説明

洗浄装置

【課題】
被洗浄物に粘度の高い加工油が付着している場合であっても、確実に洗浄することができる洗浄装置及び洗浄システムを提供する。
【解決手段】
本発明の洗浄装置の洗浄用回転ドラム1の内部に、外部から供給された洗浄水16を昇温させる加熱器5aと、その加熱器5aによって昇温された高温水を洗浄用回転ドラム1内の被洗浄物7に噴射させる複数のノズル5bとを備えた洗浄用シャワー装置5が配置され、洗浄用シャワー装置5の加熱器5aは、被洗浄物7に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に洗浄水16を昇温させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属加工部品、プラスチック成形品などの各種工業製品や食器などの被洗浄物を洗浄するために用いられる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプレス加工などにより形成される金属加工部品には、プレス成形後に加工油が付着しており、この油を落とすために炭化水素などの溶剤系の洗浄剤あるいは界面活性剤を使用した水系の洗浄剤を使用している。
【0003】
しかし、炭化水素系などの溶剤系の洗浄剤では、その可燃性のために、工場災害を引き起こしやすく、その再生においては複雑で高価な再生装置を必要とするという問題がある。
【0004】
また、界面活性剤を使用した水系の洗浄剤では、その不燃性のために、工場災害の危険性はないが単位時間における洗浄効率が溶剤系の洗浄剤に比べ低いという問題と、使用済みの洗浄液を産業廃棄する必要があるという問題がある。
【0005】
そこで、これらの問題を生じない方法として、金属加工部品に付着した加工油を、80℃程度の高温水で洗浄する方法が提案されている(以下、この技術を従来例1という)。
【0006】
一方、金属加工部品等の加工品を自動的に洗浄するための洗浄装置が、従来から開発されている。例えば、本出願の発明者(出願人)は、洗浄用回転ドラムとこれに連設して水切り用回転ドラムとを備え、水切り用回転ドラムを先細状に縮径化して形成すると共に内周面にスパイラル状送りフィンを形成し、これら洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムを水平共軸に沿って配置したことを特徴とする洗浄装置を開発している(特許第3446029号公報)。
【0007】
この従来の洗浄装置によれば、一体的に構成された洗浄用回転ドラム、水切り用回転ドラムおよび乾燥用回転ドラム内を、被洗浄物が順次送られる際、被洗浄物物はドラム内に設けた小突片により上下反転を繰り返しながら搬送される。これにより、コンパクトな構成でありながら、一連の工程が効率よく一括で処理されると同時に、高い洗浄効率が発揮される。また、例えば金属製品のプレス加工などの場合は、インラインにて被洗浄物を1個ずつ精密洗浄することができることに加え、実使用において他の加工機械等との直結が容易であり、設備の配置構成等に優れた利便性を備えることができる(以下、この技術を従来例2という)。
【0008】
【特許文献1】特許第3446029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例1では、加工部品に付着した加工油を、溶剤系の洗浄剤や水系の洗浄剤剤などを使用せずに80℃程度の高温水で脱脂しているが、加工油の粘度は加工部品の材質および工具寿命などで広範囲であるため、80℃程度の高温水ではカバーしきれない。
【0010】
従来例2では、常温の洗浄液を用いるため、加工部品に付着した加工油の粘度が非常に高い場合には、十分な洗浄効果を発揮するのは困難であった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被洗浄物に粘度の高い加工油が付着している場合であっても、確実に洗浄することができる洗浄装置及び洗浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の洗浄装置は、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を被洗浄物に噴射させる複数のノズルとを備えた洗浄用シャワー装置を有し、前記洗浄用シャワー装置の加熱器は、前記被洗浄物に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に前記洗浄水を昇温させることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第2の洗浄装置は、洗浄用回転ドラムを有する洗浄装置において、前記洗浄用回転ドラムの内部に、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を前記洗浄用回転ドラム内の被洗浄物に噴射させる複数のノズルとを備えた洗浄用シャワー装置が配置され、前記洗浄用シャワー装置の加熱器は、前記被洗浄物に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に前記洗浄水を昇温させることを特徴とするものである。
