説明

活性成分が充填されたマイクロカプセル及びその製造方法

【課題】
【解決手段】本発明は、マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、コア物質は、少なくとも1つの活性成分を含み、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセルに関する。本発明は更にマイクロカプセルを含む組成物及び懸濁液に関する。また更に本発明はマイクロカプセルの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概してマイクロカプセル、マイクロカプセルを含む組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
不活性物質内に機能性分子や機能性物質を隔離することは、活性成分と周辺の環境の化学的接触を最小限にしなければならない場合への多くの有用な利益や応用をもたらす。
【0003】
例えば、化粧品用着色剤などの化粧品組成物は、現在のところ非常に限られた数の認可された天然色素や更に少数の人造有機色素が使用されている。天然由来のまたは合成された望ましい色合い有する多くの染料や顔料は、直接皮膚への接触に対するその安全性が明らかにされていないので、皮膚への接触は認可されていない。
【0004】
透明で不活性な隔離用物質中に着色剤を隔離することは、着色強度を保持しながら(または着色強度を更に高め)、着色剤分子と皮膚の直接接触を防止する方法を提供する。
【0005】
もう一つの非常に重要な応用は、日焼け止め剤組成物への適用である。日焼け止め剤の活性成分は接触性皮膚炎を起こすこと、また、光線接触皮膚炎(photo contact dermatitis)を起こす可能性が報告されている。さらには、これらの試薬の光励起種が光分解反応を受け、生体組織への有害な影響をもたらす可能性のあるフリーラジカルと活性酸素種の発生を引き起こす。よって、日焼け止め剤の活性成分を透明なシリカの殻の中に包み込むことにより日焼け止め剤の活性成分をカプセル封入すると、日焼け止め剤またはそれらから生じる可能性のある光分解生成物を生体組織から実質的に隔離しながら、日焼け止め剤の光吸収能力を発揮させる優れた方法を提供できる。
【0006】
全く異なった分野であるが、他の例としては、リコピンやカロチンなどの不安定な天然着色剤を含む食品の保存寿命を延ばすため、或いは、望ましくない副作用を有する食品用人造着色剤を隔離のための食品着色剤のカプセル封入が挙げられる。
【0007】
不活性で透明なマイクロカプセル中に封入されている第2のタイプの食品着色剤は、その望ましい着色効果を保持しながらこれらの着色剤の分解を防止する方法を提供する。
【0008】
米国特許第6,303,149号(特許文献1)、米国特許第6,238,650号(特許文献2)、米国特許第6,468,509号(特許文献3)、米国特許第6,436,375号(特許文献4)、並びに国際公開WO 01/80823(特許文献5)、WO 03/034979(特許文献6)、及びWO 03/039510(特許文献7)(これらの特許並びに公開の開示内容は、ここにそのまま参照により本願の説明に組み入れられる。)は、ゾル−ゲルマイクロカプセル及びその製法を開示している。
【0009】
これらの特許並びに公開物において、マイクロカプセルのコアを構成する活性成分(これをまた“機能分子”と表現する)の充填量は、95(重量/重量)%までである。
【0010】
米国特許第6,365,642号(特許文献8)は、高内相(a high internal phase)(油中水滴型)エマルジョン、これは、少量の連続オイル相と比較的多量の不連続相を有しているが、この重合により、連続気泡発泡体を得るための方法を開示している。開示された油中水滴型エマルジョンは、オイルが外相を構成するので、ゾル−ゲルマイクロカプセルの形成には使用できない。
【0011】
ヨーロッパ特許0934773号(特許文献9)は、カプセルの壁が有機ポリシロキサンで構成されているマイクロカプセル並びにその製造法に関する。
【特許文献1】米国特許第6,303,149号明細書
【特許文献2】米国特許第6,238,650号明細書
【特許文献3】米国特許第6,468,509号明細書
【特許文献4】米国特許第6,436,375号明細書
【特許文献5】国際公開WO 01/80823号パンフレット
【特許文献6】国際公開WO 03/034979号パンフレット
【特許文献7】国際公開WO 03/039510号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6,365,642号明細書
【特許文献9】ヨーロッパ特許0934773号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
高濃度(95重量/重量%以上)のコア物質(これは活性成分を含む)を有するマイクロカプセルは、活性成分とその周囲環境との接触を最小限にすることができることから、広範囲に認められたニーズがあり、非常に有用である。このようなコア物質の高濃度化は、例えば、高日焼け防止指数(SPF)値を達成するために、或いは、組成物中に高充填のカプセル封入された活性成分が要求される他の多くの分野へ応用するのに要求されている。
【0013】
更に、製造がシンプルでコストを下げ(すなわち、モノマーが少なく、廃棄物処分が少なく)、また、高濃度(95重量/重量%以上)のコア物質(活性成分)を有し、更にマイクロカプセルからの活性成分の溶脱(leaching)を防止ぐことが可能な効率的なカプセル化方法とすることは、非常に有利である。このような方法は、カプセル封入された分子や物質の高充填の要求がある分野への応用に、種々様々な分子や物質のカプセル封入を容易にする。
【0014】
さらには、高濃度(50%以上)の内オイル相(internal oil phase)の水中油滴型エマルジョンとし、また、製造が簡素化されるエマルジョンとすることは、非常に有利である。
【0015】
定義
本発明において、用語「コア物質」は、マイクロカプセルの殻によって囲まれた活性成分からなるマイクロカプセルの内部に関する。この用語はコア中に存在するすべての物質、活性成分と、液状担体のような賦形剤(excipients)の両者、を指す。
【0016】
本発明において、用語「前駆体」は、金属または半金属の有機金属モノマー、または、そのプレポリマー(数個のモノマーが互いに重合したものを意味する)で、インサイチュ重合(in-situ polymerization)(無機のゾル−ゲル重合法)により、ガラス状またはセラミック状物質を得ることができるものを指す。
【0017】
本発明において、用語「インサイチュ重合」は、前駆体の加水分解と縮合反応の結果として、エマルジョンの油−水の相間で無機重合体を形成する前駆体のゾル−ゲル重合法を指す。
【0018】
本発明において、用語「活性成分」は、農業、工業(食品工業を含む)、医薬、化粧品に使用することができる各種分子または物質、及び、最終製品(化粧品、農薬、医薬品など)に少なくとも一つの望ましい性質を与える各種分子または物質を指す。
【0019】
本発明において、用語「局所適用」とは、皮膚、髪、耳、粘膜、への適用、直腸適用、鼻適用、のみならず、更に口腔内の歯適用などを示す。
【0020】
本発明において、用語「TEOS」とは、二酸化珪素の前駆体である、テトラエトキシシランを指す。
【0021】
本発明において、用語「充填量(loading)」とは、(重量/重量)で規定されるマイクロカプセルの全重量に基づく、活性成分の重量パーセントを示す。
【0022】
本発明において、用語「95%以上の活性成分の充填量」とは、マイクロカプセルの全重量に基づく、95(重量/重量)%以上の活性成分の重量パーセントを示す。マイクロカプセルが異なった充填量を有する個体群を構成する場合は、この用語は測定したすべてのマイクロカプセルの平均値を意味する。
【0023】
本発明において、用語「95%以上のコア物質の濃度」とは、マイクロカプセルの全重量に基づく、95(重量/重量)%以上のコア物質(活性成分と液状担体のような賦形剤の両者を含む)の重量パーセントを示す。マイクロカプセルがコア物質の異なった濃度の個体群を構成する場合は、この用語は測定したすべてのマイクロカプセルの平均値を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(発明の要旨)
本発明の1つの観点によれば、マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、前記コア物質は、少なくとも1つの活性成分からなり、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセルが提供される。
【0025】
本発明のもう1つの観点によれば、担体と、マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、前記コア物質は、少なくとも1つの活性成分からなり、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセルとからなる組成物が提供される。
【0026】
本発明の更にもう1つの観点によれば、マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、前記コア物質は、少なくとも1つの活性成分からなり、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセルを含有し、実質上コロイダルシリカを含まない懸濁物が提供される。
【0027】
本発明の更に追加の観点によれば、マイクロカプセル殻内に封入された少なくとも1つの活性成分を含有するコア物質を有するマイクロカプセルの製造方法であって、
前記方法は、
水不溶性前駆体とコア物質からなる油性相を、2〜7のpHを有する水性溶液からなる水性相中において、適宜の剪断力並びに温度条件下で乳化することにより水中油滴型エマルジョンを作成する工程を含み、
前記方法は
(i)エマルジョンの全重量に基づく油性相の濃度が50重量/重量%〜90重量/重量%;
(ii)前駆体のコア物質に対する重量比が5/95〜25/75である;
という条件の少なくとも1つを含み、これにより、前記コア物質の含有量が95重量/重量%以上のマイクロカプセルを得ることからなるマイクロカプセルの製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、前記コア物質は、少なくとも1つの活性成分からなり、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセルに関する。
【0029】
好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜99(重量/重量)%であり、より好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜98(重量/重量)%である。好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、96〜99(重量/重量)%であり、より好ましくは、96〜98(重量/重量)%である。
【0030】
好ましくは、前記コア物質が、実質的に少なくとも1つの活性成分からなる。
【0031】
ここに使用した用語「実質的に少なくとも1つの活性成分からなる」は、コア物質が、高い(重量/重量)パーセントの活性成分と低いパーセントの(例えば液状担体などの)賦形剤からなることを意味する。
【0032】
好ましくは、コアの全重量に基づく活性成分の濃度が、80重量/重量%以上であり、より好ましくは、90重量/重量%以上であり、最も好ましくは、95重量/重量%以上である。
【0033】
用語「実質的に活性成分からなる」は、同様に、コア物質が、マイクロカプセルの製造に必要な、或いは、活性成分を溶かすための、賦形剤を含んでいてもよいことを意味している。好ましくは、コアの全重量に基づく賦形剤の濃度は、20重量/重量%までであり、より好ましくは、10重量/重量%までであり、最も好ましくは、5重量/重量%までである。
【0034】
好ましくは、コア物質は、前記少なくとも1つの活性成分である(すなわち、例えば液状担体などの賦形剤を含まない)。
【0035】
下記記載の方法でエマルジョンの油性相を調整するのに、活性成分が例えば日焼け止め剤などのオイルであり、例えば溶媒や共溶媒などの添加する賦形剤が必要ない場合は、このケースでは、形成されたマイクロカプセルのコア物質が活性成分である。
【0036】
他の応用においては、例えば、活性成分が染料の場合、この活性成分(染料)を望みの色調をかなえるに十分な染料濃度で溶媒に溶かすことが好都合である。このケースでは、コア物質が、好ましくは油状の溶媒からなる賦形剤と活性成分(染料)からなる。
【0037】
好ましくはコア物質中の染料の濃度は、1重量/重量%よりも小さく、より好ましくは0.0001〜0.1重量/重量%、最も好ましくは0.0001〜0.01重量/重量%である。濃度は染料の種類とその溶解性による。
【0038】
好ましくは、前記コアは液状コアであり、より好ましくは液状コアは油状コアである。
【0039】
好ましくは、液状コアは、溶液、懸濁液、または、分散液である。
【0040】
より好ましくは、液状コアは、溶液、懸濁液、または、分散液形態の油状コアである。
【0041】
本マイクロカプセルは、化粧品や医薬品への適用に有用である。
【0042】
活性成分は、コア中に、溶解、分散、又は、懸濁された形で存在することができる。
【0043】
本マイクロカプセルは、また、農業、ポリマー工業、食品工業に有用である。
【0044】
本マイクロカプセルは、活性成分が周辺環境から一時的にまたは永久に隔離されるべきいかなる分野への応用にも有用である。
【0045】
活性成分は、選ばれた前駆体(金属または半金属アルコキシド)に溶解性の、又は懸濁し得るどのような分子或いは物質でもよい。
【0046】
