説明

洗浄装置及び洗浄方法

【課題】 被洗浄物の埃や水分を有機溶剤で洗浄した際に、被洗浄物に付着した有機溶剤を取り除く有機洗浄において、有機洗浄剤の洗浄力が低下することを防止できる洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】 洗浄槽2において被洗浄物12が洗浄された際に被洗浄物12に付着した第1の有機溶剤15は、洗浄槽3において第2の有機溶剤16により除去される。洗浄槽3は、分離槽4と送液管5及び6により連通されており、洗浄槽3から分離槽4に第1の有機溶剤15が混合した第2の有機溶剤16が送られるとともに、分離槽4から洗浄槽3に第1の有機溶剤15が分離された第2の有機溶剤16が導入される。分離槽4では、洗浄槽3から導入された第2の有機溶剤16に、第2の有機溶剤16に比べて第1の有機溶剤15との親和性に優れる薬液17が添加され、第2の有機溶剤16から第1の有機溶剤15が分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや光学部品、電子部品、精密機械部品等の洗浄を行う洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD等の半導体集積回路の組立工程では、シリコン基板上に形成され、チップに分割された素子(以下、半導体チップという。)が、樹脂やセラミックス等のパッケージに封止される。このとき、半導体チップはパッケージを構成する台座に接着され、当該半導体チップ上の端子とパッケージの端子とが金線により電気的に接続される。
【0003】
特に、半導体チップがCCDのような撮像素子である場合、パッケージの一部が、撮像素子に光を導入するための硝子板等の透光性部材により構成されており、上記金線による結線が完了した後に当該透光性部材が接着され、撮像素子のパッケージ封止が完了する。
【0004】
このとき、撮像素子上に埃が存在すると、撮像素子への入射光が埃により遮断されるため、撮像素子は正確な光電変換を行うことができなくなる。また、パッケージ材料が大気中の水分を吸収している場合、撮像素子をパッケージ封止した後に、撮像素子の表面や透光性部材のパッケージ内面側に結露が生じることがある。この場合も、撮像素子への入射光は水滴により散乱されるため、正確な光電変換ができなくなる。
【0005】
当然のことながら、透光性部材が接着され、撮像素子がパッケージ封止された後では、パッケージ内の埃や水分を除去することはできない。このため、通常、前記透光性部材を接着して撮像素子を完全に封止する直前に、洗浄や乾燥によって埃と水分が除去されている(いわゆる、水切り洗浄)。
【0006】
この種の洗浄を行う水切り洗浄装置では、被洗浄物を洗浄剤が収容された洗浄槽に浸漬したり、洗浄槽を加熱することにより発生させた蒸気に被洗浄物を接触させたりすることにより水切り洗浄が実施される。しかしながら、被洗浄物に接触した洗浄剤は水分を含有するため、当該洗浄剤が洗浄槽に混入すると、洗浄槽内の洗浄剤の濃度が低下し、洗浄力が低下してしまう。このような洗浄力の低下を避けるため、例えば、被洗浄物に接触した洗浄剤を洗浄槽に混入させることなく廃棄する手法や、水と洗浄剤との比重差を利用して洗浄剤中に混入した水分を分離して水分のみを廃棄する手法、あるいは、被洗浄物を洗浄槽へ搬送する搬送手段の駆動回数を計数することで洗浄剤の濃度低下を予測し、前記計数値が設定値に達したときに洗浄剤を廃棄して新たな洗浄剤を供給する手法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開平11−351747号公報
【特許文献2】特開2000−70605号公報
【特許文献3】特開昭62−45127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の水切り洗浄では、被洗浄物から埃や水分を除去するためにイソプロピルアルコール(Iso Propyl Alcohol:以下、IPAという)等の有機溶剤が使用されるが、このような洗浄が実施された被洗浄物の表面にはIPAが付着残留する。このように被洗浄物の表面に残留したIPAを除去するために、IPAにより洗浄された被洗浄物を他の有機溶剤を洗浄剤として洗浄することも行われている。このとき、被洗浄物に接触した洗浄剤にはIPAが含有されているため、当該被洗浄物に接触した洗浄剤が、洗浄剤が収容されている洗浄槽に混入すると、上述した水が混入した洗浄剤と同様に、洗浄剤の洗浄力が低下してしまう。
【0008】
