説明

洗浄槽および洗浄装置

【課題】洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能な洗浄槽を提供すること。
【解決手段】被洗浄物2を洗浄するための洗浄槽3は、被洗浄物2が浸漬される洗浄液が流出する流出部30を上端側に備えている。流出部30は、洗浄槽3の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成される曲面部28cを備えている。この洗浄槽3では、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃を曲面部28cに沿って洗浄槽3から流出させやすくなり、洗浄槽3内の塵埃の除去効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の被洗浄物を洗浄するための洗浄槽および洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品、金属部品あるいはプリント配線基板等の各種の被洗浄物(ワーク)を洗浄処理するための洗浄装置が知られている。この種の洗浄装置として、ワークが浸漬される洗浄液が溜まっている洗浄槽と、洗浄槽から溢れ出した洗浄液が流入するオーバーフロー槽とを備える洗浄装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の洗浄装置は、洗浄槽の底部から洗浄液が注入され、洗浄槽の上端からオーバーフロー槽に向かって洗浄液が溢れ出すように構成されている。また、この洗浄装置では、洗浄槽の内周面は鉛直面状に形成されている。なお、この洗浄装置では、洗浄槽の底部から注入された洗浄液を整流するための整流板が洗浄槽の上下を仕切るように配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−228890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の洗浄装置でワークの洗浄を行うと、洗浄槽に満たされた洗浄液の表面にワークから除去された比重の小さな塵埃が浮かぶ。しかしながら、特許文献1に記載の洗浄装置では、洗浄槽の内周面は鉛直面状に形成されているため、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃は洗浄槽の縁まで流れ着くものの洗浄槽から溢れ出る洗浄液が少ないとオーバーフロー槽へ流出しない。そのため、洗浄槽からワークを引き上げる際に、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃がワークに再付着するといった問題が発生する。
【0006】
特に、洗浄液としてHFE(ハイドロフルオロエーテル)のような表面張力の小さい(濡れ性の良いあるいは接触角の小さい)洗浄液を用いると、表面張力が比較的大きい水等の洗浄液を用いる場合と比較して、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃はオーバーフロー槽へ流出しにくくなる。そのため、ワークに塵埃が再付着するといった上述の問題がさらに発生しやすくなる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能な洗浄槽およびこの洗浄槽を備える洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、被洗浄物を洗浄するための洗浄槽において、被洗浄物が浸漬される洗浄液が流出する流出部を上端側に備え、流出部は、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成される曲面部、および/または、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の洗浄槽では、洗浄槽の上端側に形成される流出部は、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成される曲面部、および/または、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように傾斜する傾斜部を備えている。そのため、洗浄液の表面付近に浮かぶ塵埃が曲面部や傾斜部に沿って洗浄槽から流出しやすくなる。その結果、本発明では、洗浄槽内の塵埃の除去効率を高めることができ、洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能となる。
【0010】
本発明において、曲面部は、凸面からなる曲面状に形成されていることが好ましい。また、本発明において、曲面部の上端に接する接線の方向は略水平であることが好ましい。このような構成にすると、曲面部に沿ってより効率的に塵埃を流出させることが可能になる。
【0011】
本発明において、洗浄槽は、洗浄槽の外周面を構成する側面部と、側面部の内側に着脱可能に配置され洗浄槽の内周面を構成する内壁部材とを備え、曲面部および/または傾斜部は、内壁部材の上端側に形成されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、超音波洗浄を行うための超音波振動子を洗浄槽の底面側に配置することで洗浄槽が大型化し、洗浄槽の容積が大きくなる場合であっても、内壁部材を用いることで、洗浄槽内の有効容積(液循環する容積)を減少させることができる。したがって、洗浄槽内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽内の塵埃を流出部から効率的に流出させることが可能となる。
