説明

水性塗料組成物、意匠性塗膜の形成方法、建材用ボード、および、自動車車体の塗装方法

【課題】水性の塗料組成物であって、見る角度によって色相が変化するとともに奥行き感や深み感のある色調や質感を与える均一な塗膜を形成する水性塗料組成物を提供すること。また、そのような水性塗料組成物の用途を提供すること。
【解決手段】本発明の水性塗料組成物は、光輝材料と、エマルション樹脂と、水とを含む、水性塗料組成物であって、該光輝材料は、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料組成物とその用途に関する。より詳細には、見る角度によって色相が変化するとともに、奥行き感や深み感のある色調や質感を与える、意匠性の高い塗膜を形成する水性の塗料組成物、意匠性塗膜の形成方法、建材用ボード、および、自動車車体の塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の各種工業製品において、外観意匠の多様化が進んでいる。外観意匠性を高める手段の代表的なものとして、ソリッドカラー塗膜、メタリックカラー塗膜、パールカラー塗膜が挙げられる。
【0003】
これらの塗膜の中でも、最近のパールカラー塗膜は、マイカ顔料の表面に金属酸化物をコーティングした干渉マイカ顔料を含むことにより、光の干渉作用によって見る角度により色相を変化させて、外観意匠性を非常に高めている。
【0004】
例えば、上記の干渉マイカ顔料を水性塗料に配合して、光輝感、発色性が良好な塗料が開示されている(特許文献1参照)。通常、溶剤系の塗料の場合、干渉マイカ顔料は容易に分散できる。しかし、このように、干渉マイカ顔料を水性塗料に用いると、水性系のために分散性が悪い。このため、従来は、あらかじめ、干渉マイカ顔料を溶剤または分散用樹脂に分散させておき、これを水性塗料中へ分散させて用いている。その理由は、干渉マイカ顔料の表面が金属酸化物であるため、この部分に水が入り込み、すなわち、表面に水分が侵入し、凝集しやすくなっている。そのため、均一に分散することができないからである。また、外観上は分散されていても、凝集して沈降するようなかたまりとなった場合には、沈降したり、また、たとえ沈降しなくても、ミクロな凝集物となって分散しているため、塗装後に塗膜を形成した後にそのミクロな凝集物が塗膜中に存在していると、そのミクロの凝集物中に含まれる水分により、塗膜の白化現象が生じたり、色ムラが生じたりする場合がある。
【0005】
最近、樹脂の多層積層構造を有する光輝材料が報告されている(特許文献2−6参照)。特許文献2−6には、当該文献に記載の光輝材料の適用類型の1つとして、2液アクリルウレタンベースの溶剤型塗料中に含有させて、PET基材やABS基材上に塗装して塗膜を形成することが記載されている。しかし、これらは溶剤塗料へ用いた例であり、水性塗料への適用は記載されていない。また、溶剤型塗料は、トルエンやキシレンなどの揮発性溶剤を必須に含むので、環境汚染や人体への悪影響などの面で好ましくない。
【0006】
上記のように溶剤型塗料を水性塗料へ単純に転換することは難しく、樹脂のエマルション化等が必要となる。さらに、水性塗料の特有の性質である、造膜性や、塗装時の粘性を制御する必要がある。
【特許文献1】特開2003−231858号公報
【特許文献2】特開2000−229370号公報
【特許文献3】特開2000−246829号公報
【特許文献4】特開2001−347798号公報
【特許文献5】特開2006−233356号公報
【特許文献6】特開2006−233356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、水性の塗料組成物であって、見る角度によって色相が変化するとともに奥行き感や深み感のある色調や質感を与える均一な塗膜を形成する水性塗料組成物を提供することにある。また、そのような水性塗料組成物の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、エマルション樹脂と水とを含む水性のエマルション塗料組成物に、特殊な光輝材料を用いることによって、上記課題を全て解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明の水性塗料組成物は、光輝材料と、エマルション樹脂と、水とを含む、水性塗料組成物であって、該光輝材料は、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する。
【0010】
好ましい実施形態においては、本発明の水性塗料組成物は、造膜助剤をさらに含む。
【0011】
好ましい実施形態においては、本発明の水性塗料組成物は、増粘剤をさらに含む。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記光輝材料は、上記積層構造部の周囲に、上記少なくとも2種類の樹脂層を構成する樹脂のいずれかの樹脂、および/または、これらの樹脂とは異なる樹脂を含む被覆層を有する。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記光輝材料は、略扁平断面を有する。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記光輝材料は、前記積層構造部中に、無彩色系色素および/または有彩色系色素を含有する色素層を備える。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記光輝材料は、屈折率の異なる2種類の樹脂層の交互積層構造部を有し、高屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP2)の比率(SP比)が0.8≦SP1/SP2≦1.1の範囲にあり、上記交互積層構造部の周囲に、繊維形成性樹脂からなる被覆層を有する。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記交互積層構造部、および/または、上記被覆層に、有彩色成分が含まれる。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記光輝材料は、略扁平断面を有し、該断面の扁平率が3.5以上である。
【0018】
好ましい実施形態においては、上記交互積層構造部の厚さが10μm以下である。
【0019】
好ましい実施形態においては、上記高屈折率側樹脂および上記低屈折率側樹脂がアルカリ難溶性樹脂であり、上記繊維形成性樹脂がアルカリ易溶性樹脂である。
【0020】
本発明の別の局面によれば、意匠性塗膜の形成方法が提供される。この意匠性塗膜の形成方法は、表面に凹凸形状を有する基材上に、本発明の水性塗料組成物を塗布する。
【0021】
好ましい実施形態においては、上記基材の表面に、下塗り塗料を塗布して下塗り層を形成し、次いで、着色塗料を塗布して着色塗膜層を形成し、次いで、前記水性塗料組成物を塗布する。
【0022】
好ましい実施形態においては、上記意匠性塗膜の形成方法で形成される意匠性塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布してクリヤー層を形成する。
【0023】
好ましい実施形態においては、上記凹凸形状は、凹凸深さが1mm以上である。
【0024】
本発明の別の局面によれば、建材用ボードが提供される。この建材用ボードは、本発明の意匠性塗膜の形成方法によって形成された塗膜を有する。
【0025】
好ましい実施形態においては、本発明の建材用ボードは、基材が窯業系材料からなる。
【0026】
好ましい実施形態においては、本発明の水性塗料組成物は、硬化剤をさらに含む。
【0027】
本発明の別の局面によれば、自動車車体の塗装方法が提供される。この自動車車体の塗装方法は、被塗物表面に下塗り層および中塗り層を形成した後に、第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をこの順に塗装する、自動車車体の塗装方法であって、該第2ベース塗料が、本発明の水性塗料組成物である。
【0028】
好ましい実施形態においては、上記第1ベース塗料が水性であり、上記第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をウェット・オン・ウェットで塗装した後に焼付けを行う3コート1ベーク方式で行う。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、水性の塗料組成物であって、見る角度によって色相が変化するとともに奥行き感や深み感のある色調や質感を与える均一な塗膜を形成する水性塗料組成物を提供することができる。また、そのような水性塗料組成物の用途を提供することができる。
【0030】
このような効果は、エマルション樹脂と水とを含む水性のエマルション塗料組成物に、特殊な光輝材料を用いることによって達成し得る。具体的には、エマルション樹脂と水とを含む水性のエマルション塗料組成物に、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する特殊な光輝材料を用いることによって、該光輝材料が塗料組成物中に均一に分散でき、得られる塗膜が、光の干渉作用によって見る角度によって色相が変化するとともに奥行き感や深み感のある色調や質感を与えることができる。また、当該構成を有するエマルション塗料組成物とすれば、塗膜中にエマルションの形が残らず、均一な塗膜が得られるため、塗膜の仕上がり外観が優れる。また、塗膜の色ムラや白化現象も防止できる。これらの効果は、本発明で用いる光輝材料が樹脂で形成されているために、水性の塗料組成物中に均一に容易に分散できることになった点もひとつの要因となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
〔1.水性塗料組成物〕
