説明

水晶発振器

【課題】電源電圧が低電圧化されても安定した発振動作が可能な水晶発振器を提供する。
【解決手段】本発明の水晶発振器は、高電位側電源と水晶振動子(2)の一端並びに他端との間に設けられた第1,第2の抵抗(R1,R2)と、その一方の主端子が前記水晶振動子の一端並びに他端と接続された第1,第2のトランジスタ(T1,T2)と、第1,第2のトランジスタの他方の主端子間に接続されたキャパシタ(C1)と、第1,第2のトランジスタの他方の主端子と低電位側電源との間に設けられた電流源(IR1,IR2)又は抵抗と、第1,第2のトランジスタの一方の主端子と第2,第1のトランジスタの制御端子との間に設けられ、一方の主端子の電圧に追従するとともに一方の主端子の電圧から直流オフセット電圧分降下した電圧を生成して制御端子に印加させる第1,第2の電圧フォロワ回路(4,5)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶発振器、特にオーバートーン水晶発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は以下の特許文献1に開示された従来の水晶発振器の構成を示した図である。
【0003】
まず、図9に示す従来の水晶発振器の構成を説明する。図9に示す従来の水晶発振器は、2つのNPN型トランジスタT1,T2を含んで成る。NPN型トランジスタT1,T2のコレクタはそれぞれ抵抗R1,R2を介して直流電源10と接続されており、NPN型トランジスタT1,T2のエミッタはそれぞれ電流源IR1,IR2を介して低電位側電源と接続されている。NPN型トランジスタT1,T2の互いのエミッタ間には周波数決定用のキャパシタC1が接続されている。水晶振動子2はNPN型トランジスタT1,T2の互いのコレクタ間に配設されている。NPN型トランジスタT1のベースはNPN型トランジスタT2のコレクタと接続されている一方で、NPN型トランジスタT2のベースはNPN型トランジスタT1のコレクタと接続されている。そして、水晶振動子2の両端A1,A2は水晶発振器の出力端子OUT1,OUT2と接続され、出力端子OUT1,OUT2から発振信号が取り出されている。
【0004】
つぎに、図9に示す従来の水晶発振器の動作の概要を説明する。NPN型トランジスタT1,T2のコレクタバイアス電圧及びベースバイアス電圧は、直流電源10の電源電圧から抵抗R1,R2の電圧降下分を減じた電圧であり、NPN型トランジスタT1,T2のエミッタバイアス電圧は、NPN型トランジスタT1,T2のコレクタバイアス電圧及びベースバイアス電圧からNPN型トランジスタT1,T2のベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧である。
【0005】
さらに、水晶振動子2の両端A1,A2に出現する発振信号はともに急峻なバンドパスフィルタの特性波形(正弦波状の波形)と擬制され且つ互いに逆相の関係にある。また、NPN型トランジスタT1のコレクタ電圧(水晶振動子2の一端A1の電圧)と、NPN型トランジスタT2のエミッタ電圧(電流源IR2の一端B2の電圧)とは互いに同相の関係にあり、NPN型トランジスタT2のコレクタ電圧(水晶振動子2の他端A2の電圧)と、NPN型トランジスタT1のエミッタ電圧(電流源IR1の一端B1の電圧)とは互いに同相の関係にある。
【0006】
換言すると、NPN型トランジスタT1のコレクタ電圧とエミッタ電圧とは互いに逆相の関係にあり、且つ互いの直流バイアス電圧がベース−エミッタ間電圧VBE(約0.7V)分離れた関係にあり、NPN型トランジスタT2のコレクタ電圧とエミッタ電圧とは互いに逆相の関係にあり、且つ互いの直流バイアス電圧がベース−エミッタ間電圧VBE(約0.7V)分離れた関係にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2001−521703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水晶発振器の分野では、小チップ化や低消費電力化が要求されており、それらの要求を実現するための対策の一つとして電源電圧の低電圧化が挙げられている。ただし、図9に示すような従来の水晶発振器の構成の場合、電源電圧の低電圧化に伴って、つぎのような課題が生じることとなる。図9に示す構成を例に挙げて説明すると、NPN型トランジスタT1,T2では、電源電圧が低下すれば、コレクタバイアス電圧が低下し、ひいてはコレクタ−エミッタ間電圧が低下する。この結果として、NPN型トランジスタT1,T2の動作領域がバイポーラトランジスタにおける飽和領域となり、水晶振動子2の両端A1,A2の電圧波形の振幅が制限され、ひいては出力端子OUT1,OUT2から取り出されている発振信号の振幅が制限されることとなる。