波長多重装置および検出方法
【課題】波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出すること。
【解決手段】信号選択部は、光信号の波長多重を行う。入力側OCMは、波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する。出力側OCMは、波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する。検出部は、入力側OCMおよび出力側OCMによって取得された各スペクトルの差分に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。
【解決手段】信号選択部は、光信号の波長多重を行う。入力側OCMは、波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する。出力側OCMは、波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する。検出部は、入力側OCMおよび出力側OCMによって取得された各スペクトルの差分に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信トラヒックの増大に伴い、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)技術をベースとした光伝送ネットワークの構築が進んでいる。より柔軟なネットワークを構築するために、端局装置、中継装置や、光の波長単位で光信号の分岐挿入を行うOADM(Optical Add Drop Multiplexer:光挿入分岐装置)などの開発および導入が進んでいる。
【0003】
このような光伝送ネットワークでは、波長多重を行うための波長多重フィルタがキーデバイスとなっている。波長多重フィルタにおいては、電源断、電源故障、温度制御回路故障、デバイス不良、経年劣化などの原因によって波長透過特性がずれる。波長多重フィルタの波長透過特性がずれると、信号品質が低下する。
【0004】
このため、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを早期に検出して、アラームを発出したり、波長透過特性のずれを修正したり、プロテクションなどで正常な状態に復帰させることが求められる。波長透過特性のずれの検出方法としては、End−to−endでのエラーの増加や、測定用波長によるフィルタ透過損失の増加や、温度制御回路の電源などを監視する方法が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−78085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができないという問題がある。たとえば、エラーの増加を監視する方法では、波長透過特性のずれによるエラーの増加と、波長透過特性のずれ以外の要因によるエラーの増加と、を切り分けることができない。
【0007】
また、測定用波長によるフィルタ透過損失の増加を監視する方法では、信号波長における波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができない。また、温度制御回路の電源を監視する方法では、間接的な監視であるため、たとえば経年劣化による波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができない。
【0008】
開示の波長多重装置および検出方法は、上述した問題点を解消するものであり、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の波長多重装置および検出方法によれば、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるOADMの構成例を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図3】波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号の損失を示すグラフである。
【図4】OCMの構成例1を示す図である。
【図5】OCMの構成例2を示す図である。
【図6】OCMの構成例3を示す図である。
【図7】40Gbpsの光信号の入力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図8】40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図9】10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その1)である。
【図10】10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その2)である。
【図11】波長多重フィルタの波長透過特性のずれと光信号のペナルティの関係を示すグラフである。
【図12】閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。
【図13】実施の形態1にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。
【図15】光信号の種別の判定例1を示す図である。
【図16】光信号の種別の判定例2を示す図である。
【図17】実施の形態2にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図18】閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。
【図19】実施の形態2にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。
【図21】通信システムの回線における信号断の発生例を示す図である。
【図22】実施の形態3にかかるOADMの構成例を示す図である。
【図23】実施の形態3にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図24】実施の形態4にかかるTERMの構成例を示す図である。
【図25】実施の形態4にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図26】40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図27】40Gbpsの光信号の反転スペクトルの例を示すグラフである。
【図28】実施の形態4にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図29】実施の形態5にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図30】実施の形態5にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図31】実施の形態6にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図32】実施の形態6にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるOADMの構成例を示す図である。図1に示すOADM100は、実施の形態1にかかる波長多重装置である。図1に示すように、OADM100は、カプラ111,112と、受信部120と、信号選択部130と、多重分離部140と、受信器151〜15nと、送信器161〜16nと、多重化部170と、送信部180と、入力側OCM191(Optical Channel Monitor:光チャネルモニタ)と、出力側OCM192と、を備えている。
【0014】
OADM100には、波長多重されたWDM光信号が入力される。カプラ111は、OADM100へ入力されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を受信部120および入力側OCM191へ出力する。受信部120は、カプラ111から出力されたWDM光信号を受信して増幅する。受信部120は、増幅したWDM光信号を信号選択部130へ出力する。
【0015】
信号選択部130は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを含む。具体的には、信号選択部130は、受信部120から出力されたWDM光信号のチャネルごとの信号選択を行う。たとえば、信号選択部130は、受信部120から出力されたWDM光信号を分岐する。そして、信号選択部130は、分岐した各WDM光信号の一方を多重分離部140へ出力する。また、信号選択部130は、分岐した各WDM光信号の他方と、多重化部170から出力されたWDM光信号と、の間でチャネルごとの信号選択を行い、信号選択を行ったWDM光信号を送信部180へ出力する。
【0016】
多重分離部140は、信号選択部130から出力されたWDM光信号を多重分離し、多重分離した各光信号を受信器151〜15nへ出力する。受信器151〜15nのそれぞれは、多重分離部140から送信された光信号を受信する。これにより、受信部120によって受信されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を受信(ドロップ)することができる。送信器161〜16nは、それぞれ異なる波長の光信号を多重化部170へ出力する。多重化部170は、送信器161〜16nから出力された各光信号を多重化し、多重化したWDM光信号を信号選択部130へ出力する。
【0017】
送信部180は、信号選択部130から出力されたWDM光信号を増幅し、増幅したWDM光信号をOADM100の後段へ送信する。カプラ112は、送信部180によって送信されたWDM光信号の一部を分岐して出力側OCM192へ出力する。
【0018】
入力側OCM191は、信号選択部130(波長多重フィルタ)へ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部である。具体的には、入力側OCM191は、カプラ111から出力されたWDM光信号に含まれる各光信号について、光信号の各波長におけるパワー(スペクトル)をモニタする。入力側OCM191は、モニタ結果を信号選択部130へ出力する。
【0019】
出力側OCM192は、信号選択部130(波長多重フィルタ)から出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部である。具体的には、出力側OCM192は、カプラ112から出力されたWDM光信号に含まれる各光信号について、光信号の各波長におけるパワー(スペクトル)をモニタする。出力側OCM192は、モニタ結果を信号選択部130へ出力する。
【0020】
なお、カプラ111を受信部120の前段に設ける構成について説明したが、カプラ111を受信部120と信号選択部130との間に設ける構成としてもよい。また、カプラ112を送信部180の後段に設ける構成について説明したが、カプラ112を信号選択部130と送信部180との間に設ける構成としてもよい。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図2に示すように、信号選択部130は、カプラ210と、多重分離部221,222と、スイッチ231〜23mと、可変減衰器241〜24mと、多重化部250と、減衰量制御部260と、閾値記憶部270と、検出部280と、フィルタ制御部290と、を備えている。
【0022】
カプラ210は、受信部120から出力されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を多重分離部140(図1参照)および多重分離部221へ出力する。多重分離部221は、カプラ210から出力されたWDM光信号を多重分離する。多重分離部221は、多重分離した各光信号をそれぞれスイッチ231〜23mへ出力する。多重分離部222は、多重化部170(図1参照)から出力されたWDM光信号を多重分離する。多重分離部222は、多重分離した各光信号をそれぞれスイッチ231〜23mへ出力する。
【0023】
スイッチ231〜23mのそれぞれは、多重分離部221から出力された光信号と、多重分離部222から出力された光信号と、のいずれかを選択する。スイッチ231〜23mは、選択した光信号をそれぞれ可変減衰器241〜24mへ出力する。スイッチ231〜23mを制御することによって、受信部120によって受信されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を後段へ出力(スルー)することができる。また、スイッチ231〜23mを制御することによって、多重分離部222から出力されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を後段へ出力(アド)することができる。
【0024】
可変減衰器241〜24mは、それぞれスイッチ231〜23mから出力された光信号を、減衰量制御部260の制御にしたがって減衰させる。可変減衰器241〜24mのそれぞれは、減衰させた光信号を多重化部250へ出力する。多重化部250は、可変減衰器241〜24mから出力された各光信号を多重化する。多重化部250は、多重化したWDM光信号を送信部180へ出力する。
【0025】
ここで、多重分離部221や多重化部250は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタである。これらの波長多重フィルタには、外部の制御によって波長透過特性をシフトさせることができるフィルタを用いる。たとえば、波長多重フィルタには、AWG(Array Waveguide Gratings)などの温度で波長透過特性を制御できるフィルタを用いることができる。
【0026】
または、波長多重フィルタには、WSS(Wavelength Selectable Switch)の液晶タイプなどを用いてもよい。または、波長多重フィルタには、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの電圧あるいは電流で波長透過特性を制御できるフィルタなどを用いてもよい。
【0027】
減衰量制御部260は、出力側OCM192から出力された各チャネルのパワーに基づいて、各チャネルのパワーが目標値となるように可変減衰器241〜24mの各減衰量を制御する。または、減衰量制御部260は、出力側OCM192から出力された各チャネルのパワーと、入力側OCM191から出力された各チャネルのパワーと、に基づいて、各チャネルの利得が目標値となるように各減衰量を制御してもよい。
【0028】
閾値記憶部270は、光信号の種別ごとの閾値を記憶している(たとえば図12参照)。検出部280は、入力側OCM191および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、OADM100における波長多重フィルタ(たとえば多重分離部221および多重化部250)の波長透過特性のずれを検出する検出部である。
【0029】
また、検出部280は、入力側OCM191および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、波長透過特性のずれの方向(波長方向)を検出するようにしてもよい。また、検出部280は、閾値記憶部270に記憶されている閾値を超える波長透過特性のずれを検出するようにしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果をフィルタ制御部290へ出力する。
【0030】
フィルタ制御部290は、検出部280から出力された検出結果に基づいて波長多重フィルタ(たとえば多重分離部221および多重化部250)の波長透過特性を制御する特性制御部である。たとえば、フィルタ制御部290は、検出部280によって検出されたずれの方向の反対方向に、波長多重フィルタの波長透過特性をシフトさせる。
【0031】
図3は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号の損失を示すグラフである。図3において、横軸は波長を示している。横軸の波長λsは、光信号の波長(中心波長)を示している。縦軸は光信号の損失を示している。特性301は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタに波長透過特性のずれがない場合における光信号の損失の特性を示している。特性301に示すように、波長多重フィルタに波長透過特性のずれがない場合は、光信号の波長λsにおいて光信号の損失が最小(L0)となる。
【0032】
特性302は、波長多重フィルタの波長透過特性が長波長側にずれた場合における光信号の損失の特性を示している。特性303は、波長多重フィルタの波長透過特性が短波長側にずれた場合における光信号の損失の特性を示している。特性302,303に示すように、波長多重フィルタに波長透過特性のずれがある場合は、光信号の波長λsにおいて損失L1(>L0)が発生する。このように、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタに波長透過特性のずれが発生すると、光信号の損失が増加する。
【0033】
