洗浄料組成物
【課題】起泡力に優れた洗浄料組成物を開発し、提供する。
【解決手段】N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
【解決手段】N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄料組成物の界面活性剤として、一般的にアニオン界面活性剤が用いられる。従来、アニオン界面活性剤の泡立ちを向上させる方法として、複数の界面活性剤を組み合わせたり、(例えば、N−アシルアミノ酸アルカリ塩とマルチトールヒドロキシ脂肪族エーテルを配合した泡立ちの良い皮膚洗浄料(特許文献1:特開2000−204035号公報))、特定の高分子を配合する(例えば、アクリル系ポリマーエマルジョンを配合した泡立ちの良い皮膚洗浄料(特許文献2:特開平9−125091号公報))ことが行われている。また、水道水を使用する場合、その中に含まれるカルシウムイオンにより、泡立ちが損なわれるため、キレート剤を配合することが一般的である(特許文献3:特開昭62−121800号公報)。しかしながら、キレート剤にはアレルギーの危険性のある成分があり、安全性に問題がある場合がある。
ポリアミノ酸に関しては、ポリグルタミン酸又はポリアスパラギン酸を配合することによる皮膚刺激を抑制した界面活性剤組成物(特許文献4:特開昭63−35698号公報)、ポリアスパラギン酸を配合することにより泡量、泡の保持を向上させた洗浄剤組成物(特許文献5:特開平7−310100号公報)が知られている。
しかしながら、ポリグルタミン酸又はポリアスパラギン酸と特定のアミノ酸を配合することにより、洗浄料組成物の起泡力が格段に向上することは知られていない。
【0003】
【特許文献1】特開2000−204035号公報
【特許文献2】特開平9−125091号公報
【特許文献3】特開昭62−121800号公報
【特許文献4】特開昭63−35698号公報
【特許文献5】特開平7−310100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、起泡力に優れた洗浄料組成物を開発し、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を組み合わせることにより、優れた起泡性を発揮する洗浄料組成物である。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
(2)ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする(1)記載の洗浄料組成物。
(3)ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−α、γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸であることを特徴とする(1)又は(2)記載の洗浄料組成物。
(4)中性アミノ酸が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
(5)中性アミノ酸が、セリン又はトレオニンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
(6)剤型が、固形、粉末、顆粒、液状、乳液、クリーム、ゲル、泡状のいずれかであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成により泡立ちに優れた洗浄料組成物を開発し、提供することができた。
本発明の洗浄料組成物は、少なくとも水の硬度0〜300mg/L(アメリカ式 硬度 水1L中に含まれるカルシウム量を炭酸カルシウム換算で表した値。単位はmg/L)において優れた起泡力の増大効果を示す。本発明の洗浄料組成物は水の硬度300mg/Lにおいて、顕著に起泡力が増大しているので、さらに硬度の高い水でも起泡力の増大効果が期待できる。日本で一般に使用される硬度範囲において十分に優れた起泡性を発揮することができる。
特に、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩として、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸が適し、中性アミノ酸として、セリン又はトレオニンが適している。
また、特に、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が0.05質量%〜10質量%、中性アミノ酸が0.05質量%〜10質量%配合されていると、起泡性に優れている。
また、起泡された泡は、細かく、均一であって、泡硬度が高く、泡強度もがあって泡が破裂することなく保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を配合した洗浄料組成物である。
一般的に洗浄剤の成分として使用されているN−アシルグルタミン酸塩あるいは高級脂肪酸塩に対して、ポリアミノ酸(あるいはその塩)と中性アミノ酸の両成分を組み合わせることにより、それぞれ単独で配合した場合よりも格段に優れた起泡力を発揮することを見いだして完成した発明である。
【0008】
[ポリアミノ酸、ポリアミノ酸塩]
本発明に用いられるポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩は、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸とこれらの塩である。
【0009】
本発明に用いるポリグルタミン酸は、グルタミン酸の重合体である。納豆菌、炭疽菌、枯草菌はグルタミン酸のγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−γ−グルタミン酸を生成する。このポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸の約8割はD体であり、約2割がL体である。ポリ−γ−グルタミン酸の分子量は約4,000〜約70万である。本発明にはポリ−γ−グルタミン酸を使用することが好ましい。ポリ−γ−グルタミン酸は市販品を購入することが可能であり、例えば、一丸ファルコス株式会社製:バイオ PGA Naパウダーを使用することができる。また、ポリグルタミン酸はグルタミン酸のα位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α−グルタミン酸でもよい。ポリ−α−グルタミン酸はグルタミン酸γ−ベンジルエステルのN−カルボン酸無水物を重合させ、臭化水素で脱ベンジル化して合成することができる。また、グルタミン酸のα位のアミノ基とα位又はγ位のカルボキシル基が繰り返し縮合したポリ−α、γ−グルタミン酸を用いても良い。本発明に用いるポリグルタミン酸はポリグルタミン酸ナトリウム等の塩の形態で配合してもよい。ポリグルタミン酸又はその塩の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0010】
本発明に用いるポリアスパラギン酸は、アスパラギン酸の重合体である。ポリアスパラギン酸として、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α−アスパラギン酸、α位又はβ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α、β−アスパラギン酸、β位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し結合したポリ−β−アスパラギン酸の何れを用いても良い。市販品としては、味の素株式会社製:アクアデュウSPA−30(30%ポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液)を用いることができる。本発明に用いるポリアスパラギン酸はポリアスパラギン酸ナトリウム等の塩の形態で配合しても良い。ポリアスパラギン酸又はその塩の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0011】
