活性汚泥処理システム
【課題】設置スペースの小型化を図ることができると共に、汚泥流出の心配がなく、しかもランニングコストを抑制することのできる活性汚泥処理技術を提供する。
【解決手段】曝気槽1からの懸濁水W1を活性汚泥ACと濾水W2に分離すると共に、分離された活性汚泥を懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く余剰汚泥引抜手段5と、を備える。
【解決手段】曝気槽1からの懸濁水W1を活性汚泥ACと濾水W2に分離すると共に、分離された活性汚泥を懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く余剰汚泥引抜手段5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水や食品排水、浄化槽内の汚水、し尿等、有機性排水もしくは廃水を処理するための活性汚泥処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水や食品排水、浄化槽内の汚水、し尿等、有機性排水もしくは廃水(以下、単に排水という)の処理は、好気性微生物を主成分とする浮遊性有機汚泥(活性汚泥)を用いて、汚水中の有機物を無機化あるいはガス化する好気性の生物処理法(活性汚泥法)が一般的であり、世界各地で普及している。また、この活性汚泥法のプロセスに嫌気処理や薬品添加処理を組み合わせることによって、窒素の除去(生物脱窒法)やリンの除去等、更に高度な水処理を行う方法が行われている。
【0003】
図16及び図17は、下水処理場や食品排水等の有機性汚水に適用される従来技術による活性汚泥処理法を示すシステムフロー図である。
【0004】
活性汚泥法では主に曝気槽(エアレーションタンク106,反応槽107)と沈殿槽(沈殿池102)での処理がメインとなる。すなわち図16又は図17に示される従来の処理法では、処理対象の排水を、沈砂池101及び最初沈殿池102を経て、あるいはスクリーン103による固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、好気性微生物群(活性汚泥)が増殖しているエアレーションタンク106又は反応槽107に一定流量で導入し、送風機等により空気中の酸素を送り曝気と同時に攪拌することによって、凝集性のある好気性微生物群のフロック(活性汚泥フロック)を形成し、水中の汚濁有機分を吸着、分解する。
【0005】
活性汚泥フロックと有機物の分解された処理水で構成される懸濁水は、曝気槽(エアレーションタンク106又は反応槽107)に流入した汚水量だけ沈殿池108又は沈殿槽109に流出される。沈殿池108又は沈殿槽109では、水より僅かに比重の重い活性汚泥フロックは底に沈降し、清澄な上澄み水を処理済水としてそのまま放流もしくは消毒施設110で消毒後放流する。沈降した汚泥は、沈殿池108又は沈殿槽109の底部より引き抜き、エアレーションタンク106又は反応槽107内の活性汚泥濃度を一定に保つために返送する(返送汚泥)。また、有機物の分解により増殖した活性汚泥の一部は余剰汚泥として引き抜く。この引き抜き汚泥は、そのままでは水分が非常に多いため、汚泥濃縮槽111で重力沈降等により濃縮し、さらに脱水機112等によって、場外搬出可能な程度にまで脱水した後で搬出し、資源化処理又は焼却処理する。
【0006】
なお、この種の活性汚泥法による排水処理方法としては、例えば下記の特許文献1,2に記載のものが知られている。
【0007】
しかしながら、活性汚泥法は、上述のように曝気槽106,107で好気性微生物群に有機性汚濁物質を食べさせ、増殖した好気性微生物群による活性汚泥を沈降分離させることによって、分離水(処理済水)を放流するシステムであるため、処理を適正に行うには、活性汚泥を良好な状態で管理する必要がある。すなわち、餌の与えすぎ(有機物負荷の高い状態)や飢餓状態(負荷の少なすぎる状態)などの良好でない活性汚泥は、凝集性のフロックを形成せずバラバラになってしまうので、最終沈殿池108や沈殿槽109で沈殿せず、上澄みである処理済水が得られない(バルキング現象)。
【0008】
また、最終沈殿池108や沈殿槽109での余剰汚泥の引き抜き過ぎは、曝気槽106,107へ返送される微生物群を減少させ、処理能力を低下させ、目的となる良好な水質を得る事ができない。また逆に、余剰汚泥の引き抜き不足の場合は、返送される活性汚泥が多すぎて曝気槽106,107の微生物量に対して酸素不足となってしまう一方、最終沈殿池108や沈殿槽109から放流される処理済水への汚泥の流出が発生する。
【0009】
このため活性汚泥法では、その設計及び運転操作条件が詳細に定められている。例えばBOD容積負荷は、有機物の指標であるBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を曝気槽1m3あたり1日にどれだけ処理させるかの指標であり、一般的な下水処理場では0.3〜0.8kgBOD/m3/日で曝気槽容量を設計し、汚濁負荷量を管理している。また、BOD−MLSS負荷量は、BODを曝気槽の微生物量の指標であるMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:曝気槽の浮遊物質量)1kgあたり1日にどれだけ処理させるかの指標であり、一般的に0.2〜0.4kg BOD/kg MLSS/日で設定されている。曝気槽のMLSSは3,000〜6,000 mg/Lで管理し、その濃度を常時保つように沈殿槽より汚泥を引抜き、曝気槽に返送し、余剰分の汚泥は系外に引き抜くという高度な管理を行っている。
【0010】
言い換えれば、図16又は図17に示される処理法では、曝気槽106,107のMLSS濃度をより高濃度に維持できれば、処理能力は向上し設置スペースをコンパクトにできる反面、最終沈殿池108や沈殿槽109での汚泥の沈降が不良となり目的となる処理水質が得られないため、上述のようなMLSS濃度での運転操作に縛られているといえる。
【0011】
一方、近年は膜分離活性汚泥法が開発され、世界各地で普及が進んでいる(例えば下記の特許文献3参照)。これは、精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)を用いて、活性汚泥と処理水を強制的に分離する方法である。この膜分離活性汚泥法では、曝気槽内に上記MF膜あるいはUF膜などの分離膜を浸漬する方法が一般的で、反応槽からの汚泥の流出を防ぐことで、MLSS濃度を8,000〜15,000mg/L程度と高濃度に高めることで曝気槽を小型化でき、かつ沈殿槽を不要とする技術である。また、処理水が非常に清澄であることから高度処理が求められる場合も後段の砂ろ過設備等の必要がない。
【0012】
しかし一方で、この膜分離活性汚泥法によれば、浸漬した分離膜に汚水中の難溶性成分や高分子の溶質、コロイド、微小固形物などが沈着して、分離膜の透過流速を低下させるファウリング(目詰まり)現象が起こるため、これを防止する必要がある。このため、MLSS濃度は15,000 mg/L程度が上限であり、かつ通常運転において、浸漬中の分離膜に大量の空気を常時曝気する膜洗浄処理を行うことが必須であり、電力などの維持管理エネルギー消費量が従来よりも増加するといった問題がある。
【0013】
しかも、曝気洗浄だけでは分離膜の目詰まりを確実防止することができず、性能が徐々に劣化するため、定期的に分離膜を槽内より引き揚げ次亜塩素酸やアルカリなどの薬品で洗浄する維持管理をする必要がある。また、分離膜の寿命は素材や使用状況で異なるが1〜5年程度であり、このため分離膜の定期的な交換が必要となる。このように、設置スペースの小型化や汚泥流出の心配がないといった利点がある反面で、運転動力や膜交換などによるランニングコストが大きくなるという課題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−322070号公報
【特許文献2】特開2007−275847号公報
【特許文献3】特開2009−226373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、設置スペースの小型化を図ることができると共に、汚泥流出の心配がなく、しかもランニングコストを抑制することのできる活性汚泥処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る活性汚泥処理システムは、曝気槽からの懸濁水を活性汚泥と濾水に分離すると共に、分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送する固液分離手段と、移送された活性汚泥を回収する汚泥回収手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥を前記曝気槽へ返送する汚泥返送手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜く余剰汚泥引抜手段と、を備えるものである。
【0017】
また、請求項2の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項1に記載の構成において、固液分離手段が、活性汚泥を含む懸濁水に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能であって外周壁がメッシュ材からなる回転ドラムフィルタからなるものである。
【0018】
また、請求項3の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2に記載の構成において、汚泥回収手段が回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層を剥離・転写する転写ローラからなるものである。
【0019】
また、請求項4の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2又は3に記載の構成において、固液分離手段を曝気槽内に設置するものである。
【0020】
また、請求項5の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成において、回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させるメタン発酵手段を備えるものである。
【0021】
また、請求項6の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2〜5のいずれかに記載の構成において、処理水の濁度を検出する濁度センサを備え、この濁度センサにより検出された濾水の濁度に応じて回転ドラムフィルタの回転速度を制御するものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、固液分離手段で懸濁水から分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送することによって汚泥の含水率が低くなるので、汚泥濃縮槽を不要にすることができ、この活性汚泥を回収手段及び汚泥返送手段を介して曝気槽中の懸濁水へ返送することによって、懸濁水のMLSS濃度を高濃度に保持することができ、このため曝気槽の面積を大きく削減することができる。
【0023】
請求項2の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項1による効果に加え、回転ドラムフィルタを回転させるだけで良好に固液分離できることから、省エネルギーが図れ、ランニングコストを低くすることができる。
【0024】
請求項3の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2による効果に加え、回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層が、転写ローラによって剥離され、直ちに回収されるため、回転ドラムフィルタの濾過部のファウリングやそのための洗浄等の処理が不要になり、しかも余剰汚泥の発生量を大きく削減することができる。
【0025】
請求項4の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2又は3による効果に加え、回転ドラムフィルタを曝気槽内に設置することによって、システム全体の設置面積を削減することができる。
【0026】
請求項5の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項1〜4のいずれかによる効果に加え、回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させることによって、バイオガスからなるエネルギー生産が可能になると共に、汚泥を著しく減容することができる。
