説明

流体切替弁

【課題】流体の流通を切り替えた際に入口ポートから流入する流体を比重によって分離可能とし得る流体切替弁を実現する。
【解決手段】このため、流体の流通を第1出口ポート側に切り替える場合に、駆動機構を構成するソレノイド26を非励磁状態とし、スプリングの付勢力により第1ダイヤフラム46を第1中間路42から離間する方向に移動させるとともに、第2ダイヤフラム51を第2中間路に接近する方向に移動させ、第1入口分岐ポート部38と第1出口ポートとを連通するように切り替え、流体の流通を第2出口ポート側に切り替える場合には、駆動機構を構成するソレノイドを励磁状態とし、第1ダイヤフラムを第1中間路に近接する方向に移動させ、第2ダイヤフラムを第2中間路から離間する方向に移動させ、第2入口分岐ポート部39と第2出口ポートとを連通するように切り替える流体切替弁とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流体切替弁に係り、特に流体の流通を切り替える電磁弁により流体の流通を切り替えた際に入口ポートから流入する流体を比重によって分離可能とする流体切替弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、製品の製造や物質の化学分析等に様々な流体を使用しており、このような流体を制御する装置が各種提案されている。
流体を制御する装置には、要求量に応じた流体の供給を制御する弁や、流体を切替制御する弁などを設けている。
そして、流体を切替制御する弁としては、流体の流通をソレノイドを利用して切り替え制御する方策などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−077285号公報
【特許文献2】特許第3606956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の流体切替弁においては、流体の各通路に夫々流体切替弁を配設し、これらの流体切替弁を切り替え制御する方策がある。
また、1本の上流側通路と複数本の下流側通路との間に3ポート切替弁などからなる複数ポート切替弁を配設し、この複数ポート切替弁を切替制御して、上流側通路と所定の下流側通路とを連通する方策もある。
しかし、従来の流体切替弁は、流体の比重を利用して分離を行う流体切替弁ではなかった。
つまり、流体においては、「水」と「油」、あるいは、「泡」と「液体」のように、同一通路を通過する流体内に2種類以上の流体が混在している場合がある。
このような混在する2種類以上の流体を分離できる流体切替弁はなく、開発が切望されていた。
【0005】
この発明の目的は、流体の流通を切り替えた際に入口ポートから流入する流体を比重によって分離可能とし得る流体切替弁を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、アクチュエータ部により駆動される弁機構部を設け、前記アクチュエータ部は固定鉄芯にソレノイドを外装した駆動機構により前記弁機構部に向かい軸方向駆動される軸部材としてプッシュピンを軸方向移動可能に保持したプランジャを設け、前記弁機構部は流体の流通を許容・停止する電磁弁から流体の吐出口に至る流体通路を形成する流体チューブの途中に介装されるボディを設け、このボディには前記電磁弁側の流体チューブが接続される入口ポートに高さ位置の異なる2個の第1、第2入口分岐ポート部を設けるとともに、前記吐出口側の2個の第1、第2流体チューブが夫々接続される2個の第1、第2出口ポートを設け、これら第1入口分岐ポート部及び第1出口ポートに連通する第1中間路に第1連通路により連通されるとともに第1ダイヤフラムにより区画される第1容積変化室を設ける一方、前記第2入口分岐ポート部及び第2出口ポートに連通する第2中間路に第2連通路により連通されるとともに第2ダイヤフラムにより区画される第2容積変化室を設け、前記第1中間路を挟んで前記アクチュエータ部側に前記軸部材の軸方向と交差する方向に指向する第1ガイド溝を設け、この第1ガイド溝に前記軸部材であるプランジャの軸方向に移動可能に第1シフトプレートを内蔵して設け、この第1シフトプレートの前記アクチュエータ部側の中央部位に前記軸部材を構成するプッシュピンの端部を当接させて設け、前記第2中間路を挟んで前記第1ガイド溝と反対側にこの第1ガイド溝に対して平行な第2ガイド溝を設け、この第2ガイド溝に前記軸部材であるプランジャの軸方向に移動可能に第2シフトプレートを内蔵して設け、前記第1シフトプレートの前記第1中間路側の中