説明

油冷エンジン

【課題】エンジン本体に冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路が設けられ、冷却オイル循環路の一部を構成するプラグ周り冷却オイル通路がプラグ孔を囲繞するようにしてシリンダヘッドに設けられる油冷エンジンにおいて、プラグ周り冷却オイル通路に供給される冷却オイルが温まり難くしてプラグ孔の周囲の冷却性を高める。
【解決手段】プラグ孔67が、シリンダボアの軸線Cに直交する平面への投影図上で、吸気ポート24および排気ポート25の燃焼室22への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側に配置され、冷却オイル循環路50の一部を構成してプラグ周り冷却オイル通路68の上流端に連なる冷却オイル供給通路61が、平面PLの一側かつ排気ポート25よりも吸気ポート24寄りに配置されるようにしてリンダヘッド15に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフトを回転自在に支承するクランクケースと、前記クランクシャフトに連接されるピストンを摺動自在に嵌合させるシリンダボアを有して前記クランクケースに結合されるシリンダブロックと、前記ピストンの頂部を臨ませる燃焼室を前記シリンダブロックとの間に形成して該シリンダブロックに結合されるとともに点火プラグを配置するためのプラグ孔、吸気ポートおよび排気ポートが設けられるシリンダヘッドとを備えるエンジン本体に、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路が設けられ、前記冷却オイル循環路の一部を構成するプラグ周り冷却オイル通路が前記プラグ孔を囲繞するようにして前記シリンダヘッドに設けられる油冷エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダヘッドに設けられるプラグ孔の周囲を冷却オイルが通過するようにして、特に高温となるプラグ周囲の発熱を抑えるようにした油冷エンジンが、特許文献1等で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、点火プラグを配置するためのプラグ孔がシリンダボアの軸線と平行になるようにしつつ燃焼室の頂部に開口するようにしてシリンダヘッドに設けられている。このためプラグ孔の周囲でシリンダヘッドに設けられるプラグ周り冷却オイル通路も燃焼室の中央部に対応した位置に配置されることになり、そのプラグ周り冷却オイル通路に冷却オイルを供給するためのオイル通路が、燃焼室に向かって比較的長い距離にわたってシリンダヘッドに形成されることになり、そのオイル通路を流通する間に冷却オイルが温められてしまう可能性があり、プラグ孔の周囲での冷却性が向上しない可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、プラグ周り冷却オイル通路に供給される冷却オイルが温まり難くしてプラグ孔の周囲の冷却性を高めた油冷エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、クランクシャフトを回転自在に支承するクランクケースと、前記クランクシャフトに連接されるピストンを摺動自在に嵌合させるシリンダボアを有して前記クランクケースに結合されるシリンダブロックと、前記ピストンの頂部を臨ませる燃焼室を前記シリンダブロックとの間に形成して該シリンダブロックに結合されるとともに点火プラグを配置するためのプラグ孔、吸気ポートおよび排気ポートが設けられるシリンダヘッドとを備えるエンジン本体に、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路が設けられ、前記冷却オイル循環路の一部を構成するプラグ周り冷却オイル通路が前記プラグ孔を囲繞するようにして前記シリンダヘッドに設けられる油冷エンジンにおいて、前記プラグ孔が、前記シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上では、前記吸気ポートおよび前記排気ポートの前記燃焼室への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面の一側に配置され、前記冷却オイル循環路の一部を構成して前記プラグ周り冷却オイル通路の上流端に連なる冷却オイル供給通路が、前記平面の一側かつ前記排気ポートよりも前記吸気ポート寄りに配置されるようにして前記シリンダヘッドに設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記冷却オイル供給通路が、前記シリンダボアの軸線に沿う方向に延びる縦通路部と、その縦通路部から分岐する横通路部とから成り、前記横通路部が前記縦通路部からの分岐位置から前記プラグ孔の軸線に向かって直線状に延びて前記プラグ周り冷却オイル通路に連なるように形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記プラグ孔の周囲以外の部分で少なくとも前記シリンダヘッドを冷却するためのシリンダヘッド冷却オイル通路を前記冷却オイル循環路の一部として有し、前記シリンダヘッド冷却オイル通路が前記横通路部の分岐部よりも上流側で前記縦通路部から分岐されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッド冷却オイル通路の流路断面積が、前記プラグ周り冷却オイル通路の流路断面積よりも小さく設定されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記プラグ周り冷却オイル通路から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路が、前記冷却オイル循環路の一部を構成して前記シリンダヘッドに設けられ、前記冷却オイル導出通路が、前記排気ポートの少なくとも一部を囲むように形成されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記冷却オイル導出通路がその下流側で複数に分岐するように形成されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第5または第6の特徴の構成に加えて、前記冷却オイル導出通路の上流部が前記吸気ポートおよび前記排気ポート間を流通するように配置され、前記吸気ポートおよび前記排気ポート間で前記冷却オイル導出通路の流路断面積が小さくなるように前記冷却オイル導出通路の中間部が絞られることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1〜第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記排気ポートに二次空気を供給するための二次空気供給路が、前記プラグ孔を前記冷却オイル供給通路との間に挟むようにして前記シリンダヘッドに設けられることを第8の特徴とする。
【0014】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッドに配設される吸気弁および排気弁を開閉駆動する動弁機構の一部を構成するカムシャフトおよび前記クランクシャフト間に設けられるカムシャフト駆動機構を収容するカムシャフト駆動機構収容部が、前記クランクケース、前記シリンダブロックおよび前記シリンダヘッドに形成され、前記シリンダヘッド冷却オイル通路の下流端と、前記プラグ周り冷却オイル通路から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッドに設けられて前記冷却オイル循環路の一部を構成する冷却オイル導出通路の下流端とが、相互に独立してカムシャフト駆動機構収容部に開放されることを第9の特徴とする。
【0015】
本発明は、第9の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッド冷却オイル通路の前記カムシャフト駆動機構収容部側への開口端が、前記シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上で前記冷却オイル導出通路の前記カムシャフト駆動機構収容部側への開口端に隣接もしくは重なって配置されることを第10の特徴とする。
