説明

洗浄方法

【課題】ワークの下面をスプレー洗浄する際のワークの浮き上がりを防止することができる洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄方法は、ワーク10の上側及び下側にそれぞれ配置された上スプレーノズル2及び下スプレーノズル4から上洗浄液3及び下洗浄液5をそれぞれ噴射した状態で、ワーク10を上下両ノズル2,4に対して相対的に水平方向に移動させることにより、ワーク10の上面10a及び外周面10bのうち少なくとも上面10aを上洗浄液3で洗浄するとともに、ワーク10の下面10cを下洗浄液5で洗浄する洗浄工程を含む。洗浄工程では、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、下洗浄液5がワーク10の下面10cに当たるときは上洗浄液3が必ずワーク10の上面10a及び外周面10cからなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラム基体等のワークを洗浄する洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の電子写真装置の感光ドラムに用いられる筒状基体、即ち感光ドラム基体は、アルミニウム又はその合金等の金属製であり、その外周面に有機感光体層が形成される。基体の軸方向各端面の周縁部には切削により面取り加工が施されている。
【0003】
この基体では、良好な有機感光体層を形成できるようにするため、有機感光体層の形成の前に基体の全面が洗浄される。この洗浄により、基体に付着していた切粉、油等の付着物が除去される。
【0004】
基体の洗浄方法を開示した公知文献として、例えば特開2006−106380号公報(特許文献1)がある。この公報では、基体の洗浄方法として、スプレーノズルから噴射された洗浄液で基体を洗浄するスプレー洗浄が採用されている。その他の公知文献としては、特開2003−262964号公報(特許文献2)等がある。
【0005】
而して、一般に、感光ドラム基体等のワークの下面をスプレー洗浄方法により洗浄する場合には、ワークをワーク支持部材で支持しておき、ワークの下側に配置されたスプレーノズルから洗浄液を上向きに噴射する。これにより、ワークの下面が下洗浄液で洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−106380号公報
【特許文献2】特開2003−262964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、この洗浄方法によれば、ワークの下面の洗浄の際に、下ノズルから噴射された下洗浄液がワークの下面に当たることで、ワークがワーク支持部材から浮き上がることがあった。このようになると、ワークの下面を十分に洗浄することが困難になるし、更には、浮き上がったワークの下面に下洗浄液が当たらなくなるとワークが自重で下降してワーク支持部材に衝突し、ワークの下面に傷が付く虞があった。
【0008】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、感光ドラム基体等のワークの下面をスプレー洗浄する際のワークの浮き上がりを防止することができる洗浄方法及び該洗浄方法に用いられる洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] ワークの上側に配置された上スプレーノズルから上洗浄液を下向きに噴射し且つワークの下側に配置された下スプレーノズルから下洗浄液を上向きに噴射した状態で、ワークを前記上下両ノズルに対して相対的に水平方向に移動させることにより、ワークの上面及び外周面のうち少なくとも上面を前記上洗浄液で洗浄するとともに、ワークの下面を前記下洗浄液で洗浄する洗浄工程を含み、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、下洗浄液がワークの下面に当たるときは上洗浄液が必ずワークの上面及び外周面からなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射することを特徴とする洗浄方法。
【0011】
[2] 平面視において、前記上ノズルの配置位置と前記下ノズルの配置位置とがずれており、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、上洗浄液と下洗浄液が互いに干渉しないように噴射する前項1記載の洗浄方法。
【0012】
[3] 前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の単位時間当たりの噴射流量が、前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の単位時間当たりの噴射流量よりも大きい前項1又は2記載の洗浄方法。
【0013】
[4] ワークは筒状であり且つその軸を鉛直にして配置されており、
前記洗浄工程では、ワークの上面、外周面及び内周面を前記上洗浄液で洗浄するとともに、ワークの下面及び内周面を前記下洗浄液で洗浄する前項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
【0014】
[5] 前記上ノズル及び前記下ノズルはそれぞれフラットスプレーノズルから構成されており、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を扇形膜状に噴射する前項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
【0015】