【0027】
請求項6の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2〜5のいずれかによる効果に加え、供給される処理対象の懸濁水の水質や水量が変化しても常に安定した濾水の水質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図2】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図3】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図4】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図5】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図6】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図7】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図8】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図9】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図10】本発明に係る活性汚泥処理システムの実施例を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線で切断して示す断面図である。
【図12】図10のXII−XII線で切断して示す断面図である。
【図13】本発明に係る活性汚泥処理システムの他の実施例を図10のXIII−XIII線と対応する位置で切断して示す断面図である。
【図14】本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置を陸上設置型とした実施例を示す鉛直断面図である。
【図15】本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置を陸上設置型とした実施例を示す平面図である。
【図16】従来技術に係る活性汚泥処理システムの一例を示すシステムフロー図である。
【図17】従来技術に係る活性汚泥処理システムの他の例を示すシステムフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1〜図9は、本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい実施の形態を示すシステムフロー図である。
【0030】
すなわち、これら各実施の形態による活性汚泥処理システムは、エアレーションタンクなどの曝気槽1と、この曝気槽1に供給された懸濁水W1を活性汚泥ACと処理水(濾水W2)に分離すると共に、この分離された活性汚泥ACを前記懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを前記曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5と、を備える。
【0031】
図1に示される実施の形態では、処理対象の排水は、沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することで砂や高密度の固形物が沈殿し、その上澄み水が曝気槽1(エアレーションタンク11)へ供給される。エアレーションタンク11では、好気性微生物が水中に懸濁している有機物を餌として繁殖し、その結果、凝集性のある好気性微生物群のフロック(活性汚泥フロック)が形成され、水中の汚濁有機分が吸着、分解される。
【0032】
固液分離手段2はエアレーションタンク11内もしくは後段(陸上)に設置されており、この固液分離手段2は、活性汚泥フロックと有機物の分解された曝気処理水で構成される懸濁水を、例えば後述するような回転ドラムフィルタによって活性汚泥ACと処理水(濾水W2)とに分離するものである。分離された処理水(濾水W2)は透明かつ有機物の分解された清浄な水であるため、直接放流もしくは消毒施設110により消毒して放流することができる。また、親水用水や景観用水として利用することができる。工業用水等の再生利用水として利用するケースにおいてもRO膜113による処理等の設備を設置することで対応が可能となる。一方、活性汚泥ACは、回転ドラムフィルタ等の表面に固形分として付着・堆積するため、後段の処理過程には流出しない。このため、大型の沈降分離のための沈殿槽が不要となる。
【0033】
固液分離手段2によって分離され懸濁水の水面より上側へ移送された活性汚泥ACは、汚泥回収手段3により回収され、その大部分が汚泥返送手段4によってエアレーションタンク11へ返送される。このため、エアレーションタンク11内のMLSS濃度を数万mg/Lに保持することができ、その結果、エアレーションタンク11の容量を大幅に削減することができる。
【0034】
一方、固液分離手段2から汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部は、引抜手段5により余剰汚泥SCとして引抜かれ、最初沈殿池102で沈殿して汚泥濃縮槽111で濃縮された汚泥と共に脱水機112等によって場外搬出可能な程度にまで脱水した後で搬出され、資源化処理又は焼却処理される。そして、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACは85〜95%の低含水率であることから、余剰汚泥SCの処理に際して汚泥濃縮槽111に送る必要はなく、そのまま脱水機112等にかけることができる。
【0035】
さらに、最初沈殿池102での沈降物が無機物や難分解性の物質ではなく、粗大な有機性の粒子(例えば野菜くずのようなもの)であって、ある程度時間をかければ分解するものであり、かつ曝気槽1の曝気攪拌により混合できるような物質であれば、図2に示される実施の形態のように、固液分離手段2の適用によって固形分の流出のおそれはないため、最初沈殿池102を不要にすることができる。このため、汚泥濃縮槽111も完全に不要にすることができる。
【0036】
また、図3に示される実施の形態では、最初沈殿池102の沈降汚泥を濃縮する汚泥濃縮槽の代わりに、固液分離手段9を用いて固液分離することにより、系全体から発生する汚泥を低含水率とし、余剰汚泥の発生量を大幅に削減することができる。加えて、エアレーションタンク11内のMLSS濃度を高濃度に保持し、BOD/MLSSを低くする操作を行うことで、微生物群を飢餓状態にし、排水の有機物の分解と微生物群の自己消費のバランスをとることで余剰汚泥SCを大幅に削減する事も可能となる。
【0037】
処理対象の排水中の窒素やリンの濃度が高く、その除去が必要な場合は従来の窒素・リンの除去法に本発明を組み合わせれば良く、本発明は有機物だけの除去を対象とした標準活性汚泥法に限定されるものではない。そのような方法であっても、曝気槽と活性汚泥の沈降分離のための沈殿槽は必要であり、その部分に本発明手段を講じれば良い。
【0038】
例えば図4に示される実施の形態は、処理対象の排水中の窒素を除去する場合の一例である。この実施の形態では、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、嫌気性の脱窒池114を経て曝気槽1としての硝化槽12へ供給される。硝化槽12は、エアレーションタンク11と基本的に同じである。
【0039】
この形態によれば、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は脱窒池114に還流され、このため脱窒池114による嫌気処理と硝化槽12による好気処理が繰り返され、有機性窒素をアンモニア化→亜硝酸化、硝酸化→脱窒といった処理で排水中の窒素を除去するものであり、窒素が除去された高度な処理水を得ることができる。固液分離手段2の配置は、硝化槽12内での水中設置型、もしくは硝化槽12の後段に配置すれば良い。
【0040】
また、図5に示される実施の形態は、排水中の窒素とリンを同時に除去する処理の一例であり、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、嫌気槽115及び無酸素槽116を経て曝気槽1としての好気槽13へ供給され、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は無酸素槽116に還流されるようになっている。そしてこの形態についても、曝気槽1としての好気槽13内もしくは好気槽13の後段に固液分離手段2を配置すれば良い。
【0041】
また、一般的に活性汚泥法においては汚泥濃縮槽111を用いて重力沈降により汚泥を濃縮しても、その固形分の濃度は2%程度(残り98%が水分)と非常に水分量が多い。このため、水素やメタンガスなどのバイオガス化により回収が期待できるエネルギー量よりも発酵槽の加温や攪拌などの維持管理エネルギー量が大きく、エネルギー収支はマイナスとなるため発酵処理には適さない。このため、脱水後焼却、埋め立て処理する例が多いが、このように有機性排水処理に伴い発生する汚泥の廃棄物処理が社会問題化している。
【0042】
これに対し、本発明では、例えば回転ドラムフィルタからなる固液分離手段2で回収される活性汚泥の固形分濃度は5〜15%と低含水率であるため、図6に示される実施の形態のように、固液分離手段2から汚泥回収手段3により回収され、引抜手段5により引抜かれた余剰汚泥SCは、メタン発酵槽117においてメタン発酵されることにより減容化されると共に、発生したメタンガスGをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給することができる。
【0043】
例えば、日処理水量が10,000m3クラスの下水処理場において、本発明の適用により固形分濃度10%の濃縮汚泥が一日に8 m3発生するものと仮定する。濃縮汚泥1 m3をメタンガスに変換するには、メタン発酵槽117の加温熱量や攪拌電力、及び施設の維持補修などにかかるエネルギーはおおよそ930MJである。一方、濃縮汚泥の発酵処理により発生するメタンガスから得られるエネルギー量は1,500〜1,800MJ/ m3に相当するため、エネルギー収支は黒字となる。また、発酵残渣である消化液は、液肥として田畑などに還元することができる。
【0044】
なお、汚泥濃縮槽111を用いた従来の重力沈降による汚泥の固形物濃度が2%の場合は、先に説明したようにエネルギー収支が赤字となるばかりでなく、1日に41 m3もの汚泥が発生するため、大規模な発酵処理施設が必要となり、建設費は著しく増大する。
【0045】
これに対し、図6に示される実施の形態では、メタン発酵などのバイオガス化処理を新たに適用することにより、汚泥の著しい減容化とエネルギー生産の両立が可能となることから、維持管理費の削減ばかりでなく、CO2の排出量の削減を実現することができる。
【0046】
なお、図6に示される実施の形態は、排水の窒素、リン除去のシステムと組み合わせる事ができるのは言うまでもない。図7に示される実施の形態は、そのような例を示すもので、排水中の窒素とリンを同時に除去する処理の一例であり、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、脱窒池114を経て曝気槽1としての硝化槽12へ供給され、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は脱窒池114に還流されるようになっている。なお、メタン発酵槽117でのメタン発酵残渣の消化液は、脱窒池(嫌気)に戻しても良いが、この消化液はアンモニアが高濃度で含まれるため、硝化槽(好気)12に戻す事が望ましい。
【0047】
図8は、先に説明した図17に示されるような食品工場等における従来の活性汚泥法に、本発明を適用した場合の実施の形態を示すものであり、図9は、図8の形態に、脱窒素とメタン発酵を組み合わせた例を示すものである。
【0048】
このうち、図8に示される形態では、処理対象の排水を、スクリーン103による粗大固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、好気性微生物群(活性汚泥)が増殖している曝気槽1としてのエアレーションタンク11に一定流量で導入し、ここで活性汚泥フロックが形成された懸濁水を、固液分離手段2によって活性汚泥と処理水(濾水W2)とに分離するものである。
【0049】
