説明

洗浄剤組成物

【課題】 泡質の粗い洗浄基剤に泡沫のクリーミーさと起泡安定性を付与する。
【解決手段】 次の成分(A)〜(C):
(A)界面活性剤
(B)炭素数12〜18のアルコール及び/または脂肪酸
(C)多糖誘導体
を含有し、成分(B)が分散粒子である洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒径が細かくコシのあるクリーミーな泡質の洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤組成物にはその目的に合わせて様々な界面活性剤が使用されているが、泡質が粗く弾力性に欠けるものが多い。特に身体洗浄料としては泡質のクリーミーなものが好まれる傾向にあり、泡質の粗い基剤に対して他の成分を組み合わせるなどの改善例が報告されている。
【0003】
例えば、脂肪酸をジタウリン塩、トリタウリン塩などで中和した泡質改善剤(特許文献1)や脂肪酸塩とアミドエーテルサルフェート型アニオン活性剤とアルキルホスフェート型アニオン活性剤を組み合わせた組成物(特許文献2)等の例が開示されている。また、基剤に対して脂肪酸塩や高級アルコールを添加して泡質を改善することも知られているが、溶剤と併用して可溶化系で用いるのが常識である。
【特許文献1】特開平2000−119698号公報
【特許文献2】特開平5−201852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
起泡力に優れるものの泡質が粗く、破泡しやすい洗浄基剤に対し、結晶性物質である脂肪酸や高級アルコールを一定量以上添加すると、沈澱あるいは浮遊物が発生する欠点があった。また、保存条件によって結晶が融解・凝固を繰り返すと粒径が徐々に増大し、性能が安定しない欠点もあった。
従って本発明は、泡質の粗い洗浄基剤に泡沫のクリーミーさと起泡安定性を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、泡質の粗い洗浄基剤に対して特定の脂肪酸あるいは高級アルコールを特定の高分子分散剤を用いて固体粒子として分散させることにより、泡沫のクリーミーさと起泡安定性が両立することを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C):
(A)界面活性剤〔以下、成分(A)とも云う〕
(B)炭素数12〜18のアルコール及び/または脂肪酸〔以下、成分(B)とも云う〕
(C)多糖誘導体〔以下、成分(C)とも云う〕
を含有し、成分(B)が分散粒子である洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄剤組成物は、特定の脂肪酸あるいは高級アルコールを固体粒子として分散させることにより、洗浄初期の起泡性能を損なわずにクリーミーな感触の泡を生成することができる。また、特定の高分子分散剤を用いることにより、放置温度によって分散粒子が溶解・凝固を繰り返したとしても、再び同程度の分散粒子径に復元するため、性能安定性に優れる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる界面活性剤(A)はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0009】
アニオン系界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系及びアミノ酸系のものが好ましく、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等が挙げられる。
これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、又はポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩が好ましく、特に一般式(9)又は(10)で表されるものが好ましい。
R9O(CH2CH2O)pSO3M (9)
R10OSO3M (10)
〔式中、R9は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R10は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、pはエチレンオキサイド平均付加モル数で1〜5の数を示す。〕
【0010】
カチオン系界面活性剤の例として、特開2000-178146号公報に記載の、下記一般式
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、R5、R6、R7及びR8のうち、少なくとも1個は総炭素数12〜28のアルコキシ基、好ましくは16〜28の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基、アルケノイルアミノ基、アルカノイル基又はアルカノイルオキシ基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、Z1-はハロゲンイオン又は有機アニオン、例えばアセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフォネート、スルフェート、及びアルキルスルフェート基から選択されたものを示す。〕
で表わされる第4級アンモニウム塩が挙げられる。
上記化合物の好ましい例として、R5、R6、R7及びR8のうち、少なくとも1個が総炭素数8〜22のアルコキシ基で置換していても良いアルキル基で、残余は、メチル基、エチル基、ベンジル基を示すものが挙げられる。さらに好ましい具体例としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムや塩化オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムのような塩化モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムや塩化分岐ジアルキルジメチルアンモニウムのような塩化ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム等が挙げられる。また、ベンザルコニウム型の第4級アンモニウム塩も挙げられ、具体的には塩化ベンザルコニウム、セチルリン酸化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0013】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレンC8−C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルが好ましい。アルキルグリコシド類としては、アルキル基の炭素数8〜14で、糖(グルコース)の縮合度1〜2のものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0014】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。
【0015】
成分(A)の含有量は、起泡性の観点から、組成物中に好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%とすることが望ましい。