それゆえに、信号(signal)対雑音(noise)比(S/N比)を稼ぐことができず、ノイズ特性の改善が困難であるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な水晶発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のある形態(aspect)に係る水晶発振器は、高電位側電源と水晶振動子の一端との間に設けられた第1の抵抗と、前記高電位側電源と前記水晶振動子の他端との間に設けられた第2の抵抗と、その一方の主端子が前記水晶振動子の一端と接続された第1のトランジスタと、その一方の主端子が前記水晶振動子の他端と接続された第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタの他方の主端子と前記第2のトランジスタの他方の主端子との間に接続された第1のキャパシタと、前記第1のトランジスタの他方の主端子と前記低電位側電源との間に設けられた第1の電流規定要素と、 前記第2のトランジスタの他方の主端子と前記低電位側電源との間に設けられた第2の電流規定要素と、前記第1のトランジスタの一方の主端子と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられ、当該一方の主端子の電圧に追従するとともに当該一方の主端子の電圧から直流オフセット電圧分降下した電圧を生成して当該制御端子に印加させる第1の電圧フォロワ回路と、前記第2のトランジスタの一方の主端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられ、当該一方の主端子の電圧に追従するとともに当該一方の主端子の電圧から直流オフセット電圧分降下した電圧を生成して当該制御端子に印加させる第2の電圧フォロワ回路と、を備える、ものである。 ここで、第1のトランジスタ並びに第2のトランジスタの「主端子」は、負荷電流が流れる端子のことであり、例えば、MOSトランジスタにおけるソース及びドレインや、バイポーラトランジスタにおけるエミッタ及びコレクタのことを指すものと定義する。また、第1のトランジスタ並びに第2のトランジスタの「制御端子」は、制御電圧が印加される端子のことであり、例えば、MOSトランジスタにおけるゲートや、バイポーラトランジスタにおけるベースのことを指すものと定義する。また、「直流オフセット電圧」とは、第1の電圧フォロワ回路並びに第2の電圧フォロワ回路が、バイポーラトランジスタで構成されたエミッタ・フォロワ回路の場合にはベース−エミッタ間電圧のことを指しており、MOSトランジスタで構成されたソース・フォロワ回路の場合にはゲート−ソース間電圧のことを指すものと定義する。また、「第1、第2の電流規定要素」とは、第1、第2のトランジスタに流れる電流を規定する電流源又は抵抗のことを指すものと定義する。
【0011】
この構成によれば、第1のトランジスタ並びに第2のトランジスタそれぞれの低電位電源側の主端子の電圧は、高電位側電源と低電位側電源との差である電源電圧から第1の抵抗及び第2の抵抗の電圧降下分を減じた電圧に対して、第1のトランジスタ並びに第2のトランジスタそれぞれの制御端子と低電位電源側の主端子との間の直流オフセット電圧を減じ、さらに第1の電圧フォロワ回路及び第2の電圧フォロワ回路の直流オフセット電圧を減じた電圧となる。この結果、従来の水晶発振器と対比して、第1の電圧フォロワ回路及び第2の電圧フォロワ回路の直流オフセット電圧分、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのダイナミックレンジが拡大しており、電源電圧が低電圧化された場合であっても、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの飽和を抑制することができる。この結果として、S/N比を稼ぐことができ、ノイズ特性の更なる改善を図ることができる。
【0012】
前記水晶発振器において、前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成されている、としてもよい。
【0013】
前記水晶発振器において、前記水晶振動子の一端と前記第1の電圧フォロワ回路との間に設けられた第1のハイパスフィルタと、前記水晶振動子の他端と前記第2の電圧フォロワ回路との間に設けられた第2のハイパスフィルタと、を備え、前記第1のハイパスフィルタ及び前記第2のハイパスフィルタのカットオフ周波数は、発振信号の基本波を除去するとともにオーバートーン発振が可能となるように設定されている、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な3次オーバートーン水晶発振器を実現することが可能となる。
【0015】
