説明

洗浄剤組成物

【課題】 毛髪や皮膚に対する作用が温和で、且つ起泡力が良く、ヘアカラー染色毛の退色が少ない洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤(A)および一般式(2)で示される化合物の1種もしくは2種以上を含むアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる洗浄剤組成物。
【化7】


式中、R1は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基、R2およびR3はメチル基またはエチル基、pは2または3を表す。
【化8】


式中、R4は炭素数6〜24の炭化水素基;XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、−SO3Mまたは−CH2COOMで示される基であり、XおよびYのうちの少なくとも一方は水素原子ではなく、Mはカチオン;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;kおよびmは0または1〜20の整数であり、少なくとも一方は0ではない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関する。さらに詳しくは毛髪や皮膚に対する作用が温和で、且つ、起泡力が良くヘアカラー染色毛の退色が少ない洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から洗浄分野において洗浄剤成分として、高級アルコール、たとえばラウリルアルコールにエチレンオキシド(以下EOと略記)を2〜4モル程度付加した後、硫酸エステル塩にしたアニオン性界面活性剤が広く用いられている。しかし、日常的に使用するものについては、人体に対する安全性、特に毛髪や皮膚に対する作用の温和な界面活性剤が求められており、低刺激性の界面活性剤としてアミノ酸系や、リン酸エステル系のアニオン活性剤、また、両性界面活性剤を配合したものなどが多く提案されている。また、特定のアルカンジオールのアルキレンオキシド(以下AOと略記)付加物、あるいはその硫酸化物からなる界面活性剤とアルキルグルコシドと併用してなる組成物は刺激性が緩和され、起泡性も優れていることが開示されている。
一方、近年のヘアカラーがファッションになり多くの人が髪を染めおしゃれを楽しんでいる。しかし、一度、髪を染めても、シャンプーによってヘアカラーの色が退色しやすいなど問題となっている。これに対しては、シャンプーの配合処方による改良や、界面活性剤の種類によって改良する方法なども提案されてきている(特許文献−1〜3参照)。
【特許文献−1】特開平2−206696号公報
【特許文献−2】特開2003−95885号公報
【特許文献−3】特開2005−213209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、毛髪や皮膚に対する作用が温和で、且つ、起泡力が良く、ヘアカラー染色毛の退色が少ない洗浄剤組成物について満足なものはないと言うのが現状である。すなわち、従来の洗浄剤組成物では、起泡力が良く、毛髪および皮膚に対する作用は温和でも染色毛に対しては退色が十分に防げないこと。また染色毛の退色を防止しようとすると、洗浄剤本来の基本性能である起泡力が不十分など問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、上記の課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、一般式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤(A)および一般式(2)で示される化合物の1種もしくは2種以上を含むアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる洗浄剤組成物である。
【0006】
【化4】

【0007】
式中、R1は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基、R2およびR3はメチル基またはエチル基、pは2または3を表す。
【0008】
【化5】

【0009】
式中、R4は炭素数6〜24の炭化水素基;XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、−SO3Mまたは−CH2COOMで示される基であり、XおよびYのうちの少なくとも一方は水素原子ではなく、Mはカチオン;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;kおよびmは0または1〜20の整数であり、少なくとも一方は0ではない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、毛髪や皮膚に対する作用が温和で、且つ、起泡力が良く、ヘアカラー染色毛の退色が少ない洗浄剤組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明におけるアミドベタイン型両性界面活性剤(A)[以下において、単に(A)と表記する場合がある]は一般式(1)で示されるアミドベタイン型両性活性剤である。
一般式(1)においてR1は通常、炭素数7〜21、好ましくは9〜17、さらに好ましくは11〜15のアルキル基またはアルケニル基を表す。
1が炭素数7未満では十分な、起泡力が得られないし、炭素数が21を超えても起泡力が低下する。R1のアルキル基としては、直鎖または分岐のアルキル基、たとえばノニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基およびヘプタデシル基などがあげられる。R1のアルケニル基としては、ウンデセニル基、トリデセニル基およびヘプタデセニル基などがあげられる。
【0012】
