説明

油圧ホースおよびその製造方法

【課題】スパイラル補強層相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となり、しかも、耐熱性に優れる油圧ホースを提供すること。
【解決手段】内面ゴム層形成用のチューブ30の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、ゴム部2202をチューブ30に向けてチューブ30の上に巻き付けられる。このような状態でチューブ30、32と共に加硫されることで、内面ゴム層12、複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14D、外面ゴム層16からなる油圧ホース10が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ホースおよびその製造方法に関し、より詳細には、スチールコードが螺旋状に巻回されたスパイラル補強層を備える高圧油圧ホースおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最内層を構成するチューブ(チューブゴム層)と、最外層を構成するカバー(カバーゴム層)との間に、複数のスパイラル補強層が積層されて構成された高圧油圧ホースが提供されている。
この種の高圧油圧ホースのスパイラル補強層は、螺旋状に巻回されたスチールコードと、このスチールコードを被覆するコートゴムとで構成されている。
そして、スパイラル補強層は、従来、マンドレルを回転させつつ、スパイラルマシンにより複数のスチールコードおよびコートゴムを同時に繰り出し、マンドレル上に螺旋状に巻回させることで製造されている( 特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−44214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのスパイラルマシンは、構造が複雑で高価なため、安価な装置により油圧ホースを製造できる製造方法の出現が望まれていた。
そこで本出願人は、特願2008−227211号で、安価な装置により製造できる油圧ホースの製造方法および油圧ホースならびにスパイラル補強層形成用帯状部材を提供している。
このような先の出願によれば、高価なスパイラルマシンを用いることなく、油圧ホースおよびスパイラル補強層を簡単に製造できる。
また、先の出願では、スチールコードの一部がその延在方向の全長にわたりコートゴムの表面に露出した帯状部材を用い、コートゴムの量を必要最低限に減少できるため、スパイラル補強層相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
【0005】
しかしながら、スチールコードの一部がその延在方向の全長にわたりコートゴムの表面に露出した帯状部材を用いるため、帯状部材を巻き付ける向きによっては、スチールコードが内面ゴム層形成用のチューブや外面ゴム層形成用のチューブに接触する。
一方、スチールコードが内面ゴム層形成用のチューブや外面ゴム層形成用のチューブに接触すると、それらチューブとスパイラル補強層との間で接着不足が発生し易く、接着不足が発生すると、チューブが膨らみ、あるいは、それらの間に剥離が生じるなどの不具合が考えられる。
このような不具合を解消するため、チューブに、スパイラル補強層との接着性を向上させるため硫黄などの成分を入れる必要がある。
しかしながら、チューブに硫黄などの成分を入れると、接着性の向上が図れるものの、チューブとしての物性、特に、耐熱性が低下する。
そして、内面ゴム層の耐熱性が低下すると、使用流体が高温の場合にその油圧ホースは不敵となり、また、外面ゴム層の耐熱性が低下すると、高温雰囲気下で使用される場合にその油圧ホースは不適となる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、スパイラル補強層相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となり、しかも、耐熱性に優れる油圧ホースおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成されている。
そして、請求項1記載の発明の油圧ホースは、内面ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材は、前記ゴム部を前記チューブに向けて前記チューブの上に巻き付けられており、このような状態で前記チューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明の油圧ホースは、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材は、前記ゴム部を外側に向けて既に巻き付けられた帯状部材に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、前記チューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記外面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項5記載の発明の油圧ホースは、内面ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、かつ、前記複数のスパイラル補強層は、2つのスパイラル補強層を1組として複数組設けられ、各組をなす2つのスパイラル補強層は、それらスパイラル補強層形成用の帯状部材がそれらのスチールコード露出部が向かい合うように巻き付けられており、このような状態でそれらチューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層ならびに外面ゴム層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項6記載の発明の油圧ホースは、内面ゴム層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層されており、前記内面ゴム層形成用のチューブの上に層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、前記層間ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられており、このような状態で前記チューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層、層間ゴム層、複数のスパイラル補強層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項9記載の発明の油圧ホースは、スチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され最も外側のスパイラル補強層の外側に層間ゴム層が設けられ、前記層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられており、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、それらチューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記外面ゴム層、層間ゴム層、前記複数のスパイラル補強層が形成されていることを特徴とする。
また、請求項12記載の発明の油圧ホースは、内面ゴム層の周囲に内側層間ゴム層が積層され、前記内側層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外側層間ゴム層が設けられ、前記外側層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられており、前記内面ゴム層形成用のチューブの上に内側層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、前記内側層間ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に外側層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、それらチューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記内面ゴム層、内側層間ゴム層、複数のスパイラル補強層、外側層間ゴム層、外面ゴム層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項13記載の発明は、内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層された油圧ホースの製造方法であって、マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、次に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記ゴム部を前記内面ゴム層形成用のチューブに向けて前記マンドレルを回転しつつ前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、以後、前記マンドレルを回転しつつ順次外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、前記チューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
