説明

洗浄装置及び洗浄方法

【課題】洗浄対象物を容器内に収容して洗浄する場合に、洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能な洗浄装置及び洗浄方法を提供すること。
【解決手段】洗浄対象物を収容する容器20を有し、前記洗浄対象物を前記容器20内で洗浄する洗浄装置1であって、前記容器20を支持する支持部材31、32と、前記容器20を振動させる振動源50と、前記容器20に洗浄液を供給する洗浄液供給手段60と、前記容器20から前記洗浄液を排出する洗浄液排出手段65とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄対象物を容器内で洗浄するための洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、部品等を生産する過程において、部品等に油分、離型材等の付着物が付着する場合があり付着物を除去するために中間工程又は完成後に部品等を洗浄することが一般的に行なわれている。
【0003】
このような部品等の洗浄において、大量の部品等を一度に洗浄するバッチ方式による洗浄が広く行なわれている。
このバッチ方式による洗浄する一例として、洗浄装置の容器に洗浄液を貯留し、この洗浄液内に洗浄対象物を投入し、例えば、洗浄液内にエアーを吹き込んでバブリングすることにより洗浄対象物を攪拌、洗浄する場合がある。(例えば、特許文献1参照)。
また、容器内に洗浄対象物を収容し、シャワー等の噴射ノズルから洗浄液を噴射して洗浄対象物を洗浄する場合がある。
【特許文献1】特開2007−319799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような洗浄装置を用いた洗浄によると、洗浄対象物がゴム、樹脂等のように洗浄液に比べて比重が大きい材料により形成されている場合、洗浄対象物が洗浄液中で充分な攪拌が行なわれにくく、洗浄対象物に洗浄液が充分に接触しないために充分な洗浄が困難な場合がある。
また、洗浄対象物をシャワー等により洗浄する場合、洗浄液を噴射しても洗浄対象物に影部ができて、この影部が充分に洗浄しにくいという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、洗浄対象物を容器内に収容して洗浄する場合に、洗浄対象物を効率的に洗浄することが可能な洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、洗浄対象物を収容する容器を有し、前記洗浄対象物を前記容器内で洗浄する洗浄装置であって、前記容器を支持する支持部材と、前記容器を振動させる振動源と、前記容器に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記容器から前記洗浄液を排出する洗浄液排出手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、洗浄対象物を容器に収容して洗浄する洗浄方法であって、前記洗浄対象物と洗浄液を前記容器に収容し、前記容器を振動させることにより前記洗浄対象物を洗浄することを特徴とする。
【0008】
この発明に係る洗浄装置及び洗浄方法によれば、洗浄対象物を容器内で振動させるので、洗浄対象物の比重が洗浄液に比較して大きく、バブリング等により攪拌されにくい場合であっても洗浄対象物と洗浄液とが充分に攪拌、接触して充分に洗浄される。その結果、洗浄対象物に付着した付着物が充分に除去される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の洗浄装置であって、前記洗浄液供給手段が、前記容器内に前記洗浄液を噴射する洗浄液噴射部材により構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の洗浄方法であって、前記洗浄対象物に洗浄液を噴射しながら洗浄することを特徴とする。
【0011】
この発明に係る洗浄装置によれば、振動により洗浄対象物同士間に間隙が形成されやすい状態で洗浄液が噴射されるので、洗浄対象物を効率的に洗浄することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置であって、前記容器内に蒸気を供給する蒸気供給手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る洗浄装置によれば、振動により洗浄対象物同士の間に間隙が形成されやすい状態で蒸気供給手段から蒸気を供給するので、洗浄対象物を効率的に洗浄することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、前記容器内を減圧する容器内減圧手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る洗浄装置によれば、例えば、洗浄対象物に微細な凹部や空孔等が形成されている場合であっても、これら凹部や空孔等が効率的に洗浄される。
