説明

油圧制御装置および作業機械

【課題】ブームシリンダへ十分なメークアップ油を供給可能な油圧制御装置を提供する。
【解決手段】油圧制御装置は、第1および第2可変容量油圧ポンプ101,102と、第1制御弁111および第2制御弁112と、ポンプ吐出油で駆動されるブームシリンダ32と、第1および第2制御弁111,112を切り換え制御する操作レバー131,132と、ブームシリンダ32からの戻り油をタンク109に戻す戻り油路と、戻り油路からブームシリンダ32のロッド室32Rへメークアップ油を供給するメークアップ油路と、ポンプ傾転を操作レバー131,132の操作量が大きくなるほど増加させる傾転制御手段とを備え、傾転制御手段は操作レバー131,132がブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、第1および第2可変容量油圧ポンプ101,102の少なくとも一方の傾転を所定傾転に制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームシリンダにメークアップ油を供給するメークアップ油路を有する作業機械の油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械では、旋回モータやブームシリンダ等の油圧アクチュエータを操作した後、操作レバーを急に中立位置に戻した場合、上部旋回体やフロント装置の慣性力により油圧アクチュエータの流入側油路が負圧になる。
【0003】
そこで、油圧アクチュエータの流入側油路が負圧になることを防止するため、油圧アクチュエータからの油をタンクに戻す戻り油路内の背圧を調整して、戻り油の一部を油圧アクチュエータに供給する油圧制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4114609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の油圧制御装置では、戻り油路内の背圧を調整する流量制御弁を設ける必要があるため、低コスト化が困難である。さらに、油圧アクチュエータ駆動用のポンプに可変容量型のポンプを採用した場合、操作レバーを中立位置に戻したときに戻り油路に流れる油量が減少して戻り油路内の背圧が下がってしまうため、十分なメークアップ油が供給できなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、第1可変容量油圧ポンプと、第2可変容量油圧ポンプと、第1可変容量油圧ポンプからの圧油の流れを制御する第1制御弁と、第2可変容量油圧ポンプからの圧油の流れを制御する第2制御弁と、作業機本体に回動可能に装着されたブームを駆動するシリンダであって、第1および第2制御弁で制御されるポンプ吐出油で駆動されるブームシリンダと、ブームシリンダの駆動を指令して第1および第2制御弁を切り換え制御する操作レバーと、ブームシリンダからの戻り油をタンクに戻す戻り油路と、戻り油路からブームシリンダのロッド室へメークアップ油を供給するメークアップ油路と、第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの傾転を操作レバーの操作量が大きくなるほど増加させる傾転制御手段とを備え、傾転制御手段は、操作レバーがブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの少なくとも一方の傾転をポンプ最小傾転より大きくポンプ最大傾転よりも小さい所定傾転に制御することを特徴とする油圧制御装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の油圧制御装置において、傾転制御手段は、操作レバーがブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの双方の傾転を制御することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の油圧制御装置において、第2制御弁がブーム下げ位置に切換えられたときにブームシリンダのボトム室からの圧油をタンクに排出する戻り油路に接続され、ブームの下げ動作によりブームシリンダのボトム室から排出される圧油をブームシリンダのロッド室に供給する再生油路を有していることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の油圧制御装置において、傾転制御手段は、所定時間だけ所定傾転を保持し、所定時間経過後に所定傾転をポンプ最小傾転に制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の油圧制御装置と、第1および第2可変容量油圧ポンプから吐出される圧油で駆動されるブーム以外のフロント装置用油圧アクチュエータとを備え、傾転制御手段は、ブームシリンダおよびフロント装置用油圧アクチュエータの操作圧に基づいて第1および第2可変容量油圧ポンプの傾転を制御することを特徴とする作業機械である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コストを抑えつつ、ブームシリンダへ十分なメークアップ油を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る油圧制御装置を備える油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図4】第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの傾転制御に係るコントローラの構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
