説明

洗米装置

【課題】洗米時に攪拌部材が洗米槽内の米を持ち上げることによって、洗米槽内で米を上下方向に循環させて洗米槽内の米を均一に洗うことができ、かつ、排米時に攪拌部材を回転させて排米できるようにする。
【解決手段】洗米装置1は、米と水とを収容可能な洗米槽17内に、該洗米槽17の中心側に配置されていて上下方向の軸心回りに回転駆動される回転軸23と、この回転軸23に固定されていて洗米槽17内の米と水と共に攪拌する攪拌部材22とを備え、前記回転軸23を正逆転自在に駆動するモータ24bを備え、前記攪拌部材22は、回転軸23の正転によって米を上方移動させ、回転軸23の逆転によって米を下方移動させるように正転方向に屈曲された傾斜部40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗米槽内で攪拌部材を回転させることで洗米する洗米装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗米装置として、米と水とを収容可能な洗米槽内に、上下方向の軸心まわりに回転駆動される回転軸と、この回転軸に固定されていて回転軸が回転することによって洗米槽内の米を水とともに攪拌する攪拌部材を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
前記回転軸は、モータ等によって、その軸心まわりの一方向に回転するようになっており、前記攪拌部材は、回転軸が一方向に回転して洗米槽内の米を水とともに攪拌しているときに、その上部よりも下端部が先行して回転軸まわりに回転するように傾斜状に形成されており、洗米槽下部の米を持ち上げるように攪拌する。
【0003】
これによって、洗米装置は、米の上下方向の循環を促して洗米槽内の米を均一に洗うことができるようになっている。
また、この洗米装置は、攪拌部材による洗米が終了すると、米を洗米槽の下部から水加減水とともに排出するようになっている。
【特許文献1】特開2002−273241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、洗米が終了して洗米槽から水加減水とともに排米する場合、攪拌部材を回転させて、米をほぐしながら排米するようにした洗米装置がある。
しかし、従来の洗米装置において、排米時に攪拌部材を回転させるようにすると、米が上方に持ち上げられる方向に移動するので排米を妨げるという問題が生じる。
そこで、本発明は、洗米時に攪拌部材が洗米槽内の米を持ち上げることによって、洗米槽内で米を上下方向に循環させて洗米槽内の米を均一に洗うことができ、かつ、排米時に攪拌部材を回転させて排米できるようにした洗米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、米と水とを収容可能な洗米槽内に、該洗米槽の中心側に配置されていて上下方向の軸心回りに回転駆動される回転軸と、この回転軸に固定されていて洗米槽内の米を水と共に攪拌する攪拌部材とを備え、前記回転軸を正逆転自在に駆動するモータを備え、前記攪拌部材は、回転軸の正転によって米を上方移動させ、回転軸の逆転によって米を下方移動させるように正転方向に屈曲された傾斜部を有することを特徴とする。
これによれば、攪拌部材に傾斜部を設けることによって、回転軸が正転したときに、この傾斜部が洗米槽内の米を持ち上げるように回転軸まわりに回転し、米を洗米槽内で上下方向に循環させながら洗米できる。これによって、洗米装置は、洗米槽内で均一な洗米が可能になる。さらに、洗米後、排米する場合に、回転軸を逆転させることによって、前記傾斜部が洗米槽内の米を下方に押し下げるように回転し、これによって米を効率よく下方に移動させて短時間で排米できるようになる。
【0006】
また、本発明は、米と水とを収容可能な洗米槽内に、該洗米槽の中心側に配置されていて上下方向にの軸心回りに回転駆動される回転軸と、この回転軸に固定されていて回転軸が回転することによって洗米槽内の米を水と共に攪拌する攪拌部材とを備え、前記攪拌部材は、回転軸から径方向外方側に延出する第1腕部と、この第1腕部の延出端から下方側に延出する第2腕部とを備え、前記第2腕部は、回転軸が正転したときに米を持ち上げるように、下方にいくにしたがって正転方向に移行する傾斜部を有し、前記回転軸は逆転可能とされていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、攪拌部材の第2腕部に傾斜部を設けることによって、回転軸が正転したときに、この傾斜部が洗米槽内の米を持ち上げるように回転軸まわりに回転し、米を洗米槽内で上下方向に循環させながら洗米できる。