説明

洗浄デバイス用の低損失ポペット弁、およびそれを用いて洗浄流体を送る方法

【課題】ボイラの内部容積からデブリを除去するためのスートブロワで使用するためのポペット弁を提供すること。
【解決手段】ポペット弁アセンブリは、弁ハウジングと、開いた位置と閉じた位置との間を弁ハウジング内部で移動するように構成された弁ヘッドとを含む。ポペット弁アセンブリは、弁ヘッドが開いた位置にあるときに洗浄流体がポペット弁アセンブリを通して流れる際、洗浄流体が比較的小さい圧力損失に供されることを可能にする。より具体的には、ポペット弁アセンブリは、現在知られている弁よりも実質的に小さい損失係数を有する。ポペット弁は、洗浄流体がそこを通して流れる間、比較的小さい圧力損失を受けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ボイラの内部からデブリを除去するためのスートブロワに関する。より具体的には、本発明は、スートブロワ内への洗浄流体の流れを制御するための弁に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料およびパルプ製造有機物を燃焼するボイラなど大規模燃焼デバイスの動作中、ボイラの内面にスラグおよび灰の堆積物が生じる。これらの付着物の存在は、ボイラの熱効率を低下させる。したがって、そのような堆積物を定期的に除去する必要がある。これらの堆積を除去するために様々なシステムが現在使用されている。
【0003】
1つのそのようなタイプのシステムは、スートブロワと呼ばれるデバイスを含む。スートブロワは、空気、蒸気、または水など洗浄流体のストリームをボイラの内部容積(内部空間)内に発射するために使用される。引込み型スートブロワの場合、ランス管が、周期的にボイラ内に挿入され、またボイラから引き抜かれ、洗浄流体を案内して、ランス管に固定された1つまたは複数のノズルから噴霧する。例えば、ランス管は、入れ子式に流体供給フィード管を摺動可能に受け入れ、それにより、組み合わされたフィード/ランス管は、調節可能な実効長さを有する。ランス管は、ボイラに対して前進および後退されるとき、ボイラ内部の所望の表面に洗浄流体の1回または複数回のジェットを向けるために回転または振動する場合がある。静止スートブロワの場合、ランス管は、常にボイラ・キャビティ内部に維持され、固定された実効長さを有する。換言すると、静止スートブロワは通常、フィード管を必要としない。
【0004】
スートブロワは、洗浄流体、典型的には蒸気を比較的高い圧力でボイラ内に送り、堆積物の除去を容易にする。スートブロワは、典型的には、少なくとも827400Pa(120ポンド毎平方インチ)の圧力で蒸気がランス管に送られることを必要とする。さらに、スートブロワは、典型的には、ランス管に概して垂直な方向に延びる入口ラインから蒸気の供給を受け取る。入口ラインは、典型的には床から概して鉛直に延び、スートブロワ・ランス管およびフィード管は通常、概して水平にボイラ内に延びる。したがってそのようなスートブロワは、90度の湾曲部を有する管路または弁など、それぞれの垂直な構成要素に流体結合する配管構成要素を有する。したがってフィード管およびランス管を有する横行するスートブロワでは、入口管とフィード管は通常、一般にエルボー・ジョイントとして知られている90度の湾曲部を有するコネクタ要素によって接続される。同様に、フィード管を含まない静止スートブロワでも、入口管とランス管は、典型的にはエルボー・ジョイントによって接続される。
【0005】
エルボー・ジョイントは、典型的には、ランス管内に流れる蒸気の流れを制御する弁デバイスを含む。現在使用されている弁は、一般にポペット弁タイプのものであり、流れの「オン」または「オフ」の切替えに加えて、弁を通る断面流れを制御することによって流れをオン位置で調節する手段を設けられる場合があり、例えば、参照として本明細書に組み込む2004年3月24日に出願された、出願番号60/555763を割り当てられた「EXTERNALLY ADJUSTABLE PRESSURE CONTROL POPPET VALVE」という名称の米国仮特許出願に開示されている。流れを調節する手段は、オンオフ弁、および/または流体の流れをより正確に制御するために中間位置を含む弁であってよい。
【0006】
