治療送達システムおよび方法
流体除去システムおよび組織部位から流体を取り除く方法が提供される。このシステムは、組織部位(102)の近傍に配置される半透過性のインバウンド管路であって、治療流体供給ユニット(104)に流体流通可能に連結されるインバウンド管路(106)と、組織部位(102)の近傍に配置される半透過性のアウトバウンド管路であって、インバウンド管路(106)および治療流体コレクタ(114)に流体流通可能に連結されるアウトバウンド管路(108)とを備える。治療流体コレクタ(114)は、組織部位(102)から治療流体および収集流体を受け入れる。収集流体測定ユニット(122)は、患者から収集した流体の体積を測定するために、治療流体コレクタ(114)に連結することができる。治療流体は、間質空間および細胞内空間から流体を引き込む任意の流体(気体を含む)である。また、体腔から腹水およびその他の流体を取り除くために、特に、減圧治療サブシステムを含むこともできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に治療システムに関し、より詳細には、治療送達システムおよび方法に関するものである。
【0002】
[関連出願]
本発明は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2008年9月18日に出願された発明の名称を“Fluid Removal System and Method”とする米国仮特許出願第61/098,030号の出願の利益を主張するものである。この仮出願は事実上、引用により本明細書に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
ある年齢層においては、外傷は珍しい死因ではない。それら死の多くにおいて、出血による深刻な血液量減少が、その主要原因となっている。このため、血液量減少性ショックの蘇生は、依然として重要なトピックとなっている。この血液量減少性ショックの対処に際しては、血液量の積極的な回復が、引き続き蘇生の優先課題とされる。この課題には、一般に、出血を制御して急速輸液を提供する努力が必要とされる。出血を伴う外傷患者の適切なケアには、良好に電解質レベルの平衡を保ち、全身の血圧を維持し、微小血管系からの漏出を最小限にすることが要求される。
【0004】
最初の損傷が十分に大きいか、あるいは蘇生努力が遅すぎるか不適当な場合には、ダメージへの主要因が血行動態不全そのものとなる。しかしながら、患者がある程度蘇生すると、炎症性ダメージがダメージの支配的な原因となり始める。後者の場合、そのダメージが多くの障害をもたらし、死にさえ至る可能性もある。
【0005】
それら障害のうち、腹腔内高血圧(IAH)および腹部区画症候群(ACS)は、外傷の結果として生じ得るが、敗血症患者に生じる場合もある。蘇生に伴う浮腫および漏出しやすい血管は、腹腔内容量の増加を引き起こし、その結果、腹腔内容物すべての圧力が増加することがある。腹腔内圧(IAP)が増加すると、重篤な組織に対するかん流に支障を来す場合があり、多臓器不全症候群(MODS)や死に至ることがある。MODSの発病の可能性を診断する一般的な手法では、クレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)のレベルをモニタリングすることにより、腎臓に対するダメージが検知される。ACSを回避するか、その発病に対応する際には、あるいはその他の状況においては、外科的減圧開腹(decompressive laparatomy)、一般的には、正中線に沿って筋膜を開くことが望ましい場合がある。
【0006】
蘇生と腹腔内圧に対処するために取られる工程の双方において、流体管理が重要である。よって、流体管理を支援するシステムおよび方法を備えることが望ましいであろう。また、腹腔から除去可能な流体に対処して、間質および細胞内濃度で流体をさらに引き込むことが望ましいであろう。さらに、流体除去についてのフィードバックを有することが望ましいであろう。同時に、腹水およびその他流体の除去を伴う腹腔内の組織の減圧治療を迅速にできるようにすることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
治療システム、デバイスおよび方法に関する問題は、本明細書に記載の例示的な実施形態に係るシステム、装置および方法によって解消されるものとなる。例示的な一実施形態によれば、患者の組織部位から流体を取り除くための流体除去システムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路(inbound conduit)を含む。インバウンド管路は、半透過性材料から形成される。流体除去システムは、インバウンド管路に流体流通可能に連結される治療流体供給ユニットをさらに含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。流体除去システムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路(outbound conduit)をさらに含む。アウトバウンド管路は半透過性材料から形成されて、インバウンド管路に流体流通可能に連結されている。流体除去システムは、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、組織部位からの治療流体および収集流体(recruited fluid)を受け入れる治療流体コレクタをさらに含む。治療流体コレクタには、収集流体測定ユニットを連結することができる。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0008】
別の例示的な実施形態によれば、患者の体腔内に減圧治療を提供するとともに組織部位の水空間から流体を取り除くためのシステムは、水空間から流体を取り除くための流体除去サブシステムと、開放キャビティ・減圧サブシステム(open-cavity, reduced-pressure subsystem)とを含む。開放キャビティ・減圧サブシステムは、減圧で流体を除去するための治療デバイスと、この治療デバイスの近傍に配置されて当該治療デバイスに減圧を分配するように機能するマニホールドと、患者の表皮の一部の上に配置されて体腔の上方に空気シールを形成するように機能する密封部材と、減圧供給管路と、密封部材に連結されて減圧供給管路をマニホールドに流体流通可能に連結させるように機能する減圧インターフェースとを備える。流体除去サブシステムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路と、このインバウンド管路に流体流通可能に連結された治療流体供給ユニットとを含むことができる。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。流体除去サブシステムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路をさらに含む。インバウンド管路およびアウトバウンド管路は、半透過性材料から形成される。アウトバウンド管路は、インバウンド管路に流体流通可能に連結されている。流体除去サブシステムは、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、患者の組織からの治療流体および収集流体を受け入れる治療流体コレクタをさらに含む。流体除去サブシステムは、治療流体コレクタに連結された収集流体測定ユニットをさらに備えることができる。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0009】
別の例示的な実施形態によれば、流体除去システムを製造する方法は、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、インバウンド管路に流体流通可能に連結するための治療流体供給ユニットを提供するステップとを含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。上記製造方法は、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結するための治療流体コレクタを提供するステップとをさらに含む。治療流体コレクタは、患者の組織から治療流体と収集流体を受け入れるように機能する。上記製造方法は、治療流体回収ユニットに連結するための収集流体測定ユニットを提供するステップをさらに含む。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、組織部位から流体を除去する方法は、患者に組織部位の近傍にインバウンド管路を配置するステップと、インバウンド管路に治療流体供給ユニットを流体流通可能に連結するステップとを含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体のフローを供給するように機能する。組織部位から流体を除去する上記方法は、患者に組織部位の近傍にアウトバウンド管路を配置するステップをさらに含む。インバウンド管路およびアウトバウンド管路は、半透過性材料から形成される。組織部位から流体を除去する上記方法は、アウトバウンド管路をインバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、治療流体コレクタをアウトバウンド管路に流体流通可能に連結するステップとをさらに含む。治療流体コレクタは、患者の組織からの治療流体および収集流体を受け入れるためのものである。組織部位から流体を除去する上記方法は、治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップをさらに含む。また、組織部位から流体を除去する上記方法は、治療流体コレクタに収集流体測定ユニットを連結するステップも含む。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0011】
本発明に係るシステムおよび方法の例示的な実施形態は、認識される数多くの利点を提供することができる。以下に、幾つかの例を述べる。本発明の技術的利点には、組織の水空間からの流体を制御された方法で取り除くことができる点が含まれる。別の利点としては、システムが、電解質バランスに影響を与えることなく細胞内液の除去を促進する高張液を使用できる点が挙げられる。別の利点としては、それが、腹腔内圧(IAP)を低下させて臓器のダメージを減少させるのに役立つ点が挙げられる。別の利点としては、それが組織からの収集流体のある程度のモニタリングを可能にする点が挙げられる。別の利点としては、かん流低下に関して安全性を改善する点が挙げられる。別の利点としては、システムと方法が腹腔から容易に腹水およびその他の流体を取り除く点が挙げられる。別の利点としては、システムの一部を結腸傍溝内に容易に配置することができる点が挙げられる。これらは、可能性のある利点のうちの幾つかの非限定的な例にしか過ぎない。
【0012】
例示的な実施形態のその他の目的、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、例示的な一実施形態に係る治療送達システムの概略図である。
【図2A】図2Aは、治療送達システムの別の例示的な実施形態を示す一部断面の概略図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの治療送達システムの細部の概略断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの2C−2C線に沿った治療送達システムの一部の概略断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す治療送達システムの一部の概略断面図である。
【図3】図3は、治療送達システムの別の例示的な実施形態の概略平面図である。
【図4】図4は、図3の治療送達システムの一部の細部の概略平面図である。
【図5】図5は、図3の治療送達システムの一部の細部の概略斜視図である。
【図6】図6は、治療送達システムとともに使用されるカップリングデバイスの例示的な実施形態の概略斜視図であり、カップリングデバイスが連結状態で示され、隠線で示された部分を有している。
【図7】図7は、図6のカップリングデバイスの概略斜視図であるが、ここでは、分離状態で示されている。
【図8A】図8Aは、治療送達システムの例示的な実施形態の一部を構成するカプセル化脚部材(encapsulated leg member)およびその近傍の構成要素の概略縦断面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aのシステムのカプセル化脚部材およびその近傍の構成要素の概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明においては、その一部を構成する添付図面に対して参照がなされている。それらの実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、また、その他の実施形態が利用可能であるとともに、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。本発明を当業者が実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるために、当業者に既知の一部の情報を説明から省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0015】
図1を参照すると、腹腔(例えば、図2Aのキャビティ開口部226を参照されたい)のような体腔内で使用される治療送達システム100の例示的な実施形態が示されている。蘇生と関連する流体制御に対処する際に、流体力学、体内水空間(または区画)および膜の態様を伴う。
【0016】
3つの体内水空間、すなわち、血管本体内の容量である血管内容量(血漿量)と、特定の臓器に限定される訳ではないが臓器内に位置する間質容量、“中間容量”と、細胞内に生じる容量である細胞内容量とが存在する。本明細書内で使用されるように、“水空間”は、血管内、間質、細胞内または細胞間容量を意味する。正常な状況下では、それら3空間の水分量には、非常に規則的な関係がある。間質容量は、血管内容量の3倍であり、細胞内容量は、間質容量の約2.5乃至3倍であり、細胞内容量は、血管内容量の約7乃至9倍である。例えば、86キログラムの人は、4リットルの血液内液、12リットルの間質容量、36リットルの細胞内液を有する。間質容量は、血管内容量と平衡状態にあり、血管内容量内の増加または減少を緩衝する大きなキャパシタのように作用する。間質容量は、大きく変動することがあり、また間質空間は、非常に拡張することがある。
【0017】
水空間の間の膜は、流体の移動に重要な役割を果たす。血管内空間および間質空間は、様々な器官において異なる形で機能する境界層である毛細血管内皮によって、分離される。細胞膜は、細胞内容量と間質容量間の移動に明らかに対処するものであり、タンパク質を通さないものであるが、細胞表面で、細胞からナトリウムを放出して細胞内にカリウムを輸送するように働くナトリウム・カリウムポンプにより機能する。細胞膜は、水に対して浸透性がある。ナトリウム・カリウムポンプが外傷においてまたはその他の理由により活動を停止する場合には、細胞内へのナトリウムイオンの受動拡散が引き続き生じて、細胞内浸透圧を増加させることがある。水は、浸透勾配を伝って流れることとなり、これにより細胞腫脹が生じることがある。これは、流体の除去を必要とする場合がある。
【0018】
膜の特性は、患者内の流体管理に対処する様々な手法を可能にし、治療送達システム100は、それら特性を利用する。以下に、膜の特性を示す幾つかの例示的な実施例を述べる。
【0019】
乳酸リンゲル液のような平衡塩類溶液が治療流体として使用される場合、その流体力学は以下のようになる。晶質である2リットルの治療流体が血管内空間に加えられる場合、約30分後に、平衡に達する。平衡塩類溶液の追加分は、毛細血管内皮を自由に横断して、1:3の初期流体流通のラインに沿って分配する。このため、500mL(すなわち、2000mL/4)が血管内空間に残り、1500mL(すなわち、2000mL×3/4)が間質空間に進む。この状況では浸透勾配が存在しないため、細胞内空間への移動はない。
【0020】
治療流体がコロイド溶液、例えば、食塩水中の5%のアルブミンに変わる場合、血管内空間からの漏出が、約25乃至35パーセントの身体内の正味のアルブミン漏出に比例する。そのため、2リットルの治療流体が注がれると、約500mL(すなわち、25%)が間質空間に漏出し、1500mLが血管内空間に留まることとなる。ここで、細胞内空間の細胞質膜を横切る浸透勾配は存在せず、よって細胞内空間への移動量は存在しない。
【0021】
治療流体が7.5%の食塩溶液のような高張食塩水である場合には、細胞内空間からの流体の相当な後退が実現されるだろう。そのような治療流体は、例えば、7.5%(質量/体積)の塩化ナトリウムであるが、細胞体の正常な浸透圧の約8倍の圧力を及ぼし、それらから急速に水を引き込む。毛細血管内皮障壁が塩化ナトリウムのような小イオンを自由に通すため、水の引き込みが間質空間からではなく細胞内空間から行われる。そのため、250mLのそのような高張治療流体が血管内空間に注入される場合に、それは、細胞内空間から引き込んだ1750ccを収集する。よって、分配される全容量は、2L(加えられる250ccおよび細胞内空間から引き込まれる1750cc)である。全容量は、開始容量の比率に従い、血管内空間と間質空間との間で分配される。したがって、初期容量が4リットルの血管内容量、12リットルの間質容量、36リットルの細胞内容量で、その後に2リットルの全容量を加えた場合には、血管内空間が約0.5リットル、すなわち、(4L/16L)×2L=0.5Lを受け取ることとなる。間質空間は、1.1リットル、すなわち、(12L/16L)×2L=1.5Lを受け取ることとなる。しかしながら、高張治療流体は、過度の量を与えると、高ナトリウム血症と恐らくは発作を引き起こす可能性があるため、大きな注意を払う必要がある。通常の条件下で安全に投与される最大量は、約250mLである。この手法は、制御すれば有用なものであり、また、その原理は、後述するように、細胞内液および間質液を取り除くのに有用なものである。
【0022】
続けて図1を参照すると、治療送達システム100は、体腔内の領域を含む組織部位102から間質液および細胞内液を取り除くのを助ける。最初に、この治療送達システム100を概略的に説明することとする。治療流体供給ユニット104は、インバウンド管路106と流体結合、すなわち流体が流通するように連通される。治療流体供給ユニット104は、治療流体(別記)をインバウンド管路106に供給する。インバウンド管路106は、アウトバウンド管路108に流体流通可能に結合される。インバウンド管路106およびアウトバウンド管路108は、直接的に、あるいは複数の分岐管路112を含む管路インタフェース110で連結されている。