[中性アミノ酸]
本発明に用いる中性アミノ酸としては、脂肪族アミノ酸であり、モノアミノモノカルボン酸であるグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニン、脂肪族アミノ酸であり、イオウを含むアミノ酸であるシステイン、シスチン、メチオニン、アミド基をもつアミノ酸であるグルタミン、アスパラギン、芳香族をもつアミノ酸であるフェニルアラニン、チロシン、イミノ基をもつアミノ酸であるプロリン、オキシプロリンが挙げられる。中性アミノ酸の中でも、脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニンが好ましく、セリンが特に好ましい。中性アミノ酸の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0012】
[N−アシルグルタミン酸塩]
本発明に用いるN−アシルグルタミン酸塩としては、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−ミリストイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ステアロイルグルタミン酸塩、N−オレオイルグルタミン酸塩等が挙げられる。また、それらの混合物としてN−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸塩、N−パーム油脂肪酸アシルグルタミン酸塩、N−水素添加牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。また、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0013】
[高級脂肪酸塩]
本発明に用いる高級脂肪酸塩としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩等が挙げられる。また、それらの混合物として、ヤシ油脂肪酸塩、パーム油脂肪酸塩、牛脂脂肪酸塩等が挙げられる。また、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0014】
[その他配合成分]
本発明の洗浄料組成物には界面活性剤として、N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を配合することができる。
アニオン界面活性剤としては、N−アシルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、N−アシルイセチオン酸塩、N−アシルグリシン塩、モノアルキルリン酸塩、エ−テルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボベタイン型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤、アミドベタイン型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等が挙げられる。
【0015】
本発明の洗浄料組成物には、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、有機粉体、無機粉体、高分子類、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤、等を含有させることができる。その他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0016】
多価アルコール類としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ジグリセリン等が挙げられる。
【0017】
糖類、糖アルコール類としては、グルコース、ソルビトール、マンノース、マンニトール、ガラクトース、ガラクチトール、マルトース、マルチトール、トレハロース、エリスロース、エリスリトール、キシロース、キシリトール、スクロース、ラクトース、ラクチトール、ダイフラクトースアンハイドライド等が挙げられる。
【0018】
有機粉体としてはポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリメチルメタアクリレート粉末、ナイロン粉末、ポリウレタン粉末、寒天粉末、コルク粉末、澱粉等を挙げることができる。
無機粉体としては、タルク、カオリン、シリカ、雲母、ゼオライト、ベントナイト、二酸化チタン等が挙げられる。
【0019】
高分子類としては、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、クインスシード、デキストラン、カチオン化デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチンメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等を挙げることができる。
【0020】
防腐剤として、例えばメチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
【0021】
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
薬効成分としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類等、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
【0022】
[剤型]
本発明の洗浄料組成物は、固形、粉末、顆粒、液状、乳液、クリーム、ゲル、泡状等の各種剤型とすることができる。
[用途]
本発明の洗浄料組成物は、洗顔料、ハンドウォッシュ、浴用石鹸、ボディシャンプー、頭髪用シャンプー等に使用することができる。
【実施例】
【0023】
[硬水での起泡力試験]
N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸塩は洗浄時の水の硬度が高くなると泡立ちが悪くなる傾向にある。そこで、試験に用いる水として、通常水道として可能な硬度上限を設定した。日本の水道水のカルシウム濃度の上限である硬度300mg/L(水1リットル中に炭酸カルシウムとして300mg)とした。
表1〜4の洗浄料を試料として以下の手順により、反復攪拌法により起泡力を測定した。
1.イオン交換水に塩化カルシウムを添加し、カルシウムの濃度が、炭酸カルシウム換算で300mg/Lとなるようにした。
2.表1〜4の組成にて、1.で調製した水で水溶液を調製し、40℃に加温する。
3.加温した水溶液200mLを目盛入り1Lトールビーカーに泡立たないように注ぎ入れる。
4.1Lトールビーカーを反転撹拌装置(PROMIX PR-1200 柴田科学器械工業(株)社製)にセットし、撹拌して泡立てる。(右回転20秒+左回転20秒+右回転20秒)
5.泡立て1分後、泡量を読み取る。(テ゛ータはN=3の平均値)
結果を表1〜4、図1〜4に示す。
【0024】
N−アシルグルタミン酸塩であるN−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムを単独で配合した比較例1の泡量を基準として、実施例1〜3、比較例2〜20の泡量の有意差を検定した。また、比較例1を基準として、実施例1〜3、比較例2〜20の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例1と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表1〜3、図1〜3に示した。
なお、図表中の表記は簡略して示している。AGS:N−ラウロイルグルタミン酸Na、PGlu:ポリγグルタミン酸Na、Ser:L−セリン、Gly:グリシン、Pro:L−プロリン、Thr:L−トレオニン、Arg:L−アルギニン、Glu:L−グルタミン酸、
【0025】
