説明

水素吸蔵ステーション、水素供給ステーションおよび複合カートリッジ

【課題】アンモニアの貯蔵または放出により、効率よく水素を吸蔵または放出することができる水素吸蔵ステーション、水素供給ステーションおよび複合カートリッジを提供する。
【解決手段】水素吸蔵ステーション1は、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に、水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーション1であって、水素を導入する水素導入部V1と、水素貯蔵材料を有する水素貯蔵部10と、水素吸蔵時に水素貯蔵部から放出されるアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部30と、を備える。水素吸蔵ステーション1は、アンモニア貯蔵部30を備えており、水素貯蔵部10から放出されるアンモニアをアンモニア貯蔵部30に貯蔵することで、効率よく水素を吸蔵することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料を用いた水素吸蔵ステーション、水素供給ステーションおよび複合カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属水素化物により構成される水素貯蔵材料が知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載の水素貯蔵材料は、アンモニアと反応することにより水素を発生させる。これにより、室温程度の低い温度で水素放出反応を開始することが可能になる。
【0003】
一方、アンモニア貯蔵部を接続した循環系を用いて水素貯蔵材料を製造するシステムが開示されている(特許文献2参照)。特許文献2記載の水素貯蔵材料の製造方法は、少なくともリチウムとマグネシウムのいずれかを含む原料を混合し、その原料を不活性ガスが循環する反応装置内で加熱し、加熱により発生した水素とアンモニアを循環系外に除去する。このようにしてリチウムイミドと窒化マグネシウムとの混合物および反応物を含有する水素貯蔵材料を製造している。
【特許文献1】特開2005−154232号公報
【特許文献2】特開2007−307455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のアンモニアとの反応により水素を放出する水素貯蔵材料は効率のよい水素の吸蔵および放出が可能であるが、実際のシステムにおいて水素の放出等に利用される段階に至っていない。また、上記のアンモニア貯蔵部を接続した循環系システムは、水素貯蔵材料の製造に用いるものであり水素の放出等を行うのに適さない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アンモニアの貯蔵または放出により、効率よく水素を吸蔵または放出することができる水素吸蔵ステーション、水素供給ステーションおよび複合カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に、水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、水素を導入する水素導入部と、前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵部と、水素吸蔵時に前記水素貯蔵部から放出されるアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備えることを特徴としている。このように本発明の水素吸蔵ステーションは、アンモニア貯蔵部を備えており、水素貯蔵部から放出されるアンモニアをアンモニア貯蔵部に貯蔵することで、効率よく水素を吸蔵させることができる。
【0007】
(2)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、水素を導入する水素導入部と、前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵カートリッジを取り付け可能とする水素用取付け部と、水素吸蔵時に前記水素貯蔵部から放出されるアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備えることを特徴としている。これにより、水素貯蔵カートリッジを着脱可能にすることで、ユーザの利便性が向上する。このように本発明の水素吸蔵ステーションは、アンモニア貯蔵部を備えており、水素貯蔵部から放出されるアンモニアをアンモニア貯蔵部に貯蔵することで、効率よく水素を吸蔵させることができる。
【0008】
(3)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に、水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、水素を導入する水素導入部と、前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵カートリッジを取り付け可能とする水素用取付け部と、水素吸蔵時に前記水素貯蔵カートリッジから放出されるアンモニアを貯蔵するために、アンモニア貯蔵カートリッジを取り付け可能とするアンモニア用取付け部と、を備えることを特徴としている。このようにアンモニアの収集により、水素の吸蔵を効率よく行うことができる。また、カートリッジを着脱可能にすることで、ユーザの利便性が向上する。