これは、容器内を減圧することにより微細な凹部や空孔等から空気を取り除かれ洗浄液が隅々まで行きわたるとともに、微細な凹部や空孔等に入り込んだ洗浄液が振動により排出され易くなるために微細な凹部や空孔への洗浄液の出入りが促進されるためであると考えられる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、前記容器は、両端部が壁部により閉塞され略水平に配置可能とされる筒状体からなり、前記駆動源は、前記両端部を結ぶ方向に伸びる回転軸を有する振動モータにより構成されることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る洗浄装置によれば、振動により洗浄対象物が容器を構成している筒状体の内周面に沿う方向に移動する。
その結果、洗浄対象物同士の衝突を抑制しつつ洗浄対象物が充分に攪拌されるので効率的に洗浄することが可能とされる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の洗浄装置であって、前記筒状体の軸線を水平に対して傾斜させる傾動手段を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る殺菌装置によれば、容器を構成する筒状体の軸線を水平に対して傾斜させる傾動手段を備えているので、例えば、傾斜させて洗浄に用いた洗浄液を排出させることにより容器内に蒸気を供給し、又は洗浄液を供給しながら効率的に洗浄することができる。また、振動させながら傾斜させることにより容器内の位置によって洗浄対象物の洗浄状態に偏り(斑)が発生することが抑制される。
また、洗浄が終了した後に傾動させた側から洗浄対象物、洗浄液を排出させるように構成した場合、作業効率を向上することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の洗浄方法であって、前記容器の洗浄液排出手段が設けられた側を下方に傾斜させて前記洗浄液を排出させながら洗浄することを特徴とする。
【0021】
この発明に係る洗浄方法によれば、容器内に供給した洗浄液を排出させるので所定の液位が維持されるので、洗浄対象物と洗浄水とが効率的に接触して効率的に洗浄される。また、洗浄対象物に容器内の位置による洗浄状態の偏りが発生することが抑制される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る洗浄装置及び洗浄方法によれば、洗浄対象物を収容した容器を振動させながら洗浄するので、洗浄対象物を効率的に洗浄することができる。
その結果、洗浄の品質及び作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1から図6を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄装置の概略を示す図であり、符号1は洗浄装置を示している。
【0024】
洗浄装置1は、図1に示すように、洗浄装置架台2と、洗浄対象物Wを収容する容器20と、容器20を支持する支持部材31、32と、容器20を傾動可能とされる伸縮部材(傾動手段)40と、容器20を振動させる振動モータ(振動源)50と、洗浄液噴射部材(洗浄液供給手段)60と、洗浄液排出手段65と、蒸気供給配管70と、減圧ユニット(容器内減圧手段)75とを備え、支持部材31、32は洗浄装置架台2上に設けられている。
【0025】
容器20は、図2、図3に示すように、外形及び内面が略円筒形状の円筒体(筒状体)に形成され、軸線C方向の一方側に壁部21Aを、他方側に壁部21Bを有して円筒体の両端部が閉塞された密閉状態とされ、軸線Cを略水平にして設置されている。
【0026】
容器20内の下側部分には、複数の貫通孔が形成され洗浄対象物Wを安定して保持するとともに洗浄液等が下方に排出する洗浄対象物保持板23が略水平に設けられ、容器20の内周面及び洗浄対象物保持板23は、例えば、SUS316Lにより形成されていて洗浄において用いられる薬剤、蒸気によって錆や腐食が発生するのを抑制することが可能とされている。
【0027】
また、容器20の上部には、軸線C方向に並んで開口部24、25が形成され、開口部24、25には蓋部材24A、25Aが開閉可能に設けられ、蓋部材24A、25Aを閉めることによって開口部24、25が密閉されるようになっている。
【0028】
また、容器20の外周にはジャケット26が形成され、容器20の外周部に形成された図示しない経路からジャケット26内に温水又は水蒸気等の加熱媒体又は冷却水等の冷却媒体を流通させることにより、洗浄対象物W及び洗浄液を加熱又は冷却して洗浄時の洗浄対象物Wの温度を調節可能とされている。