央部位に前記第1ダイヤフラムを取り付け、前記第2シフトプレートの前記第2中間路側の中央部位に前記第2ダイヤフラムを取り付けるとともにこの第2シフトプレートの前記第2中間路と反対側にスプリングを弾性付勢して設け、前記第1シフトプレートの前記第1中間路側の両端部位に夫々一端側を当接されるとともに前記第2シフトプレートの前記第2中間路側の両端部位に夫々他端側を当接される複数本のシフトピンを設け、流体の流通を前記第1出口ポート側に切り替える場合に、前記駆動機構を構成するソレノイドを非励磁状態とし、前記スプリングの付勢力により第1ダイヤフラムを第1中間路から離間する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラムを前記第2中間路に接近する方向に移動させ、前記第1入口分岐ポート部と前記第1出口ポートとを連通するように切り替え、流体の流通を前記第2出口ポート側に切り替える場合には、前記駆動機構を構成するソレノイドを励磁状態とし、前記第1ダイヤフラムを第1中間路に近接する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラムを前記第2中間路から離間する方向に移動させ、前記第2入口分岐ポート部と前記第2出口ポートとを連通するように切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、流体切替弁は、流体の流通を前記第1出口ポート側に切り替えて前記第1入口分岐ポート部と前記第1出口ポートとを連通させる一方、流体の流通を前記第2出口ポート側に切り替えて前記第2入口分岐ポート部と前記第2出口ポートとを連通させ、流体の流通を切り替えた際に入口ポートから流入する流体を比重によって分離可能とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は容積変化弁の拡大断面正面図である。(実施例)
【図2】図2は容積変化弁の使用状態の説明図である。(実施例)
【図3】図3は容積変化弁の拡大平面図である。(実施例)
【図4】図4は容積変化弁の拡大断面右側面図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図4はこの発明の実施例を示すものである。
図2において、1は流体制御装置、2は制御部、3は電磁弁、4は流体チューブ、5は流体切替弁である。
前記流体制御装置1は、図2に示す如く、前記制御部2により前記電磁弁3を動作制御し、前記流体チューブ4内の流体の流通を許容・停止する。
【0011】
前記電磁弁3は、アクチュエータ部6と弁機構部7とからなる。
このとき、前記アクチュエータ部6は、固定鉄芯8にソレノイド9を外装して設け、このソレノイド9により前記弁機構部7に向って軸方向駆動されるプランジャ10を設け、このプランジャ10にプッシュピン11の一端側の端部を取り付けて、前記固定鉄芯8の挿通孔12に挿通させている。
また、前記ソレノイド9は、電路Wにより制御部4に接続される。
【0012】
前記弁機構部7は、前記固定鉄芯8に取り付けられるボディ13に入口ポート14及び出口ポート15を設けている。
この入口ポート14には、図示しない流体供給源を接続する。
また、前記出口ポート15には、前記流体チューブ4の一端側を接続している。
この流体チューブ4は、他端側に吐出口16を設け、流体通路17を形成している。
【0013】
また、前記弁機構部7は、入口ポート14及び出口ポート15を連通する通路18を設け、この通路18を開閉するダイヤフラム19をシフトプレート20に取り付けて設ける。
そして、このシフトプレート20を前記プッシュピン11側に押圧するスプリング21を設け、シフトプレート20に前記プッシュピン11の他端側を当接させている。
【0014】
更に、前記電磁弁3は、前記制御部2により前記ソレノイド9を非励磁状態にされると、前記スプリング21によりダイヤフラム19を通路18から離間する方向に移動させてこの通路18を開放し、流体の流通を許容する。
また、前記電磁弁3は、前記制御部2により前記ソレノイド9を励磁状態にされると、前記プランジャ10のプッシュピン11によりシフトプレート20を介してダイヤフラム19を通路18に接近する方向に移動させてこの通路18を閉鎖し、流体の流通を停止する。
【0015】
前記流体切替弁5は、流体の流通を許容・停止する前記電磁弁3から流体の前記吐出口16に至る前記流体通路17を形成する前記流体チューブ4の途中に介装される。