現在知られているスートブロワは、典型的には、約6.985cm(2.75インチ)の外径と約6.0325cm(2.375インチ)の内径とを有するフィード管を有する。さらに、現在知られているスートブロワは、典型的には、約8.89cm(3.5インチ)の外径を有するランス管を有する。したがって、現在存在するポペット弁は、典型的には、6.985cm(2.75インチ)または8.89cm(3.5インチ)の内径を有する出口を有し、スートブロワがフィード管を含むかどうかに応じて、フィード管またはランス管に適合する。したがって、交換ポペット弁を取り付けるとき、現在存在するフィード管および/またはランス管を交換するための部品費用および管理費を最小にするために、交換ポペット弁が、交換対象のポペット弁と等しい出口を有することが望ましい。
【0007】
ボイラの動作中、廃蒸気がしばしば副生成物として生成される。過剰の蒸気は、689500Pa(100ポンド毎平方インチ)など比較的低い圧力を有するので、一般的にはボイラ洗浄に使用することができない。スートブロワ蒸気供給システムを通る圧力損失への特定の寄与因子は、現在利用可能なポペット弁である。完全に開かれた状態でさえ、弁を通る流れにかなりの圧力損失が生じる。より具体的には、現在知られている弁でのポペット弁ヘッドは、洗浄流体の流路に沿って位置決めされ、それにより弁ヘッドの周りで乱流を引き起こす。したがって、システム内で圧力流れ損失が存在することにより、現在知られているスートブロワ・システムは、昇圧デバイスを使用せずに廃蒸気を利用するのは困難である。
【0008】
スートブロワでは一般に高圧蒸気が必要とされるので、ボイラによって発生された蒸気の一部が洗浄のために分岐される。この分流は、ボイラ動作に関する全体の熱効率損失を表す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のことから明らかなように、最小の流れ損失、流体の流れ内での90度の湾曲、および低損失制御弁を有する洗浄デバイスであって、昇圧デバイスを使用することなくボイラからの排プロセス蒸気といった比較的低圧の流体を洗浄流体として利用できるようにする洗浄デバイスを提供することが望まれる。また、ランス管またはフィード管を交換せずに、現在使用されている制御弁と取り換えることができる洗浄デバイス制御弁を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点では、ポペット弁アセンブリが、ボイラの内部容積からデブリを除去するためのスートブロワで使用するために説明される。ポペット弁アセンブリは、弁ハウジングと、開いた位置と閉じた位置との間を弁ハウジング内部で移動するように構成された弁ヘッドとを含む。ポペット弁アセンブリは、弁ヘッドが開いた位置にあるときに洗浄流体がポペット弁アセンブリを通して流れる際、洗浄流体が比較的小さい圧力損失を受けることを可能にする。より具体的には、ポペット弁アセンブリは、弁ヘッドが開いた位置にあるときに、(6.0の損失係数を有する)現在知られている弁よりも実質的に小さい損失係数を有する。好ましくは、弁は、当技術分野で現在知られている損失係数の半分未満の損失係数を有する。例えば損失係数は、弁が開いた位置にあるときに0.5〜0.25の間であることが好ましい。
【0011】
本発明の別の観点では、弁ハウジングは、互いに実質的に平行でない第1および第2の方向に沿って延びる第1および第2の通路を含む。弁ヘッドは、弁ヘッドが開いた位置にあるときに第1および第2の通路の間に延びる接続表面をさらに含む。接続表面は、第1および第2の通路のそれぞれの直径に概ね等しい曲率半径を有する。
【0012】
本発明の別の観点では、ボイラの内部容積内に洗浄流体を送る方法であって、洗浄流体を送るために内部容積内にランス管を挿入するステップと、ランス管と流体連絡する弁を提供するステップと、洗浄流体を弁に送るステップとを含む方法が説明される。
【0013】
本発明のさらなる目的、特徴、および利点は、本明細書に添付し、本明細書の一部を成す図面および特許請求の範囲を参照しながら以下の説明を検討することにより、当業者には容易に明らかになろう。
【実施例】
【0014】
次に図面を参照すると、図1は、本発明の原理を具体化するスートブロワ10を示す。スートブロワ10は、主として、フレーム・アセンブリ12(想像線で示す)と、ランス管14と、フィード管16と、キャリッジ18とを含む。スートブロワ10は、図1では通常の静止位置で示されているが、作動時には、ランス管14は、回転されながらボイラ(図示せず)内に延ばされ、または引っ込められる。
【0015】
図に示すフレーム・アセンブリ12は、ユニット全体のためのハウジングを形成する概して長方形状のフレーム・ボックス20を含む。キャリッジ18は、キャリッジ18の長手方向運動を可能にするようにフレーム・ボックス20の反対側に位置するトラック(図示せず)に沿って案内される。フレーム・アセンブリ12は、近位端22と、ボイラに近接および/または接続される遠位端24とで支持される。キャリッジ18は、駆動モータ26および歯車箱28によって、ランス管14をボイラの内外へ動かす。より具体的には、キャリッジ18は、一対のピニオン・ギヤ30および32を駆動し、ピニオン・ギヤは、ラック・アセンブリ34に係合して、キャリッジ18およびランス管14を前進させる。一対の軸受(図示せず)がトラックに係合して、キャリッジ18を支持する。