このように有機溶剤を除去する洗浄剤として有機溶剤が使用される場合であっても、上記従来の被洗浄物に接触した洗浄剤を廃棄する手法や、洗浄槽内の洗浄剤が一定の濃度以下となった場合に洗浄剤を交換する手法を適用することにより、洗浄力の低下を回避することは可能である。しかしながら、これらの手法では、洗浄剤のコストがかさむ上、洗浄剤の交換作業中は洗浄装置を稼動することができないため、洗浄工程のスループットが低下する。したがって、これらの手法は、洗浄工程のコストを増大させてしまう。
【0009】
また、洗浄剤中の水分のみを水分離機等で分離し、洗浄剤の濃度低下を回避する手法は、水分離機では水以外を洗浄剤から分離することはできない。このため、有機溶剤を除去するための洗浄剤に混入したIPAを分離することができず、洗浄剤の洗浄力は低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、被洗浄物の埃や水分を有機溶剤で洗浄した際に、前記被洗浄物に付着した有機溶剤を取り除く目的で行う洗浄において、洗浄剤の濃度を維持し、洗浄力の低下を防ぐことができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明に係る洗浄装置は、以下の技術的手段を採用している。まず、本発明に係る洗浄装置は、有機溶剤により被洗浄物の洗浄を行う洗浄装置を前提としている。そして、本発明に係る洗浄装置は、洗浄槽と分離槽とを備えている。洗浄槽には、前記第1の有機溶剤と混合可能な第2の有機溶剤が収容されており、第1の有機溶剤により洗浄された被洗浄物が導入される。また、分離槽では、前記第1の有機溶剤が混合した前記第2の有機溶剤に、前記第2の有機溶剤に比べて前記第1の有機溶剤との親和性に優れる薬液を添加することにより、前記第2の有機溶剤から前記第1の有機溶剤が分離される。
【0012】
さらに、洗浄槽と分離槽とは循環手段によって連結されており、当該循環手段は、洗浄槽から分離槽に第1の有機溶剤が混合した第2の有機溶剤を導入するとともに、分離槽から洗浄槽に第1の有機溶剤が分離された第2の有機溶剤を還流させる。
【0013】
このとき、上記薬液の比重と上記第2の有機溶剤の比重との差により、分離槽内の液体が、薬液と第1の有機溶剤との混合物を主成分とする液層と、第2の有機溶剤を主成分とする液層とに分離される構成であることが好ましい。また、上記分離槽は、上記薬液の添加に従って、薬液と第1の有機溶剤との混合物を主成分とする上記液層の液体を分離槽の外部に排出する排出手段を備えてもよい。
【0014】
また、上記洗浄槽は、第2の有機溶剤の蒸気を生成する手段を備え、被洗浄物に付着した第1の有機溶剤の除去は、第2の有機溶剤の蒸気雰囲気中に被洗浄物を位置させることにより実施することが好ましい。さらに、上記洗浄装置は、被洗浄物が第1の有機溶剤に浸漬される洗浄槽を備えてもよい。
【0015】
以上の構成は、例えば、上記第1の有機溶剤がアルコールであり、上記第2の有機溶剤がハイドロフルオロエーテルであり、上記薬液が水であるときに実現することができる。
【0016】
一方、他の観点では、本発明は上記構成を有する洗浄装置への適用に好適な洗浄方法を提供することができる。すなわち、本発明に係る洗浄方法は、第1の有機溶剤により被洗浄物を洗浄する工程と、第2の有機溶剤が収容された洗浄槽において、第2の有機溶剤により前記被洗浄物に付着した第1の有機溶剤を除去する工程を有し、以上の工程により、第2の有機溶剤に含有された第1の有機溶剤を、第2の有機溶剤に比べて第1の有機溶剤との親和性に優れる薬液を添加することにより、第2の有機溶剤から第1の有機溶剤を分離除去した後、当該第2の有機溶剤を洗浄槽に還流させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の有機溶剤により洗浄された被洗浄物に付着した第1の有機溶剤を、第2の有機溶剤を使用して洗浄する際に、第2の有機溶剤に混入する第1の有機溶剤を連続的に第2の有機溶剤から分離し、排出することで、第2の有機溶剤の濃度を維持し、洗浄力が低下することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る洗浄装置及び洗浄方法の一実施形態を、上述の撮像素子の洗浄工程に適用した事例に基づいて、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る洗浄装置の構成を示す概略構成図である。図2は、図1における洗浄槽2の拡大図であり、図3は、図1における蒸気洗浄槽3及び分離槽4の拡大図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の洗浄装置1は、洗浄槽2と蒸気洗浄槽3と分離槽4とを備える。