説明

沖合でのLNGの再ガス化および発熱量の調節のための構成および方法

想定されるプラントの構成および方法は、中間的な温度にある超臨界の気化LNGの流れを使用し、これを膨張させ、膨張させられたLNGの冷却含量が、1つ以上の再圧縮機への供給の流れの冷却および脱メタン装置の還流の凝縮に使用される。そのようにして暖められた膨張LNGの一部分が凝縮させられ、還流として脱メタン装置へと供給される一方で、残りの部分は、膨張させられ、供給流として脱メタン装置へと供給される。最も好ましくは、脱メタン装置の塔頂生成物が、超臨界の気化LNGの流れの一部に混合され、パイプライン製品が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月13日に出願された本出願人の同時係属中の米国特許仮出願第60/911719号の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、沖合でのLNG(液化天然ガス)の再ガス化およびその後の陸上の施設での処理に特に関係する天然ガスの処理である。
【背景技術】
【0003】
沖合でのLNGの再ガス化は、LNGの輸入において受け入れ得る選択肢となっており、再ガス化させたLNGを海中のパイプラインを介して既存の陸上のパイプライン網へと届けることによって、LNGの安全性およびセキュリティに関する懸念を好都合に軽減する。しかしながら、そのようにして届けられる再ガス化済みのLNGは、輸入されるLNGが、多くの場合にガス田およびLNG液化プラントにおけるNGL(天然ガス液)の回収レベルに応じてきわめてさまざまであるため、常に望ましい組成ならびに発熱量またはウォッベ指数を有するわけではない。
【0004】
一般に、発熱量(または、ウォッベ指数)を制御するためのLNGの調節は、LNGをチッ素で希釈することによって陸上で行われる。通常は、LNGが濃いほど、チッ素希釈の量が増やされる。残念ながら、チッ素希釈が必要であるということは、再ガス化後のLNGの不活性成分の含有量も増加するということであり、1170Btu/scfという発熱量を有するLNGが輸入される場合、9体積%に達し得る。このチッ素希釈の量は、3体積%の不活性成分という典型的なパイプラインのガスの仕様をはるかに超える。したがって、チッ素希釈によって発熱量を制御するにしても、輸入されるLNGは、1,100Btu/scf未満の発熱量の供給元に限られなければならず、このことが、LNGの「スポット市場」戦略を制約している。
【0005】
従来技術の図1が、典型的な公知の沖合のLNG再ガス化ターミナル、ならびにガスの加熱およびチッ素による希釈を備える陸上の設備を示している。沖合の施設が、LNG運搬船51からLNG積み下ろしアーム1を介してLNG貯蔵タンク53へとLNGを受け取る。沖合の貯蔵タンクは、固定式または浮上式の設計など、さまざまな種類の設計であってよい(例えば、LNGはしけ、LNG容器、または重力にもとづく構造、など)。積み下ろしおよび通常の蒸発損の際にLNG船から生じる蒸気は、圧縮によって沖合の燃料ガスシステムへと回収される。典型的には200MMscfd〜1,200MMscfdのLNGの送出が、一次取り入れポンプ52によって約100psigにされて、二次ポンプ54へと送られる。典型的には1,200〜2,000psigの高圧のポンプ吐出流2が、LNG気化器81によって40°Fへと加熱され、海中パイプライン56へと入る流れ3が形成される。1,200MMscfdのLNGセンドアウトの再ガス化の負荷は、典型的なLNGの組成において約660MM Btu/hrである。ひとたびガスが陸上に達すると、ガスの流れ4は、JTバルブ90において、典型的には800psig〜1,200psigであるパイプライン網の圧力まで下げられる。減圧動作のJT効果によって、導入ガスが、40°Fから約−20°Fへと冷却され、流れ5が形成される。パイプラインの温度の仕様に合致するよう、減圧後のガスが、陸上のヒータ91を使用して再び加熱される。必要な再加熱は、1,200MMscfdのセンドアウトにつき約120MM Btu/hrである。販売ガスの発熱量またはウォッベ指数の制御のために、流れ95を用いるチッ素による希釈が、販売ガス21のパイプラインの仕様に合致するように、再加熱後のガスへと注入される。