前記流体切替弁5は、前記アクチュエータ部22を設けるとともに、このアクチュエータ部22により駆動される弁機構部23を設けている。
【0016】
前記アクチュエータ部22は、図2に示す如く、ハウジング24内に駆動機構として固定鉄芯25にソレノイド26を外装して設け、このソレノイド26内に軸部材としてのプランジャ27を軸方向移動可能に保持している。
また、前記ソレノイド26は、電路Wにより前記制御部2に接続されている。
前記プランジャ27は、ソレノイド26により前記弁機構部23に向い軸方向駆動される。
【0017】
前記プランジャ27は、保持孔28を設けており、一端側を軸方向移動可能に支持され、キャップ29により複数本の固定ボルトBを使用して前記ハウジング24に固定されている。
このとき、前記プランジャ27の保持孔28には、プッシュピン30の上端側を軸方向移動可能に保持している。
このプッシュピン30の中間部位側は、前記固定鉄芯25の挿通孔31に軸方向移動可能に保持される。
【0018】
また、前記プッシュピン30は、上端側を前記プランジャ27の保持孔28にネジ機構32により取り付けられている。
そして、前記プランジャ27及び前記プッシュピン30は、このプッシュピン30を回転させるとネジ機構32により相対移動され、プランジャ27と固定鉄芯25との隙間Sが増減される。
これにより、前記プランジャ27は、ストロークを調整することができる。
【0019】
前記弁機構部23は、流体の流通を許容・停止する前記電磁弁3から流体の吐出口16に至る流体通路17を形成する前記流体チューブ4の途中に介装されるボディ33を設けている。
したがって、前記流体チューブ4は、図1に示す如く、電磁弁3側の入口用流体チューブ34と前記吐出口16側の2個の第1、第2流体チューブ35、36とに分割されている。
【0020】
前記ボディ33は、前記アクチュエータ部22の固定鉄芯24に取り付けられる。
そして、前記ボディ33には、図1及び図2に示す如く、前記電磁弁3側の入口用流体チューブ34が接続される入口ポート37に高さ位置の異なる2個の第1、第2入口分岐ポート部38、39を設けるとともに、これらの2個の第1、第2流体チューブ38、39が夫々接続される2個の第1、第2出口ポート40、41を設けている。
【0021】
これら第1入口分岐ポート部38及び第1出口ポート40に連通する第1中間路42により連通される一方、前記第2入口分岐ポート部39及び第2出口ポート41に連通する第2中間路43により連通されている。
【0022】
そして、前記第1中間路42の前記アクチュエータ部22側に第1中間路42に第1連通路44により連通される第1窪部45を設けている。
前記ボディ33には、この第1窪部45を覆うように第1ダイヤフラム46の周囲を第1ダイヤフラム押え47により取り付けて、第1容積変化室48を区画して設けている。
また、前記第2中間路43のアクチュエータ部22と反対側には、第2中間路43に第2連通路49により連通される第2窪部50を設けている。
前記ボディ33には、この第2窪部50を覆うように第2ダイヤフラム51の周囲を第2ダイヤフラム押え52により取り付けて、第2容積変化室53を区画して設けている。
【0023】
前記ボディ33には、前記第1中間路42を挟んで前記アクチュエータ部22側に前記軸部材である前記プランジャ27の軸方向と交差する方向に指向する第1ガイド溝54を設けている。
そして、この第1ガイド溝54には、前記プランジャ27の軸方向に移動可能に細長い板形状の第1シフトプレート55を内蔵して設けている。
この第1シフトプレート55の中央凹所には、前記アクチュエータ部22側の中央部位に前記軸部材を構成するプッシュピン30の下端側を当接させて設けている。
また、前記ボディ33には、前記第2中間路43を挟んで前記第1ガイド溝54と反対側にこの第1ガイド溝54に対して平行な第2ガイド溝56を設けている。
そして、この第2ガイド溝56には、前記プランジャ27の軸方向に移動可能に細長い板形状の第2シフトプレート57を内蔵して設けている。
【0024】
前記第1シフトプレート55の前記第1中間路42側の中央部位に前記第1ダイヤフラム46を取り付けている。
また、前記第2シフトプレート57の前記第2中間路43側の中央部位に前記第2ダイヤフラム51を取り付けるとともに、この第2シフトプレート57の前記第2中間路43と反対側にスプリング58を弾性付勢して設けている。
このスプリング58は、一端側を第2シフトプレート57に弾性支持して設けるとともに、他端側をボディ33とともに固定鉄芯25に取り付けられるベース59の支持孔60に支持して設け、第2シフトプレート57を第2中間路43側に弾性付勢している。