【0012】
本発明において、洗浄液は、たとえば、非水系洗浄剤、水系洗浄剤あるいは準水系洗浄剤のいずれかである。また、非水系洗浄剤は、たとえば、フッ素系洗浄剤、臭素系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤等である。本発明の洗浄槽では、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃が曲面部や傾斜部に沿って洗浄槽から流出しやすくなるため、表面張力の小さな洗浄剤が洗浄液として使用されても、洗浄槽内の塵埃の除去効率を高めることが可能となる。
【0013】
本発明の洗浄槽は、洗浄槽の底面に配置される超音波振動子と、洗浄槽の底面側に配置され洗浄液を噴射する噴流管とを備える洗浄装置に用いることができる。この洗浄装置では、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃が曲面部や傾斜部に沿って洗浄槽から流出しやすくなるため、洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能となる。また、洗浄槽の底面側に配置される噴流管から噴射される洗浄液によって、洗浄槽の上端側に形成される流出部に向かう液流を洗浄槽内に発生させることができる。そのため、洗浄槽内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽内の塵埃を流出部から効率的に流出させることが可能となる。
【0014】
ここで、上述の特許文献1に記載の洗浄装置でも、洗浄槽内に配置された整流板によって洗浄槽の上端側に向かう液流(整流)を洗浄槽内に発生させることは可能である。しかしながら、整流板を用いると、整流板によって洗浄槽内の超音波の伝達が阻害されるため、洗浄槽の底面側に超音波振動子を配置する超音波洗浄が困難となる。これに対して、本発明の洗浄装置では、噴流管を用いて液流を発生させるため、底面側に超音波振動子を配置する超音波洗浄を行う場合であっても、洗浄槽内の超音波の伝達が阻害されにくい。したがって、本発明の洗浄装置では、洗浄槽内から塵埃を効率的に除去しつつ、超音波洗浄も行うことが可能となる。
【0015】
本発明において、洗浄装置は、洗浄液を放射状に噴射する噴流管を備えることが好ましい。このように構成すると、噴流管の数を減らしても洗浄槽内に液流を発生させることが可能となる。したがって、洗浄槽内の超音波の伝達がさらに阻害されにくくなる。
【0016】
本発明の洗浄槽は、洗浄槽内に配置され洗浄液を噴射するシャワーヘッドを備える洗浄装置に用いることができる。この洗浄装置では、洗浄液の表面に浮かぶ塵埃が曲面部や傾斜部に沿って洗浄槽から流出しやすくなるため、洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能となる。また、シャワーヘッドから噴射される洗浄液によって、洗浄槽の上端側に形成される流出部に向かう液流を洗浄槽内に発生させることができる。そのため、洗浄槽内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽内の塵埃を流出部から効率的に流出させることが可能となる。
【0017】
本発明において、洗浄装置は、2個のシャワーヘッドを備え、シャワーヘッドは、洗浄液を噴射するための複数の噴射孔が形成されるシャワー面を備え、2個のシャワーヘッドは、シャワー面が互いに対向するように配置されていることが好ましい。このように構成すると、洗浄槽内の塵埃をさらに効率的に流出部から流出させることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の洗浄槽および洗浄装置では、洗浄槽から引き上げられる被洗浄物への塵埃の再付着を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(洗浄装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる洗浄装置1の概略構成を説明するための概略図である。
【0021】
本形態の洗浄装置1は、電子部品、金属部品、プリント配線基板あるいはガラス基板等の各種の被洗浄物(ワーク)2を洗浄処理するための装置である。この洗浄装置1は、図1に示すように、ワーク2を洗浄液に浸漬するための洗浄槽3を下端側に有する本体部4と、本体部4の中へ洗浄液の蒸気を供給するための蒸気発生槽5と、本体部4の上端側に取り付けられ洗浄液の蒸気を冷却して液化させるための冷却器6と、冷却器6で液化された洗浄液を回収して水を分離するための水分離槽7と、ワーク2を保持するワーク保持治具8と、洗浄槽3に洗浄液を供給する洗浄液供給部9と、洗浄槽3から排出される洗浄液が流れ込む後述のオーバーフロー槽12から洗浄液供給部9まで洗浄液を循環させるための循環経路10とを備えている。
【0022】
本形態の洗浄装置1では、洗浄槽3が配置される領域は、ワーク2を洗浄液に浸漬して洗浄する液体洗浄領域となっている。また、本体部4内に形成される後述の蒸気洗浄空間14は、ワーク2の蒸気洗浄を行う蒸気洗浄領域となっている。さらに、蒸気洗浄空間14の上方の、冷却器6が配置される領域は、ワーク2を冷却乾燥する冷却領域となっている。
【0023】
洗浄装置1で使用される洗浄液は、たとえば、HFEやHFC(ハイドロフルオロカーボン)等のフッ素系洗浄剤、臭素系洗浄剤、炭化水素系洗浄剤等の非水系洗浄剤、または、水系洗浄剤、あるいは、準水系洗浄剤である。
【0024】
