説明

水田作業機

【課題】作業装置を後輪に近い位置に配置することができ、水田作業機の全長を短く抑えることができる水田作業機を実現する。
【解決手段】走行機体3の後部に連結した作業装置6をローリング駆動装置16により駆動ローリング可能に構成してある水田作業機において、作業装置6に接続されるローリング駆動装置16の操作部50を、昇降リンク機構5の左右中央から右又は左に偏位させて、昇降リンク機構5の後部上部に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置をローリング駆動装置により駆動ローリング可能に構成してある水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、走行機体の後部にリンク機構(特許文献1の図1のL)を介して苗植付装置(特許文献1の図1のA)を連結し、この苗植付装置に連係されたローリングモータ(特許文献1の図3の52)を駆動させることにより、苗植付装置をローリング駆動できるように構成された田植機が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−16929号公報(図1及び図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の田植機では、苗植付装置をローリング作動させるローリングモータが、正面視(特許文献1の図3参照)で苗植付装置をローリング作動させる前後向きのローリング支点の上方に位置し、側面視(特許文献1の図1参照)でリンク機構のトップリンク(特許文献1の図1の15)の後部上部に位置するように配置されている。そのため、苗植付装置を下降させた状態でのリンク機構のトップリンクとローリングモータとの干渉を防止するため苗植付装置をリンク機構から後方へ離して配置し、この苗植付装置を後方へ離して配置することにより形成されたリンク機構の後部上部の空間に、ローリングモータを配置する構成が採用されていた。
【0005】
その結果、田植機の後輪(特許文献1の図1の2)の軸心から後方への苗植付装置のオーバーハング量が大きくなって田植機の全長が長くなり、例えばトラック等に田植機を積載する場合に、広い積載スペースを確保する必要があり、運搬作業における積載効率を向上させる観点から改善の余地があった。また、田植機の全長が長くなると、例えば畦際等で田植機を旋回させる場合に、苗植付装置が旋回の妨げになり易くなって、旋回作業における作業性を向上させる観点から改善の余地があった。
本発明は、作業装置を後輪に近い前方に配置することができ、水田作業機の全長を短く抑えることができる水田作業機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、走行機体の後部に昇降リンク機構を介して作業装置を昇降自在に連結し、前記作業装置を前記昇降リンク機構にローリング自在に支持すると共に、前記作業装置をローリング駆動装置により駆動ローリング可能に構成してある水田作業機において、次のように構成することにある。
前記作業装置に接続される前記ローリング駆動装置の操作部を、前記昇降リンク機構の左右中央から右又は左に偏位させて、前記昇降リンク機構の後部上部に備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、昇降リンク機構の左右中央から右又は左に偏位させることによって、昇降リンク機構を避けながら、ローリング駆動装置の操作部を上方へ移動させることなく前方に移動させることができ、ローリング駆動装置の後方に位置する作業装置をリンク機構に近い前方に配置することができる。その結果、作業装置を下降させた際の昇降リンク機構とローリング駆動装置の干渉を防止しながら、作業装置を後輪に近い前方に配置することができ、水田作業機の全長を短く抑えることができる。
【0008】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、例えばトラック等に水田作業機を積載する場合に、水田作業機を前後にコンパクトにトラック等の荷台に積載することができ、運搬作業における積載効率を向上させることができる。また、例えば畦際等で水田作業機を旋回させる場合に、作業装置が旋回の妨げになり難くなって、水田作業機を小回りで旋回させることができ、旋回作業における作業性を向上させることができる。
【0009】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の水田作業機において、次のように構成することにある。
前記作業装置を、前記作業装置の左右中央部に位置する第1作業装置と、前記作業装置の右及び左の側部に位置する第2及び第3作業装置とに3分割し、前記第2及び第3作業装置を前記第1作業装置側へ移動可能に構成すると共に、前記第1作業装置側に、前記ローリング駆動装置を接続する。
【0010】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、第2及び第3作業装置を第1作業装置側へ移動させると、作業装置の左右両側部が作業装置の左右中央部に移動して、作業装置の全幅を短く変更することができる。その結果、水田作業機の全幅を短く変更することができる。
【0011】
