説明

治療化合物および方法

本発明は、シクロペンタベンゾフラン核を有する化合物、かかる化合物の治療における使用、ならびにかかる化合物を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、シクロペンタベンゾフランコアを有する化合物に関する。より詳細には、本発明は6−オキシ位置で嵩高い置換基を有するシクロペンタベンゾフラン化合物、たとえばシクロペンタベンゾフランコアがジオキサニルオキシ基により置換されているものに関する。本発明はさらに療法におけるこれらの化合物の使用および前記化合物を含む組成物にも関する。
【0002】
(発明の背景)
Aglaiaは、インド−マレーシアおよび西太平洋領域における100を越える(ほとんどは大木)種を含むセンダン(Meliaceae)科の大きな属である。用途としては、熱、骨折、出産および炎症の治療が挙げられる。抽出物はさらに、殺菌剤、殺虫剤、香水、収斂剤、強壮剤、清涼剤として(Dr Duke's Phytochemical and Ethnobotanical Databases)および腹部腫瘍の治療のために(Pannel,ら、1992, Kew Bull., (16)273-283)用いられる。
最近、多くの1H−シクロペンタ[b]ベンゾフランリグナンがAglaia種から単離されている(たとえば、WO97/08161;JP97171356;Ohse,ら、J Nat Prod, 1996, 59(7):650-52;Leeら、Chem. Biol. Interact., 1998, 115(3):215-28;Wuら、J. Natl. Prod., 1997, 60(6):606-08;Bohnenstengelら、Z. Naturforsch., 1999, 54c (12):55-60およびBohnenstengelら、Z. Naturforsch., 1999, 54c (12):55-60およびBohnenstengelら、Z. Naturforsch, 1999, 54c (12):1075-83, Xu, Y. J.ら、2000, J. Nat. Prod., 63, 4732-76(これらの内容をすべて出典明示により本発明の一部とする)参照)。これらの化合物の多くは、その殺虫活性に関して注目されている(Janprasert,ら、1993, Phytochemistry, 32 (1), 67-69;Ishibashiら、1993, Phytochemistry, 32 (2), 307-310;Hiort,ら、1999, J. Nat. Prod., 62 (12), 1632-1635)。密接に関連したコア構造を有する殺虫化合物はAglaia roxburghianaから単離され、WO9604284において農薬における活性成分としての使用に関して記載されている。
【0003】
新規化合物(本明細書に記載の化合物AおよびB)は、珍しくシクロペンタ[b]ベンゾフランコアの8−位にジオキサニルオキシ基を有するAglaia leptantha、Miq.(Meliaceae)から単離されている。化合物AおよびBは癌細胞増殖および生存力に対する潜在的な細胞毒性および細胞増殖抑制作用を示すことが証明されており、従って本発明の化合物は癌および癌性状態または細胞増殖過多に関連する他の病気の治療において治療薬として有用である。
【0004】
本明細書および請求の範囲全体を通して、前後関係から他の方法が必要とされない限り、「含む」なる語、およびその語尾変化は記載されている整数または段階または整数または段階の群を含むが、他の整数または段階あるいは整数または段階の群は含まないことを意味する。
第一の態様において、本発明は式(I)の化合物またはその塩、誘導体またはプロドラッグに関する。
【0005】
【化1】

【0006】
−R10は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリールアシル、置換されていてもよいシクロアルキルアシルおよびC−1結合糖からなる群から選択される;
XはORまたはNR10である;
11およびR12は、各々独立して、水素であるか、またはORおよびR11、および/またはORおよびR12は一緒になってメチレンジオキシ基を形成する;
Yは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジル、置換されていてもよいベンゾイル、置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、好ましくは置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル)(好ましくは、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル));および5−6員ヘテロサイクリルからなる群から選択される]
【0007】
好ましい例において、本発明は式(i)の化合物(立体異性体を含む)またはその塩、誘導体またはプロドラッグに関する。
【化2】

【0008】
[式中:
−R10は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリールアシル、置換されていてもよいシクロアルキルアシルおよびC−1結合糖からなる群より選択され、
XはORまたはNR10であり、
11およびR12は、各々独立して、水素であるか、またはORおよびR11、および/またはORおよびR12は一緒になってメチレンジオキシ基を形成する]
【0009】
本発明の好ましい化合物は式(ii):
【化3】

を有するか、またはその塩、誘導体またはプロドラッグである。
【0010】
式(ii)はジオキサニル部分において4個のキラル中心を有する。実施例1に記載されるように、式(ii)の2つの異性体−化合物AおよびBが現在単離されている。
もう一つの態様において、本発明は、式(I)の化合物、例えば、式(i)の化合物、またはその塩、誘導体またはプロドラッグを、医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と合わせて含む組成物を提供する。
【0011】
さらにもう一つの態様において、本発明は癌または癌性状態あるいは細胞増殖過多に付随する病態または状態を治療するための方法であって、治療有効量の式(I)、例えば式(i)の化合物、またはその塩、誘導体またはプロドラッグを、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。本発明の化合物により治療することのできる個々の癌性状態として、肺癌、前立腺癌、結腸癌、脳腫瘍、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌および乳癌ならびに白血病が挙げられる。本発明の化合物により治療することのできる細胞増殖過多に付随する病態または状態として、アテローム性動脈硬化症、再発狭窄症、関節リウマチ、骨関節症、炎症性関節炎、乾癬、歯周病またはウイルスにより誘発される細胞増殖過多が挙げられる。
【0012】
(図面の簡単な記載)
図1:化合物AはTHP−1白血病性細胞の分化を促進する。
THP−1細胞を4日間、表示したように10nMの化合物Aの存在下または不在下で培養した。表示されている場合は、細胞を化合物Aの存在下または不在下でIFNγ(100ng/ml)(3日)またはPMA(0.1μM)(4日)でも処理した。画像は位相差顕微鏡(倍率×200)で可視化した細胞のものである。
図2:細胞周期進行およびTHP−1細胞の生存力に対する化合物Aの作用。
THP−1細胞を表示された濃度の化合物Aまたは1000nMのパクリタクセル(paclitaxel)とともに2日間培養し、その後集め、プロピジウムヨージドでの染色の前に70%エタノール中で固定し、DNA含量をフローサイトメトリーにより測定した。数値は、≧2N DNA含量を有するすべての細胞に対する様々な細胞周期の時期における細胞の割合(%)を示し、また培養期間中に起こるマーカー(垂直線)の左側の死滅細胞の割合(%)(すなわち、サブジプロイド(subdiploid)≦2N細胞)を示す。
【0013】
図3:A549細胞の増殖に対する化合物Aの作用
A549細胞を約10000細胞/ウェルで接種し、表示された濃度の化合物Aまたはパクリタクセルの存在下で培養した。細胞を集め、様々な時点でトリパンブルー染色された細胞を血球計で計測することにより生存細胞数を測定した。結果は三重複培養の平均±SEMである。
図4:細胞周期進行およびA549細胞の生存力に対する化合物Aの作用。
A549細胞を6日間表示された濃度の化合物Aまたは1μMのパクリタクセルとともに培養し、次に集め、プロピジウムヨージドでの染色する前に70%エタノール中エタノール中で固定し、DNA含量をフローサイトメトリーにより測定した。数値は≧2DNA含量を有する全細胞に対するさまざまな細胞周期時期における細胞の割合(%)を示し、培養期間中に起こるマーカーに左側の死滅細胞の割合(%)(すなわち、サブジプロイド≦2N細胞)も示す。
【0014】
図5:化合物AおよびBはK562白血病性細胞のG2/M期蓄積を誘発する。
K562細胞を3日間表示された濃度の化合物AまたはBとともに培養し、次に集め、プロピジウムヨージドでの染色する前に70%エタノール中で固定し、DNA含量をフローサイトメトリーにより測定した。数値は≧2N DNA含量を有する全細胞に対するそれぞれ細胞周期のG0/G1、SおよびG2/M期における細胞の割合(%)を示す。
図6:A549細胞に対する化合物の細胞増殖抑制作用は可逆的である。
A549細胞を約10000細胞/ウェルで接種し、表示された濃度の化合物Aまたはパクリタクセルの存在下で培養し、生存細胞数を様々な時点でトリパンブルー染色された細胞を血球計で計測することにより測定した。5日に、細胞の一部を洗浄し、様々な処置をしていない新鮮な培地中に再懸濁させ、計測前にさらに4日間培養した。
【0015】
図7:化合物AはA549細胞のカンプトテシン−およびパクリタクセル−誘発性細胞毒性を抑制する。
96ウェルプレート中A549細胞を3日間10nMの化合物Aの存在下または不在下で、表示された濃度の(A)カンプトテシンまたは(B)パクリタクセルとともに培養した。次に蛍光DNA−結合色素YOYO−1を添加することにより膜統合性の損失を評価し、細胞死を伴う蛍光の増大を、蛍光プレートリーダーを用いて測定した。
図8:化合物Aは抗癌剤により誘発される細胞周期停止および細胞死を抑制するが、スタウロスポリンによっては抑制されない。
6ウェルプレート中A549細胞を3日間10nMの化合物Aの存在下または不在下で、表示するように0.1μMのカンプトテシン、10μMのビンブラスチン、1μMのパクリタクセルまたは1μMのスタウロスポリンとともに培養した。細胞を次に集め、プロピジウムヨージドで染色する前に70%エタノール中で固定し、DNA含量をフローサイトメトリーにより測定した。数値は≧2N DNA含量を有するすべての細胞に対する様々な細胞周期の時期における細胞の割合(%)を示し、また培養期間中に起こるマーカーの左側の死滅細胞の割合(%)(すなわち、サブジプロイド≦2N細胞)も示す。
【0016】
図9:化合物AはA549細胞において老化−関連β−ガラクトシダーゼ活性を誘発しない。
A549細胞を10000細胞/ウェルで6ウェルプレート中、様々な濃度の化合物A(10−50nM)または250nMのドキソルビシンの存在下または不在下で10日間接種した後、すでに記載されているようにして処理し、老化関連β−ガラクトシダーゼ活性について一夜染色した(Dimriら、1995, Proc Natl Acad Sci USA 1995 92(20):9363-7)。化合物Aについて、10nM処置だけを示すが、試験した他のどの濃度でも検出可能なSA−βgal活性はなかった。PC、位相差顕微鏡。BF、明視野顕微鏡。倍率200倍。
図10:化合物Aはマウス異種移植片モデルにおいてヒト腫瘍の増殖を抑制する。
無胸腺Balb/cヌードマウス(Rygard and Povisen, 1969, Acta Pathol Microbiol Scand, 77:758)に2×10PC3細胞を背側腹部に皮下的に接種した。腫瘍が触知できるようになっていた8日後に化合物Aを1週間に3回腹膜組織内注射により投与した(3mg/kg)。化合物Aをまずエタノール中に可溶化し、次にcremaphoreと1:1で混合し、注射用に塩溶液中で希釈した。対照動物を同様の方法で同じビヒクルであるが、化合物Aを含まないもので処置した。(A)化合物Aの平均腫瘍体積に対する作用。表示された時間でマイクロメーターカリパスを用いて腫瘍体積を測定した。データは平均腫瘍体積±SEMを表す。(B)平均腫瘍重量に対する化合物Aの作用。実験の最後に(PC3細胞の接種後29日)、マウスを屠殺し、腫瘍を摘出し、その後秤量した。データは平均腫瘍重量±SEMを表す。
【0017】
(発明の開示)
シクロペンタ[b]ベンゾフランは以前に6−または8−位にメトキシまたはヒドロキシ基を有することが記載されている。Gregerら、2001, Phytochemistry, 57, (1);57-64。対照的に、本発明の化合物は6−オキシ位に立体的に嵩高い基、特にジオキサニル基を有する。(下位式(a)として以下に記載される)式(ii)のジオキサニル基は以前に天然源からは報告されていなかった。本発明を理論により拘束することを意図しないが、立体的に嵩高い基、すなわち、メトキシ基よりも空間的に大きな基が6−オキシ位に存在することは、シクロペンタ[b]ベンゾフランコアを有する化合物に細胞毒性および細胞増殖抑制特性の両方を賦与する。
【0018】
【化4】

