説明

洗浄装置

【課題】洗浄品質の優れた被洗浄物の洗浄処理が得られると共に、装置コストおよび洗浄コストを低減した洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置100は、被洗浄物を洗浄処理する洗浄槽1、洗浄処理に使用された洗浄液Rを貯留するサブタンク2、洗浄槽1とサブタンク2とを連通する循環用回収管3および循環用供給管4、サブタンク2をオーバーフローする洗浄液Rを外部に移送する移送管7、洗浄槽1に供給装置101から洗浄液Rを供給する供給管5などを備えた同一構成の4つの洗浄ユニット10(10A〜10D)が、被洗浄物の移動方向(AからB方向)の下流側から上流側に向かって(CからD方向)並列配置されている。そして、サブタンク2内に配設されたオーバーフロー管6によってサブタンク2内に貯留された洗浄液Rの液面高さが調節されて、洗浄液Rが被洗浄物の移動方向の下流側から上流側(CからD方向)に向かって移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズなどの光学物品を洗浄液で洗浄処理するのに用いられる多段向流式の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズをはじめとする各種レンズ、プリズムなどの光学物品は、形状創成後の切削や周縁部の研削・研磨加工、あるいはハンドリングなどによって、研磨剤などの無機粒子や脂汚れなどの有機物が付着する。これらの汚染物質は、一般的に洗浄液で洗浄処理(リンス処理)して除去される。
こうした汚染物質を効率的に除去する洗浄処理として、多段向流式、いわゆるカスケード式の洗浄装置が広く知られている。
【0003】
カスケード式の洗浄装置として、洗浄コストを削減するために、被洗浄物の移動方向の上流側から下流側に向かってN個の洗浄槽が連続して設けられ、N個目の洗浄槽に一定量の洗浄溶媒が供給され、且つ被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって洗浄溶媒がオーバーフローまたはポンプ輸送により順次供給されると共に、洗浄槽で被洗浄物が順次洗浄される洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、洗浄装置の部品点数を低減し、製造管理を容易にすることでコスト低減を図ることを目的に、2個以上のリンスユニットを左右に連結し、そのリンスユニットが、基板のリンス処理をなすリンスチャンバーの他に、後段のリンスユニットで使用された洗浄水を貯留する洗浄タンクと、洗浄水タンク内の洗浄水をリンスチャンバー内に汲み揚げる揚水ポンプと、洗浄水タンク内に連通状に配置され、リンスチャンバー内で使用された洗浄水を洗浄水タンク内の洗浄水と同水位で回収する回収タンクとを具備し、回収タンクを洗浄水タンクの左内側と右内側とに選択配置可能に装着した洗浄装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−95346号公報
【特許文献2】登録実用新案第2511367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される多段向流式の洗浄装置は、大型化するのが否めない。しかも洗浄槽の配置を任意に変更したりして多用な洗浄システムに対応することも容易でない。それに対して特許文献2に示される多段向流式の洗浄装置は、回収タンクを洗浄水タンクの左内側と右内側とに選択配置可能にしたリンスユニットを、2個以上左右に連結することにより、こうした不具合に対処することができると共に、管理コストの低減を図ることができる。しかし、回収タンク内の洗浄水を、後段に連結されたリンスユニットの回収タンクに供給するためには、ポンプなどの輸送手段を配置することが必要となり、装置コストが嵩むと言う不具合が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例に係る洗浄装置は、内部に洗浄液を貯留して被洗浄物を洗浄処理する洗浄槽と、前記洗浄槽と循環管路で連通し前記洗浄液を貯留するサブタンクと、前記循環管路上設けられた前記サブタンク内の前記洗浄液を前記洗浄槽内に送出するポンプおよび前記洗浄液を清浄化するフィルタと、前記サブタンクに接続されて前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液を移送する移送管と、を備えた同一構成の多数の洗浄ユニットが、前記被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって前記移送管を介して前記サブタンクが順次接続されて並列配置された洗浄装置であって、前記洗浄ユニットは、前記サブタンク内に、該サブタンク内に貯留された前記洗浄液の液面高さを調節する液面調節手段を備え、前記被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された前記洗浄ユニットに前記洗浄液が供給されると共に、前記洗浄液が前記循環管路を介して前記洗浄槽と前記サブタンクとの間を循環して、前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液が前記被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって順次オーバーフローするように、前記洗浄液の液面高さが前記液面調節手段により調節されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、同一構成の多数の洗浄ユニットのそれぞれのサブタンクに貯留された洗浄液が、被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって順次オーバーフローするように、洗浄液の液面高さが液面調節手段により調節されている。すなわち多数の洗浄ユニットがカスケート結合されて、被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された洗浄ユニットに洗浄液が供給されることによって、清浄度が高い洗浄液が被洗浄物の移動方向の上流側に配置された洗浄ユニットに順次移送されるので、洗浄品質の優れた洗浄装置が得られる。また、被洗浄物を洗浄処理するそれぞれの洗浄槽に貯留された洗浄液が、循環管路を介して洗浄槽とサブタンクとの間を循環することによって、被洗浄物の洗浄処理で使用された洗浄液が清浄化されるので、より高い洗浄品質が得られる。