固液分離手段2によって分離され汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥は、一部が汚泥返送手段4によってエアレーションタンク11へ返送され、引抜手段5により引抜かれる余剰汚泥は、その量が少ない場合は脱水機112等によって脱水した後で搬出され、資源化処理又は焼却処理される。また、余剰汚泥SCの量が多い場合は、メタン発酵槽117においてメタン発酵することにより汚泥が減容化されると共に、発生したメタンガスをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給する。
【0050】
一方、図9に示される形態では、処理対象の排水を、スクリーン103による粗大固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、先に説明した図4や図5などに示される形態と同様、嫌気性の脱窒池114によって脱窒処理を行った後で、硝化槽12に一定流量で導入し、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部を脱窒池114に還流するようになっている。また、固液分離手段2によって分離され汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥ACは、汚泥返送手段4によって硝化槽12へ返送され、引抜手段5により引抜かれた余剰汚泥SCは、汚泥貯槽119を介してメタン発酵槽117へ送られ、メタン発酵されることにより減容化されると共に、発生したメタンガスをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給するものである。
【0051】
基本的に、図8及び図9に示される形態では、最初沈殿池102が存在しないため、汚泥濃縮槽111は完全に必要がなくなるといった特徴がある。また、メタン発酵処理の特徴として、イニシャルコストが高くランニングコストは低くなる傾向があるため、その適用については、余剰汚泥の発生量に応じて選定すれば良い。
【0052】
上述のように、本発明は、曝気槽1中の懸濁水W1を活性汚泥ACと濾水W2に分離し、分離された活性汚泥を前記懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを前記曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5から構成されることを特徴としており、固液分離手段2には回転ドラムフィルタが好適に採用される。そして、回転ドラムフィルタとしては、従来から、市販のドラムフィルタや真空式ドラムフィルタ装置が知られている。
【0053】
しかしながら、市販の一般的なドラムフィルタは微細粒子に不向きな場合が多く、活性汚泥の固液分離装置への導入手段や活性汚泥の回収手段については最適であるとはいえない。また、真空式ドラムフィルタは、微細粒子の回収に適してはいるが、消費エネルギーが大きく、経済的でない。さらに、従来の装置は、懸濁水から固形物を回収するという手段のため、回収物を再び回収した系へ戻すという活性汚泥の返送手段についてはまったく考えられていない。さらに、真空式のドラムフィルタでは、濾過助剤等の薬剤が必要になることが多く、不純物を含む活性汚泥を曝気槽へ返送すると活性汚泥システム全体への悪影響が懸念される。このため、以下に本発明の最適な実施例について説明する。
【実施例】
【0054】
図10は、本発明に係る活性汚泥処理システムの実施例を示す平面図、図11は、図10のXI−XI線で切断して示す断面図、図12は、図10のXII−XII線で切断して示す断面図である。
【0055】
これらの図に示される実施例は、固液分離手段2としてプレコート式回転ドラム型固液分離装置20を用い、これを曝気槽1内へ設置したものである。
【0056】
詳しくは、プレコート式回転ドラム型固液分離装置20は、曝気槽1内に設置されて、この曝気槽1で好気性微生物の作用により形成された活性汚泥フロックで懸濁された処理対象の懸濁水W1が、流入弁23を介して供給される処理槽21と、この処理槽21内に配置された回転ドラムフィルタ22を備える。
【0057】
回転ドラムフィルタ22は、図10及び図12に示されるように、処理槽21内の懸濁水W1に浸漬された状態で、曝気槽1の外部の床面上に設置された電動モータ26から減速装置27を介して与えられる駆動力によって、水平なシャフト22cを中心として低速回転されるものであって、軸方向一側が開放された形状となっている。そして回転ドラムフィルタ22の円筒状の外周壁はワイヤクロスなどのメッシュ材22aからなり、開放された側の外径部に設けられたシール部材22bが、処理槽21の一方の側壁21aの内側面に摺動可能に密接されることによって、この側壁21aとの間に濾水貯留室Sが画成されている。
【0058】
曝気槽1から流入弁23を介して処理槽21へ流入する懸濁水W1中の活性汚泥フロックは一般的に70〜1000μmであるが、極めて壊れやすく、また、バルキングにより発生する糸状性細菌群は数十μm〜1mmであることから、回転ドラムフィルタ22は水頭圧を利用した低圧方式が望ましい。回転ドラムフィルタ22の外周部に設けられた濾過部であるメッシュ材(マイクロメッシュ)22aは、目開きサイズが150μm以下のものが採用される。これは、目開きサイズが150μmを超えるものでは、初期の固液分離工程においてメッシュ材22aに予めプレコート剤による層を形成しておかないと、メッシュ材22aの外周面に固形物の付着・堆積が起こりにくく、すなわち活性汚泥ACの層が形成されにくいからである。また、メッシュ材22aの材質としては、ステンレス、亜鉛、真鍮、アルミ等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂、障子紙などのパルプ繊維、ガラス繊維、炭素繊維及びそれらの繊維素材から構成される濾布を使用することが可能である。
【0059】
なお、メッシュ材の目開きサイズは数μm〜数十μmが望ましいが、細かいほどメッシュ製造が難しく、また製造コストは高くなる傾向がある。もちろん、数μm〜数十μm程度の微細メッシュを使用しても良いが、目合い25μm未満の鋼製メッシュの多くは桁違いに高くなるため設備コストの観点からは好ましくない。
【0060】
処理槽21には、その一方の側壁21aにおける回転ドラムフィルタ22との対向面の下部に位置して排水口21cが開設され、この排水口21cを介して回転ドラムフィルタ22の内周の濾水貯留室Sと連通する排水槽24が設けられ、排水口21cを通じて濾水貯留室Sから排水槽24へ流れ込んだ濾水W2を、排水槽24に設置された排水ポンプ25によって、排出することができるようになっている。
【0061】
回転ドラムフィルタ22は、図11における反時計方向へ回転するものであって、この回転ドラムフィルタ22の外周部(活性汚泥ACの層)は、図中右側(以下、ドラム浮上側という)で懸濁水W1の水面から浮上し、図中左側(以下、ドラム没入側という)で懸濁水W1の水面下へ没入する。そして曝気槽1から懸濁水W1を処理槽21内へ越流させる流入弁23は、処理槽21におけるドラム没入側の側壁に設けられており、また、処理槽21内には、この流入弁23を介して流入する懸濁水W1を、回転ドラムフィルタ22の外周がその回転に伴って水面下へ没入する位置よりも回転方向前方、好ましくは回転ドラムフィルタ22の最下部(軸心を通る鉛直線との交点位置)よりも回転方向前方で初めて回転ドラムフィルタ22の外周に接するように、かつ回転方向(反時計方向)へ供給されるように導く導流部材28が設けられている。言い換えれば、この導流部材28は、処理槽21へ供給される懸濁水W1をドラム浮上側に偏在する位置へ導くものである。
【0062】
固液分離手段2によって分離された活性汚泥を回収する汚泥回収手段3は、回転ドラムフィルタ22の外周面(メッシュ材22a)に処理槽21における懸濁水W1中の懸濁物(活性汚泥)が付着・堆積することにより形成されたプレコート層(活性汚泥ACの層)の表面に、懸濁水W1の水位より上方で接触しながら、回転ドラムフィルタ22と逆方向へ回転されることによって、前記メッシュ材22aから活性汚泥ACの層を転写・付着させる転写ローラ31と、この転写ローラ31に転写・付着された固形物状の活性汚泥ACを掻き取るスクレーパ32からなる。
【0063】
汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥ACを曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4は、図11に示されるように、転写ローラ31からスクレーパ32で掻き取った活性汚泥ACを一時的に堆積・貯留する返送汚泥貯留槽41からなる。この返送汚泥貯留槽41は、下部が曝気槽1内の処理対象の懸濁水W1の水面下にあって、側壁の一部(図中に点線で示される部分)が手動又は電動のゲート41aによって開閉可能となっており、このゲート41aを開放することによって、貯留された活性汚泥ACが曝気槽1へ返送されるようになっている。なお、図10に示される参照符号15は、曝気槽1内に設置された撹拌機である。
【0064】
一方、回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5は、上述の返送汚泥貯留槽41に堆積・貯留された活性汚泥ACを引き抜く汚泥ポンプ51からなる。
【0065】
曝気槽1から流入弁23を介してプレコート式回転ドラム型固液分離装置20における処理槽21に供給された処理対象の懸濁水W1は、この懸濁水W1に浸漬された回転ドラムフィルタ22の濾水貯留室S内の濾水W2との水頭差Hによって、回転ドラムフィルタ22の外周壁のメッシュ材22aにプレコート層として付着・堆積した活性汚泥ACの層により濾過され、濾水貯留室Sへ濾水W2となって流入する。
【0066】
ここで、回転ドラムフィルタ22が図11における反時計方向へ回転する場合、この回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aは、懸濁水W1の水面よりも上側で汚泥回収手段3の転写ローラ31によって活性汚泥ACの層が除去された状態で、ドラム没入側で懸濁水W1の水面下へ没入し、この位置から、懸濁水W1中の懸濁物である活性汚泥ACの付着・堆積が開始され、懸濁水W1中を反時計方向へ回転移動して行くのに伴って、活性汚泥ACの層の厚さが増大して行き、ドラム浮上側で水面から浮上して、この活性汚泥ACの層が前記転写ローラ31によって剥離されスクレーパ32で掻き取られる、といった動作が繰り返される。
【0067】
また、処理槽21に供給される懸濁水W1は、導流部材28によって、回転ドラムフィルタ22の最下部よりも回転方向前方、すなわちドラム浮上側に偏在する位置で初めて固液分離ドラムの外周に接するように導かれており、回転ドラムフィルタ22の回転方向及び懸濁水W1の供給方向が同じであるため、処理槽21内の懸濁水W1には、ドラム没入側で相対的に低く、ドラム浮上側で相対的に高くなるような粒子の濃度勾配を生じる。
【0068】
したがって、懸濁水W1に含まれる比較的粒径の大きい活性汚泥フロックは、プレコート層の形成が開始されてから反時計方向へ移動するのに伴い、プレコート層がある程度の層厚になる回転ドラムフィルタ22の最下部位置以降でプレコート層に付着することになる。したがって、プレコート層が未形成の部分が没入する位置(ドラム没入側)では懸濁水W1の懸濁物質濃度が低いことから、この部分で濾過された濾液W2も水質が良好に維持される。
【0069】
さらに、排水口21cから排水槽24を介して、排水ポンプ25により排出される濾水W2は直接放流するか、あるいは図1等に記載された消毒施設110により消毒後に放流し、濾水W2を再生利用する際はRO膜113等による更なる高度処理を行えば良い。
【0070】
なお、固液分離装置20の初期運転では、回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの外周面には活性汚泥ACの層が全く形成されていないので、粒径がメッシュサイズ以下の懸濁物は濾過されずに濾水貯留室Sへ通過してしまうことになる。したがってこの場合は、まず回転ドラムフィルタ22が半分以上水没するまで処理槽21へ懸濁水W1を供給し、回転ドラムフィルタ22の回転を停止したままで、回転ドラムフィルタ22の濾水貯留室Sから排水口21cを通じて排水槽24へ貯留された濁度の高い濾水W2を排水ポンプ25で回収し、不図示の弁装置を介して再び処理槽21へ供給して循環させる。
【0071】