(A)は、たとえば炭素数8〜22の脂肪酸もしくはその低級アルキルエステル(ラウリン酸もしくはそのメチルエステルなど)と、ジアルキルアミノアルキルアミン(ジメチルアミノプロピルアミンもしくはジエチルアミノプロピルアミンなど)を、温度100〜160℃で反応させてアミド化合物を得た後、水溶液中で、モノクロル酢酸アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)と、温度50〜90℃で反応させることによって得ることが出来る。
【0013】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(B)[以下において、単に(B)と表記する場合がある]は、一般式(2)で示される化合物の1種もしくは2種以上、好ましくは2〜50種、さらに好ましくは2〜30種、特に好ましくは2〜20種を含む。
一般式(2)におけるR4の炭素数は6〜24、好ましくは8〜20である。R4の炭素数が6未満では、界面活性剤としての機能が低下し、また24を超えると起泡性が著しく低下する。
4で示される炭素数6〜24の炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基、例えばn−およびi−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−およびi−オクチル、n−およびi−ノニル、n−およびi−デシル、n−およびi−ドデシル、トリデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、ノナデシル、ベヘニル基など;直鎖または分岐のアルケニル基、例えば1−ヘキセニル、1−オクテニル、1−デセニル、1−ドデセニル、1−トリデセニル、1−ペンタデセニル、オレイル、ガドレイル基など;アルカジエニル基、例えばリノレイル基など;シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル基など;アルキルシクロアルキル基、例えばエチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、オクチルシクロヘキシル、ノニルシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0014】
XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、−SO3Mまたは−CH2COOMであり、Mはカチオンを示し、XおよびYのうち少なくとも一方は水素原子ではない。
Mで示されるカチオンとしては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、バリウム)、有機アミンカチオンおよび第4級アンモニウムカチオンが挙げられる。
【0015】
有機アミンカチオンを構成する有機アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、複素環アミンもしくはアルカノールアミン又はこれらのAO付加物等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルオクチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミンおよびジメチルセチルアミンなどのアルキル基の炭素数が1〜18のモノ−、ジ−およびトリ−アルキルアミンが挙げられる。脂環式アミンとしては、シクロブチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロオクチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミンおよびN−エチルシクロヘキシルアミンなどのシクロアルキル基の炭素数が4〜12のシクロアルキルアミンおよびこれらのアルキル(炭素数1〜6)置換体が挙げられる。複素環アミンとしては、モルホリンなどの炭素数が4〜10の複素環アミンが挙げられ、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2〜8のモノ−、ジ−およびトリ−ヒドロキシアルキルアミンが挙げられる。これらのアルキレンオキシド(以下AOと略す)付加物のAOとしては、EO、プロピレンオキサイド(以下POと略す)及びブチレンオキシドが挙げられる。好ましくはEOである。これらの付加モル数は、通常、活性水素1個当り1〜5モルであり、好ましくは1〜2モルである。これらのAO付加物の具体例としては、ジヒドロキシエチルヘキシルアミン、ヒドロキシエチルメチルヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0016】
第4級アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリブチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルセチルアンモニウムおよびモノメチルトリオクチルアンモニウムなどのアルキル基の炭素数が1〜18のテトラアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルシクロへキシルアンモニウムおよびN,N−ジエチルシクロへキシルアンモニウムなどのシクロアルキル基の炭素数が4〜12およびアルキル基の炭素数が1〜6のシクロアルキルジアルキルアンモニウムカチオン;トリヒドロキシエチルへキシルアンモニウムなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2〜8およびアルキル基の炭素数が1〜6のトリヒドロキシアルキルアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0017】
Mのうち好ましいものは、アルカリ金属、有機アミンカチオンおよび第4級アンモニウムカチオンであり、さらに好ましくは、ナトリウム、カリウム、脂肪族および脂環式アミンもしくはそのアルキレンオキシド付加物、並びに第4級アンモニウムカチオンである。
【0018】