活性成分としては、例えば、日焼け止め剤、歯科用剤、芳香剤、香料、着色剤及び染料、食品着色剤及び食品添加物、ワックス、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、火薬、農薬、生体分子(例えば酵素、補酵素、抗体など)、医薬品、触媒、試薬、または、これらの混合物とすることができる。
【0047】
医薬品としては、例えば、外皮用剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗座瘡剤、抗ヒスタミン剤、皮膚白化剤、抗寄生虫剤、筋弛緩剤、ステロイド、ホルモン、収斂剤、または、これらの混合物が挙げられる。
【0048】
活性成分は、例えば、農業や工業分野で使用される殺虫剤、除草剤、又は殺菌剤などの農薬などであってもよい。
【0049】
最も好ましい活性成分は、日焼け止め剤である。
【0050】
日焼け止め剤としては、例えばUVA吸収剤、UVB吸収剤またはその混合物などが挙げられる。
【0051】
UVA吸収剤としては、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル、p-アミノ安息香酸、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0052】
UVB吸収剤としては、例えば、3−ブチルメトキシジベンゾイル メタン、ベンゾフェノン−3、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0053】
日焼け止め剤(紫外線吸収分子又は紫外線反射物質)としては、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−8、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、p-アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル N,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オキシベンゾン、2-フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4´−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、サリチル酸トリエタノールアミン、2,4−ジヒドロベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−ヒドロキシジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、または、これらの混合物などが挙げられる。
【0054】
最も好ましい日焼け止め剤は、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択される。
【0055】
本発明で使用できる更に追加記載する日焼け止め剤は、米国特許第6,238,650号、米国特許第6,468,509号、米国特許第6,303,149号、米国特許第6,436,375号、及び、国際公開WO 03/039510号に記載されている。これらの特許並びに公開の開示内容は、そのまま全部参照により本願の説明に組み入れられる。
【0056】
活性成分は、例えば、食品に使用される食品用天然着色剤、食品用合成着色剤、食品添加物など、又は、経口薬などであってもよい。
【0057】
活性成分は、例えば、化粧品の色素や皮膚塗布に用いられる食品用天然着色剤、食品用合成着色剤などであってもよい。
【0058】
好ましくは、活性成分は、染料である。
【0059】
活性成分は、例えば、蛍光染料などのような染料などであってもよい。
【0060】
蛍光染料は、化粧品類、医薬品類、インク、又は、その分散する環境に又は人体の異なる器官(例えば皮膚など)に染料との接触を避けることが必要なその他の各種の工業に使用し得る。
【0061】
蛍光染料は、例えば、ナイルレッド、ペリレン、ピレン、アントラセン、または、これらの混合物であってもよい。
【0062】
好ましくは、前駆体は、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、
式M(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Mは金属または半金属元素、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜6の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜6の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される。
【0063】
好ましくは、前記金属または半金属元素は、Si、Ti、Zr、Al、及び、Znから選択される。
【0064】
前駆体は、単一の単量体単位か、又は、複数の単量体単位(これを時々「プレポリマー」と称することあり)からなる前駆体であってもよい。
【0065】
例えば、前駆体は、例えば、TEOSの加水分解に基づく予備加水分解されたテトラエトキシシラン(TEOS)、前駆体のオリゴマーであってもよく、これはカプセル化に使用可能な短鎖重合体(プレポリマー)を得るために使用される。
【0066】
本発明の好ましい態様においては、前記前駆体は、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、
式Si(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜4の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される。
【0067】
本発明のもう一つの好ましい態様においては、いくつかの前駆体は、最終製品において異なる金属及び/又は半金属を含む複合材のマイクロカプセル殻とするために、いくつかの金属又は半金属モノマーの混合物として油性相において一緒に使用される。
【0068】
好ましくは、前駆体は、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される
好ましくは、前記半金属アルコキシドモノマーは、シリコンアルコキシドモノマーである。
【0069】
好ましくは、前記シリコンアルコキシドモノマーは、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、または、これらの混合物から選択される。
【0070】
最も好ましくは、シリコンアルコキシドモノマーは、テトラエトキシシランである。
【0071】
好ましくは、前記活性成分は日焼け止め剤であり、且つ、前記前駆体がテトラエトキシシランである。
【0072】
日焼け止め剤は、上記で述べたものが挙げられる。
【0073】
最も好ましくは、前記日焼け止め剤は、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択され、且つ前記前駆体はテトラエトキシシランである。
【0074】
本発明において使用される前駆体(また、ゾル-ゲル前駆体とも称する)は、また、米国特許第6,303,149号、米国特許第6,238,650号、米国特許第6,468,509号、米国特許第6,436,375号、及び、国際公開WO 01/80823号、国際公開WO 03/034979号並びに国際公開WO 03/039510号に記載されている(これらの特許並びに公開の開示内容は、そのまま全部参照により本願の説明に組み入れられる)。
【0075】
例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)などの金属及び半金属アルコキシドモノマー(並びにこれらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体)は、多くの分子や物質(活性成分)の非常に良好な溶媒であることを認識しておくことは、単量体前駆体溶媒に又は単量体溶媒の加水分解-縮合重合体中に溶解した分子や物質を充填するために、この溶解性を容易に利用できるので非常に好都合である。しかしながら、本発明は、また、前駆体に懸濁され得る分子や物質(活性成分)をコートしたり又は充填するのにも使用することができる。
【0076】
マイクロカプセルの粒径は、直径で0.01〜1000μmの範囲、好ましくは直径で0.1〜100μm、より好ましくは直径で1〜10μmの範囲がよい。
【0077】
本発明のマイクロカプセルは、種々の担体に容易に組み入れることができるので、人類又は非人類への適用に有用である。マイクロカプセルは、担体や希釈剤に容易に分散又は懸濁できる。
【0078】
適当などんな混合器や撹拌器による単純な混合でも、効果的な分散を十分達成できる。必要なら、担体中へのマイクロカプセルの早くて効率的な混合を容易にするために、高剪断力をかけることもできる。
【0079】
マイクロカプセルは、担体に分散した時に非溶脱性であることが好ましい。
【0080】
本発明は更に本発明で規定したマイクロカプセルと担体の組成物に関する。
【0081】
この組成物としては、例えば、化粧品組成物、医薬品組成物、食品組成物、または、農業又は工業プロセスで用いられる組成物などが挙げられる。
【0082】
好ましくは、マイクロカプセルは、担体中に分散される。
【0083】
担体としては、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、農業又は工業プロセスで用いられる担体であってもよい。
【0084】
前記担体は、液体状、半固体状、または、固体状担体である。
【0085】
担体は、例えば、エマルジョン、クリーム、水性溶液、オイル、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、懸濁物、粉末、加工食品、スプレー、ペイント、ラッカー、コーティング、プラスチック、又は、洗剤などであってもよい。
【0086】
担体は、更にカプセルに封入されていない少なくとも1種の活性成分を含んでいてもよい。
【0087】
組成物の最終形態は、例えば、エマルジョン、水性溶液、オイル、半固体状処方(例えばクリーム、軟膏、ペースト、又はゲル)、ローション、乳液、懸濁物、粉末、カプセル、エアロゾル、スプレー、フォーム、シャンプー、ヘアーコンディショナー、ラッカー、化粧品(makeup)、固体状スティック、練り歯磨き、食品、ペイント、プラスチック、又はコーティング用物品などであってもよい。
【0088】
マイクロカプセルの粒径は、直径で0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは直径で1〜10μmの範囲にコントロールすることができる。
【0089】
マイクロカプセルの粒径は、例えば、マイクロカプセルの製造に使用されるエマルジョンの油滴の粒径をコントロールすることによりコントロールすることができる(エマルジョンとマイクロカプセルの製造は後述の製法の記載のところで詳述する)。
【0090】
組成物は、粉末粒子(マイクロカプセル)又は懸濁粒子(マイクロカプセル)が好ましくは直径で0.01〜1000μmである懸濁液又は粉末の形状であってもよい。
【0091】
更に好ましくは、組成物が直径0.1〜10μmの滑らかな質感を有する、化粧用又はスキンケアー用処方物(formulation)中に懸濁した時及び皮膚に塗布した時に透明な、球状粒子(マイクロカプセル)を含む懸濁液又は粉末状の形態である。
【0092】
本発明の組成物は局所用に適用可能である。
【0093】
本発明の一態様の溶脱しない(非溶脱性)のマイクロカプセルは、カプセル封入によりマイクロカプセル中の変化しやすい(sensitive)活性成分を処方物(formulation)の他の成分や周囲環境から保護することができ、その結果、最終製品の補完寿命を延ばすことができるので、極めて有用である。
【0094】
日焼け止め剤の活性成分は、接触性皮膚炎を起こすこと、また、光線接触皮膚炎(photo contact dermatitis)を起こす可能性が報告されている。更には、これらの試薬の光励起種が光分解反応を受け、生体組織への有害な影響をもたらす可能性のあるフリーラジカルと活性酸素種の発生を引き起こす。それ故、溶脱しないマイクロカプセルを処方することは、日焼け止めの活性剤及び/又はそれらから生じる可能性のある光分解組成物を生体組織から隔離する必要のある日焼け止め用組成物において特に有用である。
【0095】
活性成分の周囲環境からの隔離が有効なその他の例や応用としては、発明の背景の欄に記載したものが挙げられる。
【0096】
驚くことに、本発明においては、非溶脱性の点で、日焼け止め剤である活性成分で充填されたマイクロカプセルの、界面活性剤を含む化粧用オイルや水性溶液中への溶脱は、激しく振動させた後でも、1%より少なく、好ましくは、0.5%より少ないことが分かった。
【0097】
他の実施態様として、本発明のマイクロカプセルは、活性成分を放出するよう設計される。
【0098】
医薬(経口薬ないし局所薬)又は農業などへのある種の適用においては、マイクロカプセルから活性成分の即座の、又は、コントロールされた放出ができるようにすることが望まれる。
【0099】
マイクロカプセルからの活性成分の放出は、即座に、遅延して、又は持続して放出されるように設計し得る。これは、マイクロカプセルの殻の組成、その直径、を変えることにより、並びに、マイクロカプセルを取り囲んでいる担体の組成を変えることによりコントロールできる。
【0100】
この活性成分の放出は、熟成時間、熱処理、又は殻の特有の多孔率又は強度を変化させることのできる各種の機械的手段や、又は殻の表面の性質及び微多孔を通過する拡散率をコントロールするためにマイクロカプセルが形成される間に加えられる有機重合体及び/又は界面活性などの化学的手段によって可能となり、また、制御できる。マイクロカプセル殻はサブミクロンの大きさの粒子からなり、殻の有効微孔サイズは、処方(formulation)の際の電解質や他の化学成分によりコントロールされる。これがマイクロカプセルからの活性成分の放出の誘因となる。
【0101】