【0016】
本発明で用いる炭素数12〜18のアルコールおよび/または脂肪酸(B)は、1種または2種以上を混合して用いることができる。アルコールおよび/または脂肪酸の炭素数が11以下あるいは19以上では好ましい泡質が得られない傾向がある。好ましくは炭素数14〜16のアルコールおよび/または脂肪酸であり、更に好ましくは炭素数14〜16のアルコールが望ましい。
また、該アルコールや脂肪酸は直鎖型、分岐型又は飽和型、不飽和型を問わず使用することができ、単独でも混合されていても良い。該アルコールは一価又は多価アルコールのいずれでもよいが、一価アルコールが好ましい。具体的にアルコールおよび/または脂肪酸に含まれるアルキル基またはアルケニル基を例示すると、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、ミリスチルアルコールやセチルアルコール、ミリスチン酸が好ましい。
【0017】
また、成分(B)の好ましい含有量は、重量比で成分(A):成分(B)=30:1〜3:1であり、15:1〜3:1がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、クリーミーな泡質を発現する観点から、組成物中に好ましくは0.3〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%とすることが望ましい。
【0018】
このように構成される本発明では、成分(B)を含有する分散粒子の粒径は0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜30μmである。更に、成分(A)の界面活性剤と成分(B)との重量比率を(A):(B)=30:1〜1:1で配合することにより、クリーミーな泡質の身体洗浄料を得ることができる。特に好ましい成分(A)の界面活性剤と成分(B)との重量比率は10:1〜5:1である。
【0019】
本発明では、成分(B)の固体状態にある分散粒子に成分(C)が付着し、組成によっては、更に成分(A)が成分(B)の分子鎖の間に入り込み液晶を形成していると考えられ、洗浄時に成分(A)と空気によって生じた泡膜界面に前記分散粒子が配向し、膜弾性を増加させているものと推察される。その結果、クリーミーな泡が生じると考えられる。
【0020】
本発明で用いられる好ましい多糖誘導体(C)は、多糖類またはその誘導体のヒドロキシ基の水素原子の一部または全てが、置換基(a)で置換されているものである:
(a)一般式(1)で表される基
-E1-(OA)n-E2-R (1)
〔式中、E1はヒドロキシ基又はオキソ基が置換していてもよい炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、OAはAが炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基であるオキシアルキレン基を示し、nは平均付加モル数であり0〜300の数を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基を示し、Rはヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す〕
【0021】
置換基(a)の一般式(1)における炭化水素基E1は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数2又は3のものが好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、1−ヒドロキシメチルエチレン基、1−オキソエチレン基、1−オキソトリメチレン基、1−メチル−2−オキソエチレン基等が挙げられる。
【0022】
一般式(1)における炭化水素基Aは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数2又は3のものが好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基及びトリメチレン基が挙げられる。nは−(OA)−の繰り返し単位の平均数であり、後述の油性成分を水中に安定に分散させる乳化安定性の点から、8〜120、特に10〜60が好ましく、n個のAは同一でも異なっても良い。E2はエーテル結合(−O−)又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、特にエーテル結合が好ましい。
【0023】
一般式(1)における長鎖アルキル基Rは、炭素数4〜30であり、特に炭素数5〜25、更には6〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基等が挙げられる。中でも、乳化系の安定性の点から、直鎖アルキル基が好ましい。
【0024】
成分(C)の多糖誘導体における置換基(a)の置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0、更に0.0005〜0.5、特に0.001〜0.1の範囲が好ましい。
【0025】
成分(C)の多糖誘導体は、上記置換基(a)に加え、メチル基、エチル基等のアルキル基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;以下に示すスルホアルキル基(b)、カルボキシアルキル基(c)及びカチオン性置換基(d)から選ばれる1以上の基で置換されていてもよい。また、置換基(a)〜(d)に含まれ得るヒドロキシ基の水素原子は、更に置換基(a)〜(d)で置換されていても良い。
【0026】
(b)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基:
2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられる。中でも、安定性と製造上の簡便さの点から、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。これらスルホアルキル基(b)は、その全てあるいは一部がNa、K、Ca、Mg等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、アンモニア、アミン類、アンモニウム等の有機カチオンにより塩となっていてもよい。
【0027】
(c)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のカルボキシアルキル基:
カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基等が挙げられ、中でも、安定性と製造上の簡便さの点から、カルボキシメチル基が好ましい。これらカルボキシアルキル基(c)は、その全てあるいは一部がNa、K、Ca、Mg等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、アンモニア、アミン類、アンモニウム等の有機カチオンにより塩となっていてもよい。
【0028】
(d)ヒドロキシ基が置換していてもよいカチオン性置換基:
一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0029】
【化2】