【0006】
したがって、従来からの沖合でのLNG再ガス化方法は、かなりの入熱を必要とする。典型的には、1,200MMscfdのLNGセンドアウトの40°Fへの再ガス化に、海水、燃料ガスの点火、または発電プラントからの廃熱から供給される約780MM Btu/hrの熱の仕事が合計で必要である。結果として、エネルギー効率に優れ、環境に優しい空気式交換機の使用が、大きな土地が必要であるがために、沖合の設備においては、通常は現実的でない。残念ながら、他の種類の公知の気化器は、すべてではないかもしれないが大部分が環境に悪影響を及ぼす。例えば、海水気化器は、付近の海洋生物に壊滅的な打撃を与える傾向にあり、燃料の燃焼の使用は、気体排出物および液体排出物を生じる。沖合のLNG再ガス化施設のさらなる公知の方法が、例えば米国特許第6,089,022号明細書に示されているように提案されており、LNGが、海水を熱源として使用してLNGタンカーの船上で再ガス化された後で、陸上の施設へと移されている。
【0007】
輸入LNGのBtuを制御するための他の公知の方法および構成は、再沸器を用いる脱メタン装置においてLNGを気化させること、および脱メタン装置の塔頂を再び液体へと凝縮させ、これをポンプでくみ上げて気化させることを含むプロセスにて、LNGからC2+の炭化水素を取り除くことである(例えば、米国特許第6,564,579号明細書を参照されたい)。そのようなプロセスの沖合の設備は、きわめて高価につき、特にはそのようにして生成されるプロパンおよびより重い液体の貯蔵に関連する危険および安全性リスクなど、問題が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、沖合でのLNGの再ガス化について、多数の構成および方法がこの技術分野において知られているが、多数の問題が残されている。例えば、すべての公知の沖合での再ガス化の構成は、排出物を生成し、さらには/あるいは環境への影響が大きい。また、沖合でのBtuおよび発熱量の制御は、多くの場合、コストおよび安全上の懸念ゆえに非現実的である。したがって、沖合でのLNGの再ガス化のための、改善されかつ環境にとって容認可能な方法および構成であって、Btuおよび発熱量の制御のために陸上のLNG処理に効率的に組み合わせることができる方法および構成を提供することに、依然としてニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、LNGの再ガス化および処理のさまざまなプラント構成および方法であって、LNGが臨界圧力で中間温度へと気化させられる構成および方法に関する。次いで、そのように再ガス化されたLNGの膨張が、再圧縮機への供給の冷却および還流の凝縮のための別個の冷却の流れをもたらすために使用され、好ましくは、これらの流れが、さらに減圧および冷却される脱メタン装置への供給および還流を形成するために混合される。いくつかの利点の中でもとりわけ、想定されるシステムは、C2およびさらに重い成分の回収を可能にする充分に低い温度を有する脱メタン装置の還流の流れの形成を可能にする。
【0010】
本発明の主題の一態様においては、天然ガス製品を供給する方法が、−20°F〜20°Fの温度にある超臨界の気化LNGを、LNG処理ユニットへと供給するステップを含む。別のステップにおいて、気化LNGが、LNG処理ユニットにおいて膨張させられ、膨張させられた気化LNGの冷却含量が、第1(および、随意による第2)の再圧縮機への供給および還流凝縮器(例えば、脱エタン装置の還流凝縮器)へと冷却をもたらすために使用されて、加熱された気化LNGの流れが形成される。そのようにして加熱された気化LNGの流れが、第1および第2の部分へと分割され、第1の部分が凝縮させられて、少なくともC2成分の回収に充分な温度を有する脱メタン装置のための還流の流れが形成される一方で、第2の部分が、ターボ膨張させられ、脱メタン装置の塔頂生成物を生成する脱メタン装置へと供給される。
【0011】
