説明

洗浄装置

【課題】微細気泡を用いた効率的な洗浄を行うと共に、洗浄液の清浄度を確保可能な洗浄装置を得る。
【解決手段】第1および第2の仕切り11、12により形成された旋回状の流路部14を有する洗浄槽10と、旋回状の流路部14に微細気泡と洗浄液の混合による流れを発生させ、旋回状の流路部14内で被洗浄物を洗浄する気液混合エジェクタ20と、洗浄後の洗浄液から油脂や異物などを分離する油水分離槽50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細金属粉および金属粒などを、気泡を含む洗浄液を用いて洗浄する洗浄装置に関するものである。主として切削屑などの脱脂洗浄に関するものであるが、これに限定されるものではなく、例えば小型ベアリング球、子ネジ、小型設定材などの微細な金属加工品に付着する油脂や粉塵などの除去洗浄にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
過去、工業洗浄の分野ではフロン系の溶剤や有機溶剤、そのほか炭化水素系などの洗浄剤が用いられてきた。その結果、オゾン層の破壊や地下水、河川、海洋汚染などの環境問題を誘起することが明らかにされてきた。そのため、環境負荷低減の目的からこれらの洗浄剤を用いない洗浄方法および洗浄装置の開発が進められている。また、被洗浄物としては、金属加工物をはじめとする部品、製品のみならず、これらの加工時に発生する切削屑などについても、環境負荷に配慮した廃棄あるいは再利用が進められ、金属の粉体・粒体状の被洗浄物を効率的に洗浄できる装置が望まれている。
【0003】
切削屑などの金属粉や金属粒を洗浄する方法としては、従来からイソプロピルアルコールまたはアセトンで洗浄することにより脱脂するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では洗浄のための溶剤としてイソプロピルアルコールやアセトンという有機溶剤を使用しており、これらの有機溶剤がオゾン層の破壊や地下水、河川、海洋汚染などの環境問題を誘起することが明らかにされてきた昨今、環境負荷低減の目的から、これらの洗浄剤を用いない洗浄方法および洗浄装置が望ましい。
【0004】
これらの観点から、水と微細気泡により被洗浄物に付着した油脂などを除去する技術として、被洗浄物を収納する被洗浄物容器を洗浄液に浸漬し、当該被洗浄物容器を回転させながら気泡発生部から噴出する微細気泡と洗浄液の混合体を被洗浄物に接触させることによって被洗浄物に付着した油脂などを除去する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、特許文献2に開示された装置では被洗浄物を被洗浄物容器に収容して洗浄する必要があり、切削屑などの微細な金属粉状の被洗浄物を洗浄するには、被洗浄物容器の網目が微細になり、微細気泡と洗浄液が被洗浄物に接触する速度が阻害され洗浄能力が低下するという問題があった。また、この種の装置では、洗浄後に洗浄物容器を引き上げて搬出する必要があり、洗浄液の上部に浮上し残留している油脂分を含む気泡との接触による再付着の問題があった。さらに、一定量の被洗浄物を被洗浄物容器に入れて洗浄するため、洗浄処理はバッチ処理となり、被洗浄物の出し入れに人手が必要となるという問題があった。
【0006】
連続処理を可能とし自動化するための装置としては、傾斜したエンドレスチェーンコンベアに切削屑を収容する洗浄カゴを取付け、これを間欠的に移動させて無機水溶液浸漬、散水洗浄、脱水の工程を順次処理する装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−055783号公報
【特許文献2】特開2005−296786号公報
【特許文献3】特開平07−258874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の洗浄装置は以上のように構成されているので、連続処理を可能として自動化する装置では、多段階の処理を順次実施するため処理段階ごとに水槽設備が必要となり、設備全体が大型になるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、微細気泡を被洗浄物に直接接触させて洗浄を効果的に行い、かつ、被洗浄物から剥離され洗浄液に混合した油脂などと洗浄液とを速やかに分離して洗浄液の清浄度を確保すると共に、人手を介さない連続自動運転が可能な洗浄装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る洗浄装置は、仕切り部材により形成された旋回状の流路部を有する洗浄槽と、前記旋回状の流路部に微細気泡と洗浄液の混合による流れを発生させ、前記旋回状の流路部内で被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄後の洗浄液から油脂や異物などを分離する油水分離手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、仕切り部材により形成された旋回状の流路部を有する洗浄槽と、旋回状の流路部に微細気泡と洗浄液の混合による流れを発生させ、旋回状の流路部内で被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、洗浄後の洗浄液から油脂や異物などを分離する油水分離手段とを備えるように構成したので、特別な攪拌手段や加速手段、被洗浄物を保持するための保持手段を設けることなく簡易な構成により効率的、かつ連続的に被洗浄物の洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る洗浄装置の構成を示す部分断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る洗浄槽の構成を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る負圧発生手段の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る洗浄装置の微細気泡と旋回流の流れを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係る洗浄装置の構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態6に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る洗浄装置の構成を示す断面図であり、図2は、この発明の実施の形態1に係る洗浄装置の構成を示す部分断面図である。なお、以下では、主として金属切削屑などを被洗浄物とする洗浄に最適な実施例を示すが、被洗浄物はこれに限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1の洗浄装置は、円筒形状を有し被洗浄物を洗浄する洗浄槽10、気液混合エジェクタ(洗浄手段)20、被洗浄物と洗浄液を混合する混合槽30、洗浄槽10の上部外側に配置されるオーバーフロー槽40、洗浄後の洗浄液を分離する油水分離槽(油水分離手段)50、および被洗浄物の水切りを行う水切り槽60などで構成される。洗浄槽10は円筒形状の軸方向の中央部付近に中央に開口部を有する第1の仕切り11および第2の仕切り12を有している。洗浄槽10内部に、第1の仕切り11および第2の仕切り12を設けることにより被洗浄物が旋回しながら通過する旋回状の流路部14が形成される。洗浄槽10上部にはメッシュ状の微細な穴をもつ板状の微細メッシュ部材15が設置されており、微細気泡と一緒に被洗浄物が上昇し、洗浄槽10外へ流れてしまうのを防ぐ。
【0015】
ここで、微細気泡とは、球状となる微細な気泡のことである。微細気泡と異なる通常の大きな気泡は、水中を浮上するときに受ける水からの抗力によって球状ではなく歪んだ形となる。これに対して、微細気泡は、気泡内部の圧力が高いため水の抗力による歪みがなく球状となることが広く知られている。具体的には、気泡径dが1mm以下となる場合に気泡は球状となる。さらに洗浄液には、微細気泡を安定に維持する効果を有するアルコール系化合物や界面活性剤などの添加剤を添加している。例えば、添加剤の具体例としては、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち、分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち、分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、分子内にエステル基を持ち、分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、あるいは、分子内にスルホン酸基を持ち、分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質が挙げられる。これらの添加剤を、洗浄液中に微量添加(0.001mol/L以上1mol/L以下)することにより、微細気泡を安定に維持する効果を発揮する。
【0016】
また、第1の仕切り11の開口部の面積は、第2の仕切り12の開口部の面積よりも大きくなるように形成されている。これにより、旋回状の流路部14の上側の洗浄液の旋回を激しく、下側の洗浄液の旋回を緩やかに構成することができる。さらに、第2の仕切り12は、外周面に洗浄槽10の内周壁との間に複数の外周開口部13を形成する凹部を有している。
【0017】
気液混合エジェクタ20は、洗浄槽10の外部から内周壁に沿う方向に挿通するように配設されている。気液混合エジェクタ20は両端に開口部が形成され、一方の開口部は洗浄槽10内に位置している。他方の洗浄槽10の外側に位置する開口部は、圧縮水導入管21を介して水ポンプ22が接続され、圧縮空気導入管23を介して空気ポンプ24が接続されている。この水ポンプ22および空気ポンプ24を用いることにより、洗浄槽10の旋回状の流路部14に気液混合体を噴出させて旋回流を形成するように構成されている。また、気泡混合エジェクタ20と圧縮水導入管21の接続口の近傍には、微細な被洗浄物が混入して詰まった場合などに自動的に詰まりを検知する詰まり検知部25が設けられている。さらに、気泡混合エジェクタ20と圧縮空気導入管23の接続口の近傍には、洗浄液の逆流を防ぐための逆止弁26が設けられている。
【0018】
図3は、この発明の実施の形態1に係る洗浄槽の構成を示す図である。気液混合エジェクタ20は、一個乃至複数個を配置する。図3の例では、気液混合エジェクタ20を洗浄槽10の外周に対して等間隔に4箇所設け、洗浄槽10の内側に位置する開口部を全て反時計周り方向に向けて配置している。このように配置することにより、水ポンプ22および空気ポンプ24を用いて気液混合体を噴出させると、矢印Aで示す反時計周りの旋回流が形成される。なお、気液混合エジェクタ20へ供給する空気は空気ポンプ24による圧縮空気の他、気液混合エジェクタ20の絞り構造の効果による自然吸気による方法としてもよい。第2の仕切り12の外周開口部13は、外周部に等間隔に4箇所設けられている。