全体の処方物内(within entire formulation)に、カプセル化は、ミクロ領域(micro-domains)を創造するので、第2の活性成分をマイクロカプセルを取り巻く担体の中に存在させながら、第1の活性成分をカプセル封入することができる。これは、各成分同士が相乗作用をなすときに、また、一方が他方と化学的に反応する場合に有用である。
【0102】
また、各活性成分を、別々のマイクロカプセル中にマイクロカプセル封入することもできる。
【0103】
更にまた、活性成分は単独で、又は、同じマイクロカプセル内に他の成分とともにカプセル封入することができる。敏感な成分の安定性を向上させるための複合物(compounds)の共カプセル化は有益である。例えば、「局在的保護」のため、酸化防止剤は、酸素と反応しやすい、又は酸化剤に反応性の成分と共カプセル化(co-encapsulated)することができる。
【0104】
本発明は、更に、本発明に記載したマイクロカプセルを含む、実質的にコロイダルシリカの無い懸濁液に関する。
【0105】
コロイダルシリカ(シリカのナノ粒子)は、最終のマイクロカプセル殻を製造する際の中間物として、油−水中間相で前駆体の重合の間に生成する。重合反応で使用される単量体前駆体は、そのままでは残らずマイクロカプセル殻を構成するか、又は殻に結合されていないコロイダルシリカの形態の残留物として残留する。好ましくは、0〜20重量/重量%、更に好ましくは0〜10重量/重量%、及び最も好ましくは、0〜5重量/重量%のコロイダルシリカがマイクロカプセルの殻に結合されていない(言い換えれば、遊離状態で及びマイクロカプセルの殻を構成せずに反応媒体中に存在する)。
【0106】
ここで用語「実質的にコロイダルシリカの無い」とは、マイクロカプセルの懸濁液が少量のわずかな量のコロイダルシリカしか懸濁媒体中に含まないこと、好ましくは20重量/重量%より少なく、より好ましくは10重量/重量%より少なく、最も好ましくは5重量/重量%より少ないことを意味する。
【0107】
用語「懸濁媒体中の少量のわずかな量のコロイダルシリカ」は、コロイダルシリカの好ましくは0〜20重量/重量%、より好ましくは0〜10重量/重量%、最も好ましくは0〜5重量/重量%がマイクロカプセルの殻に結合されていない(言い換えれば、遊離状態で及びマイクロカプセルの殻を構成せずに反応媒体中に存在する)ことを意味している。
【0108】
用語「懸濁媒体」は、マイクロカプセルを製造するのに使用される反応媒体、特に、下記する製法に開示されるようなエマルジョン及びマイクロカプセルの製造に使用される水性層に関する。
【0109】
同様に、マイクロカプセルの製造に使用される前駆体のタイプにもよるが、懸濁液が、またコロイダルチタニヤ、コロイダルジルコニア、コロイダルアルミナなどを実質上含まないことが好ましい。
【0110】
好ましくは懸濁液は実質的にマイクロカプセルから構成される。
【0111】
ここで使用した用語「懸濁液は実質的にマイクロカプセルから構成される」とは、懸濁液が、マイクロカプセルの製造の間に生成する副産物(例えば遊離のコロイダルシリカなど)を実質的に含まないか又は許容できる濃度で含み、更なる精製をすることなく懸濁液の使用を可能とすることを意味する。
【0112】
最も好ましくは本発明において開示した方法で得られるマイクロカプセルの懸濁液は、更なる精製工程を経ることなく使用される。
【0113】
懸濁液は担体中に分散することができる。
【0114】
担体は、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、農業又は工業プロセスで用いられる担体であってもよい。
【0115】
担体は、液体状、半固体状、または、固体状担体が挙げられる。
【0116】
好ましくは、マイクロカプセルは懸濁物の媒体に非溶脱性である。
【0117】
好ましくは、懸濁液は、懸濁物が担体に分散される際に、非溶脱性である。
【0118】
本発明は、更に、マイクロカプセル殻内に封入された少なくとも1つの活性成分を含有するコア物質を有するマイクロカプセルの製造方法であって、
前記方法は、
水不溶性前駆体とコア物質からなる油性相を、2〜7のpHを有する水性溶液からなる水性相中において、適宜の剪断力並びに温度条件下で乳化することにより水中油滴型エマルジョンを作成する工程を含み、
前記方法は
(i)エマルジョンの全重量に基づく油性相の濃度が50重量/重量%〜90重量/重量%;
(ii)前駆体のコア物質に対する重量比が5/95〜25/75である;
という条件の少なくとも1つを含み、これにより、95重量/重量%以上の前記コア物質を含有するマイクロカプセルを得ることからなるマイクロカプセルの製造方法に関する。
【0119】
好ましくは前記製造方法は、前記2つの条件(i)及び(ii)の組合せからなる。
【0120】
好ましくは、前記条件は前記(ii)の条件からなる。
【0121】
本発明の製造方法は、前駆体と少なくとも1種の活性成分(充填されるべき分子類又は物質)を含むコア物質からなる疎水性溶液(油性相)を水性溶液中で、縮合−重合反応を促進するために、前記エマルジョンを他の水性溶液と混合するか又はすることなしに、乳化することにより水中油滴型エマルジョンを製造することに基づくものである。
【0122】
本発明において、用語「混合」は、また、一方の溶液を他方の溶液に注ぐことにより、一方の溶液の他方の溶液への滴状添加、又は、2種の溶液を互いに混合するその他の方法を指す。
【0123】
驚くべきことに、本発明において、5/95〜25/75の範囲にコア物質に対する前駆体の重量比を減少させること及び/又は濃縮されたエマルジョン中の油性相の濃度が50(重量/重量)%以上の水中油滴型エマルジョンを製造すること、及び、pH2‐7、好ましくはpH2‐5、より好ましくはpH3‐4で縮合‐重合プロセスを行うことが、高濃度(95重量/重量%以上)のコア物質を含有するコア物質の効率的なカプセル化封入を可能にし、また、コア物質(活性成分を含む)の溶脱を防ぐということが分かった。
【0124】
エマルジョン中の油性相の濃度が増大すると、各反応でより多くのマイクロカプセルを得ることが可能になるので反応の収率が向上する。
【0125】
マイクロカプセルが作られる高濃度のコア物質及び水性反応媒体中のわずかな量の残留前駆体(コロイダルシリカの形態)ということによって明らかなように、意外にも、コア物質に対する前駆体の重量割合が従来技術の典型的データである50/50から5/95〜25/75の範囲に減少したが、前駆体の重合は、高率であり、また、マイクロカプセルの殻になるシリカの量の観点からより高い収率が達成されたと言うことが分かった。これは、環境汚染を最小限にし、反応に用いた廃棄水の処理を必要とせず、それ故に、プロセスを単純にし、コストを下げることができるので、非常に有利である。
【0126】
本発明の他の有利な点は、最終生成物において高濃度の粒子含有率とするために従来技術において必要とされた遠心分離、ろ過、再懸濁などのマイクロカプセルの分離の工程が不要となることである(先の特許においては、40(重量)%濃度の懸濁液中の日焼け止め剤を得るために、仕込み液からマイクロカプセルを分離する必要があったが、本発明においては、乳化工程で油性相中における活性成分が高充填であること並びにエマルジョン中の油性相の濃度が高い(50〜90重量/重量%)ことにより、反応の終わりの段階で、上記高濃度の粒子含有率を達成できる)。
【0127】
このプロセスは、充填された懸濁状態のマイクロカプセルを得るために、更に、前記エマルジョンをpHが2〜7の範囲で適宜選択された他の水性溶液と混合(希釈)及び撹拌する工程を含むことができる。好ましくは水性溶液のpHは2〜5の範囲である。より好ましくは、水性溶液のpHは3〜4の範囲である
上記のpHの範囲は乳化工程での水性溶液及び/又は更に必要に応じて行う前記エマルジョンを他の水性溶液と混合及び撹拌する工程の水性溶液のpHに関するものである。
【0128】
エマルジョンの水性相が、2〜5のpH、より好ましくは3〜4の範囲のpHを有する場合、乳化工程の後、更なる工程、例えば上述したように得られたエマルジョンを他の水性溶液と混合及び撹拌する工程、又は酸性溶液などの触媒を添加する工程などを必要とせずに懸濁状態のマイクロカプセルを得ることができる。
【0129】
好ましくは、乳化工程の後、更なる工程、例えば上述したように得られたエマルジョンを他の水性溶液と混合及び撹拌する工程、又は酸性溶液などの触媒を添加する工程などを必要とせずに懸濁状態のマイクロカプセルを得る。この場合の水性溶液のpHは、好ましくは2〜5の範囲、より好ましくは3〜4の範囲である。このケース(懸濁液中のマイクロカプセルが、更なる工程を経ずして乳化工程後に得られるケース)は、反応当りのマイクロカプセルの収率が、マイクロカプセルを得るために他の水性溶液を加える更なる工程を含む方法に比べてより高いので、好ましい。時には、第一のプロセス(即ち、他の水性溶液の添加なしのプロセス)で得られたマイクロカプセル間の相互連結(interconnection)を避けるために、得られたエマルジョンを他の水性溶液と更に混合し撹拌することは有益である。
【0130】
pH2‐7の範囲、好ましくはpH2‐5の範囲、より好ましくはpH3‐4の範囲で縮合‐重合プロセスを行うことは、この触媒のpH(catalytic pH)で、エマルジョンの油−水の界面において、より線状(linear)の縮合重合反応がなされ、それにより、より高いpHで引き起こされる油滴同士の凝集が生じるリスクが軽減されるので、非常に有利であることがわかった。より高いpH(pH7より上)で、ランダムで早い縮合重合反応は、分散された油滴の相互連結を促進する多くのオリゴマーを生成することになる。
【0131】
本発明の方法において乳化は、水性相を油性相に添加するか、又は、油性相を水性相に添加することにより行える。
【0132】
好ましくは、この方法は(a)油性相を形成するコア物質と前駆体を混合し;
(b)水中油滴型エマルジョンを形成するために、2〜7の範囲のpHを有する水性液中において前記油性相を乳化し;そして
(c)工程(b)で得られた生成物をマイクロカプセルが形成されるまで撹拌する
ことからなる。
【0133】
好ましくは、この方法は(a)油性相を形成するコア物質と前駆体を製造反応器(production reactor)中で混合し;
(b)水中油滴型エマルジョンを形成するために、工程(a)の製造反応器に2〜7の範囲のpHを有する水性相を加え;そして
(c)工程(b)で得られた生成物をマイクロカプセルが形成されるまで撹拌する
ことからなる。
【0134】
好ましくは、本発明の方法は、1つの製造反応器中で行われる。
【0135】
製造反応(production reaction)方法を一回で行うことは、取り扱いと製造コストを下げるので好ましい。
【0136】
好ましい態様においては、カプセル化の各段階(例えば、油性相、水性相、又はエマルジョン)の終わりで得られる生成物を、例えば遠心分離によるマイクロカプセルの分離などの特別の処理の用意がされるまで生成物の更なる処理のために新しい反応器に移送することをせずに、すべての成分は一つの反応器中で混合される。
【0137】
上記の方法は、また、すべての成分が一つの反応器中に加えられるエマルジョンを作る新しい方法を提供するものである。エマルジョン及び得られたマイクロカプセルの製造の新規性は、また、化学試薬(成分)が反応器に添加される順序にも基づいている。開示されたプロセスは、各相(油性相及び水性相)が2つの異なる反応器中で別々に作られ、次いで第3の反応器中で混合され、又は、(エマルジョンのタイプ(W/O又はO/W)や界面活性剤のタイプに応じて)油性相を水性相へ添加した後水性相反応器中で混合されるか、又は、水性相を油性相へ添加した後油性相反応器中で混合される「従来の」方法に比べて、製造が簡易化され、高効率で、時間を節約し、それ故にコストが安くできるので、非常に有利である。古典的には、分散された相が分散している相に添加されるが、もし乳化に使用される界面活性剤が反対タイプのエマルジョンを形成する能力がなければ、逆にすることも可能である。
【0138】
本発明において乳化は、また、上述したように、各相(油性相及び水性相)が2つの異なる反応器中で別々に作られ、次いで第3の反応器中で混合され、又は、各相(油性相及び水性相)が2つの異なる反応器中で別々に作られ、次いで油性相を水性相に加える(又は水性相を油性相に加える)「従来の」方法で行うこともできる。
【0139】
最も好ましくは、乳化とマイクロカプセルの製造は、上記で詳述したように、一つの反応器中で行われるのがよい。
【0140】
好ましくは、工程(c)の撹拌は、少なくとも12時間行うのが好ましい。工程(b)の水性相は界面活性剤を含んでいることが好ましい。
【0141】
工程(b)の後に、触媒を添加する工程を更に含むことが好ましい。
【0142】
工程(b)の後に、界面活性剤、触媒並びにこれらの混合物から選ばれた成分を添加する工程を更に含むことが好ましい。
【0143】
この方法は、前記成分の添加後に、水性希釈剤で希釈する工程を更に含むことができる。
【0144】
好ましくは、水性希釈剤は水である。
【0145】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選ばれた界面活性剤であることが好ましい。
【0146】
好ましくは、前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。
【0147】
最も好ましくは、前記カチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0148】
触媒は、酸性溶液であることが好ましい。
【0149】
好ましくは、前記酸性溶液は、塩酸溶液である。
【0150】
好ましくは、水性相のpHが5より大きく、前記触媒が2〜5の範囲のpHにするために添加されることが好ましい。
【0151】
好ましくは、水性相のpHが4より大きく、前記触媒が3〜4の範囲のpHにするために添加されることが好ましい。
【0152】
疎水性の油性相及び/又は水性溶液は、生成物の改良のための追加的な(additional)界面活性剤または添加剤を含むことができる。
【0153】
