波長変換装置
【課題】回路規模を大きくすることなく適切に信号光の周波数変換を実現する。
【解決手段】波長変換ループ回路20のPBS16は、信号光とポンプ光との合成光から、第1の偏波成分と、第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する。2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ上には、波長変換回路18が設けられ、波長変換回路18は第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれについて四光波混合により周波数変換された信号光を生じさせる。信号光は波長変換ループ中を伝搬し、PBS16において、再度合波され、PBS16の入力ポートから出力された合成光は、周波数変換された信号光の周波数fcのみを通過させるBPF19を通過し、BPF19から周波数変換された信号光が出力される。
【解決手段】波長変換ループ回路20のPBS16は、信号光とポンプ光との合成光から、第1の偏波成分と、第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する。2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ上には、波長変換回路18が設けられ、波長変換回路18は第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれについて四光波混合により周波数変換された信号光を生じさせる。信号光は波長変換ループ中を伝搬し、PBS16において、再度合波され、PBS16の入力ポートから出力された合成光は、周波数変換された信号光の周波数fcのみを通過させるBPF19を通過し、BPF19から周波数変換された信号光が出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波多重された信号光の波長を変換する波長変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光信号による伝送ネットワークにおいては、波長分割多重(WDM)によって、伝送路中を複数の波長の信号が多重化されて伝送される。ここでは、異なるチャンネルで同一の波長が使われると、信号の衝突が発生する。したがって、伝送ネットワーク中に配置され、複数の伝送路からの信号光を入射して、信号を重ね合わせる装置(交換装置)においては、信号の衝突を避けるために、入射した信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を重ね合わせる必要がある。
【0003】
上述した波長変換は、従来、電気信号処理を用いて実現されている。しかしながら、電気信号処理の処理速度の限界や消費電力増大などの点から、光信号処理を用いることにより、電気信号処理の問題点を解決できると期待されている。光信号処理では、光ファイバなどデバイス次第で、フェムト秒以上の応答速度があるため、伝送速度が更に高速化されても、十分な応答速度が期待される。
【0004】
たとえば、特許文献1、特許文献2には、光信号処理を用いた波長変換が提案されている。特に、特許文献1では、四光波混合(FWM)により波長変換を実現している。四光波混合とは、周波数f1、f2およびf3の3つの光を非線形デバイスに入射した際に、第4の光(周波数f4=f1+f2−f3)が発生する現象である。f1=f2であるときには、縮退四光波混合と称され、第4の光の周波数はf4=2f1−f3となる。ポンプ光の周波数をf1、波長変換される信号光の周波数をf3とすれば、周波数f4の波長変換された光を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−109598号公報
【特許文献2】特開2007−240780号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、高周波数利用効率や超高速大容量伝送の実現のために、偏波多重伝送に関する研究が進められている。偏波多重伝送では、進行方向の垂直方向において、それぞれ90度向きが異なる(たとえば、水平および垂直)2つの偏波に情報を載せる。これにより、従来の単一の偏波を用いた伝送に比べて、
2倍の情報量を伝送可能である。すなわち、同一の情報量を送る場合、従来の単一方向の偏波を用いた伝送に比べて、半分の伝送速度(シンボルレート)で伝送が可能である。
【0006】
偏波多重伝送においても、それぞれの偏波に複数の波長の信号を多重化することにより、より多くのデータ伝送が可能となる。しかしながら、今場合にも、信号の衝突を防止するために、信号光の波長変換が必要である。
【0007】
偏波多重信号に対して、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示された、単一方向の偏波のための波長変換装置を、直接、適用することは不可能である。実際には、2つの波長変換装置を用意して、偏波多重信号を一旦分離して、それぞれの偏波に対して、波長変換装置を通した上で、合波する必要がある。しかしながら、この場合には、2系統の波長変換装置を備える必要があるため、回路規模が大きくなるという問題点がある。
【0008】
本発明は、回路規模を大きくすることなく適切に信号光の波長を変換することが可能な波長変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、伝送路を伝搬した、偏波多重伝送による、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された、偏波直交多重信号の信号光を受け入れ、当該信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を出力する波長変換装置であって、
前記信号光の周波数fsと異なる波長fpのポンプ光(ただし、fc=2fp−fs fc:波長変換された信号光の周波数)を発生するポンプ光発生手段と、
前記信号光の偏波状態を制御する第1の偏波制御手段と、
前記第1の偏波制御手段から出力された信号光と、前記ポンプ光とを合波する合波手段と、
前記合波手段からの合成光を入力ポートに受け入れて、前記合成光から、第1の偏波成分と、当該第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する偏光ビームスプリッタ、前記2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ、並びに、前記波長変換ループ上に配置され、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれにおいて、四光波混合により周波数fcの光を生じさせる波長変換手段を有する波長変換ループ手段と、
前記波長変換ループ手段の前記波長変換ループ中を伝搬し、前記偏光ビームスプリッタにおいて、再度合波されて前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから出力された、前記周波数fcの信号光を含む合成光を受け入れ、前記合成光のうち周波数fcの光を通過させる帯域通過フィルタ手段と、
少なくとも3つのポートを有し、それぞれのポートが前記合波手段、前記波長変換ループ手段、および、前記帯域通過フィルタ手段と接続され、前記合波手段からの合成光を前記波長変換ループ手段に出力し、前記波長変換ループ手段からの前記周波数fcの信号光を含む合成光を前記帯域通過フィルタ手段に出力する光経路決定手段と、を備えたことを特徴とする波長変換装置により達成される。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記ポンプ光の偏波状態を制御する第2の偏波制御手段を備える。
【0011】
より好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御するとともに、
前記第2の偏波制御手段が、前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように制御する。
【0012】
別の好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御し、 前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように、前記ポンプ光を所定の角度だけ回転させるポンプ光偏波調整手段を備え、
前記ポンプ光発生手段から、前記偏光スプリッタに至るまでの伝送路が、その偏波状態を保持するように構成される。 また、好ましい実施態様においては、前記波長変換ループ手段が、前記波長変換ループ上に配置され、第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を調整する偏波調整手段を有する。
【0013】
より好ましい実施態様においては、前記偏光ビームスプリッタが、前記入力される合成光の偏波状態が維持されて、前記2つの出力ポートから、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分が出力されるように構成され、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、その偏波状態を保持するように構成され、かつ、
前記偏波調整手段が、受け入れた第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれの偏波状態を90°回転させるように構成される。
【0014】
別の好ましい実施態様においては、前記第1の偏波成分が前記偏光ビームスプリッタの第1の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、前記第2の偏波成分が第2の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、
前記偏波調整手段が、
前記第1の偏波成分が、前記第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第2のポートから出力されたときの、第2の偏波成分の偏波状態と同一となり、かつ、
前記第2の偏波成分が、前記第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第1のポートから出力されたときの、第1の偏波成分の偏波状態と同一となるように、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を制御する。
【0015】
また、好ましい実施態様においては、前記偏光ビームスプリッタが、何れか一方の偏波成分の偏波状態のみを90°回転して出力されるように構成され、かつ、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、偏波を保持するように構成される。
【0016】
好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記第1の偏波制御手段と前記合波手段との間に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備え、
前記第1の偏波制御手段の出力ポートから、前記第1の分波手段、前記合波手段、前記光経路決定手段を経て、前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートに至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成される。
【0017】
また、好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段において、前記偏光ビームスプリッタの一方の出力ポートからの波長変換ループ上に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備える。
【0018】
別の好ましい実施態様においては、前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記帯域通過フィルタ手段の出力ポートからの光伝送路上に配置された第2の分波手段と、
前記第2の分波手段により分波された、波長変換された信号光を受け入れて、前記波長変換された信号光のそれぞれの偏波成分を取得する偏波取得手段と、前記偏波取得手段により取得された偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備え、
前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから、前記光経路決定手段、前記帯域通過フィルタ手段、および、前記第2の分波手段を経て、前記偏波取得手段に至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成される。
【0019】
また、好ましい実施態様においては、前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段における前記偏光ビームスプリッタの2つの出力ポートからの前記波長変換ループ上に、それぞれ配置された第2の分波手段および第3の分波手段と、
前記第2の分波手段および第3の分波手段により分波された、偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回路規模を大きくすることなく適切に信号光の波長を変換することが可能な波長変換装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の本実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。波長変換装置10は、偏波多重伝送システムの伝送路中、特に、PXC(Photonic Cross−Connect)の入出力端に隣接して配置され、入射した信号光の波長を変換して出力する。なお、波長変換装置においては、説明の便宜上、波長を取り扱うのではなく、その逆数である周波数を用いることが多い。そこで、本実施の形態においても、信号光の周波数をfs、周波数変換(波長変換)された信号光の周波数をfcと表す。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、伝送路から入力された信号光の偏波状態を制御する偏波コントローラ11、所定の波長のポンプ光を発生するポンプ光発生回路12、ポンプ光発生回路12から出力されたポンプ光の偏波状態を制御する偏波コントローラ13、信号光およびポンプ光を合波する光カプラ14、光カプラ14からの合成光を受け入れて、当該合成光を、後述する波長変換ループ回路20に出力するとともに、波長変換ループ回路からの光信号を受け入れて、受け入れた光信号を、出力側に配置された帯域通過フィルタ(BPF)19に出力する光サーキュレータ15と、を有する。また、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、光サーキュレータ15からの合成光を受け入れて、合成光に含まれる信号光の周波数を変換するための波長変換ループ回路20を有する。
【0023】
波長変換ループ回路20は、偏光ビームスプリッタ(PBS)16、偏波調整回路17および波長変換回路18を有する。
【0024】
概略的には、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、以下のように動作する。本実施の形態においては、伝送路中を、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された偏波直交多重信号が、信号光として伝搬され、波長変換装置10に受け入れられる。
【0025】