ここで、洗浄槽2にはIPA15(第1の有機溶剤)が収容され、蒸気洗浄槽3及び分離槽4には、ハイドロフルオロエーテル16(第2の有機溶剤)が収容されている。ここで、ハイドロフルオロエーテル(Hydro Fluoro Ether:以下、HFEという。)とは、水素(H)、フッ素(F)、酸素(O)、及び、炭素(C)からなるエーテルである。例えば、化学式がC49OCH3(スリーエム製 HFE−7100等)や、C49OC25(スリーエム製 HFE−7200等)で示されるハイドロフルオロエーテルを使用することができる。
【0020】
また、蒸気洗浄槽3と分離槽4との間は、蒸気洗浄槽3の中間程度の高さで送液管5により連通され、また、蒸気洗浄槽3の底部近傍の高さで送液管6により連通されている。そして、蒸気洗浄槽3には、送液管5の上端以上の高さまでHFE16が収容され、分離槽4には、HFE16と後述する混合物18とが、送液管5の上端以上の高さまで収容されている。
【0021】
また、図1の事例では、送液管5は、送液管5内の液体を蒸気洗浄槽3から分離槽4の方向に送出するポンプ9を備えている。そして、当該ポンプ9を駆動することにより、蒸気洗浄槽3内のHFE16は、送液管5を通じて蒸気洗浄槽3から分離槽4に送り込まれ、分離槽4内のHFE16は、ポンプ9により分離槽4の上部に送り込まれたHFE16により、送液管6を通じて分離槽4から蒸気洗浄槽3に送出される。
【0022】
さて、図1に示すように、被洗浄物12はメッシュの籠状の洗浄用治具11に収納され、搬送装置10により洗浄装置1の内部を、洗浄槽2、蒸気洗浄槽3の順で搬送され各洗浄槽において洗浄が実施される。本実施形態では、洗浄槽2において、被洗浄物12に付着している埃や水分が除去され、蒸気洗浄槽3において、洗浄槽2での洗浄の際に被洗浄物12に付着した洗浄剤が除去される。
【0023】
搬送装置10は、例えば、洗浄槽2と蒸気洗浄槽3との上方を通過するように配設されたレールと、当該レールに沿って移動する自走装置(図示せず)とにより構成される。本実施形態では、自走装置がワイヤの巻取り装置を備えており、当該巻取り装置を正転、または逆転させることにより、ワイヤの先端に装着された洗浄用治具11を、各洗浄槽間を移動する際の移動位置と、各洗浄槽において洗浄が行われる洗浄位置とに渡って昇降できるように構成されている。
【0024】
図2に示すように、洗浄槽2は、その上部に、揮発したIPA15が洗浄槽2の外部に放散することを防止するとともに、洗浄槽2の外部から、例えば、蒸気洗浄槽3において生成されるHFE蒸気16a(後述する)等の不純物が進入することを防止する蓋21を備えている。当該蓋21は、搬送手段10が、洗浄用治具11を洗浄槽2に対して出し入れする際に、洗浄槽2の上部を閉塞状態とする閉位置(図2に破線で示す)から、例えば、洗浄槽2の側壁の上端を支点として中央部から両側方に開き、洗浄槽2の上部を開放状態とする開位置(図2に実線で示す)に自動的に移動するように構成される。また、蓋21が閉位置にある場合でも、洗浄槽2内で洗浄用治具11を昇降させることができるように、蓋21は、中央部に上記ワイヤが通過可能な開口を備えている。
【0025】
搬送装置10は、まず、被洗浄物12を収納した洗浄用治具11を上記移動位置(図2に実線で示す)に保持した状態で、洗浄槽2の上方まで搬送する。このとき、洗浄槽2の蓋21は開位置にある。
【0026】
被洗浄物12が洗浄槽2の上方に到達すると、蓋21が開位置に移動するとともに、搬送装置10が洗浄用治具11をIPA15に浸漬する洗浄位置(図2に破線で示す)まで下降させる。このとき、蓋21は、洗浄用治具11が洗浄槽2に収容された時点で閉位置に移動する。
【0027】
次に、搬送装置10は、洗浄用治具11をIPA15に浸漬した状態で、例えば、上下方向に揺動させる。これにより、被洗浄物12に付着していたパッケージ材料である樹脂やセラミックス、撮像素子の材料であるシリコンの小片等の埃、及び、パッケージに付着している水分が被洗浄物12に接触したIPAにより除去される。
【0028】
上記洗浄用治具11の揺動が所定時間継続され、洗浄槽2における被洗浄物12の洗浄が完了すると、蓋21が開位置に移動し、搬送装置10が洗浄用治具11を上記移動位置まで上昇させる。このとき、蓋21は洗浄用治具11が洗浄槽2から搬出された時点で、閉位置に移動する。
【0029】
続いて、搬送装置10は、洗浄用治具11を、上記移動位置に保持した状態で蒸気洗浄槽3の上方まで搬送する。