このとき、前記支持孔60内部と外部大気とを連通するために、前記ボディ33の支持孔60の底部に大気連通孔61を設けている。
【0025】
前記ボディ33及び第1ダイヤフラム押え47には、第1ガイド溝54の長手方向の両端部位と第2ガイド溝56の長手方向の両端部位とを夫々連通する複数の嵌挿孔62を設けている。
そして、この嵌挿孔62には、複数本のシフトピン63が軸方向移動可能に夫々嵌挿される。
このとき、シフトピン63は、夫々両端が第1ガイド溝54及び第2ガイド溝56の両端部位からわずかに突出される長さに形成される。
また、複数本のシフトピン63は、前記第1シフトプレート55に夫々一端側が当接されるとともに、前記第2シフトプレート57に夫々他端側を当接される。
【0026】
そして、前記流体制御装置1は、流体の流通を前記第1出口ポート40側に切り替える場合に、前記駆動機構を構成するソレノイド26を非励磁状態とし、前記スプリング58の付勢力により前記第1ダイヤフラム46を前記第1中間路42から離間する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43に接近する方向に移動させ、前記第1入口分岐ポート部38と前記第1出口ポート40とを連通するように切り替える一方、流体の流通を前記第2出口ポート41側に切り替える場合には、前記駆動機構を構成するソレノイド26を励磁状態とし、前記第1ダイヤフラム46を第1中間路42に近接する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43から離間する方向に移動させ、前記第2入口分岐ポート部39と前記第2出口ポート41とを連通するように切り替える構成とする。
詳述すれば、前記流体制御装置1の前記ソレノイド26を非励磁状態とした際に、図1及び図2、図4に示す如く、前記スプリング58の付勢力を機能させて、前記第1ダイヤフラム46を前記第1中間路42から離間する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43に接近する方向に移動させる。
そして、前記第1入口分岐ポート部38と前記第1出口ポート40とを連通するように切り替えるものである。
また、前記流体制御装置1の前記ソレノイド26を励磁状態とした際には、前記第1ダイヤフラム46を第1中間路42に近接する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43から離間する方向に移動させる。
そして、前記第2入口分岐ポート部39と前記第2出口ポート41とを連通するように切り替えるものである。
【0027】
次に作用を説明する。
【0028】
前記流体制御装置1は、前記制御部2により前記電磁弁3を動作制御し、前記流体チューブ4内の流体の流通を許容・停止する。
【0029】
そして、前記電磁弁3は、制御部2によりソレノイド9が非励磁状態にされると、スプリング21によりダイヤフラム19を通路18から離間する方向に移動させ、通路18を開放する。
このとき、流体は、流通を許容されて流体チューブ4内の流体通路17を流れ、吐出口16から吐出される。
【0030】
また、前記電磁弁3は、制御部2によりソレノイド9が励磁状態にされると、プランジャ10のプッシュピン11によりシフトプレート20を介してダイヤフラム19を通路18に接近する方向に移動させ、通路18を閉鎖する。
このとき、流体は、流通を停止されて流体チューブ4内の流体通路17を流れず、吐出口16からの吐出を停止される。
【0031】
そして、前記流体通路17内を流体が流れる状態において、前記流体制御装置1の前記ソレノイド26を非励磁状態とすると、図2に示す如く、前記スプリング58の付勢力によって、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43に接近する方向(図2の矢印X方向参照)に移動、つまり押し上げ、複数本の前記シフトピン63を介して、前記第1ダイヤフラム46を前記第1中間路42から離間する方向に移動、つまり押し上げる。
このとき、前記第1入口分岐ポート部38が前記第1ダイヤフラム46から開放され、前記第1入口分岐ポート部38が第1連通路44を介して前記第1出口ポート40に連通される。
前記流体通路17が第1出口ポート40に連通されると、前記流体通路17内を流れる流体の比重の小さい流体、つまり軽い流体、例えば流体が「水」と「油」とからなる場合は「油」部分、あるいは、流体が「泡」と「液体」とからなる場合は「泡」部分が前記第1出口ポート40から前記吐出口16側の第1流体チューブ35に流れる。