信号光の偏波状態(SOP:State of Polarization)は、偏波直交多重信号の成分であるX偏波、若しくは、Y偏波の何れかのSOPが、PBS16のX軸と同一軸上の直線偏光となるように、偏波コントローラ11により調整される。
【0026】
偏波コントローラ11は、たとえば、1以上のλ/2板および1以上のλ/4板を有している。λ/2板およびλ/4板は、制御信号によってそれぞれ光軸を中心に回転でき、偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分の偏波の向きを同時に調整することができる。偏波コントローラ13についても同様である。なお、偏波コントローラ11、13を用いた偏波状態の制御については後に詳述する。
【0027】
ポンプ光発生回路12は、信号光の周波数fsと異なる周波数fpの連続光(CW光)であるポンプ光を発生する。偏波コントローラ13は、PBS16の出力ポートのそれぞれからの光強度が等しくなるように、ポンプ光の偏波状態(SOP)を調整する。理想的には、ポンプ光は、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となる。偏波コントローラ11から出力された信号光、および、偏波コントローラ13から出力されたポンプ光は、光カプラ14により合波される。
【0028】
光サーキュレータ15は、各ポートから受け入れた光を隣接する一方のポートから出力させる。図1に示す光サーキュレータ15は、図1おいて時計回りの方向に隣接するポートから、入力した光を出力する。たとえば、光カプラ14から出力された合成光は、光サーキュレータ15を経て、PBS16に入射される。また、PBS16から出力された光は、光サーキュレータ15を経て、BPF19に入射される。
【0029】
波長変換ループ回路20のPBS16に入射された合成光中、信号光S(fs)については、X偏波成分S1(fs)およびY偏波成分S2(fs)に分波される。また、ポンプ光S(fp)については、理想的にはPBS16のX軸に対して45度の直線偏光となっているため、PBS16の2つの出力ポートから、同一光強度の信号が出力される。PBS16の出力ポートにおいて、X偏波、Y偏波それぞれの信号光およびポンプ光の偏波状態は、同一方向の直線偏光となる。図2(a)は、信号光の周波数fsおよびポンプ光の周波数fpの例を示す図、図2(b)は、PBS16の入力ポート101における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図、図2(c)および(d)は、それぞれ、PBS16の出力ポート102、103における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図である。
【0030】
図2(b)に示すように、PBS16の入力ポート101においては、信号光のX偏波成分S1(fs)およびY偏波成分S2(fs)、および、PBS16の軸に対して45度の直線偏光となっているポンプ光S(fp)が現れる。PBS16を通過した後の出力ポート103においては、信号光のY偏波成分S2(fs)およびポンプ光のうちのY偏波成分S2(fp)が現れる。その一方、出力ポート102においては、信号光のX偏波成分S1(fs)およびポンプ光のうちのX偏波成分S1(fp)が現れる。なお、PBS16を通過する信号については、図3を参照してさらに詳細に説明する。
【0031】
波長変換ループ回路20において、PBS16からポート102に出力された光(図2(c)参照)は、時計回りにループ上の伝送路(波長変換ループ)を伝搬され、PBS16からポート103に出力された光(図2(d)参照)は、反時計回りに波長変換ループを伝搬される。時計回りの波長変換ループおよび反時計回りの波長変換ループを経て伝搬された光は、それぞれ波長変換回路18によって波長変換が施される。本実施の形態においては、四光波混合を用いた波長変換が行なわれる。
【0032】
四光波混合について以下に説明する。四光波混合とは、周波数f1、f2およびf3の3つの光を非線形デバイスに入射した際に、第4の光(周波数f4=f1+f2−f3)が発生する現象である。f1=f2であるときには、縮退四光波混合と称され、第4の光の周波数はf4=2f1−f3となる。また、四光波混合を生じさせるためには、一定の位相整合条件を満たす必要がある。
【0033】
本実施の形態においては、縮退四光波混合を用いた波長変換を実現している。図2(a)に示すように、本実施の形態では、ポンプ光(周波数fp)を上記周波数f1の光、信号光(周波数fs)を上記周波数f3の光として、波長変換された信号光(周波数fc=2fp−fs)を得る。本実施の形態では、上記四光波混合を用いた波長変換を実現するために、波長変換回路18として、高非線形ファイバ(HNLF:High Non−Linear Fiber)が用いられている。
【0034】
波長変換されたX偏波およびY偏波の光は、PBS16において再度合波される。なお、本実施の形態においては、波長変換ループ回路20の波長変換ループ上に偏波調整回路17が配置され、時計回りの波長変換ループおよび反時計回りの波長変換ループを経て伝搬される光の偏波状態が調整される。偏波調整回路17の機能についても後述する。
【0035】
PBS16において合波された光は、光サーキュレータ15を経てBPF19に入射される。BPF19は、波長変換された信号光の周波数fcの光を通過するように構成される。したがって、BPF19により波長変換された信号光のみが通過し、最終的に波長変換された信号光が出力される。BPF19から出力された、波長変換された信号光は伝送路に送出される。
【0036】
以下、本実施の形態にかかる波長変換ループ回路20について説明する。PBS16の各ポートにおいて、入出力信号の偏波の向きが規定されている。そのため、入力信号は、規定されている偏波の向きで入射する必要があり、出力信号は、規定されている偏波の向きで信号が出力される。
【0037】
たとえば、1ポート入力2ポート出力のPBSの、出力ポートの偏波状態としては、以下のような2つの態様が考えられる。
(1)偏波直交多重信号の入力信号の0°(水平)、90°(垂直)が、2出力ポートで0°、90°の偏波状態として出力される。
(2)偏波直交多重信号の入出力信号の0°、90°が、2出力ポートのいずれも0°、若しくは90°となる偏波状態として出力される。つまり、一方の成分が90°回転させられて出力される。
【0038】
本実施の形態においては、上記(1)の態様のPBS16が用いられる。図3において、入力ポートでは、信号光は、実線で示す0°の偏波(X偏波)および破線で示す90°の偏波(Y偏波)を含み(符号300参照)、PBS16を経て、反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波(Y偏波)(符号301、302参照)、および、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波(X偏波)(符号303、304参照)に分けられる。
【0039】
波長変換ループ回路20の波長変換ループを構成するジャンパケーブル中、および、波長変換回路18中で、伝搬する光(X偏波の光およびY偏波の光)の偏波状態が保持される場合を考える。たとえば、ジャンパケーブル、および、波長変換回路18を構成する高非線形ファイバ(HNLF)が、偏波保持ファイバ(PMF)で構成された場合である。
【0040】
偏波調整回路17によって、時計回りに波長変換ループを伝搬する光、および、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光を、偏波調整回路17において、その偏波状態を90°回転させることにより、それぞれを再度PBS16に入力させて合波させることが可能となる。すなわち、この場合には、偏波調整回路17によって、それぞれの光の偏波状態を90°回転させれば良い。偏波調整回路17として、λ/2板を使うことができる。或いは、偏波調整回路17として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用しても良い。
【0041】
或いは、波長板に代えて、偏波調整回路17としてアダプタを用いて、アダプタの接続点でファイバの軸が90°回転するようにアダプタのキーを調整することで、0°および90°の偏波状態を入れ替えることも可能である。
【0042】
偏波調整回路17によって、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波状態の光(符号303参照)は90°回転され(符号305参照)、また、反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波状態の光(符号301参照)も90°回転される(符号306参照)。
【0043】
また、波長変換ループを構成するジャンパケーブルおよび波長変換回路18が、PMFで構成されていない場合には、図4に示すように、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波状態の光(符号303参照)および反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波状態の光(符号301参照)は、ともに任意の偏波状態となる(符号402、401参照)。したがって、この場合には、偏波調整回路17として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用して、λ/2板およびλ/4板を所定の角度回転させることで、偏波状態を適切に制御する。すなわち、ジャンパケーブル等における偏波の変化分を考慮の上、PBS16のポートにおける偏波の向きが適切となるように、偏波調整回路17が偏波を調整する。
【0044】
次に、本実施の形態にかかる信号光の偏波状態を制御する偏波コントローラ11および偏波コントローラ11に対する制御信号の生成について説明する。信号光については、波長変換ループ回路20のPBS16において、偏波直交多重信号の偏波分離を適切に行うために、偏波直交多重信号のX偏波成分が、PBS16のX軸に対して直線偏光になるよう、偏波状態を制御する必要がある。Y偏波成分をPBS16のY軸に対して直線偏光とすることも同様に必要である。特に、伝送路を伝搬されてきた信号光については、常に伝送路の状態が変化し、入射される偏波直交多重信号の偏波状態が変化するため、常に偏波状態の制御が必要である。
【0045】
図5は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。図5に示すように、本実施の形態にかかる信号光偏波制御部30は、偏波コントローラ11と光カプラ14との間の伝送路上に配置された光カプラ31と、光カプラから出力された光を受け入れる偏光子32と、偏波状態観測部33と、制御信号生成部34とを有している。
【0046】
本実施の形態においては、PBS16に入射される信号光の偏波制御をするために、ポンプ光と合波するための光カプラ14より手前(上流側)に光カプラ31を設けて、その信号光をモニタしている。したがって、偏波コントローラ11の出力ポートから、その下流方向に、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートまで(符号500参照)、信号光の偏波状態が一定である必要がある。そこで、本実施の形態では、偏波コントローラ11の出力ポートから、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートまでの伝送路500を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成している。
【0047】
図5に示す信号光偏波制御部30の動作について以下に説明する。光カプラ31により、信号光が分岐され、偏光子32に入力される。偏光子32の代わりにPBSを利用しても良い。偏光子32の軸(PBSを使用している場合にはPBSの軸)は、波長変換ループ回路20のPBS16の軸と同一である。したがって、偏光子32において適切に偏波状態が制御されていれば、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートにおいても、適切な偏波状態が得られることになる。
【0048】
偏光子32の出力は、偏波状態観測部33に送られて、偏波状態観測部33および制御信号生成部34により偏波コントローラ11のための制御信号が生成され、出力される。たとえば、偏波状態観測部33および制御信号生成部34は、以下のように動作する。
【0049】
PBS16で偏波分離されるべき直交偏波信号のX偏波成分およびY偏波成分が、PBS16で適切に分離されない場合には、X偏波成分およびY偏波成分が1ポートに同時に出力される。上述したようなX偏波成分およびY偏波成分を含む光を光受信器で受信した場合にはビート信号が観測される。ビート信号が発生している場合、ビート信号が発生していない場合に比べ、電気信号の電力が増加する。そこで、偏波制御状態観測部33は、光受信器および電力観測器を有し、電力の状態を示す信号を制御信号生成部34に出力する。制御信号生成部34は、電力の状態を示す信号を受信して、電力が減少するように偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する(干渉検出法)。偏波コントローラ11は、制御信号にしたがって、λ/2板およびλ/4板の角度を回転させる。
【0050】
或いは、偏波状態観測部33および制御信号生成部34は、以下のような構成を備えていても良い。たとえば、送信器において、送信信号である偏波直交信号のX偏波或いはY偏波の一方に低周波強度変調を施し、或いは、X偏波およびY偏波の双方に、異なる周波数の低周波強度変調を施して、偏波状態観測部33が低周波変調成分をモニタする。
【0051】
より具体的には、偏波状態観測部33は、光受信器を用いてX偏波或いはY偏波を電気信号として、中心周波数を低周波変調の周波数とする、電気信号用の帯域通過フィルタを通過させ、低周波変調成分のみを抽出する。次いで、その電力を、電気パワーメータなどを用いて観測する。制御信号生成部34は、上記電力が最適(最大或いは最小)になるように、偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する。
【0052】
次に、本実施の形態にかかるポンプ光の偏波状態を制御する偏波コントローラ13および偏波コントローラ13に対する制御信号の生成について説明する。
【0053】
光カプラ14において信号光と合波され、PBS16に入射するポンプ光の偏波状態は、偏波の変動状況に応じて動的に制御する必要がある。ポンプ光については、PBS16の2つの出力ポートで、光強度が等しく2つの信号が出力されるように、偏波コントローラ13が、その偏波状態を調整する。ポンプ光は、理想的には、PBS16に入射されるときに、PBS16の軸に対して45度となる直線偏光である。
【0054】
ポンプ光については、ポンプ光発生回路12とPBS16との間の物理的な距離が短く、この間のジャンパケーブルが固定され、PBS16に入力するポンプ光の偏波状態がほとんど変化しない状況においては、初期的に一度偏波状態を調整すれば十分であり、動的な制御は必要ない。しかしながら、ジャンパケーブル長が長く、PBS16に入力するポンプ光の偏波状態が変化するような環境においては、動的な制御が必要となる。本実施の形態では、偏波状態の動的な制御を行っている。
【0055】
図6は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。図6に示すように、本実施の形態にかかるポンプ光偏波制御部40は、波長変換された信号光を出力するBPF19の出力を分波する光カプラ41と、光カプラ41から出力された光を分離するPBS42と、偏波状態観測部43と、制御信号生成部44とを有している。なお、前述した図5においては、偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部30のみが記載され、この図6においては、偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部40のみが記載されている。実際には、波長変換装置10は、信号光偏波制御部30およびポンプ光偏波制御部40の双方を含んでいる。図5および図6は説明の便宜上、それぞれ一方を図示したものである。
