説明

流体分離構体および流体分離構体の製造方法

基板(101)、およびこの基板(101)上に成長させた複数のナノワイヤ(102)を備える流体分離構体(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体分離構体に関する。
【0002】
さらに、本発明は、流体分離構体の製造方法に関する。
【0003】
この他に、本発明は、流体サンプルの成分を分離するための、流体分離構体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
流体サンプルの成分(例えば、DNA等の生体分子など)の分離は、医療用途、生化学、食品化学等で極めて重要となる。
【0005】
ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動等の従来の分離手法は、極めて少量の生体サンプルに適用するときには、問題がある。
【0006】
非特許文献1(2003年にマイクロエンジニアリング第70巻1号の13頁〜18頁に稲富健一氏等が発表した「ポリジメチルシロキサンで作成したマイクロピラーでのDNAの電気泳動」(”Electrophoresis of DNA in micro-pillars fabricated in polydimethylsiloxane”, Microelectronic Engineering, Volume 70, Issue 1, pages 13 to 18))には、DNAを分離するためのマイクロピラーを備える装置の製造が開示されている。マイクロピラーは、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane: PDMS)製であり、パターン形成したシリコンウエハを成形型として使用し、レプリカ成形法によって製造する。この装置は、マイクロチャネルを有しており、その中に、15μmの複数のピラーを、六方格子状に1μmの間隔を置いて配置する。このピラーでのDNAの電気泳動は、DNA移動の平均速度は、DNAの長さに依存することを示した。
【0007】
しかし、稲富健一氏等が(2003年に)用いた製造工程の性質そのもののために、製造した装置の十分な品質および再現性を保証することは不可能である。さらに、このような装置を工業規模で製造することは非常に困難であり、このことは、以下の他の段落で明らかになるであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】”Electrophoresis of DNA in micro-pillars fabricated in polydimethylsiloxane”, Microelectronic Engineering, Volume 70, Issue 1, pages 13 to 18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、適切な品質を有するように製造することができる流体分離構体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、独立請求項による流体分離構体、流体分離構体の製造方法、および流体サンプルの成分を分離するための流体分離構体の使用方法を提供する。
【0011】
本発明の例示的な実施形態によると、(例えば、電気泳動または誘電泳動によって、長さ等の少なくとも1個の物理的パラメータが異なる種々の成分の混合物を備える流体サンプルの種々の成分を分離するために適用することができる)流体分離構体を、基板およびこの基板上に成長させた複数のナノワイヤを備えるものとして提供する。
【0012】
本発明の他の例示的な実施形態によると、流体分離構体の製造方法を提供して、この方法は、基板上に複数のナノワイヤを成長させるステップを備える。
【0013】
本発明のさらに他の例示的な実施形態によると、上記特徴を有する流体分離構体を、流体サンプルの異なる成分/留分を分離するために使用することができる。
【0014】
用語「基板」は、半導体、ガラス、プラスチック等の、任意の適当な材料を示すものとする。例示的な実施形態によると、用語「基板」は、単層体または関連のある部位の下側および/または上側に敷設する複数の層体用の要素を定義するために使用することができる。また、この基板は、任意の他の基盤とすることができて、例えば、その上で、単層体にシリコンウエハまたはシリコンチップ等の半導体ウエハを形成する。基板の、ナノワイヤを成長させる部位は、二次元の(実質的には)平面とすることができる。この基板表面は、続くナノワイヤの成長処理用のテンプレートとすることができる。ナノワイヤの成長は、適切な材料によって効率的に誘発するか、または部分的に制御することができる(例えば、鉄スポットまたはニッケルスポットは、カーボンナノチューブの成長を触媒することができる)ので、成長させる位置の正確な空間的制御により、正確に定義することができる。
【0015】
用語「ナノワイヤ」は、ほぼ数ナノメートル(nm)〜数千ナノメートル(nm)程度の大きさサイズを有する柱状構体を示すものとする(さらに、用語「ナノワイヤ」は、より大きいサイズまたはより小さいサイズを含むこともできる)。密に隣接するナノワイヤのアレイは、サンプルの(マクロな)分子に対する機械的なバリヤのアレイとして機能することができ、したがって、アレイのバリヤ効果は、流体のサンプルの異なるサイズの粒子によって異なるので、流体分離構体として機能する。多くの異なるタイプのナノワイヤを本発明の実施態様に使用することができ、このナノワイヤとしては、半導電性ナノワイヤ(例えば、シリコン製、ゲルマニウム製、InP製、GaN製等)、金属ナノワイヤ(例えば、ニッケル、プラチナ、金)、およびナノチューブがあり、特にカーボンナノチューブ(内在型または添加型)がある。このようなナノワイヤは、細長ナノワイヤとすることができる。