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性高分子界面活性剤、カチオン性高分子界面活性剤、非イオン性高分子界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0154】
乳化は少なくとも1種の乳化剤(界面活性剤)を使用して行われる。
【0155】
水性溶液は少なくとも1種の親水性(水溶性)界面活性剤を含むことができる。
【0156】
油性相は少なくとも1種の疎水性界面活性剤を含むことができる。
【0157】
油性相は少なくとも1種の疎水性高分子界面活性剤を含むことができる。
【0158】
好ましくは、疎水性界面活性剤又は疎水性高分子界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0159】
親水性界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物などが挙げられる。
【0160】
乳化は、好ましくは、少なくとも1種の親水性界面活性剤を用いて行われる。
【0161】
好ましい親水性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。
【0162】
最も好ましいカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0163】
そのほか本発明に用いられる界面活性剤は、次のものに記載されている:編者Eric Jungermannの界面活性剤の科学シリーズ第4巻の「Cationic surfactants」、同シリーズ第34巻、第37巻、第53巻も参照、これらはここにそのまま全部参照により本願の説明に組み入れられる;及び、「Remington's Pharmaceutical Sciences」16th ed., Mack Publish Company, Easton, Pennsylvania. (1980)、これらはここにそのまま全部参照により本願の説明に組み入れられる。
【0164】
水性溶液(水性相)におけるカチオン性界面活性剤の濃度は、0.1〜5(重量/重量)%、最も好ましくは0.5〜1.5(重量/重量)%である。
【0165】
驚くべきことに、本発明においては、低濃度で単一の乳化剤として使用されるカチオン性界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムクロライドは、エマルジョンの全重量に基づく油性が50重量/重量%を超える濃縮された水中油滴型エマルジョンに乳化することが可能であることがわかった。
【0166】
形成されたエマルジョンは、室温で少なくとも3〜4時間安定であることもわかった。
【0167】
本発明の方法は、遠心分離又はろ過及び水への再分散、蒸発及び水への再分散、又は透析又は他の公知の従来手段による分離から選ばれたサイクルを介してマイクロカプセルを分離し洗浄する更に追加の工程を含むことができる。
【0168】
本発明の方法は、遠心分離による分離;ろ過;蒸発;水性液への再懸濁;及び透析の少なくとも一つから選ばれた手段を介して、マイクロカプセルを分離し洗浄する工程を更に含むことができる。
【0169】
水性媒体としては、好ましくは水である。
【0170】
このようにして得られた懸濁液は、非イオン性、カチオン性、又はアニオン性ポリマーや界面活性剤、又はこれらの混合物などの添加剤の添加により安定化することができる。
【0171】
懸濁液の形態で最終製造物を得るために、懸濁液は、他の適当な懸濁剤により安定化することもできる。
【0172】
本方法は、粉末状形態の最終製造物(マイクロカプセル)を得るために、水を除去する工程を更に含むことができる。
【0173】
水は、蒸発、ろ過など、各種の従来の手段で除去し得る。
【0174】
本方法は、非イオン性、カチオン性、または、アニオン性の、界面活性剤または重合体、ないしは、これらの混合物などからなる再調整添加剤の添加工程を更に含むことができる(界面活性剤または重合体は、非イオン性、カチオン性、または、アニオン性であってもよい)。
【0175】
好ましくは、エマルジョンは5〜20℃、更に好ましくは、10〜18℃の温度範囲で製造される。続く工程においては、反応は、反応温度20℃を超える温度で加熱されてもよい。室温での反応を促進するために、エマルジョンのpHは2〜7の範囲がよく、pH2〜5の範囲がより好ましく、最も好ましくは、pH3〜4である。
【0176】
(他の水性溶液で希釈する追加工程を含むか含まずに)得られたエマルジョンは、更に加熱、冷却、真空又は加圧にすること、不活性ガス雰囲気下に保つこと、pHの変更を受けること、及び好ましくは14日までの熟成期間の熟成を受けること、から選ばれた追加工程を含むことができる。
【0177】
本発明において、「熟成」とは、殻の開孔の閉鎖により、最小限の活性成分の溶脱率とするため、マイクロカプセルの殻(シリカ殻)形成の終了時点を超えて追加される期間を指すものである。
【0178】
エマルジョン中の油性相の濃度は、50〜80(重量/重量)%とすることができる。
【0179】
エマルジョン中の油性相の濃度は、50〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0180】
エマルジョン中の油性相の濃度は、55〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0181】
エマルジョン中の油性相の濃度は、60〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0182】
エマルジョン中の油性相の濃度は、65〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0183】
好ましくは、前駆体のコア物質に対する重量比は、5/95〜20/80である。
【0184】
好ましくは、前駆体のコア物質に対する重量比は、5/95〜15/85である。
【0185】
更に好ましくは、前駆体のコア物質に対する重量比は、10/90〜15/85である。
【0186】
最も好ましくは、前駆体のコア物質に対する重量比は、10/90〜15/85であり、且つ、前記水性溶液のpHが3〜4である。
【0187】
好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度は、95〜99(重量/重量)%である。
【0188】
より好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度は、95〜98(重量/重量)%である。好ましくは、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度は、96〜99(重量/重量)%の範囲であり、また、96〜98(重量/重量)%の範囲がより好ましい。
【0189】
コア物質は、実質的に前記少なくとも1つの活性成分からなることが好ましい。
【0190】
コア物質は、前記少なくとも1つの活性成分であることが好ましい。
【0191】
好ましくは、コアは、液状コアである。
【0192】
液状コアが、油状コアであることが好ましい。
【0193】
好ましくは、液状コアは、溶液、懸濁液、または、分散液である。
【0194】
更に好ましくは、液状コアは、例えば、溶液、懸濁液、または、分散液の形態の油状コアである。
【0195】
前駆体とコア物質(活性成分を含む)からなる油性相は、好ましくは水に不混和性である。
【0196】
充填された活性成分は、選ばれた前駆体(金属又は半金属アルコキサイド)に可溶性の又は懸濁し得る分子又は物質とし得る。
【0197】
好ましくは、活性成分は、日焼け止め剤、歯科用剤、芳香剤、香料、着色剤、染料、食品着色剤、食品添加物、ワックス、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、火薬、農薬、生体分子、医薬品、触媒、試薬、または、これらの混合物から選ばれる。
【0198】
医薬品は、例えば、外皮用剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗座瘡剤、抗ヒスタミン剤、皮膚白化剤、抗寄生虫剤、筋弛緩剤、ステロイド、ホルモン、収斂剤、及び、これらの混合物などが挙げられる。
【0199】
活性成分は、例えば、農業や工業分野で使用される殺虫剤、除草剤、又は殺菌剤などの農薬などであってもよい。
【0200】
最も好ましい活性成分は、日焼け止め剤である。
【0201】
日焼け止め剤としては、好ましくは、UVA吸収剤、UVB吸収剤またはその混合物から選ばれる。
【0202】
UVA吸収剤としては、例えば、メトキシ桂皮酸オクチル、p-アミノ安息香酸、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0203】
UVB吸収剤としては、例えば、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0204】
好ましくは、日焼け止め剤としては、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、p-アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレンoctocrylene)、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オキシベンゾン、2-フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4´−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、サリチル酸トリエタノールアミン、2,4−ジヒドロベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−ヒドロキシジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、または、これらの混合物から選択される。
【0205】
より好ましくは、日焼け止め剤は、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル-2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択される。
【0206】
好ましくは、活性成分は、染料である。染料は、例えば蛍光染料とし得る。
【0207】
好ましくは、蛍光染料は、ナイルレッド、ペリレン、ピレン、アントラセン、または、これらの混合物から選択される。
【0208】
好ましくは、前駆体は、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、
式M(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Mは金属または半金属元素、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜6の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜6の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される。
【0209】
好ましくは、金属または半金属元素は、Si、Ti、Zr、Al、及び、Znから選択される。
【0210】
前駆体は単一の単量体単位、或いは、前駆体は複数の単量体単位から構成され得る。
【0211】
例えば、前駆体は、例えば、カプセル化に使用し得る短鎖ポリマーを得るために用いることができるTEOSの加水分解に基づく前加水分解(prehydrolyzed)テトラエトキシシラン(TEOS)などの、前駆体のオリゴマーとすることができる。
【0212】
本発明の好ましい態様において、前駆体は、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、式Si(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜4の整数である;、これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される。
【0213】
本発明の他の好ましい態様においては、最終製造物において異なる金属及び/又は半金属元素を含む複合体のマイクロカプセル殻を製造するため、複数の前駆体が、複数の金属又は半金属モノマーの混合物として、油性相で一緒に使用される。
【0214】
好ましくは、前駆体は、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、及び、これらのいずれかの混合物から選択される。
【0215】
好ましくは、半金属アルコキシドモノマーは、シリコンアルコキシドモノマーである。
【0216】
好ましくは、シリコンアルコキシドモノマーが、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、または、これらの混合物から選択される。
【0217】
最も好ましくは、シリコンアルコキシドモノマーは、テトラエトキシシランである。
【0218】
好ましくは、活性成分が日焼け止め剤であり、且つ、前記前駆体がテトラエトキシシランである。日焼け止め剤は、前記で定義したようなものが挙げられる。
【0219】
最も好ましくは、日焼け止め剤が、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択され、且つ前記前駆体がテトラエトキシシランである。
【0220】
本発明において使用される前駆体は、また、米国特許第6,303,149号、米国特許第6,238,650号、米国特許第6,468,509号、米国特許第6,436,375号、及び、国際公開WO 01/80823号、国際公開WO 03/034979号並びに国際公開WO 03/039510号に記載されている(これらの特許並びに公開の開示内容は、ここでそのまま全部参照により本願の説明に組み入れられる)。
【0221】