【0056】
ポンプ光偏波制御部40は、波長変換された偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分のそれぞれの光強度を観測する。本実施の形態においては、波長変換によってX偏波成分およびY偏波成分とも波長変換される。PBS16の2つの出力ポートに等しい光強度でポンプ光が出力されていない場合は、この波長変換がX偏波およびY偏波について均等に行わない。したがって、モニタ箇所である光カプラ41においては、X偏波成分およびY偏波成分の光強度が異なる。
【0057】
そこで、ポンプ光偏波制御部40は、波長変換された偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分の光強度が同一になるように、制御信号を生成して、偏波コントローラ13に出力する。すなわち、この実施の形態においては、偏波状態観測部43が、PBS42から出力されたX偏波成分の光強度とY偏波成分の光強度との差分値を算出する。制御信号生成部44は、偏波状態観測部43からの差分値に基づいて、当該差分値を目標値である「0」とするように偏波コントローラ13に対する制御信号を生成して出力する。
【0058】
本実施の形態のように、波長変換された信号光(BPF19の出力光)をモニタする場合には、波長変換ループ回路20のPBS16と光サーキュレータ15との間、および、光サーキュレータからBPF19、光カプラ41を経て、PBS42までの伝送路(符号600参照)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成する必要がある。これは、モニタ箇所で、周波数変換された信号光の偏波多重信号を再度、偏波分離して、X偏波成分およびY偏波成分の光強度を観測するため、モニタ用のPBS42の軸と波長変換ループ回路20のPBS16の軸を同一にする必要があるからである。
【0059】
次に、本実施の形態にかかる光中継装置における構成要素の変形例について説明する。まず、光サーキュレータの機能を実現する他の構成例について説明する。第1の実施の形態において用いられた光サーキュレータ15は、各ポートから受け入れた光を所定の隣接する一方のポートから出力させている。光サーキュレータ15の機能は光アイソレータおよび光カプラを用いても実現することができる。
【0060】
図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図7において、第1の実施の形態および第2の実施の形態にかかる波長変換装置と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0061】
図7に示すように、第2の実施の形態にかかる波長変換装置70は、光カプラ14から出力された光を受け入れて、所定の方向に出力するとともに、波長変換ループ回路20から戻ってきた光を他の所定の方向に出力する光路決定部71を備えている。光路決定部71は、光アイソレータ72および光カプラ73を有する。光アイソレータ73は、光カプラ14と光カプラ73との間に配置され、一方向の光、つまり、光カプラ14から出力された光のみを、光アイソレータ73に出力するように構成されている。その一方、光カプラ73からの光は遮断されて光カプラ14の側には出力されない。
【0062】
2入力2出力の光3dBカプラは、たとえば、2つの入力ポートに入射された光信号の光強度をa、bとした場合、2つの出力ポートにそれぞれ(a+b)/2、(a+b)/2で光強度を出力する性質を有する。これを利用して、本実施の形態にかかる光アイソレータ73では、上述したような光カプラ73を1入力2出力として用いて、1つの入力ポートに光アイソレータ72からの光を入射し、これを波長変換ループ回路20に出力する。その一方、波長変換ループ回路20から出力された光が光カプラ73に与えられると、その1/2はBPF19に出力され、残りの1/2が光アイソレータ72の側に出力される。光アイソレータ72では光カプラ73からの光は遮断される。その一方、BPF19に出力された光は、BPFにおいて周波数fcの信号のみが取り出されて出力される。
【0063】
次に、波長変換ループ回路におけるPBSの他の例について説明する。図3に示すように、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、PBS16においては、偏波直交多重信号の入力信号の0°(水平)、90°(垂直)の偏波状態が、2出力ポートで0°、90°の偏波状態として出力されている。その一方、前述したように、PBSでは、偏波直交多重信号の入出力信号の0°、90°の偏波状態が、2出力ポートのいずれも0°、若しくは90°となる偏波状態として出力されるものも存在する。
【0064】
上述したように一方の成分が90°回転されて出力されるPBSを適用する場合について説明する。図8に示すように、波長変換ループ120において、PBS116の入力ポートでは、信号光は、実線で示す0°の偏波(X偏波)および破線で示す90°の偏波(Y偏波)とを含む(符号300参照)。PBS116からは、入力ポートにおけるY偏波成分に相当する、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光が出力される(符号801参照)。符号801に示すように、この光の偏波状態はPBS116により90°回転される。また、PBS116からは、入力ポートにおけるX偏波成分に相当する、時計回りに波長変換ループを伝搬する光が出力される(符号802参照)。この光は回転されずにそのまま出力される。
【0065】
波長変換ループ回路120の波長変換ループを構成するジャンパケーブル中、および、波長変換回路18中で、伝搬する光(X偏波の光およびY偏波の光)の偏波状態が保持される場合を考える。たとえば、ジャンパケーブル、および、波長変換回路18を構成する高非線形ファイバ(HNLF)が、偏波保持ファイバ(PMF)で構成された場合である。この場合には、0°(90°)で入力された偏波は、0°(90°)のまま伝搬する。PBS116の2つの出力ポートの偏波の向きは同一であるため、PBS116の一方で出力された信号はそのまま、他方のポートに直接入力することが可能である。すなわち、波長変換ループにおける偏波調整は不要である。
【0066】
その一方、波長変換ループを構成するジャンパケーブルおよび波長変換回路18が、PMFで構成されていない場合には、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光および時計回りに波長変換ループを伝搬する光は、ともに任意の偏波状態となる。したがって、この場合には、図4を参照して説明したように、波長変換ループ中に偏波調整回路121を配置する。偏波調整回路121は、たとえば、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上を備え、λ/2板およびλ/4板を所定の角度にすることで、偏波状態を適切に制御する。
【0067】
次に、信号光偏波制御部の他の構成例について説明する。図9は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。図9に示すように、信号光偏波制御部80は、波長変換ループ回路20の波長変換ループにおいて、PBS16と偏波制御回路17との間に配置された光カプラ81と、光カプラ81から分波された光から周波数fsの光をとりだす帯域通過フィルタ(BPF)82と、偏波状態観測部83と、制御信号生成部84とを有している。
【0068】
図9に示す信号光偏波制御部80においては、PBS16の出力ポートからの光(矢印901参照)が光カプラ81を経てBPF82に入射される。BPF82においては周波数fsの信号光が取り出され、取り出された周波数fsの信号光が偏波状態制御部83に与えられる。
【0069】
偏波状態制御部83および制御信号生成部84は、図5に示す偏波状態制御部33および制御信号生成部34と同様に動作する。すなわち、偏波制御状態観測部83は、光受信器および電力観測器を有し、電力の状態を示す信号を制御信号生成部84に出力する。制御信号生成部84は、電力の状態を示す信号を受信して、電力が減少するように偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する。偏波コントローラ11は、制御信号にしたがって、λ/2板およびλ/4板の角度を回転させる。
【0070】
なお、図9に示す信号光偏波制御部80を備えた波長変換装置では、信号光のモニタ箇所が、波長変換ループ中のPBS16と偏波制御回路17との間である。したがって、偏波コントローラ11から波長変換ループ回路20の光カプラ81の間に至るジャンパケーブルなどを偏波保持ファイバ(PMF)で構成する必要がない。
【0071】
次に、ポンプ光偏波制御部の他の構成例について説明する。図10は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。図10に示すように、ポンプ光偏波制御部90は、波長変換ループ回路20の波長変換ループにおいて、PBS16と偏波制御回路17との間に配置された光カプラ91と、光カプラ91により分波された光から、周波数fpの光を取り出す帯域通過フィルタ(BPF)92と、波長変換ループにおいて、PBS16と波長変換回路18との間に配置された光カプラ93と、光カプラ93により分波された光から、周波数fpの光を取り出す帯域通過フィルタ(BPF)94と、偏波状態観測部95と、制御信号生成部96とを有している。
【0072】
上記構成のポンプ光偏波制御部90においては、PBS16の2つの出力ポートから出力される光の光強度を観測し、両者の光強度が等しくなるように、偏波コントローラ13を制御する。偏波状態観測部95は、BPF92およびBPF94からの光信号の光強度を測定して、その差分値を算出する。制御信号生成部96は、偏波状態観測部95からの差分値に基づいて、当該差分値を目標値である「0」とするように偏波コントローラ13に対する制御信号を生成して出力する。
【0073】
なお、図10に示すポンプ光偏波制御部90を備えた波長変換装置では、ポンプ光のモニタ箇所が、波長変換ループ中である。したがって、偏波コントローラ13から波長変換ループ回路20の光カプラ91、93の間に至るジャンパケーブルなどを偏波保持ファイバで構成する必要がない。
【0074】
図11は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換装置を適用した一例を示すブロックダイヤグラムである。図11に示す交換装置11は、一般には、リングネットワーク中に配置される。伝送ネットワークにおいて、光アドドロップを行う場合、追加する信号の波長と伝送されてきた信号の波長が同一の場合、衝突が発生する。これを回避するために、波長変換装置が、入力されてきた信号の周波数を、加えようとする回線側で、使用されていない波長に変換する。これにより、信号を追加する際の衝突を防止することが可能となる。図11の例では、伝送ネットワーク(リングネットワーク)では、波長分割多重(WDM)の信号が伝搬される。
【0075】
図11において、交換装置1100は、フォトニッククロスコネクト(PXC)1101、光マルチプレクサ(MUX)1103〜1104を備える。また、光MUX1104と、PXC1101との間の波長ごとの伝送路に、本実施の形態にかかる波長変換装置10が配置される。リング状ネットワークの伝送路(符号1111、1112参照)において、交換装置1100に入射した信号は、光MUX1102により、波長ごとに分離されPXC1101に入射される。PXC1101においては、入射された信号のうち所定の信号が、経路を変更して光MUX1105に入射され、波長多重化されて伝送路1113に送出される。
【0076】
伝送路1114を経て光MUX1104に入射した光は、PXC1101において、伝送路1111を経て入射した光に加えられる。ここで、同一波長の信号が衝突することを避けるために、波長変換装置10において信号に波長変換が施される。
【0077】
光アドドロップのみを行うリング状ネットワークならず、フルメッシュ型の光ネットワークにおいても、波長の衝突を回避するために交換装置は波長変換機能を備える必要がある。図12は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換装置を適用した他の例を示すブロックダイヤグラムである。図12に示す交換装置1200は、PXC1201および複数の光MUX(たとえば、符号1202参照)を有する。複数の光MUXのそれぞれは、フルメッシュ型の伝送ネットワークを構成する伝送路と接続される。
【0078】
光MUX(たとえば、光MUX1202)とPXC1201との間の波長ごとの伝送路に、本実施の形態にかかる波長変換装置10が配置される。たとえば、伝送路を経て光MUX1202に入射した光は、同一波長の信号が衝突することを避けるために、波長変換装置10において信号に波長変換が施されて、PXC1201に入射される。
【0079】
図11や図12に示すように、伝送ネットワーク中に配置された交換装置に、本実施の形態にかかる波長変換装置を設ける場合、波長変換装置において、波長変換された信号光の波長(周波数)を制御し、ポンプ光発生回路12で発生するポンプ光の周波数fpを決定し、BPF19の中心周波数を、波長変換された信号光の周波数fcと一致させる必要がある。
【0080】
上記ポンプ光の周波数fpや波長変換された信号の周波数fcは、交換装置1100、1200において独立して決定しても良い。この場合には、交換装置1100、1200は、現在受信している信号光の波長を検出して、当該波長と一致しないような波長(周波数)を新たな信号光に割り当てて、新たな信号光を、割り当てた波長に波長変換する。或いは、交換装置1100は、伝送ネットワーク上に配置された他の交換装置から、伝送ネットワーク或いは他のネットワークを介して、信号光の波長の情報を受け入れ、当該受け入れた波長の情報にしたがって、交換装置1100自身で使用できる波長(周波数)を決定して、信号光を波長変換しても良い。
【0081】
また、交換装置とは別に、伝送ネットワーク中を伝送される信号光の波長(周波数)を管理する制御システムを設け、制御システムが、伝送ネットワーク中に配置される交換装置のそれぞれに対して、信号光に割り当てる周波数を通知するように構成しても良い。
【0082】
交換装置は、波長変換すべき信号光の周波数、および、波長変換された信号光の周波数を取得すると、波長変換のためのポンプ光の周波数をfc=2fp−fs(fc:波長変換された信号光の周波数、fs:波長変換すべき信号光の周波数、fp=ポンプ光の周波数)に基づいて算出する。交換装置に設けられた所定の波長変換装置においては、周波数fpのポンプ光を発生するようにポンプ光発生回路12が制御される。また、BPF19が、波長fcの周波数の信号光を出力するように、BPF19の中心周波数が制御される。
【0083】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0084】
上記本発明の実施の形態においては、ポンプ光発生回路12から出力されたポンプ光が、PBS16のX軸に対して45の直線偏光となるように、偏波コントローラ13が、ポンプ光の偏波状態を制御している。また、偏波コントローラ13における制御は、たとえば、図6に示す光カプラ41、PBS42、偏波状態観測部43、制御信号生成部44を有するポンプ光偏波制御部40で生成された制御信号により実現される。しかしながら、上記構成に限定されるものではない。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【0085】