【0016】
用語「細長ナノワイヤ」は、ナノワイヤの長さが、長さ方向に直交する方向の寸法よりも長く、特に非常に長いことを示すものとする。換言すれば、標準的なナノワイヤは、1以上のアスペクト比(縦と横の比)を呈することができ、特に2以上、とりわけ5以上のアスペクト比とすることができて、最高で1000またはそれ以上のアスペクト比とすることができる。例えば、管状ナノワイヤは、50nm〜70nmの長さを有し、10nmの直径を有することができる。
【0017】
用語「流体サンプル」は、特に、物質の相(状態)の任意のサブセットを示すものとする。このような流体は、液体、気体およびプラズマとすることができ、ある程度固体およびその混合体とすることができる。流体サンプルの例としては、液体、血液、皮下組織、筋肉または脳組織内の間質液、尿またはその他の体液を有するDNAがある。例えば、流体サンプルは、生体物質とすることができる。このような物質は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、DNA鎖等とすることができる。
【0018】
用語「流体分離構体」は、特に、流体サンプルの異なる成分の分離を可能とする任意の構体であって、特に、例えば、異なる長さのような異なる寸法を有する種々のサンプルの分離を可能とする任意の構体を示すものとする。このように、流体分離構体は、サンプルの粒子を、所定の方法で、機械力(例えば、圧力または重力)、電気力、磁力等の力の影響下で、ナノワイヤのアレイ間を移動させる機能を有することもできる。このような流体分離構体を操作すると、電気パラメータ等の、種々の成分のパラメータを使用して、流体分離構体の機能を強化することもできる。例えば、ピラーまたはナノワイヤのネットを構成するピラーの間隔によって、電気力の影響下でこのようなネットを通過する粒子の移動速度を決めることができる。したがって、異なるサイズおよび/または電気的特性を有する流体サンプルの留分を、移動に続いて、ナノワイヤのウェブにおける異なる移動度の値によって分離することができる。
【0019】
本発明の例示的な実施形態によれば、ナノワイヤのアレイを基板上に形成するか、基板上に直接成長させて、互いに所定の間隔を有する所定のバリヤ装置として機能することができるので、バリヤ通過能力(であって、分離する粒子のサイズに依存する通過能力)を、異なる流体留分の分離の基準として使用することができる。特に、(成形処理またはリソグラフィ処理を必要とせずに)ナノワイヤを基板上に直接成長させることによって、換言すると、トレンチレス方法で基板上に直接構体を堆積することによってナノワイヤを形成することで、空間的に正確な方法で制御することができて、特に、基板の特定の部位に特定の触媒スポットを堆積することによって制御することができる強固なナノワイヤを製造することができる。したがって、極めて信頼性が高く、空間的に正確で、さらに機械的に強固な構体を形成することができて、流体分離用途用の基礎として利用することができる。
【0020】
このように、本発明の例示的な実施形態によれば、分離実験を実施するため、特に、DNA分離を実施するために、パターン形成した表面を設ける。
【0021】
DNA分離のための従来の技術は、迅速に遺伝子を識別するための、正確で、応用自在で、さらに携帯可能な装置への急速に高まる需要には不十分である。この制限は、限られたサイズの範囲のDNAを分離するために、(ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動に基づく)従来の方法を仕立てる、という事実のために生じる。さらに、これらの方法は、分離媒体の基本的なメッシュサイズによって、より短い断片用に限定される。
【0022】
本発明の例示的な実施形態によると、パターン形成して仕立てたナノ表面を製造するより簡潔な方法であって、DNA分離に関する機能、または一般に、関連する生体分子の機能を大幅に改善することができる方法を提供する。
【0023】
本発明の例示的な実施形態は、従来のCMOS製造技術を使用することができる、という利点を有することができる。簡便な方法で実行することができる製造機構を提供する。このことは、パターン形成するナノ表面の特性を精密に制御することを可能とすることができる。このことは、パターン形成した表面を、治療用途を目的とするあらゆる携帯機器に集積する可能性をも提供する。幅広い種々のパターン形成した表面を、1回の実行で製造することができる。本発明の実施形態は、さらに、DNA分離に関する方法の平行性を達成する機会を提供する。さらに、本発明の実施形態は、既存の検出技術(例えば、蛍光技術)のいずれかと組み合わせて、例えば、DNA塩基配列決定を実施することを可能にすることができる。
【0024】
本発明の実施形態は、DNA分子の移動性および電気泳動特性は、とりわけ、DNA鎖の長さの要因に依存することができる、という事実を利用する。この認識を考慮すると、本発明の例示的な実施形態によると、電気泳動によるDNA分離用に、半導体デバイスの製造方法を提供して、この装置は、半導体部分を備えることを特徴とする。半導体部分の表面上に、少なくとも1個の第1ピラー型半導体領域を、第1メサ構造にしたがって形成することができる。少なくとも1個の第2ピラー型半導体領域を、第2メサ構造にしたがって形成することができる。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によると、ピラー型半導体領域(マイクロピラー)の最終コーティングは、疎水性または親水性を有する任意の所望する材料であって、装置の性能を増大するために、仕立てることができる材料で実施することができる。さらに、表面をパターン形成することができて、このようなパターン形成は、特に、疎水性領域または親水性領域を決めることを可能にするため、流体分離構体の表面に沿う分子の経路を決めることを可能にすることを特徴とする。したがって、分子医学的途用の高性能な医療機器を提供することができる。