本体部4は、上述の洗浄槽3に加え、洗浄槽3の周囲に配置され洗浄槽3から溢れ出した洗浄液が流れ込むオーバーフロー槽12と、洗浄槽3の底面側に配置される超音波振動子13とを備えている。また、本体部4では、蒸気発生槽5で蒸気化された洗浄液を用いてワーク2を蒸気洗浄するための蒸気洗浄空間14が洗浄槽3の上方に形成されている。本形態では、超音波振動子13は、洗浄槽3に浸漬されたワーク2を超音波を用いて洗浄するための超音波発生素子となっている。
【0025】
洗浄槽3は、洗浄液で満たされている。この洗浄槽3の詳細な構成については後述する。
【0026】
蒸気発生槽5の内部には、洗浄液を温めて気化させるためのヒータ16が配置されている。蒸気発生槽5の上端は、蒸気洗浄空間14に接続されており、ヒータ16によって気化された洗浄液は、蒸気洗浄空間14に供給される。また、図1に示すように、蒸気発生槽5には、冷却器6により液化され、水分離槽7経由でオーバーフロー槽12に供給された蒸留液分の洗浄液が補充される。
【0027】
冷却器6は、たとえば、ペルチェ素子であり、本体部4の上端側の周囲を囲むように配置されている。この冷却器6は、洗浄槽3の、蒸気洗浄空間14の上端側の内壁を冷却する。そのため、蒸気洗浄空間14内の洗浄液の蒸気は、冷却器6によって冷却され液化されて蒸気洗浄空間14の上端側の内壁につく。本形態の洗浄装置1では、蒸気洗浄空間14の上端側の内壁についた液体状の洗浄液は、内壁に沿って流れ落ち、回収用の樋で回収され、所定の配管を経由して、水分離槽7に流れ込む。
【0028】
また、冷却器6が蒸気洗浄空間14の上端側の内壁を冷却するため、蒸気洗浄空間14は上側に行くほど蒸気密度が下がる。したがって、後述のように、蒸気洗浄が行われた後のワーク2が冷却器6の内周位置まで上昇すると、蒸気密度の低い領域に入るため、蒸気洗浄によりワーク2に与えられた蒸発潜熱分の熱カロリーを吸収することで、結果としてワーク2が乾燥することになる。すなわち、冷却器6は、洗浄液の蒸気を冷却して液化させる機能に加え、ワーク2を乾燥させる機能を果たしている。
【0029】
なお、冷却器6は、本体部4の上端部近傍の空気も冷却するため、内壁が飽和水蒸気圧温度以下になると空気中に含まれる水分も内壁に結露する。結露して内壁に付着した水滴は、洗浄液と同様に内壁に沿って流れ落ち、回収用の樋で回収され、所定の配管を経由して、水分離槽7に流れ込む。
【0030】
水分離槽7の内部には、水分離槽7の底面との間に所定の隙間をあけた状態で、かつ、上端が水分離槽7の液面よりも上側へ突出するように仕切壁17が配置されている。この水分離槽7は、水の比重に対して洗浄液の比重が大きいことを利用して、水と洗浄液とを分離する。
【0031】
ワーク保持治具8は、図示を省略する昇降機構に連結されている。そのため、ワーク保持治具8に保持されたワーク2は、洗浄槽3に対して出し入れ可能となっている。
【0032】
洗浄液供給部9は、ワーク2に向かって洗浄液を噴射する2個のシャワーヘッド20を備えている。2個のシャワーヘッド20は、洗浄槽3の内部に配置されている。また、2個のシャワーヘッド20は、洗浄液を噴射するための複数の噴射孔(図示省略)が形成されたシャワー面20aが互いに対向するように配置されている。具体的には、平面状に形成された2個のシャワー面20aが所定の間隔をあけた状態で互いに平行となるように、2個のシャワーヘッド20が配置されている。シャワーヘッド20は、所定の配管部材、継手および分岐管を介して循環経路10に接続されている。洗浄液供給部9は、図示を省略する昇降機構に連結されており、シャワーヘッド20は洗浄槽3の下端側から上端側まで移動可能となっている。
【0033】
循環経路10の一端側は、洗浄槽3の底面およびオーバーフロー槽12の底面に接続され、循環経路10の他端側は、洗浄液供給部9に接続されている。この循環経路10は、主として配管部材21で構成されるとともに、オーバーフロー槽12から排出される洗浄液を洗浄液供給部9に向かって送るポンプ22や、オーバーフロー槽12から排出される洗浄液をろ過して洗浄液に含まれる塵埃等の不純物を取り除くフィルター23、24等を備えている。
【0034】
以上のように構成された洗浄装置1では、たとえば、以下のように、ワーク2の洗浄が行われる。まず、ワーク2を保持したワーク保持治具8を下降させて、洗浄液中に配置されたシャワーヘッド20から洗浄液が噴射され洗浄液で満たされた洗浄槽3の中にワーク2を浸漬する。その後、超音波振動子13を用いてワーク2の超音波洗浄を行う。
【0035】
洗浄槽3内でのワーク2の洗浄が終わると、ワーク保持治具8を上昇させ、ワーク2を洗浄槽3から引き上げて、蒸気洗浄空間14に配置する。この状態で、蒸気発生槽5から供給される蒸気化された洗浄液によって、ワーク2の蒸気洗浄を行う。蒸気洗浄空間14でのワーク2の蒸気洗浄が終わると、さらに、ワーク保持治具8を上昇させ、冷却器6の内周側にワーク2を配置してワーク2を乾燥させる。ワーク2の乾燥が終わるとワーク2の洗浄が完了する。
【0036】
なお、ワーク2の洗浄時には、シャワーヘッド20から洗浄槽3内に洗浄液が供給され、洗浄槽3からオーバーフロー槽12に向かって洗浄液が流出する。また、オーバーフロー槽12に流出した洗浄液は、さらにオーバーフロー槽12から排出され、循環経路10を通過してシャワーヘッド20に供給される。
【0037】
(洗浄槽の構成)
図2は、図1に示す洗浄槽3の構成を説明するための概略側面図である。図3は、図1に示す洗浄槽3の構成を説明するための概略平面図である。図4は、図2のE−E方向からのF部の拡大図である。
【0038】
