説明

注入装置

【課題】注入量の精度が高く、低コストで供給可能な注入装置を提供する。
【解決手段】吐出ユニット20から液状の吐出物4が注入されるレシーバ2が搭載されるトレー3の第1の端41に、レシーバ2に先立って吐出物4を受け入れ可能な第1の液受部43を設けた注入装置1を提供する。レシーバ2に吐出物4を吐出する本吐出の直前に、第1の液受部43に吐出物4を吐出する前吐出を設定できるので、吐出量が変動しやすい最初の吐出を本吐出から分離し、本吐出における注入量の精度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の吐出物を微小量吐出する分注装置または注入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微量な成分の解析のために、検査対象となる溶液や媒体などが入ったウェルあるいは試験管などに、検査用の試薬や、培養液などの様々な目的の液体を注入あるいは分注する注入装置が知られている。逆に、試薬などが入ったウェルに検査対象となるサンプル溶液を分注することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
遺伝子情報の解析、薬剤の評価、その他の生物分やあるいは医療分野などにおける測定および解析に使用されている注入装置では、微小なウェルなどのレシーバがマトリクス状に配置されたマイクロウェルプレートあるいはマイクロプレートの各々のレシーバに対して、所定の量の液体を精度良く注入あるいは分注することが要求されている。微小な注入量の精度を向上するためには、圧縮空気による吐出量を高精度で制御できるバルブジェット方式のディスペンサが採用され、さらに近年では、印刷用に開発が進んだインクジェットの技術が、液体を分注するために利用されている。また、注入位置の精度を向上するためにはディスペンサをX−Y方向に精度良く動かすX−Yステージの技術が利用されている。
【0004】
解析対象となる情報量が増加すると、注入対象となるレシーバの量も増加するので、解析時間を短縮するには分注処理をさらに高速化する必要がある。また、レシーバの量が増えれば、個々のレシーバはさらに小さなものにして集積度を向上する必要がある。したがって、分注装置としては、さらに精度良く、所定の量の液体を所定の位置に、高速で注入できるものが要求されている。また、信頼性が高く、低コストであることも要求されている。
【0005】
そこで、本発明においては、マイクロウェルプレートのウェルなどのレシーバに対して安定した量を精度良く吐出できる低コストの注入装置、およびその制御方法を提供することを目的としている。レシーバの高集積化にも容易に対応できる注入装置および注入方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
注入量の精度を向上する1つの方法は、液を吐出する各々のディスペンサの吐出量の精度を向上することである。しかしながら、吐出する対象物が液体であるので、ノズル近傍の液の状態、たとえば、ノズル先端のメニスカス力による凹凸の形成度合い、溶液を保持したタンクからノズルまでの配管内部の状態によって吐出される量は影響され、吐出量が少なくなればなるほど、そのような環境に依存した変動が大きくなる。また、ノズル先端からの吐出物の蒸発によって局部的に液(吐出物)の粘度が上がることにより吐出量にばらつきが発生する。したがって、どのような環境であっても所定の量を精度良く吐出するためには吐出圧を制御したり、配管内の条件を一定に保ったりする必要があり、注入装置のコストが上昇する要因となる。その一方で、どのように調整しても、最初から所定の吐出量が得られるとは限らない。逆に、ある程度ラフな条件設定であっても、注入を続けることにより同じ状態が再現されるので注入量は安定し易い。
【0007】
そこで、本発明においては、吐出の対象となるレシーバを保持するホルダに、レシーバとは別に、しかしながら、レシーバの近傍に吐出物を受ける液受部を設け、ワークに吐出を開始する直前で予備的な吐出を行なう。これにより、レシーバに吐出液を吐出する本吐出のときは、吐出条件が安定した状態で吐出されるので、吐出量の精度を向上できる。すなわち、本発明の注入装置は、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットと、この吐出ユニットの吐出方向に、吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダと、吐出ユニットおよびホルダを、このホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かす移動機構とを有し、ホルダは、第1の端に、吐出物をレシーバに先立って受け入れ可能な第1の液受部を備えている。
【0008】
本発明の注入装置では、少なくとも1つのレシーバに吐出物を吐出する前に、ホルダの第1の端に設けられた第1の液受部に、吐出物を吐出する前吐出工程と、少なくとも1つのレシーバに吐出物を吐出する本吐出工程とを有する制御方法を採用できる。したがって、レシーバに吐出物を吐出する本吐出工程の前に、ホルダの第1の端に設けられた第1の液受部に、吐出物を吐出する前吐出工程を行う注入方法により、吐出物を注入あるいは分注できる。このため、最も吐出量の変動の大きな吐出開始直後の吐出を予備吐出として本吐出とは区別して分離する、あるいは捨てることが可能となる。したがって、吐出ユニット自体、すなわち、ディスペンサとして液量を制御する部分の精度を向上しなくても、注入量の精度に最も影響の高い初期の工程を本吐出から除去することにより、レシーバに対して分注する本吐出における実質的な吐出量の精度を向上できる。
【0009】