【0026】
例示的な実施形態によれば、DNA分離用のパターン形成した装置の製造方法を提供する。ナノワイヤを基板上に成長させることができて、このナノワイヤ上に酸化ケイ素構体を堆積することができて、さらに、この酸化ケイ素をナノワイヤの先端から除去して、ナノワイヤの上端部を露出することができる。この酸化ケイ素構体の残存部分は、繊細なナノワイヤに対する補強材として機能することができて、一方で、ナノワイヤの先端を露出することによって、ナノワイヤ配列の空間的分解能を改善することができる。
【0027】
ナノチューブ等のナノワイヤを提供することによって、成形によるポスト生成またはリソグラフィによるポスト生成と比べて、分離網の堅牢性改善を可能にし、このことは、成長させたナノワイヤが、特に強固な固有の化学結合特性を有することによる。レプリカ(複製)成形方法を使用してピラーを形成する方法とは対照的に、本発明の例示的な実施形態によるナノワイヤ成長技術は、構体の質の急速な劣化を防ぐことができて、さらに、規則的なパターン形成を保証することができる。より詳しくは、マイクロピラーおよび考えられるマイクロ流体チャネルを、最初に成形型を形成することを必要としないで、シリコンウエハ上に直接形成することができる。このことによって、マイクロ構体の劣化を生じないという理由から、寸法の精密な制御を可能とすることができる。従来の成形技術であって、(PDMS等の)単一の材料を使用するためにマイクロピラーおよびマイクロ流体チャネルの考えられるコーティングを行うことができない技術とは対照的に、本発明の実施形態は、あらゆる所望の材料を有するマイクロピラーの最終コーティングを可能とする形成方法を提供し、この任意の所望する材料は、装置の性能を向上するように構成することができる疎水性または親水性を有することができる。したがって、本発明の例示的な実施形態は、ナノ機構の(疎水性層体または親水性層体を用いた)簡単なコーティングを可能とする。このようにして、ナノ構体を形成した後にコーティングを実施する必要がなく、このことは、達成し得る最小サイズに関する制限に影響を与え得る。同時に、直接的なナノワイヤのコーティングを容易に実施することが可能となる。例示的な実施形態によると、装置を相応の取り組みで段階的に組み立てることができるので、単一の基板を使用するだけで十分であり、さらに、1個の基板からもう1個の基板への移送を必要としない。
【0028】
基板上に直接成長させることができるナノワイヤを使用することによって、極めて小さい幾何学的構体を製造することができる。さらに、製造フローを、同時にオンチップ電子回路の製造を可能にする標準のCMOS方法に容易に組み込むことができる。
【0029】
本発明の実施形態は、生体分子の分離を実施するための従来のシステムの制限を解決することができて、さらに、治療目的で使用することができる十分に用途の広い携帯機器の潜在性および容易な製造性を可能とすることができる。
【0030】
例示的な実施形態によると、装置は、基板上/内に成長させるシリコンナノワイヤを基にするものとして製造することができる。このことは、リソグラフィに依存する必要がなく、ナノワイヤ自体のサイズに依存しており、さらにこのサイズは、処理パラメータによって自動的に決まるので、この手段を実施することによって、極めて小さい機構サイズを得ることができる。このことによって、極めて小さくすることができて、したがって、装置の性能および汎用性を増大することが可能な生体分子の分離体の性能を大幅に改善することができる。
【0031】
つづいて、流体分離構体のさらなる例示的な実施形態につき説明する。しかし、これらの実施形態は、流体分離構体の製造方法およびその使用方法にも適用する。
【0032】
流体分離構体は、複数のナノワイヤの先端が露出するように、複数のナノワイヤを部分的に被覆する被覆構体を備えることができる。このような流体分離構体を製造するために、まず、基板上にナノワイヤを堆積して、(例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化物等の電気絶縁材料製の)被覆溝体をナノワイヤ上に堆積して、その後、ナノワイヤの先端が露出するように被覆構体の一部分をエッチングすることができる。つづいて、ナノワイヤは、検出するDNA分子またはその他の生体分子用の機械的バリヤとして機能する、ある種のカーペットを形成する。このような分子は、例えば、電気力の影響下でナノワイヤの配列に沿って移動するとき、バリヤを通過しなくてはいけない。ナノワイヤを部分的に埋め込むことができる、上述したような被覆構体によって、ナノワイヤの機械的安全性を改善して、そのことによって、過酷な状況下でさえ使用することを可能とすることができる。
【0033】
複数のナノワイヤは、基板に対して直交する方向に突出するように成長させることができる。例えば、触媒テンプレート上に成長させることによって、基板の主面に対して直交する方向に突出する、鉛直に配列したナノワイヤを製造することができる。カーボンナノワイヤに適した触媒は、例えば、鉄またはニッケルとすることができる。
【0034】
被覆構体は、複数のナノワイヤの側壁を部分的に被覆することができる。したがって、この被覆構体は、繊細なナノワイヤに対して側方支持を行うことができて、このことによって、流体分離構体全体の機械的安定性を改善する。
【0035】
被覆構体は、複数のナノワイヤ間の基板表面を部分的に被覆することができる。したがって、ナノワイヤをその脚部上を側壁部まで埋め込むことができるだけでなく、被覆するまたは木が地中に埋まることで安定させているように、下部構造に埋め込むことができる。このことによって、基板に固定的に接続した、ネットワーク化したナノワイヤシステムの取得を可能にすることができる。
