説明

油中水型乳化組成物及び化粧料

【課題】 経時安定性に優れ、伸展性に優れて良好な使用感を有し、安全性及び使用時の利便性を併せ持つ油中水型乳化組成物を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が10〜500nmであるセルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子の群から選ばれた少なくとも1種類の微粒子を含有する油中水型乳化組成物であり、前記セルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子のアスペクト比L/D(ここで、Lはセルロース微粒子又はセルロース複合体微粒子の長径を示し、Dは短径を示す。)が1.3以下の微粒子であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化組成物に関し、より詳細には経時的安定性に優れ、滑らかで伸展性のよい油中水型乳化組成物、及びこれを用いた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乳化タイプが油中水型である油中水型乳化組成物は、化粧クリームなどの化粧料、医薬用軟膏剤、バターやチーズなどの食料品、などの広い分野において用いられている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
一般的に、油中水型乳化組成物は、分散安定性のために有機変性粘度鉱物などの増粘剤が添加されるが、これにより油中水型乳化組成物の伸びが低下しベタツキのある使用感を受けるようになり、逆に増粘剤が未添加の場合は粘度が低下し2層に分離しやすく使用時に容器を振って混合させる必要があり利便性に欠けるという問題があった。
【特許文献1】特開平7−107906号公報
【特許文献2】特開2000−309503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、経時安定性に優れ、伸展性に優れて良好な使用感を有し、安全性及び使用時の利便性を併せ持つ油中水型乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、平均粒子径が10〜500nmであるセルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子の群から選ばれた少なくとも1種類の微粒子を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物である。
【0006】
本発明の油中水型乳化組成物においては、前記セルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子のアスペクト比L/D(ここで、Lはセルロース微粒子又はセルロース複合体微粒子の長径を示し、Dは短径を示す。)が1.3以下の微粒子であることが好ましい。
【0007】
また、本発明の油中水型乳化組成物は、無機粉体を配合してもよく、この場合は親油性界面活性剤に加えて親水性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0008】
そして、本発明は上記の油中水型乳化組成物を含んでなることを特徴とする化粧料にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型乳化組成物によれば、水相でセルロース微粒子やセルロース複合体微粒子が適度の増粘作用を発現し、経時的安定性に優れ、伸展性が良くザラツキやベタツキのない良好な使用感と使用性を併せ持つことができ、これを用いた化粧料や医薬用軟膏等の乳化製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の油中水型(W/O)乳化組成物は、油相中に平均粒子径が10〜500nmであるセルロース微粒子やセルロース複合体微粒子を分散させた水相を分散させることで乳化組成物の経時安定性を改善し、伸展性を向上し伸びを良好にし、さらに、無機粉体を含有するW/O乳化組成物においては、親油性界面活性剤に親水性界面活性剤を組み合わせることによってその作用効果をさらに向上させるものとなる。
【0011】
本発明に用いられるセルロース微粒子としては、植物繊維から得られる天然セルロース、パルプ、精製リンターや牛乳、大豆などのタンパク質から再生される再生セルロースからなる天然由来のセルロース微粒子が用いられる。
【0012】
また、セルロース複合体微粒子とは、上記のセルロースに紫外線遮蔽剤、染料、顔料、シリカ化合物、香料などの機能性成分を分散または吸着させた微粒子である。
【0013】
本発明のW/O乳化組成物では、上記セルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子の群から1種類または2種類以上を選択し組み合わせて使用することができる。
【0014】
セルロース微粒子やセルロース複合体微粒子は、平均粒子径が10〜500nm、好ましくは10〜200nmであり、微細で、かつ球状に近い微粒子が好ましい。前記粒子径が10nm未満であると粒子の捕捉効率が極端に低下し、500nmを超えると乳化物の経時安定性の改善効果が悪化し好ましくない。
【0015】