本形態の洗浄槽3は、図2、図3に示すように、直方体の箱状に形成されている。この洗浄槽3は、洗浄槽3の底面を構成する底面板26と、洗浄槽3の外周面を構成する側面部としての4枚の側面板27と、2枚の側面板27の内側に配置され洗浄槽3の内周面の一部を構成する内壁部材28とを備えている。ワーク2の洗浄時には、洗浄槽3の上端側からオーバーフロー槽12へ洗浄液が流出する。すなわち、本形態の洗浄槽3の上端側は、洗浄液が流出する流出部30となっている。
【0039】
底面板26および4枚の側面板27はたとえば、平板状のステンレス鋼板で形成されている。4枚の側面板27の上端は、図4に示すように、三角形状の窪み27aを有する凹凸状に形成されており、窪み27aを通過して洗浄槽3からオーバーフロー槽12に向かって洗浄液が流出する。すなわち、側面板27の上端側は流出部30の一部となっている。
【0040】
内壁部材28はたとえば、曲げ加工された薄いステンレス鋼板で形成されている。本形態の内壁部材28は、図2に示すように、洗浄槽3の長手方向(図2の紙面垂直方向、図3の上下方向)に平行に配置される側面板27に対して略平行に配置される平板状の平板部28aと、平板部28aの下端につながる傾斜部28bと、平板部28aの上端につながる曲面部28cとから構成されている。傾斜部28bは、平板状に形成されるとともに、洗浄槽3の下端に向かうにしたがって外周側(図2の左右方向外側)に向かって広がるように傾斜している。なお、傾斜部28bが設けられずに、平板部28aが内壁部材28の下端まで形成されても良い。
【0041】
上述のように、曲面部28cは、平板部28aの上端につながっている。すなわち、本形態では、曲面部28cは、内壁部材28の上端側に形成されている。この曲面部28cは、洗浄槽3の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成されている。具体的には、曲面部28cは、上方向に向かって膨らむ凸面からなる曲面状に形成されている。また、本形態の曲面部28cは、略1/4円弧状に形成されており、曲面部28cの上端に接する接線の方向は略水平となっている。
【0042】
内壁部材28は、図2、図3に示すように、洗浄槽3の長手方向と平行に配置される側面板27の内側に配置されている。具体的には、傾斜部28bの下端が側面板27の下端側に当接し、曲面部28cの上端が側面板27の上端側に当接するように、内壁部材28が側面板27の内側に配置されている。本形態では、たとえば2本の固定用の軸31によって、2個の内壁部材28が側面板27の内側に着脱可能に固定されている。具体的には、軸31の両端に形成される小径部31aを平板部28aに形成された孔(図示省略)に挿入するとともに、平板部28aを若干弾性変形させた状態で側面板27の内側に押し付けて配置することで、2個の内壁部材28が側面板27の内側に密着固定される。
【0043】
なお、平板部28aを若干弾性変形させた状態で側面板27の内側に配置することで、2個の内壁部材28が側面板27の内側に固定されているため、傾斜部28bの下端は側面板27の下端側にしっかりと当接し、曲面部28cの上端は側面板27の上端側にしっかりと当接している。そのため、内壁部材28と側面板27との間に形成される空間32には、洗浄液の流れがほとんど発生しない。
【0044】
側面板27の内側に内壁部材28が配置された状態では、図4に示すように、曲面部28cの上端が窪み27aの下端よりもわずかに下側に配置されている。本形態では、曲面部28cは、流出部30の一部となっている。なお、曲面部28cの上端は、窪み27aの下端とほぼ同じ位置に配置されても良いし、窪み27aの下端よりも上側に配置されても良い。ただし、使用される洗浄液の表面張力が大きい場合には、曲面部28cの上端は、窪み27aの下端とほぼ同じ位置か、あるいは、窪み27aの下端よりも下側に配置されることが好ましい。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、洗浄槽3の上端側に形成される流出部30が曲面部28cを備えている。そのため、ワーク2の洗浄後に洗浄液の表面に浮かぶ塵埃を、曲面部28cに沿って洗浄槽3からオーバーフロー槽12へ流出させやすくなる。したがって、本形態では、HFEのような表面張力の小さな溶剤が洗浄液として使用されたとしても洗浄槽3内の塵埃の除去効率を高めることができ、洗浄槽3から引き上げられるワーク2への塵埃の再付着を抑制することができる。
【0046】
特に、本形態では、曲面部28cは、凸面からなる曲面状に形成されている。また、本形態では、曲面部28cの上端に接する接線の方向が略水平となっている。そのため、曲面部28cに沿ってより効率的に塵埃を流出させることが可能となる。したがって、洗浄槽3から引き上げられるワーク2への塵埃の再付着をより効果的に抑制することができる。
【0047】
本形態では、曲面部28cは、側面板27の内側に着脱可能に配置される内壁部材28の上端側に形成されている。したがって、超音波振動子13を洗浄槽3の底面側に配置させるため、洗浄槽3が大型化し、洗浄槽3の容積が大きくなる場合であっても、内壁部材28を用いることで、洗浄槽3内の有効容積(液循環する容積)を減少させることができる。その結果、洗浄槽3内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽3内の塵埃を流出部30から効率良く流出させることが可能となる。
【0048】