本発明はその範囲内に式(I)、特に式(i)の化合物、例えば化合物AおよびBの医薬的に許容される塩、誘導体またはプロドラッグを含む。
【0019】
「塩」または「プロドラッグ」なる語は、任意の医薬的に許容される塩、エステル、グリコシド、溶媒和物、水和物または受容患者に投与することにより本明細書に記載する本発明の化合物を提供(直接または間接的に)できる任意の他の化合物を包含する。
適当な医薬的に許容される塩としては、医薬的に許容される無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸の塩、あるいは医薬的に許容される有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸の塩が挙げられる。塩基塩としては、これらに限定されないが、医薬的に許容されるカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムと形成されるものが挙げられる。
【0020】
塩の調製は当業界において公知の方法により行うことができる。医薬的に許容されない塩も医薬的に許容される塩の調製において中間体として有用であるので、本発明の範囲内に含まれると考えられる。
本発明の化合物は、結晶形態であってもよいし、溶媒和物(例えば水和物)であってもよい。溶解の方法は、当業者に公知である。
式(I)の化合物のプロドラッグも本発明の範囲に含まれる。「プロドラッグ」なる語は、本発明の化合物にインビボで変換される誘導体を包含し、例えば、インビボにて分解されて本発明の化合物を放出することのできる、遊離ヒドロキシ基のエステル(例えば、アセテート)およびグリコシド誘導体を包含する。
【0021】
式(I)のY基、特に式(i)の化合物のジオキサニル基は不斉中心を有し、従って、1以上の立体異性体の形態において存在できると認識される。本発明は従って、1またはそれ以上の不斉(キラル)中心で実質的に純粋な異性体形態、例えば約90%ee以上、例えば約95%または97%ee、好ましくは99%以上の化合物、ならびにそのラセミ混合物を含む混合物にも関する。かかる異性体は慣例の方法、例えば、クロマトグラフィー、または分割剤の使用により分割できる。本発明は従って、化合物AおよびBを提供する。
【0022】
本明細書において使用する場合、「アルキル」なる語は、単独または「アリールアルキル」などの複合語において用いられる場合、直鎖、分岐または環状炭化水素基、好ましくは、C1−20、例えば、C1−10を意味する。「C−Cアルキル」なる語は、1−6個の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状アルキル基を意味する。「C1−6アルキル」の例としては、メチル、エチル、iso−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、3−メチルペンチルおよび2,3−ジメチルブチルが挙げられる。環状C1−6アルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルキルの他の例としては:ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−および8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチルなどが挙げられる。アルキル基は、所望により本明細書において定義する1以上の置換基で置換されていてもよい。所望により、直鎖、分岐または環状炭化水素基(少なくとも2個の炭素原子を有する)は1、2またはそれ以上の飽和度を含み、アルケニルまたはアルキニル基、好ましくはC2−20アルケニル、より好ましくはC2−6アルケニル、またはC2−20アルキニル、より好ましくはC2−6アルキニル基が形成される。その例は、1または2以上の二重結合、または1または2以上の三重結合を含む炭化水素残基を含む。従って、「アルキル」はアルケニルおよびアルキニルを包含すると見なされる。
【0023】
「アリール」なる語は、単独または「アリールアルキル」などの複合語において用いられる場合、芳香族炭化水素または芳香族複素環(ヘテロアリール)系の単一、多核、接合または融合残基を意味し、ここにおいて、環状炭化水素残基の1以上の炭素原子は複素原子で置換されて、芳香族残基が得られる。2以上の炭素原子が置換されている場合、これは2以上の同じ複素原子により置換されていてもよいし、異なる複素原子により置換されていてもよい。適当な複素原子としては、O、N、SおよびSeが挙げられる。
【0024】
「アリール」の例としては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニル、ピリジル、4−フェニルピリジル、3−フェニルピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベノキサゾリル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。好ましい炭化水素アリール基としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。好ましい複素環式アリール基としては、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリルが挙げられる。アリール基は、所望により本明細書に定義される1以上の所望の置換基により置換されていてもよい。
【0025】
「アシル」なる語は、−C(O)−R基(式中、Rはアルキルまたはアリール基である)を意味する。アシルの例としては、直鎖または分岐アルカノイル、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイルおよびイソサノイル;シクロアルキルカルボニル、例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロヘキシルカルボニル;アロイル、例えば、ベンゾイル、トルオイルおよびナフトイル;アラルカノイル、例えば、フェニルアルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイルおよびフェニルヘキサノイル)およびナフチルアルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル)が挙げられる。R基は所望により前記のように置換されていてもよいので、「アシル」は所望により置換されていてもよいアシルを意味する。
【0026】
アルキル、アリールまたはアシルの任意の置換基としては、ハロ(ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード)、ヒドロキシ、C1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル(n−およびi−体)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n−およびi−体)、ブトキシ(n−、sec−およびt−体)、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピル(n−およびi−体)アミノ)、C1−6ジアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ)、ハロメチル(例えば、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロメチル)、ハロメトキシ(例えば、トリフルオロメトキシ、トリブロモメトキシ、トリクロロメトキシ)およびアセチルが挙げられる。さらに、Y(フェニル、ベンジル、ベンゾイル、C−Cシクロアルキル、CH−(C−Cシクロアルキル)、5−6員ヘテロサイクリルおよびCH(5−6員ヘテロサイクリル)の任意の置換基としては、前記の置換基と同様に、1以上のヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アリールアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールアシルオキシ、シクロアルキルアシルオキシおよびC1−結合糖オキシで置換されたアルキルが挙げられる。
【0027】
「アリールアルキル」および「シクロアルキルアルキル」なる語は、それぞれアリールおよびシクロアルキル基で置換された(好ましくは末端で)アルキル基を意味する。同様に、「アリールアシル」および「シクロアルキルアシル」なる語は、それぞれアシルおよびシクロアルキル基で置換された(例えば、末端で置換された)アシル基を意味する。
好ましいC−1結合糖は、式(I)において示す主鎖骨格に糖の1−炭素(慣用の化学的ナンバリング)を介して結合して、R、R、R、R、R、R、またはRの任意の位置でアセタール結合またはRでエステル結合あるいはRまたはR10位でアミド結合を形成するフラノースまたはピラノースサッカライド(糖)置換基である。サッカライド基の例としては、還元糖、例えばグルコース、リボース、アラビノース、キシロース、マンノースおよびガラクトースが挙げられ、それぞれは式(I)の構造の酸素原子にサッカライド基のC−1炭素を介して結合する。
【0028】
5−6員ヘテロサイクリル基としては、独立してO、N、SおよびSeから選択される1以上のヘテロ原子を含む前記のような芳香族5−6員ヘテロサイクリル基(ヘテロアリール)および非芳香族5−6員ヘテロサイクリル基が挙げられる。その例としては、ジオキサニル、ピラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、モルホリノ、ピペラジニル、チオモルホリノおよび例えば前記のような糖が挙げられる。
本発明の式(I)または式(i)の一例において、各R−RおよびR−Rは、各々独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロプロピルメチル(またはシクロプロピルエチル)、シクロブチルメチル(または−エチル)、シクロペンチルメチル(または−エチル)、シクロヘキシルメチル(または−エチル)、フェニル、ベンジル、アセチルおよびC−1結合糖からなる群から選択される。
【0029】
本発明の式(I)、(i)または(ii)のもう一つの例において、X=ORのRは、水素、C1−6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC−1結合糖からなる群から選択される。
本発明の式(I)、(i)または(ii)のもう一つの例において、X=NR10のRおよびR10は独立して水素、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルから選択される。
【0030】