[6] 前記洗浄工程では、平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、前記上洗浄液の噴射広がり方向と前記下洗浄液の噴射広がり方向とが互いに平行になるように噴射する前項5記載の洗浄方法。
【0016】
[7] 平面視において、ワークは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個並んで配置されるとともに、
平面視において、前記上ノズルと前記下ノズルは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個交互に並んで配置されている前項5又は6記載の洗浄方法。
【0017】
[8] 平面視において、前記上ノズルは、前記ワークの相対移動領域の外側に配置される一方、前記下ノズルは、前記ワークの相対移動領域の内側に配置されている前項5〜7のいずれかに記載の洗浄方法。
【0018】
[9] 前記洗浄工程では、平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、上洗浄液及び下洗浄液の噴射広がり方向がともに前記ワークの相対移動方向に対して斜め方向になるように噴射する前項5〜8のいずれかに記載の洗浄方法。
【0019】
[10] 平面視において、ワークは、前記ワークの相対移動方向及びその直交方向に複数行及び複数列に並んで配置されており、
前記洗浄工程では、前記上洗浄液が互いに隣り合う2つのワーク行のうち一方のワーク行の少なくとも1個のワークと他方のワーク行の少なくとも1個のワークとに当たるように、前記上洗浄液を噴射する前項5〜9のいずれかに記載の洗浄方法。
【0020】
[11] ワーク配置位置における前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の噴射広がり幅が、ワーク配置位置における前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の噴射広がり幅よりも大きい前項5〜10のいずれかに記載の洗浄方法。
【0021】
[12] 前記下ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離が、前記上ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離よりも短い前項1〜11のいずれかに記載の洗浄方法。
【0022】
[13] 前記ワークは、感光ドラム基体である前項1〜12のいずれかに記載の洗浄方法。
【0023】
[14] ワークの上側に配置されるとともに上洗浄液を下向きに噴射する上スプレーノズルと、
ワークの下側に配置されるとともに下洗浄液を上向きに噴射する下スプレーノズルと、
ワークを前記上下両ノズルに対して相対的に水平方向に移動させる駆動手段と、を備え、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が噴射された状態で、前記駆動手段によってワークを相対移動させることにより、ワークの上面及び外周面のうち少なくとも上面を前記上洗浄液で洗浄するとともにワークの下面を前記下洗浄液で洗浄するように構成され、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が、下洗浄液がワークの下面に当たるときは上洗浄液が必ずワークの上面及び外周面からなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射されることを特徴とする洗浄装置。
【0024】
なお、前項[14]の洗浄装置は、更に以下の構成も採用可能である。
【0025】
[15] 平面視において、前記上ノズルの配置位置と前記下ノズルの配置位置とがずれており、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が、上洗浄液と下洗浄液が互いに干渉しないように噴射される前項14記載の洗浄装置。
【0026】
[16] 前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の単位時間当たりの噴射流量が、前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の単位時間当たりの噴射流量よりも大きい前項14又は15記載の洗浄装置。
【0027】
[17] ワークは筒状であり且つその軸を鉛直にして配置されており、
ワークの上面、外周面及び内周面が前記上洗浄液で洗浄されるとともに、ワークの下面及び内周面が前記下洗浄液で洗浄される前項14〜16のいずれかに記載の洗浄装置。
【0028】
[18] 前記上ノズル及び前記下ノズルはそれぞれフラットスプレーノズルから構成されており、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が扇形膜状に噴射される前項14〜17のいずれかに記載の洗浄装置。
【0029】
[19] 平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が、前記上洗浄液の噴射広がり方向と前記下洗浄液の噴射広がり方向とが互いに平行になるように噴射される前項18記載の洗浄装置。
【0030】
[20] 平面視において、ワークは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個並んで配置されるとともに、
平面視において、前記上ノズルと前記下ノズルは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個交互に並んで配置されている前項18又は19記載の洗浄装置。
【0031】
[21] 平面視において、前記上ノズルは、前記ワークの相対移動領域の外側に配置される一方、前記下ノズルは、前記ワークの相対移動領域の内側に配置されている前項18〜20のいずれかに記載の洗浄装置。
