説明

水栓用発電機

【課題】発電効率の向上を図った水栓用発電機を提供する。
【解決手段】給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に給水流路に設けられる動翼と、周方向に沿って交互にN極とS極とが着磁された円筒状を呈し、動翼と一体に回転可能なマグネットと、マグネットの軸方向の端面に対向して設けられたコイルと、マグネットの端面とコイルとの間で周方向に沿って互いに離間して配置された複数の極歯を有し、コイルを囲んで設けられた磁性体からなるヨークと、を備え、ヨークにおいて、コイルの周面部に対向する部分に、極歯が設けられた一端側から切り欠いたざぐり部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水の流れを利用して発電する水栓用発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蛇口の下に手を差し出すことによって、これをセンサが感知し、蛇口から水を自動的に吐水する自動水栓装置が知られている。また、そのような自動水栓装置の流路に小型発電機を配設し、この発電機で得られた電力を蓄電しておき、上述のセンサ等の回路の電力を補う装置も知られている(例えば特許文献1)。近年、自動水栓では節水効果をアピールしており、そのような自動水栓では発電に用いる流水量(水力エネルギー)が小さく、水力エネルギーから発電力へのエネルギー変換におけるわずかなエネルギー損失であっても低減したいという要求が強い。
【特許文献1】特開2002−89429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、発電効率の向上を図った水栓用発電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に前記給水流路に設けられた動翼と、周方向に沿って交互にN極とS極とが着磁された円筒状を呈し、前記動翼と一体に回転可能なマグネットと、前記マグネットの軸方向の端面に対向して設けられたコイルと、前記マグネットの前記端面と前記コイルとの間で周方向に沿って互いに離間して配置された複数の極歯を有し、前記コイルを囲んで設けられた磁性体からなるヨークと、を備え、前記ヨークにおいて、前記コイルの周面部に対向する部分に、前記極歯が設けられた一端側から切り欠いたざぐり部を設けたことを特徴とする水栓用発電機が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、発電効率の向上を図った水栓用発電機が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0007】
図2は、本発明の実施形態に係る発電機付自動水栓装置(以下、単に自動水栓装置とも称する)の取付例を表す模式図である。
図3は、同自動水栓装置の内部構成を表す模式図である。
【0008】
本実施形態に係る自動水栓装置3は、例えば洗面台2などに取り付けられる。自動水栓装置3は、配管4を介して、水道水等の流入口5に接続されている。自動水栓装置3は、円筒状の本体3aと、この本体3aの径外方向に延出して本体3aの上部に設けられた吐水部3bとを有する。吐水部3bの先端には、吐水口6が形成され、さらにこの吐水口6の近傍にセンサ7が内蔵されている。
【0009】
自動水栓装置3の内部には、流入口5から流入し配管4を流れてきた給水を、吐水口6へと導く給水流路10が形成されている。自動水栓装置3の本体3aの内部には、その給水流路10を開閉する電磁弁8が内蔵され、さらに電磁弁8の下流側には、吐水量を一定に制限する定流量弁55が内蔵されている。また、水道元圧が使用圧よりも高すぎる場合に減圧するための減圧弁または調圧弁(図示省略)が、電磁弁8より上流側に内蔵されている。なお、定流量弁55、減圧弁、調圧弁は、必要に応じて適宜設けられる。
【0010】
定流量弁55より下流の吐水部3bの内部には、水栓用発電機11が内蔵されている。本体3aの内部には、水栓用発電機11で発電された電力を充電しておく充電器56、センサ7の駆動と電磁弁8の開閉を制御する制御部57が設けられている。水栓用発電機11は、電磁弁8及び定流量弁55よりも下流側に配設されているため、水道元圧(一次圧)が、水栓用発電機11に直接作用しない。したがって、水栓用発電機11は、それほど高い耐圧性を要求されず、信頼性やコストの点で有利である。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る水栓用発電機の内部を表す模式断面図である。