式(i)(すなわち、R−Rのうちのいずれか一つは水素でない)の化合物を形成するための化合物AおよびBのヒドロキシル基の誘導化を、ヒドロキシ基のアルキル化、アリール化またはアシル化について当該分野で公知の方法、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis T.W. Greene and P.G.M. Wutz, (1999) Wiley Interscience, New York, and Advanced Organic Chemistry, J. March, (4th Edition), Wiley-InterScience(その全体を出典明示により本発明の一部とする)に記載されているようにしてにより行うことができる。例えば、ヒドロキシ基は、ハロゲン化アルキル、例えば、ヨウ化メチルまたは硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチルおよびジエチルを用いてアルキル化することができる。アシル化は、塩基またはカップリング剤の存在下で、適当なカルボン酸、酸ハロゲン化物および酸無水物での処理により行うことができる。ベンジル化は、ハロゲン化ベンジル化合物、例えば臭化、塩化、またはヨウ化ベンジルでの処理により行うことができる。メチルエステルの脱エステル化は、エステルを水性塩基で処理することにより行うことができる。カルボン酸のエステル化は、酸の存在下での適当なアルコールでの処理、または硫酸アルキルまたはハロゲン化アルキルでの処理を含む慣用の手段により達成することができる。
【0031】
グリコシド形成は、化学的に、例えば、出発物質を保護された糖化合物(C−1はヒドロキシルまたはカルボキシル基でのカップリングのためにハロゲン化により活性化され、糖ヒドロキシルは保護基によりブロックされている)と反応させることにより行うことができる。別法として、グリコシド形成は適当なグリコシルトランスフェラーゼ、例えば、UDP−ガラクトース依存ガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDP−グルコース依存グリコシルトランスフェラーゼ(SIGMA)を用いて酵素により行うことができる。
当業者は、選択的に1以上の前記定義のR−R10基(ここにおいて、R−R10は水素ではない)を組み入れるためには、1以上のオキシおよび/またはカルボキシ基の適切な保護および/または脱保護が必要であることを認識するであろう。1以上のヒドロキシまたはカルボキシ基の選択的誘導化は、慣例の技術により、適当な条件下で様々な程度の安定性を有する保護基の使用により行うことができる。
【0032】
カルボン酸またはエステル基(すなわち、XがORであるもの)をアミド(XがNR10である)へ変換する方法は、当業者に公知であり、カップリング試薬、例えばDCCの存在下でカルボン酸を適当なアミンで処理すること、または酸ハロゲン化物を適当なアミンで処理することを含む。他の適当な方法は、Larock, R.E., Comprehensive Organic Transformations pp963-995, VCH Publishers (1989)に記載されている。
本明細書において用いられる場合、「保護基」なる語は、特定の官能基、例えばヒドロキシまたはカルボン酸を、該基が他の方法では活性である条件下で一時的に不活性にすることができる導入された官能基を意味する。適当な保護基は当業者に公知であり、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(前出)に記載されている。ヒドロキシの適当な保護基としては、アルキル(例えば、C−Cアルキル)、アシル(例えば、C(O)C−Cアルキル、ベンゾイルなど)、ベンジル、およびシリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルなど)が挙げられる。ヒドロキシ置換基およびカルボキシ置換基の他の適当な基(酸、アミドなど)は、Greene(前出)に見出すことができる。ある条件下での様々な基の安定性は当業者には理解され、さらにProtective Groups in Organic Synthesis(前出)に例示されている。
【0033】
これらの保護された化合物は式(I)のある化合物の調製において中間体として有用であり、従って、これらは本発明のさらにもう一つの態様を形成する。
ある基、例えばアルキル、アシルまたはアリールアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、アセチル、ベンジルなど)は、式(I)の化合物において一時的な保護基または非水素R−R基としてのいずれかの働きをする。
公知方法を用いてジオキサニル基をシクロペンタベンゾフランコアの6−位から開裂させることができ、ジオキサン化合物を得る。結果として得られるジオキサン化合物は、他の化合物、例えば、本明細書の引例に記載されているような他のシクロペンタベンゾフラン化合物の対応する6−オキシ位または他のオキシ位を含むオキシ−置換化合物を置換するために用いることができる。
【0034】
6−位にメトキシまたはヒドロキシ置換基を有するシクロペンタベンゾフラン化合物、例えば、本明細書に記載されている文献(出典明示により本発明の一部とする)に記載されているもの、例えば参考化合物1−3(実施例3に記載)は、適当ならば、6−脱メチル化され、結果として得られる6−ヒドロキシ基は適当なY前駆体と反応して6−OY基を形成することも理解されるであろう。その方法は当該分野において公知であり、例えば、一方法は6−OH基をY−ハロゲン化合物(ただし、ハロゲンは、Cl、BrおよびIを包含する)と反応させることを含む。かかる6−OY化合物は本発明のさらにもう一つの態様を形成する。
【0035】
ある好ましい例において、1以上の次の定義が適用される:
およびRは両方とも水素である。
およびRは水素であり、Rはメチルである。
−Rの少なくとも一つは、メチル、エチルまたはプロピルであり、好ましくはメチルである。
−Rの少なくとも2つは、メチル、エチルまたはプロピルであり、好ましくはメチルである。
−Rのすべてはメチル、エチルまたはプロピルであり、好ましくはメチルである。
およびRは両方とも水素である。
【0036】
11およびR12の少なくとも一つは水素であり、好ましくはR11およびR12は両方とも水素である。
XはORである(式中、Rは水素、メチル、エチルまたはプロピルから選択され、好ましくはメチルである)。
XはNR10である(式中、RおよびR10は両方とも水素またはメチルであるか;またはRおよびR10は異なり、RおよびR10の少なくとも一方は水素であり、他方はC1−6アルキル、例えば、メチル、エチルまたはプロピルである)。
Yは所望により置換されていてもよい5−6員ヘテロサイクリル基または所望により置換されていてもよいC−Cシクロアルキル基である。
式(ii)の特に好ましい形態は、化合物AおよびBである。
【0037】
本発明の化合物は、患者における癌性状態、または細胞の増殖過多に関連する他の状態の治療において有用である。本発明の化合物により治療される患者としては、哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット)、実験室試験用動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、イヌ、ウサギ、霊長類)または捕獲された野生動物が挙げられる。ヒトが治療される患者であるのが最も好ましい。
本明細書において用いられる場合、「治療」なる語は、癌、腫瘍または増殖過多細胞の成長の予防、遅延化、妨害または停止、あるいは標的とされる細胞の数(または成長塊の大きさ)の減少または前記細胞の全体的破壊を包含することが意図され、ここにおいて前記細胞とは癌、腫瘍または増殖過多細胞である。
【0038】
本発明の化合物により治療される癌性状態は、癌または腫瘍が単純(モノクローナル、すなわち、単一の新生細胞種からなる)、混合(ポリクローナル、すなわち、1以上の新生細胞種からなる)または化合物(すなわち、1以上の新生細胞種からなり、1以上の胚葉から由来する)であってもよい状態を包含する。本発明により治療される癌性状態のいくつかの例としては、白血病および乳癌、結腸癌、子宮癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌、脳腫瘍、皮膚癌、肝臓癌、大腸癌および胃癌、腫瘍および黒色種が挙げられる。良性過形成の例は、血管(例えば、血管種)、前立腺、腎臓、副腎、肝臓、結腸(例えば、結腸陰窩)、副甲状腺および他の組織を包含する。
【0039】
本発明の化合物は、細胞増殖抑制ならびに細胞毒性特性を有するので、これらは、たとえば細胞増殖過多に関連する状態または症状などの癌または腫瘍細胞以外の細胞の標的集団の成長の抑制においても治療薬として潜在的な用途を有する。かかる状態は、アテローム性動脈硬化症および再発狭窄症(新脈管内膜過形成)および炎症性応答によるかまたは付随する増殖過多、例えば、関節炎(慢性関節リウマチ、骨関節炎および炎症性関節炎を包含する)、乾癬および歯周病、あるいはヒト乳頭種ウイルスなどの細胞のウイルス感染による細胞性増殖過多を包含する。
【0040】
本発明の化合物、例えば、化合物AおよびBは、他の治療化合物、例えば、パクリタクセル、カンプトテシン、ビンブラスチンおよびドキソルビシンを含む抗癌化合物と組み合わせて療法において用いることができる。
従って、本発明のもう一つの態様は、癌または癌性状態を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物およびさらなる治療薬をそれを必要とする患者に投与することを含む方法、前記化合物の他の治療薬との組み合わせにおいて使用される医薬の製造における使用に関する。
本発明の化合物およびさらなる治療薬は、同時に、単一組成物としてまたは別個の組成物として投与してもよいし、あるいは別々に、すなわち診断する医師により決定された適当な間隔で順次投与してもよい。従って、本発明は式(I)の化合物をさらにもう一つの治療薬と合わせて含むキットも提供する。
【0041】
本明細書において用いる場合、化合物の「有効量」とは、所望の投与レジメに従って投与された場合に所望の治療活性を提供する化合物の量である。投与は、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月または数年の間隔で、あるいはこれらの期間のいずれかにわたって連続的に行うことができる。適当な投与量は、投与量により、体重1kgあたり約0.1ngないし体重1kgあたり1gの範囲にある。投与量は、好ましくは投与量により、体重1kgあたり1μg−1g、例えば、投与により体重1kgあたり1mgないし1gの範囲である。一例において、投与量は、投与につき体重1kgあたり1mgないし500mgの範囲である。もう一つの例において、投与量は、投与につき体重1kgあたり1mgないし250mgの範囲である。さらにもう一つの例において、投与量は投与につき体重1kgあたり1μgないし100mgの範囲であり、例えば、投与につき体重1kgあたり50mgまでである。各患者についての投与レジメは、患者の年齢、体重、健康状態および医学的履歴および治療される状態の程度および進行に依存し、診断する医師が決定できる。