【0016】
前部支持ブラケット36が傾斜ローラーを含み、傾斜ローラーが、ランス管14をその長手方向運動および回転運動中に支持する。さらに、ランス管14の過剰なぶれを防止するために中間支持ブラケット38が提供される。キャリッジ18および駆動モータ26がフィード管16に沿って移動するときに、コイル状電気ケーブル40が駆動モータ26に電力を供給する。
【0017】
ランス管14は、入れ子式にフィード管16を摺動可能に受け入れ、ランス管14とフィード管16との間に重なり部分42を有する長さ調節可能な構成要素を形成する。したがってランス管14は、フィード管外径45よりも大きい外径43を有することが好ましい。スートブロワ10の移動中、ランス管14が前進および後退されるとき、フィード管16の位置は概して変化せずに保たれ、重なり部分42の長さが変化する。好ましい例示的な設計では、ランス管外径43は8.89cm(3.5インチ)に等しく、フィード管直径45は6.985cm(2.75インチ)に等しい。フィード管16は、好ましくは0.47625cm(3/16インチ(0.1875インチ))の壁厚を有し、したがってフィード管16の内径は、好ましくは6.0325cm(2.375インチ)に等しい。代替の好ましい例示的な設計では、ランス管外径は10.16cm(4.0インチ)に等しく、フィード管直径は8.255cm(3.25インチ)に等しい。しかし、構成要素が任意の他の適切な寸法を有することもできる。
【0018】
スートブロワ10の動作中、洗浄流体が、フィード管16の長さに沿ってランス管14内に流れ、スートブロワ・ノズル46を通って流れる。複数のノズル46を提供することができ、それぞれが、そこから流れる洗浄ストリームの速度および噴霧パターンを制御するように適切な形状およびサイズとされたスロートを有する。
【0019】
フィード管16内に流れる洗浄流体の容積は、洗浄流体の流れを制御するポペット弁アセンブリ48によって制御される。ポペット弁アセンブリ48は、図1に示される第1、第2、および第3のリンク機構50、52、54などのリンク機構を介して作動される。第1、第2、および第3のリンク機構50、52、54は、キャリッジ・ロッド56を介したキャリッジ18の移動によって作動し、それにより、キャリッジ18が移動したときに洗浄流体がフィード管16内に流れるのを可能にする。キャリッジ18はキャリッジ・ロッド56に接続され、したがってそれぞれの構成要素18、56は互いに一体に移動する。また、キャリッジ・ロッド56は、第1のリンク機構50の上部58に枢動可能に接続され、したがって上部58もキャリッジ18と一体に移動する。第1のリンク機構50の中央部60は、第2のリンク機構52に枢動可能に接続され、それにより第1のリンク機構50は、キャリッジ18が移動するときに中央部分60の周りで枢動する。第1のリンク機構50の枢動は、第1のリンク機構50の下部62を上部58と反対の方向に移動させる。第1のリンク機構50の下部62は、第3のリンク機構54に接続され、それにより第3のリンク機構54をキャリッジ18と反対の方向に移動させる。図1〜4に示される第2のリンク機構52は、留め具または溶接接合など任意の適切な手段によってポペット弁アセンブリ48の一部分に固定接続される。あるいは、第2のリンク機構52がポペット弁アセンブリ48の一部分である。
【0020】
第3のリンク機構54の移動は、以下にさらに詳細に論じるように、ポペット弁アセンブリ48の一部分を横方向に作動する。ポペット弁アセンブリ48に対する第3のリンク機構54の力は、上部58と中央部60との間の距離と、中央部60と下部62との間の距離との比に基づいて変わる場合がある。
【0021】
次に図2〜4を参照して、ここでポペット弁アセンブリ48をさらに詳細に論じる。ポペット弁アセンブリ48は、中を通る経路66を画定するポペット弁ハウジング64を含み、経路66は、供給ライン(図示せず)をフィード管16に流体接続する。より具体的には、任意の適切な流体搬送管路であってよい供給ラインが、ポペット弁ハウジング64の底面69に形成された入口68に接続されて、ポペット弁アセンブリ48に洗浄流体を供給する。さらにまた、フィード管16に洗浄流体を供給するために、ポペット弁ハウジング64の側面69に開口70が形成される。底面71は、好ましくは、ポペット弁ハウジング64の開口73を通って延びる複数の固定具(図示せず)によって、または任意の他の適切な方法によって供給ラインに固定される。さらに、側面69は、クランプ・プレート接続によって、または任意の他の適当な方法によってフィード管16に固定される。それぞれの面69および71は、現在存在する構成要素、供給ライン、およびフィード管16の向きに対応するために、好ましくは互いに対して概して垂直である。