図4は、同水栓用発電機における予旋回静翼14、動翼15、軸受17の斜視図である。
図5は、同水栓用発電機におけるステータ9の平面図である。
図6は、同水栓用発電機におけるステータ9の断面斜視図である。
図7は、同水栓用発電機におけるマグネットMの斜視図である。
【0012】
本実施形態に係る水栓用発電機は、主として、筒体13、予旋回静翼14、動翼15、マグネットM、ステータ9を備え、これらは、図3に表されるケース12の中に収容されている。
【0013】
筒体13は、小径部13aと大径部13bとからなる段付き形状を呈し、その内部が給水流路に連通した状態で、図2、3に図示される吐水部3bに内蔵され、筒体13の中心軸方向は、流水方向に対して略平行になるよう設置される。筒体13は、小径部13aを上流側に、大径部13bを下流側に向けて配置される。
【0014】
筒体13の内部には、上流側から順に、予旋回静翼14、動翼15、軸受17が設けられている。予旋回静翼14は小径部13aの内部に設けられ、動翼15及び軸受17は大径部13bの内部に設けられている。
【0015】
予旋回静翼14は、円柱体の一方の端面(上流側に位置する面)に、円錐体を一体に設けた形状を呈する。予旋回静翼14の周面には、径外方向に突出した複数の突起状の静翼羽根部18が設けられている。図4に表すように、静翼羽根部18は、予旋回静翼14の軸中心に対して右方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。周方向に見て隣り合う静翼羽根部18間の空間は、静翼流路71として機能する。予旋回静翼14は、筒体13に対して固定され、回転しない。
【0016】
予旋回静翼14に対して間隙を隔てて、予旋回静翼14の下流側に動翼15が設けられている。動翼15は、円柱状を呈し、その周面には径外方向に突出した複数の突起状の動翼羽根部19が設けられている。図4に表すように、動翼羽根部19は、静翼羽根部18とは逆に、軸中心に対して左方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。周方向に見て隣り合う動翼羽根部19間の空間は、動翼流路72として機能する。動翼15は、給水流路に対して略平行な中心軸24を介して、筒体13に対して固定された軸受17上に支持されている。動翼15は、中心軸24のまわりに回転可能となっている。
【0017】
軸受17は、筒体13の内周面に対して固定されたリング部材21と、このリング部材21の中心に設けられた軸支持部22とが、放射状に設けられた連結部材23によって結合されてなる。連結部材23間は、閉塞せず貫通しているため、筒体13内部の給水の流れを妨げない。
【0018】
軸受17の軸支持部22には、動翼15の軸中心に固定された中心軸24が回転可能に支持されている。中心軸24の先端部は、動翼15から突出して予旋回静翼14に嵌め込まれている。中心軸24の先端部と予旋回静翼14とは、互いに固定されておらず、筒体13に対して固定された予旋回静翼14に対して中心軸24は回転可能になっている。あるいは、中心軸24の両端部をそれぞれ軸支持部22と予旋回静翼14に固定させ、その中心軸24に対して回転可能に動翼15を嵌め込む構成としてもよい。
【0019】
筒体13の大径部13bの内部に、動翼流路72を囲むように動翼羽根部19に固定された円筒状のマグネットMが収容されている。図4において2点鎖線で表されるマグネットMの内周面は、動翼羽根部19の径外方側の側端面に固定されている。
【0020】
図7に表すように、マグネットMの軸方向の端面には、周方向に沿ってN極とS極とが交互に着磁されている。
【0021】
筒体13の大径部13bの外側には、マグネットMの上流側端面に対向させてステータ9が配置されている。なお、ステータ9は、マグネットMの下流側端面に対向させて配置してもよく、あるいは、マグネットMの上流側及び下流側の両端面にそれぞれ対向させて1対のステータ9を配置してもよい。
【0022】
図5、6に表されるように、ステータ9は、いずれも磁性体(例えば圧延鋼)からなる第1〜第3ヨーク32〜34と、これら第1〜第3ヨーク32〜34で囲まれた空間内に配置されるコイル30とを有する。円筒状に巻回されたコイル30は、その内周面部、外周面部および軸方向の両端面部が、第1〜第3ヨーク32〜34によって囲まれている。
【0023】