好ましくは、再ガス化ユニットが、LNGの組成および/または所望されるC2回収の関数である温度へとLNGを再ガス化させるように運転され、最も好ましくは、超臨界の気化LNGが、沖合の(例えば、50kmを超えて沖合の)再ガス化ユニットから供給される。多くの場合、超臨界のLNGが、少なくとも1200psigの圧力を有しており、脱メタン装置が、脱メタン装置の塔底の臨界圧力(例えば、約550psig〜700psigの間)を少なくとも約10%下回る圧力で運転される。またさらなる好ましい態様においては、脱メタン装置が、脱メタン装置の塔底生成物を受け取り、脱メタン装置の動作圧力未満で運転される脱エタン装置へと接続される。所望であれば、超臨界の気化LNGの一部分の圧力を下げ、脱メタン装置の塔頂生成物と混合してパイプライン製品を形成することもさらに想定される。
【0012】
したがって、本発明の主題の別の態様においては、ガス処理プラントが、−20°F〜20°Fの温度にある超臨界の気化LNGをもたらすように構成されたLNG気化器を含む。さらに、そのようなプラントが、気化器へと接続され、気化したLNGを膨張させて、冷却された膨張LNGの流れを形成するように構成された膨張器と、それぞれ第1の再圧縮機への供給および還流凝縮器(脱エタン装置の還流凝縮器)へと冷却をもたらすように構成された第1および第2の熱交換器とを備え、第1および第2の熱交換器が、冷却された膨張LNGの流れの冷却含量を使用するようにさらに構成されていることで、加熱された気化LNGの流れが形成される。加熱された気化LNGの流れの第1の部分を凝縮させるように構成された第3の熱交換器を含んでもよい。そのようなプラントの脱メタン装置は、好ましくは、凝縮させられた第1の部分を還流として受け取って、脱メタン装置の塔頂生成物をもたらすように構成され、ターボ膨張器が、加熱された気化LNGの流れの第2の部分を膨張させて、脱メタン装置への供給を形成するように構成される。
【0013】
最も好ましくは、LNG気化器が、典型的には少なくとも1200psigの圧力のLNGをもたらす沖合の気化器である。本発明の主題によるプラントが、LNG気化器へと作用可能に接続され、再ガス化されたLNGの温度をLNGの組成および/または所望されるC2回収の関数として制御する制御ユニットを含むことが、またさらに好ましい。さらには、想定されるプラントの脱メタン装置は、脱メタン装置の塔底の臨界圧力を少なくとも約10%(例えば、10〜20%の間)下回る圧力で運転されるように構成され、最も典型的には、約550psig〜700psigの間の圧力で運転されるように構成される。脱エタン装置が、好ましくは脱メタン装置へと接続され、脱メタン装置が、塔底生成物を脱エタン装置へと供給し、脱エタン装置が、脱メタン装置の動作圧力よりも低い圧力での脱エタン装置の動作を可能にするように構成される。所望であれば、脱メタン装置の塔頂生成物を超臨界の気化LNGの一部(典型的には、途中まで減圧される)と混合することを可能にする迂回路を備えることができる。
【0014】
本発明の種々の目的、特徴、態様、および利点が、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術の図であり、典型的な沖合のLNG再ガス化プラントの概略図である。
【図2】本明細書において想定される沖合のLNG再ガス化プラントの一典型的な構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者は、LNGが超臨界圧(例えば、1200psig〜1800psig)で中間温度へと気化させられる簡単かつ効果的な方法で、LNGの再ガス化および処理が可能であることを発見した。最も好ましくは、そのように気化させられたLNGが、沖合の外気式蒸発器から輸出および/またはBtu制御のためにC2+の炭化水素を回収する陸上の処理ユニットへと運ばれ、処理ユニットにおいて、比較的低い温度および高い圧力が、LNGの分留のための冷却の仕事をもたらす。
【0017】
特に好ましい態様においては、超臨界の気化LNGが膨張させられ、プロセスの所与のステップに冷却をもたらす種々の別々の流れへと分割される。冷却をもたらした後で、流れは、典型的には、再び合流させられ、必要であれば冷却され、さらには減圧されて、脱メタン装置の還流および供給流を形成する。超臨界の陸上ガスの少なくとも一部分の膨張が、再圧縮機を駆動するための動力および脱エタン装置の還流をもたらすだけでなく、再圧縮機の供給温度を大幅に低下させることも可能にすることは、特に理解されるべきである。より低温の圧縮機の吸入は、以下の式T/T=(P/P[(γ−1)/γ]に従って再圧縮機の吐出圧力を大幅に高め、ここで、γ=C/Cであって、Cは定圧比熱であり、Cは定積比熱であり、TおよびPは、圧縮機の吸入温度および圧力であり、TおよびPは、圧縮機の吐出温度および圧力である。ガスの吸入温度(T)が低いほど、吐出圧力(P)は高くなる。別の観点から見ると、LNGの再ガス化の加熱の少なくとも一部分が、圧縮機の吐出および還流凝縮器からの廃熱によってもたらされ、したがって外部の冷却の必要がなくなる。