図4は、OCMの構成例1を示す図である。図4においては入力側OCM191の構成例について説明するが、出力側OCM192の構成についても同様である。図4に示すように、入力側OCM191は、回折格子410と、PDアレイ420と、を備えている。回折格子410は、入力側OCM191へ入力された光信号を、波長ごとに空間的に分波する。回折格子410によって分波された各光信号はPDアレイ420へ出力される。
【0034】
PDアレイ420は、複数のPDを備えており、回折格子410によって分波された各波長の光をそれぞれ複数のPDで受光する。また、PDアレイ420は、複数のPDにおける受光パワーを示す各信号を出力する。これにより、入力側OCM191へ入力された光信号の各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。また、各波長のパワーを同時にモニタできるため、精度の高いスペクトルを得ることができる。
【0035】
図5は、OCMの構成例2を示す図である。図5においては入力側OCM191の構成例について説明するが、出力側OCM192の構成についても同様である。図5に示すように、入力側OCM191は、可変フィルタ510と、PD520と、を備えてもよい。可変フィルタ510は、入力側OCM191へ入力された光信号をPD520へ透過させる。また、可変フィルタ510は、光信号を透過させる帯域を時間的に変化させる。
【0036】
PD520は、可変フィルタ510を透過した光信号を受光し、受光パワーを示す信号を出力する。これにより、入力側OCM191へ入力された光信号の各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。可変フィルタ510には、たとえば、ヒータで薄膜の屈折率を変えて波長透過特性を変化させるフィルタや、機械的に薄膜を動かして波長透過特性を変化させるフィルタなどを用いることができる。これにより、少ないPDで入力側OCM191を実現できるため、入力側OCM191の低コスト化を図ることができる。
【0037】
図6は、OCMの構成例3を示す図である。図6において、図5に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図1に示した入力側OCM191および出力側OCM192は、図6に示すOCM600によって実現されてもよい。OCM600は、スイッチ610と、可変フィルタ510と、PD520と、を備えている。
【0038】
スイッチ610は、カプラ111から出力された光信号と、カプラ112から出力された光信号と、を時間的に切り替えて可変フィルタ510へ出力する。可変フィルタ510は、スイッチ610から出力された光信号を透過させる。これにより、カプラ111,112から出力された各光信号について各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。これにより、1つのOCM600によって入力側OCM191および出力側OCM192を実現することができる。
【0039】
図7は、40Gbpsの光信号の入力側OCMによる測定例を示すグラフである。図7および図8においては、信号選択部130へ入力されるWDM光信号に含まれる40Gbpsの光信号についての測定例を示す。図7において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル710は、入力側OCM191へ入力される40Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0040】
測定点711〜715は、入力側OCM191による測定点である。測定点711〜715の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、入力側OCM191によって測定される測定点711〜715のパワー(ピークに対する相対値。以下同様)をそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。
【0041】
図8は、40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。図8において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーおよび透過率を示している。スペクトル810は、出力側OCM192へ入力される光信号に含まれる40Gbpsの光信号のスペクトルである。測定点811〜815は出力側OCM192による測定点である。
【0042】
測定点811〜815の波長は、それぞれ入力側OCM191の測定点711〜715と同じi−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、出力側OCM192によって測定される測定点811〜815のパワー(ピークに対する相対値。以下同様)をそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0043】
波長透過特性820は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの光信号に対する波長透過特性を示している。図8に示す例では、波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、波長透過特性820において透過率が最も高くなる波長821は、光信号の中心波長λsより短波長側にずれる。
【0044】
このため、スペクトル810は、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。したがって、測定点814が示すパワーPout(i+1)は、図7の測定点714が示すパワーPin(i+1)より小さくなる。また、測定点815が示すパワーPout(i+2)は、図7の測定点715が示すパワーPin(i+2)より小さくなる。
【0045】
なお、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル810は、スペクトル710とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0046】
図9は、10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その1)である。図9および図10においては、信号選択部130へ入力されるWDM光信号に含まれる10Gbpsの光信号についての測定例を示す。図9において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル910は、入力側OCM191へ入力される10Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0047】
測定点911〜915は、入力側OCM191による測定点である。測定点911〜915の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、測定点911〜915のパワーをそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。
【0048】
図10は、10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その2)である。図10において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル1010は、出力側OCM192へ入力されるWDM光信号に含まれる10Gbpsの光信号のスペクトルである。測定点1011〜1015は、出力側OCM192による測定点である。
【0049】
測定点1011〜1015の波長は、それぞれ入力側OCM191の測定点911〜915と同じ波長i−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、測定点1011〜1015のパワーをそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0050】
図10に示す例では、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、スペクトル1010は、スペクトル810と同様に、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。したがって、測定点1014が示すパワーPout(i+1)は、図9の測定点914が示すパワーPin(i+1)より小さくなる。また、測定点1015が示すパワーPout(i+2)は、図9の測定点915が示すパワーPin(i+2)より小さくなる。
【0051】
なお、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル1010は、スペクトル910とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0052】
図11は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれと光信号のペナルティの関係を示すグラフである。図11において、横軸は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタにおける波長透過特性のずれを示している。縦軸は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号のペナルティ(たとえばQ値)を示している。ペナルティ許容値1110は、システムで規定された光信号のペナルティの許容値である。
【0053】
特性1101は、40GbpsのDPSK(Differential Phase Shift Keying)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。特性1102は、40GbpsのDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。特性1103は、10GbpsのNRZ(Non Return to Zero)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。
【0054】
閾値TH_a1〜TH_c1は、波長透過特性のずれの閾値である。具体的には、閾値TH_a1は、特性1101において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。閾値TH_b1は、特性1102において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。閾値TH_c1は、特性1103において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。
【0055】
特性1101〜1103に示すように、波長透過特性のずれに対するペナルティの特性は、光信号の信号速度や変調方式などの種別によって異なる。このため、閾値TH_a1〜TH_c1に示すように、光信号がペナルティ許容値1110に達する波長透過特性のずれの大きさも、光信号の信号速度や変調方式などの種別によって異なる。図11の例では、閾値TH_a1が最も小さく、閾値TH_c1が最も大きくなっている。
【0056】
図12は、閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。信号選択部130の閾値記憶部270(たとえば図2参照)は、たとえば図12に示すテーブル1200を記憶する。テーブル1200においては、光信号の種別と閾値が対応付けられている。具体的には、10GbpsのNRZには閾値TH_c1が対応付けられている。また、40GbpsのDQPSKには閾値TH_b1が対応付けられている。40GbpsのDPSKには閾値TH_a1が対応付けられている。テーブル1200は、たとえば図11に示した特性1101〜1103およびペナルティ許容値1110に基づいてあらかじめ作成され、閾値記憶部270に記憶される。
【0057】
図13は、実施の形態1にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図2参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、フィルタ制御部290が、対象の光信号の種別を判定する(ステップS1301)。
【0058】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(入力スペクトル)を入力側OCM191から取得する(ステップS1302)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)を取得する。
【0059】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(出力スペクトル)を出力側OCM192から取得する(ステップS1303)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)を取得する。
【0060】
つぎに、検出部280が、ステップS1302によって取得されたスペクトルと、ステップS1303によって取得されたスペクトルと、に基づいて対象の光信号の入力パワーと出力パワーの差分を算出する(ステップS1304)。
【0061】
つぎに、検出部280が、ステップS1301によって判定された光信号の種別に対応する閾値を閾値記憶部270から取得する(ステップS1305)。つぎに、検出部280が、ステップS1304によって算出された差分が、ステップS1305によって取得された閾値より大きいか否かを判断する(ステップS1306)。差分が閾値より大きくない場合(ステップS1306:No)は、一連の処理を終了する。
【0062】
ステップS1306において、差分が閾値より大きい場合(ステップS1306:Yes)は、検出部280は、ペナルティ許容値1110を超える波長多重フィルタの波長透過特性のずれが発生したと判断し、ステップS1307へ移行する。すなわち、検出部280は、ステップS1302によって取得されたスペクトルと、ステップS1303によって取得されたスペクトルと、の差分に基づいて、波長透過特性のずれの方向が短波長方向か否かを判断する(ステップS1307)。
【0063】
たとえば、検出部280は、Pin(i+2)>Pout(i+2)かつPin(i−2)≦Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が短波長方向であると判断する。また、検出部280は、Pin(i+2)≦Pout(i+2)かつPin(i−2)>Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が長波長方向であると判断する。
【0064】
ステップS1307において、波長透過特性のずれの方向が短波長方向である場合(ステップS1307:Yes)は、フィルタ制御部290が、波長多重フィルタの波長透過特性を長波長側にシフトさせ(ステップS1308)、一連の処理を終了する。たとえば、フィルタ制御部290は、多重分離部221および多重化部250の少なくとも一方の波長透過特性を長波長側にシフトさせる。
【0065】
ステップS1307において、波長透過特性のずれの方向が短波長方向でない場合(ステップS1307:No)は、フィルタ制御部290が、波長多重フィルタの波長透過特性を短波長側にシフトさせ(ステップS1309)、一連の処理を終了する。たとえば、フィルタ制御部290は、多重分離部221および多重化部250の少なくとも一方の波長透過特性を短波長側にシフトさせる。
【0066】
ここでは、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーを取得する場合について説明したが、一般的には、光信号の波長i−x,…,i,…,i+xにおける各パワーを取得すればよい(上記はx=2の例)。また、ステップS1307において、ずれの方向が判断できない場合には、一連の処理を終了するようにしてもよい。
【0067】
また、ステップS1306において入力パワーと出力パワーの差分と閾値とを比較する場合について説明したが、可変減衰器241〜24Mでレベル一定制御している場合は、可変減衰器241〜24Mの損失量と閾値とを比較してもよい。
【0068】
図14は、OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。図14に示す通信システム1400は、図1に示したOADM100を適用した通信システムである。通信システム1400は、OADM1411〜1415と、送信器1420と、受信器1430と、を含んでいる。OADM1411〜1415は互いにリング状に接続されている。
【0069】
送信器1420はOADM1411に接続されている。受信器1430はOADM1414に接続されている。図1に示したOADM100は、OADM1411〜1415の少なくともいずれかに適用することができる。通信システム1400においては、送信器1420が送信した光信号を、OADM1411,1412,1413,1414の順に中継し、受信器1430によって受信する回線1401が設定されている。
【0070】