第1ヨーク32は、コイル30の内側に配置された略円筒状を呈し、その軸方向の一端部には、複数の極歯32aが径外方に向けて一体に設けられている。第1ヨーク32において、コイル30の内周面部に対向する部分と、極歯32aとは、略直角になっている。極歯32aは、周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0024】
第2ヨーク33は、コイル30の外周面部を囲むように配置された略円筒状を呈し、その軸方向の一端部には、複数の極歯33aが径内方に向けて一体に設けられている。第2ヨーク33において、コイル30の外周面部に対向する部分と、極歯33aとは、略直角になっている。極歯33aは、周方向に沿って等間隔で配置されるとともに、第1ヨーク32の極歯32aの間に配置されている。すなわち、第1ヨーク32の極歯32aと、第2ヨーク33の極歯33aとが、周方向に沿って、交互に、且つ互いに離間して並んでいる。これら極歯32a、33aは、コイル30の一方の端面部に対向している。極歯32a、33aは、コイル30の一方の端面部に対向している。そのコイル30の一方の端面部は、極歯32a、33a及び筒体13を間に挟んで、マグネットMの端面に対向している。
【0025】
第3ヨーク34は、コイル30の他方の端面部に対向して設けられたリングプレート状を呈し、第1ヨーク32及び第2ヨーク33のそれぞれの他端部(極歯32a、33aが設けられた端部の反対側の端部)に結合されている。
【0026】
第1ヨーク32において、コイル30の内周面部に対向する部分には、極歯32aが設けられた一端側から軸方向中央付近まで凹状に切り欠いたざぐり部39が、周方向に沿って間欠的に形成されている。逆に言えば、極歯32aに一体に続いて設けられてコイル30の内周面部に対向する部分33bが、周方向に沿って間欠的に形成されている。ざぐり部39は、第2ヨーク33の極歯33aの位置に対応して周方向に間欠的に設けられている。
【0027】
同様に、第2ヨーク33において、コイル30の外周面部に対向する部分には、極歯33aが設けられた一端側から軸方向中央付近まで凹状に切り欠いたざぐり部(図6は内周面側から見た図であるため見えない)が、周方向に沿って間欠的に形成されている。逆に言えば、極歯33aに一体に続いて設けられてコイル30の外周面部に対向する部分が、周方向に沿って間欠的に形成されている。第2ヨーク33のざぐり部は、第1ヨーク32の極歯32aの位置に対応して周方向に間欠的に設けられている。
【0028】
次に、本実施形態に係る水栓用発電機及び自動水栓装置の作用について説明する。
【0029】
使用者が、図2、3に表される吐水口6の下に手をかざすと、これをセンサ7が感知して、制御部57が電磁弁8を開にする。これにより、水栓用発電機11の筒体13の内部に流水が供給され、筒体13の内部を流れた水は吐水口6から吐水される。使用者が、吐水口6の下から手を遠ざけると、電磁弁8が閉となり、自動で水が止まる。
【0030】
筒体13内に流れ込んだ流水は、予旋回静翼14の円錐体表面を流れて径外方向に拡散され、図1及び図4に図示される具体例においては、軸中心に対して右方向に旋回するような旋回流となって、静翼羽根部18間の静翼流路71を流れる。
【0031】
静翼流路71を流れた旋回流は、動翼流路72に流入し、動翼羽根部19の上側の傾斜面に衝突する。本具体例では、動翼流路72に流入する旋回流は、軸中心に対して右方向に旋回した流れなので、動翼羽根部19に対して右方向の力が作用し、動翼15は右回りに回転する。そして、マグネットMの内周面より内側の動翼流路72を流れた流水は、軸受17の内側を通過して、筒体13内部を抜け、吐水口6へと至る。
【0032】
動翼15が回転すると、これに固定されたマグネットMも回転する。マグネットMの端面は、図7に表すようにN極とS極とが周方向(回転方向)に沿って交互に着磁されているため、マグネットMが回転すると、マグネットMの端面に対向している極歯32a、33a及びこれらに一体な第1、第2ヨーク32、33の極性が変化していく。これにより、コイル30に対する鎖交磁束の向きが変化し、コイル30に起電力が生じ、発電する。発電した電力は、充電器56へと充電された後、例えば、電磁弁8、センサ7、制御部57の駆動に使用される。
【0033】
図10は、比較例に係るステータの断面斜視図である。
【0034】
この比較例では、第1ヨーク132において、コイル30の内周面部に対向する部分は、周方向に途切れなく連続して形成されている。同様に、第2ヨーク133において、コイル30の外周面部に対向する部分は、周方向に途切れなく連続して形成されている。