これによって、洗米装置は、洗米槽内で均一な洗米が可能になる。さらに、洗米後、排米する場合に、回転軸を逆転させることによって、前記第2腕部の傾斜部が洗米槽内の米を下方に押し下げるように回転し、これによって米を効率よく下方に移動させて短時間で排米できるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗米時には、攪拌部材を正転させることによって、洗米槽内で米を上下方向に循環させて洗米槽内の米を均一に洗うことができ、かつ、排米時には、攪拌部材を逆転させることによって、米をほぐしながら下方移動させることができ、良好に排米することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の実施形態にかかる洗米装置1を採用した自動炊飯機2を示しており、この自動炊飯機2は、メインフレーム3に対して、貯米装置4と、洗米装置1と、炊飯装置5とを上下方向に並設して備えたものとなっている。
貯米装置4は、箱型のケース体6の内部に貯米庫7を備え、該貯米庫7の下部に内部の米を計量して排出する計量器8を備えている。ケース体6の前部には操作パネル9が設けられ、この操作パネル9の裏面側に自動炊飯機2の動作制御を行う制御部が設けられている。
【0010】
炊飯装置5は、メインフレーム3下部の引出し自在な架台10上に搭載されており、ガス式、電気式等のコンロ部11と、該コンロ部11上に設けられた外釜12と、該外釜12に装着された内釜13と、該内釜13を施蓋する蓋体14とを備え、蓋体14の中央には、開閉自在なシャッターが設けられていて、洗米装置1から投入された米等を内釜13内に受け入れ可能である。
図2、図3に示すように、洗米装置1は、上部が円筒形とされ、下部が下方先細り状(倒立円錐形)の漏斗部とされた洗米槽17と、該洗米槽17の下端側に形成した排米口18を開閉する排米弁19と、洗米槽17内に給水する給水手段21と、洗米槽17内で米を水とともに攪拌する攪拌部材22と、この攪拌部材22を回転させる回転軸23とを備えている。
【0011】
洗米槽17の下部には、排水ジャケット25が設けられ、この排水ジャケット25内には、糠分や水を通過させるが米を通過させない網やパンチングメタル等の濾体が設けられ、排水ジャケット25には、排水管27を介して排水ボックス28が接続されている。
洗米槽17内の水は、濾体を通過して排水ジャケット25から排水管27、排水ボックス28を経て外部へ排出可能であり、排水ボックス28内には排水管27を開閉する排水弁が内蔵されている。
図1に示すように、洗米槽17の上部側面には、オーバーフロー口29が形成され、該オーバーフロー口29には上下方向の排水管30の上部が接続され、該排水管30の下端が排水ボックス28に接続されている。したがって、洗米槽17内の水がオーバーフロー口29まで達すると、該オーバーフロー口29から排水管30、排水ボックス28を経て外部へ排出される。
【0012】
前記給水手段21は、洗米槽17の上部に設けられたノズル、シャワー等の給水器32を備え、該給水器32は、給水管33を介して水道、貯水タンク等の圧力水源に接続されている。
排米弁19は円錐形状に形成され、その上端部が操作軸35の下端に連結されている。操作軸35は、洗米槽17の中心に上下方向に配設され、上端が洗米槽17から突出してカム、クランク機構、モータ等を有する駆動機構(図示略)に接続され、該駆動機構によって上下動されるようになっている。この操作軸35の上下動によって排米弁19も昇降し、上昇したときに排米口18を閉じ、下降したときに排米口18を開放する。
【0013】
前記回転軸23は、洗米槽17の中心側に配置されていて上下方向の軸心回りに回転駆動可能とされており、前記攪拌部材22は、この回転軸23に固定されている。
回転軸23は、筒形状に形成されていて、筒内部に前記操作軸35を上下摺動自在で相対回転自在に挿通している。
また、回転軸23は、ベベルギヤ機構24a、モータ24b等を有する駆動機構24に接続され、該駆動機構24によって軸心回りに回転する。駆動機構24のモータ24bは、その駆動軸が正逆回転可能とされており、したがって、回転軸23はその軸心廻りに正転(図2において符号Xで示す方向)・逆転自在となっている。
【0014】