【0014】
前記加熱器は、前記洗浄水を100℃以上に昇温させるのが好ましい。
【0015】
前記洗浄用シャワー装置は、外部より供給された洗浄水を加圧させて、大気圧で得られる温度以上の高温水を発生させるのが好ましい。
【0016】
前記洗浄用回転ドラムの内側及び/又は外側の適所に超音波発信装置が設けられていてもよい。
【0017】
前記洗浄用回転ドラムに連接した水切り用回転ドラムを有し、前記水切り用回転ドラムは、先細状に縮径して形成され、前記洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムは、水平共軸に沿って配置されていてもよい。
【0018】
本発明の第3の洗浄装置は、リンス用回転ドラムを有する洗浄装置において、前記リンス用回転ドラムの内部に、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を前記リンス用回転ドラム内の被洗浄物に噴射させて仕上げ洗浄を行う複数のノズルとを備えたリンス用シャワー装置が配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
前記リンス用回転ドラムは、前記水切り用回転ドラムに連接しており、前記水切り用回転ドラム及びリンス用回転ドラムは、水平共軸に沿ってそれぞれ配置されていてもよい。
【0020】
前記洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムは、リンス用回転ドラムに向けて先細になるように形成されていてもよい。
【0021】
前記洗浄用回転ドラム、水切り用回転ドラム、リンス用回転ドラムの全部又はいずれかの内周面には、前記被洗浄物を移送させるためのスパイラル状送りフィンが設けられているのが好ましい。
【0022】
前記洗浄用回転ドラムと、リンス用回転ドラムとが、前記水切り用回転ドラム及び前記被洗浄物を移送するための移送シュートを介して離れて配置されていてもよい。
【0023】
本発明の洗浄システムは、前記洗浄装置を複数有し、各洗浄装置の間に前記被洗浄物を移送するための移送シュートが配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、洗浄用シャワー装置が、被洗浄物に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させるように、少なくとも100℃以上の温度に洗浄水が昇温させて、被洗浄物に噴射させるので、被洗浄物に粘度の高い加工油が付着している場合であっても、確実に洗浄することができる。
【0025】
また、工場災害などを引き起こす可能性のある溶剤系の洗浄剤や、環境汚染を引き起こす可能性のある水系の洗浄剤をまったく使用せず、市水、純水あるいは超純水などを使用するので、工場災害や環境汚染を引き起こすおそれがない。
【0026】
また、洗浄剤の使用コストが無くなるために、低コストの洗浄が可能となる。
【0027】
さらに、高温高圧水の噴射による洗浄なので、短時間で洗浄を完了させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。
【0029】
本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置Aは、例えば、金属加工部品、プラスチック成形品などの各種工業製品や食器などの被洗浄物7を洗浄するために用いられるものであり、図1に示すように、洗浄用回転ドラム1、水切り用回転ドラム2、リンス用回転ドラム3の順に連接され、かつ一体化されて構成されている。
【0030】
洗浄用回転ドラム1の基端側は開口されて被洗浄物7の入口1aとして形成され、リンス用回転ドラム3の先端側は開口されて被洗浄物7の出口3aとして形成されている。
【0031】
洗浄用回転ドラム1、水切り用回転ドラム2、リンス用回転ドラム3の内部は入口1a及び出口3aを除いて密閉されており、その内周面にはスパイラル状の送りフィン4が形成されている。この送りフィン4のスパイラルピッチや高さ等は、被洗浄物7の大きさ、寸法または形状、或いは被洗浄物7の種類等によって適宜設定することができる。
【0032】