【0035】
第1ヨーク132(極歯32aを含む)と、第2ヨーク133(極歯33aを含む)とが互いに逆極性に磁化されることで、コイル30を囲む鎖交磁路aが形成されるが、この際、比較例の構成では、各ヨーク132、133の周面部において他方のヨークの極歯が対向している部分が自らの極性とは逆の極性(他方のヨークの極性)に磁化されやすく、各ヨークの周面に沿った磁路bが形成され、発電に寄与する鎖交磁路aが弱まり発電量が低下する問題がある。
【0036】
これに対して、本実施形態では、図6を参照して前述したように、各ヨーク32、33の周面部において他方のヨークの極歯の位置に対応して、周方向に間欠的にざぐり部39を設けることで、各ヨーク32、33を周方向に磁気的に絶縁した。このため、各ヨーク32、33の周面に沿って形成される磁路を抑制して、コイル30の発電に寄与する鎖交磁路aが弱まることを防げる。この結果、発電量を向上できる。
【0037】
ざぐり部39の深さ(極歯32a、33aが設けられた端部からの軸方向長さ)を、0(mm)、2(mm)、5(mm)、10(mm)と変えて、発電量及びコイル効率をシミュレーションした。ここで、コイル効率は、入力(マグネットMのトルク×回転数)に対する、出力(発電量)の割合(%)を表す。なお、ステータ9全体の軸方向寸法は、10.5(mm)とした。ざぐり部39の深さが0(mm)とは、ざぐり部39を設けない図10に表す比較例である。
【0038】
図8は、ざぐり部39の深さと発電量との関係を表すグラフ図である。横軸は、ざぐり部39の深さ(mm)を、縦軸は、発電量(mW)を表す。
図9は、ざぐり部39の深さとコイル効率との関係を表すグラフ図である。横軸は、ざぐり部39の深さ(mm)を、縦軸は、コイル効率(%)を表す。
【0039】
これらの結果より、ざぐり部39の深さを大きくすることで発電量を大きくすることができる。さらに、ざぐり部39の深さを大きくすることで、コイル効率も向上させることができ、特に、節水効果をアピールした自動水栓のように発電に用いる水力エネルギーが比較的小さいものに、実施形態は非常に有効である。
【0040】
発電機を備えた自動水栓の場合には、電磁弁や発電機を内蔵させる必要があるため、発電機をコンパクトにする必要がある。そして、発電機をコンパクトにするためには、発電機の効率を向上させる必要があり、本具体例のようにざぐり部を設けることの効果は大きい。また、発熱による効率低下を防止するためにもざぐり部を設けることは効果がある。
【0041】
ざぐり部39を、軸方向のすべてにわたって形成してもよいが、この場合、各ヨーク32、33は、極歯の数に対応して分割されてしまうので、部品点数や組み立て性を考慮すると、本具体例のように、ざぐり部39を軸方向の途中までにとどめて、各ヨーク32、33のそれぞれがばらけてしまわないようにした方が望ましい。
【0042】
また、本具体例では、ステータ9を、マグネットMの軸方向に対向配置させた構造(アキシャル配置)のため、ステータ9をマグネットMの径外方向に対向配置させた場合(ラジアル配置)に比べて、径方向寸法を小さくすることができる。さらに、本具体例の発電機は、流水方向に対して回転軸24を略平行にして動翼15が設けられ、マグネットMは、その動翼15と回転中心を一致させて動翼15の径外方に設けられ、動翼15は、マグネットMの内側を流れる水流の力により回転される、いわゆる軸流式の発電機である。したがって、回転軸を流水方向に対して略垂直にして配置された羽根車を用い、その羽根車の回転軸に連結されて羽根車と共に回転するマグネット及びこのマグネットの外周面に対向するコイルを、流路の外側に出っ張るようにして設ける水車式構造に比べて径方向寸法をさくすることができる。このように、本具体例の構造は、発電機の径方向寸法の小型化に有利なため、例えば図2に表される円筒状の吐水部3bの中に内蔵させても吐水部3bの細くスッキリとしたデザイン性を損ねない。また、動翼15の径外方にステータ9を配置しない分、動翼15の径方向寸法の拡大が図れ、発電効率を向上させることができる。
【0043】
前述したように、「アキシャル配置」では、「ラジアル配置」よりもマグネット径を大きくとることができ、その分、原則として磁束が多くとれる。しかし、磁束の短絡の影響も大きく受ける。したがって、前述したざぐり部を設けることで磁束の短絡を防止できて、発電量を多くとれる。また、ざぐり部により放熱できるため、コイルの発熱によるエネルギー損失を防止できる。
【0044】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0045】