例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)などの金属及び半金属アルコキシドモノマー(並びにこれらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体)は、多くの分子や物質(活性成分)の非常に良好な溶媒であることを認識しておくことは、単量体前駆体溶媒に又は単量体溶媒の加水分解-縮合重合体中に溶解した分子や物質を充填するために、この溶解性を容易に利用できるので非常に好都合である。しかしながら、本発明は、また、前駆体に懸濁され得る分子や物質(活性成分)をコートしたり又は充填するのにも使用することできる。
【0222】
好ましくは、形成されたマイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなる。
【0223】
本方法により得られた生成物は、粉末状形状又は懸濁形状とし得る。好ましくは、得られた生成物は、前記マイクロカプセルの懸濁液である。
【0224】
好ましくは、得られた生成物は、前記マイクロカプセルの粉末状物である。得られた製造物が、前記マイクロカプセルの粉末の場合には、本方法は、例えば、蒸発、ろ過、凍結乾燥、などの公知の各種の手段で更に水分を除去する工程を含む。
【0225】
好ましくは、本方法により得られた生成物は、本方法の反応媒体中の前記マイクロカプセルの懸濁液である
好ましくは、前記懸濁液は、実質的にコロイダルシリカを含まない。
【0226】
好ましくは、マイクロカプセルの粒径は、直径で0.1〜1000μmの範囲、より好ましくは直径で0.1〜100μmの範囲、並びに最も好ましくは、直径で0.1〜10μmの範囲である。
【0227】
好ましくは、前記方法で得られたマイクロカプセルは、非溶脱性である。
【0228】
好ましくは、用語「非溶脱性」は、マイクロカプセルのコアからの活性成分の溶脱が、マイクロカプセルのコア中の活性成分の合計重量に基づいて、5重量/重量%以下、より好ましくは、1重量/重量%以下、より好ましくは、0.5重量/重量%以下、より好ましくは、0.2重量/重量%以下、最も好ましくは、0.1〜0.2重量/重量%を指すものである。この値は、激しく振動させた後の、例えば化粧品用オイルなどのオイル又は水性溶液を含む界面活性剤中への溶脱を指すものである。
【0229】
好ましくは、マイクロカプセルからの、充填された活性成分の化粧品用オイル又は水性溶液を含む界面活性剤中への溶脱は、激しく振動させた後で、0.5重量/重量%以下、好ましくは、0.2重量/重量%以下であることが好ましい。
【0230】
生成物は、方法により人類又は非人類への応用が変わるが、得られた水性懸濁液又は得られた乾燥粉末は、各種の担体、例えば、クリーム及びローション、加工食品、スプレー、ペイント、ラッカー、コーティング、プラスチック、又は、洗剤などに容易に組み入れることができる。
【0231】
本方法は、得られたマイクロカプセルを担体中に分散させる工程を更に含むことができる。
【0232】
本方法は、得られたマイクロカプセル懸濁液を、懸濁液を精製することなく担体中に分散させる工程を更に含むことができる。
【0233】
担体は、例えば、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、または、農業又は工業プロセスで用いられる担体を用いることができる。
【0234】
担体は、例えば、液体状、半固体状、または、固体状担体とすることができる。
【0235】
化粧品処方物(cosmetic formulations)において、懸濁液又は粉末形態のいずれも最終製品への添加は、皮膚に塗布する際に透明な、そしてなめらかで心地よい接触感を有するクリームとすることができる。
【0236】
粉末状物又は懸濁液は、好ましくは、直径で0.1〜10μmの範囲の球状の粒子を含み、滑らかな質感を有し、化粧品又はスキンケアー処方物(skin care formulations)中に懸濁させた際並びに皮膚に塗布した場合に透明である。
【0237】
本発明の方法は、そのどの工程においても、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は重合体を加えることにより、製品の表面電荷を変化させる工程を更に含むことができる。
【0238】
本発明の方法は、例えば、次のような非限定的工程で、実施することができる。:
(a)共溶媒及び/又は界面活性剤を用いるか用いずに、水不溶性前駆体(例えば、金属アルコキシドなど)及びカプセルで封入される分子類を含む溶液を、エマルジョンの安定化を補助するのに有用な各種の界面活性剤、即ち、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい2〜7の範囲のpHを有する水性溶液中で乳化する。このエマルジョンは、例えば、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波処理器、又は膜などのような機器を用いて適宜の剪断力をかけて生成される。
【0239】
エマルジョンの油性相は、必要に応じて、プロセスの改良及び/又は改良された生成物を得るために、添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、粘度変性剤(即ち増粘剤)、選択された前駆体に溶けそして触媒作用により加水分解-縮合重合反応を支援する酸又は塩基、界面活性剤、及び、その他の添加剤などが挙げられる。
(b)工程(a)で得られたエマルジョンは、必要に応じて、適宜に選択されたpHで(好ましくは2〜7の範囲のpHで)、また更に添加された界面活性剤を含んでいてもよい他の水性溶液と混合される。
【0240】
工程(a)で得られたエマルジョン及び/又は工程(b)の反応混合物は、加熱又は冷却処理を受け、減圧又は加圧処理を受け、又は不活性ガス雰囲気下に保持され、pHの変更処理を受け、又は、必要に応じて室温又は加速する温度で更に熟成期間を設けるなどの処理を受けることができる。
【0241】
得られた粒子(マイクロカプセル)は、必要に応じて、遠心分離又はろ過と脱イオン水中への再懸濁のサイクルを介して、又は透析により、又は他の各種の公知の技術により、分離され洗浄され得る。
【0242】
この水不溶性溶液(工程(a)の水不溶性溶液)及び水性溶液(工程(a)、(b)及び必要に応じて更なる洗浄を行う場合の水溶性溶液)は、各種の界面活性剤及びプロセスや生成物の改良のための他の添加剤を含むことができる。
【0243】
本発明のカプセル化プロセスは、水性反応性混合物中の副産物又は反応前駆体の量が少なく、非常に効率的であるので、工程(a)又は(b)の得られた懸濁液は、更なる処理(例えば、洗浄、遠心分離、ろ過、再懸濁など)をしなくとも使用可能である。
【0244】
必要に応じ、マイクロカプセルの反応媒体は、例えば、ダイアフィルトレーション(diafiltration)、反応溶媒の追加又は入れ替えなどにより、変えることができる。
【0245】
工程(a)又は(b)の得られた懸濁液は、例えば適当な担体に混合(incorporated)することもできる。
【0246】
本発明法本発明ので得られた最終生成物は、更なる処理をすることなしに、又は、必要に応じて加えられる、非イオン性、カチオン性ないしはアニオン性重合体、又は当該分野の熟練者に知られた懸濁助剤などの適宜の添加剤を含有する水中への再懸濁の後に、懸濁液の形態で、使用可能である。この懸濁液は、カプセル封入された物質の界面活性剤水溶液又は化粧用オイルへの溶脱が極めて低い。
【0247】
最終生成物は、また、必要に応じ添加される、例えば、非イオン性、カチオン性又はアニオン性の界面活性剤やポリマーなどの再調整添加剤(reconstitution additives)とともに、適宜の手段(例えば、乾燥、凍結乾燥など)で水を除去した後、粉末状の形態で使用することもできる。
【0248】
コア物質が活性成分の場合、マイクロカプセル中に充填した活性成分の分子や物質の充填量は、(マイクロカプセルの全重量に基づき)固形分重量で95重量%以上である。最終水性分散液中の充填された分子や物質(活性成分)の充填量は、水性分散液の最高75重量/重量%まで、より好ましくは50〜65重量/重量%、及び最も好ましくは60〜65重量/重量%とし得る。
【0249】
反応条件を適当に選択した場合は、生成物は、直径0.1〜10μmの球形粒子からなる固形分(マイクロカプセル)が最高約75重量/重量%まで、より好ましくは50〜65重量/重量%、及び最も好ましくは60〜65重量/重量%の固形分の水性懸濁液の形態、又は、直径0.01〜1000μmの球形の自由流動性微細粉末の形状である。
【0250】
適切な反応条件の選択により、最終生成物の粒子径は、直径0.01〜1000μmの範囲にコントロールでき、充填された分子などの化粧用オイル又は界面活性剤含有水性溶液への溶脱割合は最小にすることができる。
【0251】
最終生成物の粒子径(直径)は、0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にコントロール可能である。本方法で得られた粒子は、カプセル化物の性状や、粒子サイズ分布などの変化を受けずに、ホモジナイザーや超音波処理機などで受ける高剪断力に耐えることができる。また、この粒子は、2時間、80℃までの温度上昇、最高50kGyまでのγ線照射処理に対し、上記のような変化を受けずに耐えることができる。
【0252】
本発明の好ましい態様においては、反応条件の適切な選択により、前記生成物は、直径0.1〜10μmの球形粒子からなる固形分(マイクロカプセル)約1〜75重量/重量%、より好ましくは50〜65重量/重量%、及び最も好ましくは60〜65重量/重量%を含む水性懸濁液の形態である。この懸濁液は、例えば、非イオン性、カチオン性ないしはアニオン性重合体、又は当該分野の熟練者に知られた懸濁助剤などの適宜の添加剤の支援により安定化することが可能である。この懸濁液は、カプセル封入された物質の界面活性剤水溶液又は化粧用オイルへの溶脱が極めて低い。化粧品処方物(cosmetic formulation)へこの水性懸濁液を使用することにより、皮膚に塗布した際に透明で、滑らかで心地良い触感を有するクリームを製造することができる。
【0253】
本発明の他の好ましい態様においては、反応条件の適切な選択により、前記生成物は、滑らかで心地良い質感を有する直径0.1〜10μmの球形粒子からなる微細粉末の形状のものである。化粧品処方物(cosmetic formulation)にこの粉末を分散させることにより、皮膚に塗布した際に透明で、滑らかで心地良い触感を有するクリームを製造することができる。
【0254】
方法により生成物は、マイクロカプセル内にカプセル封入された分子や物質を保持し及び/又は隔離するよう設計し得る。
【0255】
本発明は更に(a)油性相:(b)水性相;及び(c)界面活性剤からなり、エマルジョン中の油性相濃度が50重量/重量%〜90重量/重量%であることを特徴とする水中油滴型エマルジョンに関する。
【0256】
エマルジョン中の油性相濃度は50〜80(重量/重量)%とすることができる。
【0257】
エマルジョン中の油性相濃度を50〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0258】
エマルジョン中の油性相濃度を55〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0259】
エマルジョン中の油性相濃度を60〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0260】
エマルジョン中の油性相濃度を65〜70(重量/重量)%とすることができる。
【0261】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物とすることができる。
【0262】
好まし界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。
【0263】
好ましくは、カチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0264】
そのほか本発明に用いられる界面活性剤としては、次のものが使用できる。:編者Eric Jungermannの界面活性剤の科学シリーズ第4巻の「Cationic surfactants」、同シリーズ第34巻、第37巻、第53巻も参照、これらはその全部を参照によりここに本願の説明として組み入れられる;及び、「Remington's Pharmaceutical Sciences」16th ed., Mack Publish Company, Easton, Pennsylvania. (1980)、これらはそのまま全部を参照によりここに本願の説明として組み入れられる。
【0265】
水性相におけるカチオン性界面活性剤の濃度は、0.1〜5(重量/重量)%、最も好ましくは0.5〜1.5(重量/重量)%とし得る。
【0266】
好ましくは油性相は少なくとも1種の活性成分を含む。
【0267】
活性成分としては、前述したものが挙げられる。
【0268】
油性相は、例えば、活性成分を溶解したり、分散したりするのに必要な液状(油状)担体のような賦形剤(excipients)を含むことができる。
【0269】
好ましくは、油性相は、少なくとも1種の活性成分と少なくとも1種の前述したような前駆体を含む。
【0270】
本発明は、更に、エマルジョンが1つの製造反応器内で製造されるエマルジョンの製造方法に関する。このエマルジョンは、水中油滴型エマルジョン又は油中水滴型エマルジョンとすることができる。
【0271】
この方法によれば、油性相、水性相、少なくとも1種の界面活性剤、及び必要に応じて添加されるその他の添加剤がエマルジョンを形成するために1つの製造反応器内に添加され混合される。
【0272】
油性相、水性相及び界面活性剤は前記で詳述したものが挙げられる。
【0273】
この方法は、各相(油性相と水性相)が2つの異なる反応器中で別々に作られ、次いで第3の反応器中で混合され、又は、油性相を水性相へ添加した後水性相反応器中で混合される(又は、水性相を油性相へ添加した後油性相反応器中で混合される)「従来の」方法に比べて、製造が簡易化され、高効率で、時間を節約し、それ故にコストが安くできるので、非常に有利である。