図15は、光信号の種別の判定例1を示す図である。図15において、図15に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。通信システム1400は、オペレーションシステム1510(OpS)によって通信状態を管理される。オペレーションシステム1510は、OADM1411〜1415のそれぞれに対して、伝送する光信号の種別を含む制御信号を送信する。
【0071】
たとえば図13に示したステップS1301において、フィルタ制御部290は、オペレーションシステム1510によって送信された制御信号に基づいて、対象の光信号の種別を判定する。このように、フィルタ制御部290は、上位システムであるオペレーションシステム1510からの制御信号に基づいて光信号の種別を判定することができる。
【0072】
図16は、光信号の種別の判定例2を示す図である。図16において、図7または図9に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。スペクトル710およびスペクトル910に示すように、光信号のスペクトルは光信号の種別によって異なる。このため、検出部280は、光信号の各種別のスペクトルをあらかじめ記憶しておき、入力側OCM191や出力側OCM192から出力された各波長のパワー(スペクトル)に基づいて光信号の種別を判定することができる。
【0073】
このように、実施の形態1にかかるOADM100によれば、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを直接検出することができる。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0074】
また、各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれの方向を検出し、検出したずれの方向に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出結果をユーザに通知する通知部をOADM100に設けてもよい。これにより、ユーザは、波長多重フィルタの波長透過特性の調整や波長多重フィルタの交換などを行うことができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる波長多重装置の構成例は、図1に示したOADM100と同様である。
【0077】
図17は、実施の形態2にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図17において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図17に示すように、実施の形態2にかかる信号選択部130においては、図2に示したフィルタ制御部290を省いた構成にしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果を減衰量制御部260へ出力する。
【0078】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、減衰量制御部260は、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。
【0079】
図18は、閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。信号選択部130の閾値記憶部270(たとえば図17参照)は、たとえば図18に示すテーブル1800を記憶する。テーブル1800においては、光信号の種別とフィルタ制御閾値が対応付けられている。具体的には、10GbpsのNRZには閾値TH_c2が対応付けられている。また、40GbpsのDQPSKには閾値TH_b2が対応付けられている。40GbpsのDPSKには閾値TH_a2が対応付けられている。テーブル1800は、たとえば図11に示した特性1101〜1103およびシステムで許容されたペナルティ許容値に基づいてあらかじめ作成され、閾値記憶部270に記憶される。
【0080】
図19は、実施の形態2にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280および減衰量制御部260(たとえば図17参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。図19に示すステップS1901〜S1906は、図13に示したステップS1301〜S1306と同様である。ステップS1906において、差分が閾値より大きい場合(ステップS1906:Yes)は、減衰量制御部260は、対象の光信号を遮断し(ステップS1907)、一連の処理を終了する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれが閾値を超えたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0081】
図20は、OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。図20において、図14に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示す通信システム1400は、図17に示した信号選択部130を備えるOADM100を適用した通信システムである。図20に示す通信システム1400は、冗長回線を有する。通信システム1400は、図14に示した構成に加えてカプラ2010およびスイッチ2020を含んでいる。
【0082】
カプラ2010は、送信器1420から送信された光信号を分岐する。カプラ2010によって分岐された光信号は、OADM1411,1415,1414の順に中継する回線2001と、OADM1411,1412,1413,1414の順に中継する回線2002と、によってOADM1414へ送信される。
【0083】
スイッチ2020は、回線2001によってOADM1414へ送信された光信号と、回線2002によってOADM1414へ送信された光信号と、のいずれかを受信器1430へ出力する。受信器1430は、スイッチ2020から出力された光信号を受信する。ここでは、スイッチ2020は、回線2001によってOADM1414へ送信された光信号を受信器1430へ出力している。この場合は、回線2001が現用回線となり、回線2002が冗長回線となる。
【0084】
図21は、通信システムの回線における信号断の発生例を示す図である。図21において、図20に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示した通信システム1400において、回線2001に信号断が発生したとする。回線2001の信号断は、たとえばスイッチ2020によって検出される。
【0085】
スイッチ2020は、回線2001における信号断を検出すると、回線2002によってOADM1414へ送信された光信号を受信器1430へ出力する。これにより、送信器1420と受信器1430との間の回線を回線2001から回線2002に切り替え、送信器1420と受信器1430との間の通信を継続することができる。
【0086】
このような冗長回線を有する通信システム1400において、たとえばOADM1415の検出部280が、波長多重フィルタの波長透過特性の閾値を超えるずれを検出したとする。この場合は、OADM1411の減衰量制御部260が、閾値を超えるずれが検出された光信号を遮断する。これにより、回線2001において信号断となり、送信器1420と受信器1430との間の回線がスイッチ2020によって回線2001から回線2002に切り替えられる。
【0087】
このように、実施の形態2にかかるOADM100は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0088】
また、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断することで、波長透過特性がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。たとえば、冗長構成を有する通信システム(たとえば図20に示した通信システム1400)に適用することで、波長透過特性がずれた場合に他の回線に切り替え、通信品質を向上させることができる。また、冗長構成がない通信システムにおいても、波長透過特性がずれた状態で光信号の送信を継続することを回避することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(実施の形態3)
図22は、実施の形態3にかかるOADMの構成例を示す図である。図22において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図22に示すように、実施の形態3にかかるOADM100は、図1に示した構成に加えてOSC送信部2210、カプラ2220およびOSC受信部2230を備えている。この場合は、図1に示した入力側OCM191を省いてもよい。
【0090】
出力側OCM192は、モニタ結果を信号選択部130およびOSC送信部2210へ出力する。OSC送信部2210は、出力側OCM192から出力されたモニタ結果をOSC(Optical Supervisor Channel:監視専用チャネル)信号としてカプラ2220へ出力する。カプラ112は、送信部180から出力されたWDM光信号をカプラ2220へ出力する。
【0091】
カプラ2220は、カプラ112から出力されたWDM光信号に、OSC送信部2210から出力されたOSC信号を合波し、合波したWDM光信号をOADM100の後段へ送信する。これにより、波長多重フィルタから出力された光信号のモニタ結果をOADM100の後段の通信装置へ送信することができる。
【0092】
また、OADM100の前段の通信装置でも同様に、波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルをモニタし、モニタ結果を含むOSC信号をOADM100へ送信する。カプラ111は、OADM100の前段の通信装置から送信されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を受信部120およびOSC受信部2230へ出力する。
【0093】
OSC受信部2230は、信号選択部130(波長多重フィルタ)へ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部である。具体的には、OSC受信部2230は、カプラ111から出力された光信号に含まれるOSC信号を受信する。OSC受信部2230は、受信したOSC信号に含まれるスペクトルを信号選択部130へ出力する。
【0094】
図23は、実施の形態3にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図23において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図23に示すように、検出部280は、OSC受信部2230および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、OADM100における波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。
【0095】
このように、実施の形態3にかかるOADM100は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0096】
また、OADM100は、波長多重フィルタの前における光信号のスペクトルを、光信号を送信した通信装置から受信することによって取得する。これにより、たとえば波長多重フィルタの前における光信号のスペクトルをモニタする入力側OCM191を設けなくても、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0097】
(実施の形態4)
図24は、実施の形態4にかかるTERMの構成例を示す図である。図24において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図24に示すTERM2400は、実施の形態4にかかる波長多重装置である。TERM2400は、WDM光信号を送信する送信ノード(ターミナルノード)である。TERM2400は、カプラ112と、信号選択部130と、送信器161〜16nと、多重化部170と、送信部180と、出力側OCM192と、を備えている。
【0098】
図25は、実施の形態4にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図25において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図25に示すように、信号選択部130は、多重分離部222と、可変減衰器241〜24mと、多重化部250と、減衰量制御部260と、閾値記憶部270と、検出部280と、フィルタ制御部290と、を備えている。
【0099】
多重分離部222は、多重分離した各光信号をそれぞれ可変減衰器241〜24mへ出力する。可変減衰器241〜24mは、それぞれ多重分離部222から出力された各光信号を、減衰量制御部260の制御にしたがって減衰させる。
【0100】
検出部280は、出力側OCM192によって取得されたスペクトルを、光信号の中心波長λs(たとえばITU−grid)を中心に波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する算出部である。また、検出部280は、出力側OCM192によって取得されたスペクトルと、算出した反転スペクトルと、の差分に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部である。
【0101】
図26は、40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。図26および図27においては、信号選択部130から出力されるWDM光信号に含まれる40Gbpsの光信号についての測定例を示す。図26において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル2610は、出力側OCM192へ入力される40Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0102】
測定点2611〜2615は、出力側OCM192による測定点である。測定点2611〜2615の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、出力側OCM192によって測定される測定点2611〜2615のパワーをそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。図26に示す例では、波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、スペクトル2610は、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。このため、スペクトル2610は、中心波長λsを中心として非対称な波形になる。
【0103】
図27は、40Gbpsの光信号の反転スペクトルの例を示すグラフである。図27において、図26に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図27において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。反転スペクトル2710は、図26に示したスペクトル2610を、光信号の中心波長λsを中心として波長方向に反転させた反転スペクトルを示している。
【0104】
測定点2711〜2715は、検出部280によってパワーが算出される測定点である。測定点2711〜2715の波長は、それぞれ測定点2611〜2615と同じi−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、検出部280によって算出される測定点2711〜2715のパワーをそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0105】
スペクトル2610は中心波長λsを中心として非対称な波形であるため、反転スペクトル2710とスペクトル2610は異なる波形になる。具体的には、スペクトル2610は中心波長λsより長波長側のパワーが減衰しているため、中心波長λsより長波長側においてはスペクトル2610のパワーより反転スペクトル2710のパワーの方が高くなる。一方、中心波長λsより短波長側においては反転スペクトル2710のパワーよりスペクトル2610のパワーの方が高い。
【0106】
したがって、測定点2714が示すパワーPout(i+1)は、測定点2614が示すパワーPin(i+1)より高くなる。また、測定点2715が示すパワーPout(i+2)は、図26の測定点2615が示すパワーPin(i+2)より高くなる。
【0107】
なお、多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル2610は、中心波長λsを中心として対称な波形になる。このため、反転スペクトル2710は、スペクトル2610とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0108】