前記水晶発振器において、前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、前記第1のハイパスフィルタは、前記水晶振動子の一端と前記第3のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のキャパシタと、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第3のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第5の抵抗と、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第3のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第6の抵抗と、を備えてなり、前記第2のハイパスフィルタは、前記水晶振動子の他端と前記第4のトランジスタの制御端子との間に設けられた第3のキャパシタと、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第4のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第7の抵抗と、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第4のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第8の抵抗と、を備えてなる、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な3次オーバートーン水晶発振器を実現することが可能となる。さらに、第5の抵抗と第6の抵抗との抵抗比を調整することで、第1の電圧フォロワ回路の第3のトランジスタの制御端子に印加される直流バイアス電圧、ひいては直流オフセット電圧を任意に調整することが可能となる。同様に、第7の抵抗と第8の抵抗との抵抗比を調整することで、第2の電圧フォロワ回路の第4のトランジスタの制御端子に印加される直流バイアス電圧、ひいては直流オフセット電圧を任意に調整することが可能となる。
【0017】
前記水晶発振器において、前記第1の電圧フォロワ回路と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられた第1のハイパスフィルタと、前記第2の電圧フォロワ回路と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のハイパスフィルタと、を備え、 前記第1のハイパスフィルタ及び前記第2のハイパスフィルタのカットオフ周波数は、発振信号の基本波を除去するとともにオーバートーン発振が可能となるように設定されている、としてもよい。
【0018】
この構成によれば、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な3次オーバートーン水晶発振器を実現することが可能となる。
【0019】
前記水晶発振器において、前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、前記第1のハイパスフィルタは、前記第3のトランジスタの一方の主端子と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のキャパシタと、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第2のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第5の抵抗と、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第2のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第6の抵抗と、を備えてなり、前記第2のハイパスフィルタは、前記第4のトランジスタの一方の主端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられた第3のキャパシタと、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第1のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第7の抵抗と、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第1のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第8の抵抗と、を備えてなる、としてもよい。
【0020】
この構成によれば、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な3次オーバートーン水晶発振器を実現することが可能となる。さらに、第5の抵抗と第6の抵抗との抵抗比を調整することで、第1の電圧フォロワ回路の第3のトランジスタの制御端子に印加される直流バイアス電圧、ひいては直流オフセット電圧を任意に調整することが可能となる。同様に、第7の抵抗と第8の抵抗との抵抗比を調整することで、第2の電圧フォロワ回路の第4のトランジスタの制御端子に印加される直流バイアス電圧、ひいては直流オフセット電圧を任意に調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電源電圧が低電圧化されても安定した発振動作が可能な水晶発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る水晶発振器の構成例を示した図である。
【図2】図2は図1に示すNPN型トランジスタのコレクタ電圧とエミッタ電圧との波形例を示した図である。