また、請求項15記載の発明は、スチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられた油圧ホースの製造方法であって、前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記マンドレルの上に順に螺旋状に巻き付けていき、前記外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を巻き付ける際に、前記スチールコード露出部を既に巻き付けられた帯状部材に向けて前記マンドレルの上に巻き付け、最後に、巻き付けられた帯状部材の外側に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、前記チューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
また、請求項17記載の発明は、内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられ、前記複数のスパイラル補強層は、2つのスパイラル補強層を1組として複数組設けられた油圧ホースの製造方法であって、マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、次に、前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで、前記マンドレルの上にそれらのスチールコード露出部が向かい合うように螺旋状に巻き付け、最後に、巻き付けられた帯状部材の外側に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、前記内面ゴム層形成用のチューブおよび外面ゴム層形成用のチューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
【0010】
また、請求項18記載の発明は、内面ゴム層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、前記スパイラル補強層の周囲に外面ゴム層が積層された油圧ホースの製造方法であって、マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、前記内面ゴム層形成用のチューブの上に層間ゴム層形成用のチューブを被せ、次に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記マンドレルを回転しつつ前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、このように巻き付けられた帯状部材の上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、それらチューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
また、請求項21記載の発明は、内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、前記スパイラル補強層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲に外面ゴム層が積層された油圧ホースの製造方法であって、マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記チューブの上に順に螺旋状に巻き付けていき、このように巻き付けられた帯状部材の上に層間ゴム層形成用のチューブを被せ、前記チューブの上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、それらチューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
また、請求項24記載の発明は、内面ゴム層の周囲に内側層間ゴム層が積層され、前記内側層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外側層間ゴム層が設けられ、前記外側層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられ油圧ホースの製造方法であって、マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、前記内面ゴム層形成用のチューブの上に内側層間ゴム層形成用のチューブを被せ、前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記内側層間ゴム層形成用のチューブの上に順に螺旋状に巻き付けていき、このように巻き付けられた帯状部材の上に外側層間ゴム層形成用のチューブを被せ、前記外側層間ゴム層形成用のチューブの上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、それらチューブと共に前記帯状部材を加硫することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油圧ホースによれば、コートゴムの量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、内面ゴム層形成用や外面ゴム層形成用のチューブに接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層や外面ゴム層の耐熱性を確保する上で有利となる。
また、内面ゴム層形成用や外面ゴム層形成用のチューブから接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用や外面ゴム層形成用のチューブの配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
本発明の油圧ホースの製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホースを簡単に製造できる。
また、コートゴムの量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図2】第1の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図3】第2の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図4】第2の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図5】第3の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図6】第3の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図7】第4の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図8】第4の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図9】第5の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図10】第5の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図11】第6の実施の形態の油圧ホースの部分の拡大断面図である。
【図12】第6の実施の形態の油圧ホースの製造方法の説明図である。
【図13】(A)は油圧ホースの断面図、(B)は分解説明図である。
【図14】(A)、(B)は帯状部材の説明図である。
【図15】油圧ホースの製造に用いる装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の油圧ホースは、使用流体が高温の場合に用いられるものであり、最も内側に位置する内面ゴム層12に耐熱性が要求されている。
図1、図13に示すように、油圧ホース10は、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、内面ゴム層12は耐熱性を備えている。
複数のスパイラル補強層14は、スチールコードの螺旋の向きが互いに逆向きとなるように設けられている。
【0014】
図2、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴム22と、コートゴム22の延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコード24とで構成されている。
複数のスチールコード24はそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたりコートゴム22の表面に露出してコートゴム22に埋設されることで保持されている。
そして、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0015】
帯状部材20は、図14(A)に示すように、コートゴム22の表面に、各スチールコード24の周面の一部が露出された構造のものであってもよく、あるいは、図14(B)に示すように、帯状のコートゴム22の表面に、各スチールコード24の径方向の半部が露出された構造のものであってもよい。
コートゴム22の材質やスチールコード24の線径、スチールコード24の間隔(配置密度)などは、製造すべき油圧ホースの仕様に基づいて適宜設定される。無論、スパイラル補強層の数も製造すべき油圧ホースの仕様に基づいて、3層以下、あるいは、5層以上に適宜設定される。
【0016】