図28は、実施の形態4にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図25参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、フィルタ制御部290が、対象の光信号の種別を判定する(ステップS2801)。
【0109】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(出力スペクトル)を出力側OCM192から取得する(ステップS2802)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)を取得する。
【0110】
つぎに、検出部280が、ステップS2802によって取得されたスペクトルの反転演算を行う(ステップS2803)。ステップS2803による反転演算によって、検出部280は、たとえば光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)を算出する。
【0111】
つぎに、検出部280が、ステップS2802によって取得されたスペクトルと、ステップS2803によって得られた反転スペクトルと、に基づいて対象の光信号の入力スペクトルと反転スペクトル(各スペクトル)のパワーの差分を算出する(ステップS2804)。
【0112】
図28に示すステップS2805〜S2809は、図13に示したステップS1305〜S1309と同様であるため説明を省略する。ただし、ステップS2807において、検出部280は、Pin(i+2)>Pout(i+2)かつPin(i−2)≦Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が短波長方向であると判断する。また、検出部280は、Pin(i+2)≦Pout(i+2)かつPin(i−2)>Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が長波長方向であると判断する。
【0113】
このように、実施の形態4にかかるTERM2400は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの後における光信号のスペクトルを取得し、取得したスペクトルを波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する。そして、取得したスペクトルと算出した反転スペクトルとの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0114】
また、各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれの方向を検出し、検出したずれの方向に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システムの信頼性を向上させることができる。
【0115】
(実施の形態5)
実施の形態5にかかる波長多重装置の構成例は、図24に示したTERM2400と同様である。
【0116】
図29は、実施の形態5にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図29において、図25に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図29に示すように、実施の形態5にかかる信号選択部130においては、図25に示したフィルタ制御部290を省いた構成にしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果を減衰量制御部260へ出力する。
【0117】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、減衰量制御部260は、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。閾値記憶部270に記憶される閾値については、図18に示したテーブル1800と同様である。
【0118】
図30は、実施の形態5にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280および減衰量制御部260(たとえば図29参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。図30に示すステップS3001〜S3006は、図28に示したステップS2801〜S2806と同様である。ステップS3006において、差分が閾値より大きい場合(ステップS3006:Yes)は、減衰量制御部260は、対象の光信号を遮断し(ステップS3007)、一連の処理を終了する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれが閾値を超えたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0119】
このように、実施の形態5にかかるTERM2400は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの後における光信号のスペクトルを取得し、取得したスペクトルを波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する。そして、取得したスペクトルと算出した反転スペクトルとの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0120】
また、検出された波長多重フィルタの波長透過特性のずれに基づいて光信号を遮断することで、波長透過特性がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。たとえば、冗長構成を有する通信システムに適用することで、波長透過特性がずれた場合に他の回線に切り替え、通信品質を向上させることができる。また、冗長構成がない通信システムにおいても、波長透過特性がずれた状態で光信号の送信を継続することを回避することができる。このため、通信システムの信頼性を向上させることができる。
【0121】
(実施の形態6)
実施の形態6にかかる波長多重装置の構成例は、図24に示したTERM2400と同様である。
【0122】
図31は、実施の形態6にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図31において、図25に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図31に示すように、実施の形態6にかかる信号選択部130においては、検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果をフィルタ制御部290および減衰量制御部260のいずれかへ出力する。
【0123】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。
【0124】
図32は、実施の形態6にかかる処理の一例を示すフローチャートである。減衰量制御部260、検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図31参照)は、WDM光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、検出部280が、対象のWDM光信号に含まれる各チャネルについて、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出処理を行う(ステップS3201)。
【0125】
ステップS3201は、たとえば図28に示したステップS2801〜S2806を各チャネルについて行うことによって実現することができる。たとえば、ステップS2806において、差分が閾値より大きい場合は対象のチャネルについて波長多重フィルタの波長透過特性のずれがあると判定する。一方、差分が閾値以下である場合は対象のチャネルについて波長多重フィルタの波長透過特性のずれがないと判定する。
【0126】
つぎに、検出部280が、ステップS3201において少なくともいずれかのチャネルについて波長透過特性のずれが検出されたか否かを判断する(ステップS3202)。いずれのチャネルについても波長透過特性のずれが検出されていない場合(ステップS3202:No)は、一連の処理を終了する。
【0127】
ステップS3202において、少なくともいずれかのチャネルについて波長透過特性のずれが検出された場合(ステップS3202:Yes)は、検出部280が、ステップS3201において1チャネルのみで波長透過特性のずれが検出されたか否かを判断する(ステップS3203)。1チャネルのみで波長透過特性のずれが検出された場合(ステップS3203:Yes)は、減衰量制御部260が、光源の波長がずれたと判断し、ステップS3204へ移行する。すなわち、減衰量制御部260は、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断し(ステップS3204)、一連の処理を終了する。
【0128】
ステップS3203において複数のチャネルで波長透過特性のずれが検出されている場合(ステップS3203:No)は、減衰量制御部260が、波長多重フィルタの波長透過特性がずれたと判断し、ステップS3205へ移行する。図32に示すステップS3205〜S3207は、図28に示したステップS2807〜S2809と同様であるため説明を省略する。
【0129】
このように、実施の形態6にかかるTERM2400は、信号選択部130(波長多重フィルタ)から出力される複数のチャネルの各光信号について、波長透過特性のずれの検出処理を行う。波長多重フィルタの波長透過特性がずれた場合は、通常、複数のチャネルにおいて波長透過特性がずれる。このため、1のチャネルのみにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、光源の波長がずれたと考えられる。したがって、1のチャネルのみにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断する。これにより、光源の波長がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0130】
また、複数のチャネルにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長多重フィルタの波長透過特性がずれたと考えられる。これは、通常、光源の波長はチャネルごとに制御されているためである。したがって、複数のチャネルにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0131】
以上説明したように、波長多重装置および検出方法によれば、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができる。なお、上述した各実施の形態においては、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタとしてOADM100やTERM2400を例示した。ただし、波長多重フィルタは、OADM100やTERM2400に限らず、光信号の波長多重を行い、波長透過特性を有するフィルタであればよい。
【0132】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、
前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【0134】
(付記2)前記検出部は、前記ずれの方向を検出し、
前記検出部によって検出された方向に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性を制御する特性制御部を備えることを特徴とする付記1に記載の波長多重装置。
【0135】
(付記3)前記検出部によって前記ずれが検出された場合に前記光信号を遮断する遮断制御部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の波長多重装置。
【0136】
(付記4)前記入力側取得部は、前記入力される光信号のスペクトルを、前記光信号を送信した通信装置から受信して取得することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【0137】
(付記5)前記検出部による検出結果をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【0138】
(付記6)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルと、前記算出部によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【0139】
(付記7)前記検出部は、前記波長多重フィルタから出力される複数のチャネルの各光信号について前記ずれの検出処理を行い、
前記検出部によって1のチャネルのみの前記ずれが検出された場合に前記1のチャネルの光信号を遮断する遮断制御部と、
前記検出部によって複数のチャネルの前記ずれが検出された場合に前記波長多重フィルタの透過特性を制御する特性制御部と、
を備えることを特徴とする付記6に記載の波長多重装置。
【0140】
(付記8)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する第1取得工程と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程および前記第2取得工程によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【0141】
(付記9)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルと、前記算出工程によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【符号の説明】
【0142】
111,112,210,2010,2220 カプラ
120 受信部
140,221,222 多重分離部
170,250 多重化部
180 送信部
241〜24m 可変減衰器
410 回折格子
420 PDアレイ
711〜715,811〜815,911〜915,1011〜1015,2611〜2615,2711〜2715 測定点
820 波長透過特性
1400 通信システム
1401,2001,2002 回線
2710 反転スペクトル
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信トラヒックの増大に伴い、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)技術をベースとした光伝送ネットワークの構築が進んでいる。より柔軟なネットワークを構築するために、端局装置、中継装置や、光の波長単位で光信号の分岐挿入を行うOADM(Optical Add Drop Multiplexer:光挿入分岐装置)などの開発および導入が進んでいる。
【0003】
このような光伝送ネットワークでは、波長多重を行うための波長多重フィルタがキーデバイスとなっている。波長多重フィルタにおいては、電源断、電源故障、温度制御回路故障、デバイス不良、経年劣化などの原因によって波長透過特性がずれる。波長多重フィルタの波長透過特性がずれると、信号品質が低下する。
【0004】
このため、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを早期に検出して、アラームを発出したり、波長透過特性のずれを修正したり、プロテクションなどで正常な状態に復帰させることが求められる。波長透過特性のずれの検出方法としては、End−to−endでのエラーの増加や、測定用波長によるフィルタ透過損失の増加や、温度制御回路の電源などを監視する方法が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−78085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができないという問題がある。たとえば、エラーの増加を監視する方法では、波長透過特性のずれによるエラーの増加と、波長透過特性のずれ以外の要因によるエラーの増加と、を切り分けることができない。
【0007】
また、測定用波長によるフィルタ透過損失の増加を監視する方法では、信号波長における波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができない。また、温度制御回路の電源を監視する方法では、間接的な監視であるため、たとえば経年劣化による波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができない。
【0008】