【0018】
さらに、LNGを中間温度(例えば、約−20°F〜20°Fの間)へと気化させることは、さまざまな利点をもたらすことに注意されたい。最も有意には、より低いLNG再ガス化出口温度(例えば、−20°F)は、再ガス化後のLNGが典型的には40°Fの温度を有する従来からのLNG再ガス化プロセスと比べ、大幅に少ない加熱の仕事(約40%)しか必要としない。結果として、熱伝達面積が大きくなくてもよく、したがってより小型であって専有面積の少ない外気式の交換器が利用可能となる、加熱の仕事がより少なく、MTD(平均温度差)が大きいため、今や沖合の外気式交換器を実現することが可能である。好ましくは、このようにして再ガス化されたLNGが、海底のパイプラインを介して陸上の施設へと運ばれる。さらに後述されるとおり、再ガス化されたLNGの温度が、LNGの組成および/または所望される陸上でのC2+の回収に依存し、比較的簡単な方法で制御され得ることに注意されたい。
【0019】
特に好ましい構成においては、想定されるプラントが、2カラム式のプラントとして建設され、第1のカラムが、還流式の脱メタン装置として機能し、第2のカラムが、エタンの塔頂蒸気および塔底のC3+生成物(すなわち、3つ以上の炭素原子を有する化合物を含む生成物)を生成する脱エタン装置として機能する。そのような構成は、供給の流れの温度および分割比を変更することによって、成分の分離の変更ならびに種々のC2生成および/またはBTU制御のレベルを好都合に可能にする。これに代え、あるいはこれに加えて、再ガス化ユニットからの気化LNGの一部を脱メタン装置の塔頂生成物と混合できるようにする迂回の導管を組み込むことができる。
【0020】
2カラムのプラント構成の1つの典型的な仕組みが、図2に示されている。ここで、プラントは、LNG運搬船51からLNGを受け取る沖合のLNG再ガス化ターミナルを備える。LNGが、積み下ろしアームによって運搬船から沖合のLNG貯蔵タンク53へと積み下ろされる。LNG貯蔵タンクは、重力にもとづく構造物、海上LNG容器、あるいは他の固定または浮上の構造体であってよい。典型的なLNGの組成(流れ1)およびBTU低減ユニットにおける全体の原料バランスが、表1に示されている。
【表1】

【0021】
貯蔵タンクからのLNGが、一次ポンプ52によって、典型的には約100psigの中間圧力にされる。本明細書において使用されるとき、用語「約」は、数値との組み合わせにおいて、その数値の絶対値を下回ること20%から出発してその数値の絶対値を上回ること20%までの値の範囲(下回ること20%の値および上回ること20%の値も含む)を指す。例えば、用語「約−100°F」は、−80°F〜−120°Fの範囲を指し、用語「1000psig」は、800psig〜1200psigの範囲を指す。上述の加圧されたLNGが、1つ以上の二次ポンプ54によって、典型的には約1200psig〜約2200psigの超臨界圧へとさらに高められ、流れ2が形成される。次いで、超臨界のLNGが、沖合のLNG気化器81において典型的には約−20°F〜約20°Fにある中間温度へと加熱され、流れ3が形成される。中間温度が、主としてLNGの組成ならびに/あるいは所望のC2回収レベルおよび/またはBTU低減によって決定されることに、注意されたい。最も典型的には、気化器の出口温度が、より高度のC2+抽出および/またはBtu低減が必要とされる場合に、より低くなる。従来からのLNG気化器を再ガス化施設に使用することができるが、大気式の気化器あるいは廃熱および/または大気の加熱を利用する中間流体式の気化器を使用することが、通常は好ましい。図2に示されているように、気化設備が沖合に位置することが、通常は好ましい。次いで、このように加熱されたLNGが、海底パイプライン56(典型的には、熱的に絶縁されている)を介して陸上の施設へと運ばれる。