【0009】
(4)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジを冷却する冷却機構を更に備え、前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジは、冷却により液化されたアンモニアを貯蔵することを特徴としている。アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジを冷却することでアンモニアを液化しアンモニアを収集することが可能になる。また、液化によりアンモニアの貯蔵量は大きくなる。
【0010】
(5)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジは、アンモニア分子を吸着するアンモニア吸着材を有することを特徴としている。これにより、効率的にアンモニアを吸着することが可能となる。また、アンモニア吸着材料を用いることで、アンモニアの収集に冷却装置が必要なくなり、水素吸蔵ステーションの構成が容易になる。
【0011】
(6)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、前記水素貯蔵部もしくは水素貯蔵カートリッジを加熱する水素用熱交換機構を更に備えることを特徴としている。これにより、水素貯蔵部内の水素貯蔵材料を加熱し水素吸蔵の効率を向上させることができる。また、廃熱エネルギー等があれば利用することができる。
【0012】
(7)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、前記水素導入部から出発し、前記水素貯蔵部または水素貯蔵カートリッジを介し、前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジに至り、前記水素導入部に戻る順番でガスを循環させる循環経路を更に備え、前記ガス循環経路には、主に水素を循環させることを特徴としている。これにより、水素を水素貯蔵部に貯蔵する際には、経路に水素を循環させて水素貯蔵材料に水素を吸蔵させることができる。その結果、一回では十分に吸蔵できない水素を吸蔵させることができ、水素の吸蔵量を増加させることができる。
【0013】
(8)また、本発明に係る水素吸蔵ステーションは、前記ガス循環経路に接続され、吸ガス動作と排ガス動作を繰り返すことでガスを循環させるガス循環駆動部を更に備えることを特徴としている。ガス循環駆動部の排ガス動作により、水素貯蔵部内で水素の圧力を上昇させることができ、水素を吸蔵させることができる。
【0014】
(9)また、本発明に係る水素供給ステーションは、水素を供給する水素供給ステーションであって、水素供給時に、貯蔵されているアンモニアを放出するアンモニア貯蔵部と、水素貯蔵材料を有し、水素供給時に前記放出されたアンモニアと前記水素貯蔵材料とを反応させて、水素を放出する水素貯蔵部と、を備え、前記水素貯蔵部から放出された水素を供給対象に供給することを特徴としている。このように本発明の水素供給ステーションは、アンモニア貯蔵部を備えており、アンモニア貯蔵部から放出されたアンモニアと水素貯蔵材料とを反応させて、水素を放出することで、効率よく水素の供給を行うことができる。
【0015】
(10)また、本発明に係る複合カートリッジは、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料を有する水素貯蔵部と、アンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備え、前記アンモニア貯蔵部から放出されたアンモニアと前記水素貯蔵部内の水素貯蔵材料とを反応させて水素を放出させることを特徴としている。水素貯蔵カートリッジとアンモニア貯蔵カートリッジとが一体化することで取り扱いが容易となり、ユーザの利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素貯蔵材料から放出されるアンモニアを貯蔵することで、効率よく水素を吸蔵させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
[実施形態1]
(水素吸蔵ステーションの構成)
図1は、水素吸蔵ステーション1の構成を示す概略図である。水素吸蔵ステーション1は、水素貯蔵カートリッジ等に水素を吸蔵させるためのステーションであり、たとえば水素貯蔵カートリッジは自動車の燃料として車載されて用いられる。水素吸蔵ステーション1は、各バルブV1〜V2、ガス流通路L1〜L6、ベローズポンプP1、水素貯蔵部10、熱交換機構20、アンモニア貯蔵部30および冷却機構40により構成されている。
【0019】
水素ガス導入バルブV1は、水素貯蔵部10への水素の吸蔵の際に、水素ガスの導入元からの水素の流入を制御するためのバルブである。水素ガス導入バルブV1は、水素ガス導入口として機能している。ガス流通路L1は、水素ガス導入バルブV1とベローズポンプP1との間でガスを流通させるガス流通路である。
【0020】