図13に示すように、第3の実施の形態にかかる波長変換装置100は、ポンプ光発生回路12で発生したポンプ光を受け入れて、ポンプ光を、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるように、ポンプ光の偏波状態を調整する偏波調整回路113を有し、偏波調整回路113から出力された光が、光カプラ14に入射され、偏波コントローラ11から出力された信号光と合成される。本実施の形態では、ポンプ光発生回路12からは、0度の直線偏光でポンプ光が出力される。したがって、偏波調整回路113は、入射された光を45度回転させる。
【0086】
たとえば、偏波調整回路113として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用しても良い。或いは、アダプタを用いてもよい。アダプタを用いる場合には、アダプタの接続点でファイバの軸が45°回転するようにアダプタのキーを調整することで、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるように、ポンプ光の偏波状態を調整可能である。若しくは、偏波調整回路113の両端のPMFファイバを45°回転するように、融着接続することによっても、ポンプ光の偏波状態を調整可能である。
【0087】
また、本実施の形態においては、ポンプ光発生回路12と偏波調整回路113との間、偏波調整回路13と光カプラ14との間、および、光カプラ14からPBS16との間、つまり、ポンプ光発生回路12からPBS16までの伝送路(1300)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成している。これにより、ポンプ光は、PBSのX軸に対して45度の直線偏光の状態を保ったままPBS16に入射することが可能となる。
【0088】
第3の実施の形態においては、偏波調整回路によって、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるポンプ光が出力される。また、ポンプ光発生回路12からPBS16までの伝送路(1300)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成して、ポンプ光の偏波状態を保持する。したがって、第1の実施の形態や第2の実施の形態のように、ポンプ光の偏波状態を制御するための偏波コントローラ13や、偏波コントローラ13に制御信号の生成するための構成(たとえば、図6に示すポンプ光偏波制御部40)が不要となる。
【0089】
また、本発明にかかる波長変換装置は、位相変調信号および強度変調信号の双方について適用可能である。
【0090】
また、偏波多重信号については、インターリーブタイプ、および、ノンインターリーブタイプの2種類が知られている。本発明にかかる波長変換装置は、いずれのタイプの偏波多重信号に対しても適用可能である。ノンインターリーブタイプについては、X偏波とY偏波のビットの位置が一致している。その一方、インターリーブタイプは、X偏波とY偏波のビットの位置が一致しておらず、半ビット分ずらす方式である。この場合、偏波状態観測および制御信号生成に干渉検出法を用いることができない。したがって、ノンインターリーブの場合には、電気信号のクロック成分の電力をモニタすることで、制御することが可能である。
【0091】
また、前記実施の形態においては、ポンプ光発生回路12は、信号光の周波数fsと異なる周波数fpの連続光(CW光)であるポンプ光を発生しているがこれに限定されるものではない。たとえば、ポンプ光発生回路は、信号光を受け入れ、信号光のデータ変調と同期したクロック光であるポンプ光を発生しても良い。
【0092】
さらに、上記実施の形態において、ポンプ光および信号光を、増幅する光増幅器を設けても良い。図14は、本発明の第4の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図14に示す波長変換装置において、図1に示す第1の実施の形態の構成部分と同一の構成部分には同一の符号を付している。図14に示すように、第4の実施の形態にかかる波長変換装置140は、偏波コントローラ11から出力される信号光を増幅する光増幅器141と、偏波コントローラ13から出力されるポンプ光を増幅する光増幅器142を備えている。第4の実施の形態においては、光増幅器141の出力光および光増幅器142の出力光が光カプラ14に入射される。
【0093】
第4の実施の形態においては、偏波コントローラ11、13の出力側に、それぞれ光増幅器141、142を設けることにより、より高いパワーの光信号を光ループに入射することが可能となる。また、偏波コントローラの入力側に光増幅器を設け、光増幅器からの出力を偏波コントローラに入射する場合と比較すると、第4の実施の形態では、偏波コントローラの損失の影響を受けないため、その分だけ、光増幅器141,142における利得を抑えることが可能となる。
【0094】
第2の実施の形態および第3の実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、光増幅器を付加しても良い。第2の実施の形態については、図9の偏波コントローラ11からの信号光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器と、偏波コントローラ13からのポンプ光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器とを設ければよい。また、第3の実施の形態については、偏波コントローラ11からの信号光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器と、偏波調整回路113からのポンプ光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器とを設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の第1の本実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2(a)は、信号光の周波数fsおよびポンプ光の周波数fpの例を示す図、図2(b)は、PBS16の入力ポート101における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図、図2(c)および(d)は、それぞれ、PBS16の出力ポート102、103における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図である。
【図3】図3は、本実施の形態における光の偏波状態の例を説明する図である。
【図4】図4は、本実施の形態における光の偏波状態の他の例を説明する図である。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図8】図8は、本実施の形態における光の偏波状態のさらに他の例を説明する図である。
【図9】図9は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。
【図10】図10は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。
【図11】図11は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換システムを適用した例を示すブロックダイヤグラムである。
【図12】図12は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換システムを適用した他の例を示すブロックダイヤグラムである。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図14】図14は、本発明の第4の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0096】
10 波長変換装置
11 偏波コントローラ
12 ポンプ光発生回路
13 偏波コントローラ
14 光カプラ
15 光サーキュレータ
16 PBS
17 偏波調整回路
18 波長変換回路
19 BPF
20 波長変換ループ回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏波多重された信号光の波長を変換する波長変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光信号による伝送ネットワークにおいては、波長分割多重(WDM)によって、伝送路中を複数の波長の信号が多重化されて伝送される。ここでは、異なるチャンネルで同一の波長が使われると、信号の衝突が発生する。したがって、伝送ネットワーク中に配置され、複数の伝送路からの信号光を入射して、信号を重ね合わせる装置(交換装置)においては、信号の衝突を避けるために、入射した信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を重ね合わせる必要がある。
【0003】
上述した波長変換は、従来、電気信号処理を用いて実現されている。しかしながら、電気信号処理の処理速度の限界や消費電力増大などの点から、光信号処理を用いることにより、電気信号処理の問題点を解決できると期待されている。光信号処理では、光ファイバなどデバイス次第で、フェムト秒以上の応答速度があるため、伝送速度が更に高速化されても、十分な応答速度が期待される。
【0004】
たとえば、特許文献1、特許文献2には、光信号処理を用いた波長変換が提案されている。特に、特許文献1では、四光波混合(FWM)により波長変換を実現している。四光波混合とは、周波数f1、f2およびf3の3つの光を非線形デバイスに入射した際に、第4の光(周波数f4=f1+f2−f3)が発生する現象である。f1=f2であるときには、縮退四光波混合と称され、第4の光の周波数はf4=2f1−f3となる。ポンプ光の周波数をf1、波長変換される信号光の周波数をf3とすれば、周波数f4の波長変換された光を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−109598号公報
【特許文献2】特開2007−240780号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、高周波数利用効率や超高速大容量伝送の実現のために、偏波多重伝送に関する研究が進められている。偏波多重伝送では、進行方向の垂直方向において、それぞれ90度向きが異なる(たとえば、水平および垂直)2つの偏波に情報を載せる。これにより、従来の単一の偏波を用いた伝送に比べて、
2倍の情報量を伝送可能である。すなわち、同一の情報量を送る場合、従来の単一方向の偏波を用いた伝送に比べて、半分の伝送速度(シンボルレート)で伝送が可能である。
【0006】
偏波多重伝送においても、それぞれの偏波に複数の波長の信号を多重化することにより、より多くのデータ伝送が可能となる。しかしながら、今場合にも、信号の衝突を防止するために、信号光の波長変換が必要である。
【0007】
偏波多重信号に対して、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示された、単一方向の偏波のための波長変換装置を、直接、適用することは不可能である。実際には、2つの波長変換装置を用意して、偏波多重信号を一旦分離して、それぞれの偏波に対して、波長変換装置を通した上で、合波する必要がある。しかしながら、この場合には、2系統の波長変換装置を備える必要があるため、回路規模が大きくなるという問題点がある。
【0008】
本発明は、回路規模を大きくすることなく適切に信号光の波長を変換することが可能な波長変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、伝送路を伝搬した、偏波多重伝送による、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された、偏波直交多重信号の信号光を受け入れ、当該信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を出力する波長変換装置であって、
前記信号光の周波数fsと異なる波長fpのポンプ光(ただし、fc=2fp−fs fc:波長変換された信号光の周波数)を発生するポンプ光発生手段と、
前記信号光の偏波状態を制御する第1の偏波制御手段と、
前記第1の偏波制御手段から出力された信号光と、前記ポンプ光とを合波する合波手段と、
前記合波手段からの合成光を入力ポートに受け入れて、前記合成光から、第1の偏波成分と、当該第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する偏光ビームスプリッタ、前記2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ、並びに、前記波長変換ループ上に配置され、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれにおいて、四光波混合により周波数fcの光を生じさせる波長変換手段を有する波長変換ループ手段と、
前記波長変換ループ手段の前記波長変換ループ中を伝搬し、前記偏光ビームスプリッタにおいて、再度合波されて前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから出力された、前記周波数fcの信号光を含む合成光を受け入れ、前記合成光のうち周波数fcの光を通過させる帯域通過フィルタ手段と、
少なくとも3つのポートを有し、それぞれのポートが前記合波手段、前記波長変換ループ手段、および、前記帯域通過フィルタ手段と接続され、前記合波手段からの合成光を前記波長変換ループ手段に出力し、前記波長変換ループ手段からの前記周波数fcの信号光を含む合成光を前記帯域通過フィルタ手段に出力する光経路決定手段と、を備えたことを特徴とする波長変換装置により達成される。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記ポンプ光の偏波状態を制御する第2の偏波制御手段を備える。
【0011】
より好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御するとともに、
前記第2の偏波制御手段が、前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように制御する。
【0012】
別の好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御し、 前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように、前記ポンプ光を所定の角度だけ回転させるポンプ光偏波調整手段を備え、
前記ポンプ光発生手段から、前記偏光スプリッタに至るまでの伝送路が、その偏波状態を保持するように構成される。 また、好ましい実施態様においては、前記波長変換ループ手段が、前記波長変換ループ上に配置され、第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を調整する偏波調整手段を有する。
【0013】
より好ましい実施態様においては、前記偏光ビームスプリッタが、前記入力される合成光の偏波状態が維持されて、前記2つの出力ポートから、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分が出力されるように構成され、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、その偏波状態を保持するように構成され、かつ、