さらに、図2に示すように、各回転ドラム1,2,3の内周面と送りフィン14の側面のそれぞれに、複数の小突片17aまたは17bを設けてもよい。この場合、小突片17aおよび17bの表面には被洗浄物7を損傷しないように、必要に応じてコーティング等を施したり、小突片の形状を丸みを付けた湾曲状に形成したり、或いは小突片17aまたは17bを柔軟性のあるゴム材などで形成してもよい。
【0033】
洗浄用回転ドラム1、水切り用回転ドラム2、リンス用回転ドラム3は、水平軸線を共軸として配置されている(以下、この軸Lを水平共軸という)。洗浄用回転ドラム1の外周面に設けられた歯車11aは、電動機10の歯車11bと噛合しており、電動機10の駆動により、各ドラム1,2,3は、水平共軸Lを中心にして所定方向に回転する。この回転によって、洗浄用回転ドラムの入口1aに投入された1個又は複数個の被洗浄物7は、スパイラル状送りフィン4により順次リンス用回転ドラム3の出口3a方向に移送される。
【0034】
一方、タンク8内には、仕切り板14によって洗浄水16とリンス用洗浄水15とが分けられて収納されている。洗浄水16及びリンス用洗浄水15は、例えば市水又は純水(超純水を含む)からなる。
【0035】
タンク8内の洗浄液16は常に一定の水位を維持されている。この実施形態例において、洗浄用回転ドラム1が洗浄液16に浸漬する程度に回転ドラム装置1をタンク8に配置するのが好ましい。
【0036】
タンク8内の洗浄水16は、ポンプP1により引き込まれ、第1の加熱器H1によって最初の加熱が行われ、洗浄用回転ドラム1に送られる。
【0037】
洗浄用回転ドラム1は被洗浄物7の洗浄を行うものであり、その内部には、外部(第1の加熱器)H1から供給された洗浄水を昇温させる第2の加熱器5aと、その第2の加熱器5aによって昇温された高温水を洗浄用回転ドラム1内の被洗浄物7に噴射させる複数のノズル5bとを備えた洗浄用シャワー装置5が水平共軸Lに沿って固定して配置されている。
【0038】
洗浄用シャワー装置5の第2の加熱器5aは、被洗浄物7に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に洗浄水16を昇温させる。すなわち、汚染油質の粘度が高温により低下し、除去が容易になり、また、水の溶解力も温度に比例して高温になるにしたがって向上する。これらの粘度の低下と水の溶解力向上の相乗効果によって、ノズル5bからの高温水の高圧噴射により、汚染油質が除去され、精密洗浄を実現できる。
【0039】
図3は、洗浄温度と洗浄力との関係を概略的に示すグラフである。図3に示すように、80℃では洗浄力は60%程度であるが、100℃に近くなるに従い急速に洗浄力が向上し、100%に近づくことがわかる。
【0040】
従って、ポンプP1より送られてきた洗浄水16は、第1の加熱器H1で加熱された後、第2の加熱器5aによって、100℃以上、好ましくは120℃以上の昇温に必要な圧力に加圧されて、再加熱されるのが好ましい。
【0041】
第1の加熱器H1及び第2の加熱器5bにより2度加熱を行うことによって、加熱エネルギーを節約することができる。再加熱された洗浄水16は汚染油質の溶融点以上に昇温し、ノズル5bから高温の蒸気となって被洗浄物7に噴射される。
【0042】
また、洗浄水16の温度は、ポンプP1から送られる洗浄水16の量を調節することで、洗浄用シャワー装置5内の圧力を調節し所定の必要温度の噴射圧力が得られる。
【0043】
なお、洗浄用回転ドラム1の内側及び/又は外側の適所(図1の例では洗浄用回転ドラム1の底部近傍)に超音波発振装置12が設置されている。この超音波発振装置12は、洗浄用回転ドラム1内部にキャビテーションを発生させることができ、このキャビテーションにより洗浄効果をさらに高めることが可能となる。
【0044】
水切り用回転ドラム2は、被洗浄物7の水切りを行うものであり、洗浄用回転ドラム1の先端側に一体に連接されて設けられている。水切り用回転ドラム2は、リンス用回転ドラム3に向けて先細に形成され、例えば、テーパ状に形成されている。すなわち、水切り用回転ドラム2の基端側は、最も大径の洗浄用回転ドラム1の先端側の口径に一致するよう大径に形成され、また先端側は最も小径のリンス用回転ドラム3の基端側の口径に一致するよう小径に形成され、これら基端側から先端側に至るに従って径が徐々に縮径するようなテーパ状に形成されている。
【0045】
リンス用回転ドラム3は、被洗浄物7の洗浄度をさらに上げて仕上げ洗浄を行うものであり、水切り用回転ドラム2の先端側に一体に連接されて設けられている。
【0046】
タンク8内のリンス洗浄水15は、ポンプP2により引き込まれ、第3の加熱器H2によって最初の加熱が行われ、リンス用回転ドラム3の内部に水平共軸Lに沿って固定して設置されたリンス用シャワー装置6に送られる。
【0047】
