説明

水素化精製方法

【課題】含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油を用いた場合に、酸素分が十分に低減され、且つ、十分な低温性能を有する水素化精製油を得ることが可能な水素化精製方法を提供すること。
【解決手段】本発明の水素化精製方法は、水素の存在下、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油と、結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒と、を接触させる水素化精製工程を経て精製油を得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化精製方法に関し、より詳しくは、動植物油由来の油脂成分を含む被処理油の水素化精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止対策として、バイオマスエネルギーの有効利用に注目が集まっている。バイオマスエネルギーの中でも植物由来のバイオマスエネルギーは、植物の成長過程で光合成により二酸化炭素から変換された炭化水素を有効利用できるため、ライフサイクルの観点からすると大気中の二酸化炭素の増加につながらない、いわゆる、カーボンニュートラルという性質を持つ。
【0003】
このようなバイオマスエネルギーの利用は、輸送用燃料の分野においても種々検討がなされている。例えば、ディーゼル燃料として動植物油由来の燃料を使用できれば、ディーゼルエンジンの高いエネルギー効率との相乗効果により二酸化炭素の排出量削減において有効な役割を果たすと期待されている。動植物油を利用したディーゼル燃料としては、脂肪酸メチルエステル油(Fatty Acid Methyl Ester)が知られている。脂肪酸メチルエステル油は、動植物油の一般的な構造であるトリグリセリド構造に対し、アルカリ等によってメタノールとのエステル交換を行うことで製造されている。しかしながら、脂肪酸メチルエステル油を製造するプロセスにおいては、以下の特許文献1に記載されている通り、副生するグリセリンの処理が必要であったり、生成油の洗浄などにコストやエネルギーがかかったりすることが指摘されている。
【特許文献1】特開2005−154647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動植物油由来の油脂成分やこれを原料として製造される燃料を使用するには、上記のような問題に加え、以下のような問題がある。すなわち、動植物油由来の油脂成分は、一般に分子中に酸素原子を有しているため、酸素分がエンジン材質に与える悪影響が懸念されること、並びに、当該酸素分を極低濃度まで除去することが困難であることなどである。
【0005】
更に、動植物油脂を構成する脂肪酸は、直鎖パラフィン又は直鎖オレフィンを炭化水素骨格として有しているが、水素化精製によって得られるパラフィン分は曇り点等の低温性能が十分実用的なものとは言えない恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油を用いた場合に、酸素分が十分に低減され、且つ、十分な低温性能を有する水素化精製油を得ることが可能な水素化精製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、水素の存在下、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油と、結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒と、を接触させる水素化精製工程を経て精製油を得ることを特徴とする水素化精製方法を提供する。
【0008】
本発明の水素化精製方法によれば、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油と上記特定の触媒とを上記特定の条件下で接触させることによって、酸素分が十分に低減され、且つ、十分に実用的な低温性能を有する水素化精製油を経済的に極めて有効に得ることができる。
【0009】
本発明の水素化精製方法においては、被処理油の全量を基準として、酸素分の含有量が0.1〜15質量%であることが好ましい。また、被処理油には、硫黄分が含まれていないか又は含まれていてもその含有量が十分に低いことが好ましく、被処理油の全量を基準として、硫黄分の含有量が50質量ppm以下であることが好ましい。被処理油の酸素分及び硫黄分がそれぞれ上記の範囲内であると、安定した脱酸素活性を長期にわたって維持することができる。
【0010】
また、本発明の水素化精製方法においては、バイオマスエネルギーの有効利用の点から、含酸素炭化水素化合物が動植物油に由来する油脂成分であることが好ましい。
【0011】
また、原材料の加工に必要なエネルギーを低減できることから、含酸素炭化水素化合物に占めるトリグリセリド構造を有する化合物の割合は90モル%以上であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の水素化精製方法においては、上記被処理油から得られる上記精製油の150〜350℃の留分に含まれるパラフィン分において、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上となるように上記水素化精製工程を行うことが好ましい。これにより、精製油の曇り点などに代表される燃料としての低温性能の向上をより十分に達成することができる。