本発明の第2特徴によると、第1作業装置側にローリング駆動装置を接続することにより、移動させる第2及び第3作業装置にローリング駆動装置を接続する場合に比べ、移動しない第1作業装置にローリング駆動装置を安定構造簡単にして接続することができる。その結果、ローリング駆動装置を安定して駆動させることができ、作業装置を精度よくローリング駆動することができる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、例えばトラック等に水田作業機を積載する場合に、水田作業機を左右にコンパクトにトラック等の荷台に積載することができ、運搬作業における積載効率を更に向上させることができる。
【0013】
本発明の第2特徴によると、作業装置を田面に精度よく追従させることができ、水田作業機のローリング性能を向上させることができる。第1作業装置とローリング駆動装置との接続構造が簡素なものとなり、構造の簡素化の面で有利なものとなる。
【0014】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1特徴の水田作業機において、次のように構成することにある。
前記作業装置を、前記作業装置の左右中央部に位置する第1作業装置と、前記作業装置の右又は左の側部に位置する第2作業装置とに2分割し、前記第2作業装置を前記第1作業装置側へ移動可能に構成すると共に、前記昇降リンク機構の左右中央から前記第2作業装置とは反対側に、前記ローリング駆動装置を偏位させる。
【0015】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第3特徴によると、第2作業装置を第1作業装置側へ移動させると、作業装置の右又は左の側部が作業装置の左右中央部に移動して、作業装置の全幅を短く変更することができる。その結果、水田作業機の全幅を短く変更することができる。
【0016】
本発明の第3特徴によると、例えば第2作業装置(例えば図4の8B)を第1作業装置(例えば図4の8A)側に移動させる補助アーム(例えば図4の35)等を付属させる第1作業装置における昇降リンク機構の左右中央から第2作業装置側に比べ、補助アーム等が付属されない昇降リンク機構の左右中央から第2作業装置とは反対側のスペースを有効に活用してローリング駆動装置を配置することができる。その結果、ローリング駆動装置を第1作業装置にコンパクトに配置することができる。
移動させる第2作業装置にローリング駆動装置を接続する場合に比べ、移動しない第1作業装置にローリング駆動装置を構造簡単に接続することができる。
【0017】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、例えばトラック等に水田作業機を積載する場合に、水田作業機を左右にコンパクトにトラック等の荷台に積載することができ、運搬作業における積載効率を更に向上させることができる。
【0018】
本発明の第3特徴によると、第2作業装置を第1作業装置側へ移動可能に構成しながら、ローリング駆動装置をコンパクトに配置することができる。第1作業装置とローリング駆動装置との接続構造が簡素なものとなり、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0019】
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴は、本発明の第2特徴又は第3特徴の水田作業機において、次のように構成することにある。
前記作業装置の前方に、前記走行機体の後輪によって後方へ飛散された泥を受け止める泥除けカバーを配設すると共に、前記泥除けカバーを、前記分割した作業装置のそれぞれに分割して配設する。
【0020】
(作用)
本発明の第4特徴によると、本発明の第2特徴又は第3特徴と同様に前項[II][III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第4特徴によると、後輪によって後方に向けて飛散された泥が泥除けカバーで受け止められて、作業装置への付着が抑制される。その結果、作業装置に多量の泥が付着して作業装置全体の重量が重くなることを防止でき、作業装置の摺動部等に泥が付着して磨耗が早められたり、作動抵抗が大きくなって駆動負荷が増大することを防止できる。
【0021】
本発明の第4特徴によると、第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)を第1作業装置側へ移動させる際に、第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)に分割して配設した泥除けカバーを第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)と共に移動させ、又は第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)から取り外すことで、泥除けカバーが第1作業装置の外方側に突出しなくなって、第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)を第1作業装置側へ移動させた状態での作業装置の全幅を短く変更することができる。
【0022】
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、本発明の第2特徴又は第3特徴と同様に前項[II][III]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第4特徴によると、作業装置を所定の速度で安定して昇降することができ、作業装置を安定して作動させることができる。
【0023】
本発明の第4特徴によると、例えばトラック等に第2及び第3作業装置(又は第2作業装置)を第1作業装置側へ移動させた状態での水田作業機を積載する場合に、水田作業機を左右にコンパクトにトラック等の荷台に積載することができ、運搬作業における積載効率を更に向上させることができる。