前記攪拌部材22は、中実又は中空の断面円形の棒材よりなり、回転軸23に対して放射状に複数本(図例では5本)設けられている。
攪拌部材22は、回転軸23から径方向外方側に延出する第1腕部37と、この第1腕部37の延出端から下方側に延出する第2腕部38とを備えている。各攪拌部材22は、第1腕部37および第2腕部38の長さが異なっている。以下、図2に示すように、第1腕部37の最も短い攪拌部材22を、第1攪拌部材22aといい、この第1攪拌部材22aから回転軸23を中心として反時計回りに、それぞれ第2攪拌部材22b、第3攪拌部材22c、第4攪拌部材22d、第5攪拌部材22eという。
【0015】
各攪拌部材22(22a〜22e)の第1腕部37は、上下方向に向いた回転軸23からほぼ水平状に外方に延出されており、第2腕部38は、この第1腕部37の延出端から下方にほぼ鉛直に延出された鉛直部39と、この鉛直部39から洗米槽17の漏斗部の内面の傾斜に沿うように屈曲形成された傾斜部40とを有する。
さらに、第1〜第3、第5攪拌部材22a〜22c、22eの傾斜部40は、図1に示すように、鉛直部39の下端から下方にいくにしたがってこの回転軸23の正転方向に向かって移行する傾斜状に屈曲形成されている。
【0016】
このように、攪拌部材22に傾斜部40を形成することによって、回転軸23を正転させて攪拌部材22が洗米槽17内を攪拌する場合、この傾斜部40は、その先端が基端よりも正転方向に突出しているので、洗米槽17の下側の米を上方に持ち上げ、洗米槽17の上側に移動させる。上側に移動した米は、攪拌部材22の攪拌の過程において再び下方に移動し、さらに、攪拌部材22によって持ち上げられ、この上下の移動を繰り返す。これによって、洗米槽17内の米は攪拌時に上下方向に循環して洗われることになり、洗米槽17内での均一な洗米が可能になる。
【0017】
攪拌部材22による洗米作業が進むと、洗米槽17内の水に糠が混ざって濁水となるが、この攪拌部材22によって、米を洗米槽17の上側に持ち上げることによって、洗米槽17の上側の比較的濁っていないきれいな水で洗米できるため、米の糠水の吸収を大幅に低減できる。したがって、このように洗われた米は、おいしく炊きあげることができるようになる。
また、第1〜第3、第5攪拌部材22a〜22c、22eは、排米時には、回転軸23を逆転させることによって、洗米槽17内の米を下方に移動させることができる。すなわち、第1〜第3、第5攪拌部材22a〜22c、22eの第2腕部38に設けられた傾斜部40は、その先端がその基端よりも回転軸23の逆転方向に後退するように傾斜しているので、回転軸23の逆転時には、洗米槽17内の米を下方に押し下げるように移動させる。これによって、洗米装置1は、排米を短い時間で行うことができるようになる。
【0018】
図1に示すように、第4攪拌部材22dの第2腕部38に形成された傾斜部40は、洗米槽17の漏斗部の内面の傾斜に沿うような傾斜形状に形成されているだけであり、第1〜第3、第5攪拌部材22a〜22c、22eのような、下方にいくにしたがって正転方向に移行する傾斜状にはなっていない。
このように、回転軸23に設けた複数の攪拌部材22の内に、傾斜部40が下方にいくにしたがって正転方向に移行する傾斜状になっていないものを含めるようにしてもよい。なお、この第4攪拌部材22の傾斜部40を、下方にいくにしたがって正転方向に移行する傾斜状に形成してもよい。
【0019】
図1、図2に示すように、回転軸23には、第1〜第5攪拌部材22a〜22eの他に、洗米槽17の下側を攪拌する副攪拌部材41が設けられている。
この副攪拌部材41は、棒状とされており、第3攪拌部材22cと第4攪拌部材22dとの間に配置され、上部から下端側にかけて回転軸23から下方に直線状に延出されているとともに、下端側で排米弁19の排米弁19の上面に沿って屈曲されている。
この副攪拌部材41によって、洗米時には洗米槽17の下側の米を好適に攪拌できるとともに、洗米後、排米弁19を開いて米および水を排出する際において、副攪拌部材41を回転させながら、排米弁19を開くことにより、洗米槽17の下側に詰まった米をほぐしながら排米でき、排米弁19上に残米が生じるのを防止できる。
【0020】
上記構成の自動炊飯機2について一連の動作を概説する。まず、操作パネル9によって所望の炊飯量、水加減、浸漬時間、蒸らし時間、炊きあがり時間等のデータを入力したのち、動作をスタートすると、貯米装置4における計量器8が作動して所望量の米を計量し、洗米槽1717に投入する。