分注用のノズルの目詰まりを防止するなどの目的で、吐出ユニットをホルダから離れたホームポジションで予備吐出することも重要である。それに対し、本発明の注入装置においては、ホルダの第1の端に液受部を設けることにより、ホルダ上のレシーバに非常に近い位置で、レシーバに吐出する本吐出と繋がった一連の処理としての予備的な前吐出を行うことができる。したがって、ホルダ上で前吐出から本吐出を一連の処理として実行することが可能であり、本吐出における吐出条件の変動を最小限に留め、安定した条件の基で吐出することにより吐出量の精度を上げることができる。
【0010】
また、この注入装置を用いた注入方法であると、マイクロウェルなどの複数のレシーバが保持されるホルダ上で、レシーバの直前で前吐出を行えるので、予備的な前吐出から本吐出までは一連のあるいは連続した作業あるいは手順となる。このため、吐出ユニットの位置を大きく動かしたり、吐出ユニットとホルダとの速度を大きく変えたりする必要はなく、注入処理の処理速度に影響を与えることはない。また、予備的な前吐出のために本吐出と全く異なった工程が加わるわけでもない。このため、予備吐出を含めて分注処理の高速化に対し極めて容易に対応できる。また、吐出ユニット自体の構造を改良して注入量の精度を上げなくても、実質的な注入量の精度が上がるので、注入装置の製造および開発コストも低く抑えることができる。さらに、吐出ユニット自体の構造が複雑にならないので、コンパクトで注入精度の高い注入装置を提供できる。
【0011】
注入を開始した直後の次に吐出量(注入量)の変動が大きくなり易いタイミングは、注入を終了するときである。ノズルからの吐出を停止しようとしても、ノズル付近から余分な液が落下する可能性もあるし、吐出が終わった直後に液ダレを防止しようとして吐出ユニットの作動空気圧を制御したり、吐出中と異なる制御を行うと、それに起因して吐出量が変化する可能性がある。したがって、本発明の注入装置では、さらに、ホルダの第2の端に、レシーバの後で吐出物を受け入れ可能な第2の液受部を設け、吐出終了時の注入量が変化しやすい部分を本吐出から分離できるようにしている。これにより、吐出ユニット自体の液量を制御する部分の精度を向上しなくても、レシーバに対する実質的な吐出量の精度をさらに向上できる。したがって、本発明の注入装置の制御方法は、本吐出工程の後、すなわち、吐出物をレシーバに吐出した後で、ホルダの第2の端に設けられた第2の液受部に、吐出物を吐出する後吐出工程を設けることが望ましい。
【0012】
これら第1および/または第2の液受部は、単に、予備吐出された吐出液を受けるためだけではなく、ノズルの機能を確認するために利用することが可能である。すなわち、第1の液受部に、少なくとも1つのノズルのいずれかから吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーを設置することにより、本吐出の前に、ノズルの動作を確認することができる。また、第2の液受部に、少なくとも1つのノズルのいずれかから吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーを設置することにより本吐出の後のノズルの動作を確認できる。したがって、これらの液受部に設置されたセンサーの検出結果から、間接的ではあるが、本吐出の間にノズルが正常に動作していたことを確認でき、注入装置の信頼性を向上できる。さらに、吐出ユニットに、少なくとも1つのノズルのいずれかから吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーを設け、吐出ユニットから出力された液滴を検出することにより、本吐出の間のノズルの動作の信頼性を直に確認でき、さらに信頼性を向上できる。
【0013】
第1および第2の液受部に吐出された吐出液を処理するために適当な手段を設けることにより、ホルダを繰り返し利用したり、取り外してメンテナンスするのが容易になる。処理するための手段の1つは、吐出液を蒸発処理するための加熱手段である。第1および第2の液受部に受け入れられた吐出物を回収する機構を設けることも有効である。さらに、第1および/または第2の液受部を備えたホルダは注入装置と一体になったものであっても良いが、着脱可能なものとすることも可能であり、レシーバを装着あるいは搭載したり、メンテナンスするのが容易となる。そのようなホルダも本発明に含まれる。
【0014】
吐出ユニットとしては、バルブ方式またはインクジェット方式でノズルから吐出物を吐出するヘッドを用いることが可能であり、特に微量な吐出量を精度良く制御するには適している。
【0015】
本発明の注入装置は、移動機構によりホルダおよび/または吐出ユニットを一定速度で動かし、吐出ユニットにより吐出物を一定のタイミングで断続的に吐出する制御装置を設けることにより、複数のレシーバに対して断続的に一定量の吐出物を注入できる。また、断続的に吐出する時間の長さを変えることにより、すなわち、破線を描くように注入したときに、破線の各々の要素の長さを変えることにより、各々のレシーバに対して注入される吐出物の量を可変に極めて精度良く制御することができる。レシーバは、マイクロウェルあるいはテストチューブなどのように個々が溶液を保持可能なように区画化されたものに限らず、溶液を吸着支持するようなプレート、基板、テスト用紙上に配置された試験用の区画であっても良い。さらには、シャーレなどに入れられた培地上の所定の区画であっても良い。また、基板や培地には、吐出ユニットから吐出物を連続的に吐出することも可能であり、連続的な試験用の区画を形成したり、試液を連続的に注入することが可能である。
【0016】