開示の波長多重装置および検出方法は、上述した問題点を解消するものであり、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の波長多重装置および検出方法によれば、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかるOADMの構成例を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図3】波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号の損失を示すグラフである。
【図4】OCMの構成例1を示す図である。
【図5】OCMの構成例2を示す図である。
【図6】OCMの構成例3を示す図である。
【図7】40Gbpsの光信号の入力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図8】40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図9】10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その1)である。
【図10】10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その2)である。
【図11】波長多重フィルタの波長透過特性のずれと光信号のペナルティの関係を示すグラフである。
【図12】閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。
【図13】実施の形態1にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。
【図15】光信号の種別の判定例1を示す図である。
【図16】光信号の種別の判定例2を示す図である。
【図17】実施の形態2にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図18】閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。
【図19】実施の形態2にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図20】OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。
【図21】通信システムの回線における信号断の発生例を示す図である。
【図22】実施の形態3にかかるOADMの構成例を示す図である。
【図23】実施の形態3にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図24】実施の形態4にかかるTERMの構成例を示す図である。
【図25】実施の形態4にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図26】40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。
【図27】40Gbpsの光信号の反転スペクトルの例を示すグラフである。
【図28】実施の形態4にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図29】実施の形態5にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図30】実施の形態5にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【図31】実施の形態6にかかる信号選択部の構成例を示す図である。
【図32】実施の形態6にかかる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるOADMの構成例を示す図である。図1に示すOADM100は、実施の形態1にかかる波長多重装置である。図1に示すように、OADM100は、カプラ111,112と、受信部120と、信号選択部130と、多重分離部140と、受信器151〜15nと、送信器161〜16nと、多重化部170と、送信部180と、入力側OCM191(Optical Channel Monitor:光チャネルモニタ)と、出力側OCM192と、を備えている。
【0014】
OADM100には、波長多重されたWDM光信号が入力される。カプラ111は、OADM100へ入力されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を受信部120および入力側OCM191へ出力する。受信部120は、カプラ111から出力されたWDM光信号を受信して増幅する。受信部120は、増幅したWDM光信号を信号選択部130へ出力する。
【0015】
信号選択部130は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを含む。具体的には、信号選択部130は、受信部120から出力されたWDM光信号のチャネルごとの信号選択を行う。たとえば、信号選択部130は、受信部120から出力されたWDM光信号を分岐する。そして、信号選択部130は、分岐した各WDM光信号の一方を多重分離部140へ出力する。また、信号選択部130は、分岐した各WDM光信号の他方と、多重化部170から出力されたWDM光信号と、の間でチャネルごとの信号選択を行い、信号選択を行ったWDM光信号を送信部180へ出力する。
【0016】
多重分離部140は、信号選択部130から出力されたWDM光信号を多重分離し、多重分離した各光信号を受信器151〜15nへ出力する。受信器151〜15nのそれぞれは、多重分離部140から送信された光信号を受信する。これにより、受信部120によって受信されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を受信(ドロップ)することができる。送信器161〜16nは、それぞれ異なる波長の光信号を多重化部170へ出力する。多重化部170は、送信器161〜16nから出力された各光信号を多重化し、多重化したWDM光信号を信号選択部130へ出力する。
【0017】
送信部180は、信号選択部130から出力されたWDM光信号を増幅し、増幅したWDM光信号をOADM100の後段へ送信する。カプラ112は、送信部180によって送信されたWDM光信号の一部を分岐して出力側OCM192へ出力する。
【0018】
入力側OCM191は、信号選択部130(波長多重フィルタ)へ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部である。具体的には、入力側OCM191は、カプラ111から出力されたWDM光信号に含まれる各光信号について、光信号の各波長におけるパワー(スペクトル)をモニタする。入力側OCM191は、モニタ結果を信号選択部130へ出力する。
【0019】
出力側OCM192は、信号選択部130(波長多重フィルタ)から出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部である。具体的には、出力側OCM192は、カプラ112から出力されたWDM光信号に含まれる各光信号について、光信号の各波長におけるパワー(スペクトル)をモニタする。出力側OCM192は、モニタ結果を信号選択部130へ出力する。
【0020】
なお、カプラ111を受信部120の前段に設ける構成について説明したが、カプラ111を受信部120と信号選択部130との間に設ける構成としてもよい。また、カプラ112を送信部180の後段に設ける構成について説明したが、カプラ112を信号選択部130と送信部180との間に設ける構成としてもよい。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図2に示すように、信号選択部130は、カプラ210と、多重分離部221,222と、スイッチ231〜23mと、可変減衰器241〜24mと、多重化部250と、減衰量制御部260と、閾値記憶部270と、検出部280と、フィルタ制御部290と、を備えている。
【0022】
カプラ210は、受信部120から出力されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を多重分離部140(図1参照)および多重分離部221へ出力する。多重分離部221は、カプラ210から出力されたWDM光信号を多重分離する。多重分離部221は、多重分離した各光信号をそれぞれスイッチ231〜23mへ出力する。多重分離部222は、多重化部170(図1参照)から出力されたWDM光信号を多重分離する。多重分離部222は、多重分離した各光信号をそれぞれスイッチ231〜23mへ出力する。
【0023】
スイッチ231〜23mのそれぞれは、多重分離部221から出力された光信号と、多重分離部222から出力された光信号と、のいずれかを選択する。スイッチ231〜23mは、選択した光信号をそれぞれ可変減衰器241〜24mへ出力する。スイッチ231〜23mを制御することによって、受信部120によって受信されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を後段へ出力(スルー)することができる。また、スイッチ231〜23mを制御することによって、多重分離部222から出力されたWDM光信号に含まれる任意のチャネルの光信号を後段へ出力(アド)することができる。
【0024】
可変減衰器241〜24mは、それぞれスイッチ231〜23mから出力された光信号を、減衰量制御部260の制御にしたがって減衰させる。可変減衰器241〜24mのそれぞれは、減衰させた光信号を多重化部250へ出力する。多重化部250は、可変減衰器241〜24mから出力された各光信号を多重化する。多重化部250は、多重化したWDM光信号を送信部180へ出力する。
【0025】
ここで、多重分離部221や多重化部250は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタである。これらの波長多重フィルタには、外部の制御によって波長透過特性をシフトさせることができるフィルタを用いる。たとえば、波長多重フィルタには、AWG(Array Waveguide Gratings)などの温度で波長透過特性を制御できるフィルタを用いることができる。
【0026】
または、波長多重フィルタには、WSS(Wavelength Selectable Switch)の液晶タイプなどを用いてもよい。または、波長多重フィルタには、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの電圧あるいは電流で波長透過特性を制御できるフィルタなどを用いてもよい。
【0027】
減衰量制御部260は、出力側OCM192から出力された各チャネルのパワーに基づいて、各チャネルのパワーが目標値となるように可変減衰器241〜24mの各減衰量を制御する。または、減衰量制御部260は、出力側OCM192から出力された各チャネルのパワーと、入力側OCM191から出力された各チャネルのパワーと、に基づいて、各チャネルの利得が目標値となるように各減衰量を制御してもよい。
【0028】
閾値記憶部270は、光信号の種別ごとの閾値を記憶している(たとえば図12参照)。検出部280は、入力側OCM191および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、OADM100における波長多重フィルタ(たとえば多重分離部221および多重化部250)の波長透過特性のずれを検出する検出部である。
【0029】
また、検出部280は、入力側OCM191および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、波長透過特性のずれの方向(波長方向)を検出するようにしてもよい。また、検出部280は、閾値記憶部270に記憶されている閾値を超える波長透過特性のずれを検出するようにしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果をフィルタ制御部290へ出力する。
【0030】
フィルタ制御部290は、検出部280から出力された検出結果に基づいて波長多重フィルタ(たとえば多重分離部221および多重化部250)の波長透過特性を制御する特性制御部である。たとえば、フィルタ制御部290は、検出部280によって検出されたずれの方向の反対方向に、波長多重フィルタの波長透過特性をシフトさせる。
【0031】
図3は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号の損失を示すグラフである。図3において、横軸は波長を示している。横軸の波長λsは、光信号の波長(中心波長)を示している。縦軸は光信号の損失を示している。特性301は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタに波長透過特性のずれがない場合における光信号の損失の特性を示している。特性301に示すように、波長多重フィルタに波長透過特性のずれがない場合は、光信号の波長λsにおいて光信号の損失が最小(L0)となる。
【0032】
特性302は、波長多重フィルタの波長透過特性が長波長側にずれた場合における光信号の損失の特性を示している。特性303は、波長多重フィルタの波長透過特性が短波長側にずれた場合における光信号の損失の特性を示している。特性302,303に示すように、波長多重フィルタに波長透過特性のずれがある場合は、光信号の波長λsにおいて損失L1(>L0)が発生する。このように、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタに波長透過特性のずれが発生すると、光信号の損失が増加する。
【0033】
図4は、OCMの構成例1を示す図である。図4においては入力側OCM191の構成例について説明するが、出力側OCM192の構成についても同様である。図4に示すように、入力側OCM191は、回折格子410と、PDアレイ420と、を備えている。回折格子410は、入力側OCM191へ入力された光信号を、波長ごとに空間的に分波する。回折格子410によって分波された各光信号はPDアレイ420へ出力される。
【0034】
PDアレイ420は、複数のPDを備えており、回折格子410によって分波された各波長の光をそれぞれ複数のPDで受光する。また、PDアレイ420は、複数のPDにおける受光パワーを示す各信号を出力する。これにより、入力側OCM191へ入力された光信号の各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。また、各波長のパワーを同時にモニタできるため、精度の高いスペクトルを得ることができる。
【0035】
図5は、OCMの構成例2を示す図である。図5においては入力側OCM191の構成例について説明するが、出力側OCM192の構成についても同様である。図5に示すように、入力側OCM191は、可変フィルタ510と、PD520と、を備えてもよい。可変フィルタ510は、入力側OCM191へ入力された光信号をPD520へ透過させる。また、可変フィルタ510は、光信号を透過させる帯域を時間的に変化させる。
【0036】
PD520は、可変フィルタ510を透過した光信号を受光し、受光パワーを示す信号を出力する。これにより、入力側OCM191へ入力された光信号の各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。可変フィルタ510には、たとえば、ヒータで薄膜の屈折率を変えて波長透過特性を変化させるフィルタや、機械的に薄膜を動かして波長透過特性を変化させるフィルタなどを用いることができる。これにより、少ないPDで入力側OCM191を実現できるため、入力側OCM191の低コスト化を図ることができる。
【0037】
図6は、OCMの構成例3を示す図である。図6において、図5に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図1に示した入力側OCM191および出力側OCM192は、図6に示すOCM600によって実現されてもよい。OCM600は、スイッチ610と、可変フィルタ510と、PD520と、を備えている。
【0038】
スイッチ610は、カプラ111から出力された光信号と、カプラ112から出力された光信号と、を時間的に切り替えて可変フィルタ510へ出力する。可変フィルタ510は、スイッチ610から出力された光信号を透過させる。これにより、カプラ111,112から出力された各光信号について各波長のパワー(スペクトル)を得ることができる。これにより、1つのOCM600によって入力側OCM191および出力側OCM192を実現することができる。
【0039】
図7は、40Gbpsの光信号の入力側OCMによる測定例を示すグラフである。図7および図8においては、信号選択部130へ入力されるWDM光信号に含まれる40Gbpsの光信号についての測定例を示す。図7において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル710は、入力側OCM191へ入力される40Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0040】
測定点711〜715は、入力側OCM191による測定点である。測定点711〜715の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、入力側OCM191によって測定される測定点711〜715のパワー(ピークに対する相対値。以下同様)をそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。