【0022】
さらに、ポペット弁ハウジング64は、図3で概して鉛直に示されている第1の軸線74に沿って入口68から延びる第1の通路72を画定する。さらにまた、ポペット弁ハウジング64は、図3で実質的に水平に示されている第2の軸線78に沿って開口70から延びる第2の通路76を画定する。2つの通路72および76は交差点80で合流し、交差点80は、並進するポペット弁ヘッド82によって選択的にシール(封止)される。
【0023】
ポペット弁ヘッド82は、概して丸い外周を有し、ポペット弁ハウジング64との実質的に流体密閉シールを選択的に形成することができ、第1および第2の通路72、76を互いから選択的に離隔し、洗浄流体が通路を通って流れるのを選択的に防止する。ポペット弁ヘッド82は、第3のリンク機構54に接続され、第2の軸線78に沿って横方向に摺動することができる。したがって、キャリッジ18が作動され、それによりリンク機構が移動されるとき、第3のリンク機構54は、ポペット弁ヘッド82をキャリッジ18と反対の方向に横方向で移動させる。図では、ポペット弁ヘッド82は、概して直線の経路に沿って移動するが、本発明に適する任意の経路に沿って移動することができる。
【0024】
スートブロワ10は、キャリッジとポペット弁ヘッド82との間の接続を一時的に解放および係合させるために、本明細書でストッパ83と呼ぶ1つまたは複数のデバイスを含むことができる。より具体的には、ストッパ83は、キャリッジ18がポペット弁アセンブリ48の近くに位置決めされているときにキャリッジ・ロッド56と係合され、ポペット弁ヘッド82を開閉する。しかし、キャリッジ18が所定の距離だけ遠位に移動すると、ストッパ83は、キャリッジ・ロッド56から解放されて、それぞれの構成要素82、83の間の接続を一時的に解放する。例えば、キャリッジ18が、図1に示される自然静止位置から遠位に移動するとき、ポペット弁ヘッド82は、キャリッジ18と共に作動される。しかし、キャリッジ18がフィード管16に沿って所定の点まで移動すると、解放機構によってストッパ83がキャリッジ・ロッド56から解放される。次いで、自然静止位置にキャリッジ18が復帰すると、ストッパ83は、再びキャリッジ・ロッド56と係合されて、ポペット弁ヘッド82を閉じる。
【0025】
ポペット弁ヘッド82は、図3では閉じた位置84で示されており、第2の通路76の断面領域が実質的に閉鎖され、洗浄流体がそこを通って流れるのを防止している。キャリッジ18が図1に示される自然静止位置にあるとき、ポペット弁ヘッド82は閉じた位置84にあり、したがって、ランス管14がボイラ内に延びていないときには洗浄流体はノズル46から放出されない。
【0026】
さらに、ポペット弁ヘッド82は、図4に示される開いた位置86に移動可能であり、このとき、第2の通路76の断面領域は実質的に閉鎖されず、洗浄流体がそこを通して流れることが可能になる。キャリッジ18およびランス管14が図1に示される位置から前方に延びているとき、ポペット弁ヘッド82は開いた位置86にある。したがってランス管14がボイラ内に延ばされているとき、洗浄流体がノズル46から放出される。
【0027】
ポペット弁ヘッド82およびポペット弁ハウジング64はそれぞれ、流体密閉シールを提供する構成要素を含むことが好ましい。例えば、ポペット弁ハウジング64内にシールリング88が埋め込まれ、ポペット弁ヘッド82が、シールリング88と位置合わせされたサテライト面90を含む。図に示されるシールリング88は、ポペット弁ハウジング64のリム92の周りに延び、それによってシールリング88がポペット弁ハウジング64から力を加えられるのを実質的に防止している。サテライト面90は、可撓性を有するようにポペット弁ヘッド82の本体から片持ちされ、それによりそれぞれの構成要素88、90の間のシールを改善している。シールリング88および座金90は、どちらもステンレス鋼および/または表面硬化材料から構成されることが好ましい。
【0028】
ポペット弁ヘッド82とポペット弁ハウジング64との間のシールをさらに促進するために、ポペット弁ヘッド82は、参照番号94によって一般に示される流体の流れの方向に閉じる。この構成により、特定のポペット弁ヘッド82位置にある間、洗浄流体はポペット弁ヘッド82を閉じた位置84に向けて押す。例えば、洗浄流体がポペット弁ヘッド82の背面98の後方を流れることができるような位置にポペット弁ヘッド82がある場合、洗浄流体はそのような力を引き起こす場合がある。