【0023】
組織部位102で組織の間質および細胞内空間から引き出されるまたは収集される流体は、それらの半浸透性壁を介して、管路106,112,108内に流入する。管路106,112および108内に流入するよりも多くの流体が収集されるとともに、図2A乃至図2Dと関連して説明するように、この追加の流体およびその他の流体、例えば、腹水を取り除くために、減圧開放キャビティサブシステムが使用されるものであってもよい。管路106,112および108の方に引き込まれる間質液および細胞内液は、矢印109により表わされている。アウトバウンド管路108は、治療流体コレクタ114に流体流通可能に連結されている。治療流体と収集流体は、治療流体コレクタ114に集められる。治療送達システム100は、管路106,108,112を介して治療流体を移動させるための流体移動デバイス115を含み、このデバイスは、流体を押圧する治療流体供給ユニット104内のポンプ、流体を吸引する治療流体コレクタ114内のポンプ、あるいは流体を押圧する加圧ガスのような機能を果たすのに適した任意の手段とすることができる。
【0024】
治療流体コレクタ114は、当該コレクタに運ばれた治療流体および収集流体の態様を測定するための1またはそれ以上のトランスデューサを含むことができる。例えば、治療流体と収集流体の質量は、質量信号を生成するトランスデューサにより把握することができ、質量信号は、第1カップリング手段116により、通信ユニット118に伝達される。この通信ユニットはディスプレイであってもよい。その他のトランスデューサは、流体の温度、pHまたはその他の属性を測定して、対応するトランスデューサ信号を生成することができる。トランスデューサ信号は、第2カップリングデバイス120により治療コントローラ122に伝達されるものであってもよい。治療コントローラ122は、第3カップリングデバイス124経由で、治療流体供給ユニット104との間で信号を送受信するものであってもよい。
【0025】
信号は様々な計算に使用することができる。例えば、治療流体の始め質量が治療コントローラ122に供給されるとともに、治療流体および収集流体の質量が治療流体コレクタ114内のトランスデューサから治療コントローラ122に送られる場合には、収集流体の質量を容易に判定することができる。さらに、プログラムされた手順に基づいて、より大きいまたはより小さい収集比率が望まれる場合には、制御信号を、第3カップリングデバイス124により治療流体供給ユニット104に送って、インバウンド管路106に流入させる治療流体の流量を調節することができる。治療流体コレクタ114内のトランスデューサにより直接的に、あるいは治療コントローラ122が信号を処理することにより、収集流体の質量または体積を測定することができ、治療流体コレクタ114内のトランスデューサ、あるいは上記処理を実行する治療コントローラ122は“収集流体測定ユニット”とみなすことができる。本明細書に亘って使用されるように、“or(または)”は相互排他性を必要とするものではない。治療コントローラ122は、それ自体のディスプレイを備えるようにしても、あるいは第4カップリングデバイス126により通信ユニット118に連結するようにしてもよい。
【0026】
管路106,108および112は半透過性膜材料からなる。管路106,108および112は、浸透を許容し且つ生物学的適合性を有する任意の材料から形成することができる。一例としては、親水性、生物学的適合性および低刺激性を有し、柔軟で、容易に接合可能な酢酸セルロース材料が挙げられる。さらに、管路106,108および112の材料に関係する変数は、所望の流体除去を達成するのを補助するために選択することができ、その変数には孔径および有効径が含まれる。また、治療流体の使用温度は、流体除去にも影響を与えることとなる。組織に接する管路106,108および112の表面領域は、流体の除去を可能にする。管路106,108および112は、腹膜腔内への導入のために束ねて、その後に分離するようにしてもよい。管路は、図1に示すように、個別の管路システムであっても、図2A乃至図2Dと関連して説明するように、減圧開放キャビティ治療サブシステムに付随するものであってもよい。管路106および108は単一の一体管路とすることもできる。
【0027】
インバウンド管路106およびアウトバウンド管路108は、直接連結するようにしても、あるいは分岐管路112によって連結するようにしてもよい。分岐管路は、より小さな連結管路網とすることができる。分岐管路112は、人体内の毛細管に、多くの点で類似する配置構成を形成する。分岐管路112は、組織部位102において所望の流体除去を達成するために、組織部位102に曝される表面領域の調節を補助する。典型的には、浸透勾配にフローを引き起こさせることとなる表面が望まれる。必要な領域は、治療流体の濃度、すなわち勾配と、その流体の流量に基づいて、決定することができる。
【0028】
インバウンド管路106は、治療流体供給ユニット104に流体流通可能に連結されている(幾つかのその他の実施形態ではバスが使用される場合がある)。アウトバウンド管路108は、治療流体コレクタ114に流体流通可能に連結されている(同様に、幾つかのその他の実施形態ではバスが使用される場合がある)。管路106および108は、それぞれ任意の方法によって治療流体供給ユニット104および治療流体コレクタ104に結合させることができ、例えば、その結合は、エポキシまたは任意の固着剤、溶着、干渉接続(interference connection)、熱シール、電気焼灼等により行うことができる。本明細書に使用されているように、“coupled(連結された)”という用語には、別個の物体を介した結合と、直接的な結合とが含まれる。また、“coupled”という用語は、2またはそれ以上の構成要素であって、各構成要素が同じ材料部品から形成されることにより互いに連続する構成要素も包含する。また、“coupled”という用語は、化学結合剤を介するような化学結合、機械的結合、熱的結合または電気的結合を含むものであってもよい。流体結合は、指定の部分または位置間で流体が流通することを意味する。
【0029】
治療流体供給ユニット104によりインバウンド管路106内に導入される治療流体は、数多くの液体または気体の中の何れとしてもよい。治療流体は、組織部位102で隣接組織または近隣の組織から、特に細胞内空間から、流体を収集する任意の流体とすることができる。これは通常、高浸透圧流体の使用により生じることとなる。治療流体は、例えば、吸湿材料の高張液または乾性ガスとしてもよい。一実施形態においては、先に言及したように、7.5%(質量/体積)の塩化ナトリウム溶液を使用するようにしてもよい。塩化ナトリウムおよびデキストラン(例えば、滅菌脱イオン水中の、ニュージャージー州ピスカタウェイ所在のPharmacia Fine Chemicals社製のMacrodex(登録商標)溶液)のような、その他の高浸透圧溶液を使用するようにしてもよい。治療流体のその他の例示的な実施例には、CaCl2、KCl、NaClまたはデキストラン溶液が含まれる。さらにその他の実施例には、高浸透圧/高張性の溶液(1.2MのNaCl、6%のデキストラン70)、高浸透圧の塩化ナトリウム溶液(1.2M)、または高張性のデキストラン70溶液6%が含まれる。
【0030】
また、治療流体は、管路104,106,112を通る乾性ガスであってもよい。ガスがインバウンド管路106を通過すると、近隣の組織からの流体が管路106を通って拡散し、治療流体の流動ガス内に蒸発する。ガスは、患者への熱損失を同時に最小化しつつ、表面が濡れた管路104,106,112の表面と、治療流体の流動ストリームとの間の分圧勾配が最大化されるように、選択されて配置される。熱損失は、治療流体供給ユニット104でより暖かいガスを使用することにより対処することができる。繰り返しになるが、例えば、CO2、窒素、空気など、様々なガスを使用することができる。
【0031】
治療流体の流量は、流体移動デバイス115により制御することができる。流量は、組織部位102近傍の体腔内に実際に展開される管路106,108,112の長さ、使用環境の温度、または流体除去が望まれる速度に対応するように調節することができる。流体除去を観察するために、治療流体は、治療流体コレクタ114で集められるとともに、患者の体から提供された追加流体または収集流体の量を測定するために分析される。一実施形態においては、単純な尺度を使用してアウトバウンド流体の質量が測定され、そのアウトバウンド流体の質量がインバウンド治療流体の質量と比較されて、収集流体の質量、すなわち差異が計算される。その差異は、その後、医療サービス提供者のために通信ユニット118上に表示される。
【0032】
その差異は、予め推奨されているように自動的に調節するために、治療コントローラ122によりデジタル化して使用するようにしてもよい。除去された流体(治療流体および収集流体)の特性は、治療コントローラ122によりフィードバックループ内で使用することができ、それにより、流量、温度またはその他の変数に関してインバウンド治療流体を自動的に調節して、収集される流体の量を制御することができる。治療流体がガスである場合には、ガスを凝縮器に通して、治療流体としてのガスの品質および可能性のあるリサイクルのために、流体を除去することができる。任意には、リサイクルされたガスを、帰還管路127によって戻すようにしてもよい。
【0033】
治療コントローラ122は、ハウジングユニット128を含み、このハウジングユニットは、治療流体および収集流体のデータの分析および治療流体供給ユニット104の制御のために様々な部品を含んでいる。治療コントローラ122は、治療流体コレクタ114から第2カップリングデバイス120により伝えられたトランスデューサ信号など、入力手段から数多くの異なる入力信号を受信するものであってもよい。治療コントローラ122は入力デバイス130で示される。入力デバイス130に伝達された信号がまだデジタル形式ではない場合、アナログ・ディジタル変換器132を設けるようにしてもよい。その後、入力デバイス130に受信された信号は、バッファメモリに伝達されて、メモリユニットまたはデバイス134に与えられるか、あるいはマイクロプロセッサ136に直接伝達されるものであってもよい。入力データの記録を保持して様々な判定を可能にすることが望ましい場合もある。
【0034】
マイクロプロセッサ136は、数多くの異なる判定を実行するように機能するとともに、数多くの出力を有することができる。出力デバイス138は、第3カップリングデバイス124に1またはそれ以上の出力信号を送信することができ、例えば、制御信号を、治療流体供給ユニット104と流体移動デバイス115とに送信して、その内部の流量を制御することができる。別の例としては、治療コントローラ122は、アウトバウンド管路108を介して供給された流体の温度を監視して、必要な大体の熱を判定することができ、また、温度制御信号は、治療流体を加熱する加熱素子を含む治療流体供給ユニット104に対して、治療コントローラ122により、第3カップリングデバイス124を介して送信することができる。治療コントローラ122は、マイクロプロセッサを利用する例示的な一実施形態に示されているが、その他の多くの手法を使用できることを理解されたい。
【0035】
操作に際して、治療流体供給ユニット104は、治療流体を供給して、管路106,108,112を介して、治療流体コレクタ114へと治療流体を流すようにする。治療流体が管路106,108および112を通って移動する際に、治療流体と近隣の組織部位102の組織との間に浸透圧の不均衡が生じる。平衡に達するために、水は、組織内の塩分濃度が治療流体と同じ濃度となるように、組織から管路106,108,112の内部へと流れようとする。しかしながら、治療流体と体の組織内の流体との間の体積差により、組織中の塩分濃度の実際的な変化は生じない。体の組織は、細胞内空間および間質空間から、管路106,108,112に向けて、それら管の中に、流体を運ぶこととなる。流体は、細胞内空間から、間質空間に対して、約3:1の比率で、運ばれることとなる。
【0036】
治療流体が管路106,108および112を通って進んでいる間、組織と管路との間には濃度勾配が存在する。この状況においては、体の自然な働きとして濃度の平衡を保とうとするが、治療流体の相対的に大きな分子は、組織(間質空間および細胞内空間)内に漏出して平衡を回復することはできないため、相対的に小さな分子、例えば、水が、管路106,108および112内とそれらの近傍に移動する。水は、細胞内空間および間質空間から管路106,108および112内とそれらの近傍に向かう。管路106,108,112の半浸透性の壁を介して引き込まれない水は、可能であれば、別の手段によって集められて取り除かれる。この後の説明は、水の除去を補助する開放キャビティ・減圧サブシステムを含む次の実施形態に繋がる。
【0037】
図2A乃至図2Dを参照すると、流体除去および減圧治療のためのシステム200の例示的な実施形態が示されている。システム200は、流体除去サブシステム203経由で組織部位204の間質空間および細胞内空間から流体を取り除くとともに、開放キャビティ・減圧サブシステム201を使用して、腹腔から腹水およびその他の流体を取り除く。このシステム200は治療デバイス202を含む。治療デバイス202は、典型的には、患者の腹腔内に設置される。開放キャビティ・減圧サブシステム201および治療デバイス202は、流体、例えば、腹水を取り除くとともに、腹腔内の組織部位204またはその近傍で、組織の一般的な減圧治療を可能にする。
【0038】
治療デバイス202は、組織部位204またはその近傍で、創傷または所与の領域または一般に組織を治療するために、患者のキャビティ内に配置される。治療デバイス202は、複数のカプセル化脚部材206を含む。複数のカプセル化脚部材206のうちの1またはそれ以上は、第1結腸傍溝208の内部または近傍に配置することができ、複数のカプセル化脚部材206のうちの1またはそれ以上は、第2結腸傍溝210の内部または近傍に配置することができる。複数のカプセル化脚部材206の各々は、中央連結部材212に連結され、複数のカプセル化脚部材206と中央連結部材212との間には流体の遣り取りが存在する。複数のカプセル化脚部材206と中央連結部材212はともに、穿孔214,216,218および220が設けられ、それらは、キャビティ内の流体が穿孔214,216,218および220を通過することを可能にする。複数のカプセル化脚部材206は、後述する図3のカプセル化脚部材312と類似の方法で、中央連結部材212の周りに配置するようにしてもよい。
【0039】
マニホールド222またはマニホールドパッドは、治療デバイス202に減圧を分配する。密封部材224は、キャビティ開口部226上に空気シールを与える。1またはそれ以上の皮膚閉鎖デバイスは、表皮234または皮膚の上に配置するようにしてもよい。減圧は、減圧供給管路230に連結された減圧インタフェース228を介して、マニホールド222に送達される。減圧源232は、減圧管路230に減圧を供給する。
【0040】
組織部位204は、任意の人間、動物またはその他の有機体の身体上の組織とすることができる。この実施形態では、組織部位204は、一般に腹腔内の組織である。典型的には、患者の腹腔内容物は、治療デバイス202を支持する働きをする。
【0041】
減圧は、腹水、滲出液またはその他の液体の組織部位からの除去を促進するのを助けるために、同様に、ある状況では、追加組織の成長を刺激するために、組織部位204に加えることができる。本明細書で使用されているように、“reduced pressure(減圧)”は、一般に、治療を受ける組織部位の周囲圧力未満の圧力のことをいう。多くの場合、この減圧は、患者がいる位置の大気圧未満となるであろう。若しくは、減圧は、組織部位における組織に付随する静水圧未満であってもよい。特に記載がなければ、本明細書で述べる圧力の値は、ゲージ圧である。
【0042】
マニホールド222またはマニホールドパッドは、中央連結部材212の隣接位置または近傍に配置される。マニホールド222は、様々な形態を取ることができる。用語“manifold(マニホールド)”は、本明細書で使用されているように、一般に、組織部位に減圧を加え、組織部位に流体を運び、或いは組織部位から流体を除去するのを補助するために設けられる物質または構造のことをいう。マニホールド222は、典型的には、当該マニホールド222の周囲の組織(またはデバイス)に提供される流体およびその組織から取り除かれる流体の流通を改善するために相互接続された複数の流路または経路を含む。マニホールド222は、組織部位に接触して、または組織部位に隣接して配置することができ、かつ組織部位(またはデバイス)に減圧を分配することができる生体適合性材料であってもよい。マニホールドの例には、流路を含むまたは流路を含むように保持する、例えば、流路を形成するように配列された構造要素を有するデバイス、連続気泡発泡体および多孔質組織収集体のような多孔性発泡体、液体、ゲルおよび発泡体が含まれるが、それらに限定されるものではない。マニホールド222は多孔性とすることができ、特定の生物学的応用に適した、発泡体、ガーゼ、フェルト状マットまたは任意のその他の材料から作ることができる。一実施形態においては、マニホールド222は多孔質発泡体で、流路として働く複数の連続気泡または穴を含んでいる。多孔質発泡体は、例えば、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concepts,Inc.により製造されるGranuFoam(登録商標)材料のような、ポリウレタンの連続気泡構造の網状発泡体とすることができる。その他の実施形態では、“独立気泡”を含む可能性もある。吸収性素材、ウィッキング材料、疎水性材料および親水性材料のようなその他の層を、マニホールド222内に、あるいはマニホールド上に含むものであってもよい。
【0043】
密封部材224は、腹腔開口部226上に配置されて、開放キャビティ・減圧サブシステム201が組織部位204で減圧を保持するのに十分な空気シールを提供する。密封部材224は、中央連結部材212上にマニホールド222を固定するために使用されるカバーであってもよい。密封部材224は不浸透性または半浸透性であってもよいが、密封部材224は、腹腔開口部226上に密封部材224を設置した後に、組織部位204で減圧を維持することができる。密封部材224は、組織部位またはその他のアプリケーションで望まれる不浸透特性または浸透特性を有する、シリコーン系化合物、アクリル、ヒドロゲルまたはヒドロゲル成形材、あるいはその他の生物学的適合の材料から形成される柔軟なオーバードレープまたはフィルムとすることができる。
【0044】
密封部材224は、患者の表皮234に密封部材224を固定する取付デバイス243をさらに含むことができる。取付デバイス243は、様々な形態を取ることができ、例えば、密封部材224の外周に沿って、あるいは密封部材224の任意の部分に固着層236を配置して、シールを提供することができる。また、固着層236は、予め塗布されて、利用時に取り除かれる剥離部材により覆われるものであってもよい。