【0016】
本発明は、第9または第10の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッド冷却オイル通路が、前記吸気ポートよりも前記排気ポート寄りで前記カムシャフト駆動機構収容部に開口されることを第11の特徴とする。
【0017】
本発明は、第11の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッド冷却オイル通路の前記カムシャフト駆動機構収容部側への開口端が、前記シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上で、前記シリンダボアの軸線を前記縦通路部との間に挟む位置に配置されることを第12の特徴とする。
【0018】
本発明は、第9〜第12の特徴の構成のいずれかに加えて、前記シリンダヘッドの前記シリンダブロックへの合わせ面に設けられる溝と、前記シリンダヘッドおよび前記シリンダブロック間に挟まれるガスケットとで形成される前記シリンダヘッド冷却オイル通路が、前記シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上で前記プラグ孔および前記排気ポートを横切るように配置され、前記冷却オイル導出通路が前記シリンダヘッド冷却オイル通路との間に前記排気ポートを挟むようにして前記シリンダヘッドに設けられ、前記投影図上で前記プラグ孔に重なる部分で前記溝が他の部分よりも深く形成されることを第13の特徴とする。
【0019】
さらに本発明は、第13の特徴の構成に加えて、前記シリンダヘッドを前記シリンダブロック側に固定するボルトを挿通するための複数の挿通孔が、前記燃焼室の周囲で前記シリンダヘッドに設けられ、それらの挿通孔のうちの1つの挿通孔および前記燃焼室間を通過する部分で前記溝が幅を狭くして形成されることを第14の特徴とする。
【0020】
なお実施の形態のカムチェーン機構43が本発明のカムシャフト駆動機構に対応し、十進形態のカムチェーン室47,90が本発明のカムシャフト駆動機構収容部に対応し、実施の形態の第3冷却オイル供給通路61が本発明の冷却オイル供給通路に対応する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の特徴によれば、プラグ孔がシリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上では吸気ポートおよび排気ポートの燃焼室への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面の一側に配置されており、プラグ周り冷却オイル通路の上流端に連なる冷却オイル供給通路が、平面の一側かつ排気ポートよりも吸気ポート寄りに配置されるので、プラグ周り冷却オイル通路に達するまでの冷却オイル供給通路の長さを短くするとともに、燃焼室から極力離して配置することができ、冷却オイル供給通路を流通する間に冷却オイルが温まってしまうのを抑え、プラグ孔の周囲の冷却性を高めることができる。
【0022】
また本発明の第2の特徴によれば、冷却オイル供給通路が、シリンダボアの軸線に沿う方向に延びる縦通路部と、その縦通路部から分岐する横通路部とから成り、横通路部が直線状に延びてプラグ周り冷却オイル通路に連なるので、縦通路部からプラグ周り冷却オイル通路までの距離を最短とし、冷却オイル供給通路を短くすることができる。
【0023】
本発明の第3の特徴によれば、プラグ孔の周囲以外の部分で少なくともシリンダヘッドを冷却するためのシリンダヘッド冷却オイル通路が横通路部の分岐部よりも上流側で縦通路部から分岐されるので、シリンダヘッドが、プラグ周り冷却オイル通路だけでなくシリンダヘッド冷却オイル通路によっても冷却されることになり、冷却オイルによるシリンダヘッドの冷却性能が向上する。しかもシリンダヘッド冷却オイル通路に冷却オイルを供給するオイル通路として、プラグ周り冷却オイル通路に冷却オイルを供給するための冷却オイル供給通路の一部を用いるので、シリンダブロック側からの冷却オイル供給通路構造の簡素化を図ることができる。
【0024】
本発明の第4の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路の流路断面積がプラグ周り冷却オイル通路の流路断面積よりも小さいので、シリンダヘッドにおいて最も冷却性能が求められる点火プラグの周囲への冷却オイル供給量を確保して冷却性能を維持することができる。
【0025】
本発明の第5の特徴によれば、プラグ周り冷却オイル通路から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路が、排気ポートの少なくとも一部を囲むようにしてシリンダヘッドに設けられるので、燃焼室の周囲で特に温度が高いプラグ孔および排気ポート周りの温度を低減することができ、燃焼室の壁温を極力均一化することができる。
【0026】
本発明の第6の特徴によれば、プラグ周り冷却オイル通路から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路がその下流側で複数に分岐しているので、冷却オイル導出通路の表面積を大きくし、冷却オイルによる熱引き効果を高めて冷却性能向上に寄与することができる。
【0027】
本発明の第7の特徴によれば、吸気ポートおよび排気ポート間で冷却オイル導出通路の中間部が絞られるので、冷却オイルの流速が速くなり、熱伝達率が向上することで熱引きを大きくすることができる。
【0028】
本発明の第8の特徴によれば、二次空気供給路がプラグ孔を冷却オイル供給通路との間に挟むようにしてシリンダヘッドに設けられるので、二次空気供給路との干渉を心配することなく冷却オイル供給通路を配置することが可能であり、冷却オイル供給通路の配置上の自由度が向上する。
【0029】
本発明の第9の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路の下流端と、プラグ周り冷却オイル通路から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路の下流端とが、カムシャフトおよびクランクシャフト間に設けられるカムシャフト駆動機構を収容するようにしてシリンダブロックおよびシリンダヘッドに形成されるカムシャフト駆動機構収容部に相互に独立して開放されるので、シリンダヘッドを冷却した後の冷却オイルをクランクケース側に戻すための通路構造の簡素化を図ることができる。
【0030】
本発明の第10の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路の前記カムシャフト駆動機構収容部側への開口端と、冷却オイル導出通路のカムシャフト駆動機構収容部側への開口端とが、シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上で隣接もしくは重なって配置されるので、シリンダヘッド冷却オイル通路および冷却オイル導出通路からカムシャフト駆動機構収容部に導出された冷却オイルをカムシャフト駆動機構収容部内で混じり易くすることができ、冷却オイルの回収性を高めることができる。
【0031】
本発明の第11の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路が吸気ポートよりも排気ポート寄りでカムシャフト駆動機構収容部に開口されるので、吸気ポート側よりも高温となる排気ポート側に冷却オイルを流通させるようにして冷却性能の向上に寄与することができる。
【0032】
本発明の第12の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路のカムシャフト駆動機構収容部側への開口端が、シリンダボアの軸線に関して縦通路部と反対側に配置されるようにして、シリンダヘッド冷却オイル通路の長さを極力長くし、熱引き性を高めることができる。
【0033】