ベローズポンプP1(ガス循環駆動部)は、ガス流通路L1に接続され、吸ガス動作と排ガス動作を繰り返すことでガスを押し出し循環させる。ベローズポンプP1は、特に、水素の吸蔵の際に水素貯蔵部10内の圧力を高めるために用いられる。ベローズポンプP1を用いることで、ダイヤフラムポンプ等に比べ逆方向へのリーク等が生じ難い。ガス流通路L2は、ベローズポンプP1と水素貯蔵部10との間でガスを流通させる。
【0021】
水素を放出した状態の水素貯蔵部10は、容器本体11、蓋12、13、水素貯蔵材料15、フィン16を備えている。容器本体11、蓋12、13により、水素貯蔵材料15を収容する容器を形成している。容器内部には、フィン16が設けられ、効率よく媒体流路22から熱を水素貯蔵材料15に伝えている。
【0022】
水素貯蔵材料15は、水素を放出した状態では、水素との反応により水素を吸蔵してアンモニアを放出し、水素を吸蔵した状態では、アンモニアと反応して水素を放出する。たとえば、水素を放出した状態の水素貯蔵材料15には、金属アミド化合物が含まれた材料が用いられる。このとき、水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料15には、吸蔵により金属アミド化合物が反応した結果、金属水素化物が含まれている。
【0023】
金属アミド化合物には、LiNHが挙げられる。このときの金属水素化物は、LiHである。水素の吸蔵反応はLiNH+H→LiH+NHであり、吸熱反応である。水素の放出反応はこの逆反応である。その他の金属アミド化合物には、NaNHが挙げられる。このときの金属水素化物は、NaHである。水素の吸蔵反応はNaNH+H→NaH+NHであり、吸熱反応である。水素の放出反応はこの逆反応である。なお、水素貯蔵材料15とは、この場合の金属水素化物および金属アミド化合物を含めた概念である。水素を放出した状態の水素貯蔵材料15は、金属アミド化合物を指し、水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料15は、金属水素化物を指す。
【0024】
熱交換機構20は、循環ポンプP2、熱交換器21および媒体流路22から構成されている。循環ポンプP2は、媒体を送り出しシステム内を循環させる。熱交換器21は、水素吸蔵時には熱交換により熱源から媒体に熱を伝え、水素放出時には媒体から冷却源に熱を伝える。媒体流路22は、循環ポンプP2および熱交換器21を介して媒体を循環させる流通路である。媒体流路22は、管状に形成され、水素貯蔵部10内を貫通するように設けられ、フィン16と接触している。ガス流通路L3は、水素貯蔵部10とアンモニア貯蔵部30との間でガスを流通させる。アンモニア貯蔵部30は、容器31により形成され、水素吸蔵の際には水素貯蔵部10から発生するアンモニアガスを液化させて液体アンモニア32としてトラップする。
【0025】
冷却機構40は、アンモニア貯蔵部30の周囲に設けられ、アンモニア貯蔵部30を冷却する。冷却機構40は、冷却器41、冷却部42および熱伝導体43から構成されている。冷却器41は、媒体を冷却する装置であり、冷却された媒体を冷却部42に循環させる。熱伝導体43は、アンモニア貯蔵部30に周囲から接しており、アンモニア貯蔵部30の熱を、冷却部42を介して冷却器41に伝える。ガス流通路L4は、アンモニア貯蔵部30とバルブV2との間でガスを流通させる。バルブV2は、水素吸蔵時には開けられている。
【0026】
ガス流通路L5はガス流通路L4と圧力センサ55との間でガスを流通させる。圧力センサ55は、流通するガスの圧力の異常を検知する。作業者は、水素吸蔵時にガスの圧力に異常がある場合には、水素ガス導入バルブV1により水素の導入量を調整することができる。ガス流通路L6は、圧力センサ55と水素ガス導入バルブV1との間でガスを流通させる。ガス流通路L1〜L6は、循環経路を形成している。水素吸蔵時には、バルブV2を開けて、水素ガスを循環路に循環させることで水素の吸蔵の効率を向上させることができる。
【0027】
(水素吸蔵ステーションの動作)
このように構成された水素吸蔵ステーション1の使用方法および動作(水素貯蔵方法)を説明する。水素を水素貯蔵部10に吸蔵させる場合には、まず、すべてのバルブを閉じた状態から、作業者はバルブV2を開ける。そして、熱交換機構20を作動させて、水素貯蔵材料15の温度を水素吸蔵の反応が活性化する温度まで加熱する。水素貯蔵材料15が、リチウムアミドである場合には、水素貯蔵部10の温度を300℃以上とすることが好ましい。水素貯蔵材料15が、ナトリウムアミドである場合には、水素貯蔵部10の温度を200℃以上とすることが好ましい。一方で、冷却機構40を起動しアンモニア貯蔵部30を冷却する。冷却により維持すべき温度は、アンモニアの気化温度以下であることが好ましく、実際には−50℃以下、−60℃以上とすることが好ましい。
【0028】
水素ガス導入バルブV1を開放し、水素ガスを導入する。ベローズポンプP1を作動させて、水素貯蔵部10内の圧力を上昇させる。水素貯蔵材料15が、リチウムアミドまたはナトリウムアミドである場合には、水素貯蔵部10内の水素の圧力を0.5MPa以上とし、4時間程度圧力を維持することが好ましい。水素貯蔵部10内では水素貯蔵材料15が水素と反応し水素を吸蔵し、アンモニアを放出する。放出されたアンモニアはガス流通路L3を介して、アンモニア貯蔵部30に流入しトラップされる。水素ガスは、ガス流通路L4〜L6を流れて水素ガス導入バルブV1まで循環する。ベローズポンプP1による水素ガスの循環を繰り返すことで水素貯蔵材料15との反応が効率よく進み十分な水素の吸蔵が可能となる。作業者は圧力センサ55を監視しベローズポンプP1の動作や水素の導入量を調整することができる。このようにして水素貯蔵部10に水素を貯蔵することができる。