上記セルロース微粒子やセルロース複合体微粒子は、球状に近いものほど粒子表面が平滑でありザラツキ感が少なく、また自己凝集性が小さくなり保水性や吸油性を高めて伸展性と経時的安定性を向上することができる。この観点から、微粒子のアスペクト比L/D(ここで、Lはセルロース微粒子又はセルロース複合体微粒子の長径、Dは短径を示す)は1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。
【0016】
なお、上記微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により3000倍で拡大した画像からランダムに抽出した50個の粒子の粒子径を測定し平均値を求めた。また、アスペクト比L/Dは、上記平均粒子径の測定方法に準じて粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、その平均値からL/Dを求めた。
【0017】
本発明におけるセルロース微粒子は、例えば、無機酸水溶液にセルロースを溶解させたセルロース溶液を水または水を50重量%以上含む凝固剤中に再沈殿させてセルロースの懸濁液を調整し、その懸濁液中のセルロースに酸加水分解処理を施し、次いでその懸濁液から酸を除去した後にビーズミル、ニーダー等の湿式磨砕機により高度粉砕処理を行うことで製造することができ、セルロース複合体微粒子は上記したようにセルロース微粒子に1種類以上の機能性成分を分散または吸着させ得ることができる。なお、セルロース微粒子を高度粉砕処理する場合には、より低濃度で処理したほうが最終乳化物の伸展性、安定性が良好である。
【0018】
このセルロース微粒子やセルロース複合体微粒子を、例えばセルロース微粒子をマイクロフルタイザーにかけて所定のセルロース濃度になるように水中に分散させることで、W/O乳化組成物の水相を構成する水分散体が得られる。この場合のセルロース微粒子やセルロース複合体微粒子の配合量は水に対して0.5〜10重量%程度であることが好ましく、0.5重量%未満では伸展性や安定性の効果が得られず、10重量%を超えると粘度の上昇により乳化し難くなり、また分散不良を起こしやすくなり伸展性が低下し好ましくない。
【0019】
また、本発明のW/O乳化組成物においては、着色顔料、体質顔料、紫外線防御剤としての無機粉体、さらに、乳化剤として作用させ乳化物の安定性をよくする親油性界面活性剤を含有することができる。また、親油性界面活性剤に親水性界面活性剤を組み合わせることで乳化安定性が向上し、無機粉体を配合した系では分散性及び分散安定性を向上させることができる。
【0020】
無機粉体としては、例えば、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、群青、オキシ塩化ビスマス、水酸化クロム、雲母チタン、酸化アルミニウム、コバルト、紺青、カーボンブラック、ケイ酸マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。また、油相への分散性を向上するためシリコーン処理、デキストリン脂肪酸処理等の疎水化処理された粉末が好ましい。これらの1種類または2種類以上を併用することができる。さらに、有機物粉末、金属顔料等の任意の粉末を配合してもよい。
【0021】
親水性界面活性剤としては、HLBが8〜18程度である界面活性剤が使用でき、中でも経時安定性を向上させる点で親水性のショ糖脂肪酸エステルが好ましく、例えばステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース等が挙げられる。
【0022】
また、親油性界面活性剤としては、HLBが1〜6程度の界面活性剤が使用でき、エルカ酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース等の親油性のショ糖脂肪酸エステル、ジイソステアリン酸グリセリン、ポリエーテル変性シリコン、ペンタイソステアリン酸デカグリセリン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの親油性の界面活性剤は1種類または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明において、油相を構成する油分としては、液状、固形状、半固形状のものが使用でき、例えば、シリコーンワックス、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリヘキサノエート、イソプロピルミリステート等のエステル油、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油、ヒマシ油、オリーブ油、椿油、ホホバ油、ラノリン等の天然動物植物油、高級アルコール、フルオロカーボン等が挙げられ、これらの1種類または2種類以上を混合して用いることができる。
【0024】
また本発明では、上記成分に加えて本発明の効果を損わない範囲で通常化粧料、医薬部外品等に用いられる成分を配合することができる。このような成分としては、例えば水、油分、保湿剤、ワックス、界面活性剤、粉末、分散剤、防腐剤、香料、薬剤、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。
【0025】
例えば、油分としては、上記油相成分に用いられるものと同様の油分が使用できる。
【0026】