【0029】
ポペット弁ヘッド82とポペット弁ハウジング64との間のシールを促進するためのさらに別の機構は、ポペット弁ヘッド82を閉じた位置84に向けて付勢する複数の皿座金または多重巻きウェーブスプリング100などのばね機構である。別法として、他のタイプのばねなど任意の適切な付勢機構を使用することもできる。スリーブ102が、第3のリンク機構54を取り囲み、リンク機構54に結合され、それにより構成要素54と102は一体に移動する。スリーブ102は、皿座金100の第1の端部に係合するフランジ104を含み、ポペット弁ハウジング64は、皿座金100の他端に係合するフランジ106を含み、それによりスリーブ102をポペット弁ハウジング64から離れるように付勢する。
【0030】
図に示されるように、ポペット弁ヘッド82は、経路66を通って洗浄流体が流れるときに圧力流れ損失を最小にするために、概して弓形の表面108を含む。弓形表面108は、図3および図4の断面に沿って延びる第1の平面に沿って概して弓形であることが好ましい。例えば、弓形表面108は、図4に示されるように、第1の平面に沿って第1の曲率半径110を画定する。さらにまた、弓形表面108は、図5の断面に沿って延びる第2の平面に沿って概して弓形であることが好ましい。例えば、弓形表面108は、図5に示されるように、第2の平面に沿って第2の曲率半径111を画定する。それぞれの平面に沿った曲率は、3次元に沿った洗浄流体に関する滑らかな接触表面(弓形表面108)を提供することによって流れ損失を最小にする。
【0031】
第1の曲率半径110は、第1の通路72の直径112および第2の通路76の直径114と概して等しいことが好ましい。この構成では、洗浄流体の流れは、経路66に沿って流れる間に実質的に縮小されず、洗浄流体の流路は概して滑らかである。ポペット弁アセンブリ48が開いた位置にあるとき、洗浄流体の流れのための閉鎖されていない流路が提供される。これは、弁ヘッドが流れ位置に残る従来技術のポペット弁から区別可能である。
【0032】
上で論じたように、好ましくは6.985cm(2.75インチ)の外径45を有するフィード管16がポペット弁アセンブリ48と流体接続される。より具体的には、ポペット弁ハウジング64は、第2の通路76の端部に拡大直径部124を画定し、この部分が、フィード管16を受け入れ、フィード管16との流体密閉シールを形成する。したがって拡大直径部124が約6.985cm(2.75インチ)の内径126(図2)を有することが好ましい。さらに、流れ損失を回避するために、第2の通路76が、フィード管16の内径に概して等しい内径128を有することが好ましい。したがって、フィード管は0.47625cm(0.1875インチ)に等しい壁厚を有するので、図に示される第2の通路76の内径128は、6.0325cm(2.375インチ)に概して等しく、これは以下の式から計算される。
外径−(2×壁厚)=2.75”−(2×0.1875”)
=2.75−0.375
=2.375
【0033】
ポペット弁ヘッド82は、回転防止機構を含み、弓形表面108が流体の流れ94の方向に対して位置合わせ不良となることを防止している。回転防止機構は、第1のリンク機構50と第3のリンク機構54との間のエルボー・ジョイント116として示されており、それによってリンク機構間の回転を防止している。さらに、ポペット弁ヘッド82が第3のリンク機構54に接続されて、それらの間の回転が防止される。別法として、回転防止機構は、ポペット弁ハウジング64とポペット弁ヘッド82との間の回転を、例えばそれぞれの構成要素64および82の間のスロット・タブ接続(図示せず)によって直接防止することができる。
【0034】
図に示される弓形表面108は、ポペット弁ヘッド82を横切る圧力流れ損失を最小にし、それにより所望の洗浄効果を生み出すのに必要な十分に高い出力圧力(ポペット弁アセンブリ48からフィード管16に供給される洗浄流体の圧力)を提供するのに必要とされる所要の洗浄流体入力圧力(ポペット弁アセンブリ48に入る洗浄流体の圧力)を最小にする。ポペット弁アセンブリ48を通る圧力流れ損失の定量的な例として、150万以上といったスートブロワに関して典型的なレイノルズ数を洗浄流体が有するとき、アセンブリは、約1034000〜965400Pa(約150〜140ポンド毎平方インチ)の入力圧力で洗浄流体のストリームを入口68に入力することによって、約827400Pa(約120ポンド毎平方インチ)の出力圧力を提供することができる。この例では、ポペット弁ヘッド82を横断する圧力の変化は、以下の式によって計算される。