【0010】
さらに、サブタンク内にサブタンクに貯留する洗浄液の液面高さを調節する液面調節手段を備えているので、サブタンクからオーバーフローする洗浄液の液面高さを容易に調節することができる。よって、同一構成の洗浄ユニットを所望の数量並列配置して各種の被洗浄物または多用な洗浄システムに対応した洗浄装置を容易に構成することができる。さらにまた、洗浄ユニットの配置を任意に変更することも容易で、被洗浄物の効率的な洗浄処理を可能にすると共に、装置コストの低減に寄与することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例に係る洗浄装置は、前記サブタンク内よりオーバーフローした前記洗浄液は、前記液面調節手段により調節された前記サブタンク内の前記洗浄液の液面高さの差により、前記被洗浄物の移動方向の上流側の前記サブタンク内に順次移送されるのが好ましい。
【0012】
これによれば、サブタンクに貯留された洗浄液が、被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって順次オーバーフローするように、液面調節手段により液面高さが調節されているので、ポンプなどを配設することなく、サブタンク内の洗浄液の液面高さの差により、被洗浄物の移動方向の上流側のサブタンク内に順次移送することができる。したがって、装置コストの低減に寄与することができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例に係る洗浄装置は、前記洗浄液が、前記被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された前記洗浄ユニットの前記洗浄槽に一定量α供給され、前記被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された前記洗浄ユニットの前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液の容量βと、前記循環管路を介して前記洗浄槽と前記サブタンクとの間を循環する前記洗浄液の一定量γが、以下に示す一般式(1)の関係を有するように設定されているのが好ましい。
β+γ>α…(1)
但し、αおよびγは、1分あたりにおける量を示す。
【0014】
これによれば、被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された洗浄ユニットのサブタンク内に貯留された洗浄液の容量βが、他の洗浄ユニットに比べて最も少ないが、一定量α、一定量γおよび容量βが、上記一般式(1)の関係を有するように設定されることによって、被洗浄物を洗浄処理する際に、全ての洗浄ユニットにおいて、サブタンクに貯留された洗浄液が不足することはなく、循環管路を介して洗浄槽とサブタンクとの間を常時途切れることなく循環して、洗浄液を清浄化することができる。したがって、洗浄品質の優れた洗浄装置が得られる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例に係る洗浄装置は、前記洗浄液が純水または超純水であり、前記被洗浄物がレンズであるのが好ましい。
これによれば、洗浄装置に用いる洗浄液が純水または超純水であり、被洗浄物がレンズ(眼鏡レンズを含む各種レンズ)であることで、レンズ形状創成後の切断や周縁部の研削・研磨によって付着した研磨剤などの無機粒子や、ハンドリングなどで付着したや脂汚れなどの有機物を、洗浄液(純水または超純水)中に分散して容易に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る洗浄装置は、同一構成の多数の洗浄ユニットがカスケート結合して構成される。
【0017】
先ず、洗浄装置を構成する洗浄ユニットについて説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄装置を構成する洗浄ユニットの概略構成を示す模式図である。
図1において、洗浄ユニット10は、被洗浄物を洗浄処理する洗浄槽1と、洗浄処理に使用された洗浄液Rを貯留するサブタンク2と、洗浄槽1とサブタンク2とを連通する循環用回収管3および循環用供給管4と、サブタンク2をオーバーフローする洗浄液Rを外部に移送する移送管7と、洗浄槽1に供給装置から洗浄液Rを供給する供給管5を備えている。
【0018】
洗浄槽1は、洗浄液Rを貯留する洗浄液槽11、回収槽12、超音波発振器13を備えている。また、洗浄槽1にはサブタンク2と連通する循環用回収管3および循環用供給管4が接続されている。
【0019】
洗浄液槽11は、例えば箱形を成しており、槽内に貯留された洗浄液R中に被洗浄物を浸漬して洗浄処理を行う槽である。洗浄液槽11の側壁には、供給装置から洗浄液槽11内に洗浄液Rを供給する供給管5を備えている。また、洗浄液槽11内には、後述する循環用供給管4の一方の末端部に設けられたノズル44,45が配設されている。なお、洗浄液槽11は、被洗浄物を洗浄処理するに際して、槽内に洗浄液Rを満杯の状態にして用いられる。