【0022】
ひとたび超臨界の気化した流れ5が陸上に達すると、これが2つの部分、すなわち流れ4および流れ18へと分割されるが、これらの流れの間の比は、所望のC2回収またはBTU低減レベルに応じて決まる。比較的高いC2回収のためには、流れ18および4の間の比がより高くされる一方で、少ないC2回収のためには、流れ18および4の間の比がより低くされる。流れ4は、典型的には、分留ユニットを迂回し、さらなる処理を受けることなく残余のガス流20と混合され、ガスパイプラインへと供給される販売ガスの流れ21が形成される。必要であれば、流れ4の圧力が、ほぼパイプラインの圧力へと減圧され、膨張を冷却および/または仕事をもたらすために使用することができる。さらに、余分なエタンの流れ27も、混合装置(図示されていない)を使用してこのガス流に混合することができる。また、陸上の蒸気の一部分が第1のターボ膨張器を迂回することで、下流の処理ユニットのサイズを小さくすることができ、陸上のBTU低減ユニットの初期コストが下げられることに、注目されたい。当然ながら、迂回させられる原料の実際の量は、主として、輸入LNGのBTU含有量、パイプラインガスの発熱量の要件、ならびに/あるいは所望のC2およびC3+生成物の回収に応じて決まる。
【0023】
流れ18の圧力が第1のターボ膨張器57において下げられ、典型的には約1100psigの圧力および約30°F〜約−60°Fの温度にある流れ6が形成される。最も好ましくは、第1のターボ膨張器57が、後に、この膨張器へと作動可能に接続される第2の再圧縮機86を動作させるための圧縮力の一部を提供する。流れ6の冷却含量が、プラントの種々の部分で使用される。最も好ましくは、流れ6の冷却含量が、(a)流れ9によって交換器74において第1の再圧縮機の吐出流36を冷却するために使用され、(b)流れ8によって交換器75において第2の再圧縮機の吐出流19を冷却するために使用され、(c)流れ7によって脱エタン装置還流凝縮器68において還流凝縮の仕事をもたらすために使用される。このように、冷却の仕事をもたらした後の膨張した蒸気が、2つの部分へと分割され、一方の部分が、第2の膨張器においてさらに膨張して再圧縮機を駆動するための動力をもたらす一方で、他方の部分が、脱メタン装置の塔頂の蒸気によって冷却および凝縮させられ、脱メタン装置への還流をもたらすことを、理解すべきである。典型的には、膨張させられる蒸気の流れの比は、供給ガスの組成、供給ガスの温度、および所望のC2回収にもとづいて決定される。
【0024】
次いで、典型的には、膨張し加熱された流れ(流れ32、30、および34)が混合されて流れ35が形成され、これが2つの部分、すなわち流れ11および12へとさらに分割される。流れ11および12の間の比が、必要に応じて、BTU低減または所望のC2+回収のさまざまなレベルに合致するように調節されることに、注意されたい。多くのC2+を除去する必要がある場合、流れ11に対する流れ12の流量が増やされ、結果として塔頂の交換器64への還流が増加する。塔頂の交換器において、流れ12が、典型的には約−90°F〜約−115°Fの温度へと冷却されて、流れ14が形成される。流れ14の圧力が、JTバルブ62において約600〜約650psigの圧力(脱メタン装置の塔底の臨界圧力よりも少なくとも10%高い)へと下げられ、脱メタン装置63への還流15が形成される。代案として、3つの流れ30、32、および34を必ずしも1つの流れへと組み合わせる必要はなく、2つの流れへと組み合わせてもよい(例えば、流れ30および32が組み合わせられて、脱メタン装置への供給として使用できる第1の流れを形成し、流れ34は、組み合わせられずに、脱メタン装置の還流として使用することができる第2の流れを形成する)。第2のターボ膨張器61において生成された動力が、好ましくは第1の再圧縮機85を駆動するために使用される。また、ターボ膨張器61は、流れ13を介して供給ガスに冷却をもたらし、脱メタン装置における精留の仕事の一部を提供する。
【0025】