【0013】
また、本発明の水素化精製方法において、上記触媒を構成する上記結晶性モレキュラシーブがケイ素を含むゼオライトを含有し、該ゼオライトは、酸素及びケイ素を除く構成元素に対するケイ素の比(ケイ素の原子数/酸素及びケイ素以外の元素の原子数)が3以上のものであることが好ましい。これにより、過度の分解反応を抑制し、効率のよい燃料製造と低温性能の向上をより十分に達成することができる。
【0014】
また、本発明の水素化精製方法において、上記触媒を構成する上記金属が、Pd、Pt、Rh、Ir、Au、Ni及びMoから選ばれる1種以上の元素を含むものであることが好ましい。これにより、水素化脱酸素反応が促進されるとともに、水素化異性化反応、パラフィンの分解除去反応といった低温性能の向上をより十分に達成することができる。
【0015】
また、上記金属が還元状態にある上記触媒1g当たりの一酸化炭素吸着量が0.003〜0.05mmolの範囲であることが好ましい。これにより、十分な活性を長期間安定して発揮することができる。
【0016】
また、上記水素化精製工程において、上記被処理油と上記触媒とを、水素圧力2〜13MPa、液空間速度0.1〜3.0h−1、水素油比250〜1500NL/L、反応温度150〜380℃の条件下で接触させることが好ましい。これにより、設備投資や運転経費などの運転コストが経済的に見合う範囲において、十分な活性を長期間安定して発揮することができる。
【0017】
更に、本発明の水素化精製方法において、上記水素化精製工程は、上記被処理油に含まれる初期酸素分の70質量%以上を除去して第一精製油を得る第一水素化工程と、上記初期酸素分の95質量%以上が除去されるように、上記第一精製油に残存する酸素分を除去して第二精製油を得る第二水素化工程と、を含み、上記第二水素化工程は、上記第二精製油の150〜350℃の留分に含まれるパラフィン分において、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上となるように行うことが好ましい。これにより、精製油の曇り点などに代表される燃料としての低温性能の向上をより十分に達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油を用いた場合に、酸素分が十分に低減され、且つ、十分に実用的な低温性能を有する水素化精製油を経済的に極めて有効に得ることが可能な水素化精製方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明においては、含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油が用いられる。含酸素炭化水素化合物としては、動植物油由来の油脂成分が好適である。ここで、本発明における油脂成分には、天然もしくは人工的に生産、製造される動植物油脂及び動植物油成分及び/又はこれらの油脂を由来して生産、製造される成分及びこれらの油脂製品の性能を維持、向上させる目的で添加される成分が包含される。
【0021】
動植物油に由来する油脂成分としては、例えば、牛脂、菜種油、大豆油、パーム油などが挙げられる。本発明においては動植物油に由来する油脂成分として、いかなる油脂を用いてもよく、これら油脂を使用した後の廃油でもよい。ただし、カーボンニュートラルの観点からは植物油脂が好ましく、脂肪酸アルキル鎖炭素数及びその反応性の観点から、菜種油、大豆油及びパーム油がより好ましい。なお、上記の油脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
動植物油に由来する油脂成分は、一般に脂肪酸トリグリセリド構造を有しているが、その他の脂肪酸や脂肪酸メチルエステルなどのエステル体に加工されている油脂成分を含んでいてもよい。ただし、植物油脂から脂肪酸や脂肪酸エステルを製造する際には二酸化炭素が発生するため、二酸化炭素の排出量を低減化する観点から、植物油脂としてトリグリセリド構造を有した成分が主体であることが好ましい。本発明においては、被処理油に含まれる含酸素炭化水素化合物に占めるトリグリセリド構造を有する化合物の割合が90モル%以上であることが好ましく、92モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましい。
【0023】
なお、被処理油は、含酸素炭化水素化合物として、上記の動植物油由来の油脂成分の他、プラスチックや溶剤等の化学品由来の化合物を含んでいてもよく、一酸化炭素と水素とからなる合成ガスを原料としたフィッシャートロプシュ反応を経由して得られる合成油を含んでいてもよい。
【0024】
