説明

活性エネルギー線硬化性組成物、吸湿性硬化物及び有機EL素子

【課題】透明性及び可とう性に優れ、且つ吸湿性に優れた硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物及びその硬化物を使用した発光特性に優れた有機EL素子を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリロイルモルホリン(A)30〜100質量%及びその他のビニル単量体(B)0〜70質量%を含む単量体成分並びに活性エネルギー線重合開始剤(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物、活性エネルギー線硬化性組成物をフィルム状に成型した後に硬化して得られる吸湿性硬化物及び吸湿性硬化物を乾燥用吸湿剤として使用する乾燥手段を有する有機EL素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性エネルギー線硬化性組成物、吸湿性硬化物及び有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、陽極と陰極との間に、有機電荷輸送層及び有機発光層が積層された有機層を設けたもので、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
【0003】
しかしながら、有機EL素子が一定期間駆動された場合、有機EL素子の発光輝度、発光効率、発光均一性等の発光特性が初期の場合に比べて劣化するという問題がある。この劣化の一因として、有機EL素子内の水分の影響が挙げられる。即ち、水分で陰極表面が酸化され、発光材料と陰極との剥離を起こすことで通電が妨げられ、その結果として発光特性が低下する。
【0004】
このような問題を防止する方法として、封止された有機EL素子の内部に吸湿剤を存在させて水分を吸収する方法が検討されている。このような方法に使用される材料として、例えば、特許文献1には、アルカリ土類金属酸化物や硫酸塩を用いた吸湿性材料が提案されている。しかしながら、特許文献1で使用されるアルカリ土類金属酸化物や硫酸塩を使用した吸湿性材料では透明性が不十分であり、トップエミッション型の有機EL素子に使用する場合には視認性が充分ではないという問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、有機EL素子等の吸湿剤用の材料として有機金属アルコキシド等の湿気反応性有機金属化合物を含有する光硬化性吸湿性組成物が提案されている。しかしながら、湿気反応性有機金属化合物は汎用的ではなく、入手し難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−43,055号公報
【特許文献2】特開2007−191,511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は透明性及び可とう性に優れ、且つ吸湿性に優れた硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物及びその硬化物を使用した発光特性に優れた有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨とするところは、(メタ)アクリロイルモルホリン(A)(以下、「(A)成分」という)30〜100質量%及びその他のビニル単量体(B)(以下、「(B)成分」という)0〜70質量%を含む単量体成分並びに活性エネルギー線重合開始剤(C)(以下、「(C)成分」という)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(以下、「本組成物」という)を第1の発明とする。
【0009】
また、本発明の要旨とするところは、本組成物をフィルム状に成型した後に硬化して得られる吸湿性硬化物(以下、「本硬化物」という)を第2の発明とする。
【0010】
更に、本発明の要旨とするところは、本硬化物を乾燥用吸湿剤として使用する乾燥手段を有する有機EL素子を第3の発明とする。
【発明の効果】
【0011】
本硬化物は、水分の影響を受けやすい有機EL素子等の密閉空間内の吸湿剤として使用でき、透明性に優れていることから有機EL素子の発光面側に設置でき、可とう性に優れていることからフレキシブル基板にも適用できるので、電子素子、光学機器、医療機器、有機EL素子等に使用される吸湿材用材料に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)成分
本発明で使用される(A)成分は本硬化物に吸湿性及び可とう性を付与するための成分である。本組成物中の、後述する単量体成分における(A)成分の含有量としては30〜100質量%、好ましくは40〜90質量%である。
【0013】
(B)成分
本発明において、(B)成分は本組成物の硬化性を向上させるための成分である。本組成物中の単量体成分における(B)成分の含有量としては0〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。
【0014】
(B)成分としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。尚、本発明において、「(メタ)アクリ」は「アクリ」又は「メタクリ」を示す。
【0015】
(B)成分の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート又はそのポリアルキレンオキサイド付加物、ポリカプロラクトン付加物若しくはポリカーボネート付加物、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンモノ(メタ)アクリレート、ポリエポキシ(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは一種を単独で又は二種以上を併せて使用できる。
【0016】
単量体成分
本発明において、単量体成分は(A)成分30〜100質量%及び(B)成分0〜70質量%を含むものである。
【0017】
(C)成分
本発明で使用される(C)成分は本硬化物を効率的に得るための成分である。本組成物中の(C)成分の含有量としては、単量体成分100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。(C)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで本組成物の硬化性を良好とすることができる傾向にある。また、(C)成分の含有量を10質量部以下とすることで本硬化物の透明性を良好とすることができる傾向にある。