【0045】
減圧インタフェース228は、例えば、ポートまたはコネクタ238とすることができ、これは、マニホールド222から減圧供給管路230への流体の通過と、減圧供給管路230からマニホールド222への減圧の通過を許容する。例えば、マニホールド222および治療デバイス202を使用して組織部位204から集められた腹水は、コネクタ238を介して減圧供給管路230に流入することができる。別の実施形態では、システム200からコネクタを省いて、減圧供給部材230を密封部材224およびマニホールド222内に直接挿入することができる。減圧供給管路230は、医療管路あるいはチューブ、または減圧を伝えるその他の手段であってもよい。
【0046】
減圧は、減圧源232により生成されて、減圧供給管路230に供給される。広範囲の減圧を、固定圧力としても、変動圧力としても発生させることができ、その範囲は、−50mmHgから−400mmHg、より具体的には、−100mmHgから−250mmHgとすることができる。上記範囲には、通常−200mmHgが含まれることとなる。代表デバイス240のような種々のデバイスを、減圧供給管路230の中間部242に加えることができる。例えば、除去された腹水、滲出液およびその他の流体を保持するために、流体容器または回収部材を加えることができる。減圧供給管路230の中間部242に設けることができる代表デバイス240のその他の例としては、圧力フィードバックデバイス、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、フロー監視システム、温度監視システム等が挙げられる。これらデバイスの幾つか、例えば、流体回収部材は、減圧源232と一体に形成するようにしてもよい。例えば、減圧源232の減圧ポート244は、1またはそれ以上のフィルタを有するフィルタ部材を含むことができるとともに、液体が内部空間に入るのを防ぐ疎水性フィルタを含むことができる。
【0047】
図2Bを主に参照すると、カプセル化脚部材206の脚モジュール256の概略縦断面図が示されている。カプセル化脚部材206の各々には、複数の脚モジュール256が設けられている。各脚モジュール256は、脚マニホールド部材260を備え、それは、脚モジュール256間に延びる単一のマニホールド部材であっても、あるいは各脚モジュール256内に位置するマニホールド材料の離散した構成要素であって、それらがカプセル化脚部材206の脚マニホールド部材260を構成するものであってもよい。脚マニホルド部材260は、カプセル化脚部材206の内部262に配置されている。脚マニホールド部材260は、第1の表面264と、第2の患者向きの表面266とを有する。第1脚カプセル化部材268は、穿孔214が設けられており、脚マニホールド部材260の第1の面264に配置されている。同様に、第2脚カプセル化部材270は、穿孔216が設けられており、脚マニホールド部材260の第2の患者向きの面266に配置されている。第2脚カプセル化部材270は、図3の非接着性ドレープ302のような非接着性ドレープの一部であってもよい。図2Bの縦断面図において矢印272で示すように、流体は隣接する脚モジュール256間を流れることができる。矢印274で示すように、流体は、穿孔214および216から入って、脚マニホールド部材260内に流入した後、矢印272で示すように、中央連結部材212に向けて流れることができる。
【0048】
ここで図2Cを参照すると、カプセル化脚部材206の一部の横断面図が示されている。前述と同様に、脚マニホールド部材260の第1の面264が第1脚カプセル化部材268により覆われ、脚マニホールド部材260の第2の患者向きの面266が、この例では非接着性ドレープ248の一部である第2脚カプセル化部材270により覆われている。この例示的な実施形態では、脚マニホールド部材260の外縁部276も第1脚カプセル化部材268の一部により覆われている。外縁部276は、第1外側縁277および第2外側縁279を含む。第1脚カプセル化部材268は、第1の面264および外縁部276を囲み、非接着性ドレープ248の第1の表面278へと下方に延びて、外延部280を形成する。外延部280は、接合部282によって第2脚カプセル化部材270に連結されている。第1脚カプセル化部材268は、超音波溶接、RF溶接、ボンディング、接着剤、セメント等を含む既知の技術を利用して、第2脚カプセル化部材270に連結することができる。
【0049】
ここで図2Dを参照すると、中央連結部材212の一部の概略断面図が示されている。中央連結部材212には、穿孔218を有する第1連結カプセル化部材286でカプセル化された連結マニホールド部材254が設けられている。第1連結カプセル化部材286は、連結マニホールド部材254の第1の面288上に設けられている。連結マニホールド部材254の第2の患者向きの面290は、連結マニホールド部材254の近傍に配置された第2連結カプセル化部材292を有する。第2連結カプセル化部材292には、穿孔220が設けられている。第1連結カプセル化部材286は、図3の中央連結部310の外縁部311と類似の外縁部(明示されていない)を有する。同様に、第2連結カプセル化部材292は、第1連結カプセル化部材286の外縁部と整列する外周部を有する。第1連結カプセル化部材286の外縁部は、図2Dの参照矢印295で示すように、カプセル化脚部材206内の流体が連結マニホールド部材254に流れ込むための流路を提供するために、脚カップリング領域252以外で、第2連結カプセル化部材292の外周部と連結されている。
【0050】
また、流体は、矢印296によって示すように、穿孔220を通って流れることにより、連結マニホールド部材254に直接流入するようにしてもよい。マニホールド222は、第1連結カプセル化部材286の近傍に配置され、このマニホールド222に減圧が加えられたときに、当該減圧によって、矢印297によって示すように、流体が連結マニホールド部材254から穿孔218を通ってマニホールド222内に流れるようにする。流体は、減圧インタフェース228の方向に流れ続け、このインタフェースを介して、流体が減圧供給管路230に運ばれる。
【0051】
ここで図2A乃至図2Dを参照して、開放キャビティ・減圧サブシステム201の動作を示すこととする。開放キャビティ・減圧サブシステム201は、図3Aに関連して以下に説明するように、最初に治療デバイス202をサイズ調整することにより、使用することができる。複数のカプセル化脚部材206を有する非接着性ドレープ248は、腹腔内に配置され、非接着性ドレープ248および複数のカプセル化脚部材206はともに、腹腔内容物上で広げられる。これには、少なくとも1のカプセル化脚部材206を結腸傍溝208および210の内部または近傍に降ろして配置することが含まれる。マニホールド222は、第1連結カプセル化部材286の第1の面284に下側が隣接するように配置されている(図2Dを参照)。その後、密封部材224が、腹腔開口部226上に貼付されて、腹腔開口部226上に空気シールを提供するとともに、腹腔開口部226を閉じた状態で保持するのを助ける。腹腔開口部226は、密封部材224の貼付に加えて、機械的な閉鎖手段または減圧閉鎖システムを使用することにより、よりしっかりと閉鎖または補強することができる。
【0052】
密封部材224の適用は数多くの方法により達成することができるが、例示的な一実施形態においては、密封部材224の固着層236上の取外し可能な裏当て部材が取り除かれた後に、腹腔開口部226の周りに患者の表皮234に接触させて密封部材224が配置される。その後、ポート238のような減圧インタフェース228が、密封部材224を介してポート238に減圧を送ってマニホールド222に減圧を提供することができるように、密封部材224に取り付けられる。減圧供給管路230は、減圧インタフェース228および減圧源232の減圧ポート244に、流体流通可能に連結されている。
【0053】
減圧源232は、作動されて減圧供給管路230内に減圧を提供し、減圧供給管路は、減圧を減圧インターフェース228とマニホールド222内に伝える。図2Dに示すように、マニホールド222は、減圧を分配して、連結マニホールド部材254から穿孔218を介して流体を引き込む。連結マニホールド部材254は、穿孔220を介して腹腔から流体を引き込み、フロー矢印295によって示すように、複数のカプセル化脚部材206から流体を引き込む。図2Bを主に参照すると、流体は、第1脚カプセル化部材268の穿孔214と、第2脚カプセル化部材270の穿孔216とを介して、カプセル化脚部材206内に流入する。流体は、矢印272によって示すように、カプセル化脚部材206を通って連結マニホールド部材254に向けて流れる。
【0054】
ここで、流体除去サブシステム203とその動作について述べることとする。図1のインバウンド管路106およびアウトバウンド管路108と、後述する図3の複数のインバウンド管路326およびアウトバウンド管路334と同様に、複数のインバウンド管路、例えば、インバウンド管路237(図2C)と、複数のアウトバウンド管路、例えば、アウトバウンド管路239(図2C)とが、各カプセル化脚部材206に沿って延びて、複数の分岐管路205(図2Bおよび図2Cを参照)により流体流通可能に連結されている。
【0055】
インバウンド管路237は、治療流体供給バス207(図2Aを参照)に流体流通可能に連結され、この治療流体供給バスは、第1連結管路209に流体流通可能に連結されている。第1連結管路209は、第1インタフェース211に流体流通可能に連結されている。第1インタフェースは、図示のようにエルボポートであってもよい。治療流体供給管路215は、第1インタフェース211と、治療流体供給源217とに流体流通可能に連結されている。治療流体供給ユニット(類似の図1の治療流体供給ユニット104を参照)は、複数のインバウンド管路237に治療流体の流れを供給するように機能し、図2Aの例示的な実施形態においては、治療流体供給ユニットは、治療流体供給源217、治療流体管路215、第1インタフェース211、第1連結管路209および治療流体供給バス207を含むことができる。
【0056】
アウトバウンド管路239は、治療流体回収バス219(図2Aを参照)に流体流通可能に連結され、この治療流体回収バスは、第2連結管路221に流体流通可能に連結されている。第2連結管路221は、第2インタフェース223に流体流通可能に連結されている。第2インタフェースは、図示のようにエルボポートであってもよい。第2インタフェース223は、回収流体管路225に流体流通可能に連結され、この回収流体管路も、治療流体レセプタクル227に流体流通可能に連結され、この治療流体レセプタクルは、組織部位204から戻った治療流体および任意の収集流体を受け入れる。治療流体レセプタクル227は、戻った流体(すなわち、すべての流体)の質量または体積と、収集流体(すなわち、間質空間および細胞内空間からの流体)の質量または体積とを測定するトランスデューサを含むことができる。また、治療流体レセプタクル227は、温度データのようなその他のデータのためのトランスデューサも含むことができる。図1の治療流体コレクタ114と同様に、治療流体レセプタクル227は、治療流体レセプタクル227と関連する通信ユニットおよび治療コントローラ233を備えるようにしてもよい。治療流体回収ユニット(類似の図1の治療流体コレクタ114を参照)は、戻った治療流体および収集流体を受け入れるように機能し、図2Aの例示的な実施形態においては、治療流体回収ユニットは、治療流体回収バス219、第2連結管路221、第2インタフェース223、回収流体管路225および治療流体レセプタクル227を含むことができる。
【0057】
インバウンド管路237、アウトバウンド管路239および分岐管路205を通って治療流体が進むと、一般に“組織部位”と称される、組織部位204およびその近傍の組織の間質空間および細胞内空間から流体が収集される。収集流体または少なくともその一部は、図2Bの矢印229によって示すように、管路237,239および205に入ることとなる。同時に、収集流体の一部は、間質空間および細胞内空間から離れるが、管路237,239および205に入る前に、図2Bの矢印274によって示すように、開口部114および116内と、脚マニホールド部材260内とに引き込まれることとなる。開放キャビティ・減圧サブシステム201は、その収集流体、腹水、滲出液およびその他の流体を減圧源132に引き込む。なお、代表デバイス240は、供給される流体を保持するためのキャニスタであってもよく、また供給される流体の質量および体積を測定する1またはそれ以上のトランスデューサまたは手段をさらに含むようにしてもよい。その情報は、カップリングデバイス235により治療コントローラ233に伝達され、それにより、開放キャビティ・減圧サブシステム201からの回収流体を流体管理状況の要因として考慮することが可能になる。
【0058】
図2Cを参照すると、インバウンド管路237は、カプセル化脚部材206を通り抜ける分岐管路205により、あるいは接着、溶着若しくはその他の手段により、カプセル化脚部材206に連結することができる。穿孔216は、管路237および239内の治療流体と組織部位204との間の相互作用を促進するために、管路237および239の近傍で高密度に配置するようにしてもよい。別の手法では、ドレープおよび第1脚カプセル化部材268の第1の面が患者に対向して管路237および239が組織に直接接触するように、治療デバイス202を反対方向に配置することもできる。
【0059】
本明細書に示される例示的な流体除去システム100,300および流体除去サブシステム203は、典型的には開放キャビティを介して導入されるが、その他の方法によっても可能である。例えば、流体除去システム100,300および流体除去サブシステム203は、患者に腹腔鏡下で導入するようにしてもよい。そのような状況では、管路は、腹腔鏡により、複数のカプセル化脚部材206(図2A)のような一連の圧力マニホールディングデバイスで導入された後、インバウンド管路237および外部管路239が、それぞれ患者の外部で、治療流体供給バス、例えば、図3のバス324と、治療流体回収バス、例えば、図3のバス330とに流体流通可能に連結される。これは、ある状況ではバス324および330が患者の外部の部位に配置されるものであってもよいことを示している。
【0060】
図3、図4および図5を参照すると、患者の間質空間および細胞内空間からの流体を除去するためのシステム300の一部の別の例示的な実施形態が示されている。このシステム300は、非接着性ドレープ302を含み、この非接着性ドレープは、任意の非接着性フィルム材料から形成することができ、組織の非接着性ドレープ302への固着防止を助ける。例示的な一実施形態では、非接着性ドレープ302が通気性ポリウレタンフイルムから形成されている。非接着性ドレープ302には複数の穿孔304が設けられている。それら穿孔は如何なる形状であってもよい。この実施形態では、2つのサブシステム、すなわち、流体除去サブシステム306および開放キャビティ・減圧サブシステム308を非接着性ドレープ302に連結させることも、あるいは非接着性ドレープ302に付随させることもできる。
【0061】
開放キャビティ・減圧サブシステム308は、中央連結部材310を含み、この中央連結部材には、複数のカプセル化脚部材312が流体流通可能に連結されているが、物理的に連結することもできる。また、中央連結部材310も、脚カップリング領域314以外で、カプセル化されており、これにより、複数のカプセル化脚部材312との間で流体流通が可能となっている。中央連結部材310は、マニホールド、例えば、図2Aのマニホールド222との間で流体流通を可能にする開口部または穿孔を有し、このマニホールドは、減圧源(例えば、図2Aの減圧源232)との間で流体流通するようになっている。各カプセル化脚部材312には、脚モジュール316のような複数の規定された脚モジュールが設けられている。隣接する脚モジュール316が流体流通可能に連結されているが、脚モジュール316の間に操作ゾーン318が設けられている。
【0062】
操作ゾーン318は、フレキシビリティを高め、複数のカプセル化脚部材312を体腔内に容易に配置させるのを助ける。また、操作ゾーン318は、医療サービス提供者が、非接着性ドレープ302および複数のカプセル化脚部材312を切断して、特定の患者の体腔で使用するシステム300をサイズ調整する上で、適当で対応し易い場所を提供する。サイズ調整をさらに容易にするために、非接着性ドレープ302が切断され得る位置を示す視覚的な印320を、非接着性ドレープ302上に印刷または配置することができる。切れ目または視覚的な印は、操作ゾーン318を通過するものであってもよい。図2A乃至図2Dのサブシステム201のように、各カプセル化脚部材312には、脚マニホールド部材内に流体を引き込むのを助ける穿孔が設けられ、これにより、流れが中央連結部材310に向かうのを可能にする。
【0063】
次に、流体除去サブシステム306に説明を移すと、この例示的な実施形態では、流体除去サブシステム306が複数のカプセル化脚部材312と関連している。治療流体供給バス324は、中央連結部材310上に配置されるが、図2Aで示したように、中央連結部材310内に配置させることも、あるいは遠隔位置に配置させることもできる。複数のインバウンド管路326は、治療流体供給バス324に流体流通可能に連結されている。治療流体供給バス324は、矢印によって示されるように、治療流体の流れを複数のインバウンド管路326に伝えるように機能する治療流体供給ユニットの一部である。治療流体供給バス324は、患者の外部の部位から治療流体供給バス324に治療流体を運ぶことを可能にする治療流体供給バスポート325を有する。インバウンド管路326は、複数のカプセル化脚部材312の各々の側部に沿って延びるものとして示されている。
【0064】
図5を主に参照すると、インバウンド管路326の各々は、1またはそれ以上の第1カプラ328を有し、それらが対応するカプセル化脚部材312の操作ゾーン318と連動して、非接着性ドレープ302のサイズ調整に合わせてインバウンド管路326を短縮する手段を提供する。第1カプラ328は、様々な形状を取ることができ、インバウンド管路326を分離して、治療流体が体腔内に流れ込まないようにインバウンド管路326の残りの部分の遠位端を密封する機能を果たす。これについては、後でさらに述べることとする。
【0065】
再び図3を主に参照すると、治療流体回収バス330が中央連結部材310に関連している。治療流体回収バス330には、治療流体回収バスポート332が設けられている。複数のアウトバウンド管路334は、治療流体回収バス330に流体流通可能に連結されている。治療流体回収バスポート332は、治療流体および収集流体を体腔外の場所に取り除くための除去管路(図示省略)に連結するための場所を提供する。治療流体回収バス330は、治療流体回収ユニットの一部であり、このユニットは、患者から収集された流体の体積および前述したその他のパラメータを測定するために、治療流体および収集流体を受け入れるとともに、収集流体測定ユニットで流体が分析される場所に流体を取り除くように機能する。