その後、洗米槽17内では、洗米工程が開始し、攪拌部材22が作動するとともに給水手段から給水され、米をかき混ぜながら水洗いする。このとき、同時に排水ジャケット25から濁水が排出される。洗米槽17内では、攪拌部材22によって上下ほぼ全体にわたって米をかき混ぜることができるため、洗米槽17内の米全体をほぼ均一に洗うことができ、後工程としての炊飯作業でおいしいご飯が炊けるようになる。
【0021】
かかる水洗動作を所定時間行ったのち給水を停止し、攪拌部材22により攪拌することで研米動作が行われ、これら水洗動作と研米動作とが繰り返し行われる。
この研米動作においても、攪拌部材22によって、洗米槽17の上下に亘って略均一に研ぐことができる。その後、排水ジャケット25からの排水を停止し、給水手段21から水を供給することにより濁水をオーバーフロー口29から排水させ、洗米工程が終了する。洗米工程が終了すると、洗米槽17内の水が排水ジャケット25から全部排水される。
その後、所定のザル上げ工程を経て給水手段21により水加減がなされ、排米弁19の開放により米と水加減水とが炊飯装置4の内釜13に投入され、炊飯工程に移行する。
【0022】
本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。例えば、上記実施形態では、攪拌部材22は棒状に形成されているが、羽根板状、櫛状に形成することも可能である。また、上記実施形態のように洗米装置1を自動炊飯機2の一構成として採用するに限らず、単独で使用する構成であってもよい。
攪拌部材22の第1腕部37は、回転軸23から水平状に延出されたものに限らず、回転軸23から回転半径方向外方に向かうにつれて下方または上方に傾斜して形成してもよい。
【0023】
また、攪拌部材22の第2腕部38には、ほぼ鉛直下方に延出された鉛直部39を形成せずに、第1腕部37の延出端から下方にいくにしたがって回転軸23の正転方向に移行する傾斜部40を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、洗米装置や、洗米装置を備えた炊飯器等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】洗米槽の断面側面図である。
【図2】洗米槽の平面図である。
【図3】本発明にかかる洗米装置を使用した自動炊飯機の正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 洗米装置
17 洗米槽
22 攪拌部材
23 回転軸
24 モータ
37 第1腕部
38 第2腕部
40 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米と水とを収容可能な洗米槽(17)内に、該洗米槽(17)の中心側に配置されていて上下方向の軸心回りに回転駆動される回転軸(23)と、この回転軸(23)に固定されていて洗米槽(17)内の米を水と共に攪拌する攪拌部材(22)とを備え、前記回転軸(23)を正逆転自在に駆動するモータ(24b)を備え、前記攪拌部材(22)は、回転軸(23)の正転によって米を上方移動させ、回転軸(23)の逆転によって米を下方移動させるように正転方向に屈曲された傾斜部(40)を有することを特徴とする洗米装置。
【請求項2】
米と水とを収容可能な洗米槽(17)内に、該洗米槽(17)の中心側に配置されていて上下方向にの軸心回りに回転駆動される回転軸(23)と、この回転軸(23)に固定されていて回転軸(23)が回転することによって洗米槽(17)内の米を水と共に攪拌する攪拌部材(22)とを備え、前記攪拌部材(22)は、回転軸(23)から径方向外方側に延出する第1腕部(37)と、この第1腕部(37)の延出端から下方側に延出する第2腕部(38)とを備え、前記第2腕部(38)は、回転軸(23)が正転したときに米を持ち上げるように、下方にいくにしたがって正転方向に移行する傾斜部(40)を有し、前記回転軸(23)は逆転可能とされていることを特徴とする洗米装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−38123(P2007−38123A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224723(P2005−224723)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】