―第1の実施の形態―
以下、図面を参照して本発明による作業機械の油圧制御装置の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る油圧制御装置を備える作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
【0010】
油圧ショベルは、下部走行体10と、下部走行体10上に旋回可能に設けられた上部旋回体20とを有する。下部走行体10は、クローラ11およびクローラフレーム12、各クローラ11を独立して駆動制御する一対の走行モータ13,14およびその減速機構(図示せず)を備えている。上部旋回体20は、旋回フレーム21と、エンジン22と、下部走行体10に対して上部旋回体20を旋回駆動させるための旋回モータ26とを備えている。
【0011】
上部旋回体20には、上部旋回体20に回動可能に軸支されたブーム31と、ブーム31を駆動するためのブームシリンダ32と、ブーム31の先端部近傍に回動可能に軸支されたアーム33と、アーム33を駆動するためのアームシリンダ34と、アーム33の先端に回転可能に軸支されたバケット35と、バケット35を駆動するためのバケットシリンダ36とを含んだフロント装置30が搭載されている。
【0012】
上部旋回体20の旋回フレーム21上には、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36、旋回モータ26を駆動制御するための油圧ポンプおよび油圧制御弁を備えた油圧制御システム40が搭載されている。上部旋回体20の左前部には運転室(キャブ)45が設けられている。
【0013】
運転室45には、図示しないが、オペレータが着座する運転席と、走行レバーと、操作レバーとが設けられている。オペレータは、走行レバーを操作することによって下部走行体10を走行させることができ、操作レバーを操作することによって上部旋回体20を旋回させたり、フロント装置30のブーム31,アーム33およびバケット35を起伏動させることができる。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図である。図2では、ブームシリンダ32とアームシリンダ34を第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の吐出油により駆動させるための油圧制御装置の構成を示す油圧回路を示し、旋回モータ、走行モータ、および、バケットシリンダを駆動させるための油圧回路については図示を省略する。なお、図示しないが走行モータ、バケットシリンダについても、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の吐出される圧油で駆動される。
【0015】
油圧回路は、エンジンにより駆動される第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102と、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油により駆動されるブームシリンダ32と、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油により駆動されるアームシリンダ34と、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からブームシリンダ32への圧油の流れをそれぞれ制御する一対の制御弁111,112と、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からアームシリンダ34への圧油の流れをそれぞれ制御する一対の制御弁113,114と、ブームシリンダ32の駆動を指令するブーム用操作レバー131と、アームシリンダ34の駆動を指令するアーム用操作レバー132とを有する。
【0016】
油圧回路は、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油を合流させてブームシリンダ32に供給し、ブームシリンダ32からの戻り油を合流させてタンク109に戻す合流回路とされている。アームシリンダ34もブームシリンダ32と同様に合流回路で駆動される。なお、後述するようにブーム下げ操作時には、第1可変容量油圧ポンプ101からの圧油はブームシリンダ32に供給されるが、第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はブームシリンダ32に供給されない。
【0017】
第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102から制御弁111〜114に圧油を供給する油路には、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の吐出油圧を制御するリリーフ弁110が設けられている。ブームシリンダ32およびアームシリンダ34からの戻り油をタンク109に戻す戻り油路には、背圧を与えるリリーフ弁119が設けられている。
【0018】