【0032】
また、前記流体通路17内を流体が流れる状態において、前記流体制御装置1の前記ソレノイド26を励磁状態とすると、前記第1ダイヤフラム46を第1中間路42に近接する方向(図2の矢印Y方向参照)に移動、つまり押し下げ、前記スプリング58の付勢力に抗して、複数本の前記シフトピン63を介して、前記第2ダイヤフラム51を前記第2中間路43から離間する方向に移動、つまり押し下げさせる。
このとき、前記第2入口分岐ポート部39が前記第2ダイヤフラム51から開放され、前記第2入口分岐ポート部39が第2連通路49を介して前記第2出口ポート41に連通される。
前記流体通路17が第2出口ポート41に連通されると、前記流体通路17内を流れる流体の比重の大きい流体、つまり重い流体、例えば流体が「水」と「油」とからなる場合は「水」部分、あるいは、流体が「泡」と「液体」とからなる場合は「液体」部分が前記第2出口ポート41から前記吐出口16側の第2流体チューブ36に流れる。
【0033】
これにより、前記流体切替弁5は、流体の流通を前記第1出口ポート40側に切り替えて前記第1入口分岐ポート部38と前記第1出口ポート40とを連通させる一方、流体の流通を前記第2出口ポート41側に切り替えて前記第2入口分岐ポート部39と前記第2出口ポート41とを連通させることができ、流体の流通を切り替えた際に前記入口ポート14から流入する流体を比重によって分離可能としている。
つまり、流体の流通を前記第1出口ポート40側に切り替えた場合には、前記流体通路17内を流れる流体の比重の小さい流体、つまり軽い流体、例えば流体が「水」と「油」とからなる場合は「油」部分、あるいは、流体が「泡」と「液体」とからなる場合は「泡」部分を分離して流すことができる。
また、流体の流通を前記第2出口ポート41側に切り替えた場合には、前記流体通路17内を流れる流体の比重の大きい流体、つまり重い流体、例えば流体が「水」と「油」とからなる場合は「水」部分、あるいは、流体が「泡」と「液体」とからなる場合は「液体」部分を分離して流すことができる。
【0034】
また、前記流体切替弁5においては、プランジャ27に対してプッシュピン30を回転させてネジ機構32により相対移動させ、プランジャ27と固定鉄芯25との隙間Sを増減させることにより、流体の流通を、前記第1出口ポート40側に切り替えた場合、あるいは、前記第2出口ポート41側に切り替えた場合に、分離する割合を変更することが可能である。
【0035】
更に、前記流体切替弁5の構成を簡略とすることができることにより、故障が少ないとともに、現場でのメンテナンスも容易であり、使い勝手を向上し得るものである。
【0036】
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0037】
例えば、この発明の実施例においては、前記流体切替弁のアクチュエータ部の駆動機構としてソレノイドを例示したが、モータや空気圧シリンダ・油圧シリンダ等を使用する特別構成とすることも可能である。
【0038】
また、前記流体切替弁によって流体を比重によって分離する際に、例えば「泡」と「泡」+「液体」との分離構成、つまり、第1の「泡」と第2の「泡」と第3の「液体」との3種類に分離することが可能であるとともに、この3種類に限らず、細かく4種類以上に分離する特別構成とすることも可能である。
【0039】
更に、この発明の実施例においては、流体の流通する入口側の第1、第2入口分岐ポート部から出口側の第1、第2出口ポートまでの各通路径を同一とする構成としているが、第1側と第2側との通路径を相違させ、比重によって分離する流体の分離量を変更する特別構成とすることも可能である。
【0040】
更にまた、前記流体切替弁の第1側と第2側との少なくともいずれか一方の通路途中に通路径を増減させる通路径調整手段を設け、この通路径調整手段によって必要に応じて第1側と第2側との通路径を増減させる特別構成とすることも可能である。
なお、前記通路径調整手段としては、突起を通路内に突出させて通路径を増減させる構成などが考えられる。
【符号の説明】
【0041】
1 流体制御装置
2 制御部
3 電磁弁
4 流体チューブ
5 流体切替弁
6 アクチュエータ部
14 入口ポート
15 出口ポート
16 吐出口
17 流体通路
18 通路
19 ダイヤフラム
20 シフトプレート
21 スプリング
22 アクチュエータ部
23 弁機構部