【0030】
〔式中、D1はヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、R1、R2及びR3は同一又は異なって、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、X−はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す〕
【0031】
式(2)におけるD1としては、炭素数2又は3のものが好ましく、具体的にはエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、1−ヒドロキシメチルエチレン基等が挙げられる。
式(2)におけるR1、R2及びR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられ、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
式(2)におけるX−で示されるハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられ、有機酸イオンとしては、CH3COO−、CH3CH2COO−、CH3(CH22COO−等が挙げられる。X−としては、特にヒドロキシイオン、塩素イオン及び臭素イオンが好ましい。
【0032】
成分(C)の多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体を、下記一般式(3)
E3-(OA)n-E2-R (3)
【0033】
〔式中、E3は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、ヒドロキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基又は炭素数2〜6のカルボキシアルキル基、若しくはそれらの誘導体を示し、n、A、E2及びRは前記と同じ意味を示す〕
で表されるポリオキシアルキレン化剤(a1)と反応させることにより製造することができる。
【0034】
また、前記置換基(b)、(c)及び(d)は、多糖類又はその誘導体を、それぞれ以下に示すスルホン化剤(b1)、カルボキシアルキル化剤(c1)及びカチオン化剤(d1)と反応させることにより、導入することができる。即ち、
(b1)ビニルスルホン酸、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜5のハロアルカンスルホン酸、エポキシ基を有する炭素数2〜5のスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、
(c1)ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数2〜6のハロゲン化カルボン酸及びその塩から選ばれるカルボキシアルキル化剤、及び
(d1)下記一般式(4)
【0035】
【化3】

【0036】
〔式中、D2は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のハロゲン化アルキル基を示し、R1、R2、R3及びX−は前記と同じ意味を示す〕
で表されるカチオン化剤である。
【0037】
すなわち、成分(C)の多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシ基の水素原子を全て又は部分的にポリオキシアルキレン化〔置換基(a)の導入〕し、必要に応じて更にスルホン化〔スルホアルキル基(b)の導入〕、カルボキシアルキル化〔カルボキシアルキル基(c)の導入〕及びカチオン化〔カチオン性置換基(d)の導入〕することにより、製造することができる。これらポリオキシアルキレン化反応、スルホン化反応、カルボキシアルキル化反応及びカチオン化反応はどの順序で行ってもよく、また2〜4の反応を同時に行うこともできるが、まずポリオキシアルキレン化反応を行い、次いで必要に応じて、カチオン化反応、カルボキシアルキル化反応、スルホン化反応の順で反応を行うのが好ましい。
より具体的には、例えば、国際公開第00/73351号パンフレットに記載の方法により、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、上記の反応を行うことにより製造することができる。ここで、原料及び製品は粉体であることが、取り扱いが簡便であり、好ましい。
【0038】
多糖誘導体(C)の原料となる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、プルラン、デキストラン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、ローカストビンガム、クインスシード、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、イヌリン、キサンタンガム、サクシノグルカン、カードラン、プルラン等の多糖類、及びこれらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、単独で又は複数の組合せで置換することができる。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。
【0039】
これら多糖類又はその誘導体のうち、セルロース、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、10万〜500万、特に10万〜200万の範囲が好ましい。
【0040】
例えば、セルロース誘導体の場合、その繰返し単位は次のような一般式で表わされる。
【0041】
【化4】