【図3】図3は図9に示すNPN型トランジスタのコレクタ電圧とエミッタ電圧との波形例を示した図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る水晶発振器の変形例を示した図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る水晶発振器のその他の変形例を示した図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2に係る水晶発振器の構成例を示した図である。
【図7】図7は図6に示すハイパスフィルタのカットオフ周波数を説明するための図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2に係る水晶発振器の変形例を示した図である。
【図9】図9は従来の水晶発振器の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
[構成例]
図1は本発明の実施の形態1に係る水晶発振器の構成例を示した図である。
【0024】
図1に示す水晶発振器は、図9に示す従来の水晶発振器と対比して、水晶振動子2の両端A1,A2とNPN型トランジスタT1,T2のベースとの間に、エミッタ電圧がベース電圧からベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧に追従するエミッタ・フォロワ回路(コレクタ接地回路)4,5が配設されている点が異なっている。
【0025】
図1に示す水晶発振器は、外付けされている水晶振動子2の一端A1は、抵抗R1を介して直流電源10(高電位側電源の一例)と接続されているとともに、NPN型トランジスタT1、電流源IR1(電流規定要素の一例)を介してグランド(低電位側電源の一例)と接続されている。同様に、水晶振動子2の他端A2は、抵抗R2を介して直流電源10と接続されているとともに、NPN型トランジスタT2、電流源IR2(電流規定要素の一例)を介してグランドと接続されている。つまり、NPN型トランジスタT1,T2のコレクタはそれぞれ抵抗R1,R2を介して直流電源10と接続されており、NPN型トランジスタT1,T2のエミッタはそれぞれ電流源IR1,IR2を介してグランドと接続されている。また、水晶振動子2は、NPN型トランジスタT1,T2の互いのコレクタ間に配設されている。
【0026】
NPN型トランジスタT1,T2の互いのエミッタ間にはキャパシタC1が接続されている。キャパシタC1はその容量値に基づいて発振信号の周波数を決定する役割を果たしている。詳述すると、NPN型トランジスタT1,T2のベース−エミッタ間の抵抗成分とキャパシタC1とによってRCフィルタ回路が形成され、このRCフィルタ回路の時定数RCにより発振信号の周波数が決定される。また、キャパシタC1は、NPN型トランジスタT1,T2のコレクタ電圧波形を互いに逆相の関係にすべくDCカットの役割も果たしている。
【0027】
また、水晶振動子2と並列にキャパシタC2が接続されている。水晶振動子2はインダクタ(L)、キャパシタ(C)、抵抗(R)を直列又は並列に接続して構成されており、キャパシタC2は、発振信号の周波数を所望の周波数とすべく、水晶振動子2のキャパシタの容量値を補正する役割を果たしている。
【0028】
NPN型トランジスタT1,T2のコレクタは、NPN型トランジスタT3,T4のベースと接続されている。NPN型トランジスタT3,T4のコレクタはそれぞれ抵抗R3,R4を介して直流電源10と接続されている。また、NPN型トランジスタT3,T4のエミッタはそれぞれ電流源IR3,IR4を介してグランドと接続されている。以上の構成により、エミッタ・フォロワ回路4,5が形成されている。
【0029】
なお、NPN型トランジスタT3,T4のエミッタはそれぞれ水晶発振器の出力端子OUT1,OUT2と接続され、出力端子OUT1,OUT2から発振信号が取り出されている。この発振信号は、水晶発振器の後段のPLL回路の参照クロック等として用いられる。このように、エミッタ・フォロワ回路4,5の出力から発振信号が取り出されることで、水晶発振器自身の特性に影響を与えることなく、後段の回路へ発振信号を供給することができる。
【0030】
[動作例]
図1に示す水晶発振器の動作例を説明する。
【0031】
NPN型トランジスタT1,T2のコレクタバイアス電圧は、直流電源10の電源電圧から抵抗R1,R2の電圧降下分を減じた電圧である。NPN型トランジスタT1,T2のベースバイアス電圧は、NPN型トランジスタT1,T2のコレクタバイアス電圧からNPN型トランジスタT3,T4のベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧である。NPN型トランジスタT1,T2のエミッタバイアス電圧は、NPN型トランジスタT1,T2のベースバイアス電圧からNPN型トランジスタT1,T2のベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧である。つまり、NPN型トランジスタT1,T2のエミッタバイアス電圧は、NPN型トランジスタT1〜T4のベース−エミッタ間電圧VBEが全て同一の値とみなせば、直流電源10の電源電圧から抵抗R1,R2の電圧降下分を減じた電圧に対して、さらにベース−エミッタ間電圧VBEの2倍(2VBE)を減じた電圧である。