本発明の第13の特徴によれば、シリンダヘッド冷却オイル通路は、シリンダヘッドのシリンダブロックへの合わせ面に設けられる溝と、シリンダヘッドおよびシリンダブロック間に挟まれるガスケットとで形成されており、このシリンダヘッド冷却オイル通路が、シリンダボアの軸線に直交する平面への投影図上ではプラグ孔および排気ポートを横切るように配置され、点火プラグの周囲は専用のプラグ周り冷却オイル通路で冷却し、排気ポートが設けられる部分は、排気ポートをシリンダヘッド冷却オイル通路および冷却オイル導出通路で挟み、しかも排気ポートに対応する部分ではシリンダヘッド冷却オイル通路を形成する溝の深さが深くなっているので冷却オイルの流速を遅くすることができるので、排気ポートが設けられる部分でも充分な冷却性が得られるようにすることができる。
【0034】
さらに本発明の第14の特徴によれば、シリンダヘッドをシリンダブロック側に固定するボルトを挿通するために燃焼室の周囲でシリンダヘッドに設けられる複数の挿通孔の1つと、燃焼室との間を通る部分で溝の幅が狭められるので、挿通孔を回避することを可能としつつその回避部分では冷却オイルの流れを変化させて滞留時間を長くし、熱引き性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施の形態の油冷エンジンの側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿うシリンダヘッドの底面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】エンジン本体の一部を図2の4−4線に沿って示す縦断面図である。
【図5】シリンダヘッドの斜視図である。
【図6】冷却オイル循環路の一部と点火プラグ、吸気ポートおよび排気ポートとの相対位置を示すための斜視図である。
【図7】第2の実施の形態の油冷エンジンの要部側面図である。
【図8】図7の8−8線に沿う断面図である。
【図9】図7の9−9線に沿う要部断面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】冷却オイル循環路の一部をシリンダヘッドに形成するための中子の斜め上から見た斜視図である。
【図12】第3の実施の形態の図8に対応した断面図である。
【図13】冷却オイル循環路の一部をシリンダヘッドに形成するための中子の平面図である。
【図14】図13の14矢視図である。
【図15】第4の実施の形態の図8に対応した断面図である。
【図16】第5の実施の形態の図8に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
【0037】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図6を参照しながら説明すると、先ず図1において、たとえば自動二輪車に搭載される油冷エンジンのエンジン本体11は、クランクシャフト12を回転自在に支承するクランクケース13と、該クランクケース13から前上がりに傾斜して斜め上方に突出するようにして前記クランクケース13に結合されるシリンダブロック14と、該シリンダブロック14に結合されるシリンダヘッド15と、該シリンダヘッド15に結合されるヘッドカバー16とを備え、前記シリンダブロック14および前記シリンダヘッド15の外面には、上下方向に間隔をあけて配置される複数ずつのフィン17,17…;18,18…がそれぞれ突設される。
【0038】
図2〜図5を併せて参照して、前記シリンダブロック14が備えるシリンダボア19には、前記クランクシャフト12にコネクティングロッド21を介して連接されるピストン20が摺動自在に嵌合され、このシリンダブロック14および前記シリンダヘッド15間には、前記ピストン20の頂部を臨ませる燃焼室22が形成される。また前記シリンダヘッド15には、該シリンダヘッド15の後部側面に開口する吸気ポート24が設けられるとともに前記シリンダヘッド15の前部側面に開口する排気ポート25が設けられており、吸気ポート24および排気ポート25の前記燃焼室22への開口端を開閉可能な吸気弁26および排気弁27がシリンダヘッド15に開閉作動可能に配設される。
【0039】
吸気弁26および排気弁27を開閉駆動する動弁機構28は、前記クランクシャフト12と平行な軸線を有して前記吸気弁26および前記排気弁27間に配置されるカムシャフト29と、該カムシャフト29および前記吸気弁26間に設けられる吸気側ロッカアーム30と、前記カムシャフト29および前記排気弁27間に設けられる排気側ロッカアーム31とを備える。
【0040】
前記カムシャフト29は前記シリンダヘッド15に回転自在に支承されており、前記カムシャフト29と平行な軸線を有して前記シリンダヘッド15に支持される吸気側ロッカシャフト32に前記吸気側ロッカアーム30が揺動可能に支承され、前記カムシャフト29と平行な軸線を有して前記シリンダヘッド15に支持される排気側ロッカシャフト33に前記排気側ロッカアーム31が揺動可能に支承される。
【0041】
吸気側ロッカアーム30の一端部には、前記カムシャフト29に設けられる吸気側カム34に転がり接触するローラ36が軸支され、吸気側ロッカアーム30の他端に螺合されるタペットねじ38が、弁ばね40で閉弁方向に付勢された前記吸気弁26のステムエンド26aに当接される。また排気側ロッカアーム31の一端部には、前記カムシャフト29に設けられる排気側カム35に転がり接触するローラ37が軸支され、排気側ロッカアーム31の他端に螺合されるタペットねじ39が、弁ばね41で閉弁方向に付勢された前記排気弁27のステムエンド27aに当接される。
【0042】
前記カムシャフト29は、該カムシャフト29および前記クランクシャフト12間に設けられるカムシャフト駆動機構としてのカムチェーン機構43で回転駆動されるものであり、該カムチェーン機構43は、前記クランクシャフト12に固設される駆動スプロケット(図示せず)と、前記カムシャフト29の一端部に固定される被動スプロケット45と、駆動スプロケットおよび被動スプロケット45に巻き掛けられる無端状のカムチェーン46とで構成される。
【0043】
前記エンジン本体11におけるクランクケース13、シリンダブロック14およびシリンダヘッド15には、前記カムチェーン機構43を収容するためのカムシャフト駆動機構収容部であるカムチェーン室47が形成されており、このカムチェーン室47は、前記燃焼室22の左側に配置される。
【0044】
ところで前記クランクケース13内には、図1で示すように、該クランクケース13内の下部からオイルストレーナ48を介してオイルを汲み上げるオイルポンプ49が収容されており、エンジン本体11には、前記オイルポンプ49から吐出されるオイルの一部を冷却オイルとして循環させる冷却オイル循環路50が設けられる。
【0045】
而して前記クランクケース13ならびに該クランクケース13に右側から結合されるカバー52には、前記冷却オイル循環路50の一部を構成して前記オイルポンプ49に連なる第1冷却オイル供給通路51が設けられる。
【0046】
ところでシリンダブロック14およびシリンダヘッド15は、前記燃焼室22の周囲に配置される複数個たとえば4個のボルト53A…,53Bで前記クランクケース13に結合されるものであり、前記シリンダブロック14には、それらのボルト53A…,53Bのうち特定の1つのボルト53Bを除く3個のボルト53A…をそれぞれ挿通せしめる挿通孔54A…と、前記特定のボルト53Bを挿通せしめる特定の挿通孔54Bとが前記シリンダボア19の周囲に配置されるようにして設けれ、前記特定のボルト53Bの外周および前記特定の挿通孔54Bの内周間に形成されるようにして環状の第2冷却オイル供給通路55がシリンダブロック14に設けられる。
【0047】
またシリンダヘッド15には、前記特定のボルト53Bを除く3個のボルト53A…をそれぞれ挿通せしめる3個の挿通孔57A…と、前記特定のボルト53Bを挿通せしめる特定の挿通孔57Bとが、前記シリンダブロック14側の前記挿通孔54A…,54Bに個別に対応しつつ前記燃焼室22の周囲に配置されるようにして設けられ、このシリンダヘッド15において、前記特定のボルト53Bの外周および前記特定の挿通孔57Bの内周間には、第2冷却オイル供給通路55に通じる環状の縦通路部59が形成される。
【0048】