【0030】
蒸気洗浄槽3は、その周囲にヒータ等の加熱手段(図示せず)を備えており、内部に収容されたHFE16を加熱することでHFE蒸気16aを生成する。そして、図3に示すように、蒸気洗浄槽3のHFE16で満たされていない空間に、HFE蒸気16aを充満させている。また、蒸気洗浄槽3は、HFE蒸気16aが蒸気洗浄槽2の外部に放散することを防止するとともに、蒸気洗浄槽3の外部から、例えば、洗浄槽2から揮発したIPA等の不純物が進入することを防止する蓋31を備えている。なお、当該蓋31の構成は、洗浄槽2の蓋21と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0031】
搬送装置10により、被洗浄物12を収納した洗浄用治具11が、蒸気洗浄槽3の上方まで搬送されると、蒸気洗浄槽3の蓋31が開位置(図3に破線で示す)に移動する。このとき、搬送装置10が、洗浄用治具11をHFE蒸気16aに曝される洗浄位置(図33に実線で示す。)まで下降させると、蓋31が閉位置(図3に実線で示す)に移動する。
【0032】
次に、搬送装置10は、洗浄用治具11をHFE蒸気16aに曝した状態で所定時間保持する。これにより、被洗浄物12の表面にHFEが結露し、結露したHFEが被洗浄物12の表面に付着しているIPAと混合しつつ流れ落ち、被洗浄物12の表面に付着したIPAが除去される。このとき、被洗浄物12の表面から流れ落ちた、IPAを含有するHFE19は、蒸気洗浄槽3に収容されているHFE16に混入する。なお、図3では、説明のため、HFE16に混入したIPAを白丸で示すとともに符号20を付している。
【0033】
また、蒸気洗浄槽3における洗浄が終了すると、蓋31が開位置に移動する。そして、搬送装置10は、洗浄用治具11を上記移動位置(図3に破線で示す。)まで上昇させるとともに、洗浄用治具11を当該移動位置に保持した状態で、洗浄装置1の外部まで搬送する。なお、蓋31は、洗浄用治具11が蒸気洗浄槽3から搬出された時点で閉位置に移動する。
【0034】
一方、図3に示すように、蒸気洗浄槽3に収容されているHFE16と、HFE16に混入したIPA20はポンプ9により、送液管5を通じて分離槽4へ送り込まれる。
【0035】
分離槽4は、底部付近に送水管8が設けられており、当該送水管8に形成された複数の噴出孔から純水17(薬液)が、例えば、上方に向けて噴出されている。本実施形態では、送水管8から分離槽4内に噴出される純水17の流量を、毎分0.2リットルとしている。
【0036】
IPA20は親水性であるため、ポンプ9により分離槽4へ送り込まれたHFE16に混入したIPA20は、分離槽4に噴出された純水17と混合し、純水とIPAの混合物18(以下、単に混合物18という。)を形成する。そして、純水17及び混合物18はHFE16よりも比重が小さいため、分離槽4内で上方に移動する。一方、疎水性でかつ純水17や混合物18よりも比重が大きいHFE16は分離槽4内で下方へ移動する。
【0037】
このようにして、分離槽4内の液体は、混合物18の液層(上層)と、HFE16の液層(下層)との2層に分離する。さらに、分離槽4には、混合物18が、送水管8から分離槽4内に導入された分量に応じてオーバフローするように、分離槽4内の上部に開口を備えた排出管7が設けられている。そして、HFE16に混入していたIPA20は、排出管7を通じて純水17とともに分離槽4の外部に排出される。
【0038】
一方、分離槽4の下部に存在する、IPA20が除去されたHFE16は、ポンプ9が蒸気洗浄槽3から分離槽4へ送り込まれたIPA20を含有するHFE16によって押し出され、送液管6を通じて蒸気洗浄槽3へ自然循環する。
【0039】
以上のように、本発明に係る洗浄装置では、IPA20が混入し、濃度が低下したHFE16が蒸気洗浄槽3から分離槽4に送出され、HFE16に混入したIPA20が純水17によって分離除去された後、濃度の高いHFE16が分離槽4から蒸気洗浄槽3に送出される。このため、蒸気洗浄槽3のHFE16の濃度は、常時95%以上の高い濃度に維持され、洗浄力が低下することを抑制することができる。