【0032】
[22] 平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が、上洗浄液及び下洗浄液の噴射広がり方向がともに前記ワークの相対移動方向に対して斜め方向になるように噴射される前項18〜21のいずれかに記載の洗浄装置。
【0033】
[23] 前記ワークは、前記ワークの相対移動方向及びその直交方向に複数行及び複数列に並んで配置されており、
前記上洗浄液が互いに隣り合う2つのワーク行のうち一方のワーク行の少なくとも1個のワークと他方のワーク行の少なくとも1個のワークとに当たるように、前記上洗浄液が噴射される前項18〜23のいずれかに記載の洗浄装置。
【0034】
[24] ワーク配置位置における前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の噴射広がり幅が、ワーク配置位置における前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の噴射広がり幅よりも大きい前項18〜23のいずれかに記載の洗浄装置。
【0035】
[25] 前記下ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離が、前記上ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離よりも短い前項14〜24のいずれかに記載の洗浄装置。
【0036】
[26] 前記ワークは、感光ドラム基体である前項14〜25のいずれかに記載の洗浄装置。
【発明の効果】
【0037】
本発明は以下の効果を奏する。
【0038】
前項[1]の洗浄方法によれば、上ノズル及び下ノズルからそれぞれ上洗浄液及び下洗浄液を、下洗浄液がワークの下面に当たるときは上洗浄液が必ずワークの上面及び外周面からなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射することにより、ワークの浮き上がりを防止することができる。これにより、ワークの下面を確実に洗浄することができるし、ワークの下面の傷付きを防止することができる。
【0039】
前項[2]の洗浄方法によれば、上ノズル及び下ノズルからそれぞれ上洗浄液及び下洗浄液を、上洗浄液と下洗浄液が互いに干渉しないように噴射することにより、上洗浄液及び下洗浄液の洗浄力をそれぞれ向上させることができる。
【0040】
前項[3]の洗浄方法によれば、上ノズルからの上洗浄液の噴射流量が、下ノズルからの下洗浄液の噴射流量よりも大きいことにより、ワークの浮き上がりを確実に防止することができる。
【0041】
前項[4]の洗浄方法によれば、ワークが小径な筒状であっても当該ワークの全面、即ちワークの上面、外周面、下面及び内周面を洗浄することができる。
【0042】
前項[5]の洗浄方法によれば、上ノズル及び下ノズルはそれぞれフラットスプレーノズルから構成されており、上ノズル及び下ノズルからそれぞれ上洗浄液及び下洗浄液を扇形膜状に噴射することにより、上洗浄液及び下洗浄液の洗浄力をそれぞれ更に向上させることができる。
【0043】
前項[6]の洗浄方法によれば、上ノズル及び下ノズルからそれぞれ上洗浄液及び下洗浄液を、上洗浄液の噴射広がり方向と下洗浄液の噴射広がり方向とが互いに平行になるように噴射することにより、上洗浄液と下洗浄液との干渉を確実に防止できるし、更には、上洗浄液と下洗浄液を互いに近接して噴射することができ、これにより、ワークを効果的に洗浄することができるし、洗浄装置の小型化を図ることができる。
【0044】
前項[7]の洗浄方法によれば、複数個のワークを一括して洗浄することができる。
【0045】
前項[8]の洗浄方法によれば、上洗浄液でワークの上面及び外周面を確実に洗浄することができるし、ワークが筒状であっても該筒状ワークの下面及び内周面を下洗浄液で確実に洗浄することができる。
【0046】
前項[9]の洗浄方法によれば、ワークの相対移動方向の直交方向に複数個並んでワークが配置された場合において、互いに隣り合う2個のワークを1つの上ノズルから噴射された上洗浄液で洗浄することが可能となる。これにより、ワークを効率良く洗浄することができる。
【0047】
前項[10]の洗浄方法によれば、より多くのワークを一括して洗浄することができ、もってワークを効率良く洗浄することができる。
【0048】
前項[11]の洗浄方法によれば、前項[1]における上洗浄液及び下洗浄液の噴射状態を確実に実現することができる。
【0049】
前項[12]の洗浄方法によれば、ワークの下面を確実に洗浄することができる。
【0050】
前項[13]の洗浄方法によれば、ワークとしての感光ドラム基体を洗浄することができる。
【0051】
前項[14]の洗浄装置は、前項[1]の洗浄方法に好適に用いることができる。
【0052】
なお、前項[15]〜[26]の洗浄装置は、それぞれ前項[2]〜[13]の洗浄方法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄方法を、ワークを洗浄している途中の状態で示す平面図である。
【図2】図2は、ワークの移動方向の前方側から見た正面図である。
【図3】図3は、ワーク支持部材の斜視図である。
【図4】図4は、ワークの半断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0055】
図1において、1は本発明の一実施形態に係る洗浄装置、10はワークである。
【0056】
ワーク10は、図4に示すように、筒状であり、詳述すると円筒状である。具体的にはワーク10は、アルミニウム又はその合金製感光ドラム基体であり、その断面形状は円環状である。ワーク10を洗浄する際には、ワーク10はその軸Qを垂直にして配置される。