【0029】
なお、水素貯蔵部10またはアンモニア貯蔵部30に代えて、それぞれ水素貯蔵カートリッジまたはアンモニア貯蔵カートリッジを用いてもよい。その場合には、アンモニア貯蔵部30をガス流通路L3およびL4と接続するアンモニア用取り付け部と、水素貯蔵部10をガス流通路L2およびL3と接続するための水素用取り付け部とを設けておく(図示せず)。これらの取り付け部は、水素吸蔵ステーション1の構成に含まれるが、水素貯蔵カートリッジやアンモニア貯蔵カートリッジは構成に含まれない。
【0030】
また、これらのカートリッジは、複合カートリッジとして一体化したものであってもよい。複合カートリッジは、水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料を有するカートリッジ内の水素貯蔵部と、アンモニアを貯蔵するカートリッジ内のアンモニア貯蔵部とを備えている。そして、複合カートリッジは、カートリッジ内のアンモニア貯蔵部から放出されたアンモニアとカートリッジ内の水素貯蔵部に蓄えられた水素貯蔵材料とを反応させて水素を放出させる。水素貯蔵カートリッジとアンモニア貯蔵カートリッジとが一体化することで取り扱いが容易となり、ユーザの利便性を向上できる。
【0031】
[実施形態2]
上記の実施形態では、アンモニア貯蔵部30は、冷却機構40により冷却されることにより、アンモニアをトラップしているが、アンモニアを吸着する吸着材72によりアンモニアを吸着するものであってもよい。
【0032】
図2は、吸着によりアンモニアを貯蔵する水素吸蔵ステーション61の構成を示す概略図である。水素吸蔵ステーション61では、冷却によりアンモニアをトラップするアンモニア貯蔵部30に代えて、吸着材72(アンモニア吸着材)によりアンモニア分子を吸着するアンモニア貯蔵部70が設けられている。図2に示すように、アンモニア貯蔵部70は、容器71および吸着材72から構成されている。容器71は、アンモニアを吸着する吸着材を収容している。吸着材72は、室温でアンモニアを吸着し、加熱されることによりアンモニアを放出する。加熱温度は、たとえば活性炭の場合は200℃程度である。
【0033】
水素吸蔵ステーション61には、冷却機構40に代えて、熱交換機構80が設けられている。熱交換機構80は、循環ポンプP4、熱交換器81および伝熱部82を有し、アンモニア貯蔵部70を加熱または冷却する。循環ポンプP4は、媒体を循環させる。水素吸蔵時には、熱交換器81は媒体から熱を奪う。伝熱部82は、アンモニア貯蔵部70に接し、媒体に熱を伝えアンモニア貯蔵部70を冷却する。冷却された吸着材72はアンモニアを吸着する。水素吸蔵ステーション61により水素を吸蔵させる際にはあらかじめ熱交換機構20により水素貯蔵部10を加熱しておく。使用時におけるその他の手順は上記の実施形態と同様である。
【0034】
[実施形態3]
上記の実施形態では、熱交換機構20の熱源については特定していないが、熱源として上記の水素吸蔵ステーションの水素エネルギーの廃熱等を用いてもよい。図3は、導入された水素の一部を用いた熱源を熱交換機構の熱源とする水素吸蔵ステーション91の構成を示す概略図である。ガス流通路L7は、ガス流通路L5とガスフィルタ50との間でガスを流通させる。ガスフィルタ50は、たとえば活性炭、シリカゲル、ゼオライトなどで形成されており、アンモニアガスを遮断し水素ガスを通す。ガス流通路L8は、ガスフィルタ50と水素ガス放出バルブV3との間でガスを流通させる。水素ガス放出バルブV3は、水素ガスを系外に流通させる際に用いられる。
【0035】
水素吸蔵ステーション91は、導入された水素の一部を用いた触媒燃焼装置120(水素利用機構)を熱交換機構20の熱源としている。水素ガス導入バルブV1から導入された水素の一部として、ガス流通路L6、L5、L7を流通し、ガスフィルタ50を通過後ガス流通路L8を流通し、水素ガス放出バルブV3から供給された水素は、ガス流通路L9を流通し、流量制御装置100、ガス流通路L10を介して触媒燃焼装置120へ流入する。流量制御装置100は、触媒燃焼装置120への水素の流量を制限している。触媒燃焼装置120は、水素を利用する手段の一例である。導入された水素を用いて触媒燃焼装置120で熱を発生させることで熱交換機構20は水素貯蔵部10を加熱する。その結果、水素吸蔵ステーション91では、エネルギーを効率的に利用して、水素の吸蔵を行うことができる。
【0036】
なお、水素吸蔵ステーション91の起動時には、熱交換機構20は廃熱利用なしに加熱が可能となっていることが好ましい。水素吸蔵ステーション91により水素を吸蔵させる際には、まず水素貯蔵部10を加熱し、その他は上記の実施形態と同様の手順を行い、水素ガス放出バルブV3を開放して水素を触媒燃焼装置120に供給する。
【0037】
[実施形態4]
(水素供給ステーションの構成)