図2に示すように、内面ゴム層形成用のチューブ30の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、ゴム部2202をチューブ30に向けてチューブ30の上に巻き付けられている。本実施の形態では、全てのスパイラル補強層形成用の帯状部材20が、ゴム部2202をチューブ30に向けて巻き付けられる。
なお、各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dは、帯状部材20が隙間なく同じ向きに螺旋状に複数回巻回され複数層として構成されていてもよい。あるいは、積層毎に向きを変え帯状部材20が隙間なく螺旋状に複数回巻回され複数層として構成されていてもよい。あるいは、積層毎に向きを変え帯状部材20が隙間をあけて螺旋状に複数回巻回され複数層として構成されていてもよい。要するに、帯状部材20を用いてスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが構成されればよい。
そして、このような状態でチューブ30、32と共に加硫されることで、図1、図13に示す内面ゴム層12、複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14D、外面ゴム層16からなる油圧ホース10が形成されている。
【0017】
第1の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのゴム部2202を内面ゴム層形成用のチューブ30に向けてチューブ30の上に巻き付けられているので、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aのゴム部2202と内面ゴム層形成用のチューブ30とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合に油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
また、本実施の形態の油圧ホース10によれば、スパイラル補強層が、帯状部材20が螺旋状に巻回されて構成されているので、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造できる。
【0018】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
まず、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
【0019】
図15は、油圧ホース10の製造に用いる装置の平面図を示す。
マンドレル40の一端が回転装置42のチャック44で支持され、マンドレル40の他端が芯押し台46で支持されている。
マンドレル40の長手方向に沿って延在するレール48が設けられ、このレール48上に走行可能に走行台50が設けられ、走行台50にドラム52が回転可能に支持されている。
帯状部材20はこのドラム52に巻装され、帯状部材20はドラム52から案内ローラ54を経てマンドレル40上に繰り出される。
【0020】
上述のように帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せる。
次に、走行台50に、第1帯状部材20Aが巻回されたドラム52を支持させる。
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、ゴム部2202を内面ゴム層形成用のチューブ30に向け、すなわちゴム部2202を内側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ30の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させゴム部2202を内側に向けて第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
【0021】
このようにして、ゴム部2202を内側に向け、第2スパイラル補強層14Bの上に第3帯状部材20Cを巻き付けて第3スパイラル補強層14Cを形作り、第3スパイラル補強層14Cの上に第4帯状部材20Dを巻き付けて第4スパイラル補強層14Dを形作る。
なお、第1乃至第4帯状部材20A、28B、28C、28Dを巻き付ける際に、ドラム52に制動力を付与し帯状部材20に張力を持たせるなど任意であり、帯状部材20に張力を付与すると、各帯状部材20のスチールコード24に巻きぐせを付ける上で有利となる。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに、外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0022】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、帯状部材20をマンドレル40の上に螺旋状に巻回していくことでスパイラル補強層14を製造するので、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いてスパイラル補強層を簡単に製造できる。
また、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのゴム部2202を内面ゴム層形成用のチューブ30に向けてチューブ30の上に巻き付けられ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aと内面ゴム層形成用のチューブ30とは加硫時にゴム同士の接着となるので、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となり、使用流体が高温の場合に油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0023】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付して説明する。
第2の実施の形態の油圧ホースは、高温雰囲気のもとで用いられるものであり、最も外側に位置する外面ゴム層16に耐熱性が要求されている。
図3、図13に示すように、油圧ホース10は、第1の実施の形態と同様に、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、外面ゴム層16は耐熱性を備えている。
図4、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、第1の実施の形態と同様に、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、帯状の未加硫のコートゴム22と、複数のスチールコード24とで構成され、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0024】
内面ゴム層形成用のチューブ30の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、かつ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、ゴム部2202を外側に向けて巻き付けられる。本実施の形態では、全てのスパイラル補強層形成用の帯状部材20が、ゴム部2202を外側に向けて巻き付けられる。
そして、このような状態でチューブ30、32と共に加硫されることで内面ゴム層12、複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14D、外面ゴム層16が形成されている。
【0025】
第2の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのゴム部2202を外側に向けて巻き付けられているので、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dのゴム部2202と外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、高温雰囲気下で用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0026】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
図15に示すように、帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せる。
【0027】
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、ゴム部2202を外側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ30の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させゴム部2202を外側に向けて第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