【0274】
本発明は次の開示で示される詳細構成及び組成のアレンジへの適用のみに限定されるものではない事が理解されるべきである。本発明は、他の態様を含むものであり、種々の方法で実行し、実施し得る。また、ここで用いた表現法や用語使いは、説明のためのみであり限定するためのものではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0275】
次の実施例は本発明を明瞭にし、説明する。これらは、どのような状況下においても排他的なものではなく、また、本発明の範囲を限定するものではない。
【0276】
(実施例の背景)
背景技術で述べたように、カプセル封入された日焼け止め剤のケースは、特に重要なケースである。日焼け止め剤製品は、すべての年齢層の人々やすべての性の人々に世界中で広く使用されている。しかし、これらの製品中の活性成分は接触性皮膚炎を起こす可能性があるのみならず、また、これらの薬品の光励起種が、光線接触皮膚炎(photo contact dermatitis)を起こす可能性がある。よって、シリカのような透明なマイクロカプセル中に日焼け止め剤の活性成分をカプセル封入する事は、活性成分及び/又はそれらの光分解生成物を、生体組織から実質的に隔離しながら、日焼け止め剤の光吸収能力の恩恵を享受する洗練された方法を提供する。
【0277】
実施例1 TEOS(テトラエトキシシラン)中のOMC(メトキシ桂皮酸オクチル)
広く日焼け止め剤として使用されているメトキシ桂皮酸オクチル(OMC)が次の手順によりマイクロカプセル(シリカマイクロカプセル)中にカプセル封入された。:
276gOMCを24gTEOSと混合した。有機相を、1%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)を含む水性溶液161g中で、「PT 6100 Polytron」ホモジナイザーを用い9000rpm5分間の高剪断力下で乳化した。容器壁は、均質化プロセス(homogenizing process)の間、アイス−ウォターバスに浸けられて冷却されていた。このエマルジョンを、次いで、pH3.8の230.5g水性溶液を含む、「Eurostar Power control−visc P4」撹拌器を備えた「IKA LR−A 1000」実験用反応器中に注いだ。この混合物を、エマルジョンがこの酸性溶液と完全に混合されるまで400rpmで撹拌し、次いで撹拌速度を60rpmに低下させた。反応の終了時点で得られたマイクロカプセルを、「SLA-1500」ヘッドを備えた「Sorvall RC-5C PLUS」遠心分離機を用い12500RPM30分で分離した。この工程で得られたケークは、元の状態にもどされ(reconstituted)純水中で撹拌され、且つ同様な方法で再度分離した。この工程の最後に得られたケークは、分散剤、防腐剤、及びpH安定剤:1重量/体積%のポリビニルピロリドン(分散剤)、0.3重量/体積%のクロロフェネシン(chlorophenesin)(防腐剤)、及び0.2重量/体積%のクエン酸・クエン酸ナトリウム緩衝液(pH安定剤):を含む水性溶液中で元の状態にもどされた(reconstituted)。
【0278】
この方法で得られたマイクロカプセル組成物は、0.75と2.5μmの間の範囲の粒径を有する小さなシリカ殻に封入された97.55(重量/重量)%のOMCからなる。
【0279】
この方法により得られたマイクロカプセルの処方物(formulation)は、肌に塗布した時に透明で滑らかで心地のよいクリームを供給できる処方A(Formula A)(実施例5、表1)に示した。
【0280】
実施例2 TEOS中のベンゾフェノン−3(BP-3)とOMC
UV−AのみならずUV−Bの日焼け止め剤であるベンゾフェノン−3の82.8gを、193.2gのOMC中に溶解した。得られた混合物を24gのTEOSに溶解し、有機相を、1%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)を含む水性溶液161g中に、(実施例1と同様にして)高剪断力下で乳化した。得られたエマルジョンを、230gのpH=3.5のHCl水性溶液を含む(上記と同様の)反応器中に注いた。エマルジョンが酸性溶液に完全に混合されるまで、400rpmでこの混合物を撹拌し、次いで撹拌速度を60rpmに低下させた。反応の終了時点で得られたマイクロカプセルを、「SLA-1500」ヘッドを備えた「Sorvall RC-5C PLUS」遠心分離機を用い、30分12500RPMで分離した。この工程で得られたケークは、元の状態にもどされ(reconstituted)純水中で撹拌され、且つ同様な方法で再度分離された。この工程の終りで得られたケークは、分散剤、防腐剤、及びpH安定剤:1重量/体積%のポリビニルピロリドン(分散剤)、0.3重量/体積%のクロロフェネシン(防腐剤)、及び0.2重量/体積%のクエン酸・クエン酸ナトリウム緩衝液(pH安定剤):を含む水性溶液中で元の状態にもどされた(reconstituted)。
【0281】
この方法で得られたマイクロカプセル組成物は、0.75と2.5μmの間の範囲の粒径を有する小さなシリカ殻に封入された98.0(重量/重量)%のBP-3/OMC溶液からなっていた。
【0282】
中性の化粧用クリーム(w/oローション)への本生成物の処方(formulation)によりこれらの使用された2種の日焼け止め剤混合物から期待されるように、紫外線の広範囲な吸収スペクトルを有する化粧用クリームが製造された。その結果として、肌に塗布した時に透明で滑らかで心地のよいクリームが得られた。
【0283】
マイクロカプセルのコア(活性成分)の含有量95(重量/重量)%以上の試験は次の方法で行われた。:
200mgのマイクロカプセルの懸濁液を1mlの5MのNaOH(マイクロカプセルの殻を溶かすため)に溶解させ、次いでこの混合物をメタノールで100mlの体積になるよう希釈した。活性成分の量は、HPCL(高性能液体クロマトグラフィ)で測定した。固形分(マイクロカプセル)の全重量は、105℃で懸濁液を最大乾燥度まで乾燥することにより測定した。活性成分の割合は、活性成分の重量をマイクロカプセルの全重量で割ることにより決定した。
【0284】
実施例3 2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(Octocrylene)中の3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM)
UVA日焼け止め剤である85.5gのBMDBMを199.5gのオクトクリレン(UVB吸収剤)に、40℃・3時間強く撹拌して完全に溶解させた。得られた混合物を15gのTEOSと混合した。次いで、油性相を、1(重量/重量%)%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)を含む水性溶液161g中で、「PT 6100 Polytron」ホモジナイザーを用い15000rpm10分間の高剪断力下で乳化した。容器壁は、均質化プロセス(homogenizing process)の間、アイス−ウォターバスに浸けられて冷却されていた。このエマルジョンを、次いで、pH3.8の230.5gのHCl水溶液を含む、「Eurostar Power control−visc P4」撹拌器を備えた「IKA LR−A 1000」実験用反応器中に注いだ。この混合物を、エマルジョンがこの酸性溶液と完全に混合されるまで400rpmで撹拌し、次いで撹拌速度を60rpmに低下させた。反応の終了時点で得られたマイクロカプセルを、「SLA-1500」を備えた「Sorvall RC-5C PLUS」遠心分離機を用い12500RPM30分で分離した。この工程で得られたケークは、元の状態にもどされ(reconstituted)純水中で撹拌され、且つ同様な方法で再度分離した。この工程の最後で得られたケークは、1%のポリビニルピロリドン(PVP K30, ISP)中で元の状態にもどされ(reconstituted)安定な分散液を形成した。この方法で得られたマイクロカプセル組成物は、0.3〜2.7μmの粒径を有する小さなシリカ殻に封入されたBMDBM/OCT溶液と、分散剤(1重量/体積%ポリビニルピロリドン)を含む水性溶液からなるものであった。
【0285】
中性の化粧用クリーム(w/oローション)への本生成物の処方(formulation)によりこれらの使用された2種の日焼け止め剤混合物から期待されるように、紫外線の広範囲な吸収スペクトルを有する化粧用クリームが製造された。その結果として、肌に塗布した時に透明で滑らかで心地のよいクリームが得られた。
【0286】
実施例4
水懸濁液へのカプセル封入されたOMCの溶脱試験
マイクロカプセルのカプセル化性状の試験のため、溶脱試験を行った。溶脱試験は、3%ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート(Tween60)水溶液中の(マイクロカプセルの)懸濁液の室温での激しい振動により、続いて粒子のろ過(0.2μm分離フィルター(0.2μ cut off filter))、及び濾液のスペクトル分析により行われた。溶脱した活性成分(遊離活性成分)の量は、検量線を使用して決定された。分光光度法で決定される、同じ界面活性剤溶液(Tween60の3%水溶液)に溶解した活性成分の線形応答(検量線)は、界面活性剤溶液中の活性成分の濃度が0−0.5(重量/重量)%の範囲で得られた。この界面活性剤溶液は化粧品処方物(cosmetic formulations)において、通常使用されているものである。カプセル封入された成分を水に可溶化するこの溶液の能力は、カプセル封入された成分のこの方法の試験により確かめられたのである。懸濁液中の粒子のここに記載の方法で測定された溶脱割合は、0.3%以下であった。溶脱は0.1−0.2重量/重量%の範囲であった。
【0287】
「IKR プロダクトタイプ」の分散器で2000RPM、35分間回転させた懸濁液の均質化(homogenization)後及び2.5Mradでのγ線照射処理後での同条件による溶脱割合の大きな変化は観測されなかった。
【0288】
実施例5
表1に記載の、化粧品担体の処方(formulation)後の、マイクロカプセルのカプセル封入能力の完全性を試験するため、溶脱試験を行った。この試験においては、処方された粒子は、3%ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート(Tween60)水性溶液中で室温で激しい振動を受け、続いて粒子のろ過(0.2μm分離フィルター(0.2μ cut off filter))、及び濾液のスペクトル分析により行われる。結果は活性成分(OMC)の0.15重量/重量%溶脱を示しており、カプセル化の完全性が確保されていたことを明瞭に示している。
【0289】
【表1】

【0290】
実施例6
蛍光染料のカプセル化
蛍光染料の取り込み(マイクロカプセル封入)のマイクロカプセル封入技術は、非液状(固体粉末状)蛍光染料が用いられるという変更を除いて、オイルに可溶の日焼け止め剤のマイクロカプセル化と同様である。
【0291】
蛍光染料のカプセル封入の方法は、次のステップで行われた。
1.選択されたオイル(活性相−AP)への蛍光染料の溶解;
2.油性相(OP)を形成するTEOSと(1)からのAPの混合;
3.エマルジョン段階の形成(EM)のための、界面活性剤水性溶液(水性相)で(2)からのOPの乳化;
4.(3)で得られたEMが、反応段階(RE)形成のための、触媒水溶液(触媒相−CT)で最終濃度に希釈され、及びマイクロカプセルを形成するため混合される。
【0292】
RE段階は、マイクロカプセルのシリカ殻が形成されるまで約24時間かかる。この段階後、その最終用途に応じ、製造物は反応混合物の状態で保持されるか、又は、遠心分離により分離されるか又はその他各種の乾燥技術(凍結乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライ)により乾燥される。
【0293】
次に示す蛍光染料のマイクロカプセルは、次の方法で製造された。
1.ミリスチン酸イソプロピル(IPM)に溶解されたナイルレッド[Nile Red](NR)のカプセル封入
2.ホモサラート(HMS)に溶解されたナイルレッド[Nile Red](NR)のカプセル封入
3.ジプロピレングリコールジベンゾエート(DPGDB)に溶解されたナイルレッド[Nile Red](NR)のカプセル封入
4.メトキシ桂皮酸オクチル(OMC)に溶解されたペリレン[Perylene](PE)のカプセル封入
5.ホモサラート(HMS)に溶解されたペリレン[Perylene](PE)のカプセル封入。
【0294】
実施例7:ミリスチン酸イソプロピル(IPM)に溶解されたナイルレッド[Nile Red](NR)のカプセル封入
NR10mg含むIPM387gの溶液を調合し、さらに油性相(OP)を得るために68gのテトラエチルオルソシリケート(TEOS)と混合した。OPは246gのセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)の1(重量/重量)%水溶液に添加され、高剪断力のミキサーで混合された。得られたエマルジョンは、懸濁液中にマイクロカプセルを形成するため、1リットルの反応器中で350gのpH3.8の酸性水性溶液(0.22gのHClを含む)と24時間混合された。
【0295】
実施例8
HMSに溶解されたナイルレッド、DPGDBに溶解されたナイルレッド、OMCに溶解されたペリレン及びHMSに溶解されたペリレン
上記実施例6においてリストアップされているマイクロカプセル2〜5を、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)に溶解されたナイルレッド(NR)に代えて、次の蛍光染料とオイルを用い、上記に(実施例7に)記載の方法と同様にして製造した。
2.ホモサラート(HMS)に溶解されたナイルレッド(NR)
3.ジプロピレングリコールジベンゾエート(DPGDB)に溶解されたナイルレッド(NR)