本発明の制御方法は、前吐出処理と、本吐出工程、さらには後吐出工程を実行可能な命令を有する制御プログラム、ファームウェアあるいはプログラム製品として、注入装置の制御装置として採用されるであろうマイクロコンピュータなどに読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係る注入装置の概要を示してある。この注入装置は、分注装置またはディスペンサなどとも呼ばれるものであり、複数のウェルやテストチューブなどのレシーバに対して試薬やサンプル溶液などの液状の吐出物を所定の量だけ注入することができるものである。図1(a)は注入装置1を上方から見た平面図であり、図1(b)は、注入装置1を側方から見た図であり、内部の構成を示すために部分的に断面を用いて示してある。
【0018】
この注入装置1は、液状の吐出物を出力する複数のノズル21を備えた吐出ユニット(吐出ヘッド)20を備えており、ノズル21から下方に向かって吐出物が吐出されるように、ノズル21を下に向けてベース10の上に取り付けられている。ベース10には、吐出ユニット20の下方を通過するように、吐出物を受け入れる複数のレシーバ2をセット可能なホルダ3と、ホルダ3を搬送するための移動機構5とが配置されている。すなわち、本例の注入装置1は、吐出ユニット20がベース10に固定されており、ホルダ3が動いて、ホルダ3にセットされたレシーバ2のそれぞれに吐出物が注入される。
【0019】
本例の移動機構5は、駆動源となるステッピングモータ11と、このステッピングモータ11のシャフトに取り付けられた送りローラ12と、この送りローラ12および押えローラ13により搬送方向Xに駆動されるローラプレート14と、このローラプレート14に搭載されたトレー台15とを備えている。そして、トレー台15の上面15aにホルダであるトレー3が搭載され、トレー3にセットされたレシーバ2が吐出ユニット20の下方を通過する。ベース10には、トレー台15の両エッジをガイドするガイドプレート16および17が設けられており、トレー3は、所定のルートに沿って、所定のスピードで吐出ユニット20の下方を通過する。したがって、吐出ユニット20のノズル21から適当なタイミングで吐出物を吐出することにより所定のレシーバ2に対し、所定の量の吐出物を注入あるいは分注できる。
【0020】
注入装置1の移動機構5と、吐出ユニット20の制御は、マイクロコンピュータからなる制御装置19により、ROMなどに格納された制御プログラム50に従って制御される。また、本例の注入装置1は、ローラプレート14により搬送されるトレー3の位置を検出するために、吐出ユニット20の下方に当たる位置に、トレー3あるいはローラプレート14のエッジを検出することができるセンサー8が配置されており、制御装置19にセンサー8の出力が供給される。
【0021】
図2に、吐出ユニット20の構成を拡大して示してある。吐出ユニット20は、ベース10の上方にサポート9により取り付けられている。吐出ユニット20は、トレー3に搭載された複数のレシーバ2のそれぞれに対して液状の吐出物を吐出するように、トレー3の搬送方向Xと直交する方向に、トレー上のレシーバ2と同じピッチで並んだ複数のノズル21を備えている。ぞれぞれのノズル21は、サポート9に取り付けられた固定フレーム18に固定されており、チューブ23を介して、それぞれのノズル21に対して所定の量の吐出物を供給する供給部(バルブあるいはアクチュエータ)22と接続されている。
【0022】
図3(a)に、固定フレーム18にノズル21が取り付けられた状態を拡大して示し、図3(b)に固定フレーム18を上方から見た図を示してある。固定フレーム18には、供給部22が配列されたピッチより非常に狭いピッチで、ノズル21を上下方向に挿入可能な貫通穴45が複数形成されている。また、ノズル21を貫通穴45に挿入した状態で、固定ねじ47によりノズル21を固定フレーム18に固定するための横穴47が形成されている。本例の吐出ヘッド20においては、ノズル21と供給部22とが分離しており、さらに、ノズル21と供給部22がフレキシブルはチューブあるいはホース23で連結されている。したがって、供給部22の配列とは独立してノズル21を配列することが可能であり、さらに、固定フレーム18に取り付ける穴45を選択することによりノズル21のピッチをレシーバ2のピッチや、塗布したい領域のピッチに応じて自由に調整できる。すなわち、ノズル21および供給部22がチューブ23により接続されているので、供給部22が配置されたピッチより狭いピッチでも、広いピッチでもノズル21を配列することが可能であり、隣り合うノズル21の間隔をフレキシブルに調整できる。
【0023】
図4に、吐出ユニット20の基本的な構成を示してある。本例の吐出ユニット20はバルブジェット方式であり、アクチュエータであるソレノイド26が駆動して所定の量の吐出物をノズル21に対して加圧して出力する。供給部22は、ポンプ24により加圧された吐出物あるいは吐出液4を吸い込んでノズル21に向かって加圧するソレノイドとして動作するゴムシート25と、ゴムシート25を上下に動かすソレノイド26とを備えている。したがって、制御装置19によりソレノイド26を適当なタイミングで上下に動かすことにより、各ノズル21の単位で、所定の量の吐出液4が液容器29から吸入され、各ノズル21から下方に向かって吐出される。
【0024】
図5に、注入装置1のローラプレート14にトレー3が搭載された様子を示してある。レシーバ2のホルダであるトレー3は、搬送方向Xに長い長方形であり、その中央に複数のレシーバ2を2次元(マトリクス状あるいはアレイ状)に並べて保持できるようになっている。レシーバ2は、本例のようなテストチューブであっても良く、あるいはマイクロウェルであっても良い。レシーバ2をマトリクス状に保持する方法は様々である。レシーバ2がテストチューブであれば、それをマトリクス状に挿入して保持できるようにしたチューブホルダが利用可能である。トレー3はチューブホルダ31が一体になったものであっても良く、あるいはトレー3の中央にチューブホルダ31を動かないように取り付けることができるようになったものであっても良い。たとえば、図6(a)に示すようなトレー3であれば、中央部分が凹んだ装着部33となっており、その装着部33にチューブホルダ31を装着することにより、トレー3の所定の位置にテストチューブをマトリクス状に並べて配置することができる。