本発明の水性塗料組成物は、光輝材料と、エマルション樹脂と、水とを含む。好ましくは、造膜助剤を含む。また、好ましくは、増粘剤を含む。本発明の水性塗料組成物中の全固形分の割合は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。
【0032】
(1−1.光輝材料)
上記光輝材料は、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する。積層構造部におけるそれぞれの樹脂層の厚みは、任意の適切な厚みを採用し得る。好ましくは、0.02〜0.5μmの範囲である。厚みが0.02μm未満の場合や0.5μmを超える場合には、十分な光学干渉効果を有益な波長領域で得ることが困難となるおそれがある。積層構造部におけるそれぞれの樹脂層の厚みは、0.05〜0.15μmの範囲であることがより好ましい。
【0033】
上記の各樹脂層を構成する樹脂成分における光学距離、すなわち、層の厚みと屈折率の積が等しいときは、より高い光学干渉効果を得ることができる。特に、一次の反射に等しい2種の光学距離の和の2倍が、所望の色の波長と等しいとき、最大の干渉色となり得るので好ましい。
【0034】
必要に応じて積層構造部中に中間層が設けられる。この場合、該中間層の厚さは、任意の適切な厚さを採用し得る。好ましくは1.0〜10μmの範囲、より好ましくは2.0〜5.0μmの範囲である。
【0035】
本発明の水性塗料組成物中の上記光輝材料の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有割合を採用し得る。例えば、全固形分量に対する重量濃度として、好ましくは50重量%以下である。上記光輝材料の含有割合が50重量%超えると、塗料の流動性や作業性が低下したり、塗膜の密着性が劣ったりするおそれがある。上記光輝材料の含有割合が比較的高い場合には、一般的に、得られる塗膜は濃色となり、多色性がより明確に現れる傾向にある。上記光輝材料の含有割合が比較的低い場合には、下地が透けて見えるほどベース塗膜が淡色となることがあり、多色性が淡色化して現れる傾向にあるが、ニーズに合わせてこれら意匠性を選択することができる。
【0036】
ここで、上記光輝材料の特異性を明確にするために、従来の干渉マイカ顔料(パールマイカ顔料ということもある)について説明する。干渉マイカ顔料においては、その隠蔽力を高めるため、半透明あるいは不透明のマイカに二酸化チタンなどの金属酸化物が被覆されている。さらにこの上に金属層を設けたものもある。
【0037】
半透明体の干渉マイカ顔料の場合、入射した光の一部が吸収あるいは反射され、残りの光が透過光として干渉マイカ顔料から射出されることになる。したがって、その透過光は低強度であり、純度が低い。
【0038】
不透明体の干渉マイカ顔料の場合、入射した光が吸収あるいは反射され、透過光がほとんど発生しないので隠蔽力の高いものとなる。しかし、マイカの積層数自体が少ないために反射強度は十分ではなく、干渉色としては十分ではない。なお、隠蔽力は、干渉マイカ顔料を透過する光の量が多いほど小さくなる。
【0039】
本発明に用いる光輝材料は、従来のように半透明体あるいは不透明体からなるマイカ基材に二酸化チタンなどの金属酸化物を被覆することによって隠蔽力を高めるのではなく、隠蔽力を極力なくすという全く反対の思想に基づいたものである。すなわち、透明な少なくとも2種類の樹脂層からなる積層構造部を有し、光の反射干渉による発色(干渉色)と、反射干渉以外の光を透過光とした出射光による発色(光輝材料透過色)の両方を最大限に利用することにより、意匠性,装飾性の向上を図るものである。
【0040】
本発明に用いる光輝材料は、干渉光や透過光を単に発現するだけでなく、この干渉光と干渉光以外の透過光とを制御する機能を備えている。ここでいう「制御」とは、干渉光や透過光の強度(干渉光においては反射強度、透過光においては透過強度)や反射スペクトルおよび透過スペクトルにおけるピーク波長を任意に変化させることができるという意味であって、光強度変換機能や光波長変換機能を発現するものである。このような機能は、例えば、光輝材料の積層構造部中に無彩色系色素および/または有彩色系色素を含有する色素層を備えることにより、より顕著な発現が可能となる。
【0041】
本発明に用いる光輝材料は、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する。該樹脂層を構成する樹脂としては、任意の適切な樹脂を採用し得る。例えば、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの単体樹脂、あるいはこれらの共重合体樹脂、ブレンド樹脂が挙げられる。
【0042】
本発明に用いる光輝材料における樹脂層の積層数としては、任意の適切な積層数を採用し得る。光機能性の点(光の反射干渉性および透過性)と製造上の点から、5層以上が好ましく、10〜150層の範囲がより好ましく、10〜120層の範囲がさらに好ましい。
【0043】
本発明に用いる光輝材料における積層構造部は、屈折率の異なる2種類の樹脂層を有する場合には、交互積層構造であることが好ましい。また、屈折率の異なる3種類以上の樹脂層を有する場合には、これら3種類以上の樹脂の順序を変えることなく、所定の順序に繰り返し積層することが好ましい。
【0044】
上記のような積層構造部を有する光輝材料を製造する方法としては、任意の適切な多層薄膜形成法により積層構造部を形成したのち、この積層構造部を、例えば、切断したりすることにより得ることができる。例えば、真空蒸着や電子ビーム蒸着、イオンプレーティング、分子線エピタキシアルなどの物理蒸着法、キャスティングやスピンコート、プラズマ重合、ラングミュア・ブロジェット(LB)法などの方法、溶融,湿式,乾式などの各種紡糸法を用いることができる。特に、生産性に優れて低価格化が可能な溶融紡糸法が好ましい。
【0045】
溶融紡糸法を用いる場合には、積層構造部を形成するための特殊な口金を備えた溶融複合紡糸装置を用いて連続的に積層構造部(糸状)を得ることができ、さらに延伸処理を施すことによって所望の断面寸法を備えた積層構造部を製造することができる。その後、各種用途に応じた所望の長さに切断してもよい。
【0046】
本発明に用いる光輝材料の好ましい1つの実施形態としては、上記積層構造部の周囲に、上記少なくとも2種類の樹脂層を構成する樹脂のいずれかの樹脂、および/または、これらの樹脂とは異なる樹脂を含む被覆層を有する。被覆層を設けることは、積層構造部の剥離防止や耐摩耗性など機械的強度向上の点、光沢性や反射強度の安定性の点から好ましい。また、被覆層は1重の単層であっても良いし、2重以上の複数層であっても良い。上記被覆層は、無彩色系色素および/または有彩色系色素を含有する色素層を備えていても良い。
【0047】
本発明に用いる光輝材料の断面形状は、任意の適切な形状を採用し得る。例えば、略扁平断面、略矩形断面が挙げられる。
【0048】
本発明に用いる光輝材料の断面形状が略扁平断面の場合、長軸および短軸を有している。光輝材料の断面の扁平率(長軸/短軸)が大きいものは、光の干渉に有効な面積を左右する長軸を大きくとることができるために好ましい。光輝材料の断面の扁平率は、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは7以上である。上記扁平率が上記範囲にある場合、光干渉発色機能が向上するので好ましい。上記扁平率の上限は、生産性が低下することを防ぐために、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。なお、扁平率は、扁平断面の外周部に被覆層が形成されている場合には、該被覆層部も含めて算出したものである。
【0049】
本発明に用いる光輝材料の断面形状が略矩形断面の場合、断面における積層面に垂直な辺の長さを1とするとき、該積層面に平行な辺の長さが0.8〜25であり、該断面に垂直な方向の該光輝材料の長さが0.8〜4000であることが好ましい。上記のような略矩形断面形状とすることにより、生産性、塗装性、成形性などを損なうことなく、反射干渉作用による発色効果と透過作用による発色効果の両者を発揮させることができる。
【0050】
略矩形断面形状をとる場合において、断面における積層面に垂直な辺の長さを1とするとき、該積層面に平行な辺の長さが0.8よりも小さい場合には、発色する面が入射光側に向く確率が低くなり、反射干渉作用による発色効果が不十分となるおそれがある。断面における積層面に垂直な辺の長さを1とするとき、該積層面に平行な辺の長さが25よりも大きい場合には、光輝材料の製造(例えば溶融複合紡糸)時に問題が生じ、所望の波長の光を反射干渉する、あるいは透過する光輝材料を安定して得ることができなくなるおそれがある。断面における積層面に垂直な辺の長さを1とするとき、該断面に垂直な方向の該光輝材料の長さが4000を超えた場合、塗装に際して塗料中の光輝材料がスプレーガン等に詰まり、適正な塗装を行うことができなくなるおそれがある。
【0051】
本発明に用いる光輝材料の別の好ましい1つの実施形態としては、屈折率の異なる2種類の樹脂層の交互積層構造部を有し、高屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP2)の比率(SP比)が0.8≦SP1/SP2≦1.1の範囲にあり、前記交互積層構造部の周囲に、繊維形成性樹脂からなる被覆層を有する。前記高屈折率側樹脂および前記低屈折率側樹脂は、アルカリ難溶性樹脂であることが好ましい。
【0052】
高屈折率側樹脂の溶解度パラメーター(SP1)と低屈折率側樹脂の溶解度パラメーター(SP2)の比率(SP比)は、より好ましくは0.85≦SP1/SP2≦1.05の範囲である。
【0053】