【0018】
本組成物
本組成物は(A)成分30〜100質量%及び(B)成分0〜70質量%を含む単量体並びに(C)成分を含有する組成物である。
【0019】
本組成物中には、必要に応じて酸化防止剤、消泡剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、樹脂、微粒子、チクソトロピック剤、カップリング剤等の添加剤や溶剤を配合することができる。
【0020】
酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール、有機ホスファイト及び有機ホスフォナイトが挙げられる。
【0021】
消泡剤の具体例としては、ポリシロキサン等の非シリコーン系消泡剤、フッ素変性ポリシロキサン等のポリシロキサン系消泡剤、アルキルメタクリレートとポリアクリレートとアクリル酸との共重合物等のアクリル酸系消泡剤、ブタジエン共重合物系消泡剤及びミネラルオイル系消泡剤が挙げられる。
【0022】
熱安定剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ−ノニルフェニル)ホスファイト及びトリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイトの混合物、ジメチルベンゼンホスホネート並びにトリメチルホスフェートが挙げられる。
【0023】
光安定剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン類が挙げられる。
【0024】
帯電防止剤の具体例としては、グリセロールモノステアレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
防曇剤の具体例としては、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン及びグリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピルウレタンが挙げられる。
【0026】
樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びフェノール系樹脂が挙げられる。
【0027】
微粒子の具体例としては、アクリルビーズ、ウレタンビーズ等の有機フィラー、シリカ、チタン等の無機フィラー及びシランカップリング剤等で表面有機化処理した無機フィラーが挙げられる。これらを本組成物に配合する方法としては、例えば、予め分散された状態のものを配合する方法及び本組成物に微粒子を配合した後に三本ロールやダイノーミル等を用いて分散させる方法が挙げられる。また、分散性を向上するために、カルボン酸系、ポリカルボン酸系、ポリアクリル酸系等の分散剤を用いることができる。
【0028】
チクソトロピック剤の具体例としては、アマイド系、酸化ポリエチレン系、水素添加ひまし油系等の有機系チクソトロピック剤、シリカやベントナイト、及びそれらの有機シランカップリング処理物、表面処理炭酸カルシウム等の無機系チクソトロピック剤が挙げられる。
【0029】
カップリング剤の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基等の官能基を付加したシランカップリング剤及びチタンカップリング剤が挙げられる。
【0030】
溶剤の具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びエチレンカーボネートが挙げられる。
【0031】
本発明においては、本組成物を硬化させて得られる硬化物を吸湿剤として使用することができる。本組成物を硬化させて得られる硬化物の形状としては、例えば、フィルム状が挙げられる。
【0032】
本硬化物
本硬化物は本組成物をフィルム状に成型した後に硬化して得られるものである。本硬化物を得る方法としては、例えば、本組成物を透明プラスチック基材上に塗布して得られる塗布膜に活性エネルギー線を照射させて硬化させた後にフィルム状の本硬化物をプラスチック基材から剥離する方法が挙げられる。
【0033】
プラスチック基材としては、基材面側から活性エネルギー線を照射できる点で、活性エネルギー線を透過する透明プラスチックフィルムが好ましい。プラスチック基材の具体例としては、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム及び塩化ビニル系フィルムが挙げられる。
【0034】
本発明においては、プラスチック基材には、必要に応じて予めプライマー、エッチング等の易付着処理を施したものを使用することができる。
【0035】
活性エネルギー線の照射源としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びハロゲンランプが挙げられる。活性エネルギー線の照射量としては200〜2,000mJ/cmが好ましい。
【0036】
有機EL素子
本発明の有機EL素子は、本硬化物を乾燥用吸湿剤として使用する乾燥手段を有するものである。有機EL素子を得る方法としては、例えば、透明な基板上に発光素子を配設し、更に発光素子を覆うように本硬化物が配置されたものを、背面板で覆い、次いで、基板及び背面板の周縁部間に接着剤を封入して有機EL素子の内部が封止された状態とする方法が挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により説明する。尚、以下において「部」は「質量部」を意味する。また、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物についての吸水率及び吸湿性、光線透過率及び光線透過性並びに耐屈曲性を以下の方法により評価した。
【0038】
(1)吸水率及び吸湿性
吸水率はJIS−K−7209に基づいて測定した。
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物のサンプルを50℃のオーブンに24時間入れて乾燥させた後に、23℃の環境下で直ちに計量し、この値をWとした。
続いて、上記のサンプルを23℃の純水中に24時間浸漬した後に、表面の水分をふき取って23℃の環境下で直ちに計量し、この値をWとした。吸水率は下式により求め、以下の基準で吸湿性を判定した。
吸水率(%)={(W−W)/W}×100
◎:吸水率10%以上
○:吸湿率7%以上、10%未満
×:吸湿率7%未満
【0039】
(2)光線透過率及び光線透過性
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物のサンプルの光線透過率(%)を(株)村上色彩技術研究所製ヘーズメーターHM−65W(商品名)を用いて測定した。