被処理油に含まれる酸素分は、被処理油全量を基準として、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは3〜14質量%、特に好ましくは5〜13質量%である。酸素分の含有量が0.1質量%未満であると、脱酸素活性及び脱硫活性を安定的に維持することが困難となる傾向にある。他方、酸素分の含有量が15質量%を超えると、副生する水の処理に要する設備が必要となることや、水と触媒担体との相互作用が過度となり活性低下したり触媒強度が低下したりする。なお、酸素分の含有量は、一般的な元素分析装置で測定することができ、例えば、試料を白金炭素上で一酸化炭素に変換し、もしくは更に二酸化炭素に変換した後に熱伝導度検出器を用いて測定することができる。
【0025】
また、被処理油は、場合により含硫黄炭化水素化合物を含有していてもよい。含硫黄炭化水素化合物は特に制限されないが、具体的には、スルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド、チオール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びこれらの誘導体などが挙げられる。被処理油に含まれる含硫黄炭化水素化合物は単一の化合物であってもよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。さらに、硫黄分を含有する石油系炭化水素留分を被処理油に混合してもよい。
【0026】
石油系炭化水素留分としては、一般的な石油精製工程で得られる留分を用いることができる。例えば、常圧蒸留装置や減圧蒸留装置から得られる所定の沸点範囲に相当する留分、あるいは、水素化脱硫装置、水素化分解装置、残油直接脱硫装置、流動接触分解装置などから得られる、所定の沸点範囲に相当する留分を使用してもよい。なお、上記の各装置から得られる留分は1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0027】
被処理油における硫黄分の含有量は、被処理油全量を基準として、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは20質量ppm以下であり、更に好ましくは10質量ppm以下である。硫黄分の含有量が50質量ppmを超えると、脱酸素活性を安定的に維持することが困難となる傾向にあるとともに、水素化精製油に含まれる硫黄分含有量が増加する傾向にあり、ディーゼルエンジン等の燃料として用いる場合にエンジン排ガス浄化装置への悪影響が懸念される。なお、本発明における硫黄分は、JIS K 2541「硫黄分試験方法」又はASTM−5453に記載の方法に準拠して測定される硫黄分の質量含有量を意味する。
【0028】
被処理油に含硫黄炭化水素化合物を含有させる場合、含硫黄炭化水素化合物は、被処理油と予め混合してその混合物を水素化精製装置の反応器に導入してもよく、あるいは被処理油を反応器に導入する際に、反応器の前段において供給してもよい。
【0029】
本発明で用いられる被処理油は、沸点300℃以上の留分を含有することが好ましく、また、沸点700℃を超える重質な留分を含んでいないことが好ましい。沸点300℃以上の留分を含有しない被処理油を用いると、過度の分解によって十分な収率を得ることが困難となる傾向にある。他方、被処理油が沸点700℃を超える重質な留分を含む場合は、重質成分によって触媒における炭素の析出が促進され、活性が低下する傾向にある。なお、本発明における沸点は、JIS K 2254「蒸留試験方法」又はASTM−D86に記載の方法に準拠して測定される値である。
【0030】
本発明の水素化精製方法においては、結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒が用いられる。
【0031】
本発明で用いられる触媒に含まれる結晶性モレキュラシーブは、十分な水素化脱酸素活性と水素化異性化活性を付与するために、少なくともケイ素を含有していることが好ましい。また、結晶性モレキュラシーブは、ケイ素以外の構成元素として、アルミニウム、ジルコニウム、ホウ素、チタン、ガリウム、亜鉛、リンのうちの1種以上を含有していることが好ましく、アルミニウム、ジルコニウム、ホウ素、チタン、リンのうちの1種以上を含有していることがより好ましい。結晶性モレキュラシーブがこれらの元素を含有していることにより、水素化脱酸素反応と炭化水素の骨格異性化反応とを同時に促進し、精製油の低温性能向上をより十分に達成することができる。こうした結晶性モレキュラシーブとしては、ゼオライトが好ましく、ケイ素及びアルミニウムを含有するゼオライト、すなわちアルミノシリケートがより好ましい。
【0032】
結晶性モレキュラシーブを構成する元素のうち酸素を除く元素について、酸素及びケイ素を除く構成元素に対するケイ素の比(ケイ素の原子数/酸素及びケイ素以外の元素の原子数)が3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この比が3未満である場合、パラフィンの分解反応が促進され、コーキングによる活性低下を招く恐れがある。
【0033】