上記のようなSP比を有する樹脂の組合せにすると、例えば、2種の樹脂の交互積層流を紡糸口金から吐出したとき、界面に作用する界面張力が小さくなるので均一な交互積層構造部を容易に得ることができる。これに対して、SP比が上記範囲外の場合には、例えば、吐出樹脂流は表面張力で丸くなろうとし、また、両樹脂積層界面の接触面積を最小にするように収縮力が働き、しかも積層構造部が多層であるのでその収縮力は大きくなるため、積層面が湾曲しながら丸くなって良好な扁平形状が得られなくなるおそれがある。さらに、樹脂流が口金出口で解放されると、膨らもうとするベーラス効果も大きくなるおそれがある。
【0054】
上記のようなSP比を有する樹脂の組合せとしては、例えば、スルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分をポリエステルを形成している全二塩基酸成分当たり0.3〜10モル%共重合しているポリエチレンテレフタレートと酸価が3以上を有するポリメチルメタクリレートとの組合せ、スルホン酸金属塩を有する二塩基酸成分をポリエステルを形成している全二塩基酸成分あたり0.3〜5モル%共重合しているポリエチレンナフタレートと脂肪族ポリアミドとの組合せ、側鎖にアルキル基を有する二塩基酸成分またはグリコール成分を全繰り返し単位当たり5〜30モル%共重合している共重合芳香族ポリエステルとポリメチルメタクリレートとの組合せ、9,9−ビス(パラヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンを全繰り返し単位当たり20〜80モル%共重合しているポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートとポリメチルメタクリレートとの組合せ、9,9−ビス(パラヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンを全繰り返し単位当たり20〜80モル%とスルホン酸金属塩を有する二塩基酸成分をポリエステルを形成している全二塩基酸成分当たり、0.3〜10モル%共重合しているポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートと脂肪族ポリアミドとの組合せ、2,2−ビス(パラヒドロキシフェニル)プロパンを二価フェノール成分とするポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとの組合せ、9,9−ビス(パラヒドロキシエトキシフェニル)フルオレンと2,2−ビス(パラヒドロキシフェニル)プロパン(これらのモル比が20/80〜80/20)を二価フェノール成分とするポリカーボネートとポリメチルメタクリレートとの組合せが挙げられる。
【0055】
上記の屈折率の異なる2種類の樹脂層の交互積層構造部の厚さは、任意の適切な厚さを採用し得る。好ましくは、10μm以下、より好ましくは2〜7μmである。
【0056】
上記被覆層を形成する繊維形成性樹脂は、アルカリ易溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ易溶性樹脂とすれば、アルカリ処理することにより細繊度の光干渉発色機能を有する複合繊維を得ることができる。なお、該アルカリ処理により被覆層をすべて除去する場合には、後述する有彩色成分を被覆層以外の層に含有させる必要があることはいうまでもない。
【0057】
上記被覆層は、任意の繊維形成性樹脂で形成されていても良いし、交互積層構造部を形成している樹脂のいずれかで形成されていても良いし、2種以上の繊維形成性樹脂で2重以上に被覆されていても良い。特に、最外層の被覆層が交互積層構造部を形成している樹脂よりもアルカリ易溶性の樹脂で形成されていることが好ましい。このような複合繊維は、アルカリ処理することにより、被覆層の少なくとも一部を除去することができ、細繊度の光干渉機能を有する複合繊維を容易に得ることができる。
【0058】
なお、ここでいうアルカリ易溶性樹脂とは、交互積層構造部を形成している樹脂のアルカリ減量速度と比較して10倍以上の差があることをいう。具体的には、アルカリ水溶液で処理した際に、被覆層のアルカリ易溶性樹脂は交互積層構造部を構成するアルカリ難溶性樹脂よりも10倍以上の速さで溶解されることをいう。溶解速度差が10倍未満の場合には、被覆層を除去するためにアルカリ水溶液処理をする際、交互積層体部も浸食作用を受けて積層構造の乱れや膨潤などによる積層厚み斑が発生し、光干渉発色機能が低下するおそれがある。
【0059】
アルカリ易溶性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレングリコールを共重合したポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールおよび/またはアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を配合したポリエチレンテレフタレート、並びに、ポリエチレングリコールおよび/またはスルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。
【0060】
ポリ乳酸は、L−乳酸を主たる成分とするものが一般的であるが、40重量%を超えない範囲内でD−乳酸などの他の共重合成分を含有していてもよい。
【0061】
ポリエチレングリコールを共重合したポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートは、ポリエチレングリコールの共重合割合が30重量%以上となるようにすることが好ましく、これによりアルカリ溶解速度が著しく向上し得る。
【0062】
アルキルスルホン酸アルカリ金属塩および/またはポリエチレングリコールを配合したポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートにおいては、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩の配合割合は0.5〜3.0重量%の範囲が好ましく、ポリエチレングリコールの配合割合は1.0〜4.0重量%の範囲が好ましい。ポリエチレングリコールの平均分子量は600〜4000の範囲が好ましい。
【0063】
ポリエチレングリコールおよび/またはスルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートにおいては、ポリエチレングリコールの含有割合は0.5〜10.0重量%の範囲が好ましく、スルホン酸金属塩基を有する二塩基酸成分の含有割合はポリエステルを形成している全二塩基酸成分当たり1.5〜10モル%の範囲が好ましい。
【0064】
上記繊維形成性樹脂からなる被覆層の厚さは、任意の適切な厚さを採用し得る。好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2.0〜10μm、さらに好ましくは3.0〜5.0μmである。このように、交互積層構造部の周囲に繊維形成性樹脂からなる被覆層を設けることにより、溶融紡糸時に最終吐出孔内部で受ける壁面近傍と内部との樹脂流分布を緩和することができ、交互積層構造部の受ける剪断応力分布が低減して内外層に亘る各層の厚みがより均一な交互積層構造部が得られるようになる。なお、被覆層が2種以上の樹脂で形成されている場合には、全体の厚さが2.0μm以上であることが好ましく、例えば内側の被覆層の厚さを2.0μm未満としても、外側の被覆層の厚さをあわせた厚さが2.0μm以上となれば、上記の効果を発現させることができる。したがって、外側の被覆層をアルカリ易溶性樹脂で形成すれば、該外側被覆層のみをアルカリ処理して除去することにより、厚さ2.0μm未満の被覆層で被覆された、均一な厚さの交互積層構造部を有する光干渉発色機能を有する複合繊維を、容易に得ることができる。
【0065】
上記繊維形成性樹脂からなる被覆層の厚さが薄すぎて、例えば2.0μm未満の場合には、繊維単糸繊度が小さくなり、かつ扁平断面であるために、紡糸工程調子の低下や後加工工程での取扱い性などに問題を生じやすくなる。なお、交互積層構造部に接触して被覆する繊維形成性樹脂は、前記交互積層構造部の長軸方向の両サイドを構成する樹脂(高屈折率側樹脂または低屈折率側樹脂)の溶解度パラメーター値と同程度の溶解度パラメーター値(SP3)であることが好ましい。具体的には、0.8≦SP1/SP3≦1.2および/または0.8≦SP2/SP3≦1.2であることが好ましい。
【0066】
上記交互積層構造部および繊維形成性樹脂からなる被覆層のいずれかの樹脂層に有彩色成分が含まれていることが好ましい。ここでいう有彩色とは、任意の適切な有彩色を意味する。例えば、可視光領域380nm〜780nmの種々の色だけでなく、黒色や灰色などの彩度が実質的にない色も含む。好ましく用いられる有彩色成分としては、CaS(無色),MgF(赤),CeF(無色),ZnS(無色),ZnSe(黄色),Si,SiO(無色),Ge,Te,Fe(赤褐色),Pt,Va,Al(無色),MgO(無色),Y(無色),S(黄緑色),SiO(無色),HfO(無色),ZrO(無色),CeO(黄緑色),Nb(無色),Ta(無色),TiO(無色),Ag,Al,Au,Cu,Rb,Ti,Ta,W,Zn,MoS(黒色),Bi,カーボンブラックなどの顔料を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、アンスラキノン系黄色顔料(CI.P.Y.147),酸化鉄系黄色顔料(CI.P.Y.119),ペロレン系赤色染料(CI.S.R.135),ポリアゾ系赤色顔料(CI.P.R.214),キナクドリン系赤色顔料(CI.P.R.122),アゾメチン系紫色染料(CI.S.V.49),フタロシアニン系青色顔料(CI.P.Bl.15.3),群青系青色顔料(CI.P.Bl.29),フタロシアニン系緑色顔料(CI.P.G.7),酸化鉄系茶色顔料(CI.P.R.101)などを使用することができる。