24 ハウジング
25 固定鉄芯
26 ソレノイド
27 プランジャ
28 保持孔
29 キャップ
30 プッシュピン
31 挿通孔
32 ネジ機構
33 ボディ
34 入口用流体チューブ
35、36 第1、第2流体チューブ
37 入口ポート
38、39 第1、第2入口分岐ポート部
40、41 第1、第2出口ポート
42 第1中間路
43 第2中間路
44 第1連通路
45 第1窪部
46 第1ダイヤフラム
47 第1ダイヤフラム押え
48 第1容積変化室
49 第2連通路
50 第2窪部
51 第2ダイヤフラム
52 第2ダイヤフラム押え
53 第2容積変化室
54 第1ガイド溝
55 第1シフトプレート
56 第2ガイド溝
57 第2シフトプレート
58 スプリング
61 大気連通孔
63 シフトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ部により駆動される弁機構部を設け、
前記アクチュエータ部は固定鉄芯にソレノイドを外装した駆動機構により前記弁機構部に向かい軸方向駆動される軸部材としてプッシュピンを軸方向移動可能に保持したプランジャを設け、
前記弁機構部は流体の流通を許容・停止する電磁弁から流体の吐出口に至る流体通路を形成する流体チューブの途中に介装されるボディを設け、
このボディには前記電磁弁側の流体チューブが接続される入口ポートに高さ位置の異なる2個の第1、第2入口分岐ポート部を設けるとともに、
前記吐出口側の2個の第1、第2流体チューブが夫々接続される2個の第1、第2出口ポートを設け、
これら第1入口分岐ポート部及び第1出口ポートに連通する第1中間路に第1連通路により連通されるとともに第1ダイヤフラムにより区画される第1容積変化室を設ける一方、
前記第2入口分岐ポート部及び第2出口ポートに連通する第2中間路に第2連通路により連通されるとともに第2ダイヤフラムにより区画される第2容積変化室を設け、
前記第1中間路を挟んで前記アクチュエータ部側に前記軸部材の軸方向と交差する方向に指向する第1ガイド溝を設け、
この第1ガイド溝に前記軸部材であるプランジャの軸方向に移動可能に第1シフトプレートを内蔵して設け、
この第1シフトプレートの前記アクチュエータ部側の中央部位に前記軸部材を構成するプッシュピンの端部を当接させて設け、
前記第2中間路を挟んで前記第1ガイド溝と反対側にこの第1ガイド溝に対して平行な第2ガイド溝を設け、
この第2ガイド溝に前記軸部材であるプランジャの軸方向に移動可能に第2シフトプレートを内蔵して設け、
前記第1シフトプレートの前記第1中間路側の中央部位に前記第1ダイヤフラムを取り付け、
前記第2シフトプレートの前記第2中間路側の中央部位に前記第2ダイヤフラムを取り付けるとともに
この第2シフトプレートの前記第2中間路と反対側にスプリングを弾性付勢して設け、
前記第1シフトプレートの前記第1中間路側の両端部位に夫々一端側を当接されるとともに前記第2シフトプレートの前記第2中間路側の両端部位に夫々他端側を当接される複数本のシフトピンを設け、
流体の流通を前記第1出口ポート側に切り替える場合に、前記駆動機構を構成するソレノイドを非励磁状態とし、前記スプリングの付勢力により第1ダイヤフラムを第1中間路から離間する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラムを前記第2中間路に接近する方向に移動させ、前記第1入口分岐ポート部と前記第1出口ポートとを連通するように切り替え、
流体の流通を前記第2出口ポート側に切り替える場合には、前記駆動機構を構成するソレノイドを励磁状態とし、前記第1ダイヤフラムを第1中間路に近接する方向に移動させるとともに、前記第2ダイヤフラムを前記第2中間路から離間する方向に移動させ、前記第2入口分岐ポート部と前記第2出口ポートとを連通するように切り替えることを特徴とする流体切替弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225481(P2012−225481A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95984(P2011−95984)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000116183)ワイ・エル・ビー株式会社 (1)
【出願人】(511102468)フロン工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】