【0025】
また、レシーバ2がマイクロウェルであれば、複数のマイクロウェルがマトリクス状に配置されたマイクロウェルプレート32が市販されている。したがって、トレー3の中央の装着部33にマイクロウェルプレート32を取り付けることによりレシーバ2をトレー3の上にマトリクス状に並べることができる。
【0026】
このトレー3の装着部33の搬送方向Xの両端に、溝状の液受部43および44が設けられている。図1に示すように、搬送方向Xにトレー3が移動し、図面の右側から左側に向かって吐出ユニット2の下をトレー3が通過しながらレシーバ2に吐出物が注入されるときに、液受部43および44も含めて吐出ユニット2から吐出物4が吐出されると、トレー3の右側の端(第1の端41)の液受部43には、レシーバ2に注入される前の吐出物4が吐出され、トレー3の左側の端(第2の端42)の液受部44には、レシーバ2に注入された後の吐出物4が吐出される。
【0027】
図6に、本例の注入装置1に、レシーバ2をセットし、それぞれのレシーバ2に吐出物を注入する様子を示してある。先に説明したように、まず、図6(a)に示すように、レシーバであるテストチューブ2をマトリクス状に配置したレシーバホルダ31をトレー3の装着部33にセットする。そして、トレー3をローラプレート14の上のトレー台15にセットする。本例のトレー3は、注入装置1から着脱できるものであるが、トレー3がトレー台15に固定された注入装置を提供することも可能である。いずれの場合も、図6(b)に示すように、移動機構5のモータ11を駆動してローラプレート14を搬送方向Xに駆動すると、トレー3が吐出ユニット20の下を通過する。したがって、トレー3にセットされた各々のレシーバ2も吐出ユニット20の各々のノズル21の下を通過し、そのときに吐出液が分注される。
【0028】
その際、吐出ユニット20は、レシーバ2に先立って、トレー3の右端41から吐出を開始し、レシーバ2に吐出物4を吐出する前に、第1の液受部43に吐出物を吐出する(前吐出)。この後、さらに、トレー3は、移動機構5により一定の速度で搬送され、吐出ユニット20は、ノズル21の下に達したレシーバ2に対して吐出物4を吐出する(本吐出)。そして、トレー3に配置されたレシーバ2がすべて吐出ユニット20を通過した後も、吐出ユニット20は、第2の液受部44に吐出物4を吐出する(後吐出)。
【0029】
したがって、本例の注入装置1においては、レシーバ2に吐出物4を注入する本吐出工程の直前に第1の液受部43に吐出物4を前(プレ)吐出することができる。さらに、本吐出工程の直後に第2の液受部44に吐出物を後(ポスト)吐出することができる。そして、第1および第2の液受部43および44は、レシーバ2を搭載したトレー3に設けられているので、本吐出の直前および直後に吐出物を前吐出および後吐出できる。したがって、吐出ユニット20としては、前吐出、本吐出および後吐出を1つの連続した注入作業として実行することが可能となり、その注入作業の内で注入量にばらつきが発生しやすい、最初の吐出と、最後の吐出とをレシーバ2に吐出液を入れる本吐出から分離することができる。このため、本吐出中は、吐出ユニット20は最初状態および最後状態ではなく、定常的な安定した状態で吐出液4をそれぞれのレシーバ2に注入することができる。したがって、本吐出中にレシーバ2には、極めて安定した量の吐出物4が精度良く注入される。
【0030】
図7に、本吐出も含めて、各々のレシーバ2に吐出物4が注入される様子を模式的に示してある。本例では、本吐出のときに、吐出ユニット20の下方を移動するレシーバ2のピッチに合わせて、断続的に吐出ユニット20が駆動され、丁度、破線を描くように、吐出物4が出力される。したがって、この破線の1つ1つの線4aの長さを変えることにより、各々のレシーバ2に対して注入される吐出物4の量を微細制御できる。また、本吐出のみならず、第1の液受部43と第2の液受部44に吐出する前吐出および後吐出も含めて断続的に、破線を描くように吐出物4を注入することができる。したがって、この破線を描くように注入する方法では、特に、前吐出、本吐出および後吐出を全く同じ作業の繰り返しとして実行できる。
【0031】
図8に注入装置1の動作を、フローチャートを用いて示してある。注入装置1では、図6(a)に示したように、レシーバ2をホルダであるトレー3の装着部33にセットし、移動機構5を作動させる。そして、センサー8からの信号により、第1の液受部43がノズル21の下に達したと判断されると、吐出作業を開始する。まず、ステップ51において、前吐出工程を行い、第1の液受部43に吐出液4を吐出する。次に、ステップ52において、本吐出工程を行い、移動機構5によりホルダ3を一定速度で動かしながら、ノズル21から吐出液4を断続的に、破線を描くように吐出する。これにより、それぞれの試験管2に小量の均一な量の吐出液4が注入される。さらに、ステップ53において、後吐出工程を行い、第2の液受部44にサンプル4を吐出する。したがって、前吐出(ステップ51)、本吐出(ステップ52)および後吐出(ステップ53)と分かれているが、印刷ヘッド20および移動機構5においては、実質的に、これら前吐出、本吐出および後吐出は一例の作業である。このため、制御装置19では、吐出ユニット20を制御し、第1の液受部43に吐出する前吐出のタイミングから、第2の液受部44に吐出する後吐出のタイミングまで、ほぼ一定した間隔で吐出液4をリズミカルに吐出させれば良い。