また、結晶性モレキュラシーブの細孔直径は、0.8nm以下であることが好ましく、0.65nm以下であることがより好ましい。細孔直径が0.8nmよりも大きい場合、パラフィンの分解反応が起こる懸念がある。結晶性モレキュラシーブの結晶構造としては、特に限定されるものではないが、国際ゼオライト学会が定める構造でいう、FAU、AEL、MFI、MMW、TON、MTW、*BEA、MORなどが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられる触媒を構成する結晶性モレキュラシーブの合成方法は、特に限定されるものではなく、一般的に知られているように、構成成分原料とアミン化合物を構造指示剤とした水熱合成法などを用いることができる。構成成分原料としては、例えば、ケイ素含有化合物の場合にはケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ、ケイ酸アルコキサイドなどが、アルミニウムの場合には水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムなどが挙げられる。構造指示剤としては、テトラプロピルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0035】
また、結晶性モレキュラシーブは、必要に応じてスチーム等による水熱処理、アルカリ性又は酸性の水溶液による浸漬処理、イオン交換、塩素ガスやアンモニア等の塩基性又は酸性ガスによる表面処理などを、単独又は複数の工程を組み合わせて施すことによって、物性を調整することができる。
【0036】
本発明で用いられる触媒において、結晶性モレキュラシーブ以外の構成物としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、ホウ素、チタン及びマグネシウムから選ばれる元素を含む無機酸化物等が挙げられる。これらの無機酸化物は、結晶性モレキュラシーブを成型する際の接合剤として用いられるとともに、水素化脱酸素と水素異性化を促進する活性成分としても機能する点から、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、ホウ素、チタン及びマグネシウムから選ばれる2種以上の元素を含むものであることが好ましい。
【0037】
触媒全体に占める結晶性モレキュラシーブの含有量は、触媒全量を基準として2〜90質量%であることが好ましく、5〜85質量%であることがより好ましく、10〜80質量%であることが更に好ましい。この含有量が2質量%未満である場合、触媒としての水素化脱酸素活性及び水素化異性化活性が低下する傾向にあり、90質量%を超える場合、触媒成形性が低下し、触媒の工業的な製造に支障が生じる恐れがある。
【0038】
本発明で用いられる触媒における結晶性モレキュラシーブ以外の構成物について、アルミニウム以外の構成元素である、ケイ素、ジルコニウム、ホウ素、チタン及びマグネシウムを担体に導入する方法は特に制限されず、これらの元素を含有する溶液などを原料として用いればよい。例えば、ケイ素については、ケイ酸、水ガラス、シリカゾルなど、ホウ素についてはホウ酸など、リンについては、リン酸やリン酸のアルカリ金属塩など、チタンについては硫化チタン、四塩化チタンや各種アルコキサイド塩など、ジルコニウムについては硫酸ジルコニウムや各種アルコキサイド塩などを用いることができる。
【0039】
酸化アルミニウム以外の担体構成成分の原料は、担体の焼成より前の工程において添加することが好ましい。例えば、アルミニウム水溶液に予め上記原料を添加した後、これらの構成成分を含む水酸化アルミニウムゲルを調製してもよく、調合した水酸化アルミニウムゲルに対して上記原料を添加してもよい。あるいは、市販の酸化アルミニウム中間体やベーマイトパウダーに水もしくは酸性水溶液を添加して混練する工程において上記原料を添加してもよいが、水酸化アルミニウムゲルを調合する段階で共存させることがより好ましい。酸化アルミニウム以外の担体構成成分の効果発現機構は必ずしも解明されたわけではないが、アルミニウムと複合的な酸化物状態を形成していると推察され、このことが担体表面積の増加や活性金属との相互作用を生じることにより、活性に影響を及ぼしていると考えられる。
【0040】
結晶性モレキュラシーブを含有する担体には、周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属が担持される。これらの金属の中でも、Pd、Pt、Rh、Ir、Au、Ni及びMoから選ばれる1種以上の金属を用いることが好ましく、これらから選ばれる2種以上の金属を組み合わせて用いることがより好ましい。好適な組み合せとしては、例えば、Pd−Pt、Pd−Ir、Pd−Rh、Pd−Au、Pd−Ni、Pt−Rh、Pt−Ir、Pt−Au、Pt−Ni、Rh−Ir、Rh−Au、Rh−Ni、Ir−Au、Ir−Ni、Au−Ni、Pd−Pt−Rh、Pd−Pt−Ir、Pd−Pt−Niなどが挙げられる。このうち、Pd−Pt、Pd−Ni、Pt−Ni、Pd−Ir、Pt−Rh、Pt−Ir、Rh−Ir、Pd−Pt−Rh、Pd−Pt−Ir、Pt−Pd−Niの組み合わせがより好ましく、Pd−Pt、Pd−Ni、Pt−Ni、Pd−Ir、Pt−Ir、Pd−Pt−Ir、Pt−Pd−Niの組み合わせが更に好ましい。
【0041】