【0042】
〔式中、Zは同一又は異なって、ポリオキシアルキレン基及び長鎖アルキル基を含む前記置換基(a)のほか、水素原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシ基を有してもよいアルキル基;前記スルホアルキル基(b)、カルボキシアルキル基(c)、カチオン性置換基(d)から選ばれる基を示す。Qは同一又は異なって、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、x、y及びzは、同一又は異なって0〜10の数を示す。QO基、Z基、x、y及びzは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよい。また上記置換基(a)〜(d)に含まれ得るヒドロキシ基は、更に他の置換基(a)〜(d)で置換されていてもよい〕
【0043】
成分(C)の好ましい含有量は、重量比で成分(B):成分(C)=20:1〜1:1であり、15:1〜3:1がより好ましい。
また、成分(C)の含有量は、分散粒子径の安定性の観点から、組成物中に好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.7重量%とすることが望ましい。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物は更に、泡のクリーミーさを向上させる観点から、成分(C)以外の親水性ポリマー(D)〔以下、成分(D)とも云う〕を含有するのが好ましい。
本発明で用いられる親水性ポリマー(D)の親水性とは、有機概念図−基礎と応用−(甲田善生著、三共出版株式会社、昭和59年5月10日発行)において、ポリマーの無機性(I)と有機性(O)の比率[I/O]が、0.70以上であることを意味し、好ましくは1.00以上、更に好ましくは1.30以上である(但し、小数点以下3位を四捨五入した。また、軽金属塩(ナトリウム塩)の無機性を500、アンモニウム塩の無機性を400として計算した)。
【0045】
本発明の洗浄剤組成物中の親水性ポリマー(D)の含有量は、0.01〜5重量%が好ましく、更に0.01〜3重量%、特に0.05〜1重量%が好ましい。
【0046】
親水性ポリマー(D)は三次元網目構造を有するのが好ましい。三次元網目構造を有するポリマーとは、全体又は一部に架橋構造を有するポリマーであれば良く、(a)重合時の自己架橋、(b)多官能性モノマーとの共重合、(c)ポリマー同士の架橋反応、(d)放射線の照射等の方法により架橋した共有結合性架橋、金属イオン等を介したイオン結合性架橋、水素結合を介した架橋、疎水性結合を介した架橋、部分的な結晶構造に由来した架橋、ヘリックス構造に由来した架橋等、何れであっても良い。これらの中でも、架橋構造の安定性の面から共有結合性架橋が好ましく、その中でも(a)重合時の自己架橋、(b)多官能性モノマーとの共重合が好ましい。(a)の重合時の自己架橋を誘発するものとして、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過酸化物等の開始剤が好ましい。(b)の多官能性モノマーとしては、少なくとも2個の重合性不飽和基を分子中に有する架橋性ビニルモノマーであり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの重合度が1〜30)等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルアミン等のポリアリル化合物;ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。
【0047】
本発明の三次元網目構造を有するポリマーを構成する全モノマー中、多官能性モノマーの割合は、モノマー全量に対して0.001〜5モル%が好ましく、0.002〜1モル%が更に好ましい。
【0048】
本発明の三次元網目構造を有する親水性ポリマー(D)としては、好ましくは下記の一般式(5)又は(6)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、下記の一般式(7)又は(8)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基およびアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られる、カチオン性基含有共重合体が好ましい:
【0049】
【化5】

【0050】
(式中、R14 は水素原子又はメチル基を示し、R15 およびR16 は同一又は異なって、水素原子または炭素数1から4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)
【0051】
【化6】

【0052】
〔式中、R14は前記と同じ意味を示し、A1およびA2は同一又は異なって、式- (CH2)m- (mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは-O-または-CH2-基を示す〕
【0053】
【化7】

【0054】
(式中、R14は前記と同じ意味を示し、R17およびR18は同一または異なって、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R19は水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、Y2は -O-、-NH-、-CH2-、または-O-CH2CH(OH) -基を示し、Z2は炭素数1〜4 (ただしY2が-CH2-のときは炭素数0〜3)の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、X3は酸の共役塩基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す)
【0055】
【化8】