【0032】
したがって、注入装置1を制御するプログラム50またはプログラム製品は、図8に示した各ステップ51〜53を実行可能な命令を有するものとなるが、実質的には、第1の液受部43からレシーバ2を経て第2の液受部44まで連続あるいは断続して吐出液4を吐出する処理を実行するプログラムとなる。本例の前吐出、本吐出および後吐出を連続して行う注入方法は、レシーバをセットするためのトレーが差し替え可能な注入装置であれば、第1および第2の液受部43および44を備えたトレーに差し替え、前吐出、本吐出および後吐出を行うように注入装置1のプログラムを変更することにより実行できる。このため、前吐出、本吐出および後吐出を行うプログラムも本発明に含まれており、マイクロコンピュータで実行可能なファームウェアとしてROMに記録したり、CD−ROMなどの適当な記録媒体に記録したり、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して提供することが可能である。
【0033】
注入装置1は、ノズル21が詰まるのを防止したり、吐出物4を変えるためにノズル21を含めてパージするために、トレー3が吐出ユニット20の下へ搬送されるまえに、予備吐出を行う工程を備えている。この予備吐出で、正常な吐出が行われることが確認できたとしても、予備吐出してから、トレー3に搭載されたレシーバ2がノズル21の下まで搬送されるには時間がかかる。したがって、ノズル21の状態や、バルブジェットの供給部22の状態あるいは環境が変化する可能性があり、最初の吐出が安定していない可能性が大きい。これに対し、本例の注入装置1を使用した注入方法であれば、前吐出および後吐出で本吐出を挟むことにより、環境の変化により注入量が変動しやすい部分を分離して、本吐出の間は安定した条件で精度の高い注入量を維持できる。
【0034】
すなわち、前吐出する第1の液受部43はレシーバ2の直前にあるので、それらの距離は、レシーバ2の間隔とほぼ同じである。したがって、第1の液受部43は前吐出してから最初のレシーバ2に吐出するまでの時間は、レシーバからレシーバに移動しながら吐出するのと同じ条件となる。このため、レシーバからレシーバへ移動しながら吐出するのと同じ条件で最初のレシーバ2に対して吐出できる。したがって、複数のレシーバ2が搬送方向Xに並べられたときに、最初のレシーバ2から安定した状態で注入できる。このため、たとえ、吐出ユニット20の精度を上げなくても、レシーバ2に対して注入される注入量の精度を向上することができる。
【0035】
また、後吐出する第2の液受部44はレシーバ2の直後にあるので、それらの距離はレシーバ2の間隔とほぼ同じである。したがって、最後のレシーバ2に吐出してから、第2の液受部44に後吐出するまでの時間は、レシーバからレシーバに移動しながら吐出するのと同じ条件となる。このため、レシーバからレシーバへ移動しながら吐出するのと同じ条件で、液ダレも気にせずに、最後のレシーバ2に対しても吐出できる。したがって、複数のレシーバ2が搬送方向Xに並べられたときに、最後のレシーバ2に対しても安定した状態で注入できる。このため、本例の注入装置1であると、最初のレシーバから最後のレシーバまで安定した状態で吐出できるので、注入量の精度をさらに向上できる。
【0036】
図9に異なる形態のトレーを示してある。図9(a)に示すトレー3eは、マイクロウェル(レシーバ)2がマトリクス状に配置されたマイクロウェルプレート32を凹状の装着部33に搭載可能であり、トレー台15に対して所定の高さに維持されるように4本の脚部48を備えている。このトレー3eにおいても、装着部33の搬送方向Xの両端に、溝状の液受部43および44が設けられており、最初のレシーバから最後のレシーバまで安定した状態で吐出できる。また、脚部48の高さを自由に調整することが可能であり、プレート32のような薄いものであれば装着部33の高さを上げることによりノズルとレシーバであるマイクロウェルとの距離を調整できる。また、試験管(テストチューブ)のホルダ31のように厚いものであれば装着分33を下げることによりノズルとテストチューブとの距離を調整できる。
【0037】
図9(b)に示すトレー3fは、図9(a)に示したトレー3eとほぼ同様であるが、搬送方向Xに、幅の狭いマイクロウェルプレート32aを複数個、たとえば、3個のマイクロウェルプレート32aを並べて設置できるように、3つの装着部33が設けられている。また、両端に設けられた液受部43および44に加えて、隣り合う装着部33の間に溝状の液受部40が設けられている。このため、いずれのマイクロウェルプレート32aであっても、その直後には必ず液受部があるので、最初のレシーバから最後のレシーバまで安定した状態で吐出できる効果が全てのマイクロウェルプレート32aについて得られる。なお、装着部33の間隔が狭い場合には液受部40を省略することも可能である。
【0038】
図10に、本発明の異なる注入装置1aを示してある。この注入装置1aのトレー3aは、第1の液受部43および第2の液受部44が、吐出ユニット20の各々のノズルに対応したセル49に分割されており、それぞれのセル49に吐出液4を検出するセンサー58が配置されている。各々のセンサー58は、図11(a)に示すように、離間した状態で配置された2つの電極58aおよび58bを備えており、これらの間に液4が吐出されて電極間の抵抗や電流が変化することにより液が吐出されたことを検出する。液滴を検出するセンサーはこれに限定される必要はなく、光学式のセンサーなども利用可能である。
【0039】
さらに、液受部43および44を構成する各々のセル49には、図11(b)に示すように、吸引ポンプ59が接続されている。センサー58で吐出液4が確認されると吸引ポンプ59を稼動させることにより、センサー58から液滴を除去し、センサー58をリセットすることができる。また、吸引ポンプ59は、液受部43および44に排出された吐出液4を廃液タンク57に回収して除去する機能も備えている。