本発明で用いられる上記触媒は、反応に供する前に触媒に含まれる活性金属を還元処理しておくことが好ましい。還元処理は特に限定されないが、水素気流下、200〜400℃の温度で処理することによって還元される。また、この還元処理は、240〜380℃の範囲で行うことが好ましい。還元温度が200℃未満である場合、活性金属の還元が十分進行せず、水素化脱酸素及び水素化異性化活性が十分に発揮できない恐れがある。また、還元温度が400℃を超える場合、活性金属の凝集が進行し、同様に活性が十分に発揮できなくなる恐れがある。
【0042】
触媒質量を基準とする活性金属の合計含有量としては、金属として0.1〜2質量%が好ましく、0.2〜1.5質量%がより好ましく、0.5〜1.3質量%が更に好ましい。金属の合計担持量が0.1質量%未満であると、活性点が少なくなり、十分な活性が得られなくなる傾向がある。他方、2質量%を越えると、金属が効果的に分散せず、十分な活性が得られなくなる傾向がある。
【0043】
これらの活性金属を触媒に含有させる方法は特に限定されず、通常の脱硫触媒を製造する際に適用される公知の方法を用いることができる。通常、活性金属の塩を含む溶液を触媒担体に含浸する方法が好ましく採用される。また、平衡吸着法、Pore−filling法、Incipient−wetness法なども好ましく採用される。例えば、Pore−filling法は、担体の細孔容積を予め測定しておき、これと同じ容積の金属塩溶液を含浸する方法である。なお、含浸方法は特に限定されるものではなく、金属担持量や触媒担体の物性に応じて適当な方法で含浸することができる。
【0044】
本発明で用いられる上記触媒の活性金属が還元状態にあるとき、触媒1g当たりの一酸化炭素吸着量が0.003〜0.05mmolであることが好ましく、0.005〜0.04mmolであることがより好ましく、0.009〜0.03mmolであることが更に好ましい。この吸着量が0.003mmol未満であると、金属が凝集した状態となって活性点が減少する傾向にある。他方、吸着量が0.05mmolを超えると、反応時間の経過とともに活性低下が促進される傾向にある。一酸化炭素吸着量の測定は、還元金属を担持した触媒に用いる一般的な測定方法を適用することができる。具体的には、一定量の触媒を水素気流下350℃で還元した後に、50℃まで冷却して、パルス法や定容法によって求めることができる。
【0045】
また、本発明においては、上記の触媒(水素化精製触媒)以外に、必要に応じて被処理油に随伴して流入するスケール分をトラップしたり触媒床の区切り部分で水素化精製触媒を支持したりする目的でガード触媒、脱金属触媒、不活性充填物を用いてもよい。なお、これらは単独又は組み合せて用いることができる。
【0046】
水素の存在下で上記の被処理油と触媒とを接触させる際の条件は、水素圧力2〜13MPa、液空間速度(LHSV)0.1〜3.0h−1、水素油比(水素/油比)250〜1500NL/Lであり、好ましくは、水素圧力2.5〜10MPa、液空間速度0.5〜2.0h−1、水素油比300〜1200NL/Lであり、より好ましくは、水素圧力3〜8MPa、空間速度0.8〜1.8h−1、水素油比350〜1000NL/Lである。これらの条件はいずれも反応活性を左右する因子であり、例えば水素圧力及び水素油比が上記の下限値に満たない場合には、反応性が低下したり活性が急速に低下したりする傾向がある。他方、水素圧力及び水素油比が上記の上限値を超える場合には、圧縮機等の過大な設備投資が必要となる傾向がある。また、液空間速度は低いほど反応に有利な傾向にあるが、上記の下限値未満の場合は、極めて大きな内容積の反応器が必要となり過大な設備投資が必要となる傾向があり、他方、液空間速度が上記の上限値を超える場合は、反応が十分に進行しなくなる傾向がある。
【0047】
反応器の形式としては、固定床方式を採用することができる。すなわち、水素は被処理油に対して向流又は並流のいずれの形式を採用することができる。また、複数の反応器を用いて、向流、並流を組み合せた形式としてもよい。一般的な形式としては、ダウンフローであり、気液双並流形式を採用することができる。また、反応器は単独又は複数を組み合せてもよく、一つの反応器内部を複数の触媒床に区分した構造を採用してもよい。
【0048】
反応器内で水素化精製された水素化精製油は気液分離工程や精留工程等を経て所定の留分を含有する水素化精製油に分画される。例えば、軽油留分や残さ留分に分画される。さらに必要に応じてガス、ナフサ留分、灯油留分を分画することもある。生成するこのような軽質炭化水素留分の一部を水蒸気改質装置において改質することにより水素を製造することができる。このようにして製造された水素は、水蒸気改質に用いた原料がバイオマス由来炭化水素であることから、カーボンニュートラルという特徴を有しており、環境への負荷を低減することができる。なお、被処理油に含まれている酸素分や硫黄分の反応に伴って水、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素などが発生する可能性があるが、複数の反応器の間や生成物回収工程に気液分離設備やその他の副生ガス除去装置を設置してもよい。副生ガス除去装置によって副生ガスが除去されたガス分は、被処理油と混合してリサイクルして使用してもよい。被処理油に混合する前段に膜分離装置や圧力スイング吸着装置によってガス中に含まれる水素純度を増加せしめた後に用いることもできる。なお、リサイクルするガスに含まれる一酸化炭素濃度は、触媒活性を維持する観点から、0.5容量%以下であることが好ましく、0.1容量%以下であることがより好ましい。