4.メトキシ桂皮酸オクチル(OMC)に溶解されたペリレン(PE);又は
5.ホモサラート(HMS)に溶解されたペリレン(PE)
マイクロカプセル2〜5の製造に使用した成分のすべての量は、実施例6で使用した量と同じであった。
【0296】
実施例9:TEOS(テトラエトキシシラン)中のメトキシ桂皮酸オクチル(OMC)
広く使用されている日焼け止め剤メトキシ桂皮酸オクチル(OMC)が次の手順によりマイクロカプセル(シリカマイクロカプセル)中にカプセル封入される。:
276gOMCを24gTEOSと混合する。有機相を、1%のセチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)を含みpH3.5の水性溶液161g中で、「PT 6100 Polytron」ホモジナイザーを用い9000rpm5分間の高剪断力下で乳化する。容器壁は、均質化プロセス(homogenizing process)の間、アイス−ウォターバスに浸けられて冷却する。このエマルジョンを、次いで「Eurostar Power control−visc P4」撹拌器を備えた「IKA LR−A 1000」実験用反応器中に注ぎ、そしてこの混合物を、60rpmで24時間撹拌する。反応の終了時点で得られたマイクロカプセルを、「SLA-1500」ヘッドを備えた「Sorvall RC-5C PLUS」遠心分離機を用い12500RPM30分で分離する。この工程で得られたケークは、元の状態にもどされ(reconstituted)純水中で撹拌され、且つ同様な方法で再度分離される。この工程の終了時点で得られたケークは、1重量/体積%のポリビニルピロリドンを含む水性溶液中で元の状態にもどされた(reconstituted)。
【0297】
あるいは、この方法に代えて、反応の終りの時点で得られた懸濁液中のマイクロカプセルを、分離や元の状態にもどす(reconstitution)更なる工程を経ることなく使用する。
【0298】
本発明はそれらの好ましい態様を参照しながら明らかにされ説明されているが、本発明の精神や範囲から外れることなく、各種の代替、変更、及び変化をさせることができることは当業者に理解されるところである。従って、添付請求項の精神と広い範囲内に入るすべての代替、変更、及び変化を含むものである。
【0299】
この明細書で引用したすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の刊行物、特許、又は特許出願が、特に及び個々に参照により本願の説明に組み入れられると表示されたと同等の範囲でそっくり参照により本願の説明として組み入れられるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセル殻内に封入されたコア物質を有するマイクロカプセルであって、前記コア物質は、少なくとも1つの活性成分を含み、マイクロカプセル殻は、その前駆体のインサイチュ重合により得られる重合された前駆体からなる少なくとも1種の無機重合体からなり、マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95重量/重量%以上であるマイクロカプセル。
【請求項2】
マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜99(重量/重量)%である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜98(重量/重量)%である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記コア物質が、実質的に前記少なくとも1つの活性成分からなる請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記コア物質が、前記少なくとも1つの活性成分からなる請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
前記コアが、液状コアである請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
前記液状コアが、油状コアである請求項6に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
前記油状コアが、溶液、懸濁液、または、分散液である請求項7に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
活性成分が、日焼け止め剤、歯科用剤、芳香剤、香料、着色剤、染料、食品着色剤、食品添加物、ワックス、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、火薬、農薬、生体分子、医薬品、触媒、試薬、または、これらの混合物から選ばれた活性成分である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項10】
前記医薬品が、外皮用剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗座瘡剤、抗ヒスタミン剤、皮膚白化剤、抗寄生虫剤、筋弛緩剤、ステロイド、ホルモン、収斂剤、または、これらの混合物から選択される医薬品である請求項9に記載のマイクロカプセル。
【請求項11】
活性成分が日焼け止め剤である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項12】
前記日焼け止め剤が、UVA吸収剤、UVB吸収剤またはその混合物から選択される請求項11に記載のマイクロカプセル。
【請求項13】
前記日焼け止め剤が、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、p-アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オキシベンゾン、2-フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4´−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、サリチル酸トリエタノールアミン、2,4−ジヒドロベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−ヒドロキシジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、または、これらの混合物から選択される請求項11に記載のマイクロカプセル。
【請求項14】
前記日焼け止め剤が、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイル メタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択される請求項11に記載のマイクロカプセル。
【請求項15】
前記染料が蛍光染料である請求項9に記載のマイクロカプセル。
【請求項16】
前記蛍光染料が、ナイルレッド、ペリレン、アントラセン、ピレン、または、これらの混合物から選択される請求項15に記載のマイクロカプセル。
【請求項17】
前記前駆体が、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、
式M(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Mは金属または半金属元素、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜6の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜6の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される前駆体である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項18】
前記金属または半金属元素が、Si、Ti、Zr、Al、及び、Znから選択される請求項17に記載のマイクロカプセル。
【請求項19】
前記前駆体が、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、
式Si(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜4の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される前駆体である請求項17に記載のマイクロカプセル。
【請求項20】
前記前駆体が、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項21】
前記半金属アルコキシドモノマーが、シリコンアルコキシドモノマーである請求項17-20のいずれかに記載のマイクロカプセル。
【請求項22】
前記シリコンアルコキシドモノマーが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、または、これらの混合物から選択される請求項19または21に記載のマイクロカプセル。
【請求項23】
前記シリコンアルコキシドモノマーが、テトラエトキシシランである請求項19または21に記載のマイクロカプセル。
【請求項24】
前記活性成分が日焼け止め剤であり、且つ、前記前駆体がテトラエトキシシランである請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項25】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.01〜1000μmの範囲である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項26】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.1〜100μmである請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項27】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.1〜10μmである請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項28】
前記マイクロカプセルが、担体中に分散した際に、非溶脱性である請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項29】
前記に記載のいずれかの請求項で規定したマイクロカプセルと、担体から成る組成物。
【請求項30】
前記マイクロカプセルが前記担体中に分散された請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記担体が、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、または、農業又は工業プロセスで用いられる担体である請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記担体が、液体状、半固体状、または、固体状担体である請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1−28のいずれかに規定したマイクロカプセルからなる実質的にコロイダルシリカを含まない懸濁液。
【請求項34】
実質的に前記マイクロカプセルからなる請求項33に記載の懸濁液。
【請求項35】
前記懸濁液が、担体中に分散されている請求項33に記載の懸濁液。
【請求項36】
前記担体が、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、または、農業又は工業プロセスで用いられる担体である請求項35に記載の懸濁物。
【請求項37】
前記担体が、液体状、半固体状、または、固体状担体である請求項36に記載の懸濁物。
【請求項38】
前記マイクロカプセルが懸濁液の媒体に非溶脱性である請求項33に記載の懸濁液。
【請求項39】
前記マイクロカプセルが、前記懸濁液が担体に分散される際に、非溶脱性である請求項33に記載の懸濁液。
【請求項40】
マイクロカプセル殻内に封入された少なくとも1つの活性成分を含有するコア物質を有するマイクロカプセルの製造方法であって、
前記方法は、
水不溶性前駆体とコア物質からなる油性相を、2〜7のpHを有する水性溶液からなる水性相中において、適宜の剪断力並びに温度条件下で乳化することにより水中油滴型エマルジョンを作成する工程を含み、
前記方法は
(i)エマルジョンの全重量に基づく油性相の濃度が50重量/重量%〜90重量/重量%;
(ii)前駆体のコア物質に対する重量比が5/95〜25/75である;
という条件の少なくとも1つを含み、これにより、95重量/重量%以上の前記コア物質を有するマイクロカプセルを得ることからなるマイクロカプセルの製造方法。
【請求項41】
前記2つの条件(i)及び(ii)の組合せからなる請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記条件が前記(ii)の条件からなる請求項40に記載の方法。
【請求項43】
充填物が充填された懸濁状態のマイクロカプセルを得るために、前記エマルジョンを、H2〜7の範囲内で適宜に選択されたpHを有する他の水性液と混合及び撹拌する工程をさらに含む請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記水性液のpHが2〜5の範囲である請求項40または43に記載の方法。
【請求項45】
前記水性液のpHが3〜4の範囲である請求項40または43に記載の方法。
【請求項46】
(a)油性相を形成するコア物質と前駆体を混合し;
(b)水中油滴型エマルジョンを形成するために、2〜7の範囲のpHを有する水性相中において前記油性相を乳化し;そして
(c)工程(b)で得られた生成物をマイクロカプセルが形成されるまで撹拌する
ことからなる請求項40に記載の方法。
【請求項47】
(a)油性相を形成するコア物質と前駆体を製造反応器中で混合し;