なお、この実施形態において、ジャケット26は容器20の外周に形成されているが壁部21A、21Bにもジャケットを設けてもよいし、ジャケット26を備えない構成としてもよい。
【0029】
また、容器20の軸線C方向の一方側の壁部21Aには、容器20の内部と外部とを連通させ、スライドバルブ28等により開閉可能とされた洗浄対象物排出部27が壁部21Aの下端近傍に形成され、洗浄対象物排出部27が開口されることによって洗浄対象物Wを容器20の外に排出可能とされている。
【0030】
洗浄対象物排出部27の下方には、完成品容器Aが配置され、洗浄対象物排出部27は、例えば伸縮可能なジャバラホースにより完成品容器Aと接続され、洗浄対象物排出部27から排出された洗浄対象物Wが完成品容器Aに収容されるようになっている。
なお、完成品容器Aの下方にはタンク29が設けられ、洗浄液及び蒸気ドレンを一端受けて洗浄装置1の外に排出させることができるようになっている。
【0031】
振動モータ50は、容器20の外方下側部分に、容器20の軸線C方向中央近傍に設けられており、その回転軸に該回転軸の中心から偏心して形成された偏心ウェイトを有し、偏心ウェイトが回転軸とともに回転することにより回転軸と直交する面内に周回振動を発生し、洗浄対象物Wが容器20にて振動して周回するように構成されている。なお、振動モータ50は、洗浄する洗浄対象物Wの種類等に合わせて回転数や振動の周波数を適宜設定して駆動されることができる。
【0032】
支持部材31、32は洗浄装置架台2の上部に鉛直方向に立設される同一の長さに調整可能とされる4本の柱部材により構成され、振動モータ50を挟んで軸線C方向の両側で容器20に接続され、軸線C方向からみた場合に容器20を左右両側にて下方から支持するようになっている。また、支持部材31、32は伸縮して同一の長さに調整することができるようになっている。
【0033】
支持部材31は、容器20の下部に接続される一対の上支持部材31Aと、上支持部材31Aに対応する下支持部材31Bとを有し、それぞれの上支持部材31Aと下支持部材31Bの間には上下方向に伸縮する伸縮部材(傾動手段)40が設けられており、支持部材31の伸縮部材40が収縮すると一方側の壁部21Aを下方に、伸縮部材40が膨張すると他方側の壁部21Bを下方にして容器20を傾斜することが可能に構成されている。
【0034】
また、支持部材32は、支持部材31と同様に、容器20の下部に接続される一対の上支持部材32Aと、上支持部材32Aに対応する下支持部材32Bとを有し、それぞれの上支持部材32Aと下支持部材32Bの間には上下方向に伸縮する伸縮部材40が設けられており、支持部材32の伸縮部材40が収縮すると他方側の壁部21Bを下方に、伸縮部材40が膨張すると一方側の壁部21Aを下方にして容器20を傾斜することが可能に構成されている。
【0035】
伸縮部材40は、例えば、図4に示すように、ラバー等の弾性材料からなり内部にエアー等の流体を貯留可能とされるエアー貯留部材44を有し、貯留するエアー量によって伸縮して上支持部材31A、32Aを上下方向に移動させて容器20を傾動することができるようになっている。
【0036】
貯留部材44は、上部及び下部において貯留部材44の外周を囲むように環状の押え部材44Aが設けられて、上側の押え部材44Aは上支持体取付板45に、下側の押え部材44Aは下支持体取付板46にそれぞれボルト47により固定されている。
伸縮部材40は、上支持体取付板45が上支持部材31A、32Aに、下支持体取付板46が下支持部材31B、32Bにそれぞれボルト43で固定されることにより、上支持部材31A、32Aと下支持部材31B、32Bとを接続するように構成されている。
【0037】
上支持体取付板45の略中央部には貫通孔45Aが形成されて上支持部材31A、32Aのボルト41Aの頭部が挿入され、貫通孔45Aの周囲をカバー45Bにより覆うことによりエアー貯留部材44の内部が貫通孔45Aを介して外部と流通するのを抑制してエアー貯留部材44の内部の気密が保持されている。
【0038】
また、下支持体取付板46の略中央部分にはエアー貯留部材44の内部と下支持部材31B、32Bのエアー供給路42Aとを連通するエアー供給孔46Aが形成されている。
【0039】
また、上支持体取付板45と上支持部材31A、32Aの間の外周近傍及び下支持体取付板46と下支持部材31B、32Bの間の外周近傍には環状のパッキン48が設けられ、伸縮部材40は下支持部材31B、32Bのエアー供給路42Aに連通されるとともに、外部空間と気密とされている。
【0040】
また、それぞれの下支持部材31B、32Bのエアー供給路42Aには、圧力センサ(図示せず)が配設されておりエアー貯留部材44内のエアー圧を測定することができるようになっている。