高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを単独で配合した比較例21の泡量を基準として、実施例4、比較例22,23の泡量の有意差を検定した。また、比較例21を基準として、実施例4、比較例22,23の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例21と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表4、図4に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
界面活性剤としてN−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.001質量%〜0.01質量%配合した結果、比較例2では泡量が5.6%増加し、比較例5では泡量が2.3%増加したが、比較例3、4では逆に1.0%、4.3%泡立ちが減少した。セリンを0.001質量%〜0.01質量%配合した結果(比較例6〜9)、泡量は比較例6で3.3%、比較例7で14.5%、比較例8で7.9%、比較例8で8.9%増加した。一方、ポリグルタミン酸ナトリウム0.005%、セリン0.005%配合した実施例1では泡量が35.3%増加し、ポリグルタミン酸ナトリウム0.001%、セリン0.001%配合した実施例2では泡量が34.3%増加した。ポリグルタミン酸ナトリウムのみ配合した比較例で泡量が最も増加した比較例2の5.6%とセリンのみ配合した比較例で泡量が最も増加した比較例7の14.5%を合計しても20.1%に留まることから、実施例1,2の起泡力の増大は予測できない顕著な効果である。
【0028】
【表2】
【0029】
N−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、アミノ酸の種類による起泡力の増強効果の違いを調べた。結果を表2図2に示す。セリン、グリシン、プロリン、トレオニン、アルギニン、グルタミン酸をそれぞれ0.01質量%配合した比較例6〜14においては、N−アシルグルタミン酸塩のみ配合した比較例1と比べて有意な泡量の増加は認められなかった。ポリグルタミン酸ナトリウム0.005質量%とともに中性アミノ酸であるセリン、グリシン、プロリン、トレオニンをそれぞれ0.005質量%配合した実施例1、3〜5については、比較例1と比べて泡量が35.3%、14.5%、11.2%、21.1%増加した。脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニンを配合した実施例1、5の起泡力の増大は特に顕著であり、実施例1は1%有意、実施例5は5%有意で泡量が増加した。ポリグルタミン酸ナトリウムとグリシンを配合した実施例4、ポリグルタミン酸ナトリウムとプロリンを配合した実施例5については、アミノ酸を単独で配合した比較例6、10〜14、ポリグルタミン酸ナトリウムとともに塩基性アミノ酸であるアルギニンを配合した比較例15、ポリグルタミン酸ナトリウムとともに酸性アミノ酸であるグルタミン酸を配合した比較例16と比べて泡量が大きく増加した。
【0030】
【表3】
【0031】
N−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムに替えて、ポリアスパラギン酸ナトリウムの効果を調べた。結果を表3図3に示す。ポリアスパラギン酸ナトリウムを単独で0.01質量%配合した比較例17、セリンを単独で0.01質量%配合した比較例6においては、泡量の増加は4.6%、3.3%であり有意な増加は認められなかった。ポリアスパラギン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例6においては、泡量が38.6%増加した。実施例6の比較例1と比べた泡量の増加は1%有意である。比較例17、比較例6の泡量の増加を合計しても7.9%に留まり、実施例6の泡量の増加は予測できない顕著な効果である。
【0032】
【表4】
【0033】
N−アシルグルタミン酸塩に替えて、高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを0.5質量%配合した系で実験した。その結果を表4図4に示す。N−アシルグルタミン酸塩の系と同様に、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸を配合することによる相乗効果が認められた。
【0034】
[イオン交換水での起泡力試験]
N−アシルグルタミン酸塩又は高級脂肪酸塩にポリアミノ酸と中性アミノ酸を配合することにより、硬水での泡立ちが顕著に改善した。イオン交換水においても同様の効果が生じるか調べるために、表5,6の洗浄料を試料として以下の手順により、反復攪拌法により起泡力を測定した。
1.表5,6の組成にて、イオン交換水で水溶液を調製し、40℃に加温する。
2.加温した水溶液200mLを目盛入り1Lトールビーカーに水溶液を泡立たないように注ぎ入れる。
3.1Lトールビーカーを反転撹拌装置(PROMIX PR-1200 柴田科学器械工業(株)社製)にセットし、撹拌して泡立てる。(右回転20秒+左回転20秒+右回転20秒)
4.泡立て1分後、泡量を読み取る。(データはN=3の平均値)
結果を表5,6及び図5,6に示す。
【0035】
N−アシルグルタミン酸塩であるN−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムを単独で配合した比較例21の泡量を基準として、実施例8、比較例22〜25の泡量の有意差を検定した。また、比較例21を基準として、実施例8、比較例22〜25の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例21と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表5、図5に示した。
高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを単独で配合した比較例26の泡量を基準として、実施例9の泡量の有意差を検定した。また、比較例26を基準として、実施例9の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例26と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表6、図6に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
N−ラウロイルグルタミン酸塩を0.5%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウム、セリンをそれぞれ単独で配合しても(比較例22〜25)、N−アシルグルタミン酸塩のみ配合した比較例21と比べて有意な泡量の増大は認められなかった。しかしながら、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例8においては、比較例21と比べて、5%有意に泡量が増大した。硬度0のイオン交換水においても、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸の相乗効果が認められた。
【0038】
【表6】
【0039】
高級脂肪酸塩としてラウリン酸Naを0.5%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例9は、高級脂肪酸塩のみ配合した比較例26と比べて、1%有意に泡量が増大した。高級脂肪酸塩を配合した系で、硬度0のイオン交換水を用いても、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸の配合効果が認められた(表6、図6参照)。
【0040】
尚、日本の標準的な水道水の硬度である、硬度50においても、ポリグルタミン酸塩又はポリアスパラギン酸塩と中性アミノ酸を添加することによる起泡力の増強効果が確認された。
【0041】
[イオン交換水での泡硬度試験]