【0020】
回収槽12は、被洗浄物の洗浄処理の際に、洗浄液槽11からオーバーフローした洗浄液Rを収容する槽であり、洗浄液槽11の外周を取り囲むように設けられている。この回収槽12の底面には、洗浄液槽11からオーバーフローした洗浄液Rをサブタンク2に回収する循環用回収管3が接続されている。
超音波発振器13は、洗浄液槽11の底面に付設されており、洗浄液槽11内に貯留された洗浄液Rに超音波を照射する機能を有する。
【0021】
サブタンク2は、洗浄槽1の洗浄液槽11からオーバーフローした洗浄液R、すなわち洗浄液槽11において被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rを貯留する槽である。したがって、洗浄槽1の回収槽12に接続された循環用回収管3の下流側の端部が、サブタンク2内に導入されている。
また、サブタンク2には、側壁にサブタンク2内に洗浄液Rを導入する導入管8が取り付られ、底面にサブタンク2内の洗浄液Rを排出する排出管21が取り付られている。
【0022】
こうしたサブタンク2内には、サブタンク2内に貯留された洗浄液Rの液面高さを調節する液面調節手段としてのオーバーフロー管6、洗浄液Rを所定温度に加熱するヒータH、洗浄液Rの液温を計測する液温センサT1、洗浄液Rの液温の過昇を監視する過昇温度センサT2を備えている。また、後述する循環用供給管4の上流側の端部に設けられたゴミ受41が配設されている。
【0023】
ヒータHが加熱する洗浄液Rの所定の温度は、洗浄処理する被洗浄物または用いる洗浄液の種類に応じて適宜設定されるが、設定液温が80℃程度以下で用いるのが望ましい。
なお、サブタンク2内には、必要に応じ洗浄液RのヒータHによる過加熱や空焚きを防止するなどを目的に、液面位置を検知するフロートスイッチなどを配設することができる。
【0024】
循環用供給管4は、サブタンク2内に配設されたゴミ受41と洗浄槽1の洗浄液槽11内に配設されたノズル44,45とを接続する管路であり、管路上にポンプ42、フィルタ43、流量計47、バルブ46,48などが配設されている。この循環用供給管4は、サブタンク2内に貯留された被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rが管路を通過する際に、洗浄液R中の汚れなどを除去する清浄化を行うと共に、再び洗浄槽1(洗浄液槽11)に供給する機能を有する。
この循環用供給管4と循環用回収管3とが、洗浄槽1とサブタンク2とに連通する循環管路を形成している。
【0025】
ゴミ受41は、被洗浄物の洗浄処理により発生した洗浄液Rの汚れの内、例えば洗浄液R中に含まれる比較的大きな研磨粉や研削屑などの固形物や異物の除去を行う。
ポンプ42は、1台で液の吸引,混合,圧送(送出)が可能な、例えば過流タービンポンプであり、サブタンク2内に貯留された洗浄液Rを、ゴミ受41を介して循環用供給管4に吸液すると同時に空気を吸引し、加圧しながらノズル44,45に向かって送出する機能を有する。
【0026】
フィルタ43は、ポンプ42で吸引されて循環用供給管4を通過する洗浄液R中の微粉や脂汚れなどの除去を行う。同時に、洗浄液Rに混入したポンプ42の機械的な摺動部から発生した汚れや、磨耗による金属粉なども除去される。
【0027】
ノズル44,45は、例えばスプレイノズルから成り、循環用供給管4の下流側の端部に接続され、フィルタ43において清浄化された洗浄液Rを、洗浄液槽11内に貯留された洗浄液R中に噴射することで、洗浄液槽11内に洗浄液Rを供給すると共に、洗浄液槽11内に洗浄液Rの液流を発生させる。
なお、図1中には二つのノズル44,45を配設した場合を示すが、被洗浄物に応じて一つまたは多数のノズルを、所望の位置に適宜配設することができる。
【0028】
バルブ46,48は、ポンプ42により循環用供給管4に流入または流出する洗浄液Rの流通の開閉を行う開閉弁体である。この内、ポンプ42の下流側に位置するバルブ48は、バルブの開度を変化させることにより、ノズル44,45から噴射する洗浄液Rの流量を調節する流量制御バルブとしての機能を有している。
【0029】
流量計47は、循環用供給管4の管路を通過する洗浄液Rの流量を計測し、その値を表示する機能を有する。
なお、循環用供給管4には、必要に応じ循環用供給管4を通過する洗浄液Rの圧力を測定および表示する圧力計などを配設することができる。
【0030】
次に、サブタンク2内に配設された洗浄液Rの液面高さを調節する液面調節手段としてのオーバーフロー管6について説明する。
図2は、オーバーフロー管の概構成を説明するサブタンクの部分拡大断面図である。
図2において、オーバーフロー管6は、固定筒61と移動筒62とを備え、サブタンク2の底面に固着された固定具23に取り付けられている。
【0031】
オーバーフロー管6の固定筒61には、筒の外周面に半円形状の凹部からなるリング状のノッチ61aが、サブタンク2の鉛直方向における底面からの高さが互いに異なる位置に多数(図示の場合は9つ)が形成されている。また、筒の底面にサブタンク2内に貯留された洗浄液R(図中に二点鎖線で示す)を外部に移送する移送管7が接続されている。
【0032】
移動筒62は、筒の一方の端部(下端部)に鍔状の位置決め部62aを有し、筒の内面が固定筒61の外周面に沿って鉛直方向に移動可能に嵌合している。
位置決め部62aは、鍔平面を略3等分した平面位置に、筒の略中心に向かって外周面から内面に貫通する3つの貫通孔が形成されており、その貫通孔内にボール62b、ボールを押圧するバネ62c、バネの突き当て面を形成するねじ62dを有し、ボール62bがバネ62cによって固定筒61のノッチ61a面に押圧されて、移動筒62が位置決め固定されている。
【0033】