【0067】
上記有彩色成分の添加量は、上記樹脂層の全固形分に対する重量濃度として、好ましくは0.05〜3.0重量%である。0.05重量%未満の場合には、添加精度が不十分になりやすく、色斑の原因となりやすい。3.0重量%を越える場合には、添加量がすぎて繊維構造形成性を阻害しやすくなる。一般には、発色程度を確認しながら、用いる有彩色成分の種類に応じて適宜設定すればよい。なお、交互積層構造部に接触する有彩色成分を含む樹脂層も、前記交互積層構造部と接触している樹脂(高屈折率側樹脂または低屈折率側樹脂)の溶解度パラメーター値と同程度の溶解度パラメーター値(SP4)であることが好ましい。具体的には、0.8≦SP1/SP4≦1.2および/または0.8≦SP2/SP4≦1.2であることが好ましい。
【0068】
上記有彩色成分を添加する方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、添加したい層を形成する樹脂に、該有彩色成分を高濃度で含有したマスターチップを添加分散する方法が、簡便かつ均一分散の点で好ましい。
【0069】
上記2つ目の好ましい実施形態の光輝材料、すなわち、屈折率の異なる2種類の樹脂層の交互積層構造部を有し、高屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP2)の比率(SP比)が0.8≦SP1/SP2≦1.1の範囲にあり、前記交互積層構造部の周囲に、繊維形成性樹脂からなる被覆層を有する光輝材料は、その伸度が、10〜60%の範囲にあることが好ましく、20〜40%の範囲にあることがより好ましい。伸度が大きすぎる場合には、例えば、最終的に該光輝材料を切断する工程において、該光輝材料に負荷される張力によって繊維が変形しやすくなるため、工程通過性が低下するおそれがある。一方、伸度が小さすぎる場合には、該光輝材料に負荷される張力を吸収しがたくなるため、毛羽や断糸が増加する傾向にある。また、伸度がこの範囲であっても、用いる樹脂の種類によっては、紡出され一旦冷却固化された複合繊維を延伸することにより複屈折率(△n)がより高められ、2種類の樹脂間の屈折率差を「樹脂の屈折率差プラス繊維の複屈折率差」として、結果的に全体として屈折率差を拡大させるができるので、光干渉発色機能が高められる。
【0070】
上記2つ目の好ましい実施形態の光輝材料は、任意の適切な形態をとることができる。例えば、仮撚捲縮糸、複合混繊糸、太細糸が挙げられる。好ましくは、130℃〜150℃における熱収縮率が3%以下である。熱収縮率が上記範囲を超える場合には、例えば、この光輝材料を切断する時、繊維の収縮など変形が起こって光干渉発色機能が低下しやすい。例えば、塗料に利用する場合は、塗装工程や捺染工程で同様の温度での乾燥・熱固定が施されるため、品質の面から同様の耐熱性を有していることが好ましい。
【0071】
以上に説明した本発明で用いることができる光輝材料は、さらに任意の適切な工程を加えて製造しても良い。本発明で用いることができる光輝材料は、例えば、特開2000−229370号公報、特開2000−246829号公報、特開2001−347798号公報、特開2006−233356号公報、特開2006−233356号公報に記載の光輝材料を用いることができる。
【0072】
(1−2.エマルション樹脂)
上記エマルション樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なエマルション樹脂を採用し得る。例えば、アクリルエマルション、シリコン変性アクリルエマルション、フッ素エマルション、ウレタンエマルション、エポキシエマルションを挙げることができる。特に、アクリルエマルションが好ましい。本発明の水性塗料組成物中の上記エマルション樹脂の含有割合は、該エマルション樹脂の固形分濃度を考慮し、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有割合を採用し得る。
【0073】
上記アクリルエマルションは、原料となるアクリル系モノマーを主成分とする不飽和モノマー組成物を、乳化剤を用いて乳化重合させたものである。アクリルエマルションを製造するための原料として用いられる好ましい不飽和モノマーとしては、任意の適切なモノマーを採用し得る。例えば、水酸基含有不飽和モノマー、酸基含有不飽和モノマー、アクリルエステル系モノマー、その他の不飽和モノマーを挙げることができる。
【0074】
上記水酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製のε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエチレングリコールモノアクリレート又はモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート又はモノメタクリレート等のアルコール類を挙げることができる。
【0075】
上記酸性基含有不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等のカルボン酸類を挙げることができる。
【0076】
上記アクリルエステル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ラウリル等のエステルを挙げることができる。
【0077】
上記その他の不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和炭化水素;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類;ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート又はメタクリレート等のポリオキシアルキレン誘導体;を挙げることができる。
【0078】
不飽和モノマーを乳化重合させる際に用いられる乳化剤、開始剤は、任意の適切な乳化剤、開始剤を使用することができる。
【0079】
上記アクリルエマルションは、硬化剤と併用して使用するものであっても、硬化剤を使用せずに使用する非硬化タイプのものであってもよい。
【0080】
上記アクリルエマルション中のアクリル樹脂粒子の粒子径は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な粒子径を採用し得る。好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmである。
【0081】
上記アクリルエマルション中のアクリル樹脂粒子の数平均分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な数平均分子量を採用し得る。好ましくは1000〜1000000、より好ましくは5000〜100000である。
【0082】
上記エマルション樹脂としては、市販のものを使用することもできる。市販のエマルション樹脂としては、例えば、アクリルエマルションである、大日本インキ社製「ボンコート」(商品名)、日本エヌエスシー社製「ヨドゾール」(商品名)、サイデン化学社製「サイビノール」(商品名)、日本触媒社製「アクリセット」(商品名)を挙げることができる。このようなエマルション樹脂のエマルション粒子は、通常は非架橋粒子である。
【0083】
上記エマルション樹脂は、コア・シェル型エマルションであってもよい。コア・シェル型エマルションは、上記不飽和モノマー組成物及び乳化剤等を用いて、二段乳化重合等の任意の適切な方法により製造することができる。上記コア部は、架橋していても、非架橋であってもよいが、上記シェル部は、非架橋であることが好ましい。
【0084】
(1−3.水)
本発明の水性塗料組成物は、水性の塗料組成物であり、水を必須に含む。水は、上記のエマルション樹脂に含まれる水であっても良いし、エマルション樹脂とは別に配合した水であっても良いし、それらの組み合わせであってもよい。
【0085】
本発明の水性塗料組成物中の水の量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な量を採用し得る。
【0086】
(1−4.造膜助剤)
本発明の水性塗料組成物中には、必要に応じて造膜助剤を配合しても良い。造膜助剤を配合することによって、水が蒸発することでエマルション樹脂粒子が融着して膜を形成する場合に、膜のフロー製を向上させる。その結果、塗膜の外観が向上する。
【0087】
造膜助剤としては、任意の適切な造膜助剤を採用し得る。市販の造膜助剤を例に挙げれば、例えば、テキサノール(商品名、イーストマンケミカルジャパン社製)、ブチルセロソルブ(協和発酵社製)、C5−12(商品名、協和発酵社製)を挙げることができる。造膜助剤は、樹脂固形分100に対して、2〜15重量%が好ましい。2重量%を下回ると、造膜性に劣ることがあり、意匠性が若干劣る場合があるので好ましくない。15重量%を上回ると、得られる塗膜の耐水性が悪化する場合があるので好ましくない。
【0088】
(1−5.増粘剤)
本発明の水性塗料組成物中には、必要に応じて増粘剤を配合しても良い。増粘剤としては、任意の適切な増粘剤を採用し得る。増粘剤は、樹脂固形分100に対して、0.5〜3重量%が好ましい。0.5重量%を下回ると、充分なチクソ性が得られないことがあり、意匠性が若干劣る場合があるので好ましくない。3重量%を上回ると、得られる塗膜の耐水性が悪化する場合があるので好ましくない。
【0089】
(1−5.その他の成分)
本発明の水性塗料組成物は、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。例えば、硬化剤、架橋樹脂粒子、粘度改変剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、界面活性剤、流動調整剤、pH調整剤、可塑剤、染料、ワックスエマルション、菌剤、防腐剤、カップリング剤、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノールが挙げられる。