脱メタン装置カラム63は、典型的には、約600psig〜約650psig(あるいは、それ以上)の間の圧力で動作し、塔頂の流れ16および塔底の流れ22を生み出す。これら2つの流れの温度が、所望のC2+回収のレベルに応じてさまざまであることに、注意されたい。例えば、高いC2回収の際には、塔頂の温度が、好ましくは、エタンおよびより重い成分の回収に必要とされるとおり、約−110°F〜約−145°Fに保たれる。脱メタン装置カラムの塔底の温度は、横再沸器73および塔底再沸器71によって保たれる。より低いC2+回収の際には、塔頂の温度を、塔頂のC2成分の一部の拒絶において必要とされるとおり、約−60°F〜約−90°Fの温度へと高めることができる。脱メタン装置の塔頂の流れ16の冷却含量が、熱交換器64において還流12に冷却をもたらすことによって回収される。次いで、そのように加熱された流れ17が、第2のターボ膨張器へと動作可能に接続された圧縮機85によって圧縮されて、典型的には約−5°F〜約10°Fの温度にある流れ36が形成され、流れ36が、膨張したガス流9の冷却含量を使用して交換器74においてさらに冷却され、これが、第1のターボ膨張器57によって駆動される再圧縮機86によってさらに圧縮され、約800psig〜約1200psigの圧力の流れ19が形成される。必要であれば、残余のガスの圧力を販売ガスのパイプライン圧力へと高め、バイパス流れ4および余分なエタンの流れ27にさらに混合される流れ20を形成するために、圧縮機65を追加することができる。またさらなる好ましい実施形態においては、1つ以上の追加の圧縮機を、高いパイプライン配送圧力が必要とされる場合に追加することができる。圧力を高める前に、流れ19を冷却して流れ31を形成するために交換器75を使用し、その後に流れ31を、圧縮機65によって圧縮してもよい。
【0026】
脱メタン装置カラムの塔底の流れ22の圧力が、脱エタン装置カラム67の上部へと入る前に、JTバルブ66によって約200〜約450psigの圧力へと下げられ、流れ23が形成される。脱エタン装置は、典型的には、C2の豊富な塔頂の液体28およびC3+塔底生成物の流れ25を生成するように構成された従来からのカラムである。塔頂の蒸気24が、膨張した供給ガス流7によってもたらされる冷却によって、還流凝縮器68において凝縮させられ、流れ26が形成される(流れ7は、加熱された流れ34となる)。エタンの流れ28が、還流ドラム69において冷却された塔頂の流れ26から取り出される。流れ28の一部が、還流ポンプ70によって送られ、脱エタン装置カラムへの還流としての流れ29が形成され、別の一部(流れ55)を、石油化学原料として販売することができる。残りの流れは、製品ガスとの任意の混合のための流れ27として送られる。脱エタン装置カラムにおける加熱の要件は、外部の熱源を使用する再沸器72によって供給される。
【0027】
さらに、脱メタン装置を、外気、廃熱、および/または中間の流体システムからの熱を使用して、低レベルの熱源からの熱で再沸騰させること、および脱エタン装置を、膨張した導入ガスから生成される冷媒を使用して還流させることが、さらに好ましい。より典型的には、想定されるプラントにおいては、脱メタン装置が、これまでに公知のプラントおよび方法における脱メタン装置(典型的には、約400〜450psigで運転される)よりも大幅に高い圧力で、分留の効率を犠牲にすることなく運転される。したがって、想定される脱メタン装置の圧力は、典型的には、約600〜約650psigである。より高い脱メタン装置の圧力が、再圧縮機への吸気圧力がより高く、したがって上述の式1に従って再圧縮機の吐出圧力が高められるため、望ましいことに注意されたい。しかしながら、動作圧力は、脱メタン装置の塔底の臨界圧力を少なくとも約10%下回るように保たれなければならない。
【0028】
そのような方法において、膨張した供給ガスの流れが、脱メタン装置塔底生成物をさらに生み出す脱メタン装置において処理され、塔底生成物が、エタン製品およびプロパン含有製品の少なくとも一方を生成すべくより低い圧力で動作する少なくとも1つの下流のカラムにおいてさらに処理されることが、さらに好ましい。想定されるプロセスからのC2液体が、販売または石油化学プラントへの輸出に適する一方で、余分なC2を、薄い製品ガスに混ぜ合わせてパイプラインの仕様に合致する発熱量および/またはウォッベ指数の販売ガスを形成するために送ることができることに、注意されたい。
【0029】