図4は、水素供給ステーション201の構成を示す概略図である。水素供給ステーション201は、アンモニアと水素貯蔵材料とを反応させることで蓄積した水素を放出させ、燃料電池自動車等に水素を供給するステーションである。水素供給ステーション201は、各バルブV21〜V23、ガス流通路L21〜L28、ベローズポンプP21、水素貯蔵部210、熱交換機構220、アンモニア貯蔵部230、冷却機構240およびガスフィルタ250により構成されている。
【0038】
水素ガス導入バルブV21は、水素ガスの導入元からの水素の流入を制御するためのバルブである。ガス流通路L21は、水素ガス導入バルブV21とベローズポンプP21との間でガスを流通させる。
【0039】
ベローズポンプP21(ガス循環駆動部)は、ガス流通路L21に接続され、吸ガス動作と排ガス動作を繰り返すことでガスを押し出し循環させる。ガス流通路L22は、ベローズポンプP21と水素貯蔵部210との間でガスを流通させる。
【0040】
水素を放出した状態の水素貯蔵部210は、容器本体211、蓋212、213、水素貯蔵材料215、フィン216を備えている。容器本体211、蓋212、213により、水素貯蔵材料215を収容する容器を形成している。
【0041】
水素貯蔵材料215は、水素を放出した状態では、水素との反応により水素を吸蔵してアンモニアを放出し、水素を吸蔵した状態では、アンモニアと反応して水素を放出する。たとえば、水素を放出した状態の水素貯蔵材料215には、金属アミド化合物が含まれた材料が用いられる。このとき、水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料215には、金属水素化物が含まれている。
【0042】
金属アミド化合物には、LiNHが挙げられる。このときの金属水素化物は、LiHである。その他の金属アミド化合物には、NaNHが挙げられる。このときの金属水素化物は、NaHである。なお、水素貯蔵材料215とは、この場合の金属水素化物および金属アミド化合物を含めた概念である。水素を放出した状態の水素貯蔵材料215は、金属アミド化合物を指し、水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料215は、金属水素化物を指す。
【0043】
熱交換機構220は、循環ポンプP22、熱交換器221および媒体流路222から構成されている。循環ポンプP22は、媒体を送り出しシステム内を循環させる。熱交換器221は、水素吸蔵時には熱交換により熱源から媒体に熱を伝える。水素放出時には媒体から冷却源に熱を伝える。媒体流路222は、循環ポンプP22および熱交換器221を介して媒体を循環させる流通路である。媒体流路222は、管状に形成され、水素貯蔵部210内を貫通するように設けられ、フィン216と接触している。ガス流通路L23は、水素貯蔵部210とアンモニア貯蔵部230との間でガスを流通させる。アンモニア貯蔵部230は、容器231により形成され、水素吸蔵の際には水素貯蔵部210から発生するアンモニアガスを液化させて液体アンモニア232としてトラップする。
【0044】
冷却機構240は、アンモニア貯蔵部230の周囲に設けられ、アンモニア貯蔵部230を冷却する。冷却機構240は、冷却器241、冷却部242および熱伝導体243から構成されている。冷却器241は、媒体を冷却する装置であり、冷却された媒体を冷却部242に循環させる。熱伝導体243は、アンモニア貯蔵部230に周囲から接しており、アンモニア貯蔵部230の熱を、冷却部242を介して冷却器241に伝える。
【0045】
ガス流通路L24は、アンモニア貯蔵部230とバルブV22との間でガスを流通させる。バルブV22は、水素吸蔵時には開けられている。ガス流通路L25は、バルブV22からガスフィルタ250までガスを流通させる。ガスフィルタ250は、たとえば活性炭、シリカゲル、ゼオライトなどで形成されており、アンモニアガスを遮断し水素ガスを通す。ガス流通路L26は、ガスフィルタ250と水素ガス放出バルブV23との間でガスを流通させる。水素ガス放出バルブV23は、水素放出時に水素ガスを系外にガスの放出を制御するのに用いられる。水素ガス放出バルブV23は、水素の吸蔵時には閉められ、水素の放出時に開けられる。
【0046】
ガス流通路L27はガス流通路L25と圧力センサ255との間でガスを流通させる。圧力センサ255は、流通するガスの圧力の異常を検知する。ガス流通路L28は、圧力センサ255と水素ガス導入バルブV21との間でガスを流通させる。ガス流通路L21〜L25、L27〜L28は、循環経路を形成している。水素吸蔵時には、バルブV22を開けて、水素ガスを循環路に循環させることで水素の吸蔵の効率を向上させることができる。
【0047】
(水素供給ステーションの動作)
このように構成された水素供給ステーション201の使用方法および動作(水素貯蔵方法)を説明する。水素を水素貯蔵部210に貯蔵する場合には、まず、すべてのバルブを閉じた状態から、作業者はバルブV22を開ける。そして、熱交換機構220を作動させて、水素貯蔵材料215の温度を水素吸蔵の反応が活性化する温度まで加熱する。水素貯蔵材料215が、リチウムアミドである場合には、水素貯蔵部210の温度を300℃以上とすることが好ましい。水素貯蔵材料215が、ナトリウムアミドである場合には、水素貯蔵部210の温度を200℃以上とすることが好ましい。一方で、冷却機構240を起動しアンモニア貯蔵部230を冷却する。冷却により維持すべき温度は、アンモニアの気化温度以下であることが好ましく、実際には−50℃以下、−60℃以上とすることが好ましい。