ブームシリンダ32のロッド室32Rに接続されるロッド室側油路とタンク109との間には、ロッド室32R側の方向への流れのみを許容するチェック弁141が設けられたメークアップ油路が接続されている。ブームシリンダ32のボトム室32Bに接続されるボトム室側油路とタンク109との間には、ボトム室32B側の方向への流れのみを許容するチェック弁142が設けられたメークアップ油路が接続されている。
【0019】
アームシリンダ34のロッド室34Rに接続されるロッド室側油路とタンク109との間には、ロッド室34R側の方向への流れのみを許容するチェック弁143が設けられたメークアップ油路が接続されている。アームシリンダ34のボトム室34Bに接続されるボトム室側油路とタンク109との間には、ボトム室34B側の方向への流れのみを許容するチェック弁144が設けられたメークアップ油路が接続されている。
【0020】
第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102は、コントローラ50からの制御信号により後述するようにポンプ傾転角が制御される。
【0021】
制御弁111〜114は、それぞれ油圧パイロット式切換弁である。制御弁111,112のパイロットポートには、それぞれブーム用操作レバー131の操作によりパイロット圧が同時に作用する。ブーム用操作レバー131の操作に応じて制御弁111,112はそれぞれブーム下げ側である位置(A)側、または、ブーム上げ側である位置(B)側に切り換わる。制御弁113,114のパイロットポートには、それぞれアーム用操作レバー132の操作によりパイロット圧が同時に作用する。アーム用操作レバー132の操作に応じて制御弁113,114はそれぞれアーム上げ(DUMP)側である位置(A)側、または、アーム下げ(CROWD)側である位置(B)側に切り換わる。これによりブームシリンダ32およびアームシリンダ34がそれぞれ駆動される。
【0022】
図3に示すように、ブーム用操作レバー131が単独操作されて制御弁111,112がブーム下げ側の位置(A)に切り換わると、第1可変容量油圧ポンプ101からの圧油は、制御弁111を通過してブームシリンダ32のロッド室32Rに供給されるのに対し、第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はロッド室32Rに供給されず、制御弁112を通ってタンク109に戻される。
【0023】
制御弁112がブーム下げ位置である位置(A)に切り換わると、ブームシリンダ32のボトム室32Bからの圧油をタンク109に排出する戻り油路に、制御弁112とブームシリンダ32のロッド室32Rとを連通する再生油路203が接続される。これにより、ブームシリンダ32のボトム室32Bとロッド室32Rとを連通する再生回路が形成されて、ブーム31の下げ動作によりブームシリンダ32のボトム室32Bから排出される圧油がブームシリンダ32のロッド室32Rに供給される。したがって、ブームシリンダ32のボトム室32Bの圧油の一部は、制御弁112内のチェック弁112aを介してロッド室32Rに導かれ、残りは制御弁111内の絞り111aおよび制御弁112内の絞り112bを介してタンク109に排出される。
【0024】
ブーム用操作レバー131が単独操作されて制御弁111,112がブーム上げ側の位置(B)に切り換わると、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はそれぞれ制御弁111,112を通過後に合流してブームシリンダ32のボトム室32Bに供給される。ロッド室32Rの圧油は制御弁111,112を通過してタンク109に排出される。
【0025】
アーム用操作レバー132が単独操作されて制御弁113,114がアーム上げ側の位置(A)に切り換わると、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はそれぞれ制御弁113,114を通過後に合流してアームシリンダ34のロッド室34Rに供給される。ボトム室34Bの圧油は制御弁113,114を通過してタンク109に排出される。
【0026】
アーム用操作レバー132が単独操作されて制御弁113,114がアーム下げ側の位置(B)に切り換わると、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はそれぞれ制御弁113,114を通過後に合流してアームシリンダ34のボトム室34Bに供給される。ロッド室34Rの圧油は制御弁113,114を通過してタンク109に排出される。
【0027】
ブーム用操作レバー131およびアーム用操作レバー132が複合操作されたときには、制御弁111〜114がそれぞれ切り換わり、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油は、各制御弁111〜114により流れが制御されてブームシリンダ32およびアームシリンダ34へ供給され、ブームシリンダ32およびアームシリンダ34からの圧油はタンク109に排出される。
【0028】
なお、ブーム用制御弁111の入口ポートと出口ポートとを連通するバイパス油路201が設けられ、複合操作した時にアーム用制御弁113の入口ポートへ油を供給する。同様に、アーム用制御弁114の入口ポートと出口ポートとを連通するバイパス油路202が設けられ、複合操作した時にブーム用制御弁112の入口ポートへ油を供給する。
【0029】