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基としては、オキシエチレン、オキシ−1,2−および1,3−プロピレン、オキシ−1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレン基など、ならびにこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシエチレン基及びオキシ−1,2−プロピレン基であり、AOが2種以上である場合はブロック状でもランダム状でも両者の組み合わせでもよい。
kおよびmは0または1〜20の整数であり、好ましくは1〜10である。また、kおよびmのうち少なくとも一方は0ではなく、kおよびmの両方が1〜20、Kが0でmが1〜20もしくはmが0でkが1〜20である。
一般式(2)における(AO)kおよび(AO)mの部分は、後述のように、好ましくはアルキレンオキサイドの付加反応によって形成されるポリオキシアルキレン鎖であり、アニオン性界面活性剤(B)には、通常、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なる化合物の2種以上が含まれている。
その場合の(B)における2種以上の化合物のk+mの平均は、好ましくは0.5〜15、さらに好ましくは0.5〜10である。
【0019】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(B)は、好ましくは、一般式(3)で示される1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるアルキレンオキサイド付加物(B0)[以下において、単に(B0)と表記する場合がある]に、さらに硫酸化剤またはカルボキシアルキルエーテル化剤を反応させて得られるアニオン性界面活性剤である。
【0020】
【化6】

【0021】
式中、R4は炭素数6〜24の炭化水素基であり、一般式(2)におけるR4と同様の基である。
【0022】
一般式(3)で示される1,2−ジオールとしては、たとえば1,2−オクタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−トリデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−イコサンジオール、1,2−トリアコンタンジオール、1,2−テトラコンタンジオールなどが挙げられる。
これらのうち好ましくは、1,2−ドデカンジオール、1,2−トリデカンジオール、1,2−テトラデカンジオールおよび1,2−オクタデカンジオールなどである。
【0023】
(B0)は、上記の1,2−ジオールに、アルカリ性触媒(アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物など)または酸触媒(硫酸、塩酸などの無機酸、BF3などのルイス酸など)を使用して、温度90〜180℃、圧力0.3MPa以下で所定量のAOを圧入しながら反応させて得られる。
また、特開2002−114844号公報に記載の製造法における特定の触媒(Hammetの酸度関数による酸強度H0が−30.0〜−11.0の酸またはその金属塩、並びに シュレディンガーの波動方程式における最低空軌道が−10〜−3である金属の強酸塩など)を使用する製造法であってもよい。
【0024】
通常、AO付加物は、AOの付加モル数の分布があり、付加モル数の異なる2種以上の化合物の混合物である。
(B0)における1,2−ジオールの1モル当たりのAOの平均付加モル数は(B)におけるAOの平均付加モル数と同じであり、好ましくは0.5〜15、さらに好ましくは0.5〜10である。
平均付加モル数が0.5以上であればヘアカラー染色毛の退色がより少なく、かつ皮膚刺激性が十分に低い。また、平均付加モル数が15以下であれば起泡力が十分に発揮し易い。
【0025】
(B0)の具体例としては、1,2−ドデカンジオールのEO平均2モル付加物、1,2−ドデカンジオールのEO平均4モル付加物、1,2−ドデカンジオールのEO平均6モル付加物、1,2−ドデカンジオールのPO平均4モル付加物、1,2−ドデカンジオールのPO平均6モル付加物、1,2−トリデカンジオールのEO平均3モル付加物、1,2−トリデカンジオールのPO平均4モル付加物、1,2−オクタデカンジオールのEO平均4モル付加物、1,2−ドコサンジオールのEO平均4モル付加物、並びに1,2−ドコサンジオールのPO平均4モル付加物などが挙げられる。
【0026】
硫酸化剤としてはクロロスルホン酸、無水硫酸、スルファミン酸または硫酸などが挙げられる。無水硫酸については、乾燥窒素等で希釈して用いる。いずれの場合も、硫酸化剤のモル比は通常0.95〜1.03/水酸基であり、反応温度は、クロロスルホン酸または無水硫酸の場合は0〜70℃、スルファミン酸または硫酸の場合は50〜150℃である。結合硫酸量の測定によって求められるアニオン化度は通常90%モル以上であり、好ましくは95モル%以上である。
【0027】
カルボキシアルキルエーテル化剤としては、モノハロゲン化アルキルカルボン酸(アルキル基の炭素数1〜6好ましくは1;モノクロル酢酸、モノブロム酢酸など)が挙げられる。
この場合、水酸基に対するモノハロゲン化アルキルカルボン酸の当量比は通常0.95〜1.5/水酸基である。また反応温度は通常30〜120℃である。アニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
また、Xが−CH2COOMで示される基を(B0)へ導入する方法としては、アルカリの存在下にアクリロニトリルもしくはアクリル酸低級アルキル(炭素数1〜4)エステルをマイケル付加させた後加水分解する方法が挙げられる。
この場合の水酸基に対するアクリロニトリルもしくはアクリル酸低級アルキルエステルの当量比は通常0.95〜1.5/水酸基である。また反応温度は通常30〜120℃である。アニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
【0028】