このように構成されたオーバーフロー管6は、サブタンク2の底面に溶接などによってフランジ部が固定(固着)された固定具23の筒状部の内面壁に溶接などによって固着されている。
なお、オーバーフロー管6を構成する固定筒61、移動筒62およびボール62b、バネ62cなどは、ステンレス材で構成されるのが好ましい。
【0034】
サブタンク2の底面に取り付けられたオーバーフロー管6は、固定筒61の外周面に嵌合する移動筒62を、固定筒61に沿って鉛直方向に移動することができる。この移動筒62の移動は、位置決め部62aのボール62bが、バネ62cによって固定筒61の外周面と多数のノッチ61a面との間を、外周面またはノッチ61a面に当接しながら移動し、ボール62bを所望のノッチ61a面内の位置で停止させることによって、移動筒62を位置固定することができる。これによって、移動筒62の鉛直方向の上端位置を、サブタンク2の底面から所定の高さhに調節することができる。
【0035】
こうしたオーバーフロー管6は、サブタンク2の底面から所定の高さhに設定することによって、サブタンク2内に貯留される洗浄液Rの液面Sをオーバーフロー管6と同じ高さhに調節することができる。すなわち、オーバーフロー管6は、サブタンク2に貯留された洗浄液Rの液面高さhを調整することができる液面調節手段である。したがって、以後の説明において移動筒62の所定の高さhを、洗浄液Rの液面高さhと表す場合がある。
【0036】
また、オーバーフロー管6は、サブタンク2からオーバーフローして移動筒62の上端開口部から管内部に流入した洗浄液Rを、固定筒61の底面に接合された移送管7から外部に移送することができる(図中に矢印で示す)。
【0037】
なお、液面調節手段としてのオーバーフロー管6は、サブタンク2に貯留された洗浄液Rの液面高さhを調節することができる構成を備えていれば、どんな構成であっても限定されない。例えば、固定筒と移動筒とが互いに螺旋状の溝で嵌合し、移動筒を回転することによって移動筒の上端位置を鉛直方向に移動するように構成したり、固定筒に対して移動筒を所定の位置にねじ固定したりする構成であってもよい。
【0038】
以上の洗浄ユニット10において、洗浄槽1に供給装置から洗浄液Rを供給する供給管5、サブタンク2内に貯留された洗浄液Rを外部に移送する移送管7、サブタンク2内に洗浄液Rを導入する導入管8およびサブタンク2内の洗浄液Rを排出する排出管21の端部には、所定の配管に接続するためのフランジ付ソケットなどの接続継手を備えている。
【0039】
また、洗浄ユニット10を構成する超音波発振器13、ヒータH、液温センサT1、過昇温度センサT2、ポンプ42などは、図示しない制御部の制御信号により制御される。
洗浄液Rの流量を調節するバルブ48および流量計47については、バルブ48にステッピングモータ駆動バルブなどを用い、流量計47の計測値に基づいて制御部により制御される構成であってもよいし、バルブ48を流量計47の計測値に基づいて手動で開度調節する構成であってもよい。
【0040】
次に、このように構成された洗浄ユニット10の動作について説明する。
洗浄ユニット10は、サブタンク2内に一定量γの洗浄液Rを導入管8から導入しながら、一定量αの洗浄液Rを循環用回収管3および循環用供給管4を介して洗浄槽1とサブタンク2との間を循環させることによって、洗浄槽1において被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rを清浄化すると共に、洗浄槽1に貯留された洗浄液R中に被洗浄物を浸漬して洗浄処理が行われる。この洗浄処理の際に、サブタンク2をオーバーフローした洗浄液Rは、移送管7から外部に移送される。なお、一定量γおよび一定量αとは、1分あたりの供給量および循環量であり、詳細については後述する。
【0041】
被洗浄物の洗浄処理の際に、洗浄ユニット10は、予め洗浄槽1の洗浄液槽11内およびオーバーフロー管6によって液面高さ調節されたサブタンク2内に、洗浄液Rが満杯の状態にして用いられる。
洗浄液Rは、供給管5を図示しない供給装置などに接続して洗浄液槽11に供給され、サブタンク2内には、導入管8を供給装置などに接続したり、洗浄液槽11から循環用回収管3を介したりして供給される。
【0042】
また、洗浄槽1の洗浄液槽11内およびサブタンク2内に貯留された洗浄液Rは、サブタンク2内に配設されたヒータHにより、予め所定の温度に加温される。さらに、被洗浄物の洗浄処理の間、液温センサT1および過昇温度センサT2が稼動して所定の温度に保持される。所定の温度は、洗浄処理する被洗浄物または用いる洗浄液の種類に応じて適宜設定されるが、液温が80℃程度以下で用いられるのが好ましい。
また、被洗浄物の洗浄処理の際には、洗浄液槽11の底面に配設された超音波発振器13が稼動して、洗浄液槽11内に貯留された洗浄液Rに超音波が照射される。
【0043】
こうした状態から、循環用供給管4に配設されたバルブ46が開口操作され、さらにポンプ42が稼動すると、サブタンク2内に貯留された洗浄液Rは、循環用供給管4の上流側の端部に接続されたゴミ受41を介して循環用供給管4の管路内に吸引される。そして洗浄液Rは、フィルタ43、流量計47、バルブ48を通過して、循環用供給管4の下流側の端部に接続されたノズル44,45から、洗浄液槽11内に満杯の状態に貯留された洗浄液R中に噴射しながら供給される。
なお、ノズル44,45から噴射する洗浄液Rの流量は、流量計47の計測値に基づいてバルブ48の開度を変化させて調節することができる。
【0044】
そして、洗浄槽1では、サブタンク2から供給されたと略同容量の洗浄液Rが、洗浄液槽11からオーバーフローして回収槽12に収容される。