【0036】
被覆構体は、電気的絶縁材料により構成することができ、特に、シリコン酸化物SiO(または代案として、シリコン窒化物Si等)により構成することができ、より詳しくは、TEOSによるシリコン酸化物材料および高密度プラズマ(High-Density Plasma: HDP)によるシリコン酸化物材料により構成することができる。このような、TEOSおよびHDPによる酸化物を備える被覆構体の二成分構造は、特に、互いに互換性のある材料を有する、極めて安定した構造を形成する。
【0037】
基板は、半導体材料により構成することができ、特に、IV族半導体(シリコン、ゲルマニウム等)のグループ、およびIII族〜V族の半導体(砒化ガリウム等)のグループのうち一つのグループから選択することができる。シリコンを選択することによって、製造プロセスをCMOS技術に組み込むことが可能となるので、シリコン、特にシリコンウエアまたはシリコンチップを適切に選択することができる。このような場合、流体分離構体を、モノリシックに堆積した回路として構成することができる。
【0038】
流体分離構体は、流体サンプルを収容するよう構成し、複数の粒子と相互作用する流体サンプルを収容するよう構成したサンプル容器を備えることができる。このようなサンプル容器は、分析する流体サンプルを、ピラー構体と機能的に接触させて、このことによって成分分離機構を達成するような方法で形成するレセプションまたはコンテナとすることができる。
【0039】
流体分離構体は、流体サンプルの荷電粒子または分極性粒子を、複数のナノワイヤに沿って移動させるための電場を発生させるよう構成した電場発生ユニットを備えることができる。このような電場発生ユニットは、基板から切り離して設けることができるか、または基板内に集積することができる、1個またはそれ以上の電極を備えることができる。このような電極は、これらの電極に特定の電圧を印加することに適している電圧源ユニットによって操作することができるので、電場を発生させて、ナノワイヤ網を通過する流体サンプルの粒子の走行軌跡を決めることができる。このように、電気泳動または誘電泳動の影響下で、粒子は所定の方向に沿って移動することができるので、ピラーとの機能的接触がもたらされる。流体サンプルの異なる留分の寸法にしたがって、これらの留分は、基本的には干渉を受けることなくピラー構体を通過することができるか、またはピラーによって機械的に留めることができる。したがって、流体を、サイズおよび電荷等の他のパラメータに依存して、異なる留分に分離することができる。このことは、異なるDNAなど、複数の成分を有する生化学的な溶液の異なる留分を分離することに、特に有利である。したがって、この構体は、流体分離に使用することができるだけではなく、異なる留分を相互に分離することができ、さらに続いて、それらを個別に扱うことができるので、(例えば、タンパク質を細胞液の他の成分から分離するなどの)精製のために使用することもできる。
【0040】
流体分離構体は、さらに、流体サンプルの粒子の少なくとも1個の留分から分離した、流体サンプル粒子のさらなる少なくとも1個の留分を検出することに適している、検出ユニット、特に、蛍光検出ユニットを備えることができる。異なるサイズの粒子を有する留分の異なる移動度によって、流体サンプルを複数の留分に分離することができて、このことによって、続いて異なる検出領域を通過させることができる。この検出領域には、電磁放射線発生装置であって、例えば、光源を設けて、粒子の留分またはこの留分に付着させた(蛍光標識等の)標識を励起する励起光を発生することができる。特定粒子(およびその結果特定の標識)が存在することによって、異なる留分が検出ユニットの焦点にあると、光の吸収、反射および/または蛍光特性は変化することができる。この変化を測定することによって、個別の留分の検出を効率的に実行することができる。
【0041】
複数のナノワイヤを配置して、ナノワイヤの二次元配列を形成することができる。例えば、マトリクス状の構造を形成するために、ナノワイヤを行列の形式で配列することができる。
【0042】
特に、ナノワイヤの二次元アレイは、複数の区域を備えることができる。隣接するナノワイヤ間の距離は、複数の区域の種々の区域でことなる。換言すれば、メッシュ幅は、種々の区域で異なるので、高密度なピラーを有する区域を、低密度のピラーを有する区域の隣に設けることができる。このことを測定することによって、分離機能をさらに改善することができる。
【0043】
複数のナノワイヤは、基板の平面上、特に、基板上に設けた触媒スポット上に成長させることができる。したがって、触媒スポットまたは触媒ロケーションの配置は、まず、流体分離構体上で決める。続いて、例えば、CVD(chemical vapour deposition: 化学蒸着)によって、カーボンナノワイヤを、特にこれらのスポット上に形成する。したがって、ピラー構体の空間的画定を、高精度で行うことができる。しかし、(触媒材料を設け、または触媒材料設けずに)溝を基板上に画定し、この溝内で成長処理を開始することもできる。
【0044】
複数のナノワイヤの高さは、50μm未満または50μmとすることができて、特に、5μm〜50μmの範囲内とすることができる。このようなピラーの高さにすることによって、極めて少ないサンプル量しか存在していない場合でも、流体サンプルの成分の強力な分離が可能となるため、このことによって、この装置を種々の用途に適用することができる。
【0045】
ナノワイヤの直径は、100nm未満または100nmとすることができて、特に、20nm未満とすることができ、さらに詳しくは、10nm未満とすることができる。
【0046】