【0024】
[V]
(構成)
本発明の第5特徴は、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つに記載の水田作業機において、次のように構成することにある。
前記操作部の操作部材をプーリで構成する。
【0025】
(作用)
本発明の第5特徴によると、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つと同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第5特徴によると、例えば操作部の操作部材を操作アーム等で構成する場合に比べて、プーリの周方向に長いストロークを確保しながら、回転軸心に対して上下にコンパクトに操作部材としてのプーリを配置することができ、ローリング駆動装置の操作部を上下にコンパクトに構成することができて、ローリング駆動装置の操作部を狭い空間に配置することができる。その結果、作業装置を更に後輪に近い前方に配置することができ、水田作業機の全長を更に短く抑えることができる。
【0026】
(発明の効果)
本発明の第5特徴によると、本発明の第1〜第4特徴のいずれか一つと同様に前項[I]〜[IV]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第5特徴によると、例えばトラック等に水田作業機を積載する場合に、水田作業機を更に前後にコンパクトにトラック等の荷台に積載することができ、運搬作業における積載効率を更に向上させることができる。また、例えば畦際等で水田作業機を旋回させる場合に、作業装置が旋回の妨げになり難くなって、水田作業機を更に小回りで旋回させることができ、旋回作業における作業性を更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1及び図2に、本発明に係る水田作業機の一例である田植機の全体側面図及び全体背面図を示し、図3及び図6に、苗植付け装置6の全体正面図及び全体側面図を示す。図1〜図3に示すように、この田植機は8条植え仕様に構成されており、前輪1及び後輪2を備えて四輪駆動式に構成された走行機体3の後部に、油圧シリンダ4で駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク機構5が装備され、この昇降リンク機構5の後端下部に作業装置としての苗植付け装置6が前後向きの軸心P1周りにローリング自在に連結支持されて、走行機体3の後部に施肥装置7が搭載されている。
【0028】
図1〜図3及び図6に示すように、苗植付け装置6は、8条分のマット状苗を載置して一定ストロークで往復横移動される苗載せ台8と、この苗載せ台8の下端から1株分ずつ苗を切り出して田面Tに植え付ける8組の回転式の植付け機構9と、田面Tの植付け箇所を均平化するように並列配備された5個の整地フロート10と、次行程の走行基準線を田面Tに形成する左右一対のマーカ11と、を備えて構成されている。
【0029】
昇降リンク機構5は、苗植付け装置6をローリング自在に支持する枠状に形成された後部リンク5Aと、後部リンク5Aの上部に枢支連結された断面形状が下向きのコ字状の上部リンク5Bと、後部リンク5Aの下部に枢支連結された角パイプ状の下部リンク5Cとを備えて、平行四連リンク構造に構成されている。
【0030】
苗植付け装置6における前側下部にはアルミ材を押し出して成型した左右に長い角筒状の植付けフレーム12が装備され、この植付けフレーム12が昇降リンク機構5の後端下部にローリング自在に連結支持されている。植付けフレーム12の左右中央付近に、走行機体3からの動力を伝達するフィードケース13が連結され、植付けフレーム12の後面の左右4箇所に植付けケース14が後向き片持ち状に連結されて、各植付けケース14の後端部に植付け機構9が装着されている。
【0031】
植付けケース14の上方には、苗載せ台8の下端部を左右スライド自在に受け止め支持する摺動レール15が横架されている。摺動レール15は、苗載せ台8の傾斜方向に変位可能に支持されており、摺動レール15を位置調節して、苗載せ台8を植付け機構9に対して苗載せ台8の傾斜方向へ上下に移動させることで、植付け機構9による苗取出し量を変更調節することができる。
【0032】
植付けケース14の前部下方にはフロート支点軸88が横水平に配備され、このフロート支点軸88から後方に向けて突設された5組のフロート支持アーム89の後端に、整地フロート10が上下揺動可能に枢支連結されている。
【0033】
走行機体3から取り出された動力が伸縮可能な伝動軸17を介してフィードケース13に伝達され、このフィードケース13に伝達された動力で苗載せ台8が横送り駆動されて、苗載せ台8のストロークエンド毎に苗載せ台8に備えた苗送りベルト18が一定ピッチずつ送り駆動される。フィードケース13に伝達された動力の一部は横向きの伝動軸19から取り出されて、並列された植付けケース14の基端部に伝達されるようになっている。
【0034】
植付けフレーム12の左右から支柱20が立設され、左右の支柱20,20に亘って架設固定された横フレーム21の左右複数箇所にガイドローラ22が設けられており、ガイドローラ22が苗載せ台8の上部背面に横架連結された案内フレーム23に係合されて、前倒れ姿勢に維持された苗載せ台8の上部が左右及び上下方向に移動可能に受け止め支持されている。
【0035】