そしてこのようにすることで、回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの外周面に形成される活性汚泥ACの層の厚さが増大して行き、濾過速度が徐々に低下すると共に、濾水W2の汚泥濃度が低下し、濾水貯留室S内の濾水W2と処理槽21内の懸濁水W1との水頭差Hが大きくなって行く。このため、メッシュ材22aの外周面に形成される活性汚泥ACの層が十分な層厚となって、水頭差Hが所定値に達した時点で、処理槽21への濾水W2の循環を終了し、通常運転へ切り替えれば良い。
【0072】
上述の実施例によれば、固液分離装置20が曝気槽1内に設置された構成としたため、設備の設置面積を大きく削減でき、しかも回転ドラムフィルタ22への処理対象懸濁水W1の供給をポンプによらず越流方式にできるため、懸濁水W1中の活性汚泥フロックの分散や破壊を防止することができる。
【0073】
固液分離装置20は曝気槽1内における端部近傍に位置していて、回転ドラムフィルタ22を回転させる電動モータ26が曝気槽1の外部の床面上に設置されている以外は、固液分離装置20の大部分が曝気槽1内にある。このため、回収した活性汚泥ACは返送汚泥貯留槽41を介して、直ちに曝気槽1へ戻すことができる。また、図示の例のように曝気槽1内に撹拌機15を設けることによって、曝気槽1の懸濁水W1中における活性汚泥濃度が返送汚泥貯留槽41付近で返送汚泥によって高濃度に偏るのを防止することができる。
【0074】
また、固液分離装置20の処理槽21内の水位が、放流先(例えば消毒槽や放流槽、河川など)の水位より高い場合は、サイフォンの原理で放流することも可能であるため、排水ポンプ動力を削減することができ、さらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0075】
一方で、メンテナンスの際には、固液分離装置20を曝気槽1から引き揚げる必要があることや、装置の止水など、仕上げや維持管理が煩雑となるデメリットがあるため、現場の条件を勘案して上述の実施例のような曝気槽内設置型とするか、後述する図14のような陸上設置型とするかを選択すれば良い。
【0076】
また、固液分離装置20で懸濁水W1から分離し汚泥回収手段3で回収した活性汚泥ACを曝気槽1へ返送するだけでは、MLSSが徐々に増加するため、回収した活性汚泥ACから一部を余剰汚泥SCとして引き抜いて系外へ排出することが、処理システムの維持には必要である。この場合、余剰汚泥SCの回収は、汚泥回収手段3からの活性汚泥ACを受ける返送汚泥貯留槽41のゲート41aを閉じ、一定量蓄積した後、汚泥ポンプ51で引き抜くことによって行うことができる。
【0077】
汚泥ポンプ51で引き抜かれた余剰汚泥SC(濃縮汚泥)は、その発生量に応じて、先に説明した図1などのシステムフローのように、脱水機112へ送り、脱水後の汚泥を場外搬出する。もしくは、汚泥の減容化とエネルギー回収を目的として、先に説明した図6などのシステムフローのように、前記濃縮汚泥をメタン発酵槽117などのバイオガス化装置へ移送する。また、他に汚泥の再利用方法があればそちらに移送しても良い。
【0078】
図13は、本発明に係る活性汚泥処理システムの他の実施例を、図10のXIII−XIII線と対応する位置で切断して示す断面図である。この実施例は、目標とする水質を維持するための回転ドラムフィルタ22の制御手段として濁度センサ6を用いたことを特徴としている。
【0079】
すなわち、固液分離装置20における回転ドラムフィルタ22内の濾水貯留室Sの排水口21cから排出される濾水W2は、容積の小さい濁度検出槽24aへいったん流入し、そこから越流管21dを介して排水ポンプ25が配置された排水槽24へ排出されるようになっていて、濁度検出槽24aには、濾水W2の濁度を検出する濁度センサ6を配置し、この濁度センサ6からの検出データが固液分離装置20の運転(例えば回転ドラムフィルタ22を回転させる電動モータ26や流入弁23の開閉を行うソレノイド)を制御する制御装置7に送られるように構成されている。なお、濁度センサ6を、排水槽24の上流側に画成した濁度検出槽24aに配置したのは、検出対象の濾水W2が速やかに入れ替わるようにするためである。
【0080】
したがって、この実施例では予め目標とする水質と濁度との間の関係(例えばSS(Suspended Solids:懸濁性物質)と濁度の相関関係)を分析し、実運転時には濁度センサ6による濁度検出データから濾水W2の水質を予測し、その結果に応じた固液分離装置20の運転制御を行う。これにより、濾水W2の水質が安定し、言い換えれば固体分(活性汚泥AC)を液体分から効率良く分離することができる。
【0081】
濁度検出データによる回転ドラムフィルタ22の制御は、濁度のレベルを数段階に分けて、最低でも、曝気槽1と処理槽21間の流入弁23の閉鎖(警報)、ドラム回転停止、ドラム回転開始の3段階とすることが望ましい。例えば、流入弁23を閉鎖するときの濁度は、最低限確保すべき水質に対応した濁度(例えば排出の上限値)とし、回転ドラムフィルタ22の回転を停止するときの濁度は目標水質に対応した濁度とし、回転ドラムフィルタ22の回転を開始するときの濁度は、前記目標水質の50〜80%程度とする。したがって、濁度センサ6から得られる検出データに応じた出力(電流・電圧など)によって制御系を設定すれば良い。
【0082】
このような制御系を構成することによって、通常時は常に回転ドラムフィルタ22が回転し、濾水W2と分離固形分(活性汚泥AC)が得られる。そして、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質濃度の低下や流入水量の低下などが生じた場合は、回転ドラムフィルタ22の回転は相対的に速すぎる状態となることから、濾水W2の懸濁物質濃度などが上昇することになる。そして濁度センサ6により検出される濁度の値が、予め設定された閾値を超えた場合は、制御装置7からの停止指令によって、回転ドラムフィルタ22は速やかに停止する。
【0083】
装置が正常であれば、停止した回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの表面には懸濁水W1中の懸濁物質(活性汚泥ACのフロック)の付着・堆積によるプレコート層の層厚が増大して行き、このため濾過速度が徐々に低下すると共に、濾水W2の懸濁物質濃度(濁度)が徐々に低下し、濁度センサ6により検出される濁度が予め設定された一定値以下になった場合は、制御装置7からの駆動指令によって、回転ドラムフィルタ22は再び回転を開始する。
【0084】
そして上述のような運転制御を繰り返すことで、供給される処理対象の懸濁水W1の水質や水量が変化しても常に目標となる水質を維持することができる。回転ドラムフィルタ22の停止後、何らかの異常、例えばメッシュ材22aの破損等があると、濾水W2の濁度は低下することなくさらに上昇するが、この濁度が予め設定された上限値を超えた場合は、制御装置7からの指令によって、曝気槽1から固液分離装置20における処理槽21へ懸濁水W1が流れ込む流入弁23を閉鎖することで、濁度の高い濾水W2が系外へ排水されるのを防止することができる。また、警報と連動させることにより、装置の管理者はすぐに問題の改善に対応することができる。
【0085】
また、プレコート式の回転ドラムフィルタ22は、処理の原理上、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質の形状や濃度に変動があると、同じ回転速度では処理速度や濾水W2の水質が変化する。つまり、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質の濃度が高くなると、プレコート層は厚くなり、濾水W2の透明性は向上するが、一方で処理速度(濾過速度)は低下してしまう。このため、高濃度の懸濁水W1の流入も考慮した(安全を考慮した)装置の大きさで設計する必要がある。
【0086】
これに対し、検出される濁度のレベルをより詳細に多段階に分け、回転ドラムフィルタ22の回転速度を制御すれば、更に高効率な運転管理を実現することができる。これにより、安定的な処理水質が得られるだけでなく、装置の大きさを適正規模に設計することができ、建設コストと設置スペースを削減することができる。
【0087】
すなわち、回転ドラムフィルタ22の回転開始と回転停止の間の濁度値の間に、回転ドラムフィルタ22の回転加速、減速を段階別に入れると良い。例えば、目標とする濁度を10とした場合、濁度センサ6により検出された濁度が8以下となったら現状の回転ドラムフィルタ22の回転速度を10%加速し、検出された濁度が12を超えたら回転速度を10%減速するような制御を組み込むことで、高度で安定的かつ効率的な処理を実現することができる。
【0088】
次に図14は、本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置20を陸上設置型とした実施例を示す鉛直断面図、図15は、同じく平面図である。
【0089】
この実施例では、曝気槽1における原水の流入側と反対側から、曝気槽1内で曝気処理により活性汚泥フロックを含む懸濁水W1を水中ポンプ14で揚水し、陸上に設置された固液分離装置20の処理槽21における導流部材28による給水口へ送水する。固液分離装置20に送られた懸濁水W1は、回転ドラムフィルタ22によって濾過され、活性汚泥ACと濾水W2に分離される。回転ドラムフィルタ22内の濾水貯留室Sへ濾過された濾水W2は越流により系外へ放流されるか、消毒槽8あるいは再生利用のためRO膜処理槽(不図示)へ送られる。
【0090】
一方、回転ドラムフィルタ22の外周面に分離された活性汚泥ACは、汚泥回収手段3により回収され、汚泥返送手段4として陸上に設置された返送汚泥貯留槽41に一時的に貯留され、返送管42を介して曝気槽1へ返送される。
【0091】
上述のように、回収された活性汚泥ACの大部分は系外へ流出しないため、曝気槽1のMLSSは高濃度に維持することができる。増殖により設定量よりも多くなった活性汚泥は、返送汚泥貯留槽41から余剰汚泥SCとして、引抜手段5である汚泥ポンプ51等により引き抜かれ、脱水機やメタン発酵槽(もしくは図9のようにメタン発酵槽117の前段の汚泥貯槽119)に送られる。
【0092】
このような陸上設置型の場合は、陸上に設置スペースが必要となるが、維持管理は容易であることがメリットである。現場の条件に応じて選択すれば良い。
【0093】
以上説明したとおり、下水処理場やし尿処理場、食品工場などの施設で排出される有機性排水の処理分野において、本発明の活性汚泥処理システムを適用することにより、従来の標準活性汚泥法及び膜分離活性汚泥法よりコスト、スペース、エネルギー、CO2の排出量、廃棄物発生量を大きく削減することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 曝気槽
2 固液分離手段
20 プレコート式回転ドラム型固液分離装置
21 処理槽
22 回転ドラムフィルタ
3 汚泥回収手段
31 転写ローラ
4 汚泥返送手段
41 返送汚泥貯留槽
5 余剰汚泥引抜手段
6 濁度センサ
7 制御装置
AC 活性汚泥
SC 余剰汚泥
W1 懸濁水
W2 濾水
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水や食品排水、浄化槽内の汚水、し尿等、有機性排水もしくは廃水を処理するための活性汚泥処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水や食品排水、浄化槽内の汚水、し尿等、有機性排水もしくは廃水(以下、単に排水という)の処理は、好気性微生物を主成分とする浮遊性有機汚泥(活性汚泥)を用いて、汚水中の有機物を無機化あるいはガス化する好気性の生物処理法(活性汚泥法)が一般的であり、世界各地で普及している。また、この活性汚泥法のプロセスに嫌気処理や薬品添加処理を組み合わせることによって、窒素の除去(生物脱窒法)やリンの除去等、更に高度な水処理を行う方法が行われている。
【0003】
図16及び図17は、下水処理場や食品排水等の有機性汚水に適用される従来技術による活性汚泥処理法を示すシステムフロー図である。
【0004】
活性汚泥法では主に曝気槽(エアレーションタンク106,反応槽107)と沈殿槽(沈殿池102)での処理がメインとなる。すなわち図16又は図17に示される従来の処理法では、処理対象の排水を、沈砂池101及び最初沈殿池102を経て、あるいはスクリーン103による固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、好気性微生物群(活性汚泥)が増殖しているエアレーションタンク106又は反応槽107に一定流量で導入し、送風機等により空気中の酸素を送り曝気と同時に攪拌することによって、凝集性のある好気性微生物群のフロック(活性汚泥フロック)を形成し、水中の汚濁有機分を吸着、分解する。