図2に示すように、コントローラ50には、制御弁111,112に作用するブーム下げ側の操作圧力を検出する圧力センサ151およびブーム上げ側の操作圧力を検出する圧力センサ152と、制御弁113,114に作用するアーム上げ側の操作圧力を検出する圧力センサ153およびアーム下げ側の操作圧力を検出する圧力センサ154とが接続されている。
【0030】
コントローラ50は、圧力センサ151〜154からの信号に応じてレギュレータ101a,102aのそれぞれに制御信号を出力する。レギュレータ101a,102aのそれぞれには電磁比例減圧弁が設けられており、ポンプ傾転角は電磁比例減圧弁の制御圧に応じて変化する。後述するように、レギュレータ101a,102aのそれぞれの電磁比例減圧弁の制御圧をコントローラ50により制御することにより、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の傾転角(吐出容量)が制御される。
【0031】
図4は、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の傾転制御に係るコントローラ50における処理を説明するためのブロック図である。なお、図4ではブーム用操作レバー131の操作に基づく処理についてのみ示しており、アーム、バケット、走行、旋回などのその他の操作に基づく処理については図示を省略している。以下、ブーム31のみが操作されたときの処理を示し、アーム、バケット、走行、旋回などのその他の操作はしていないものとして説明する。
【0032】
傾転演算回路171Dには、圧力センサ151からブーム下げ操作圧の信号が入力され、傾転演算回路171Uには、圧力センサ152からブーム上げ操作圧の信号が入力される。
【0033】
傾転演算回路171Dには、ブーム下げ操作圧pi、いわゆるポジコン圧がPminから所定値p1に至るまでポンプ傾転が最小傾転qminから比例的に増加し、ブーム下げ操作圧piが所定値p1以上でポンプ傾転がq1となるような特性が記憶されている。ポンプの所定傾転q1は、最小傾転qminより大きくポンプ最大傾転qmaxよりも小さい。傾転演算回路171Uには、ブーム上げ操作圧piがPminからPmaxに至るまでポンプ傾転が最小傾転qminから比例的に増加するような特性が記憶されている。傾転演算回路171D,171Uは、上述した特性にしたがって、それぞれ圧力センサ151,152からのブーム下げ操作圧信号およびブーム上げ操作圧信号に応じた目標傾転角qbを演算して出力する。
【0034】
ブーム下げメークアップ改善モジュール180は、遅延制御回路181と、遅延用傾転演算回路182と、最大値選択回路193,194と、保持回路195,196とを有している。
【0035】
遅延制御回路181および遅延用傾転演算回路182には、圧力センサ151からブーム下げ操作圧信号が入力される。
【0036】
遅延制御回路181は、圧力センサ151からのブーム下げ操作圧信号に応じてハイ・ロー信号(以下、S値という)を出力する。具体的には、遅延制御回路181に入力されるブーム下げ操作圧信号が第1の閾値以上になると、遅延制御回路181はS値=1を出力する。遅延制御回路181に入力されるブーム下げ操作圧信号が第2の閾値以下になると、遅延制御回路181はコントローラ50に内蔵されるタイマにより時間の計測を開始する。なお、遅延制御回路181には、予め遅延時間が記憶されている。
【0037】
遅延時間であるX秒が経過すると、遅延制御回路181はS値=0を出力する。
【0038】
遅延用傾転演算回路182には、ブーム下げ操作圧piがpminから所定値p2に至るまでポンプ傾転が最小傾転qminから比例的に増加し、ブーム下げ操作圧piが所定値p2以上でポンプ傾転がq2となるような特性が記憶されている。ポンプの所定傾転q2は、最小傾転qminより大きくポンプ最大傾転qmaxよりも小さい。遅延用傾転演算回路182は、その特性にしたがって、圧力センサ151からブーム下げ操作圧信号に応じた目標傾転角qdを演算して出力する。なお、本実施の形態では、遅延用傾転演算回路182で演算される目標傾転角qdの最大値q2と、傾転演算回路171Dで演算される目標傾転角qbの最大値q1との関係は、q1>q2である。目標傾転角qbの最大値q1と目標傾転角qdの最大値q2は、第1可変容量油圧ポンプ101が目標傾転角q1に制御された後、ブーム用操作レバー131が中立位置に戻されたときに、メークアップ油をブームシリンダ32に供給するために必要な戻り油路内の背圧に応じて設定される。
【0039】
最大値選択回路193は、傾転演算回路171Dから出力される目標傾転角qbと、保持回路195から出力される目標傾転角qk1とから最大値を選択し、これを目標傾転角qc1として出力する。
【0040】
最大値選択回路193から出力される目標傾転角qc1は、遅延制御回路181から出力されるS値(1or0)と乗算され、目標傾転角qs1として保持回路195および最大値選択回路191に出力される。保持回路195は、入力される目標傾転角qs1を目標傾転角qk1として保持し、最大値選択回路193に出力する。つまり、qk1=qs1である。なお、保持回路195に保持されているqk1は初期値として0が与えられている。
【0041】
最大値選択回路191は、目標傾転角qs1と、ブーム上げ操作およびブーム下げ操作に応じて傾転演算回路171U,171Dから出力される目標傾転角qbと、図示しないバケットシリンダの操作レバーや走行レバーからの操作圧に基づいて、それぞれに対応する傾転演算回路(不図示)から出力される目標傾転角とから最大値を選択し、これを第1可変容量油圧ポンプ101の目標傾転角qm1として図示しない第1可変容量油圧ポンプ用の信号発生回路に出力する。