前記縦通路部59の上端は閉じられており、その縦通路部59の中間部から分岐して前記ヘッドカバー16側に延びる第1オイル供給路62が前記シリンダヘッド15に設けられ、この第1オイル供給路62が、前記ヘッドカバー16に設けられる第2オイル供給路63に連通される。また前記ヘッドカバー16には、第2オイル供給路63に通じるオイル通路64が、前記動弁機構28の上方で前記カムシャフト29の軸線と直交する平面に沿うようにして設けられるとともに、オイル通路64に通じる複数の噴霧孔65…が設けられ、それらの噴霧孔65…から前記動弁機構28側に潤滑用のオイルが噴霧される。
【0049】
前記シリンダヘッド15には、点火プラグ66を配置するためのプラグ孔67が前記燃焼室22に臨むようにして設けられており、このプラグ孔67は、図2で明示するように、前記シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上では、前記吸気ポート24および前記排気ポート25の前記燃焼室22への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側(この実施の形態ではカムチェーン室47と反対側)に配置される。
【0050】
しかも前記シリンダヘッド15には、前記冷却オイル循環路50の一部を構成するプラグ周り冷却オイル通路68が前記プラグ孔67を囲繞するようにして環状に設けられており、このプラグ周り冷却オイル通路68の上流端に連なる第3冷却オイル供給通路61が、前記冷却オイル循環路50の一部を構成するようにして前記シリンダヘッド15に設けられる。而して第3冷却オイル供給通路61は、前記平面PLの一側かつ前記排気ポート25よりも前記吸気ポート24寄りに配置されるようにして前記シリンダヘッド15に設けられる。
【0051】
図6を併せて参照して、第3冷却オイル供給通路61は、前記シリンダボア19の軸線Cに沿う方向に延びるようにして前記特定のボルト53Bおよび前記特定の挿通孔57B間に形成される前記縦通路部59の一部と、その縦通路部59から分岐する横通路部60とから成り、前記横通路部60が前記縦通路部59からの分岐位置から前記プラグ孔67の軸線に向かって直線状に延びて前記プラグ周り冷却オイル通路68に連なるように形成される。しかも前記横通路部60は、前記シリンダボア19の軸線Cに沿う方向での幅W(図6参照)が前記プラグ周り冷却オイル通路68に近づくにつれて次第に拡大するように形成される。
【0052】
また前記シリンダヘッド15には、前記プラグ周り冷却オイル通路68から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路70が、前記冷却オイル循環路50の一部を構成するようにして設けられ、この冷却オイル導出通路70がその下流側で、複数たとえば2つに分岐するように形成される。また前記冷却オイル導出通路70の上流部は、排気ポート25の少なくとも一部を囲むように形成されるものであり、この第1の実施の形態では、前記冷却オイル導出通路70の上流部は前記吸気ポート24および前記排気ポート25間を通るように形成される。
【0053】
すなわち冷却オイル導出通路70は、前記プラグ周り冷却オイル通路68に上流端を連ならせて前記吸気ポート24および前記排気ポート25間に配置される上流共通通路部70aと、該上流共通通路部70aの下流端から2つに分岐して前記排気ポート25の両側に配置される一対の分岐通路部70b,70cとから成るものであり、両分岐通路部70b,70cのうち一方の分岐通路部70cの一部は前記シリンダブロック14とは反対側で前記排気ポート25を跨ぐように形成される。
【0054】
しかも前記冷却オイル導出通路70のうち前記吸気ポート24および前記排気ポート25間に配置される部分すなわち上流側共通通路部70aの一部の流路断面積が小さくなるように、前記冷却オイル導出通路70の中間部が絞られる。
【0055】
前記排気ポート25には、シリンダヘッド15に設けられた二次空気供給路71から二次空気が供給されるものであり、この二次空気供給路71は、前記プラグ孔67を第3冷却オイル供給通路61との間に挟むようにして前記シリンダヘッド15に設けられる。しかもシリンダヘッド15には、前記二次空気供給路71に通じる二次空気供給管72が、図示しないエアクリーナから二次空気を導くようにして接続される。
【0056】
ところで前記エンジン本体11は、前記プラグ孔67の周囲以外の部分で少なくとも前記シリンダヘッド15を冷却するためのシリンダヘッド冷却オイル通路73を前記冷却オイル循環路50の一部として有するものであり、このシリンダヘッド冷却オイル通路73が前記横通路部60の分岐部よりも上流側で前記縦通路部59から分岐される。
【0057】
しかも前記シリンダヘッド冷却オイル通路73は、前記シリンダヘッド15の前記シリンダブロック14への合わせ面15aに設けられる溝74と、前記シリンダヘッド15および前記シリンダブロック14間に挟まれるガスケット75とで形成されるものであり、このシリンダヘッド冷却オイル通路73の流路断面積は前記プラグ周り冷却オイル通路68の流路断面積よりも小さく設定される。
【0058】
また前記シリンダヘッド冷却オイル通路73は、前記シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上では、図2で示すように、前記プラグ孔67および前記排気ポート25を横切るように配置され、前記シリンダヘッド冷却オイル通路73を形成するための前記溝74が、前記投影図上で前記プラグ孔67に重なる部分では他の部分よりも深く形成される。すなわち前記溝74のうち前記投影図上で前記プラグ孔67に重なる部分に深溝部74aが形成されることになる。
【0059】
また前記冷却オイル導出通路70は前記シリンダヘッド冷却オイル通路73との間に前記排気ポート25を挟むようにして前記シリンダヘッド15に設けられる。
【0060】
しかも前記シリンダヘッド冷却オイル通路73の下流端すなわち2つの分岐通路部70b,70cの下流端と、前記冷却オイル導出通路70の下流端とは相互に独立してカムチェーン室47に開放されるものであり、前記シリンダヘッド冷却オイル通路73の前記カムチェーン室47への開口端は、前記シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上では、図2で示すように、前記冷却オイル導出通路70のうち分岐通路部70bの前記カムチェーン室47への開口端に隣接もしくは重なって配置される。
【0061】
また前記シリンダヘッド冷却オイル通路73は、前記吸気ポート24よりも前記排気ポート25寄りで前記カムチェーン室47に開口されるとともに、前記シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上で、前記シリンダボア19の軸線Cを前記縦通路部59との間に挟む位置に配置される。
【0062】
さらに前記溝74は、前記燃焼室22の周囲で前記シリンダヘッド15に設けられる複数の挿通孔57A…,57Bの1つの挿通孔57Aおよび前記燃焼室22間を通過するように配置されるものであり、前記溝74が、1つの前記挿通孔57Aおよび前記燃焼室22間では、図2で示すように幅を狭くして形成される。すなわち前記溝74はその中間部に狭幅部74bを有しており、その狭幅部74bが、1つの前記挿通孔74Aおよび前記燃焼室22間に配置されることになる。
【0063】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、プラグ孔67がシリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上では吸気ポート24および排気ポート25の燃焼室22への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側に配置されており、プラグ周り冷却オイル通路68の上流端に連なる第3冷却オイル供給通路61が、前記平面PLの一側かつ排気ポート25よりも吸気ポート24寄りに配置されるので、プラグ周り冷却オイル通路68に達するまでの第3冷却オイル供給通路61の長さを短くするとともに、第3冷却オイル供給通路61を燃焼室22から極力離して配置することができ、第3冷却オイル供給通路61を流通する間に冷却オイルが温まってしまうのを抑え、プラグ孔67の周囲の冷却性を高めることができる。