【0005】
活性汚泥フロックと有機物の分解された処理水で構成される懸濁水は、曝気槽(エアレーションタンク106又は反応槽107)に流入した汚水量だけ沈殿池108又は沈殿槽109に流出される。沈殿池108又は沈殿槽109では、水より僅かに比重の重い活性汚泥フロックは底に沈降し、清澄な上澄み水を処理済水としてそのまま放流もしくは消毒施設110で消毒後放流する。沈降した汚泥は、沈殿池108又は沈殿槽109の底部より引き抜き、エアレーションタンク106又は反応槽107内の活性汚泥濃度を一定に保つために返送する(返送汚泥)。また、有機物の分解により増殖した活性汚泥の一部は余剰汚泥として引き抜く。この引き抜き汚泥は、そのままでは水分が非常に多いため、汚泥濃縮槽111で重力沈降等により濃縮し、さらに脱水機112等によって、場外搬出可能な程度にまで脱水した後で搬出し、資源化処理又は焼却処理する。
【0006】
なお、この種の活性汚泥法による排水処理方法としては、例えば下記の特許文献1,2に記載のものが知られている。
【0007】
しかしながら、活性汚泥法は、上述のように曝気槽106,107で好気性微生物群に有機性汚濁物質を食べさせ、増殖した好気性微生物群による活性汚泥を沈降分離させることによって、分離水(処理済水)を放流するシステムであるため、処理を適正に行うには、活性汚泥を良好な状態で管理する必要がある。すなわち、餌の与えすぎ(有機物負荷の高い状態)や飢餓状態(負荷の少なすぎる状態)などの良好でない活性汚泥は、凝集性のフロックを形成せずバラバラになってしまうので、最終沈殿池108や沈殿槽109で沈殿せず、上澄みである処理済水が得られない(バルキング現象)。
【0008】
また、最終沈殿池108や沈殿槽109での余剰汚泥の引き抜き過ぎは、曝気槽106,107へ返送される微生物群を減少させ、処理能力を低下させ、目的となる良好な水質を得る事ができない。また逆に、余剰汚泥の引き抜き不足の場合は、返送される活性汚泥が多すぎて曝気槽106,107の微生物量に対して酸素不足となってしまう一方、最終沈殿池108や沈殿槽109から放流される処理済水への汚泥の流出が発生する。
【0009】
このため活性汚泥法では、その設計及び運転操作条件が詳細に定められている。例えばBOD容積負荷は、有機物の指標であるBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)を曝気槽1m3あたり1日にどれだけ処理させるかの指標であり、一般的な下水処理場では0.3〜0.8kgBOD/m3/日で曝気槽容量を設計し、汚濁負荷量を管理している。また、BOD−MLSS負荷量は、BODを曝気槽の微生物量の指標であるMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:曝気槽の浮遊物質量)1kgあたり1日にどれだけ処理させるかの指標であり、一般的に0.2〜0.4kg BOD/kg MLSS/日で設定されている。曝気槽のMLSSは3,000〜6,000 mg/Lで管理し、その濃度を常時保つように沈殿槽より汚泥を引抜き、曝気槽に返送し、余剰分の汚泥は系外に引き抜くという高度な管理を行っている。
【0010】
言い換えれば、図16又は図17に示される処理法では、曝気槽106,107のMLSS濃度をより高濃度に維持できれば、処理能力は向上し設置スペースをコンパクトにできる反面、最終沈殿池108や沈殿槽109での汚泥の沈降が不良となり目的となる処理水質が得られないため、上述のようなMLSS濃度での運転操作に縛られているといえる。
【0011】
一方、近年は膜分離活性汚泥法が開発され、世界各地で普及が進んでいる(例えば下記の特許文献3参照)。これは、精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)を用いて、活性汚泥と処理水を強制的に分離する方法である。この膜分離活性汚泥法では、曝気槽内に上記MF膜あるいはUF膜などの分離膜を浸漬する方法が一般的で、反応槽からの汚泥の流出を防ぐことで、MLSS濃度を8,000〜15,000mg/L程度と高濃度に高めることで曝気槽を小型化でき、かつ沈殿槽を不要とする技術である。また、処理水が非常に清澄であることから高度処理が求められる場合も後段の砂ろ過設備等の必要がない。
【0012】
しかし一方で、この膜分離活性汚泥法によれば、浸漬した分離膜に汚水中の難溶性成分や高分子の溶質、コロイド、微小固形物などが沈着して、分離膜の透過流速を低下させるファウリング(目詰まり)現象が起こるため、これを防止する必要がある。このため、MLSS濃度は15,000 mg/L程度が上限であり、かつ通常運転において、浸漬中の分離膜に大量の空気を常時曝気する膜洗浄処理を行うことが必須であり、電力などの維持管理エネルギー消費量が従来よりも増加するといった問題がある。
【0013】
しかも、曝気洗浄だけでは分離膜の目詰まりを確実防止することができず、性能が徐々に劣化するため、定期的に分離膜を槽内より引き揚げ次亜塩素酸やアルカリなどの薬品で洗浄する維持管理をする必要がある。また、分離膜の寿命は素材や使用状況で異なるが1〜5年程度であり、このため分離膜の定期的な交換が必要となる。このように、設置スペースの小型化や汚泥流出の心配がないといった利点がある反面で、運転動力や膜交換などによるランニングコストが大きくなるという課題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−322070号公報
【特許文献2】特開2007−275847号公報
【特許文献3】特開2009−226373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、設置スペースの小型化を図ることができると共に、汚泥流出の心配がなく、しかもランニングコストを抑制することのできる活性汚泥処理技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る活性汚泥処理システムは、曝気槽からの懸濁水を活性汚泥と濾水に分離すると共に、分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送する固液分離手段と、移送された活性汚泥を回収する汚泥回収手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥を前記曝気槽へ返送する汚泥返送手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜く余剰汚泥引抜手段と、を備えるものである。
【0017】
また、請求項2の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項1に記載の構成において、固液分離手段が、活性汚泥を含む懸濁水に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能であって外周壁がメッシュ材からなる回転ドラムフィルタからなるものである。
【0018】
また、請求項3の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2に記載の構成において、汚泥回収手段が回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層を剥離・転写する転写ローラからなるものである。
【0019】
また、請求項4の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2又は3に記載の構成において、固液分離手段を曝気槽内に設置するものである。
【0020】
また、請求項5の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成において、回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させるメタン発酵手段を備えるものである。
【0021】
また、請求項6の発明に係る活性汚泥処理システムは、請求項2〜5のいずれかに記載の構成において、処理水の濁度を検出する濁度センサを備え、この濁度センサにより検出された濾水の濁度に応じて回転ドラムフィルタの回転速度を制御するものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、固液分離手段で懸濁水から分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送することによって汚泥の含水率が低くなるので、汚泥濃縮槽を不要にすることができ、この活性汚泥を回収手段及び汚泥返送手段を介して曝気槽中の懸濁水へ返送することによって、懸濁水のMLSS濃度を高濃度に保持することができ、このため曝気槽の面積を大きく削減することができる。
【0023】
請求項2の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項1による効果に加え、回転ドラムフィルタを回転させるだけで良好に固液分離できることから、省エネルギーが図れ、ランニングコストを低くすることができる。
【0024】
請求項3の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2による効果に加え、回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層が、転写ローラによって剥離され、直ちに回収されるため、回転ドラムフィルタの濾過部のファウリングやそのための洗浄等の処理が不要になり、しかも余剰汚泥の発生量を大きく削減することができる。
【0025】
請求項4の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2又は3による効果に加え、回転ドラムフィルタを曝気槽内に設置することによって、システム全体の設置面積を削減することができる。
【0026】
請求項5の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項1〜4のいずれかによる効果に加え、回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させることによって、バイオガスからなるエネルギー生産が可能になると共に、汚泥を著しく減容することができる。
【0027】
請求項6の発明に係る活性汚泥処理システムによれば、請求項2〜5のいずれかによる効果に加え、供給される処理対象の懸濁水の水質や水量が変化しても常に安定した濾水の水質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図2】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図3】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図4】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図5】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図6】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図7】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図8】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図9】本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい他の実施の形態を示すシステムフロー図である。
【図10】本発明に係る活性汚泥処理システムの実施例を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線で切断して示す断面図である。
【図12】図10のXII−XII線で切断して示す断面図である。
【図13】本発明に係る活性汚泥処理システムの他の実施例を図10のXIII−XIII線と対応する位置で切断して示す断面図である。
【図14】本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置を陸上設置型とした実施例を示す鉛直断面図である。
【図15】本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置を陸上設置型とした実施例を示す平面図である。
【図16】従来技術に係る活性汚泥処理システムの一例を示すシステムフロー図である。