(b)水中油滴型エマルジョンを形成するために、工程(a)の製造反応器に2〜7の範囲のpHを有する水性相を加え;そして
(c)工程(b)で得られた生成物をマイクロカプセルが形成されるまで撹拌する
ことからなる請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記工程が1つの製造反応器中で行われる請求項40〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記水性相が界面活性剤を含む請求項46または47に記載の方法。
【請求項50】
工程(b)の後に、触媒を添加する工程を更に含む請求項46〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
工程(b)の後に、界面活性剤、触媒並びにこれらの混合物から選ばれた成分を添加する工程を更に含む請求項46または47に記載の方法。
【請求項52】
前記成分の添加後に、水性希釈剤で希釈する工程を更に含む請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選ばれた界面活性剤である請求項49または51に記載の方法。
【請求項54】
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤である請求項49または51に記載の方法。
【請求項55】
前記カチオン性界面活性剤が、セチルトリメチルアンモニウムクロライドである請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記触媒が、酸性溶液である請求項50または51に記載の方法。
【請求項57】
前記酸性溶液が、塩酸溶液である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
水性相のpHが5より大きく、前記触媒が2〜5の範囲のpHにするために添加される請求項46〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
水性相のpHが4より大きく、前記触媒が3〜4の範囲のpHにするために添加される請求項46〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
遠心分離による分離;ろ過;蒸発;水性液への再懸濁;及び透析の少なくとも一つから選ばれた手段を介して、マイクロカプセルを分離し洗浄する工程を更に含む先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
得られる懸濁液が、非イオン性、カチオン性、または、アニオン性の、重合体または界面活性剤、ないしは、これらの混合物から選ばれた添加剤を添加することにより安定化されている先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
粉末形状の最終生成物を得るために、水分を除去する工程を更に含む先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
再調整添加剤(reconstitution additives)を添加する工程を更に含む先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記再調整添加剤が、非イオン性、カチオン性、または、アニオン性の、界面活性剤または重合体、ないしは、これらの混合物から選ばれる請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記温度が5〜20℃の範囲である請求項40に記載の方法。
【請求項66】
エマルジョン中の油性相の濃度が、50〜80(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項67】
エマルジョン中の油性相の濃度が、50〜70(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項68】
エマルジョン中の油性相の濃度が、55〜70(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項69】
エマルジョン中の油性相の濃度が、60〜70(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項70】
エマルジョン中の油性相の濃度が、65〜70(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項71】
前駆体のコア物質に対する重量比が、5/95〜20/80である請求項40に記載の方法。
【請求項72】
前駆体のコア物質に対する重量比が、5/95〜15/85である請求項40に記載の方法。
【請求項73】
前駆体のコア物質に対する重量比が、10/90〜15/85である請求項40に記載の方法。
【請求項74】
前駆体のコア物質に対する重量比が、10/90〜15/85であり、且つ、前記水性溶液のpHが3〜4である請求項40に記載の方法。
【請求項75】
マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜99(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項76】
マイクロカプセルの全重量に基づくコア物質の濃度が、95〜98(重量/重量)%である請求項40に記載の方法。
【請求項77】
前記コア物質が、実質的に前記少なくとも1つの活性成分からなる請求項40に記載の方法。
【請求項78】
前記コア物質が、前記少なくとも1つの活性成分からなる請求項40に記載の方法。
【請求項79】
前記コアが、液状コアである請求項40に記載の方法。
【請求項80】
前記液状コアが、油状コアである請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記油状コアが、溶液、懸濁液、または、分散液である請求項80に記載の方法。
【請求項82】
活性成分が、日焼け止め剤、歯科用剤、芳香剤、香料、着色剤、染料、食品着色剤、食品添加物、ワックス、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、火薬、農薬、生体分子、医薬品、触媒、試薬、または、これらの混合物から選ばれた活性成分である請求項40に記載の方法。
【請求項83】
前記医薬品が、外皮用剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗座瘡剤、抗ヒスタミン剤、皮膚白化剤、抗寄生虫剤、筋弛緩剤、ステロイド、ホルモン、収斂剤、または、これらの混合物から選択される医薬品である請求項82に記載の方法。
【請求項84】
活性成分が日焼け止め剤である請求項40に記載の方法。
【請求項85】
前記日焼け止め剤が、UVA吸収剤、UVB吸収剤またはその混合物から選択される請求項84に記載の方法。
【請求項86】
日焼け止め剤が、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−8、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、p-アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オキシベンゾン、2-フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4´−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、サリチル酸トリエタノールアミン、2,4−ジヒドロベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−ヒドロキシジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、または、これらの混合物から選択される請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記日焼け止め剤が、メトキシ桂皮酸オクチル、3−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン−3、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、または、これらの混合物から選択される請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記染料が蛍光染料である請求項82に記載の方法。
【請求項89】
前記蛍光染料が、ナイルレッド、ペリレン、アントラセン、ピレン、または、これらの混合物から選択される請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記前駆体が、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、
式M(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Mは金属または半金属元素、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜6の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜6の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される前駆体である請求項40に記載の方法。
【請求項91】
前記金属または半金属元素が、Si、Ti、Zr、Al、及び、Znから選択される請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記前駆体が、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、
式Si(R)n(P)mで示されるモノマー:ここで、Rは加水分解可能な置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、mは0〜4の整数である;、
これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される前駆体である請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記前駆体が、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、これらの部分的に加水分解され及び部分的に縮合された重合体、または、これらのいずれかの混合物から選択される請求項40に記載の方法。
【請求項94】
前記半金属アルコキシドモノマーが、シリコンアルコキシドモノマーである請求項90〜93のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
前記シリコンアルコキシドモノマーが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、または、これらの混合物から選択される請求項92または94に記載の方法。
【請求項96】
前記シリコンアルコキシドモノマーが、テトラエトキシシランである請求項92または94に記載の方法。
【請求項97】
前記活性成分が日焼け止め剤であり、且つ、前記前駆体がテトラエトキシシランである請求項40に記載の方法。
【請求項98】
得られた生成物が前記マイクロカプセルの懸濁液である請求項40に記載の方法。
【請求項99】
得られた生成物が前記マイクロカプセルの粉末状物である請求項40に記載の方法。
【請求項100】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.01〜1000μmの範囲である請求項40に記載の方法。
【請求項101】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.1〜100μmである請求項40に記載の方法。
【請求項102】
マイクロカプセルの粒径が、直径で0.1〜10μmである請求項40に記載の方法。
【請求項103】
前記方法によって得られるマイクロカプセルが、非溶脱性である請求項40に記載の方法。
【請求項104】
前記方法により得られた生成物が、前記方法の反応媒体中の前記マイクロカプセルの懸濁液である請求項40に記載の方法。
【請求項105】
前記懸濁液が実質的にコロイダルシリカを含まない請求項104に記載の方法。
【請求項106】
得られたマイクロカプセルを担体中に分散させる工程を更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項107】
得られたマイクロカプセル懸濁液を前記懸濁液を精製することなく担体中に分散させる工程を更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項108】
前記担体が、化粧品用担体、医薬品用担体、食品用担体、または、農業又は工業プロセスで用いられる担体である請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記担体が、液体状、半固体状、または、固体状担体である請求項105に記載の方法。


【公表番号】特表2007−500590(P2007−500590A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521771(P2006−521771)
【出願日】平成16年8月1日(2004.8.1)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000702
【国際公開番号】WO2005/009604
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(501451679)ゾル−ゲル テクノロジーズ エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】