【0019】
混合槽30は、上部から導入される被洗浄物と洗浄液を混合する槽である。混合槽30は、洗浄槽10の第1の仕切り11の上部と連通する混合槽連通管31を有し、この混合槽連通管31を介して洗浄槽10内の洗浄液を混合槽30内に取り込む。また、混合槽30下部から延びる被洗浄物投入管(被洗浄物投入手段)32によって洗浄槽10内の旋回状の流路部14と連通している。この被洗浄物投入管32の洗浄槽10内に位置する開口部(被洗浄物投入口)には負圧発生手段33が設けられている。
【0020】
図4は、この発明の実施の形態1に係る負圧発生手段の構成を示す図である。図4(a)に示す負圧発生手段33aは、流線形状の覆いであり、洗浄槽10内部に挿入された被洗浄物投入管32の先端開口部を覆うように配設し、旋回状の流路部14の旋回流Aの下流側を開口して設けている。また、図4(b)に示す負圧発生手段33bは、被洗浄物投入管32の先端開口部付近の洗浄槽10の内周壁に設けられた凹部である。この凹部を旋回流Aが通過する際に局部的に旋回流速が低下し、負圧が発生する。このように、負圧発生手段33は、旋回状の流路部14に負圧を発生させる構成であれば適宜変更可能である。
【0021】
オーバーフロー槽40は、洗浄槽10の上部外側に配置され、洗浄槽10と同様に円筒形状を有している。このオーバーフロー槽40は、洗浄槽10の上端部から溢れ出る洗浄液を受け止め、受け止めた洗浄液を送液管41を介して油水分離槽50に排出する。
【0022】
油水分離槽50は、第1の仕切り板51と第2の仕切り板52により第1分離槽53、第2分離槽54、第3分離槽55の少なくとも3槽に分離して構成される。第1の仕切り板51は油水分離槽50の底部に接合され、第1分離槽53と第2分離槽54は上部で連通している。第2の仕切り板52は油水分離槽50の底部に接合されておらず、第2の分離54と第3の分離槽55が下部で連通している。これらの構成により、油脂分が第1分離槽53および第2分離槽54の上部に留まり、油脂分を含まない洗浄液を第3分離槽55に溜めることができる。第3分離槽55の中央部付近に水ポンプ22に接続された排出管56が挿入され、第3分離槽55の油脂分を含まない洗浄液を洗浄槽10内へ循環させることができる。また、第2分離槽54には水平方向の仕切り板57が設置され、気泡巻き込みを防止する。
【0023】
洗浄槽10の下部は円錐状に絞られ、円錐状の先端部分に略L字形状に形成した被洗浄物溜まり16、この被洗浄物溜まり16の先端部分には、搬出量調節絞り17aを有し、洗浄後の被洗浄物を洗浄液と共に洗浄槽10外部に搬出する搬出口17が形成されている。搬出量調節絞り17aは、洗浄槽10に投入される被洗浄物の量と、気液混合エジェクタ20から流入する洗浄液の量に基づき搬出量を調節するための絞りである。
【0024】
搬出口17の下方には、搬出された被洗浄物と洗浄液の混合体から被洗浄物を濾し取るフィルタ61を有する水切り槽60が配設されている。このフィルタ61には振動印加部62が付属されている。これにより、フィルタ61による水切りが促進される。また、水切り層60には、水洗が必要な場合のためのすすぎ水供給部63、および被洗浄物の乾燥性向上のための乾燥ブロア64が設けられている。さらに、水切り槽60の底部付近に排出管65が挿入されている。フィルタ61により水切りされて回収された洗浄液が、排出管65およびこの排出管65が接続されている循環ポンプ66を介して、油水分離槽50の第1分離槽53に導入される。
【0025】
次に、この実施の形態1に係る洗浄装置の動作について説明する。図3で示したように気液混合エジェクタ20は、円筒状の洗浄槽10の内周に沿って4箇所に取り付けられているため、この気液混合エジェクタ20から噴出する洗浄液と微細気泡の混合体は、旋回状の流路部14内で激しく旋回する気液混合流体となる。一方、混合槽30の上部から被洗浄物が投入されると、旋回状の流路部14に連通する被洗浄物投入管32と旋回状の流路部14に設けた負圧発生手段33により発生する負圧の効果によって、混合槽30内の被洗浄物と洗浄液の混合体が洗浄槽10内へ吸引され、旋回状の流路部14内へ投入される。また、混合槽連通管31を介して洗浄液が混合槽30に流入し、混合槽30内部で洗浄液と被洗浄物が混合される。
【0026】
旋回状の流路部14内に投入された被洗浄物は、気液混合エジェクタ20から供給される高速の洗浄液および微細気泡と激しく衝突しながら、付着した油脂分が剥離され微細気泡に吸着されていく。これにより、特別な攪拌手段や加速手段を設けることなく、短時間で効率的に被洗浄物を洗浄することができる。
さらに洗浄効果を高めるためには旋回状の流路部14の角度を適宜変更できようにしておくとよい。これは微細気泡と被洗浄物との接触確率を向上させるためである。また旋回状の流路部14に流れを乱すための部材、たとえば平板などを部材に対して数10度以上、90度以下の角度で設置してもよい。これにより、前述のように流れを乱す以外に、被洗浄物が一時的に平板でせき止められ、その間に微細気泡が接触することで洗浄力が高まる効果にもつながる。
【0027】
旋回状の流路部14内では、洗浄液と微細気泡および被洗浄物の旋回に伴って、油脂分を吸着した微細気泡は水との比重差による効果に伴い旋回流の中央部分に集積し、旋回状の流路部14の上側に設けた第1の仕切り11の中央開口部から洗浄槽10の上部に向かって上昇する。
【0028】