複数のナノワイヤの、隣接ナノワイヤ間の距離は、2μm未満または2μmとすることができて、特に、0.1μm(100nm)〜2μmの範囲内とすることができる。この範囲は、DNA、タンパク質等の生体分子の寸法がナノワイヤ間の距離の範囲に適合していて、効果的な流体分離が可能となることから、DNA、タンパク質等の流体分離を極めて適していることが明らかになった。
【0047】
流体分離構体は、計測装置、流体分離装置、DNA分離装置、電気泳動装置、生体内感知装置、ラボチップ、医療機器、携帯機器、流体精製システム、および生命科学装置から成るグループから選択した少なくとも一つとして構成することができる。このように、この流体分離装置は、異なる分子構造の分離を必要とするあらゆる分野に適用させることができる。
【0048】
このように、例示的な実施形態によると、電気泳動によって流体サンプルのDNA成分を分離するための流体分離装置を、ナノワイヤを配列することによって形成する効率的な分離媒体とともに提供することができる。
【0049】
あらゆる方法ステップとして、半導体技術で知られているあらゆる従来の処理を実施することができる。層体または構成要素を形成するステップは、CVD(化学蒸着)、PECVD(plasma enhanced chemical vapour deposition: プラズマ化学気相成長)、ALD(atomic layer deposition: 原子層蒸着)またはスパッタリング等の堆積技術で行うことができる。層体または構成要素を除去するステップは、ウェットエッチング(wet etching)、蒸気エッチング(vapour etching)等のエッチング技術とともに、光リソグラフィ(optical lithography)、紫外線リソグラフィ(UV lithography)、電子ビームリソグラフィ(electron beam lithography)等のパターン形成技術で行うことができる。
【0050】
本発明の実施形態は、特定の材料に拘束されることはないので、種々の異なる材料を使用することができる。導電性流体分離構体として、金属化流体分離構体、ケイ素化合物流体分離構体、またはポリシリコン流体分離構体の使用を可能にすることができる。半導体領域または構成要素として、結晶シリコンを使用することができる。絶縁部位として、シリコン酸化物またはシリコン窒化物を使用することができる。
【0051】
流体分離構体は、純粋結晶シリコンウエハ上か、またはSOI(Silicon On Insulator: シリコンオンインシュレータ)ウエハ上に形成することができる。
【0052】
CMOS、BIPOLAR、およびBICMOS等のあらゆる処理技術を実施することができる。
【0053】
上述した態様および本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の実施形態の例から明らかであり、これら実施形態を説明する。
【0054】
本発明を、例示としての実施形態につき、以下に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の例示的な実施形態による流体分離装置を示す。
【図2】DNAの分離に使用することができる、異なるピッチを有するシリコンナノピラーのパターン形成した表面の例を示す。
【図3】DNAの分離に使用することができる、異なるピッチを有するシリコンナノピラーのパターン形成した表面の例を示す。
【図4】DNAの分離に使用することができる、異なるピッチを有するシリコンナノピラーのパターン形成した表面の例を示す。
【図5】本発明の例示的な実施形態による流体分離装置を製造する手順を示す。
【図6】本発明の例示的な実施形態による流体分離装置を製造する手順を示す。
【図7】本発明の例示的な実施形態による流体分離装置を製造する手順を示す。
【図8A】本発明の例示的な実施形態による流体分離機器を示す。
【図8B】本発明の例示的な実施形態による流体分離機器を示す。
【図9】本発明の例示的な実施形態による流体分離機器を示す。
【図10】本発明の例示的な実施形態による流体分離機器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面に示す記載は、概略線図的である。種々の図面で、類似の要素または同一の要素には、同一の参照符号を付して示す。
【0057】
続いて、図1につき、本発明の例示的な実施形態による流体分離装置100を説明する。
【0058】
この流体分離装置100は、シリコンウエハ等のシリコン基板101を備える。複数のナノワイヤ102を、行と列の形式で、すなわち二次元配列で、より詳しくは、基板101の表面上に堆積技術によって予め形成した触媒スポット103上に、垂直方向に成長させる。
【0059】
図1から明らかなように、サンプル容器104は、基板101の主表面、ならびに構体を区切る側壁105によって画定する。
【0060】
図1は、毛細管111、およびこの毛細管111に充填した流体サンプル112を有するピペット110の概略的に示す。ラバーアクチュエータ113を手動操作することによって、流体サンプル112を容器104に注入して、引き続いて流体サンプル112の成分を分離する。ピペット110の代替物として、流体サンプル112を、流体供給システムを使用してサンプル容器104に供給することもでき、この流体供給システムは、例えば、基板101に形成した流体チャネルを設けることができる。
【0061】