【0048】
水素ガス導入バルブV21を開放し、水素ガスを導入する。ベローズポンプP21を作動させて、水素貯蔵部210内の圧力を上昇させる。水素貯蔵材料215が、リチウムアミドまたはナトリウムアミドである場合には、水素貯蔵部210内の水素の圧力を0.5MPa以上とし、4時間程度圧力を維持することが好ましい。水素貯蔵部210内では水素貯蔵材料215が水素と反応し水素を吸蔵し、アンモニアを放出する。放出されたアンモニアはガス流通路L23を介して、アンモニア貯蔵部230に流入しトラップされる。水素ガスは、ガス流通路L24、L25、L27、L28を流れて水素ガス導入バルブV21まで循環する。ベローズポンプP21による水素ガスの循環を繰り返すことで水素貯蔵材料215との反応が効率よく進み十分な水素の吸蔵が可能となる。このようにして水素貯蔵部210に水素を貯蔵することができる。
【0049】
次に、水素を外部へ供給する際の水素供給ステーション201の使用方法および動作を説明する。まず、すべてのバルブを閉じておく。冷却機構240は作動させずに、アンモニア貯蔵部230を室温に維持する。必要に応じて加熱機構を設け加熱してもよい。その状態で、作業者は水素ガス放出バルブV23を開放する。このとき、アンモニア貯蔵部230では、アンモニアが気化し、ガス流通路L23を通って水素貯蔵部210に流入する。水素貯蔵部210の温度は室温に維持するか、もしくは熱交換機構220により冷却する。水素貯蔵部210内のアンモニアの圧力を0.5MPaに維持する。この際、水素貯蔵部210内では、水素を吸蔵した状態の水素貯蔵材料215による水素放出の反応が進行する。
【0050】
放出された水素ガスは、ガス流通路L22、L21、L28、L27、L25を通ってガスフィルタ250に到達する。そして、ガスフィルタ250を通過した水素ガスのみが水素ガス放出バルブV23から放出され、水素が外部へ供給される。なお、水素貯蔵部210およびアンモニア貯蔵部230は、それぞれカートリッジ式であってもよい。その場合には、アンモニア貯蔵部230をガス流通路L23およびL24と接続するためのアンモニア用取り付け部と、水素貯蔵部210をガス流通路L22およびL23と接続するための水素用取り付け部とを設けておく(図示せず)。
【0051】
[実施形態5]
上記の実施形態では、アンモニア貯蔵部230は、冷却機構240により冷却されることにより、アンモニアをトラップしているが、アンモニアを吸着する吸着材272によりアンモニアを吸着するものであってもよい。
【0052】
図5は、吸着によりアンモニアを貯蔵する水素供給ステーション261の構成を示す概略図である。水素供給ステーション261では、冷却によりアンモニアをトラップするアンモニア貯蔵部230に代えて、吸着材272(アンモニア吸着材)によりアンモニア分子を吸着するアンモニア貯蔵部270が設けられている。図5に示すように、アンモニア貯蔵部270は、容器271および吸着材272から構成されている。容器271は、アンモニアを吸着する吸着材を収容している。吸着材272は、室温でアンモニアを吸着し、加熱されることによりアンモニアを放出する。加熱温度は、たとえば活性炭の場合は200℃程度である。
【0053】
水素供給ステーション261には、冷却機構240に代えて、熱交換機構280が設けられている。熱交換機構280は、循環ポンプP24、熱交換器281および伝熱部282を有し、アンモニア貯蔵部270を加熱または冷却する。循環ポンプP24は、媒体を循環させる。水素吸蔵時には、熱交換器281は媒体から熱を奪う。一方、水素放出時には、熱交換器281は媒体に熱を伝える。伝熱部282は、アンモニア貯蔵部270に接し、媒体が伝える熱によりアンモニア貯蔵部270を加熱する。加熱された吸着材272が活性化し、アンモニアを放出する。水素供給ステーション261により水素放出する際にはあらかじめ熱交換機構280によりアンモニア貯蔵部270を加熱しておく。使用時におけるその他の手順は上記の実施形態と同様である。
【0054】
[実施形態6]
上記の実施形態では、熱交換機構220および熱交換機構280の熱源については特定していないが、熱源として上記の水素供給ステーションから放出された水素エネルギーの廃熱等を用いてもよい。図6は、放出された水素を用いた熱源を熱交換機構の熱源とする水素供給ステーション291の構成を示す概略図である。
【0055】
水素供給ステーション291は、放出された水素の一部により作動する燃料電池2110(水素利用機構)を熱交換機構280の熱源とし、放出された水素を用いた触媒燃焼装置2120(水素利用機構)を熱交換機構220の熱源としている。水素ガス放出バルブV23から供給された水素は、ガス流通路L29を流通し、流量制御装置2100、ガス流通路L30を介して燃料電池2110へ流入する。流量制御装置2100は、燃料電池2110への水素の流量を制限している。ガス流通路L31は、流量制御装置2100とバルブV24との間でガスを流通させる。バルブV24は、外部への水素供給用のバルブである。熱交換器281は、燃料電池2110の廃熱を利用して媒体に熱を伝える。このようにして、熱交換機構280はアンモニア貯蔵部270を加熱する。また、放出された水素を用いて触媒燃焼装置2120で熱を発生させることで熱交換機構220は水素貯蔵部210を加熱する。その結果、水素供給ステーション291では、エネルギーの無駄を省き、水素の貯蔵およびアンモニアの放出を効率よく行うことができる。