【0057】
なお、ワーク10としての感光ドラム基体は、その外周面10bに良好な有機感光体層を形成できるようにするため、本実施形態の洗浄装置1を用いて洗浄され、その後、その外周面10bに有機感光体層が形成されることで、感光ドラムが製造される。基体の軸方向各端面の周縁部には切削により面取り加工が施されている。そのため、基体の各端面には面取り加工により発生した切粉(図示せず)が付着している。さらに、切粉は、基体の外周面や内周面にも付着していることがあり、また、基体の各端面、外周面10b及び内周面10dには、加工油等が付着している。このような切粉、油等の付着物を除去するために、基体が本実施形態の洗浄装置1を用いた洗浄方法により洗浄される。
【0058】
ワーク10の外径(直径)Uは例えば10〜50mm、その肉厚tは例え0.5〜2.0mmである。
【0059】
本実施形態の洗浄装置1は、複数個のワーク10を一括してスプレー洗浄するものであり、複数個のワーク10を一括して支持するワーク支持部材7、複数個の上スプレーノズル2、複数個の下スプレーノズル4、駆動手段8などを備えている。
【0060】
図3に示すように、ワーク支持部材7は、水平状に配置された棒状のワーク載置部7aと、該ワーク載置部7aに立ち上がり状に設けられた複数個の棒状のワーク保持部7bとを有している。ワーク載置部7aの断面形状は円形状である。ワーク載置部7a上には、ワーク10がその軸Qを鉛直にして載置される。ワーク保持部7bは、軸Qを鉛直にして配置されたワーク10の中空部10gにワーク10の下端開口10fから挿入されることで、ワーク10が倒れないようにワーク10の姿勢を保持するものである。そして、ワーク10は、その中空部10gにワーク保持部7bがワーク10の下端開口10fから挿入された状態でワーク載置部7a上に載置され、これにより、ワーク10がその軸Qを鉛直にしてワーク支持部材7に支持されている。このようにワーク10が支持された状態では、ワーク10の下面10cがワーク載置部7aに線状に当接するとともに、ワーク10の下端開口10fは、ワーク載置部7aで完全には閉塞されておらず、即ち下方向に開放している。また、ワーク10の上端開口10eは上方向に開放している。ワーク載置部7aの直径は、ワーク10の内径よりも小さく設定されており、例えばワーク10の内径に対して0.6〜0.8倍の範囲に設定される。なお、図1ではワーク支持部材7は図示省略されている。
【0061】
図2に示すように、上スプレーノズル2は、ワーク10の上側に配置されるとともに洗浄液3を下向きに噴射するものである。本明細書では、この上ノズル2から噴射される洗浄液3を「上洗浄液3」という。下スプレーノズル4は、ワーク10の下側に配置されるとともに洗浄液5を上向きに噴射するものである。本明細書では、この下ノズル4から噴射される洗浄液5を「下洗浄液5」という。
【0062】
上洗浄液3は、ワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)に当たることでこれらの面10a、10b、10dを洗浄するものである。下洗浄液5は、ワーク10の下面10c及び内周面10d(詳述すると内周面10dの下部)に当たることでこれらの面10c、10dを洗浄するものである。すなわち、ワーク10の内周面10dは、ワーク10の上端開口10eからワーク10の中空部10gに入った上洗浄液3と、ワーク10の下端開口10fからワーク10の中空部10ggに入った下洗浄液5とで洗浄される。
【0063】
上洗浄液3及び下洗浄液5は、いずれも水、脱脂剤などからなり、その温度は例えば40〜70℃の範囲に設定されている。また本実施形態では、上ノズル2及び下ノズル4の配置位置はそれぞれ固定されている。
【0064】
さらに、上ノズル2は、上洗浄液3を扇形膜状に噴射するフラットスプレーノズルから構成されている。また同じく下ノズル4は、下洗浄液5を扇形膜状に噴射するフラットスプレーノズルから構成されている。
【0065】
駆動手段8は、複数個のワーク10を一括して水平方向の一方向Mに移動させるものであり、電動アクチュエータ、流体圧シリンダ(例:油圧シリンダ、ガスシリンダ)等からなる。そして、図2に示すように、この駆動手段8は、その駆動部がワーク支持部材7に接続されており、複数個のワーク10を支持したワーク支持部材7を所定方向Mに移動させることで、複数個のワーク10を一括して所定方向Mに移動させるものである。
【0066】
そして、本実施形態の洗浄装置1は、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5が噴射された状態で、駆動手段8によってワーク10を所定方向Mに移動させることにより、ワーク10の上面10a及び外周面10bのうち少なくとも上面10aを上洗浄液3で洗浄するとともにワーク10の下面10cを下洗浄液5で洗浄するように構成されており、さらに、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5が、下洗浄液5がワーク10の下面10cに当たるときは上洗浄液3が必ずワーク10の上面10a及び外周面10bからなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射されるように構成されている。本実施形態では、ワーク10の上面10a及び外周面10bが上洗浄液3で洗浄される。
【0067】
次に、本実施形態の洗浄装置1の詳細な構成について以下に説明する。
【0068】