【0066】
複数のアウトバウンド管路334は、治療流体回収バス330に流体流通可能に連結されているが、物理的に連結させるようにしてもよい。アウトバウンド管路334は、カプセル化脚部材312の各々の側部に沿って延びている。アウトバウンド管路334の各々には、操作ゾーン318の各々に隣接して、少なくとも1つのカプラ、例えば、第2カプラ336を設けることができる。第2カプラ336は、ドレープ302のサイズに合わせて、アウトバウンド管路334を調整すること、例えば、分離することを可能にする。分離される場合、第2カプラ336は、アウトバウンド管路334の残りの部分の遠位端でシールを提供するものとされる。
【0067】
図4を特に参照すると、カプセル化脚部材312上の脚モジュール316が示されている。インバウンド管路326は、複数の分岐管路338によってアウトバウンド管路334に流体流通可能に連結するようにしてもよい。分岐管路338は、脚モジュール316内に延び、領域部材340を備えるものであってもよい。その領域部材は、管路であってもよい。分岐管路338および領域部材340は、表面積の増加を可能にし、これは、治療流体と組織との間の流体相互作用を向上させるとともに、管路326および334を流体流通可能に連結する。表面積は、サブシステム306のパラメータとして調節することができる。
【0068】
再び図5を主に参照すると、3つの脚モジュール316が、それらの間にある2つの操作ゾーン318とともに示されている。この図においては、インバウンド管路326を、インバウンド管路326の2つの第1カプラ328とともに見ることができる。この図においては、インバウンド管路326は、近位端344および遠位端346を有する第1部分342と、近位端350および遠位端352を有する第2部分348と、近位端356および遠位端358を有する第3部分354とを備えるものとして示されている。医療サービス提供者は、最も外側寄りの操作ゾーン318でカプセル化脚部材312をサイズ調節することを希望する場合には、その操作ゾーン318に位置する第1カプラ328を分離した後に、操作ゾーン318を切断することとなる。このため、第3部分354が取り除かれるまでは、インバウンド管路326の第3部分354は第2部分348に引っ張られることとなる。除去に際して、第2部分348の遠位端352は封止される。この実施形態では、遠位端部分352が潰れることにより、当該遠位端352が自動的に閉鎖シールを形成する。同様の方法で、第1部分342と第2部分348との間の第1カプラ328を分離することができる。インバウンド管路326が単一の一体型ユニットとして形成される場合には、インバウンド管路326は、治療流体が体腔内に流れ込まないように、焼灼したナイフによって、またはその他の技術手段によって、簡単に切断およびシールすることができる。
【0069】
ここで図6および図7を参照すると、図5の第1カプラ328のようなカプラの例示的な実施形態が示されている。第1カプラ328は、例えば、インバウンド管路326の第2部分348と第3部分354との間の図5中の最も外側寄りのカプラ328とすることができる。この例示的な実施形態では、第2部分348の遠位端352は、閉鎖するように予め形成されたバイアスを有しているが、第3部分354の近位端356により、開放状態で維持されるものとなっている。このため、図7に示すように、第3部分354が引っ張られて第2部分348の内部から取り除かれるときに、遠位端352が、シールを形成するために潰れることとなる。
【0070】
ここで図8Aおよび図8Bを参照すると、例示的な流体除去システムへの代替的な一アプローチが示されている。システムは、図2のシステム200と類似しているが、この実施形態では、管路インタフェースの一部である分岐管路405が、外側面に、この例では第2脚カプセル化部材470の外部に、配置されている。分岐管路405は、上述したような任意の既知の技術を使用して、第2脚カプセル化部材470の外部に固定することができる。この例では、第1脚カプセル化部材468が非接触性ドレープ448の一部となっている。開口部または穿孔469は、矢印474で示すように、脚マニホールド部材460内への流体の流れを可能にする。分岐管路405は、組織部位404に接する状態で直接置かれている。矢印429で示すように、外部に配置された分岐管路405は、細胞内空間および間質空間から分岐管路405に至る良好な流れをもたらすことができる。図8Bに示すように、非接触性ドレープ448は、インバウンド管路437およびアウトバウンド管路439の頂部に(図示の方向で)配置することができる。
【0071】
特定の例示的で非限定的な実施形態のコンテキストにおいて本発明とその利点を開示してきたが、添付の請求項によって定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、代替、置換および修正をなし得ることに留意されたい。当然のことながら、何れかの実施形態との関係で示した任意の特徴は、任意のその他の実施形態にも適用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に治療システムに関し、より詳細には、治療送達システムおよび方法に関するものである。
【0002】
[関連出願]
本発明は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2008年9月18日に出願された発明の名称を“Fluid Removal System and Method”とする米国仮特許出願第61/098,030号の出願の利益を主張するものである。この仮出願は事実上、引用により本明細書に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
ある年齢層においては、外傷は珍しい死因ではない。それら死の多くにおいて、出血による深刻な血液量減少が、その主要原因となっている。このため、血液量減少性ショックの蘇生は、依然として重要なトピックとなっている。この血液量減少性ショックの対処に際しては、血液量の積極的な回復が、引き続き蘇生の優先課題とされる。この課題には、一般に、出血を制御して急速輸液を提供する努力が必要とされる。出血を伴う外傷患者の適切なケアには、良好に電解質レベルの平衡を保ち、全身の血圧を維持し、微小血管系からの漏出を最小限にすることが要求される。
【0004】
最初の損傷が十分に大きいか、あるいは蘇生努力が遅すぎるか不適当な場合には、ダメージへの主要因が血行動態不全そのものとなる。しかしながら、患者がある程度蘇生すると、炎症性ダメージがダメージの支配的な原因となり始める。後者の場合、そのダメージが多くの障害をもたらし、死にさえ至る可能性もある。
【0005】
それら障害のうち、腹腔内高血圧(IAH)および腹部区画症候群(ACS)は、外傷の結果として生じ得るが、敗血症患者に生じる場合もある。蘇生に伴う浮腫および漏出しやすい血管は、腹腔内容量の増加を引き起こし、その結果、腹腔内容物すべての圧力が増加することがある。腹腔内圧(IAP)が増加すると、重篤な組織に対するかん流に支障を来す場合があり、多臓器不全症候群(MODS)や死に至ることがある。MODSの発病の可能性を診断する一般的な手法では、クレアチニンおよび血中尿素窒素(BUN)のレベルをモニタリングすることにより、腎臓に対するダメージが検知される。ACSを回避するか、その発病に対応する際には、あるいはその他の状況においては、外科的減圧開腹(decompressive laparatomy)、一般的には、正中線に沿って筋膜を開くことが望ましい場合がある。
【0006】
蘇生と腹腔内圧に対処するために取られる工程の双方において、流体管理が重要である。よって、流体管理を支援するシステムおよび方法を備えることが望ましいであろう。また、腹腔から除去可能な流体に対処して、間質および細胞内濃度で流体をさらに引き込むことが望ましいであろう。さらに、流体除去についてのフィードバックを有することが望ましいであろう。同時に、腹水およびその他流体の除去を伴う腹腔内の組織の減圧治療を迅速にできるようにすることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0007】
治療システム、デバイスおよび方法に関する問題は、本明細書に記載の例示的な実施形態に係るシステム、装置および方法によって解消されるものとなる。例示的な一実施形態によれば、患者の組織部位から流体を取り除くための流体除去システムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路(inbound conduit)を含む。インバウンド管路は、半透過性材料から形成される。流体除去システムは、インバウンド管路に流体流通可能に連結される治療流体供給ユニットをさらに含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。流体除去システムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路(outbound conduit)をさらに含む。アウトバウンド管路は半透過性材料から形成されて、インバウンド管路に流体流通可能に連結されている。流体除去システムは、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、組織部位からの治療流体および収集流体(recruited fluid)を受け入れる治療流体コレクタをさらに含む。治療流体コレクタには、収集流体測定ユニットを連結することができる。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0008】
別の例示的な実施形態によれば、患者の体腔内に減圧治療を提供するとともに組織部位の水空間から流体を取り除くためのシステムは、水空間から流体を取り除くための流体除去サブシステムと、開放キャビティ・減圧サブシステム(open-cavity, reduced-pressure subsystem)とを含む。開放キャビティ・減圧サブシステムは、減圧で流体を除去するための治療デバイスと、この治療デバイスの近傍に配置されて当該治療デバイスに減圧を分配するように機能するマニホールドと、患者の表皮の一部の上に配置されて体腔の上方に空気シールを形成するように機能する密封部材と、減圧供給管路と、密封部材に連結されて減圧供給管路をマニホールドに流体流通可能に連結させるように機能する減圧インターフェースとを備える。流体除去サブシステムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路と、このインバウンド管路に流体流通可能に連結された治療流体供給ユニットとを含むことができる。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。流体除去サブシステムは、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路をさらに含む。インバウンド管路およびアウトバウンド管路は、半透過性材料から形成される。アウトバウンド管路は、インバウンド管路に流体流通可能に連結されている。流体除去サブシステムは、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、患者の組織からの治療流体および収集流体を受け入れる治療流体コレクタをさらに含む。流体除去サブシステムは、治療流体コレクタに連結された収集流体測定ユニットをさらに備えることができる。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0009】
別の例示的な実施形態によれば、流体除去システムを製造する方法は、患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、インバウンド管路に流体流通可能に連結するための治療流体供給ユニットを提供するステップとを含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する。上記製造方法は、患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、アウトバウンド管路に流体流通可能に連結するための治療流体コレクタを提供するステップとをさらに含む。治療流体コレクタは、患者の組織から治療流体と収集流体を受け入れるように機能する。上記製造方法は、治療流体回収ユニットに連結するための収集流体測定ユニットを提供するステップをさらに含む。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、組織部位から流体を除去する方法は、患者に組織部位の近傍にインバウンド管路を配置するステップと、インバウンド管路に治療流体供給ユニットを流体流通可能に連結するステップとを含む。治療流体供給ユニットは、インバウンド管路に治療流体のフローを供給するように機能する。組織部位から流体を除去する上記方法は、患者に組織部位の近傍にアウトバウンド管路を配置するステップをさらに含む。インバウンド管路およびアウトバウンド管路は、半透過性材料から形成される。組織部位から流体を除去する上記方法は、アウトバウンド管路をインバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、治療流体コレクタをアウトバウンド管路に流体流通可能に連結するステップとをさらに含む。治療流体コレクタは、患者の組織からの治療流体および収集流体を受け入れるためのものである。組織部位から流体を除去する上記方法は、治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップをさらに含む。また、組織部位から流体を除去する上記方法は、治療流体コレクタに収集流体測定ユニットを連結するステップも含む。収集流体測定ユニットは、患者から収集された流体の体積を測定するように機能する。
【0011】
本発明に係るシステムおよび方法の例示的な実施形態は、認識される数多くの利点を提供することができる。以下に、幾つかの例を述べる。本発明の技術的利点には、組織の水空間からの流体を制御された方法で取り除くことができる点が含まれる。別の利点としては、システムが、電解質バランスに影響を与えることなく細胞内液の除去を促進する高張液を使用できる点が挙げられる。別の利点としては、それが、腹腔内圧(IAP)を低下させて臓器のダメージを減少させるのに役立つ点が挙げられる。別の利点としては、それが組織からの収集流体のある程度のモニタリングを可能にする点が挙げられる。別の利点としては、かん流低下に関して安全性を改善する点が挙げられる。別の利点としては、システムと方法が腹腔から容易に腹水およびその他の流体を取り除く点が挙げられる。別の利点としては、システムの一部を結腸傍溝内に容易に配置することができる点が挙げられる。これらは、可能性のある利点のうちの幾つかの非限定的な例にしか過ぎない。
【0012】
例示的な実施形態のその他の目的、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、例示的な一実施形態に係る治療送達システムの概略図である。
【図2A】図2Aは、治療送達システムの別の例示的な実施形態を示す一部断面の概略図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの治療送達システムの細部の概略断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの2C−2C線に沿った治療送達システムの一部の概略断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す治療送達システムの一部の概略断面図である。
【図3】図3は、治療送達システムの別の例示的な実施形態の概略平面図である。
【図4】図4は、図3の治療送達システムの一部の細部の概略平面図である。
【図5】図5は、図3の治療送達システムの一部の細部の概略斜視図である。
【図6】図6は、治療送達システムとともに使用されるカップリングデバイスの例示的な実施形態の概略斜視図であり、カップリングデバイスが連結状態で示され、隠線で示された部分を有している。
【図7】図7は、図6のカップリングデバイスの概略斜視図であるが、ここでは、分離状態で示されている。
【図8A】図8Aは、治療送達システムの例示的な実施形態の一部を構成するカプセル化脚部材(encapsulated leg member)およびその近傍の構成要素の概略縦断面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aのシステムのカプセル化脚部材およびその近傍の構成要素の概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明においては、その一部を構成する添付図面に対して参照がなされている。それらの実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、また、その他の実施形態が利用可能であるとともに、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。本発明を当業者が実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるために、当業者に既知の一部の情報を説明から省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0015】
図1を参照すると、腹腔(例えば、図2Aのキャビティ開口部226を参照されたい)のような体腔内で使用される治療送達システム100の例示的な実施形態が示されている。蘇生と関連する流体制御に対処する際に、流体力学、体内水空間(または区画)および膜の態様を伴う。
【0016】
3つの体内水空間、すなわち、血管本体内の容量である血管内容量(血漿量)と、特定の臓器に限定される訳ではないが臓器内に位置する間質容量、“中間容量”と、細胞内に生じる容量である細胞内容量とが存在する。本明細書内で使用されるように、“水空間”は、血管内、間質、細胞内または細胞間容量を意味する。正常な状況下では、それら3空間の水分量には、非常に規則的な関係がある。間質容量は、血管内容量の3倍であり、細胞内容量は、間質容量の約2.5乃至3倍であり、細胞内容量は、血管内容量の約7乃至9倍である。例えば、86キログラムの人は、4リットルの血液内液、12リットルの間質容量、36リットルの細胞内液を有する。間質容量は、血管内容量と平衡状態にあり、血管内容量内の増加または減少を緩衝する大きなキャパシタのように作用する。間質容量は、大きく変動することがあり、また間質空間は、非常に拡張することがある。
【0017】