【0032】
水晶振動子2の両端A1,A2に出現する発振信号はともに急峻なバンドパスフィルタの特性波形(正弦波状の波形)と擬制され且つ互いに逆相の関係にある。これらの発振信号は、NPN型トランジスタT1,T2のコレクタ電圧になるとともに、NPN型トランジスタT3,T4のベース電圧にもなっている。
【0033】
エミッタ・フォロワ回路4,5の特性により、NPN型トランジスタT3,T4のエミッタ電圧は、水晶振動子2の両端A1,A2に出現する発振信号からベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧であるとともに、水晶振動子2の両端A1,A2に出現する発振信号(つまりベース電圧)とは同相の関係にある。
【0034】
また、NPN型トランジスタT3,T4のエミッタ電圧は、NPN型トランジスタT1,T2のベース電圧になる。NPN型トランジスタT1,T2のコレクタ電圧とベース電圧とは逆相の関係にある。
【0035】
一方、NPN型トランジスタT1,T2のエミッタ電圧は、NPN型トランジスタT1,T2のベース電圧からベース−エミッタ間電圧VBEを減じた電圧であり、NPN型トランジスタT1,T2のベース電圧とは同相の関係にある。
【0036】
以上より、図2に示されるように、NPN型トランジスタT1のコレクタ電圧とエミッタ電圧とは互いに逆相の関係にあり且つ互いの直流バイアス電圧がベース−エミッタ間電圧VBE(約0.7V)の2倍の電圧(約1.4V)分離れた関係にある。図2は図1に示すNPN型トランジスタT1のコレクタ電圧とエミッタ電圧との波形例を示した図である。同様に、NPN型トランジスタT2のコレクタ電圧とエミッタ電圧とは互いに逆相の関係にあり且つ互いの直流バイアス電圧がベース−エミッタ間電圧VBE(約0.7V)の2倍の電圧(約1.4V)分離れた関係にある。
【0037】
ここで、図2に示す波形図の比較例として、図3には図9に示すNPN型トランジスタT1のコレクタ電圧とエミッタ電圧との波形例が示されている。図9に示すNPN型トランジスタT1の場合、コレクタ電圧とエミッタ電圧とは互いに逆相の関係にあり且つ互いの直流バイアス電圧がベース−エミッタ間電圧VBE(約0.7V)分離れた関係にある。従って、図2に示す波形図と比較してみると、NPN型トランジスタT1のコレクタ電圧の下限とエミッタ電圧の上限との間に余裕がなく、NPN型トランジスタT1の飽和が起こり易いことが分かる。なお、NPN型トランジスタT2についても同様である。
【0038】
以上、図1に示す水晶発振器の構成によれば、図9に示す従来の水晶発振器の構成と対比して、直流電源10の電源電圧が低下する場合、NPN型トランジスタT1,T2の飽和を抑制することができる。この結果として、S/N比を稼ぐことができ、ノイズ特性の更なる改善を図ることができる。
【0039】
[変形例]
図1に示す水晶発振器は、NPN型トランジスタT1,T2及び/又はNPN型トランジスタT3,T4を、PNP型トランジスタに置き換えて構成されてもよい。また、図1に示す水晶発振器は、NPN型トランジスタT1,T2及び/又はNPN型トランジスタT3,T4を、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタに置き換えて構成されてもよい。
【0040】
なお、本発明において、トランジスタの「主端子」とは、負荷電流が流れる端子のことであり、例えば、MOSトランジスタにおけるソース及びドレインや、バイポーラトランジスタにおけるエミッタ及びコレクタのことを指している。また、トランジスタの「制御端子」とは、制御電圧が印加される端子のことであり、例えば、MOSトランジスタにおけるゲートや、バイポーラトランジスタにおけるベースのことを指している。
【0041】
また、本発明において、「電圧フォロワ回路の直流オフセット電圧」とは、エミッタ・フォロワ回路4,5のようにバイポーラトランジスタで構成されたエミッタ・フォロワ回路の場合には当該バイポーラトランジスタのベース−エミッタ間電圧のことを指し、MOSトランジスタで構成されたソース・フォロワ回路の場合にはゲート−ソース間電圧のことを指すものとする。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態1に係る水晶発振器の変形例として、NPN型トランジスタT1,T2をNMOSトランジスタM1,M2に置き換えた構成例を示した図である。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態1に係る水晶発振器のその他の変形例として、NPN型トランジスタT1,T2をNMOSトランジスタM1,M2に置き換えるとともに、NPN型トランジスタT3,T4をNMOSトランジスタM3,M4に置き換えた構成例を示した図である。なお、NMOSトランジスタM3,M4は、ソース電圧がゲート電圧からゲート−ソース間電圧VGSを減じた電圧に追従するソース・フォロワ回路6,7を構成している。MOSトランジスタは一般的にバイポーラトランジスタよりも低電圧で動作可能ではあるものの、電源電圧の低下に伴ってMOSトランジスタにおける非飽和領域で動作する事となり、ゲインの低下につながる。このため、NPN型トランジスタT3,T4をNMOSトランジスタM3,M4に置き換えて、水晶振動子2の両端A1,A2と電流源IR1,IR2の一端B1,B2との間にNMOSトランジスタのゲート−ソース間電圧の2倍の電圧が確保されることで、より安定した発振動作を実現することが可能となる。なお、バイポーラトランジスタで構成した方がMOSトランジスタで構成するよりも1/fノイズが抑制されるという効果がある。