図1に示すように、平面視において、ワーク10は、駆動手段8によるワークの移動方向M及びその直交方向Nに複数行及び複数列に等間隔に並んで配置されており、即ち行列状に配置されている。このワーク行列状配置において、複数個のワーク10がワークの移動方向Mに一列に並んでなるワーク群を「ワーク行15」とし、複数個のワーク10がワークの移動方向Mの直交方向Nに一列に並んでなるワーク群を「ワーク列16」とする。本実施形態では、ワーク行15の全行数は12行であり、ワーク列16の全列数は12列であり、即ち12行×12列である。したがって、ワーク10の全個数は144個である。
【0069】
さらに、このワーク行列状配置では、ワーク行15におけるワーク10、10間のピッチP1と、ワーク列16におけるワーク10、10間のピッチP2とは、互いに等しく設定されており、望ましくはそれぞれワーク10の外径Uに対して1.5〜2.5倍の範囲に設定されるのが良い。
【0070】
上ノズル2及び下ノズル4は、平面視において、ワークの移動方向Mの直交方向Nに複数個交互に一列に等間隔に並んで配置されている。したがって、上ノズル2の配置位置と下ノズル4の配置位置とはワークの移動方向Mの直交方向Nにずれている。さらに、このように複数個の上ノズル2及び下ノズル4が交互に一列に並んでなるノズル群を「ノズル列6」とするとき、このノズル列6が更にワークの移動方向Mに等間隔に複数列配置されている。本実施形態では、ノズル列6の全列数は4列である。
【0071】
平面視において、ノズル列6における上ノズル2及び下ノズル4間のピッチP4は、ワーク列16におけるワーク10、10間のピッチP2に対して1/2倍に設定されている。さらに、平面視において、各下ノズル4は、駆動手段8により移動されるワークの移動領域Zの内側に配置されており、詳述するとワークの移動領域Zの内側の幅方向中間位置に配置されている。一方、各上ノズル2は、ワークの移動領域Zの外側に配置されており、詳述するとワーク列16における互いに隣り合う2個のワーク10、10間の中間位置に配置されている。
【0072】
また、複数列(本実施形態では4列)のノズル列6、6間のピッチP3は、ワーク行15におけるワーク10、10間のピッチP1に対して2〜11倍の範囲に設定されており、本実施形態ではP3はP1に対して3倍に設定されている。
【0073】
各上ノズル2及び各下ノズル4は、各上ノズル2から噴射される上洗浄液3の噴射広がり方向Hと各下ノズル4から噴射される下洗浄液5の噴射広がり方向Jとが互いに平行になるように配置されている。すなわち、各上ノズル2及び各下ノズル4は、それぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、上洗浄液3の噴射広がり方向Hと下洗浄液5の噴射広がり方向Jとが互いに平行になるように噴射するものである。ここで、上述したように、平面視において、上ノズル2の配置位置と下ノズル4の配置位置とがワークの移動方向Mの直交方向Nにずれていることから、各上ノズル2及び各下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を噴射しても、上洗浄液3と下洗浄液5は互いに直接干渉することはなく、すなわち上洗浄液3と下洗浄液5は互いに直接衝突することはない。
【0074】
さらに、各上ノズル2及び各下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5が、上洗浄液3及び下洗浄液5の噴射広がり方向H、Jがともにワークの移動方向Mに対して斜め方向になるように噴射される。ワークの移動方向Mに対して上洗浄液3及び下洗浄液5の噴射広がり方向H、Jがなす角度α、αは、ともに望ましくは25〜80°の範囲に設定され、具体的にはα、αはともに例えば45°に設定される。
【0075】
各上ノズル2から噴射される上洗浄液3の単位時間当たりの噴射流量V1は、各下ノズル4から噴射される下洗浄液5の単位時間当たりの噴射流量V2よりも大きく設定されている(即ち、V1>V2)。望ましくはV1はV2に対して1.5〜3.0倍の範囲に設定されるのが良い。具体的には、V1は例えば4.5〜39L/minの範囲に設定され、V2は例えば3〜13L/minの範囲に設定される。
【0076】
図2に示すように、各上ノズル2から噴射される上洗浄液3の噴射広がり角度θ1は、各下ノズル4から噴射される下洗浄液5の噴射広がり角度θ2よりも小さく設定されている(即ち、θ1<θ2)。望ましくはθ2はθ1に対して1.2〜3.2倍の範囲に設定されるのが良い。具体的には、θ1は例えば25〜65°の範囲に設定され、θ2は例えば40〜80°の範囲に設定される。
【0077】
さらに、各下ノズル4とワーク10との間の鉛直方向の距離S2は、各上ノズル2とワーク10との間の鉛直方向の距離S1よりも短く設定されている(即ち、S2<S1)。望ましくはS1はS2に対して3〜7倍の範囲に設定されるのが良い。具体的には、S2は例えば10〜45mmの範囲に設定され、S1は例えば70〜150mmの範囲に設定される。
【0078】
このようにS2がS1よりも短く設定され、換言するとS1がS2よりも長く設定されることにより、図1に示すように、平面視において、ワーク配置位置における各上ノズル2から噴射される上洗浄液3の噴射広がり幅Wが、ワーク配置位置における各下ノズル4から噴射される下洗浄液5の噴射広がり幅Yよりも大きく設定されている。
【0079】
詳述すると、上洗浄液3の噴射広がり幅Wにおけるワーク移動方向Mの直交方向Nの長さW1は、ワーク列16におけるワーク10、10間のピッチP2に対して2倍以上(更に詳述すると、2〜3倍の範囲に設定されている。これにより、上ノズル2から上洗浄液3を噴射した状態でワーク10を所定方向Mに移動させた場合に、上洗浄液3が、互いに隣り合う2つのワーク行15、15のうち一方のワーク行15の少なくとも1個(本実施形態では1又は2個)のワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)と、他方のワーク行15の少なくとも1個(本実施形態では1又は2個)のワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)とに当たるとともに、ワーク10の移動によって、ワーク10の上面10a全面、外周面10b全面及び内周面10d全面(詳述すると内周面10dの上部全面)が上洗浄液3で洗浄されるものとなされている。