N−アシルグルタミン酸塩にポリアミノ酸と中性アミノ酸を配合することにより、泡が硬くなるか調べるために、表7の洗浄料を試料として以下の手順により、泡の硬度を測定した。
1.表7の組成にて、イオン交換水で水溶液を調製した。
2.加温した水溶液10gをホイップ器「ホイップクリーマー・スリム CMS−1 ハリオグラス(株)社製」に量り取り、ホイップスピード:2回/秒、ホイップ回数:往復20回の条件で泡立てた。
3.得られた泡の硬度を、レオテック製レオメーターRT2002Jを用いて、アダプターはφ30mmを用いて測定した。硬度は最大値を読み取った。各試料の泡立てを3回行い、硬度を測定して、値を平均した。また、比較例27を基準として、実施例10の硬度の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例27と比べたときの硬度の増減(%)を求めた。結果を表7、図7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
実施例10の泡の硬度は比較例27の泡の硬度と比べて34%増大しており、しっかりした泡立ちを実現できた。
【0044】
[泡の電子顕微鏡観察]
表8の組成にて、比較例28及び実施例11の洗顔パウダーを調製した。
洗顔パウダーに水を加えて手で泡立てて、泡の塊をステンレス板に載せ、1日風乾した。
風乾した泡を図8に示す。泡の内部を取り出し、走査型電子顕微鏡で観察した。
比較例28の泡を図9、10に、実施例11の泡を図11、12に示す。
比較例28の泡は、大きく不均一であるのと比べて、実施例11の泡は、細かく、均一である。また、図10と図12を比べると図12(実施例11)の泡膜が厚くなっている。実施例11の泡膜が比較例28の泡膜と比べて強固であり、泡が破裂することなく乾燥していると推察される。
本発明の洗浄料組成物を用いることにより、強度があり、しっかりした泡を実現できる。
【0045】
【表8】
【0046】
処方例1 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 40
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.02
L−セリン 0.02
マンニトール 30
ブドウ糖 10
タルク 残余
【0047】
処方例2 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム 30
ラウリン酸ナトリウム 10
N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10
ポリγグルタミン酸ナトリウム 4
L−セリン 4
マンニトール 20
ブドウ糖 10
タルク 残余
【0048】
処方例3 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 10
N-ミリストイルグルタミン酸カリウム 18
ミリスチン酸カリウム 2
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.3
L−セリン 0.3
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム 10
マンニトール 10
マルチトール 10
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]
デキストラン 0.1
寒天粉末 2
デキストリン末 2
タルク 残余
【0049】
処方例4 液体状洗浄用組成物
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸グルタミン酸カリウム 10
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.01
L−トレオニン 0.01
ヤシ油脂肪酸アラニントリエタノールアミン 10
ジグリセリン 10
マルチトール 10
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2
寒天粉末 1
精製水 残余
【0050】
処方例5 クリーム状洗浄用組成物
成分 配合量(質量%)
N-ミリストイルグルタミン酸カリウム 20
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.2
L−セリン 0.2
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 5
ポリエチレングリコール20000 10
1,3−ブチレングリコール 25
ホ゜リオキシエチレン(10)メチルグルコシド 5
寒天粉末 1
精製水 残余
【0051】
処方例6 ハンドウォッシュ
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 15
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.02
L−セリン 0.02
1,2−ペンタンジオール 2
ジグリセリン 15
マルチトール 10
ポリオキシエチレン(20EO)ソルビタンモノラウレート 1
ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(7EO)グリセリル 1
エタノール 12
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
精製水 残余
【0052】
処方例7 シャンプー
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸グルタミン酸カリウム 12
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.2
L−セリン 0.2
グリセリン 40
N-ラウロイル-β-メチルアラニンナトリウム 3
2-アルキル-N-カルボキシメチル
-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 10
ラウリン酸ジエタノールアミド 1
エタノール 5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
精製水 残余
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1、2の泡量を示すグラフ
【図2】実施例1、3〜5の泡量を示すグラフ
【図3】実施例6の泡量を示すグラフ
【図4】実施例7の泡量を示すグラフ
【図5】実施例8の泡量を示すグラフ
【図6】実施例9の泡量を示すグラフ
【図7】実施例10の泡の硬度を示すグラフ
【図8】実施例11の泡の風乾させた写真
【図9】比較例28の泡の走査電子顕微鏡写真(低倍率)
【図10】比較例28の泡の走査電子顕微鏡写真(高倍率)
【図11】実施例11の泡の走査電子顕微鏡写真(低倍率)
【図12】実施例11の泡の走査電子顕微鏡写真(高倍率)
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄料組成物の界面活性剤として、一般的にアニオン界面活性剤が用いられる。従来、アニオン界面活性剤の泡立ちを向上させる方法として、複数の界面活性剤を組み合わせたり、(例えば、N−アシルアミノ酸アルカリ塩とマルチトールヒドロキシ脂肪族エーテルを配合した泡立ちの良い皮膚洗浄料(特許文献1:特開2000−204035号公報))、特定の高分子を配合する(例えば、アクリル系ポリマーエマルジョンを配合した泡立ちの良い皮膚洗浄料(特許文献2:特開平9−125091号公報))ことが行われている。また、水道水を使用する場合、その中に含まれるカルシウムイオンにより、泡立ちが損なわれるため、キレート剤を配合することが一般的である(特許文献3:特開昭62−121800号公報)。しかしながら、キレート剤にはアレルギーの危険性のある成分があり、安全性に問題がある場合がある。
ポリアミノ酸に関しては、ポリグルタミン酸又はポリアスパラギン酸を配合することによる皮膚刺激を抑制した界面活性剤組成物(特許文献4:特開昭63−35698号公報)、ポリアスパラギン酸を配合することにより泡量、泡の保持を向上させた洗浄剤組成物(特許文献5:特開平7−310100号公報)が知られている。