【0049】
水素ガスは加熱炉を通過前もしくは通過後の被処理油に随伴させて最初の反応器の入口から導入することが一般的であるが、これとは別に、反応器内の温度を制御するとともに、反応器内全体にわたって水素圧力を維持する目的で触媒床の間や複数の反応器の間から水素ガスを導入してもよい。このようにして導入される水素を一般にクエンチ水素と呼ぶ。被処理油に随伴して導入する水素ガスに対するクエンチ水素の割合は、10〜60容量%であることが好ましく、15〜50容量%であることがより好ましい。クエンチ水素の割合が10容量未満であると後段の反応部位での反応が十分に進行しない傾向があり、クエンチ水素の割合が60容積%を超えると反応器入口付近での反応が十分に進行しない傾向がある。
【0050】
本発明によって製造される水素化精製油を軽油留分基材として用いる場合は、少なくとも260〜300℃の沸点を有する留分を含有し、硫黄分の含有量が10質量ppm以下であり且つ酸素分の含有量が0.3質量%以下であることが好ましく、硫黄分の含有量が7質量ppm以下であり且つ酸素分の含有量が0.3質量%以下であることがより好ましく、硫黄分の含有量が3質量ppm以下であり且つ酸素分の含有量が0.2質量%以下であることが更に好ましい。硫黄分及び酸素分が上記の上限値を超える場合、ディーゼルエンジンの排出ガス処理装置で使用されるフィルターや触媒、さらにエンジンその他の材質に影響を及ぼす恐れがある。
【0051】
また、本発明によって製造される水素化精製油を軽油留分基材として用いる場合には、当該留分に含有されるパラフィン分のうち、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましい。この比が0.2未満である場合には、低温環境下で留分が十分な流動性を維持できず、あるいは低温環境下で析出する結晶によってディーゼルエンジンの燃料ろ過装置での目詰まりなどが発生し、トラブルを招く恐れがある。
【0052】
本発明によって製造される水素化精製油は、特にディーゼル軽油や重油基材として好適に用いることができる。水素化精製油は単独でディーゼル軽油や重油基材として用いてもよいが、他の基材などの成分を混合したディーゼル軽油又は重質基材として用いることができる。他の基材としては、一般的な石油精製工程で得られる軽油留分及び/又は灯油留分、本発明の水素化精製方法で得られる残さ留分を混合することもできる。さらに、水素と一酸化炭素から構成される、いわゆる合成ガスを原料とし、フィッシャートロプシュ反応などを経由して得られる合成軽油もしくは合成灯油を混合することができる。これらの合成軽油や合成灯油は芳香族分をほとんど含有せず、飽和炭化水素を主成分とし、セタン価が高いことが特徴である。なお、合成ガスの製造方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0053】
本発明において被処理油を水素化精製する水素化精製工程は、被処理油に含まれる初期酸素分の70質量%以上を除去して第一精製油を得る第一水素化工程と、上記初期酸素分の95質量%以上が除去されるように、上記第一精製油に残存する酸素分を除去して第二精製油を得る第二水素化工程と、を含み、上記第二水素化工程は、上記第二精製油の150〜350℃の留分に含まれるパラフィン分において、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上となるように行うことが好ましい。第一水素化工程における酸素分除去率が70質量%に満たない場合、第二水素化工程における水素化脱酸素及び水素化異性化反応が十分に進行しない恐れがある。
【0054】
本発明の水素化精製方法においては、第一水素化工程及び第二水素化工程のうちの少なくとも一方の工程を、水素の存在下で、上述した含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油と、結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒と、を接触させることにより行えばよい。すなわち、第一水素化工程及び第二水素化工程のいずれか一方の工程は、上記触媒以外の触媒を用いて行ってもよい。
【0055】
第一水素化工程においては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、ホウ素、チタン及びマグネシウムから選ばれる2種以上の元素を含んで構成される多孔性無機酸化物、並びに、該多孔性無機酸化物に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属(活性金属)を含有する触媒を用いることが好ましい。ここで、活性金属としては、Pd、Pt、Rh、Ir、Au、Ni及びMoから選ばれる1種以上の元素であることがより好ましい。
【0056】