【0064】
また第3冷却オイル供給通路61が、シリンダボア19の軸線Cに沿う方向に延びる縦通路部59と、その縦通路部59から分岐する横通路部60とから成り、横通路部60が直線状に延びてプラグ周り冷却オイル通路68に連なるので、縦通路部59からプラグ周り冷却オイル通路68までの距離を最短とし、第3冷却オイル供給通路61を短くすることができる。
【0065】
またプラグ孔67の周囲以外の部分で少なくともシリンダヘッド15を冷却するためのシリンダヘッド冷却オイル通路73が横通路部60の分岐部よりも上流側で縦通路部59から分岐されるので、シリンダヘッド15が、プラグ周り冷却オイル通路68だけでなくシリンダヘッド冷却オイル通路73によっても冷却されることになり、冷却オイルによるシリンダヘッド15の冷却性能が向上する。しかもシリンダヘッド冷却オイル通路73に冷却オイルを供給するオイル通路として、プラグ周り冷却オイル通路68に冷却オイルを供給するための第3冷却オイル供給通路61の一部を用いるので、シリンダブロック14側からの冷却オイル供給通路構造の簡素化を図ることができる。
【0066】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73の流路断面積がプラグ周り冷却オイル通路68の流路断面積よりも小さいので、シリンダヘッド15において最も冷却性能が求められる点火プラグ66の周囲への冷却オイル供給量を確保して冷却性能を維持することができる。
【0067】
またプラグ周り冷却オイル通路68から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路70が、排気ポート25の少なくとも一部を囲むようにしてシリンダヘッド15に設けられるものであり、この第1の実施の形態では、冷却オイル導出通路70の上流部は吸気ポート24および排気ポート25間を通るように形成されるので、燃焼室22の周囲で特に温度が高いプラグ孔67および排気ポート25周りの温度を低減することができ、燃焼室22の壁温を極力均一化することができる。
【0068】
また前記冷却オイル導出通路70は、その下流側で複数(この実施の形態では2つ)に分岐しているので、冷却オイル導出通路70の表面積を大きくし、冷却オイルによる熱引き効果を高めて冷却性能向上に寄与することができる。
【0069】
また吸気ポート24および排気ポート25間で冷却オイル導出通路70の中間部が絞られるので、冷却オイルの流速が速くなり、熱伝達率が向上することで熱引きを大きくすることができる。
【0070】
また二次空気供給路71がプラグ孔67を第3冷却オイル供給通路61との間に挟むようにしてシリンダヘッド15に設けられるので、二次空気供給路71との干渉を心配することなく第3冷却オイル供給通路61を配置することが可能であり、第3冷却オイル供給通路61の配置上の自由度が向上する。
【0071】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73の下流端と、プラグ周り冷却オイル通路68から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路70の下流端とが、カムシャフト29およびクランクシャフト12間に設けられるカムチェーン機構43を収容するようにしてシリンダブロック14およびシリンダヘッド15に形成されるカムチェーン室47に相互に独立して開放されるので、シリンダヘッド15を冷却した後の冷却オイルをクランクケース13側に戻すための通路構造の簡素化を図ることができる。
【0072】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73の前記カムチェーン室47側への開口端と、冷却オイル導出通路70の前記カムチェーン室47側への開口端とが、シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上で隣接もしくは重なって配置されるので、シリンダヘッド冷却オイル通路73および冷却オイル導出通路70からカムチェーン室47に導出された冷却オイルをカムチェーン室47で混じり易くすることができ、冷却オイルの回収性を高めることができる。
【0073】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73が吸気ポート24よりも排気ポート25寄りでカムチェーン室47に開口されるので、吸気ポート24側よりも高温となる排気ポート25側に冷却オイルを流通させるようにして冷却性能の向上に寄与することができる。
【0074】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73のカムチェーン室47側への開口端が、シリンダボア19の軸線Cに関して前記縦通路部59と反対側に配置されるようにして、シリンダヘッド冷却オイル通路73の長さを極力長くし、熱引き性を高めることができる。
【0075】
またシリンダヘッド冷却オイル通路73は、シリンダヘッド15のシリンダブロック14への合わせ面15aに設けられる溝74と、シリンダヘッド15およびシリンダブロック14間に挟まれるガスケット75とで形成されており、このシリンダヘッド冷却オイル通路73が、シリンダボア19の軸線Cに直交する平面への投影図上ではプラグ孔67および排気ポート25を横切るように配置され、点火プラグ66の周囲は専用のプラグ周り冷却オイル通路68で冷却し、排気ポート25が設けられる部分は、排気ポート25をシリンダヘッド冷却オイル通路73および冷却オイル導出通路70で挟み、しかも排気ポート25に対応する部分ではシリンダヘッド冷却オイル通路73を形成する溝74の深さが深くなっているので冷却オイルの流速を遅くすることができるので、排気ポート25が設けられる部分でも充分な冷却性が得られるようにすることができる。
【0076】
さらにシリンダヘッド15をシリンダブロック14側に固定するボルト53A…,53Bを挿通するために燃焼室22の周囲でシリンダヘッド15に設けられる複数の挿通孔57A…,57Bの1つの挿通孔57Aと、燃焼室22との間を通る部分でシリンダヘッド冷却オイル通路73を形成する溝74の幅が狭められるので、前記挿通孔57Aを回避することを可能としつつその回避部分では冷却オイルの流れを変化させて滞留時間を長くし、熱引き性を高めることができる。
【0077】
本発明の第2の実施の形態について図7〜図11を参照しながら説明すると、先ず図7および図8において、この油冷エンジンのエンジン本体81の一部を構成して相互に結合されるシリンダブロック82およびシリンダヘッド83の外面には、上下方向に間隔をあけて配置される複数ずつのフィン84,84…;85,85…がそれぞれ突設される。
【0078】
前記シリンダブロック82および前記シリンダヘッド83間には、前記シリンダブロック82に設けられたシリンダボア86(図9参照)に摺動自在に嵌合されるピストン(図示せず)の頂部を臨ませる燃焼室87が形成される。また前記シリンダヘッド83には、該シリンダヘッド83の後部側面に開口する吸気ポート88が設けられるとともに前記シリンダヘッド83の前部側面に開口する排気ポート89が設けられる。
【0079】
前記シリンダブロック82およびシリンダヘッド83にはカムシャフト駆動機構収容部であるカムチェーン室90が形成されており、このカムチェーン室90は、前記燃焼室87の左側に配置される。
【0080】
前記シリンダヘッド83には、点火プラグ91を配置するためのプラグ孔92が前記燃焼室87に臨むようにして設けられており、このプラグ孔92は、図8で明示するように、前記シリンダボア86の軸線Cに直交する平面への投影図上では、前記吸気ポート88および前記排気ポート89の前記燃焼室87への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側(この第2の実施の形態ではカムチェーン室90と反対側)に配置される。
【0081】