水空間の間の膜は、流体の移動に重要な役割を果たす。血管内空間および間質空間は、様々な器官において異なる形で機能する境界層である毛細血管内皮によって、分離される。細胞膜は、細胞内容量と間質容量間の移動に明らかに対処するものであり、タンパク質を通さないものであるが、細胞表面で、細胞からナトリウムを放出して細胞内にカリウムを輸送するように働くナトリウム・カリウムポンプにより機能する。細胞膜は、水に対して浸透性がある。ナトリウム・カリウムポンプが外傷においてまたはその他の理由により活動を停止する場合には、細胞内へのナトリウムイオンの受動拡散が引き続き生じて、細胞内浸透圧を増加させることがある。水は、浸透勾配を伝って流れることとなり、これにより細胞腫脹が生じることがある。これは、流体の除去を必要とする場合がある。
【0018】
膜の特性は、患者内の流体管理に対処する様々な手法を可能にし、治療送達システム100は、それら特性を利用する。以下に、膜の特性を示す幾つかの例示的な実施例を述べる。
【0019】
乳酸リンゲル液のような平衡塩類溶液が治療流体として使用される場合、その流体力学は以下のようになる。晶質である2リットルの治療流体が血管内空間に加えられる場合、約30分後に、平衡に達する。平衡塩類溶液の追加分は、毛細血管内皮を自由に横断して、1:3の初期流体流通のラインに沿って分配する。このため、500mL(すなわち、2000mL/4)が血管内空間に残り、1500mL(すなわち、2000mL×3/4)が間質空間に進む。この状況では浸透勾配が存在しないため、細胞内空間への移動はない。
【0020】
治療流体がコロイド溶液、例えば、食塩水中の5%のアルブミンに変わる場合、血管内空間からの漏出が、約25乃至35パーセントの身体内の正味のアルブミン漏出に比例する。そのため、2リットルの治療流体が注がれると、約500mL(すなわち、25%)が間質空間に漏出し、1500mLが血管内空間に留まることとなる。ここで、細胞内空間の細胞質膜を横切る浸透勾配は存在せず、よって細胞内空間への移動量は存在しない。
【0021】
治療流体が7.5%の食塩溶液のような高張食塩水である場合には、細胞内空間からの流体の相当な後退が実現されるだろう。そのような治療流体は、例えば、7.5%(質量/体積)の塩化ナトリウムであるが、細胞体の正常な浸透圧の約8倍の圧力を及ぼし、それらから急速に水を引き込む。毛細血管内皮障壁が塩化ナトリウムのような小イオンを自由に通すため、水の引き込みが間質空間からではなく細胞内空間から行われる。そのため、250mLのそのような高張治療流体が血管内空間に注入される場合に、それは、細胞内空間から引き込んだ1750ccを収集する。よって、分配される全容量は、2L(加えられる250ccおよび細胞内空間から引き込まれる1750cc)である。全容量は、開始容量の比率に従い、血管内空間と間質空間との間で分配される。したがって、初期容量が4リットルの血管内容量、12リットルの間質容量、36リットルの細胞内容量で、その後に2リットルの全容量を加えた場合には、血管内空間が約0.5リットル、すなわち、(4L/16L)×2L=0.5Lを受け取ることとなる。間質空間は、1.1リットル、すなわち、(12L/16L)×2L=1.5Lを受け取ることとなる。しかしながら、高張治療流体は、過度の量を与えると、高ナトリウム血症と恐らくは発作を引き起こす可能性があるため、大きな注意を払う必要がある。通常の条件下で安全に投与される最大量は、約250mLである。この手法は、制御すれば有用なものであり、また、その原理は、後述するように、細胞内液および間質液を取り除くのに有用なものである。
【0022】
続けて図1を参照すると、治療送達システム100は、体腔内の領域を含む組織部位102から間質液および細胞内液を取り除くのを助ける。最初に、この治療送達システム100を概略的に説明することとする。治療流体供給ユニット104は、インバウンド管路106と流体結合、すなわち流体が流通するように連通される。治療流体供給ユニット104は、治療流体(別記)をインバウンド管路106に供給する。インバウンド管路106は、アウトバウンド管路108に流体流通可能に結合される。インバウンド管路106およびアウトバウンド管路108は、直接的に、あるいは複数の分岐管路112を含む管路インタフェース110で連結されている。
【0023】
組織部位102で組織の間質および細胞内空間から引き出されるまたは収集される流体は、それらの半浸透性壁を介して、管路106,112,108内に流入する。管路106,112および108内に流入するよりも多くの流体が収集されるとともに、図2A乃至図2Dと関連して説明するように、この追加の流体およびその他の流体、例えば、腹水を取り除くために、減圧開放キャビティサブシステムが使用されるものであってもよい。管路106,112および108の方に引き込まれる間質液および細胞内液は、矢印109により表わされている。アウトバウンド管路108は、治療流体コレクタ114に流体流通可能に連結されている。治療流体と収集流体は、治療流体コレクタ114に集められる。治療送達システム100は、管路106,108,112を介して治療流体を移動させるための流体移動デバイス115を含み、このデバイスは、流体を押圧する治療流体供給ユニット104内のポンプ、流体を吸引する治療流体コレクタ114内のポンプ、あるいは流体を押圧する加圧ガスのような機能を果たすのに適した任意の手段とすることができる。
【0024】
治療流体コレクタ114は、当該コレクタに運ばれた治療流体および収集流体の態様を測定するための1またはそれ以上のトランスデューサを含むことができる。例えば、治療流体と収集流体の質量は、質量信号を生成するトランスデューサにより把握することができ、質量信号は、第1カップリング手段116により、通信ユニット118に伝達される。この通信ユニットはディスプレイであってもよい。その他のトランスデューサは、流体の温度、pHまたはその他の属性を測定して、対応するトランスデューサ信号を生成することができる。トランスデューサ信号は、第2カップリングデバイス120により治療コントローラ122に伝達されるものであってもよい。治療コントローラ122は、第3カップリングデバイス124経由で、治療流体供給ユニット104との間で信号を送受信するものであってもよい。
【0025】
信号は様々な計算に使用することができる。例えば、治療流体の始め質量が治療コントローラ122に供給されるとともに、治療流体および収集流体の質量が治療流体コレクタ114内のトランスデューサから治療コントローラ122に送られる場合には、収集流体の質量を容易に判定することができる。さらに、プログラムされた手順に基づいて、より大きいまたはより小さい収集比率が望まれる場合には、制御信号を、第3カップリングデバイス124により治療流体供給ユニット104に送って、インバウンド管路106に流入させる治療流体の流量を調節することができる。治療流体コレクタ114内のトランスデューサにより直接的に、あるいは治療コントローラ122が信号を処理することにより、収集流体の質量または体積を測定することができ、治療流体コレクタ114内のトランスデューサ、あるいは上記処理を実行する治療コントローラ122は“収集流体測定ユニット”とみなすことができる。本明細書に亘って使用されるように、“or(または)”は相互排他性を必要とするものではない。治療コントローラ122は、それ自体のディスプレイを備えるようにしても、あるいは第4カップリングデバイス126により通信ユニット118に連結するようにしてもよい。
【0026】
管路106,108および112は半透過性膜材料からなる。管路106,108および112は、浸透を許容し且つ生物学的適合性を有する任意の材料から形成することができる。一例としては、親水性、生物学的適合性および低刺激性を有し、柔軟で、容易に接合可能な酢酸セルロース材料が挙げられる。さらに、管路106,108および112の材料に関係する変数は、所望の流体除去を達成するのを補助するために選択することができ、その変数には孔径および有効径が含まれる。また、治療流体の使用温度は、流体除去にも影響を与えることとなる。組織に接する管路106,108および112の表面領域は、流体の除去を可能にする。管路106,108および112は、腹膜腔内への導入のために束ねて、その後に分離するようにしてもよい。管路は、図1に示すように、個別の管路システムであっても、図2A乃至図2Dと関連して説明するように、減圧開放キャビティ治療サブシステムに付随するものであってもよい。管路106および108は単一の一体管路とすることもできる。
【0027】
インバウンド管路106およびアウトバウンド管路108は、直接連結するようにしても、あるいは分岐管路112によって連結するようにしてもよい。分岐管路は、より小さな連結管路網とすることができる。分岐管路112は、人体内の毛細管に、多くの点で類似する配置構成を形成する。分岐管路112は、組織部位102において所望の流体除去を達成するために、組織部位102に曝される表面領域の調節を補助する。典型的には、浸透勾配にフローを引き起こさせることとなる表面が望まれる。必要な領域は、治療流体の濃度、すなわち勾配と、その流体の流量に基づいて、決定することができる。
【0028】
インバウンド管路106は、治療流体供給ユニット104に流体流通可能に連結されている(幾つかのその他の実施形態ではバスが使用される場合がある)。アウトバウンド管路108は、治療流体コレクタ114に流体流通可能に連結されている(同様に、幾つかのその他の実施形態ではバスが使用される場合がある)。管路106および108は、それぞれ任意の方法によって治療流体供給ユニット104および治療流体コレクタ104に結合させることができ、例えば、その結合は、エポキシまたは任意の固着剤、溶着、干渉接続(interference connection)、熱シール、電気焼灼等により行うことができる。本明細書に使用されているように、“coupled(連結された)”という用語には、別個の物体を介した結合と、直接的な結合とが含まれる。また、“coupled”という用語は、2またはそれ以上の構成要素であって、各構成要素が同じ材料部品から形成されることにより互いに連続する構成要素も包含する。また、“coupled”という用語は、化学結合剤を介するような化学結合、機械的結合、熱的結合または電気的結合を含むものであってもよい。流体結合は、指定の部分または位置間で流体が流通することを意味する。
【0029】
治療流体供給ユニット104によりインバウンド管路106内に導入される治療流体は、数多くの液体または気体の中の何れとしてもよい。治療流体は、組織部位102で隣接組織または近隣の組織から、特に細胞内空間から、流体を収集する任意の流体とすることができる。これは通常、高浸透圧流体の使用により生じることとなる。治療流体は、例えば、吸湿材料の高張液または乾性ガスとしてもよい。一実施形態においては、先に言及したように、7.5%(質量/体積)の塩化ナトリウム溶液を使用するようにしてもよい。塩化ナトリウムおよびデキストラン(例えば、滅菌脱イオン水中の、ニュージャージー州ピスカタウェイ所在のPharmacia Fine Chemicals社製のMacrodex(登録商標)溶液)のような、その他の高浸透圧溶液を使用するようにしてもよい。治療流体のその他の例示的な実施例には、CaCl2、KCl、NaClまたはデキストラン溶液が含まれる。さらにその他の実施例には、高浸透圧/高張性の溶液(1.2MのNaCl、6%のデキストラン70)、高浸透圧の塩化ナトリウム溶液(1.2M)、または高張性のデキストラン70溶液6%が含まれる。
【0030】
また、治療流体は、管路104,106,112を通る乾性ガスであってもよい。ガスがインバウンド管路106を通過すると、近隣の組織からの流体が管路106を通って拡散し、治療流体の流動ガス内に蒸発する。ガスは、患者への熱損失を同時に最小化しつつ、表面が濡れた管路104,106,112の表面と、治療流体の流動ストリームとの間の分圧勾配が最大化されるように、選択されて配置される。熱損失は、治療流体供給ユニット104でより暖かいガスを使用することにより対処することができる。繰り返しになるが、例えば、CO2、窒素、空気など、様々なガスを使用することができる。
【0031】
治療流体の流量は、流体移動デバイス115により制御することができる。流量は、組織部位102近傍の体腔内に実際に展開される管路106,108,112の長さ、使用環境の温度、または流体除去が望まれる速度に対応するように調節することができる。流体除去を観察するために、治療流体は、治療流体コレクタ114で集められるとともに、患者の体から提供された追加流体または収集流体の量を測定するために分析される。一実施形態においては、単純な尺度を使用してアウトバウンド流体の質量が測定され、そのアウトバウンド流体の質量がインバウンド治療流体の質量と比較されて、収集流体の質量、すなわち差異が計算される。その差異は、その後、医療サービス提供者のために通信ユニット118上に表示される。
【0032】
その差異は、予め推奨されているように自動的に調節するために、治療コントローラ122によりデジタル化して使用するようにしてもよい。除去された流体(治療流体および収集流体)の特性は、治療コントローラ122によりフィードバックループ内で使用することができ、それにより、流量、温度またはその他の変数に関してインバウンド治療流体を自動的に調節して、収集される流体の量を制御することができる。治療流体がガスである場合には、ガスを凝縮器に通して、治療流体としてのガスの品質および可能性のあるリサイクルのために、流体を除去することができる。任意には、リサイクルされたガスを、帰還管路127によって戻すようにしてもよい。
【0033】
治療コントローラ122は、ハウジングユニット128を含み、このハウジングユニットは、治療流体および収集流体のデータの分析および治療流体供給ユニット104の制御のために様々な部品を含んでいる。治療コントローラ122は、治療流体コレクタ114から第2カップリングデバイス120により伝えられたトランスデューサ信号など、入力手段から数多くの異なる入力信号を受信するものであってもよい。治療コントローラ122は入力デバイス130で示される。入力デバイス130に伝達された信号がまだデジタル形式ではない場合、アナログ・ディジタル変換器132を設けるようにしてもよい。その後、入力デバイス130に受信された信号は、バッファメモリに伝達されて、メモリユニットまたはデバイス134に与えられるか、あるいはマイクロプロセッサ136に直接伝達されるものであってもよい。入力データの記録を保持して様々な判定を可能にすることが望ましい場合もある。
【0034】
マイクロプロセッサ136は、数多くの異なる判定を実行するように機能するとともに、数多くの出力を有することができる。出力デバイス138は、第3カップリングデバイス124に1またはそれ以上の出力信号を送信することができ、例えば、制御信号を、治療流体供給ユニット104と流体移動デバイス115とに送信して、その内部の流量を制御することができる。別の例としては、治療コントローラ122は、アウトバウンド管路108を介して供給された流体の温度を監視して、必要な大体の熱を判定することができ、また、温度制御信号は、治療流体を加熱する加熱素子を含む治療流体供給ユニット104に対して、治療コントローラ122により、第3カップリングデバイス124を介して送信することができる。治療コントローラ122は、マイクロプロセッサを利用する例示的な一実施形態に示されているが、その他の多くの手法を使用できることを理解されたい。
【0035】
操作に際して、治療流体供給ユニット104は、治療流体を供給して、管路106,108,112を介して、治療流体コレクタ114へと治療流体を流すようにする。治療流体が管路106,108および112を通って移動する際に、治療流体と近隣の組織部位102の組織との間に浸透圧の不均衡が生じる。平衡に達するために、水は、組織内の塩分濃度が治療流体と同じ濃度となるように、組織から管路106,108,112の内部へと流れようとする。しかしながら、治療流体と体の組織内の流体との間の体積差により、組織中の塩分濃度の実際的な変化は生じない。体の組織は、細胞内空間および間質空間から、管路106,108,112に向けて、それら管の中に、流体を運ぶこととなる。流体は、細胞内空間から、間質空間に対して、約3:1の比率で、運ばれることとなる。
【0036】
治療流体が管路106,108および112を通って進んでいる間、組織と管路との間には濃度勾配が存在する。この状況においては、体の自然な働きとして濃度の平衡を保とうとするが、治療流体の相対的に大きな分子は、組織(間質空間および細胞内空間)内に漏出して平衡を回復することはできないため、相対的に小さな分子、例えば、水が、管路106,108および112内とそれらの近傍に移動する。水は、細胞内空間および間質空間から管路106,108および112内とそれらの近傍に向かう。管路106,108,112の半浸透性の壁を介して引き込まれない水は、可能であれば、別の手段によって集められて取り除かれる。この後の説明は、水の除去を補助する開放キャビティ・減圧サブシステムを含む次の実施形態に繋がる。
【0037】
図2A乃至図2Dを参照すると、流体除去および減圧治療のためのシステム200の例示的な実施形態が示されている。システム200は、流体除去サブシステム203経由で組織部位204の間質空間および細胞内空間から流体を取り除くとともに、開放キャビティ・減圧サブシステム201を使用して、腹腔から腹水およびその他の流体を取り除く。このシステム200は治療デバイス202を含む。治療デバイス202は、典型的には、患者の腹腔内に設置される。開放キャビティ・減圧サブシステム201および治療デバイス202は、流体、例えば、腹水を取り除くとともに、腹腔内の組織部位204またはその近傍で、組織の一般的な減圧治療を可能にする。
【0038】
治療デバイス202は、組織部位204またはその近傍で、創傷または所与の領域または一般に組織を治療するために、患者のキャビティ内に配置される。治療デバイス202は、複数のカプセル化脚部材206を含む。複数のカプセル化脚部材206のうちの1またはそれ以上は、第1結腸傍溝208の内部または近傍に配置することができ、複数のカプセル化脚部材206のうちの1またはそれ以上は、第2結腸傍溝210の内部または近傍に配置することができる。複数のカプセル化脚部材206の各々は、中央連結部材212に連結され、複数のカプセル化脚部材206と中央連結部材212との間には流体の遣り取りが存在する。複数のカプセル化脚部材206と中央連結部材212はともに、穿孔214,216,218および220が設けられ、それらは、キャビティ内の流体が穿孔214,216,218および220を通過することを可能にする。複数のカプセル化脚部材206は、後述する図3のカプセル化脚部材312と類似の方法で、中央連結部材212の周りに配置するようにしてもよい。
【0039】
マニホールド222またはマニホールドパッドは、治療デバイス202に減圧を分配する。密封部材224は、キャビティ開口部226上に空気シールを与える。1またはそれ以上の皮膚閉鎖デバイスは、表皮234または皮膚の上に配置するようにしてもよい。減圧は、減圧供給管路230に連結された減圧インタフェース228を介して、マニホールド222に送達される。減圧源232は、減圧管路230に減圧を供給する。