そして、第二水素化工程においては、結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素(好ましくは第8族の元素)から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒を用いることが好ましい。なお、第二水素化工程において使用する触媒は、1種類でも複数種用いてもよく、精製油の安定性を向上させる目的で、第二水素化工程後段に水素化活性を有する触媒を充填してもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
(触媒の調製)
<触媒A>
ポリテトラフルオロエチレンビーカーに、市販のベーマイトパウダー(触媒化成工業社製)とシリカアルミナパウダー(触媒化成工業社製)とを、ケイ素/アルミニウムの原子数の比が15となるように混合し、蒸留水を加えて、加熱しながら濃縮、混練して粘土状の混練物を得た。この混練物に、ゼオライトとしての合成したプロトン型ZSM−5(ケイ素/アルミニウムの原子数の比:40)を酸化物換算で触媒全量の65質量%となるように加え、さらに混練した。得られた混練物を押出し成形機によって直径1.5mmのシリンダーの形状に押し出し、110℃で1時間乾燥した後、500℃で焼成し、成形担体を得た。
【0059】
得られた成形担体10gをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで脱気しながら、テトラアンミン白金(II)クロライドとテトラアンミンパラジウム(II)クロライドの混合水溶液をフラスコ内に注入して成形担体に金属を含浸せしめ、110℃で乾燥した後、350℃で焼成を行い、触媒Aを得た。触媒Aにおける白金、パラジウムの担持量は、触媒全量を基準として、白金が0.5質量%、パラジウムが0.7質量%であった。
【0060】
<触媒B>
ポリテトラフルオロエチレンビーカーに、市販のベーマイトパウダー(触媒化成工業社製)とシリカアルミナパウダー(触媒化成工業社製)とを、ケイ素/アルミニウムの原子数の比が15となるように混合し、蒸留水を加えて、加熱しながら濃縮、混練して粘土状の混練物を得た。この混練物に、ゼオライトとしての合成したプロトン型ZSM−22(ケイ素/アルミニウムの原子数の比:45)を酸化物換算で触媒全量の65質量%となるように加え、さらに混練した。得られた混練物を押出し成形機によって直径1.5mmのシリンダーの形状に押し出し、110℃で1時間乾燥した後、500℃で焼成し、成形担体を得た。得られた成形担体10gに、触媒Aと同様に白金、パラジウムを担持して触媒Bを得た。触媒Bにおける白金、パラジウムの担持量は、触媒全量を基準として、白金が0.5質量%、パラジウムが0.7質量%であった。
【0061】
<触媒C>
濃度5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液3000gに水ガラス3号18.0gを加えた混合液を、65℃に保温した濃度2.5質量%の硫酸アルミニウム水溶液に、pHが7.0になるまで滴下した。得られたスラリー状の生成物をフィルターに通して濾取し、ケーキ状のスラリーを得た。
【0062】
ケーキ状のスラリーを還流冷却器を取り付けた容器に移し、蒸留水150mlと27%アンモニア水溶液10gを加え、75℃で20時間加熱攪拌した。該スラリーを混練装置に入れ、80℃以上に加熱し水分を除去しながら混練し、粘土状の混練物を得た。得られた混練物を押出し成形機によって直径1.5mmのシリンダーの形状に押し出し、110℃で1時間乾燥した後、550℃で焼成し、成形担体を得た。成形担体のアルミニウム含有量は、酸化アルミニウム換算で90.1質量%、ケイ素含有量はケイ酸換算で9.9質量%であった。
【0063】
得られた成形担体50gをナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレータ−で脱気しながらテトラアンミン白金(II)クロライドとテトラアンミンパラジウム(II)クロライドの混合水溶液をフラスコ内に注入して成形担体に金属を含浸せしめ、110℃で乾燥した後、350℃で焼成を行い、触媒Cを得た。触媒Cにおける白金、パラジウムの担持量は、触媒全量を基準として、白金が0.5質量%、パラジウムが0.7質量%であった。
【0064】
(実施例1)
触媒A(50ml)を充填した第一反応管(内径20mm)と、同じく触媒A(50ml)を充填した第二反応管(内径20mm)を直列に固定床流通式反応装置に取り付けた。その後、触媒層平均温度320℃、水素分圧5MPa、水素ガス量83ml/minの条件下で、6時間触媒の還元処理を行った。なお、還元状態にある触媒A1g当たりの一酸化炭素吸着量は0.037mmolであった。
【0065】
触媒還元操作後、被処理油としてパーム油(含酸素炭化水素化合物に占めるトリグリセリド構造を有する化合物の割合:98モル%)を用いて水素化精製を行った。被処理油の15℃密度は0.916g/ml、酸素分含有量は11.4質量%、硫黄分含有量は0.2質量ppm以下であった。また、水素化精製の条件は、第一及び第二反応管の反応温度を310℃、圧力を5MPa、液空間速度を0.7h−1とした。なお、第一反応管と第二反応管の間で導入する水素ガスの容量比率(クエンチ水素比率)は全導入水素の20容量%とし、導入した全水素によって求めた水素/油比を600NL/Lとした。得られた結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