(B)の具体例としては、1,2−ドデカンジオールのEO平均1モル付加物の硫酸化物;1,2−ドデカンジオールのEO平均4モル付加物の硫酸化物;1,2−ドデカンジオールのPO平均4モル付加物の硫酸化物;1,2−オクタデカンジオールのEO平均4モル付加物の硫酸化物;1,2−ドコサンジオールのEO平均8モル付加物の硫酸化物;1,2−ドデカンジオールのEO平均1モル付加物のカルボキシメチル化物;1,2−ドデカンジオールのEO平均4モル付加物のカルボキシメチル化物;1,2−ドデカンジオールのPO平均4モル付加物のカルボキシメチル化物;1,2−オクタデカンジオールのEO平均4モル付加物のカルボキシメチル化物;1,2−ドコサンジオールのEO平均8モル付加物のカルボキシメチル化物;並びにこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム塩など)、アンモニウム、有機アミン塩(トリエタノールアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩など)、および第4級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩など)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは硫酸化物の塩およびカルボキシメチル化物の塩であり、特に好ましくはそれぞれのナトリウム塩である。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)および(B)以外に、水および必要により親水性有機溶媒を含有していてもよい。好ましいのは水のみの含有である。
水および親水性有機溶媒を使用する場合の水に対する親水性有機溶媒の使用量は好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
親水性有機溶媒としては、エタノール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールなどが挙げられる。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物の重量に基づく(A)と(B)の合計含有量は、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10〜50%であり、残りは水および親水性有機溶媒、並びに必要により添加される後述のその他の界面活性剤などである。
本発明の洗浄剤組成物は、実使用の際にはさらに希釈して、例えば(A)と(B)の合計含有量が5%未満、さらに好ましくは2%以下、特に1%以下であってもよい。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物における重量比(A)/(B)は、好ましくは1/9〜9/1、さらに好ましくは2/8〜8.5/1.5である。
(A)が1以上で(B)が9以下であれば、皮膚や毛髪に対する刺激性が更に少なくなり、(A)が9以下で(B)が1以上であれば、シャンプー時のヘヤカラーの色落ちがさらに少なくなる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)以外の両性界面活性剤(C1)、(B)以外のアニオン性界面活性剤(C2)、非イオン性界面活性剤(C3)、並びにカチオン性界面活性剤(C4)からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤(C)[以下において、単に(C)と表記する場合がある]を含有していてもよい。
【0033】
(A)以外の両性界面活性剤(C1)としては、アミドベタイン型以外のベタイン型両性界面活性剤[ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインおよびラウリルヒドロキシスルホベタイン等]、およびアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0034】
(B)以外のアニオン性界面活性剤(C2)としては、
1,2−ジオールに由来しない炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸およびその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステルおよびその塩[ラウリル硫酸ナトリウム、および上記一般式(2)においてkおよびmのいずれもが0である硫酸エステルなど];1,2−ジオールに由来しない炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステルおよびその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウムなど];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];
炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステルもしくはエーテルリン酸エステルおよびその塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに、炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0035】
非イオン性界面活性剤(C3)としては、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)のアルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100);(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)脂肪族系炭化水素(炭素数8〜24)ジエーテル;(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等];多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン等];(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等];脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等];(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル;(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテル;およびアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