そして、回収槽12に収容された洗浄液Rは、回収槽12の底面に設けられた循環用回収管3からサブタンク2に流入して、再びサブタンク2内に貯留される。すなわち、洗浄液Rが、循環用回収管3および循環用供給管4を介して洗浄槽1とサブタンク2との間を循環する。
【0045】
一方、洗浄槽1の洗浄液槽11では、ノズル44,45から噴射された洗浄液Rと、超音波発振器13から照射された超音波によって、洗浄液R中に浸漬された被洗浄物が洗浄処理される。
【0046】
超音波発振器13から照射された超音波は、その物理力により振動して被洗浄物に付着した汚れなどが洗浄(剥離)される。また、ノズル44,45から洗浄液槽11内に貯留された洗浄液R中に噴射された洗浄液Rは、洗浄液槽11内に洗浄液Rの液流を発生させると共に、ポンプ42において混入/加圧された空気の微細気泡により被洗浄物の洗浄効果を相乗的に高めことができる。
【0047】
こうした洗浄液Rの循環によって、被洗浄物の洗浄処理により発生した洗浄液R中の汚れの内、例えば洗浄液R中に含まれる比較的大きな研磨粉や研削屑などの固形物および異物などは、ゴミ受41によって補足される。また、フィルタ43によって、洗浄液R中の微粉や脂汚れ、ポンプ42の機械的な摺動部から発生した汚れなどが除去される。すなわち、洗浄液槽11において被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rが清浄化される。
【0048】
このように構成および動作する同一構成の多数の洗浄ユニット10を並列配置して、洗浄装置100が構成される。
図3は、本実施形態に係る洗浄装置の概略構成を示す模式図である。
図3において、洗浄装置100は、同一構成の多数の洗浄ユニット10が被洗浄物の移動方向(図中に矢印で示すAからB方向)の下流側から上流側に向かって(図中に矢印で示すCからD方向)並列配置されている。
【0049】
なお、本実施形態における洗浄装置100は、同一構成の洗浄ユニット10を4つ並列配置した場合を示し、説明の便宜のために並列配置された4つの洗浄ユニット10を、被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって順に、洗浄ユニット10A、洗浄ユニット10B、洗浄ユニット10C、洗浄ユニット10Dと表す。また、それぞれの洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dを構成する主要の構成部材を、図1および図2に示した各構成部材の符号に、4つの洗浄ユニットの符号10に付した英文字に対応した小文字の英文字を付して表す。
【0050】
洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dは、各洗浄ユニット10を構成するそれぞれのサブタンク2(2a〜2d)の底面位置を略一線の水平線上にして、被洗浄物の移動方向の下流側から上流側(図中に示す矢印のCからD方向)に向かってこの順序に並列配置されている。
【0051】
被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された洗浄ユニット10Aと、洗浄ユニット10Aの下流側に隣り合う洗浄ユニット10Bとは、洗浄ユニット10Aのサブタンク2a内に配設されたオーバーフロー管6aに接続された移送管7aと、洗浄ユニット10Bのサブタンク2bの側壁に取り付けられた導入管8bとが、それぞれの配管の末端に設けられた接続継手同士で接続されている。同様に、洗浄ユニット10Bと洗浄ユニット10Cおよび洗浄ユニット10Cと洗浄ユニット10Dとが、それぞれの移送管7(7b,7c)と導入管8(8c,8d)によって接続されている。
【0052】
また、洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dは、それぞれのサブタンク2(2a〜2d)内に配設されたオーバーフロー管6(6a〜6d)の高さ調節がされて、それぞれのサブタンク2(2a〜2d)内に貯留された洗浄液Rの液面高さh(図2参照)が、洗浄ユニット10Aから洗浄ユニット10Dに向かって順次オーバーフローするように設定されている。
【0053】
一方、洗浄ユニット10Aは、洗浄槽1aの洗浄液槽11aの側壁に設けられた供給管5aが、洗浄液Rを供給する供給装置101に取り付けられた供給管102に接続されている。同様に、洗浄ユニット10B〜洗浄ユニット10Dのそれぞれの洗浄槽1(1b〜1d)の洗浄液槽11(11b〜11d)の側壁に設けられた供給管5(5b〜5d)が、洗浄液Rを供給する供給装置101に連結する配液管路103(図3中に二点鎖線で示す)に接続されている。また、洗浄ユニット10Aのサブタンク2aの側壁に取り付けられた導入管8aも、洗浄液Rを供給する供給装置101に連結する配液管路104(図3中に二点鎖線で示す)に接続している。
【0054】
さらに、被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された洗浄ユニット10Dは、サブタンク2d内に配設されたオーバーフロー管6dに接続された移送管7dが、洗浄液Rを外部に排出するドレイン管路105に接続されている。このドレイン管路105には、洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dのそれぞれのサブタンク2(2a〜2d)の底面に取り付けられた排出管21(21a〜21d)が接続されている。
【0055】
なお、供給装置101に接続された配液管路103は、被洗浄物の洗浄処理に際して、予め洗浄ユニット10B〜洗浄ユニット10Dのそれぞれの洗浄液槽11(11b〜11d)内に、洗浄液Rを供給するための管路である。
【0056】