本形態では、洗浄槽3内に洗浄液を噴射するシャワーヘッド20が配置されている。そのため、シャワーヘッド20から噴射される洗浄液によって、流出部30に向かう液流を洗浄槽3内に発生させることができる。したがって、洗浄槽3内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽3内の塵埃を流出部から効率的に流出させることができる。特に、本形態では、2個のシャワーヘッド20は、シャワー面20aが互いに対向するように配置されている。そのため、洗浄槽3内の塵埃をさらに効率的に流出部30から流出させることができる。
【0049】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2にかかる洗浄装置1の概略構成を説明するための概略図である。図6は、本発明の実施の形態2にかかる洗浄装置1の変形例を説明するための概略図である。
【0050】
実施の形態1では、洗浄槽3に洗浄液を供給する洗浄液供給部9が2個のシャワーヘッド20を備え、シャワーヘッド20が洗浄液を噴射している。これに対して、実施の形態2では、図5に示すように、2個のシャワーヘッド20に代えて、洗浄液を噴射する噴流管40が設けられており、この点が実施の形態1と実施の形態2との相違点となっている。そのため、以下ではこの相違点を中心に実施の形態2にかかる洗浄装置1の構成を説明する。なお、図5および図6では、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付している。
【0051】
上述にように、本形態の洗浄装置1は噴流管40を備えている。具体的には、洗浄装置1は1本の噴流管40を備えている。噴流管40は、金属あるいは樹脂で形成されるとともに円筒状に形成された配管部材である。この噴流管40は、洗浄槽3の底面側に配置されている。具体的には、噴流管40は、図5に示すように、洗浄槽3の底面側であってかつ超音波振動子13よりも上側に配置されている。
【0052】
噴流管40には、洗浄液を噴射する複数の噴射孔(図示省略)が形成されている。具体的には、複数の噴射孔が軸方向に配列されるように形成されるとともに、複数の噴射孔が放射状に形成されており、噴流管40は、洗浄液を放射状に噴射する。なお、噴射孔は、噴流管40の円周方向の全域(全周)にわたって形成されても良いし、噴流管40の円周方向の所定範囲のみに形成されても良い。噴流管40の円周方向の所定範囲のみに噴射孔が形成される場合には、たとえば、噴射孔が形成された部分が上側を向くように、噴流管40が洗浄槽3内に配置される。
【0053】
以上のように構成された本形態の洗浄装置1でも実施の形態1の洗浄装置1と同様の効果を得ることができる。また、本形態では、洗浄槽3の底面側に洗浄液を噴射する噴流管40が配置されているため、噴流管40から噴射される洗浄液によって、洗浄槽3の上端側に形成される流出部30へ向かう液流を洗浄槽3内に発生させることができる。したがって、洗浄槽3内の洗浄液の循環効率を高めることができ、洗浄槽3内の塵埃を流出部30から効率的に流出させることが可能になる。
【0054】
また、本形態では、洗浄槽3の底面側に配置されるのが噴流管40である。したがって、底面側に配置される超音波振動子13を用いて超音波洗浄を行う場合であっても、噴流管40の容積がわずかであるため、洗浄液3内の超音波の伝達は阻害されにくくなる。その結果、本形態では、洗浄槽3内から塵埃を効率的に除去するために洗浄槽3内に液流を発生させても、ワーク2の超音波洗浄を行うことができる。
【0055】
本形態では、噴流管40は、洗浄液を放射状に噴射する。そのため、1本のみの噴流管40が洗浄槽3内に配置される場合であっても、洗浄槽3内に適切な液流を発生させることができる。したがって、本形態では、洗浄槽3内に適切な液流を発生させつつ、洗浄槽3内の超音波の伝達が阻害されるのを抑制することができる。
【0056】
なお、洗浄槽3の底面側に配置される噴流管40の数は1本には限定されず2本以上であっても良い。たとえば、洗浄槽3の底面側に配置される噴流管40の数は、図6(A)に示すように2本であっても良いし、図6(B)に示すように3本であっても良い。噴流管40の数が2本である場合には、たとえば、図6(A)に示すように、噴流管40は、内壁部材28の近傍に配置される。また、噴流管40の数が3本である場合には、たとえば、図6(B)に示すように、2本の噴流管40が内壁部材28の近傍に配置され、残りの1本の噴流管40が内壁部材28の近傍に配置される2本の噴流管40の間に配置される。なお、この場合には、噴流管40の円周方向の1箇所のみに噴射孔が形成されても良いし、噴流管40の円周方向の所定範囲に噴射孔が形成されても良い。
【0057】
[塵埃の除去効果について]
図7は、本発明の実施の形態1にかかる洗浄装置1および実施の形態2にかかる洗浄装置1における塵埃の除去効果を説明するための実験データを示すグラフであり、(A)は実施の形態1にかかる洗浄装置1での実験データを示すグラフ、(B)は実施の形態2にかかる洗浄装置1での実験データを示すグラフである。図8は、実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置1における塵埃の除去効果を説明するための実験データを示すグラフであり、(A)は実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置1での実験データを示すグラフ、(B)は比較例にかかる洗浄装置での実験データを示すグラフである。図9は、図8(B)に示す比較例の実験条件を説明するための概略図である。
【0058】
実施の形態1にかかる洗浄装置1、実施の形態2にかかる洗浄装置1および実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置1における洗浄槽3からの塵埃の除去効果を実験データに基づいて以下に説明する。