【0040】
組織部位204は、任意の人間、動物またはその他の有機体の身体上の組織とすることができる。この実施形態では、組織部位204は、一般に腹腔内の組織である。典型的には、患者の腹腔内容物は、治療デバイス202を支持する働きをする。
【0041】
減圧は、腹水、滲出液またはその他の液体の組織部位からの除去を促進するのを助けるために、同様に、ある状況では、追加組織の成長を刺激するために、組織部位204に加えることができる。本明細書で使用されているように、“reduced pressure(減圧)”は、一般に、治療を受ける組織部位の周囲圧力未満の圧力のことをいう。多くの場合、この減圧は、患者がいる位置の大気圧未満となるであろう。若しくは、減圧は、組織部位における組織に付随する静水圧未満であってもよい。特に記載がなければ、本明細書で述べる圧力の値は、ゲージ圧である。
【0042】
マニホールド222またはマニホールドパッドは、中央連結部材212の隣接位置または近傍に配置される。マニホールド222は、様々な形態を取ることができる。用語“manifold(マニホールド)”は、本明細書で使用されているように、一般に、組織部位に減圧を加え、組織部位に流体を運び、或いは組織部位から流体を除去するのを補助するために設けられる物質または構造のことをいう。マニホールド222は、典型的には、当該マニホールド222の周囲の組織(またはデバイス)に提供される流体およびその組織から取り除かれる流体の流通を改善するために相互接続された複数の流路または経路を含む。マニホールド222は、組織部位に接触して、または組織部位に隣接して配置することができ、かつ組織部位(またはデバイス)に減圧を分配することができる生体適合性材料であってもよい。マニホールドの例には、流路を含むまたは流路を含むように保持する、例えば、流路を形成するように配列された構造要素を有するデバイス、連続気泡発泡体および多孔質組織収集体のような多孔性発泡体、液体、ゲルおよび発泡体が含まれるが、それらに限定されるものではない。マニホールド222は多孔性とすることができ、特定の生物学的応用に適した、発泡体、ガーゼ、フェルト状マットまたは任意のその他の材料から作ることができる。一実施形態においては、マニホールド222は多孔質発泡体で、流路として働く複数の連続気泡または穴を含んでいる。多孔質発泡体は、例えば、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concepts,Inc.により製造されるGranuFoam(登録商標)材料のような、ポリウレタンの連続気泡構造の網状発泡体とすることができる。その他の実施形態では、“独立気泡”を含む可能性もある。吸収性素材、ウィッキング材料、疎水性材料および親水性材料のようなその他の層を、マニホールド222内に、あるいはマニホールド上に含むものであってもよい。
【0043】
密封部材224は、腹腔開口部226上に配置されて、開放キャビティ・減圧サブシステム201が組織部位204で減圧を保持するのに十分な空気シールを提供する。密封部材224は、中央連結部材212上にマニホールド222を固定するために使用されるカバーであってもよい。密封部材224は不浸透性または半浸透性であってもよいが、密封部材224は、腹腔開口部226上に密封部材224を設置した後に、組織部位204で減圧を維持することができる。密封部材224は、組織部位またはその他のアプリケーションで望まれる不浸透特性または浸透特性を有する、シリコーン系化合物、アクリル、ヒドロゲルまたはヒドロゲル成形材、あるいはその他の生物学的適合の材料から形成される柔軟なオーバードレープまたはフィルムとすることができる。
【0044】
密封部材224は、患者の表皮234に密封部材224を固定する取付デバイス243をさらに含むことができる。取付デバイス243は、様々な形態を取ることができ、例えば、密封部材224の外周に沿って、あるいは密封部材224の任意の部分に固着層236を配置して、シールを提供することができる。また、固着層236は、予め塗布されて、利用時に取り除かれる剥離部材により覆われるものであってもよい。
【0045】
減圧インタフェース228は、例えば、ポートまたはコネクタ238とすることができ、これは、マニホールド222から減圧供給管路230への流体の通過と、減圧供給管路230からマニホールド222への減圧の通過を許容する。例えば、マニホールド222および治療デバイス202を使用して組織部位204から集められた腹水は、コネクタ238を介して減圧供給管路230に流入することができる。別の実施形態では、システム200からコネクタを省いて、減圧供給部材230を密封部材224およびマニホールド222内に直接挿入することができる。減圧供給管路230は、医療管路あるいはチューブ、または減圧を伝えるその他の手段であってもよい。
【0046】
減圧は、減圧源232により生成されて、減圧供給管路230に供給される。広範囲の減圧を、固定圧力としても、変動圧力としても発生させることができ、その範囲は、−50mmHgから−400mmHg、より具体的には、−100mmHgから−250mmHgとすることができる。上記範囲には、通常−200mmHgが含まれることとなる。代表デバイス240のような種々のデバイスを、減圧供給管路230の中間部242に加えることができる。例えば、除去された腹水、滲出液およびその他の流体を保持するために、流体容器または回収部材を加えることができる。減圧供給管路230の中間部242に設けることができる代表デバイス240のその他の例としては、圧力フィードバックデバイス、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、フロー監視システム、温度監視システム等が挙げられる。これらデバイスの幾つか、例えば、流体回収部材は、減圧源232と一体に形成するようにしてもよい。例えば、減圧源232の減圧ポート244は、1またはそれ以上のフィルタを有するフィルタ部材を含むことができるとともに、液体が内部空間に入るのを防ぐ疎水性フィルタを含むことができる。
【0047】
図2Bを主に参照すると、カプセル化脚部材206の脚モジュール256の概略縦断面図が示されている。カプセル化脚部材206の各々には、複数の脚モジュール256が設けられている。各脚モジュール256は、脚マニホールド部材260を備え、それは、脚モジュール256間に延びる単一のマニホールド部材であっても、あるいは各脚モジュール256内に位置するマニホールド材料の離散した構成要素であって、それらがカプセル化脚部材206の脚マニホールド部材260を構成するものであってもよい。脚マニホルド部材260は、カプセル化脚部材206の内部262に配置されている。脚マニホールド部材260は、第1の表面264と、第2の患者向きの表面266とを有する。第1脚カプセル化部材268は、穿孔214が設けられており、脚マニホールド部材260の第1の面264に配置されている。同様に、第2脚カプセル化部材270は、穿孔216が設けられており、脚マニホールド部材260の第2の患者向きの面266に配置されている。第2脚カプセル化部材270は、図3の非接着性ドレープ302のような非接着性ドレープの一部であってもよい。図2Bの縦断面図において矢印272で示すように、流体は隣接する脚モジュール256間を流れることができる。矢印274で示すように、流体は、穿孔214および216から入って、脚マニホールド部材260内に流入した後、矢印272で示すように、中央連結部材212に向けて流れることができる。
【0048】
ここで図2Cを参照すると、カプセル化脚部材206の一部の横断面図が示されている。前述と同様に、脚マニホールド部材260の第1の面264が第1脚カプセル化部材268により覆われ、脚マニホールド部材260の第2の患者向きの面266が、この例では非接着性ドレープ248の一部である第2脚カプセル化部材270により覆われている。この例示的な実施形態では、脚マニホールド部材260の外縁部276も第1脚カプセル化部材268の一部により覆われている。外縁部276は、第1外側縁277および第2外側縁279を含む。第1脚カプセル化部材268は、第1の面264および外縁部276を囲み、非接着性ドレープ248の第1の表面278へと下方に延びて、外延部280を形成する。外延部280は、接合部282によって第2脚カプセル化部材270に連結されている。第1脚カプセル化部材268は、超音波溶接、RF溶接、ボンディング、接着剤、セメント等を含む既知の技術を利用して、第2脚カプセル化部材270に連結することができる。
【0049】
ここで図2Dを参照すると、中央連結部材212の一部の概略断面図が示されている。中央連結部材212には、穿孔218を有する第1連結カプセル化部材286でカプセル化された連結マニホールド部材254が設けられている。第1連結カプセル化部材286は、連結マニホールド部材254の第1の面288上に設けられている。連結マニホールド部材254の第2の患者向きの面290は、連結マニホールド部材254の近傍に配置された第2連結カプセル化部材292を有する。第2連結カプセル化部材292には、穿孔220が設けられている。第1連結カプセル化部材286は、図3の中央連結部310の外縁部311と類似の外縁部(明示されていない)を有する。同様に、第2連結カプセル化部材292は、第1連結カプセル化部材286の外縁部と整列する外周部を有する。第1連結カプセル化部材286の外縁部は、図2Dの参照矢印295で示すように、カプセル化脚部材206内の流体が連結マニホールド部材254に流れ込むための流路を提供するために、脚カップリング領域252以外で、第2連結カプセル化部材292の外周部と連結されている。
【0050】
また、流体は、矢印296によって示すように、穿孔220を通って流れることにより、連結マニホールド部材254に直接流入するようにしてもよい。マニホールド222は、第1連結カプセル化部材286の近傍に配置され、このマニホールド222に減圧が加えられたときに、当該減圧によって、矢印297によって示すように、流体が連結マニホールド部材254から穿孔218を通ってマニホールド222内に流れるようにする。流体は、減圧インタフェース228の方向に流れ続け、このインタフェースを介して、流体が減圧供給管路230に運ばれる。
【0051】
ここで図2A乃至図2Dを参照して、開放キャビティ・減圧サブシステム201の動作を示すこととする。開放キャビティ・減圧サブシステム201は、図3Aに関連して以下に説明するように、最初に治療デバイス202をサイズ調整することにより、使用することができる。複数のカプセル化脚部材206を有する非接着性ドレープ248は、腹腔内に配置され、非接着性ドレープ248および複数のカプセル化脚部材206はともに、腹腔内容物上で広げられる。これには、少なくとも1のカプセル化脚部材206を結腸傍溝208および210の内部または近傍に降ろして配置することが含まれる。マニホールド222は、第1連結カプセル化部材286の第1の面284に下側が隣接するように配置されている(図2Dを参照)。その後、密封部材224が、腹腔開口部226上に貼付されて、腹腔開口部226上に空気シールを提供するとともに、腹腔開口部226を閉じた状態で保持するのを助ける。腹腔開口部226は、密封部材224の貼付に加えて、機械的な閉鎖手段または減圧閉鎖システムを使用することにより、よりしっかりと閉鎖または補強することができる。
【0052】
密封部材224の適用は数多くの方法により達成することができるが、例示的な一実施形態においては、密封部材224の固着層236上の取外し可能な裏当て部材が取り除かれた後に、腹腔開口部226の周りに患者の表皮234に接触させて密封部材224が配置される。その後、ポート238のような減圧インタフェース228が、密封部材224を介してポート238に減圧を送ってマニホールド222に減圧を提供することができるように、密封部材224に取り付けられる。減圧供給管路230は、減圧インタフェース228および減圧源232の減圧ポート244に、流体流通可能に連結されている。
【0053】
減圧源232は、作動されて減圧供給管路230内に減圧を提供し、減圧供給管路は、減圧を減圧インターフェース228とマニホールド222内に伝える。図2Dに示すように、マニホールド222は、減圧を分配して、連結マニホールド部材254から穿孔218を介して流体を引き込む。連結マニホールド部材254は、穿孔220を介して腹腔から流体を引き込み、フロー矢印295によって示すように、複数のカプセル化脚部材206から流体を引き込む。図2Bを主に参照すると、流体は、第1脚カプセル化部材268の穿孔214と、第2脚カプセル化部材270の穿孔216とを介して、カプセル化脚部材206内に流入する。流体は、矢印272によって示すように、カプセル化脚部材206を通って連結マニホールド部材254に向けて流れる。
【0054】
ここで、流体除去サブシステム203とその動作について述べることとする。図1のインバウンド管路106およびアウトバウンド管路108と、後述する図3の複数のインバウンド管路326およびアウトバウンド管路334と同様に、複数のインバウンド管路、例えば、インバウンド管路237(図2C)と、複数のアウトバウンド管路、例えば、アウトバウンド管路239(図2C)とが、各カプセル化脚部材206に沿って延びて、複数の分岐管路205(図2Bおよび図2Cを参照)により流体流通可能に連結されている。
【0055】
インバウンド管路237は、治療流体供給バス207(図2Aを参照)に流体流通可能に連結され、この治療流体供給バスは、第1連結管路209に流体流通可能に連結されている。第1連結管路209は、第1インタフェース211に流体流通可能に連結されている。第1インタフェースは、図示のようにエルボポートであってもよい。治療流体供給管路215は、第1インタフェース211と、治療流体供給源217とに流体流通可能に連結されている。治療流体供給ユニット(類似の図1の治療流体供給ユニット104を参照)は、複数のインバウンド管路237に治療流体の流れを供給するように機能し、図2Aの例示的な実施形態においては、治療流体供給ユニットは、治療流体供給源217、治療流体管路215、第1インタフェース211、第1連結管路209および治療流体供給バス207を含むことができる。
【0056】
アウトバウンド管路239は、治療流体回収バス219(図2Aを参照)に流体流通可能に連結され、この治療流体回収バスは、第2連結管路221に流体流通可能に連結されている。第2連結管路221は、第2インタフェース223に流体流通可能に連結されている。第2インタフェースは、図示のようにエルボポートであってもよい。第2インタフェース223は、回収流体管路225に流体流通可能に連結され、この回収流体管路も、治療流体レセプタクル227に流体流通可能に連結され、この治療流体レセプタクルは、組織部位204から戻った治療流体および任意の収集流体を受け入れる。治療流体レセプタクル227は、戻った流体(すなわち、すべての流体)の質量または体積と、収集流体(すなわち、間質空間および細胞内空間からの流体)の質量または体積とを測定するトランスデューサを含むことができる。また、治療流体レセプタクル227は、温度データのようなその他のデータのためのトランスデューサも含むことができる。図1の治療流体コレクタ114と同様に、治療流体レセプタクル227は、治療流体レセプタクル227と関連する通信ユニットおよび治療コントローラ233を備えるようにしてもよい。治療流体回収ユニット(類似の図1の治療流体コレクタ114を参照)は、戻った治療流体および収集流体を受け入れるように機能し、図2Aの例示的な実施形態においては、治療流体回収ユニットは、治療流体回収バス219、第2連結管路221、第2インタフェース223、回収流体管路225および治療流体レセプタクル227を含むことができる。
【0057】
インバウンド管路237、アウトバウンド管路239および分岐管路205を通って治療流体が進むと、一般に“組織部位”と称される、組織部位204およびその近傍の組織の間質空間および細胞内空間から流体が収集される。収集流体または少なくともその一部は、図2Bの矢印229によって示すように、管路237,239および205に入ることとなる。同時に、収集流体の一部は、間質空間および細胞内空間から離れるが、管路237,239および205に入る前に、図2Bの矢印274によって示すように、開口部114および116内と、脚マニホールド部材260内とに引き込まれることとなる。開放キャビティ・減圧サブシステム201は、その収集流体、腹水、滲出液およびその他の流体を減圧源132に引き込む。なお、代表デバイス240は、供給される流体を保持するためのキャニスタであってもよく、また供給される流体の質量および体積を測定する1またはそれ以上のトランスデューサまたは手段をさらに含むようにしてもよい。その情報は、カップリングデバイス235により治療コントローラ233に伝達され、それにより、開放キャビティ・減圧サブシステム201からの回収流体を流体管理状況の要因として考慮することが可能になる。
【0058】
図2Cを参照すると、インバウンド管路237は、カプセル化脚部材206を通り抜ける分岐管路205により、あるいは接着、溶着若しくはその他の手段により、カプセル化脚部材206に連結することができる。穿孔216は、管路237および239内の治療流体と組織部位204との間の相互作用を促進するために、管路237および239の近傍で高密度に配置するようにしてもよい。別の手法では、ドレープおよび第1脚カプセル化部材268の第1の面が患者に対向して管路237および239が組織に直接接触するように、治療デバイス202を反対方向に配置することもできる。
【0059】
本明細書に示される例示的な流体除去システム100,300および流体除去サブシステム203は、典型的には開放キャビティを介して導入されるが、その他の方法によっても可能である。例えば、流体除去システム100,300および流体除去サブシステム203は、患者に腹腔鏡下で導入するようにしてもよい。そのような状況では、管路は、腹腔鏡により、複数のカプセル化脚部材206(図2A)のような一連の圧力マニホールディングデバイスで導入された後、インバウンド管路237および外部管路239が、それぞれ患者の外部で、治療流体供給バス、例えば、図3のバス324と、治療流体回収バス、例えば、図3のバス330とに流体流通可能に連結される。これは、ある状況ではバス324および330が患者の外部の部位に配置されるものであってもよいことを示している。
【0060】
図3、図4および図5を参照すると、患者の間質空間および細胞内空間からの流体を除去するためのシステム300の一部の別の例示的な実施形態が示されている。このシステム300は、非接着性ドレープ302を含み、この非接着性ドレープは、任意の非接着性フィルム材料から形成することができ、組織の非接着性ドレープ302への固着防止を助ける。例示的な一実施形態では、非接着性ドレープ302が通気性ポリウレタンフイルムから形成されている。非接着性ドレープ302には複数の穿孔304が設けられている。それら穿孔は如何なる形状であってもよい。この実施形態では、2つのサブシステム、すなわち、流体除去サブシステム306および開放キャビティ・減圧サブシステム308を非接着性ドレープ302に連結させることも、あるいは非接着性ドレープ302に付随させることもできる。