【0080】
一方、下洗浄液5の噴射広がり幅Yにおけるワーク移動方向Mの直交方向Nの長さY1は、ワーク10の外径Uに対して等しいか又は長く設定されており、すなわちワーク列16におけるワーク10、10間のピッチP2に対して1倍以上(詳述すると、1〜1.8倍の範囲に設定されている。これにより、図2に示すように、下ノズル4から下洗浄液5を噴射した状態でワーク10を所定方向Mに移動させた場合に、下洗浄液5が、各ワーク行15における1個のワーク10の下面10c及び内周面10d(詳述すると内周面10dの下部)に当たるとともに、ワーク10の移動によって、ワーク10の下面10c全面及び内周面10d全面(詳述すると内周面10dの下部全面)が下洗浄液5で洗浄されるものとなされている。
【0081】
駆動手段8によるワーク10の移動速度は、例えば8〜50mm/sの範囲である。ワーク10の移動距離は、ワーク行15におけるワーク10、10間のピッチP1の2倍の長さに対して等しいか又は長く設定され、望ましくはP1×2倍〜P1×3倍の範囲に設定されるのが良い。
【0082】
さらに、ノズル列6における上ノズル2及び下ノズル4間のピッチP4と、ワークの移動方向Mに対して上洗浄液3及び下洗浄液5の噴射広がり方向H、Jがなす角度α、αとは、下洗浄液5がワーク10の下面10cに当たるときは、平面視において当該下洗浄液5を噴射した下ノズル4の両側に配置された2つの上ノズル2、2から噴射された上洗浄液3、3のうち少なくとも一方が必ず当該ワーク10の上面10a及び外周面10bからなる領域の少なくとも一部に当たるように設定されている。
【0083】
次に、本実施形態の洗浄装置1を用いたワーク10の洗浄方法について以下に説明する。
【0084】
図3に二点鎖線で示すように、洗浄装置1のワーク支持部材7に複数個のワーク10をその軸Qが鉛直になるように支持させる。これにより、平面視において、複数個のワーク10をワークの移動方向M及びその直交方向Nに複数行及び複数列に並べた行列状に配置する。
【0085】
次いで、洗浄装置1の各上ノズル2から上洗浄液3を下向きに扇形膜状に噴射するとともに、各下ノズル4から下洗浄液5を上向きに扇形膜状に噴射する。そしてこの状態を維持したままで、駆動手段8によって複数個のワーク10をワーク支持部材7を介して所定方向Mに一括して移動させる。
【0086】
すると、図1に示すように、上洗浄液3が、互いに隣り合う2つのワーク行15、15のうち一方のワーク行15の少なくとも1個(本実施形態では1又は2個)のワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)と他方のワーク行15の少なくとも1個(本実施形態では1又は2個)のワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)とに当たるとともに、ワーク10の移動によって、ワーク10の上面10a全面、外周面10b全面及び内周面10d全面(詳述すると内周面10dの上部全面)とが上洗浄液3で洗浄される。これと同時に、下洗浄液5が、各ワーク行15における1個のワーク10の下面10c及び内周面10d(詳述すると内周面10dの下部)に当たるとともに、ワーク10の移動によって、ワーク10の下面10c全面及び内周面10d(詳述すると内周面10dの下部全面)が下洗浄液5で洗浄される。以上の工程を「洗浄工程」という。
【0087】
この洗浄工程では、下洗浄液5がワーク10の下面10cに当たるときは、平面視において当該下洗浄液5を噴射した下ノズル4の両側に配置された2つの上ノズル2、2から噴射された上洗浄液3、3のうち少なくとも一方が必ず当該ワーク10の上面10a及び外周面10bからなる領域の少なくとも一部に当たる。そのため、下洗浄液5のワーク下面10cへの当たり力(衝突力)によりワーク10が浮き上がる不具合を防止することができる。これにより、ワーク10の下面10cを確実に洗浄することができるし、更にワーク10の下面10cがワーク支持部材7のワーク載置部7aに衝突することによるワーク下面10cの傷付きを防止することができる。
【0088】
さらに、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、上洗浄液3と下洗浄液5が互いに干渉しないように噴射することにより、上洗浄液3及び下洗浄液5の洗浄力をそれぞれ向上させることができる。
【0089】
さらに、上ノズル2から噴射される上洗浄液3の単位時間当たりの噴射流量V1が、下ノズル4から噴射される下洗浄液5の単位時間当たりの噴射流量V2よりも大きいことにより、ワーク10の浮き上がりを確実に防止することができる。
【0090】
さらに、ワーク10は筒状(詳述すると円筒状)であり且つその軸Qを鉛直にして配置されており、洗浄工程では、ワーク10の上面10a、外周面10b及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)を上洗浄液3で洗浄するとともに、ワーク10の下面10c及び内周面10d(詳述すると内周面10dの上部)を下洗浄液5で洗浄することにより、ワーク10が小径な筒状(円筒状)であっても当該ワーク10の全面、即ちワーク10の上面10a、外周面10b、下面10c及び内周面10dを洗浄することができる。
【0091】