【0040】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の変形及び応用が可能である。例えば、薬液は純水に限定されるものではなく、第2の有機溶剤に比べて前記第1の有機溶剤との親和性に優れる薬液であれば任意の薬液を採用することができる。また、第2の有機溶剤は、第1の有機溶剤と混合可能であればよく、第1の有機溶剤は被洗浄物の洗浄が可能な有機溶剤であればよく、IPAに限定されるものではない。また、第1の有機溶剤が収容された洗浄槽が、第1の有機溶剤に混入した水分を分離除去する手段を備える構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、被洗浄物に付着した有機溶剤を洗浄除去する際に、洗浄剤の洗浄力が低下することを抑制することができ、有機溶剤を使用する洗浄装置及び洗浄方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体図。
【図2】本発明の一実施形態の洗浄槽を示す図。
【図3】本発明の一実施形態の蒸気洗浄槽と分離槽を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 洗浄上装置
2 洗浄槽
3 蒸気洗浄槽
4 分離槽
5 送液管
6 送液管
7 排出管
8 送水管
10 搬送装置
11 洗浄用治具
12 被洗浄物
15 イソプロピルアルコール(第1の有機溶剤)
16 ハイドロフルオロエーテル(第2の有機溶剤)
16a ハイドロフルオロエーテル蒸気
17 純水(薬液)
18 純水とイソプロピルアルコールの混合物
20 イソプロピルアルコール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤により被洗浄物の洗浄を行う洗浄装置において、
第1の有機溶剤により洗浄された被洗浄物が導入されるとともに、前記第1の有機溶剤と混合可能な第2の有機溶剤が収容された洗浄槽と、
前記第1の有機溶剤が混合した前記第2の有機溶剤に、前記第2の有機溶剤に比べて前記第1の有機溶剤との親和性に優れる薬液を添加することにより、前記第2の有機溶剤から前記第1の有機溶剤を分離する分離槽と、
前記洗浄槽と前記分離槽とを連結し、前記洗浄槽から前記分離槽に前記第1の有機溶剤が混合した第2の有機溶剤を導入するとともに、前記分離槽から前記洗浄槽に前記第1の有機溶剤が分離された第2の有機溶剤を導入する循環手段と、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記薬液の比重と前記第2の有機溶剤の比重との差により、前記分離槽内の液体が、前記薬液と前記第1の有機溶剤との混合物を主成分とする液層と、前記第2の有機溶剤を主成分とする液層とに分離される請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記分離槽は、前記薬液の添加に従って、前記薬液と前記第1の有機溶剤との混合物を主成分とする液層の液体を前記分離槽の外部に排出する排出手段を備えた請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽が前記第2の有機溶剤の蒸気を生成する手段を備え、前記洗浄槽における前記被洗浄物に付着した第1の有機溶剤の除去が、前記第2の有機溶剤の蒸気雰囲気中に前記被洗浄物を位置させることにより実施される請求項1から3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記被洗浄物が前記第1の有機溶剤に浸漬される洗浄槽をさらに備えた請求項1から4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記第1の有機溶剤がアルコールであり、前記第2の有機溶剤がハイドロフルオロエーテルであり、前記薬液が水である請求項1から5のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
有機溶剤により被洗浄物の洗浄を行う洗浄方法において、
第1の有機溶剤により被洗浄物を洗浄する工程と、
第2の有機溶剤が収容された洗浄槽において、第2の有機溶剤により前記被洗浄物に付着した第1の有機溶剤を除去する工程とを有し、
以上の工程により、前記第2の有機溶剤に含有された第1の有機溶剤を、前記第2の有機溶剤に比べて前記第1の有機溶剤との親和性に優れる薬液を添加することにより、前記第2の有機溶剤から前記第1の有機溶剤を分離除去し、当該第2の有機溶剤を前記洗浄槽に還流させることを特徴とする洗浄方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−27239(P2007−27239A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204100(P2005−204100)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】