このようにして、ゴム部2202を外側に向け、第2スパイラル補強層14Bの上に第3帯状部材20Cを巻き付けて第3スパイラル補強層14Cを形作り、第3スパイラル補強層14Cの上に第4帯状部材20Dを巻き付けて第4スパイラル補強層14Dを形作る。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに、外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0028】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造でき、また、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのゴム部2202を外側に向けて巻き付けられ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dと外面ゴム層形成用のチューブ32とは加硫時にゴム同士の接着となるので、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となり、高温雰囲気下で用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0029】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態の油圧ホースは、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられるものであり、内面ゴム層12と外面ゴム層16の双方に耐熱性が要求されている。
図5、図13に示すように、油圧ホース10は、第1の実施の形態と同様に、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、内面ゴム層12および外面ゴム層16は耐熱性を備えている。
図6、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、第1の実施の形態と同様に、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、帯状の未加硫のコートゴム22と、複数のスチールコード24とで構成され、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0030】
内面ゴム層形成用のチューブ30の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、かつ、複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dは、2つのスパイラル補強層14を1組として複数組設けられ(本実施の形態では2組設けられ)、各組をなす2つのスパイラル補強層14は、それらスパイラル補強層形成用の帯状部材20がそれらのスチールコード露出部2402が向かい合うように巻き付けられており、このような状態でそれらチューブ30、32と共に加硫されることで内面ゴム層12および複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dならびに外面ゴム層16が形成されている。
なお、第3の実施の形態では、設けられるスパイラル補強層14の数は偶数である。
【0031】
第3の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのゴム部2202を内側に向けて、かつ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのゴム部2202を外側に向けて巻き付けられているので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32に対して帯状部材20のゴム部2202が接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12および外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0032】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
図15に示すように、帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せる。
【0033】
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、ゴム部2202を内側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ12の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させゴム部2202を外側に向けて、すなわち、スチールコード露出部2402が向かい合うように第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
このようにスチールコード露出部2402が向かい合うようにして、第2スパイラル補強層14Bの上に第3帯状部材20Cを巻き付けて第3スパイラル補強層14Cを形作り、第3スパイラル補強層14Cの上に第4帯状部材20Dを巻き付けて第4スパイラル補強層14Dを形作る。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに、外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0034】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造でき、また、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aおよび最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、それらのゴム部2202を内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32に向けて巻き付けられ加硫時にゴム同士の接着となるので、それらチューブ30、32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12および外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となり、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0035】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態の油圧ホースは、使用流体が高温の場合に用いられるものであり、内面ゴム層12に耐熱性が要求されている。
図7、図13に示すように、油圧ホース10は、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層された層間ゴム層18と、層間ゴム層18の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、内面ゴム層12は耐熱性を備えている。
図8、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、第1の実施の形態と同様に、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、帯状の未加硫のコートゴム22と、複数のスチールコード24とで構成され、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0036】
内面ゴム層形成用のチューブ30の上に層間ゴム層形成用のチューブ34が被せられ、このチューブ34の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、スチールコード露出部2402を層間ゴム層形成用のチューブ34に向けてチューブ34の上に巻き付けられており、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、このような状態でそれらチューブ30、32、34と共に加硫されることで内面ゴム層12、層間ゴム層18および複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dならびに外面ゴム層16が形成されている。
なお、第4の実施の形態では、全ての帯状部材20は、スチールコード露出部2402を層間ゴム層形成用のチューブ34に向けて、すなわちゴム部2202を外側に向けて巻き付けられており、したがって、外面ゴム層形成用のチューブ32は、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dのゴム部2202の上に被せられる。
【0037】
第4の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのスチールコード露出部2402が内側に向いているものの、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30との間に層間ゴム層形成用のチューブ34が介在しているので、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30とが接触して接着することがない。すなわち、内面ゴム層形成用のチューブ30と層間ゴム層形成用のチューブ34とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合に油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
なお、第4の実施の形態では、層間ゴム層形成用のチューブ34を設けたことにより、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30とが接触して接着することがなくなるため、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dを巻き付ける際に、スチールコード露出部2402をマンドレル側(内側)に向けるか外側に向けるかは任意となり、いずれの場合も上述の効果が奏される。