【図17】従来技術に係る活性汚泥処理システムの他の例を示すシステムフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1〜図9は、本発明に係る活性汚泥処理システムの好ましい実施の形態を示すシステムフロー図である。
【0030】
すなわち、これら各実施の形態による活性汚泥処理システムは、エアレーションタンクなどの曝気槽1と、この曝気槽1に供給された懸濁水W1を活性汚泥ACと処理水(濾水W2)に分離すると共に、この分離された活性汚泥ACを前記懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを前記曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5と、を備える。
【0031】
図1に示される実施の形態では、処理対象の排水は、沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することで砂や高密度の固形物が沈殿し、その上澄み水が曝気槽1(エアレーションタンク11)へ供給される。エアレーションタンク11では、好気性微生物が水中に懸濁している有機物を餌として繁殖し、その結果、凝集性のある好気性微生物群のフロック(活性汚泥フロック)が形成され、水中の汚濁有機分が吸着、分解される。
【0032】
固液分離手段2はエアレーションタンク11内もしくは後段(陸上)に設置されており、この固液分離手段2は、活性汚泥フロックと有機物の分解された曝気処理水で構成される懸濁水を、例えば後述するような回転ドラムフィルタによって活性汚泥ACと処理水(濾水W2)とに分離するものである。分離された処理水(濾水W2)は透明かつ有機物の分解された清浄な水であるため、直接放流もしくは消毒施設110により消毒して放流することができる。また、親水用水や景観用水として利用することができる。工業用水等の再生利用水として利用するケースにおいてもRO膜113による処理等の設備を設置することで対応が可能となる。一方、活性汚泥ACは、回転ドラムフィルタ等の表面に固形分として付着・堆積するため、後段の処理過程には流出しない。このため、大型の沈降分離のための沈殿槽が不要となる。
【0033】
固液分離手段2によって分離され懸濁水の水面より上側へ移送された活性汚泥ACは、汚泥回収手段3により回収され、その大部分が汚泥返送手段4によってエアレーションタンク11へ返送される。このため、エアレーションタンク11内のMLSS濃度を数万mg/Lに保持することができ、その結果、エアレーションタンク11の容量を大幅に削減することができる。
【0034】
一方、固液分離手段2から汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部は、引抜手段5により余剰汚泥SCとして引抜かれ、最初沈殿池102で沈殿して汚泥濃縮槽111で濃縮された汚泥と共に脱水機112等によって場外搬出可能な程度にまで脱水した後で搬出され、資源化処理又は焼却処理される。そして、汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACは85〜95%の低含水率であることから、余剰汚泥SCの処理に際して汚泥濃縮槽111に送る必要はなく、そのまま脱水機112等にかけることができる。
【0035】
さらに、最初沈殿池102での沈降物が無機物や難分解性の物質ではなく、粗大な有機性の粒子(例えば野菜くずのようなもの)であって、ある程度時間をかければ分解するものであり、かつ曝気槽1の曝気攪拌により混合できるような物質であれば、図2に示される実施の形態のように、固液分離手段2の適用によって固形分の流出のおそれはないため、最初沈殿池102を不要にすることができる。このため、汚泥濃縮槽111も完全に不要にすることができる。
【0036】
また、図3に示される実施の形態では、最初沈殿池102の沈降汚泥を濃縮する汚泥濃縮槽の代わりに、固液分離手段9を用いて固液分離することにより、系全体から発生する汚泥を低含水率とし、余剰汚泥の発生量を大幅に削減することができる。加えて、エアレーションタンク11内のMLSS濃度を高濃度に保持し、BOD/MLSSを低くする操作を行うことで、微生物群を飢餓状態にし、排水の有機物の分解と微生物群の自己消費のバランスをとることで余剰汚泥SCを大幅に削減する事も可能となる。
【0037】
処理対象の排水中の窒素やリンの濃度が高く、その除去が必要な場合は従来の窒素・リンの除去法に本発明を組み合わせれば良く、本発明は有機物だけの除去を対象とした標準活性汚泥法に限定されるものではない。そのような方法であっても、曝気槽と活性汚泥の沈降分離のための沈殿槽は必要であり、その部分に本発明手段を講じれば良い。
【0038】
例えば図4に示される実施の形態は、処理対象の排水中の窒素を除去する場合の一例である。この実施の形態では、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、嫌気性の脱窒池114を経て曝気槽1としての硝化槽12へ供給される。硝化槽12は、エアレーションタンク11と基本的に同じである。
【0039】
この形態によれば、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は脱窒池114に還流され、このため脱窒池114による嫌気処理と硝化槽12による好気処理が繰り返され、有機性窒素をアンモニア化→亜硝酸化、硝酸化→脱窒といった処理で排水中の窒素を除去するものであり、窒素が除去された高度な処理水を得ることができる。固液分離手段2の配置は、硝化槽12内での水中設置型、もしくは硝化槽12の後段に配置すれば良い。
【0040】
また、図5に示される実施の形態は、排水中の窒素とリンを同時に除去する処理の一例であり、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、嫌気槽115及び無酸素槽116を経て曝気槽1としての好気槽13へ供給され、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は無酸素槽116に還流されるようになっている。そしてこの形態についても、曝気槽1としての好気槽13内もしくは好気槽13の後段に固液分離手段2を配置すれば良い。
【0041】
また、一般的に活性汚泥法においては汚泥濃縮槽111を用いて重力沈降により汚泥を濃縮しても、その固形分の濃度は2%程度(残り98%が水分)と非常に水分量が多い。このため、水素やメタンガスなどのバイオガス化により回収が期待できるエネルギー量よりも発酵槽の加温や攪拌などの維持管理エネルギー量が大きく、エネルギー収支はマイナスとなるため発酵処理には適さない。このため、脱水後焼却、埋め立て処理する例が多いが、このように有機性排水処理に伴い発生する汚泥の廃棄物処理が社会問題化している。
【0042】
これに対し、本発明では、例えば回転ドラムフィルタからなる固液分離手段2で回収される活性汚泥の固形分濃度は5〜15%と低含水率であるため、図6に示される実施の形態のように、固液分離手段2から汚泥回収手段3により回収され、引抜手段5により引抜かれた余剰汚泥SCは、メタン発酵槽117においてメタン発酵されることにより減容化されると共に、発生したメタンガスGをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給することができる。
【0043】
例えば、日処理水量が10,000m3クラスの下水処理場において、本発明の適用により固形分濃度10%の濃縮汚泥が一日に8 m3発生するものと仮定する。濃縮汚泥1 m3をメタンガスに変換するには、メタン発酵槽117の加温熱量や攪拌電力、及び施設の維持補修などにかかるエネルギーはおおよそ930MJである。一方、濃縮汚泥の発酵処理により発生するメタンガスから得られるエネルギー量は1,500〜1,800MJ/ m3に相当するため、エネルギー収支は黒字となる。また、発酵残渣である消化液は、液肥として田畑などに還元することができる。
【0044】
なお、汚泥濃縮槽111を用いた従来の重力沈降による汚泥の固形物濃度が2%の場合は、先に説明したようにエネルギー収支が赤字となるばかりでなく、1日に41 m3もの汚泥が発生するため、大規模な発酵処理施設が必要となり、建設費は著しく増大する。
【0045】
これに対し、図6に示される実施の形態では、メタン発酵などのバイオガス化処理を新たに適用することにより、汚泥の著しい減容化とエネルギー生産の両立が可能となることから、維持管理費の削減ばかりでなく、CO2の排出量の削減を実現することができる。
【0046】
なお、図6に示される実施の形態は、排水の窒素、リン除去のシステムと組み合わせる事ができるのは言うまでもない。図7に示される実施の形態は、そのような例を示すもので、排水中の窒素とリンを同時に除去する処理の一例であり、処理対象の排水が沈砂池101及び最初沈殿池102を経由することによって砂や高密度の固形物を沈殿させた上澄み水は、脱窒池114を経て曝気槽1としての硝化槽12へ供給され、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部は脱窒池114に還流されるようになっている。なお、メタン発酵槽117でのメタン発酵残渣の消化液は、脱窒池(嫌気)に戻しても良いが、この消化液はアンモニアが高濃度で含まれるため、硝化槽(好気)12に戻す事が望ましい。
【0047】
図8は、先に説明した図17に示されるような食品工場等における従来の活性汚泥法に、本発明を適用した場合の実施の形態を示すものであり、図9は、図8の形態に、脱窒素とメタン発酵を組み合わせた例を示すものである。
【0048】
このうち、図8に示される形態では、処理対象の排水を、スクリーン103による粗大固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、好気性微生物群(活性汚泥)が増殖している曝気槽1としてのエアレーションタンク11に一定流量で導入し、ここで活性汚泥フロックが形成された懸濁水を、固液分離手段2によって活性汚泥と処理水(濾水W2)とに分離するものである。
【0049】
固液分離手段2によって分離され汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥は、一部が汚泥返送手段4によってエアレーションタンク11へ返送され、引抜手段5により引抜かれる余剰汚泥は、その量が少ない場合は脱水機112等によって脱水した後で搬出され、資源化処理又は焼却処理される。また、余剰汚泥SCの量が多い場合は、メタン発酵槽117においてメタン発酵することにより汚泥が減容化されると共に、発生したメタンガスをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給する。
【0050】
一方、図9に示される形態では、処理対象の排水を、スクリーン103による粗大固形物等の除去後、原水貯槽104や流量調整槽105を経て、先に説明した図4や図5などに示される形態と同様、嫌気性の脱窒池114によって脱窒処理を行った後で、硝化槽12に一定流量で導入し、固液分離手段2で分離された処理水(濾水W2)の一部を脱窒池114に還流するようになっている。また、固液分離手段2によって分離され汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥ACは、汚泥返送手段4によって硝化槽12へ返送され、引抜手段5により引抜かれた余剰汚泥SCは、汚泥貯槽119を介してメタン発酵槽117へ送られ、メタン発酵されることにより減容化されると共に、発生したメタンガスをガスホルダ118を介して回収し、ボイラーあるいは発電機などにエネルギーとして供給するものである。
【0051】
基本的に、図8及び図9に示される形態では、最初沈殿池102が存在しないため、汚泥濃縮槽111は完全に必要がなくなるといった特徴がある。また、メタン発酵処理の特徴として、イニシャルコストが高くランニングコストは低くなる傾向があるため、その適用については、余剰汚泥の発生量に応じて選定すれば良い。
【0052】
上述のように、本発明は、曝気槽1中の懸濁水W1を活性汚泥ACと濾水W2に分離し、分離された活性汚泥を前記懸濁水W1の水面より上へ移送する固液分離手段2と、移送された活性汚泥ACを回収する汚泥回収手段3と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACを前記曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4と、前記汚泥回収手段3により回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5から構成されることを特徴としており、固液分離手段2には回転ドラムフィルタが好適に採用される。そして、回転ドラムフィルタとしては、従来から、市販のドラムフィルタや真空式ドラムフィルタ装置が知られている。