昇降リンク機構5の後部リンク5Aの上方には、ローリング駆動装置16が設けられており、このローリング駆動装置16の操作部50から左右横外方にケーブル65が導出され、このケーブル65と横フレーム21の左右箇所とに亘って緩衝バネ64が架設されて、電動モータ54によって左右のケーブル65を背反的に出し入れ操作することで、苗植付け装置6の全体が前後向き軸心P1周りにローリング駆動されるようになっている。
【0036】
ローリング駆動装置16は、苗植付け装置6の左右傾斜を検知する傾斜センサ(図示せず)に連係されており、走行機体3が耕盤の起伏や凹凸によって左右に傾斜して、苗植付け装置6が走行機体3の傾斜に追従して傾斜すると、傾斜センサの検出結果に基づいて電動モータ54が駆動されて、苗植付け装置6が左右方向に水平な水平姿勢に維持されるように構成されている。
【0037】
ローリング駆動装置16の操作部50の上部に固定されたブラケット53の上部と苗載せ台8背部の案内フレーム23の左右両側部とに亘って、バランスバネ24が張設されており、苗載せ台8が横移動すると、その移動方向と反対側のバランスバネ24が伸長されて、このバランスバネ24のバネ張力によるローリング力が苗植付け装置6に付加され、苗載せ台8の横移動による重量バランスの変化で苗植付け装置6が傾斜することを自動的に防止できる。
【0038】
施肥装置7は、走行機体3の後部に配備された運転座席25の後部に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパ26、この肥料ホッパ26内の肥料を繰り出す回転式の送出し機構27、繰り出された肥料を供給ホース28を介して苗植付け装置6の各整地フロート10に備えた作溝器29に風力搬送する電動ブロワ30、電動ブロワ30からの搬送風を2条単位で並列配備された4個の繰出し機構27に分配供給する送風ダクト31等を備えて構成されている。
【0039】
マーカ11は、起伏揺動可能に植付けフレーム12の左右端部に装着されており、横外方に張り出した作用姿勢と起立した格納姿勢とに姿勢変更可能に支持されて、電動モータ32を正逆転することによって姿勢変更できるように構成されている。
【0040】
〔苗載せ台の折り畳み構造〕
図4及び図5に、中間姿勢及び非作業姿勢での苗植付け装置6の正面図をそれぞれ示し、図7に、非作業姿勢での苗植付け装置6の側面図を示す。図3〜図7に示すように、苗載せ台8は、左側の端部の2条の苗載せ面部分が分離苗載せ台8B(第2作業装置に相当)に設定され、残りの6条の苗載せ面部分が主苗載せ台8A(第1作業装置に相当)に設定されており、主苗載せ台8Aと分離苗載せ台8Bとが左右に並んだ作業姿勢と、分離苗載せ台8Bが主苗載せ台8A側へ移動した非作業姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。分離苗載せ台8Bを折り畳んで非作業姿勢に姿勢変更し、後述する左右の分離摺動レール15B,15Bを固定摺動レール15Aから取り外すことで、田植機の全幅を短縮でき、例えばトラック等の荷台に田植機をコンパクトに積載することができ、田植機をコンパクトに保管できる。
【0041】
主苗載せ台8Aから分離苗載せ台8B側に、角パイプ状の横フレーム21が延出されており、この横フレーム21に補助アーム35を介して分離苗載せ台8Bが連結されている。補助アーム35は、図3に示す作業姿勢から図4に示す中間姿勢に移動させる際には、左右方向への分離案内フレーム36に沿ったスライド移動が許容され、図4に示す中間姿勢では、補助アーム35に装備したロック装置(図示せず)が解除されて、上下向きの支軸37及び支軸38の軸心周りの揺動操作が許容されるように構成されている。
【0042】
分離苗載せ台8Bの上部及び下部には、分離苗載せ台8Bと主苗載せ台8Aとに亘って設けられた連結具39,39が装備されており、この上下の連結具39,39を解除することで、主苗載せ台8Aと分離苗載せ台8Bとの連結を解除できる。
【0043】
植付けクラッチ(図示せず)を入り操作して苗載せ台8を分離苗載せ台8B側の端部に移動させ、この分離苗載せ台8B側の端部に苗載せ台8を移動した状態で、植付けクラッチを切って苗載せ台8を停止させる。この状態で、連結具39,39を解除して分離苗載せ台8Bを主苗載せ台8Aから分離し、分離苗載せ台8Bを左方へスライドさせて中間姿勢に移動させ、分離苗載せ台8Bの後面側下部に装備したハンドル40を斜め後方上方へ引き上げることで、支軸37及び支軸38の軸心周りに補助アーム35が揺動して、分離苗載せ台8Bが後方右方へ移動し、分離苗載せ台8Bの前面側が主苗載せ台8Aの後面側の上部及び下部に設けたストッパ41と当接して位置決めされ、分離苗載せ台8Bの苗載せ面と主苗載せ台8Aの苗載せ面が平行になった非作業姿勢に姿勢変更することができる。
【0044】
主苗載せ台8Aの後面側の上部及び下部には、バネ部材42及びロッド43が装備されており、分離苗載せ台8Bの上部のブラケット48をバネ部材42に係合させ、分離苗載せ台8Bの下部をロッド43で押圧することで、分離苗載せ台8Bを非作業姿勢に姿勢変更した状態を保持することができる。なお、上述した操作方法と逆の手順で分離苗載せ台8Bを移動させ、連結具39,39をロックすることにより、主苗載せ台8Aと分離苗載せ台8Bとが左右に並んだ作業姿勢に復帰することができる。
【0045】
〔摺動レールの詳細構造〕
図8に基づいて摺動レール15の詳細構造について説明する。図8(イ)及び(ロ)は、摺動レール15の縦断側面図及び縦断背面図をそれぞれ示し、図8(ハ)は、摺動レール15の右側の連結部の斜視図を示す。図8に示すように、摺動レール15は、固定摺動レール15Aと、この固定摺動レール15Aの両端位置に着脱可能に装着された左右の分離摺動レール15B,15Bと、備えて構成されている。