また、伸縮部材40を構成するエアー貯留部材44はエアー供給路42Aを介して図示しないエアーコンプレッサー等のエアー源に接続され、圧力センサにより検出したエアー圧に基づいて制御部が貯留部材44へのエアーの供給・排出を制御して容器20の姿勢を水平状態及び所望の角度に傾斜させることができるようになっている。
【0041】
洗浄液供給手段は、例えば、上流側が給水源に接続され容器20の内部に設けられた洗浄液噴射部材60により構成されており、洗浄対象物Wが振動により弾んで洗浄対象物保持板23から離間する側の領域の上方に配置されて洗浄対象物Wに洗浄液を噴射するようになっている。また、洗浄液噴射部材60は、洗浄液噴射ノズル62が軸線Cの方向に配列されている。
【0042】
洗浄液排出手段65は、洗浄液排出管65Aと、蒸気ドレン管65Bを備えており、洗浄対象物Wを洗浄するために容器20に供給された洗浄液及び蒸気のドレンを容器20の外に排出するようになっている。
蒸気供給手段は、蒸気バルブ71を介して上流側が、例えば、クリーン蒸気源に接続されるとともに下流側が蓋部材24Aを介して容器20内に開口する蒸気供給配管70から構成され、蒸気バルブ71を開くことによって容器20内に蒸気を供給するようになっている。
【0043】
減圧ユニット75は、例えば、真空ポンプ76と、ドレンタンク77と、吸引ホース78とを備え、吸引ホース78は上流側がバルブ79を介して容器20上部の蓋部材25Aを介して容器20内に接続されている。
ドレンタンク77は、真空ポンプ76により吸引された流体(空気、蒸気、洗浄液ミスト等)が排出されるようになっており、吸引した流体に含まれる水分を空気と分離するとともに凝縮した蒸気をドレンとして排出可能とされている。
【0044】
次に、洗浄装置1による洗浄対象物Wの洗浄について説明する。
1)洗浄にあたっては、それぞれの伸縮部材40を、例えば、同一圧力に制御することにより容器20の軸線Cを水平にする。
2)次に、図5(A)に示すように開口部24、25から洗浄対象物Wを投入する。洗浄対象物Wを投入したら蓋部材24A、25Aにより開口部24,25を閉じて容器20内を密閉状態とする。
3)次いで、例えば、洗浄対象物Wに微細な凹部又は空孔が形成されていて、この凹部又は空孔内に洗浄液を入り込みやすくする必要がある場合、減圧ユニット75を駆動して容器20内を所定圧力まで減圧して凹部、空孔内の空気を取り除く。
4)また、例えば、所定の液位まで洗浄液を貯留させる場合には洗浄噴射部材60から容器20内に洗浄液を供給する。
5)洗浄可能な状態となったら、振動モータ50を駆動して、例えば、矢印T方向に回転軸を回転させて容器20を振動させる。
このとき、振動モータ50による振動は、例えば、図5(B)に示すように洗浄対象物Wが洗浄対象物保持板23の洗浄液噴射部材60の下方で跳ね上がり軸線Cを挟んで洗浄液噴射部材60と反対側に周回移動するように振動することが好ましい。
6)洗浄対象物Wを洗浄している間、洗浄液噴射部材60のノズルからは必要に応じて洗浄液を噴射し、また蒸気供給配管70からは蒸気を供給してもよい。
7)洗浄に際して容器20内に洗浄液又は蒸気を供給する場合には、必要に応じて支持部材31側の伸縮部材40を膨張させて、図6(A)に示すように容器20の洗浄液排出手段65の側を下方に傾斜するとともにバルブ66A,66B、66Cを開いて洗浄液排出管65A、蒸気ドレン管65Bを流通可能として洗浄液、蒸気ドレンを容器20の外に排出してもよい。
8)洗浄対象物Wの洗浄が終了したら、洗浄液排出管65A、蒸気ドレン管65Bを開いて、洗浄液、蒸気ドレンを容器20の外に排出する。
9)次いで、壁部21A側の洗浄対象物排出部27をスライドバルブ28のハンドルを回して開口するとともに、支持部材32側の伸縮部材40を膨らませて容器20の軸線Cを図6(B)に示すように傾斜させて容器20から洗浄対象物Wを完成品容器Aに排出させる。このとき、洗浄対象物Wは自重により又は振動を与えて排出させてもよい。
なお、ジャケット26に温水又は水蒸気等の加熱用熱媒体又は冷水等の冷却用熱媒体を流通させて容器20内の洗浄対象物Wを材料の特性に適合した状態にて洗浄してもよい。
【0045】
以上、説明したように、洗浄装置1によれば、容器20内に収容された洗浄対象物Wが振動により容器20内で充分に攪拌されるので、洗浄対象物W同士間に隙間が形成されやすく、洗浄液等が洗浄対象物Wの表面に容易に接触し洗浄対象物Wを効率的に洗浄することができる。
また、振動により洗浄対象物Wに洗浄における偏りが生じるのを抑制することができる。
その結果、高品質かつ効率的な洗浄を行なうことができる。
【0046】
また、洗浄装置1によれば、洗浄対象物Wが容器20内を構成する筒体内で同じ方向に向かって攪拌されるので、洗浄時の攪拌抵抗が軽減されて効率的に洗浄することができる。