配液管路104は、同様に被洗浄物の洗浄処理に際して、予め洗浄ユニット10Aのサブタンク2aに洗浄液Rを供給し、その洗浄液Rを洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dのそれぞれのサブタンク2(2a〜2d)内に配設されたオーバーフロー管6(6a〜6d)から、順次オーバーフローさせて、全てのサブタンク2(2a〜2d)内に洗浄液Rを貯留するための管路である。
ドレイン管路105は、洗浄液Rの入れ替えやメンテナンスなどの際に、洗浄ユニット10内の洗浄液Rを全て排出する場合などにも用いられる。
【0057】
このように構成された洗浄装置100は、予め洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dの全ての洗浄液槽11(11a〜11d)およびサブタンク2(2a〜2d)内に、供給装置101に連結された供給管102および配液管路103,104を介して、洗浄液Rが供給されて、貯留される。
【0058】
そして、洗浄ユニット10Aの洗浄槽1aの洗浄液槽11a内に、供給装置101に連結された供給管102から一定量αの洗浄液Rが供給されると共に、上記したように、それぞれの洗浄ユニット10A,10B,10C,10Dにおいて、それぞれの循環用回収管3および循環用供給管4を介して、洗浄槽1とサブタンク2との間を一定量γの洗浄液Rが循環している。
【0059】
こうした洗浄液Rの一定量αの供給および一定量γの循環により、洗浄液槽11a内に供給された一定量αと略同量の洗浄液Rが、洗浄液槽11aからオーバーフローして回収槽12aに収容され、さらに循環用回収管3aを介してサブタンク2a内に再び収容される。
【0060】
一方、サブタンク2aでは、洗浄液槽11aからオーバーフローして再びサブタンク2a内に収容された洗浄液Rと略同じ一定量αの洗浄液Rが、サブタンク2a内に配設されたオーバーフロー管6aからオーバーフローして、互いに接続された移送管7aおよび洗浄ユニット10Bのサブタンク2bの側壁に取り付けられた導入管8bとを介して、洗浄ユニット10Bのサブタンク2b内に移送される。
【0061】
これは、予めオーバーフロー管6aによって高さ調節されたサブタンク2a内に貯留された洗浄液Rの液面高さh1と、サブタンク2b内に貯留された洗浄液Rの液面高さh2とが落差δを有することにより、落差δ分の洗浄液Rが、その自重によりサブタンク2a内からサブタンク2b内に移送される。
【0062】
そして、洗浄ユニット10Bでは、洗浄ユニット10Aのサブタンク2a内から移送された一定量αを含む洗浄液Rが、洗浄槽1b(洗浄液槽11b)とサブタンク2bとの間を一定量γで循環しながら、洗浄ユニット10Aの場合と同様に、一定量αの洗浄液Rが、サブタンク2b内に配設されたオーバーフロー管6bからオーバーフローして、互いに接続された移送管7bと導入管8cを介して、洗浄ユニット10Cのサブタンク2c内に移送される。
【0063】
そして、洗浄ユニット10Cでは、洗浄ユニット10Bと同様に、洗浄ユニット10Bのサブタンク2b内から移送された一定量αを含む洗浄液Rが、洗浄槽1c(洗浄液槽11c)とサブタンク2cとの間を一定量γで循環しながら、一定量αの洗浄液Rが、サブタンク2c内に配設されたオーバーフロー管6cからオーバーフローして、互いに接続された移送管7cと導入管8dを介して、洗浄ユニット10Dのサブタンク2d内に移送される。
【0064】
洗浄ユニット10Dでは、洗浄ユニット10C,10Bと同様に、洗浄ユニット10Cのサブタンク2c内から移送された一定量αを含む洗浄液Rが、洗浄槽1d(洗浄液槽11d)とサブタンク2dとの間を一定量γで循環しながら、一定量αの洗浄液Rがサブタンク2d内に配設されたオーバーフロー管6dからオーバーフローして、オーバーフロー管6dに接続する移送管7dを介してドレイン管路105に排出される。
【0065】
このように、並列配置された洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dは、オーバーフロー管6(6a〜6d)によってそれぞれ所定の液面高さhに調節されたサブタンク2(2a〜2d)内から、一定量αの洗浄液Rが、洗浄ユニット10Aから洗浄ユニット10Dに向かって(被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって)順次オーバーフローして移送される。
【0066】
すなわち、洗浄装置100は、同一構成の多数の洗浄ユニット10が被洗浄物の移動方向(図中に示す矢印のAからB方向)に沿って並列配置され、多数の洗浄ユニット10のそれぞれのサブタンク2が、被洗浄物の移動方向の下流側から上流側(図中に示す矢印のCからD方向)に向かってカスケード結合された多段向流式の洗浄装置である。
【0067】
この洗浄装置100における洗浄処理は、被洗浄物を洗浄ユニット10D〜洗浄ユニット10Aのそれぞれの洗浄槽1(1d〜1a)の洗浄液槽11(11d〜11a)において洗浄される。
先ず、被洗浄物を洗浄ユニット10Dの洗浄槽1dの洗浄液槽11dに貯留された洗浄液R中に浸漬して洗浄処理した後、洗浄ユニット10C、洗浄ユニット10B、洗浄ユニット10Aの順に、それぞれの洗浄槽1(1c〜1a)の洗浄液槽11(11c〜11a)内に貯留された洗浄液R中に浸漬して洗浄処理される。被洗浄物の洗浄ユニット間移動および洗浄液Rの浸漬操作は、ハンドリングしたり、搬送装置を用いたりして行うことができる。
【0068】
なお、被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された洗浄ユニット10Aの洗浄液槽11aに供給される洗浄液Rの一定量α、すなわちサブタンク2aよりオーバーフローする洗浄液Rの一定量αと、それぞれの循環用回収管3および循環用供給管4を介して洗浄槽1とサブタンク2との間を循環する洗浄液Rの一定量γは、被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された洗浄ユニット10Dのサブタンク2d内に貯留される洗浄液Rの容量βおよび循環用回収管3上に配設されたポンプ42の性能(送出能力)を考慮して、以下に示す一般式(1)の関係を有するように設定するのが好ましい。