【0053】
しかしながら、市販の一般的なドラムフィルタは微細粒子に不向きな場合が多く、活性汚泥の固液分離装置への導入手段や活性汚泥の回収手段については最適であるとはいえない。また、真空式ドラムフィルタは、微細粒子の回収に適してはいるが、消費エネルギーが大きく、経済的でない。さらに、従来の装置は、懸濁水から固形物を回収するという手段のため、回収物を再び回収した系へ戻すという活性汚泥の返送手段についてはまったく考えられていない。さらに、真空式のドラムフィルタでは、濾過助剤等の薬剤が必要になることが多く、不純物を含む活性汚泥を曝気槽へ返送すると活性汚泥システム全体への悪影響が懸念される。このため、以下に本発明の最適な実施例について説明する。
【実施例】
【0054】
図10は、本発明に係る活性汚泥処理システムの実施例を示す平面図、図11は、図10のXI−XI線で切断して示す断面図、図12は、図10のXII−XII線で切断して示す断面図である。
【0055】
これらの図に示される実施例は、固液分離手段2としてプレコート式回転ドラム型固液分離装置20を用い、これを曝気槽1内へ設置したものである。
【0056】
詳しくは、プレコート式回転ドラム型固液分離装置20は、曝気槽1内に設置されて、この曝気槽1で好気性微生物の作用により形成された活性汚泥フロックで懸濁された処理対象の懸濁水W1が、流入弁23を介して供給される処理槽21と、この処理槽21内に配置された回転ドラムフィルタ22を備える。
【0057】
回転ドラムフィルタ22は、図10及び図12に示されるように、処理槽21内の懸濁水W1に浸漬された状態で、曝気槽1の外部の床面上に設置された電動モータ26から減速装置27を介して与えられる駆動力によって、水平なシャフト22cを中心として低速回転されるものであって、軸方向一側が開放された形状となっている。そして回転ドラムフィルタ22の円筒状の外周壁はワイヤクロスなどのメッシュ材22aからなり、開放された側の外径部に設けられたシール部材22bが、処理槽21の一方の側壁21aの内側面に摺動可能に密接されることによって、この側壁21aとの間に濾水貯留室Sが画成されている。
【0058】
曝気槽1から流入弁23を介して処理槽21へ流入する懸濁水W1中の活性汚泥フロックは一般的に70〜1000μmであるが、極めて壊れやすく、また、バルキングにより発生する糸状性細菌群は数十μm〜1mmであることから、回転ドラムフィルタ22は水頭圧を利用した低圧方式が望ましい。回転ドラムフィルタ22の外周部に設けられた濾過部であるメッシュ材(マイクロメッシュ)22aは、目開きサイズが150μm以下のものが採用される。これは、目開きサイズが150μmを超えるものでは、初期の固液分離工程においてメッシュ材22aに予めプレコート剤による層を形成しておかないと、メッシュ材22aの外周面に固形物の付着・堆積が起こりにくく、すなわち活性汚泥ACの層が形成されにくいからである。また、メッシュ材22aの材質としては、ステンレス、亜鉛、真鍮、アルミ等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の合成樹脂、障子紙などのパルプ繊維、ガラス繊維、炭素繊維及びそれらの繊維素材から構成される濾布を使用することが可能である。
【0059】
なお、メッシュ材の目開きサイズは数μm〜数十μmが望ましいが、細かいほどメッシュ製造が難しく、また製造コストは高くなる傾向がある。もちろん、数μm〜数十μm程度の微細メッシュを使用しても良いが、目合い25μm未満の鋼製メッシュの多くは桁違いに高くなるため設備コストの観点からは好ましくない。
【0060】
処理槽21には、その一方の側壁21aにおける回転ドラムフィルタ22との対向面の下部に位置して排水口21cが開設され、この排水口21cを介して回転ドラムフィルタ22の内周の濾水貯留室Sと連通する排水槽24が設けられ、排水口21cを通じて濾水貯留室Sから排水槽24へ流れ込んだ濾水W2を、排水槽24に設置された排水ポンプ25によって、排出することができるようになっている。
【0061】
回転ドラムフィルタ22は、図11における反時計方向へ回転するものであって、この回転ドラムフィルタ22の外周部(活性汚泥ACの層)は、図中右側(以下、ドラム浮上側という)で懸濁水W1の水面から浮上し、図中左側(以下、ドラム没入側という)で懸濁水W1の水面下へ没入する。そして曝気槽1から懸濁水W1を処理槽21内へ越流させる流入弁23は、処理槽21におけるドラム没入側の側壁に設けられており、また、処理槽21内には、この流入弁23を介して流入する懸濁水W1を、回転ドラムフィルタ22の外周がその回転に伴って水面下へ没入する位置よりも回転方向前方、好ましくは回転ドラムフィルタ22の最下部(軸心を通る鉛直線との交点位置)よりも回転方向前方で初めて回転ドラムフィルタ22の外周に接するように、かつ回転方向(反時計方向)へ供給されるように導く導流部材28が設けられている。言い換えれば、この導流部材28は、処理槽21へ供給される懸濁水W1をドラム浮上側に偏在する位置へ導くものである。
【0062】
固液分離手段2によって分離された活性汚泥を回収する汚泥回収手段3は、回転ドラムフィルタ22の外周面(メッシュ材22a)に処理槽21における懸濁水W1中の懸濁物(活性汚泥)が付着・堆積することにより形成されたプレコート層(活性汚泥ACの層)の表面に、懸濁水W1の水位より上方で接触しながら、回転ドラムフィルタ22と逆方向へ回転されることによって、前記メッシュ材22aから活性汚泥ACの層を転写・付着させる転写ローラ31と、この転写ローラ31に転写・付着された固形物状の活性汚泥ACを掻き取るスクレーパ32からなる。
【0063】
汚泥回収手段3によって回収された活性汚泥ACを曝気槽1へ返送する汚泥返送手段4は、図11に示されるように、転写ローラ31からスクレーパ32で掻き取った活性汚泥ACを一時的に堆積・貯留する返送汚泥貯留槽41からなる。この返送汚泥貯留槽41は、下部が曝気槽1内の処理対象の懸濁水W1の水面下にあって、側壁の一部(図中に点線で示される部分)が手動又は電動のゲート41aによって開閉可能となっており、このゲート41aを開放することによって、貯留された活性汚泥ACが曝気槽1へ返送されるようになっている。なお、図10に示される参照符号15は、曝気槽1内に設置された撹拌機である。
【0064】
一方、回収された活性汚泥ACの一部を余剰汚泥SCとして引き抜く引抜手段5は、上述の返送汚泥貯留槽41に堆積・貯留された活性汚泥ACを引き抜く汚泥ポンプ51からなる。
【0065】
曝気槽1から流入弁23を介してプレコート式回転ドラム型固液分離装置20における処理槽21に供給された処理対象の懸濁水W1は、この懸濁水W1に浸漬された回転ドラムフィルタ22の濾水貯留室S内の濾水W2との水頭差Hによって、回転ドラムフィルタ22の外周壁のメッシュ材22aにプレコート層として付着・堆積した活性汚泥ACの層により濾過され、濾水貯留室Sへ濾水W2となって流入する。
【0066】
ここで、回転ドラムフィルタ22が図11における反時計方向へ回転する場合、この回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aは、懸濁水W1の水面よりも上側で汚泥回収手段3の転写ローラ31によって活性汚泥ACの層が除去された状態で、ドラム没入側で懸濁水W1の水面下へ没入し、この位置から、懸濁水W1中の懸濁物である活性汚泥ACの付着・堆積が開始され、懸濁水W1中を反時計方向へ回転移動して行くのに伴って、活性汚泥ACの層の厚さが増大して行き、ドラム浮上側で水面から浮上して、この活性汚泥ACの層が前記転写ローラ31によって剥離されスクレーパ32で掻き取られる、といった動作が繰り返される。
【0067】
また、処理槽21に供給される懸濁水W1は、導流部材28によって、回転ドラムフィルタ22の最下部よりも回転方向前方、すなわちドラム浮上側に偏在する位置で初めて固液分離ドラムの外周に接するように導かれており、回転ドラムフィルタ22の回転方向及び懸濁水W1の供給方向が同じであるため、処理槽21内の懸濁水W1には、ドラム没入側で相対的に低く、ドラム浮上側で相対的に高くなるような粒子の濃度勾配を生じる。
【0068】
したがって、懸濁水W1に含まれる比較的粒径の大きい活性汚泥フロックは、プレコート層の形成が開始されてから反時計方向へ移動するのに伴い、プレコート層がある程度の層厚になる回転ドラムフィルタ22の最下部位置以降でプレコート層に付着することになる。したがって、プレコート層が未形成の部分が没入する位置(ドラム没入側)では懸濁水W1の懸濁物質濃度が低いことから、この部分で濾過された濾液W2も水質が良好に維持される。
【0069】
さらに、排水口21cから排水槽24を介して、排水ポンプ25により排出される濾水W2は直接放流するか、あるいは図1等に記載された消毒施設110により消毒後に放流し、濾水W2を再生利用する際はRO膜113等による更なる高度処理を行えば良い。
【0070】
なお、固液分離装置20の初期運転では、回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの外周面には活性汚泥ACの層が全く形成されていないので、粒径がメッシュサイズ以下の懸濁物は濾過されずに濾水貯留室Sへ通過してしまうことになる。したがってこの場合は、まず回転ドラムフィルタ22が半分以上水没するまで処理槽21へ懸濁水W1を供給し、回転ドラムフィルタ22の回転を停止したままで、回転ドラムフィルタ22の濾水貯留室Sから排水口21cを通じて排水槽24へ貯留された濁度の高い濾水W2を排水ポンプ25で回収し、不図示の弁装置を介して再び処理槽21へ供給して循環させる。
【0071】
そしてこのようにすることで、回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの外周面に形成される活性汚泥ACの層の厚さが増大して行き、濾過速度が徐々に低下すると共に、濾水W2の汚泥濃度が低下し、濾水貯留室S内の濾水W2と処理槽21内の懸濁水W1との水頭差Hが大きくなって行く。このため、メッシュ材22aの外周面に形成される活性汚泥ACの層が十分な層厚となって、水頭差Hが所定値に達した時点で、処理槽21への濾水W2の循環を終了し、通常運転へ切り替えれば良い。
【0072】
上述の実施例によれば、固液分離装置20が曝気槽1内に設置された構成としたため、設備の設置面積を大きく削減でき、しかも回転ドラムフィルタ22への処理対象懸濁水W1の供給をポンプによらず越流方式にできるため、懸濁水W1中の活性汚泥フロックの分散や破壊を防止することができる。
【0073】
固液分離装置20は曝気槽1内における端部近傍に位置していて、回転ドラムフィルタ22を回転させる電動モータ26が曝気槽1の外部の床面上に設置されている以外は、固液分離装置20の大部分が曝気槽1内にある。このため、回収した活性汚泥ACは返送汚泥貯留槽41を介して、直ちに曝気槽1へ戻すことができる。また、図示の例のように曝気槽1内に撹拌機15を設けることによって、曝気槽1の懸濁水W1中における活性汚泥濃度が返送汚泥貯留槽41付近で返送汚泥によって高濃度に偏るのを防止することができる。
【0074】
また、固液分離装置20の処理槽21内の水位が、放流先(例えば消毒槽や放流槽、河川など)の水位より高い場合は、サイフォンの原理で放流することも可能であるため、排水ポンプ動力を削減することができ、さらなる省エネルギー化を実現することができる。
【0075】
一方で、メンテナンスの際には、固液分離装置20を曝気槽1から引き揚げる必要があることや、装置の止水など、仕上げや維持管理が煩雑となるデメリットがあるため、現場の条件を勘案して上述の実施例のような曝気槽内設置型とするか、後述する図14のような陸上設置型とするかを選択すれば良い。
【0076】
また、固液分離装置20で懸濁水W1から分離し汚泥回収手段3で回収した活性汚泥ACを曝気槽1へ返送するだけでは、MLSSが徐々に増加するため、回収した活性汚泥ACから一部を余剰汚泥SCとして引き抜いて系外へ排出することが、処理システムの維持には必要である。この場合、余剰汚泥SCの回収は、汚泥回収手段3からの活性汚泥ACを受ける返送汚泥貯留槽41のゲート41aを閉じ、一定量蓄積した後、汚泥ポンプ51で引き抜くことによって行うことができる。
【0077】