活性成分は一回の投与または連続投与において投与することができる。活性成分を単独で投与することもできるが、組成物、好ましくは医薬組成物とすることが好ましい。
【0042】
担体は、組成物の他の成分と適合性であるという意味で医薬的に許容されなければならず、また患者に対して有害であってはならない。組成物は、経口、経直腸、経鼻、局所(口内および舌下を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適したものを含む。組成物は便宜的に単位投与形態にすることができ、また調剤分野において周知の方法により調製することができる。かかる方法は、活性成分を1以上の補助成分を構成する担体と会合させる段階を含む。一般に、組成物は、活性成分を液体担体または微粉砕された固体担体または両者と均一かつ密接に会合させ、その後、必要ならば成形して製品にすることにより調製される。
経口投与に適した本発明の組成物は、カプセル、サシェまたは錠剤(それぞれが所定料の活性成分を含む)などの独立単位;散剤または顆粒剤;水性または非水性液体中溶液または懸濁液;あるいは水中油液体乳液または油中水液体エマルジョンとして提示することができる。活性成分は、ボーラス、舐剤またはペーストとして提示することもできる。
【0043】
錠剤は、所望により1以上の補助成分とともに圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で所望により結合剤(例えば、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤、例えば、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合してもよい粉末または顆粒などの易流動形態における活性成分を圧縮することにより調製できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化された化合物の混合物を適当な機械で成形することにより調製できる。錠剤は、所望によりコートしてもよいし、あるいはスコアをつけてもよく、例えば、様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いてその中に含まれる活性成分の放出を遅延化または制御して、所望の放出特性を提供するために処方することができる。錠剤は、所望により腸溶コーティングを施して、一部が胃ではなく腸で放出されるようにすることができる。
【0044】
口中局所投与に適した組成物は、フレーバーを添加したベース、通常シュークロースおよびアカシアまたはトラガカントガム中活性成分を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはシュークロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中活性成分を含む香錠;および適当な液体担体中活性成分を含む洗口剤を包含する。
経直腸投与に適した組成物は、例えば、カカオ脂、ゼラチン、ポリエチレングリコールなどを含む適当な基剤を用いて坐剤として提示することができる。
経膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、当該分野において適当であることが知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー処方として提示することができる。
非経口投与に適した組成物は、酸化防止剤、緩衝剤、殺菌剤および組成物を意図される受容体の血液と等張にする溶質を含む水性および非水性等張滅菌注射溶液;および懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液を包含する。組成物は、単位用量または多剤滅菌容器、例えば、アンプルおよびバイアル中に提示することができ、また使用前に注射用に例えば水などの滅菌液体担体を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)条件において貯蔵することができる。即席注射溶液および懸濁液は、すでに記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0045】
好ましい単位剤形組成物は、本明細書においてすでに記載した活性成分の1日用量または単位用量、1日準用量、またはその適当なフラクションを含むものである。
活性成分、特に前記のものに加えて、本発明の組成物は、問題となる組成物の種類に関して慣用の他の薬剤を含むことができると理解され、例えば、経口投与に適したものは結合剤、甘味料、増粘剤、矯味矯臭剤、崩壊剤、コーティング剤、保存料、滑剤および/または時間遅延剤などのさらなる薬剤を含むことができる。適当な甘味料としては、シュークロース、ラクトース、グルコース、アスパルテームまたはサッカリンが挙げられる。適当な崩壊剤としては、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が挙げられる。適当な矯味矯臭剤としては、ペパーミント油、冬緑油、チェリー、オレンジまたはラズベリーフレーバーが挙げられる。適当なコーティング剤としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、ワックス、脂肪族アルコール、ゼイン、シェラックまたはグルテンが挙げられる。適当な保存料としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。適当な滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。適当な時間遅延剤としては、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが挙げられる。
【0046】
本発明の1以上の態様は、癌性状態または細胞の増殖過多に関連する状態の化学療法において用いられる公知方法、組成物、薬剤または化合物よりも優れた利点を有する(またはこれらに関連する欠点を回避する)方法、組成物、薬剤または化合物も提供する。かかる利点としては:増大した治療活性、軽減された副作用、非非癌性または非増殖過多細胞に対する軽減された細胞毒性、向上した安定性あるいはより簡単で、安価でまたは高収率の合成または単離プロセスによる前記化合物を得るためのより容易に利用可能な手段が挙げられる。
【0047】
当業者らは本明細書に記載された本発明は具体的に記載された以外の変更および修正が可能であることを理解するであろう。本発明は精神および範囲内のかかる変更および修正をすべて包含すると理解される。本発明はさらに、本明細書において言及されているか、または表示されたすべての工程、特性、組成物および化合物も、個別にまたは包括的に、前記工程または特性の任意の2またはそれ以上の任意またはすべての組み合わせを包含する。
本明細書中に開示される参考および引用文献はその全体が本明細書中に組み込まれるようにすべきである。
本発明を、本発明を説明する目的で包含され、前記の概論を制限すると解釈されるべきではない以下の実施例を参照して説明する。
【0048】
(実施例)
実施例1
Aglaia leptanthaからの化合物AおよびBの単離
化合物AおよびBを次の手順を用いて単離した:
(a)樹木種のAglaia leptanthaからの粉砕された樹皮のサンプルをメタノールで処理する。
(b)抽出物を濾過し、結果として得られた溶液を真空下で濃縮する。
(c)抽出物をC−18Varian抽出カラム(10g)上固相抽出(0.1%アセトニトリル/水中ギ酸を使用、アセトニトリル濃度を増大させる)により分別する。
(d)7:20の比のアセトニトリル/水溶出液を用いて得られる溶出液を集める。化合物AおよびBは200、273nmで最大のUV吸収を有し(アセトニトリル/水/0.1%ギ酸)、次の条件下で約30.67分(化合物A)および31.05分(化合物B)のHPLC保持時間を有する:
C−8対称カラム(WATERS)、4.6×250mm、5μm 1ml/分、0%から90%水中アセトニトリル直線勾配(40分)、0.1%ギ酸を使用。
(e)工程(d)で得られるフラクションを濃縮する。
【0049】
(f)工程(e)で得られる濃縮物をC−18分取カラム(WATERS,Nova−Pak C−18、6ミクロン、2.5×25cm)上20ml/分の流量で、25%から45%の水中アセトニトリル(30分)の直線勾配、0.1%ギ酸を用いてクロマトグラフィーにかける。
(g)約22分で工程(d)において概要を記載したクロマトグラフィーおよび分光特性を有する溶出液を集め、濃縮する。
(h)(g)で得られる各溶出液をSephadex LH20カラム上、溶媒としてメタノールを使用してクロマトグラフにかける。(d)に概要を記載したスペクトル特性を有するフラクションを集め、濃縮する。これらのサンプルを化合物AおよびBの構造解明に用いた。
(i)工程(b)、(c)および(d)の代わりに、(a)で得られるメタノール抽出物を等体積の水およびジクロロメタンで分配してもよい。ジクロロメタン相を次に工程(e)−(h)に従って処理する。
【0050】
このようにして得られた化合物は次の分光および物理的特性を有する;
UV/Vis吸収最大:223、275nm(MeCN/HO、0.1%HCOOH中)。
MS:陽イオンモードにおいてESIソースを用いてFinnigan LCQイオントラップ質量分析計で質量スペクトルを得た。サンプルを0.1%MeOH中FA中に溶解させ、シリンジポンプを用いて3μL/分の速度で注入することによりソース中に導入した。化合物Aについて、シグナルをm/z677[M+Naで観察し;MSはm/z659[M+Na−HO];MSはm/z627(32amuの損失);MSはm/z595(さらに32amu損失)およびm/z451(176amuの損失、ジオキサン側鎖と等しい)であった。化合物Bについて、陽イオンモードにおいてmz677.2[M+Naでシグナルが観察され、MSはmz627.2およびmz659.2で娘イオンを生じた。シグナルをm/z627.2でさらにフラグメント化すると、m/z595.3で娘イオンが生じた。
【0051】
分析エレクトロスプレーソース(ESI)を備えたBruker47eフーリエ変換−イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FTMS)で化合物Aの正確な質量スペクトルを得た。サンプルをMeOH中に溶解させ、シリンジポンプを用いて60μL/分の速度で直接注入することによりソース中に導入した。ソースを100vのキャピラリー電圧で操作した。m/z677.2194[M+Na]測定値で1つのシグナルが観察された;C343813Naは677.2204を要する。
【0052】
NMR
400および500MHz Varian INOVA NMR分光計で、それぞれCDODおよびCDCl中、化合物AおよびB(下記の式(ii)を参照のこと)のNMRスペクトルを得た。次の実験を行った:H、13C、DEPT、HMQC、HMBC、COSY。H NMR化学シフト(CDCl中で得る)および13C NMR化学シフトを表1に記載する。
【0053】
【化5】