【0040】
本例の注入装置1aであると、第1の液受部43および第2の液受部44に設けられたセンサー58により、ノズル21の単位で液4が吐出されたか否かを判断することができる。したがって、レシーバ2へ吐出する本吐出の前に、各々のノズル21が健全であるか否かを判断でき、さらに、本吐出の後に、各々のノズル21が健全であるか否かを判断できる。このため、本吐出の前後でノズル21から正常に吐出液4が吐出されたことを確認することにより、本吐出においても各々のレシーバ2に対して正常に吐出されたと間接的ではあるが判断できる。したがって、注入装置1による注入作業の信頼性を向上できる。第1の液受部43または第2の液受部44の一方にセンサー58を設けて吐出されたことを確認するだけでもノズル21の健全性を確認することができ、信頼性の向上に有効である。
【0041】
図12に、本発明のさらに異なる注入装置1bを示してある。この注入装置1bでは、レシーバ2としてマイクロウェルをセットできるマイクロウェルプレート32を搭載できるトレー3bを採用している。また、吐出ユニット20の各々のノズル21の吐出側に、液滴が通過したことを検出可能な光学センサー63が設けられており、ノズル21から正常に吐出液4が吐出されたか否かをその都度確認できるようになっている。したがって、この注入装置1bでは、本吐出で実際に吐出液4がレシーバ2に対して吐出されたことを1つ1つ確認できる。このため、さらに注入作業の信頼性を向上できる。
【0042】
また、第1および第2の液受部43および44には、吐出された液4を加熱して蒸発させることができるヒータ61が設置されている。したがって、液受部43および44に受け入れられた吐出液4を廃棄する手間が不要であり、簡単なメンテナンスでトレー3bを繰り返し利用することができる。
【0043】
図13に、本発明のさらに異なる注入装置1cを示してある。また、図14に注入装置1cの概略構成を側面図により示してある。この注入装置1cでは、メンブレン(たとえば、PVDF(Polyvinylidene fluoride)膜)あるいはプレート35の表面の分割されたエリア34をレシーバ2とし、エリア34を適当な距離を開けて分割できるよう断続的に吐出液4を吐出する。たとえば、ノズル21の単位で異なる抗体が含まれている試薬を塗布することにより、エリア34の単位である検査を行う検査プレートを作成できる。本例の注入装置1cであれば、プレート35に塗布する前後に液受部43および44に試薬4を吐出できるので、プレート35の最初および最後のエリア34に対しても均等に試薬などの吐出物4を塗布できる。したがって、プレート35を無駄にすることなく検査用のプレートを作成できる。
【0044】
図15に示すように、吐出ユニット20から連続的に吐出することにより、プレート35あるいは用紙の上に、連続的、実線を印刷するように試薬などの吐出液4を吐出できる。ウェルやテストチューブをレシーバとして吐出物4を吐出する場合は、ウェルやテストチューブの間に試薬などが吐出されると、それらの縁から吐出物がウェルやテストチューブ内に入ることがあり注入量が不安定になる要因となる。したがって、ウェルやテストチューブといったレシーバの単位で確実に注入できるように分断あるいは分割して破線を描くように注入することが望ましい。用紙やプレートなどに試薬などを塗布した後で、切断して利用する場合は切断部分の無駄を省くために断続的に吐出物を吐出できる。一方、線の長さを可変したい時には連続的に吐出物を吐出し、必要な幅にカットして使用することも有効である。
【0045】
図14は、吐出液4が塗布されたプレートあるいは用紙35を連続的に作成するための一例を示してある。トレー3cは、上部に用紙35を複数枚重ねてセット可能であり、最上部の用紙35が紙押さえローラ72および73に位置が動かないようにして吐出ユニット20の下方を通過し、最上部の用紙35に吐出液4を塗布する。塗布された最上部の用紙35は、排紙ローラ71により排出され、次の用紙35が表れる。その用紙35を最上部としてトレー3cが吐出ユニット20の下を再び搬送されることにより、吐出液4が塗布される。
【0046】
図16に、本発明のさらに異なる注入装置1dを示してある。この注入装置1dは、ホルダ3dにレシーバ2としてシャーレ78を搭載し、シャーレ78の培地79に対して培養するサンプルなどを吐出物4として注入することができる。シャーレ78のように、分注する際に、すべてのノズル21から吐出する必要がない場合は、必要のないノズルから吐出されないようにすることも可能である。そのようなノズル単位の制御は、バルブジェット方式の吐出ユニット20であっても、図16に示すような、インクジェットタイプの吐出ユニット28でも容易である。特に、インクジェットタイプの吐出ユニット28は、インクジェットプリンタ用に開発された技術を用いて微細な量の制御が必要とする吐出物を分注するのに適している。
【0047】
なお、上記で説明した注入装置では、ベース10に固定された吐出ユニット20に対してトレー3を搬送することにより、それらを相対的に動かすようにしているが、吐出ユニット20を動かしながら吐出することも可能である。しかしながら、吐出ユニット20を動かすことにより、移動中に吐出ユニットが振動したり、吐出物をためたタンクと吐出ユニット20とを接続するチューブが伸び縮みすることが多く、本吐出中に吐出する条件が変動しやすい。したがって、前吐出、本吐出および後吐出の条件ができるだけ変動しないようにして注入量の精度を向上するためには、吐出ユニットを固定し、レシーバをホールドするトレーを移動することが望ましい。また、上記の例では、レシーバを上部に搭載するトレー式のホルダを備えた注入装置を説明しているが、トレーに限らず、ホルダは、吐出ユニットの下方を移動中にレシーバを所定の状態に保持できるようなものであれば良い。