触媒Aの代わりに触媒Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして水素化精製を行った。得られた結果を表1に示す。なお、還元状態にある触媒B1g当たりの一酸化炭素吸着量は0.035mmolであった。
【0067】
(実施例3)
第一反応管に触媒C(50ml)を充填し、第二反応管に触媒A(50ml)を充填して、実施例1と同様にして水素化精製を行った。得られた結果を表1に示す。なお、還元状態にある触媒C1g当たりの一酸化炭素吸着量は0.038mmolであった。
【0068】
(比較例1)
触媒Aの代わりに触媒Cを用い、第一反応管の反応温度を200℃、第二反応管の反応温度を310℃とし、実施例1と同様にして水素化精製を行った。得られた結果を表1に示す。
【0069】
(低温性能の評価)
実施例1〜3及び比較例1の水素化精製により得られた精製油は、蒸留によって沸点150℃より軽質な留分を除いた後、残さ(灯軽油留分)について、曇り点をJIS K2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に準拠して測定した。また、上記残さ中のパラフィン分について、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの質量比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素の存在下、
含酸素炭化水素化合物を含有する被処理油と、
結晶性モレキュラシーブを含む担体、並びに、該担体に担持された周期律表第6A族及び第8族の元素から選ばれる1種以上の金属を含有する触媒と、を接触させる水素化精製工程を経て精製油を得ることを特徴とする水素化精製方法。
【請求項2】
前記被処理油の全量を基準として、酸素分の含有量が0.1〜15質量%であり、硫黄分の含有量が50質量ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の水素化精製方法。
【請求項3】
前記含酸素炭化水素化合物が動植物油に由来する油脂成分であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素化精製方法。
【請求項4】
前記含酸素炭化水素化合物に占めるトリグリセリド構造を有する化合物の割合が90モル%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項5】
前記精製油の150〜350℃の留分に含まれるパラフィン分において、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上となるように前記水素化精製工程を行うことを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項6】
前記結晶性モレキュラシーブがケイ素を含むゼオライトを含有し、該ゼオライトは、酸素及びケイ素を除く構成元素に対するケイ素の比(ケイ素の原子数/酸素及びケイ素以外の元素の原子数)が3以上のものであることを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項7】
前記金属が、Pd、Pt、Rh、Ir、Au、Ni及びMoから選ばれる1種以上の元素を含むものであることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項8】
前記金属が還元状態にある前記触媒1g当たりの一酸化炭素吸着量が0.003〜0.05mmolの範囲であることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項9】
前記水素化精製工程において、前記被処理油と前記触媒とを、水素圧力2〜13MPa、液空間速度0.1〜3.0h−1、水素油比250〜1500NL/L、反応温度150〜380℃の条件下で接触させることを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。
【請求項10】
前記水素化精製工程は、前記被処理油に含まれる初期酸素分の70質量%以上を除去して第一精製油を得る第一水素化工程と、
前記初期酸素分の95質量%以上が除去されるように、前記第一精製油に残存する酸素分を除去して第二精製油を得る第二水素化工程と、
を含み、
前記第二水素化工程は、前記第二精製油の150〜350℃の留分に含まれるパラフィン分において、ノルマルパラフィンに対するイソパラフィンの比(イソパラフィンの質量/ノルマルパラフィンの質量)が0.2以上となるように行うことを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の水素化精製方法。


【公開番号】特開2007−308565(P2007−308565A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138297(P2006−138297)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】