【0059】
実施の形態1の洗浄装置1、実施の形態2の洗浄装置1(以下、「実施の形態2−1の洗浄装置1」とする。)、図6(A)に示す実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置1(以下、「実施の形態2−2の洗浄装置1」とする。)および図9に示す構成を有する比較例の洗浄装置を用いたときの洗浄槽3内に残存する塵埃の単位容積当たりの粒子数の経時変化を測定した。なお、比較例の洗浄装置は、図9に示すように、洗浄槽3の内部に2個の内壁部材28が配置されていない点を除けば、実施の形態1の洗浄装置1と同様に構成されている。
【0060】
測定に用いた実施の形態1の洗浄装置1および比較例の洗浄装置では、2個のシャワーヘッド20のシャワー面20a間の距離を約40mmとした。また、測定に用いた実施の形態2−1の洗浄装置1では、噴流管40に形成される噴射孔の径を2.5mmとし、噴射孔のピッチ(軸方向の配列ピッチ)を25mmとするとともに、噴射孔の開き角度α(図5参照)を50°とした。さらに、測定に用いた実施の形態2−2の洗浄装置1では、噴流管40に形成される噴射孔の径を2.5mmとし、噴射孔のピッチを50mmとするとともに、噴射角度β(図6(A)参照)を約30°とした。なお、本測定で用いた塵埃は、粒径が0.3μmから5μmの範囲である粉末がランダムに混ざった白色粉末(JISZ8901白色アルミナNo.1相当品)である。
【0061】
また、洗浄槽3内に残存する塵埃の粒子数の経時変化の測定は、以下の条件で行った。まず、洗浄液としてHFE−7100を使用した。また、測定時の洗浄液の温度は、30℃とした。また、フィルター23の定格ろ過精度を1μmとし、フィルター24の定格ろ過精度を0.1μmとした。また、ポンプ22による洗浄液の循環液量は、実施の形態1の洗浄装置1および比較例の洗浄装置では約10.5L/minとし、実施の形態2−1の洗浄装置1では約11.2L/minとし、実施の形態2−2の洗浄装置1では約10.8L/minとした。なお、フィルター23、24として、活性アルミナフィルタを使用した。また、塵埃の粒子数の測定には、下記のパーティクルセンサ、パーティクルカウンタおよびサンプラを有するRION社製の計測器を使用した。
(1)パーティクルセンサ:KS−28
(2)パーティクルカウンタ:KL−11
(3)サンプラ:KZ−30W
【0062】
また、洗浄槽3内に残存する塵埃の粒子数の経時変化の測定は、以下の手順で行った。すなわち、まず、ポンプ22を一定時間運転して、洗浄槽3内の洗浄液中の0.5μm以上の塵埃の粒子数が10以下になるようにした。その後、ポンプ22を停止して、洗浄槽3内の洗浄液の塵埃濃度が所定濃度(たとえば、1ppm)となるように塵埃(上述の白色粉末)の入った液を洗浄槽3に投入し、洗浄槽3内の洗浄液を攪拌して、洗浄液内の塵埃の濃度を均一にした。その後、ポンプ22を停止した状態で塵埃の粒子数の初期値(BM)を計測してから、ポンプ22を運転して、所定時間経過ごとに、洗浄槽3内の洗浄液中の塵埃の粒子数を計測した。なお、塵埃の粒子数の初期値の計測および所定時間経過ごとの塵埃の粒子数の計測は、測定粒径を0.5μm以上に設定した上記の計測機を用いて、洗浄槽3の上部から10mLの洗浄液を採取して行った。また、各計測の前には、計測器の中を洗浄して計測器内の塵埃を除去するパージ処理を15mlの清浄な洗浄液を用いて2回行った。
【0063】
以上の条件の下で、実験を行った結果を図7、図8に示す。比較例の洗浄装置では、図8(B)に示すように、測定を開始してから(シャワーヘッド20による洗浄液の噴射を開始してから)30秒で、測定開始前の洗浄槽内に存在した塵埃の約65%の塵埃が洗浄槽から除去された。また、実施の形態1の洗浄装置1では、図7(A)に示すように、測定を開始してから30秒で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約90%の塵埃が洗浄槽3から除去された。さらに、実施の形態2−1の洗浄装置1では、図7(B)に示すように、測定を開始してから(噴流管40による洗浄液の噴射を開始してから)30秒で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約68%の塵埃が洗浄槽3から除去された。また、実施の形態2−2の洗浄装置1では、図8(A)に示すように、測定を開始してから30秒で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約71%の塵埃が洗浄槽3から除去された。
【0064】
このように、洗浄槽3内に内壁部材28が配置され、流出部30が曲面部28cを備えていると、比較例の洗浄装置に比べて、測定開始から30秒経過後の塵埃の除去率が高くなっている。すなわち、この実験結果から、洗浄槽3内に内壁部材28が配置され、流出部30が曲面部28cを備えていると、短時間で多くの塵埃を洗浄槽3から流出させることができ、洗浄槽3内の塵埃の除去効率が上がることがわかる。
【0065】
また、シャワー面20aが対向するように洗浄槽3内に配置された2個のシャワーヘッド20を備える実施の形態1の洗浄装置1では、測定開始から30秒経過後の塵埃の除去率が他の洗浄装置に比べ大幅に高いことがわかる。すなわち、流出部30が曲面部28cを備え、かつ、シャワー面20aが対向するように洗浄槽3内に2個のシャワーヘッド20が配置されていると、短時間でさらに多くの塵埃を洗浄槽3から流出させることができ、洗浄槽3内の塵埃の除去効率が大幅に上がることがわかる。
【0066】