前記偏波調整手段が、受け入れた第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれの偏波状態を90°回転させるように構成される。
【0014】
別の好ましい実施態様においては、前記第1の偏波成分が前記偏光ビームスプリッタの第1の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、前記第2の偏波成分が第2の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、
前記偏波調整手段が、
前記第1の偏波成分が、前記第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第2のポートから出力されたときの、第2の偏波成分の偏波状態と同一となり、かつ、
前記第2の偏波成分が、前記第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第1のポートから出力されたときの、第1の偏波成分の偏波状態と同一となるように、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を制御する。
【0015】
また、好ましい実施態様においては、前記偏光ビームスプリッタが、何れか一方の偏波成分の偏波状態のみを90°回転して出力されるように構成され、かつ、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、偏波を保持するように構成される。
【0016】
好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記第1の偏波制御手段と前記合波手段との間に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備え、
前記第1の偏波制御手段の出力ポートから、前記第1の分波手段、前記合波手段、前記光経路決定手段を経て、前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートに至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成される。
【0017】
また、好ましい実施態様においては、前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段において、前記偏光ビームスプリッタの一方の出力ポートからの波長変換ループ上に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備える。
【0018】
別の好ましい実施態様においては、前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記帯域通過フィルタ手段の出力ポートからの光伝送路上に配置された第2の分波手段と、
前記第2の分波手段により分波された、波長変換された信号光を受け入れて、前記波長変換された信号光のそれぞれの偏波成分を取得する偏波取得手段と、前記偏波取得手段により取得された偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備え、
前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから、前記光経路決定手段、前記帯域通過フィルタ手段、および、前記第2の分波手段を経て、前記偏波取得手段に至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成される。
【0019】
また、好ましい実施態様においては、前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段における前記偏光ビームスプリッタの2つの出力ポートからの前記波長変換ループ上に、それぞれ配置された第2の分波手段および第3の分波手段と、
前記第2の分波手段および第3の分波手段により分波された、偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回路規模を大きくすることなく適切に信号光の波長を変換することが可能な波長変換装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の本実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。波長変換装置10は、偏波多重伝送システムの伝送路中、特に、PXC(Photonic Cross−Connect)の入出力端に隣接して配置され、入射した信号光の波長を変換して出力する。なお、波長変換装置においては、説明の便宜上、波長を取り扱うのではなく、その逆数である周波数を用いることが多い。そこで、本実施の形態においても、信号光の周波数をfs、周波数変換(波長変換)された信号光の周波数をfcと表す。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、伝送路から入力された信号光の偏波状態を制御する偏波コントローラ11、所定の波長のポンプ光を発生するポンプ光発生回路12、ポンプ光発生回路12から出力されたポンプ光の偏波状態を制御する偏波コントローラ13、信号光およびポンプ光を合波する光カプラ14、光カプラ14からの合成光を受け入れて、当該合成光を、後述する波長変換ループ回路20に出力するとともに、波長変換ループ回路からの光信号を受け入れて、受け入れた光信号を、出力側に配置された帯域通過フィルタ(BPF)19に出力する光サーキュレータ15と、を有する。また、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、光サーキュレータ15からの合成光を受け入れて、合成光に含まれる信号光の周波数を変換するための波長変換ループ回路20を有する。
【0023】
波長変換ループ回路20は、偏光ビームスプリッタ(PBS)16、偏波調整回路17および波長変換回路18を有する。
【0024】
概略的には、本実施の形態にかかる波長変換装置10は、以下のように動作する。本実施の形態においては、伝送路中を、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された偏波直交多重信号が、信号光として伝搬され、波長変換装置10に受け入れられる。
【0025】
信号光の偏波状態(SOP:State of Polarization)は、偏波直交多重信号の成分であるX偏波、若しくは、Y偏波の何れかのSOPが、PBS16のX軸と同一軸上の直線偏光となるように、偏波コントローラ11により調整される。
【0026】
偏波コントローラ11は、たとえば、1以上のλ/2板および1以上のλ/4板を有している。λ/2板およびλ/4板は、制御信号によってそれぞれ光軸を中心に回転でき、偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分の偏波の向きを同時に調整することができる。偏波コントローラ13についても同様である。なお、偏波コントローラ11、13を用いた偏波状態の制御については後に詳述する。
【0027】
ポンプ光発生回路12は、信号光の周波数fsと異なる周波数fpの連続光(CW光)であるポンプ光を発生する。偏波コントローラ13は、PBS16の出力ポートのそれぞれからの光強度が等しくなるように、ポンプ光の偏波状態(SOP)を調整する。理想的には、ポンプ光は、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となる。偏波コントローラ11から出力された信号光、および、偏波コントローラ13から出力されたポンプ光は、光カプラ14により合波される。
【0028】
光サーキュレータ15は、各ポートから受け入れた光を隣接する一方のポートから出力させる。図1に示す光サーキュレータ15は、図1おいて時計回りの方向に隣接するポートから、入力した光を出力する。たとえば、光カプラ14から出力された合成光は、光サーキュレータ15を経て、PBS16に入射される。また、PBS16から出力された光は、光サーキュレータ15を経て、BPF19に入射される。
【0029】
波長変換ループ回路20のPBS16に入射された合成光中、信号光S(fs)については、X偏波成分S1(fs)およびY偏波成分S2(fs)に分波される。また、ポンプ光S(fp)については、理想的にはPBS16のX軸に対して45度の直線偏光となっているため、PBS16の2つの出力ポートから、同一光強度の信号が出力される。PBS16の出力ポートにおいて、X偏波、Y偏波それぞれの信号光およびポンプ光の偏波状態は、同一方向の直線偏光となる。図2(a)は、信号光の周波数fsおよびポンプ光の周波数fpの例を示す図、図2(b)は、PBS16の入力ポート101における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図、図2(c)および(d)は、それぞれ、PBS16の出力ポート102、103における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図である。
【0030】
図2(b)に示すように、PBS16の入力ポート101においては、信号光のX偏波成分S1(fs)およびY偏波成分S2(fs)、および、PBS16の軸に対して45度の直線偏光となっているポンプ光S(fp)が現れる。PBS16を通過した後の出力ポート103においては、信号光のY偏波成分S2(fs)およびポンプ光のうちのY偏波成分S2(fp)が現れる。その一方、出力ポート102においては、信号光のX偏波成分S1(fs)およびポンプ光のうちのX偏波成分S1(fp)が現れる。なお、PBS16を通過する信号については、図3を参照してさらに詳細に説明する。
【0031】
波長変換ループ回路20において、PBS16からポート102に出力された光(図2(c)参照)は、時計回りにループ上の伝送路(波長変換ループ)を伝搬され、PBS16からポート103に出力された光(図2(d)参照)は、反時計回りに波長変換ループを伝搬される。時計回りの波長変換ループおよび反時計回りの波長変換ループを経て伝搬された光は、それぞれ波長変換回路18によって波長変換が施される。本実施の形態においては、四光波混合を用いた波長変換が行なわれる。
【0032】
四光波混合について以下に説明する。四光波混合とは、周波数f1、f2およびf3の3つの光を非線形デバイスに入射した際に、第4の光(周波数f4=f1+f2−f3)が発生する現象である。f1=f2であるときには、縮退四光波混合と称され、第4の光の周波数はf4=2f1−f3となる。また、四光波混合を生じさせるためには、一定の位相整合条件を満たす必要がある。
【0033】
本実施の形態においては、縮退四光波混合を用いた波長変換を実現している。図2(a)に示すように、本実施の形態では、ポンプ光(周波数fp)を上記周波数f1の光、信号光(周波数fs)を上記周波数f3の光として、波長変換された信号光(周波数fc=2fp−fs)を得る。本実施の形態では、上記四光波混合を用いた波長変換を実現するために、波長変換回路18として、高非線形ファイバ(HNLF:High Non−Linear Fiber)が用いられている。
【0034】
波長変換されたX偏波およびY偏波の光は、PBS16において再度合波される。なお、本実施の形態においては、波長変換ループ回路20の波長変換ループ上に偏波調整回路17が配置され、時計回りの波長変換ループおよび反時計回りの波長変換ループを経て伝搬される光の偏波状態が調整される。偏波調整回路17の機能についても後述する。
【0035】
PBS16において合波された光は、光サーキュレータ15を経てBPF19に入射される。BPF19は、波長変換された信号光の周波数fcの光を通過するように構成される。したがって、BPF19により波長変換された信号光のみが通過し、最終的に波長変換された信号光が出力される。BPF19から出力された、波長変換された信号光は伝送路に送出される。
【0036】
以下、本実施の形態にかかる波長変換ループ回路20について説明する。PBS16の各ポートにおいて、入出力信号の偏波の向きが規定されている。そのため、入力信号は、規定されている偏波の向きで入射する必要があり、出力信号は、規定されている偏波の向きで信号が出力される。
【0037】
たとえば、1ポート入力2ポート出力のPBSの、出力ポートの偏波状態としては、以下のような2つの態様が考えられる。
(1)偏波直交多重信号の入力信号の0°(水平)、90°(垂直)が、2出力ポートで0°、90°の偏波状態として出力される。
(2)偏波直交多重信号の入出力信号の0°、90°が、2出力ポートのいずれも0°、若しくは90°となる偏波状態として出力される。つまり、一方の成分が90°回転させられて出力される。
【0038】
本実施の形態においては、上記(1)の態様のPBS16が用いられる。図3において、入力ポートでは、信号光は、実線で示す0°の偏波(X偏波)および破線で示す90°の偏波(Y偏波)を含み(符号300参照)、PBS16を経て、反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波(Y偏波)(符号301、302参照)、および、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波(X偏波)(符号303、304参照)に分けられる。
【0039】
波長変換ループ回路20の波長変換ループを構成するジャンパケーブル中、および、波長変換回路18中で、伝搬する光(X偏波の光およびY偏波の光)の偏波状態が保持される場合を考える。たとえば、ジャンパケーブル、および、波長変換回路18を構成する高非線形ファイバ(HNLF)が、偏波保持ファイバ(PMF)で構成された場合である。
【0040】
偏波調整回路17によって、時計回りに波長変換ループを伝搬する光、および、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光を、偏波調整回路17において、その偏波状態を90°回転させることにより、それぞれを再度PBS16に入力させて合波させることが可能となる。すなわち、この場合には、偏波調整回路17によって、それぞれの光の偏波状態を90°回転させれば良い。偏波調整回路17として、λ/2板を使うことができる。或いは、偏波調整回路17として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用しても良い。
【0041】
或いは、波長板に代えて、偏波調整回路17としてアダプタを用いて、アダプタの接続点でファイバの軸が90°回転するようにアダプタのキーを調整することで、0°および90°の偏波状態を入れ替えることも可能である。
【0042】
偏波調整回路17によって、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波状態の光(符号303参照)は90°回転され(符号305参照)、また、反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波状態の光(符号301参照)も90°回転される(符号306参照)。
【0043】
また、波長変換ループを構成するジャンパケーブルおよび波長変換回路18が、PMFで構成されていない場合には、図4に示すように、時計回りに波長変換ループを伝搬する0°の偏波状態の光(符号303参照)および反時計回りに波長変換ループを伝搬する90°の偏波状態の光(符号301参照)は、ともに任意の偏波状態となる(符号402、401参照)。したがって、この場合には、偏波調整回路17として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用して、λ/2板およびλ/4板を所定の角度回転させることで、偏波状態を適切に制御する。すなわち、ジャンパケーブル等における偏波の変化分を考慮の上、PBS16のポートにおける偏波の向きが適切となるように、偏波調整回路17が偏波を調整する。