【0042】
最大値選択回路194は、遅延用傾転演算回路182から出力される目標傾転角qdと、保持回路196から出力される目標傾転角qk2とから最大値を選択し、これを目標傾転角qc2として出力する。
【0043】
最大値選択回路194から出力される目標傾転角qc2は、遅延制御回路181から出力されるS値(1or0)と乗算され、目標傾転角qs2として保持回路196および最大値選択回路192に出力される。保持回路196は、入力される目標傾転角qs2を目標傾転角qk2として保持し、最大値選択回路194に出力する。つまり、qk2=qs2である。なお、保持回路196に保持されているqk2は初期値として0が与えられている。
【0044】
最大値選択回路192は、目標傾転角qs2と、ブーム上げ操作に応じて傾転演算回路171Uから出力される目標傾転角qbと、図示しないバケットシリンダの操作レバーや走行レバーからの操作圧に基づいて、それぞれに対応する傾転演算回路(不図示)から出力される目標傾転角とから最大値を選択し、これを第2可変容量油圧ポンプ102の目標傾転角qm2として図示しない第2可変容量油圧ポンプ用の信号発生回路に出力する。
【0045】
第1可変容量油圧ポンプ用の信号発生回路では、目標傾転角qm1に対応した制御信号が演算され、制御信号がレギュレータ101aの電磁比例減圧弁(不図示)に出力される。これにより、第1可変容量油圧ポンプ101のポンプ傾転角が目標傾転角qm1に制御される。同様に、第2可変容量油圧ポンプ用の信号発生回路では、目標傾転角qm2に対応した制御信号が演算され、制御信号がレギュレータ102aの電磁比例減圧弁(不図示)に出力される。これにより、第2可変容量油圧ポンプ102のポンプ傾転角が目標傾転角qm2に制御される。
【0046】
本実施の形態の特徴的な動作として、ブーム下げ操作を単独で実行した後に、素早くブーム用操作レバー131を中立位置に戻したときの動作について説明する。
(1)ブーム下げ操作
ブーム用操作レバー131を単独で操作すると、図4に示す傾転演算回路171Dからはその操作量に応じた目標傾転角qb=qb0が出力され、遅延用傾転演算回路182からはブーム用操作レバー131の操作量に応じた目標傾転角qd=qd0が出力される。遅延制御回路181からはS値=1が出力される。保持回路195,196には、それぞれqk1およびqk2の初期値である0が保持されているため、最大値選択回路193,194のそれぞれからはqc1=qb0と、qc2=qd0が出力される。
【0047】
このため、最大値選択回路191には、傾転演算回路171Dから出力される目標傾転角qb=qb0と、傾転演算回路171Uから出力される目標傾転角qb=qminと、遅延制御回路181からのS値=1と目標傾転角qc1=qb0とが乗算されて求められた目標傾転角qs1=qb0とが入力される。最大値選択回路191は、入力された複数の目標傾転角の中から最大値qb0を選択して出力する(qb0>qmin)。
【0048】
最大値選択回路192には、傾転演算回路171Uから出力される目標傾転角qb=qminと、遅延制御回路181からのS値=1と目標傾転角qc2=qd0とが乗算されて求められた目標傾転角qs2=qd0とが入力される。最大値選択回路192は、入力された複数の目標傾転角の中から最大値qd0を選択して出力する(qd0>qmin)。
【0049】
以上のようにブーム下げ単独操作により、保持回路195には、目標傾転角qk1=qs1=qb0が保持され、保持回路196には目標傾転角qk2=qs2=qd0が保持される。
【0050】
この結果、第1可変容量油圧ポンプ101はブーム用操作レバー131の下げ操作量に応じた目標傾転角qb0に制御され、第2可変容量油圧ポンプ102はブーム用操作レバー131の下げ操作量に応じた目標傾転角qd0に制御される。
【0051】
第1可変容量油圧ポンプ101用の制御弁111および第2可変容量油圧ポンプ102用の制御弁112にはブーム用操作レバー131の下げ操作量に応じたパイロット圧が作用し、制御弁111,112はそれぞれ図3に示すように位置(A)に切り換わる。これにより、第1可変容量油圧ポンプ101からの圧油が制御弁111を介してブームシリンダ32のロッド室32Rに作用し、ブームシリンダ32が縮退し、ブーム31が下方に回動する。
【0052】
このときブームシリンダ32のロッド室32Rとボトム室32Bは制御弁112を介して連通し、ボトム室32Bから排出された圧油の一部は制御弁112内のチェック弁112aを介してロッド室32Rに導かれる。これによりボトム室32Bから排出された圧油が再生され、その分、ロッド室32Rにより多くの油を供給することができる。なお、ボトム室32Bから排出された圧油の残りは制御弁111内の絞り111aおよび制御弁112内の絞り112bを介してタンク109に排出される。
【0053】
このような構成により、ボトム室32Bの圧油をロッド室32Rに供給するようにしたので、タンク109に導かれる圧油の量が減少し、戻り油路内の圧力が低下する。なお、ブーム下げ単独操作時に第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油は制御弁112を通って全量がタンク109へ流れ込むため、ブームシリンダ32には導かれない。
【0054】
(2)ブーム停止操作