一方、旋回状の流路部14内を旋回する被洗浄物は水との比重差による効果に伴い、旋回状の流路部14の外周部分を旋回すると共に、旋回状の流路部14の下側に設けた第2の仕切り12の外周開口部13から洗浄槽10の下部に向かって沈降する。このように、被洗浄物は旋回状の流路部14を旋回しながら洗浄され、油脂を含む気泡は旋回状の流路部14の上側へ、洗浄された被洗浄物は旋回状の流路部14の下側に分離されることにより、洗浄後の被洗浄物への油脂の再付着を抑制することができる。
【0029】
次に、旋回状の流路部14の上側に移動した微細気泡と旋回流の動きについて説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係る洗浄装置における微細気泡と旋回流の流れを示す図である。洗浄槽10上部では、旋回状の流路部14の上側に位置する第1の仕切り11の中央開口部を通じて旋回状の流路部14の高速旋回流につれて旋回する流れが発生する。図4に示すように、この旋回流は洗浄液が旋回の外側に分布し、気体が旋回の中央部に分布する気液二層流となるため、油脂を含む微細気泡は中央部に集積されて上昇する。旋回流の水面に達した微細気泡は、洗浄槽10の上端外周部へ向かう水の流れに乗って洗浄槽10の上端からオーバーフロー流となってオーバーフロー槽40へ流出する。このように、油脂を含む微細気泡は速やかにオーバーフロー槽40へ移動するため、効果的に油脂分を排出することができ、常に洗浄液を清浄に保つことができる。
【0030】
オーバーフロー槽40へ流入した洗浄液は、送液管41を介して油水分離槽50へ導入される。第1分離槽53では、流入する洗浄液の勢いが強く洗浄液が攪拌される。第1分離槽53と第2分離槽54は第1の仕切り板51によって仕切られているため、第2分離槽54内の洗浄液は静置された状態となり、洗浄液に含まれる油脂分および油脂分を吸着した気泡は第2分離槽54の表面に浮上する。
【0031】
一方、第2分離槽54の底部にある浄化された洗浄液は第2の仕切り板52の下部を通じて第3分離槽55へ流入する。浮遊する油脂分を含む気泡が取り除かれた第3分離槽55では、その中央付近に挿入された排出管56により油水分離槽50の外部へ取り出され、水ポンプ22により気液混合エジェクタ20へ循環される。これにより、気液混合エジェクタ20から噴出される洗浄液は常に清浄が保たれる。なお、油水分離槽50の第1分離槽53および第2分離槽54の上部表面に浮遊する油脂分は、オイルスキマーあるいは油膜層排出経路などによる公知の方法により回収することができる。
【0032】
次に、洗浄槽10の下側に移動した被洗浄物の搬出動作について説明する。旋回状の流路部14の下側に位置する第2の仕切り12に設けた外周開口部13を経て洗浄槽10の下側に移動した洗浄後の被洗浄物は、緩やかに旋回しながら洗浄槽10下部の被洗浄物溜まり16に沈降する。沈降した被洗浄物は、搬出量調節絞り17aにより洗浄液と共に搬出口17から水切り槽60へ流出する。搬出量調節絞り17aは、少なくとも気液混合エジェクタ20からの洗浄液の流入量よりも少ない量の流出量に調節する。また、洗浄槽10への被洗浄物の投入量は、被洗浄物溜まり16に被洗浄物が滞らない程度に調節することが望ましい。
【0033】
水切り槽60へ流出した被洗浄物は、水切り槽60の上部に設けたフィルタ61により水切りが行われる。また、水切り槽60の下部に溜まった洗浄液は、排出管65から排出され、循環ポンプ66を経由して油水分離槽50の第1分離槽53に循環される。なお、水切り槽60の排出管65の内側に仕切り板を設けてもよく、この仕切り板により、汚れや小さな異物を含んだ洗浄液が循環ポンプ66を介して油水分離槽50に循環されることを防ぐことができる。また、循環ポンプ66を設けることなく、水切り槽60と油水分離槽50の設置位置の高低差により自然流下する方法で構成してもよい。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、洗浄槽10内に少なくとも2枚以上の仕切り11,12を設け、当該仕切り11,12によって形成される旋回状の流路部14内に被洗浄物を投入して旋回状の流路部14を旋回する洗浄液および微細気泡が直接接触させ、さらに気液混合エジェクタ20から噴出する気液混合体の流速によって旋回流を発生させ、微細気泡と被洗浄物が激しく接触するように構成したので、特別な攪拌手段や加速度手段を設けることなく簡単な構成により効率的に被洗浄物の洗浄を行うことができる。
【0035】
また、この実施の形態1によれば、第1の仕切り11の中央に開口部を設け、旋回状の流路部14の上側に気液二層流を発生させるように構成したので、油脂分を吸着した微細気泡は洗浄槽10の中心部に集まって上昇し、洗浄槽10水面に達した時に洗浄槽10上端外周部へ向かう水流に乗って移動し、速やかにオーバーフローさせることができる。これにより洗浄に寄与する旋回状の流路部14内の洗浄液を常に清浄な状態に保つことができる。
【0036】
さらに、この実施の形態1によれば、旋回状の流路部14の上側に位置する第1の仕切り11中央の開口部を、旋回状の流路部14の下側に位置する第2の仕切り12中央の開口部より大きくなるように構成したので、旋回状の流路部14の上側の洗浄液の旋回を激しく、下側の洗浄液の旋回を緩やかにすることができ、被洗浄物から剥離された油脂分の上昇および排出を促進すると共に、被洗浄物が沈降し易くなる。
【0037】