汚泥ポンプ51で引き抜かれた余剰汚泥SC(濃縮汚泥)は、その発生量に応じて、先に説明した図1などのシステムフローのように、脱水機112へ送り、脱水後の汚泥を場外搬出する。もしくは、汚泥の減容化とエネルギー回収を目的として、先に説明した図6などのシステムフローのように、前記濃縮汚泥をメタン発酵槽117などのバイオガス化装置へ移送する。また、他に汚泥の再利用方法があればそちらに移送しても良い。
【0078】
図13は、本発明に係る活性汚泥処理システムの他の実施例を、図10のXIII−XIII線と対応する位置で切断して示す断面図である。この実施例は、目標とする水質を維持するための回転ドラムフィルタ22の制御手段として濁度センサ6を用いたことを特徴としている。
【0079】
すなわち、固液分離装置20における回転ドラムフィルタ22内の濾水貯留室Sの排水口21cから排出される濾水W2は、容積の小さい濁度検出槽24aへいったん流入し、そこから越流管21dを介して排水ポンプ25が配置された排水槽24へ排出されるようになっていて、濁度検出槽24aには、濾水W2の濁度を検出する濁度センサ6を配置し、この濁度センサ6からの検出データが固液分離装置20の運転(例えば回転ドラムフィルタ22を回転させる電動モータ26や流入弁23の開閉を行うソレノイド)を制御する制御装置7に送られるように構成されている。なお、濁度センサ6を、排水槽24の上流側に画成した濁度検出槽24aに配置したのは、検出対象の濾水W2が速やかに入れ替わるようにするためである。
【0080】
したがって、この実施例では予め目標とする水質と濁度との間の関係(例えばSS(Suspended Solids:懸濁性物質)と濁度の相関関係)を分析し、実運転時には濁度センサ6による濁度検出データから濾水W2の水質を予測し、その結果に応じた固液分離装置20の運転制御を行う。これにより、濾水W2の水質が安定し、言い換えれば固体分(活性汚泥AC)を液体分から効率良く分離することができる。
【0081】
濁度検出データによる回転ドラムフィルタ22の制御は、濁度のレベルを数段階に分けて、最低でも、曝気槽1と処理槽21間の流入弁23の閉鎖(警報)、ドラム回転停止、ドラム回転開始の3段階とすることが望ましい。例えば、流入弁23を閉鎖するときの濁度は、最低限確保すべき水質に対応した濁度(例えば排出の上限値)とし、回転ドラムフィルタ22の回転を停止するときの濁度は目標水質に対応した濁度とし、回転ドラムフィルタ22の回転を開始するときの濁度は、前記目標水質の50〜80%程度とする。したがって、濁度センサ6から得られる検出データに応じた出力(電流・電圧など)によって制御系を設定すれば良い。
【0082】
このような制御系を構成することによって、通常時は常に回転ドラムフィルタ22が回転し、濾水W2と分離固形分(活性汚泥AC)が得られる。そして、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質濃度の低下や流入水量の低下などが生じた場合は、回転ドラムフィルタ22の回転は相対的に速すぎる状態となることから、濾水W2の懸濁物質濃度などが上昇することになる。そして濁度センサ6により検出される濁度の値が、予め設定された閾値を超えた場合は、制御装置7からの停止指令によって、回転ドラムフィルタ22は速やかに停止する。
【0083】
装置が正常であれば、停止した回転ドラムフィルタ22のメッシュ材22aの表面には懸濁水W1中の懸濁物質(活性汚泥ACのフロック)の付着・堆積によるプレコート層の層厚が増大して行き、このため濾過速度が徐々に低下すると共に、濾水W2の懸濁物質濃度(濁度)が徐々に低下し、濁度センサ6により検出される濁度が予め設定された一定値以下になった場合は、制御装置7からの駆動指令によって、回転ドラムフィルタ22は再び回転を開始する。
【0084】
そして上述のような運転制御を繰り返すことで、供給される処理対象の懸濁水W1の水質や水量が変化しても常に目標となる水質を維持することができる。回転ドラムフィルタ22の停止後、何らかの異常、例えばメッシュ材22aの破損等があると、濾水W2の濁度は低下することなくさらに上昇するが、この濁度が予め設定された上限値を超えた場合は、制御装置7からの指令によって、曝気槽1から固液分離装置20における処理槽21へ懸濁水W1が流れ込む流入弁23を閉鎖することで、濁度の高い濾水W2が系外へ排水されるのを防止することができる。また、警報と連動させることにより、装置の管理者はすぐに問題の改善に対応することができる。
【0085】
また、プレコート式の回転ドラムフィルタ22は、処理の原理上、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質の形状や濃度に変動があると、同じ回転速度では処理速度や濾水W2の水質が変化する。つまり、処理対象の懸濁水W1の懸濁物質の濃度が高くなると、プレコート層は厚くなり、濾水W2の透明性は向上するが、一方で処理速度(濾過速度)は低下してしまう。このため、高濃度の懸濁水W1の流入も考慮した(安全を考慮した)装置の大きさで設計する必要がある。
【0086】
これに対し、検出される濁度のレベルをより詳細に多段階に分け、回転ドラムフィルタ22の回転速度を制御すれば、更に高効率な運転管理を実現することができる。これにより、安定的な処理水質が得られるだけでなく、装置の大きさを適正規模に設計することができ、建設コストと設置スペースを削減することができる。
【0087】
すなわち、回転ドラムフィルタ22の回転開始と回転停止の間の濁度値の間に、回転ドラムフィルタ22の回転加速、減速を段階別に入れると良い。例えば、目標とする濁度を10とした場合、濁度センサ6により検出された濁度が8以下となったら現状の回転ドラムフィルタ22の回転速度を10%加速し、検出された濁度が12を超えたら回転速度を10%減速するような制御を組み込むことで、高度で安定的かつ効率的な処理を実現することができる。
【0088】
次に図14は、本発明に係る活性汚泥処理システムにおいて固液分離装置20を陸上設置型とした実施例を示す鉛直断面図、図15は、同じく平面図である。
【0089】
この実施例では、曝気槽1における原水の流入側と反対側から、曝気槽1内で曝気処理により活性汚泥フロックを含む懸濁水W1を水中ポンプ14で揚水し、陸上に設置された固液分離装置20の処理槽21における導流部材28による給水口へ送水する。固液分離装置20に送られた懸濁水W1は、回転ドラムフィルタ22によって濾過され、活性汚泥ACと濾水W2に分離される。回転ドラムフィルタ22内の濾水貯留室Sへ濾過された濾水W2は越流により系外へ放流されるか、消毒槽8あるいは再生利用のためRO膜処理槽(不図示)へ送られる。
【0090】
一方、回転ドラムフィルタ22の外周面に分離された活性汚泥ACは、汚泥回収手段3により回収され、汚泥返送手段4として陸上に設置された返送汚泥貯留槽41に一時的に貯留され、返送管42を介して曝気槽1へ返送される。
【0091】
上述のように、回収された活性汚泥ACの大部分は系外へ流出しないため、曝気槽1のMLSSは高濃度に維持することができる。増殖により設定量よりも多くなった活性汚泥は、返送汚泥貯留槽41から余剰汚泥SCとして、引抜手段5である汚泥ポンプ51等により引き抜かれ、脱水機やメタン発酵槽(もしくは図9のようにメタン発酵槽117の前段の汚泥貯槽119)に送られる。
【0092】
このような陸上設置型の場合は、陸上に設置スペースが必要となるが、維持管理は容易であることがメリットである。現場の条件に応じて選択すれば良い。
【0093】
以上説明したとおり、下水処理場やし尿処理場、食品工場などの施設で排出される有機性排水の処理分野において、本発明の活性汚泥処理システムを適用することにより、従来の標準活性汚泥法及び膜分離活性汚泥法よりコスト、スペース、エネルギー、CO2の排出量、廃棄物発生量を大きく削減することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 曝気槽
2 固液分離手段
20 プレコート式回転ドラム型固液分離装置
21 処理槽
22 回転ドラムフィルタ
3 汚泥回収手段
31 転写ローラ
4 汚泥返送手段
41 返送汚泥貯留槽
5 余剰汚泥引抜手段
6 濁度センサ
7 制御装置
AC 活性汚泥
SC 余剰汚泥
W1 懸濁水
W2 濾水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曝気槽からの懸濁水を活性汚泥と濾水に分離すると共に、分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送する固液分離手段と、移送された活性汚泥を回収する汚泥回収手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥を前記曝気槽へ返送する汚泥返送手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜く余剰汚泥引抜手段と、を備えることを特徴とする活性汚泥処理システム。
【請求項2】
固液分離手段が、活性汚泥を含む懸濁水に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能であって外周壁がメッシュ材からなる回転ドラムフィルタからなることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項3】
汚泥回収手段が回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層を剥離・転写する転写ローラからなることを特徴とする請求項2に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項4】
固液分離手段を曝気槽内に設置することを特徴とする請求項2又は3に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項5】
回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させるメタン発酵手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性汚泥処理システム。
【請求項6】
処理水の濁度を検出する濁度センサを備え、この濁度センサにより検出された濾水の濁度に応じて回転ドラムフィルタの回転速度を制御することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の活性汚泥処理システム。
【請求項1】
曝気槽からの懸濁水を活性汚泥と濾水に分離すると共に、分離された活性汚泥を前記懸濁水の水面より上へ移送する固液分離手段と、移送された活性汚泥を回収する汚泥回収手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥を前記曝気槽へ返送する汚泥返送手段と、前記汚泥回収手段により回収された活性汚泥の一部を余剰汚泥として引き抜く余剰汚泥引抜手段と、を備えることを特徴とする活性汚泥処理システム。
【請求項2】
固液分離手段が、活性汚泥を含む懸濁水に一部浸漬された状態で水平軸心を中心として回転可能であって外周壁がメッシュ材からなる回転ドラムフィルタからなることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項3】
汚泥回収手段が回転ドラムフィルタの表面に付着・堆積した活性汚泥からなるプレコート層を剥離・転写する転写ローラからなることを特徴とする請求項2に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項4】
固液分離手段を曝気槽内に設置することを特徴とする請求項2又は3に記載の活性汚泥処理システム。
【請求項5】
回収した高濃度の余剰汚泥をメタン発酵させるメタン発酵手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性汚泥処理システム。
【請求項6】
処理水の濁度を検出する濁度センサを備え、この濁度センサにより検出された濾水の濁度に応じて回転ドラムフィルタの回転速度を制御することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の活性汚泥処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−106176(P2012−106176A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256718(P2010−256718)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
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