ブーム用操作レバー131を単独で操作している状態から、素早く中立位置へ戻すようにブーム用操作レバー131を操作したときの油圧回路の動作について説明する。ブーム用操作レバー131の戻し操作により、図4に示す傾転演算回路171Dから目標傾転角qbとして最小値qminが出力され、遅延用傾転演算回路182から目標傾転角qdとして最小値qminが出力される。遅延制御回路181では、タイマによる時間の計測が開始される。時間計測開始時、遅延制御回路181は、X秒経過前であると判定してS値=1を出力する。
【0055】
ブーム用操作レバー131の中立戻し操作からX秒が経過するまでの動作は以下のとおりである。最大値選択回路193では、目標傾転角qb=qminと、目標傾転角qk1=qb0とが比較されて、最大値qc1=qk1=qb0が選択されて出力される(qb0>qmin)。最大値選択回路194では、目標傾転角qd=qminと、目標傾転角qk2=qd0とが比較されて、最大値qc2=qk2=qd0が選択されて出力される(qd0>qmin)。
【0056】
このため、最大値選択回路191には、傾転演算回路171Dから出力される目標傾転角qb=qminと、傾転演算回路171Uから出力される目標傾転角qb=qminと、遅延制御回路181からのS値=1と目標傾転角qc1=qb0とが乗算されて求められた目標傾転角qs1=qb0とが入力される。最大値選択回路192には、傾転演算回路171Uから出力される目標傾転角qb=qminと、遅延制御回路181からのS値=1と目標傾転角qc2=qd0とが乗算されて求められた目標傾転角qs2=qd0が入力される。よって、最大値選択回路191では、目標傾転角qm1=qs1=qb0が選択されて出力され、最大値選択回路192では、目標傾転角qm2=qs2=qd0が選択されて出力される。
【0057】
この結果、第1可変容量油圧ポンプ101はブーム用操作レバー131の操作量に応じたポンプ最小傾転角qminから増加した目標傾転角qm1=qb0に制御され、第2可変容量油圧ポンプ102はブーム用操作レバー131の操作量に応じたポンプ最小傾転角qminから増加した目標傾転角qm2=qd0に制御される。
【0058】
制御弁111,112は中立位置に切り換わっているので、ブームシリンダ32への油の流れが阻止されるが、ブーム31を含むフロント装置30は急停止せず、フロント装置30の慣性力により降下を続け、図5に示すように、ブームシリンダ32も縮退を続ける。
【0059】
前述したように、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102は、それぞれ目標傾転角qs1=qb0、qs2=qd0に制御され、制御弁111,112が中立位置なので第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油は戻り油路に導かれる。図5では、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油の流れを太い実線で模式的に表している。このように、ブーム用操作レバー131を中立位置に戻した後にも第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102のそれぞれがポンプ最小傾転から増加した傾転に制御されることで、ブーム用操作レバー131の単独操作時よりも戻り油路へ導かれる油量が増加し背圧が発生する。このため、戻り油路からの油の一部、すなわちメークアップ油がメークアップ油路のチェック弁141を通過してブームシリンダ32のロッド室32Rに供給される。
【0060】
ブーム下げ急停止時、ブーム31の降下速度が速いほど、つまり短時間に行われるブーム用操作レバー131の戻し操作量が大きいほどブーム停止操作時に多くのメークアップ油が必要となる。図4に示したように、傾転演算回路171Dおよび遅延用傾転演算回路182は、ブーム用操作レバー131の操作量が大きいほど大きい目標傾転角qb,qdを出力し、その目標傾転角が保持回路195,196に保持される。そのため、短時間に行われるブーム用操作レバー131の戻し操作量に応じた、すなわちブーム31の回動の速度に応じた適切なメークアップ油を供給できる。
【0061】
ブーム用操作レバー131の中立戻し操作からX秒が経過したときの動作は以下のとおりである。図4に示す遅延制御回路181において、ブーム停止操作が実行されてからX秒が経過したことが判定されると、遅延制御回路181からはS値=0が出力される。S値=0が出力されると、最大値選択回路193の出力に依存する最大値選択回路191の入力はqs1=0となる。同様に、最大値選択回路194の出力に依存する最大値選択回路192の入力はqs2=0となる。最大値選択回路191では、傾転演算回路171D,171Uのそれぞれから出力される目標傾転角qb=qminと、qs1=0とが比較されて、最大値qm1=qb=qminが選択されて出力される(qmin>0)。最大値選択回路192では、傾転演算回路171Uから入力されるqb=qminと、qs2=0とが比較されて、最大値qm2=qb=qminが選択されて出力される(qmin>0)。
【0062】
なお、保持回路195には、目標傾転角qk1=qs1=0が保持され、保持回路196には目標傾転角qk2=qs2=0が保持される。換言すると、保持回路195,196の目標傾転角qk1,qk2がそれぞれ初期値にリセットされる。
【0063】