流体分離装置100は、さらに、制御ユニット106、例えばCPU(central processing unit: 中央処理装置)またはマイクロプロセッサを備える。このCPU106は、例えば、第1電極107および第2電極108に電圧を供給するための電圧供給ユニットとして機能することができて、本実施形態では、これら第1電極107および第2電極108は、シリコン基板101の表面部分に集積する。他の実施形態によれば、電極107,108は、基板101とは別に設ける(例えば、これらの電極107,108を、側壁105の内面に配置することができる)。適切な電圧または電位を電極107,108に印加することによって、流体容器104に電場(電界)130を発生させて、荷電粒子または分極可能粒子を、ナノワイヤ102の配列に沿って(例えば、左から右へ)移動させることができる。
【0062】
さらに、光源115(例えば、発光ダイオードまたはレーザー)および光検出器109を設けることができ、これら光源115および光検出器109も、制御ユニット106により制御することができる。光源115は、(装置119によって空間的に区切ることができる)光線を基板101の表面上に出射して、この基板101上では、流体サンプル112の留分が電極107,108間の主経路を通過して分離される。このような基板101の表面部分では、光源115によって出射する光線と、流体サンプル112の粒子(に取り付けた任意の蛍光標識)との間に相互作用を生じることができる。このようにして、特定波長の蛍光を、特定留分の粒子(またはそれに取り付けた標識)よって再出射でき、フォトダイオードまたはCCDアレイ等の検出器109によって検出することができる。したがって、粒子の特定留分の存在/欠如および/または集中を、検出ユニット109によって受光した光の輝度によって測定することができる。このような検出信号を、さらなる評価のため、またはユーザーに出力するために、CPU106に伝送することができる。
【0063】
図1から明らかなように、ナノワイヤの直径「d」は、約10nmのオーダーとすることができ、ナノワイヤ102の長さLは、dよりも相当長い、例えば15nmμmの長さとすることができる。したがって、ナノワイヤ102は、1よりも極めて大きいアスペクト(縦横)比を有する細長のナノワイヤとすることができる。
【0064】
さらに、図1から明らかなように、入力/出力ユニット120を設け、これをCPU106と双方向的に接続する。この入力/出力ユニット120を介して、ユーザーは、コマンドを入力することができて、また、検出実験の結果を受信することができる。したがって、この入力/出力ユニット120は、LCDディスプレイ等のディスプレイユニットを備えることができて、さらに、入力素子、例えばボタン、キーパッド、もしくはジョイスティックを、または音声認識システムのマイクロフォンさえも備えることができる。
【0065】
図2〜図4は、画像200,300および400を示しており、それぞれ、パターン形成して仕立てたDNA分離表面を示す。これら分離表面は、シリコン基板上に製造しておく。
【0066】
より詳しくは、図2〜図4は、異なるピッチを有するシリコンナノピラーの、パターン形成して仕立てた表面の例を示し、この表面は、DNA分離のために適切に使用することができる。図2は、シリコンピラー間が広いピッチの例を示しており、このピッチは、約2μmの距離を有している。
【0067】
図3は、図2のピッチよりも広いピッチを有する例を示す。
【0068】
図4は、狭いピッチパターン表面の例を示しており、このピッチは、0.1μm(100nm)程度の距離を有している。
【0069】
続いて、図5〜図7に記載の、本発明の例示的な実施形態による流体分離構体の製造方法につき説明する。
【0070】
図5から明らかなように、シリコン基板101の表面上に成長させるナノワイヤ102は、層シーケンス(配列)500を形成する。換言すれば、図5では、ナノワイヤ102を、従来の方法を使用して成長させて、ドライエッチングすることができる。
【0071】
層シーケンス600を示す図6から明らかなように、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate: オルト珪酸塩テトラエチル)層601を、層シーケンス500上に均一に堆積する。このTEOS層601は、酸化ケイ素層である。換言すれば、酸化ケイ素の薄い層601を、CVD(化学蒸着)および原材料としてTEOS(オルトケイ酸塩テトラエチル)を使用して堆積する。図示の実施例では、層601の厚みは10nmであり、この厚みは、全ての位置において同じである。この層601の機能は、アンカー(定着層)、および、その後の二酸化ケイ素(SiO)の絶縁層602の堆積処理におけるスパッタリングに対する細いピラー102用の保護シールドを形成する。
【0072】
しかし、現在、堆積は、高密度プラズマ堆積法(High-Density Plasma deposition)を用いて実施する。この処理では、堆積およびスパッタリングが同時に起こり、堆積が行き渡る。このような特定の堆積処理は自己平坦化特性を有するが、このことは、絶縁層602の厚みが、隣接領域よりもピラー102の頂部の方が薄いことによる。この実施例では、ピラー102の頂部の厚みを、約100nmとすることができる。ピラー102の傍の絶縁層602に、45°の側壁角に対応するテーパー部603を得ることも、使用する堆積処理に特有である。図6では、TEOSの薄い層601をナノワイヤ102配列上に堆積して、続いて、高密度プラズマ堆積法(HDP)による酸化物602堆積を行う。
【0073】
次に、図7に示す層シーケンス700を参照すると、層601の一部およびピラー102の先端上のさらなる絶縁層602の一部をエッチング処理によって除去しており、このエッチング処理は、シリコンに対して選択的であり、この実施例では、できれば緩衝剤で処理したフッ化水素に基づくエッチングステップを有する。このエッチングは、既知のエッチング速度を使用して、時間ベースで実施することができる。
【0074】
この手法を実施することによって、ナノワイヤ102の先端701を露出させる。図7では、ナノワイヤ102の先端701は、ナノワイヤ102の先端から酸化ケイ素材料を除去するエッチバックステップ後に露出させる。