しかしながら、実施の形態のように、スチールコード露出部2402をマンドレル側(内側)に向けて巻き付けると、さらに次のような効果が奏される。
最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのゴム部2202を外側に向けて巻き付けられているので、外面ゴム層形成用のチューブ32に対して帯状部材20のゴム部2202が接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0038】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
図15に示すように、帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せ、その上に層間ゴム層形成用のチューブ34を被せる。
【0039】
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、スチールコード露出部2402を内側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ34の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させスチールコード露出部2402を内側に向けて、第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
このように第2スパイラル補強層14Bの上に第3帯状部材20Cを巻き付けて第3スパイラル補強層14Cを形作り、第3スパイラル補強層14Cの上に第4帯状部材20Dを巻き付けて第4スパイラル補強層14Dを形作る。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに、外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0040】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造でき、また、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、内面ゴム層形成用のチューブ30と最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aとの間に層間ゴム層形成用のチューブ34が介在しており、内面ゴム層形成用のチューブ30と層間ゴム層形成用のチューブ34とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となり、使用流体が高温の場合に油圧ホース10は好適となる。
また、本実施の形態では、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのゴム部2202を外側に向けて巻き付けられ、そのゴム部2202と外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0041】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態の油圧ホースは、高温雰囲気のもとで用いられるものであり、外面ゴム層16の双方に耐熱性が要求されている。
図9、図13に示すように、油圧ホース10は、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された層間ゴム層19と、層間ゴム層19の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、外面ゴム層16は耐熱性を備えている。
図10、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、第1の実施の形態と同様に、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、帯状の未加硫のコートゴム22と、複数のスチールコード24とで構成され、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0042】
内面ゴム層形成用のチューブ30の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、スチールコード露出部2402を外側に向けて巻き付けられており、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dの上に層間ゴム層形成用のチューブ35が被せられ、このチューブ35の上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、このような状態でそれらチューブ30、32、35と共に加硫されることで内面ゴム層12および複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dならびに層間ゴム層19、外面ゴム層16が形成されている。
なお、第5の実施の形態では、全ての帯状部材20は、スチールコード露出部2402を層間ゴム層形成用のチューブ35に向けて、すなわちゴム部2202を内側に向けて巻き付けられており、したがって、内面ゴム層形成用のチューブ30と最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aのゴム部2202とが接触する。
【0043】
第5の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのスチールコード露出部2402が外側に向いているものの、スチールコード露出部2402と外面ゴム層形成用のチューブ32との間に層間ゴム層形成用のチューブ35が介在しているので、スチールコード露出部2402と外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触して接着することがない。すなわち、外面ゴム層形成用のチューブ32と層間ゴム層形成用のチューブ35とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層(外面カバー層)16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、高温雰囲気のもとで用いられる場合に油圧ホース10は好適となる。
また、外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
なお、第5の実施の形態では、層間ゴム層形成用のチューブ35を設けたことにより、スチールコード露出部2402と外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触して接着することがなくなるため、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dを巻き付ける際に、スチールコード露出部2402をマンドレル側(内側)に向けるか外側に向けるかは任意となり、いずれの場合も上述の効果が奏される。
しかしながら、実施の形態のように、スチールコード露出部2402を外側に向けて巻き付けると、さらに次のような効果が奏される。
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのゴム部2202を内側に向けて巻き付けられているので、内面ゴム層形成用のチューブ30に対して帯状部材20のゴム部2202が接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0044】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
図15に示すように、帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せる。
【0045】
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、スチールコード露出部2402を外側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ34の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させスチールコード露出部2402を外側に向けて、第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
このように第2スパイラル補強層14Bの上に第3帯状部材20Cを巻き付けて第3スパイラル補強層14Cを形作り、第3スパイラル補強層14Cの上に第4帯状部材20Dを巻き付けて第4スパイラル補強層14Dを形作る。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに層間ゴム層形成用のチューブ35を被せ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0046】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造でき、また、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、外面ゴム層形成用のチューブ32と最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dとの間に層間ゴム層形成用のチューブ35が介在しており、外面ゴム層形成用のチューブ32と層間ゴム層形成用のチューブ35とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となり、高温雰囲気のもとで用いられる場合に油圧ホース10は好適となる。