しかしながら、ポリグルタミン酸又はポリアスパラギン酸と特定のアミノ酸を配合することにより、洗浄料組成物の起泡力が格段に向上することは知られていない。
【0003】
【特許文献1】特開2000−204035号公報
【特許文献2】特開平9−125091号公報
【特許文献3】特開昭62−121800号公報
【特許文献4】特開昭63−35698号公報
【特許文献5】特開平7−310100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、起泡力に優れた洗浄料組成物を開発し、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を組み合わせることにより、優れた起泡性を発揮する洗浄料組成物である。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
(2)ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする(1)記載の洗浄料組成物。
(3)ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−α、γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸であることを特徴とする(1)又は(2)記載の洗浄料組成物。
(4)中性アミノ酸が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
(5)中性アミノ酸が、セリン又はトレオニンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
(6)剤型が、固形、粉末、顆粒、液状、乳液、クリーム、ゲル、泡状のいずれかであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成により泡立ちに優れた洗浄料組成物を開発し、提供することができた。
本発明の洗浄料組成物は、少なくとも水の硬度0〜300mg/L(アメリカ式 硬度 水1L中に含まれるカルシウム量を炭酸カルシウム換算で表した値。単位はmg/L)において優れた起泡力の増大効果を示す。本発明の洗浄料組成物は水の硬度300mg/Lにおいて、顕著に起泡力が増大しているので、さらに硬度の高い水でも起泡力の増大効果が期待できる。日本で一般に使用される硬度範囲において十分に優れた起泡性を発揮することができる。
特に、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩として、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸が適し、中性アミノ酸として、セリン又はトレオニンが適している。
また、特に、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が0.05質量%〜10質量%、中性アミノ酸が0.05質量%〜10質量%配合されていると、起泡性に優れている。
また、起泡された泡は、細かく、均一であって、泡硬度が高く、泡強度もがあって泡が破裂することなく保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を配合した洗浄料組成物である。
一般的に洗浄剤の成分として使用されているN−アシルグルタミン酸塩あるいは高級脂肪酸塩に対して、ポリアミノ酸(あるいはその塩)と中性アミノ酸の両成分を組み合わせることにより、それぞれ単独で配合した場合よりも格段に優れた起泡力を発揮することを見いだして完成した発明である。
【0008】
[ポリアミノ酸、ポリアミノ酸塩]
本発明に用いられるポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩は、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸とこれらの塩である。
【0009】
本発明に用いるポリグルタミン酸は、グルタミン酸の重合体である。納豆菌、炭疽菌、枯草菌はグルタミン酸のγ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−γ−グルタミン酸を生成する。このポリ−γ−グルタミン酸を構成するグルタミン酸の約8割はD体であり、約2割がL体である。ポリ−γ−グルタミン酸の分子量は約4,000〜約70万である。本発明にはポリ−γ−グルタミン酸を使用することが好ましい。ポリ−γ−グルタミン酸は市販品を購入することが可能であり、例えば、一丸ファルコス株式会社製:バイオ PGA Naパウダーを使用することができる。また、ポリグルタミン酸はグルタミン酸のα位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α−グルタミン酸でもよい。ポリ−α−グルタミン酸はグルタミン酸γ−ベンジルエステルのN−カルボン酸無水物を重合させ、臭化水素で脱ベンジル化して合成することができる。また、グルタミン酸のα位のアミノ基とα位又はγ位のカルボキシル基が繰り返し縮合したポリ−α、γ−グルタミン酸を用いても良い。本発明に用いるポリグルタミン酸はポリグルタミン酸ナトリウム等の塩の形態で配合してもよい。ポリグルタミン酸又はその塩の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0010】
本発明に用いるポリアスパラギン酸は、アスパラギン酸の重合体である。ポリアスパラギン酸として、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α−アスパラギン酸、α位又はβ位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し縮合したポリ−α、β−アスパラギン酸、β位のカルボキシル基とα位のアミノ基がアミド結合により繰り返し結合したポリ−β−アスパラギン酸の何れを用いても良い。市販品としては、味の素株式会社製:アクアデュウSPA−30(30%ポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液)を用いることができる。本発明に用いるポリアスパラギン酸はポリアスパラギン酸ナトリウム等の塩の形態で配合しても良い。ポリアスパラギン酸又はその塩の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0011】
[中性アミノ酸]
本発明に用いる中性アミノ酸としては、脂肪族アミノ酸であり、モノアミノモノカルボン酸であるグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニン、脂肪族アミノ酸であり、イオウを含むアミノ酸であるシステイン、シスチン、メチオニン、アミド基をもつアミノ酸であるグルタミン、アスパラギン、芳香族をもつアミノ酸であるフェニルアラニン、チロシン、イミノ基をもつアミノ酸であるプロリン、オキシプロリンが挙げられる。中性アミノ酸の中でも、脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニンが好ましく、セリンが特に好ましい。中性アミノ酸の配合量はN−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%が好ましく、特に0.2質量%〜1質量%が好ましい。0.05質量%未満では、起泡力増強効果が得られにくい。
【0012】
[N−アシルグルタミン酸塩]
本発明に用いるN−アシルグルタミン酸塩としては、N−ラウロイルグルタミン酸塩、N−ミリストイルグルタミン酸塩、N−パルミトイルグルタミン酸塩、N−ステアロイルグルタミン酸塩、N−オレオイルグルタミン酸塩等が挙げられる。また、それらの混合物としてN−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸塩、N−パーム油脂肪酸アシルグルタミン酸塩、N−水素添加牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。また、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0013】