また、保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子、乳酸ソーダ、クエン酸ソーダ、グルタミン酸ソーダ、2−ピロリドンカルボン酸ソーダ、食塩、塩化マグネシウム等の塩類等が挙げられる。配合量としては、1〜30重量%程度が好ましい。
【0027】
また、界面活性剤としては、前述の他に高級脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸塩等が用いられる。
【0028】
増粘剤としては、カラギーナン等植物系ガム類、デキストラン、ヒアルロン酸等の多糖類、ゼラチン、アルブミン等の蛋白類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキシド等の合成高分子等がある。
【0029】
その他の防腐剤、香料、顔料、薬剤、紫外線吸収剤等は、例示しないが化粧料に使用可能な既存物質を適宜適量とすることができる。
【0030】
本発明のW/O乳化組成物は、油相と水相との比率は特に限定されないが、好ましくは重量比で油相:水相=50〜10:50〜90、より好ましくは油相:水相=40〜20:60〜80である。油相が10重量%未満では安定な乳化物を得ることが困難となり、50重量%を超えると油分によるベタツキによって使用感が低下する。
【0031】
このW/O乳化組成物は、例えば、スクワラン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メトキシケイヒ酸オクチルなどの油分に酸化チタンや酸化亜鉛などの無機粉体、親油性界面活性剤を含む油相成分を80℃程度で加熱溶解させ均一化した油相部を形成し、水相部として、例えばセルロース濃度1.5%のセルロース微粒子分散水溶液に親水性界面活性剤や1,3−ブチレングリコールなどの保湿剤を投入して80℃程度に加熱溶解させ、水相に油相を加えながらホモミキサーなどで撹拌し脱気、冷却し乳化物を収容して得られる。
【0032】
本発明の化粧料は、前記W/O乳化組成物をセルロース微粒子として化粧料中に0.5〜10重量%含むものであり、安全な天然由来のセルロース類を含有することで市場に好まれ、経時安定性に優れるとともにザラツキやベタツキ感がなく伸展性の良い化粧料として、例えば、メイクアップ化粧料、日焼け止め乳液、保湿クリーム、乳化ファンデーション、ヘアクリームなどの乳化化粧料、クリーム製剤などの医薬軟膏品などを提供するものとなる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、配合量は重量%である。
【0034】
表1に示すセルロース微粒子に関する実施例1〜6、比較例1〜3、及び表2に示すセルロース複合体微粒子に関する実施例7の各W/O乳化組成物を、下記成分を用いて表に記載の配合量で下記の方法により調整し、各W/O乳化組成物の伸展性(伸び試験)と経時安定性について下記の試験方法に従い評価した。結果を表1、2に示す。
【0035】
[表1の成分]
・デカメチルシクロペンタシロキサン:信越化学工業(株)KF995
・スクワラン:スクアテック(株)スーパースクワラン
・メトキシケイヒ酸オクチル:アイエスピージャパン(株)エスカロール557
・酸化チタン:石原産業(株)TTO−55(C)
・酸化亜鉛:三好化成(株)SAS−UFZO−450(13%)
・ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2):第一工業製薬(株)ショ糖脂肪酸エステルR−20
・ジイソステアリン酸グリセリン:日本エマルジョン(株)EMALEX DIGS−2EX
・セルロース微粒子分散液(1):セルロース微粒子;平均粒子径20nm、L/D=1.05、濃度4%の分散水溶液
・セルロース微粒子分散液(2):セルロース微粒子;平均粒子径20nm、L/D=1.05、濃度1.5%の分散水溶液
・セルロース微粒子分散液(3):セルロース微粒子;平均粒子径550nm、L/D=1.05、濃度4%の分散水溶液
・セルロース微粒子分散液(4):セルロース微粒子;平均粒子径20nm、L/D=1.40、濃度4%の分散水溶液
・精製水:イオン交換水
・1,3−ブチレングリコール:協和発酵ケミカル(株)
・ショ糖脂肪酸エステル(HLB=15):第一工業製薬(株)ショ糖脂肪酸エステルS−160
・有機変性ベントナイト:Elementis Specialities社 ベントン38V
【0036】
[表1のW/O乳化組成物の調整方法]
表1記載の各W/O乳化組成物は、表記載の配合量(重量%)に従い、油分としてデカメチルシクロペンタシロキサン、スクワラン、メトキシケイヒ酸オクチルの混合物に酸化チタン、酸化亜鉛、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=2)、ジイソステアリン酸グリセリンをそれぞれ混合して80℃で加熱溶解させ均一化した油相部を形成し、セルロース微粒子分散水液(1)〜(4)に1,3−ブチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=15)、有機変性ベントナイトをそれぞれ投入して80℃に加熱溶解させ水相部とし、水相に油相を加えながらホモミキサーで撹拌し、必要に応じて精製水を加えて調整し、脱気、冷却し乳化物を作製した。
【0037】
[表2の成分]
・シリコーン処理酸化チタン:大東化成工業(株)SI01−4 TTO−S−1
・シリコーン処理タルク:三好化成(株)SA−JA−68R