【0056】
(式中、R20 およびR21 は同一または異なって、水素原子またはメチル基を示し、R22 およびR23 は同一または異なって、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、X3は前記と同じ意味を示す)
【0057】
このような共重合体(A)としては、例えば、カチオン性基含有ビニル単量体(以下、単量体(a1))の少なくとも1種と、一般式(5)又は(6):
【0058】
【化9】

【0059】
〔式中、R14 は水素原子又はメチル基を示し、R15 及びR16 は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【0060】
【化10】

【0061】
〔式中、R14 は前記と同じ意味を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式-(CH2)m-(mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは-O-又は-CH2-基を示す。〕で表されるノニオン性基含有ビニル単量体〔以下、単量体(a2)〕の少なくとも1種と、2個以上のビニル基を分子中に有する架橋性ビニル単量体〔以下、単量体(a3)〕の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体〔以下、共重合体(A1)と云う〕が挙げられる。
共重合体(A1)を構成する単量体のうち、単量体(a1)としては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクロイルアルキルトリアルキル4級アンモニウム塩類、ジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ビニルピリジン類、N−ビニル複素環化合物類、アミノ基を有する単量体の酸中和物あるいは4級アンモニウム塩、ジアリル型4級アンモニウム塩などが挙げられる。
これらの単量体(a1)のうち、一般式(7)又は(8)で表わされる化合物が好ましい。
【0062】
【化11】

【0063】
〔式中、R14 、R17 、R18 、R19 、Y、Z2及びX3は前記と同じ意味を示す。〕
【0064】
【化12】

【0065】
〔式中、R20 、R21 、R22 、R23 及びX3は前記と同じ意味を示す。〕
化合物(7)又は(8)の塩を得るために用いる好ましい酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、スルファミン酸などが挙げられ、4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等が挙げられる。
【0066】
単量体(a1)の好ましい具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0067】
単量体(a2)としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられる。これらのうち、N,N−ジ置換アクリルアミドを用いた場合に使用感が好ましく、さらにはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が特に好ましい。
単量体(a3)としては、多価アルコール又は不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ジビニル化合物、ポリアリル化合物等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が、特に好ましい。
単量体(a1)と単量体(a2)との好ましい配合比率は、(a1)/(a2)のモル比で、2/98〜98/2であり、さらに好ましくは3/97〜60/40である。上記モル比が小さい場合はチキソトロピー性の発現が、モル比が大きい場合は低シェアレート時の粘度保持が夫々容易となるが、両特性発現には上記範囲内である方が好ましい。
単量体(a3)の割合は、単量体全量に対して0.002〜5重量%が好ましく、0.002重量%以上0.1重量%未満が特に好ましい。単量体(a3)の割合が0.002重量%以上であれば、共重合体(A1)から形成されるハイドロゲルの粘度が十分であり、また5重量%以下であれば、ハイドロゲルの感触は柔らかく、すべりの良いものとなる。
【0068】
共重合体(A1)は、必須構成単位である前記の3種類のビニル単量体それぞれ1種以上の他、これらと共重合可能な他のビニル単量体を構成成分とすることができる。他のビニル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体;アクリル酸、メタアクリル酸等のアニオン性基含有単量体;N−(3−スルホプロピル)−N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン類などが挙げられる。
【0069】
共重合体(A1)を製造する方法は、水溶液重合法、逆相懸濁重合法、沈澱重合法などが好ましい。例えば、特開平4−230250号公報第12頁第22欄第28〜34行に記載のような水溶液重合法を用いる場合、重合開始温度20〜90℃、反応時間1〜10時間程度で行うのが好ましい。重合開始剤としては、特開平4−230250号公報第12頁第22欄第46行〜第13頁第23欄第18行のような、アゾビス系化合物が単独で、あるいは還元剤と組合せて用いられる。共重合体(A1)の水溶液重合法による製造には、例えば特開昭53−34101号公報第3頁右上欄第14行〜同右下欄第8行記載の、回転する攪拌腕を有する容器が用いられる。
【0070】
本発明の洗浄剤組成物は、常法に従って、水溶液、エタノール溶液、ゲル、ワックス等の所望の剤型にすることができる。また、本発明の洗浄剤組成物は特に皮膚へ適用し、身体洗浄剤として用いるのが好ましく、具体的には、ボディシャンプー、ハンドソープ、洗顔料、メイク落とし等の製品とすることができる。
【0071】
本発明の洗浄剤組成物には、更に洗浄剤組成物に通常用いられる成分、例えば保湿剤、感触向上剤、香料等を適宜含有させることができる。
【0072】
本発明の洗浄剤組成物のpHは、皮膚刺激性の面からpH4〜8が好ましく、pH5〜7が更に好ましい。
【0073】
本発明の洗浄剤組成物の形態は、液状、ゲル状、ペースト状、ワックス状等、適宜選択できるが、溶剤として水または低級のアルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【0074】
本発明の洗浄剤組成物は、例えば界面活性剤や高分子分散剤、水溶性ポリマー等を混合した系に炭素数12〜18のアルコールおよび/または脂肪酸を加熱分散させて製造することができる。あるいは、予め炭素数12〜18のアルコールおよび/または脂肪酸を高分子分散剤にて乳化分散させたものを界面活性剤に添加しても製造することができる。
【実施例】
【0075】
本発明を実施例により、更に詳しく記載する。
(多糖誘導体:製造例1)
重量平均分子量10万、ヒドロキシエチル基の置換度2.5のヒドロキシエチルセルロース(NATROSOL250LR,ハーキュレス社製)100g、含水80%イソプロピルアルコール530g、48%水酸化ナトリウム水溶液6.1gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分攪拌した。この溶液に次式:
【0076】
【化13】