【0069】
β+γ>α…(1)
但し、一定量αおよび一定量γは、1分あたりの量を表す。
【0070】
洗浄装置100は、この一般式(1)に基づいて、例えば、サブタンク2(2a〜2d)に貯留される洗浄液Rの容量は、サブタンク2aから順に、略37l(リットル)、略34l、略31l、略28lである。すなわち、被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された洗浄ユニット10Dのサブタンク2d内の洗浄液Rの容量βは28lである。
【0071】
また、洗浄ユニット10Aの洗浄液槽11aに供給される洗浄液Rの一定量α、すなわちサブタンク2aよりオーバーフローする洗浄液Rの一定量αは、5l/minであり、それぞれ洗浄ユニット10(10A〜10D)の循環用回収管3および循環用供給管4を介して洗浄槽1(洗浄液槽11)とサブタンク2との間を循環する洗浄液Rの一定量γは、30l/minである。
【0072】
そして、洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dの洗浄槽1(1a〜1d)の洗浄液槽11(11a〜11d)に貯留された洗浄液Rの容量は、例えば50l(リットル)である。この洗浄液槽11に貯留される洗浄液Rの容量は、洗浄処理される被洗浄物の種類または洗浄処理の処理形態によって適宜設定することができる。
【0073】
この一般式(1)に基づいた設定によれば、被洗浄物の洗浄処理中において、最も容量βの少ない洗浄ユニット10Dのサブタンク2d内に、洗浄液Rが常時、満杯状態に維持される。したがって、全ての洗浄ユニット10(10A〜10D)において、洗浄槽1(1a〜1d)の洗浄液槽11(11a〜11d)において被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rが、洗浄槽1とサブタンク2(2a〜2d)との間を、常時途切れることなく循環して、洗浄液Rをより清浄化することができる。
【0074】
このように構成された洗浄装置100は、洗浄液Rとして純水または超純水を用い、被洗浄物として眼鏡レンズをはじめとする各種レンズやプリズムなどの光学物品の洗浄処理に好ましく用いることができる。特に、樹脂などの有機系材料を含む基材によって構成された光学物品において特に有効である。それは、形状創成後の切断や周縁部の研削・研磨によって付着した研磨剤などの無機粒子や、ハンドリングなどで付着したや脂汚れなどの有機物を、純水または超純水中に分散して容易に除去することができる。
【0075】
一例として、プラスチック眼鏡レンズにおける洗浄処理について説明する。
プラスチック眼鏡レンズ(以後眼鏡レンズと表す)は、例えば成形型に注入されたチオウレタン系樹脂より成る重合性組成物を重合硬化した後に、レンズ面や周縁部の研削・研磨などの加工が行われる。そして、洗浄液Rとして純水または超純水を用い、サブタンク2内に配設されたヒータHにより、洗浄液Rの液温を50℃程度に加温すると共に、洗浄液槽11の底面に設けられた超音波発振器13の発振周波数を15KHz〜50KHz程度に設定する。
【0076】
そして、研削・研磨などの加工が行われた眼鏡レンズを、洗浄ユニット10Dの洗浄槽1d(洗浄液槽11d)内に貯留された洗浄液R中に所定時間浸漬して洗浄処理した後、洗浄槽1d内から引き上げる。そして、同様の操作で洗浄ユニット10Cの洗浄槽1c、洗浄ユニット10Bの洗浄槽1b、洗浄ユニット10Aの洗浄槽1aの順に眼鏡レンズが洗浄処理される。
【0077】
こうしたそれぞれの洗浄槽1(洗浄液槽11)での洗浄処理の際には、ノズル44,45から噴射される洗浄液Rの液流が、眼鏡レンズの表面を通過するように、ノズル44,45を配置するのが好ましい。また、眼鏡レンズは、洗浄液槽11(11a〜11d)に貯留された容量が50l程度の洗浄液Rに対して、例えば洗浄籠などに整列配置された数量20個程度を洗浄処理するのが望ましい。
【0078】
以上の洗浄装置100によれば、被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された洗浄ユニット10Dの洗浄液槽11dに貯留された洗浄液Rの汚染具合が最も高く(清浄度が最も低く)、被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された洗浄ユニット10Aの洗浄液槽11aに貯留された洗浄液Rの汚染具合が最も低く(清浄度が最も高く)なっているが、最下流側の洗浄ユニット10Aに、新たな洗浄液Rを一定量αで供給し、カスケード結合されたサブタンク2(2a〜2d)のサブタンク2a〜サブタンク2dに向かって、より清浄度が高い洗浄液Rが順次移送されるので、優れた洗浄品質の被洗浄物が得られる。
【0079】
また、洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dのそれぞれの洗浄槽1(1a〜1d)の洗浄液槽11(11a〜11d)において被洗浄物の洗浄処理に使用された洗浄液Rが、循環用回収管3および循環用供給管4を介して洗浄槽1とサブタンク2との間を一定量γで循環することによって清浄化されるので、被洗浄物の洗浄品質がより高められる。
【0080】
さらに、洗浄ユニット10A〜洗浄ユニット10Dのそれぞれのサブタンク2が、カスケート接合されているので、それぞれのサブタンク2からオーバーフローする洗浄液Rを、ポンプなどを配設することなく、サブタンク2a〜サブタンク2dに向かって順次移送することができる。