また、本実施の形態では、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのゴム部2202を内側に向けて巻き付けられ、そのゴム部2202と内面ゴム層形成用のチューブ30とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【0047】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。
第6の実施の形態の油圧ホースは、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられるものであり、内面ゴム層12と外面ゴム層16の双方に耐熱性が要求されている。
図11、図13に示すように、油圧ホース10は、内面ゴム層12と、内面ゴム層12の周囲に積層された層間ゴム層(内側層間ゴム層)18と、層間ゴム層18の周囲に積層されスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層14(14A、14B、14C、14D)と、スパイラル補強層14の周囲に積層された層間ゴム層(外側層間ゴム層)19と、層間ゴム層19の周囲に積層された外面ゴム層(外面カバー層)16とを備え、内面ゴム層12および外面ゴム層16は耐熱性を備えている。
図12、図14に示すように、スパイラル補強層14を作製するにあたり、第1の実施の形態と同様に、最も内側のスパイラル補強層14Aから最も外側のスパイラル補強層14Dまでの各スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dをそれぞれ形成するための複数の帯状部材20(20A、20B、20C、20D)が設けられる。
各帯状部材20は、帯状の未加硫のコートゴム22と、複数のスチールコード24とで構成され、帯状部材20の厚さ方向の一方の面が、コートゴム22が位置するゴム部2202として形成され、厚さ方向の他方の面が、複数のスチールコード24が露出するスチールコード露出部2402として形成されている。
【0048】
内面ゴム層形成用のチューブ30の上に層間ゴム層形成用のチューブ34が被せられ、このチューブ34の上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dまで螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付けられ、その上に層間ゴム層形成用のチューブ35が被せられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32が被せられ、このような状態でそれらチューブ30、32、34、35と共に加硫されることで内面ゴム層12、層間ゴム層18、複数のスパイラル補強層14A、14B、14C、14D、層間ゴム層19、外面ゴム層16が形成されている。
なお、第6の実施の形態では、内側の2つの帯状部材20A、20Bは、スチールコード露出部2402を内側に向けて巻きつけられ、外側の2つの帯状部材20C、20Dは、スチールコード露出部2402を外側に向けて巻き付けられている。
【0049】
第6の実施の形態によれば、スチールコード24の一部が露出した帯状部材20によりスパイラル補強層14A、14B、14C、14Dが形成されているので、第1の実施の形態と同様に、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aは、そのスチールコード露出部2402が外側に向いているものの、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30との間に層間ゴム層形成用のチューブ34が介在しているので、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30とが接触して接着することがない。すなわち、内面ゴム層形成用のチューブ30と層間ゴム層形成用のチューブ34とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となる。
また、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dは、そのスチールコード露出部2402が外側に向いているものの、スチールコード露出部2402と外面ゴム層形成用のチューブ32との間に層間ゴム層形成用のチューブ35が介在しているので、スチールコード露出部2402と外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触して接着することがない。すなわち、外面ゴム層形成用のチューブ32と層間ゴム層形成用のチューブ35とが接触し、加硫時にゴム同士の接着となる。そのため、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
なお、第6の実施の形態では、層間ゴム層形成用のチューブ34、35を設けたことにより、スチールコード露出部2402と内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32とが接触して接着することがなくなるため、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aから最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dを巻き付ける際に、スチールコード露出部2402をマンドレル側(内側)に向けるか外側に向けるかは任意となり、いずれの場合も上述の効果が奏される。
【0050】
次に、油圧ホース10の製造方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、予め、第1乃至第4スパイラル補強層14A、14B、14C、14Dを形成するための各帯状部材20、すなわち、第1スパイラル補強層14Aを形成するための第1帯状部材20A、第2スパイラル補強層14Bを形成するための第2帯状部材20B、第3スパイラル補強層14Cを形成するための第3帯状部材20C、第4スパイラル補強層14Dを形成するための第4帯状部材20Dをそれぞれ製造する。
図15に示すように、帯状部材20を用意したならば、マンドレル40に、内面ゴム層形成用のチューブ30を被せ、その上に層間ゴム層形成用のチューブ34を被せる。
【0051】
そして、マンドレル40を回転し、第1帯状部材20Aをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させ、スチールコード露出部2402を内側に向けて第1帯状部材20Aをチューブ34の上に螺旋状に巻き付け、第1スパイラル補強層14Aを形作る。
次に、走行台50に、第2帯状部材20Bが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第2帯状部材20Bをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させスチールコード露出部2402を内側に向けて、第2帯状部材20Bを第1スパイラル補強層14Aの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第2スパイラル補強層14Bを形作る。
次に、走行台50に、第3帯状部材20Cが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第3帯状部材20Cをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させスチールコード露出部2402を外側に向けて、第3帯状部材20Cを第2スパイラル補強層14Bの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第3スパイラル補強層14Cを形作る。
次に、走行台50に、第4帯状部材20Dが巻回されたドラム52を支持させ、マンドレル40を回転し、第4帯状部材20Dをドラム52から繰り出し、走行台50を走行させスチールコード露出部2402を外側に向けて、第4帯状部材20Dを第3スパイラル補強層14Cの上に螺旋の向きを逆にして螺旋状に巻き付け、第4スパイラル補強層14Dを形作る。
最後に、第4スパイラル補強層14Dに層間ゴム層形成用のチューブ35を被せ、その上に外面ゴム層形成用のチューブ32を被せる。
そして、外面ゴム層形成用のチューブ32の上に帯状の布や樹脂フィルムを螺旋状に巻き付けて加硫が行なわれ、加硫後、帯状の布や樹脂フィルムを取り除き、従来公知の様々な方法によりマンドレル40が引き抜かれ、油圧ホース10が得られる。
【0052】
本実施の形態の油圧ホース10の製造方法によれば、高価なスパイラルマシンを用いる必要がなくなり、安価な装置を用いて油圧ホース10を簡単に製造でき、また、コートゴム22の量を必要最低限に減少でき、スパイラル補強層14A、14B、14C、14D相互の層間の薄肉化を図れ、ホースの構造体としての強度を高める上で極めて有利となる。
また、内面ゴム層形成用のチューブ30と最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Aとの間に層間ゴム層形成用のチューブ34が介在しており、内面ゴム層形成用のチューブ30と層間ゴム層形成用のチューブ34とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、内面ゴム層形成用のチューブ30に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、内面ゴム層12の耐熱性を確保する上で有利となり、使用流体が高温の場合に油圧ホース10は好適となる。