光線透過性は下記の基準で評価した。
◎:光線透過率が90%以上
×:90%未満
【0040】
(3)耐屈曲性
基材フィルムの表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物が積層されたサンプルの活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を外側にして180度折り曲げ、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の層の割れの有無を以下の基準により判定した。
◎:割れ無し
×:割れあり
【0041】
[実施例1]
(1)活性エネルギー線硬化性組成物の調製
(A)成分としてアクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名:ACMO)50部、(B)成分としてウレタンジアクリレート(根上工業(株)製、商品名:アートレジンUN−9000PEP)50部及び(C)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名:イルガキュア184)1部を室温で混合攪拌して活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
【0042】
(2)鋳型の作製
縦120mm、横120mm及び厚さ1.8mmのガラス板の四辺上に、幅25mm及び厚さ25μmの両面粘着テープ(トラスコ中山(株)製、商品名:TRT−25)を貼り、この両面粘着テープの上に、長さ120mm、幅25mm及び厚さ0.5mmの鉄板(大祐機材(株)製、圧伸鋼板)を、ガラス板の端面と鉄板の端面とが揃うように積層して鋳型1を作製した。
【0043】
また、前記と同様のガラス板の四辺上に、長さ120mm、幅10mm及び厚さ25μmの粘着テープ(日東電工(株)製、品番No.31B)を1枚積層して鋳型2を作製した。
【0044】
(3)サンプルの作製
上記の鋳型1の中に、先に調製した活性エネルギー線硬化性組成物を注入した。
次いで、活性エネルギー線硬化性組成物が注入された鋳型1の活性エネルギー線硬化性組成物の面を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、商品名:コスモシャインA4100、厚み188μm)を用いて、PETフィルムの非易接着処理面が活性エネルギー線硬化性組成物の面と接するようにラミネートした。
【0045】
得られたラミネート物に、PETフィルム面側からメタルハライドランプを使用して照度250mW/cm及び光量1,000mJ/cmの紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた後にフィルム状の硬化物を鋳型から剥離して、厚み0.525mmのフィルム状硬化物1を得た。フィルム状硬化物1を使用して吸水率及び吸湿性について評価した。結果を表1に示す。
【0046】
更に、前記の鋳型2の中に活性エネルギー線硬化性組成物を注入した。
次いで、活性エネルギー線硬化性組成物が注入された鋳型2の活性エネルギー線硬化性組成物の面を、PETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名:コスモシャインA4100、厚み188μm)を用いて、PETフィルムの非易接着処理面が活性エネルギー線硬化性組成物の面と接するようにラミネートした。
【0047】
得られたラミネート物に、PETフィルム面側からメタルハライドランプを使用して照度250mW/cm及び光量1,000mJ/cmの紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、PETフィルムの表面に厚み25μmの活性エネルギー線硬化性組成物の層が積層されたフィルム状硬化物2を得た。フィルム状硬化物1を使用して光線透過率及び光線透過性並びに耐屈曲性について評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1中の略号は以下の化合物を示す。
「ACMO」:アクリロイルモルホリン((株)興人製、商品名;ACMO)
「UA」:ウレタンジアクリレート(根上工業(株)製、商品名;アートレジンUN−9000PEP)
「C6DA」:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名;ニューフロンティアHDDA)
「IBXA」:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名;IBXA)
「Irg.184」:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、商品名;イルガキュア184)
「MAPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名;ルシリンTPO)
「CaO」:酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製、商品名;酸化カルシウム)
【0050】
[実施例2〜6並びに比較例1及び2]
表1に示す組成の活性エネルギー線硬化性組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物について評価した。結果を表1に示す。
【0051】
実施例1〜6から明らかなように、本硬化物は透明性及び可とう性に優れ、且つ透湿性に優れていることがわかる。これに対して、比較例1では透明性には優れているものの、吸湿性と可とう性に劣っていた。また、比較例2では吸湿性を良好とするためにMgOを配合したが、光線透過性に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリロイルモルホリン(A)30〜100質量%及びその他のビニル単量体(B)0〜70質量%を含む単量体成分並びに活性エネルギー線重合開始剤(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物をフィルム状に成型した後に硬化して得られる吸湿性硬化物。
【請求項3】
請求項2の吸湿性硬化物を乾燥用吸湿剤として使用する乾燥手段を有する有機EL素子。

【公開番号】特開2012−219207(P2012−219207A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87420(P2011−87420)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】