したがって、LNG再ガス化施設が、LNGの供給源(例えば、LNG運搬船、あるいは海中または海上のLNGタンクまたはキャリア)を受け取る沖合の施設と、供給源に流体的に接続されたポンプとを含み、ポンプがLNGを超臨界圧へと高めることは予測される。沖合の再ガス化ユニット、好ましくは外気式の気化器が、ポンプへと接続され、超臨界のLNGを所定の温度(約−20°F〜約20°F)へと再ガス化させるべく運転される。最も好ましくは、コントローラが、陸上の分留施設に作用可能に結びつけられ、再ガス化されたLNGの温度を、ガスの組成および所望のC2回収に応じて設定する。特に好ましいコントローラは、再ガス化ユニットの動作を制御して、気化した超臨界のLNGの温度を制御し、特に好ましいコントローラは、気化した超臨界のLNGの温度を決定するために、組成情報および/または所望のC2回収を使用するようにさらに構成される。
【0030】
本明細書において使用するために適したさらなる考慮事項、構成、および方法が、ここでの言及によって本明細書に援用されるWO2006/066015として公開された本出願人の国際公開パンフレットに記載されている。
【0031】
このように、沖合でのLNGの再ガス化およびBTU制御のための特定の実施形態および応用を開示した。しかしながら、すでに述べたものの他にもさらに多数の変形が、本発明の考え方から離れることなく可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、想定される構成および方法の沖合部分を、部分的または完全に陸上に配置および/または動作させてもよい。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の技術的思想を除き、決して限定されない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両者の解釈において、すべての用語は、文脈に矛盾しない可能な限り広い様相で解釈されなければならない。特には、用語「備える(comprises)」および「備える(comprising)」は、構成要素、成分、またはステップに非排他的な様相で言及しており、言及対象の構成要素、成分、またはステップが存在でき、言及対象の構成要素、成分、またはステップを利用でき、あるいは言及対象の構成要素、成分、またはステップを明示的には言及されない他の構成要素、成分、またはステップと組み合わせてもよいことを示していると解釈されるべきである。さらに、言及によって本明細書に援用される参考文献における用語の定義または使用が、本明細書に提示されるその用語の定義に矛盾または反対する場合には、本明細書に提示されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は採用されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス製品を供給する方法であって、
−20°F〜20°Fの温度にある超臨界の気化LNGを、LNG処理ユニットへと供給するステップ、
LNG処理ユニットの気化LNGを膨張させ、膨張させた気化LNGの冷却含量を使用して第1の再圧縮機への供給および還流凝縮器へと冷却をもたらすステップであって、これにより加熱された気化LNGの流れを形成する、ステップ、
加熱された気化LNGの流れを、第1および第2の部分へと分割するステップ、
少なくともC2成分の回収に充分な温度を有する還流の流れを、脱メタン装置のために形成するように第1の部分を凝縮させ、さらに第2の部分をターボ膨張させ、膨張させた第2の部分を脱メタン装置へと供給するステップ、および
脱メタン装置の塔頂生成物を生成するステップを含む、方法。
【請求項2】
再ガス化ユニットが、LNGの組成および所望されるC2回収の少なくとも一方の関数である温度へとLNGを再ガス化させるように運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超臨界の気化LNGが、沖合の再ガス化ユニットから供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
超臨界のLNGが、少なくとも1200psigの圧力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