さらに、この実施の形態1によれば、第1の仕切り11および第2の仕切り12の中央に開口部を設け、さらに第2の仕切り12の外周部に外周開口部13を設け、旋回状の流路部14上側では気液二層流となって油脂分を含む気泡は第1の仕切り11の開口部を上昇すると共に、旋回状の流路部14内の外周部では遠心力によって被洗浄物が外周部を旋回しながら外周開口部13から沈降するように構成したので、被洗浄物への油脂分の再付着を回避すると共に、有効に油脂分と被洗浄物を分離することができる。
【0038】
さらに、この実施の形態1によれば、油水分離槽50を少なくとも3つに分割して第1から第3分離槽53,54,55を形成し、オーバーフロー槽40から流入する洗浄液を一旦第1分離槽53で受け入れるように構成したので、洗浄液の受け入れの際に生じる洗浄液の攪拌を第1分離槽53内に留めることができ、第2分離槽54では安定した油脂分の浮上分離を行うことができる。
【0039】
さらに、この実施の形態1によれば、第2分離槽54と第3分離槽55は槽の底部で連通するように構成しているので、第2分離槽54では油脂分が浮上し、第2分離槽54の底部に位置する清浄な洗浄液のみが第3分離槽55へ流出するので、洗浄槽10に清浄な洗浄液を循環させることができる。
【0040】
さらに、この実施の形態1によれば、洗浄槽10外部で被洗浄物と洗浄液を混合する混合槽30と、当該混合槽30と洗浄槽10を接続する被洗浄物投入管32の洗浄槽10側開口部付近に負圧発生手段33を設けて、被洗浄物と洗浄液の混合体を洗浄槽10内に吸入するように構成したので、特別な投入機構を用いることなく被洗浄物を洗浄槽10内の旋回状の流路部14へ投入することができる。
【0041】
さらに、この実施の形態1によれば、洗浄槽10下部を円錐形状または角錐状に絞り、下端に被洗浄物溜まり16、当該被洗浄物溜まり16から洗浄槽10外部に突出した搬出口17と流出量を調節する搬出量調節絞り17aを設け、洗浄液と被洗浄物の混合体を搬出するように構成したので、特別な搬出機構を設けることなく簡易な構成で洗浄装置を自動化運転させることができる。
【0042】
さらに、この実施の形態1によれば、洗浄液と共に搬出される被洗浄物を受ける水切り槽60を設け、当該水切り槽60内にフィルタ61を配設するように構成したので、簡易な構成により被洗浄物に付着した水を除去することができる。
【0043】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。以下では、実施の形態1に係る洗浄装置の構成要素と同一部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
この実施の形態2の洗浄装置では、混合槽30への被洗浄物の投入を、例えばスクリュー式の搬入機構70により連続的に行うように構成している。また、被洗浄物溜まり16に溜まった被洗浄物の回収を、例えばスクリュー式の搬出機構18により連続的に行うように構成している。
【0044】
搬入機構70は、混合槽30の上部に設けられ、底部にモータ71により駆動するスクリュー72を有し、上部から導入される被洗浄物をこのスクリュー72の駆動により連続的に混合槽30に投入する。スクリュー72の回転速度を調整することにより混合槽30に投入する被洗浄物の量を制御し、旋回状の流路部14内の水流速度と被洗浄物の割合を最適に保つことができ、最大の洗浄能力を引き出すことができる。混合槽30の底部には新たに圧縮空気を吹き込む吹込口34を設けている。この吹込口34から圧縮空気を吹き込むことにより混合槽30内の洗浄液と被洗浄物を常に攪拌する状態となり、被洗浄物投入管32へ速やかに被洗浄物を流入させることができる。
【0045】
搬出機構18は、被洗浄物溜まり16の略L字状の底部にモータ18aにより駆動するスクリュー18bを設けて構成している。これにより被洗浄物溜まり16の被洗浄物を連続的に回収することができる。さらに、混合槽30に設けた搬入機構70と連動させ、旋回状の流路部14内の水流速度と被洗浄物の割合を最適に保つことができる。
【0046】
以上のように、この実施の形態2によれば、混合槽30の上部に被洗浄物を連続的に投入する搬入機構70を設けるように構成したので、混合槽30に投入する被洗浄物の量を制御することができる。これにより、旋回状の流路部14の水流速度と投入する被洗浄物の割合を最適に保ち、最大の清浄能力を引き出すことができる。さらに、人手を介することなく被洗浄物を連続的に洗浄槽10に投入する自動化運転が可能となる。
【0047】
また、この実施の形態2によれば、混合槽30の底部に圧縮空気を吹き込む吹込口34を設けるように構成したので、混合槽30内の洗浄液と被洗浄物が常に攪拌される状態となり、被洗浄物を速やかに洗浄槽10の旋回状の流路部14へ導くことができる。
【0048】
さらに、この実施の形態2によれば、洗浄槽10下部を円錐状または角錐状に絞り、下端に被洗浄物溜まり16を設け、当該被洗浄物溜まり16から外部に向けて被洗浄物を送り出す搬出機構18を設けるように構成したので、洗浄後の被洗浄物を連続的に回収することができる。また、混合槽30に設けた搬入機構70と連動同期させることにより洗浄効果が最適となる投入量と搬出量に制御することができる。
【0049】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。この実施の形態3では、実施の形態1および2で示した水切り槽60を水切り機構に置き換えて構成している。以下では、実施の形態1および2に係る洗浄装置の構成要素と同一部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0050】