【0090】
〔2.水性塗料組成物の用途(1):建材用の水性塗料組成物と意匠性塗膜の形成方法〕
本発明の水性塗料組成物を建材用途に用いる場合には、光輝材料が塗料中の全固形分中に0.1〜50重量%含むことが好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。
【0091】
(2−1.意匠性塗膜の形成方法)
本発明の水性塗料組成物を建材用途に用いるにあたって、本発明の意匠性塗膜の形成方法は、表面に凹凸形状を有する基材上に、本発明の水性塗料組成物を塗布する。なお、ここにいう「基材上」とは、基材に直接に塗布する場合のみならず、基材上に別の層を設けた後に塗布する場合も含むことを意味する。
【0092】
上記凹凸形状としては、任意の適切な凹凸形状を採用し得る。例えば、斑状、ストライプ状、レンガ状、モザイク状等が分布していてもよい様々な形状が挙げられる。上記で述べたように、少なくとも屈曲部があり、その部分での面の角度に応じて多色感を呈するものであればよい。
【0093】
上記凹凸形状は、凹凸深さが1mm以上であることが好ましい。上記凹凸深さが1mm未満であると、視覚的に認識できるような多色感が充分に得られないおそれがある。また、ロール塗装によって凸部を安定的に塗り分けることが困難である。上記凹凸深さは、被塗装面における凹凸形状の凸部の上端と凹部の下端との幅をいうものである。上記凹凸深さは、1〜30mmであることがより好ましく、1〜20mm以上であることがさらに好ましく、3〜10mmであることが特に好ましい。
【0094】
上記凹凸形状は、被塗装面全体において平滑面がほとんどなく凹部及び凸部によって全体が構成されているもの、基準面となる平滑面があり、平滑面に対して部分的に凹部及び/又は凸部が存在するもののいずれであってもよい。また、凹部及び/又は凸部によって線図が描かれたものであってもよい。更に、石材調、レンガ調等の材質感を付与するための凹凸形状であってもよい。
【0095】
上記塗布の方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、霧化塗装、ロール塗装を挙げることができる。上記霧化塗装としては、例えば、スプレー塗装、エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装、回転霧化塗装を挙げることができる。
【0096】
上記霧化塗装によって塗膜形成を行う場合、効率的な霧化を行い、かつ塗装後にタレやムラを生じないようにするため、チキソトロピック性の塗料組成物を使用することが好ましい。上記チキソトロピック性の塗料組成物は、霧化に際して高い剪断力を受けた際は比較的低粘度となることにより容易に霧化がなされ、被塗装面に付着した後は粘性を有することによって、タレやムラによる光干渉性薄片顔料の配列の乱れを生じることがなく、好ましい。
【0097】
上記ロール塗装は、基材の凸部上のみに意匠性塗膜を形成する場合に汎用される塗装方法である。上記ロール塗装による塗装を行う場合は、上記霧化において要求されるチキソトロピック性は不要であるが、そのかわりにロール表面に存在する凹凸によって塗膜表面の厚みムラが発生しやすい。すなわち、ロール塗装に使用するロールは、基材特性に基づく凹凸が表面に存在する。このため、このロールの凹凸を反映して塗膜に凹凸が生じることがあり、これによって光干渉性薄片顔料の配向の乱れが生じるおそれがある。従って、塗布から塗膜の乾燥までの間に塗膜がある程度塗料が流動することによって平滑化することが好ましい。このような作用を求める場合には、ニュートニアン性の塗料組成物を使用することが好ましい。
【0098】
ここで、チキソトロピック性及びニュートニアン性は、低剪断力におけるトルク及び高剪断力におけるトルクの比であるチクソインデックスによって評価することができる。
【0099】
上記剪断力とトルクの関係は、BROOKFIELD社製、B型粘度計DV−I+VISCOMETERによって測定する。上記低剪断力におけるトルクは、スピンドル回転数6rpmにおいて上記装置を用いて測定したときのトルクであり、上記高剪断力におけるトルクは、スピンドル回転数60rpmにおいて上記装置を用いて測定したときのトルクである。
【0100】
上記チクソインデックス[(低剪断力のトルク)/(高剪断力のトルク)]が、3〜6である場合、上記チキソトロピック性の塗料として使用することができ、1〜3である場合、ニュートニアン性の塗料として使用することができる。
【0101】
上記チクソインデックスは、塗料に添加する増粘剤の種類を選択することによって調整することができる。チキソトロピック性の増粘剤としては、任意の適切な増粘剤を採用し得る。例えば、ポリカルボン酸化合物の塩を挙げることができる。ニュートニアン性の増粘剤としては、任意の適切な増粘剤を採用し得る。例えば、ウレタン変性ポリエーテルを挙げることができる。上記増粘剤は、塗料に対して0.1〜5質量%の割合で添加することが好ましい。
【0102】
建材用途においては、本発明の水性塗料組成物から形成される塗膜の膜厚は、10〜40μmであることが好ましい。
【0103】
本発明の水性塗料組成物を塗布した後には乾燥を行っても良い。乾燥方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、被塗物を予熱し塗装を施した後加熱乾燥する方法、予熱せず加熱乾燥する方法、雰囲気温度で乾燥する方法が用いられる。例えば、被塗物を予熱する場合は、基材温度30〜80℃程度、加熱乾燥温度40〜150℃、雰囲気温度5〜40℃で行うことが好ましいが、塗料中の水分が塗膜より揮発し、エマルション同士が融着し、塗膜が形成できれば良い。
【0104】
本発明の水性塗料組成物を窯業系材料への塗装に適用する場合、基材の表面に下塗り塗料を塗装して下塗り層を形成した後、塗膜の形成を行うものであってもよい。更に、着色塗料を塗布して着色塗膜層を形成して基材を所望の色調に着色した後、着色塗膜層上に本発明の水性塗料組成物による塗膜を形成してもよい。上記下塗り塗料及び上記着色塗料としては、任意の適切なものを採用し得る。
下塗り塗料としては、特に制限されないが、水性塗料が好ましく、例えば、アクリルエマルションが挙げられる。
着色塗料としては、特に制限されないが、例えば、着色顔料を含むものであり、水性のエマルションが好ましい。
【0105】
本発明の水性塗料組成物によって形成した塗膜上にクリヤー塗料を塗装してもよい。これによって塗膜による表面保護機能が優れたものとなる点で好ましい。上記クリヤー塗料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記クリヤー塗料の塗装膜厚は、任意の適切な膜厚とすることができる。例えば、10〜30μmとすることができる。
クリヤー塗料としては、特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられ、好ましくは、水性系であり、例えば、アクリルエマルション樹脂、シリコン変性アクリルエマルション樹脂が挙げられる。
【0106】
(2−2.建材用ボード)
本発明の建材用ボードは、本発明の意匠性塗膜の形成方法によって形成された塗膜を有する。
【0107】
特殊な光輝材料を含む本発明の水性塗料組成物によって形成された塗膜は、該光輝材料によって光の干渉を生じるため、見る角度によって色調が変化するという性質を有するものである。このような塗膜を、表面に凹凸形状を有する基材の表面に形成させると、その表面の凹凸形状に応じて色が変化して見えるという、極めて特殊な外観意匠(すなわち、多色感)を発現できる。すなわち、凹凸形状に沿って平面部とは異なる色の反射を呈するため、凹凸形状が単なる立体感だけではなく、凹凸による色調の変化を伴って視覚的に認識されるという、極めて特殊な外観意匠を発現できる。基材表面が凹凸形状を有することにより、例えば、その凸部の部分では平面が屈曲しているので、この屈曲部分に上記光輝材料が存在すると、その角度によって色彩が異なるような多色感を呈することになる。このような極めて特殊な外観意匠は、金属板やプレス成形した自動車ボディー等のような平滑な被塗装面では得られない。特に、建材用ボードは、石材調、レンガ調等の材質感も含めた特殊な意匠性が要求される分野であり、このような分野においては表面に種々の凹凸形状を形成させることが行われている。よって、このような分野の素材に対して上述したような塗膜を形成させた場合には、自動車ボディー等とは全く異なる外観意匠を発現できる。
【0108】
上記建材用ボードの基材としては、任意の適切な基材を採用し得る。例えば、無機材料、有機材料、及び、これらの複合体からなるものを挙げることができる。具体的には、例えば、スレート、セメント、ケイ酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系基材、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石材、コンクリート、繊維、布帛、紙、これらのうちの複数の基材からなるもの、これらの積層体、弾性防水膜、シーリング等を塗装した塗装体を挙げることができる。なかでも、耐久性、施工性のため、ケイ酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系材料からなる建材用ボードであることが好ましい。上記基材は、任意の適切な製造方法によって製造されるものであり、凹凸形状の形成、制御等も、任意の適切な方法に従って行うことができる。
【0109】