なお、比較例の洗浄装置では、図8(B)に示すように、測定を開始してから3分で、測定開始前の洗浄槽内に存在した塵埃の約97%の塵埃が洗浄槽から除去された。また、実施の形態1の洗浄装置1では、図7(A)に示すように、測定を開始してから3分で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約99%の塵埃が洗浄槽3から除去された。さらに、実施の形態2−1の洗浄装置1では、図7(B)に示すように、測定を開始してから3分で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約95%の塵埃が洗浄槽3から除去され、実施の形態2−2の洗浄装置1では、図8(A)に示すように、測定を開始してから3分で、測定開始前の洗浄槽3内に存在した塵埃の約97%の塵埃が洗浄槽3から除去された。以上から、流出部30が曲面部28cを備え、かつ、シャワー面20aが対向するように洗浄槽3内に2個のシャワーヘッド20が配置されていると、洗浄槽3内の塵埃の除去率が上がることがわかる。
【0067】
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0068】
上述した形態では、内壁部材28の上端側に曲面部28cが形成されており、曲面部28cは、流出部30の一部となっている。この他にもたとえば、曲面部28cに代えて、内壁部材28の上端側に(具体的には、平板部28aの上端につながるように)、洗浄槽3の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように傾斜する平面状の傾斜部が形成されても良い。すなわち、この傾斜部が流出部30の一部となっても良い。また、この傾斜部と曲面部28cとの両者が内壁部材28の上端側に形成され、この両者が流出部30の一部となっても良い。これらの場合であっても上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0069】
上述した形態では、曲面部28cは、略1/4円弧状に形成されているが、曲面部28cは、略1/4円弧状以外の他の形状の曲面状に形成されても良い。また、上述した形態では、曲面部28cの上端に接する接線の方向が略水平となるように曲面部28cが形成されているが、曲面部28cの上端に接する接線の方向が水平方向に対して傾くように曲面部28cが形成されても良い。
【0070】
上述した形態では、側面板27の内側に内壁部材28が配置され、内壁部材28の上端側に曲面部28cが形成されている。この他にもたとえば、図10に示す洗浄槽3のように、側面板27の内側に内壁部材28が配置されずに、側面板27の上端側に、洗浄槽3の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状の曲面部27cが形成されても良い。この場合には、超音波振動子13は、洗浄槽3内に配置されても良いし、図10に示すように、洗浄槽3の外部に(具体的には底面板26の下面に接触するように)配置されても良い。
【0071】
上述した形態では、内壁部材28は、図3に示すように、洗浄槽3の長手方向と平行に配置される側面板27の内側に配置されている。この他にもたとえば、洗浄槽3の長手方向と平行に配置される側面板27の内側に配置される内壁部材28に加え、あるいは、この内壁部材28に代えて、洗浄槽3の短手方向(図3の左右方向)と平行に配置される側面板27の内側に内壁部材28が配置されても良い。
【0072】
上述した形態では、洗浄槽3は、直方体の箱状に形成されている。この他にもたとえば、洗浄槽は、有底の円筒状に形成されても良い。この場合には、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成される曲面部、および/または、洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように傾斜する傾斜部を上端側に有する円環状の内壁部材が円筒状の洗浄槽の内周面の内側に配置される。あるいは、洗浄槽の外周面を構成する円筒状の側面部の上端側に上述の曲面部や傾斜部が形成される。
【0073】
上述した形態では、内壁部材28の平板部28aは、洗浄槽3の長手方向に平行に配置される側面板27に対して略平行に配置されている。この他にもたとえば、平板部28aは、側面板27に対して傾斜するように配置されても良い。また、内壁部材28は、平板部28aに代えて、曲面状に形成された曲面部を備えていても良い。
【0074】
上述した形態では、本体部4は、1個の洗浄槽3を備えている。この他にもたとえば、本体部4は、荒洗浄槽、仕上洗浄槽等の複数の洗浄層を備えていても良い。
【0075】
上述した形態では、洗浄液供給部9は、ワーク2に向かって洗浄液を噴射する2個のシャワーヘッド20を備えている。この他にもたとえば、洗浄液供給部9が備えるシャワーヘッドの数は、1個でも良いし、3個以上であっても良い。たとえば、図11に示す1個のシャワーヘッド50を洗浄液供給部9が備えていても良い。このシャワーヘッド50は、矩形の環状に形成されており、洗浄液を噴射するための複数の噴射孔(図示省略)が内周側に形成されている。また、この場合には、シャワーヘッド50の内径にワーク2が配置され、シャワーヘッド50の内径側へ向かって洗浄液が噴射される。
【0076】