また、外面ゴム層形成用のチューブ32と最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材20Dとの間に層間ゴム層形成用のチューブ35が介在しており、外面ゴム層形成用のチューブ32と層間ゴム層形成用のチューブ35とが接触し加硫時にゴム同士の接着となるので、外面ゴム層形成用のチューブ32に接着性を高めるための硫黄などの成分を混入する必要がなくなり、したがって、外面ゴム層16の耐熱性を確保する上で有利となり、高温雰囲気のもとで用いられる場合に油圧ホース10は好適となる。
したがって、使用流体が高温の場合で、かつ、高温雰囲気のもとで用いられる場合に、油圧ホース10は好適となる。
また内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32から接着性を高めるための成分を除くことができるので、内面ゴム層形成用のチューブ30および外面ゴム層形成用のチューブ32の配合設計の自由度を大きく確保する上でも有利となる。
【符号の説明】
【0053】
10……油圧ホース、12……内面ゴム層、14……スパイラル補強層、16……外面ゴム層、18、19……層間ゴム層、20……帯状部材、2202……ゴム部、2402……スチールコード露出部、30……内面ゴム層形成用のチューブ、32……外面ゴム層形成用のチューブ、34、35……層間ゴム層形成用のチューブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層された油圧ホースであって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
内面ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材は、前記ゴム部を前記チューブに向けて前記チューブの上に巻き付けられており、このような状態で前記チューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項2】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材と同様に、残りのスパイラル補強層形成用の全ての帯状部材は、前記ゴム部を前記チューブに向けて巻き付けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の油圧ホース。
【請求項3】
スチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられた油圧ホースであって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、かつ、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材は、前記ゴム部を外側に向けて既に巻き付けられた帯状部材に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、前記チューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記外面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項4】
最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材と同様に、残りのスパイラル補強層形成用の全ての帯状部材は、前記ゴム部を外側に向けて巻き付けられている、
ことを特徴とする請求項3記載の油圧ホース。
【請求項5】
内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられた油圧ホースであって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
内面ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、かつ、前記複数のスパイラル補強層は、2つのスパイラル補強層を1組として複数組設けられ、各組をなす2つのスパイラル補強層は、それらスパイラル補強層形成用の帯状部材がそれらのスチールコード露出部が向かい合うように巻き付けられており、このような状態でそれらチューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層および前記複数のスパイラル補強層ならびに外面ゴム層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項6】
内面ゴム層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層されており、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
前記内面ゴム層形成用のチューブの上に層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、
前記層間ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられており、このような状態で前記チューブと共に加硫されることで前記内面ゴム層、層間ゴム層、複数のスパイラル補強層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項7】
最も外側のスパイラル補強層の周囲に外面ゴム層が積層され、
前記最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材は、前記ゴム部を外側に向けて巻き付けられ、
前記加硫は、巻き付けられた最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材の上に、外面ゴム層形成用のチューブを被せた状態でなされている、
ことを特徴とする請求項6記載の油圧ホース。
【請求項8】
最も外側のスパイラル補強層の周囲に外面ゴム層が積層され、
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記ゴム部を外側に向けて巻き付けられ、
前記加硫は、巻き付けられた最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材の上に、外面ゴム層形成用のチューブを被せた状態でなされている、
ことを特徴とする請求項6記載の油圧ホース。
【請求項9】
スチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され最も外側のスパイラル補強層の外側に層間ゴム層が設けられ、前記層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられており、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、それらチューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記外面ゴム層、層間ゴム層、前記複数のスパイラル補強層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項10】
複数のスパイラル補強層の内側に内面ゴム層が設けられ、
前記加硫は、内面ゴム層形成用のチューブの上に、スパイラル補強層形成用の帯状部材が巻き付けられ、かつ、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材が、前記ゴム部を内側に向けて巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられた状態でなされている、
ことを特徴とする請求項9記載の油圧ホース。
【請求項11】
複数のスパイラル補強層の内側に内面ゴム層が設けられ、
前記加硫は、内面ゴム層形成用のチューブの上に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記ゴム部を内側に向けて巻き付けられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられた状態でなされている、
ことを特徴とする請求項9記載の油圧ホース。
【請求項12】
内面ゴム層の周囲に内側層間ゴム層が積層され、前記内側層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外側層間ゴム層が設けられ、前記外側層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられており、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材が設けられ、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
前記内面ゴム層形成用のチューブの上に内側層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、