上記被塗装面は、任意の適切な色調のものを使用することができる。例えば、濃色系の被塗装面上に塗装を行った場合、より明確に本発明の意匠性による効果が発現できる。従って、被塗装面は、塗装前のカラー測定によって、L値が50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。なお、上記L値とは、L*a*b*表色系におけるL*に対応する数値であり、明度を表す。L値が大きい程白くなり、小さい程黒くなる。
【0110】
上記光輝材料は、塗膜中に存在すると、入射光の角度又は見る角度の変化に応じて、次第に移り変わって多色感を呈するように観察される。従って、上記光輝材料を含有する塗膜においては、光輝材料による光の干渉が起こるため、凹凸形状に応じた多色感を有するものとなる。従って、ハイライト位置から見た場合には、コーティング膜の膜厚によって、シルバー、イエロー、レッド、ブルー、グリーン等の干渉色が見られるが、シェード位置からの見た場合には、これらの干渉色の補色や、透過色が下地色に応じて反射、吸収された色が見られることになる。
【0111】
〔3.水性塗料組成物の用途(2):自動車用の水性塗料組成物と自動車車体の塗装方法〕
【0112】
(3−1.自動車用水性塗料組成物)
本発明の水性塗料組成物を自動車用途に用いる場合には、本発明の水性塗料組成物は好ましくは硬化剤をさらに含む。
【0113】
上記硬化剤としては、任意の適切な硬化剤を採用し得る。好ましくは、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられる。メラミン樹脂としては、特に、トリアジン核1個あたり平均3個以上のメチロール基を有するメチロール化メラミン樹脂、又はそのメトキシ基の一部を炭素数2個以上のアルコキシ基に置きかわったメラミン樹脂であって、さらにイミノ基を有し且つ平均縮合度約2以下で1核体の割合が約50重量%以上である親水性メラミンが好適である。ブロック化ポリイソシアネ−ト化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をオキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、メルカプタンなどのブロック剤でブロックしたものを使用することができる。
【0114】
上記硬化剤は、本発明の水性塗料組成物中の固形分合計100重量部に対して、好ましくは20〜100重量部を配合する。
【0115】
本発明の水性塗料組成物を自動車用途に用いる場合には、光輝材料の配合量は、本発明の水性塗料組成物中の全固形分中の濃度として、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜40重量%がより好ましい。
【0116】
本発明の水性塗料組成物を自動車用途に用いる場合には、前述した造膜助剤、増粘剤や、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などの任意の適切な添加剤を配合しても良い。
【0117】
(3−2.自動車車体の塗装方法)
自動車用における塗膜は、通常、電着塗装の下塗りを行い、次いで、中塗り塗装を行い、その上に上塗り塗装を行うことで形成される。本発明の自動車車体の塗装方法は、被塗物表面に下塗り層および中塗り層を形成した後に、第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をこの順に塗装する、自動車車体の塗装方法であって、該第2ベース塗料が、上記自動車用水性塗料組成物である。
【0118】
上記第1ベース塗料は、水性、溶剤系のいずれでも良いが、好ましくは水性である。
【0119】
上記第1ベース塗料が溶剤系の場合、バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素系樹脂等の塗膜形成樹脂と、アミノ樹脂及び/またはブロックポリイソシアネート化合物などの硬化剤が用いられる。塗料中の好ましい固形分含有量は、製造時30〜70重量%、塗布時10〜50重量%の範囲である。また塗装形成される塗膜の乾燥膜厚は、10〜30μmが好ましい。上記第1ベース塗料が水性の場合には、任意の適切な水性塗料組成物を採用し得る。例えば、本発明における光輝材料以外の成分にあっては水性塗料組成物と同様のものを使用しても良い。
【0120】
上記第1ベース塗料には、着色顔料が含まれていても良い。着色顔料としては、例えば、有機系のアゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料など、無機系の黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンなど、また体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等が用いられる。
【0121】
上記第1ベース塗料に用い得る着色顔料は、該第1ベース塗料による形成層をカラーベース層とするためのものである。本発明において、光輝材料として色素を含有しない透明性のものを用いる場合、その発色効果をより一層高めるためには、黒色またはそれに近似する色、例えば、濃色系のカラーベース層とすることが好ましい。なお、調和のとれたハーモニー感のある色調を望む場合には、黒色やそれに近似する色以外の色であっても好ましい場合がある。光輝材料の積層構造に色素層または色成分を含む場合は、その色と調和のとれたカラーベース層を採用することが好ましい。
【0122】
上記クリヤー塗料のバインダーとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フッ素系樹脂等の塗膜形成樹脂と、アミノ樹脂及び/またはブロックポリイソシーネート化合物などの硬化剤からなる樹脂組成物や、酸基を有するアクリル樹脂とエポキシ化合物からなる酸−エポキシ型のアクリル塗料などを用いることができる。塗料中の好ましい固形分含有量は、製造時30〜70重量%、塗布時10〜50重量%の範囲である。また塗装形成される塗膜の乾燥膜厚は、30〜60μm程度が好ましい。
【0123】
本発明の自動車車体の塗装方法においては、上記第1ベース塗料が水性であり、上記第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をウェット・オン・ウェットで塗装した後に焼付けを行う3コート1ベーク方式で行うことが好ましい。すなわち、例えば、第1ベース塗料を塗布し、2〜3分のセッティングの後にプレヒート(50〜80℃、5〜10分)し、次に、第2ベース塗料を塗布し、2〜3分のセッティングの後にプレヒート(50〜80℃、5〜10分)し、さらに、クリヤー塗料を塗布し、3〜5分のセッティングを行い、その後、各塗装層が未硬化の状態で一度に焼付け(例えば、120〜160℃で10〜40分)を行う。なお、上記のプレヒートは施しても良いし施さなくても良いが、プレヒートを施すことが好ましい。
【0124】
なお、第1ベース塗料の塗布工程を省略し、第2ベース塗料を中塗り塗装の上に塗装して、次いで、クリヤー塗料を塗装しても良い。
【0125】
〔4.水性塗料組成物のその他の用途〕
本発明の水性塗料組成物は、上記の用途以外であっても、その他の任意の適切な用途に適用し得る。例えば、ドアや障子紙などの建築資材;サンバイザー、日傘、ビーチパラソルなどのファッション小物;バックライトを具備したショウウィンドウや自動販売機などの表示部;電飾看板;各種照明用具;など、種々の用途に応用することができる。
【実施例】
【0126】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。
【0127】
[光輝材料の製造]
〔製造例1〕:光輝材料(1)の製造
第1のポリマーとして屈折率1.63のポリエチレンナフタレート(PEN)と、第2のポリマーとして屈折率1.53のナイロン6を使用し、それぞれ30層ずつ交互に積層すると共に、その周囲をポリエチレンナフタレートからなる被覆層で覆うことによって、第1のポリマーの厚さda =0.072μm、第2のポリマーの厚さdb =0.077μmの光輝材料(1)を得た。この光輝材料(1)の寸法比は、両ポリマーの積層面に垂直な辺の長さAを1とするとき、積層面に平行な辺の長さBが4〜5、光輝材料の長さLが15〜20の範囲となるようにした。
【0128】
〔製造例2〕:光輝材料(2)の製造
高屈折率側樹脂としてSP1=19.1の共重合PEN1(5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分1.5モル%共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート)と、低屈折率側樹脂としてSP2=22.5のナイロン6と、中間層(積層体部の中央に配置)としてSP4=19.1の共重合PEN2(大日精化製の青色顔料(フタロシアニン系顔料:CI P.B1.15.3)を0.9重量%含有する5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分1.5モル%共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレート)を、各々290℃、270℃、290℃にて溶融し、計量後に、被覆層となる共重合PEN1とともに紡糸パック内に導入して1200m/分で紡糸した。得られた未延伸糸を予熱温度90℃にて2.0倍に延伸し、180℃で熱セットして巻取り、層数が41層の交互積層体部を有する光輝材料(2)を得た。
【0129】
[建材用途関連]:実施例(1−1)〜(1−35)
【0130】
〔実施例(1−1)〕:水性塗料組成物(1−1)の製造
ヨドゾールAD57(アクリルエマルション樹脂、NV50%、日本エヌエスシー社製)100.0部に、テキサノール(造膜助剤、イーストマンケミカルジャパン社製)8部をディスパーで攪拌しながら滴下し、続いてSNデフォーマー154(消泡剤、サンノプコ社製)0.4部を滴下した後、5分間攪拌した。
その後、攪拌を続けながら、光輝材料(1)2.7部を添加し、続いて水道水64.5部添加して10分間攪拌した。