ところでシリンダブロック82およびシリンダヘッド83は、前記燃焼室87の周囲に配置される複数個たとえば4個のボルト80A…,80Bでクランクケース(図示せず)に結合されるものであり、前記シリンダヘッド83には、それらのボルト80A…,80Bを挿通せしめる4つの挿通孔93A…,93Bが前記燃焼室87の周囲に配置されるようにして設けられる。
【0082】
前記エンジン本体81には、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路94が設けられるものであり、この冷却オイル循環路94の一部が、前記プラグ孔92を囲繞するように環状に形成されて前記シリンダヘッド83に設けられるプラグ周り冷却オイル通路95と、該プラグ周り冷却オイル通路95の上流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83に設けられる冷却オイル供給通路96と、前記プラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッド83に設けられる第1の冷却オイル導出通路97と、第1の冷却オイル導出通路97の下流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83および前記シリンダブロック82間に形成される第2の冷却オイル導出通路98とで構成される。
【0083】
前記冷却オイル供給通路96は、前記シリンダボア86の軸線Cに直交する平面への投影図上で前記吸気ポート88および前記排気ポート89の前記燃焼室87への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側(この第2の実施の形態ではカムチェーン室90と反対側)かつ前記排気ポート89よりも前記吸気ポート88寄りに配置されるようにして前記シリンダヘッド83に設けられるものであり、前記挿通孔93A…,93Bの1つである挿通孔93Bおよび前記ボルト80B間に形成される環状の縦通路部100と、その縦通路部100の中間部および前記プラグ周り冷却オイル通路95間を直線状に結ぶようにして前記シリンダヘッド83に設けられる横通路部101とから成る。
【0084】
第1の冷却オイル導出通路97は、前記排気ポート89の少なくとも一部を囲むように形成されるものであり、この第2の実施の形態で第1の冷却オイル導出通路97は、前記排気ポート89をその全周にわたって囲むように環状に形成される。
【0085】
前記排気ポート89に関して前記プラグ周り冷却オイル通路95とは反対側で第1のオイル導出通路97に通じる凹部102が前記シリンダヘッド83の前記シリンダブロック82への合わせ面に開口するようにして前記シリンダヘッド83に設けられる。一方、前記シリンダブロック82には、該シリンダブロック82の前記シリンダヘッド83への合わせ面に開口する凹部103が前記凹部102に通じるようにして設けられており、第2の冷却オイル導出通路98は、前記凹部102,103を介して第1の冷却オイル導出通路97に通じるようにして前記シリンダブロック82および前記シリンダヘッド83間に形成される。
【0086】
ところで前記シリンダブロック82の前記シリンダヘッド83側端部には、前記カムチェーン室90の前後方向に沿う両側面のうち前記シリンダボア86から離隔した側の側面の前後方向中間部からカムチェーン室90側に突出した突部104が設けられており、この突部104には、図10で示すように、一端部を前記シリンダブロック82の前記シリンダヘッド83への合わせ面に開口させるととも他端部をカムチェーン室90内に開口させた透孔105が設けられ、前記凹部103および前記透孔105間を結ぶ溝106が、第2の冷却オイル導出通路98を形成するようにして前記シリンダブロック82の前記シリンダヘッド83への合わせ面に設けられる。
【0087】
すなわちシリンダヘッド83を冷却した冷却オイルは、第2の冷却オイル導出通路98からカムチェーン室90内に導出されることになる。
【0088】
前記冷却オイル循環路94のうち前記シリンダヘッド83に設けられる部分、すなわちプラグ周り冷却オイル通路95と、冷却オイル供給通路96と、第1の冷却オイル導出通路97とは、シリンダヘッド83の鋳造時に、図11で示す中子108を用いて形成されるものであり、この中子108は、前記プラグ周り冷却オイル通路95を形成するための第1環状部109と、前記冷却オイル供給通路96のうち横通路部101を形成するようにして第1環状部109から直線状に延出される腕部110と、該腕部110の先端から突出する第1ボス部111と、第1の冷却オイル導出通路97を形成するようにして第1環状部109に連なる第2環状部112と、前記シリンダヘッド23に設けられる前記凹部102を形成するようにして第2環状部112から突出する第2ボス部113と、この中子108を用いた鋳造成形後にプラグ周り冷却オイル通路95に関して冷却オイル供給通路96と反対側で第1の冷却オイル導出通路97から側方に膨らむ側方膨出部116(図8参照)を形成するようにして第2環状部112から側方に突出する側方突部114と、該側方突部114から突出する第3ボス部115とを備える。
【0089】
この中子108の第1〜第3ボス部111,113,115は、シリンダヘッド83の鋳造成形時に鋳型に当接して中子108を位置決め支持するものであり、第1ボス部111は、挿通孔93Bの一部を形成し、第2ボス部113は凹部102を形成する。また第3ボス部115によって鋳造成形後の前記シリンダヘッド83には、第1の冷却オイル導出通路97の側方膨出部116に連なる凹部117が形成される。
【0090】
この第2の実施の形態によれば、プラグ孔92がシリンダボア86の軸線Cに直交する平面への投影図上では吸気ポート88および排気ポート89の燃焼室87への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面PLの一側に配置されており、プラグ周り冷却オイル通路95の上流端に連なる冷却オイル供給通路96が、前記平面PLの一側かつ排気ポート89よりも吸気ポート88寄りに配置されるので、プラグ周り冷却オイル通路95に達するまでの冷却オイル供給通路96の長さを短くするとともに、冷却オイル供給通路96を燃焼室87から極力離して配置することができ、冷却オイル供給通路96を流通する間に冷却オイルが温まってしまうのを抑え、プラグ孔92の周囲の冷却性を高めることができる。
【0091】
また冷却オイル供給通路96が、シリンダボア86の軸線Cに沿う方向に延びる縦通路部100と、その縦通路部100から分岐する横通路部101とから成り、横通路部101が直線状に延びてプラグ周り冷却オイル通路95に連なるので、縦通路部100からプラグ周り冷却オイル通路95までの距離を最短とし、冷却オイル供給通路96を短くすることができる。
【0092】
またプラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出する第1の冷却オイル導出通路97が、排気ポート89の少なくとも一部を囲むようにしてシリンダヘッド83に設けられるものであり、この第2の実施の形態では、第1の冷却オイル導出通路97が排気ポート89の全周を囲むように形成されるので、燃焼室87の周囲で特に温度が高いプラグ孔92および排気ポート89周りの温度を低減することができ、燃焼室87の壁温を極力均一化することができる。
【0093】
本発明の第3の実施の形態について図12〜図14を参照しながら説明するが、上記第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0094】
先ず図12において、エンジン本体81には、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路120が設けられるものであり、この冷却オイル循環路120の一部が、プラグ孔92を囲繞するように環状に形成されてシリンダヘッド83に設けられるプラグ周り冷却オイル通路95と、該プラグ周り冷却オイル通路95の上流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83に設けられる冷却オイル供給通路96と、前記プラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッド83に設けられる冷却オイル導出通路121とで構成される。