【数1】


ここで、
ΔPは、第1および第2の点の間の圧力の変化であり、
Kは、システム損失係数に対応するシステム定数であり、
ρは、洗浄流体の密度であり、
gは、重力加速度に対応する定数であり、
cは、第1および第2の点の間を流れるときの洗浄流体の高さ変化であり、
Vは、洗浄流体の速度である。
【0035】
上の式から分かるように、ポペット弁ヘッド82を通しての圧力変化と、損失係数Kとが、互いに正比例する。したがってポペット弁48によって引き起こされる圧力損失を最小にするために、システムに関する損失係数Kを最小にすることが望ましい。図に示される設計は、一般に1.75〜1.25の間の損失係数(K)を有する。現在使用されているシステムは、典型的には6.0以上の損失係数を有する。したがって図に示される設計は、現在使用されているシステムに対して大きな利点を提供する。
【0036】
ポペット弁ハウジング64は、複数の迂回管路122を画定して、ポペット弁ヘッド82が閉じた位置84にあるときにボイラ内部容積(boiler interior volume)に2次洗浄流体の低圧ストリームを送る。より具体的には、図中の迂回管路122はそれぞれ、周囲空気からポペット弁ヘッド82の下流にある経路66に延び、それにより、ポペット弁ヘッド82の位置に関係なく、周囲空気とボイラ内部容積とを流体接続している。上の構成は、2次洗浄流体、例えば空気、水、または蒸気がフィード管16内に流れ、且つノズル46を通して流れることができるようにして、ノズル46の周りにデブリが集まるのを防止する。
【0037】
ポペット弁ヘッド82が開いた位置86にあるとき、高圧洗浄流体がデブリをノズル46から洗い流し、それにより2次洗浄流体を一時的に不必要にする。したがって、ポペット弁ハウジング64は2次弁機構(図示せず)を含む場合があり、この機構は、ポペット弁ヘッド82が開いた位置86にあるときなど望ましくないときに、2次洗浄流体の流れを防止する。さらに、2次弁機構は、高圧洗浄流体が迂回管路122を通してスートブロワ10から出るのを防止するために、一方向弁機構を含むこともできる。
【0038】
いくつかのボイラは不完全真空下で動作し、ボイルの内部容積内の圧力が周囲圧力よりも低い。したがってそのようなボイラでは、空気は、迂回管路122を通してボイラ内部容積内に自然に引き込まれる。別法として、ボイラ内部容積内に2次洗浄流体を送るために容積形ポンプ・デバイスを使用することもできる。
【0039】
また、迂回管路122を使用して、フィード管16内の洗浄流体への圧力増加を提供することもできる。例えば、ポンプなどの流体移動デバイスを迂回管路122と接続することができ、それによりポペット弁ヘッド82が開いた位置86にあるときに洗浄流体圧力を増加させる。別法として、流体移動デバイスは、迂回管路122に隣接する位置以外の位置に配置してもよい。
【0040】
次に図6a〜8bを参照すると、代替のポペット弁アセンブリ248が、概して弓形の弁ヘッド表面247を備えるポペット弁ヘッド246を有して示されている。弁ヘッド表面247は、単一の平面に沿って概して弓形であり、したがって表面の弓形性質は、図2〜5に示されるポペット弁ヘッドの3次元弓形性質ではなく2次元である。さらに別の代替設計では、ポペット弁ヘッドは概して球形である。この設計では、球形構成要素は、開いた位置と閉じた位置との間で回転移動または横方向移動させることができる。
【0041】
また、図6a〜8bに示されるポペット弁アセンブリ248は、第1、第2、および第3のリンク機構250、252、254を含む代替リンク機構アセンブリを含む。第1、第2、および第3のリンク機構250、252、254は、キャリッジ・ロッド56によるキャリッジ18の移動によって作動され、それにより、キャリッジ18が移動したときに洗浄流体がフィード管16内に流れるのを可能にする。より具体的には、キャリッジ18は第1のリンク機構250の上部255に取り付けられ、それによりキャリッジ18の並進運動が第1のリンク機構250の回転運動に変換される。
【0042】