その後、さらに、SNシックナー615(ポリカルボン酸系、チキソトロピック性増粘剤、サンノプコ社製)を添加して粘度がイワタNK#2カップで40±3秒となるように調整して、水性塗料組成物(1−1)を得た。
上記で得られた水性塗料組成物(1−1)の配合成分、粘度、加熱残分、PWC、粘性評価について表1に示す。
なお、表1において、加熱残分は、塗料中の全固形分濃度のことである。また、PWCは、顔料濃度を示し、ここでは、塗料中の全固形分中に含まれている光輝材料の重量濃度(%)をいう。さらに、粘性評価における「チ」とは、チクソインデックス(TI)が3以上の場合であり、チキソ性有りを意味し、「ニ」とは、チクソインデックス(TI)が3未満の場合であり、ニュートニアン性有りを意味する。
【0131】
〔実施例(1−2)〜(1−3)〕:水性塗料組成物(1−2)〜(1−3)の製造
各成分の配合を表1に示すように変えた以外は、実施例(1−1)と同様にして、水性塗料組成物(1−2)〜(1−3)を得た。
上記で得られた水性塗料組成物(1−2)〜(1−3)の配合成分、粘度、加熱残分、PWC、粘性評価について表1に示す。
【0132】
〔実施例(1−4)〜(1−6)〕:水性塗料組成物(1−4)〜(1−6)の製造
増粘剤としてSNシックナー615をSNシックナー601(会合型増粘剤、ニュートニアン性、サンノプコ社製)に変えて、各成分の配合を表1に示すようにした以外は、実施例(1−1)と同様にして、水性塗料組成物(1−4)〜(1−6)を得た。
上記で得られた水性塗料組成物(1−4)〜(1−6)の配合成分、粘度、加熱残分、PWC、粘性評価について表1に示す。
【0133】
〔実施例(1−7)〜(1−9)〕:水性塗料組成物(1−7)〜(1−9)の製造
上記で得られた水性塗料組成物(1−3)及び(1−6)を表2に示すように配合して、水性塗料組成物(1−7)〜(1−9)を製造した。
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
〔実施例(1−10)〜(1−15)〕
(基材)
以下の塗装における被塗装物として、「UBボード12」タイル調(ウベボード社製)を使用した。この表面には、深さ2mmの凹凸が1m2あたり約100個の割合で存在する。上記被塗装物に下塗り塗料として日本ペイント社製「ウルトラシーラーIIIホワイト」(商品名)を塗装し、更に、着色塗料として「オーデタイト339」(商品名、日本ペイント社製)を塗装して、塗装板を得た。ベース塗膜が形成された上記塗装板の表面のカラー値を「CR−300」(商品名、コニカミノルタセンシング社製)により測定すると、L=30、a=0.9、b=−1.9であった。
【0137】
(スプレー塗装)
上記で得られた水性塗料組成物(1−1)〜(1−3)を用いて、基材表面温度が60±5℃の状態でエアスプレーガン「W−100」(商品名、アネストイワタ社製)により、上記ベース塗膜が形成された塗装板を塗装した。上記塗装は、スプレー塗装によって被塗物全面に対して20μmの膜厚となるように行った。100℃で10分乾燥後、更にクリヤー塗料として「オーデタイト200クリヤー」(日本ペイント社製)を20μmの膜厚となるように塗装し、100℃で10分乾燥し、試験用塗装板を得た。
【0138】
(ロール塗装)
上記で得られた水性塗料組成物(1−4)〜(1−6)を用いて、基材表面温度が60±5℃の状態で「ロールコーター」(商品名、三和精機社製)により、上記ベース塗膜が形成された塗装板を塗装した。上記塗装は、ロール塗装によって凸部塗装面に対して10μmの膜厚となるように行った。100℃で10分乾燥後、更にクリヤー塗料として「オーデタイト200クリヤー」(日本ペイント社製)を20μmの膜厚となるように塗装し、100℃で10分乾燥し、試験用塗装板を得た。
【0139】
(評価)
上記で得られた試験用塗装板の多色感と2次密着性について、下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
<多色感>
得られた試験用塗装板の外観について、目視により下記の基準にて評価した。
○:基材の凹凸、塗り分けに応じ、はっきりと色が変化して見える。
△:基材の凹凸、塗り分けに応じ、やや色が変化して見える。
×:基材の凹凸、塗り分けに応じた色変化が認められない、又は、基材の凹凸感が損なわ
れている。
<二次密着性>
試験用塗装板の表面、木口面にウレタン塗料(「ルソール190シーラー」、商品名、日本ペイント社製)にて防水シールを施し、常温で24時間放置後、60℃の温水に3日間浸漬した。その後、試験用塗装板を取り出し、24時間常温で乾燥し、カッターナイフにより碁盤目(2mm角、25マス)を作成した。
碁盤目上に粘着テープ(「ニチバンTM」、商品名、ニチバン社製)を貼り付け、これを剥がした際に剥離したマスの数について、下記の基準にて評価した。
○:剥離マス数 2/25以下
△:剥離マス数 3/25〜10/25
×:剥離マス数 11/25以上
【0140】
【表3】

【0141】
〔実施例(1−16)〜(1−20)〕
表4に示す塗装板、水性塗料組成物、塗装方法を用いた以外は、実施例(1−1)と同様にして試験用塗装板を得て、それらの外観及び多色感について評価した。多色感の評価は、上記と同様の方法で行った。結果を表4に示す。
【0142】
【表4】

【0143】
〔実施例(1−21)〜(1−22)〕
上記で得られた水性塗料組成物(1−3)を、「UBボード12」タイル調(前出)及び表面に凹凸のない「UBボード12 フラット溝なし(よこばり)」(フラット調、ウベボード社製)のベース色L値が同じ塗装板にスプレー塗装した以外は、実施例(1−1)と同様にして試験用塗装板を作成し、これらの外観及び多色感について評価した。多色感の評価方法は、上記と同様の方法で行った。結果を表5に示す。
【0144】
【表5】

【0145】
[自動車用途関連]:製造例3〜7、実施例(2−1)〜(2−10)、比較例(C2−1)〜(C2−2)
【0146】
〔製造例3〕:アクリルエマルション樹脂(A)の製造
反応容器にイオン交換水126.5部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸メチル45.21部、アクリル酸エチル27.37部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.42部、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル,第一工業製薬社製)0.5部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシオキシエチレン,旭電化社製、80%水溶液)0.5部、及びイオン交換水80部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.24部、及びイオン交換水10部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
さらに、80℃で第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、アクリル酸エチル15.07部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1.86部、メタクリル酸3.07部、アクアロンHS−10を0.2部、及びイオン交換水10部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.06部、及びイオン交換水10部からなる開始剤溶液とを0.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、イオン交換水67.1部及びジメチルアミノエタノール0.32部を加えpH6.5に調整し、平均粒子径150nm、不揮発分20%、固形分酸価20、水酸基価40のアクリルエマルション樹脂(A)を得た。
【0147】
〔製造例4〕:水溶性アクリル樹脂(B)の製造
反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル23.89部及びプロピレングリコールメチルエーテル16.11部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら105℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル13.1部、アクリル酸エチル68.4部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル11.6部、メタクリル酸6.9部と、ジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート1部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。さらに、ジプロピレングリコールメチルエーテル5.0部及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
脱溶剤装置により、減圧下(70torr)110℃で溶剤を16.11部留去した後、イオン交換水204部及びジメチルアミノエタノール7.14部を加えて水溶性アクリル樹脂(B)を得た。得られた水溶性アクリル樹脂(B)の不揮発分は30.0%、酸価40、水酸基価50、粘度は140ポイズ(E型粘度計1rpm/25℃)であった。
【0148】
〔製造例5〕:着色ペースト(C)の製造
製造例4で得られた水溶性アクリル樹脂(B)を固形分で50g、カーボンブラック(三菱化学社製、製品銘柄:#2700B)50gと、エフカ社製の顔料分散剤efka−4550を固形分で10gをステンレスビーカーに添加した。脱イオン水18.3gを加えた後、卓上ディスパーで充分に撹拌して、混合物をSGミルに移した。これにジルコンビーズ300gを添加してSGミルにて5時間撹拌して、ジルコンビーズを除き、着色ペースト(C)を得た。顔料濃度PWC=50%、固形分濃度=43%であった。