【0044】
次に、本実施の形態にかかる信号光の偏波状態を制御する偏波コントローラ11および偏波コントローラ11に対する制御信号の生成について説明する。信号光については、波長変換ループ回路20のPBS16において、偏波直交多重信号の偏波分離を適切に行うために、偏波直交多重信号のX偏波成分が、PBS16のX軸に対して直線偏光になるよう、偏波状態を制御する必要がある。Y偏波成分をPBS16のY軸に対して直線偏光とすることも同様に必要である。特に、伝送路を伝搬されてきた信号光については、常に伝送路の状態が変化し、入射される偏波直交多重信号の偏波状態が変化するため、常に偏波状態の制御が必要である。
【0045】
図5は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。図5に示すように、本実施の形態にかかる信号光偏波制御部30は、偏波コントローラ11と光カプラ14との間の伝送路上に配置された光カプラ31と、光カプラから出力された光を受け入れる偏光子32と、偏波状態観測部33と、制御信号生成部34とを有している。
【0046】
本実施の形態においては、PBS16に入射される信号光の偏波制御をするために、ポンプ光と合波するための光カプラ14より手前(上流側)に光カプラ31を設けて、その信号光をモニタしている。したがって、偏波コントローラ11の出力ポートから、その下流方向に、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートまで(符号500参照)、信号光の偏波状態が一定である必要がある。そこで、本実施の形態では、偏波コントローラ11の出力ポートから、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートまでの伝送路500を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成している。
【0047】
図5に示す信号光偏波制御部30の動作について以下に説明する。光カプラ31により、信号光が分岐され、偏光子32に入力される。偏光子32の代わりにPBSを利用しても良い。偏光子32の軸(PBSを使用している場合にはPBSの軸)は、波長変換ループ回路20のPBS16の軸と同一である。したがって、偏光子32において適切に偏波状態が制御されていれば、波長変換ループ回路20のPBS16の入力ポートにおいても、適切な偏波状態が得られることになる。
【0048】
偏光子32の出力は、偏波状態観測部33に送られて、偏波状態観測部33および制御信号生成部34により偏波コントローラ11のための制御信号が生成され、出力される。たとえば、偏波状態観測部33および制御信号生成部34は、以下のように動作する。
【0049】
PBS16で偏波分離されるべき直交偏波信号のX偏波成分およびY偏波成分が、PBS16で適切に分離されない場合には、X偏波成分およびY偏波成分が1ポートに同時に出力される。上述したようなX偏波成分およびY偏波成分を含む光を光受信器で受信した場合にはビート信号が観測される。ビート信号が発生している場合、ビート信号が発生していない場合に比べ、電気信号の電力が増加する。そこで、偏波制御状態観測部33は、光受信器および電力観測器を有し、電力の状態を示す信号を制御信号生成部34に出力する。制御信号生成部34は、電力の状態を示す信号を受信して、電力が減少するように偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する(干渉検出法)。偏波コントローラ11は、制御信号にしたがって、λ/2板およびλ/4板の角度を回転させる。
【0050】
或いは、偏波状態観測部33および制御信号生成部34は、以下のような構成を備えていても良い。たとえば、送信器において、送信信号である偏波直交信号のX偏波或いはY偏波の一方に低周波強度変調を施し、或いは、X偏波およびY偏波の双方に、異なる周波数の低周波強度変調を施して、偏波状態観測部33が低周波変調成分をモニタする。
【0051】
より具体的には、偏波状態観測部33は、光受信器を用いてX偏波或いはY偏波を電気信号として、中心周波数を低周波変調の周波数とする、電気信号用の帯域通過フィルタを通過させ、低周波変調成分のみを抽出する。次いで、その電力を、電気パワーメータなどを用いて観測する。制御信号生成部34は、上記電力が最適(最大或いは最小)になるように、偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する。
【0052】
次に、本実施の形態にかかるポンプ光の偏波状態を制御する偏波コントローラ13および偏波コントローラ13に対する制御信号の生成について説明する。
【0053】
光カプラ14において信号光と合波され、PBS16に入射するポンプ光の偏波状態は、偏波の変動状況に応じて動的に制御する必要がある。ポンプ光については、PBS16の2つの出力ポートで、光強度が等しく2つの信号が出力されるように、偏波コントローラ13が、その偏波状態を調整する。ポンプ光は、理想的には、PBS16に入射されるときに、PBS16の軸に対して45度となる直線偏光である。
【0054】
ポンプ光については、ポンプ光発生回路12とPBS16との間の物理的な距離が短く、この間のジャンパケーブルが固定され、PBS16に入力するポンプ光の偏波状態がほとんど変化しない状況においては、初期的に一度偏波状態を調整すれば十分であり、動的な制御は必要ない。しかしながら、ジャンパケーブル長が長く、PBS16に入力するポンプ光の偏波状態が変化するような環境においては、動的な制御が必要となる。本実施の形態では、偏波状態の動的な制御を行っている。
【0055】
図6は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。図6に示すように、本実施の形態にかかるポンプ光偏波制御部40は、波長変換された信号光を出力するBPF19の出力を分波する光カプラ41と、光カプラ41から出力された光を分離するPBS42と、偏波状態観測部43と、制御信号生成部44とを有している。なお、前述した図5においては、偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部30のみが記載され、この図6においては、偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部40のみが記載されている。実際には、波長変換装置10は、信号光偏波制御部30およびポンプ光偏波制御部40の双方を含んでいる。図5および図6は説明の便宜上、それぞれ一方を図示したものである。
【0056】
ポンプ光偏波制御部40は、波長変換された偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分のそれぞれの光強度を観測する。本実施の形態においては、波長変換によってX偏波成分およびY偏波成分とも波長変換される。PBS16の2つの出力ポートに等しい光強度でポンプ光が出力されていない場合は、この波長変換がX偏波およびY偏波について均等に行わない。したがって、モニタ箇所である光カプラ41においては、X偏波成分およびY偏波成分の光強度が異なる。
【0057】
そこで、ポンプ光偏波制御部40は、波長変換された偏波直交多重信号のX偏波成分およびY偏波成分の光強度が同一になるように、制御信号を生成して、偏波コントローラ13に出力する。すなわち、この実施の形態においては、偏波状態観測部43が、PBS42から出力されたX偏波成分の光強度とY偏波成分の光強度との差分値を算出する。制御信号生成部44は、偏波状態観測部43からの差分値に基づいて、当該差分値を目標値である「0」とするように偏波コントローラ13に対する制御信号を生成して出力する。
【0058】
本実施の形態のように、波長変換された信号光(BPF19の出力光)をモニタする場合には、波長変換ループ回路20のPBS16と光サーキュレータ15との間、および、光サーキュレータからBPF19、光カプラ41を経て、PBS42までの伝送路(符号600参照)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成する必要がある。これは、モニタ箇所で、周波数変換された信号光の偏波多重信号を再度、偏波分離して、X偏波成分およびY偏波成分の光強度を観測するため、モニタ用のPBS42の軸と波長変換ループ回路20のPBS16の軸を同一にする必要があるからである。
【0059】
次に、本実施の形態にかかる光中継装置における構成要素の変形例について説明する。まず、光サーキュレータの機能を実現する他の構成例について説明する。第1の実施の形態において用いられた光サーキュレータ15は、各ポートから受け入れた光を所定の隣接する一方のポートから出力させている。光サーキュレータ15の機能は光アイソレータおよび光カプラを用いても実現することができる。
【0060】
図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図7において、第1の実施の形態および第2の実施の形態にかかる波長変換装置と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0061】
図7に示すように、第2の実施の形態にかかる波長変換装置70は、光カプラ14から出力された光を受け入れて、所定の方向に出力するとともに、波長変換ループ回路20から戻ってきた光を他の所定の方向に出力する光路決定部71を備えている。光路決定部71は、光アイソレータ72および光カプラ73を有する。光アイソレータ73は、光カプラ14と光カプラ73との間に配置され、一方向の光、つまり、光カプラ14から出力された光のみを、光アイソレータ73に出力するように構成されている。その一方、光カプラ73からの光は遮断されて光カプラ14の側には出力されない。
【0062】
2入力2出力の光3dBカプラは、たとえば、2つの入力ポートに入射された光信号の光強度をa、bとした場合、2つの出力ポートにそれぞれ(a+b)/2、(a+b)/2で光強度を出力する性質を有する。これを利用して、本実施の形態にかかる光アイソレータ73では、上述したような光カプラ73を1入力2出力として用いて、1つの入力ポートに光アイソレータ72からの光を入射し、これを波長変換ループ回路20に出力する。その一方、波長変換ループ回路20から出力された光が光カプラ73に与えられると、その1/2はBPF19に出力され、残りの1/2が光アイソレータ72の側に出力される。光アイソレータ72では光カプラ73からの光は遮断される。その一方、BPF19に出力された光は、BPFにおいて周波数fcの信号のみが取り出されて出力される。
【0063】
次に、波長変換ループ回路におけるPBSの他の例について説明する。図3に示すように、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、PBS16においては、偏波直交多重信号の入力信号の0°(水平)、90°(垂直)の偏波状態が、2出力ポートで0°、90°の偏波状態として出力されている。その一方、前述したように、PBSでは、偏波直交多重信号の入出力信号の0°、90°の偏波状態が、2出力ポートのいずれも0°、若しくは90°となる偏波状態として出力されるものも存在する。
【0064】
上述したように一方の成分が90°回転されて出力されるPBSを適用する場合について説明する。図8に示すように、波長変換ループ120において、PBS116の入力ポートでは、信号光は、実線で示す0°の偏波(X偏波)および破線で示す90°の偏波(Y偏波)とを含む(符号300参照)。PBS116からは、入力ポートにおけるY偏波成分に相当する、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光が出力される(符号801参照)。符号801に示すように、この光の偏波状態はPBS116により90°回転される。また、PBS116からは、入力ポートにおけるX偏波成分に相当する、時計回りに波長変換ループを伝搬する光が出力される(符号802参照)。この光は回転されずにそのまま出力される。
【0065】
波長変換ループ回路120の波長変換ループを構成するジャンパケーブル中、および、波長変換回路18中で、伝搬する光(X偏波の光およびY偏波の光)の偏波状態が保持される場合を考える。たとえば、ジャンパケーブル、および、波長変換回路18を構成する高非線形ファイバ(HNLF)が、偏波保持ファイバ(PMF)で構成された場合である。この場合には、0°(90°)で入力された偏波は、0°(90°)のまま伝搬する。PBS116の2つの出力ポートの偏波の向きは同一であるため、PBS116の一方で出力された信号はそのまま、他方のポートに直接入力することが可能である。すなわち、波長変換ループにおける偏波調整は不要である。
【0066】
その一方、波長変換ループを構成するジャンパケーブルおよび波長変換回路18が、PMFで構成されていない場合には、反時計回りに波長変換ループを伝搬する光および時計回りに波長変換ループを伝搬する光は、ともに任意の偏波状態となる。したがって、この場合には、図4を参照して説明したように、波長変換ループ中に偏波調整回路121を配置する。偏波調整回路121は、たとえば、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上を備え、λ/2板およびλ/4板を所定の角度にすることで、偏波状態を適切に制御する。
【0067】
次に、信号光偏波制御部の他の構成例について説明する。図9は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。図9に示すように、信号光偏波制御部80は、波長変換ループ回路20の波長変換ループにおいて、PBS16と偏波制御回路17との間に配置された光カプラ81と、光カプラ81から分波された光から周波数fsの光をとりだす帯域通過フィルタ(BPF)82と、偏波状態観測部83と、制御信号生成部84とを有している。
【0068】
図9に示す信号光偏波制御部80においては、PBS16の出力ポートからの光(矢印901参照)が光カプラ81を経てBPF82に入射される。BPF82においては周波数fsの信号光が取り出され、取り出された周波数fsの信号光が偏波状態制御部83に与えられる。
【0069】
偏波状態制御部83および制御信号生成部84は、図5に示す偏波状態制御部33および制御信号生成部34と同様に動作する。すなわち、偏波制御状態観測部83は、光受信器および電力観測器を有し、電力の状態を示す信号を制御信号生成部84に出力する。制御信号生成部84は、電力の状態を示す信号を受信して、電力が減少するように偏波コントローラ11に対して制御信号を出力する。偏波コントローラ11は、制御信号にしたがって、λ/2板およびλ/4板の角度を回転させる。
【0070】
なお、図9に示す信号光偏波制御部80を備えた波長変換装置では、信号光のモニタ箇所が、波長変換ループ中のPBS16と偏波制御回路17との間である。したがって、偏波コントローラ11から波長変換ループ回路20の光カプラ81の間に至るジャンパケーブルなどを偏波保持ファイバ(PMF)で構成する必要がない。
【0071】
次に、ポンプ光偏波制御部の他の構成例について説明する。図10は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。図10に示すように、ポンプ光偏波制御部90は、波長変換ループ回路20の波長変換ループにおいて、PBS16と偏波制御回路17との間に配置された光カプラ91と、光カプラ91により分波された光から、周波数fpの光を取り出す帯域通過フィルタ(BPF)92と、波長変換ループにおいて、PBS16と波長変換回路18との間に配置された光カプラ93と、光カプラ93により分波された光から、周波数fpの光を取り出す帯域通過フィルタ(BPF)94と、偏波状態観測部95と、制御信号生成部96とを有している。