化合物AおよびB
【0054】
【表1−1】

【表1−2】

【0055】
実施例2
化合物AおよびBのシクロペンタベンゾフランコア上のジオキサニル側鎖の置換位置の決定(化合物AおよびBのアセチル化)
本発明の目的は化合物AおよびB中のシクロペンタベンゾフランコアへのジオキサニル側鎖の付着位置を間違いなく決定することである。
化合物AおよびBを無水ピリジン(A:280μL中4.2mg;B:400μL中3mg)に溶かし、無水酢酸を添加した(A:140μK、B:200μL)。反応混合物をアルゴン雰囲気下でそれぞれ14時間(A)および22時間(B)攪拌した。減圧下で溶媒を除去して橙色残渣としてジアセタートを得た(A:5.8mg;B:3mg)。粗残渣の精製を60%酢酸エチル/ペトロールで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで行った。化合物Aのジアセタート、化合物A’(式(iii))を收率68%(3.2mg)で得、化合物Bのジアセタート、化合物B’(式(iii))を收率41%(1.4mg)にて得た。
【0056】
2つの反応生成物の純度を逆相HPLCにより実施例1にて記載されている同じ装置を用いて評価した(カラム:XterraC−18、1mL/分、勾配:40分間で0から100%のMeCN)。化合物A’およびB’の構造を、実施例1に記載されているのと同じ条件を用いて、エレクトロスプレーMSならびに1Dおよび2D NMR実験により解明した。化合物A’およびB’のNMRスペクトルを500および400MHzのVarianINOVA装置を用いてCDCl中で得た。
【0057】
双方の化合物は、HPLC分析にて、化合物A’は26.3分の、化合物B’は27.7分の保持時間にて一本のピークを示した。化合物A’およびB’はm/zで761[M+Na]および1499[2M+Na]の陽性分子イオンを示し、それは分子式C384215を示すものである。1および2D NMR実験(1H、HMQCおよびHMBC、NOESY)はジオキサニル側鎖上の2つのヒドロキシル官能基がアセチル化されたことを示した。Hおよび13C NMR化学シフトを表2に、NOESYスペクトルを表3に要約する。
【0058】
両方のジアセタートのHMBC実験はH−5、H−7およびH−1’’’のプロトンシグナルが芳香族環の炭素6と明らかな相関関係にあることを示す。H−7とメトキシ基のプロトンシグナルは芳香族環の炭素6と相関関係にある。このことはジオキサニル側鎖がシクロペンタベンゾフランコアの位置C−6に結合していることを明示するものである。
【0059】
ジオキサニル側鎖の位置決定するためのさらなるサポートを両方の化合物のNOESYスペクトルから誘導した。H−5およびH−7の両方からジオキサニル側鎖のH−1’’’に対するNOEシグナルが観察され、H−7だけがC−8メトキシシグナルに対するNOEシグナルを示す。2つの化合物のジオキサニル環系にて観察されるNOEシグナルは、それらがジヒドロキシエタン側鎖の立体化学については異なるものであることを明示する。シクロペンタベンゾフランコアについてのNOEシグナルは開示されたデータと一致しており、表1および2に示される立体化学を確認する。







【0060】
【化6】


(iii)
化合物A’およびB’(化合物AおよびBのジアセタート)
【0061】
【表2−1】

【表2−2】

【0062】
【化7】

【0063】
【表3】

【0064】
実施例3
化合物AおよびBはヒト腫瘍細胞系について細胞増殖抑制性および細胞毒性である
(a)化合物AおよびBをAlgaia lepthanthaの樹皮サンプルから、リポポリ多糖(LPS)で活性化されたTHP−1ヒト前単球白血病性細胞(Tsuchiya,ら、Int. J. Cancer, 1980, 26(2):171-6)により、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の産生を抑制するその能力により同定した。表2は化合物AおよびBのTNF−α産生の抑制についての活性を、THP−1細胞についてのWST−1減少、DNA合成およびタンパク質合成分析を用いて測定した一般的細胞代謝に対するその影響と比較した結果をまとめる。化合物AおよびBは、WST−1減少、DNAおよびタンパク質合成分析において活性である様々な類似した濃度でTNF−α産生を潜在的に抑制した。比較のために、化合物AおよびBのA549肺上皮癌細胞に対する作用(Leiberら、Int. J. Cancer, 1976, 17(1):62-70)も測定し、該データも表2に記載されている。化合物AおよびBはA549細胞によるインターロイキン−1(IL−1)誘発細胞内接着分子−1(ICAM−1)発現の抑制について、これらの細胞においてタンパク質およびDNA合成抑制がTHP−1細胞についてのように様々な類似の濃度で起こる場合でも著しく効力が低い。
【0065】
【表4】

【0066】
DMSO中に溶解させた精製化合物AおよびBをTHP−1およびA549細胞の両方において様々な分析において抑制活性について一定範囲の濃度にわたり同時に試験した。関連する応答の50%抑制に至る濃度(IC50)を示す。THP−1細胞によるTNFαの産生を、次のマウス抗TNFαモノクローナル抗体(捕捉抗体、MAB610;検出抗体、ビオチニル化MAB210;両方ともR & D Systems, Minneapolis MN, USAから入手)を用いてサンドイッチ酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により18時間にわたって培養上清中に放出される際に測定した。A549細胞によるICAM−1の表面発現を、ヨーロピウム標識されたマウス抗ICAM−1モノクローナル抗体(R & D Systems Cat No.BBA3)を用いて直接抗体結合により培養の24時間後に分析し、Delfia分析(EG&G Wallac, Turku, Finland)を用いて時間分解蛍光により測定した。THP−1細胞によるWST−1(Roche, Cat. No.1644807)の減少を製造業者のインストラクションに従って培養した18時間後に測定した。THP−1細胞について48時間後、10%の通常のL−ロイシン濃度(5mg/mL)を含む増殖培地(RPMI−1640、10%FBS)中で培養したA549細胞について72時間後の[14C]−ロイシンの吸収としてタンパク質合成を測定した。正常増殖培地中THP−1細胞については48時間後、A549細胞については72時間後の[14C]−チミジン(0.5μCi/mL)の吸収としてDNA合成を測定した。
【0067】
(b)化合物Aを、THP−1およびA549細胞に加えて様々なヒト腫瘍タイプに由来する細胞系のパネルに対する細胞毒性および細胞増殖抑制活性について評価した(表3)。これらは、K562白血病性細胞(Lozzio and Lozzio,1975,Blood45:321-34)、PC3前立腺腫瘍細胞(Kaighnら、1979, Invest. Urol. 17:16-23)およびSF268グリア芽細胞腫細胞(Westphalら、1985, Biochem. Biophys. Res. Commun., 132:284-9)を含んでいた。化合物Aは試験したほぼすべての細胞系において強力な細胞増殖抑制活性を示し、GI50値は1−7nMの範囲であった。化合物Aはさらに、様々な腫瘍細胞系に対して強力な細胞毒性効果を示した。興味深いことに、THP−1およびPC3細胞は、3または6日培養した後に得られるLC50値がほとんど差がなく最も迅速に殺されることが判明した。しかしながら、化合物Aの細胞毒性効力はK562、A549およびSF268細胞について6日培養した後に劇的に増加した。細胞増殖を抑制するために必要とされる化合物Aの濃度は、細胞毒性応答を惹起するために必要とされるものよりも著しく低いことに注意すべきである。従って、化合物Aの細胞増殖抑制効果は、細胞死を誘発するその能力と生化学的に区別できる。表6は、化合物Bが様々な腫瘍細胞系に対して化合物Aについて観察されるものと匹敵する効力で細胞毒性効果を示すことを示す。
【0068】
【表5】