【0046】
固定摺動レール15Aの両端の下面側には、固定摺動レール15Aの内部に挿入されたプレート80に先端部が連結されたボルト81が下方に延出されており、このボルト81にカラー82が外嵌されて、下方側から蝶ナット83で締め付け固定できるように構成されている。
【0047】
分離摺動レール15Bの内方側端部の下面側には、プレート84が固定されており、このプレート84の先端部に、摺動レール15とカラー82の間に挟み込んで下方側からカラー82で締め付け可能な切り欠き部84aが形成されている。
【0048】
固定摺動レール15Aの下面側とカラー82との間にプレート84を外方から挟み込んで蝶ナット83を締め付けることで、蝶ナット83の締め付け力がカラー82を介してプレート84を上方へ押し付ける力として作用して、分離摺動レール15Bと固定摺動レール15Aとを固定することができる。一方、蝶ナット83を緩め分離摺動レール15Bを外方側に引っ張ることで、分離摺動レール15Bを固定摺動レール15Aから分離することができる。
【0049】
分離摺動レール15Bを固定摺動レール15Aに固定した状態で、分離摺動レール15Bに固定したプレート84が固定摺動レール15A側に入り込み、固定摺動レール15Aに連結したプレート80が分離摺動レール15B側に入り込むように、プレート80が固定摺動レール15Aの外方側の端部から突出するように構成されている。
【0050】
このような固定摺動レール15Aと分離摺動レール15Bとの連結構造を採用することにより、蝶ナット83の締め付け力を、プレート80及びプレート84を介して固定摺動レール15A及び分離摺動レール15Bに作用させることができ、互いに入り込んだプレート80及びプレート84によって安定して分離摺動レール15Bを固定摺動レール15Aに固定できる。その結果、分離摺動レール15Bと固定摺動レール15Aの連結強度を向上させることができ、分離摺動レール15Bを固定摺動レール15Aに固定した状態(摺動レール15に載置した苗載せ台8を移動させる状態)での分離摺動レール15Bのガタつき等を防止できて、摺動レール15の耐久性を向上できる。
【0051】
なお、固定摺動レール15Aから分離した分離摺動レール15Bは、支柱20に装備された係止具85に上方から差し込み装着することで、田植機に付属させて運搬等を行うことができる。
【0052】
〔ローリング駆動装置の詳細構造〕
図9〜図13に基づいて、ローリング駆動装置16の詳細構造について説明する。なお、図12及び図13は、図11でのX−Xの位置及びY−Yの位置での断面図をそれぞれ示す。
【0053】
図9及び図10に示すように、昇降リンク機構5の後部リンク5Aの上部にブラケット51が固定されている。ブラケット51は、断面形状が下向きのコ字状に形成されており、後部リンク5Aの上部から前方に向って延出されている。ブラケット51の左右方向の幅は、昇降リンク機構5の上部リンク5Bの幅より広く設定されており、昇降リンク機構5を操作して、苗植付け装置6を下降させた状態で、ブラケット51の下側に昇降リンク機構5の上部リンク5Bが入り込んで、ブラケット51と上部リンク5Bが干渉することのないように構成されている。
【0054】
ブラケット51には、複数の取付穴が加工されており、ブラケット51の上面側にローリング駆動装置16の操作部50を載置して、下方側からボルト52を締め付け固定することで、苗載せ台8の前方の狭い空間でローリング駆動装置50をブラケット51に組み付けることができる。
【0055】
図9〜図13に示すように、ローリング駆動装置16は、ケース60と、電動モータ54と、出力ギア55と、駆動ギア56と、プーリ59(操作部材に相当)と、カバー70とを備えた操作部50と、この操作部50に接続されたケーブル65及び緩衝バネ64とを備えて構成されており、操作部50をブラケット51に一体で固定し、ケーブル65及び緩衝バネ64を接続することで、苗植付け装置6にローリング駆動装置16を装着できるように構成されている。
【0056】
このように、操作部50をブラケット51に一体で固定するように構成することにより、例えばローリング駆動装置16を組み立てる場合には、操作部50を一体で組み付けることで、昇降リンク機構5の後部上部の狭い空間での作業が減少して、組み立て作業の作業性を向上させることができる。また、ローリング駆動装置16をメンテナンスする場合には、操作部50を一体で取り外すことで、昇降リンク機構5の後部上部の狭い空間での作業が減少して、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0057】
ケース60は、アルミ製で、電動モータ54を固定するモータ取付部61、駆動ギア56及びプーリ59を支持する軸受部62、ブラケット51に固定するフランジ部63等が一体成形されている。
【0058】
ケース60のモータ取付部61の前面側には、後述するカバー70を取り付ける係入穴61aが形成されており、ケース60の軸受部62における上部及び下部には、後述するカバー70を取り付ける係入穴62a,62bがそれぞれ形成されている。
【0059】
ケース60のモータ取付部61の上部には、前後向きのネジ部61bが形成されており、このネジ部61bに上下に長い帯板状のく字状に屈曲した形状に成形されたステー53が締め付け固定されている。ステー53の上端部には、円形の開口部53aが形成されており、この開口部53aと案内フレーム23の左右両側部とに亘って、左右のバランスバネ24が張設されている。