この実施の形態3の水切り機構は搬出機構18の下方に配置され、コンベア80、水受け81、貯水槽82、回収箱83および乾燥ブロア84で構成されている。コンベア80は、水切り機能をもつフィルタ付きコンベアであり、搬出機構18により搬出された被洗浄物を受け、この被洗浄物を回収箱83に搬送しながら付着した洗浄液を滴下して水切りを行う。乾燥ブロア84は、コンベア80の上方に設けられ、回収箱83に搬送される被洗浄物に対して熱風発生装置(図示せず)から送られた熱風を吹き付けて乾燥させる。
【0051】
水受け81は、コンベア80の下方に設けられ、被洗浄物から滴下した洗浄液を受け、貯水槽82に導く。貯水槽82は、水受け81から導入される洗浄液を貯蔵すると共に、排出管65および循環ポンプ66を介して油水分離槽50の第1分離槽53へ循環させる。
【0052】
以上のように、この実施の形態3によれば、洗浄液と共に搬出された被洗浄物から洗浄液を滴下させて水切りを行うフィルタ付きコンベア80と、当該コンベア80上の被洗浄物に熱風を吹き付ける乾燥ブロア84を設けるように構成したので、人手を要することなく被洗浄物の水切りと乾燥を行うことができる。
【0053】
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。この実施の形態4では、実施の形態1で示した洗浄槽10に第3の仕切り12´を追加して設けている。以下では、実施の形態1に係る洗浄装置の構成要素と同一部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。また、この実施の形態4の構成は他の実施の形態で示す構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0054】
洗浄槽10内には、中央部に開口部を有する第1の仕切り11、第2の仕切り12および第3の仕切り12´が配設され、第1の仕切り11および第2の仕切り12により第1の旋回状の流路部14aが形成され、第2の仕切り12および第3の仕切り12´により第2の旋回状の流路部14bが形成される。また、第2の仕切り12および第3の仕切り12´は、外周部に被洗浄物が洗浄槽10の下方に沈降するための外周開口部13,13´を有している。
【0055】
さらに、第1の旋回状の流路部14aおよび第2の旋回状の流路部14bには、洗浄槽10の内周壁に沿って気液混合体を噴出する気液混合エジェクタ20,20´がそれぞれ取り付けられている。また、上部に位置する第1の旋回状の流路部14aには被洗浄物投入管32が挿入され、被洗浄物投入管32の洗浄槽10内に位置する開口部には負圧発生手段33が設けられている。
【0056】
次に、被洗浄物と洗浄液の動きについて説明する。被洗浄物投入管32から洗浄槽10内に投入された被洗浄物は、まず第1の旋回状の流路部14a内を旋回しながら洗浄され、第2の仕切り12の外周部に設けた外周開口部13から第2の旋回状の流路部14bに導入される。第2の旋回状の流路部14bに導入された被洗浄物は、さらに第2の旋回状の流路部14b内を旋回しながら洗浄され、第3の仕切り12´の外周部に設けた外周開口部13´から洗浄槽10の下方へ沈降する。このように、被洗浄物が第1の旋回状の流路部14aと第2の旋回状の流路部14b内を旋回するため、被洗浄物が洗浄液と微細気泡に長時間接触し洗浄度を高めることができる。
【0057】
以上のように、この実施の形態4によれば、少なくとも3枚以上の仕切り11,12,12´を配設して複数段の旋回状の流路部14a,14bを形成し、各旋回状の流路部14a,14bに気液混合エジェクタ20,20´を設けて微細気泡と水の混合体を噴射するように構成したので、被洗浄物の洗浄液および微細気泡との接触時間を長く確保することができ、被洗浄物の洗浄度を高めることができる。
【0058】
なお、上述した実施の形態4では、3枚の仕切り11,12,12´を設けて2つの旋回状の流路部14a,14bを形成するように構成したが、仕切りの枚数をさらに増やし、多段の旋回状の流路部を構成してもよい。また、気液混合エジェクタ20,20´は必ずしも各旋回状の流路部14a,14bに設ける必要はなく、例えば、最上部の第1の旋回状の流路部14aにのみ気液混合エジェクタ20を設け、下部の第2の旋回状の流路部14bでは第1の旋回状の流路部14aにおける旋回流につられて発生する旋回流を利用するように構成してもよい。また、最下部の第2の旋回状の流路部14bに気液混合エジェクタ20´を設け、上部の第1の旋回状の流路部14aでは第2の旋回状の流路部14bにおける旋回流につられて発生する旋回流を利用するように構成してもよい。
【0059】
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5に係る洗浄装置の構成を示す図である。図9(a)は洗浄装置の断面図であり、図9(b)は洗浄装置内の斜視図である。この実施の形態5では、実施の形態1で示した洗浄槽10の第1の仕切り11および第2の仕切り12に加え螺旋状仕切り19を追加して設けている。以下では、実施の形態1に係る洗浄装置の構成要素と同一部分には、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。また、この実施の形態5の構成は他の実施の形態で示す構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0060】