【0061】
開放キャビティ・減圧サブシステム308は、中央連結部材310を含み、この中央連結部材には、複数のカプセル化脚部材312が流体流通可能に連結されているが、物理的に連結することもできる。また、中央連結部材310も、脚カップリング領域314以外で、カプセル化されており、これにより、複数のカプセル化脚部材312との間で流体流通が可能となっている。中央連結部材310は、マニホールド、例えば、図2Aのマニホールド222との間で流体流通を可能にする開口部または穿孔を有し、このマニホールドは、減圧源(例えば、図2Aの減圧源232)との間で流体流通するようになっている。各カプセル化脚部材312には、脚モジュール316のような複数の規定された脚モジュールが設けられている。隣接する脚モジュール316が流体流通可能に連結されているが、脚モジュール316の間に操作ゾーン318が設けられている。
【0062】
操作ゾーン318は、フレキシビリティを高め、複数のカプセル化脚部材312を体腔内に容易に配置させるのを助ける。また、操作ゾーン318は、医療サービス提供者が、非接着性ドレープ302および複数のカプセル化脚部材312を切断して、特定の患者の体腔で使用するシステム300をサイズ調整する上で、適当で対応し易い場所を提供する。サイズ調整をさらに容易にするために、非接着性ドレープ302が切断され得る位置を示す視覚的な印320を、非接着性ドレープ302上に印刷または配置することができる。切れ目または視覚的な印は、操作ゾーン318を通過するものであってもよい。図2A乃至図2Dのサブシステム201のように、各カプセル化脚部材312には、脚マニホールド部材内に流体を引き込むのを助ける穿孔が設けられ、これにより、流れが中央連結部材310に向かうのを可能にする。
【0063】
次に、流体除去サブシステム306に説明を移すと、この例示的な実施形態では、流体除去サブシステム306が複数のカプセル化脚部材312と関連している。治療流体供給バス324は、中央連結部材310上に配置されるが、図2Aで示したように、中央連結部材310内に配置させることも、あるいは遠隔位置に配置させることもできる。複数のインバウンド管路326は、治療流体供給バス324に流体流通可能に連結されている。治療流体供給バス324は、矢印によって示されるように、治療流体の流れを複数のインバウンド管路326に伝えるように機能する治療流体供給ユニットの一部である。治療流体供給バス324は、患者の外部の部位から治療流体供給バス324に治療流体を運ぶことを可能にする治療流体供給バスポート325を有する。インバウンド管路326は、複数のカプセル化脚部材312の各々の側部に沿って延びるものとして示されている。
【0064】
図5を主に参照すると、インバウンド管路326の各々は、1またはそれ以上の第1カプラ328を有し、それらが対応するカプセル化脚部材312の操作ゾーン318と連動して、非接着性ドレープ302のサイズ調整に合わせてインバウンド管路326を短縮する手段を提供する。第1カプラ328は、様々な形状を取ることができ、インバウンド管路326を分離して、治療流体が体腔内に流れ込まないようにインバウンド管路326の残りの部分の遠位端を密封する機能を果たす。これについては、後でさらに述べることとする。
【0065】
再び図3を主に参照すると、治療流体回収バス330が中央連結部材310に関連している。治療流体回収バス330には、治療流体回収バスポート332が設けられている。複数のアウトバウンド管路334は、治療流体回収バス330に流体流通可能に連結されている。治療流体回収バスポート332は、治療流体および収集流体を体腔外の場所に取り除くための除去管路(図示省略)に連結するための場所を提供する。治療流体回収バス330は、治療流体回収ユニットの一部であり、このユニットは、患者から収集された流体の体積および前述したその他のパラメータを測定するために、治療流体および収集流体を受け入れるとともに、収集流体測定ユニットで流体が分析される場所に流体を取り除くように機能する。
【0066】
複数のアウトバウンド管路334は、治療流体回収バス330に流体流通可能に連結されているが、物理的に連結させるようにしてもよい。アウトバウンド管路334は、カプセル化脚部材312の各々の側部に沿って延びている。アウトバウンド管路334の各々には、操作ゾーン318の各々に隣接して、少なくとも1つのカプラ、例えば、第2カプラ336を設けることができる。第2カプラ336は、ドレープ302のサイズに合わせて、アウトバウンド管路334を調整すること、例えば、分離することを可能にする。分離される場合、第2カプラ336は、アウトバウンド管路334の残りの部分の遠位端でシールを提供するものとされる。
【0067】
図4を特に参照すると、カプセル化脚部材312上の脚モジュール316が示されている。インバウンド管路326は、複数の分岐管路338によってアウトバウンド管路334に流体流通可能に連結するようにしてもよい。分岐管路338は、脚モジュール316内に延び、領域部材340を備えるものであってもよい。その領域部材は、管路であってもよい。分岐管路338および領域部材340は、表面積の増加を可能にし、これは、治療流体と組織との間の流体相互作用を向上させるとともに、管路326および334を流体流通可能に連結する。表面積は、サブシステム306のパラメータとして調節することができる。
【0068】
再び図5を主に参照すると、3つの脚モジュール316が、それらの間にある2つの操作ゾーン318とともに示されている。この図においては、インバウンド管路326を、インバウンド管路326の2つの第1カプラ328とともに見ることができる。この図においては、インバウンド管路326は、近位端344および遠位端346を有する第1部分342と、近位端350および遠位端352を有する第2部分348と、近位端356および遠位端358を有する第3部分354とを備えるものとして示されている。医療サービス提供者は、最も外側寄りの操作ゾーン318でカプセル化脚部材312をサイズ調節することを希望する場合には、その操作ゾーン318に位置する第1カプラ328を分離した後に、操作ゾーン318を切断することとなる。このため、第3部分354が取り除かれるまでは、インバウンド管路326の第3部分354は第2部分348に引っ張られることとなる。除去に際して、第2部分348の遠位端352は封止される。この実施形態では、遠位端部分352が潰れることにより、当該遠位端352が自動的に閉鎖シールを形成する。同様の方法で、第1部分342と第2部分348との間の第1カプラ328を分離することができる。インバウンド管路326が単一の一体型ユニットとして形成される場合には、インバウンド管路326は、治療流体が体腔内に流れ込まないように、焼灼したナイフによって、またはその他の技術手段によって、簡単に切断およびシールすることができる。
【0069】
ここで図6および図7を参照すると、図5の第1カプラ328のようなカプラの例示的な実施形態が示されている。第1カプラ328は、例えば、インバウンド管路326の第2部分348と第3部分354との間の図5中の最も外側寄りのカプラ328とすることができる。この例示的な実施形態では、第2部分348の遠位端352は、閉鎖するように予め形成されたバイアスを有しているが、第3部分354の近位端356により、開放状態で維持されるものとなっている。このため、図7に示すように、第3部分354が引っ張られて第2部分348の内部から取り除かれるときに、遠位端352が、シールを形成するために潰れることとなる。
【0070】
ここで図8Aおよび図8Bを参照すると、例示的な流体除去システムへの代替的な一アプローチが示されている。システムは、図2のシステム200と類似しているが、この実施形態では、管路インタフェースの一部である分岐管路405が、外側面に、この例では第2脚カプセル化部材470の外部に、配置されている。分岐管路405は、上述したような任意の既知の技術を使用して、第2脚カプセル化部材470の外部に固定することができる。この例では、第1脚カプセル化部材468が非接触性ドレープ448の一部となっている。開口部または穿孔469は、矢印474で示すように、脚マニホールド部材460内への流体の流れを可能にする。分岐管路405は、組織部位404に接する状態で直接置かれている。矢印429で示すように、外部に配置された分岐管路405は、細胞内空間および間質空間から分岐管路405に至る良好な流れをもたらすことができる。図8Bに示すように、非接触性ドレープ448は、インバウンド管路437およびアウトバウンド管路439の頂部に(図示の方向で)配置することができる。
【0071】
特定の例示的で非限定的な実施形態のコンテキストにおいて本発明とその利点を開示してきたが、添付の請求項によって定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、代替、置換および修正をなし得ることに留意されたい。当然のことながら、何れかの実施形態との関係で示した任意の特徴は、任意のその他の実施形態にも適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位から流体を除去するための流体除去システムであって、
前記組織部位の近傍に配置される半透過性のインバウンド管路と、
前記インバウンド管路に流体流通可能に連結されて、前記インバウンド管路に治療流体を供給する治療流体供給ユニットと、
前記組織部位の近傍に配置される半透過性のアウトバウンド管路であって、前記インバウンド管路に流体流通可能に連結されるアウトバウンド管路と、
前記アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、前記組織部位から治療流体および収集流体を受け入れる治療流体コレクタとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記治療流体コレクタに連結されて、収集流体の体積を測定する収集流体測定ユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路内に配置される治療流体をさらに備え、前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
治療流体および収集流体の体積を示す信号を生成する体積トランスデューサと、
治療コントローラとをさらに備え、
前記治療コントローラが、マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサと関連するメモリデバイスと、前記マイクロプロセッサと関連して、入力信号を受信する入力デバイスと、前記入力デバイスに接続される前記体積トランスデューサと、前記マイクロプロセッサと関連して、出力信号を伝える出力手段とを備え、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスが、前記体積トランスデューサから入力信号を受信し、収集流体の体積を測定し、制御信号を生成して前記出力手段に伝えるように機能し、その結果、前記制御信号に応答して前記治療流体供給ユニットを制御可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスがさらに、制御信号を生成して前記治療流体供給ユニット内の流速を調整するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記治療流体供給ユニットが、加熱素子をさらに備え、
前記システムが、前記治療コントローラに接続されたインバウンド管路温度トランスデューサをさらに備え、
前記治療コントローラがさらに、前記温度トランスデューサから入力信号を受信するとともに、前記加熱素子を調節するために前記治療流体供給ユニットに伝達する制御信号を生成するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路と前記アウトバウンド管路を連結するための管路インターフェースをさらに含み、この管路インターフェースが、複数の分岐管路を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記分岐管路が、所望の表面積を与えるために、サイズ設定されるとともに、所定量設けられることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記インバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記インバウンド管路の前記第2部分の近位端が第1カプラにより連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記アウトバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記アウトバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記アウトバウンド管路の前記第2部分の近位端が第2カプラにより連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
患者の体腔から流体を取り除くための開放キャビティ・減圧サブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記開放キャビティ・減圧サブシステムが、
穿孔が形成された非接着性ドレープと、前記非接着性ドレープに連結された複数のカプセル化脚部材であって、その各々が、脚マニホールド部材を有する内部を備えるとともに、前記内部への流体の流れを可能にするように機能する穿孔が設けられたカプセル化脚部材と、前記複数のカプセル化脚に流体流通可能に連結されて、第1の面および第2の患者向きの面を有する中央連結部材とを備える治療デバイスと、
前記中央連結部材の前記第1の面の近傍に配置されて、前記中央連結部材に減圧を集配するように機能するマニホールドと、
患者の表皮の一部の上に配置されて、体腔の上方に空気シールを形成するように機能する密封部材と、
減圧供給管路と、
前記密封部材に連結するための減圧インターフェースであって、前記減圧供給管路を前記マニホールドに流体流通可能に連結するように機能する減圧インターフェースとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記中央連結部材が、連結マニホールド部材を有し、各脚マニホールド部材が、前記連結マニホールド部材との間で流体が流通するようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記アウトバウンド管路およびインバウンド管路が、前記複数のカプセル化脚部材の少なくとも一つに連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路内に配置される治療流体をさらに備え、前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
治療流体および収集流体の体積を示す信号を生成する体積トランスデューサと、
治療コントローラとをさらに備え、
前記治療コントローラが、マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサと関連するメモリデバイスと、前記マイクロプロセッサと関連して、入力信号を受信する入力デバイスと、前記入力デバイスに接続される前記体積トランスデューサと、前記マイクロプロセッサと関連して、出力信号を伝える出力デバイスとを備え、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスが、前記体積トランスデューサから入力信号を受信し、収集流体の体積を測定し、制御信号を生成して前記出力デバイスに伝えるように機能し、その結果、前記制御信号に応答して前記治療流体供給ユニットを制御可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスがさらに、制御信号を生成して前記治療流体供給ユニット内の流速を調整するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記治療流体供給ユニットが、加熱素子をさらに備え、
前記システムが、前記治療コントローラに接続されたインバウンド管路温度トランスデューサをさらに備え、
前記治療コントローラがさらに、前記温度トランスデューサから入力信号を受信するとともに、前記治療流体供給ユニットに伝えるための制御信号を生成して、前記加熱素子を調節するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項12に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記複数のカプセル化脚部材の各々が、穿孔が形成された第1脚カプセル化部材と、穿孔が形成された第2脚カプセル化部材とを備え、
前記脚マニホールド部材が、第1面、第2面、第1外側縁および第2外側縁を有し、
前記第1脚カプセル化部材が前記脚マニホールド部材の前記第1面の近傍に配置される一方、前記第2脚カプセル化部材が前記脚マニホールド部材の患者向きの前記第2面の近傍に配置され、前記第1脚カプセル化部材および第2脚カプセル化部材が、前記脚マニホールド部材の前記第1外側縁および前記第2外側縁の近傍で連結されて第1カプセル化脚部材が形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
流体除去システムを製造する方法であって、
患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、
前記インバウンド管路に治療流体を供給するための治療流体供給ユニットを提供するステップと、
前記患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、
前記組織部位から治療流体と収集流体を受け入れるための治療流体コレクタを提供するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の流体除去システムを製造する方法において、
収集流体の体積を測定するための収集流体測定ユニットを提供するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
組織部位から流体を除去する方法であって、
前記組織部位の近傍に半透過性のインバウンド管路を配置するステップと、
前記インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する治療流体供給ユニットを、前記インバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、
前記組織部位の近傍に、半透過性材料から形成される半透過性のアウトバウンド管路を配置するステップと、