また、例えば、図5(B)に示すように洗浄対象物Wが洗浄対象物保持板23の洗浄液噴射部材60の下方で跳ね上がらせ軸線Cを挟んで洗浄液噴射部材60と反対側に周回移動するように振動させることにより、洗浄液噴射部材60からの洗浄液が洗浄対象物保持板23上の洗浄対象物Wが薄く集積される部分に噴射されるので洗浄対象物Wを効率的に洗浄することができる。
また、伸縮部材40を伸縮して容器20を軸線C方向のいずれかを下方に傾斜させながら洗浄することにより、容器20内の位置による洗浄の偏りを抑制することができる。
【0047】
容器20を支持する支持部材31、32のそれぞれにエアーにより伸縮する伸縮部材40が設けられているので、容器20に与えられた振動が床部に伝播するのを減衰されるとともに、支持部材31、32への衝撃が緩和されて支持部材31、32の破損が防止される。
【0048】
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
上記実施の形態においては、容器20が円筒形状に形成され、略水平方向に配置される場合について説明したが、容器20の形状については、円筒形状の他、例えば、直方体、球体等、用途に合わせて選択可能であり、容器を配置する姿勢についても自在に設定可能である。
【0050】
上記実施の形態においては、容器20に設けられる振動源が、偏心ウェイトが形成された回転軸を有する振動モータ50により構成され、振動モータ50が容器20の外側下方に接続される場合について説明したが、例えば、ボールバイブレータ、ピストンバイブレータ等のエアバイブレータ、その他振動モータ50以外の周知の振動発生源を用いて振動を発生する構成としてもよいし、容器20への振動源の接続方法、接続位置については自在に選択可能である。
【0051】
また、上記実施の形態においては、振動モータ50の回転軸を容器20の軸線Cに沿う方向に配置して振動させる場合について説明したが、例えば、回転軸を容器20の両端部を結ぶ方向に容器20の軸線Cと交差するような方向に配置してもよいし、それ以外の方向に回転軸を配置して振動を発生する構成としてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態においては、洗浄液供給手段が洗浄液噴射部材60により構成される場合について説明したが、例えば、洗浄液噴射部材60に代えて、又は洗浄液噴射部材60とともに容器20内に洗浄液を供給する洗浄液供給配管を備える構成としてもよい。
また、洗浄液供給手段による容器20内への洗浄液の供給は、洗浄前に容器20内に予め洗浄液を貯留してもよいし、予め洗浄液を貯留するかどうかに関わらず連続又は間欠で洗浄液噴射部材60又は洗浄液供給配管から容器20内に洗浄液を供給してもよい。
【0053】
また、上記実施の形態においては、蒸気供給手段が蒸気供給配管70である場合について説明したが、蒸気供給手段を備えない構成としてもよいし、蒸気供給配管70に代えて、又は蒸気供給配管70とともに容器20内に蒸気噴射ノズル等の蒸気を噴射する蒸気噴射部材を備える構成としてもよい。
【0054】
また、洗浄液供給手段、蒸気供給手段、減圧ユニット75による容器20内の減圧、洗浄液排出手段65、ジャケット26への熱媒体の供給に関しては実施の有無及びタイミングを自在に設定することができる。また、容器20の傾動に関する実施の有無及び傾動タイミングを自在に設定することができる。
【0055】
また、上記実施の形態においては、容器20の軸線Cが傾斜可能に構成される場合について説明したが容器20を傾動させない構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、傾動手段がエアー貯留部材44により伸縮可能とされる伸縮部材40とされ、これらが支持部材31、32の各々に設けられて容器20を傾斜する場合について説明したが、支持部材31、32のいずれか一方のみに伸縮部材40を設けて容器20の所望の側を下方に傾斜する構成としてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態においては、制御部が圧力センサにより検出した圧力に基づいてエアー供給・排出手段を作動させて伸縮部材40のエアー圧を制御する場合について説明したが、例えば、圧力センサを備えない構成としてもよいし、圧力センサ及び制御部による制御に代えて、圧力センサの測定値を所望の圧力値とするように手動でエアーを供給・排出させてもよいし、圧力センサの代わりに光センサやリミットスイッチ等のセンサを用いて、容器20の傾斜状態を検出する構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態においては、伸縮部材40へのエアーの供給及び排出を、エアー供給路42Aを経由してエアー供給・排出手段を用いて行う場合について説明したが、伸縮部材40を制御しない構成としてもよいし、エアーの供給経路及び排出経路とを各々別々の経路として構成してもよい。