螺旋状仕切り19は、洗浄槽10の内周壁に沿って配設された螺旋形状を有する仕切りであり、配設した際に中央部分が開口するように構成されている。この螺旋状仕切り19の上部および下部には第1の仕切り11および第2の仕切り12が設けられている。第2の仕切り12の外周部には外周開口部13が形成されている。気液混合エジェクタ20および被洗浄物投入管32は、第1の仕切り11と螺旋状仕切り19の最上部との間に形成される空間に挿入されている。
【0061】
次に、被洗浄物と洗浄液の動きについて説明する。気液混合エジェクタ20から洗浄液と微細気泡が噴出されると共に、被洗浄物投入管32から洗浄槽10内に被洗浄物が投入される。投入された被洗浄物は、螺旋状仕切り19の螺旋状の流路を上から下に向けて移動し、この移動の間に洗浄液と微細気泡に接触して洗浄される。被洗浄物の移動が進み、第2の仕切り12部分に被洗浄物が移動すると外周開口部13から洗浄槽10の下部に沈降する。
【0062】
以上のように、この実施の形態5によれば、第1の仕切り11と第2の仕切り12の間に螺旋状仕切り19を設けるように構成したので、被洗浄物の洗浄液および微細気泡との接触時間を長く確保することができ、被洗浄物の洗浄度を高めることができる。
【0063】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6に係る洗浄装置の構成を示す断面図である。この実施の形態6では、実施の形態2で示した洗浄装置に粉砕装置90を追加して設けている。以下では、実施の形態2に係る洗浄装置の構成要素と同一部分には、実施の形態2で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。また、この実施の形態6の構成は他の実施の形態で示す構成と組み合わせて適用することも可能である。なお、以下では、主としてさまざまな形状を持つ金属切削屑を被洗浄物とする洗浄に最適な実施例を示すが、他の実施の形態で示す構成と組み合わせてその他の被洗浄物の洗浄にも適用することができる。
【0064】
この粉砕装置90は、多種多様な形状の切削屑などをこの洗浄装置で洗浄処理するのに適した大きさに粉砕するための一般的な粉砕装置である。粉砕装置90で粉砕された被洗浄物は下方に設けられた投入ホッパー91に受け入れられる。この投入ホッパー91の下部には洗浄槽10の旋回状の流路部14に貫通して設けた、例えばスクリュー式の投入機構92が配設されている。この投入機構92を用いて粉砕された被洗浄物を旋回状の流路部14内に直接連続的に投入する。
【0065】
この構成では、粉砕装置90により適当な大きさに粉砕された切削屑などの被洗浄物が投入機構92により旋回状の流路部14内に直接連続的に投入され洗浄される。被洗浄物は、旋回状の流路部14内で洗浄され、油脂を含む微細気泡と分離されて洗浄槽10の底部に設けた被洗浄物溜まり16から例えばスクリュー18bによる搬出機構18によって洗浄槽10の外部へ搬出される。
【0066】
以上のように、この実施の形態6によれば、洗浄槽10の旋回状の流路部14の位置に投入機構92を貫通して設け、粉砕装置90で粉砕した切削屑などの被洗浄物を直接旋回状の流路部14へ送り込むように構成したので、粉状の切削屑のみならず、多種多様な切削屑の洗浄処理に対応でき、さらに洗浄後の切削屑を連続的に回収することができるので、洗浄装置の無人化自動運転が可能になる。
【0067】
なお、上記実施の形態6において、搬出後の被洗浄物の水切りを行う構成、乾燥を行う構成、あるいは旋回状の流路部の構成について、他の実施の形態で示した方法によっても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 洗浄槽、11 第1の仕切り、12 第2の仕切り、12´ 第3の仕切り、13,13´ 外周開口部、14 旋回状の流路部、14a 第1の旋回状の流路部、14b 第2の旋回状の流路部、15 微細メッシュ部材、16 被洗浄物溜まり、17 搬出口、17a 搬出量調節絞り、18 搬出機構、18a モータ、18b スクリュー、19 螺旋状仕切り、20,20´ 気液混合エジェクタ(洗浄手段)、21 圧縮水導入管、22 水ポンプ、23 圧縮空気導入管、24 空気ポンプ、25 詰まり検知部、26 逆止弁、30 混合槽、31 混合槽連通管、32 被洗浄物投入管(被洗浄物投入手段)、33,33a,33b 負圧発生手段、34 吹込口、40 オーバーフロー槽、41 送液管、50 油水分離槽(油水分離手段)、51 第1の仕切り板、52 第2の仕切り板、53 第1分離槽、54 第2分離槽、55 第3分離槽、56 排出管、57 水平方向の仕切り板、60 水切り槽、61 フィルタ、62 振動印加部、63 すすぎ水供給部、64 乾燥ブロア、65 排出管、66 循環ポンプ、70 搬入機構、71 モータ、72 スクリュー、80 コンベア、81 水受け、82 貯水槽、83 回収箱、84 乾燥ブロア、90 粉砕装置、91 投入ホッパー、92 投入機構、A 旋回流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り部材により形成された旋回状の流路部を有する洗浄槽と、
前記旋回状の流路部に微細気泡と洗浄液の混合による流れを発生させ、前記旋回状の流路内で被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、
前記洗浄後の洗浄液から油脂や異物などを分離する油水分離手段とを備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
洗浄手段は、洗浄槽の外部から前記洗浄槽内の旋回状の流路部に貫通し、前記洗浄槽の内周に沿って微細気泡と洗浄液の混合体を噴出する気液混合エジェクタであることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