【0149】
〔製造例6〕:第1ベース塗料の製造
ステンレス製ビーカーに、プライムポールPX−1000(三洋化成社製2官能ポリエーテルポリオール、数平均分子量400、水酸基価278、一級/二級水酸基価比=63/37、水トレランス無限大)10gを添加し、これに製造例4で得られた水溶性アクリル樹脂(B)を固形分で10g加えた。さらに製造例3で得られたアクリルエマルション樹脂(A)を固形分で40gを添加した。これを卓上ディスパーで攪拌しながら、メラミン樹脂サイメル204(三井化学社製メチル化メラミン樹脂)を固形分で30g加えた。さらに攪拌を続けながら、製造例5で得られた着色ペースト(C)50gを加えた。さらにSNシックナー615を1g添加した。さらに攪拌を続けながら、塗料のpHが8.5となるように10倍に希釈したN,N−ジメチルエタノールアミンを添加して、第1ベース塗料を得た。
【0150】
〔実施例(2−1)〜(2−5)、比較例(C2−1)〕:第2ベース塗料の製造(水性塗料組成物(2−1)〜(2−5)、(C2−1)の製造)
表6に示す配合で、水性塗料組成物(2−1)〜(2−5)、(C2−1)を調整した。
なお、表6中の各配合材料は下記の材料を意味する。
エマルション:製造例3で得られたアクリルエマルション樹脂(A)
水溶性樹脂:製造例4で得られた水溶性アクリル樹脂(B)
硬化剤:数平均分子量420、固形分100質量%のイミノ基型メチル化メラミン樹脂(マイコート723、日本サイテック社製)
光輝材料(1):製造例1で得られた光輝材料(1)
光輝材料(2):製造例2で得られた光輝材料(2)
マイカ:パールグレイスSME−90−9(日本光研社製)
増粘剤(1):SNシックナー615(チキソトロピック性増粘剤、サンノプコ製)
増粘剤(2):SNシックナー601(ニュートニアン性増粘剤、サンノプコ製)
造膜助剤(1):テキサノール(イーストマンケミカルジャパン社製)
造膜助剤(2):プライムポールPX−1000(三洋化成社製)
【0151】
【表6】

【0152】
〔実施例(2−6)〜(2−10)、比較例(C2−2)〕
リン酸亜鉛処理した、厚さ0.8mm、10cm×50cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(商品名「パワートップU−50」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が約25μmとなるように電着塗装し、160℃、30分間焼き付けた。次に、得られた電着塗装塗膜の上に中塗塗料(商品名「オルガP−2」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が約40μmとなるようにスプレー塗装し、140℃、30分間焼き付けた。
冷却後、得られた中塗り塗膜の上に、製造例6で得られたホワイトカラーベース塗料(第1ベース塗料)をNo.4フォードカップを使って20℃で20秒となるように希釈し、粘度調整したものを、乾燥膜厚が約30μmとなるように2ステージでスプレー塗装し、約2秒間セッティングし、第1ベース塗料層を形成した。
次に、第2ベース塗料として、実施例(2−1)〜(2−5)および比較例(C2−1)で得られた水性塗料組成物(2−1)〜(2−5)および(C2−1)のそれぞれを、脱イオン水を用いてNo.4フォードカップを使って20℃で20秒となるように希釈し、これをウェット・オン・ウェット塗装で、未硬化の第1ベース塗料層の上に、乾燥膜厚が約30μmとなるように塗装し、約7分間セッティングした。
さらに未硬化の第2ベース塗膜の上に、クリヤー塗料(商品名:マックフローO−1810、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が35μmとなるように塗装した。5分間のセッティングの後、140℃、30分間焼付け、評価用塗板を作製し、その塗膜外観を評価した。塗膜外観は塗膜の色むら性を観察し、下記の基準で評価した。
◎:色むらがなく、外観が非常に良好。
○:色むらがなく、外観が良好。
×:色むらあり。
評価結果を表7に示す。
【0153】
【表7】

【0154】
以上の実施例、比較例を見ると、本発明の水性塗料組成物は、見る角度によって色相が変化するとともに奥行き感や深み感のある色調や質感を与える均一な塗膜を形成でき、特に、自動車の車体への多層塗膜形成や、凹凸のある建材用ボードなどの建築材料への塗装に有用であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明の水性塗料組成物は、例えば、自動車の車体、サンルーフ、サイドバイザー、ウインドウなど;建材用ボードなどの建築材料;ドアや障子紙などの建築資材;サンバイザー、日傘、ビーチパラソルなどのファッション小物;バックライトを具備したショウウィンドウや自動販売機などの表示部;電飾看板;各種照明用具;など、種々の用途に応用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝材料と、エマルション樹脂と、水とを含む、水性塗料組成物であって、
該光輝材料は、屈折率の異なる少なくとも2種類の樹脂層の積層構造部を有する、
水性塗料組成物。
【請求項2】
造膜助剤をさらに含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
【請求項3】
増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の水性塗料組成物。
【請求項4】
前記光輝材料は、前記積層構造部の周囲に、前記少なくとも2種類の樹脂層を構成する樹脂のいずれかの樹脂、および/または、これらの樹脂とは異なる樹脂を含む被覆層を有する、請求項1から3までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項5】
前記光輝材料は、略扁平断面を有する、請求項1から4までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項6】
前記光輝材料は、前記積層構造部中に、無彩色系色素および/または有彩色系色素を含有する色素層を備える、請求項1から5までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項7】
前記光輝材料は、屈折率の異なる2種類の樹脂層の交互積層構造部を有し、高屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP1)と低屈折率側樹脂の溶解度パラメーター値(SP2)の比率(SP比)が0.8≦SP1/SP2≦1.1の範囲にあり、前記交互積層構造部の周囲に、繊維形成性樹脂からなる被覆層を有する、請求項1から3までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項8】
前記交互積層構造部、および/または、前記被覆層に、有彩色成分が含まれる、請求項7に記載の水性塗料組成物。
【請求項9】
前記光輝材料は、略扁平断面を有し、該断面の扁平率が3.5以上である、請求項7または8に記載の水性塗料組成物。
【請求項10】
前記交互積層構造部の厚さが10μm以下である、請求項7から9までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項11】
前記高屈折率側樹脂および前記低屈折率側樹脂がアルカリ難溶性樹脂であり、前記繊維形成性樹脂がアルカリ易溶性樹脂である、請求項7から10までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項12】
表面に凹凸形状を有する基材上に、請求項1から3までのいずれかに記載の水性塗料組成物を塗布する、意匠性塗膜の形成方法。
【請求項13】
前記基材の表面に、下塗り塗料を塗布して下塗り層を形成し、次いで、着色塗料を塗布して着色塗膜層を形成し、次いで、前記水性塗料組成物を塗布する、請求項12に記載の意匠性塗膜の形成方法。
【請求項14】
前記意匠性塗膜の形成方法で形成される意匠性塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布してクリヤー層を形成する、請求項12に記載の意匠性塗膜の形成方法。
【請求項15】
前記凹凸形状は、凹凸深さが1mm以上である、請求項12から14までのいずれかに記載の意匠性塗膜の形成方法。
【請求項16】
請求項12から15までのいずれかに記載の意匠性塗膜の形成方法によって形成された塗膜を有する、建材用ボード。
【請求項17】
基材が窯業系材料からなる、請求項16に記載の建材用ボード。
【請求項18】
硬化剤をさらに含む、請求項1から3までのいずれかに記載の水性塗料組成物。
【請求項19】
被塗物表面に下塗り層および中塗り層を形成した後に、第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をこの順に塗装する、自動車車体の塗装方法であって、
該第2ベース塗料が、請求項18に記載の水性塗料組成物である、
自動車車体の塗装方法。
【請求項20】
前記第1ベース塗料が水性であり、前記第1ベース塗料、第2ベース塗料、クリヤー塗料をウェット・オン・ウェットで塗装した後に焼付けを行う3コート1ベーク方式で行う、請求項19に記載の自動車車体の塗装方法。

【公開番号】特開2008−144068(P2008−144068A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334119(P2006−334119)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】