【0041】
図8は、40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。図8において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーおよび透過率を示している。スペクトル810は、出力側OCM192へ入力される光信号に含まれる40Gbpsの光信号のスペクトルである。測定点811〜815は出力側OCM192による測定点である。
【0042】
測定点811〜815の波長は、それぞれ入力側OCM191の測定点711〜715と同じi−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、出力側OCM192によって測定される測定点811〜815のパワー(ピークに対する相対値。以下同様)をそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0043】
波長透過特性820は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの光信号に対する波長透過特性を示している。図8に示す例では、波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、波長透過特性820において透過率が最も高くなる波長821は、光信号の中心波長λsより短波長側にずれる。
【0044】
このため、スペクトル810は、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。したがって、測定点814が示すパワーPout(i+1)は、図7の測定点714が示すパワーPin(i+1)より小さくなる。また、測定点815が示すパワーPout(i+2)は、図7の測定点715が示すパワーPin(i+2)より小さくなる。
【0045】
なお、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル810は、スペクトル710とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0046】
図9は、10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その1)である。図9および図10においては、信号選択部130へ入力されるWDM光信号に含まれる10Gbpsの光信号についての測定例を示す。図9において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル910は、入力側OCM191へ入力される10Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0047】
測定点911〜915は、入力側OCM191による測定点である。測定点911〜915の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、測定点911〜915のパワーをそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。
【0048】
図10は、10Gbpsの光信号のOCMによる測定例を示すグラフ(その2)である。図10において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル1010は、出力側OCM192へ入力されるWDM光信号に含まれる10Gbpsの光信号のスペクトルである。測定点1011〜1015は、出力側OCM192による測定点である。
【0049】
測定点1011〜1015の波長は、それぞれ入力側OCM191の測定点911〜915と同じ波長i−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、測定点1011〜1015のパワーをそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0050】
図10に示す例では、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、スペクトル1010は、スペクトル810と同様に、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。したがって、測定点1014が示すパワーPout(i+1)は、図9の測定点914が示すパワーPin(i+1)より小さくなる。また、測定点1015が示すパワーPout(i+2)は、図9の測定点915が示すパワーPin(i+2)より小さくなる。
【0051】
なお、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル1010は、スペクトル910とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0052】
図11は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれと光信号のペナルティの関係を示すグラフである。図11において、横軸は、多重分離部221や多重化部250などの波長多重フィルタにおける波長透過特性のずれを示している。縦軸は、波長多重フィルタの波長透過特性のずれによる光信号のペナルティ(たとえばQ値)を示している。ペナルティ許容値1110は、システムで規定された光信号のペナルティの許容値である。
【0053】
特性1101は、40GbpsのDPSK(Differential Phase Shift Keying)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。特性1102は、40GbpsのDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。特性1103は、10GbpsのNRZ(Non Return to Zero)の光信号における、波長多重フィルタの波長透過特性のずれに対するペナルティの特性を示している。
【0054】
閾値TH_a1〜TH_c1は、波長透過特性のずれの閾値である。具体的には、閾値TH_a1は、特性1101において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。閾値TH_b1は、特性1102において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。閾値TH_c1は、特性1103において光信号がペナルティ許容値1110に達する波長多重フィルタの波長透過特性のずれの大きさに相当する。
【0055】
特性1101〜1103に示すように、波長透過特性のずれに対するペナルティの特性は、光信号の信号速度や変調方式などの種別によって異なる。このため、閾値TH_a1〜TH_c1に示すように、光信号がペナルティ許容値1110に達する波長透過特性のずれの大きさも、光信号の信号速度や変調方式などの種別によって異なる。図11の例では、閾値TH_a1が最も小さく、閾値TH_c1が最も大きくなっている。
【0056】
図12は、閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。信号選択部130の閾値記憶部270(たとえば図2参照)は、たとえば図12に示すテーブル1200を記憶する。テーブル1200においては、光信号の種別と閾値が対応付けられている。具体的には、10GbpsのNRZには閾値TH_c1が対応付けられている。また、40GbpsのDQPSKには閾値TH_b1が対応付けられている。40GbpsのDPSKには閾値TH_a1が対応付けられている。テーブル1200は、たとえば図11に示した特性1101〜1103およびペナルティ許容値1110に基づいてあらかじめ作成され、閾値記憶部270に記憶される。
【0057】
図13は、実施の形態1にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図2参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、フィルタ制御部290が、対象の光信号の種別を判定する(ステップS1301)。
【0058】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(入力スペクトル)を入力側OCM191から取得する(ステップS1302)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)を取得する。
【0059】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(出力スペクトル)を出力側OCM192から取得する(ステップS1303)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)を取得する。
【0060】
つぎに、検出部280が、ステップS1302によって取得されたスペクトルと、ステップS1303によって取得されたスペクトルと、に基づいて対象の光信号の入力パワーと出力パワーの差分を算出する(ステップS1304)。
【0061】
つぎに、検出部280が、ステップS1301によって判定された光信号の種別に対応する閾値を閾値記憶部270から取得する(ステップS1305)。つぎに、検出部280が、ステップS1304によって算出された差分が、ステップS1305によって取得された閾値より大きいか否かを判断する(ステップS1306)。差分が閾値より大きくない場合(ステップS1306:No)は、一連の処理を終了する。
【0062】
ステップS1306において、差分が閾値より大きい場合(ステップS1306:Yes)は、検出部280は、ペナルティ許容値1110を超える波長多重フィルタの波長透過特性のずれが発生したと判断し、ステップS1307へ移行する。すなわち、検出部280は、ステップS1302によって取得されたスペクトルと、ステップS1303によって取得されたスペクトルと、の差分に基づいて、波長透過特性のずれの方向が短波長方向か否かを判断する(ステップS1307)。
【0063】
たとえば、検出部280は、Pin(i+2)>Pout(i+2)かつPin(i−2)≦Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が短波長方向であると判断する。また、検出部280は、Pin(i+2)≦Pout(i+2)かつPin(i−2)>Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が長波長方向であると判断する。
【0064】
ステップS1307において、波長透過特性のずれの方向が短波長方向である場合(ステップS1307:Yes)は、フィルタ制御部290が、波長多重フィルタの波長透過特性を長波長側にシフトさせ(ステップS1308)、一連の処理を終了する。たとえば、フィルタ制御部290は、多重分離部221および多重化部250の少なくとも一方の波長透過特性を長波長側にシフトさせる。
【0065】
ステップS1307において、波長透過特性のずれの方向が短波長方向でない場合(ステップS1307:No)は、フィルタ制御部290が、波長多重フィルタの波長透過特性を短波長側にシフトさせ(ステップS1309)、一連の処理を終了する。たとえば、フィルタ制御部290は、多重分離部221および多重化部250の少なくとも一方の波長透過特性を短波長側にシフトさせる。
【0066】
ここでは、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーを取得する場合について説明したが、一般的には、光信号の波長i−x,…,i,…,i+xにおける各パワーを取得すればよい(上記はx=2の例)。また、ステップS1307において、ずれの方向が判断できない場合には、一連の処理を終了するようにしてもよい。
【0067】
また、ステップS1306において入力パワーと出力パワーの差分と閾値とを比較する場合について説明したが、可変減衰器241〜24Mでレベル一定制御している場合は、可変減衰器241〜24Mの損失量と閾値とを比較してもよい。
【0068】
図14は、OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。図14に示す通信システム1400は、図1に示したOADM100を適用した通信システムである。通信システム1400は、OADM1411〜1415と、送信器1420と、受信器1430と、を含んでいる。OADM1411〜1415は互いにリング状に接続されている。
【0069】
送信器1420はOADM1411に接続されている。受信器1430はOADM1414に接続されている。図1に示したOADM100は、OADM1411〜1415の少なくともいずれかに適用することができる。通信システム1400においては、送信器1420が送信した光信号を、OADM1411,1412,1413,1414の順に中継し、受信器1430によって受信する回線1401が設定されている。
【0070】
図15は、光信号の種別の判定例1を示す図である。図15において、図15に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。通信システム1400は、オペレーションシステム1510(OpS)によって通信状態を管理される。オペレーションシステム1510は、OADM1411〜1415のそれぞれに対して、伝送する光信号の種別を含む制御信号を送信する。
【0071】
たとえば図13に示したステップS1301において、フィルタ制御部290は、オペレーションシステム1510によって送信された制御信号に基づいて、対象の光信号の種別を判定する。このように、フィルタ制御部290は、上位システムであるオペレーションシステム1510からの制御信号に基づいて光信号の種別を判定することができる。
【0072】
図16は、光信号の種別の判定例2を示す図である。図16において、図7または図9に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。スペクトル710およびスペクトル910に示すように、光信号のスペクトルは光信号の種別によって異なる。このため、検出部280は、光信号の各種別のスペクトルをあらかじめ記憶しておき、入力側OCM191や出力側OCM192から出力された各波長のパワー(スペクトル)に基づいて光信号の種別を判定することができる。
【0073】
このように、実施の形態1にかかるOADM100によれば、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを直接検出することができる。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0074】
また、各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれの方向を検出し、検出したずれの方向に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出結果をユーザに通知する通知部をOADM100に設けてもよい。これにより、ユーザは、波長多重フィルタの波長透過特性の調整や波長多重フィルタの交換などを行うことができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる波長多重装置の構成例は、図1に示したOADM100と同様である。
【0077】
図17は、実施の形態2にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図17において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図17に示すように、実施の形態2にかかる信号選択部130においては、図2に示したフィルタ制御部290を省いた構成にしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果を減衰量制御部260へ出力する。
【0078】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、減衰量制御部260は、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。
【0079】
図18は、閾値記憶部に記憶される閾値の一例を示す図である。信号選択部130の閾値記憶部270(たとえば図17参照)は、たとえば図18に示すテーブル1800を記憶する。テーブル1800においては、光信号の種別とフィルタ制御閾値が対応付けられている。具体的には、10GbpsのNRZには閾値TH_c2が対応付けられている。また、40GbpsのDQPSKには閾値TH_b2が対応付けられている。40GbpsのDPSKには閾値TH_a2が対応付けられている。テーブル1800は、たとえば図11に示した特性1101〜1103およびシステムで許容されたペナルティ許容値に基づいてあらかじめ作成され、閾値記憶部270に記憶される。
【0080】