上記の脂肪族系アルコールのアルキレンオキサイド付加物には、前述のアルキレンオキサイド付加物(B0)も含まれる。
【0036】
カチオン性界面活性剤(C4)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]、およびアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物中の全ての界面活性剤における界面活性剤(C)の含有量は、上記の(A)および(B)も含めた合計の含有量として以下の含有量になるような範囲である。
【0038】
両性界面活性剤:(A)+(C1)が、好ましくは10〜95%
アニオン性界面活性剤:(B)+(C2)が、好ましくは10〜95%
非イオン性界面活性剤:(C3)が、好ましくは0〜50%
カチオン性界面活性剤:(C4)が、好ましくは0〜50%
【0039】
本発明の洗浄剤組成物には、必要に応じて公知の補助成分を配合することができる。このような成分としては、保湿剤(グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等)、防腐剤[パラ安息香酸アルキル(炭素数1〜5)エステル、安息香酸、デヒドロ酢酸等]、酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、トリフェニルホスファイト、オクチル化ジフェニルアミン等)、紫外線吸収剤[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム等)、pH調整剤(モノおよびジエタノールアミン、苛性ソーダ、乳酸、クエン酸等)、色素(食添青色1号、食添赤色2号、食添黄色4号等)、香料(リモネン、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド等)、等が挙げられる。また、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、pH調整剤、色素、香料については、本発明のアニオン性界面活性剤(B)の100重量部に対してそれぞれ0.0001〜500重量部が好ましい。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物は、(A)および(B)、並びにその他の各成分を配合することにより製造することができる。
配合の順序は、特に限定されないが、水(および必要により親水性有機溶媒)を使用する場合は、水の中に(A)および(B)並びにその他の成分を加える順が溶解しやすいので好ましい。配合工程の好ましい温度は室温〜80℃であり、固体の成分を配合する場合は加温すると溶解が早くなるので好ましい。
配合に使用できる攪拌羽根としては、櫂型攪拌羽根または螺旋型攪拌羽根などが使用できる。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物は頭髪用の洗浄剤組成物として適している。特に毛髪や皮膚に対する作用が温和で、且つ、起泡力が良く、ヘアカラー染色毛の退色が少ない。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物がシャンプーに使用される場合の配合処方としては、たとえば、次のようなものがあげられる。
<シャンプーの配合例(重量%)>
両性界面活性剤(A) :1〜20%
アニオン性界面活性剤(B) :1〜20%
両性界面活性剤(C1) :0〜10%
アニオン性界面活性剤(C2):0〜10%
非イオン性およびカチオン性界面活性剤(C3)および(C4):0〜5%
保湿剤(グリセリンなど) :0.1〜3%
泡安定剤(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなど):0.5〜5%
キレート剤 :適量
香料 :適量
防腐剤 :適量
水 :27〜97.4%
なお、シャンプーのpHは特に限定されないが、原液のpH範囲は4〜9が好ましく、皮膚刺激、毛髪への損傷の観点から中性〜弱酸性(たとえばpH5〜8)が好ましい。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は皮膚用の洗浄剤組成物として適している。特に皮膚に対する作用が温和で、且つ、起泡力が良い。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物がボディソープに使用される場合の配合処方としては、たとえば、次のようなものがあげられる。
<ボディソープの配合例(重量%)>
両性界面活性剤(A) :1〜15%
アニオン性界面活性剤(B) :1〜15%
両性界面活性剤(C1) :0〜10%
アニオン性界面活性剤(C2):0〜20%
非イオン性およびカチオン性界面活性剤(C3)および(C4):0〜5%
保湿剤(グリセリンなど) :0.1〜3%
泡安定剤(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなど):0.5〜5%
キレート剤 :適量
香料 :適量
防腐剤 :適量
水 :27〜97.4%
【0045】
以下に実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
実施例1〜12および比較例1〜10
表1および表2に記載した配合量で各成分を室温で配合し、洗浄剤組成物を作製した。
【0047】
評価結果
実施例および比較例で得られた洗浄剤組成物を次の方法で評価した。
結果を表1および表2に示す。
【0048】
<皮膚刺激性>
洗浄剤組成物の1.0%(固形分濃度)水溶液を調整し、男女各5名による人パッチテスト(クローズド、48時間、上腕内側)を行い、次の基準で評価しその合計点で表した。
評価基準
反応(紅斑)なし ;3点
ごく軽度の紅斑 ;2点
明瞭な紅斑 ;1点
強度の紅斑 ;0点
【0049】