さらに、上ノズル2及び下ノズル4はそれぞれフラットスプレーノズルから構成されており、洗浄工程では、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を扇形膜状に噴射している。そのため、上洗浄液3及び下洗浄液5のワーク10への当たり力が、フルコーンスプレーノズルから噴射される洗浄液のワーク10への当たり力よりも高くなっている。これにより、上洗浄液3及び下洗浄液5の洗浄力をそれぞれ更に向上させることができる。
【0092】
さらに、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、上洗浄液3の噴射広がり方向Hと下洗浄液5の噴射広がり方向Jとが互いに平行になるように噴射することにより、上洗浄液3と下洗浄液5との干渉を確実に防止できるし、更には、上洗浄液3と下洗浄液5を互いに近接して噴射することができ、これにより、ワーク10を効果的に洗浄することができるし、洗浄装置1の小型化を図ることができる。
【0093】
さらに、平面視において、ワーク10は、ワークの移動方向Mの直交方向Nに複数個並んで配置されるとともに、上ノズル2と下ノズル4は、ワーク10の移動方向Mの直交方向Nに複数個交互に並んで配置されているので、複数個のワーク10を一括して洗浄することができる。
【0094】
さらに、平面視において、上ノズル2は、ワークの移動領域Zの外側に配置される一方、下ノズル4は、ワークの移動領域Zの内側に配置されているので、上洗浄液3でワーク10の上面10a及び外周面10bを確実に洗浄することができるし、ワーク10が小径な筒状(円筒状)であっても当該ワーク10の下面10c及び内周面10dを下洗浄液5で確実に洗浄することができる。
【0095】
さらに、洗浄工程では、平面視において、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、上洗浄液3及び下洗浄液5の噴射広がり方向H、Jがともにワークの移動方向Mに対して斜め方向になるように噴射するので、ワークの移動方向Mの直交方向Nに複数個並んでワーク10が配置された場合において、互いに隣り合う2個のワーク10、10を1つの上ノズル2から噴射された上洗浄液3で洗浄することが可能となる。これにより、ワーク10を効率良く洗浄することができる。
【0096】
さらに、平面視において、ワーク10は、ワークの移動方向M及びその直交方向Nに複数行及び複数列に複数個並んで配置されており、洗浄工程では、上洗浄液3が互いに隣り合う2つのワーク行15、15のうち一方のワーク行15の少なくとも1個のワーク10と他方のワーク行15の少なくとも1個のワーク10とに当たるように、上洗浄液3を噴射するので、より多くのワーク10を一括して洗浄することができ、もってワーク10を更に効率良く洗浄することができる。
【0097】
また、ワーク配置位置における上ノズル2から噴射される上洗浄液3の噴射広がり幅Wが、ワーク配置位置における下ノズル4から噴射される下洗浄液5の噴射広がり幅Yよりも大きいことにより、上ノズル2及び下ノズル4からそれぞれ上洗浄液3及び下洗浄液5を、下洗浄液5がワーク10の下面10cに当たるときは上洗浄液3が必ずワーク10の上面10a及び外周面10bからなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射するという、上洗浄液3及び下洗浄液5の噴射状態を確実に実現することができる。
【0098】
さらに、下ノズル4とワーク10との間の鉛直方向の距離S2が、上ノズル2とワーク10との間の鉛直方向の距離S1よりも短いので、ワーク10の下面10cを確実に洗浄することができる。
【0099】
また、ワーク10は感光ドラム基体であるから、ワーク10としての感光ドラム基体を洗浄することができる。特に、ワーク10としての基体は、その軸を鉛直にして配置されることで基体の軸方向両端面がそれぞれ上面及び下面となるので、切粉が付着している基体の両端面を確実に洗浄し得て切粉を確実に除去することができる。
【0100】
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々に変更可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態では、上ノズル2及び下ノズル4の配置位置をそれぞれ固定した状態でワーク10を移動させる方式により、ワーク10の洗浄を行っているが、本発明では、その他に、ワーク10の配置位置を固定した状態で上ノズル2及び下ノズル4を移動させる方式により、ワーク10の洗浄を行うものであっても良い。
【0102】
もとより本発明では、ワーク10は感光ドラム基体以外のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、感光ドラム基体等のワークの洗浄方法及び洗浄装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1:洗浄装置
2:上スプレーノズル
3:上洗浄液
4:下スプレーノズル
5:下洗浄液
6:ノズル列
7:ワーク支持部材
10:ワーク
10a:上面
10b:外周面
10c:下面
10d:内周面
15:ワーク行
16:ワーク列
M:ワークの移動方向
N:ワークの移動方向の直交方向
Z:ワークの移動領域
S1:上ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離
S2:下ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの上側に配置された上スプレーノズルから上洗浄液を下向きに噴射し且つワークの下側に配置された下スプレーノズルから下洗浄液を上向きに噴射した状態で、ワークを前記上下両ノズルに対して相対的に水平方向に移動させることにより、ワークの上面及び外周面のうち少なくとも上面を前記上洗浄液で洗浄するとともに、ワークの下面を前記下洗浄液で洗浄する洗浄工程を含み、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、下洗浄液がワークの下面に当たるときは上洗浄液が必ずワークの上面及び外周面からなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