【0069】
精製された化合物Aを、表示されたさまざまなヒト腫瘍タイプ由来の細胞系のパネルに対する細胞毒性および細胞活性について最大1×10−6M(1000nM)までの濃度の範囲にわたって試験した。GI50値は、3日培養した後に細胞数の増加(未処理細胞と比較して)を50%抑制する化合物の濃度を表す。相対的な細胞数は、細胞をジギトニン(Beckerら、Anal Biochem, 1994, 221(1):78-84)で溶解させた後、蛍光DNA−結合色素(YOYO−1)を用いて細胞DNAを測定することにより決定した。LC50値は細胞の50%を殺す化合物の濃度を表す。プロピジウムヨージド(Nicolettiら、J. Immunol. Methods, 1991, 139:271-79)で染色した後フローサイトメトリーにより測定されるサブジプロイドDNAを示す死滅細胞の割合として、細胞死を測定した。
【0070】
【表6】


化合物AおよびBの細胞毒性活性を表5に記載するさまざまな腫瘍細胞系について比較した。
【0071】
(c)化合物AをNCIインビトロ抗癌スクリーンにてかなり大規模の細胞系パネルに対して試験し(表7)、上記した結果を確認した。全細胞タンパク質の測定値に基づく種々のアッセイを用いて、化合物Aがすべての細胞系で広範かつ強力な細胞増殖抑制作用を有し、試験した最少の用量(10nM)であっても最大限の細胞増殖の阻害を示す結果を確認する。表5のデータと一致する培養の2日後に測定された細胞毒性作用は、COLO−205結腸癌細胞の10nMから786−0腎臓癌細胞の約90μMの範囲にあるLC50値で様々であった。これらのデータは化合物Aが広範囲に及ぶ、白血病、肺癌、結腸癌、脳癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌および乳癌を含む、種々の主たる型の癌を提示する腫瘍細胞系に対して強力なインビトロ活性を有したことを示す。
【0072】
【表7】

【0073】
化合物Aをナショナル・キャンサー・インスティテュート・インビトロ・アンチチャンサー・ドラッグ・デリバリー・スクリーンにて活性について試験した。このために、BoydおよびPaull、Drug Development Research,1995、34:91−109に記載されるように、主要な型の癌を提示する一連の種々のヒト腫瘍細胞系に対して10−4Mないし10−8Mの範囲にある50倍の希釈度で化合物Aを試験した。簡単に言えば、この試験はスルホロダミン(sulforhodamine)Bで染色することで関連する細胞の数を測定する前に、細胞を化合物Aと共に48時間インキュベートすることを必要とした。GI50値は処理していない対照と比べて50%まで細胞の正味の増殖を阻害する化合物Aの濃度を示すものである。LC50値は実験の開始と比べて細胞の正味の50%喪失(死滅)をもたらす化合物Aの濃度を示すものである。該データはこのように実施した2つの実験からの平均値を示すものである。
【0074】
実施例4
化合物Aの細胞毒性活性は新規ジオキサニルオキシ置換を含まない他の公知の関連した化合物により共有されない。化合物A’は細胞毒性を示す。
(a)表8は、化合物Aの細胞増殖抑制および細胞毒性作用をC−6位で新規ジオキサニルオキシ基を含まない3つの以前に同定された1H−シクロペンタ[b]ベンゾフランリグナンと比較する。参考化合物は次の通りである:ロカグラオール(参考化合物1)(Ohseら、J Nat Prod, 1996, 59(7):650-52);4’−デメトキシ−3’,4’−メチレンジオキシロカグラオール(参考化合物2);メチル4’−デメトキシ−3’,4’−メチレンジオキシロカグレート(参考化合物3)(leeら、Chem Biol Interact, 1998, 115(3):215-28)。すべての4種の化合物はA549細胞において検出可能な細胞毒性活性を示し、化合物Aが最も有効であり、ついで次第に低くなる順でそれぞれ参考化合物3、2および1であった。重要なことに、試験した化合物のうち、化合物A以外ではどれも3日間の分析にわたって5000nMまでの量でTHP−1またはA549細胞のいずれかにおいて感知できる細胞毒性を示さなかった。本発明を理論により制限することを意図しないが、C6−位での新規ジオキサニルオキシ置換は化合物Aにより示される細胞毒性活性について重要であり、これを他の以前に同定された1H−シクロペンタ[b]ベンゾフランリグナンと区別する。
【0075】
【化8】

【0076】
【表8】

【0077】
様々な化合物の濃度を最大5×10−6M(5000nM)まで増大させて、A549およびTHP−1細胞を試験し、細胞増殖および細胞生存性に対する作用を3日間培養した後に測定した。表3について記載したYOYO−1を用いて細胞数における相対的変化を測定することによりGI50値を測定した。YOYO−1吸収を用いて膜完全性の損失の関数として細胞死を測定することにより、LC50値を測定した(Beckerら、Anal Biochem, 1994, 221(1):78-84)。参考化合物の構造も示す。
【0078】
(b)表9は、化合物A’およびB’が非修飾化合物と少なくとも同様の効能でTHP−1白血病性のWST−1減少を阻害したため、化合物AおよびBのジオキサニル側鎖のアセチル化がその生物学的活性を減少させなかったことを示す。表4に示される値と比較したこのWST−1減少実験にて示されるすべての化合物についてより低いIC50値は、後者のアッセイにおいて用いられる18時間の処理と比較して3日間処理した場合に、細胞の感受性の強化を反映している。
【0079】
【表9】


DMSOに可溶化させた精製した化合物を、WST−1減少を測定する前に3日間種々の化合物の存在下で培養することを除き、表4に記載されるようにTHP−1白血病性細胞によるWST−1の減少に対するその効果について一連の濃度にわたって試験した。
【0080】
実施例5
化合物Aは急性タンパク質合成抑制活性を有する
化合物Aをさらに、一般的タンパク質生合成を急速に抑制できるかどうかを決定するために試験した。一般的タンパク質生合成分析として[14C]ロイシンの不溶性細胞物質中への取り込みを用いて、表6は化合物AがTHP−1細胞の添加後3時間以内に明らかな抑制効果を有し、IC50が約30nMであることを示す。同じ時間にわたって測定したDNA合成も抑制されたが、効力は低く(IC50が約70nm)、タンパク質合成抑制に次ぐ。シクロヘキシミドは公知のタンパク質合成抑制物質であるが(Obrigら、1971, J. Biol. Chem. 246(1), 174-181)、これもタンパク質およびDNA合成の両方を抑制し、化合物Aはその効果においてシクロヘキシミドよりも著しく有効であった。表6はA549細胞における一般的タンパク質合成を抑制することを示し、IC50は約30nMであり、これはTHP−1細胞において観察されるものと類似している。
【0081】
【表10】

【0082】
THP−1細胞およびA549細胞を、(1μCi/mL)[14C]ロイシン(タンパク質合成)または[14C]チミジン(DNA合成)をさらに2時間添加する前に表示された濃度の化合物Aで1時間前処理した。IC50値は未処理対照細胞培養物と比較して放射性同位元素の取り込みを50%抑制するために必要な化合物Aの濃度を表す。
【0083】
実施例6
化合物はヒト白血病性細胞系の分化を誘発する。
通常懸濁液中に結合せずに増殖するTHP−1単球白血病性細胞についての実験において、本発明者らは細胞の10nM化合物Aへの暴露を延長すると、細胞が蓄積してプラスチックに付着し、さまざまな仮足を示した(図1)。これは成熟マクロファージに非常に特徴的な形態であり、インターフェロン−γ(IFNγ)またはホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)を含む他の公知のマクロファージ分化の誘発因子で細胞を処理した場合に同様の形態的影響が観察された。これを調査するために、さらに、HL60ヒト前骨髄球白血病性細胞(Collins,ら、Nature, 1977, 270:347-9)に対する化合物Aのこの影響を調べた(表11)。この広く用いられる細胞系は、ヒト前骨髄球分化のモデルとしてよく特徴づけられている(Colling, Blooc, 1987, 70(5):1233-44)。この実験において、フローサイトメトリー分析によりCD14表面抗原発現を測定することにより、単球分化を定量化した。LPS−結合タンパク質であるCD14を骨髄単球の細胞の表面上に発現し、通常、未分化HL60細胞において非常に低レベルで発現される(Ferreroら、Blood, 1983, 61(1):171-9)。前記のTHP−1データと一致して、表10は、10nMより高い用量で化合物Aは、培養の4日後に残存する生存HL60細胞においてCD14発現を著しく増大させた。これらのデータを合わせると、化合物Aはヒト白血病性細胞系の分化を誘発する能力を有することが強く指摘される。
【0084】
【表11】