図19は、実施の形態2にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280および減衰量制御部260(たとえば図17参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。図19に示すステップS1901〜S1906は、図13に示したステップS1301〜S1306と同様である。ステップS1906において、差分が閾値より大きい場合(ステップS1906:Yes)は、減衰量制御部260は、対象の光信号を遮断し(ステップS1907)、一連の処理を終了する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれが閾値を超えたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0081】
図20は、OADMを適用した通信システムの一例を示す図である。図20において、図14に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示す通信システム1400は、図17に示した信号選択部130を備えるOADM100を適用した通信システムである。図20に示す通信システム1400は、冗長回線を有する。通信システム1400は、図14に示した構成に加えてカプラ2010およびスイッチ2020を含んでいる。
【0082】
カプラ2010は、送信器1420から送信された光信号を分岐する。カプラ2010によって分岐された光信号は、OADM1411,1415,1414の順に中継する回線2001と、OADM1411,1412,1413,1414の順に中継する回線2002と、によってOADM1414へ送信される。
【0083】
スイッチ2020は、回線2001によってOADM1414へ送信された光信号と、回線2002によってOADM1414へ送信された光信号と、のいずれかを受信器1430へ出力する。受信器1430は、スイッチ2020から出力された光信号を受信する。ここでは、スイッチ2020は、回線2001によってOADM1414へ送信された光信号を受信器1430へ出力している。この場合は、回線2001が現用回線となり、回線2002が冗長回線となる。
【0084】
図21は、通信システムの回線における信号断の発生例を示す図である。図21において、図20に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示した通信システム1400において、回線2001に信号断が発生したとする。回線2001の信号断は、たとえばスイッチ2020によって検出される。
【0085】
スイッチ2020は、回線2001における信号断を検出すると、回線2002によってOADM1414へ送信された光信号を受信器1430へ出力する。これにより、送信器1420と受信器1430との間の回線を回線2001から回線2002に切り替え、送信器1420と受信器1430との間の通信を継続することができる。
【0086】
このような冗長回線を有する通信システム1400において、たとえばOADM1415の検出部280が、波長多重フィルタの波長透過特性の閾値を超えるずれを検出したとする。この場合は、OADM1411の減衰量制御部260が、閾値を超えるずれが検出された光信号を遮断する。これにより、回線2001において信号断となり、送信器1420と受信器1430との間の回線がスイッチ2020によって回線2001から回線2002に切り替えられる。
【0087】
このように、実施の形態2にかかるOADM100は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0088】
また、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断することで、波長透過特性がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。たとえば、冗長構成を有する通信システム(たとえば図20に示した通信システム1400)に適用することで、波長透過特性がずれた場合に他の回線に切り替え、通信品質を向上させることができる。また、冗長構成がない通信システムにおいても、波長透過特性がずれた状態で光信号の送信を継続することを回避することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(実施の形態3)
図22は、実施の形態3にかかるOADMの構成例を示す図である。図22において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図22に示すように、実施の形態3にかかるOADM100は、図1に示した構成に加えてOSC送信部2210、カプラ2220およびOSC受信部2230を備えている。この場合は、図1に示した入力側OCM191を省いてもよい。
【0090】
出力側OCM192は、モニタ結果を信号選択部130およびOSC送信部2210へ出力する。OSC送信部2210は、出力側OCM192から出力されたモニタ結果をOSC(Optical Supervisor Channel:監視専用チャネル)信号としてカプラ2220へ出力する。カプラ112は、送信部180から出力されたWDM光信号をカプラ2220へ出力する。
【0091】
カプラ2220は、カプラ112から出力されたWDM光信号に、OSC送信部2210から出力されたOSC信号を合波し、合波したWDM光信号をOADM100の後段へ送信する。これにより、波長多重フィルタから出力された光信号のモニタ結果をOADM100の後段の通信装置へ送信することができる。
【0092】
また、OADM100の前段の通信装置でも同様に、波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルをモニタし、モニタ結果を含むOSC信号をOADM100へ送信する。カプラ111は、OADM100の前段の通信装置から送信されたWDM光信号を分岐し、分岐した各WDM光信号を受信部120およびOSC受信部2230へ出力する。
【0093】
OSC受信部2230は、信号選択部130(波長多重フィルタ)へ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部である。具体的には、OSC受信部2230は、カプラ111から出力された光信号に含まれるOSC信号を受信する。OSC受信部2230は、受信したOSC信号に含まれるスペクトルを信号選択部130へ出力する。
【0094】
図23は、実施の形態3にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図23において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図23に示すように、検出部280は、OSC受信部2230および出力側OCM192によって取得された各スペクトルの差分に基づいて、OADM100における波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。
【0095】
このように、実施の形態3にかかるOADM100は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの前後における光信号の各スペクトルを取得し、取得した各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0096】
また、OADM100は、波長多重フィルタの前における光信号のスペクトルを、光信号を送信した通信装置から受信することによって取得する。これにより、たとえば波長多重フィルタの前における光信号のスペクトルをモニタする入力側OCM191を設けなくても、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0097】
(実施の形態4)
図24は、実施の形態4にかかるTERMの構成例を示す図である。図24において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図24に示すTERM2400は、実施の形態4にかかる波長多重装置である。TERM2400は、WDM光信号を送信する送信ノード(ターミナルノード)である。TERM2400は、カプラ112と、信号選択部130と、送信器161〜16nと、多重化部170と、送信部180と、出力側OCM192と、を備えている。
【0098】
図25は、実施の形態4にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図25において、図2に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図25に示すように、信号選択部130は、多重分離部222と、可変減衰器241〜24mと、多重化部250と、減衰量制御部260と、閾値記憶部270と、検出部280と、フィルタ制御部290と、を備えている。
【0099】
多重分離部222は、多重分離した各光信号をそれぞれ可変減衰器241〜24mへ出力する。可変減衰器241〜24mは、それぞれ多重分離部222から出力された各光信号を、減衰量制御部260の制御にしたがって減衰させる。
【0100】
検出部280は、出力側OCM192によって取得されたスペクトルを、光信号の中心波長λs(たとえばITU−grid)を中心に波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する算出部である。また、検出部280は、出力側OCM192によって取得されたスペクトルと、算出した反転スペクトルと、の差分に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部である。
【0101】
図26は、40Gbpsの光信号の出力側OCMによる測定例を示すグラフである。図26および図27においては、信号選択部130から出力されるWDM光信号に含まれる40Gbpsの光信号についての測定例を示す。図26において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。スペクトル2610は、出力側OCM192へ入力される40Gbpsの光信号のスペクトルである。
【0102】
測定点2611〜2615は、出力側OCM192による測定点である。測定点2611〜2615の波長をそれぞれi−2,i−1,i,i+1,i+2とする。また、出力側OCM192によって測定される測定点2611〜2615のパワーをそれぞれPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)とする。図26に示す例では、波長多重フィルタの波長透過特性は短波長側にずれている。この場合は、スペクトル2610は、中心波長λsより長波長側のパワーが減衰する。このため、スペクトル2610は、中心波長λsを中心として非対称な波形になる。
【0103】
図27は、40Gbpsの光信号の反転スペクトルの例を示すグラフである。図27において、図26に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図27において、横軸は波長を示し、縦軸は光信号のパワーを示している。反転スペクトル2710は、図26に示したスペクトル2610を、光信号の中心波長λsを中心として波長方向に反転させた反転スペクトルを示している。
【0104】
測定点2711〜2715は、検出部280によってパワーが算出される測定点である。測定点2711〜2715の波長は、それぞれ測定点2611〜2615と同じi−2,i−1,i,i+1,i+2である。また、検出部280によって算出される測定点2711〜2715のパワーをそれぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とする。
【0105】
スペクトル2610は中心波長λsを中心として非対称な波形であるため、反転スペクトル2710とスペクトル2610は異なる波形になる。具体的には、スペクトル2610は中心波長λsより長波長側のパワーが減衰しているため、中心波長λsより長波長側においてはスペクトル2610のパワーより反転スペクトル2710のパワーの方が高くなる。一方、中心波長λsより短波長側においては反転スペクトル2710のパワーよりスペクトル2610のパワーの方が高い。
【0106】
したがって、測定点2714が示すパワーPout(i+1)は、測定点2614が示すパワーPin(i+1)より高くなる。また、測定点2715が示すパワーPout(i+2)は、図26の測定点2615が示すパワーPin(i+2)より高くなる。
【0107】
なお、多重化部250などの波長多重フィルタの波長透過特性にずれがない場合は、スペクトル2610は、中心波長λsを中心として対称な波形になる。このため、反転スペクトル2710は、スペクトル2610とほぼ同じ波形になる。したがって、Pin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)は、それぞれPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)とほぼ等しくなる。
【0108】
図28は、実施の形態4にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図25参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、フィルタ制御部290が、対象の光信号の種別を判定する(ステップS2801)。
【0109】
つぎに、検出部280が、対象の光信号のスペクトル(出力スペクトル)を出力側OCM192から取得する(ステップS2802)。たとえば、検出部280は、光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPin(i−2),Pin(i−1),Pin(i),Pin(i+1),Pin(i+2)を取得する。
【0110】
つぎに、検出部280が、ステップS2802によって取得されたスペクトルの反転演算を行う(ステップS2803)。ステップS2803による反転演算によって、検出部280は、たとえば光信号の波長i−2,i−1,i,i+1,i+2における各パワーPout(i−2),Pout(i−1),Pout(i),Pout(i+1),Pout(i+2)を算出する。
【0111】
つぎに、検出部280が、ステップS2802によって取得されたスペクトルと、ステップS2803によって得られた反転スペクトルと、に基づいて対象の光信号の入力スペクトルと反転スペクトル(各スペクトル)のパワーの差分を算出する(ステップS2804)。
【0112】
図28に示すステップS2805〜S2809は、図13に示したステップS1305〜S1309と同様であるため説明を省略する。ただし、ステップS2807において、検出部280は、Pin(i+2)>Pout(i+2)かつPin(i−2)≦Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が短波長方向であると判断する。また、検出部280は、Pin(i+2)≦Pout(i+2)かつPin(i−2)>Pout(i−2)である場合は、ずれの方向が長波長方向であると判断する。
【0113】
このように、実施の形態4にかかるTERM2400は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの後における光信号のスペクトルを取得し、取得したスペクトルを波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する。そして、取得したスペクトルと算出した反転スペクトルとの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0114】
また、各スペクトルの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれの方向を検出し、検出したずれの方向に基づいて波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システムの信頼性を向上させることができる。
【0115】
(実施の形態5)
実施の形態5にかかる波長多重装置の構成例は、図24に示したTERM2400と同様である。
【0116】
図29は、実施の形態5にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図29において、図25に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図29に示すように、実施の形態5にかかる信号選択部130においては、図25に示したフィルタ制御部290を省いた構成にしてもよい。検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果を減衰量制御部260へ出力する。
【0117】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、減衰量制御部260は、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。閾値記憶部270に記憶される閾値については、図18に示したテーブル1800と同様である。
【0118】