リンス用シャワー装置6は、外部(第3の加熱器H2)から供給された洗浄水を昇温させる第4の加熱器6aと、その第4の加熱器6aによって昇温された高温水をリンス用回転ドラム3内の被洗浄物7に噴射させる複数のノズル6bとを備えている。
【0048】
リンス用洗浄水15は、仕上げ洗浄に必要な温度(例えば、100℃以上、好ましくは120度以上)まで昇温され、ノズル6bから被洗浄物7に噴射され、汚染油質の再除去等の仕上げ洗浄が行われる。
【0049】
次に、本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置の動作について説明する。
【0050】
まず、洗浄用回転ドラム1の入口1aから被洗浄物7を投入すると共に、電動機10を駆動させて、洗浄用回転ドラム1、水切り用回転ドラム2、リンス用回転ドラム3を、水平共軸Lを中心に回転させる。また、第1のポンプP1及び第2のポンプP2および超音波発振装置12も適当なタイミングで作動を開始する。これにより、被洗浄物7は送りフィン4によって各回転ドラム1,2,3内を連続して順次送られる。
【0051】
洗浄用回転ドラム1では、内部の洗浄用シャワー装置5の第2の加熱器5aが、外部(第1の加熱器H1)から供給された洗浄水を昇温させ、その昇温された高温水を複数のノズル5bを介して洗浄用回転ドラム1内の被洗浄物7に噴射させる。第2の加熱器5aによって、洗浄水16は汚染油質の溶融点以上に昇温するので、被洗浄物7に付着した油成分の粘度は除去可能な粘度まで低下し、被洗浄物7を確実に洗浄することができる。また、超音波発振装置12を配置した場合には、超音波発振装置12により発生するキャビテーションにより洗浄効果をさらに高めることが可能となる。
【0052】
次に、水切り用回転ドラム2においては、先端に向かってテーパ状に形成されているので、被洗浄物7は、搬送に伴って洗浄用回転ドラム1の底部に溜まった洗浄液16から浮上して水切りが行われる。
【0053】
最後に、リンス用回転ドラム3においては、その内部に設置されたリンス用シャワー装置の第3の加熱器6aが、外部(第3の加熱器H2)から供給されたリンス洗浄水15を昇温させ、その昇温されたリンス洗浄水15を複数のノズル6bを介してリンス用回転ドラム3内の被洗浄物7に噴射させる。これによって、被洗浄物7の仕上げ洗浄が行われる。
【0054】
本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置Aでは、高温洗浄を行うため、被洗浄物7自身の有する熱で乾燥工程を経なくても自然に乾燥する。ただ、より早く被洗浄物7を乾燥させる場合には、乾燥用回転ドラムを用いて乾燥させてもよい。
【0055】
なお、洗浄用回転ドラム1内の洗浄水16は、水切り用回転ドラム2のテーパにより、入口1a方向に逆流する。一方、リンス用回転ドラム2内のリンス洗浄水15は、被洗浄物7の進行方向(送り方向)に流れる。
【0056】
ただ、回転ドラム1,2,3を高速回転する場合には、洗浄水16の慣性により、少量の洗浄水16が被洗浄物7の進行方向(送り方向)に流れてリンス用回転ドラム3まで溢れてしまうおそれがある。そこで、例えば、図4に示すように、水切り用回転ドラム2とリンス用回転ドラム3との間の外周壁の接合部分に、所定の短い長さのパンチングメタル(孔あき板)18を設け、高速回転時に、慣性であふれた少量の洗浄水16をパンチングメタル18の孔を通って介してタンク8内に落とすようにしてもよい。
【0057】
本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置Aによれば、洗浄用回転ドラムの洗浄用シャワー装置5が、被洗浄物7に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させるように、少なくとも100℃以上の温度に洗浄水7を昇温させて、被洗浄物7に噴射させるので、被洗浄物7に粘度の高い加工油が付着している場合であっても、確実に洗浄することができる。
【0058】
また、工場災害などを引き起こす可能性のある溶剤系の洗浄剤や、環境汚染を引き起こす可能性のある水系の洗浄剤をまったく使用せず、市水、純水あるいは超純水などを使用するので、工場災害や環境汚染を引き起こすおそれがない。
【0059】
また、洗浄剤の使用コストが無くなるために、低コストの洗浄が可能となる。
【0060】
さらに、高温高圧水の噴射による洗浄なので、短時間で洗浄を完了させることができる。
【0061】
図5は、本発明の第2の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。図5に示すように、第2の実施形態例の洗浄装置Bでは、洗浄用回転ドラム1及び水切り用回転ドラム2が、リンス用回転ドラム3に向けて先細になるように形成されている。他の構成については、第1の実施形態例に係る洗浄装置Aと同様である。