【0072】
上記構成のポンプ光偏波制御部90においては、PBS16の2つの出力ポートから出力される光の光強度を観測し、両者の光強度が等しくなるように、偏波コントローラ13を制御する。偏波状態観測部95は、BPF92およびBPF94からの光信号の光強度を測定して、その差分値を算出する。制御信号生成部96は、偏波状態観測部95からの差分値に基づいて、当該差分値を目標値である「0」とするように偏波コントローラ13に対する制御信号を生成して出力する。
【0073】
なお、図10に示すポンプ光偏波制御部90を備えた波長変換装置では、ポンプ光のモニタ箇所が、波長変換ループ中である。したがって、偏波コントローラ13から波長変換ループ回路20の光カプラ91、93の間に至るジャンパケーブルなどを偏波保持ファイバで構成する必要がない。
【0074】
図11は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換装置を適用した一例を示すブロックダイヤグラムである。図11に示す交換装置11は、一般には、リングネットワーク中に配置される。伝送ネットワークにおいて、光アドドロップを行う場合、追加する信号の波長と伝送されてきた信号の波長が同一の場合、衝突が発生する。これを回避するために、波長変換装置が、入力されてきた信号の周波数を、加えようとする回線側で、使用されていない波長に変換する。これにより、信号を追加する際の衝突を防止することが可能となる。図11の例では、伝送ネットワーク(リングネットワーク)では、波長分割多重(WDM)の信号が伝搬される。
【0075】
図11において、交換装置1100は、フォトニッククロスコネクト(PXC)1101、光マルチプレクサ(MUX)1103〜1104を備える。また、光MUX1104と、PXC1101との間の波長ごとの伝送路に、本実施の形態にかかる波長変換装置10が配置される。リング状ネットワークの伝送路(符号1111、1112参照)において、交換装置1100に入射した信号は、光MUX1102により、波長ごとに分離されPXC1101に入射される。PXC1101においては、入射された信号のうち所定の信号が、経路を変更して光MUX1105に入射され、波長多重化されて伝送路1113に送出される。
【0076】
伝送路1114を経て光MUX1104に入射した光は、PXC1101において、伝送路1111を経て入射した光に加えられる。ここで、同一波長の信号が衝突することを避けるために、波長変換装置10において信号に波長変換が施される。
【0077】
光アドドロップのみを行うリング状ネットワークならず、フルメッシュ型の光ネットワークにおいても、波長の衝突を回避するために交換装置は波長変換機能を備える必要がある。図12は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換装置を適用した他の例を示すブロックダイヤグラムである。図12に示す交換装置1200は、PXC1201および複数の光MUX(たとえば、符号1202参照)を有する。複数の光MUXのそれぞれは、フルメッシュ型の伝送ネットワークを構成する伝送路と接続される。
【0078】
光MUX(たとえば、光MUX1202)とPXC1201との間の波長ごとの伝送路に、本実施の形態にかかる波長変換装置10が配置される。たとえば、伝送路を経て光MUX1202に入射した光は、同一波長の信号が衝突することを避けるために、波長変換装置10において信号に波長変換が施されて、PXC1201に入射される。
【0079】
図11や図12に示すように、伝送ネットワーク中に配置された交換装置に、本実施の形態にかかる波長変換装置を設ける場合、波長変換装置において、波長変換された信号光の波長(周波数)を制御し、ポンプ光発生回路12で発生するポンプ光の周波数fpを決定し、BPF19の中心周波数を、波長変換された信号光の周波数fcと一致させる必要がある。
【0080】
上記ポンプ光の周波数fpや波長変換された信号の周波数fcは、交換装置1100、1200において独立して決定しても良い。この場合には、交換装置1100、1200は、現在受信している信号光の波長を検出して、当該波長と一致しないような波長(周波数)を新たな信号光に割り当てて、新たな信号光を、割り当てた波長に波長変換する。或いは、交換装置1100は、伝送ネットワーク上に配置された他の交換装置から、伝送ネットワーク或いは他のネットワークを介して、信号光の波長の情報を受け入れ、当該受け入れた波長の情報にしたがって、交換装置1100自身で使用できる波長(周波数)を決定して、信号光を波長変換しても良い。
【0081】
また、交換装置とは別に、伝送ネットワーク中を伝送される信号光の波長(周波数)を管理する制御システムを設け、制御システムが、伝送ネットワーク中に配置される交換装置のそれぞれに対して、信号光に割り当てる周波数を通知するように構成しても良い。
【0082】
交換装置は、波長変換すべき信号光の周波数、および、波長変換された信号光の周波数を取得すると、波長変換のためのポンプ光の周波数をfc=2fp−fs(fc:波長変換された信号光の周波数、fs:波長変換すべき信号光の周波数、fp=ポンプ光の周波数)に基づいて算出する。交換装置に設けられた所定の波長変換装置においては、周波数fpのポンプ光を発生するようにポンプ光発生回路12が制御される。また、BPF19が、波長fcの周波数の信号光を出力するように、BPF19の中心周波数が制御される。
【0083】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0084】
上記本発明の実施の形態においては、ポンプ光発生回路12から出力されたポンプ光が、PBS16のX軸に対して45の直線偏光となるように、偏波コントローラ13が、ポンプ光の偏波状態を制御している。また、偏波コントローラ13における制御は、たとえば、図6に示す光カプラ41、PBS42、偏波状態観測部43、制御信号生成部44を有するポンプ光偏波制御部40で生成された制御信号により実現される。しかしながら、上記構成に限定されるものではない。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【0085】
図13に示すように、第3の実施の形態にかかる波長変換装置100は、ポンプ光発生回路12で発生したポンプ光を受け入れて、ポンプ光を、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるように、ポンプ光の偏波状態を調整する偏波調整回路113を有し、偏波調整回路113から出力された光が、光カプラ14に入射され、偏波コントローラ11から出力された信号光と合成される。本実施の形態では、ポンプ光発生回路12からは、0度の直線偏光でポンプ光が出力される。したがって、偏波調整回路113は、入射された光を45度回転させる。
【0086】
たとえば、偏波調整回路113として、λ/2板およびλ/4板をそれぞれ1つ以上備えた偏波コントローラを適用しても良い。或いは、アダプタを用いてもよい。アダプタを用いる場合には、アダプタの接続点でファイバの軸が45°回転するようにアダプタのキーを調整することで、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるように、ポンプ光の偏波状態を調整可能である。若しくは、偏波調整回路113の両端のPMFファイバを45°回転するように、融着接続することによっても、ポンプ光の偏波状態を調整可能である。
【0087】
また、本実施の形態においては、ポンプ光発生回路12と偏波調整回路113との間、偏波調整回路13と光カプラ14との間、および、光カプラ14からPBS16との間、つまり、ポンプ光発生回路12からPBS16までの伝送路(1300)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成している。これにより、ポンプ光は、PBSのX軸に対して45度の直線偏光の状態を保ったままPBS16に入射することが可能となる。
【0088】
第3の実施の形態においては、偏波調整回路によって、PBS16のX軸に対して45度の直線偏光となるポンプ光が出力される。また、ポンプ光発生回路12からPBS16までの伝送路(1300)を、偏波保持ファイバ(PMF)で構成して、ポンプ光の偏波状態を保持する。したがって、第1の実施の形態や第2の実施の形態のように、ポンプ光の偏波状態を制御するための偏波コントローラ13や、偏波コントローラ13に制御信号の生成するための構成(たとえば、図6に示すポンプ光偏波制御部40)が不要となる。
【0089】
また、本発明にかかる波長変換装置は、位相変調信号および強度変調信号の双方について適用可能である。
【0090】
また、偏波多重信号については、インターリーブタイプ、および、ノンインターリーブタイプの2種類が知られている。本発明にかかる波長変換装置は、いずれのタイプの偏波多重信号に対しても適用可能である。ノンインターリーブタイプについては、X偏波とY偏波のビットの位置が一致している。その一方、インターリーブタイプは、X偏波とY偏波のビットの位置が一致しておらず、半ビット分ずらす方式である。この場合、偏波状態観測および制御信号生成に干渉検出法を用いることができない。したがって、ノンインターリーブの場合には、電気信号のクロック成分の電力をモニタすることで、制御することが可能である。
【0091】
また、前記実施の形態においては、ポンプ光発生回路12は、信号光の周波数fsと異なる周波数fpの連続光(CW光)であるポンプ光を発生しているがこれに限定されるものではない。たとえば、ポンプ光発生回路は、信号光を受け入れ、信号光のデータ変調と同期したクロック光であるポンプ光を発生しても良い。
【0092】
さらに、上記実施の形態において、ポンプ光および信号光を、増幅する光増幅器を設けても良い。図14は、本発明の第4の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。図14に示す波長変換装置において、図1に示す第1の実施の形態の構成部分と同一の構成部分には同一の符号を付している。図14に示すように、第4の実施の形態にかかる波長変換装置140は、偏波コントローラ11から出力される信号光を増幅する光増幅器141と、偏波コントローラ13から出力されるポンプ光を増幅する光増幅器142を備えている。第4の実施の形態においては、光増幅器141の出力光および光増幅器142の出力光が光カプラ14に入射される。
【0093】
第4の実施の形態においては、偏波コントローラ11、13の出力側に、それぞれ光増幅器141、142を設けることにより、より高いパワーの光信号を光ループに入射することが可能となる。また、偏波コントローラの入力側に光増幅器を設け、光増幅器からの出力を偏波コントローラに入射する場合と比較すると、第4の実施の形態では、偏波コントローラの損失の影響を受けないため、その分だけ、光増幅器141,142における利得を抑えることが可能となる。
【0094】
第2の実施の形態および第3の実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、光増幅器を付加しても良い。第2の実施の形態については、図9の偏波コントローラ11からの信号光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器と、偏波コントローラ13からのポンプ光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器とを設ければよい。また、第3の実施の形態については、偏波コントローラ11からの信号光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器と、偏波調整回路113からのポンプ光を増幅して光カプラ14に入射する増幅器とを設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の第1の本実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】図2(a)は、信号光の周波数fsおよびポンプ光の周波数fpの例を示す図、図2(b)は、PBS16の入力ポート101における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図、図2(c)および(d)は、それぞれ、PBS16の出力ポート102、103における信号光およびポンプ光の偏波状態を示す図である。
【図3】図3は、本実施の形態における光の偏波状態の例を説明する図である。
【図4】図4は、本実施の形態における光の偏波状態の他の例を説明する図である。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。
【図6】図6は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部を含むブロックダイヤグラムである。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図8】図8は、本実施の形態における光の偏波状態のさらに他の例を説明する図である。
【図9】図9は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ11への制御信号を生成する信号光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。
【図10】図10は、本実施の形態にかかる信号光の偏波コントローラ13への制御信号を生成するポンプ光偏波制御部の他の構成例を含むブロックダイヤグラムである。
【図11】図11は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換システムを適用した例を示すブロックダイヤグラムである。
【図12】図12は、偏波多重伝送システムにおいて、本実施の形態にかかる波長変換システムを適用した他の例を示すブロックダイヤグラムである。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【図14】図14は、本発明の第4の実施の形態にかかる波長変換装置の構成を示すブロックダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0096】
10 波長変換装置
11 偏波コントローラ
12 ポンプ光発生回路
13 偏波コントローラ
14 光カプラ
15 光サーキュレータ
16 PBS
17 偏波調整回路
18 波長変換回路
19 BPF
20 波長変換ループ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を伝搬した、偏波多重伝送による、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された、偏波直交多重信号の信号光を受け入れ、当該信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を出力する波長変換装置であって、
前記信号光の周波数fsと異なる波長fpのポンプ光(ただし、fc=2fp−fs fc:波長変換された信号光の周波数)を発生するポンプ光発生手段と、
前記信号光の偏波状態を制御する第1の偏波制御手段と、
前記第1の偏波制御手段から出力された信号光と、前記ポンプ光とを合波する合波手段と、
前記合波手段からの合成光を入力ポートに受け入れて、前記合成光から、第1の偏波成分と、当該第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する偏光ビームスプリッタ、前記2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ、並びに、前記波長変換ループ上に配置され、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれにおいて、四光波混合により周波数fcの光を生じさせる波長変換手段を有する波長変換ループ手段と、