[高級脂肪酸塩]
本発明に用いる高級脂肪酸塩としては、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩等が挙げられる。また、それらの混合物として、ヤシ油脂肪酸塩、パーム油脂肪酸塩、牛脂脂肪酸塩等が挙げられる。また、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0014】
[その他配合成分]
本発明の洗浄料組成物には界面活性剤として、N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸塩以外のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を配合することができる。
アニオン界面活性剤としては、N−アシルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、N−アシルイセチオン酸塩、N−アシルグリシン塩、モノアルキルリン酸塩、エ−テルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボベタイン型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤、アミドベタイン型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等が挙げられる。
【0015】
本発明の洗浄料組成物には、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、有機粉体、無機粉体、高分子類、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤、等を含有させることができる。その他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0016】
多価アルコール類としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ジグリセリン等が挙げられる。
【0017】
糖類、糖アルコール類としては、グルコース、ソルビトール、マンノース、マンニトール、ガラクトース、ガラクチトール、マルトース、マルチトール、トレハロース、エリスロース、エリスリトール、キシロース、キシリトール、スクロース、ラクトース、ラクチトール、ダイフラクトースアンハイドライド等が挙げられる。
【0018】
有機粉体としてはポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリメチルメタアクリレート粉末、ナイロン粉末、ポリウレタン粉末、寒天粉末、コルク粉末、澱粉等を挙げることができる。
無機粉体としては、タルク、カオリン、シリカ、雲母、ゼオライト、ベントナイト、二酸化チタン等が挙げられる。
【0019】
高分子類としては、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、クインスシード、デキストラン、カチオン化デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチンメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL等)等を挙げることができる。
【0020】
防腐剤として、例えばメチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
【0021】
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
薬効成分としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類等、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
【0022】
[剤型]
本発明の洗浄料組成物は、固形、粉末、顆粒、液状、乳液、クリーム、ゲル、泡状等の各種剤型とすることができる。
[用途]
本発明の洗浄料組成物は、洗顔料、ハンドウォッシュ、浴用石鹸、ボディシャンプー、頭髪用シャンプー等に使用することができる。
【実施例】
【0023】
[硬水での起泡力試験]
N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸塩は洗浄時の水の硬度が高くなると泡立ちが悪くなる傾向にある。そこで、試験に用いる水として、通常水道として可能な硬度上限を設定した。日本の水道水のカルシウム濃度の上限である硬度300mg/L(水1リットル中に炭酸カルシウムとして300mg)とした。
表1〜4の洗浄料を試料として以下の手順により、反復攪拌法により起泡力を測定した。
1.イオン交換水に塩化カルシウムを添加し、カルシウムの濃度が、炭酸カルシウム換算で300mg/Lとなるようにした。
2.表1〜4の組成にて、1.で調製した水で水溶液を調製し、40℃に加温する。
3.加温した水溶液200mLを目盛入り1Lトールビーカーに泡立たないように注ぎ入れる。
4.1Lトールビーカーを反転撹拌装置(PROMIX PR-1200 柴田科学器械工業(株)社製)にセットし、撹拌して泡立てる。(右回転20秒+左回転20秒+右回転20秒)
5.泡立て1分後、泡量を読み取る。(テ゛ータはN=3の平均値)
結果を表1〜4、図1〜4に示す。
【0024】
N−アシルグルタミン酸塩であるN−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムを単独で配合した比較例1の泡量を基準として、実施例1〜3、比較例2〜20の泡量の有意差を検定した。また、比較例1を基準として、実施例1〜3、比較例2〜20の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例1と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表1〜3、図1〜3に示した。
なお、図表中の表記は簡略して示している。AGS:N−ラウロイルグルタミン酸Na、PGlu:ポリγグルタミン酸Na、Ser:L−セリン、Gly:グリシン、Pro:L−プロリン、Thr:L−トレオニン、Arg:L−アルギニン、Glu:L−グルタミン酸、
【0025】
高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを単独で配合した比較例21の泡量を基準として、実施例4、比較例22,23の泡量の有意差を検定した。また、比較例21を基準として、実施例4、比較例22,23の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例21と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表4、図4に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
界面活性剤としてN−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.001質量%〜0.01質量%配合した結果、比較例2では泡量が5.6%増加し、比較例5では泡量が2.3%増加したが、比較例3、4では逆に1.0%、4.3%泡立ちが減少した。セリンを0.001質量%〜0.01質量%配合した結果(比較例6〜9)、泡量は比較例6で3.3%、比較例7で14.5%、比較例8で7.9%、比較例8で8.9%増加した。一方、ポリグルタミン酸ナトリウム0.005%、セリン0.005%配合した実施例1では泡量が35.3%増加し、ポリグルタミン酸ナトリウム0.001%、セリン0.001%配合した実施例2では泡量が34.3%増加した。ポリグルタミン酸ナトリウムのみ配合した比較例で泡量が最も増加した比較例2の5.6%とセリンのみ配合した比較例で泡量が最も増加した比較例7の14.5%を合計しても20.1%に留まることから、実施例1,2の起泡力の増大は予測できない顕著な効果である。