【0077】
で表されるグリシジルポリオキシエチレンステアリルエーテル18.5gを加え、80℃で9時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール600gで2回洗浄後、減圧下60℃で一昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体1)91gを粉末形態で得た。
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のポリオキシアルキレン基を含む置換基(a)の置換度は0.007であった。
【0078】
(多糖誘導体:製造例2)
1Lニーダー中に、ヒドロキシエチルセルロース(ユニオンカーバイト社製,QP15000H,LOT.W8077P,以下「HEC」)100g及びステアリルグリシジルエーテル0.61g(0.45mol%対HEC)を仕込んだ。装置を密閉し、装置内の脱気(13.3kPa)と窒素置換を3回行い、反応系内の酸素を除去した。窒素置換後、粉体を攪拌しながら室温でイソプロピルアルコール50g(0.5重量倍対HEC)を添加した。5分後48重量%水酸化ナトリウム水溶液6.67g (20mol%)とイオン交換水36.5g(総水量0.4重量倍対HEC)の混合液を、粉体の攪拌を行いながら徐々に加えた。室温で30分攪拌後、80℃まで昇温し、80℃で3時間疎水化反応を行った。疎水化反応終了後、50℃まで冷却し、攪拌しながら、別途調製した2,3-エポキシプロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(41.1重量%)31.2g(20mol%対HEC)をゆっくりと添加し、50℃で5時間スルホン化反応を行った。スルホン化反応終了後、酢酸4.8gをゆっくりと添加して中和を行った。30分攪拌後、ニーダー内で減圧乾燥(90℃/100mmHg)を6時間行い、黄白色粉体のヒドロキシエチルセルロース誘導体(多糖誘導体2)110gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体の3-ステアリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.0033、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基の置換度は0.139であった。
【0079】
(多糖誘導体:製造例3)
ばれいしょでんぷん(片山化学社製)80g、50%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。この溶液に次式
【0080】
【化14】