【0056】
なお、水素供給ステーション291の起動時には、熱交換機構220および280は廃熱利用なしに加熱が可能となっていることが好ましい。水素供給ステーション291に水素を貯蔵する際には、まず水素貯蔵部210を加熱し、その他は上記の実施形態と同様の手順を行い、水素ガス放出バルブV23を開放して水素を触媒燃焼装置2120に供給する。一方、水素供給ステーション291から水素を供給する際には、まずアンモニア貯蔵部270を加熱し、その他は上記の実施形態と同様の手順を行い、水素ガス放出バルブV23を開放して水素を燃料電池2110に供給する。また、上記の例では、熱交換機構220および280の熱源がそれぞれ触媒燃焼装置2120と燃料電池2110とに分かれているが、熱源は一つであってもよい。
【0057】
[実施形態7]
上記の実施形態では、水素供給ステーションが水素の吸蔵および放出の両方を行うが、水素の放出のみを行うものであってもよい。この場合には、水素ガスをガス流通路により循環させる必要はない。図7は、水素ガスの放出のみを行う水素供給ステーション2131の構成を示す概略図である。
【0058】
水素供給ステーション2131は、水素ガス放出バルブV23、ガス流通路L211〜L216、水素貯蔵部210、熱交換機構220、アンモニア貯蔵部270、熱交換機構280およびガスフィルタ250により構成されている。
【0059】
アンモニア貯蔵部270は、取替えが可能なカートリッジ式であり、容器271および吸着材272から構成されている。アンモニア貯蔵部270をガス流通路L211と接続するためのアンモニア用取り付け部と、水素貯蔵部210をガス流通路L212およびL213と接続するための水素用取り付け部とが設けられている(図示せず)。容器271は、あらかじめアンモニアを吸着した吸着材272を収容している。ガス流通路L211は、放出されたアンモニアを、流量制御装置2140を介して水素貯蔵部210まで流通させる。流量制御装置2140は、アンモニアの流量が大きくなりすぎないように制限する。水素貯蔵部210も、カートリッジ式であることが好ましく、使用時には水素ステーション等によりあらかじめ水素が貯蔵されたものが用いられる。
【0060】
ガス流通路L213は、水素貯蔵部210からガスフィルタ250までガスを流通させる。ガス流通路L214は、ガスフィルタ250を通過した水素を流通させる。ガス流通路L215は、水素ガス放出バルブV23から流量制御装置2100まで水素を流通させる。さらに、ガス流通路L216は、流量制御装置2100から燃料電池2110まで水素を流通させる。ガス流通路L217は、流量制御装置2100とバルブV24との間でガスを流通させる。バルブV24は、外部への水素供給用のバルブである。燃料電池2110の廃熱は、熱交換機構280で利用され、さらには熱交換機構280の媒体により熱交換機構220に熱が伝えられる。
【0061】
なお、水素供給ステーション2131を使用する際には、まずアンモニア貯蔵部270および水素貯蔵部210の加熱を行い、水素ガス放出バルブV23を開放して水素を供給する。このようにして、水素放出専用の水素供給ステーション2131を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態1に係る水素吸蔵ステーションの構成を示す概念図である。
【図2】実施形態2に係る水素吸蔵ステーションの構成を示す概念図である。
【図3】実施形態3に係る水素吸蔵ステーションの構成を示す概念図である。
【図4】実施形態4に係る水素供給ステーションの構成を示す概念図である。
【図5】実施形態5に係る水素供給ステーションの構成を示す概念図である。
【図6】実施形態6に係る水素供給ステーションの構成を示す概念図である。
【図7】実施形態7に係る水素供給ステーションの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0063】
1、61、91 水素吸蔵ステーション
10 水素貯蔵部
11 容器本体
12、13 蓋
15 水素貯蔵材料
16 フィン
20、40、80 熱交換機構
21、81 熱交換器
22 媒体流路
30、70 アンモニア貯蔵部
31、71 容器
32 液体アンモニア
41 冷却器
42 冷却部
43 熱伝導体
50 ガスフィルタ
55 圧力センサ
72 吸着材(アンモニア吸着材)
82 伝熱部
100 流量制御装置
120 触媒燃焼装置(水素利用機構)
L1−10 ガス流通路
P1 ベローズポンプ(ガス循環駆動部)
P2、P4 循環ポンプ
V1 水素ガス導入バルブ
V2 バルブ
V3 水素ガス放出バルブ
201、261、291、2131 水素供給ステーション
210 水素貯蔵部
211 容器本体
212、213 蓋
215 水素貯蔵材料
216 フィン
220、240、280 熱交換機構
221、281 熱交換器
222 媒体流路
230、270 アンモニア貯蔵部
231、271 容器
232 液体アンモニア
241 冷却器
242 冷却部
243 熱伝導体
250 ガスフィルタ
255 圧力センサ