【0028】
【表2】
【0029】
N−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、アミノ酸の種類による起泡力の増強効果の違いを調べた。結果を表2図2に示す。セリン、グリシン、プロリン、トレオニン、アルギニン、グルタミン酸をそれぞれ0.01質量%配合した比較例6〜14においては、N−アシルグルタミン酸塩のみ配合した比較例1と比べて有意な泡量の増加は認められなかった。ポリグルタミン酸ナトリウム0.005質量%とともに中性アミノ酸であるセリン、グリシン、プロリン、トレオニンをそれぞれ0.005質量%配合した実施例1、3〜5については、比較例1と比べて泡量が35.3%、14.5%、11.2%、21.1%増加した。脂肪族アミノ酸であり、オキシアミノ酸であるセリン、トレオニンを配合した実施例1、5の起泡力の増大は特に顕著であり、実施例1は1%有意、実施例5は5%有意で泡量が増加した。ポリグルタミン酸ナトリウムとグリシンを配合した実施例4、ポリグルタミン酸ナトリウムとプロリンを配合した実施例5については、アミノ酸を単独で配合した比較例6、10〜14、ポリグルタミン酸ナトリウムとともに塩基性アミノ酸であるアルギニンを配合した比較例15、ポリグルタミン酸ナトリウムとともに酸性アミノ酸であるグルタミン酸を配合した比較例16と比べて泡量が大きく増加した。
【0030】
【表3】
【0031】
N−アシルグルタミン酸塩を0.5質量%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムに替えて、ポリアスパラギン酸ナトリウムの効果を調べた。結果を表3図3に示す。ポリアスパラギン酸ナトリウムを単独で0.01質量%配合した比較例17、セリンを単独で0.01質量%配合した比較例6においては、泡量の増加は4.6%、3.3%であり有意な増加は認められなかった。ポリアスパラギン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例6においては、泡量が38.6%増加した。実施例6の比較例1と比べた泡量の増加は1%有意である。比較例17、比較例6の泡量の増加を合計しても7.9%に留まり、実施例6の泡量の増加は予測できない顕著な効果である。
【0032】
【表4】
【0033】
N−アシルグルタミン酸塩に替えて、高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを0.5質量%配合した系で実験した。その結果を表4図4に示す。N−アシルグルタミン酸塩の系と同様に、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸を配合することによる相乗効果が認められた。
【0034】
[イオン交換水での起泡力試験]
N−アシルグルタミン酸塩又は高級脂肪酸塩にポリアミノ酸と中性アミノ酸を配合することにより、硬水での泡立ちが顕著に改善した。イオン交換水においても同様の効果が生じるか調べるために、表5,6の洗浄料を試料として以下の手順により、反復攪拌法により起泡力を測定した。
1.表5,6の組成にて、イオン交換水で水溶液を調製し、40℃に加温する。
2.加温した水溶液200mLを目盛入り1Lトールビーカーに水溶液を泡立たないように注ぎ入れる。
3.1Lトールビーカーを反転撹拌装置(PROMIX PR-1200 柴田科学器械工業(株)社製)にセットし、撹拌して泡立てる。(右回転20秒+左回転20秒+右回転20秒)
4.泡立て1分後、泡量を読み取る。(データはN=3の平均値)
結果を表5,6及び図5,6に示す。
【0035】
N−アシルグルタミン酸塩であるN−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムを単独で配合した比較例21の泡量を基準として、実施例8、比較例22〜25の泡量の有意差を検定した。また、比較例21を基準として、実施例8、比較例22〜25の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例21と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表5、図5に示した。
高級脂肪酸塩であるラウリン酸ナトリウムを単独で配合した比較例26の泡量を基準として、実施例9の泡量の有意差を検定した。また、比較例26を基準として、実施例9の泡量の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例26と比べたときの泡量の増減(%)を求め、表6、図6に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
N−ラウロイルグルタミン酸塩を0.5%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウム、セリンをそれぞれ単独で配合しても(比較例22〜25)、N−アシルグルタミン酸塩のみ配合した比較例21と比べて有意な泡量の増大は認められなかった。しかしながら、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例8においては、比較例21と比べて、5%有意に泡量が増大した。硬度0のイオン交換水においても、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸の相乗効果が認められた。
【0038】
【表6】
【0039】
高級脂肪酸塩としてラウリン酸Naを0.5%配合した系において、ポリグルタミン酸ナトリウムを0.005質量%、セリンを0.005質量%配合した実施例9は、高級脂肪酸塩のみ配合した比較例26と比べて、1%有意に泡量が増大した。高級脂肪酸塩を配合した系で、硬度0のイオン交換水を用いても、ポリグルタミン酸塩と中性アミノ酸の配合効果が認められた(表6、図6参照)。
【0040】
尚、日本の標準的な水道水の硬度である、硬度50においても、ポリグルタミン酸塩又はポリアスパラギン酸塩と中性アミノ酸を添加することによる起泡力の増強効果が確認された。
【0041】
[イオン交換水での泡硬度試験]
N−アシルグルタミン酸塩にポリアミノ酸と中性アミノ酸を配合することにより、泡が硬くなるか調べるために、表7の洗浄料を試料として以下の手順により、泡の硬度を測定した。
1.表7の組成にて、イオン交換水で水溶液を調製した。
2.加温した水溶液10gをホイップ器「ホイップクリーマー・スリム CMS−1 ハリオグラス(株)社製」に量り取り、ホイップスピード:2回/秒、ホイップ回数:往復20回の条件で泡立てた。
3.得られた泡の硬度を、レオテック製レオメーターRT2002Jを用いて、アダプターはφ30mmを用いて測定した。硬度は最大値を読み取った。各試料の泡立てを3回行い、硬度を測定して、値を平均した。また、比較例27を基準として、実施例10の硬度の比(%)を計算し、100%を差し引いて、比較例27と比べたときの硬度の増減(%)を求めた。結果を表7、図7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】
実施例10の泡の硬度は比較例27の泡の硬度と比べて34%増大しており、しっかりした泡立ちを実現できた。
【0044】
[泡の電子顕微鏡観察]
表8の組成にて、比較例28及び実施例11の洗顔パウダーを調製した。
洗顔パウダーに水を加えて手で泡立てて、泡の塊をステンレス板に載せ、1日風乾した。
風乾した泡を図8に示す。泡の内部を取り出し、走査型電子顕微鏡で観察した。
比較例28の泡を図9、10に、実施例11の泡を図11、12に示す。
比較例28の泡は、大きく不均一であるのと比べて、実施例11の泡は、細かく、均一である。また、図10と図12を比べると図12(実施例11)の泡膜が厚くなっている。実施例11の泡膜が比較例28の泡膜と比べて強固であり、泡が破裂することなく乾燥していると推察される。
