここで、該Tシロキシル単位は、50〜85%、好ましくは55〜80%のモル%で存在するものとする、
請求項1〜7のいずれかに記載の水性シリコーン分散体。
【請求項9】
前記ポリオルガノシロキサン樹脂(A)が、T(OH)、DT(OH)、DQ(OH)、DT(OH)、MQ(OH)、MDT(OH)、MDQ(OH)型又はそれらの混合物、好ましくは、MDT(OH)、DT(OH)又はそれらの混合物の液体ポリオルガノシロキサン樹脂である、請求項8に記載の水性シリコーン分散体。
【請求項10】
塗料の処方に特に使用できる水性シリコーン分散体(Disp)の製造方法であって、次の必須の連続又は非連続工程:
(a)次のものの製造工程:
・請求項1、2若しくは8のいずれかに記載の少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A)を含む予備混合物Iと、請求項1、2、5、6若しくは7のいずれかに記載の少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)を含む予備混合物II;又は
・請求項1、2、8若しくは9のいずれかに記載の少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂(A)及び請求項1、2、5、6若しくは7のいずれかに記載の少なくとも1種のエポキシ官能化ポリオルガノシロキサン(B)を含む予備混合物III;
(b)少なくとも1種の界面活性剤(S)の存在下での、水と、工程(a)で得られたそれぞれの予備混合物I及びII又は予備混合物IIIとの乳化工程;及び
(c)該工程(b)で得られた、該予備混合物I及びIIから生じたエマルジョンと、請求項1、2若しくは4のいずれかに記載の少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)との混合工程;又は該工程(b)で得られた、該予備混合物IIIから生じたエマルジョンと、請求項1、2若しくは4のいずれかに記載の少なくとも1種の水溶性ヒドロキシル化アルキルアミノシラン(C)との混合工程;及び
(d)該樹脂のエマルジョンにおける縮合による架橋を該分散シリコーン相の液滴内で生じさせて最終的に分散体を得るような、該工程(C)の分散体の随意の硬化工程
を含むことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項11】
塗料の処方に特に使用できる水性処方物であって、
・有機分散体(結合剤)の1種又は数種の総重量に対して150重量%まで、さらに好ましくは40〜100重量%で存在する、請求項1〜9のいずれかに記載のシリコーン分散体又は請求項10に記載の製造方法によって得られた水性シリコーン分散体;
・次の物質:沈降シリカ又は非沈降シリカ、コロイドシリカ又は粉末シリカ、カーボネート、タルク、TiO2及びそれらの混合物から選択されるシリカ質又は非シリカ質充填剤;並びに
以下に列挙した化合物のうち少なくとも1種:
・好ましくはスチレン及び/又は(メタ)アクリル酸の(共)重合体よりなるものから選択される1種以上の有機分散体(結合剤);
・好ましくはアクリルセルロース増粘剤、ポリウレタン、天然ガム及びそれらの混合物から選択される1種以上の増粘剤;
・好ましくは有機溶媒、より好ましくはグリコール及び/又は脂肪族石油留分から選択される1種以上の合体剤;
・好ましくはホスフェート及び/又はポリアクリルから選択される1種以上の湿潤剤又は分散剤;
・1種以上の張力剤;
・1種以上の中和剤;
・1種以上の殺生物剤;
・1種以上の希釈剤;
・好ましくは非反応性シリコーンオイルから選択される1種以上の可塑剤;
・1種以上の消泡剤;及び
・1種以上の顔料又は染料(これらは有機又は無機である)
を含む、前記水性処方物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の水性シリコーン分散体、請求項10に記載の方法を実施することによって得られた分散体又は請求項11に記載の水性処方物を含むことを特徴とする塗料。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の水性シリコーン分散体又は請求項11に記載の水性処方物の、塗料の分野における使用。

【公表番号】特表2008−530264(P2008−530264A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553642(P2007−553642)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000189
【国際公開番号】WO2006/084972
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】