【0062】
第2の実施形態例の洗浄装置Bによれば、洗浄用回転ドラム1と水切り用回転ドラム2とを別々に製作することなく、一つの回転ドラムとして製作できるので、製作コストの低減を図ることができる。
【0063】
図6(A)及び(B)は、本発明の第3の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。図6に示すように、第3の実施形態例の洗浄装置Cでは、洗浄用回転ドラム1の内部に、洗浄用シャワー装置5を配置して、洗浄用回転ドラム1だけで洗浄を行う。図6(A)は全体が円筒状に形成された場合の洗浄用回転ドラム1を示し、(B)は全体が先細に形成された場合の洗浄用回転ドラム1を示す。他の構成については、第1の実施形態例に係る洗浄装置Aと同様である。
【0064】
第3の実施形態例の洗浄装置Cでは、水切り用回転ドラム2及びリンス用回転ドラム3を省略することができるので、構造がよりコンパクトで簡単となり、製造コストを低減できる。
【0065】
図7は、本発明の第4の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。図7に示すように、第4の実施形態例の洗浄装置Dでは、洗浄用回転ドラム1及び水切り用回転ドラム2を一体に連接したものと、リンス用回転ドラム3とが離れて配置され、それらの間に、被洗浄物7を移送するための移送シュート9が固定して設けられている。
【0066】
第4の実施形態例の洗浄装置Dによれば、洗浄用回転ドラム1とリンス用回転ドラム3とが離れて配置されているので、リンス洗浄水15と洗浄水16とが混ざるおそれがなくなり、洗浄精度をより高めることができる。
【0067】
図8は、本発明の第5の実施形態例に係る洗浄システムを示す説明図である。図8に示すように、前述した実施形態例に係る洗浄装置を複数有し(図8の例では洗浄装置Aが2つ有する)、各洗浄装置の間に被洗浄物7を移送するための移送シュート13が固定して配置されている。
【0068】
第5の実施形態例によれば、洗浄工程、水切り工程及びリンス工程を複数回繰り返すことができ、より確実な洗浄を行うことができる。
【0069】
なお、図8の例では2つの洗浄装置を備えた洗浄システムであるが、3つ以上の洗浄装置を備えていてもよい。
【0070】
図9は、本発明の第6の実施形態例に係る洗浄装置及び洗浄システムの適用例を示す説明図である。第6の実施形態例では、前述した洗浄装置又は洗浄システムをNC加工機やプレス機等の他の機械18の内部又は外部に一緒に組み込み、稼動させるものである。また、バッチ方式として、纏め置きした被洗浄物7を、機械的あるいは人為的に必要量を順次洗浄システムに投入して洗浄を行ってもよい。
【0071】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、回転ドラムの代わりに、固定された籠の内部に洗浄用シャワー装置5を備えた洗浄装置も本発明に含まれる。また、第1の加熱器H1及び第3の加熱器H2を省略して、第2の加熱器5a及び第4の加熱器6aにより一気に加熱して、ノズル5b、6bから高温水を噴射してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。
【0074】
【図2】各回転ドラムの内周面と送りフィンの側面のそれぞれに、複数の小突片を設けた変形例を説明するための説明図である。
【0075】
【図3】洗浄温度と洗浄力との関係を概略的に示すグラフである。
【0076】
【図4】水切り用回転ドラムとリンス用回転ドラムとの間の外周壁の接合部分に、パンチングメタル(穴あき板)を設けた変形例を説明するための説明図である。
【0077】
【図5】本発明の第2の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。
【0078】
【図6】(A)及び(B)は、本発明の第3の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。
【0079】
【図7】本発明の第4の実施形態例に係る洗浄装置を示す説明図である。
【0080】
【図8】本発明の第5の実施形態例に係る洗浄システムを示す説明図である。
【0081】
【図9】本発明の第6の実施形態例に係る洗浄装置及び洗浄システムの適用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1:洗浄用回転ドラム
2:水切り用回転ドラム
3:リンス用回転ドラム
4:スパイラル状送りフィン
5:洗浄用シャワー装置
6:リンス用シャワー装置
7:被洗浄物
8:タンク
9:移送シュート
10:電動機
11a、11b:歯車
12:超音波発振装置
13:移送シュート
14:仕切り板
15:リンス洗浄水