【0075】
図8Aは、本発明の例示的な実施形態による流体分離構体800の平面図を示す。特に、図8は、電源801によって2個の電極107,108に給電して、電場を発生することができる流体分離構体800を示す。このような電場の影響下で、緩衝溶液802に供給したDNA分子803であって、異なる長さのDNA鎖803を有するDNA分子803は、電場の影響によって、ナノワイヤ102のマトリックス状のアレイを通って搬送することができる。しかし、図8Aの動作モードでは、電場は電極107,108に加えないので、DNA分子803が電場の影響で移動することはない。
【0076】
図8Bは、装置800の別の動作状態を示しており、荷電粒子803を動かすために、すでに電極107,108間に電場を印加した状態を示す。第1荷電粒子803aは比較的小さいので、ピラー102間の隙間を容易に通過することができる。第2荷電粒子803bはより大きく、そのため、ピラー102間を通過する際に低速になる。第3荷電粒子803cは、最大留分であり、そのため移動が最も低速となる。
【0077】
図8Aでは、電源801によって発生させた電場をオフにして、図8Bでは、電場をオンにする。したがって、図8Bでは、異なる長さのDNA鎖803a〜803bは、装置800のパターン形成した表面によって分類される。このように、図8Aおよび図8Bは、電気泳動によるDNA分離での、パターン形成した表面の使用の実施例を示している。図8Aでは、電場をオフにして、DNA803の異なる鎖を緩衝液802内に入れる。図8Bでは、電場をオンにして、DNA留分803a〜803cを、幾何学的形状のパラメータに関する留分の移動度によって分離する。
【0078】
DNAの移動度は、とりわけ、DNA鎖の長さに関する要因に依存する。本発明の例示的な実施形態によると、DNAの移動速度は、ピラーのサイズおよびピラーの間隔による影響を受ける。本発明の実施形態では、このような幾何学的形状のパラメータを適切に調整することができるので、従来の分離技術と比べて、DNA鎖の分離範囲を拡大することもできる。
【0079】
図10は、本発明の別の例示的な実施形態による流体分離装置1000を示す。この装置1000は、広範囲に及ぶ分離並列処理に適している。
【0080】
図10の実施形態では、ナノワイヤ1001〜1004の二次元配列は、第1区域1005〜第4区域1008を備える。複数の区域1005〜1008における隣接ナノワイヤ間の距離は、異なる区域において(少なくとも電極107,108間でのサンプルの移動方向に対して直交する方向における距離が)異なる。さらに、ナノワイヤ1001〜1004の直径は、複数の区域1005〜1008の異なる区域において異なる。
【0081】
したがって、第1区域1005は、極めて大きい直径を有し、さらに隣接ナノワイヤ間距離が極めて大きな複数のナノワイヤ1001を備える。第2区域1006では、ナノワイヤ1002は、より小さい直径を有しており、お互いの距離がより短い。第3区域1007では、ナノワイヤ1003は、さらに小さくした直径を有する。第4区域1008では、ナノワイヤ1004は、さらに小さくした直径を有する。
【0082】
したがって、装置1000では、分離装置1000の表面をいくつかの区域1005〜1008で構成することができて、ユーザーの要望に応じて、任意の幾何学的形状のパラメータに変更できることを特徴とする。
【0083】
最後に、上述した実施形態は、むしろ本発明を限定するものではなく、当業者は、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の範囲を逸脱することなく、種々の他の実施形態を設計することができることに留意されたい。特許請求の範囲では、いかなる括弧内の参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解すべきではない。「備えている/有している(comprising)」および「備える/有する(comprise)」等の文言は、あらゆる特許請求の範囲または本明細書全体に記載した要素以外の要素の存在を否定するものではない。単数表記の不定冠詞、冠詞を有する要素であっても、そのような要素が複数存在する場合を含み、また複数表記の不定冠詞、冠詞を有する要素であっても、そのような要素が単数のみ存在する場合を含むものとする。複数の手段を列挙するデバイス請求項では、これらの手段のいくつかは、1個のソフトウエアまたはハードウエア、または同一のアイテムのソフトウエアまたはハードウエアで表現することができる。特定の手段を、相互に異なる独立請求項で詳述しているという事実だけで、これらの手段を組み合わせて使用することができない、ということを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体分離構体において、
基板と、
前記基板上に成長させる複数のナノワイヤと、
を備える流体分離構体。
【請求項2】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤを、前記基板の表面に対してほぼ直交する方向に突出するように成長させることを特徴とする流体分離構体。
【請求項3】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤを被覆する被覆構体を備える流体分離構体。
【請求項4】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤの先端が露出するように、部分的に前記複数のナノワイヤを被覆する被覆溝体を備える流体分離構体。
【請求項5】
請求項4に記載の流体分離構体において、前記被覆構体を、前記複数のナノワイヤの側壁を部分的に被覆するように配置することを特徴とする流体分離構体。