第1のリンク機構250は、比較的高いトルクを第3のリンク機構254に与えるための第1の枢動点258と、より低いトルクを第3のリンク機構254に与えるための第2の枢動点260とを含む。より具体的には、ポペット弁ヘッド246が閉じた位置261にあり、そして流体圧力が、閉じた位置247にとどまるようにポペット弁ヘッド246を付勢しているとき、第1のリンク機構250は、第1の枢動点258の周りで枢動し、第2のリンク機構252に形成されたスロット262内部で摺動する。この移動は、下部264および第3のリンク機構254をキャリッジ18と反対の方向に移動させ、それによりポペット弁ヘッド246を開く。第1のリンク機構250が第1の枢動点258の周りで枢動するとき、比較的大きい第1のモーメント・アーム266がキャリッジ18に作用し、それにより、ポペット弁ヘッド246を初めに開くのに必要な力を低下させる。図での第1の枢動点258は、概して円柱形のピン268と、ピン268の回転を可能にするように構成された概して弓形の受取り表面270とによって画定される。
【0043】
図7aおよび図7bに示されるように、ポペット弁ヘッド246が部分的に開かれているとき、第1のリンク機構250は、第2のリンク機構252に形成されたスロット262の最右端部に摺動し、それにより第1のリンク機構250は第2の枢動点260の周りで枢動する。第2の枢動点260は、ピン272と、ピン272を受け取り、その回転を可能にするスロット262とによって画定される。第2の枢動点260の周りでの回転は、キャリッジ18に作用する比較的小さい第2のモーメント・アーム274を生み出す。しかし、ポペット弁ヘッド246をさらに開くのに必要とされる力は、短くなったモーメント・アームにより増加されるとは必ずしも限らない。なぜなら、流体の流れ276が、ここではポペット弁ヘッド246とポペット弁ハウジングとの間のギャップを通して流れることができ、それによりポペット弁ヘッド246を開いた位置に向けて付勢するからである。
【0044】
次に、図8aおよび図8bに示されるように、第1のリンク機構250は、第2の枢動点260の周りで回転し続け、ポペット弁ヘッド246が開いた位置278に移動される。それと同時に、ピン268が、弓形受取り面270から離れるように摺動する。キャリッジ18に作用する比較的小さい第2のモーメント・アーム274は、第3のリンク機構254に作用する比較的大きいモーメント・アーム280によって補完され、それにより、開いた位置278へのポペット弁ヘッド246の比較的迅速な移動をもたらす。
【0045】
ポペット弁アセンブリ248は、迂回管路322を含み、それによりポペット弁アセンブリが閉じられているときにボイラ内部容積に2次洗浄流体の低圧ストリームを送る。より具体的には、図6a〜8bの迂回管路322は、周囲空気からポペット弁アセンブリ248内に延び、それにより、ポペット弁ヘッドの位置に関係なく、周囲空気とボイラ内部容積とを流体接続する。上の構成は、2次洗浄流体(例えば空気、水、または蒸気)がフィード管16内に流れること、およびノズル46を通して流れることを可能にし、ノズル46の周りにデブリが集まるのを防止する。また迂回管路122は、鉛直方向に対してある角度で、ポペット弁ハウジングを通して延びていてもよい。
【0046】
それゆえ、前述の詳細な説明が限定ではなく例証であるものとして認識されることが意図されており、本発明の精神および範囲を定義することを意図しているのは、全ての等価物を含む添付した特許請求の範囲であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】格納式のランス管と、ランス管への洗浄流体の流れを制御するポペット弁とを有する長い格納式のスートブロワであって、本発明の原理を具現化したスートブロワを示した図。
【図2】ポペット弁の正面図を示すように図1の線2−2に沿って取られたスートブロワのフィード管の断面図。
【図3】弁ヘッドが閉じた位置にある場合の、図2の線3−3に沿って取られた断面図。
【図4】弁ヘッドが開いた位置にある場合の、図3と同様の断面図。
【図5】弁ハウジングを通って延びる迂回管路を示す、図2の線5−5に沿って取られた断面図。
【図6a】リンク機構アームが第1の位置にある場合の、本発明の原理を具現化したポペット弁の代替実施例の断面図。
【図6b】図6aに示したポペット弁の側面図。
【図7a】リンク機構アームが第2の位置にある場合の、図6aに示したポペット弁の断面図。
【図7b】図7aに示したポペット弁の側面図。
【図8a】リンク機構アームが第3の位置にある場合の、図6aに示したポペット弁の断面図。
【図8b】図8aに示したポペット弁の側面図。
【符号の説明】
【0048】
10 スートブロワ
12 フレーム・アセンブリ
14 ランス管
16 フィード管
18 キャリッジ
20 フレーム・ボックス
26 駆動モータ
28 歯車箱
30、32 ピニオン・ギヤ
34 ラック・アセンブリ
40 コイル状電気ケーブル
46 ノズル
50、52、54 リンク機構
56 ロッド
64 ポペット弁ハウジング
82 ポペット弁ヘッド
88 シールリング
100 皿座金
102 スリーブ
108 弓形表面(アーチ表面)