【0085】
HL60細胞を4日間表示した濃度の化合物Aとともに培養し、その後集め、70%エタノール中に固定する。細胞を次にマウスモノクローナル抗CD14抗体(OKM1)で染色し、FITC−接合ヤギ抗マウスIgGを二次抗体として用いてこれを測定した。染色された細胞をフローサイトメトリーにより可視化し、分析をその前方および側方光散乱特性に基づいて固体の時間で可視と判断された細胞に限定した。二次抗体とともにインキュベートすることにより細胞の非特異的染色を調節した。
【0086】
実施例7
様々な濃度の化合物Aで処理されたTHP−1細胞のDNA含量(図2)により、10nMでわずかに細胞毒性(死滅細胞の蓄積が増大)であることが示され、これらの条件下で細胞が細胞周期のG0/G1層において蓄積させた。このことは、化合物AもTHP−1細胞における細胞毒性活性を有する。図2は、薬剤パクリタクセルを不安定にする微小管(Sorgerら、Curr Opin Cell Biol, 1997, 9(6):807-14)は、THP−1細胞死も誘発するが、細胞を細胞周期のG2/M期において蓄積させる。
化合物AのA549細胞の増殖に対する細胞増殖抑制効果は、9日の期間にわたって間隔を置いて細胞の数を直接係数することにより確認した(図3)。も処理細胞と比較した場合、10nMの化合物Aは細胞数の増加を95%以上防止し、この時点で観察される死滅細胞の10%よりも少なかった(トリパンブルー排除により測定)。従って、これらの条件下で、減少した細胞数は増加した細胞死により、段に引き起こすことはできない。細胞数の顕著な抑制は、2日以内に見られ、このことは化合物Aが迅速に採用することを示す。50mMおよび250mMの高濃度で、化合物Aは細胞毒性効果を有し、9日後に細胞死をそれぞれ86%および100%まで増大させ、この時点で素の出発数より低いレベルまで細胞数を減少させた。10nMの非細胞毒性濃度で、化合物AはA540細胞に対して迅速で有効な細胞増殖抑制効果を有する。
【0087】
化合物Aの作用の有力なメカニズムの同定を助けるために、細胞周期のどこにおいてその働きをするかを確認するためにDNA含量分析を行った(図4)。6日間化合物Aで処理されたA549細胞の細胞周期分析によりの、顕著な細胞毒性が明らかでない10nMで、細胞周期のG0/G1期において細胞の割合がわずかに減少し、同時にG2/M期において細胞が増大する。前記図3の成長曲線データとあわせて、これらのデータは10nMの化合物が細胞周期のすべての期を全般的に延長し、おそらくG2/M期の延長がわずかにより顕著であった。これは、細胞周期のG2/M期で選択的に作用することがしられている薬剤であるパクリタクセルの作用と対照的である(図4)。50nMと250nMの死滅細胞の数の間にはほとんど差がないが、さらに高い量では細胞周期のG0/G1期において細胞の蓄積が大きかった。従って、THP−1細胞(図2)と比較して、A549細胞における細胞周期のG0/G1期全体にわたって進行を抑制するために高濃度の化合物Aが必要とされる。
【0088】
実施例8
化合物Aの細胞増殖抑制作用はA549細胞において可逆的である
化合物Aの作用の可逆性を確認した。このために、A549細胞は未処理のままにするか、あるいは様々な濃度の化合物Aまたはパクリタクセルの存在下で5日間培養した後、該化合物を除去し、細胞をさらに4日間培養した後、細胞数を測定した(図6)。10nMの化合物Aは著しい細胞毒性梨に9日まで細胞数の増加を有意に抑制した。しかしながら、これらの培養のために、化合物Aが5日後に除去された場合、細胞数においてその後の4日の培養よりも5倍を越えて増大し、2〜3の集団が倍加することを表す。細胞に対して致命的な処理、例えば高濃度の化合物Aまたはパクリタクセルの存在の作用は、これらを除去することにより逆転しなかった。
【0089】
実施例9
化合物Aは様々な抗癌剤により惹起される細胞周期依存性を抑制する
化合物の細胞周期作用をさらに調べるために、細胞性死濃度のこの化合物を細胞周期の特定の地点で作用することがしられている他の抗癌剤と組み合わせて、化合物Aがその細胞周期依存性作用を乱すかどうかを調べた。蛍光DNA−結合色素YOYO−1の排除を測定することにより細胞生存性を3日後に分析した(Beckerら、Anal Biochem, 1994, 221(1):78-84)。A549細胞をカンプトテシンおよびパクリタクセルの存在下で濃度を増大させながら10nMの非細胞毒性量の化合物Aで処理した。カンプトテシンは、DNA複製に必要とされる酵素であるDNAトポイソメラーゼ1の抑制物質であり、細胞周期のS期を乱し、S期チェックポイントの活性化のためにその後細胞を死滅させる(Darzynkiewiczら、Ann N Y Acad Sci, 1996, 803:93-100)。パクリタクセルは、すでに記載したように、有糸分裂紡錘体の形成に必要とされる微小管機能を抑制し、これによりM期チェックポイントを活性化させ、その後細胞を死滅させる(Sorgerら、Curr Opin Cell BIol, 1997 9(6):807-14)。図7は、10nM化合物Aはカンプトテシンおよびパクリタクセル両方の細胞毒性を、これらの薬剤が2000倍過剰に添加された場合でも著しく減少させる。化合物Aは、優先的にカンプトテシンおよびパクリタクセルの細胞周期依存性細胞毒性効果を防止する。
【0090】
これを、DNA含量分析を用いてより詳細に調査して、細胞周期進行および細胞死を明確に測定した。この実験において、カンプトテシンおよびパクリタクセル細胞に加えて、ビンブラスチン(もう一つの微小管抑制物質((Sorgerら、1997、前出)およびスタウロスポリン(キナーゼ抑制物質)でも処理した(Gescher, Crit Rev Oncol Hematol., 2000, 34(2):127-35)。すでに判明しているように、10nMの化合物Aで処理されたA549細胞はG0/G1において細胞がわずかに減少し、G2/M期細胞がわずかに増加し、3日にわたる培養で細胞死の増加は検出できなかった(図8)。公知の作用メカニズムと一致して、カンプトテシンは細胞周期のS期において細胞が蓄積され、サブジプロイドDNA含量を有するものとして検出される死滅細胞のレベルも増大した。予想されるように、ビンブラスチンおよびパクリタクセルは両方とも細胞周期のG2/M期において細胞の大部分が制止する。しかしながら、これらの薬剤のすべてについて、10nMの化合物Aの存在は、その特徴的な細胞周期阻止を防止し、著しくその細胞毒性効果を抑制し、サブジプロイド死滅細胞の出現を劇的に減少させる。対照的に、化合物Aは、細胞周期のあらゆる活性期で細胞を殺すことができるらしい薬剤であるスタウロスポリンの細胞毒性効果に対してほとんど影響を及ぼさない。
【0091】
実施例10
化合物Aの細胞毒性効果は複製老化のバイオマーカーと相関しない
10nMの化合物Aの存在下で培養したA549細胞の成長速度が劇的に減少するので(図3)、この化合物がこれらの不死細胞の複製老化を誘発する可能性を考慮することになる。これらの条件下でのこの可能性と一致して、老化表現型を高度に誘発する形態を有するA549細胞がしばしば観察され、非常に平面化され、その通常の外観と比較して表面積が大きくなっている(例えば図9サブパネルaおよびbと比較)。さらに、ヒト細胞の老化とよく相関することがすでに記載されているバイオマーカーである老化−関連β−ガラクトシダーゼ(SA−β−gal)活性を測定することにより、これを評価した(Dimriら、Proc. Natl Acad Sci USA 1995 92(20):9363-7)。最近、ドキソルビシン、シスプラチン、シタラビン、エトポシドおよびパクリタクセルを含む様々なメカニズムにより作用する抗癌剤はすべて様々な腫瘍細胞系においてSA−β−gal活性を誘発することができる(Chang et a., Cancer Res 1999, 59(15):3761-7)。従って、化合物Aに加えてA549細胞も実験対照としてドキソルビシンで処理した。この薬剤は、DNA/トポイソメラーゼII複合体を安定化し、これによりDNA;および損傷を引き起こすことにより作用し、その結果その後S期細胞周期停止および/または細胞死に至る(Froeligh-Ammon and Osheroff, 1995, J. Biol. CHem. 270(37):21429-21432)。図9は、先の報告と一致して、250nMのドキソルビシンで処理されたA549細胞は平面化され、老化細胞の拡大された表現型を示し、SA−β−gal活性を示す。対照的に、10−50nMのさまざまな用量の化合物Aは、細胞が平面化し、拡大された形態を示す場合でもSA−β−gal活性を誘発できなかった。従って、様々な他の抗癌剤と対照的に、化合物Aの細胞増殖抑制作用は細胞老化のこの特定のマーカーと相関しない。
【0092】
実施例11
化合物Aは細胞増殖を抑制するが、細胞の大きさの増大を抑制しない。
個々の細胞の大きさの増大を反映した細胞増殖および細胞成長は生化学的に別個のプロセスであることはよく知られている(Pardee, Science, 1989, 246:602-8)。ある濃度で化合物Aは明らかな細胞毒性なしに細胞増殖を抑制できるが、化合物Aが細胞成長にも影響を及ぼすかどうかを評価した。これらの実験のためにA549細胞を10nMまでの様々な非細胞毒性量の化合物Aで処理し、相対的な細胞の大きさを、6日培養した後、フローサイトメトリーを用いて、細胞の大きさに直接関連する前方光散乱特性について調べた。平均細胞体積の増加(%)は、未処理細胞集団に対する処理細胞集団の平均前方散乱値の相対的変化を表す。
【0093】
【表12】