【0060】
図12及び図13に示すように、電動モータ54は、その出力軸54aに出力ギア55を固定した状態で、ケース60のモータ取付部61に固定されており、電動モータ54に内蔵された減速装置(図示せず)によって、電動モータ54の回転が減速されて出力軸54aから出力されるように構成されている。ケース60のモータ取付部61には、外方側に突出した形状の突出部61cが一体成形されており、この突出部61cの内側に出力ギア55が配設されている。突出部61cには、右向きの開口が形成されており、この開口から出力ギア55と後述する駆動ギア56とを咬合できるように構成されている(図11参照)。
【0061】
ケース60の軸受部62には、駆動ギア56が予め溶接によって固定された駆動軸57が、ベアリング58,58を介して回動自在に支持されており、この駆動軸57に固定された駆動ギア56には、駆動軸57への溶接前において外周部に複数のプーリ取付穴56a,56aが加工されている。
【0062】
プーリ59は、樹脂製で、右及び左の緩衝バネ64,64に連係するケーブル65,65を巻き掛ける2つのV溝が全周に形成されている。プーリ59には、駆動ギア56に当接させる複数の当接部59aが等ピッチで一体成形されており、駆動ギア56のプーリ取付穴56aに係入する円柱状の複数の連結部59bが一体成形されている。
【0063】
プーリ59の連結部59bを駆動ギア56のプーリ取付穴56aに内嵌し、プーリ59の当接部59aを駆動ギア56の外面側にボス部59cと共に当接させて、前方からナット66を締め付け固定することで、電動モータ54の出力軸54aに固定された出力ギア55に咬合された駆動ギア56とプーリ59とが軸心P2周りに一体回動するように構成されている。
【0064】
上記のように、駆動軸57に駆動ギア56を固定し、駆動ギア56にプーリ59を嵌め込み装着することにより駆動ギア56とプーリ59とを一体回動可能に構成することにより、例えばキー等(図示せず)を用いて駆動軸57、駆動ギア56及びプーリ59を一体回動可能に構成する場合に比べ、駆動軸57、駆動ギア56及びプーリ59へのキー溝等(図示せず)の加工が必要なくなって製造コストを削減できると共に、簡易迅速に駆動軸57への駆動ギア56及びプーリ59の取り付けを行うことができ、組立作業やメンテナンス作業の作業性を向上できる。
【0065】
駆動軸57の後端部には、回転ギア67が外嵌されており、この回転ギア67が回転センサ68に連結されたセンサギア69と咬合されて、回転センサ68によって駆動軸57の回転数を検出できるように構成されている。回転センサ68は、田植機の制御装置(図示せず)に接続されており、この回転センサ68からの検出結果をフィードバックすることにより、電動モータ54を精度よく制御できる。
【0066】
以上のように、ケース60に、電動モータ54、駆動軸57、駆動ギア56、プーリ59等を装着する構成を採用することにより、苗植付け装置6の振動等による駆動ギア56等のガタつき等が生じ難くなって、電動モータ54からの動力をプーリ59に精度よく伝達することができ、ローリング制御を精度よく行うことができる。
【0067】
カバー70は樹脂製で、プーリ59、駆動ギア56及びモータ取付部61の突出部61cを前方からコンパクトに覆うことができるように、プーリ59、駆動ギア56及び突出部61cの形状に合わせた丸く湾曲させた形状に成形されている。カバー70上部の左右両側部には、切り欠き部71か形成されており、この切り欠き部71からプーリ59に巻き掛けたケーブル65を左右に延出して、緩衝バネ64と連係できるように構成されている。
【0068】
カバー70の左側の端部には、後方に突出した係合片72が一体成形されており、カバー70の上端部及び下端部には、後方に突出した係合片73,74がそれぞれ一体成形されている。
【0069】
カバー70の係合片72をケース60の係入穴61aに係合させて、カバー70上部の係合片73とケース60の係入穴62aとを位置決めし、カバー70下部の係合片74とケース60の係入穴62bとを位置決めして、カバー60を前方から後方へ少し押すと、係合片73,74がそれぞれ係入穴62a,62bに係合して、専用工具等を用いずにワンタッチで簡易迅速にカバー70をケース60に装着することができる。
【0070】
カバー70の係合片73及び係合片74の少し前方に位置する部分を下方及び上方へ少し押してカバー70を弾性変形させると、カバー70の係合片73,74の係入穴62a,62bへの係合が解除し、カバー70の係合片62の前方に位置する部分を右方へ押してカバー70を弾性変形させると、係合片62の係入穴61aへの係合が解除する。この状態でカバー70を後方へ移動させることにより、専用工具等を用いずにワンタッチで簡易迅速にカバー70をケース60から取り外すことができる。
【0071】
なお、図示しないが、カバー70の係合片72をケース60の係入穴61aに係合する方向と、カバー70の係合片73,74をケース60の係入穴62a,62bに嵌め込む方向とを、異なる方向(例えば側面視で直交する方向)に設定してもよく、植付け作業等による振動がカバー70に作用した場合において、カバー70がずれ動くことを防止でき、確実にカバー70をケース60に保持させることができて、植付け作業等の振動によって外れ難いカバー70の取付構造を実現できる。
【0072】