【0095】
冷却オイル導出通路121は、前記プラグ周り冷却オイル通路95およびカムチェーン室90間にわたって設けられ、排気ポート89の少なくとも一部を囲むように形成されるものであり、この第3の実施の形態で冷却オイル導出通路121は、その上流部が吸気ポート88および排気ポート89間を通るように形成される。
【0096】
図13および図14において、前記冷却オイル循環路94のうち前記シリンダヘッド83に設けられる部分、すなわちプラグ周り冷却オイル通路95と、冷却オイル供給通路96と、冷却オイル導出通路121とは、シリンダヘッド83の鋳造時に、中子122を用いて形成されるものであり、この中子122は、前記プラグ周り冷却オイル通路95を形成するための環状部123と、前記冷却オイル供給通路96のうち横通路部101を形成するようにして環状部123から直線状に延出される第1腕部124と、該腕部124の先端から突出する第1ボス部125と、冷却オイル導出通路121を形成するようにして環状部123に連なる第2腕部126と、第2腕部126の先端部に直角に連なる第2ボス部127とを備える。
【0097】
この中子122の第1ボス部125は、シリンダヘッド83の鋳造成形時に鋳型に当接して中子122を位置決め支持するものであり、挿通孔93Bの一部を形成する。また第2ボス部127は、シリンダヘッド83の鋳造成形時に前記カムチェーン室90を形成するための中子128に係合して中子122を位置決め支持する。
【0098】
この第3の実施の形態によっても、上記第1および第2の実施の形態と同様に、プラグ周り冷却オイル通路95に達するまでの冷却オイル供給通路96の長さを短くするとともに、冷却オイル供給通路96を燃焼室87から極力離して配置することができ、冷却オイル供給通路96を流通する間に冷却オイルが温まってしまうのを抑え、プラグ孔92の周囲の冷却性を高めることができ、冷却オイル供給通路96を短くすることができる。
【0099】
本発明の第4の実施の形態について図15を参照しながら説明するが、上記第2および第3の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0100】
エンジン本体81には、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路130が設けられるものであり、この冷却オイル循環路130の一部が、プラグ孔92を囲繞するように環状に形成されてシリンダヘッド83に設けられるプラグ周り冷却オイル通路95と、該プラグ周り冷却オイル通路95の上流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83に設けられる冷却オイル供給通路96と、前記プラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッド83に設けられる第1の冷却オイル導出通路97と、第1の冷却オイル導出通路97およびカムチェーン室90間を結ぶ第2および第3の冷却オイル導出通路131,132とで構成される。
【0101】
この第4の実施の形態によれば、上記第1〜第3の実施の形態と同様に、プラグ周り冷却オイル通路95に達するまでの冷却オイル供給通路96の長さを短くするとともに、冷却オイル供給通路96を燃焼室87から極力離して配置することができ、冷却オイル供給通路96を流通する間に冷却オイルが温まってしまうのを抑え、プラグ孔92の周囲の冷却性を高めることができ、冷却オイル供給通路96を短くすることができる。
【0102】
しかもプラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出する第1の冷却オイル導出通路97が、排気ポート89をその全周にわたって囲むようにしてシリンダヘッド83に設けられるので、燃焼室87の周囲で特に温度が高いプラグ孔92および排気ポート89周りの温度を低減することができ、燃焼室87の壁温を極力均一化することができ、またプラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出する第1の冷却オイル導出通路97がその下流側で第2および第3の冷却オイル導出通路131,132に分岐しているので、第1〜第3の冷却オイル導出通路97,131,132の表面積を大きくし、冷却オイルによる熱引き効果を高めて冷却性能向上に寄与することができる。
【0103】
本発明の第5の実施の形態について図16を参照しながら説明するが、上記第2〜第4の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0104】
エンジン本体81には、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路140が設けられるものであり、この冷却オイル循環路140の一部が、プラグ孔92を囲繞するように環状に形成されてシリンダヘッド83に設けられるプラグ周り冷却オイル通路95と、該プラグ周り冷却オイル通路95の上流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83に設けられる冷却オイル供給通路96と、前記プラグ周り冷却オイル通路95から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッド83に設けられる第1の冷却オイル導出通路97と、第1の冷却オイル導出通路97から2つに分岐する第2および第3の冷却オイル導出通路141,142と,第2の冷却オイル導出通路141の下流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83および前記シリンダブロック82(図7、図9および図10参照)間に形成される第4の冷却オイル導出通路143と、第3の冷却オイル導出通路142の下流端に連なるようにして前記シリンダヘッド83および前記シリンダブロック82間に形成される第5の冷却オイル導出通路144とで構成される。
【0105】
第4および第5の冷却オイル導出通路143,144は、冷却オイルをカムチェーン室90に導出するようにしつつ、前記カムチェーン室90をほぼ半周ずつ囲むようにして前記シリンダブロック82および前記シリンダヘッド83間に形成されるものであり、シリンダブロック82およびシリンダヘッド83の外面に設けられるフィン84…,85…の近傍を第4および第5の冷却オイル導出通路143,144を流通するオイルが通過するようにして放熱性を高めることができる。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0107】
11・・・エンジン本体
12・・・クランクシャフト
13・・・クランクケース
14,82・・・シリンダブロック
15,83・・・シリンダヘッド
15a・・・合わせ面
19,86・・・シリンダボア
20・・・ピストン
22,87・・・燃焼室
24,88・・・吸気ポート
25,89・・・排気ポート
26・・・吸気弁
27・・・排気弁
28・・・動弁機構
29・・・カムシャフト
43・・・カムシャフト駆動機構であるカムチェーン機構
47,90・・・カムシャフト駆動機構収容部であるカムチェーン室
50,94,120,130,140・・・冷却オイル循環路
53A,53B・・・ボルト
57A,57B・・・挿通孔
59,100・・・縦通路部
60,101・・・横通路部
61・・・冷却オイル供給通路である第3冷却オイル供給通路
66,91・・・点火プラグ
67,92・・・プラグ孔
68,95・・・プラグ周り冷却オイル通路
70,97,121・・・冷却オイル導出通路
71・・・二次空気供給路
73・・・シリンダヘッド冷却オイル通路
74・・・溝
75・・・ガスケット
C・・・シリンダボアの軸線