【0048】
以上に説明したように、本発明においては、吐出の対象となるレシーバを保持するホルダに、レシーバとは別に、しかしながら、レシーバの近傍に吐出物を受ける液受部を設け、ワークに吐出を開始する直前に前吐出でき、また、吐出を終了する際に後吐出ができるようにしている。したがって、レシーバに吐出物を吐出する本吐出工程の前後の最も注入量が不安定になりやすい過程を分離することができ、レシーバに対して吐出物を注入する本吐出における実質的な精度を向上できる。
【0049】
また、本発明の注入装置であると、マイクロウェルプレートを保持することにより複数のレシーバが保持されるホルダ上で、前吐出、本吐出および後吐出を連続して処理できる。このため、注入処理の処理速度に影響を与えることなく、注入精度を向上できる。また、吐出ユニット自体の構造を改良して注入量の精度を上げなくても、実質的な注入量の精度を上げられる。したがって、処理速度が速く、コンパクトで注入精度の高い注入装置を提供できる。
【0050】
本発明の注入装置は、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットと、この吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダと、前記吐出ユニットおよび前記ホルダを、このホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かす移動機構とを有し、前記ホルダは、前記第1の端に、前記吐出物を前記レシーバに先立って受け入れ可能な第1の液受部を備えている。前記ホルダは、前記第2の端に、前記レシーバの後で前記吐出物を受け入れ可能な第2の液受部を備えていることが望ましい。さらに、前記第1の液受部には、前記少なくとも1つのノズルのいずれかから前記吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーが設置されていることが望ましい。さらに、前記第2の液受部には、前記少なくとも1つのノズルのいずれかから前記吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーを備えていることが望ましい。また、前記吐出ユニットは、前記少なくとも1つのノズルのいずれかから前記吐出物が吐出されたことを判断可能なセンサーを備えていることが望ましい。注入装置は、前記第1の液受部に受け入れられた前記吐出物を回収する機構を有することが望ましい。また、注入装置は、前記ホルダは着脱可能であることが望ましい。さらに、前記吐出ユニットはバルブ方式またはインクジェット方式で前記ノズルから吐出物を吐出する注入装置であることが望ましい。注入装置は、前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより前記吐出物を一定のタイミングで断続的に吐出する制御装置を有することが望ましい。または、注入装置は、前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより前記吐出物を連続的に吐出する制御装置を有することが望ましい。
【0051】
本発明の他の形態の1つは、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットを有する注入装置の、前記吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダであって、前記注入装置では、前記吐出ユニットおよび前記ホルダが当該ホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かされながら前記レシーバに前記吐出物が吐出され、前記第1の端に、前記吐出物を前記レシーバに先立って受け入れ可能な第1の液受部を備えているホルダである。前記ホルダは、前記第2の端に、前記レシーバの後で前記吐出物を受け入れ可能な第2の液受部を備えていることが望ましい。
【0052】
本発明の他の形態のさらに1つは、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットと、この吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダと、前記吐出ユニットおよび前記ホルダを、このホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かす移動機構とを有し、前記ホルダにセットされた前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する注入装置の制御方法であって、前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する前に、前記ホルダの前記第1の端に設けられた第1の液受部に、前記吐出物を吐出する前吐出工程と、前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する本吐出工程とを有する注入装置の制御方法である。前記吐出物を前記レシーバに吐出した後で、前記ホルダの前記第2の端に設けられた第2の液受部に、前記吐出物を吐出する後吐出工程をさらに有することが望ましい。また、前記本吐出工程では、前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより前記吐出物を一定のタイミングで断続的に吐出することも有効である。前記本吐出工程では、前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより前記吐出物を連続的に吐出することも有効である。