前記内側層間ゴム層形成用のチューブの上に最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで螺旋状に巻き付けられ、このように巻き付けられた帯状部材の上に外側層間ゴム層形成用のチューブが被せられ、その上に外面ゴム層形成用のチューブが被せられ、それらチューブと共に前記帯状部材が加硫されることで前記内面ゴム層、内側層間ゴム層、複数のスパイラル補強層、外側層間ゴム層、外面ゴム層が形成されている、
ことを特徴とする油圧ホース。
【請求項13】
内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層された油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、
次に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記ゴム部を前記内面ゴム層形成用のチューブに向けて前記マンドレルを回転しつつ前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、
以後、前記マンドレルを回転しつつ順次外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、
前記チューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項14】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材と同様に、残りのスパイラル補強層形成用の全ての帯状部材を、前記ゴム部を前記チューブに向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項13記載の油圧ホースの製造方法。
【請求項15】
スチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられた油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記マンドレルの上に順に螺旋状に巻き付けていき、
前記外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を巻き付ける際に、前記スチールコード露出部を既に巻き付けられた帯状部材に向けて前記マンドレルの上に巻き付け、
最後に、巻き付けられた帯状部材の外側に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記チューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項16】
最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材と同様に、残りのスパイラル補強層形成用の全ての帯状部材を、前記スチールコード露出部を前記マンドレルに向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項15記載の油圧ホースの製造方法。
【請求項17】
内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外面ゴム層が設けられ、前記複数のスパイラル補強層は、2つのスパイラル補強層を1組として複数組設けられた油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、
次に、前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで、前記マンドレルの上にそれらのスチールコード露出部が向かい合うように螺旋状に巻き付け、
最後に、巻き付けられた帯状部材の外側に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記内面ゴム層形成用のチューブおよび外面ゴム層形成用のチューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項18】
内面ゴム層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、前記スパイラル補強層の周囲に外面ゴム層が積層された油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記内面ゴム層形成用のチューブの上に層間ゴム層形成用のチューブを被せ、
次に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記マンドレルを回転しつつ前記マンドレルの上に螺旋状に巻き付け、
このように巻き付けられた帯状部材の上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、
それらチューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項19】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を螺旋状に巻き付ける際に、最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記ゴム部を外側に向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項18記載の油圧ホース。
【請求項20】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を螺旋状に巻き付ける際に、全ての帯状部材を、前記ゴム部を外側に向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項18記載の油圧ホース。
【請求項21】
内面ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、前記スパイラル補強層の周囲に層間ゴム層が積層され、前記層間ゴム層の周囲に外面ゴム層が積層された油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記チューブの上に順に螺旋状に巻き付けていき、
このように巻き付けられた帯状部材の上に層間ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記チューブの上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、
それらチューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項22】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を螺旋状に巻き付ける際に、最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を、前記ゴム部を内側に向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項21記載の油圧ホース。
【請求項23】
最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材を螺旋状に巻き付ける際に、全ての帯状部材を、前記ゴム部を内側に向けて巻き付ける、
ことを特徴とする請求項21記載の油圧ホース。
【請求項24】
内面ゴム層の周囲に内側層間ゴム層が積層され、前記内側層間ゴム層の周囲にスチールコードが螺旋状に巻回された複数のスパイラル補強層が順次積層され、最も外側のスパイラル補強層の外側に外側層間ゴム層が設けられ、前記外側層間ゴム層の外側に外面ゴム層が設けられた油圧ホースの製造方法であって、
最も内側のスパイラル補強層から最も外側のスパイラル補強層までの各スパイラル補強層をそれぞれ形成するための複数の帯状部材を設け、
前記各帯状部材は、厚さよりも大きい一定の寸法の幅を有して延在する帯状の未加硫のコートゴムと、前記コートゴムの延在方向に沿って互いに平行して延在するように前記幅方向に並べられた複数のスチールコードとで構成され、
前記複数のスチールコードはそれらの断面の一部が延在方向の全長にわたり前記コートゴムの表面に露出して前記コートゴムに埋設されることで、前記帯状部材の厚さ方向の一方の面が前記コートゴムが位置するゴム部として形成され、厚さ方向の他方の面が前記複数のスチールコードが露出するスチールコード露出部として形成され、
マンドレルに内面ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記内面ゴム層形成用のチューブの上に内側層間ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記マンドレルを回転しつつ最も内側のスパイラル補強層形成用の帯状部材から最も外側のスパイラル補強層形成用の帯状部材まで前記内側層間ゴム層形成用のチューブの上に順に螺旋状に巻き付けていき、
このように巻き付けられた帯状部材の上に外側層間ゴム層形成用のチューブを被せ、
前記外側層間ゴム層形成用のチューブの上に外面ゴム層形成用のチューブを被せ、
それらチューブと共に前記帯状部材を加硫する、
ことを特徴とする油圧ホースの製造方法。
【請求項25】
前記各帯状部材を前記マンドレルに巻き付けられる際に、前記各帯状部材に張力を付与する、
ことを特徴とする請求項13乃至24の何れか1項記載の油圧ホースの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−196414(P2011−196414A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61659(P2010−61659)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】