図30は、実施の形態5にかかる処理の一例を示すフローチャートである。検出部280および減衰量制御部260(たとえば図29参照)は、WDM光信号に含まれる各チャネルの光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。図30に示すステップS3001〜S3006は、図28に示したステップS2801〜S2806と同様である。ステップS3006において、差分が閾値より大きい場合(ステップS3006:Yes)は、減衰量制御部260は、対象の光信号を遮断し(ステップS3007)、一連の処理を終了する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれが閾値を超えたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0119】
このように、実施の形態5にかかるTERM2400は、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタの後における光信号のスペクトルを取得し、取得したスペクトルを波長方向に反転させた反転スペクトルを算出する。そして、取得したスペクトルと算出した反転スペクトルとの差分を用いて波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する。これにより、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く検出することができる。
【0120】
また、検出された波長多重フィルタの波長透過特性のずれに基づいて光信号を遮断することで、波長透過特性がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。たとえば、冗長構成を有する通信システムに適用することで、波長透過特性がずれた場合に他の回線に切り替え、通信品質を向上させることができる。また、冗長構成がない通信システムにおいても、波長透過特性がずれた状態で光信号の送信を継続することを回避することができる。このため、通信システムの信頼性を向上させることができる。
【0121】
(実施の形態6)
実施の形態6にかかる波長多重装置の構成例は、図24に示したTERM2400と同様である。
【0122】
図31は、実施の形態6にかかる信号選択部の構成例を示す図である。図31において、図25に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図31に示すように、実施の形態6にかかる信号選択部130においては、検出部280は、波長透過特性のずれの検出結果をフィルタ制御部290および減衰量制御部260のいずれかへ出力する。
【0123】
減衰量制御部260は、検出部280から出力された波長透過特性のずれの検出結果に基づいて光信号を遮断する遮断制御部としての機能を有する。具体的には、可変減衰器241〜24mのうちの、検出部280によって波長透過特性のずれが検出されたチャネルに対応する可変減衰器の減衰量を最大にする。これにより、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断することができる。
【0124】
図32は、実施の形態6にかかる処理の一例を示すフローチャートである。減衰量制御部260、検出部280およびフィルタ制御部290(たとえば図31参照)は、WDM光信号を対象として、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、検出部280が、対象のWDM光信号に含まれる各チャネルについて、波長多重フィルタの波長透過特性のずれの検出処理を行う(ステップS3201)。
【0125】
ステップS3201は、たとえば図28に示したステップS2801〜S2806を各チャネルについて行うことによって実現することができる。たとえば、ステップS2806において、差分が閾値より大きい場合は対象のチャネルについて波長多重フィルタの波長透過特性のずれがあると判定する。一方、差分が閾値以下である場合は対象のチャネルについて波長多重フィルタの波長透過特性のずれがないと判定する。
【0126】
つぎに、検出部280が、ステップS3201において少なくともいずれかのチャネルについて波長透過特性のずれが検出されたか否かを判断する(ステップS3202)。いずれのチャネルについても波長透過特性のずれが検出されていない場合(ステップS3202:No)は、一連の処理を終了する。
【0127】
ステップS3202において、少なくともいずれかのチャネルについて波長透過特性のずれが検出された場合(ステップS3202:Yes)は、検出部280が、ステップS3201において1チャネルのみで波長透過特性のずれが検出されたか否かを判断する(ステップS3203)。1チャネルのみで波長透過特性のずれが検出された場合(ステップS3203:Yes)は、減衰量制御部260が、光源の波長がずれたと判断し、ステップS3204へ移行する。すなわち、減衰量制御部260は、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断し(ステップS3204)、一連の処理を終了する。
【0128】
ステップS3203において複数のチャネルで波長透過特性のずれが検出されている場合(ステップS3203:No)は、減衰量制御部260が、波長多重フィルタの波長透過特性がずれたと判断し、ステップS3205へ移行する。図32に示すステップS3205〜S3207は、図28に示したステップS2807〜S2809と同様であるため説明を省略する。
【0129】
このように、実施の形態6にかかるTERM2400は、信号選択部130(波長多重フィルタ)から出力される複数のチャネルの各光信号について、波長透過特性のずれの検出処理を行う。波長多重フィルタの波長透過特性がずれた場合は、通常、複数のチャネルにおいて波長透過特性がずれる。このため、1のチャネルのみにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、光源の波長がずれたと考えられる。したがって、1のチャネルのみにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長透過特性のずれが検出されたチャネルの光信号を遮断する。これにより、光源の波長がずれたチャネルをシャットダウンさせることができる。
【0130】
また、複数のチャネルにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長多重フィルタの波長透過特性がずれたと考えられる。これは、通常、光源の波長はチャネルごとに制御されているためである。したがって、複数のチャネルにおいて波長透過特性のずれが検出された場合は、波長多重フィルタの波長透過特性を制御することで、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度良く補正することができる。このため、通信システム(たとえば通信システム1400)の信頼性を向上させることができる。
【0131】
以上説明したように、波長多重装置および検出方法によれば、波長多重フィルタの波長透過特性のずれを精度よく検出することができる。なお、上述した各実施の形態においては、光信号の波長多重を行う波長多重フィルタとしてOADM100やTERM2400を例示した。ただし、波長多重フィルタは、OADM100やTERM2400に限らず、光信号の波長多重を行い、波長透過特性を有するフィルタであればよい。
【0132】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、
前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【0134】
(付記2)前記検出部は、前記ずれの方向を検出し、
前記検出部によって検出された方向に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性を制御する特性制御部を備えることを特徴とする付記1に記載の波長多重装置。
【0135】
(付記3)前記検出部によって前記ずれが検出された場合に前記光信号を遮断する遮断制御部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の波長多重装置。
【0136】
(付記4)前記入力側取得部は、前記入力される光信号のスペクトルを、前記光信号を送信した通信装置から受信して取得することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【0137】
(付記5)前記検出部による検出結果をユーザに通知する通知部を備えることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【0138】
(付記6)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルと、前記算出部によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【0139】
(付記7)前記検出部は、前記波長多重フィルタから出力される複数のチャネルの各光信号について前記ずれの検出処理を行い、
前記検出部によって1のチャネルのみの前記ずれが検出された場合に前記1のチャネルの光信号を遮断する遮断制御部と、
前記検出部によって複数のチャネルの前記ずれが検出された場合に前記波長多重フィルタの透過特性を制御する特性制御部と、
を備えることを特徴とする付記6に記載の波長多重装置。
【0140】
(付記8)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する第1取得工程と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程および前記第2取得工程によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【0141】
(付記9)光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルと、前記算出工程によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【符号の説明】
【0142】
111,112,210,2010,2220 カプラ
120 受信部
140,221,222 多重分離部
170,250 多重化部
180 送信部
241〜24m 可変減衰器
410 回折格子
420 PDアレイ
711〜715,811〜815,911〜915,1011〜1015,2611〜2615,2711〜2715 測定点
820 波長透過特性
1400 通信システム
1401,2001,2002 回線
2710 反転スペクトル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、
前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記ずれの方向を検出し、
前記検出部によって検出された方向に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性を制御する特性制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の波長多重装置。
【請求項3】
前記検出部によって前記ずれが検出された場合に前記光信号を遮断する遮断制御部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の波長多重装置。
【請求項4】
前記入力側取得部は、前記入力される光信号のスペクトルを、前記光信号を送信した通信装置から受信して取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【請求項5】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルと、前記算出部によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記波長多重フィルタから出力される複数のチャネルの各光信号について前記ずれの検出処理を行い、
前記検出部によって1のチャネルのみの前記ずれが検出された場合に前記1のチャネルの光信号を遮断する遮断制御部と、
前記検出部によって複数のチャネルの前記ずれが検出された場合に前記波長多重フィルタの透過特性を制御する特性制御部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の波長多重装置。
【請求項7】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する第1取得工程と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程および前記第2取得工程によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【請求項8】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルと、前記算出工程によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【請求項1】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する入力側取得部と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する出力側取得部と、
前記入力側取得部および前記出力側取得部によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記ずれの方向を検出し、
前記検出部によって検出された方向に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性を制御する特性制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の波長多重装置。
【請求項3】
前記検出部によって前記ずれが検出された場合に前記光信号を遮断する遮断制御部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の波長多重装置。
【請求項4】
前記入力側取得部は、前記入力される光信号のスペクトルを、前記光信号を送信した通信装置から受信して取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の波長多重装置。
【請求項5】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタと、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出部と、
前記取得部によって取得されたスペクトルと、前記算出部によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出部と、
を備えることを特徴とする波長多重装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記波長多重フィルタから出力される複数のチャネルの各光信号について前記ずれの検出処理を行い、
前記検出部によって1のチャネルのみの前記ずれが検出された場合に前記1のチャネルの光信号を遮断する遮断制御部と、
前記検出部によって複数のチャネルの前記ずれが検出された場合に前記波長多重フィルタの透過特性を制御する特性制御部と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の波長多重装置。
【請求項7】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタへ入力される光信号のスペクトルを取得する第1取得工程と、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程および前記第2取得工程によって取得された各スペクトルの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【請求項8】
光信号の波長多重を行う波長多重フィルタを備える波長多重装置の検出方法において、
前記波長多重フィルタから出力された光信号のスペクトルを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルを波長方向に反転させたスペクトルを算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得されたスペクトルと、前記算出工程によって算出されたスペクトルとの差分に基づいて前記波長多重フィルタの波長透過特性のずれを検出する検出工程と、
を含むことを特徴とする検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−254309(P2011−254309A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127000(P2010−127000)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]