【0053】
本発明の他の形態のさらに1つは、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットと、この吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダと、前記吐出ユニットおよび前記ホルダを、このホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かす移動機構とを有し、前記ホルダにセットされた前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する注入装置の制御プログラムである。この制御プログラムは、前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する前に、前記ホルダの前記第1の端に設けられた第1の液受部に、前記吐出物を吐出する前吐出処理と、前記少なくとも1つのレシーバに前記吐出物を吐出する本吐出処理とを実行可能な命令を有する。制御プログラムは、前記吐出物を前記レシーバに吐出した後で、前記ホルダの前記第2の端に設けられた第2の液受部に、前記吐出物を吐出する後吐出処理を実行可能な命令をさらに有することが望ましい。前記本吐出処理では、前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより前記吐出物を一定のタイミングで断続的に吐出することが望ましい。
【0054】
本発明の他の形態のさらに1つは、液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをホルダに搭載してセットする工程と、前記吐出ユニットおよび前記ホルダを、当該ホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かしながら前記レシーバに前記吐出物を注入する本吐出工程と、この本吐出工程の前に、前記ホルダの前記第1の端に設けられた第1の液受部に前記吐出物を吐出する前吐出工程とを有する注入方法である。前記本吐出工程の後に、前記ホルダの前記第2の端に設けられた第2の液受部に前記吐出物を吐出する後吐出工程を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】注入装置の全体構成を示す図である。
【図2】注入装置の吐出ユニットの様子を拡大して示す図である。
【図3】図3(a)は、ノズルがベースの固定プレートに取り付けられている様子を拡大して示す図、図3(b)は固定プレートを上方から見た平面図である。
【図4】吐出ユニットの詳細を示す図である。
【図5】注入装置のローラプレートにトレーが搭載された様子を示す図である。
【図6】注入装置にレシーバをセットし、それぞれのレシーバに吐出物を注入する様子を示す図である。
【図7】各々のレシーバに吐出物が注入される様子を模式的に示す図である。
【図8】注入装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図9】異なるトレーを示す図である。
【図10】第1および第2の液受部にセンサーが設置されたホルダを有する注入装置の概略を示す図である。
【図11】図10に示す注入装置の各々の液受部に設置されたセンサーの一例を示す図である。
【図12】吐出ユニットの下方に吐出物を検出するセンサーが設置された注入装置の概略を示す図である。
【図13】さらに異なる注入装置の例を示す図である。
【図14】吐出物がプレートまたは用紙を連続的に作成可能な注入装置の概略を示す図である。
【図15】プレートまたは用紙に吐出物を連続的に吐出する注入装置の概略を示す図である。
【図16】シャーレに対して吐出物を吐出する注入装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 注入装置
2 レシーバ
3、3b、3c、3d、3e、3f ホルダ(トレー)
4 液状の吐出物
5 移動機構
20 吐出ユニット
21 ノズル
41 第1の端
42 第2の端
43 第1の液受部
44 第2の液受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の吐出物を吐出する少なくとも1つのノズルを備えた吐出ユニットと、
この吐出ユニットの吐出方向に、前記吐出物を受ける少なくとも1つのレシーバをセット可能なホルダと、
前記吐出ユニットおよび前記ホルダを、このホルダの第1の端から第2の端に向かって相対的に動かす移動機構とを有し、
前記ホルダは、前記第1の端に、前記吐出物を前記レシーバに先立って受け入れ可能な第1の液受部を備え、
前記移動機構により前記ホルダおよび/または前記吐出ユニットを一定速度で動かし、前記吐出ユニットにより、前記第1の液受部および前記少なくとも1つのレシーバに対し前記吐出物を一定のタイミングで断続的に吐出する制御装置を有する注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−286073(P2007−286073A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204406(P2007−204406)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【分割の表示】特願2002−199747(P2002−199747)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(598086589)株式会社マイクロジェット (16)
【Fターム(参考)】