本発明の洗浄料組成物を用いることにより、強度があり、しっかりした泡を実現できる。
【0045】
【表8】
【0046】
処方例1 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 40
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.02
L−セリン 0.02
マンニトール 30
ブドウ糖 10
タルク 残余
【0047】
処方例2 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム 30
ラウリン酸ナトリウム 10
N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10
ポリγグルタミン酸ナトリウム 4
L−セリン 4
マンニトール 20
ブドウ糖 10
タルク 残余
【0048】
処方例3 洗顔パウダー
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 10
N-ミリストイルグルタミン酸カリウム 18
ミリスチン酸カリウム 2
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.3
L−セリン 0.3
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム 10
マンニトール 10
マルチトール 10
塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]
デキストラン 0.1
寒天粉末 2
デキストリン末 2
タルク 残余
【0049】
処方例4 液体状洗浄用組成物
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸グルタミン酸カリウム 10
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.01
L−トレオニン 0.01
ヤシ油脂肪酸アラニントリエタノールアミン 10
ジグリセリン 10
マルチトール 10
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2
寒天粉末 1
精製水 残余
【0050】
処方例5 クリーム状洗浄用組成物
成分 配合量(質量%)
N-ミリストイルグルタミン酸カリウム 20
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.2
L−セリン 0.2
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 5
ポリエチレングリコール20000 10
1,3−ブチレングリコール 25
ホ゜リオキシエチレン(10)メチルグルコシド 5
寒天粉末 1
精製水 残余
【0051】
処方例6 ハンドウォッシュ
成分 配合量(質量%)
N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 15
ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.02
L−セリン 0.02
1,2−ペンタンジオール 2
ジグリセリン 15
マルチトール 10
ポリオキシエチレン(20EO)ソルビタンモノラウレート 1
ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(7EO)グリセリル 1
エタノール 12
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
精製水 残余
【0052】
処方例7 シャンプー
成分 配合量(質量%)
N-ヤシ油脂肪酸グルタミン酸カリウム 12
ポリγグルタミン酸ナトリウム 0.2
L−セリン 0.2
グリセリン 40
N-ラウロイル-β-メチルアラニンナトリウム 3
2-アルキル-N-カルボキシメチル
-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 10
ラウリン酸ジエタノールアミド 1
エタノール 5
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
精製水 残余
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1、2の泡量を示すグラフ
【図2】実施例1、3〜5の泡量を示すグラフ
【図3】実施例6の泡量を示すグラフ
【図4】実施例7の泡量を示すグラフ
【図5】実施例8の泡量を示すグラフ
【図6】実施例9の泡量を示すグラフ
【図7】実施例10の泡の硬度を示すグラフ
【図8】実施例11の泡の風乾させた写真
【図9】比較例28の泡の走査電子顕微鏡写真(低倍率)
【図10】比較例28の泡の走査電子顕微鏡写真(高倍率)
【図11】実施例11の泡の走査電子顕微鏡写真(低倍率)
【図12】実施例11の泡の走査電子顕微鏡写真(高倍率)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
【請求項2】
ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄料組成物。
【請求項3】
ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−α、γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄料組成物。
【請求項4】
中性アミノ酸が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【請求項5】
中性アミノ酸が、セリン又はトレオニンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【請求項1】
N−アシルグルタミン酸塩及び/又は高級脂肪酸塩と、ポリアミノ酸及び/又はポリアミノ酸塩と、中性アミノ酸を含有することを特徴とする洗浄料組成物。
【請求項2】
ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄料組成物。
【請求項3】
ポリアミノ酸又はポリアミノ酸塩が、ポリ−γ−グルタミン酸、ポリ−α−グルタミン酸、ポリ−α、γ−グルタミン酸、ポリ−α−アスパラギン酸、ポリ−α、β−アスパラギン酸又はポリ−β−アスパラギン酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄料組成物。
【請求項4】
中性アミノ酸が、N−アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸塩の配合量の合計に対して、0.05質量%〜10質量%配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【請求項5】
中性アミノ酸が、セリン又はトレオニンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄料組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−196971(P2009−196971A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214752(P2008−214752)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【特許番号】特許第4253687号(P4253687)
【特許公報発行日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【特許番号】特許第4253687号(P4253687)
【特許公報発行日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】
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