この結果、第1可変容量油圧ポンプ101は目標傾転角qm1=qmin(最小傾転角)に制御され、第2可変容量油圧ポンプ102は目標傾転角qm2=qmin(最小傾転角)に制御される。
【0064】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)ブーム用操作レバー131がブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102のそれぞれの傾転をポンプ最小傾転から増加した傾転に制御して、戻り油路に接続されるメークアップ油路からブームシリンダ32のロッド室32Rへメークアップ油を供給する構成とした。これにより、ブーム停止操作時に戻り油路を流れる油量を増加させて背圧を発生させることができるため、ブームシリンダ32へ十分なメークアップ油を供給できる。この結果、操作終了後にフロント装置30の上下動がすぐに減衰されるように、ブームシリンダ32の動作を安定させることができるため、オペレータは次の作業に容易に移行することができる。
【0065】
(2)ブーム停止操作後、所定時間が経過すると、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102が最小傾転に制御される。このため、必要以上に戻り油路に油を流す必要がなくなるため、効率的である。
【0066】
(3)ブーム31の降下速度が速いほど、つまりブーム用操作レバー131の中立戻し操作量が大きくなるほど、ポンプの傾転を増加させるようにしたので、ブーム停止操作時に、ブーム31の回動の速度に応じた適切なメークアップ油を供給できる。
【0067】
(4)本実施の形態に係る油圧制御装置は、ブーム下げ操作時にブームシリンダ32のボトム室32Bからの圧油をタンク109に排出する戻り油路に再生油路203が接続され、ブームシリンダ32のボトム室32Bから排出された圧油の一部をブームシリンダ32のロッド室32Rへ供給する再生回路が形成される。そのため、再生回路が形成されない油圧制御装置に比べて、ブーム下げ操作時にタンク109に回収される油量が減少して戻り油路内の圧力が下がる。しかしながら、本実施の形態に係る油圧制御装置は、ブーム用操作レバー131を中立位置に戻したときに第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102からの油が戻り油路に供給されるため、停止操作後すぐに戻り油路に必要な背圧を発生させてメークアップ油をブームシリンダ32に供給することができる。
【0068】
(5)従来技術では、戻り油路内の背圧を調整する流量制御弁を設ける必要があったが、本実施の形態では、流量制御弁を設ける必要がないため、コストを抑えることができる。
【0069】
―第2の実施の形態―
図6〜図8を参照して本発明による油圧制御装置の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、制御弁112の構成である。以下では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0070】
図6〜図8は、第2の実施の形態に係る油圧制御装置の構成を示す油圧回路図である。なお、図2、図3および図5と同一の箇所には同一の符号を付す。第2の実施の形態に係る制御弁112には、チェック弁112aが省略されており、制御弁112が位置(A)に切り換えられたとき、図示するBポートとAポートとの間に油の流通がない(図7参照)。
【0071】
したがって、図7に示すように、制御弁111,112がブーム下げ側の位置(A)に切り換わると、第1可変容量油圧ポンプ101からの圧油は、制御弁111を通過してブームシリンダ32のロッド室32Rに供給されるのに対し、第2可変容量油圧ポンプ102からの圧油はロッド室32Rに供給されず、制御弁112を通ってタンク109に戻される。ブームシリンダ32のボトム室32Bの圧油は、制御弁111内の絞り111aおよび制御弁112内の絞り112bを介してタンク109に排出される。
【0072】
なお、ブーム上げ側の位置(B)では、第1の実施の形態と同様、第1可変容量油圧ポンプ101と第2可変容量油圧ポンプ102の吐出油は合流してブームシリンダ32のボトム室32Bに供給される。ロッド室32Rの圧油は制御弁111,112を通過してタンク109に排出される。
【0073】
第1の実施の形態では制御弁112により、ボトム室32Bの圧油をロッド室32Rに導く再生回路が形成されたが、第2の実施の形態では再生回路は形成されず、ボトム室32Bから排出された圧油は再生されない。
【0074】
このように、再生回路が形成されない場合であっても、ブーム下げ操作をした後、ブーム用操作レバー131を中立位置に戻した際に、所定時間だけ第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の傾転をポンプ最小傾転から増加した傾転に制御することで、図8に示すように、戻り油路内に背圧を発生させてロッド室32Rへ十分なメークアップ油を供給することができるため、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0075】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
[変形例]