272 吸着材(アンモニア吸着材)
282 伝熱部
2100、2140 流量制御装置
2110 燃料電池(水素利用機構)
2120 触媒燃焼装置(水素利用機構)
L21−L31、L211−L216 ガス流通路
P21 ベローズポンプ(ガス循環駆動部)
P22、P24 循環ポンプ
V21 水素ガス導入バルブ
V22、V24 バルブ
V23 水素ガス放出バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に、水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、
水素を導入する水素導入部と、
前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵部と、
水素吸蔵時に前記水素貯蔵部から放出されるアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備えることを特徴とする水素吸蔵ステーション。
【請求項2】
水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、
水素を導入する水素導入部と、
前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵カートリッジを取り付け可能とする水素用取付け部と、
水素吸蔵時に前記水素貯蔵部から放出されるアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備えることを特徴とする水素吸蔵ステーション。
【請求項3】
水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料に、水素を吸蔵させる水素吸蔵ステーションであって、
水素を導入する水素導入部と、
前記水素貯蔵材料を有する水素貯蔵カートリッジを取り付け可能とする水素用取付け部と、
水素吸蔵時に前記水素貯蔵カートリッジから放出されるアンモニアを貯蔵するために、アンモニア貯蔵カートリッジを取り付け可能とするアンモニア用取付け部と、を備えることを特徴とする水素吸蔵ステーション。
【請求項4】
前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジを冷却する冷却機構を更に備え、
前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジは、冷却により液化されたアンモニアを貯蔵することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵ステーション。
【請求項5】
前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジは、アンモニア分子を吸着するアンモニア吸着材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵ステーション。
【請求項6】
前記水素貯蔵部もしくは水素貯蔵カートリッジを加熱する水素用熱交換機構を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の水素吸蔵ステーション。
【請求項7】
前記水素導入部から出発し、前記水素貯蔵部または水素貯蔵カートリッジを介し、前記アンモニア貯蔵部またはアンモニア貯蔵カートリッジに至り、前記水素導入部に戻る順番でガスを循環させる循環経路を更に備え、
前記ガス循環経路には、主に水素を循環させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の水素吸蔵ステーション。
【請求項8】
前記ガス循環経路に接続され、吸ガス動作と排ガス動作を繰り返すことでガスを循環させるガス循環駆動部を更に備えることを特徴とする請求項7記載の水素吸蔵ステーション。
【請求項9】
水素を供給する水素供給ステーションであって、
水素供給時に、貯蔵されているアンモニアを放出するアンモニア貯蔵部と、
水素貯蔵材料を有し、水素供給時に前記放出されたアンモニアと前記水素貯蔵材料とを反応させて、水素を放出する水素貯蔵部と、を備え、
前記水素貯蔵部から放出された水素を供給対象に供給することを特徴とする水素供給ステーション。
【請求項10】
水素との反応によりアンモニアを放出し水素を吸蔵する水素貯蔵材料を有する水素貯蔵部と、
アンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵部と、を備え、
前記アンモニア貯蔵部から放出されたアンモニアと前記水素貯蔵部内の水素貯蔵材料とを反応させて水素を放出させることを特徴とする複合カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−215103(P2009−215103A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59931(P2008−59931)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、メカノケミカル法グラファイト系及びリチウム系水素貯蔵材料の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】