PL・・・平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフト(12)を回転自在に支承するクランクケース(13)と、前記クランクシャフト(12)に連接されるピストン(20)を摺動自在に嵌合させるシリンダボア(19,86)を有して前記クランクケース(13)に結合されるシリンダブロック(14,82)と、前記ピストン(20)の頂部を臨ませる燃焼室(22,87)を前記シリンダブロック(14,82)との間に形成して該シリンダブロック(14,82)に結合されるとともに点火プラグ(66,91)を配置するためのプラグ孔(67,92)、吸気ポート(24,88)および排気ポート(25,89)が設けられるシリンダヘッド(15,83)とを備えるエンジン本体(11,81)に、冷却オイルを循環させる冷却オイル循環路(50,94,120,130,140)が設けられ、前記冷却オイル循環路(50,94,120,130,140)の一部を構成するプラグ周り冷却オイル通路(68,95)が前記プラグ孔(67,92)を囲繞するようにして前記シリンダヘッド(15,83)に設けられる油冷エンジンにおいて、前記プラグ孔(67,92)が、前記シリンダボア(19,86)の軸線(C)に直交する平面への投影図上では、前記吸気ポート(24,88)および前記排気ポート(25,89)の前記燃焼室(22,87)への開口部の中心間を結ぶ直線を含む平面(PL)の一側に配置され、前記冷却オイル循環路(50,94)の一部を構成して前記プラグ周り冷却オイル通路(68,95)の上流端に連なる冷却オイル供給通路(61,96)が、前記平面(PL)の一側かつ前記排気ポート(25,89)よりも前記吸気ポート(24,88)寄りに配置されるようにして前記シリンダヘッド(15,83)に設けられることを特徴とする油冷エンジン。
【請求項2】
前記冷却オイル供給通路(61,96)が、前記シリンダボア(19,86)の軸線(C)に沿う方向に延びる縦通路部(59,100)と、その縦通路部(59,100)から分岐する横通路部(60,101)とから成り、前記横通路部(60,101)が前記縦通路部(59,100)からの分岐位置から前記プラグ孔(67,92)の軸線に向かって直線状に延びて前記プラグ周り冷却オイル通路(68,95)に連なるように形成されることを特徴とする請求項1記載の油冷エンジン。
【請求項3】
前記プラグ孔(67)の周囲以外の部分で少なくとも前記シリンダヘッド(15)を冷却するためのシリンダヘッド冷却オイル通路(73)を前記冷却オイル循環路(50)の一部として有し、前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)が前記横通路部(60)の分岐部よりも上流側で前記縦通路部(59)から分岐されることを特徴とする請求項2記載の油冷エンジン。
【請求項4】
前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)の流路断面積が、前記プラグ周り冷却オイル通路(68)の流路断面積よりも小さく設定されることを特徴とする請求項3記載の油冷エンジン。
【請求項5】
前記プラグ周り冷却オイル通路(68,95)から冷却オイルを導出する冷却オイル導出通路(70,97,121)が、前記冷却オイル循環路(50,94)の一部を構成して前記シリンダヘッド(15,83)に設けられ、前記冷却オイル導出通路(70,97,121)が、前記排気ポート(25,89)の少なくとも一部を囲むように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油冷エンジン。
【請求項6】
前記冷却オイル導出通路(70,97)がその下流側で複数に分岐するように形成されることを特徴とする請求項5記載の油冷エンジン。
【請求項7】
前記冷却オイル導出通路(70)の上流部が前記吸気ポート(24)および前記排気ポート(25)間を流通するように配置され、前記吸気ポート(24)および前記排気ポート(25)間で前記冷却オイル導出通路(70)の流路断面積が小さくなるように前記冷却オイル導出通路(70)の中間部が絞られることを特徴とする請求項6記載の油冷エンジン。
【請求項8】
前記排気ポート(25)に二次空気を供給するための二次空気供給路(71)が、前記プラグ孔(67)を前記冷却オイル供給通路(61)との間に挟むようにして前記シリンダヘッド(15)に設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の油冷エンジン。
【請求項9】
前記シリンダヘッド(15)に配設される吸気弁(26)および排気弁(27)を開閉駆動する動弁機構(28)の一部を構成するカムシャフト(29)および前記クランクシャフト(12)間に設けられるカムシャフト駆動機構(43)を収容するカムシャフト駆動機構収容部(47)が、前記クランクケース(13)、前記シリンダブロック(14)および前記シリンダヘッド(15)に形成され、前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)の下流端と、前記プラグ周り冷却オイル通路(68)から冷却オイルを導出するようにして前記シリンダヘッド(15)に設けられて前記冷却オイル循環路(50)の一部を構成する冷却オイル導出通路(70)の下流端とが、相互に独立してカムシャフト駆動機構収容部(47)に開放されることを特徴とする請求項3記載の油冷エンジン。
【請求項10】
前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)の前記カムシャフト駆動機構収容部(47)側への開口端が、前記シリンダボア(19)の軸線(C)に直交する平面への投影図上で前記冷却オイル導出通路(70)の前記カムシャフト駆動機構収容部(47)側への開口端に隣接もしくは重なって配置されることを特徴とする請求項9記載の油冷エンジン。
【請求項11】
前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)が、前記吸気ポート(24)よりも前記排気ポート(25)寄りで前記カムシャフト駆動機構収容部(47)に開口されることを特徴とする請求項9または10記載の油冷エンジン。
【請求項12】
前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)の前記カムシャフト駆動機構収容部(47)側への開口端が、前記シリンダボア(19)の軸線(C)に直交する平面への投影図上で、前記シリンダボア(19)の軸線(C)を前記縦通路部(59)との間に挟む位置に配置されることを特徴とする請求項11記載の油冷エンジン。
【請求項13】
前記シリンダヘッド(15)の前記シリンダブロック(14)への合わせ面(15a)に設けられる溝(74)と、前記シリンダヘッド(15)および前記シリンダブロック(14)間に挟まれるガスケット(75)とで形成される前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)が、前記シリンダボア(19)の軸線(C)に直交する平面への投影図上で前記プラグ孔(67)および前記排気ポート(25)を横切るように配置され、前記冷却オイル導出通路(70)が前記シリンダヘッド冷却オイル通路(73)との間に前記排気ポート(25)を挟むようにして前記シリンダヘッド(15)に設けられ、前記投影図上で前記プラグ孔(67)に重なる部分で前記溝(74)が他の部分よりも深く形成されることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の油冷エンジン。
【請求項14】
前記シリンダヘッド(15)を前記シリンダブロック(14)側に固定するボルト(53A,53B)を挿通するための複数の挿通孔(57A,57B)が、前記燃焼室(22)の周囲で前記シリンダヘッド(15)に設けられ、それらの挿通孔(57A,57B)のうちの1つの挿通孔(57A)および前記燃焼室(22)間を通過する部分で前記溝(74)が幅を狭くして形成されることを特徴とする請求項13記載の油冷エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−215172(P2012−215172A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19673(P2012−19673)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】