(1)第1および第2の実施の形態では、ブーム用操作レバー131が下げ操作から中立位置に操作されたとき、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102の双方の傾転を所定時間だけ、最小傾転から増加した傾転に制御する構成としたが、本発明はこれに限定されない。必要とするメークアップ量が少なくてもよい場合には、第1可変容量油圧ポンプ101および第2可変容量油圧ポンプ102のいずれか一方の傾転を所定時間だけ最小傾転から増加した傾転に制御する構成としてもよい。メークアップ油の供給時に第1可変容量油圧ポンプ101だけを最小傾転から増加した傾転に制御する場合は、図4に示した遅延用傾転演算回路182、最大値選択回路194および保持回路196を省略することができる。メークアップ油の供給時に第2可変容量油圧ポンプ102だけを最小傾転から増加した傾転に制御する場合は、最大値選択回路193および保持回路195を省略することができる。
【0076】
(2)油圧制御装置は、油圧ショベルに適用される場合に限定されない。クレーンなどの種々の建設用作業機械に本発明に係る油圧制御装置を適用することができる。さらに、本発明は建設用作業機械に搭載される油圧制御装置に限定されるものでもない。油圧アクチュエータを備える種々の産業用作業機械に本発明を適用することができる。
【0077】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0078】
30 フロント装置、31 ブーム、32 ブームシリンダ、32R ロッド室、32B ボトム室、33 アーム、34 アームシリンダ、34R ロッド室、34B ボトム室、40 油圧制御システム、50 コントローラ、101 第1可変容量油圧ポンプ、102 第2可変容量油圧ポンプ、111,112,113,114 制御弁、112a チェック弁、119 リリーフ弁、131 ブーム用操作レバー、132 アーム用操作レバー、141,142,143,144 チェック弁、151,152,153,154 圧力センサ、180 ブーム下げメークアップ改善モジュール、181 遅延制御回路、182 遅延用傾転演算回路、191,192,193,194 最大値選択回路、195,196 保持回路、201,202 バイパス油路、203 再生油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可変容量油圧ポンプと、
第2可変容量油圧ポンプと、
前記第1可変容量油圧ポンプからの圧油の流れを制御する第1制御弁と、
前記第2可変容量油圧ポンプからの圧油の流れを制御する第2制御弁と、
作業機本体に回動可能に装着されたブームを駆動するシリンダであって、前記第1および第2制御弁で制御されるポンプ吐出油で駆動されるブームシリンダと、
前記ブームシリンダの駆動を指令して前記第1および第2制御弁を切り換え制御する操作レバーと、
前記ブームシリンダからの戻り油をタンクに戻す戻り油路と、
前記戻り油路から前記ブームシリンダのロッド室へメークアップ油を供給するメークアップ油路と、
前記第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの傾転を前記操作レバーの操作量が大きくなるほど増加させる傾転制御手段とを備え、
前記傾転制御手段は、前記操作レバーがブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、前記第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの少なくとも一方の傾転をポンプ最小傾転より大きくポンプ最大傾転よりも小さい所定傾転に制御することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧制御装置において、
前記傾転制御手段は、前記操作レバーがブーム下げ操作から中立位置に操作されたとき、所定時間だけ、前記第1可変容量油圧ポンプおよび第2可変容量油圧ポンプの双方の傾転を制御することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧制御装置において、
前記第2制御弁がブーム下げ位置に切換えられたときに前記ブームシリンダのボトム室からの圧油をタンクに排出する戻り油路に接続され、前記ブームの下げ動作により前記ブームシリンダのボトム室から排出される圧油を前記ブームシリンダのロッド室に供給する再生油路を有していることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の油圧制御装置において、
前記傾転制御手段は、前記所定時間だけ前記所定傾転を保持し、所定時間経過後に前記所定傾転を前記ポンプ最小傾転に制御することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の油圧制御装置と、
前記第1および第2可変容量油圧ポンプから吐出される圧油で駆動される前記ブーム以外のフロント装置用油圧アクチュエータとを備え、
前記傾転制御手段は、前記ブームシリンダおよび前記フロント装置用油圧アクチュエータの操作圧に基づいて前記第1および第2可変容量油圧ポンプの傾転を制御することを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−247000(P2012−247000A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119148(P2011−119148)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】