油水分離手段は、油水分離槽と、前記油水分離槽を分割する少なくとも3つ以上の仕切り板とを備え、
前記油水分離槽は、前記仕切り板により、洗浄槽からオーバーフローした洗浄液を収容する第1分離槽と、前記第1分離槽と上部で連通する第2分離槽と、前記第2分離槽と下部で連通する第3分離槽とに仕切られ、
前記第3分離槽の洗浄液を洗浄手段に循環させることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項4】
旋回状の流路部は、中央に開口部を有する少なくとも2つ以上の仕切り部材により形成され、前記旋回状の流路部の上方に位置する仕切り部材の開口部の面積は、前記旋回状の流路部の下方に位置する仕切り部材の開口部の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項5】
旋回状の流路部は、中央に開口部を有する少なくとも2つ以上の仕切り部材により形成され、
前記旋回状の流路部の下方に位置する仕切り部材は、外周部に被洗浄物が通過する外周開口部を有することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項6】
旋回状の流路部は、中央に開口部を有する少なくとも3つ以上の仕切り部材により複数形成され、
洗浄手段は、前記複数の旋回状の流路部にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項7】
旋回状の流路部は、第1および第2の仕切り部材と、前記第1の仕切り部材と第2の仕切り部材の間に配置され中央に開口部を形成する螺旋形状の仕切り部材により形成されることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項8】
被洗浄物と洗浄液を混合する混合槽を備え、
前記混合槽は、洗浄槽内の旋回状の流路部の上側と連通する被洗浄物投入手段を有し、
前記被洗浄物投入手段は前記旋回状の流路部に貫通して前記洗浄槽の内周壁に被洗浄物投入口を形成することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項9】
洗浄槽は、被洗浄物投入口近傍の内周壁に負圧発生手段を有し、
前記負圧発生手段が発生させる負圧により、被洗浄物と洗浄液の混合体を前記洗浄槽内に吸引することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項10】
負圧発生手段は、被洗浄物投入口近傍の洗浄槽の内周壁に形成された流線形状の覆いであり、旋回流の下流側が開口していることを特徴とする請求項9記載の洗浄装置。
【請求項11】
負圧発生手段は、被洗浄物投入口近傍の洗浄槽の内周壁に形成された凹部であり、旋回流が前記凹部を通過する際に局部的に旋回流速が低下することを特徴とする請求項9記載の洗浄装置。
【請求項12】
混合槽は、下端部に圧縮空気を吹き込む吹込口を有し、
前記吹込口から前記混合槽内に向けて吹き込まれる圧縮空気により被洗浄物と洗浄液を攪拌することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項13】
混合槽に被洗浄物を連続的に搬入する搬入機構を備え、
前記搬入機構は、被洗浄物投入口において吸引される被洗浄物の吸引量に応じて搬入速度を調整することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項14】
被洗浄物投入手段は、被洗浄物投入口に被洗浄物と洗浄液を連続的に投入する投入機構を有することを特徴とする請求項8記載の洗浄装置。
【請求項15】
洗浄槽は、下部を円錐状または角錐状に絞り、当該絞りの下端部に被洗浄物を溜める被洗浄物溜まりと、前記被洗浄物溜まりから前記洗浄槽外部に向けて突設して設け前記被洗浄物溜まりから前記洗浄槽外部に被洗浄物と洗浄液を搬出する搬出口と、前記搬出口からの被洗浄物と洗浄液の搬出量を調節する搬出量調節絞りとを備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項16】
洗浄槽は、下部を円錐状または角錐状に絞り、当該絞りの下端部に被洗浄物を溜める被洗浄物溜まりと、前記被洗浄物溜まりから前記洗浄槽外部に被洗浄物と洗浄液を連続的に搬出する搬出機構を備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項17】
洗浄槽外部に搬出された被洗浄物を収容し、前記被洗浄物に付着した水分を除去するフィルタを有する水切り槽を備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項18】
洗浄槽外部に搬出された被洗浄物を搬送しながら水切りを行うフィルタ付きコンベアと、
前記コンベアから滴下する水を受ける水受けと、
前記水受けが受けた水を貯蔵する貯水槽と、
前記コンベア上の被洗浄物に熱風を送る乾燥ブロアとを備えることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−36815(P2011−36815A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187650(P2009−187650)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】