【0058】
また、支持部材31、32にエアー貯留部材44を配置するのに代えて、例えばエアシリンダ、油圧シリンダ、モータ、電動アクチュエータ等の駆動源、又はこれらとリンク等を組み合わせた構成の傾動手段を用いてもよいし、かかる場合に支持部材31、32以外の部位に接続してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、容器20及び容器20内に配置される洗浄対象物保持板23等がSUS316Lにより形成される場合について説明したが、例えば、SUS304等、洗浄に耐えられる周知の材料を適用可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の容器を側面視した縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を軸線方向から見た縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の伸縮部部材の詳細を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の作用を説明するための軸線方向から見た容器の縦断面図であり、(A)は洗浄装置が静止している状態を、(B)は洗浄装置が振動している状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る洗浄装置の作用を説明する概略側面図であり、(A)は振動している状態を、(B)は洗浄が完了して洗浄対象物排出部側を下方に傾動した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
C 容器の軸線
1 洗浄装置
20 容器
21A、21B 壁部
30、31、32 支持部材
40 伸縮部材(傾動手段)
50 振動モータ(振動源)
60 洗浄液噴射部材(洗浄液供給手段)
65 洗浄液排出手段
65A 洗浄液排出口(洗浄液排出手段)
70 蒸気供給配管(蒸気供給手段)
75 減圧ユニット(容器内減圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を収容する容器を有し、前記洗浄対象物を前記容器内で洗浄する洗浄装置であって、
前記容器を支持する支持部材と、
前記容器を振動させる振動源と、
前記容器に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記容器から前記洗浄液を排出する洗浄液排出手段と、を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄液供給手段が、
前記容器内に前記洗浄液を噴射する洗浄液噴射部材により構成されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄装置であって、
前記容器内に蒸気を供給する蒸気供給手段を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、
前記容器内を減圧する容器内減圧手段を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、
前記容器は、両端部が壁部により閉塞され略水平に配置可能とされる筒状体からなり、
前記駆動源は、前記両端部を結ぶ方向に伸びる回転軸を有する振動モータにより構成されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄装置であって、
前記筒状体の軸線を水平に対して傾斜させる傾動手段を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
洗浄対象物を容器に収容して洗浄する洗浄方法であって、
前記洗浄対象物と洗浄液を前記容器に収容し、前記容器を振動させることにより前記洗浄対象物を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄方法であって、
前記洗浄対象物に洗浄液を噴射しながら洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の洗浄方法であって、
前記容器を水平方向に対して傾斜させて洗浄液排出手段が設けられた側を下方に向けて前記洗浄液を排出させながら洗浄することを特徴とする洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−12417(P2010−12417A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174908(P2008−174908)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】