<起泡力>
CaO換算15ppmの硬水を用いて洗浄剤組成物の0.1%(固形分濃度)水溶液200mLを調整し、25℃にてジューサーミキサー(東芝製MX−390GX)で30秒間攪拌し、その時の泡の高さ(mm)から起泡力を評価した。
【0050】
<色落ち>
(1)染色した毛髪の調整
人毛毛束(重さ約1g、長さ10cm、株式会社ビューラック製)を酸化染料で30℃、30分間、振とう式染色機(辻井染機工業株式会社)で染色した後、30〜40℃の水で1分間すすいだ。洗浄後の毛髪の水分をタオルにてふきとった後、ヘアドライヤーで5分間乾燥させたものを、色落ち試験に使用した。
(2)色落ち試験
洗浄剤組成物の1%(固形分濃度)を調整し、希釈液を作成した。ラウンダーオメーター(辻井染機工業株式会社)使用して、染色した毛髪1束を希釈液60gに浸漬し、30℃、5分間洗浄した。洗浄後の毛髪を流水で1分間すすぎ、毛髪の水分をタオルにてふきとった。その後、ヘアドライヤーで5分間乾燥させたものを分光測色計にて測定した。(3)測色
人毛の測色は、測色計(多光源分光測色計、スガ試験機株式会社)により測定した。光源はD65−10°、値はL*、a*、b*値を測定して、染色後、未洗浄の毛髪と洗浄後の毛髪との色差(△E)を求めた。色差が小さいほど色落ちが少ないことを示す。
【0051】
表1および表2中の各成分の略号は以下の通りである。
C12AmPBe:ラウリン酸アミドプロピルベタイン
C14AmPBe:ミリスチン酸アミドプロピルベタイン
DD(EO)4S−Na:1,2−ドデカンジオール(EO)4モル硫酸エステルNa塩
DD(PO)2S−Na:1,2−ドデカンジオール(PO)2モル硫酸エステルNa塩
DD(PO)4S−TEA:1,2−ドデカンジオール(PO)4モル硫酸エステルトリエタノールアミン塩
HD(EO)8S−TEA:1,2−ヘキサデカンジオール(EO)4モル硫酸エステルトリエタノールアミン塩
DD(EO)4E−Na:1,2−ドデカンジオール(EO)4モルエーテルカルボキシレートNa塩
DD(PO)2E−Na:1,2−ドデカンジオール(PO)2モルエーテルカルボキシレートNa塩
DD(EO)8E−TEA:1,2−ドデカンジオール(EO)8モルエーテルカルボキシレートトリエタノール塩
C12−Be:ラウリルジメチルベタイン
C12−IM−Be:N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
5,6−DD(EO)4S−Na:5,6−ドデカンジオール(EO)4モル硫酸エステルNa塩
DD(EO)25S−Na:1,2−ドデカンジオール(EO)25モル硫酸エステルNa塩
5,6−DD(EO)4E−Na:5,6−ドデカンジオール(EO)4モルエーテルカルボキシレートNa塩
DD(EO)25E−Na:1,2−ドデカンジオール(EO)25モルエーテルカルボキシレートNa塩
C12(EO)4S−Na:ラウリルアルコール(EO)4硫酸エステルNa
C12AG−Na:ラウリン酸アシル−L−グルタミン酸Na
DD(EO)4:1,2−ドデカンジオール(EO)4モル付加物
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
表1および表2で明らかなように本発明の範囲のアミドベタイン型両性界面活性剤(A)およびアニオン性界面活性剤(B)を含む洗浄剤組成物(実施例1〜12)は、皮膚刺激性が十分低く、起泡力も豊かで、また、ヘアカラー染色毛に対して洗浄しても、色落ちが少ない。これに対し1〜10の比較例は性能項目を十分満足するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の洗浄剤組成物は、家庭用洗浄剤(衣料用洗剤、頭髪用洗浄剤、食器用洗剤など)および工業用洗浄剤(金属、精密部品等の洗浄剤など)として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるアミドベタイン型両性界面活性剤(A)および一般式(2)で示される化合物の1種もしくは2種以上を含むアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる洗浄剤組成物。
【化1】

[式中、R1は炭素数7〜21のアルキル基またはアルケニル基、R2およびR3はメチル基またはエチル基、pは2または3を表す。]
【化2】

[式中、R4は炭素数6〜24の炭化水素基;XおよびYは、それぞれ独立に水素原子、−SO3Mまたは−CH2COOMで示される基であり、XおよびYのうちの少なくとも一方は水素原子ではなく、Mはカチオン;AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基;kおよびmは0または1〜20の整数であり、少なくとも一方は0ではない。]
【請求項2】
界面活性剤(B)が、一般式(3)で示される1,2−ジオールにアルキレンオキサイドを付加反応させて得られたアルキレンオキサイド付加物に、さらに硫酸化剤またはカルボキシアルキルエーテル化剤を反応させて得られたアニオン性界面活性剤である請求項1記載の洗浄剤組成物。
【化3】

[式中、R4は炭素数6〜24の炭化水素基である。]
【請求項3】
アルキレンオキサイド付加物が、1,2−ジオールの1モル当たりの平均で0.5〜15モルのアルキレンオキサイドを付加反応させて得られたアルキレンオキサイド付加物である請求項2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
頭髪用である請求項1〜3のいずれか記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
皮膚用である請求項1〜3のいずれか記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−144057(P2008−144057A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333556(P2006−333556)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】