116 エルボー・ジョイント
122、322 迂回管路
266、274、280 モーメント・アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの内部容積からデブリを除去するように構成されたスートブロワで使用するためのポペット弁アセンブリであって、
第1の軸線に沿って延びる第1の通路、および前記第1の軸線に概ね垂直である第2の軸線に沿って延びる第2の通路を画定している弁ハウジングと、
開いた位置と閉じた位置との間で、前記弁ハウジングに関して概ね横方向に移動するように構成された弁ヘッドであって、前記弁は、前記開いた位置にあるとき、実質的に6.0未満の損失係数を有している弁ヘッドと
を有するポペット弁アセンブリ。
【請求項2】
前記弁ヘッドが前記開いた位置にあるとき、前記損失係数が3.0以下である請求項1に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項3】
前記弁ヘッドが前記開いた位置にあるとき、前記損失係数が1.5以下である請求項2に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項4】
前記弁ヘッドが前記開いた位置にあるとき、前記損失係数が0.5以下である請求項3に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項5】
前記弁ヘッドが前記開いた位置にあるとき、前記第1および第2の通路が実質的に遮られていない請求項1に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項6】
前記弁ヘッドが、前記第1および第2の通路の間に延びる接続表面を画定し、該接続表面が、第1の平面に沿って実質的に一定の曲率半径を有している請求項1に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項7】
前記弁ハウジング内部で前記開いた位置と前記閉じた位置との間で前記弁ヘッドを移動させるように構成されたリンク機構をさらに有する請求項1に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項8】
前記リンク機構アセンブリが、第1の軸線の周りで枢動して、前記弁ハウジング内部で前記弁ヘッドを移動させる請求項7に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項9】
前記リンク機構アセンブリは、前記弁ヘッドが第1の移動範囲にある間、前記第1の軸線の周りで枢動し、前記弁ヘッドが第2の移動範囲にある間、前記第2の軸線の周りで枢動する請求項8に記載のポペット弁。
【請求項10】
前記第2の通路に沿った前記弁ハウジングの部分が、6.985cm(2.75インチ)に概ね等しい内径を有している請求項1に記載のポペット弁アセンブリ。
【請求項11】
ボイラの内部容積内に洗浄流体を送る方法であって、
前記ボイラの前記内部容積内に前記洗浄流体を送るために、前記内部容積内にランス管を挿入するステップと、
150万よりも大きいレイノルズ数を有する前記洗浄流体を前記ランス管に送ために、前記ランス管と流体連絡する弁を提供するステップと、
前記洗浄流体が、689500Pa(100ポンド毎平方インチ)以上の第2の圧力で前記弁から出るように、1379000Pa(200ポンド毎平方インチ)以下の第1の圧力で前記洗浄流体を前記弁に送るステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の圧力が、1103000Pa(160ポンド毎平方インチ)以下であり、前記第2の圧力が、827400Pa(120ポンド毎平方インチ)以上である請求項11に記載の前記洗浄流体を送る方法。
【請求項13】
前記洗浄流体は、第1の軸線に沿って流れて前記弁に入り、前記第1の軸線に実質的に垂直な軸線に沿って流れて前記弁から出る請求項11に記載の前記洗浄流体を送る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【公開番号】特開2007−64483(P2007−64483A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233228(P2006−233228)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(506294842)ダイアモンド パワー インターナショナル、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】