【0044】
また、本発明において「電流規定要素」とは、NPN型トランジスタT1,T2に流れる電流を規定する電流源IR1,IR2や抵抗のことを指す。つまり、電流源IR1,IR2をそれぞれ抵抗に置き換えても、上記と同様の効果が得られる。また、電流源IR3,IR4をそれぞれ抵抗に置き換えてもよいし、電流源IR1,IR2,IR3,IR4すべてを抵抗に置き換えてもよい。但し、これらの抵抗には一定の電流が流れず、水晶振動子2の両端A1,A2の電圧波形に追従した電流波形が出現するため、ゲインの観点からは電流源IR1,IR2を用いた方が好適である。
(実施の形態2)
[構成例]
図6は本発明の実施の形態2に係る水晶発振器の構成例を示した図である。
【0045】
図6に示す水晶発振器は、図1に示す水晶発振器と対比して、水晶振動子2の両端A1,A2とNPN型トランジスタT3,T4のベースとの間にハイパスフィルタ20,21が配設されている点が異なっている。
【0046】
水晶振動子2の一端A1とNPN型トランジスタT3のベースとの間にキャパシタC3が接続されている。キャパシタC3の一方の(NPN型トランジスタT3のベース側の)電極は、抵抗R5を介して直流電源10と接続されているとともに、抵抗R6を介してグランドと接続されている。同様に、水晶振動子2の他端A2とNPN型トランジスタT4のベースとの間にキャパシタC4が接続されている。キャパシタC4の一方の(NPN型トランジスタT4のベース側の)電極は、抵抗R7を介して直流電源10と接続されているとともに、抵抗R8を介してグランドと接続されている。
【0047】
[動作例]
図6に示す水晶発振器の動作例を説明する。
【0048】
図6に示す水晶発振器の基本的な発振動作については図1に示す水晶発振器と同様である。但し、図6に示す水晶発振器では、水晶振動子2の両端A1,A2とエミッタ・フォロワ回路4,5のNPN型トランジスタT3,T4のベースとの間にハイパスフィルタ20,21が配設されている。なお、ハイパスフィルタ20,21のカットオフ周波数fcは、図7に示すように、発振信号の基本波fを除去するとともに、3次(基本波fの3倍)のオーバートーン発振が可能となるように設定されている。
【0049】
水晶振動子2の一端A1側のハイパスフィルタ20は、抵抗R5,R6とキャパシタC3とから成る。詳述すると、水晶振動子2の一端A1とNPN型トランジスタT3のベースとの間に設けられたキャパシタC3と、キャパシタC3の一方の電極とNPN型トランジスタT3のベースとを互いに接続する接続点と直流電源10との間に設けられた抵抗R5と、キャパシタC3の一方の電極とNPN型トランジスタT3のベースとを互いに接続する接続点とグランドとの間に設けられた抵抗R6と、を備えてなる。
【0050】
ここで、直流電源10の電源電圧を抵抗R5,R6の抵抗比により分圧した電圧がNPN型トランジスタT3のベースバイアス電圧となっている。従って、抵抗R5,R6は、ハイパスフィルタ20の構成の一部であるとともに、NPN型トランジスタT3のベースバイアス電圧、ひいてはベース−エミッタ間電圧を調整する役割も果たしている。水晶振動子2の他端A2側のハイパスフィルタ21も同様であるため、説明を省略する。
【0051】
以上、図6に示す水晶発振器によれば、実施の形態1と同様に、直流電源10の電源電圧が低下する場合であっても、NPN型トランジスタT1,T2の飽和を抑制することができる。この結果として、S/N比を稼ぐことができ、ノイズ特性の更なる改善を図ることができる。
【0052】
また、オーバートーン発振が可能となるようにハイパスフィルタ20,21の抵抗(R5〜R8)及びキャパシタC3,C4の部品を選定すれば、3次オーバートーン水晶発振器を容易に実現することができる。なお、NPN型トランジスタT1,T2のベース−エミッタ間の抵抗成分とキャパシタC1とから成るRCフィルタ回路によって3次オーバートーン水晶発振器を実現することもできるが、オーバートーン発振が可能となるように当該RCフィルタ回路の時定数を半導体プロセス工程で調整しておくことは困難である。
【0053】
また、ハイパスフィルタ20,21は水晶振動子2の両端A1,A2とエミッタ・フォロワ回路4,5との間に設けられているので、水晶発振器の発振回路の動作に影響を与えないように、3次オーバートーン水晶発振器を実現することができる。
【0054】