平面視において、前記上ノズルの配置位置と前記下ノズルの配置位置とがずれており、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、上洗浄液と下洗浄液が互いに干渉しないように噴射する請求項1記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の単位時間当たりの噴射流量が、前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の単位時間当たりの噴射流量よりも大きい請求項1又は2記載の洗浄方法。
【請求項4】
ワークは筒状であり且つその軸を鉛直にして配置されており、
前記洗浄工程では、ワークの上面、外周面及び内周面を前記上洗浄液で洗浄するとともに、ワークの下面及び内周面を前記下洗浄液で洗浄する請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記上ノズル及び前記下ノズルはそれぞれフラットスプレーノズルから構成されており、
前記洗浄工程では、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を扇形膜状に噴射する請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄工程では、平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、前記上洗浄液の噴射広がり方向と前記下洗浄液の噴射広がり方向とが互いに平行になるように噴射する請求項5記載の洗浄方法。
【請求項7】
平面視において、ワークは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個並んで配置されるとともに、
平面視において、前記上ノズルと前記下ノズルは、前記ワークの相対移動方向の直交方向に複数個交互に並んで配置されている請求項5又は6記載の洗浄方法。
【請求項8】
平面視において、前記上ノズルは、前記ワークの相対移動領域の外側に配置される一方、前記下ノズルは、前記ワークの相対移動領域の内側に配置されている請求項5〜7のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄工程では、平面視において、前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液を、上洗浄液及び下洗浄液の噴射広がり方向がともに前記ワークの相対移動方向に対して斜め方向になるように噴射する請求項5〜8のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項10】
平面視において、ワークは、前記ワークの相対移動方向及びその直交方向に複数行及び複数列に並んで配置されており、
前記洗浄工程では、前記上洗浄液が互いに隣り合う2つのワーク行のうち一方のワーク行の少なくとも1個のワークと他方のワーク行の少なくとも1個のワークとに当たるように、前記上洗浄液を噴射する請求項5〜9のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項11】
ワーク配置位置における前記上ノズルから噴射される前記上洗浄液の噴射広がり幅が、ワーク配置位置における前記下ノズルから噴射される前記下洗浄液の噴射広がり幅よりも大きい請求項5〜10のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項12】
前記下ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離が、前記上ノズルとワークとの間の鉛直方向の距離よりも短い請求項1〜11のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記ワークは、感光ドラム基体である請求項1〜12のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項14】
ワークの上側に配置されるとともに上洗浄液を下向きに噴射する上スプレーノズルと、
ワークの下側に配置されるとともに下洗浄液を上向きに噴射する下スプレーノズルと、
ワークを前記上下両ノズルに対して相対的に水平方向に移動させる駆動手段と、を備え、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が噴射された状態で、前記駆動手段によってワークを相対移動させることにより、ワークの上面及び外周面のうち少なくとも上面を前記上洗浄液で洗浄するとともにワークの下面を前記下洗浄液で洗浄するように構成され、
前記上ノズル及び前記下ノズルからそれぞれ前記上洗浄液及び前記下洗浄液が、下洗浄液がワークの下面に当たるときは上洗浄液が必ずワークの上面及び外周面からなる領域の少なくとも一部に当たるように噴射されることを特徴とする洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−245364(P2011−245364A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118371(P2010−118371)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】