16:洗浄水
17a、17b:小突片
18:機械
A〜D:洗浄装置
E:洗浄システム
P1:洗浄水用ポンプ
P2:リンス洗浄水ポンプ
H1:洗浄水用加熱器
H2:リンス洗浄水用加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を被洗浄物に噴射させる複数のノズルとを備えた洗浄用シャワー装置を有し、前記洗浄用シャワー装置の加熱器は、前記被洗浄物に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に前記洗浄水を昇温させることを特徴とする洗浄装置
【請求項2】
洗浄用回転ドラムを有する洗浄装置において、
前記洗浄用回転ドラムの内部に、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を前記洗浄用回転ドラム内の被洗浄物に噴射させる複数のノズルとを備えた洗浄用シャワー装置が配置され、
前記洗浄用シャワー装置の加熱器は、前記被洗浄物に付着した油成分を除去可能な粘度まで低下させる温度に前記洗浄水を昇温させる、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
前記加熱器は、前記洗浄水を100℃以上に昇温させることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄用シャワー装置は、外部より供給された洗浄水を加圧させて、大気圧で得られる温度以上の高温水を発生させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄用回転ドラムの内側及び/又は外側の適所に超音波発信装置が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つの項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄用回転ドラムに連接した水切り用回転ドラムを有し、
前記水切り用回転ドラムは、先細状に縮径して形成され、
前記洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムは、水平共軸に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1つの項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
リンス用回転ドラムを有する洗浄装置において、
前記リンス用回転ドラムの内部に、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、その加熱器によって昇温された高温水を前記リンス用回転ドラム内の被洗浄物に噴射させて仕上げ洗浄を行う複数のノズルとを備えたリンス用シャワー装置が配置されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
前記リンス用回転ドラムは、前記請求項6に記載の水切り用回転ドラムに連接しており、
前記水切り用回転ドラム及びリンス用回転ドラムは、水平共軸に沿ってそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムは、リンス用回転ドラムに向けて先細になるように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄用回転ドラム、水切り用回転ドラム、リンス用回転ドラムの全部又はいずれかの内周面には、前記被洗浄物を移送させるためのスパイラル状送りフィンが設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の洗浄装置。
【請求項11】
請求項2に記載の洗浄用回転ドラムと、請求項7に記載のリンス用回転ドラムとが、請求項6又は8に記載の水切り用回転ドラム及び前記被洗浄物を移送するための移送シュートを介して離れて配置されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項12】
前記請求項1乃至11のいずれか1つの項に記載の洗浄装置を複数有し、各洗浄装置の間に前記被洗浄物を移送するための移送シュートが配置されていることを特徴とする洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−150336(P2006−150336A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104916(P2005−104916)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598037765)
【Fターム(参考)】