また、抵抗R5と抵抗R6との抵抗比を調整することで、NPN型トランジスタT3のベースバイアス電圧、ひいてはそのベース−エミッタ間電圧を任意に調整することが可能となる。同様に、抵抗R7と抵抗R8との抵抗比を調整することで、NPN型トランジスタT4のベースバイアス電圧、ひいてはそのベース−エミッタ間電圧を任意に調整することが可能となる。
【0055】
[変形例]
図8は本発明の実施の形態2に係る水晶発振器の変形例を示した図である。図8に示す水晶発振器が図6に示す水晶発振器と相違する点は、NPN型トランジスタT3,T4のエミッタとNPN型トランジスタT1,T2のベースとの間にハイパスフィルタ22,23が配設されている点である。
【0056】
水晶振動子2の一端A1側のハイパスフィルタ22は、NPN型トランジスタT3のエミッタとNPN型トランジスタT3のベースとの間に設けられたキャパシタC3と、前記キャパシタC3の一方の電極とNPN型トランジスタT2のベースとを互いに接続する接続点と直流電源10との間に設けられた抵抗R5と、キャパシタC3の一方の電極とNPN型トランジスタT2のベースとを互いに接続する接続点とグランドとの間に設けられた抵抗R6と、を備えてなる。水晶振動子2の他端A2側のハイパスフィルタ23についても同様に構成されている。
【0057】
本構成によっても、電源電圧が低電圧化しても安定した発振動作が可能な3次オーバートーン水晶発振器を実現することができる。さらに、抵抗R5と抵抗R6との抵抗比を調整することで、NPN型トランジスタT3のベースバイアス電圧、ひいてはそのベース−エミッタ間電圧を任意に調整することが可能となる。同様に、抵抗R7と抵抗R8との抵抗比を調整することで、NPN型トランジスタT4のベースバイアス電圧、ひいてはそのベース−エミッタ間電圧を任意に調整することが可能となる。
【0058】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されているべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、電源電圧の低電圧化が求められる水晶発振器、特にオーバートーン水晶発振器にとって有用である。
【符号の説明】
【0060】
2…水晶振動子
4…エミッタ・フォロワ回路(第1の電圧フォロワ回路)
5…エミッタ・フォロワ回路(第2の電圧フォロワ回路)
6…ソース・フォロワ回路(第1の電圧フォロワ回路)
7…ソース・フォロワ回路(第2の電圧フォロワ回路)
10…直流電源(高電位側電源)
T1…NPN型トランジスタ(第1のトランジスタ)
T2…NPN型トランジスタ(第2のトランジスタ)
T3…NPN型トランジスタ(第3のトランジスタ)
T4…NPN型トランジスタ(第4のトランジスタ)
C1…キャパシタ(第1のキャパシタ)
C2…キャパシタ
C3…キャパシタ(第2のキャパシタ)
C4…キャパシタ(第3のキャパシタ)
OUT1,OUT2…出力端子
R1…抵抗(第1の抵抗)
R2…抵抗(第2の抵抗)
R3…抵抗(第3の抵抗)
R4…抵抗(第4の抵抗)
R5…抵抗(第5の抵抗)
R6…抵抗(第6の抵抗)
R7…抵抗(第7の抵抗)
R8…抵抗(第8の抵抗)
IR1…電流源(第1の電流規定要素)
IR2…電流源(第2の電流規定要素)
IR3…電流源(第3の電流規定要素)
IR4…電流源(第4の電流規定要素)
20…ハイパスフィルタ(第1のハイパスフィルタ)
21…ハイパスフィルタ(第2のハイパスフィルタ)
22…ハイパスフィルタ(第1のハイパスフィルタ)
23…ハイパスフィルタ(第2のハイパスフィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位側電源と水晶振動子の一端との間に設けられた第1の抵抗と、
前記高電位側電源と前記水晶振動子の他端との間に設けられた第2の抵抗と、
その一方の主端子が前記水晶振動子の一端と接続された第1のトランジスタと、
その一方の主端子が前記水晶振動子の他端と接続された第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの他方の主端子と前記第2のトランジスタの他方の主端子との間に接続された第1のキャパシタと、
前記第1のトランジスタの他方の主端子と前記低電位側電源との間に設けられた第1の電流規定要素と、
前記第2のトランジスタの他方の主端子と前記低電位側電源との間に設けられた第2の電流規定要素と、
前記第1のトランジスタの一方の主端子と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられ、当該一方の主端子の電圧に追従するとともに当該一方の主端子の電圧から直流オフセット電圧分降下した電圧を生成して当該制御端子に印加させる第1の電圧フォロワ回路と、
前記第2のトランジスタの一方の主端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられ、当該一方の主端子の電圧に追従するとともに当該一方の主端子の電圧から直流オフセット電圧分降下した電圧を生成して当該制御端子に印加させる第2の電圧フォロワ回路と、を備える、水晶発振器。
【請求項2】
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成されている、請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項3】