前記アウトバウンド管路を前記インバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、
前記治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記アウトバウンド管路に治療流体コレクタを流体流通可能に連結するステップをさらに備え、前記治療流体コレクタが、前記組織部位から治療流体および収集流体を受け入れるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前記治療流体コレクタに収集流体測定ユニットを連結するステップをさらに備え、前記収集流体測定ユニットが、前記患者から収集した流体の体積を測定するように機能することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、
前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法において、
前記組織部位の近傍の体腔内に治療デバイスを導入するステップであって、前記治療デバイスが、穿孔が形成された非接着性ドレープと、前記非接着性ドレープに連結された複数のカプセル化脚部材であって、その各々が、脚マニホールド部材を有する内部を備えるとともに、前記内部への流体の流れを可能にするように機能する穿孔が設けられたカプセル化脚部材と、前記非接着性ドレープおよび前記複数のカプセル化脚に連結された中央連結部材とを備え、前記中央連結部材が、連結マニホールド部材を有し、各脚マニホールド部材が、前記連結マニホールド部材との間で流体が流通し、前記中央連結部材が、第1の面および第2の患者向きの面を有するものとされるステップと、
前記中央連結部材に減圧を分配するように機能するマニホールドを、前記中央連結部材の前記第1の面の近傍に配置するステップと、
前記組織部位の一部の上に密封部材を配置して、前記体腔の上方に空気シールを形成するステップと、
前記マニホールドに減圧供給管路を流体流通可能に連結するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、
前記体腔内に取り付けるために前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路をサイズ調整するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法において、
前記インバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記インバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記インバウンド管路の前記第2部分の近位端が第1カプラにより連結され、
前記方法が、前記第1カプラを分離して、前記第1部分の遠位端を密封するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法において、
前記体腔内で使用するために前記治療デバイスをサイズ調整するステップと、
前記ドレッシングをサイズ調整した後に、前記治療デバイスに対応させるために、前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路を分離するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
組織部位から流体を除去する方法であって、
前記組織部位の近傍に半透過性の管路を配置するステップと、
前記治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップと、
前記治療流体を循環させるステップとを備え、前記治療流体が前記組織部位から前記半透過性の管路内へと流体を収集することを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
収集した流体の体積を測定するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、
高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から前記治療流体を選択するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項1】
組織部位から流体を除去するための流体除去システムであって、
前記組織部位の近傍に配置される半透過性のインバウンド管路と、
前記インバウンド管路に流体流通可能に連結されて、前記インバウンド管路に治療流体を供給する治療流体供給ユニットと、
前記組織部位の近傍に配置される半透過性のアウトバウンド管路であって、前記インバウンド管路に流体流通可能に連結されるアウトバウンド管路と、
前記アウトバウンド管路に流体流通可能に連結されて、前記組織部位から治療流体および収集流体を受け入れる治療流体コレクタとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記治療流体コレクタに連結されて、収集流体の体積を測定する収集流体測定ユニットをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路内に配置される治療流体をさらに備え、前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
治療流体および収集流体の体積を示す信号を生成する体積トランスデューサと、
治療コントローラとをさらに備え、
前記治療コントローラが、マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサと関連するメモリデバイスと、前記マイクロプロセッサと関連して、入力信号を受信する入力デバイスと、前記入力デバイスに接続される前記体積トランスデューサと、前記マイクロプロセッサと関連して、出力信号を伝える出力手段とを備え、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスが、前記体積トランスデューサから入力信号を受信し、収集流体の体積を測定し、制御信号を生成して前記出力手段に伝えるように機能し、その結果、前記制御信号に応答して前記治療流体供給ユニットを制御可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスがさらに、制御信号を生成して前記治療流体供給ユニット内の流速を調整するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記治療流体供給ユニットが、加熱素子をさらに備え、
前記システムが、前記治療コントローラに接続されたインバウンド管路温度トランスデューサをさらに備え、
前記治療コントローラがさらに、前記温度トランスデューサから入力信号を受信するとともに、前記加熱素子を調節するために前記治療流体供給ユニットに伝達する制御信号を生成するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路と前記アウトバウンド管路を連結するための管路インターフェースをさらに含み、この管路インターフェースが、複数の分岐管路を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記分岐管路が、所望の表面積を与えるために、サイズ設定されるとともに、所定量設けられることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記インバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記インバウンド管路の前記第2部分の近位端が第1カプラにより連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記アウトバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記アウトバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記アウトバウンド管路の前記第2部分の近位端が第2カプラにより連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
患者の体腔から流体を取り除くための開放キャビティ・減圧サブシステムをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記開放キャビティ・減圧サブシステムが、
穿孔が形成された非接着性ドレープと、前記非接着性ドレープに連結された複数のカプセル化脚部材であって、その各々が、脚マニホールド部材を有する内部を備えるとともに、前記内部への流体の流れを可能にするように機能する穿孔が設けられたカプセル化脚部材と、前記複数のカプセル化脚に流体流通可能に連結されて、第1の面および第2の患者向きの面を有する中央連結部材とを備える治療デバイスと、
前記中央連結部材の前記第1の面の近傍に配置されて、前記中央連結部材に減圧を集配するように機能するマニホールドと、
患者の表皮の一部の上に配置されて、体腔の上方に空気シールを形成するように機能する密封部材と、
減圧供給管路と、
前記密封部材に連結するための減圧インターフェースであって、前記減圧供給管路を前記マニホールドに流体流通可能に連結するように機能する減圧インターフェースとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記中央連結部材が、連結マニホールド部材を有し、各脚マニホールド部材が、前記連結マニホールド部材との間で流体が流通するようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記アウトバウンド管路およびインバウンド管路が、前記複数のカプセル化脚部材の少なくとも一つに連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路内に配置される治療流体をさらに備え、前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項12に記載の組織部位から流体を除去するためのシステムにおいて、
治療流体および収集流体の体積を示す信号を生成する体積トランスデューサと、
治療コントローラとをさらに備え、
前記治療コントローラが、マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサと関連するメモリデバイスと、前記マイクロプロセッサと関連して、入力信号を受信する入力デバイスと、前記入力デバイスに接続される前記体積トランスデューサと、前記マイクロプロセッサと関連して、出力信号を伝える出力デバイスとを備え、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスが、前記体積トランスデューサから入力信号を受信し、収集流体の体積を測定し、制御信号を生成して前記出力デバイスに伝えるように機能し、その結果、前記制御信号に応答して前記治療流体供給ユニットを制御可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記マイクロプロセッサおよびメモリデバイスがさらに、制御信号を生成して前記治療流体供給ユニット内の流速を調整するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記治療流体供給ユニットが、加熱素子をさらに備え、
前記システムが、前記治療コントローラに接続されたインバウンド管路温度トランスデューサをさらに備え、
前記治療コントローラがさらに、前記温度トランスデューサから入力信号を受信するとともに、前記治療流体供給ユニットに伝えるための制御信号を生成して、前記加熱素子を調節するように機能することを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項12に記載の減圧治療を提供するためのシステムにおいて、
前記複数のカプセル化脚部材の各々が、穿孔が形成された第1脚カプセル化部材と、穿孔が形成された第2脚カプセル化部材とを備え、
前記脚マニホールド部材が、第1面、第2面、第1外側縁および第2外側縁を有し、
前記第1脚カプセル化部材が前記脚マニホールド部材の前記第1面の近傍に配置される一方、前記第2脚カプセル化部材が前記脚マニホールド部材の患者向きの前記第2面の近傍に配置され、前記第1脚カプセル化部材および第2脚カプセル化部材が、前記脚マニホールド部材の前記第1外側縁および前記第2外側縁の近傍で連結されて第1カプセル化脚部材が形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
流体除去システムを製造する方法であって、
患者の組織部位の近傍に配置するためのインバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、
前記インバウンド管路に治療流体を供給するための治療流体供給ユニットを提供するステップと、
前記患者の組織部位の近傍に配置するためのアウトバウンド管路を、半透過性材料から形成するステップと、
前記組織部位から治療流体と収集流体を受け入れるための治療流体コレクタを提供するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の流体除去システムを製造する方法において、
収集流体の体積を測定するための収集流体測定ユニットを提供するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
組織部位から流体を除去する方法であって、
前記組織部位の近傍に半透過性のインバウンド管路を配置するステップと、
前記インバウンド管路に治療流体を供給するように機能する治療流体供給ユニットを、前記インバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、
前記組織部位の近傍に、半透過性材料から形成される半透過性のアウトバウンド管路を配置するステップと、
前記アウトバウンド管路を前記インバウンド管路に流体流通可能に連結するステップと、
前記治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記アウトバウンド管路に治療流体コレクタを流体流通可能に連結するステップをさらに備え、前記治療流体コレクタが、前記組織部位から治療流体および収集流体を受け入れるためのものであることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前記治療流体コレクタに収集流体測定ユニットを連結するステップをさらに備え、前記収集流体測定ユニットが、前記患者から収集した流体の体積を測定するように機能することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、
前記治療流体が、高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法において、
前記組織部位の近傍の体腔内に治療デバイスを導入するステップであって、前記治療デバイスが、穿孔が形成された非接着性ドレープと、前記非接着性ドレープに連結された複数のカプセル化脚部材であって、その各々が、脚マニホールド部材を有する内部を備えるとともに、前記内部への流体の流れを可能にするように機能する穿孔が設けられたカプセル化脚部材と、前記非接着性ドレープおよび前記複数のカプセル化脚に連結された中央連結部材とを備え、前記中央連結部材が、連結マニホールド部材を有し、各脚マニホールド部材が、前記連結マニホールド部材との間で流体が流通し、前記中央連結部材が、第1の面および第2の患者向きの面を有するものとされるステップと、
前記中央連結部材に減圧を分配するように機能するマニホールドを、前記中央連結部材の前記第1の面の近傍に配置するステップと、
前記組織部位の一部の上に密封部材を配置して、前記体腔の上方に空気シールを形成するステップと、
前記マニホールドに減圧供給管路を流体流通可能に連結するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、
前記体腔内に取り付けるために前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路をサイズ調整するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法において、
前記インバウンド管路が、遠位端および近位端を有する第1部分と、遠位端および近位端を有する第2部分とを含み、前記インバウンド管路の前記第1部分の遠位端および前記インバウンド管路の前記第2部分の近位端が第1カプラにより連結され、
前記方法が、前記第1カプラを分離して、前記第1部分の遠位端を密封するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項22に記載の方法において、
前記体腔内で使用するために前記治療デバイスをサイズ調整するステップと、
前記ドレッシングをサイズ調整した後に、前記治療デバイスに対応させるために、前記インバウンド管路およびアウトバウンド管路を分離するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
組織部位から流体を除去する方法であって、
前記組織部位の近傍に半透過性の管路を配置するステップと、
前記治療流体供給ユニット内に治療流体を配置するステップと、
前記治療流体を循環させるステップとを備え、前記治療流体が前記組織部位から前記半透過性の管路内へと流体を収集することを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
収集した流体の体積を測定するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、
高張食塩溶液、CaCl2溶液、KCl溶液、NaCl溶液、デキストラン溶液および乾性ガスからなる群から前記治療流体を選択するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2012−502732(P2012−502732A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527844(P2011−527844)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044240
【国際公開番号】WO2010/033272
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044240
【国際公開番号】WO2010/033272
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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