図3に示すように、ローリング駆動装置16のプーリ59の前後向きの軸心P2が苗植付け装置6をローリング駆動する前後向きの軸心P1の右側に位置するように、昇降リンク機構5の右側(昇降リンク機構5の左右中央から分離苗載せ台8Bとは反対側)に、ローリング駆動装置16を偏位させてローリング駆動装置16の操作部50を昇降リンク機構5の後部上部に配設し、分離苗載せ台8Bを主苗載せ台8A側に移動させるための補助アーム35等の配設されていない主苗載せ台8Aの右側にローリング駆動装置16を配設している。そのため、バランスバネ24及び緩衝バネ64を無理なく接続でき、プーリ59の径を大きく設定し緩衝バネ64を引っ張る作動力を大きく確保しながら、ローリング駆動装置16の操作部50を昇降リンク機構5の後部上部に無理なく配置することができる。
【0073】
〔センターフロートの取付構造〕
図3及び図6に示すように、フロート支持アーム88の後端に上下揺動可能に枢支連結された整地フロート10は、左右中央のセンターフロート10Aと、左右それぞれ2つずつのサイドフロート10Bとによって構成されており、センターフロート10A及びサイドフロート10Bはそれぞれ後部の支点周りに上下揺動自在に支持されている。
【0074】
図14及び図15に示すように、植付けフレーム12から前方にブラケット90が延出されており、このブラケット90に平行四連リンク構造のリンク機構91を介して角度センサ92が支持されている。角度センサ92の側部に操作レバー93が延出されており、この操作レバー93にセンサロッド94が連結されている。
【0075】
リンク機構91は、連系ロッド95を介して植付け深さ調節レバー96と連結されており、植付け深さ調節レバー96を操作してすべての整地フロート10後部の支点の高さを調節して植付け深さを変更しても、センターフロート10Aの基準姿勢が変化しないように構成されている。
【0076】
植付けフレーム12から前方にブラケット97が延出されており、このブラケット97にパンタグラフ式の連係リンク98が枢支連結されている。センターフロート10A前部の上面側には、上向きに開口した縦断面形状がコ字状のブラケット99が固定されており、このブラケット99の左右の側板に貫通穴が加工されている。
【0077】
センサロッド94は、ブラケット99の左右の側板の間に連係リンク98を上方から嵌め込んだ状態で、連係リンク98とともにブラケット99に連結されており、センサロッド94の回動支点と連係リンク98の回動支点が一致するように構成されている。このように構成することにより、センサロッド94を、ブラケット99に連係リンク98を枢支連結するための枢支具として兼用することができるとともに、ブラケット99の構造を簡素化することができ、例えばセンサロッド94と連係リンク98を別個にブラケット99に枢支連結する場合に比べ、製造コストを削減できる。
【0078】
以上のように、センターフロート10A等を構成することにより、センターフロート10Aが後部の支点周りに上下に揺動すると、角度センサ92の操作レバー93が揺動操作されて、センターフロート10Aの上下変位を電気的に検出でき、苗植付け装置6を自動昇降制御するための接地センサとしてセンターフロート10Aを機能させることができる。
【0079】
〔泥除けカバーの詳細構造〕
図16に示すように、苗植付け装置6の前部には、後輪2から後方に跳ね上げられた泥を受け止める泥除けカバー45が前倒れ傾斜姿勢で装着されている。泥除けカバー45は樹脂材をブロー成形して板状に形成されており、泥除けカバー45の上端部の左右箇所が苗載せ台8に固定されている。
【0080】
泥除けカバー45は、主苗載せ台8Aを前方から覆う主泥除けカバー45Aと、分離苗載せ台8Bを前方から覆う分離泥除けカバー45Bとに、2分割して構成されており、主泥除けカバー45Aの上部が主苗載せ台8Aの上部フレーム76Aに固定ボルト78で固定され、分離泥除けカバー45Bの上部が分離苗載せ台8Bの上部フレーム76Bに固定されたボルトに蝶ナット79を介して着脱容易に取り付けられている。
【0081】
主苗載せ台8Aから分離苗載せ台8Bを分離して苗載せ台8を非作業姿勢に姿勢変更する際には、蝶ナット79を手で緩めて分離泥除けカバー45Bを下方へ移動させることで、分離苗載せ台8Bから分離泥除けカバー45Bを取り外すことができ、苗載せ台8から分離泥除けカバー45Bのみを部分的に取り外しできるように構成されている。
【0082】
このように、泥除けカバー45を主泥除けカバー45Aと分離泥除けカバー45Bとに分割する構成を採用することにより、例えば泥除けカバー45を一体で構成した場合のように(図示せず)、主苗載せ台8Aから分離苗載せ台8Bを分離して苗載せ台8を非作業姿勢に姿勢変更した際に、泥除けカバー45が分離苗載せ台8Bの外方側に突出することを防止でき、泥除けカバー45によって苗植付け装置6への泥の飛散を防止しながら、苗載せ台8を折り畳んだ際の苗載せ台8の全幅を短い寸法に変更することができる。
【0083】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、苗載せ台8の左右中央部に位置する主苗載せ台8Aと、苗載せ台8の左側部に位置する分離苗載せ台8Bとに2分割し、分離苗載せ台8Bを主苗載せ台8A側に移動可能に構成した例を示したが、図17(イ)に示すように、苗載せ台8の右側部に位置する分離苗載せ台8Cを苗載せ台8の左右中央部に移動可能に構成してもよく、苗載せ台8を、主苗載せ台8Aと、分離苗載せ台8Bと、分離苗載せ台8Cとに3分割し苗載せ台8の両側部を左右中央部に移動可能に構成してもよい。