【0094】

指示されるように種々の非毒性濃度の化合物Aと一緒に6日間培養したA549細胞を、フローサイトメトリーにより、細胞の大きさと直接関係するそのフォワード・ライト・スカッター特性について試験した。細胞平均容量の%増加は未処理の細胞集団に対する処理した細胞集団の平均フォワードスカッター値における相対的変化を示す。
【0095】
実施例12
化合物Aのインビボでヒト腫瘍細胞の成長を抑制する能力を、2×10PC3ヒト前立腺腫瘍細胞を背側腹部領域に皮下注射したオス無胸腺マウスを用いて評価した。一旦PC3腫瘍が諸口できるようになった8日後に化合物を腹膜内注射により投与すること(3mg/kg)を開始し、腫瘍細胞の初回接種の29日後まで1週簡に3回続けた。この時点ですべてのマウスを屠殺し、腫瘍を摘出し、秤量した。図10Aはビヒクル単独で処理された対衝動物と比較して、化合物Aで処理されたマウスは実験の過程全体にわたって平均腫瘍体積の増加が大きく減少した。これは、実験の最後で腫瘍を摘出し、秤量した際に確認され、化合物A処理は、平均腫瘍重量を約60%減少させることが判明した(図10B)。体重は対照および処理群のいずれについても影響を受けず、実験期間にわたって平均体重が同様の約12%の減少を示した。従って化合物Aはインビボ抗腫瘍活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0096】
(原文に記載なし)
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
−R10は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリールアシル、置換されていてもよいシクロアルキルアシルおよびC−1結合糖からなる群から選択される;
XはORまたはNR10である;
11およびR12は、各々独立して、水素であるか、またはORおよびR11、および/またはORおよびR12は一緒になってメチレンジオキシ基を形成する;
Yは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよいベンジル、置換されていてもよいベンゾイル、置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、好ましくは置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル)(好ましくは、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル));および5−6員ヘテロサイクリルからなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩、誘導体またはプロドラッグ。
【請求項2】
およびYが、独立して、置換されていてもよいC−Cシクロアルキル、置換されていてもよいベンゾイル、置換されていてもよいベンジル、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル)およびC−1結合糖からなる群より選択されるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
置換されていてもよいC−Cシクロアルキル基が置換されていてもよいC−Cシクロアルキルであり、置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル)基が置換されていてもよいCH−(C−Cシクロアルキル)であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Yが置換されていてもよい5−6員のヘテロサイクリル基または置換されていてもよいC−Cシクロアルキル基であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式(i):
【化2】

[式中:
−R10は、各々独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいアリールアシル、置換されていてもよいシクロアルキルアシルおよびC−1結合糖からなる群より選択され、
XはORまたはNR10であり、
11およびR12は、各々独立して、水素であるか、またはORおよびR11、および/またはORおよびR12は一緒になってメチレンジオキシ基を形成する]
で示されるところの、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が水素、C1−6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC−1結合糖からなる群から選択されるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項7】
およびR10が、独立して、水素、C1−6アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群より選択されるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項8】
11およびR12が共に水素であるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項9】
−Rが、各々、独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プルピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、フェニル、ベンジル、アセチルおよびC−1結合糖からなる群から選択されるところの、請求項5記載の化合物。
【請求項10】
およびRが両方とも水素であるところの、請求項5記載の化合物。
【請求項11】
がメチルであるところの、請求項5記載の化合物。
【請求項12】
−Rの少なくとも一つがメチル、エチルまたはプロピルであるところの、請求項5記載の化合物。
【請求項13】
−Rの少なくとも一つがメチルであるところの、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
−Rの少なくとも2つがメチル、エチルまたはプロピルであるところの、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
−Rの少なくとも2つがメチルであるところの、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
−Rのすべてがメチル、エチルまたはプロピルであるところの、請求項14記載の化合物。
【請求項17】
−Rのすべてがメチルであるところの、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
およびRが両方とも水素であるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項19】
XがORであり、Rが水素、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択されるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項20】
がメチルであるところの、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
XがNR10であり、ここで、RおよびR10は両方とも水素またはメチルであるか;またはRおよびR10は異なるが、RまたはR10の少なくとも一方が水素であり、他方がC1−6アルキルであるところの、請求項1または5記載の化合物。
【請求項22】
1−6アルキルがメチル、エチルまたはプロピルであるところの、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
式(ii):
【化3】

で示される請求項5記載の化合物。
【請求項24】
次のNMRスペクトル特性を有するシクロペンタベンゾフラン化合物:
H NMR(CDCl)(ppm)
3.49、s、3H;3.56、dd、11.7、2Hz、1H;3.61、m、1H、3.61、2H;3.65、s、3H;3.71、s、3H;3.87、s、3H;3、89、dd、14.2、6.7Hz、1H;4.13、t、11.2Hz;4.23、brt、11.3Hz、1H;4.28、d、14.2Hz、1H;4.59、s、1H;5.03、d、6.7Hz、1Hz;5.28、s、1H;6.28、d、2Hz、1H;6.43、d、2Hz、1H;6.68、brd、9Hz、2H;6.84、m、2H;7.06、m、2H、7.06、m、1H;7.10、brd、9Hz、2H
13C NMR(CDCl)(ppm)
50.03、52.06、55.03、55.05、55.1、55.9、59、63.3、68.3、70.6、79.6、92.8、93.4、93.9、94、95.2、101.9、109.6、112.7、126.2、126.6、127.8、127.8、128.9、136.7、157.1、158.8、160、160.6、170.6。
【請求項25】
次のNMRスペクトル特性を有するシクロペンタベンゾフラン化合物:
H NMR(CDCl)(ppm)
3.5、s、3H;3.61、dd、10.4、4.4Hz、1H;3.66、m、1H;3.66、s、3H;3.72、m;3.72、s、3H;3.78、dd、11.7、2.4Hz、1H;3.86、s、3H;3.9、dd、14、6.8Hz、1H;4.02、t、11.2Hz、1H;4.12、ddd、11、6.8、2−8Hz、1H;4.28、d、14Hz、1H;4.60、S、1H;5.04、d、6.8Hz、1H;5.26、S、1H;6.29、d、2Hz、1H;6.45、d、2Hz、1H;6.69、brd、9Hz、2H;6.86、m、2H;7.06、m、2H;7.06、m、1H;7.10、brd、9Hz、2H;
13C NMR(CDCl)(ppm)
50、52、55、55、55、55.8、59.6、62.5、67.6、71.4、79.6、92.8、93.4、94.3、95.2、101.8、109.4、112.8、126.2、126.6、127.5、127.5、128.9、136.6、157.1、158.8、159.8、160.2、170.7。
【請求項26】
請求項1記載の化合物を医薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤とともに含む組成物。
【請求項27】
化合物が請求項5に記載の式(i)の化合物または請求項23に記載の式(ii)の化合物であるところの、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
治療的に有効量の請求項1に記載の化合物をその必要とする対象に投与することを含む、癌または癌性状態を治療する方法。
【請求項29】
化合物が請求項5に記載の式(i)の化合物または請求項23に記載の式(ii)の化合物であるところの、請求項28記載の方法。
【請求項30】
癌または癌性状態が、白血病、肉腫、乳癌、結腸癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、頭頚部癌、中皮腫、骨髄腫、食道/口腔癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮頸癌、骨肉腫、腎臓癌、子宮癌、前立腺癌、脳腫瘍、肺癌、卵巣癌、皮膚癌、肝癌および腸癌および胃癌、腫瘍および黒色種からなる群より選択されるところの、請求項28または29記載の方法。
【請求項31】
細胞増殖過多に付随する病態または状態を治療するための方法であって、治療的に有効量の請求項1に記載の化合物をその必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項32】
化合物が請求項5に記載の式(i)の化合物または請求項23に記載の式(ii)の化合物であるところの、請求項31記載の方法。
【請求項33】
病態または状態が、アテローム性動脈硬化症、再発狭窄症、関節リウマチ、骨関節症、炎症性関節炎、乾癬、歯周病およびウイルスにより誘発される細胞増殖過多からなる群より選択されるところの、請求項32記載の方法。
【請求項34】
請求項24または25に記載のシクロペンタベンゾフラン化合物を医薬上許容される担体、賦形剤または希釈体と一緒に含む、組成物。
【請求項35】
癌または癌性状態を治療するための方法であって、治療的に有効量の請求項24または25に記載のシクロペンタベンゾフラン化合物をその必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項36】
癌または癌性状態が、白血病、肉腫、乳癌、結腸癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、頭頚部癌、中皮腫、骨髄腫、食道/口腔癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮頸癌、骨肉腫、腎臓癌、子宮癌、前立腺癌、脳腫瘍、肺癌、卵巣癌、皮膚癌、肝癌および腸癌および胃癌、腫瘍および黒色種からなる群より選択されるところの、請求項35記載の方法。
【請求項37】
細胞増殖過多に付随する病態または状態を治療するための方法であって、治療的に有効量の請求項24または25に記載のシクロペンタベンゾフラン化合物をその必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項38】
病態または状態が、アテローム性動脈硬化症、再発狭窄症、関節リウマチ、骨関節症、炎症性関節炎、乾癬、歯周病およびウイルスにより誘発される細胞増殖過多からなる群より選択されるところの、請求項37記載の方法。

【公表番号】特表2006−508098(P2006−508098A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548931(P2004−548931)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001463
【国際公開番号】WO2004/041812
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(503014953)ザ・ガバメント・オブ・ザ・ステイト・オブ・サラワク・マレイシア (1)
【氏名又は名称原語表記】The Government of the State of Sarawak, Malaysia
【Fターム(参考)】