脱メタン装置が、脱メタン装置の塔底の臨界圧力を少なくとも約10%下回る圧力で運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脱メタン装置が、約550psig〜700psigの間の圧力で運転される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
脱メタン装置が、脱メタン装置の塔底生成物を受け取り、脱メタン装置の動作圧力よりも低い圧力で運転される脱エタン装置へと接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
超臨界の気化LNGの一部分の圧力を減圧し、この減圧された一部分を脱メタン装置の塔頂生成物と混合してパイプライン製品を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
膨張させた気化LNGの冷却含量を使用して、第2の再圧縮機への供給へと冷却をもたらすステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
還流凝縮器が、脱エタン装置の還流凝縮器である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
−20°F〜20°Fの温度にある超臨界の気化LNGをもたらすように構成されたLNG気化器、
気化器へと接続され、気化したLNGを膨張させて、冷却された膨張LNGの流れを形成するように構成された膨張器、
それぞれ第1の再圧縮機への供給および還流凝縮器へと冷却をもたらし、冷却された膨張LNGの流れの冷却含量を使用して、加熱された気化LNGの流れを形成するように構成された第1および第2の熱交換器、
加熱された気化LNGの流れの第1の部分を凝縮させるように構成された第3の熱交換器、また、凝縮させた第1の部分を還流として受け取るように構成され、塔頂生成物をもたらすようにさらに構成された脱メタン装置、および
加熱された気化LNGの流れの第2の部分を膨張させて、脱メタン装置への供給を形成するように構成されたターボ膨張器
を備える、ガス処理プラント。
【請求項12】
LNG気化器が、沖合の気化器である、請求項11に記載のプラント。
【請求項13】
LNG気化器が、少なくとも1200psigの圧力のLNGをもたらすように構成されている、請求項12に記載のプラント。
【請求項14】
LNG気化器へと作用可能に接続された制御ユニットをさらに備え、制御ユニットが、再ガス化されたLNGの温度を、LNGの組成および所望されるC2回収の少なくとも一方の関数として制御するように構成されている、請求項11に記載のプラント。
【請求項15】
脱メタン装置が、脱メタン装置の塔底の臨界圧力を少なくとも約10%下回る圧力で運転されるように構成されている、請求項11に記載のプラント。
【請求項16】
脱メタン装置が、約550psig〜700psigの間の圧力での運転を可能にするように構成されている、請求項11に記載のプラント。
【請求項17】
塔底生成物を脱エタン装置へ供給する脱メタン装置へ、流体的に接続された脱エタン装置をさらに備える、請求項11に記載のプラント。
【請求項18】
脱エタン装置が、脱メタン装置の動作圧力よりも低い圧力での脱エタン装置の動作を可能にするように構成されている、請求項11に記載のプラント。
【請求項19】
脱メタン装置の塔頂生成物を超臨界の気化LNGの一部と混合することを可能にする迂回路をさらに備える、請求項11に記載のプラント。
【請求項20】
還流凝縮器が、脱エタン装置の還流凝縮器である、請求項11に記載のプラント。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−523921(P2010−523921A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502991(P2010−502991)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/026281
【国際公開番号】WO2008/127326
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】