【0081】
で表される化合物19.0gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を50%のイソプロピルアルコール500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたでんぷん誘導体(多糖誘導体3)69.4gを得た。
得られたでんぷん誘導体のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.005であった。
【0082】
(製法)
製造例1〜3で得られた多糖誘導体(C)をグリセリン水溶液に分散させ、70℃にて加熱攪拌しつつ、加熱融解した成分(B)を1g/分の速さで滴下し、滴下終了後は70℃にて3時間熟成を行った。ここにイオン交換水、成分(A)、必要に応じて成分(D)を配合し、表1,2に示す洗浄剤組成物を得た。このものを製造直後評価に用いた。また、このものを60℃から−15℃の間で、1日1サイクル変化する恒温槽内に6日間保存し、保存後評価に用いた。
上記の方法で得られた洗浄剤組成物を用い、下記の方法で評価した。
【0083】
(固体粒子の粒径測定)
(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」を用い、20℃・相対屈折率1.20−0.00i・超音波1分にてメジアン径を測定し平均粒径とした。
【0084】
(評価方法)
製造した身体洗浄料を4°DH硬水にて予め10倍希釈し、その希釈液5mlを使って手洗いにて30秒間泡立てて官能評価を行った。官能評価は専門パネラー10人で行い、10人中9人以上が石鹸様のクリーミーな泡質であると判断した場合には「A」、10人中7〜8人が石鹸様のクリーミーな泡質であると判断した場合には「B」、10人中5〜6人が石鹸様のクリーミーな泡質であると判断した場合には「C」、10人中3〜4人が石鹸様のクリーミーな泡質であると判断した場合には「D」、10人中2人以下が石鹸様のクリーミーな泡質であると判断した場合には「E」とした。
【0085】
【表1】

【0086】
表1の結果より、本発明の身体洗浄料の場合にはクリーミーな泡を立てることができた。成分(C)を含まない比較例1では、製造直後にはクリーミーな泡質であるが、保存後には泡質が低下し、起泡安定性が得られなかった。成分(B)の炭素数が12未満あるいは18を超える比較例4〜6では、泡質が改善されなかった。また、表1の実施例8〜10の結果より、親水性ポリマー(D)を併用した場合には更に泡質を向上することができた。
【0087】
(実施例12)
次の組成のボディシャンプーを調製した。
(重量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 0.5
ミリスチルアルコール 2.0
多糖誘導体(1) 0.4
香料、メチルパラベン 適量
精製水 残量
計 100.0
【0088】
(実施例13)
次の組成のハンドソープを調製した。
(重量%)
ラウリルグルコシド 15.0
ミリスチルアルコール 1.5
セチルリン酸化ベンザルコニウム* 0.5
EDTA−2Na 0.1
ミリスチン酸 0.5
多糖誘導体(1) 0.2
香料、メチルパラベン 適量
精製水 残量
計 100.0
*:サニゾールP〔花王(株)製〕
【0089】
(実施例14)
次の組成の洗顔料を調製した。
(重量%)
ラウリルリン酸ナトリウム 15.0
グリセリン 10.0
イソステアリルグリセリルエーテル 0.5
セチルアルコール 1.0
多糖誘導体(2) 0.2
香料、メチルパラベン 適量
精製水 残量
計 100.0
これら実施例12〜14のボディシャンプー、ハンドソープ、洗顔料は、泡質がクリーミーで安定性にも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C):
(A)界面活性剤
(B)炭素数12〜18のアルコール及び/または脂肪酸
(C)多糖誘導体
を含有し、成分(B)が分散粒子である洗浄剤組成物。
【請求項2】
分散粒子の平均粒径が0.1〜50μmである請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
多糖誘導体(C)のヒドロキシ基の水素原子の一部または全てが、ポリオキシアルキレン基および長鎖アルキル基を含む次の基(a)
(a)一般式(1)で表される基
−E1−(OA)n−E2−R (1)
{式中、E1はヒドロキシ基またはオキソ基が置換していてもよい炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基または化学結合を示し、OAはAが炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基であるオキシアルキレン基を示し、nは平均付加モル数であり0〜300の数を示し、E2はエーテル結合またはオキシカルボニル基を示し、Rはヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す}で置換されている請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
一般式(1)で示される多糖誘導体(C)の置換基(a)のnが、8〜300である請求項3記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、成分(C)以外の親水性ポリマー(D)を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(D)が三次元網目構造を有する請求項5記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
成分(B)の含有量が1重量%以上である請求項1〜6の何れか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
皮膚へ適用するためのものである請求項1〜7の何れか1項記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−182907(P2006−182907A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377707(P2004−377707)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】