前記波長変換ループ手段の前記波長変換ループ中を伝搬し、前記偏光ビームスプリッタにおいて、再度合波されて前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから出力された、前記周波数fcの信号光を含む合成光を受け入れ、前記合成光のうち周波数fcの光を通過させる帯域通過フィルタ手段と、
少なくとも3つのポートを有し、それぞれのポートが前記合波手段、前記波長変換ループ手段、および、前記帯域通過フィルタ手段と接続され、前記合波手段からの合成光を前記波長変換ループ手段に出力し、前記波長変換ループ手段からの前記周波数fcの信号光を含む合成光を前記帯域通過フィルタ手段に出力する光経路決定手段と、を備えたことを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記ポンプ光の偏波状態を制御する第2の偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御するとともに、
前記第2の偏波制御手段が、前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御し、 前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように、前記ポンプ光を所定の角度だけ回転させるポンプ光偏波調整手段を備え、
前記ポンプ光発生手段から、前記偏光スプリッタに至るまでの伝送路が、その偏波状態を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記波長変換ループ手段が、前記波長変換ループ上に配置され、第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を調整する偏波調整手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記偏光ビームスプリッタが、前記入力される合成光の偏波状態が維持されて、前記2つの出力ポートから、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分が出力されるように構成され、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、その偏波状態を保持するように構成され、かつ、
前記偏波調整手段が、受け入れた第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれの偏波状態を90°回転させるように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
【請求項7】
前記第1の偏波成分が前記偏光ビームスプリッタの第1の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、前記第2の偏波成分が第2の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、
前記偏波調整手段が、
前記第1の偏波成分が、前記第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第2のポートから出力されたときの、第2の偏波成分の偏波状態と同一となり、かつ、
前記第2の偏波成分が、前記第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第1のポートから出力されたときの、第1の偏波成分の偏波状態と同一となるように、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を制御することを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
【請求項8】
前記偏光ビームスプリッタが、何れか一方の偏波成分の偏波状態のみを90°回転して出力されるように構成され、かつ、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項9】
前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記第1の偏波制御手段と前記合波手段との間に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備え、
前記第1の偏波制御手段の出力ポートから、前記第1の分波手段、前記合波手段、前記光経路決定手段を経て、前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートに至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項10】
前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段において、前記偏光ビームスプリッタの一方の出力ポートからの波長変換ループ上に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項11】
前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記帯域通過フィルタ手段の出力ポートからの光伝送路上に配置された第2の分波手段と、
前記第2の分波手段により分波された、波長変換された信号光を受け入れて、前記波長変換された信号光のそれぞれの偏波成分を取得する偏波取得手段と、前記偏波取得手段により取得された偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備え、
前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから、前記光経路決定手段、前記帯域通過フィルタ手段、および、前記第2の分波手段を経て、前記偏波取得手段に至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の波長変換装置。
【請求項12】
前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段における前記偏光ビームスプリッタの2つの出力ポートからの前記波長変換ループ上に、それぞれ配置された第2の分波手段および第3の分波手段と、
前記第2の分波手段および第3の分波手段により分波された、偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の波長変換装置。
【請求項1】
伝送路を伝搬した、偏波多重伝送による、直交する偏波状態の2つの光信号が多重された、偏波直交多重信号の信号光を受け入れ、当該信号光の波長を変換して、波長変換された信号光を出力する波長変換装置であって、
前記信号光の周波数fsと異なる波長fpのポンプ光(ただし、fc=2fp−fs fc:波長変換された信号光の周波数)を発生するポンプ光発生手段と、
前記信号光の偏波状態を制御する第1の偏波制御手段と、
前記第1の偏波制御手段から出力された信号光と、前記ポンプ光とを合波する合波手段と、
前記合波手段からの合成光を入力ポートに受け入れて、前記合成光から、第1の偏波成分と、当該第1の偏波成分と直交する第2の偏波成分とを、2つの出力ポートに出力する偏光ビームスプリッタ、前記2つの出力ポートの間をループ状に接続した伝送路である波長変換ループ、並びに、前記波長変換ループ上に配置され、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれにおいて、四光波混合により周波数fcの光を生じさせる波長変換手段を有する波長変換ループ手段と、
前記波長変換ループ手段の前記波長変換ループ中を伝搬し、前記偏光ビームスプリッタにおいて、再度合波されて前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから出力された、前記周波数fcの信号光を含む合成光を受け入れ、前記合成光のうち周波数fcの光を通過させる帯域通過フィルタ手段と、
少なくとも3つのポートを有し、それぞれのポートが前記合波手段、前記波長変換ループ手段、および、前記帯域通過フィルタ手段と接続され、前記合波手段からの合成光を前記波長変換ループ手段に出力し、前記波長変換ループ手段からの前記周波数fcの信号光を含む合成光を前記帯域通過フィルタ手段に出力する光経路決定手段と、を備えたことを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記ポンプ光の偏波状態を制御する第2の偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御するとともに、
前記第2の偏波制御手段が、前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記第1の偏波制御手段が、前記信号光の偏波状態を、前記偏波直交多重信号の前記第1の偏波成分が、前記偏光ビームスプリッタにおける第1の軸に対して直線偏光となるよう制御し、 前記ポンプ光の偏波状態を、前記ポンプ光を含む合成光が前記偏光ビームスプリッタに入力されるときに、当該偏光ビームスプリッタにおける前記第1の軸に対して45度の直線偏光となるように、前記ポンプ光を所定の角度だけ回転させるポンプ光偏波調整手段を備え、
前記ポンプ光発生手段から、前記偏光スプリッタに至るまでの伝送路が、その偏波状態を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記波長変換ループ手段が、前記波長変換ループ上に配置され、第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を調整する偏波調整手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記偏光ビームスプリッタが、前記入力される合成光の偏波状態が維持されて、前記2つの出力ポートから、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分が出力されるように構成され、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、その偏波状態を保持するように構成され、かつ、
前記偏波調整手段が、受け入れた第1の偏波成分および第2の偏波成分のそれぞれの偏波状態を90°回転させるように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
【請求項7】
前記第1の偏波成分が前記偏光ビームスプリッタの第1の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、前記第2の偏波成分が第2の出力ポートから出力されて、前記波長変換ループ上を伝搬して、前記偏光ビームスプリッタの第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力され、
前記偏波調整手段が、
前記第1の偏波成分が、前記第2のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第2のポートから出力されたときの、第2の偏波成分の偏波状態と同一となり、かつ、
前記第2の偏波成分が、前記第1のポートにおいて再度偏光ビームスプリッタに入力されるときに、その偏波状態が、前記第1のポートから出力されたときの、第1の偏波成分の偏波状態と同一となるように、前記第1の偏波成分および第2の偏波成分の偏波状態を制御することを特徴とする請求項5に記載の波長変換装置。
【請求項8】
前記偏光ビームスプリッタが、何れか一方の偏波成分の偏波状態のみを90°回転して出力されるように構成され、かつ、
前記波長変換ループを構成するジャンパケーブル、および、前記波長変換手段が、偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項9】
前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記第1の偏波制御手段と前記合波手段との間に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備え、
前記第1の偏波制御手段の出力ポートから、前記第1の分波手段、前記合波手段、前記光経路決定手段を経て、前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートに至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項10】
前記第1の偏波制御手段に対する第1の制御信号を生成する信号光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段において、前記偏光ビームスプリッタの一方の出力ポートからの波長変換ループ上に配置された第1の分波手段と、
前記第1の分波手段により分波された信号光を受け入れて、前記信号光の偏波状態に基づく指標値を算出する第1の偏波状態観測手段と、前記第1の偏波状態観測手段により算出された指標値に基づいて、前記指標値が最適となるように、前記第1の偏波制御手段を制御する第1の制御信号を生成する信号光制御信号生成手段と、を有する信号光偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の波長変換装置。
【請求項11】
前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記帯域通過フィルタ手段の出力ポートからの光伝送路上に配置された第2の分波手段と、
前記第2の分波手段により分波された、波長変換された信号光を受け入れて、前記波長変換された信号光のそれぞれの偏波成分を取得する偏波取得手段と、前記偏波取得手段により取得された偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備え、
前記波長変換ループ手段の前記偏光ビームスプリッタの入力ポートから、前記光経路決定手段、前記帯域通過フィルタ手段、および、前記第2の分波手段を経て、前記偏波取得手段に至るまでの光経路が、その偏波を保持するように構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の波長変換装置。
【請求項12】
前記第2の偏波制御手段に対する第2の制御信号を生成するポンプ光偏波制御手段であって、
前記波長変換ループ手段における前記偏光ビームスプリッタの2つの出力ポートからの前記波長変換ループ上に、それぞれ配置された第2の分波手段および第3の分波手段と、
前記第2の分波手段および第3の分波手段により分波された、偏波成分のそれぞれの光強度に基づく指標値を算出する第2の偏波状態観測手段と、前記第2の偏波状態観測手段により算出された前記指標値が最適となるように、前記第2の偏波制御手段を制御する第2の制御信号を生成するポンプ光制御信号生成手段と、を有するポンプ光偏波制御手段を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の波長変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−66428(P2010−66428A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231674(P2008−231674)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】
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