【0084】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、補助アーム35等によって分離苗載せ台8Bを主苗載せ台8A側に移動可能に構成した例を示したが、分離苗載せ台8Bを主苗載せ台8A側に移動させる構造として異なる構造を採用してもよく、例えば図17(ロ)に示すように、主苗載せ台8と、分離苗載せ台8B,8Cとをヒンジ77で接続し、分離苗載せ台8B,8Cを主苗載せ台8A側へ折り畳むことにより、分離苗載せ台8B,8Cを主苗載せ台8A側に移動させるように構成してもよい。
【0085】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、苗載せ台8から分離泥除けカバー45Bのみを部分的に取り外しできるように構成した例を示したが、図17(イ)及び(ロ)に示すように、分離泥除けカバー45B,45Cを分離苗載せ台8B,8Cと共に移動させるように構成してもよく、このように構成することにより分離泥除けカバー45B,45Cを着脱する手間が省けて、姿勢変更作業の作業性を向上させることができる。また、図17(イ)及び(ロ)に示すように、主泥除けカバー45Aを左右に2分割する構成を採用してもよい。
【0086】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、ローリング駆動装置16の操作部50を、昇降リンク機構5の左右中央から右に偏位させた例を示したが、図17(イ)及び(ロ)に示すように、ローリング駆動装置16の操作部50を、昇降リンク機構5の左右中央から左に偏位させる構成を採用してもよい。
【0087】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、ローリング駆動装置16の操作部50を、ケース60と、電動モータ54と、出力ギア55と、駆動ギア56と、プーリ59と、カバー70とを備えて構成した例を示したが、ローリング駆動装置16の操作部50として異なる構成を採用してもよく、例えばプーリ59に代えて電動モータ54の出力軸54aに揺動可能に支持した操作アーム(図示せず)等を採用してもよい。
【0088】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、水田作業機の一例として、苗植付け装置6を備えた田植機を例に示したが、異なる水田作業機にも同様に適用でき、例えば薬剤散布機等においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】田植機の全体左側面図
【図2】苗植付け装置の全体平面図
【図3】苗植付け装置の全体正面図
【図4】中間姿勢での苗植付け装置の正面図
【図5】非作業姿勢での苗植付け装置の正面図
【図6】苗植付け装置の側面図
【図7】非作業姿勢での苗植付け装置の側面図
【図8】摺動レールの連結構造を示す詳細図
【図9】ローリング駆動装置の構造を示す側面図
【図10】ローリング駆動装置の構造を示す正面図
【図11】ローリング駆動装置の操作部の構造を示す正面図
【図12】ローリング駆動装置の操作部の構造を示す横断平面図
【図13】ローリング駆動装置の操作部の構造を示す縦断側面図
【図14】センターフロート付近の構造を示す側面図
【図15】センターフロート付近の構造を示す縦断正面図
【図16】泥除けカバーの構造を示す正面図
【図17】発明の実施の第1別形態での苗載せ台の構造を示す概略平面図
【符号の説明】
【0090】
2 後輪
3 走行機体
5 昇降リンク機構
6 苗植付け装置(作業装置)
8A 主苗載せ台(第1作業装置)
8B 分離苗載せ台(第2作業装置)
16 ローリング駆動装置
45 泥除けカバー
50 操作部
59 プーリ(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に昇降リンク機構を介して作業装置を昇降自在に連結し、前記作業装置を前記昇降リンク機構にローリング自在に支持すると共に、前記作業装置をローリング駆動装置により駆動ローリング可能に構成してある水田作業機において、
前記作業装置に接続される前記ローリング駆動装置の操作部を、前記昇降リンク機構の左右中央から右又は左に偏位させて、前記昇降リンク機構の後部上部に備えてある水田作業機。
【請求項2】
前記作業装置を、前記作業装置の左右中央部に位置する第1作業装置と、前記作業装置の右及び左の側部に位置する第2及び第3作業装置とに3分割し、前記第2及び第3作業装置を前記第1作業装置側へ移動可能に構成すると共に、前記第1作業装置側に、前記ローリング駆動装置を接続してある請求項1記載の水田作業機。
【請求項3】
前記作業装置を、前記作業装置の左右中央部に位置する第1作業装置と、前記作業装置の右又は左の側部に位置する第2作業装置とに2分割し、前記第2作業装置を前記第1作業装置側へ移動可能に構成すると共に、前記昇降リンク機構の左右中央から前記第2作業装置とは反対側に、前記ローリング駆動装置を偏位させてある請求項1記載の水田作業機。
【請求項4】
前記作業装置の前方に、前記走行機体の後輪によって後方へ飛散された泥を受け止める泥除けカバーを配設すると共に、前記泥除けカバーを、前記分割した作業装置のそれぞれに分割して配設してある請求項2又は3記載の水田作業機。
【請求項5】
前記操作部の操作部材をプーリで構成してある請求項1〜4のいずれか一項に記載の水田作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−220193(P2008−220193A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58948(P2007−58948)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】