【0081】
さらにまた、サブタンク2内にオーバーフロー管6が配設されていることによって、サブタンク2からオーバーフローする洗浄液Rの液面高さhを容易に調節することができる。よって、同一構成の洗浄ユニット10を所望の数量並列配置することで、各種の被洗浄物または多用な洗浄システムに対応した洗浄装置を容易に構築することができる。また、洗浄ユニット10の配置を任意に変更することもできるし、別の洗浄ユニット10を洗浄装置100に併設して被洗浄物のリンス処理に用いることもできる。これにより、被洗浄物の効率的な洗浄処理を可能にして、装置コストおよび洗浄コストの低減に寄与することができる。
【0082】
また、洗浄液Rとして純水または超純水を用い、眼鏡レンズを含む各種レンズを洗浄処理することで、形状創成後の切断や周縁部の研削・研磨によって付着した研磨剤などの無機粒子や、ハンドリングなどで付着したや脂汚れなどの有機物を、純水または超純水中に分散して容易に除去することができる。
【0083】
以上の実施形態において、洗浄装置100を用いた洗浄処理の一例として、被洗浄物のプラスチック眼鏡レンズに、洗浄液Rとして純水または超純水を用いた場合を例示したが、これに限定されない。特に他の洗浄液Rとしては、界面活性剤などを含む水系中性洗浄剤入りの洗浄水、浄水などを挙げることができる。但し、洗浄液Rに水系中性洗浄剤を含む場合には、水質汚濁防止法などの法令に従った排水処理を行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る洗浄装置を構成する洗浄ユニットの概略構成を示す模式図。
【図2】オーバーフロー管の概構成を説明するサブタンクの部分拡大断面図。
【図3】本実施形態に係る洗浄装置の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0085】
1(1a〜1d)…洗浄槽、2(2a〜2d)…サブタンク、3…循環用回収管、4…循環用供給管、5…供給管、6(6a〜6d)…オーバーフロー管、7(7a〜7d)…移送管、8(8a〜8d)…導入管、10(10A〜10D)…洗浄ユニット、11(11a〜11d)…洗浄液槽、12…回収槽、13…超音波発振器、21…排出管、23…固定具、41…ゴミ受、42…ポンプ、43…フィルタ、44,45…ノズル、46,48…バルブ、47…流量計、61…固定筒、62…移動筒、100…洗浄装置、101…供給装置、102…供給管、103,104…配液管路、105…ドレイン管路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に洗浄液を貯留して被洗浄物を洗浄処理する洗浄槽と、前記洗浄槽と循環管路で連通し前記洗浄液を貯留するサブタンクと、前記循環管路上設けられた前記サブタンク内の前記洗浄液を前記洗浄槽内に送出するポンプおよび前記洗浄液を清浄化するフィルタと、前記サブタンクに接続されて前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液を移送する移送管と、を備えた同一構成の多数の洗浄ユニットが、前記被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって前記移送管を介して前記サブタンクが順次接続されて並列配置された洗浄装置であって、
前記洗浄ユニットは、前記サブタンク内に、該サブタンク内に貯留された前記洗浄液の液面高さを調節する液面調節手段を備え、
前記被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された前記洗浄ユニットに前記洗浄液が供給されると共に、前記洗浄液が前記循環管路を介して前記洗浄槽と前記サブタンクとの間を循環して、前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液が前記被洗浄物の移動方向の下流側から上流側に向かって順次オーバーフローするように、前記洗浄液の液面高さが前記液面調節手段により調節されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置であって、
前記サブタンク内よりオーバーフローした前記洗浄液は、前記液面調節手段により調節された前記サブタンク内の前記洗浄液の液面高さの差により、前記被洗浄物の移動方向の上流側の前記サブタンク内に順次移送されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄装置であって、
前記洗浄液が、前記被洗浄物の移動方向の最下流側に配置された前記洗浄ユニットの前記洗浄槽に一定量α供給され、
前記被洗浄物の移動方向の最上流側に配置された前記洗浄ユニットの前記サブタンク内に貯留された前記洗浄液の容量βと、前記循環管路を介して前記洗浄槽と前記サブタンクとの間を循環する前記洗浄液の一定量γが、以下に示す一般式(1)の関係を有するように設定されていることを特徴とする洗浄装置。
β+γ>α…(1)
但し、αおよびγは、1分あたりにおける量を示す。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄装置において、
前記洗浄液が純水または超純水であり、前記被洗浄物がレンズであることを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−214024(P2009−214024A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60638(P2008−60638)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】