上述した形態では、シャワーヘッド20のシャワー面20aは、上下方向に平行な平面状に形成されており、上下方向に直交する水平方向へ洗浄液を噴射する。この他にもたとえば、図12に示すシャワーヘッド70のように、シャワー面70aは、上下方向に平行な第1シャワー面70bと、第1シャワー面70bに対して傾斜する第2シャワー面70cとから構成されても良い。この場合、第2シャワー面70cは、たとえば、下方向に向かうにしたがって互いに近づく方向に傾斜している。また、このシャワーヘッド70では、水平方向に対して傾斜する方向(具体的には、斜め上方)および水平方向に洗浄液が噴射される。そのため、流出部30に向かう液流を洗浄槽3内に発生させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための概略図である。
【図2】図1に示す洗浄槽の構成を説明するための概略側面図である。
【図3】図1に示す洗浄槽の構成を説明するための概略平面図である。
【図4】図2のE−E方向からF部を拡大して示す拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための概略図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる洗浄装置の変形例を説明するための概略図である。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる洗浄装置および実施の形態2にかかる洗浄装置における塵埃の除去効果を説明するための実験データを示すグラフであり、(A)は実施の形態1にかかる洗浄装置での実験データを示すグラフ、(B)は実施の形態2にかかる洗浄装置での実験データを示すグラフである。
【図8】実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置における塵埃の除去効果を説明するための実験データを示すグラフであり、(A)は実施の形態2の変形例にかかる洗浄装置での実験データを示すグラフ、(B)は比較例にかかる洗浄装置での実験データを示すグラフである。
【図9】図8(B)に示す比較例の実験条件を説明するための概略図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための概略図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかるシャワーヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかるシャワーヘッドの概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 洗浄装置
2 ワーク(被洗浄物)
3 洗浄槽
13 超音波振動子
20、50、70 シャワーヘッド
20a シャワー面
27 側面板(側面部)
27c 曲面部
28 内壁部材
28c 曲面部
30 流出部
40 噴流管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄するための洗浄槽において、
前記被洗浄物が浸漬される洗浄液が流出する流出部を上端側に備え、
前記流出部は、前記洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように変形する曲面状に形成される曲面部、および/または、前記洗浄槽の上端に向かうにしたがって外周側に向かって広がるように傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする洗浄槽。
【請求項2】
前記曲面部は、凸面からなる曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄槽。
【請求項3】
前記曲面部の上端に接する接線の方向は略水平であることを特徴とする請求項1または2記載の洗浄槽。
【請求項4】
前記洗浄槽の外周面を構成する側面部と、前記側面部の内側に着脱可能に配置され前記洗浄槽の内周面を構成する内壁部材とを備え、
前記曲面部および/または前記傾斜部は、前記内壁部材の上端側に形成されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の洗浄槽。
【請求項5】
前記洗浄液は、非水系洗浄剤、水系洗浄剤あるいは準水系洗浄剤のいずれかであることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の洗浄槽。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の洗浄槽と、前記洗浄槽の底面に配置される超音波振動子と、前記洗浄槽の底面側に配置され前記洗浄液を噴射する噴流管とを備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄液を放射状に噴射する前記噴流管を備えることを特徴とする請求項6記載の洗浄装置。
【請求項8】
請求項1から5いずれかに記載の洗浄槽と、前記洗浄槽内に配置され前記洗浄液を噴射するシャワーヘッドとを備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項9】
2個の前記シャワーヘッドを備え、
前記シャワーヘッドは、洗浄液を噴射するための複数の噴射孔が形成されるシャワー面を備え、
2個の前記シャワーヘッドは、前記シャワー面が互いに対向するように配置されていることを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−208064(P2009−208064A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204579(P2008−204579)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】