【請求項6】
請求項4に記載の流体分離構体において、前記被覆溝体を、前記複数のナノワイヤ間の前記基板表面を部分的に被覆するように配置することを特徴とする流体分離構体。
【請求項7】
請求項4に記載の流体分離構体において、前記被覆構体は、電気的絶縁材料を備えることを特徴とし、特に、酸化ケイ素を部分的に備えることを特徴として、より詳しくは、オルトケイ酸塩テトラエチルによるシリコン酸化物(Tetra Ethyl Ortho Silicate silicon oxide)材料および高密度プラズマによるシリコン酸化物(High-Density Plasma silicon oxide)材料を部分的に備えることを特徴とする流体分離構体。
【請求項8】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記基板は、半導体材料、特に、IV族の半導体によるグループおよびIII族〜V族の半導体によるグループから選択した一つのグループの半導体を備えることを特徴とする流体分離構体。
【請求項9】
請求項1に記載の流体分離構体において、流体サンプルを保持し、また前記流体サンプルと前記複数のナノワイヤとの相互作用を生ずるよう構成したサンプル容器を備える流体分離構体。
【請求項10】
請求項1に記載の流体分離構体において、流体サンプルの荷電粒子または分極化可能粒子に対して電気力を作用して、このことによって前記荷電粒子または前記分極粒子を前記基板上の複数のナノワイヤに沿って移動させるための電場を発生させるよう構成した電場発生ユニットを備える流体分離構体。
【請求項11】
請求項1に記載の流体分離構体において、流体サンプルの粒子の少なくとも1個の留分を、少なくとも1個の他の留分から分離して、前記流体サンプルの粒子の前記少なくとも1個の留分を検出するよう構成した検出ユニットであって、特に蛍光検出ユニットを備える流体分離構体。
【請求項12】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤを、前記基板の表面にナノワイヤの二次元配列アレイを形成するように配置することを特徴とする流体分離構体。
【請求項13】
請求項12に記載の流体分離構体において、
前記ナノワイヤの二次元配列アレイは、前記基板の前記表面に複数の区域を備え、
隣接するナノワイヤ間の距離は、前記複数の区域の異なる区域毎に異なるものとした、
ことを特徴とする、流体分離構体。
【請求項14】
請求項12に記載の流体分離構体において、
前記ナノワイヤの二次元配列は、前記基板の前記表面に複数の区域を備え、
前記ナノワイヤの直径は、前記複数の区域の異なる区域毎に異なる
ことを特徴とする、流体分離装置。
【請求項15】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤを、前記基板の平面上に成長させ、特に、前記複数のナノワイヤを、前記基板上に設けた触媒スポット上に成長させることを特徴とする流体分離構体。
【請求項16】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤの隣接するナノワイヤ間の距離(D)は、2μm未満または2μmとし、特に、0.1μm(100nm)〜2μmの範囲内とすることを特徴とする流体分離構体。
【請求項17】
請求項1に記載の流体分離構体において、測定装置、生化学サンプル分離装置、DNA分離装置、電気泳動装置、生体内感知装置、ラボチップ、医療機器、携帯機器、サンプル精製システム、および生命科学装置からなるグループから選択した少なくとも一つとして構成した流体分離構体。
【請求項18】
請求項1に記載の流体分離構体において、前記複数のナノワイヤは、半導体ナノワイヤ、カーボンナノワイヤ、シリコンナノワイヤ、およびIII族ナノワイヤ〜V族ナノワイヤから成るグループから選択した一つのナノワイヤを備えることを特徴とする流体分離構体。
【請求項19】
流体分離構体の製造方法において、該方法は、
基板上に複数のナノワイヤを成長させるステップを、
備える流体分離構体の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記複数のナノワイヤを被覆する被覆構体を形成するステップと、
前記被覆構体の一部を除去することによって、前記複数のナノワイヤの先端を露出するステップと、
を備える方法。
【請求項21】
流体サンプルの成分を分離するための、請求項1に記載の流体分離構体の使用方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、電気泳動によって流体サンプルの成分を分離するために前記流体分離構体を使用するステップを備える方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、流体サンプルのDNA成分を分離するために前記流体分離構体を使用するステップを備える方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法にいて、流体サンプルのタンパク質成分を分離するために前記流体分離構体を使用するステップを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−524662(P2010−524662A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503653(P2010−503653)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051479
【国際公開番号】WO2008/126064
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】