前記水晶振動子の一端と前記第1の電圧フォロワ回路との間に設けられた第1のハイパスフィルタと、
前記水晶振動子の他端と前記第2の電圧フォロワ回路との間に設けられた第2のハイパスフィルタと、を備え、
前記第1のハイパスフィルタ及び前記第2のハイパスフィルタのカットオフ周波数は、発振信号の基本波を除去するとともにオーバートーン発振が可能となるように設定されている、請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項4】
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、
前記第1のハイパスフィルタは、前記水晶振動子の一端と前記第3のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のキャパシタと、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第3のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第5の抵抗と、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第3のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第6の抵抗と、を備えてなり、
前記第2のハイパスフィルタは、前記水晶振動子の他端と前記第4のトランジスタの制御端子との間に設けられた第3のキャパシタと、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第4のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第7の抵抗と、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第4のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第8の抵抗と、を備えてなる、請求項3に記載の水晶発振器。
【請求項5】
前記第1の電圧フォロワ回路と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられた第1のハイパスフィルタと、
前記第2の電圧フォロワ回路と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のハイパスフィルタと、を備え、
前記第1のハイパスフィルタ及び前記第2のハイパスフィルタのカットオフ周波数は、発振信号の基本波を除去するとともにオーバートーン発振が可能となるように設定されている、請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項6】
前記第1の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第3の抵抗と、第3のトランジスタと、第3の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、
前記第2の電圧フォロワ回路は、前記高電位側電源と前記低電位側電源との間に、第4の抵抗と、第4のトランジスタと、第4の電流規定要素とをこの順に直列に接続して構成され、
前記第1のハイパスフィルタは、前記第3のトランジスタの一方の主端子と前記第2のトランジスタの制御端子との間に設けられた第2のキャパシタと、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第2のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第5の抵抗と、前記第2のキャパシタの一方の電極と前記第2のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第6の抵抗と、を備えてなり、
前記第2のハイパスフィルタは、前記第4のトランジスタの一方の主端子と前記第1のトランジスタの制御端子との間に設けられた第3のキャパシタと、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第1のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記高電位側電源との間に設けられた第7の抵抗と、前記第3のキャパシタの一方の電極と前記第1のトランジスタの制御端子とを互いに接続する接続点と前記低電位側電源との間に設けられた第8の抵抗と、を備えてなる、請求項5に記載の水晶発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−12829(P2013−12829A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142875(P2011−142875)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】