本発明の水栓金具は、生活空間において好適に使用される。使用目的としては、例えば、キッチン用水栓金具、リビングダイニング用水栓金具、シャワー用水栓金具、トイレ用水栓金具、洗面所用水栓金具などが挙げられる。また、人体検知センサを用いた自動水栓金具に限らず、例えば、手動スイッチのオン/オフによるワンタッチ水栓金具、流量をカウントして止水する定量吐水水栓金具、設定時間を経過すると止水するタイマー水栓金具などにも適用できる。また、発電された電力を、例えば、ライトアップ、アルカリイオン水や銀イオン含有水などの電解機能水の生成、流量表示(計量)、温度表示、音声ガイドなどに用いてもよい。
【0046】
本実施形態に係る水栓金具において、吐出流量は、例えば、毎分100リットル以下、望ましくは毎分30リットル以下に設定されている。特に、洗面所用水栓においては、毎分5リットル以下に設定されていることが望ましい。また、トイレ用水栓のような吐出流量が比較的多い場合には、給水管から、発電機11に流れる水流を分岐させて、発電機11を流れる流量を毎分30リットル以下に調整することが望ましい。これは、給水管からのすべての水流を発電機11に流すと、動翼15の回転数が大きくなり、騒音や軸摩耗が増大する可能性が懸念され、また、回転数が増大しても適正回転数以下でなければ、渦電流やコイル熱によるエネルギー損失が生じるため、発電量は増大しないからである。また、水栓金具が取り付けられる水道管の給水圧としては、例えば、日本においては0.05(MPa)程度の低水圧である場合もあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る水栓用発電機の内部を表す模式断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発電機付自動水栓装置の取付例を表す模式図である。
【図3】同自動水栓装置の内部構成を表す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る水栓用発電機における予旋回静翼、動翼、軸受の斜視図である。
【図5】同水栓用発電機におけるステータの平面図である。
【図6】同水栓用発電機におけるステータの断面斜視図である。
【図7】同水栓用発電機におけるマグネットの斜視図である。
【図8】ざぐり部の深さと発電量との関係を表すグラフ図である。
【図9】ざぐり部の深さとコイル効率との関係を表すグラフ図である。
【図10】比較例に係るステータの断面斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
3…自動水栓装置、7…センサ、8…電磁弁、9…ステータ、11…水栓用発電機、14…予旋回静翼、15…動翼、17…軸受、18…静翼羽根部、19…動翼羽根部、24…中心軸、30…コイル、32…第1ヨーク、32a…極歯、33…第2ヨーク、33a…極歯、34…第3ヨーク、39…ざぐり部、55…定流量弁、56…充電器、57…制御部、71…静翼流路、72…動翼流路、M…マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水流路に対して略平行な中心軸のまわりに回転可能に前記給水流路に設けられた動翼と、
周方向に沿って交互にN極とS極とが着磁された円筒状を呈し、前記動翼と一体に回転可能なマグネットと、
前記マグネットの軸方向の端面に対向して設けられたコイルと、
前記マグネットの前記端面と前記コイルとの間で周方向に沿って互いに離間して配置された複数の極歯を有し、前記コイルを囲んで設けられた磁性体からなるヨークと、
を備え、
前記ヨークにおいて、前記コイルの周面部に対向する部分に、前記極歯が設けられた一端側から切り欠いたざぐり部を設けたことを特徴とする水栓用発電機。
【請求項2】
前記マグネットは、その回転中心を前記動翼の回転中心と一致させて前記動翼の径外方に設けられ、
前記動翼は、前記マグネットの内周面より内側を流れる水流の力により回転することを特徴とする請求項1記載の水栓用発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−54426(P2008−54426A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228319(P2006−228319)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】