・スクワラン:スクアテック(株)スーパースクワラン
・デカメチルシクロペンタシロキサン:信越化学工業(株)KF995
・ポリエーテル変性ジメチルシロキサン:信越化学工業(株)KF6015
・グリセリン:阪本薬品工業(株)
・塩化ナトリウム:ナカライテスク(株)
・精製水:イオン交換水
【0038】
なお、セルロース複合体微粒子は、セルロース微粒子(平均粒子径20nm、L/D=1.05)の懸濁液中に下記顔料をセルロース微粒子:顔料=9:1(重量比)で分散させた懸濁液をスプレードライ法で造粒し、乾燥させ、シリコーン処理黒酸化鉄/セルロース複合体微粒子、シリコーン処理ベンガラ/セルロース複合体微粒子、及びシリコーン処理黄酸化鉄/セルロース複合体微粒子を調製した。
【0039】
[顔料]
・シリコーン処理黒酸化鉄:三好化成(株)SA−BL−100
・シリコーン処理ベンガラ:三好化成(株)SA−ベンガラ七宝
・シリコーン処理黄酸化鉄:三好化成(株)SA−LL−XLO
【0040】
[表2のW/O乳化組成物の調整方法]
表2記載の実施例7のW/O乳化組成物は、(1)油分としてのスクワラン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びポリエーテル変性ジメチルシロキサンの混合物に、シリコーン処理酸化チタン、シリコーン処理タルク、シリコーン処理黒酸化鉄/セルロース複合体微粒子、シリコーン処理ベンガラ/セルロース複合体微粒子、及びシリコーン処理黄酸化鉄/セルロース複合体微粒子を加えて均一に分散させる。(2)精製水の一部にグリセリン及び塩化ナトリウムを溶解する。(3)前記(1)を撹拌しながら前記(2)を加え、精製水の残部を加え、ホモミキサーで5000rpmで5分間の撹拌処理して乳化物を作製した。
【0041】
[試験方法]
1.伸び試験
各W/O乳化組成物を5名のパネルによる官能試験を行い、顔面でのW/O乳化組成物の伸び状態を7段階の絶対評価基準、評価6:非常に良い、評価5:良い、評価4:やや良い、評価3:普通、評価2:やや悪い、評価1:悪い、評価0:非常に悪い、に従い評点し、5名の平均値で下記の通り評価した。
◎:非常によい;平均値が5点を超える。
○:良い;平均値が5点以下、3点を超える。
△:やや悪い;平均値が3点以下、1点を超える。
×:悪い;平均値が1点以下。
【0042】
2.安定性試験
各W/O乳化組成物をガラス製サンプル瓶に充填し、40℃で1ヶ月放置した後、組成物の分離状態を目視にて観察し、下記の基準に従い評価した。
◎:全く分離が認められない。
○:ほとんど分離が認められない。
△:わずかに分離が認められる。
×:完全に分離している。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】

表に示す結果より、本発明に係る実施例1〜7のW/O乳化組成物は、伸展性、経時安定性が共に良好でありザラツキやベタツキを抑えて化粧料として好適であることが分かる。しかし、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステルに代えてジイソステアリン酸グリセリンを用いた実施例5では経時変化による安定性低下の傾向が若干見られた。
【0046】
これに対し、セルロース微粒子を含まない比較例1のW/O乳化組成物では、伸展性、経時安定性共に劣り、また増粘剤として従来の有機変性ベントナイトを用いた比較例2は伸展性が悪くベタツキやすくなる。一方、セルロース微粒子の粒子径が500nmを超える比較例3は、伸展性が不十分となり、また経時変化による分離が大きく見られた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のW/O乳化組成物は、メイクアップ化粧料、日焼け止め乳液、保湿クリーム、乳化ファンデーション、ヘアクリームなどの乳化化粧料、及びクリーム製剤などの医薬軟膏品などに好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が10〜500nmであるセルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子の群から選ばれた少なくとも1種類の微粒子を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。
【請求項2】
前記セルロース微粒子及びセルロース複合体微粒子のアスペクト比L/D(ここで、Lはセルロース微粒子又はセルロース複合体微粒子の長径を示し、Dは短径を示す。)が1.3以下の微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項3】
無機粉体を配合する請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物において、親油性界面活性剤に加えて親水性界面活性剤を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化組成物を含んでなることを特徴とする化粧料。


【公開番号】特開2006−342140(P2006−342140A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171621(P2005−171621)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】